○国務大臣(原文兵衛君)
お答えいたします。
昨年の九月七日に発表されましたいま御指摘のFS案、これにつきましては、前
長官はこれではいわゆる国定公園の景観を非常に害するので、代案を持ってこいと言われたわけでございまして、志布志地区に絶対に認められないと、こう言ったわけではございません。まずそのことを申し上げておきたいと思います。
それから、前
長官時代と私になってからいまの時代と、自然公園あるいは国定公園等に対する環境庁の方針なり姿勢が変わったかというと、これも全く変わっておりません。われわれはあくまでも自然を守り、また国定公園、国立公園というような大事な、破壊されたらなかなか元へ戻らないようなものを大事にしていかなければならないという点におきましても、何ら変わっておるわけではございません。
九月七日のFS案の発表以来、鹿児島県と環境庁の事務当局の間で何回もこの問題につきましていろいろと折衝を重ねてきたわけでございます。そうして、環境庁といたしましては、国定公園の解除につながらないこと、それから景観を台なしにするようなそういう大きな景観に著しい影響を与えるようなものはいけない、この二本を基本といたしましていろいろと折衝を重ねてきまして、そうして、最後に出てきました代案が、最初のFS案は浜辺から二百メートル沖に出したところに出島式でもって基地をつくるという案でございましたが、鯨岡
長官のときもこれは非常に景観に与える影響が多過ぎるというので代案を持ってこいと言ったわけですが、最後に出てきた代案は、浜辺から五百メートル沖に出す、面積を縮小する、それから鹿児島の志布志湾というのは北から南の方にずっと湾曲している浜辺でございますが、南の方に六百メートル寄せるというような代案でございまして、まあそれが出てくるまでには長い間いろいろと折衝したわけでございますが、これならば、まあ確かに何かつくれば景観に影響を与えることはゼロということはございませんけれ
ども、まあまあぎりぎりのところ景観を台なしにするようなことはないし、もちろんのこと国定公園の解除にはつながらないということで、これならばこの位置においてアセスメントをやってもいいじゃないかというようなことの意味でもって私が検討に値すると、こう申し上げたわけでございます。
これだけ五百メートル出しますと白砂青松は守られると私
どもは考えておりますし、また景観の方も確かに影響なしではございませんけれ
ども、台なしにするような影響じゃない。それから出島には、この周りに百メートルの築堤をいたしましてそこに植栽をする。まあ植栽も仕方でございますが、その植栽によってタンクが海岸等から見ても見えない、一つの島みたいに見えるというような観点から、専門家も何回も現地に行きまして、まあこういうことでいいんじゃないかという結論に達したわけでございます。
ただ、私は鹿児島県知事に、これなら検討に値すると申し上げましたときにも、もうしかしこれがぎりぎりでもってこれ以上のことは認められませんぞと、もちろんこれ以上というのは浜辺、白浜、それから松原、いわゆる白砂青松にさらに埋め立てをするなんてことはもちろんでございますが、その浜辺の前面の海面におきましてももうこれがぎりぎりの線でこれ以上のものは認められぬというような意味でここでもってアセスメントをやる。まあアセスメントをやれば私
どもにはもちろん関係するわけで、そのアセスメントを十分チェックをして潮流なりあるいは景観なりでも、もしそのアセスメントの結果、いまの築堤、植栽におきましても不十分でタンクが見えるというようなことであれば、それについてまたチェックをしてこちらから注文をつけるというようなこと等があるわけでございます。
そういうような意味で検討に値すると申し上げたわけでございまして、自然を保護する、そういう方針なりあるいは姿勢というものは変わりません。御承知のように、ここは国定公園地区でございまして、国定公園というのは県知事の管理に属し、しかもこの海面はここの場合には普通地域になっております。普通地域につきましては県知事に対する届け出だけで済むということでございますが、しかし、私
どもはやはり景観に影響するということでわれわれとしても重大な関心を持っていままでやってきたわけでございます。そういう
法律上のこともございますが、いま申し上げましたような観点からこれ以上のものを認められないということをはっきり申し上げて検討に値すると、こう述べたわけで、方針が変わったわけではないということを御理解いただきたいと思います。