○松尾官平君 去る五月二十一日、東北新幹線盛岡以北北海道新幹線及び青函トンネル建設促進三道県大会、東北新幹線盛岡以北建設促進緊急大会が東京で開かれました。遠路はるばる上京した北海道、岩手県、青森県の
関係者であふれんばかりの会場に入った私は、その熱気にあてられまして目頭が熱くなりました。国務多忙な中から駆けつけてくださった箕輪郵政
大臣もきっと同じ思いだったろうと思うわけであります。北東北、北海道地域住民の最大の関心事である整備新幹線問題について、国鉄経営再建との絡みで臨調と
中央筋に心配される動きが見られたから企画された大会であるために、皆さんの目つきは真剣そのものでございました。
特に、東北新幹線盛岡以北については、候補ルート、駅位置の公表、さらに環境影響評価のための
調査が進められるなど、着工への期待を大きくしていたやさきであり、地域住民の戸惑いは非常に大きなものであったために、新幹線を切望する地域の実情をさらに
関係筋に訴えて地域住民の悲願について御理解を得、新幹線盛岡以北の建設を一日も早く実現してもらうための大会が開かれたのであります。
新幹線が欲しい、国土を縦貫した骨格となる新幹線を建設してほしいという北東北、北海道地域八百万住民の願いは決して筒望みではないはずであります。地域住民が
国民としてひとしく繁栄していくための当然の要望であります。また、国の施策に呼応し、現実に諸開発計画を推進している
関係者の皆さんは、新幹線がないことによる障害がいかに大きいかということを肌で感じているからこそ必死の陳情を続けているのであります。国の行財政改革問題、厳しい国鉄再建問題等整備新幹線を取り巻く情勢が厳しいことは十分理解しているつもりであります。しかし、いかに行財政改革といえ
ども将来へ向けての地域住民の切実な願望を決して摘み取るものであってはならないと考えるわけであります。
すでに盛岡までは新幹線が開通しました。また、世紀の大事業と言われる青函トンネルの供用開始も
昭和六十年度というタイムスケジュールに完全にのっております。これらはすべて北上する国土縦貫新幹線を前提に進められてきたものと認識しており、地元
関係機関により新幹線の受け入れ体制や工事施行に当たっての協力体制も着々と整備されつつあります。山陽新幹線はすでに九州に上陸しております。新幹線が北海道に上陸し、
日本の国土が均衡ある
発展を遂げるため、さしあたり東北新幹線盛岡以北の起工式が盛岡までの開通式に引き続いて行われるべきであろうと考えられるわけであります。
総理は、就任以来まる二年たったのにいまだお国入りをしていないと伺っております。あなたの手によってつくり出した新幹線に乗って、この際、お国入りを計画されたらまことに意義深いものになろうかと思いますが、いかがでございますか。日程が決まれば、われわれは盛岡以北の起工式の準備をしてお待ち申し上げたいと思っております。
盛岡までの開通は約六年、計画からおくれました。盛岡以北は五十一年着工が予定されたわけですから、ことし盛岡以北の着工をすればちょうど六年おくれで、
総理も見通しを誤らなかったことになるわけであります。財政問題を云々するかもしれません。しかし、われわれの願いはたくさんの
予算を要求しているわけではありません。ことしは、着工式、起工式を挙げていただけるだけで結構なんです。われわれにも夢を持たせていただきたい。同じ東北人、まして隣県人の
総理にわれわれの悲願を御理解願えないはずはございません。
「雪が降る」という言葉を聞いて東京の方々は、あるいは俳句の季語としてあるいは雪見酒を思い出すかもしれません。若い方はスキーを考えるでしょう。しかし、われわれにとっては、雪というのは雪魔でもあるわけであります。東京の方方は、東北新幹線が盛岡まで開通したといっても大した感慨を持たないでしょう。しかし、われわれにとってはまさに二十一世紀の到来と言うべき夢の実現の
一つなのであります。
昭和五十二年に打ち出された定住圏構想はどこへ行ったのでしょうか。
昭和五十三年に大平前
総理の打ち出した田園都市構想はどこへ行ったのでしょうか。私は、常に一枚のメモを手帳に挟んで、自分の心に決めた自戒の糧としております。
昭和五十五年度、県民一人当たりの
所得を見ますと、青森県は四十四位、岩手県は四十五位、鹿児島県は四十六位です。沖繩の四十七位は一応失礼でございますが別扱いとしていただければ、ビリから数えれば鹿児島、岩手、青森と、こういくわけです。今度新幹線が通れば、岩手は青森を必ず追い越して上位へいくでありましょう。私は、
国会へ出るに、この県民一人当たりの
所得を何としても全国平均に近づけなければならないと思って実は出てきているのです。なぜ鹿児島や青森が県民一人当たりの
所得がこういう常に最下位ランクにいるのか、理由は簡単であります。東京から一番遠い地域にあるということなんです。しからば、北海道はどうかとお尋ねがあるかもしれませんが、北海道には開発庁というものがございます。人間一人当たりの公共投資は、北海道は青森県の二倍であります。そういうことを考えますと、やはり何といっても東京から一番遠い地域にあるところが県民の
所得が少ないのだということをはっきり立証できると思うわけであります。東京からの時間、距離を短縮すること、これを解決する道はただ
一つ、新幹線をたった約百七十キロ延伸するだけですべて解決すると言っても過言ではありますまい。
総理、御理解ある
答弁をいま一度心からお願い申し上げます。