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国務大臣(
渡辺美智雄君) 御承知のように
国民生活を守るために
予算を組むわけでございます。したがいまして、まずわれわれはどうしても必要な
予算は確保しなければならない。しかしどこまで、どうしても必要なのか。ただ、いままではまだ高度経済成長時代の惰性で
政府に依存をする、
政府の方は長い間高度経済成長が続いて、減税してもまた自然増収、また自然増収という長い時代がございました。そのためにかなり
政府が負担をするというようなものが多くなっておることも事実でございます。しかしこういう制度をそのまま持続をするのか、それともそういうような高度成長期じゃなくて世界全体が第二次石油ショック後はむしろ低成長時代に入るというのは世界全体の認識ですね。したがってそういうような中長期的に見てもなかなか高度成長というものはこれだけ水準が高くなっちゃうとむずかしい、特殊な新技術とか新発明でも行われれば別だが、ということになれば、その時代に即応したやはり
政府依存度というものをしなきゃならぬじゃないかということになると、私はかなり発想の転換をここで行わなければならない。その
一つのあらわれが私は臨調の発想だと思うのです。臨調の
答申によっていままでの考え方と変わった考え方で
行政にメスを入れていこうということでございますから、そういうようなものの意見を聞きながら発想の転換を図る、それでもう切れるものはどんどん切っていく、極端な話が。しかしそれは困る、もっと残しておかにゃ困るということになれば、じゃ負担をどうするんでしょうかと、負担を。歳出がどうしても必要ならばその負担はだれかがしなきゃならぬわけですから、だれがするのかという問題が
一つございます。そのときに臨時的にそれじゃ借金だということの負担もあるでしょう。しかしその借金はいつ、だれが返すんだという議論がその次、当然出てまいります。そういうものの兼ね合いの問題でございますから、一概に断定的にいまどうだと決めることはなかなかできない。できないけれ
ども、まずわれわれがやらなければならないことは歳出を抑制してもっと節減、合理化を図れというのは
国民大多数の声だとわれわれは認識しているわけです。したがってそういうときに当たって別に財源を、大型増税というようなものをそろえちゃって、することになればそんな必要はないじゃないか、増税ができるのなら何で歳出切るんだと。切られる人にとっては月給の値下げぐらい、これはやっぱりつらいことですから、いままでもらっているものが少なくなる、だれかがもらっているわけですから、何らかの恩恵を。ですから大変なことではある。あるけれ
ども、まずそれをやってみようと、その上において不足分があれば、それは不公正の是正とかどうとかという話も出ているわけですから、いまの時代になればこんなのはもう免税制度とかなんとかはやめたらいいじゃないかという声もこれは出てきますわね。ということになれば、もう一切の税目は手をつけないのだと言われましても、それは困る。財政当局としては困る話でございますから、少なくとも不公正の是正とか、いまどきはそれはもう減税対象から外したらいいじゃないかと、もっと切られて困っている人もあるんだということなら、やっぱりそれは増税ということになるのかどうか。私はやっぱり是正は是正で、それはそういう税制までもいじっちゃいかぬというのが臨調
答申であるとは私は思っておりません。