○江藤
委員 私は、自由民主党を代表して、ただいま議題となっております
昭和五十七年度補正予算二案について、政府原案に賛成し、
日本共産党提出の編成替えを求める動議に反対の討論を行います。
御承知のとおり、
昭和五十七年度の当初予算は、ゼロシーリングを採用し、五十九年度特例公債依存体質からの脱却を強力に推進することを
基本として編成されたものでありまして、歳出規模の徹底的な抑制が図られました。また、いわゆる公共事業の前倒し実施を初めとする各種の
政策がとられたのでありますが、OECD諸国全体で失業者三千万人という
世界経済の著しい停滞の影響を受けて、わが国の
景気回復の足取りは依然として重く、税収の伸びはさらに鈍化し、当初予算計上額に比べ六兆一千億円の不足が生ずる見込みとなったのであります。
今回の補正予算は、このような情勢を踏まえて提出されたものでありまして、租税、印紙収入の減収に
対応して既定経費の一層の節減を図っているほか、やむを得ざる異例の措置として、国家公務員の給与改定を見送り、また、国債費の定率繰り入れを停止することといたしております。
公務員のベースアップ停止については、私は、人事院勧告制度の趣旨、あるいは、公務員の諸君が厳しい環境の中で意欲的かつ誠実に職務を遂行しておられることはよく承知しておるものであります。また、政府・与党は、四十五年当時においては、財政事情のいかんにかかわらず、人事院勧告の完全実施の慣行を末永く守る決意を固めておりましたが、その後の
世界経済の推移等により、わが国の財政状況が極度に悪化し、このため、今回かような措置をとらざるを得なくなったことは、わが党といたしましても非常に残念に存ずるところであります。しかしながら、この際は、公務員諸君にまず率先してみずからの給与改定見送りを甘受していただき、いっときのごしんぼうを願いたいと
考えるものであります。
また、定率繰り入れ一兆二千億円の停止につきましては、
基本的には現行制度を堅持すべきものと
考えますが、これによってそれだけ公債発行額の縮減が可能となりますし、また、五十七年度の公債の償還には支障を生じない状況にありますので、この際においてはやむを得ないものと
考える次第であります。
政府は、去る十月、史上最大の被害規模となった本年の災害復旧事業のほか、債務負担行為による
一般公共事業の追加等の総合経済対策を決定し、これに基づき、本補正予算において所要の措置を講じております。中でも災害復旧につきましては、初年度の復旧進度を高めることとし、必要な経費五千二百二十二億円を計上いたしておりますので、これにより被災地の復旧が早まるとともに、冷え込んだ地方経済に相当の活力が与えられるものと期待しているところであります。
また、地方財政につきましては、国税三税の減収に伴い地方交付税交付金が一兆七千億減額されますが、資金運用部資金からの借り入れにより、地方団体の財政運営に支障のないよう配慮いたしております。
以上の理由により、私は、本補正予算に心から賛成の意を表するとともに、一日も早く成立することを望むものであります。
終わりに、政府は、
昭和五十八年度予算について一段と厳しいマイナスシーリングを設定し、概算要求段階から可能な限りの歳出の合理化に努力を払っておられますが、税収の過大見積もりはぜひとも避けられるよう要望いたします。すなわち、五十六、五十七の両年度における歳入欠陥の原因の一端は、予算編成時に税収を過大に見積もったことにあると言われております。来年度の予算編成に際しては、ぜひこの教訓を生かして、税収を厳しく見積もるとともに、歳出の一層の削減に努められたいと思います。
中曽根
総理大臣は、従来から行政の立て直しに異常なまでの熱意を示しておられましたが、
総理に就任されるや、まずその第一声で、行政改革は「たくましい文化と福祉の国」をつくるための突破口であり、行政の改革を総合的にかつ強力に推進するとの決意を表明され、また、財政の再建についても、最も緊要な
政策課題の一つとして全力で取り組む旨言明されました。幸い、今日ほど行政改革と財政再建に対して
国民の
関心と支持が寄せられたことはいまだかつてなかったところであると思います。
今後、政府・自民党は、
国民の皆様の一層の御理解と御協力のもと、あらゆる困難に憶することなく、従来路線に沿って渾身の努力を傾け、
国民の負託にこたえる覚悟であります。
また、
日本共産党から提出されました編成替えを求める動議は、とうてい現実的な提案とは言いがたく、反対を表明するものであります。
以上をもって、私の賛成討論を終わります。(拍手)