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1982-12-18 第97回国会 衆議院 外務委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十七年十二月十八日(土曜日)     午前九時開議  出席委員    委員長 中山 正暉君    理事 麻生 太郎君 理事 奥田 敬和君    理事 竹内 黎一君 理事 高沢 寅男君    理事 土井たか子君 理事 玉城 栄一君    理事 渡辺  朗君       石原慎太郎君    北村 義和君       鯨岡 兵輔君    小坂善太郎君       佐藤 一郎君    玉沢徳一郎君       浜田卓二郎君    松本 十郎君       山下 元利君    河上 民雄君       小林  進君    中路 雅弘君       伊藤 公介君  出席国務大臣         外 務 大 臣 安倍晋太郎君  出席政府委員         外務政務次官  石川 要三君         外務大臣官房審         議官      田中 義具君         外務大臣官房外         務参事官    都甲 岳洋君         外務省アジア局         長       木内 昭胤君         外務省北米局長 北村  汎君         外務省条約局長 栗山 尚一君         外務省国際連合         局長      門田 省三君         水産庁長官   松浦  昭君  委員外出席者         外務省経済局次         長       妹尾 正毅君         外務委員会調査         室長      伊藤 政雄君     ───────────── 本日の会議に付した案件  アメリカ合衆国地先沖合における漁業に関する日本国政府アメリカ合衆国政府との間の協定締結について承認を求めるの件(条約第一号)  北西太平洋ソヴィエト社会主義共和国連邦地先沖合における千九百七十七年の漁業に関する日本国政府ソヴィエト社会主義共和国連邦政府との間の協定有効期間延長に関する議定書締結について承認を求めるの件(条約第二号)  日本国地先沖合における千九百七十七年の漁業に関する日本国政府ソヴィエト社会主義共和国連邦政府との間の協定有効期間延長に関する議定書締結について承認を求めるの件(条約第三号)      ────◇─────
  2. 中山正暉

    中山委員長 これより会議を開きます。  アメリカ合衆国地先沖合における漁業に関する日本国政府アメリカ合衆国政府との間の協定締結について承認を求めるの件、北西太平洋ソヴィエト社会主義共和国連邦地先沖合における千九百七十七年の漁業に関する日本国政府ソヴィエト社会主義共和国連邦政府との間の協定有効期間延長に関する議定書締結について承認を求めるの件及び日本国地先沖合における千九百七十七年の漁業に関する日本国政府ソヴィエト社会主義共和国連邦政府との間の協定有効期間延長に関する議定書締結について承認を求めるの件の三件を一括して議題といたします。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。土井たか子君。
  3. 土井たか子

    土井委員 安倍外務大臣御就任初めての外務委員会の席ということに本日は相なりますから、初めての質問であるという意味も含めて、きょうは大事なポイントについてのお尋ねを進めさせていただきたいと思います。  先日、ちょうど予算が審議されております合間を縫いまして、政務次官並びに水産庁長官、それから事務当局の方々の御出席をお願い申し上げまして、日ソソ日日米漁業協定についての条文を主にした技術的な質問をもうすでに終了したかっこうになっております。本日は少しそれに関連のある問題について安倍外務大臣お答えをいただきたいと思うのです。  聞くところによりますと、一月の一日、元日の日に、中曽根総理は非常に英語に対して達者な方でございますが、アメリカ向けのテレビジョンで、いまお返しするときだという意味も含めての談話といいますか、スピーチをなさるようでございますが、一体何をお返しするときだというふうに考えていらっしゃるのか、何かその点について外務大臣はお聞き及びでいらっしゃいますか、御相談をなさっていらっしゃいますか、いかがですか。
  4. 安倍晋太郎

    安倍国務大臣 中曽根総理正月用のテレビの番組の中で、いまおっしゃるように放送されるようですが、その中身についてまだ私、何も聞いておりません。
  5. 土井たか子

    土井委員 やがて恐らくは、これは外務大臣に対しても何らかの御相談がおありになるのじゃないかと思いますから、そういう意味を含めて、どのようにお考えになるかということを以下少しお伺いをいたしたいと思うのです。  中曽根総理大臣は、もうすでに決められましたとおりに一月の中旬に訪米されるということになるわけですが、アメリカにいらっしゃいまして、どうもしょい切れないくらいの荷物を今度は持って帰ってこられるのではないかという危惧国民は持っております。このことに対して現在国民は大変不安を持っているわけであります。すでに報じられております新聞紙上のそれに関係する部分の中身を読みましても、いままでにない、アメリカからの注文というよりもむしろ日本が積極的にそれに対してそういたしましょうという姿勢で荷物を担いで帰ってこられるのじゃないかというふうに考えているわけなんです。そのことは、与党自民党の外交、国防部会ですら少し危惧を感じていらっしゃるようでありまして、独断専行型でお進めになるようなきらいがあるようにどうも見えてならないわけですから、総理に対して訪米前に一定の枠をはめるというふうな意見もあるやに私たちは聞いております。総理アメリカにいらっしゃることで一体何が主な議題となっていくのか、この点は外務大臣、どのようにお考えになっていらっしゃいますか。
  6. 安倍晋太郎

    安倍国務大臣 中曽根総理は来年の一月十七日に出発をいたしまして、二十一日に帰ってくるわけであります。そして日米首脳間で話し合いが行われるわけでありますが、中曽根総理予算委員会でしばしば言明をしておられるように、今回の日米首脳会談は、いわば総括的な日米関係信頼基礎を築いていく、こういう観点に立って総括的、基本的な話し合いをしよう、こういうことを言っておられるわけであります。そうした基本的な立場話し合いが持たれるもの、こういうように思っております。
  7. 土井たか子

    土井委員 信頼基礎ならばいいのですけれども、アメリカの言いなりになって、ただただ言うことを聞くのが信頼基礎を築くということにはならないと思うのです。やはり日本日本立場を鮮明にして、アメリカに対してはっきり物を言うことがお互いの信頼のきずなを強固にしていく、これが何といっても基本原則でなければならないのは、そんなことは外務大臣はもう先刻御承知のところだと存じます。  さて、行政を行う場合に、これは憲法上の規定もございますが、内閣行政行使について野方図に何をやってもいいというわけじゃございませんで、行政に対してやはり一定制約があると思うのです。枠がはめられていると思うのですね。その制約をしているのは何かというと、ほかにもございますけれども、大切な、忘れてならないその制約の中には、憲法があり、憲法に基づくところの国会が制定をいたしました法律があり、そうしてさらに、国権の最高機関である国会決議をいたしました国会決議あり、また国会のこういう審議の場所を通じて積み重ねられていった結果の、質疑を通じて決定された統一解釈なり統一見解なるものがあると思うのですね。これは内閣は遵守しなければならないそれぞれの中身だと思うのですが、これは単に内閣が遵守するというのではなくて、遵守しなければならないというふうに認識をなさることが私は大切であると思いますけれども、外務大臣はどういうふうにお考えになっていらっしゃいますか。
  8. 安倍晋太郎

    安倍国務大臣 もちろんわが国総理大臣として会談に臨まれるに当たりましては、憲法であるとかあるいはまた法律であるとかあるいは内閣としての基本的な原則であるとか、そういうものは踏まえてこれに臨むということは、中曽根総理も何回か予算委員会でもはっきりと言っておられるとおりであります。
  9. 土井たか子

    土井委員 日本語というのは非情に都合のよいものでございまして、これを踏まえてという表現はそれをどのように考えていいかというのはかなりの幅があるのです。困ると何々を踏まえつつとかこれを踏まえた上でとかというふうな表現をよくとられるわけでございますから、もう一歩進みまして、鈴木内閣当時は私が先ほど申し上げましたそれらのことを遵守するとはっきりおっしゃったわけです。もちろん、外務大臣におかれましてもこれを遵守することは当然のことだとお考えでおいでになるだろうと存じますけれども、その点は間違いございませんね。いかがでございますか。
  10. 安倍晋太郎

    安倍国務大臣 もちろん、憲法であるとか法律は遵守するのは当然でありますし、また国会決議を尊重するということは政府もしばしば答弁をしておりますし、そういう基本的な立場というものはやはりちゃんと守っていかなければならない、こういうふうに思います。
  11. 土井たか子

    土井委員 基本的な立場というのは守っていかなければならないとおっしゃるのですが、いま申し上げている憲法法律国会決議質疑を通じて決定された統一見解並びに解釈、そういうものについて行政を行うことがどうも不都合だということを行政自身認識する場合に、これは勝手に変えられるものじゃないと思うのですね。それらの憲法なり法律なり決議なり見解なり解釈なりについては、一定手続を得て変えられるということがそれぞれの中身について問われる問題であると思いますけれども、どのように外務大臣はお考えですか。
  12. 安倍晋太郎

    安倍国務大臣 いまおっしゃるように、わが国憲法であるとかあるいは法律であるとか、そういうものはもちろん日本を代表する総理大臣という立場ですから遵守するのは当然でありますし、あるいはまた、国会決議を重んずるといいますか、尊重するということも当然である、こういうふうに思っております。いまお話しのように、わが国においてこれを変えるということになれば、その手続をしなければそういうことはできないわけです。
  13. 土井たか子

    土井委員 そこで、憲法については憲法の九十六条自身改正手続を用意いたしております。法律についても、法律改正については定められる手続に従って国会で行うということが考えられなければなりません。一方、国会決議国是というふうに申し上げていいと思うのですが、この国是となっている国会決議、また国会論争を通じて培われてまいりました統一見解なり解釈というのは、時の内閣が一方的に変えていくということは断じてできないというふうに私は思っておりますが、これも当然のことでございますね。いかがでございますか。
  14. 安倍晋太郎

    安倍国務大臣 国会決議というのは国会意思の反映でありますし、これを重んずるといいますか尊重するということは、これまで政府としての見解として述べておりますし、もちろん政府としてこれを尊重することは当然であろうと思います。
  15. 土井たか子

    土井委員 そこで申し上げたいと思うのですが、最近の新聞報道を読んでおりますと、この報道によりましてわれわれが知り得る限りでは、アメリカに対してこの国会決議統一見解統一解釈例外をつくっていくというような事例が最近具体的に出てきているわけであります。よもやそんなことはあろうはずがないと思いますが、まさか国会決議統一解釈例外をつくるようなこと、例外措置を認めていくようなことは内閣としてはなさるはずがないと私は思っておりますが、外務大臣いかがですか。
  16. 安倍晋太郎

    安倍国務大臣 これまで何回か答弁をいたしましたように、政府としてはもちろん法律は重んじなければなりませんし、あるいはまた国会決議はこれを尊重する、そういう枠内でなければ政府の行動というのはできない、こういうふうに思うわけです。
  17. 土井たか子

    土井委員 さて、日米軍事技術協力技術供与と申し上げてもいいと思いますが、これについて、本会議では内閣総理大臣が御答弁の中で、関係省庁検討中であるということを言われているのです。一体何を検討なすっていらっしゃるのですか。このことをお伺いいたします。
  18. 安倍晋太郎

    安倍国務大臣 これは一年数カ月にわたりまして内閣検討しておる課題でありまして、アメリカから御承知のように軍事技術供与というものが要請をされておるわけでありますが、これに対してわが国がどうするかということについてであります。  わが国は、御承知のように武器並びに軍事技術につきましては三原則がありますし、政府見解もあります。あるいは国会決議もあるわけでございます。同時にまた、御承知のように安保条約というものがあるわけで、これは日米間に限ってあるわけでございます。そこで、このアメリカ側要請に対して、こうした三原則あるいはまた政府見解あるいは国会決議、そういうものと安保条約との関連においてどういうふうにこれに対応していくかということについて長い間検討を重ねてきておる、こういうことであります。
  19. 土井たか子

    土井委員 それがまだよくわからぬのです。いまの御答弁ではもうひとつはっきりしないのですが、対米関係についても、武器輸出原則、四十二年ですね。政府統一方針と申しますか見解が五十一年、おっしゃったとおり本会議での衆参両院武器輸出禁止決議がございますが、こういうことに基づいて対処するのであって、例外措置考えるということは本来できないのだということ、これは先ほどの御答弁でも私たち認識をいたしておるわけであります。そうなってまいりますと、それ以外の何を検討するということになるのですか。どうもよくわからないのです。それ以外の何をこの武器技術供与軍事技術協力について検討するということになるのであるかよくわかりませんが、いかがですか。
  20. 安倍晋太郎

    安倍国務大臣 これはまだ何ら結論が出てないわけで、目下検討中なわけですが、いま申し上げましたようにわが国には三原則というのがあるわけでございますし、一方において安保条約というものもあるわけでございます。そういう条約との関係、そして三原則との関係、そういうものを踏まえて、このアメリカ要請のあります武器技術供与の問題にどういうふうに対応していくかということについて、法律的あるいは条約的にいろいろの面から検討を進めておるということですが、まだ結論が出てないですから、何もこれ以上のお答えができようはずがありません。
  21. 土井たか子

    土井委員 結論が出ていない、結論が出ていないとおっしゃるけれども、結論を出そうということ自身が初めから無理なんじゃないですか。もう初めに決まっているのですよ。これは安保条約がすでにあって、それが実施されている中で武器禁輸原則というものを国会決議とし、政府統一見解を出し、そうして現にそのことについていままで国是としたり、あるいは政府もそれを認めたり、さらにそのことについて、これを曲げてはいけない、例外をつくってはいけないということでやってきたのではありませんか。安保条約がそのうちにできてきたのならば安保条約との整合性考える必要も出てこようと思いますよ。すでに安保条約がある中でつくられたということをひとつ御認識いただきたい。これは紛れもない事実なのです。なぜいまになって安保条約との関係考えてみる必要があるとおっしゃるのですか。こんなばかな話はないのです。なぜ当時安保条約がある中でこの国会決議がはっきりなされたかということ、これを大事に考えていただかなければならない。一体いま何を検討中だから答えられないとおっしゃっているのか。だから私にはわからぬと言うのですよ。何かそれ以外に検討なさるような新たな条件なり問題が出てきたのですか。いかがでございますか。
  22. 安倍晋太郎

    安倍国務大臣 これはもう何回も御答弁しておりますし、これまでの鈴木内閣当時の国会でも同じような答弁が重ねられておるわけですが、基本的にはもちろんこの三原則というのがありますが、反面安保条約というのがあることは事実であります。そうした日米間の特別な関係、そして安保条約、そういうものと三原則との関係でどういうふうにこれに結論を出していくかということで目下検討を重ねておるということは事実でございまして、いまのところは結論が出ないわけですから、これ以上のお答えができないわけでございます。
  23. 土井たか子

    土井委員 結論が出ない、結論が出ないといってすり抜け答弁をいまの間はやる時期だというふうにお考えになっていらっしゃるのかもしれません。  しかし、これはどうも私たちからすると、このままでそれならばどうぞ時間をかけて御検討くださいという問題ではなさそうなんです。先日、新聞記者との単独会見ワインバーガー国防長官が、一月の日米首脳会談での最重要議題として何を考えているかということについてほのめかされているのが、この日米軍事技術協力問題を中心に話し合い決着をつけたいという意思表示をされているのですよ。そうなりますと、いままで外務大臣は急いでこれに対しての結論を得たいとか、急いでこれに対しての協議をまとめ上げるということはおっしゃっておりますけれども、タイムリミットとして一月訪米考えてはいないと言い続けられることに対して、アメリカ側考えはこうであるということがここで出ているのです。避けて通れるはずがない。こちらはまだ考慮中ですと言い続けることができるかどうかというのも一つは問題になってこようと思いますよ。いままではそれを言い続けて一年有半もうすでにたっているわけですから、アメリカの方も新しく中曽根さんに対しては絶大な期待をかけているということもあったりいたしまして、さあ結論をお聞かせ願おうと手ぐすねを引いて向こうは待っておられるところに飛び込むかっこうだということを申し上げざるを得ないわけであります。  そうなってくると、いままでどおりに、そうでございますか、時間をかけてどうぞ御検討をなんというふうなときではどうも私はなさそうに思う。どうです外務大臣武器禁輸原則というものを遵守するということをおっしゃる以上は、その枠を崩すような検討はできない、このことに対してははっきりここで御答弁しておいていただきたいと思いますが、そのとおりでございますね。
  24. 安倍晋太郎

    安倍国務大臣 武器技術の対米供与の問題は、これは御承知のように大村・ワインバーガー会談ワインバーガー長官から正式に要請をされて、わが方としてこれに対して十分検討するというふうに答えまして、それ以来の懸案として検討をしておるわけであります。  そういう中で、米国としてもこの問題について早く決着をつけたい、こういう強い要請があることは事実でございまして、そのために実は検討を急いでおるわけでありますが、しかし、アメリカ側が求めておりますように、果たして一月の日米首脳会談までに結論が出るかどうか、これは時日を固定をして結論を出すということまでは決めておらない。ただ、急いで結論を出さなければならぬということで鋭意検討をしていることは事実でございます。  アメリカとしては、これまで日本に対しまして武器並びに武器技術については積極的に供与をしてきたわけであります。そういう中で日米安保条約というのが動いておるわけでありますが、日本も最近非常にハイテクノロジーなんかの問題で進歩してきた。ですからアメリカ側としてもこの段階においては、やはり日米安保条約というたてまえからして日本のそういう高度な技術アメリカにも欲しいということはまたそれなりの筋があるのじゃないかと思うわけですが、こういうことが果たして日本のいまの日米安保条約という枠内で、同時にまた、いまわれわれが持っております三原則、こういう枠内でどういうふうにこれをやっていけるのか、結論が出せるのか、その結論をめぐっていま検討しておるわけでありますから、これまでのわれわれの持っておるこの三原則、これは基本的にやはりアメリカに対しても適用をしてきておることは事実であります。これと安保条約との関係をいろいろな角度から、実は広範な角度からいま研究、勉強を進めておるということで、何とか結論は急ぎたい、せっかくのアメリカの強い要請でありますから、結論は急ぎたい、こういうように思っておりますが、時期を明示して、ここではっきり、日米会談の前と言われても、果たしてそこまでにできるかどうかということまでは申し上げられない段階であります。
  25. 土井たか子

    土井委員 どうも外務大臣、やっぱり繰り返し繰り返し歯切れの悪い御答弁なんですね。  それじゃ、ちょっと角度を変えて聞きますが、いまおっしゃったことにも関係あるのですが、日本軍事技術アメリカ側に提供するということは、わが国防衛分担を求めてきているアメリカの一連の要求の一線上にある、したがいまして同盟国あかしであって、同盟国としての踏み絵であるというふうな意見がございますが、外務大臣はこれに対してどういうお考えをお持ちでいらっしゃいますか。
  26. 安倍晋太郎

    安倍国務大臣 われわれは安保条約は遵守していかなければならないし、日本の平和と安全のためのみならず、これは極東の安全と平和あるいは世界の平和、安全に貢献するものである、こういう信念を持って安保条約を運営をしておるわけでありますし、そういう角度からこの問題にも対応していかなければならない、こういうふうに思っております。  これが同盟関係あかしであるかどうかということについてはいろいろの御意見はあるわけでございますが、私が申し上げるのは、いまの安保条約というものをやはり確実にこれを守って、これを進めていくということがわれわれの基本的な考えであります。そういう観点から日米間のいろいろな問題を進めていくべきである、こういうように思っております。
  27. 土井たか子

    土井委員 安保条約を確実に守るという立場からいたしますと、その安保条約に決めてあることがあります。何かといったら、それぞれの国の憲法上の規定に従いとあるのですよ。日本憲法に従って日本安保条約を守るということになっているのです。よろしゅうございますか。いまの武器禁輸原則にいたしましても、国会決議がよって来るところはやっぱりこの憲法なんですよ。憲法から考えて、武器に対しては例外なくこの三原則に従って考えなければならないということを確かめ、そしてさらに五十一年の政府統一見解なるものがそれを補強しているというかっこうになっているわけなんですね。国会の本会議決議もこの憲法というものが基本にあって国会決議になっているということは紛れもないこれまた事実なんです。  そういうことからいたしますと、いま安保条約との兼ね合いを考えなければならないとか、安保条約を重視しなければならないとか、これを誠実に遵守するということを考えてみなければならない、しきりにそこを力を込めて力説なさいますけれども、その安保条約自身は、日本については日本国憲法というものの立場に立って安保条約についてこれを守るということを考えなければならないという立場があるのです。それからいたしますと、アメリカに対してはいかに何と言われようと、この武器禁輸原則を実施する場合に例外として認めるわけにはいかない、こう相なると思いますが、いかがでございますか。
  28. 安倍晋太郎

    安倍国務大臣 もちろんわれわれはいまの憲法を守っていかなければならぬわけでありますし、安保条約もこの憲法の枠内において運用されることはこれはもう当然至極のことであります。ただ、三原則というのは憲法そのものから発生したものではない。いわゆる憲法そのもの武器輸出を禁止しているわけではないと私は思うわけでありまして、これはその後の国会の議論、あるいはまたわが国の国際的な政策を進める上においてわれわれがとってまいった基本的な一つ政策であって、武器あるいは武器技術そのもの輸出するということが憲法そのものに触れるとかそういうことではない、私はこういうふうに解釈しております。
  29. 土井たか子

    土井委員 安倍外務大臣、私が質問に立つと必ず憲法を引き合いに出すというレクチュアをお受けになったとみえて、何だか憲法について自分なりの見解を申し述べなければどうにもならないような御気分でその御答弁の席にお立ちになっているがごとき感が私にはあるのですが、そんなことではないのではないですか。憲法論争をやろうというのなら何ぼでもやりますよ。けれども、いまの武器輸出の問題についても、憲法の前文の個所、私はこれを序文と呼んでおりますが、これはいずれでもいいわけです。第一章第一条が始まる以前の個所です。これも憲法の一部なのです。その場所から考えても、第九条から考えても、武器を外国に輸出するなんということは憲法自身は認めていないのですよ。これははっきり衆人の認めるところであって、安倍外務大臣の異なる解説をただいま私は聞きましたけれども、そんなことをおっしゃったってそれは通用しない。憲法自身がそれを定めているけれども、そのことを国会国会意思として具体的に意思表示した国会決議なるものがある、こういうかっこうだと思うのです。よろしゅうございますか。これはそうですよ。いま何だか変なことをおっしゃいましたけれども、政府統一見解を、国会決議武器については輸出してはならない、こういうふうに輸出してはならないということを唐突に取り決めたわけではないのです。それ以前に憲法があるから、そういう問題についての認識をお互いが持ち、お互いが具体的に決めるという行動をとり、具体化させた、こういう関係にあるということをはっきり御認識なさることは非常に大切だし、これはだれもが疑わないことだと私は思いますよ。これはもう決まっているのです。そういうことからいたしますと、行政を行うに当たっては、例外措置を含めて三原則に縛られる、国会決議に縛られる、また政府見解に縛られるという質問主意書に対する答弁が昨年の十一月二十日にすでに政府から出ておりますけれども、それはそのとおりに変更なく今日に至り、今日も内閣としてはその姿勢を変えてはおられない、このように考えてよろしゅうございますね。
  30. 安倍晋太郎

    安倍国務大臣 繰り返すようですが、われわれも、三原則は守っていかなければならぬ、こういうふうに思っておるわけです。ただ、日米関係には、日米間の安保条約というものがあるわけでございます。これは日米の間のみに結ばれておる条約でありますし、安保条約を念頭に置いてこの問題を考えることは、日本が平和国家として生きていくための三原則でありますから、平和国家として生きていく上においては安保条約もわれわれにとっては最大不可欠の重要な条約でありますし、これを守り、発展させていくためにも、そういう面からこの問題もとらえていかなければならぬことはやはりそれなりの理屈があるのではないか、そういう意味検討を進めておる、こういうことでございます。
  31. 土井たか子

    土井委員 繰り返しになりますけれども、この武器輸出原則を確かめるときには安保条約がすでにあったのです。安保条約を行う上でこれを決めましょうとなったのがこの原則だと言わなければならない。いまさらもう一度安保条約についての関係考えるというのはどういうことなのかわからないのですよ、何をおっしゃっているのか。当時は、安保条約を行うに当たってこれを決めましょうという意味があると考えなければならない、安保条約があった上でやったことですから、行われている中でやったことですから。安保条約に矛盾ないということも国会決議では確認をされた上の三原則だと理解をしなければならないのです。いま特にこのことに対して討議をしなければならない新たな事情でも何か出てきたのですか。いかがです。
  32. 安倍晋太郎

    安倍国務大臣 これは、最近大村・ワインバーガー会談アメリカ側から正式に武器技術について日本からの提供を求められるという事態になりまして、その後、安保条約関連する諸協定その他あるわけですから、そういうものとの関係においてこの問題はいま検討しておる、こういうことでございます。
  33. 土井たか子

    土井委員 アメリカだけは別である、アメリカだけは特別に取り扱いたいという姿勢を大前提にしながら、どうしたらそれについてうまくつじつま合わせができるかばかりを検討されているのがいまの御答弁でよくわかるのです。そんなことは聞けませんよ。いままでの統一見解なり質問主意書に対する答弁なり国会での質疑に対する応答なりを、ずっと積み重ねられたものを見ておりますとそれは許されない。許されないことをやろうとなすっているところに大変な無理があるのです。無理を承知で、今度は時間を限られたかっこう検討しなければならないからあわてておられるのです。あわてておられるところに、この国会ももうすぐ、二十五日まであるのかどうか知りませんけれども二十日がきたら一応会期が終了いたします。時間切れまで検討中、検討中で何とか時間を稼げば、あとは閉会になって大急ぎで決定してアメリカに持っていったらそれでいいではないか、そういうふうなことも出てこないとは限らない。しかし、これは国民に対して大変な冒涜ですよ。国会決議に対しても冒涜だし、さらにいままでの質疑に対しての積み重ねを全部ひっくり返すことにもなる。安倍さんが外部大臣におなりになってこういうことをなすった、こういうことに相なると思いますが、これは大丈夫、例外としてはアメリカの場合も認めませんね。いかがです。アメリカだけは別だという取り扱いをいたしませんね。いかがでございますか。
  34. 安倍晋太郎

    安倍国務大臣 これは外務省だけで検討しているわけではありませんで、外務省、通産省、防衛庁それに内閣が加わる、法制局等も加わって研究をいたしておるわけであります。そこで、いまのアメリカ側要請を踏まえて日本としても、アメリカに対しても基本的にはこの三原則というのがもちろんあるわけですから、それと安保条約との関連、この安保条約を推進していく、こういう立場に立ってどういうことでこの要請に対して結論が導かれるかということで、これは外務省だけの問題ではないわけで、いわば政府全体の問題としてあらゆる角度から研究、検討を進めておるということでございますので、これはまだ何も結論が出ていないわけですから、これに対して私がどうなるだろうとかこうなるだろうとかいうことを言うことは早計じゃないか、このように思っております。
  35. 土井たか子

    土井委員 ほかの関係省庁もあることは百も承知ですけれども、この問題はあくまで外務省が中心ですよ。平和外交についての責任は通産省がとるのですか、防衛庁がとるのですか。そうじゃないでしょう。あくまで外務省ですよ。外国との窓口は通産省ですか、防衛庁ですか。間々最近そういうことがあって激怒されているのは外務省じゃありませんか。日本の窓口はあくまで外務省でなければならないのです。そういうことからいたしますと、この問題についても外務大臣の姿勢がしっかりしたものでないと困る。国会決議の上に立って従来の政府統一見解というものを遵守する。もう一つ言うと、日本安保条約を守っていくことが大切であるけれども、安保条約そのものが決めているとおり、日本憲法に従って安保条約を守りますという姿勢がまず問われなければならないと私は思うのです。そういうことからすると、安倍外務大臣はほかの省庁に比較すると比較にならないくらいにこの問題に対して大きな責任があると言わざるを得ない。ほかの省庁がお考えになる部分がございますからというような弱腰みたいな、何か責任転嫁みたいな御答弁では困るのですよ。外務省としてどうかということをしっかり答えておいていただくという大変な責任がここにあるだろうと思います。先ほどから非常に歯切れの悪い答弁が相次いでおりますが、紛争当事国には武器輸出をしないという原則がはっきり大原則としてありますが、これはアメリカ例外ではないと思います。外務大臣、いかがでございますか。
  36. 安倍晋太郎

    安倍国務大臣 これは基本的にはもちろん三原則一つであるわけですから、アメリカに対しても同様である、こういうことをこれまで政府としてとってきているわけです。
  37. 土井たか子

    土井委員 これまでというのは、それは当然のことであります。  さて、これからです。これまでそのことをずっと通してこられたことを、きちっとされますね。通していかれますね、いかがですか。
  38. 安倍晋太郎

    安倍国務大臣 もちろん、基本的にはこの三原則というものはアメリカに対しても同様にこれを守っていく、こういう姿勢でございます。
  39. 土井たか子

    土井委員 その基本的とか原則としてというのは、これまた非常に都合のいい日本語なんです。例外のない原則はないとか、そういうことがよく言われます。例外としてこういうふうに認めましょうということを、よもや国会が終わって閉会中にさっと決めてアメリカに持っていくようなことはなさらないと思いますが、これはしませんと断言していただけますね。これはいかがですか。それはもう国会に対する裏切りですよ、いかがですか、もしそういうことをなされば。
  40. 安倍晋太郎

    安倍国務大臣 これはもう初めから終始一貫して申し上げているように、基本的には三原則は守らなければならぬ。しかし、日米関係では安保条約というものがあるわけですから、この安保条約の面からも、この問題については検討する、こういうことで、私は、先ほどから責任を逃れているようなことを言われますが、責任は決して逃れておるわけではない。特に日米関係、そして安保条約解釈あるいは安保条約の運用、そういう面については外務省が責任を持ってこれに対応していかなければならぬとこう思うわけですが、しかし、それぞれ関係の省庁もあるわけですから、検討をその省庁でしているということを先ほどから言っているわけでありまして、基本的には、いま申し上げましたように三原則があるわけですから、この三原則とそれから日米関係にあるところの安保条約、この関係をどういうふうに調整していくかということでいま検討しておる、これ以上にはなかなか申し上げる状況にないわけでございます。  そこで、これがいつ結論が出るかということについても、早く結論を出したいということはこれはわれわれ話し合っておりますし、私もこれは何とか近いうちに、ごく近いうちにでも出してもらいたいということを言っていることは事実であります。
  41. 土井たか子

    土井委員 これは非常に歯切れが悪く、聞いてもその繰り返しばかりしか外務大臣としてはおっしゃらない問題であろうと思いますが、前外務大臣当時に、この問題を取り上げて当委員会で質問をさせていただいた節、決定をされる前夜に当外務委員会に報告をするという約束済みなんです。よろしゅうございますか、外務省としては、また外務大臣とされては。それは約束は約束なんですから、新しい外務大臣になったからといって、約束はほごでございますなんということは許されないだろうと思うのです。これは守っていただけますね。
  42. 安倍晋太郎

    安倍国務大臣 この点は私も議事録を拝見しましたが、いまの土井委員からお話があったようなことをたしか園田外務大臣当時お話があって、そしてそれに対して、いまの土井委員のお話は十分承っておきます、こういう答弁になっておりますし、私も、これは園田さんがお答えになったように、いまの土井委員のお考えは十分承っておきたいと思います。
  43. 土井たか子

    土井委員 どうも、十分承っておきたいとおっしゃるのは、それじゃそのとおりをお認めいただいたということになるのですね。いままで国会で、この外務委員会答弁をされた約束をそのまま認めていきましょうというふうに、こちらは理解をしてよろしゅうございますね。
  44. 安倍晋太郎

    安倍国務大臣 これは、政府結論を出せば当然国会で議論をしていただくといいますか国会に御報告をするのは、何といっても国会は最高の機関ですから、当然のことである、こういうふうに考えておりますし、そういうことは私もしばしば申し述べたとおりであります。
  45. 土井たか子

    土井委員 最近十四日の日ですか、アメリカの上院でわが国に対する防衛力の増強決議がなされました。外交委員会ですね。種々お尋ねしたいことが多いわけですけれども、時間の関係がございますから、一点だけ尋ねておきたいことがございます。  これは外務大臣、御存じですね。それは一項から七項まで分かれておりますが、項目別に申し上げますと、その六項目の中に、艦船、航空機の整備、修理、オーバーホールの費用を持つべきである、英語で言うとシュッドという言葉を使っておりますね。持つべきであるというくだりがございますが、こんな費用を地位協定上持つことができるのかどうか。これは地位協定から考えてむずかしいと私は思っているのですが、いかがなんですか。
  46. 安倍晋太郎

    安倍国務大臣 十四日にアメリカの上院で決議されまして、いわゆるレビン決議ですが、これはアメリカの議会の日本の防衛力整備に関する期待感あるいは関心を表明したものであると思いますが、そういう中で六項に確かに、「日本国は、在日米軍の年間軍用経費の総額のうち相当程度より大きな部分を負担すべきであり、」省略しまして、また「艦艇及び航空機の行動、維持、補修及び解体修理のために現に日本国において米側が負担している経費を負担することに寄与すべきであること。」こういうふうなことになっております。  これは決議でございますが、アメリカ政府を拘束するものではないと思っておりますし、そしてまた、こういう決議があったとしても、日米関係には地位協定等もあるわけで、われわれはあくまでも地位協定の枠内でなければ物事を行うことができないわけですから、この中で艦艇及び航空機の補修とかいろいろ具体的に出ておりますが、そういうものは地位協定の枠内というわけにはいかないのじゃないか。ですから、できるものとできないものがあるわけであります。
  47. 土井たか子

    土井委員 まさにおっしゃるとおりだと思うのですね。この六項目のくだりを見ておりますと、地位協定解釈で判断できるものじゃない部分があるのですね。前段の部分は、いまおっしゃったとおり、在日米軍の運用経費を大幅に分担せよという中身であります。後段は、太平洋地域で云々となっているわけであって、まあこれは前段は地位協定解釈を少し進めようということに相なるかもしれませんが、この後のくだりの太平洋地域で云々の運用の艦船の整備、それから航空機の修理、オーバーホールの費用の負担というのを要求するなんという中身は、地位協定とは何らこれは関係がない問題だと思うのですね。何ら関係がない。そうなってまいりますと、地位協定で判断できる範疇でないと見るべきだと思うのですが、新しい費用分担要求をここに出してきたというかっこうになるのではありませんか。どうなんです。
  48. 安倍晋太郎

    安倍国務大臣 これは議会の決議でありますから、議会のそうした期待とか関心を表明したわけであって、アメリカ政府そのものを拘束するわけではありませんし、議会としてのいわゆる期待、関心はこういう形で、具体的に表明されているわけですが、政府を拘束するわけではありませんから、また、日米関係には厳として地位協定があるわけですから、日米関係で問題を処理する場合は、この協定の枠内でこれを処理する以外にないわけで、これを超えて私たちがこの問題に対処するという考えはもちろんありません。
  49. 土井たか子

    土井委員 それはしかと承りました。  総理は、まあ議会の決議とはいえ、真剣に考慮してみなきゃならない問題だということをすでに新聞紙上でもおっしゃっておりますから、しかも一月訪米ということに相なりますと、議会のこの外交委員会での決議も踏んまえた、それこそ踏んまえた討議がアメリカ側から出されるということもやぶさかではないのです。そうなってくると、この問題に対しての認識がどういうことになっているかというのが非常に大切な部分であると思います。これに対しては、新しい費用分担要求というものに対しては断固ノーと答える以外にないと思いますが、こういう問題は一切ノーですね、外務大臣
  50. 安倍晋太郎

    安倍国務大臣 アメリカ政府もわが政府も地位協定を改めるというふうな考えは毛頭持っておらないわけですから、あくまで地位協定の枠内でこれを処理するということはもう大原則でありますし、地位協定の枠内で問題を処理する以外には条約的にもないということははっきり言えるわけであります。
  51. 土井たか子

    土井委員 外務大臣アメリカにいらっしゃるわけでありますから、その点は総理大臣からはっきり言われる必要があると思います。これは非常にきっぱりしておいていただかないと、こういう問題というものは以後ぞろぞろ出てこないとは限らない。そして現にいま外務大臣がおっしゃいましたとおりでありまして、地位協定からしたらこれは考えられない別枠の新規の費用負担を強要しているかっこうだと言わざるを得ないわけであります。安保条約の範囲内で軍事技術供与の問題についても考えてみる必要があるとか等々いまおっしゃっておりますけれども、日本側も少し枠からはみ出た討議をなすっていらっしゃるのではないかなと私は言いたいのですよ。安保条約基本線に――さっき申し上げましたとおり、各国はそれぞれの国の憲法制約があります。アメリカアメリカ憲法武器は持てるし、戦争ができる憲法を持っておるのです。日本は全く違う憲法なんです。アメリカから、一方的であっては困る、日本側からのお返しも必要だと言われても、はい、さようでございますかと乗るわけにはいかないのです、現に憲法があるわけですから。いまの御答弁と同様に、それこそこの線をはっきりと踏んまえて外務大臣はこの問題にも臨まれる必要があると私は思いますよ。軍事技術供与の問題。これも原則としてはということでアメリカに対しても三原則は守るということをおっしゃっておりますが、原則としてはではなくて、例外は認めず、三原則はきっぱりと遵守する、こう言うことが当然だと思うのです。  もう一度その点をきっぱりと御答弁としていただいて、私は次に高沢議員に質問を交代したいと思います。
  52. 安倍晋太郎

    安倍国務大臣 このレビン決議案では確かに耳を傾けなければならない点もあるわけです。しかし、いま六項目の御指摘のあるような点については地位協定というのがあるわけですから、地位協定の枠内以外では処理できないということははっきり申し上げるわけでありまして、われわれとしては、あくまでも安保条約を忠実に守っていく、こういうことでありますし、また、この武器技術問題につきましては、先ほどから申し上げましたように、われわれはこの三原則というものを持っておるわけですから、アメリカに対しても基本的に三原則を守っていくということは大前提であります。そういう中で、一方に安保条約というのがあって、この安保条約との関連をどうするかということで検討を進めておるわけでございます。日米間というのは特別な関係である、特に安保条約というのがある、そういう中でこの問題の処理を急いでおる、こういうことでございます。  いずれ結論が出れば国会にももちろん報告をして御論議をいただかなければならぬ重大な課題であると私は思います。
  53. 土井たか子

    土井委員 それではちょっと、私はもうこれでかわりたいと思いましたが、あと一言だけ。  決まった段階国会にというのは、まるでもう決めることを大前提に、しかも目の前でもう決めてしまおうということを大前提におっしゃっているがごとき感触を一応いま得ているのです。外務大臣、よろしゅうございますか。これはアメリカの議会でも十分安保条約とか地位協定とかを研究した上での今回の決議なんですよ。本来は地位協定ではできない相談を新たな問題として持ち出してきているのですよ。そういうことをどんどん日本に対して持ってくるアメリカじゃありませんか。こちらは安保条約の枠内でと言ったって、いままで国会で確かめてきた三原則の枠を破ってひっくり返すようなかっこう例外を認めていくということは、安保の枠を破るということに等しいのです。なぜか。安保条約がある中でこの三原則を確認したのじゃありませんか、何遍も言いますけれども。したがって、いままでは例外を認めないとして、アメリカももちろん例外ではないということでやってきた線を、破るわけですから。安保条約の中でできたその線を破ることは、安保条約そのものに対してもいままでと違った姿勢で臨むことにもなるし、安保の規制を破ることにもなる、このように言わざるを得ないのです。大変私はこれは大事な問題であり重大問題だと思っているのです。決めてから国会には申し上げましょうという安易な姿勢でこの問題に臨んでいただいては困るのです。大変な間違いだと思います。外務大臣のきょうの御答弁では納得できません。どうも主客転倒している観がある。そのことを申し添えさせていただいて、交代したいと思います。
  54. 中山正暉

    中山委員長 高沢寅男君。
  55. 高沢寅男

    ○高沢委員 ただいまの土井委員質問関連で、私一つだけ大臣にお尋ねをいたしたいと思います。  大臣が尊敬される福田さんが内閣を担当されているときに、福田さんは外交の基本姿勢として全方位外交ということを提唱され、またそのための努力をされました。もちろん自民党の福田さんの立場と社会党のわれわれの立場が違うことは重々承知しておりますが、しかし福田さんはその立場なりに全方位外交ということを、アジアの平和と日本の平和のために非常に熱意を持って追求された。このことを安倍外務大臣はどのように受けとめ、また、あなたのこれからの外交推進のために、この福田さんの姿勢をどのように受け継いでいかれるお考えか、それをまずお尋ねしたいと思います。
  56. 安倍晋太郎

    安倍国務大臣 いま高沢さんのおっしゃったように、福田内閣で当時の福田総理がしばしば外交の基本方針として述べられた考えは、日米を基軸にした全方位外交、こういうことを述べられたわけであります。これは自民党内閣では基本的にはずっと継承されて今日に至っておる、こういうふうに私も思いますし、日本が平和外交を推進するという以上はこうした基本的な立場というのは大事である、私はそういうように考えております。
  57. 高沢寅男

    ○高沢委員 そういう基本立場は非常に重要である、こういうふうにいまお考えがありましたが、それをもうちょっと具体化してお尋ねしますと、これは何新聞か私は正確には覚えておりませんが、ある新聞にこういう漫画が出ておりました。それは最近の米、ソ、中国の関係をあらわす漫画ですが、アメリカとソ連が向かい合ってピンポンの球を打ち合っている。その向かい合って打ち合っている真横から中国がピンポンの球を米とソに向かって打っている、こういう漫画です。これは最近の米、中、ソの関係をあらわすおもしろい漫画だ、こう思って私は見たわけですが、この漫画にたとえれば日本はどういう姿勢で一体ピンポンをやるのかということを、私は大臣の一つのお心構え、決意としてお聞きをしたいと思うのです。  私の考えでは、いままでの日本の外交は、ソ連とアメリカがピンポンを打っておる、そのアメリカの後ろにいて球拾いの役割りをするというようなところじゃなかったかと思うのですが、もうそういう段階ではないと私は思いますね。そうすると、このピンポンの図にたとえれば、日本も真横から米とソに向かって球を打つというふうなところがあってもいいのじゃないかと思うのですが、大臣、お考えはいかがでしょうか。
  58. 安倍晋太郎

    安倍国務大臣 世界の情勢がこの数年来大きく変化しているとも思いませんし、ソ連でアンドロポフ新体制ができましたけれども、果たしてその新しい体制がこれからの世界政策をどういうふうに進めていくのか、われわれもまだ確たる自信を持って申し上げる段階にないわけでありますが、しかし確かに状況としては米ソ間におきましてもこれまでの基本的な枠組みというものは変わってないように私は思います。軍縮交渉等も必ずしもうまくいってない、まだ主張に大きな開きがあるようであります。しかし新体制ができたわけですから、これからの米ソ間にどういう変化が起こるかということは、われわれはっきり申し上げられるような状況ではないと思います。  また、ソ連と中国との間においても外相会談であるとか、あるいは次官級の会談であるとか、そういうものが行われておりまして、外から見ておりますと何か雪解けムードもあるような感じもしないわけではありません。しかし基本的なソ連と中国との間の問題点、たとえばカンボジアの問題であるとか、あるいはまたアフガニスタンの問題であるとか中ソの国境の軍隊の問題であるとか、そういう問題が基本的に解決されたとも見えませんから、基本的にソ連と中国とのこれからの状況が果たしてどういう方向に向かっていくのかということについても、ただ現象だけでは判断ができないと思うわけであります。  また、アメリカと中国との間も、台湾に対する武器供与の問題をめぐって非常にシビアな状況になっておったのが、一応の解決を見たようでありますけれども、しかしこれはかつてほどの緊密な米中関係でもないように思うわけであります。  こうしたソ連、アメリカ、中国、この関係がこれからどういう方向に進んでいくのか、多少の具体的な動きというのはあるわけですけれども、大きな変化というのがここで期待できるかどうか、まだはっきりした見通しをつける段階になっていないわけです。  そういう中にあって日本の外交は、日米間はいまさら申し上げるまでもありませんが、安保条約を中心とした、いわゆる基軸というべき体制でこれから進めていかなければならぬのは当然でありますし、ソ連との間については、これは領土問題というのが何としても大きな問題としてわれわれの前に横たわっておりますし、これは何ら解決の見通しもないという状況ですから、われわれは何も対立というものを好むわけではありませんが、この問題等に新しい政権が果たしてどういう対応を示すかということについては、私たちは非常に重大な関心を持っておりますが、いま軽々に日ソ関係がこれ以上に新しい段階に入っていくであろうというふうなことを申し述べるような見通しも全くないわけです。しかし、いままた日本と中国との関係は、私はいままでにない大変いい関係にあると思っております。これはわれわれはやはりきちっと守っていくべきではないかと思います。  そうしたいろいろな日本をめぐる諸情勢を踏まえながら、わが国の外交政策としては、あくまでもわれわれがとってまいりました平和外交を積極的に推進していくという基本的な考え方、これを外交の中心の姿勢にしていかなければならぬ、こういうふうに思っております。
  59. 高沢寅男

    ○高沢委員 いま外務大臣から、勉強されている外交課題の問題をずっと目次としてお話しをいただきましたが、それはそれで十分わかりますが、要するに私が大臣にお尋ねし希望したことは、大臣がそういう外交問題を進めるためのスタンス、自分の身の置き場所、置く姿勢、これを米ソというものがあるならば、その真横から日本アメリカにも物を言う、ソ連にも物を言うというふうな立場でやるべき段階に来ておるじゃないかということを申し上げたわけです。  いま土井委員から、アメリカとの軍事技術供与の問題でずっとお尋ねがありましたが、日本がこの米ソのピンポンの打ち合いの中で、アメリカと並んでピンポンの球を打つ、日米関係が集団自衛権の形になるというふうな立場はかりそめにもあってはならぬということを最後に強く大臣に希望いたしまして、私の関連質問を終わりたいと思います。
  60. 安倍晋太郎

    安倍国務大臣 これはもう憲法は厳として守っていかなければなりませんし、いわゆる集団安全保障権といいますか、集団自衛権にわれわれが一歩を踏み出すということはとうていあり得ない、あくまでも個別的自衛権というものによって日本の国を守っていくという大前提は、憲法がある限りこれを崩すわけにはいかない、こういうふうに思います。
  61. 高沢寅男

    ○高沢委員 終わります。
  62. 中山正暉

    中山委員長 玉城栄一君。
  63. 玉城栄一

    ○玉城委員 日米漁業協定関係しまして、いい機会でございますので、大臣に基本的な点について一、二点お伺いをさせていただきたいと思うわけであります。  中曽根内閣が誕生しまして一カ月近くになるわけでありますが、この内閣のいろいろな基本的な考え方につきましては、新聞とかいろいろなところでも読ましていただいておりますし、この予算委員会でも総理自身がいろいろとおっしゃっておられるわけであります。したがって、いま国民は非常に重大な関心を持って、たとえば中曽根総理がいわゆるわが国の防衛増強に非常に積極的な姿勢を示していらっしゃるということ、それと、もちろん防衛予算につきましても新年度七%台を確保しようというような考え方を持っていらっしゃるということ、あるいはシーレーンの防衛につきましても非常に積極的な姿勢を予算委員会でもおっしゃっておられるし、あるいは自分は改憲論者であるということも予算委員会で言明していらっしゃる、わが国が軍事大国の方向に行くのではないか、そういうような大変危惧の念を持って見ているわけであります。  そこで、来月の十八日に中曽根総理とレーガン大統領、日米首脳会談が行われるわけでありますが、片やレーガン大統領は力の政策を強引に推し進めている、タカ派である。中曽根さんとレーガンさんのその会談がどういうことになるのか、まさに国民は重大な関心を持って見守っておるわけであります。  そこで、二点お伺いしておきたいのですが、実はその前に、昨年の五月、鈴木前総理が同じく日米首脳会談をされまして、いわゆる同盟問題、いまのシーレーンの防衛の問題を含めて、これはアメリカとしては約束である、しかし鈴木前総理がお帰りになりまして、いやそんな覚えはない、対米公約ではない、国会でも何回もそれが大問題になりまして、結局は元伊東外務大臣はそのためにおやめになるというような問題まであったわけです。  そこで一点お伺いしておきたいことは、今回もちろん安倍外務大臣も御同行されるわけでありますから、その十八日に行われる中曽根・レーガン会談において、わが国としてはもちろん防衛問題等を含めて一切約束とか公約とかそういうことはしないんだということをおっしゃっておいていただきたいわけです。これが一点。  それともう一点は、先ほど大臣御自身もおっしゃっておられますように、わが国は平和憲法のもとに平和国家として平和外交に徹するんだ、防衛増強をしないんだ、いわゆる憲法基本的な点についてもやはり日米首脳会談においてきちっとおっしゃる必要がある、こう思うわけですが、この二点をお伺いしておきます。
  64. 安倍晋太郎

    安倍国務大臣 来年の一月に行われる日米首脳会談、これはわが国としても新しい政権ができたわけでございまして、非常に意味のある、意義の深い会談であると私は思いますし、何とかこれを成功させなければならない、こういうふうに考えております。  そういう中で、中曽根総理とレーガン大統領との会談の内容については、これは中曽根総理がしばしば予算委員会でも説明をいたしましたように、あくまでも日米間のあるいは世界情勢についての基本的な考え方、意見の交換を行う、そして日米間の信頼基礎を築いていく、こういうことで進めたいということでありまして、この会談はそういう立場で非常に根本的な問題といいますか、基本的な問題についての意見の交換は行われるというふうに私は存じておるわけでございます。しかし、二国間の具体的な問題についても意見の交換があることも私は想像ができるわけでございます。しかし、そういう意見の交換があっても、これはあくまでも日本立場というものは、これまでの自民党内閣がとってまいりました基本的な姿勢といいますか、基本的な原則、そういうものを踏まえての会談である、そういうふうに理解をいたしておりますし、日本憲法あるいはまた条約あるいはまた法律、そういう枠の中での日本側の考えが述べられるものというふうに存ずるわけであります。  防衛問題については、これもアメリカ側は非常に強い関心を持っておりますし、また日本日本自体としてわれわれも防衛問題については非常に関心を持っておりますが、防衛については御承知のように日本がみずからの立場で決めるわけでございます。しかし、同時に日米間には安保条約というものがあるわけでございますし、アメリカ側の期待、関心というものも十分理解しながら、この上に立って日米安保条約を遵守し、これを発展させるためにもこの防衛問題についてはわれわれの考えも明らかにしなければならぬ。しかし、防衛については、御承知のように予算がすでに決まった暁に実は渡米をされるわけでございます。ですから、予算編成については日本としてはわれわれの立場で、独自な立場でこの予算を決定をしていくのは当然のことでございます。
  65. 玉城栄一

    ○玉城委員 ですから、私がお伺いしていますのは、昨年の例でもありますように、アメリカ側としては公約、いわゆる日本側の約束だと受け取り、総理のお帰りになった後の御答弁はそういう公約ではない、これが問題になったわけですね。ですから、いまおっしゃるとおりいろいろな具体的な問題も出るでしょうけれども、昨年五月の日米首脳会談の公約問題がいまもって尾を引いているわけですね。先ほども御質問がございました十四日の上院外交委員会での決議の内容を見ましても、日本の約束をということでそれがもうずっと尾を引いているわけですね。ですから、私がお伺いしていますのは、今回の日米首脳会談においてそういう公約だとか約束とかそういうことは日本側としてはしないのだというお考え外務大臣としては立っていただかなくちゃいけないのではないかということを伺っているわけですね。
  66. 安倍晋太郎

    安倍国務大臣 昨年の千海里シーレーンの防衛についてはいろいろと後で批判も起こったわけでありますが、別に日本の約束とか公約とかいったものでなくて、日本自体が日本の防衛のために詰めた課題を説明をしたわけである、私はそういうふうに理解もいたしておるわけであります。今回の会談がどういうふうに持たれるのか、これは先ほどから申し上げましたようなことで会談が進められると思うわけでございますが、日本側が説明するとしても、それはあくまでも日本憲法であるとか、あるいは条約であるとか、あるいは法律であるとか、そういうものを踏まえた上での日本側の説明あるいは態度の表明であって、これを超えるようなことはできるものではないのじゃないか。それを超えた約束とか公約とか、そういうものが行われるということではない、そういうふうに理解をいたしております。
  67. 玉城栄一

    ○玉城委員 先ほども大臣もおっしゃっておられますとおり、平和外交に徹するんだということですね。これは、憲法に基づいてわが国はこういう立場なんだ、いわゆる平和外交に徹してわが国の安全と生存を保持しようと決意した、このようにちゃんと憲法にあるのだという趣旨のことははっきりとおっしゃっていただくのかどうか、いかがですか。
  68. 安倍晋太郎

    安倍国務大臣 これはもちろん日本外交の基本的な方針でありますし、中曽根内閣においてもこれは堅持していくということはもうはっきりしておるわけでございます。日本が説明するとかしないとかそういう以前の問題として、日本自体の問題としてのはっきりした日本立場である、こういうふに私は考えております。
  69. 玉城栄一

    ○玉城委員 そこで、十四日行われましたアメリカ上院外交委員会において全会一致でわが国に対する防衛増強要請の七項目の決議がなされたわけですが、それぞれ読みますと、率直に申し上げまして大変失礼な言い分が相当あると私は思います。これはまさに主権国家として――これは向こうの政府を拘束するものでもないとか、向こう側の期待あるいは関心の問題であるというふうなことだけで済まされない、非常に内政干渉的な、あるいは国家としての礼節――何か日本アメリカの一州のごときのような感じで受け取られてもやむを得ないのじゃないかというような内容にもなっておるわけですね。大臣、そういうふうにさらっと関心、期待を表明しただけだということで済まされるのかどうか。もし仮にわが国がこの国会において、あるいはこの外務委員会におきまして他国に対してああいう内容の決議をしたならば、その相手の国は政府はもちろん、議会はもちろん国民からも抗議が出てくるのは当然だと思うのですね。あるいは、そういうことをしようとしたら政府の方からちょっと待ってくださいという、とめるようなことも当然出てくるのではないかと思うのですが、そういう内容の決議なんです。いかがですか、大臣。
  70. 安倍晋太郎

    安倍国務大臣 どこの国でもそうですが、議会というのは国民の感情を率直に反映する場であると私は思います。アメリカにおきましても最近対日批判というのが国民感情的に非常に強くなっておる。これは貿易問題をとってみてもそうでありますし、また防衛問題をとってみても、安保条約日本を守っておりながら、アメリカはあれだけの巨大な財政の赤字を持ちながら、アメリカ自体が防衛力、国防力の増強を図っておる。そういう中にあって安保条約を結び日本を守らなければならないアメリカ、そういう状況の中にあって日本自体の防衛力の整備が進んでいない、こういうことに対する国民感情的な批判といいますか、反発といいますか、反感といいますか、そういうものが非常に増大していることは事実である、これがやはり議会に非常に強く反映をされましてああした決議になったのではないか、私はこういうふうに判断をいたしております。しかしこの決議は、あくまでもアメリカ国民の感情を反映したアメリカの上院外交委員会の決議ではありますけれども、これはあくまでもこうした議会の日本に対する期待といいますか、あるいは関心といいますか、そういうものを反映した決議である、こういうふうに思っております。  この中では、確かにわれわれとしてもいろいろと検討しなければならない課題もあると思います。しかし同時に、先ほどからも御指摘がありましたけれども、その中にはどうしてもわが国としては受け入れることのできない具体的な内容もあることは事実であります。率直に耳を傾けて、やはり検討すべきものは検討する、できないものはできないわけでございますから、そういう議会の決議という重みはわれわれは感じながら、しかし、これが日本に対する押しつけであるとかあるいは内政干渉であるとか、そういうふうには私たちは受け取ってないわけであります。  また、アメリカ政府アメリカの議会とはおのずから別である、そしてこの決議アメリカ政府を拘束をするといったようなものではないというふうに私は考えております。
  71. 玉城栄一

    ○玉城委員 時間が参りましたので、最後に御要望申し上げます。  直ちにだとか、増すべきであるとか、いわゆる独立国家に対してそういうふうな内容の決議になっていますね。大変問題だと思うのですね。  それで、さっきも申し上げましたとおり、来月行われます日米首脳会談につきましては、国民は重大な関心を持って見守っておりますし、また、総理自身がそういう防衛問題については大変積極的な考えを持っておるだけに、非常に危惧の念を持っても見ているわけであります。したがって、先ほど大臣がずっとおっしゃっておられますように、平和国家として平和外交に徹して生さていくというからには、大臣御自身も御同行されるわけですから、行き過ぎのないように、その点十分やっていただきたいと思いますが、大臣の御決意を伺って終わります。
  72. 安倍晋太郎

    安倍国務大臣 私も一緒に行くわけでありますけれども、首脳会談でありますし、また中曽根総理もしばしば予算委員会でも声明されましたように、いまの日本立場というものは十分踏まえて、そういう中で率直に話し合いをしていく、そして言うべきことはちゃんと言い、そしてまたお互いに建設的に日米関係信頼基礎を築いていくための会談に持っていきたいということでありますから、私はそういう意味では安心をして同行できる、こういうふうに考えております。
  73. 玉城栄一

    ○玉城委員 以上です。
  74. 中山正暉

    中山委員長 渡辺朗君。
  75. 渡辺朗

    ○渡辺(朗)委員 幾つかお尋ねを早速さしていただきたいと思います。  この三、四日のアメリカの動きを見ておりますと、何か国民としては大変不安になってくる。先ほどからもお話が出ておりますように、上院の外交委員会では対日防衛費の、対日防衛力の増額の決議が行われる。あるいは下院ではいわゆる部品調達法案、ローカルコンテント法案が通過する。日本はこれはいま大変な状態に置かれているんじゃなかろうか、これから大変になるんじゃなかろうか、だからどうしたらいいだろうか、こういう大変な不安感があると思うのです。  ところで、お聞きしますけれども、このアメリカの上院、下院で通った質の違うもの――一方では防衛力です。他方ではいわゆる自動車締め出しです。これはどうでしょうか、本質的に同じものだと考えていいのでしょうか。どういうふうなかかわりを持つものだというふうにお考えでございますか。
  76. 安倍晋太郎

    安倍国務大臣 防衛とかあるいは貿易とか、それぞれこれは違ったものでありますけれども、しかし、アメリカのとらえ方は、私は、これは一体となってとらえておるんじゃないだろうか、こういうふうに思うわけであります。防衛問題あるいはまた経済摩擦の問題、そういうものをアメリカのいまの国民感情あるいは議会、そういうものはむしろ一体としてとらえてああした決議が次々と出ておる、そういうふうに思うわけでございますが、しかし、アメリカ政府はこれは別の観点からこの問題に対応しよう、こういうことであるように思います。
  77. 渡辺朗

    ○渡辺(朗)委員 大臣、そこら辺が心配なんですよ。政府は別だろう、議会もこれは下院だけだ、上院は別だろう、あるいは上院だけだ、だから大統領はあるいは拒否権を使うだろう、いろいろ言われると何か安心していいのかなと思うし、他方どんどんそういうような声が大きくなる。  たとえばお聞きしますけれども、ローカルコンテント法案に類するようなものは、いまアメリカ議会で何百本ぐらい出ておりますか。ここら辺はどうでございますか。
  78. 妹尾正毅

    ○妹尾説明員 詳細な資料を持ち合わせておりませんが、数十本上院にも出ているというふうに承知しております。
  79. 渡辺朗

    ○渡辺(朗)委員 詳細な資料はないけれども、数十本だ。まあこれは百本ぐらいあるらしい、こういうふうにも言われている。ここら辺、大臣ひとつ調べておいていただきたいし、そういうものがばあっと出てきようとしている、あるいは提案されているというのは、これはちょっと並み大抵の状況ではないのじゃなかろうかという感じがするのです。  どうも大臣の先ほどからの御答弁を聞いておりましても、従来の対応の仕方、どういうふうに対応されてこられたのか、特に私が思うのには、ぎりぎりまで持ってきておいて、それで解決策をこちらの方は小出しにちょびちょびっと出していく。一寸延ばし、五分延ばしみたいな形でやっていくような形で来ておられる。ですから、大臣の御答弁を聞いていても、あるいは談話や何かを見ていても、慎重に対処していくというような面と、それから、何か、これは憂慮しなければならぬという面と、両面が出てきたんですね。ここら辺もう一遍ちょっと御感想を聞かしていただきたいんです。いま、まだ調査はしてないけれども、数十本提案されていると言っておられます。本当はこんなことじゃいけないと思うんです。外務委員会ですからね。ここですから、何本出ています、どういう性格のものですというところまで本当は言ってほしいけれども、それはそれとして、大臣、いまの状態で、これはどのようにお感じになりますか、もう一遍おっしゃってください。
  80. 安倍晋太郎

    安倍国務大臣 私は、全体的な感じからいきますと、日米関係基礎はきわめて安定していると思いますけれども、いま進捗している状況というものは非常に憂慮すべきものがある、不安にたえないわけでありますし、このままの状況でいきますと、安定した日米間の基礎が崩れてしまうおそれすらあるんじゃないかという感じすら私は持っておるわけであります。たとえばローカルコンテント法にしても、下院であれだけの多数で可決をされた。上院に移っておるわけであります。上院では大丈夫ではないかという観測もあるわけですが、いまのアメリカ国民の対日感情、そういうものを見ますと、あるいはまた、アメリカの直面しているところの経済的なあの深刻な状況等から見ますと、上院といえども決して油断ができる情勢ではない、私はそういうふうに思いますし、そういう中で政府は、これもしばしば政府意思として言明されておりますように、このローカルコンテント法については反対である、大統領は拒否権を使うであろう、こういうふうな見解も出されておるわけでございます。政府は反対の意思をはっきり表明しておりますけれども、しかしアメリカの議会が、下院も成立をする、あるいは上院も成立する、さらにアメリカ国民感情が一斉に燃え上がるというふうになったときに、果たして政府としていままでのような態度で終始できるかということになりますと、これも絶対大丈夫であるというところまで言えるような状況でないように私は思うわけでございまして、議会がやる、そうして政府がこれに同調するというふうなことになりましたら、これはもうローカルコンテント法一つをとってみても、象徴的な方式の法案ですから、日米間に相当決定的な障害が出てくるわけでございますし、これが通り、またさらに政府がこれを認めるというようなことになりますと、一斉にその他の法案も全部通るというようなことにもなりかねないわけでございますので、ローカルコンテント法一つをとってみても、私は何も安心しているわけじゃなくて、これからの推移から見ると、どちらかと言うと、むしろ不安の方が強いわけでございます。これは防衛関係の問題にしても、あるいはその他の法案にしてもそういうことが言えるのではないかというふうに思っておりまして、日米関係は安定はしておりますが、私はいままでになく厳しい事態に入ったという認識でございます。これに対して日本がどういうあり方でこの日米間の調整をやるか、進めるかということは、これまた日本にとってはこれからの最も大きい外交案件の一つである、こういうふうに思うわけであります。
  81. 渡辺朗

    ○渡辺(朗)委員 このままいけば日米の両国の信頼感も崩れるという危険性をはらむ新しい段階にいま来ている、大臣、そのような認識をおっしゃいました。つまりそれは、いままでのやり方ではもはや解決策、小手先の引き延ばしではもう限界に来たということを意味しているのだと思うのです。そうすると、具体的になりますと、ではどうしたらいいのか。いまの、当面保護貿易主義的な動き、こういうものに対しても、情報によればもうすでに百本近くも議会には提案されている。それが日本の対応いかんによっては数百本にもふえるかもわからないというような情報もございます。そうしますと、これはもう何かこれから対応策を検討するというような悠長なものではない。はっきりと、それこそノーはノー、イエスはイエスというところを打ち出しておかないといけないと思いますが、もう一度、その点は大臣どのようにお考えでございますか。     〔委員長退席、竹内(黎)委員長代理着席〕
  82. 安倍晋太郎

    安倍国務大臣 これはこれまでもわが国としては、たとえば貿易問題について言えば、アメリカのみではなくて、ヨーロッパあるいは世界というものを踏まえた市場開放を具体的にも第一弾、第二弾という形で進めてきたわけでございます。わが国はそれなりに市場開放を行っておる。制度の面で決して諸外国におくれをとるものではないと私は思っておるわけでございますけれども、しかし、余りにもアメリカやヨーロッパの経済情勢が悪い。そういう中でどうしてもやはり日本に対して風当たりも強くなる、そういう中ではずいぶん誤解もあるわけでございます。あるいは間違った指摘もあるわけでございます。私たちはそうした誤解とかあるいは間違った指摘はきちっと解いていかなければなりませんし、同時にまた、彼らが求めておる点は具体的にいま提示をされてきております。ヨーロッパなんかからも八十一項目というような形で提示をされておりますし、アメリカからも具体的に提示をされております。この中で、わが国として、それじゃどれだけできるのか、あるいはどれができないのかというものをきちっと選択をして、もうアメリカやあるいはヨーロッパ諸国にもこれを示す、そういう段階にいま来ておることは間違いない、私はそういうふうに思っております。
  83. 渡辺朗

    ○渡辺(朗)委員 大臣、細かい点は別としまして、こういう点、どういうふうにお考えでございますか。  先ほどおっしゃいました、この防衛とそれから貿易の問題、これはアメリカとしては一体としてとらえているであろうという認識をお述べになりました。そうであるならば、どうでしょうか、日本としては、いま貿易の問題を戦略的に解決の突破口として考えているのか、防衛の問題を突破口として考えているのか、どちらかでございます。どういうふうにお考えです。戦略的に解決策の方向づけでございます。
  84. 安倍晋太郎

    安倍国務大臣 これは別に日本として貿易の問題あるいは防衛の問題、これを一体としてもちろん考えておるわけではないわけでございますが、全体的にはやはり日米間の大きな課題としてわれわれは見ていることはこれまた事実でございますが、そういう中にあってそれぞれのやり方というのがありますし、防衛の問題は、これはもちろん日本独自の問題でございますから、アメリカのそうしたいろいろな期待といいますか要望といいますか、これは日米安保条約を結んでいる以上、当然だと思うのですが、そういうものを踏まえながら、わが国独自の立場でこれを進めていくということになると思います。  貿易問題については、これは今日、米側との交渉ということもあるわけで、具体的にいろいろと出ておるわけでありますから、そうした具体的な問題は交渉の場で論議しながら、日本自体がこの問題に対して、そろそろ貿易の問題についても具体的に結論を出す、そういう段階に来ておると思うわけでございますが、いまのアメリカが言っていることを、すべてこの要求を入れろ、要望を入れろと言われても、これは無理であることははっきりしておるわけであります。  そういう中で、日本の限界、防衛についてはもちろん防衛の基本原則というものがあるわけでありますし、憲法の枠というものがあるわけですから、そういう中で、あるいは防衛計画大綱を達成するというわれわれの基本方針、そういうものも踏まえながら、どういうふうにわれわれが独自に対処していくかということになっておるわけでございます。全体的に見れば、しかし、時間もそう長い時間をかけてこれはやるというわけにはいかない、そういうふうに思いますし、防衛の問題は予算そのものの問題としてこれは年内にも決着を、日本自体としては結論を出さざるを得ないわけでありますが、貿易の問題も具体的に結論を出す一つの時期に来ておる、こういうふうに考えます。
  85. 渡辺朗

    ○渡辺(朗)委員 ところで、今度はいまの防衛力増強の決議案についてですけれども、大臣、これは内政干渉の決議と見ていいですね。いかがでございます。特に一九九〇年までにこれだけのことをしろ、あるいはまた現行地位協定を超える要求を出している。これは明らかに内政干渉だというふうに理解してよろしいですか、どうですか。
  86. 安倍晋太郎

    安倍国務大臣 これは、それぞれ国会の中でも、あるいは国民の中でもそういう見方もあるかもしれないと私は思います。しかしわれわれ政府といたしましては、この議会の決議は、アメリカ国民のいら立ちをやはり率直に表明をした決議である。そうしてそれは日本に対するいわゆる関心あるいは期待感というものを強く表明した形の決議案である、そういうふうにとらえておりまして、これが直ちに内政干渉といった筋合いのものではない、私はこういうふうに思っております。
  87. 渡辺朗

    ○渡辺(朗)委員 この間から予算委員会の中でも出てきておりましたが、防衛費のGNP一%の枠というのはどうも崩れること、これが前提にされているような発言がございました。また、そうなっていくのではなかろうかという予測もわれわれしております。そうなると、たとえば防衛費の問題なんかでは、外務大臣は、新たな歯どめというのはどういうふうにお考えになっておりますか。検討はすでに始めておられますか。先ほどから、早急にこのような防衛力増強の問題あるいはまた貿易の問題、そういうことについても解決策を打ち出さなければいけないと言っておられますけれども、お話が全部ちょっと抽象的でございますので、そこら辺、立ち入ってひとつお答えをいただければと思います。
  88. 安倍晋太郎

    安倍国務大臣 これも、防衛問題を直接お答えをするのは私の立場から言いますと少し行き過ぎかもしれませんが、しかし、私は、防衛の問題については非常な関心を持っております。特に日米関係から見まして非常に深い関心を持っておるわけですが、日本の防衛力の整備というのは、あくまでも昭和五十一年の防衛計画大綱を早く達成するというのが基本方針でありますし、そういう中で五六中業の実行を急いでおるということでございますから、あくまでも日本の防衛の基本政策というものを踏まえた中での防衛力の充実である、こういうふうに理解をいたしております。  そういう中で一%ということがいろいろと論議になっておりますが、これは中曽根総理も言っておりますように、当面はこの一%の枠内でとどめたいということでありますから、やはりその中身というのはあくまでも防衛計画大綱の達成であるし、あるいはまた五六中業の実行であるということでございまして、そういう面から私は、日本の防衛力の整備充実というものはこれがいわゆる軍事大国であるとか、そういうものにつながっていくものでは決してあり得ないというふうな確信を持っておるわけであります。
  89. 渡辺朗

    ○渡辺(朗)委員 大臣に、アメリカに行っていろいろお話をされる、その際の腹づもりをお聞きしたいと思っておるのですが、なかなかおっしゃらないので、これはそれではまた後の機会にお聞きすることにしたいと思います。  時間もありませんから、最後に一つ、二つお聞きしておきたいと思います。  最近、ソ連の方で択捉島にミグ戦闘機の配備が行われた、あるいはまた色丹島に三十数基でございますか海岸砲が建設されているのではなかろうかなどというような報道がされております。これは政府、確認しておられますか。
  90. 田中義具

    ○田中(義)政府委員 ソ連の軍用機約十機程度が択捉島の天寧飛行場へ飛来し、着陸した模様でございますけれども、より詳細な事実関係については現在防衛庁を中心として確認ないし分析をしているところでございます。
  91. 渡辺朗

    ○渡辺(朗)委員 何か頼りないのですけれども、もしそうであるとするならば、確認がされれば、これはたしか軍事基地というのは五十三年に国後で飛行場が建設されたということ以来新しい動きだろうと思うのです。アンドロポフ政権の誕生以来対日政策というのはどういうふうに変わってきているのか、あるいはどういうふうなものになるだろうか、そういうことと関連をして私は非常に懸念をしているところでありますけれども、その点大臣どのようにお考えでございましょうか。一言聞かせてください。
  92. 安倍晋太郎

    安倍国務大臣 ソ連のアンドロポフ新政権がどういう世界政策をこれから進めていくのか、あるいは対日政策を進めようとしているのか、これについてはまだわれわれは確たる心証は得てないわけでございます。したがって、これは慎重に今後のソ連の対処を見守ってまいりたい、こういうふうに思っておるわけでございます。  そういう中で、いま御指摘がありましたような、わが国固有の領土であるところの択捉島にミグ21戦闘機を配備する、配備したのかあるいは単に飛来をしたということなのか、その辺のところはこれからの推移を見ないとはっきりわからないわけでございますが、私たちは、ソ連のこれまでの極東のいわゆる軍備強化というものの一環としてこれが行われている可能性もなきにしもあらず、こういうふうに見ておるわけでございます。しかし、これが果たして定着をするのかどうかということは、今後これを見守っていく以外にはないのではないか、こういうふうに判断しております。
  93. 渡辺朗

    ○渡辺(朗)委員 時間が参りましたのでやめますが、もう日本国民としては、本当に何か世界じゅう大きく動き始めている、しかもその中で何か日本というものあるいは日本の周辺で大変非難あるいは日本攻撃、そういうものの合唱が起こっているような気がしている、そういうふうな中でいるわけでございますので、ここではやはりひとつしっかりとしたかじ取りをお願いしたいと思います。特に私は、アメリカであれソ連であれ、やはりいろいろ問題が起こっているときはシグナルが上がっているときだと思います。それに対してこれからきちっと男らしく反応をしたらいい。ノーはノー、イエスはイエスで言う。特に何か延ばし延ばしでやるような方式は、能面をかぶった国みたいなふうによその国からは受け取られる。そういう点をぜひぜひ外務大臣、新しい決断と抱負を持ってやっていただきたいということを要望して質疑を終わります。
  94. 竹内黎一

    ○竹内(黎)委員長代理 次に、中路雅弘君。
  95. 中路雅弘

    ○中路委員 先ほどから論議されていますが、私も最初にさきの米上院外交委員会での日本の防衛力増強を求める決議案について二、三お聞きしたいのですが、政府を拘束するものでないということもおっしゃっていますが、報道によりますと、中曽根総理は、これは真剣に考えなくてはならないということも十五日付の新聞でも報道されています。先ほども大臣は耳をかさなくてはならないという意味のことも御答弁されていますが、まず外務大臣としてどういうふうに、受け取っておられるのか、最初にお聞きしたいと思います。
  96. 安倍晋太郎

    安倍国務大臣 アメリカの上院の外交委員会で日本あるいは西側諸国に対する防衛力の増強を求める決議が満場一致で採択をされた、この事実はわれわれは十分耳を傾けるといいますか、これを考えなければならない、こういうふうに思っております。  やはりその背景にはアメリカ国民国民感情というものも横たわっておると私は思うわけでございますが、しかし決議そのものは、先ほど申し上げましたように、アメリカ政府を拘束するわけではありませんし、この決議案の趣旨というものはあくまでもアメリカの議会の期待感であるとかあるいは関心の表明である、こういうふうに私は思っておるわけでございます。
  97. 中路雅弘

    ○中路委員 報道ですと、当初これの提案者の一人であるパーシー氏自身が、内政干渉と受け取られかねず、日米関係に好ましい影響はないと考えているということすら新聞で報道されているわけです。私は、この決議中身を見ればなおさら内政干渉、とんでもない要求が出ているということがよくわかるわけです。  一、二お聞きしますが、この決議の中で、日本の防衛力増強要求は日本の自衛のためではなくて――こう書いてありますね、極東における平和と安全を守る日本と米国の防衛部隊の共同の効果の強化のため、と言っていますが、大臣は、自衛隊の増強ということは極東の平和と安全に役立つということを是認されますか。
  98. 安倍晋太郎

    安倍国務大臣 もちろん日本の自衛力の増強というのは、日本の自衛のための増強でありますから、いわゆる専守防衛という立場に立った日本の防衛というのが根本義であることは間違いないわけでございますが、しかし、やはり日本の国は自分で守るということが結局極東の平和と安全に大きく寄与していくものである、こういうふうなことについては、私も同じような考え方を持っております。
  99. 中路雅弘

    ○中路委員 自衛隊の増強ということのここで言われている目的が極東の平和と安全に役立つ――直接の自衛隊の増強というのは認められないことだと思いますが、間接的にいろいろ影響もあるということをおっしゃいましたけれども、ここで言われているのは日本と米国の防衛部隊の共同の効果、自衛隊の増強が極東の平和と安全に役立つのだという表明ですね。これについては大臣、もう少し明確にしていただきたい。     〔竹内(黎)委員長代理退席、委員長着席〕
  100. 安倍晋太郎

    安倍国務大臣 日米間には御承知のように日米安保条約があるわけであります。日米安保条約日本の平和と安全のみならず、極東の平和と安全に寄与する、こういうことが日米安保条約基本でございます。そうした日米安保条約に基づいて日本の防衛というものもこれはあるわけであります。もちろんその根本は、あくまでも自衛力の増強というのは日本の防衛そのものがその根本であることは間違いありませんが、そうした安保条約の趣旨、あるいはまた日本の自衛力を強化するということは極東の安全にやはり役立っていくんだということについては、私は同じような考え方を持つわけであります。
  101. 中路雅弘

    ○中路委員 自衛隊の増強というのは、基本日本の防衛ということだということは大臣も言っておられるわけですが、ここではさらに、この共同の強化ということで、この自衛隊の増強の目的をその基本から外れるような、枠をはみ出すようなところまで述べているわけですね。さらにシーレーン防衛を含めて九〇年代までに整備しろという期限もつけているわけですが、他国にこうした期限つきで増強を要求する、こうした点については大臣、不当な中身だとお考えになりませんか。
  102. 安倍晋太郎

    安倍国務大臣 四項目にあります「これらの目標に対するコミットメントの確実なしるしとして、日本国は直ちにその年間防衛支出を、シーレーンを防衛するという一九八一年五月に総理大臣が宣明された政策を実行する能力を含め、自衛隊が効果的な通常戦力の自衛能力を一九九〇年までに充分に配備するのに必要なレベルにまで増加すべきであること。」こういうように書いてあります。  確かにおっしゃるように一九九〇年、期限を切ってということになっておるわけでありますが、しかしこれは、私は、議会のいわゆる日本に対する強い期待を表明したものであって、これがアメリカ政府を縛りあるいはまた日本政府を縛るものでは何らあり得ない、こういうふうに解釈するわけであります。
  103. 中路雅弘

    ○中路委員 他国に議会の決議で期限つきでその防衛力の増強を要求する、これ自身が大変私は不当な中身だと思うわけです。これはもう一度確認しておきたいのですが、経費の分担の問題で、米軍の空母、艦艇の維持、修繕費の分担まで要求している点については、先ほど現在の地位協定からもこれはできないという御答弁がありましたが、艦船、航空機の修理まで踏み込むということになれば、直接米軍の武器の調達の経費を負担するということになりますから、これは現在の地位協定でも当然こうしたことはできない問題でありますが、改めてこの点は外務大臣の口からも確認をもう一度しておきたいと思います。
  104. 安倍晋太郎

    安倍国務大臣 この中では、たとえばいまお話しのような艦船の補修及び解体修理のための負担まで日本に持てということでありますが、こんなことは地位協定でも改正をしなければできないことでありますし、いまわれわれはこの地位協定を改定しようということは全く考えておりません。アメリカ政府も同じことでございますから、決議がされたとしても直ちにこれが日本のこれからの在日米軍に対する姿勢を変えることにはならないし、また変えるものじゃ決してないというふうに思うわけです。
  105. 中路雅弘

    ○中路委員 中身について二、三例示して挙げましたけれども、いずれもいまの点についても、費用分担もこれはできないという問題ですね。中身は大変内政干渉に等しい、そしてまた、当然日米間のいまの協定でもできないものがこの決議の中に多く触れられている。この点では、私は単にアメリカ日本側への期待だということだけでは済まされない、やはり大臣としても物を申さなければならない問題ではないかと思うわけです。訪米の際に議会関係者に会って、こうした問題について明確に日本政府考えも述べる。私は、内政干渉に等しい中身でありますから、抗議をするというのが当然だと思いますが、いかがですか。
  106. 安倍晋太郎

    安倍国務大臣 中曽根総理訪米するに当たりまして、議会関係者との会談が予定をされております。その議会の関係者との話し合いの中でこういう問題が出てくれば、もちろんいま私が申し上げたような点を明快に説明をして、日本としては地位協定の枠内でしか行動できないということを率直に説明をすることはもちろんやぶさかではありませんし、当然求められればそれはしなければならぬことである、こういうように思っております。
  107. 中路雅弘

    ○中路委員 説明するだけじゃなくて、私はこうした問題については、他国について内政干渉に等しい中身であります。強く抗議をされることを、最後に改めて要請しておきたいと思います。  もう一点お聞きしておきますが、最近、大臣が就任された後の新聞の報道で、対韓経済協力問題について外務大臣は早期に解決したいというふうに述べておられるわけですが、これまで対韓経済協力の問題が解決しなかったのは、教科書問題に原因があるのじゃないわけですね。安保経協としての経済協力を求める、また、日本の経済協力の仕組みや制度を超えた要求をしてきた点に問題があると思うのですが、外相が早期に解決したいというのは、これまでの政府の対応を変えるということを前提に言っておられるのか、それとも日本側が韓国の言い分を認めた譲歩は一切しないと言い切れるのかどうか、この点と、続けてお尋ねしますが、もう一つは、最近は韓国側に財政事情などで経済社会五カ年計画の縮小などが伝えられておりますけれども、こうした点を踏まえて、日本側から年内あるいは年明けに何らかのアクションを起こす考えがあるのか、この対韓経済協力問題についてまとめてお考えをお聞きしたいと思います。
  108. 安倍晋太郎

    安倍国務大臣 韓国に対するいわゆる経済協力の案件につきましては、前内閣のときにいろいろと折衝がありまして、大体基本的には大分煮詰まってきた。しかし、もちろん大きな隔たりはあるわけですが、煮詰まってきた状況にあったわけです。そういうところに教科書問題が起こってそのままになってきたわけでございますが、教科書問題も政府間のレベルで一応決着を見たわけであります。そうしてわれわれは、何としても隣の国の韓国との間を修復しなければならぬ、そういう意欲を持っておるわけでございます。そういう立場から、この経済協力の問題は前内閣より引き継いだ懸案の一つとして、私もできれば早期に解決をしたいという気持ちを持っておるわけでございますが、いまどちらの側からそれじゃこれを持ち出すかといったような状況にはなっておりません。
  109. 中路雅弘

    ○中路委員 あと五分くらいですから、きょうは三つの協定の問題ですからこれについて一、二点。  すでに十六日に論議をされていますから関連して御質問したいのですが、新しい日米漁業協定、これは現行の一九七七年協定に比べても私は大変な改悪だと思うわけです。漁獲の割り当ての際の条件としている協定第五条「合衆国の法律で定められた諸要素をその決定の基礎とする。」という点について、この「合衆国の法律」というのは何ら特定されていない。将来改正される漁業関係法もその中に入るというのが十六日の答弁の中でもありました。いま現実にアメリカでブロー法案等は議会にかかっているわけですし、この法案の中では、この法案の説明の際に、二百海里以内資源は本来的に米国の資源であって、たとえ余剰資源があっても外国に与える義務はないということを述べているわけですが、こうした余剰資源があっても外国に与える義務はないという趣旨の主張あるいはそうした法案は、海洋法の条約草案、基本的な考え方ですね、これとは合致しないということも先日の論議で条約局の都甲参事官が述べられているところです。こうした日米漁業協定について、大臣の評価、お考えはいかがですか。
  110. 安倍晋太郎

    安倍国務大臣 この日米漁業協定につきましては、これが交渉を行うに際しまして、政府としましては、明年以降も現行協定のもとにおけると同様、米国の地先沖合いにおけるわが国漁船の操業が安定的に、かつできる限りわが国の実績を反映した形で継続することを確保するとの立場に立って交渉に臨んだわけでありますが、特にわが国が米国地先沖合いにおける魚類等の開発利用、これら魚類等の合理的な管理、保存のための科学調査、これら魚類等の洋上買い付け等の対米漁業協力を従来から行ってきておりまして、また米国地先沖合いにおいて伝統的に漁業実績を有しておりまして、他の入漁国には見られない特殊かつ伝統的な漁業関係を米国との間で有していることを政府は強調いたしたわけであります。  内容につきましては、基本的には現行協定を踏襲しつつも、米国の水産業の発展を意図した米国漁業保存管理法が修正されたことによりまして、現行協定に比し規定ぶりが厳しくなった条項もあるわけです。しかしながら、合意議事録におきましては、日米間の特殊かつ伝統的な漁業関係を反映した規定を盛り込み、わが国国民及び漁船の安定的操業の維持につき措置した結果、本協定と合意議事録を一体として見れば、最近米国と新協定締結をした諸外国に比しましてわが国はむしろ有利な操業条件を確保し得たと考えております。  政府としましては、米国の漁業政策を踏まえつつ、今後とも米側との間で緊密な漁業関係の維持に努め、わが国国民及び漁船が安定的に操業を行い得るよう積極的に努力をしていきたいと考えております。
  111. 中路雅弘

    ○中路委員 いま現実に議会にかかっているブロー法案等の中身を見ても、これは五条との関係で大変心配があるわけですね。また、アメリカは二百海里以内から外国漁船締め出しの方向も非常に強まっている中ですから、この問題について、やはり訪米されるわけですから、こうした動きについては日本側としてはっきりした主張をすべきだと私は思いますが、いかがですか。
  112. 安倍晋太郎

    安倍国務大臣 今回の協定が円満なうちに、わが国の主張も取り入れられた中で決着をいたしたわけでございます。しかし、これからの日米間にはいろいろの問題も横たわっておりますし、将来を考えるとこれからむずかしい問題も出てくると思うわけでございます。特に鯨の問題等もあるわけでございます。しかし、これまでの日米間の伝統的な漁業に関する協力関係というものがあるわけですから、これを基礎に、私たちは、いろいろな問題はあったとしても、この協力を遵守するという中で進めてまいりたい、こういうふうに思っております。  今回の訪米でこの問題が出てくるというふうには思っておりません。これは一応解決したわけでございます。アメリカの議会でももう承認をされておるわけでございますから、一応決着をした、私はこういうふうに考えております。
  113. 中路雅弘

    ○中路委員 最後に一問だけ御質問して終わりたいと思いますが、これは日ソソ日漁業協定関連してですが、小笠原沖の試験操業について、全国の近海カツオ・マグロ漁の協会から強い反対の声が挙がっています。この海域は、日本では釣り漁をしてきたところで、そこへまき網を入れるということは資源保護の面でも非常に慎重な検討を加えなくてはならないと思うのですが、今回は試験操業ではありますが、日本のマグロ漁は不振で減船を余儀なくされている中でソ連のマグロ漁に口火を与えるということにもなって、将来の不安は大変大きいわけですが、政府はこの海域について今後もソ連側に開放していくのか、どのように対応していくのか、将来展望を含めて御答弁をいただいて、質問を終わりたいと思います。
  114. 松浦昭

    ○松浦政府委員 今次の日ソソ日の交渉におきまして、ソ連側は、わが国の水域におきまして十項目にわたる大幅な条件緩和を要求してまいったわけでございますが、私どもは、沿岸漁業に与える影響を考えまして、これにつきましては厳しい態度で応じたつもりでございます。しかしながら、対日クォータを大幅に削減するといったような状況から減船を余儀なくされるといった事態を何とか回避するということから、若干の点につきましての条件緩和を行って、その中の一つがただいま委員御指摘の点だったわけでございます。  この点につきましては私ども妥結をいたします前に十分に検討もいたしまして、一つは、このソ連漁船にマグロの漁業を認める海域につきましては、わが国のカツオ・マグロ漁業の当該水域に対する操業の依存度はきわめて小さいということも検討の対象といたしましたし、また同時に、当該水域の中におきまして比較的わが方が操業いたしております水域は注意深く除いております。それからまた、さらにソ連側のまき網船の性能等も十分考えまして、しかもこれは試験操業という形で二隻のみを認めるということで対応いたしましたので、この問題につきましては恐らく重大な影響は生じないものというふうに考えている次第でございます。
  115. 中路雅弘

    ○中路委員 終わります。
  116. 中山正暉

  117. 伊藤公介

    伊藤(公)委員 各議員からいろいろな質疑が行われまして、最近の日米関係が非常にむずかしくなっているということは私も同感でありますが、むずかしくなっているだけでなくて、日米関係はいまや異常な関係になっているというふうに言わざるを得ないのです。御指摘のありましたとおり、最近他国の防衛費を議会で、しかも全会一致で決めるとか、先ごろアメリカの中間選挙がありましたが、前の副大統領でありましたモンデール、この人の演説の内容が日本にも紹介をされたりいたしまして、アメリカの次の大統領候補とも言われているこういう人のアメリカの国内における演説をわれわれが原稿を見ますと、もう日本人というのは幾ら正規な外交交渉をしても余りよくわからない、少しハンマーか何かで頭をたたいて、もっと露骨な言い方で、アメリカの軍隊をもってしなければアメリカ製品を日本に陸揚げすることはできない、このままいくとアメリカ人はみんな日本人がつくったコンピューターのふき掃除人になっちゃうなんという、こういうような演説をしているという状況もあります。しかし私は、そういう中で日本アメリカとの正常な関係をきちっとした形で、しかも外交のきちっとした話し合い一つ一つ信頼を積み重ねていく必要が、こういうときこそあるのではないかというふうに思うわけであります。今度の中曽根内閣に対する国民の評価というものは、非常に不安だという人たちが半分なら、いままでさわらなかった部分にかなり踏み込んできた、こういうとらえ方をしている。いま国民中曽根内閣に対する評価は半々というところでありますが、その中曽根総理と全国を縦断して総裁選挙をやられた安倍外務大臣、いずれ日本のニューリーダーとしてひのき舞台に上がることもそう遠くない、こう言われているときに、中曽根内閣がいままで触れなかった部分に触れてきている。タブーとしていることをはっきり国民の前に出して議論をすることは私は悪いとは思いません。大いにやるべきだというふうに思いますが、しかし、そういう強い声の中で、あるいはアメリカからも非常に強い圧力がかかってきておる。貿易交渉でうまくいかなければ日本の防衛費を広げて、アメリカのいろいろな要求を突きつけている、そういう中でわれわれがたじたじとしていくということでは大変なところに踏み込むという危険があるわけでありまして、中曽根内閣の有力外務大臣安倍外務大臣として、こうしたいま抱えている重要な問題にしっかりとしたお考えを持って、将来の見通しをしながら決断をしていただきたいと思うわけであります。  きょうもいろいろお話がありましたが、武器輸出の三原則は堅持する、アメリカ日米安保条約と相互防衛援助協定によって特別な関係にある、当然軍事技術の交流は行われるべきだ、こういう方針を中曽根内閣は固められたと言われているわけであります。外務、通産、防衛の三省庁にその詰めを指示したと言われているわけでありますが、その指示された結果はともかくとして、外務大臣としてはどういうお考えを持っているかをひとつ伺いたいと思います。
  118. 安倍晋太郎

    安倍国務大臣 私は、いまお話がございましたように、日米関係というのは非常に大事である、こういうふうに思っておりますし、日本外交の基軸もやはり日米関係を強力に推進するということでなければならない、こういうふうに思います。  そういう観点からいまの日米関係を見ますと、基本的には安定しておりますが、しかし現象面でいろいろと問題が出ておることは事実であります。また、アメリカ国民日本に対する眼というものも非常に厳しくなっておる。むしろ反日的な感情すら渦巻いておる。これが議会の決議にもつながったのじゃないか、私はこういうふうに思うわけでございます。  そういうことを踏まえながらわれわれが不動の日米関係を確立していくためには、こうしたいろいろとわれわれの前に横たわっておる困難な問題に対しても勇気を持ってぶつかってこれの解決をしていくということでなければならない。そういう中で日本としてやはり言うことはきちっと言わなければならぬ。守ることはちゃんと守っていかなければならぬ。イエス、ノーというのははっきりしなければならぬ。これがまさに信頼の基盤を確立する一つの大きな基盤になってくる、私はそういうふうに思うわけでございます。そういう中で今回の日米首脳会談が行われるということは非常に意味の深いものである。どうしても成功に導かなければならぬ、こういうふうに思っております。  いまお話がございました日米軍事技術も懸案の一つであります。アメリカは強く日本に対して軍事技術供与を求めております。これはいままでアメリカは戦後一貫して日本に対して軍事技術を提供し、また、武器を提供してそして日本の防衛の強化に貢献をしてまいりました。そしていまや日本が自由世界第二の経済大国になって、そしていわゆる技術についても世界でまさにアメリカと肩を並べるあるいはそれ以上の力を持つようになってきた。そこでアメリカは、この際やはり日米安保条約もあることだし、われわれが武器武器技術を提供してきたのだから、この際こそ日本の優秀な武器技術を提供してほしい、こういう強い要請をしております。これはまたそれなりに筋の通った主張であると私は思うわけでありますが、しかし、それでは簡単にそれを受け入れられるかどうかといいますと、御承知のように、日本には三原則というものもあるわけです。ですから、こうした三原則との間のいわゆる調整といいますか整合性といいますか、そういうものもどうしても踏まえなければできないわけでございます。三原則を捨ててしまえば簡単かもしれませんけれども、そんなことはできない。そこで私たちは、いまの三原則というものを基本的に踏まえながら、同時にいまアメリカの要求しておるそうした武器技術に対する強い主張、さらに安保条約あるいはそれに伴う諸協定というものも念願に置きながらいま実は政府の部内で検討を進めておる。長い間かかってもなかなか結論が出ないわけですが、これはいろいろとむずかしい議論があるから出ないわけでありまして、簡単ならやれるわけですけれどもむずかしくて出ないわけで、そういう状況で、まだ結論に至ってないわけで、その段階で、いま外務大臣としての見解を申し上げるということは困難でございます。政府一体ですから、結論が出れば、これについては国会の方にも報告をいたしまして十分な議論をしていただきたい、こういうふうに考えるわけです。
  119. 伊藤公介

    伊藤(公)委員 限られた時間ですので一言だけ伺っておきたいのですが、三省庁にその指示をしている、これは予算委員会でも質問があったようですけれども、見通しとして、総理外務大臣訪米までには結論は出ない、こういう見通しでよろしいですか、それともそれまでに出そう、こういうことなのでしょうか。
  120. 安倍晋太郎

    安倍国務大臣 恐らくアメリカ政府としては今回の訪米決着をつけたい、こういう気持ちははっきり持っておると思います。また私も、日米関係のことを考えますと、いままでこんなに長くかかってきたわけですから、それで、結論を出す出すといいながら今日まで来ておるわけですから、少なくとも外務大臣としての立場からすれば、何とか訪米ぐらいまでには間に合うように結論を出してもらいたい、こういう気持ちは十分持っておりますけれども、何分にもむずかしい問題でありますし、各省庁の意見が一致しなければならぬ、そういうことでございますので、気持ちとしてはそういう気持ちを持っておりますが、しかし、それでは訪米までに必ず決着するということになりますと、そこまでははっきり言えないということでありまして、いずれにしても早く結論だけは出さなければならぬ、こういうふうに思います。
  121. 伊藤公介

    伊藤(公)委員 できるだけ早い結論をということでありますから、訪米前に結論が出て、その結論を持っていかれるのじゃないかというような感じをどうも私は受けたわけでありますが、そうすると、ちょっと原則的なことをもう一問だけ伺っておかなければならないわけであります。  かつて昭和四十二年、五十一年の佐藤、三木内閣のときの時の首相の答弁議事録を持ってまいりました。それも御紹介している時間がありませんが、そういうことを踏まえて、三原則一つであります紛争当事国への輸出禁止に関連して、アメリカが紛争当事国になった場合に、アメリカは特別の国だということになるのか。これは非常に基本的なことでありますから、基本的にいまどういう方針をもって三省庁に指示をしているのか、アメリカは特別な国だから紛争の有無にかかわらず軍事技術輸出はできる、こういうことなのか、基本的なことを伺っておきたい。
  122. 安倍晋太郎

    安倍国務大臣 まさにその辺のところが一番議論の集中するところであろうと思います。そこでなかなか結論が出ないということだろうと思いますが、基本的には三原則を守ると、同時にまた、これは土井委員にもしばしばお答えしたわけですが、繰り返すようですけれども、安保条約というものもあるわけですから、そしてアメリカからも強い要請がある、日米関係を強固なものにしていかなければならない、こういうことも踏まえながらいままさに結論を急いでおるということでございまして、外務大臣としての見解をここではっきり申し上げるということは、せっかく各関係官庁で急いでおるわけですから、差し控えさせていただきたいと思います。
  123. 伊藤公介

    伊藤(公)委員 時間が来ましたので、いろいろ御予定があるようですから終わりますが、関係各省庁に指示をする。しかし、役人さんに任せる――日本の国を守るとか、いままでの歴代の内閣とは違ったことをいままさにやるかもしれないという非常に大事な部分ですから、皆さんからいろいろな話を聞くのは結構ですけれども、国民を背景にしてやっておる政治家の皆さんが、まして大臣、政府がみずからの考えを持って、おれはこう思うけれども皆さんどうだ、こういうことだと思うのですよ。いろいろな意見を聞いて、やはりそうかということになるので、大臣もそういうしっかりした考えを持って御指示をいただきたいと思います。  質問を終わります。
  124. 安倍晋太郎

    安倍国務大臣 何とか武器技術アメリカ供与できる道はないものか、こういうことで検討が始められていることは事実でありますが、条約解釈とか法律解釈あるいはまた三原則、そういうものもあるわけですから、そういう中で、これに対していま難解な法律論、条約論等がありまして、結論はなかなか出ないということでありますが、最終的には、これはもちろん大きな政治の問題でございますので、政府の責任において結論を出さなければならない、こういうことであります。
  125. 中山正暉

    中山委員長 これにて各件に対する質疑は終了いたしました。     ─────────────
  126. 中山正暉

    中山委員長 これより各件に対する討論に入るのでありますが、別に討論の申し出もありませんので、順次採決いたします。  まず、アメリカ合衆国地先沖合における漁業に関する日本国政府アメリカ合衆国政府との間の協定締結について承認を求めるの件について採決いたします。  本件は承認すべきものと決するに賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  127. 中山正暉

    中山委員長 起立総員。よって、本件は承認すべきものと決しました。  次に、北西太平洋ソヴィエト社会主義共和国連邦地先沖合における千九百七十七年の漁業に関する日本国政府ソヴィエト社会主義共和国連邦政府との間の協定有効期間延長に関する議定書締結について承認を求めるの件について採決いたします。  本件は承認すべきものと決するに賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  128. 中山正暉

    中山委員長 起立総員。よって、本件は承認すべきものと決しました。  次に、日本国地先沖合における千九百七十七年の漁業に関する日本国政府ソヴィエト社会主義共和国連邦政府との間の協定有効期間延長に関する議定書締結について承認を求めるの件について採決いたします。  本件は承認すべきものと決するに賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  129. 中山正暉

    中山委員長 起立総員。よって、本件は承認すべきものと決しました。  お諮りいたします。  ただいま議決いたしました各件に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  130. 中山正暉

    中山委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     ─────────────     〔報告書は附録に掲載〕     ─────────────
  131. 中山正暉

    中山委員長 次回は、来る二十日月曜日午前十時理事会、午前十時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午前十一時二十四分散会