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1982-04-03 第96回国会 参議院 予算委員会 第19号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十七年四月三日(土曜日)    午前十一時二分開会     ―――――――――――――    委員の異動  三月三十一日     辞任         補欠選任     大河原太一郎君     木村 睦男君  四月一日     辞任         補欠選任      鈴木 和美君     志苫  裕君  四月二日     辞任         補欠選任      市川 正一君     立木  洋君     ―――――――――――――   出席者は左のとおり。     委員長         植木 光教君     理 事                 井上 吉夫君                 岩崎 純三君                 土屋 義彦君                 松尾 官平君                 竹田 四郎君                 矢田部 理君                 田代富士男君                 沓脱タケ子君                 柳澤 錬造君     委 員                 岩動 道行君                 板垣  正君                 岩上 二郎君                 亀長 友義君                 木村 睦男君                 藏内 修治君                 源田  実君                 下条進一郎君                 関口 恵造君                 田代由紀男君                 田中 正巳君                 谷川 寛三君                 藤井 孝男君                 堀江 正夫君                 宮田  輝君                 八木 一郎君                 山埼 竜男君                 片岡 勝治君                 片山 甚市君                 寺田 熊雄君                 丸谷 金保君                 安恒 良一君                 山田  譲君                 大川 清幸君                 太田 淳夫君                 中野 鉄造君                 三木 忠雄君                 立木  洋君                 田渕 哲也君                 野末 陳平君                 青島 幸男君    国務大臣        内閣総理大臣   鈴木 善幸君        法 務 大 臣  坂田 道太君        外 務 大 臣  櫻内 義雄君        大 蔵 大 臣  渡辺美智雄君        文 部 大 臣  小川 平二君        厚 生 大 臣  森下 元晴君        農林水産大臣   田澤 吉郎君        通商産業大臣   安倍晋太郎君        運 輸 大 臣  小坂徳三郎君        郵 政 大 臣  箕輪  登君        労 働 大 臣  初村滝一郎君        建 設 大 臣  始関 伊平君        自 治 大 臣        国 務 大 臣        (国家公安委員        会委員長)    世耕 政隆君        国 務 大 臣        (内閣官房長        官)       宮澤 喜一君        国 務 大 臣        (総理府総務長        官)        (沖縄開発庁長        官)       田邉 國男君        国 務 大 臣        (行政管理庁長        官)       中曽根康弘君        国 務 大 臣        (北海道開発庁        長官)        (国土庁長官)  松野 幸泰君        国 務 大 臣        (防衛庁長官)  伊藤宗一郎君        国 務 大 臣        (経済企画庁長        官)       河本 敏夫君        国 務 大 臣        (科学技術庁長        官)       中川 一郎君        国 務 大 臣        (環境庁長官)  原 文兵衛君    政府委員        内閣官房長官  池田 行彦君        内閣法制局長官  角田禮次郎君        内閣法制局第一        部長       味村  治君        総理府恩給局長  島村 史郎君        青少年対策本部        次長       浦山 太郎君        公正取引委員会        委員長      橋口  收君        公正取引委員会        事務局取引部長  相場 照美君        警察庁刑事局保        安部長      谷口 守正君        行政管理庁行政        管理局長     佐倉  尚君        行政管理庁行政        監察局長     中  庄二君        防衛庁防衛局長  塩田  章君        防衛庁経理局長  矢崎 新二君        防衛庁装備局長  和田  裕君        防衛施設庁施設        部長       伊藤 参午君        経済企画庁調整        局長       井川  博君        経済企画庁調査        局長       田中誠一郎君        環境庁自然保護        局長       正田 泰央君        国土庁長官官房        長        福島 量一君        国土庁長官官房        会計課長     中村 博英君        国土庁土地局長  小笠原正男君        国土庁地方振興        局長       柴田 啓次君        法務省民事局長  中島 一郎君        法務省矯正局長  鈴木 義男君        法務省入国管理        局長       大鷹  弘君        外務大臣官房審        議官       藤井 宏昭君        外務大臣官房審        議官       松田 慶文君        外務省欧亜局長  加藤 吉弥君        外務省経済局長  深田  宏君        外務省経済局次        長        妹尾 正毅君        外務省条約局長  栗山 尚一君        外務省国際連合        局長       門田 省三君        大蔵政務次官   増岡 康治君        大蔵大臣官房審        議官       水野  繁君        大蔵省主計局長  松下 康雄君        大蔵省主税局長  福田 幸弘君        大蔵省国際金融        局次長      大場 智満君        国税庁調査査察        部長       岸田 俊輔君        文部大臣官房審        議官       宮野 禮一君        文部省初等中等        教育局長     三角 哲生君        文部省大学局長  宮地 貫一君        文部省学術国際        局長       松浦泰次郎君        文部省社会教育        局長       別府  哲君        厚生省環境衛生        局長       榊  孝悌君        厚生省薬務局長  持永 和見君        厚生省年金局長  山口新一郎君        厚生省援護局長  北村 和男君        農林水産大臣官        房長       角道 謙一君        農林水産省経済        局長       佐野 宏哉君        農林水産省構造        改善局長     森実 孝郎君        林野庁長官    秋山 智英君        通商産業省通商        政策局長     若杉 和夫君        通商産業省通商        政策局次長    黒田  真君        通商産業省貿易        局長       中澤 忠義君        資源エネルギー        庁長官      小松 国男君        資源エネルギー        庁石油部長    野々内 隆君        中小企業庁次長  木下 博生君        中小企業庁計画        部長       杉山  弘君        運輸省港湾局長  松本 輝壽君        運輸省航空局長  松井 和治君        郵政大臣官房経        理部長      奥山 雄材君        郵政省貯金局長  鴨 光一郎君        建設大臣官房長  丸山 良仁君        建設省住宅局長  豊蔵  一君        自治省行政局公        務員部長     大嶋  孝君        自治省行政局選        挙部長      大林 勝臣君        自治省税務局長  関根 則之君    事務局側        事 務 総 長  指宿 清秀君        常任委員会専門        員        道正  友君    参考人        石油公団総裁   和田 敏信君        石油公団理事   松村 克之君     ―――――――――――――   本日の会議に付した案件 ○委嘱審査報告書に関する件 ○参考人出席要求に関する件 ○昭和五十七年度一般会計予算内閣提出衆議  院送付) ○昭和五十七年度特別会計予算内閣提出衆議  院送付) ○昭和五十七年度政府関係機関予算内閣提出、  衆議院送付)     ―――――――――――――
  2. 植木光教

    委員長植木光教君) 予算委員会を開会いたします。  昭和五十七年度一般会計予算昭和五十七年度特別会計予算昭和五十七年度政府関係機関予算、以上三案を一括して議題といたします。
  3. 植木光教

    委員長植木光教君) この際、お諮りいたします。  本委員会は、昭和五十七年度一般会計予算外二案につきまして、内閣委員会外十五委員会にその審査を委嘱いたしておりました。  各委員長からの審査概要報告書につきましては、これを本日の会議録の末尾に掲載することにいたしたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 植木光教

    委員長植木光教君) 御異議ないと認め、さよう取り計らいます。  なお、このほか、報告書は別途印刷して委員の皆様に配付することといたします。     ―――――――――――――
  5. 植木光教

    委員長植木光教君) 次に、締めくくり総括質疑に関する理事会における協議決定事項について御報告いたします。  質疑時間割り当ては二日間分とすること、質疑時間総計は百九十三分とし、各会派への割り当ては、日本社会党八十七分、公明党・国民会議四十八分、日本共産党及び民社党・国民連合それぞれ十九分、新政クラブ及び第二院クラブそれぞれ十分とすること、質疑順位及び質疑者等についてはお手元の質疑通告表のとおりとすること、以上でございます。  右、理事会決定どおり取り運ぶことに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 植木光教

    委員長植木光教君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ―――――――――――――
  7. 植木光教

    委員長植木光教君) 次に、参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  昭和五十七年度総予算案審査のため、本日の委員会石油公団総裁和田敏信吾及び同理事松村克之君を参考人として出席を求めることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  8. 植木光教

    委員長植木光教君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  なお、出席時刻等につきましては委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  9. 植木光教

    委員長植木光教君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ―――――――――――――
  10. 植木光教

    委員長植木光教君) それでは、これより竹田四郎君の締めくくり総括質疑を行います。竹田君。
  11. 竹田四郎

    竹田四郎君 私は過日、委員長に、政府の方が暫定予算を出したらどうだろうかということを実は申し上げたわけでありますけれども、非常に日にちがないということで、そのままに実はなっているわけでありますけれども、きょうはもう年度が変わりまして三日目ということであります。しかし、残念ではありますけれども、今日五十七年度の予算成立をしていないわけでありますから、したがいまして、政府に対して国会はまだ歳出権限といいますか、こういうものを与えていない、こういうことであろうかと思いますが、しかし、たとえば刑務所から出所をしている人は恐らく、きょうを含めて三日間、おられるだろうと、こういうふうに思うわけでありますが、法務省にお伺いいたしますけれども、この一日、二日にわたって全国刑務所から出所した人は一体何人いるのか、そして監獄法施行規則の第七十五条一項に基づいて、作業員与金は釈放の際これを支給することになっているけれども、それは一体幾ら払ったのか、明らかにしてほしいと思います。
  12. 鈴木義男

    政府委員鈴木義男君) お答え申し上げます  四月一日、二日及び本日三日、これはまだ三日は予定でございますが、この間に行刑施設から出所した受刑者の数は、まだ全部を把握いたしておりませんが、施設全国に七十四庁、これは本省だけでございますが、そのほかに支所が百十五片ございまして、全体をまだ把握いたしておりませんが、現在までに把握いたしました八庁、すなわち東京拘置所府中刑務所等から出ました受刑者の数は四十九人でございまして、これに対して支払いました作業員与金の額は百万一千百九十三円でございます。四十九人で百万一千余円ということになっております。なお、昭和五十六年度の予算額を基準にいたしまして、単純に三日分という。ものを算出いたしますと、大体七百八十万円ぐらいになる計算でございます。
  13. 竹田四郎

    竹田四郎君 それは、どういう勘定科目から、何年度の予算からそのいまの百万というお金は出しましたか。
  14. 鈴木義男

    政府委員鈴木義男君) この作業員与金は、受刑者出所いたします際に払わなければならないお金でございますが、予算成立いたしておりませんので、公金から支出するということが不可能でございます。したがいまして、どうしても払わなければならない費目であり、かつ予算から支出ができませんので、私金をもって立てかえ払いをいたしております。私のお金も、大体は刑務所のそれぞれの施設の職員で組織しております互助会にあるお金を使うというのが普通の行き方でございます。
  15. 竹田四郎

    竹田四郎君 そういう私金でもってこういう刑務所からの出所者に作業員与金を払うというのは、これは国で払ったということになりますか。どうですか。
  16. 鈴木義男

    政府委員鈴木義男君) まだ国として、国のお金で払ったということではございませんが、義務でございますので、実質的には国が払ったことになると思いますが、会計的にはまだ国の金は出ていないわけでございます。
  17. 竹田四郎

    竹田四郎君 法制局長官、ちょっとおかしいと思うんですが、私は国で払ったということにならぬと思うのですね。予算成立してからならば、なるほど振替を直せば国で払ったということになりますけれども、どうなんでしょうか。
  18. 角田禮次郎

    政府委員角田禮次郎君) 大変むずかしい御質問お答えに窮しますが、正当な方法でないことは明らかだと思いますが、強いて法律的に説明すれば、国の債務を第三者が払ったと、こういう説明は一応できると思います。
  19. 竹田四郎

    竹田四郎君 郵政省にお聞きしますけれども、おととい、きのう、きょう、恐らく貯金利子支払いをなさったと思うんですが、全国で一体河口、幾らお支払いになりましたか。
  20. 鴨光一郎

    政府委員鴨光一郎君) 個々のお客様にお支払いいたします貯金につきましては、毎日正確な処理をし、記録をいたしておりますことは当然でございますけれども、いま御質問のございました郵便貯金払い戻し利子額、それから払い戻し件数の総体につきましては月を単位に集計をいたしております。したがいまして、日別には集計をいたしておりませんので、四月の一日から三日までの間の全国的に支払われた払い戻し利子額及び払い戻し件数につきましては、把握をいたしておりません。  それから人数につきましても、そういうことで件数による把握ということでございまして、人数について把握をいたしておりませんが、御参考までに、昭和五十六年の四月、この一月間、これは実績を把握をいたしておりまして、これから推計をいたしました三日間の払い戻し件数は約百九十五万件、払い戻し利子額、これも推計でございますが、約九億五千万円と、このような数字に相なります。
  21. 竹田四郎

    竹田四郎君 実際支払ったのですか、どうなんですか。いまのあなたのお答えの中に支払ったかどうかという話はないわけであります。月でまとめると言っているわけでありまして、この一日、二日、まあきょうの分は入れなくていいですが、支払ったかどうかということを聞いているんです。
  22. 鴨光一郎

    政府委員鴨光一郎君) 支払いをいたしております。
  23. 竹田四郎

    竹田四郎君 それは何年度の予算で、どういう会計から払われていて、その会計国会の承認を一受けておりますか。
  24. 奥山雄材

    政府委員奥山雄材君) お答え申し上げます。  郵便貯金利子につきましては、郵便貯金法に基づきまして締結されましたお客様とのいわゆる貯金契約に基づいて支払い債務が発生いたします。したがいまして、その貯金契約に基づく解約あるいは払い戻し請求がありました場合には、郵政省といたしましては利子を含めた払い戻しに応じなければなりません。ところが、予算成立していない段階におきましては、郵便貯金特別会計歳出でございます支払い利子予算がございません。ところが、郵政事業特別会計におきましては、会計法第二十条に繰りかえ払い規定がございまして、さらにそれを受けまして、予決令第五十六条第一項に「郵政大臣は、郵政官署出納官吏又は出納員をしてその取扱に係る歳入金歳出金及び歳入歳出外現金交互に繰り替え使用させることができる。」という根拠規定がございます。  この予決令根拠規定に基づきまして、郵政大臣は、郵便局出納官吏が保管しております現金を繰りかえ使用いたしまして、その中から支払い利子に充てるという考え方でございます。  こういう手続を講じまして、お客様にお支払いいたしました利子につきましては、後刻、郵便貯金特別会計歳出が可能になります予算成立を待って郵便事業特別会計に繰り入れて決済をすると、こういう仕組みになっております。
  25. 竹田四郎

    竹田四郎君 私も余り法律詳しくございませんけれども法制局長官、いまので間違いないですか、どうなんですか。
  26. 角田禮次郎

    政府委員角田禮次郎君) 私も余り技術的な細かいことがわかりませんが、一応予決令五十六条第一項、ただいま引用した規定には「歳入歳出外現金交互に繰り替え使用させることができる。」という規定がありますから、どうもそれで根拠があるような気がいたします。
  27. 竹田四郎

    竹田四郎君 法制局長官でも何かあんまり明快な御答弁というわけにはまいりませんので、私もほかの法律専門家に伺いましたけれども予算が通っていないときにこの支払いをすることは、明確に許されているというふうには必ずしも思えない、疑問があると。否定もしておりませんでしたけれども、疑問であると、こういうふうにおっしゃっていたわけでございますが、大蔵省に伺いますけれども大蔵省は四月六日の朝から恩給を支払わなくちゃならないということなんですが、これは法律に基づいて四月六日に払わなくちゃならないのか、あるいは何らかの規則に基づいて変えられる日にちであるのかどうなのか、あるいは生活保護費支給日が毎月五日以前になっているということでありますけれども、この五日以前に支払うということは、何か法律規定になっているのですか、どうなんですか。その辺をひとつ知らせていただきたいと思います。
  28. 松下康雄

    政府委員松下康雄君) ただいまの恩給支給日につきましては、法律ではございませんが、年金恩給支給規則というこれは省令がございまして、この省令規定によりまして六日に支払いを起こすということに決まっております。
  29. 竹田四郎

    竹田四郎君 そうしますと、これを六日から先へ延ばすことはその省令を変えなければできない、別に法律事項じゃないから省令さえ変えればできると、こういうふうに理解してよろしゅうございますか。
  30. 松下康雄

    政府委員松下康雄君) 制度上はおっしゃるとおりでございます。
  31. 竹田四郎

    竹田四郎君 大蔵省は、もしこの法律が、私ども憲法で保障されている期間というのは、四月の七日の十二時前ならば、私どもみずからの手でこの五十七年度予算可決なり否決なりすることができるんですけれども、もしこれが六日の日――七日の午前中に可決になった場合には、恩給支払いはどうしますか。
  32. 松下康雄

    政府委員松下康雄君) ただいま申し上げましたように、制度上は支払いの時期を繰り下げるような改正をすることは不可能ではございませんけれども、実際問題としてこれを考えますというと、やはり恩給によって生活を依存しておられるという多数の方々がおられるわけでございますから、私どもとしましては、やはりできる限り現在までの制度慣行であったこの六日支払いということを実行していくことが必要であろうと考える次第でございます。  六日中に仮に予算成立をいたしました場合に、仮にこの六日の日のまだ郵便局窓口が開いておる時間に恩給を仮に払ったといたしまして、その後の時間に予算成立をしたといたします場合に、それがどういうことになるかという点は、法律上若干の問題はございますけれども、私は、この六日中に受け取るということは、恩給受給者法律上の権利を行使をされたわけでございますから、これに対してともかく郵便局窓口で繰りかえ払いというような形でお支払いをする、それがその直後の、たとえば六日中に予算成立をするというような場合には、若干の時間の前後がございましても……
  33. 竹田四郎

    竹田四郎君 私は七日の午前中と言ったのです。
  34. 松下康雄

    政府委員松下康雄君) それは許されることではなかろうかと。七日までまいりますと、その点の疑問はかなり強くなるわけでございますけれども、私もいままで従来明快なそれに対する解釈というものはありませんように思いますが、恩給受給者のお立場というものを何とか優先して考えていくべきではなかろうかと、現在そのように思います。
  35. 竹田四郎

    竹田四郎君 大蔵省が予定しております六日の日の支払い恩給遺族年金、そうしたものは大体どのくらいの金額になりますか。
  36. 島村史郎

    政府委員島村史郎君) 恩給費について申し上げますと、ことしの一月から三月分は約四千二百億円でございます。
  37. 竹田四郎

    竹田四郎君 そうしますと主計局長、もし七日の午前中ぐらいまで予算の審議がどうしても延びた、成立が延びたという場合はどうしますか。まだわかりませんよ、これからだって。月曜日の日に成立するかどうか、現実にはわからぬですよ。どんな事件が起きてくるかわからぬですよ。七日の日になったらどうしますか。
  38. 松下康雄

    政府委員松下康雄君) 先ほども申し上げましたように、恩給受給者のお立場を配慮してこれは対処すべきものと考えてございますけれども、まだ七日まで延びるというふうに確定をしておる問題でもございませんし、私ども、現在の状態でこれに対して明確にこうすべきだという方針はまだ考えてございません。これから必要に応じましてその対応については考えてまいることになると存じます。
  39. 竹田四郎

    竹田四郎君 これはだれに聞いたらいいか、総理に聞いたらいいか、官房長官に聞いたらいいか、大蔵大臣に聞いたらいいかよくわかりませんけれども、大変これは心配ですね。支払いが四千億もあるんですね。恐らく郵便局窓口で支払うということになると思うんですが、場合によれば大変な混乱が起きかねないわけですね。そういうことは総理おわかりいただけますか。
  40. 松下康雄

    政府委員松下康雄君) したがいまして、六日の午前九時から支払いを求めて来られる恩給受給者の方々には御迷惑をかけないように処理をするということが最大の基本方針であるというふうに考えでございます。
  41. 竹田四郎

    竹田四郎君 それだから五日の日に予算を通せという圧力が初めてわれわれのところへかかってくるわけです。七日まで、われわれは三十日間という短い決められた日程にもかかわらず、こういう問題があるから五日に通せと。大蔵省が私のところに持ってきた書類も、「四月五日が限度である理由」というふうな書類がちゃんと来ているわけです。こういうあり方をまずはっきりさせておかなければならない、こういうふうになるわけでありますけれども。  生活保護費の分はどうしますか。これは、先ほど何か五日以前に払わなくちゃならぬということでありますが、国の方の負担分は十分の八に多分なっていると思うんですが、これは一体どういうことでやるのですか。
  42. 松下康雄

    政府委員松下康雄君) 生活保護費は、県が受給者に対しまして支給をいたします。それに対しまして、国庫がこれに対する補助を行っているわけでございます。したがいまして、生活保護費の支給につきましては、当面、都道府県にお願いをいたしまして地方公共団体において立てかえ払いをしていただきまして、その後予算成立をいたしました場合に、遅滞なく国からの交付金を支給をするという手続でこれまで対処をしてまいっております。
  43. 竹田四郎

    竹田四郎君 主計局長に聞きますけれども、この五十七年度の予算、これは五十六年度内に必ず成立するというふうに、衆議院から参議院に予算が渡ってきたときにそのように理解をなさっていたか、あるいは、成立は恐らく年度を越えるのではないだろうかと、こういうふうに理解されていたか、どっちですか。
  44. 松下康雄

    政府委員松下康雄君) 事柄は参議院の予算御審議に係りますので、私どもも、衆議院から参議院に予算が参りました段階でそれでは何日間ぐらいの御審議によって成立するかということをあらかじめ想定をするということは大変むずかしゅうございましたので、これが年度内どもあるいは年度を越すとも、いずれの判断をしたとも申しかねるわけでございますけれども、私ども予算原案を作成し御審議をいただいております立場からいたしますれば、従来の経緯も御考慮をいただきまして、できるだけ速やかな円滑な御審議をお願いするように、もっぱらそれをお願いをいたしたいという考えでございました。
  45. 竹田四郎

    竹田四郎君 大蔵大臣はどんなふうにお考えでございましたか。
  46. 渡辺美智雄

    ○国務大臣(渡辺美智雄君) 私といたしましても、いろいろな事情は参議院の皆さんがよく知っておられるわけでございますので、年度内に、またおくれたとしても支障のないように成立をさしていただけるものだと、こういうふうに信じ切っておるわけでございます。
  47. 竹田四郎

    竹田四郎君 恐らく、いままでの例を見ましても、三月三十一日までに予算成立するということはとうてい考えられなかったと思うんですよ、言葉の上では別ですけれども、腹の中では。  そこで事務総長、伺いますけれども、最近十年間で暫定予算のないままに年度を越えて参議院で予算成立した状況というのはどんなふうでございますか。
  48. 指宿清秀

    ○事務総長(指宿清秀君) お答えいたします。  最近の十年間で、年度内に総予算成立しませんで新しい年度を迎えたというのはどういう例があるかというお尋ねでございます。  まず、昨年でございますが、四月の二日に成立をいたしております。一昨年、五十五年は四日に成立をいたしております。その前の五十四年は四月三日でございます。五十三年は四日でございます。それから、五十年には四月の二日に成立をいたしております。  最近十年間の例は以上でございます。
  49. 竹田四郎

    竹田四郎君 暫定予算がないままで四月の五日に成立したという例はございますか。
  50. 指宿清秀

    ○事務総長(指宿清秀君) お答えいたします。  そういう例は存じておりません。
  51. 竹田四郎

    竹田四郎君 そうすると委員長植木光教予算委員長のときに初めて四から五に突出をしたと、こういうことに私はなると思うんです。それは私自体にも責任があると思います。暫定予算のないままで突出をしている。  そういう意味では、先ほどの法制局長官の御答弁のあったように、どうもちょっと問題があるという考え方の支出、まあ極端な言葉で言えば違法な支出、そういうものの日にちをもう一日延ばしたということです。  これは、暫定予算規定のある財政法、ちょっと読んでみてください。
  52. 松下康雄

    政府委員松下康雄君) 財政法の三十条でございます。第一項に、「内閣は、必要に応じて、一会計年度のうちの一定期間に係る暫定予算を作成し、これを国会に提出することができる。」とございます。
  53. 竹田四郎

    竹田四郎君 「必要に応じて、」というのです。が、必要に応じて、というのはこれはどういう内容を言うんですか。たとえばいろいろあると思いますね、いろいろな事情があると思うんですね。これは日にちも関係があるんじゃないですか、必要に応じて、というのは。暫定予算が組まれれば別ですよ。組まれない場合にはその日にち、基準というものが、何日からは暫定予算を組まなくちゃいかぬと、こういうものがあるんじゃないですか。そういう基準というものが、はっきりした基準がありますか。基準がないと、さっき言ったように省令ぐらいで支給期日をどんどん変えられるのですから、四日で、植木委員長のときに五日にして、それで今度は何か○○委員長のときに六日にして、○○委員長のときには七日にしてと、こういうふうな形でずっと延びていっちゃうのですね、それは。歯どめがないんです。この「必要に応じて、」の基準というものは、これはどこかでお決めになっているんでしょう。
  54. 松下康雄

    政府委員松下康雄君) 法律的に申し上げますれば、予算制度から言いまして予算がない状態というのは制度上前提としていないことでございますから、本予算成立する時期が新年度開始の後になる、予算の空白が避けられないということがあり、かつ、それが実は暫定予算を編成いたしますのにも相当の日数を要しますので、その編成、審議の日数を考えまして、ある時期において見通せるという段階になりますれば暫定予算を編成すべきものであろうと考えでございます。  ただ、現実問題といたしまして、その審議期間につきましての見通しを立てますことがむずかしゅうございますことと、それからやはり私ども立場といたしまして、できるだけ暫定予算による、つまり政策費とか何かを含まない形の予算による財政運営というのはできればない方がいい、なるべく短い方がいいという願望もございますことから、従来も摩擦的と申しましょうか、結果的に四月、新年度に入りましてから数日間本予算がなかった、暫定予算もなかったという事態もあったわけでございます。  ただ、これがいま御指摘のような、何日までならそれは許されるかという点につきましては、やはりそのときそのときのいろいろな国の支払いというものの実態も違いましょうし、また、本来全体としては制度的に予想されていない状態でございますから、何日までならよろしい、何日までから先は暫定でなければならないということを同数で申し上げることは困難と存じます。摩擦的に出てくるものでございますから、いままでの例でございますとか、そのときの現実の財政事情でございますとかを考えながら判断をしてまいってきたものだと存じております。
  55. 竹田四郎

    竹田四郎君 委員長、いまのような形だと、そのときの財政事情によって、現に四日は五日になりそうなんです。今度は五日は六日になるかもしれません、何ら歯どめがないのですから。こういう形で予算の空白というものを置けば置くほどさっきの問題なんか大変な問題になりますよ。もし七日になったらどうですか、さっきの恩給の問題が。  しかも私は、先ほど申し上げましたように、衆議院から参議院に予算が渡るときに、三十日間という憲法で決められた審議期間、これを計算に入れれば大体どのくらいになりそうだ、このくらいまではしようがないなという一つの目安というのは衆議院から参議院に渡るときに出るわけでしょう。そのときに、義務的なものを計上する、暫定予算を出す、こういうことをすればこういうような予算の空白期間を置くというようなことはなくて済むのじゃないですか。そうすれば私ども大蔵省に、四月五日までに通さないと大変だぞ大変だぞ、四千億の支払いが滞っちゃうんだぞとおどかされなくても十分に審議できるじゃないですか。短い参議院の審議期間をはっきりと保障することができるのじゃないですか。私どもそれ以上幾らやろうったって、委員長が幾ら審議しろと言ったって、総理がもっと参議院で審議してほしいと言ったってそれ以上は審議できないんですよ。  どうですか大蔵大臣。ちゃんとこの三十日間の審議期間を保障することはできるのです、大蔵省のやり方いかんでは。それはもう政治問題だからだめだよ。事務的な話じゃない。
  56. 渡辺美智雄

    ○国務大臣(渡辺美智雄君) それも一つの見識だと思います。思いますが、ことしはちょっと衆議院の予算の審議が一日ぐらい去年よりも延びたということも事実でございます。ございますが、たまたま四日が日曜日なわけでありまして、そういうようなことでございますから、まあ五日に延びても五日には成立をさしていただけるんじゃないか。  それで、暫定予算の問題につきましては、早々と暫定予算を十日分とか組むということは、いま国民からすれば一刻も早い本予算成立をしてもらって景気対策もやれと、こういうムードでございますので、仮に暫定予算を組んでも、それ以前に成立していただけるかもしれません。しかし、暫定予算を組むと、やはり一般的には暫定予算の日までは結局政策的なものはできないのじゃないかというようにとる向きも多い。したがいまして、ここはちょっとずれ込みますけれども、参議院の皆様の御理解によって、年度内に上げていただきたいが、仮に年度内をおくれたとしても、前例とそう極端に開く日数も考えられないので、何とか四日、五日のうちには通していただけるんじゃないかというように考えまして実は暫定予算を用意しなかった。そういういろんな思惑もございましてやったわけでございます。
  57. 竹田四郎

    竹田四郎君 大蔵大臣、あなたは衆議院だから感覚がないかもしれませんが、参議院は、先ほど言ったように衆議院で議決したら三十日間しかないんですよ。あなたは、暫定予算を組めばわれわれがわざと予算を引き延ばすようなことを言うのですがね。今度だって七日までしかないんですよ。七日の十二時になれば終わりなんですよ、われわれは。ずるずるべったりに――衆議院ではそういう点では幾らでも延ばせますよ、日切れがないんだから。残念ながら参議院では三十日という日にちが決められているんですから、幾ら延ばしたって幾らも延びないのですよ。しかもあなたは、いまの言い方だと暫定予算というものを出せば議会の方が引き延ばす、こういうことをやるんではないかというふうな懸念を持っておられる。そんなことができるのは幸せな衆議院だけですよ。参議院はいままでそういう形で一あなたがどこかへ行っちゃったから一日おかしくなっちゃったんで、私どもは一生懸命審議しようとしたんですよ。私どもの方から審議をストップさせるというようなことはほとんどないんですよ、参議院では。そういう実情というのはお考えにならないですか。  そういうことを考えれば、衆議院に予算がかかっているときに何も暫定予算を出さなくたっていいんですよ。予算が参議院に渡ってからだって間に合うでしょう。十日あればできるというんですからね、予算は。十分できるじゃないですか。それをさせないで、四月五日四月五日と、こんなに困るんだこんなに困るんだというビラをわれわれの方にまいてよこす。生活保護者が困る、恩給が困る、国会の職員が困ると。必ずこういうことだ。  総理どうですか、こういうことで参議院の予算審議というのは――私どもは今度の場合だっても委嘱審査は四日、集中審議は三日、こういう要望をずっと持ってやってきたんですよ。これも、委嘱審査も一日半ぐらい削られる、集中審議も削られる、こういう事態ですよ。私は非常に残念に思うのですが、総理どうですか、どういう状態をいつまでもこういうふうにしておいていいですか。しかもここも減税がない年数と同じですよ、これがはみ出ているのは。五年画ですよ。減税も五年ない。ちょうど合っているんですね、これ、何の不思議がわかりませんが。こういう不正常な状態を私はいつまでもこのままにしておくというのはよろしくないと思うのです。そう長く延ばすわけじゃありません。しかも、大体これは見当つくわけですから、どうですか、こういうことでいつも参議院に不満を与える、参議院の審議権を制約する、よくないことだと思うんですが、総理、今後検討してみるつもりはございませんか。
  58. 鈴木善幸

    ○国務大臣(鈴木善幸君) 先ほど来るる竹田さんから御指摘がございまして、私どもも反省をいたしておるところでございますが、予算成立が新しい年度の開始後にずれ込む、予算の空白は避けられないと、こういうことが予見されました際におきましては、暫定予算を編成をし御審議を願うということはこれはごもっともなことでございます。私どもは今後十分そういう点につきましては注意をいたしてまいりたい。特に参議院の予算の審議権、これを私どもは決して制約を加えたり、また御無理を願ったりということは重々考えておりませんで、参議院の予算に対する審議を十分尽くしていただきたいという考え方には変わりがございません。  今年度におきましては衆議院からの参議院への送付が予定よりもおくれたわけでございますが、それだけに参議院の皆さんに現下の経済事情、国民生活の実態、そういうこと等を御心配いただいて審議を急いでいただいたと、慎重審議を重ねながらも、しかも審議日程をできるだけこれを縮めて早期成立のために御協力をいただいたということにつきましては感謝を申し上げておるところでございます。先ほど来いろいろ御叱正をいただきましたことを肝に銘じまして今後十分そういう点を注意してまいりたいと、こう思っております。
  59. 竹田四郎

    竹田四郎君 総理、もう一つ私が注文をつけておきたいと思うのですけれども、いろんな注文は委員長のところへ差し上げた私の文書の中に、こういうふうにやったらどうだ、ああいうふうにやったらどうだろうという、そういう改革意見は委員長のところにお渡ししてありますので、これは後刻ひとつまとめていただいて、そういう意見を、ひとつ委員長の見解もお示しいただきたいと思うわけでありますが、これは後から御返事いただくとしまして、私は衆議院の方からこっちへ遅く送ってよこしたということに文句をつけるつもりはございません。衆議院は衆議院で真剣にひとつ審議をやってもらいたいと思いますけれども、もう一つは財政法に、政府自体が予算は前年度の十二月中に出すことを常例とすると、こういう言葉がありますね。これは衆議院の予算委員会でも、うちの武藤さんが質問なさっていると思うのです。できないと、こういうふうにおっしゃっていたんですけれども。これを十二月に出してくれれば、こんなことを私どもはここでとやかく言う必要はないのです。暫定予算を組む必要もないのです。ですが、これはすぐやれと言ったって恐らくできないと思うのですけれども、これも検討してもらいたいと思うのです。そして、十二月に出せるようにしてほしいと思うんです。そうすれば、一月の二十日ごろにはもう衆議院の予算委員会はスタートできるのですよ。いまから十日早くスタートできるようになるだろうと私は思います。そうすれば、ここで十日繰り上がれば、年度内に確実に成立できるようなシステムはできていくわけですから。こういう点、総理ひとつ御検討いただけますか。
  60. 渡辺美智雄

    ○国務大臣(渡辺美智雄君) そういうような規則があることは承知をいたしております。ところが、大正六年以来、一月の休会明けに提出するという長い長い慣例になっております。慣例がそうならそのように直したらいいのじゃないかという議論も一つございます。ところが、予算というのは四月一日からスタートするわけですから、なるべくそれに近いところの情勢、情報、データに基づいて、いろんな見通しをなるべく近いところでやりたい。イギリスかどこかで、二ヵ月ぐらい前のところで予算を組むという国もあるようでございますが、なるべく近いところでやりたい。しかし、近いところへうんと持ってくれば審議期間が短くなる。そこで、ぎりぎりというところが十二月末と。仮に十二月に予算を提出するとすれば、重要な予算を提出しておいて長い間国会が休みというのもこれもおかしい。ところが、日本では慣例的に、どうも正月というのは休み気分というのが、松の内とか言いまして実際は五日までは大体休みですね、役所は大体いままで慣例的に、一日、二日、三日――四日はちょっと出てくるかもしれませんが、大体五日ぐらいまでは休みと。重要な予算を出しておいて、そいつを休みというふうにするのがいいのか、また議員の皆さんが普通は十二月予算編成でいっぱいいっぱいみんな働いて、正月になると選挙区めぐりもする、いろいろなこともあって、一月早々に、国会を一月の仮に十日ごろ開くとか、そういう何か開くといっても、なかなかこれも実際は現実的でない。そういうようなところから休会明け、予算の編成が一応案ができ終わっても印刷やなんかで二週間以上、三週間近く実際の準備にかかるのですね。膨大な書類をみんな精査して印刷して突き合わしてやるものですから、どうしてもそれぐらい、二十日近いぐらい時間がかかってしまうということになると、十二月でやるという場合には、十二月の早々に予算案ができなければ十二月中には提案できません。ですから、十一月予算編成という話になるわけですね。十一月予算編成になると、一つは要するにずれが、いまですらずれがある、見通しがきかないと言われているのが、さらにずれができる問題が一つ、その次は、先ほど言ったように、十二月出しておいて今度は急いで出さして一月休みというわけにいきませんから、だからもう国会は五日ごろから開いてやってもらうということになると、これはなかなか実際は――理屈はわかるのですよ。五日から国会を開いてうんと働けということはわかるのですが、衆議院は五日からスタートということは、やってできないことはありませんが、非常に現実的でないというようなことから、十二月提案を常例とするとはなっておりますが、いろいろそういう議論があって、皆さんも検討したのでしょうが、結局大正六年以来ずっと続いておる。何とかそこをうまくできないものかなと思って考えてはおりますが、さらに勉強をさしていただきます。
  61. 竹田四郎

    竹田四郎君 私もすぐ来年からそこに出せと言っていることではありませんで、行政改革の一環としてこの問題も私は取り上げるべきだと、こういうふうに私は思うのですけれども。  委員長も大変御苦労されたし、四月五日をつくった委員長ということになるんですが、委員長、この問題について何か御見解がおありでしょうか。あったら、いますぐでなくても結構ですが、先にいってでも結構ですが、ひとつ御見解がありましたらそのときでも結構ですから述べていただきたいと思うのですが、いかがでしょうか。
  62. 植木光教

    委員長植木光教君) この問題については、大変重要な点がたくさんございますことは、数回にわたります理事会におきまして論議がせられてきたところでございます。  また、ただいまもいろいろ質疑がございまして、事の重要性にかんがみまして、後刻、委員長としての見解を出さしていただきたいと存じます。  なお、本年は四日が日曜日であるということを大変遺憾に存じております。
  63. 竹田四郎

    竹田四郎君 事務総長、この参議院の予算の審議権が、日にちが縮まるということは、これは院としても私は大変重要な問題だと思うのです。これは私どもの報告が、恐らくこの予算委員会の報告が議長にも行くと思いますが、そうした結果は、参議院の改革協の中に、この問題を取り上げて、参議院の予算の審議期間というものを守るために、事務総長としては各党に諮って御努力をいただけるんでしょうか。それとも、これは私の関知することではないからということでネグレクトしてしまうつもりなのか、はっきりお答えをいただきたい。
  64. 指宿清秀

    ○事務総長(指宿清秀君) お答え申し上げます。  参議院の予算審議の審議期間の問題に関連いたしまして、この問題を改革協議会で取り上げるべきではないかというお立場での御意見でございます。また、私、事務総長としてどういう考えを持っておるかということでございます。  御参考までに申し上げますが、参議院改革協議会と申しますのは、先生、先刻御承知のとおり、五十二年の十一月に設置をされまして、引き続き五十五年の七月に存置が確認決定をされておるのでございまして、その改革協議会の調査検討対象と申しますのは、参議院の組織及び運営に関する事項が対象になっておるわけでございます。その取り上げ方といたしましては、第一には、ここに要綱がございますが、その第四番目に、「議長が各会派代表者懇談会を開いた上で又は独自に、必要と認めて付議する事項」というのが一項目ございます。第二には、「参議院改革協議会が必要と認める事項」と、こういうふうになっておるわけでございます。  従来の実績を申し上げますと、各会派等がそれぞれ参議院改革に関する幾つかの問題点を提起をされまして、改革協議会で十分御協議の上、どの問題を取り上げるかということをしてきておるというのが実情でございます。  私といたしましては、事務局の立場でこの問題について意見を申し上げるということは、従来の実績からいたしましていかがかというふうに存じますが、事柄がきわめて政治的な、高度な政治的な問題でもございますので、ただいま申し上げましたような意味におきまして、私の事務局としての意見は差し控えさせていただきたいと存ずる次第でございます。
  65. 竹田四郎

    竹田四郎君 それじゃ、これはまた将来の私どもの方の団としても検討課題としてぜひこれは実現をしていかなくちゃならぬ問題だと、こういうふうに思いますので、検討課題にしていただきたいと思います。もういいです。  それから、河本経済企画庁長官にお伺いしたいと思いますが、この間の経済の問題の集中審議の際に、私とあなたと意見が違うのは、世界経済の今後の傾向がどうなるかというようなことで意見が違ったんですが、最近、この三月二十二、三日、パリにおけるところのOECD主催の高失業下の積極的労働力政策に関する労組専門家会議というのが開かれまして、そこにOECD側のオストリという経済統計局長、御婦人の方だそうでございますけれども、その方が御出席になりまして、今度六月に発表されるアウトルック、これではどうも感じがかなり違ってくるということもおっしゃっているそうですが、特に日本については、第二次石油危機対策としての所得の調整し過ぎだ、オーバーアジャステッドではないかという、こういうふうな発言をされたということを私は聞き及びましたけれども予算委員会において、乱そうした立場でいままでも議論してきたことは先刻御承知のとおりだろうと思うのですけれども、私もこのオストリ経済統計局長の言うことはもっともだなという感じがいたしますけれども、河本さんどうでしょうか、これについての御感想がありましたらお述べいただきたいと思います。
  66. 河本敏夫

    ○国務大臣(河本敏夫君) OECDでは、経済見通しにつきまして毎年大体二回発表しております。六月と十二月であります。六月の経済見通しの発表をどうするかということについていま内々作業を進めておるようでございますが、まだもちろん結論は出ておりませんけれども、昨年の十二月の段階当時の世界経済の回復の見通しよりはやや厳しい見通しになるようないま議論が進んでおると、このように聞き及んでおります。
  67. 竹田四郎

    竹田四郎君 日本の所得抑制といいますか、オーバーアジャステッドという言葉をお使いになっておりますけれども、これはどうですか。
  68. 河本敏夫

    ○国務大臣(河本敏夫君) 実は、まだ詳しい議論の内容については承知しておりませんが、私の承知しておる限りにおきましては、先ほど申し上げました内容でございます。
  69. 竹田四郎

    竹田四郎君 私、これ以上このお話はきょうはするつもりはございませんけれども、やはり日本の場合に内需を拡大するという立場で考えますと、減税の問題もちろんありますけれども、やはり余り賃金を抑え過ぎるということは、これはさらに今後の景気回復を一層おくらせるものであるということについては、あれでしょう、河本さんも意見は同じじゃないですか。違いますか、それは。
  70. 河本敏夫

    ○国務大臣(河本敏夫君) 経済の状態をよくするということの一番基本は、国民の所得がふえる、これはまあ一番の基本だと思います。国民が貧乏する、所得がふえないと、こういうことでありますと、経済はよくならないということでございますから、それはもう当然のことだと思いますが、所得を実質上ふやすということのためには幾つかの条件がございまして、いまお述べになりました所得そのものがふえるということも大事でございましょう。あるいは公的負担の問題もありましょう。あるいはまた、物価が安定をしなければならぬというような問題もございまして、いろんな角度から検討していかなければならぬと思います。  ただ、政府といたしましては、物価の安定にいま全力を上げておりますが、ベースアップの問題につきましては、これは御案内のように、労使双方でお決めをいただくと、こういうことになっております。
  71. 竹田四郎

    竹田四郎君 日米の航空交渉、これは決裂したわけでありますけれども、当然、これの決裂についてアメリカ側が制裁措置を日本に加えてくるのではなかろうかという心配があるわけでありますけれども、これはいまのところ、恐らくまだその挙には出ていないと思いますけれども、将来出てくる可能性がなきにしもあらずだと、こういうふうに思いますけれども、これは、そういうときの対策というのはどんなふうにお考えですか。
  72. 小坂徳三郎

    ○国務大臣(小坂徳三郎君) いま先方から制裁措置を出すということは聞いておりません。したがいまして、その事態が起こったときにわれわれは対応したいというふうに思っております。
  73. 植木光教

    委員長植木光教君) 午前の質疑はこれまでとし、午後一時まで休憩いたします。    正午休憩      ―――――・―――――    午後一時一分開会
  74. 植木光教

    委員長植木光教君) 予算委員会を再会いたします。  昭和五十七年度総予算三案を一括して議題とし、休憩前に引き続き、竹田四郎君の質疑を続けます。竹田君。
  75. 竹田四郎

    竹田四郎君 運輸大臣、先ほどの日米航空交渉の決裂の原因というものは一体どこにあるとお考えですか。
  76. 小坂徳三郎

    ○国務大臣(小坂徳三郎君) これは、ずいぶん長い歴史の間にいろいろな変化があったと思いますが、最も今回の交渉でお互いに話の進まなかったのは、一つには路線権がございます。それから、もう一つは以遠権がございます。われわれとしましては、この路線並びに以遠権についてはきわめて日米間において不平等があるという認識を持っておるのでありますが、アメリカ側はこれに対して、そうした不平等な関係はないという考え方、そこから派生しての、特に具体的に、申すならば、以遠権の問題で話がお互いに煮詰まらなかったというふうに考えております。
  77. 竹田四郎

    竹田四郎君 ことしからの日米航空協定については、通産大臣あるいは外務大臣、かかわり合いがあったというふうに私は思うわけでありますけれども、外務大臣、いま運輸大臣からお話があったのですが、日米航空協定というものと貿易摩擦の問題と、あなたは混乱をしているのではないですか。
  78. 櫻内義雄

    ○国務大臣(櫻内義雄君) そういうことは何もございません。  私がアメリカへ行って、日米航空交渉の話を私の方から何か言うというような、そういう場はありませんでした。
  79. 竹田四郎

    竹田四郎君 別に、あなたはアメリカへ行ってではなしに、むしろもっと前に、一月においてこの問題についてのあるコメントをあなたはなさっているのですが、航空協定の日米交渉の基本というのは一体どこにあるというふうに外務大臣は御認識になっていらっしゃるのですか。
  80. 櫻内義雄

    ○国務大臣(櫻内義雄君) 現行の航空条約は大変不幸な環境の中につくられておりますから、現在われわれから見てこれが日本の立場から言うと公正でないと、こういう見方ができるわけでございますが、しかしながら、アメリカとしてはそういうものをもとにいろいろ交渉をしてくる。これはアメリカの立場として、根拠をそういうところに求めておるということは、まあ当方としていろいろ言いたいことがございますけれども、遺憾ながら根底は既存の条約にあると、こういうことです。
  81. 竹田四郎

    竹田四郎君 一月二十二日の閣議であなたは発言をしておりまして、この問題は経済問題の一環としてとらえていると、こういうふうにおっしゃっていると思うのですけれども、この辺に今度の航空協定のうまくいかなかった根源があるとは思いませんか。
  82. 櫻内義雄

    ○国務大臣(櫻内義雄君) どういう材料でおっしゃっておるのか、私ちょっとわかりかねるのでありますが、そういうふうに、私は何か経済問題と絡んだ言い方をしたという記憶はないのでありますが。
  83. 竹田四郎

    竹田四郎君 運輸大臣にお尋ねしますけれども、いままでは大体航空交渉は航空局の審議官が中心になって当たっていたと思うのですけれども、今度は中村次官と大河原大使がこの問題の中心に当たったというふうに聞いておりますけれども、これはどういうわけで、ちょっと違うのではないだろうかという気がいたします。むしろそういう点でこの航空交渉の本質がぼけたのではないか、こういうふうに思いますが、どうですか。
  84. 小坂徳三郎

    ○国務大臣(小坂徳三郎君) 一月の時点においての、日本においての交渉の中では多少以遠権の問題にしろ路線の問題にしろ、先方側はある程度の妥協的な雰囲気を示したことは事実であります。また、わが方も多少の妥協するための用意をしたことも事実でございます。それでその最後のときに、三月にはぜひこれをもっと十分議論を尽くして、いい形で決めようではないかというような内内の話し合いがあって、今度三月に再開されたわけであります。その場所はアメリカであるということは先方から言ったわけでございますが、したがいまして、最終的な交渉で妥結線があり得るであろう、しかし、それはなかなか大きな問題を含んでおるので、運輸省といたしましては、最高のスタッフの次官を特にこの交渉に参加させるということが、より航空問題についての専門的な立場から十分な意見の開陳をなし得るであろうというふうに考えて、私は次官を派遣をいたしたわけであります。
  85. 竹田四郎

    竹田四郎君 運輸大臣、これは時期も非常に悪かったというふうに私は思うのですね。アメリカの航空業界というのは大変な赤字が出ていて、むしろ路線を少しも取られたくないというような中に日本の問題が出ていったことでよけいむずかしくしたと思うのですけれども。運輸大臣、これからの航空交渉をどういうふうになさろうとしているのか。むしろ、いまのようなこういう時期は外した方がいいのではないか、あるいはアメリカの航空業界の状況が変わった中でやった方がいいのではないだろうか、こういうふうにも考えられます。あるいは、これは小坂大臣の指示で決裂したというわけでありますから、この際一気に航空協定は破棄したらどうですか、そしてあなたが乗り込んで行って、新しいものをおつくりになったらどうですか。
  86. 小坂徳三郎

    ○国務大臣(小坂徳三郎君) 今度の日米交渉の中での特に以遠権の問題につきまして、一月の時点とははなはだしく違う強い意向をアメリカ側が示しておる。したがいまして、わが方の意向が全く顧みられないというのでは――もちろんその他の多少の、数項目にわたっては両者で合意した点もあったわけでございますが、そのために基本的な問題を見失ってはならないということで、私は一応ここで今回の交渉は次に延ばすなり再考するなりという姿勢をとるべきではないかという判断をしたことは事実でございます。しかし同時に、いま委員が仰せられましたように、航空協定全部を破棄してしまえというところまでは私は実は考えておりません。と申しますのは、破棄をいたしましてどれほどわが方にとってプラスがあるかということなど考えなければならぬ点もあるし、また、今日まで曲がりなりにも得ている一応の権益というものに対して、重ねて破棄をした後にどうなるのかということについてもちょっと見通しが立たない点もございます。  それからもう一つは、最も重要な、日本の主体的な条件として大事なこと長日本に国際空港として使える飛行場が少ないということ、したがって、どうしても諸外国からの要請に対して便数を与える、つまり路線を与えることが非常に消極的にならざるを得ない、そのことが一方においては非常に日本が封鎖的に航空政策をやっているのではないかというふうにとられがちでありますから、そうした意味で、逆にわれわれの方から路線あるいは以遠権を要求することが、自分の方はふたを閉めておきながら、相手方だけに門戸を開放させるというやり方はけしからぬではないかというような一つの議論の立て方を与えるものではないかと思っております。したがいまして、この日米間の航空協定ということだけに限定するわけではないのでございますが、いわゆる日本の主体的な条件をもう少し整備すること、つまり、日本の国際空港として使える空港の設備能力をもう少し増大して、やはり日本側が要求する路線に対してある程度オープンに対応できるということを整備することがきわめて重要なことではないかと考えておるところであります。
  87. 竹田四郎

    竹田四郎君 私は、航空交渉の問題というのはいまの貿易の問題と一緒にすべきではない、あくまでも沖縄返還以来の不平等な航空協定を直していくというのがこの十年間の運輸省の非常に涙ぐましい努力であったと、こう私は思うのですけれども、総理にこれからどうしようかという方針をちょっとお聞きして、この問題を終わりたいと思うのですが。
  88. 鈴木善幸

    ○国務大臣(鈴木善幸君) ただいま竹田さんも御指摘になりましたように、日米航空交渉、この問題は日米間の長年にわたる不均衡の是正、または秩序のある競争を正しくやっていくと、そういうような観点からわが方としても取り上げておる問題でございますから、これを貿易摩擦の問題であるとかあるいは防衛の問題であるとか、そういうものとリンクして考える問題ではない。航空協定交渉は航空協定交渉として明確に筋を通してやってまいる考えでございます。わが方としても非常な熱意を持ってこの妥結に向かって努力をいたしましたが、ついに基本的な面で一致することに至らなかったのでございます。したがって、私としては冷却期間を置いてじっくり腰を据えてこの問題には対処したいと、こう考えています。
  89. 竹田四郎

    竹田四郎君 では、次の問題に入ります。  防衛庁長官、私は昨年来、特に主要な兵器の単価は予算書に計上をしなさいということを要求してきたわけでありますけれども、名前はごたごた並べてありますけれども、一つも単価がわかるような形になっておりません。仕方がなしに、私は防衛庁で出された「予算要求の大要」というものを五十三年から個数で割りまして数字を出してきているわけでありますけれども、その中で極端に上がっているもの、値下がりしているもの、こういうものがかなり出てくるわけでありますけれども、詳しい御説明がないから、私は大ざっぱなやり方でやる以外にはないと思うのですけれども、これからますますこうした兵器類の金額というものは張ってくるわけでありますが、その値上がりする、これはかなり、一つ一つの金額が大きくなればなるほどこの影響は大きいわけであります。この主なるものについてなぜ上がっているのか、こういう説明をひとつしていただきたいと思うのです。
  90. 和田裕

    政府委員和田裕君) お答え申し上げます。  まず、主なもので見てまいりますと、たとえばでございますがP3C、F15でございますが、これにつきましては五十五年度価格と五十七年度の裸価格で見ますと、P3Cが二〇%、それからF15は二七%、年率にいたしますとそれぞれ九%及び一三二%ということになります。  それから護衛艦でございますが、DDでございますが、これにつきましては五十六と五十七年度で一一%の上昇でございます。  それから一方、値下がりのものもございます。短SAMでございますが、地対空誘導弾でございまして、これは陸上自衛隊分で見てまいりますと一%の値下がりでございます。それから八十四ミリの無反動砲でございますが、これが八%の値下がりということでございます。そんなようなことで、値上がりが大きなものが片やございます反面、値下がりしているものもあるわけでございます。  御質問が値上がりの要因いかんということでございますので、値上がりだけについて主なことを申し上げますと、基本的に見ますと材料費の値上がりというものが一番大きいというふうに考えております。ことにF15、P3Cにつきましてはライセンス生産しておりまして、輸入部品、材料等相当に外国特にアメリカから買っております関係上、アメリカにおきますところのインフレ率というものが非常に高うございますが、それがどうしても輸入してまいりますところの部品の値段にはね返ってくるということが最大の要因だと思います。  その他、国内でも若干の価格の上昇がございます。最近は大体四、五%という感じかと思いますが、それがやはり値上がり要因であります。  さらに加えまして、ちょっとこれはおわかりにくいかと思いますが、F15、P3Cにつきましてもなるべく私どもは国産の比率をふやそうということでふやしてきておりますが、残念なことに、国産いたしますとどうしても生産の数量が少ないためにその部分につきましてはいわゆる割り掛け費、簡単に言いますと、当初こういったP3CとかF15を生産するときに買いますところの機械、治工具、そういったものの割り掛けの費用が高くなってまいります。そういうことで、国産化率が上がりますとそれが若干値上がりを呼ぶ要因がございます。  最後に、為替の要因がございます。為替の要因につきましては、これは年度別でいろいろ区々でございますが、たまたまアメリカから入れるものにつきましては、ということは、P3C、F15につきましてはこの間で一%の値上がり要因になっております。一方、八十四ミリの無反動砲につきましては、逆にスイス・クローネが円に対しまして非常に値下がりしたということもございまして、むしろ値下がり要因になっています。大体そんなことでございます。
  91. 竹田四郎

    竹田四郎君 予算要求を割り算をして単価を出していくのと、この主要装備品の防衛庁で出してこられた数字を見ますと、たとえばP3Cでいきますと、五十五年度価格は防衛庁の計算でいきますと八十億円。まあ私の計算でいくと九十六億円。八十億と九十六億。これが五十七年度になりますと、P3Cは防衛庁の計算でいきますと九十六億、私の計算でいきますと百十五億という数字になります。F15の場合は、五十五年度の単価でいきますと防衛庁の計算で七十七億、私の計算で八十四・五億、それから五十七年度価格でいきますと九十七億の百七・七億と、こういう数字になるんですけれども、この差というのは一体どういうことなんですか。
  92. 和田裕

    政府委員和田裕君) お答え申し上げます。  一番大きな理由は、私ども申し上げましたのは、さっきも申し上げましたとおりF15、P3Cのフライアウエー・コストと言っておりますが、裸価格でございます。それに対しまして実際にF15、P3Cを買いますときには、初度部品ですね、いろいろ維持、補給のために必要となりますところの部品類を一緒に買いますために、それが入ってまいりまして高くなるということでございます。その他、これもちょっと前には申し上げませんでしたが、F15の場合におきましては、五十五年度におきましてアメリカからFMS輸入というのをいたしております。フォーリン・ミリタリー・セールス、何といいますか有償援助でございますが、有償援助によりまして完成機、これは複座型でございますが、これを五十五年度、五十七年度とも買っております。こういったものの単価が国産のものより安いということがございまして、先生おっしゃったような価格になるということでございます。
  93. 竹田四郎

    竹田四郎君 裸価格ということはよくわかりますが、そこで私の申し上げました私の計算との差額というのは初度部品の価格というふうに理解してよろしいんでしょうか、大体。細かい正確な数字ではなくて大ざっぱな数字として。
  94. 和田裕

    政府委員和田裕君) 大まかな数字としてはそのようでございます。
  95. 竹田四郎

    竹田四郎君 そうしますと、P3Cにつきましては、これはほぼ初度部品の費用が、そこに書かれております年率九%の割りで初度部品費は上がっているのですが、F15の場合にはこれがまあ二年でございますので、四二%ぐらい上がっていますね。ですから、年率にすれば二一%ということになりますね。そうしますと、非常にそのP3Cの初度部品の値上がりというものとF15の初度部品の値上がりというのは大変違うのですが、これはどういうことなんですか。
  96. 和田裕

    政府委員和田裕君) 基本的に言いますと、初度部品の価格が大きなわけでございますが、F15につきましては、一部はさっき申し上げましたようにFMSで買っておりますものがございますので、初度部品だけで比較いたしますとどういうことになりますか、至急にちょっと計算いたしまして御説明させていただきたいと思います。
  97. 竹田四郎

    竹田四郎君 計算してくれなければわからない。
  98. 和田裕

    政府委員和田裕君) 申しわけありませんが、初度部品だけにつきましては、いま手持ちの資料がございませんので、至急に調べましてお答えさせていただきます。
  99. 竹田四郎

    竹田四郎君 これ初度部品でもかなりの金額が違うわけですね。そうすると、私どもこれを見ても全然そういう意味では信頼できなくなっちゃう、こういうことになるわけですね。この前の矢田部委員のF4の問題でも同じように、予算書の中に果たしてどこにあるかわからない。まあ率直に言って、主計局長も説明が素直にはできない、補佐がいなければできないと、こういう事態はここでも同じです。ちょっと私が調べただけでも、さあどうなっているかわけがわからない。聞けば資料持ってきていないと、すぐこうくるわけです。こういう点では、国会でこれから一番問題になっていく防衛費の内容について、私がいまこの値段の上下の問題を聞いているわけでありますけれども、これでも素直に説明してもらえない。これでは私実際困ると思うんですね。シビリアンコントロールの一番基本、最高のものは、私は国会がそれをどう見るかということだろうと思いますけれども、総理、防衛費の問題へ来ますと、いつもどこかで突っかかっちゃうんですね。F4のときも同じ、きょうも同じ、こういうことでは困ると思うんですがね。こういう予算面でももっと国会の理解がいくような形のものをつくっていただく。このことが、私どもは自衛隊に協力をするつもりはないですけれども、多くの国民は、協力をしたがっている人もいるわけであります。そういう人にわかるようにしなければいけないんじゃないですか。ちょっと聞いてみると、すくわからない。どうでしょうか、総理。
  100. 鈴木善幸

    ○国務大臣(鈴木善幸君) 予算書は、国政全般にかかわる案件について予算を盛り込んでおるわけでございまするが、したがいまして、政府としてはできるだけ国民の皆さんに予算の内容が御理解願えるようにという苦心をしておると思っております。これは長年積み上げてきたものでございますが、なお絶えざる工夫をこらして努力をいたしておるわけでございます。防衛関係の予算の内容につきましても、装備品、部品等の細部にまでわたってこれを予算書に記述をするということは困難な面が確かにあろうかと思います。そういう点は御要求の資料なりあるいは御説明なりによって御理解をいただくように努力をいたしておるわけでございます。まあ竹田さんから具体的にこういう点が的確に説明できないではないかというようなおしかりがあったわけでありますけれども、今後資料等の整備、また御説明等につきましても十分御理解をいただけるように努力してまいりたい、こう思っております。私は、防衛の問題に対する国民のいろいろな意味での関心が高い問題でございますから、とりわけただいま御注意のありました点等につきましては留意して努力してまいりたい、こう思っております。
  101. 竹田四郎

    竹田四郎君 総理、予算書ではだめだと去年おっしゃられた、これはそこにいらっしゃる大蔵大臣がおっしゃった。それだから私はいろいろな資料を、出せる限りの資料をいただいて、それを私自体で分析しているんですよ。それでもわからないんですよ。これ、総理だってわからないですよ、いま担当だって答弁できないんですからね。私の言っているのは、そんなむずかしいことを言っているんじゃないんです。初度部品費でも細かい、これが幾らだ、あれが幾らだ、これが幾らだと言っているわけじゃない。F15に乗っかっている、買うときに一緒についてくる初度部品費がこんなに違うのはそれはなぜだと、こう聞いているだけです。それすらわからない。これはもう少し防衛庁長官、改良をしてもらって、こんなことぐらい、これは秘密じゃないでしょう。値段がこれだけ上がった理由は何だということを聞くぐらいは秘密じゃないでしょう。秘密があるはずないと思うんですけれども、答えられないようじゃ困るですな。
  102. 和田裕

    政府委員和田裕君) 先生先ほどおっしゃいましたことを私なりに理解いたしますと、先生が予算の大要から計算されました数字は、P3Cにつきまして九十六億円、したがいまして、裸価格八十億円に対しまして十六億円上がったという計算をされたと思います。それが五十五年度でございます。それから五十七年度につきましては同様にして百十五億円、私ども申し上げましたのは九十六億円で、その差額が十九億円でございます。したがって、十六億円と十九億円の差額三億円、約二〇%上がっているじゃないか、こういう御推察だと思います。
  103. 竹田四郎

    竹田四郎君 それは大体合っているの。
  104. 和田裕

    政府委員和田裕君) それから、同様にいたしましてF15について申し上げますと、七十七億円村八十四・五億円で七・五億円、それに対しまして、九十七億に対しまして百七・七億円で十・七億円、約四〇%上がっているじゃないか、こういう御質問だと承知しておりますところ、まずF15につきましては、先ほども申し上げましたように、基本的にはさき申し上げました初度部品が大きな値上がりの差額の理由になっておるのでございますが、完成機で入れている分がございますので、その分につきましてはちょっと横に取り除く必要があるということが第一点でございます。
  105. 竹田四郎

    竹田四郎君 何ですか。
  106. 和田裕

    政府委員和田裕君) 完成機につきましては、これは普通のこういったものの価格とやや違った要因でございますから、ちょっとそれは横に置いておいていただきたいと思います。  それからもう一つは、F15とP3Cの一般的な値上がり状況をごらんいただきますとわかることでございますが、P3Cにつきましては、五十五年の八十億円が五十七年が九十六億円ということでございます。約二割アップでございます。それに対しましてF15の方は七十七億円が九十七億円ということでございまして、約二十億、約三割上がっているということでございます。したがいまして、F15については基本的にP3Cよりも値上がり率が大きいということは、先生の御計算からも実はわかるのではないかというふうに承知しておりますところ、F15につきましては、当委員会でも申し上げたことでございますが、チタンというものを使っておりまして、このチタンが、航空機のフレームといいましょうか、主翼とか胴体とかそういう基本的な構造物に非常に多く使われております。このチタンにつきましては最近二年間に七〇%にも上る値上がりがあるということがございまして、これが相当大きく値上がりに響いているということがございます。ですから単純に……
  107. 竹田四郎

    竹田四郎君 初度部品について伺っているのです。
  108. 和田裕

    政府委員和田裕君) はい。P3CとF15をお比べになるのじゃなくて、むしろF15の本体価格と補用部品のそれぞれの割合も同時に比較していただきますと、それほど大きな差にはならないという点をちょっとここで申し上げさしていただきたいと思います。  なお、補用部品につきましては、さき申し上げましたように、さらに先生の御指摘ございましたので、いま調査中でございます。
  109. 竹田四郎

    竹田四郎君 どうも私は、いまのチタンが上がったから二五%上がったということもこれは前に聞いておりますけれども、初度部品の上がり方が非常に高いじゃないかと、四二%も上がっている。いまの本体ならば二七%ですよね、四二%上がっているんですね、だから聞いているんですよ、チタンの問題じゃないんです。お答えがなければ後で……。  この問題はまた早急に資料を出していただいて、私らに一回で説明できるように出していただきたいんですね。二回、三回とちょっと質問すればすぐわからなくなるというようなことじゃなくて、一回で全部がわかるようなそういう説明資料をあさってまでに出していただいて、それまでひとつこの質問は留保したいと、こういうふうに思いますが、お許しをいただきたいと思います。
  110. 植木光教

    委員長植木光教君) 防衛庁、御質問の趣旨はよくわかっておりますね。
  111. 和田裕

    政府委員和田裕君) 先生のおっしゃるように努力いたします。
  112. 竹田四郎

    竹田四郎君 時間がありませんから次へ進みたいと思うんですが、最近アメリカから、日本のソ連へのいろいろな経済交流についていろいろクレームが来ていると思うんですが、どんなクレームが来ておりますか、通産大臣、ひとつ御説明いただきたいと思うんです。
  113. 安倍晋太郎

    ○国務大臣(安倍晋太郎君) ポーランド情勢が悪化いたしましてから日本は、アメリカ、ヨーロッパと同一歩調で対処するということで対ソ措置を講じたわけでございます。これは西欧諸国の措置を損なわない、こういう基本的な線に沿って対処を今月まで続けてきておるわけでございますが、そういう状況の中にあってアメリカ側から、新しいソ連に対する物資等につきまして、ヤンブルグの開発関係あるいはまたサハリンの開発関係への物資、資材等につきまして日本側に対してこれが抑制措置をとるように、こういうふうな要請が来ておるわけです。
  114. 竹田四郎

    竹田四郎君 通産大臣、具体的にそれに対してどういう措置をおとりになっておるのですか。
  115. 安倍晋太郎

    ○国務大臣(安倍晋太郎君) これは日本の対ソ措置の基本方針に従いまして、ポーランド問題が発生をして以後についてはこれを慎むという基本的な方向でございますが、発生する前のいろいろと契約した既契約分については、発生前のことであるし、これまでこういうことは行っていたことであるから先例に従って実行すると、こういう方針を続けてきております。
  116. 竹田四郎

    竹田四郎君 総理は、この間ワインバーガー国防長官が来られたときに、四項目の基本態度というのですか、基本何といいますか、そういう四項目のを出されましたんですが、その中に対ソ経済制裁を強化する、こういう項目があったように伺いましたけれども、その真意はどういうことでございますか。
  117. 鈴木善幸

    ○国務大臣(鈴木善幸君) 私は、国際情勢が厳しい状況下におきまして、西側の先進諸国が常に連携を密にし、連帯と協調してこれに対処していく必要がある。これはかねてから私、国会で申し上げておるところでございますが、そういう観点から、どうもその後のアフガンあるいはポーランド情勢の動向、それに関連してのソ連の動き、これらに対応する西側の足並みがまちまちである。私は全部が全部一致しなければならないとは考えておりませんが、基本だけはしっかりと踏まえてやらなければいけない。そういう意味で、日本は比較的まじめに対応をずっとやってきておるわけでありますが、西側の一部におきましては必ずしもそうでないところが間々見受けられる。こういうことになりますと、私はその所期の目的、成果を期することができないのではないか。こういう観点がら、やる以上は足並みをそろえて、十分連帯と協調して成果が上がるようにすべきだということを申し上げたと、こういうことであります。
  118. 竹田四郎

    竹田四郎君 そうしますと、アメリカと一緒になって、対ソ経済制裁というものは厳しい線にそろえようと、こういうふうに理解してよろしゅうございますか。
  119. 鈴木善幸

    ○国務大臣(鈴木善幸君) 私は、厳しい線とか緩い線とかいうことでなしに、やはり西側諸国が十分連絡をし、話し合いをして、そして大筋において一致できるような方向で協力してやっていこうと、こういうことでございます。
  120. 竹田四郎

    竹田四郎君 そうしますと、たとえばヤンブルグの開発、こういうものについては小松製作所ですか、ここがパイプラインをいける機械を輸出しておりますね。ああいうものもこれからはやめる。しかし、あそこのパイプライン等についても、フランスやあるいは西ドイツはいまも輸出しておりますね。向こうはどんどん輸出するけれども日本はそういうものはやめると、こういうことなんですか。それとも、フランスや西ドイツにもやめさせると、こういうことなんですか。その辺がどうもよくわからない。
  121. 安倍晋太郎

    ○国務大臣(安倍晋太郎君) いま総理がお答えをいたしましたように、対ソ措置については西側諸国と一致してこれに当たるということが基本的な考え方でありますし、わが国としては西側諸国のとった措置を損なわないと、こういうことを基本方針にいたしておりまして、小松のパイプレーヤーにつきましてもこれまで輸出をいたしておるわけでございます。これはシベリア開発、ヤンブルグのためにしておるわけでございますが、ポーランドの問題が発生をして対ソ措置が講じられて以来、小松のパイプレーヤーの輸出は、現在までのところは行われてないというのが今日の実情であります。
  122. 竹田四郎

    竹田四郎君 小松のことはわかるのですが、総理、一体、対ソの経済協力とか経済交流とかあるいは対ソ貿易とか、こういうものはこれから具体的にどういうふうにしていこうとおっしゃるんですか。  私はこう思うんですがね。西独の対ソ経済のあり方というものは日本も一回学ぶべきじゃないか。確かに二つの体制、社会体制というのは違っております。違っているけれども、経済は交流していることは事実ですね。西独とソ連との経済交流こそ平和の礎だと、こういうのが私はシュミットのむしろ哲学だろうと思うんです。  総理は、このシュミットのかかる考え方というものについては、どんなふうにお考えですか。たとえばサハリンの開発がいまかなり行われております。こういうものこそ平和のひも――ひもといいますか、平和の通路だと思うんですね。これを何もぶち壊していく必要はなかろう、こう私は思うんですよ。どうですか、このサハリンの開発なんて大変な開発であるし、将来日本のエネルギーの問題にしてもあるいは木材の問題にしても、あるいは全体の貿易の問題にしても、日本の経済の立場から言えば私は非常に重要なものだ。体制が違うからけんかをする、こういうことでなくてもいいんではないか、こういうふうに思うんですが、どうですか。
  123. 鈴木善幸

    ○国務大臣(鈴木善幸君) 日ソの間におきましては、従来から互恵の立場に立ちまして経済交流、経済協力をやってまいったわけでございます。  ただ、アフガニスタンの問題、ポーランドの問題等が起こりましてから、ソ連のそういうやり方については私どもは容認できない。ソ連に対して自制と責任をひとつ持って行動してもらいたい、こういうようなことを強く申し入れをし、警告をし、それに関連いたしましてある程度の経済的な協力関係というものをケース・バイ・ケースでひとつ見直していこう、こういうことにしておるわけでございます。したがって、体制が違うからとかいうようなことでなしに、いま申し上げたような事情で私どもはそういう措置をいまとらざるを得ない、とっておると、こういうことでございます。  それからもう一つ、西独のとっておる対ソ経済交流、これはもう御承知のように、西独と東欧圏あるいはソ連との間のいろいろな面におけるところの深いきずな、そういう関係がそこにあるわけでございまして、私どもも西独の立場というものは理解をいたしておるところでございます。したがって、一から十まで西独と日本が同じようにしなければならないとか、また西独がやっているから日本もそうせにゃいかぬとか、そういうものではないと、こう思っておりますが、いま申し上げたようにアフガンやポーランド等に対するソ連の自制ある行動というものが確認をされますれば、私どもは従来どおり互恵の精神に立って経済的な交流を深めてまいるということでございます。
  124. 竹田四郎

    竹田四郎君 サハリンの開発のことについてはアメリカが、何かクレームが来ているように新聞では報道されておりますけれども、このサハリンの開発はどうするのですか、総理。サハリンの開発もやめるのですか。
  125. 安倍晋太郎

    ○国務大臣(安倍晋太郎君) サハリンの開発につきましては、日本も協力して今日まで行っておるわけでございますが、その中で米国製の資機材を使う部門があります。リグですが、これについては実はこれまで日本が輸出をいたしておったわけでありますけれども、アメリカ側が米国製の資機材でございますのでストップをかけておる。これはもうアフガニスタンの事件の当時もずっと日本が輸出しておりました。これが一つの重要な開発のポイントになっておるものですから、日本側としては、この前も外務大臣がアメリカにおいでになったときも、これは許可するのがしかるべきであると、こういうことでアメリカ側に対して要請を続けておるわけであります。
  126. 竹田四郎

    竹田四郎君 要請は続けているのですが、これは総理、どういうふうにするのですか。このリグというのは恐らくサハリンの開発では一番重要なポイントだろうと思うんです。これが行くか行かないかによって実際上はサハリンの開発が中断してしまうか続けられるかという基本的な問題だろうと思うのです。ですから、ただ向こうへお願いしているというようなことではなしに、日本が自主的に明確な態度を示す必要が私はあると思うのです。この辺は決断が要るのではなかろうかと私は思いますが、総理どうですか。
  127. 安倍晋太郎

    ○国務大臣(安倍晋太郎君) これは何といってもアメリカ製の資機材なものですからアメリカが了解しないと出せない、こういうことでありまして、したがって日本としては強くアメリカにその解除方を要請をして今日に至っておる、こういうことでありまして、今後ともこれはぜひとも了承してほしい、解除してほしいということを続けて要請してまいりたい、こういうふうに思っております。
  128. 竹田四郎

    竹田四郎君 総理、いまの通産大臣の答弁のとおりでございますか。
  129. 鈴木善幸

    ○国務大臣(鈴木善幸君) そのとおりでございまして、過去においてもそういう場面がございましたが、米側を説得してそして今日まで継続しておるわけでございます。今回の場合におきましても、いま通産大臣から申し上げたとおり米側を説得をし、仕事が継続できるようにということで努力をいたしております。
  130. 竹田四郎

    竹田四郎君 それでは次の問題に移ります。  自治大臣、いま自民党の一部から、来年の参議院選挙と、来年は統一地方選挙の年にもなるわけでありますが、これ同日選挙ですか、何と言うめか、同時選挙と言うのが同日選挙と言うのか――同日選挙と言うのが何か正しいようでありますけれども、そういう意見が出ておりますが、これどうなんですか。私は、こういうことをすることは、選挙の内容というのは違うわけですね、参議院の選挙とそれから地方選挙とはもう性格が違う。しかもかなり離れております。これをまた一体化するというのは、首長さんあるいは議員さんの任期の問題、こうしたかなりおくらせなくちゃならないという問題もある。こういう点では私は不適当だと思うんですけれども、自治大臣あるいは総理大臣、どういうふうな御見解でございましょうか。
  131. 鈴木善幸

    ○国務大臣(鈴木善幸君) 地方の議員あるいは首長等の選挙は、御承知のように昭和二十二年以来ずっと続いておるわけでありますが、当初はこの地方自治団体の議員や首長の選挙というのは相当まとまって、統一地方選と言われるように行われてきたわけでございます。それが最近になりまして、特に首長の方は途中で亡くなられたりやめたりいろいろなことがございましてばらばらになってきておりまして、いまは年間に行われる統一された選挙というのが余り実質的に行われなくなってきております。  そういう問題を、同一年度について前のように地方統一選挙として行ったらどうだろうかというような問題については、いろいろ自由民主党の選挙制度調査会等でも研究をいたしております。しかし、いま竹田さんがおっしゃるように、参議院選挙と地方選挙、これを一緒にせいというようなことは私は聞いておりません。そういうものを検討しているということは聞いておりません。
  132. 竹田四郎

    竹田四郎君 聞いてはいないけれども、新聞ではそういう報道が出ているわけでありますけれども、総理はこれを一緒にする気はない、こういうふうにお考えなんですか。それとも、そういうことになればやるというのですか。どうなんでしょうか。
  133. 鈴木善幸

    ○国務大臣(鈴木善幸君) 私は、前段の地方団体の選挙はできるだけまとめてやった方がよろしいと、地方統一選挙は。しかし、参議院と一緒にするということにつきましては、私は必ずしもそうしなければいけないとは考えておりません。
  134. 竹田四郎

    竹田四郎君 総理、ベルサイユのサミットが近づいてくるわけでありますけれども、このベルサイユのサミットの議題は決まったのですか、あるいは近く決定するのですか。どうなんですか、これは。
  135. 鈴木善幸

    ○国務大臣(鈴木善幸君) サミットはいままで、その時々における重要な国際的な経済問題、それを議題として世界経済の発展、振興に適切な施策を打ち出す、こういうことで今日までやってきたわけでございます。いまその議題につきましては、準備会のPRの諸君が集まりまして、もう三回か四回会合を開きまして各国の案を持ち寄って相談を進めておるようでございますが、まだ決まったという段階ではないようでございます。しかし私は、御承知のようにいま世界経済が深刻な失業とインフレ、また為替相場の変動、国際収支の悪化、アメリカの高金利等々いろいろな問題を抱えており、国際経済が大変困難な局面に立っておりますから、当然世界経済の再活性化の問題が中心的な議題として取り上げられるであろう、このように考えておりますし、私は、日本としてもそういう面で国際的な責任と役割りを果たしていきたいと、こう考えております。
  136. 竹田四郎

    竹田四郎君 そうしますと、国際経済協力ということは恐らくかなり議題になるだろうというふうに思うんですが、最近、海外経済協力あるいは国際的な経済協力というものがマルチラテラルからバイラテラルの方向に非常に進んでいるように私は思うんです。これはアジア開発銀行にしてもその他の組織にしても、国際的な機関によって経済協力が進められるということがより私は理想的だろうと思います。そういうものがバイラテラルで、日韓経済協力みたいな形になっていくということは、世界における平和を築くのじゃなくて、世界の中に溝を築いていく、こういうふうに私はなりやすいと思うんですね。こういうことについては、今度のベルサイユ・サミットの中で議論になるかどうかわかりませんけれども、恐らくかなり問題になるだろうと私は思うんですけれども、そういうことはどんなふうにお考えですか。
  137. 鈴木善幸

    ○国務大臣(鈴木善幸君) 経済協力の問題は、私はサミット参加国の国におきまして、どうも必ずしも考え方、その国の方針というものが一致しておるとは見ておりません。日本はできるだけ国際的な分野で協力をし合っていくということを進めておりますし、また日本と特別な関係にありますところのASEAN等々の国々等に対しては二国間の協力もやっております。日本は比較的そこは柔軟に、しかも国際的な世銀とかアジ銀とか、そういうような面については積極的にこれに協力をしていく、こういう方針をとっておりますが、他の国におきましては日本と同じような考えに立つ国もございますし、そうでなしに、もう援助疲れといいますか、そういうような国もございまして、まあ最近はせいぜい二国間の従来から古い関係にある国との協力をやっておるという程度のところもございます。  したがって、今度のサミットで、私は世界経済の全体をひとつ立て直していくのだという観点からいたしますと、先進国間の経済協力なり産業協力なりでは十分でない、どうしても開発途上国、第三世界等に対してもこの経済協力、技術協力等の手を広げていかなければ世界全体の経済の立て直しはできないと私自身は考えておりますし、そういう観点で努力をしたいと、こう思っております。
  138. 竹田四郎

    竹田四郎君 最後の方の総理の考え方、これは非常に私も結構だと、こういうふうに思っておりますが、それでは、第三世界の国々の共通一次産品の基金ですか、こういう問題がUNCTADの総会の中で決められてきておりますね。日本もこれについては参加しているだろうと思いますが、しかしこれがいま問題になっているように私は聞いているわけです。特にアメリカがこれに対しての批准を与えていないという問題、これは私は大きなこれからの問題だろうと思いますが、これはどうなさいますか。
  139. 門田省三

    政府委員(門田省三君) お答え申し上げます。  わが国はすでにこの共通基金に署名もし、批准もいたしております。この共通基金は現在のところまだ発効いたしておりません。発効要件が満たされていないからでございます。  発効要件は、割り当て拠出につきましては三分の二以上の金額を九十カ国以上の国が出資するということで批准をいたすことと、任意拠出につきましては半額以上の誓約を行う、こういう条件になっておるのでございますが、前者の割り当て拠出につきましては、いまだ二十二カ国が批准をいたしているだけである、任意拠出につきましては、ただし九一%の誓約が行われているということでございますので、批准国の数がふえますときにはこの共通基金は発効するということでございます。  なお、お尋ねのございましたアメリカの批准の問題につきましては、アメリカ政府におきましては本件構想について慎重検討をいたしているというように聞いております。
  140. 竹田四郎

    竹田四郎君 だからどうするのですかと聞いているんです。
  141. 門田省三

    政府委員(門田省三君) わが国は本件共通基金に積極的に取り組んでおることでございますので、国連総会の場あるいはUNCTADの理事会の場におきまして早急に未批准国が批准をするように呼びかけておりますし、特にTDBの事務局に対してこの点各国にさらに要請をするという措置をとるように申し出ております。そのように現在措置をされているところでございます。
  142. 竹田四郎

    竹田四郎君 これはそんなことじゃ私はだめだと思うんですよ、総理。これは直接やっぱりレーガンと会ってこの話をしていくことが必要じゃないですか、どうですか。総理。
  143. 鈴木善幸

    ○国務大臣(鈴木善幸君) サミットの機会にレーガン大統領と個別に私会う機会を持ちたい、こう思っておりますから、そういう機会に米側の意向も聞きまして、ぜひひとつこれに力を入れるように私からも要請をしたい、こう思っております。
  144. 竹田四郎

    竹田四郎君 期待をしております。  それから最後に、一昨日ですか、総理は文学者の反核運動の代表者とお会いになって全国民的立場に立って国連の軍縮総会で反核を訴える、こういうふうにおっしゃったそうでありますが、写真撮影はさせなかった、こういうこともおまけでついているようでございますけれども、しかし一方では都道府県やらあるいは市町村やら、都道府県で三十五、六ですか、それから市町村で八百以上の反核、軍縮の意見書とかあるいは決議というようなものが採択をされておる、こういう中でむしろ自民党としてはそれにブレーキをかける。官房長官は反核と反米とを混同しやすいからというようなことで特にこれを抑えるというような発言をしているわけでありますけれども、私は日本の国民の考え方というのは反核イコール反米ではないと思うんですよ。もっと真剣に、やっぱり核兵器に対する恐怖というものを持っているわけでありますから、この点は総理は何か二またこう薬みたいな、あるいははっきりしない印象を与えるということは私は感心しないと思うんですけれども、この点はもっとはっきりひとつ国連総会に行って私は日本の国民の意見というものを発表してもらいたい、反核を反米などという考え方を持ちながらやってもらっては困る、もっと純粋な日本の国民の意見を訴えてもらいたいと思うんですが、どうですか。
  145. 鈴木善幸

    ○国務大臣(鈴木善幸君) 国連軍縮特別総会を前にいたしまして国民世論がかつてないほど軍縮、特に核軍縮の問題について盛り上がっております。  私は、国会でも申し上げておりますように、この総会には、ぜひ全国民的な世論を基盤にして、そういう立場で国連のお集まりの国々に呼びかけたい、働きかけたい、このように考えておりますので、一方に偏った意見というものを押しつける考えはございません。  したがいまして、各党の党首、各会派の代表者、また各方面の御意見も十分伺いまして、全国民的立場で対処していきたい、こう思っております。
  146. 竹田四郎

    竹田四郎君 終わります。(拍手)
  147. 植木光教

    委員長植木光教君) 以上で竹田四郎君の締めくくり総括質疑は終了いたしました。     ―――――――――――――
  148. 植木光教

    委員長植木光教君) 次に、中野鉄造君の締めくくり総括質疑を行います。中野君。
  149. 中野鉄造

    ○中野鉄造君 五十七年度予算もいよいよ大詰めにまいりまして、きょうは四月三日です。財政法十一条の規定はどういうふうに書いてありますでしょうか。
  150. 松下康雄

    政府委員松下康雄君) 財政法第十一条は「国の会計年度は、毎年四月一日に始まり、翌年三月三十一日に終るものとする。」と規定してございます。
  151. 中野鉄造

    ○中野鉄造君 五十七年度、きょうはもう三日でございますが、この数日間、いわゆる予算なし、予算の空白ということになっておりますけれども、この間、国は一切の支払いをストップされましたが、これどうなんですか。
  152. 松下康雄

    政府委員松下康雄君) 四月一日から四月中は、実は前年度につきましてはまだ出納整理期間中でございますから、国の五十六年度分の支出につきまして、もはや原因となる事実が終わっておりまして支払いだけ残っておりますものにつきましては、四月になっても前年度の歳出として支払いは行われてございます。しかし、新年度分につきましては、御指摘のごとく予算がいまだ成立をいたしておりませんので、五十七年度分の予算としての国の歳出はストップをいたしております。
  153. 田代富士男

  154. 植木光教

    委員長植木光教君) 田代富士男君の関連質疑を許します。田代君。
  155. 田代富士男

    田代富士男君 大蔵大臣と法制局長官にお尋ねいたしますが、同僚の竹田委員からも質問がされておりましたが、予算の空白というのは法律上認められておりますかどうか。それは法治国家で許されますか。また、憲法七十三条一号の「法律を誠実に執行し、」という規定を遵守したことになりますか。この点、明確にお答えください。
  156. 松下康雄

    政府委員松下康雄君) 御指摘の第一点のいわゆる予算の空白期間でございますけれども、四月一日以前に成立しておるべき予算につきまして、まだその成立を見ていないという状態でございますが、この状態は法律規定に基づくものではもちろんございません。いわば現在の財政会計制度上はこれを予定していないという状態でございます。  この場合に、法律上このような状態が違法であるかどうかという点につきましては、むずかしい御質問でございますが、法律の特定の条文に違反をいたしておるといいますよりは、そのような現実に制度の予想していない状態が起こり、かつ、そのために国の行うべき支出が行うことができないという不都合な状態を生じておりますことから、決して適切な状態であるというふうには申せませんけれども、そういういま現在の状態であると思います。  憲法との関係は、これは私からお答えするのはむずかしい問題でございますが、これも明文に違反しているという状態には至っていないものだと考えております。
  157. 角田禮次郎

    政府委員角田禮次郎君) 主計局長の答弁で大体尽きておると思いますが、御指摘のように現在五十七年度予算成立していないわけでございますから、予算成立を前提として国費を支出するというようなことは絶対に許されない、もしそれをすれば違法であるということはもう明らかであると思います。  ただ、それはそれとして、一方において現実に国政を運営するという立場から見て、少なくとも形式的な違法ということのそしりを避けつつ必要最小限度の財務処理を行っているということが偽らない現実の姿だと思います。  しかし、それはいま主計局長の答弁にもありましたように、現在の制度の上で予想されている、あるいは真正面から容認されていることでないことは間違いございませんから、それは好ましいことであるということは絶対に言えないと思います。
  158. 田代富士男

    田代富士男君 いつも法制局長官の答弁を聞いていたらはっきりおっしゃるから、あのくらい頭がいい人はいないと思っておりましたが、ただいまの答弁は何となくはっきりしないんです。まあ一番はっきりされているお方がそういう答弁だから、あとどなたに聞いてもこれはそれ以上のものは出てこないと思いますが、総理いかがでしょうか。
  159. 鈴木善幸

    ○国務大臣(鈴木善幸君) 私の答弁は政治的な発言になりますから、ますますわからなくなるのじゃないか、こう思っていますが、いま法制局長官からるる申し上げたことで御理解を賜りたい、こう思います。
  160. 田代富士男

    田代富士男君 そこで、法律違反の予算執行をしないために、御承知のとおりに旧憲法では前年度予算の施行制度が認められておりましたが、新憲法では財政民主主義の立場からこれを否定し、これを受けて財政法第三十条における暫定予算、これは御承知のとおりだと思います。その制度を置いているのではないでしょうか。  そこで法律解釈としては、いま苦しい答弁でありましたが、一日たりとも予算の空白はないはずなのに、どうして現実的にはやっているのか。そういうわけで、いま総理が、これ以上の答弁は勘弁していただきたいと申されましたが、やはり法制局長官は行政府の法の番人でございますから、いまの答弁以上の話はできないとおっしゃいましたけれども、もう一度私は確認しておきたいと思いますが、どうですか。
  161. 角田禮次郎

    政府委員角田禮次郎君) 御承知のように、旧憲法下では前年度予算の施行という道があったわけでございます。それがいまの憲法の規定の上では、そういうことは予算の国会議決中心主義というたてまえから許されないということで、暫定予算制度というものが認められたわけです。その暫定予算制度というものを認めた上での御質問だと思いますが、予算の空白というものは本来あってならないものであるという点は御趣旨のとおりだと思います。したがいまして、私の立場であえて言えとおっしゃるならば、それは非常に遺憾なことであるということを言わざるを得ないと思います。
  162. 田代富士男

    田代富士男君 前よりもやはりはっきりいたしますが、一押し、二押しですが、三押しすることはちょっと私も遠慮しておきますが、いま申された程度で、総理もこれ以上はとおっしゃいましたから、そのことが一つ明確になっただけでも一歩前進だと思います。  ここで過去の予算空白を調べてみますと、四十四年度は一日だけ、五十年度は二日間、五十三年度から五十七年度までは五年連続二日ないし四日間四月にずれ込んでおりますが、このような予算空白恒常化と財政当局の予算なしの悪慣習に対するなれっこの態度は、これは承知できないと思いますが、これは大蔵大臣いかがでしょうか。
  163. 渡辺美智雄

    ○国務大臣(渡辺美智雄君) そういうようになれっこの態度はいけないと思います。
  164. 田代富士男

    田代富士男君 なれっこの態度はいけないと。  もう一つ尋ねますが、同僚の竹田議員も申されましたけれども、五日までに予算成立すれば国政に影響はないし、国民生活にも影響はないというような、そういうような説明をわれわれ呼び出しを受けまして大蔵省関係から受けたわけなんです。そうすると、いまはそういうような説明ですが、古いいろいろな資料を調べてもらいましたら、四十四年当時は一日でも延びるということに対しては非常に神経を使っていた。ところが最近は四日まで延ばし、あす日曜日で総括質疑が五日となりますれば、これは五日延びたとなりますと初めて五日間の空白となる。これはいままでにない突出である、ちょうど防衛予算と同じような、そういう突出したこういうようなことになるということが朝も審議されましたが、こういうやり方でいきますと、いま大蔵大臣は、そういうなれっこの態度はよくないと言われたけれども、なれっこの態度が一日から二日とずっと来ているじゃありませんか。そうしますと、このやり方でいきましたら一週間から十日までなりかねない、こういうことでは財政当局として許されないと思いますが、この点大蔵大臣どうですか。
  165. 渡辺美智雄

    ○国務大臣(渡辺美智雄君) 遺憾ながら予算の審議がわれわれの期待どおりにいきませんでして、大変御迷惑をおかけをしていることは遺憾に考えております。
  166. 田代富士男

    田代富士男君 遺憾に考えていらっしゃるということでございますが、そこで憲法六十条で保障されております本院の予算委員会の審議権が暫定予算の提出がないことによりまして実質的に大変な制約を受けております。同僚の議員がおっしゃったとおりに、委嘱審査日にちあるいは総括質問日にち、集中審議の日にち等もずいぶん制約を受けてまいりました。こういうことは参議院軽視にもなりかねません。予算の空白を認めるへ理屈は納得できないわけなんですが、そこで参議院審議との関係をどうお考えになっていらっしゃるのか、これはやっぱり総理あるいは大蔵大臣にどのように御判断されていらっしゃるのか、お二人とも衆議院議員でございますが、参議院の審議についてどういうお考えなのかお聞かせいただきたいと思います。
  167. 渡辺美智雄

    ○国務大臣(渡辺美智雄君) 参議院の審議につきましても、衆議院で審議をし切れない部分あるいは別な角度からいろいろの質問や意見を述べようというような時間はとらなければならないと、こう考えております。しかしながら、何とかこれは年度内に参議院の良識によって成立をさしていただけるというように期待をしておったものでございますから、実は暫定予算を用意しなかったというのが実情でございます。
  168. 田代富士男

    田代富士男君 大蔵省は財政法の三十条の「内閣は、必要に応じてこの解釈を自分勝手に都合よく解釈しているのではないかと思うのです。これでは財政秩序と国会審議権が乱れるばかりではないかと、私はそのようにもう深く感じている次第でございます。だが、一日や二日許されないけれども、一日、二日までの暫定は政治的にもこれは考慮の余地が全くないとは言えませんけれども、ただいまも指摘いたしましたが、五十三年以降の連続の予算の空白の実態、やり方には反省を私は促したいと思います。五十八年度以降は絶対にこうした本院や予算審議に迷惑をかけるべきではない、お約束していただけるか。私は総理と大蔵大臣にこのことは明確にお答えいただきたいと思います。
  169. 鈴木善幸

    ○国務大臣(鈴木善幸君) この予算の審議は、衆議院、参議院を通じまして衆議院段階、参議院段階の時間の配分等にも十分意を用いて両院が十分慎重なる御審議がいただけるように全体としての国会対策もわれわれ考えなければならないと、こう考えておりまして、今後とも衆議院、参議院段階において十分そのようなことが確保できるように努力してまいりたいと思います。
  170. 渡辺美智雄

    ○国務大臣(渡辺美智雄君) 総理大臣と同様でございます。
  171. 田代富士男

    田代富士男君 財政法三十条の暫定予算の提出のことでございますが、これを怠り予算空白期間を惹起いたしまして、国民生活に重大な影響を与えております。当参議院の予算委員会で委嘱審査等、より充実した審議と取り組んでおる現在、これは看過することはできません。そこでこの際、憲法六十条の参議院予算審議の確保と空白防止について抜本的検討がなされなければならない、本院予算審議権の十分の行使と予算空白期間の防止のための暫定予算の提出の義務化などにつきまして早急に善処をされるようということで、田代私案として委員長のもとにこの趣旨を私は提出をしておりますが、委員長はけさの同僚の質疑におきましては、委員長としての見解を出すとおっしゃいますけれども、私の田代私案にこういう趣旨を述べてありますけれども、その趣旨も加えていただけるのかどうか、委員長お答えいただきたいと思います。
  172. 植木光教

    委員長植木光教君) 先ほどお答えを申し上げましたように、後刻委員長見解をお出しいたしたいと存じます。この委員長見解は、すでに理事会等におきまして、また委員会等におきまして出されました御意見などを含めましたものを総括いたしまして発表いたしたいと存じております。  なお、それに関連をいたしまして、お話しのとおり、いろいろな方、あるいは政党からそれぞれ具体的な案が出ております。このそれぞれの具体案につきましてはしかるべく関係機関に伝えまして、今後の予算委員会審議が十分を期しますように努力をいたしたいと考えているものでございます。
  173. 田代富士男

    田代富士男君 最後に、重ねての質問になりますが、総理、ただいま植木委員長が申されたとおりに、委員長見解をお出しになるそうでございますが、その見解を尊重し、また善処方に努力をしていただけるのか、総理の御決意をお聞かせいただきたいと思います。
  174. 鈴木善幸

    ○国務大臣(鈴木善幸君) 委員長見解は、ただいまもお話がございましたように、当委員会委員各位の御意見あるいは理事会における各党各会派の御意見等を踏まえた上での御見解と私どもは評価をいたしておりますので、十分尊重してまいりたいと、こう思っています。
  175. 中野鉄造

    ○中野鉄造君 いずれにいたしましても、こうした空白で出発するこの五十七年度でございますが、低迷した景気の動向といいし、またいろいろな外圧といいし、この空白予算といいし、何となくこの五十七年度の先行きに不安な気持ちでいっぱいでございますが、初めに、もうすでに言い尽くされたことではございますが、もう一遍経企庁長官に経済の成長の面からいるいろお尋ねをしたいと思います。  長官、住宅建設の百三十万戸達成ということについては、この間の集中審議でも私いろいろお尋ねいたしましたけれども、これは必ず達成できるという根拠についていま一遍お聞かせいただきたいと思います。
  176. 河本敏夫

    ○国務大臣(河本敏夫君) 住宅建設は五十五年、五十六年と相当落ち込んでおりますが、そこで、五十七年度から政府の方では住宅金融、それから宅地政策、それから中古住宅政策、そういう面で相当思い切った内容にいたしております。そういうことが背景となりまして、これまで落ち込んでおりました住宅建設投資がある程度上昇に向かうであろう、このように期待をいたしております。
  177. 中野鉄造

    ○中野鉄造君 この間もちょっと私、長官にお尋ねいたしましたけれども、非常に長官の御答弁を聞いておりますと、いまにも景気が上向いてきそうな感じがするわけですけれども、一向に景気はよくなってこない。緩やかな上昇を続けていると言われますけれども、余りにも緩やか過ぎちゃって全然日に見えた景気の上向きというものがない。現に長官もこの五十七年度の実質経済成長率五・二%ということについて本当に確信を持っておられるのかどうか、お尋ねいたしたいと思います。
  178. 河本敏夫

    ○国務大臣(河本敏夫君) 五十七年度の予算編成は昨年の十二月に終わったわけでありますが、その後経済状況が思わしくない、こういうことから、今回予算が通りました暁には予算に盛られております公共事業、それから住宅投資計画、そのうち公的住宅の部分を上半期に最大限繰り上げて実施しよう、こういうことを決めたということも経済情勢が思わしくないということからでございますが、五・二%成長というのは私はほっておいてもできるものではない、こう思っております。先般も申し上げましたように、何しろ戦後最大の激動期でございますから、その変化に即応いたしました機敏なかつ適切な経済運営が必要であろう、それを行うことによって私は五・二%成長は可能になる、こう思っておりますが、幸いに日本の経済は外国の経済に比べまして相当条件が私はいいと思うんです。たとえば物価の問題あるいは雇用の問題、貯蓄の問題、それから金利の問題、国際競争力の問題あるいは労使関係、いろいろ外国と比べてみますと、いずれも条件が非常によろしいと思います。でありますから、そのすぐれた幾つかの条件を生かしまして、先ほど申し上げましたような適切な経済政策を進めることによって私は五・二%成長は達成は可能である、このように、考えております。
  179. 中野鉄造

    ○中野鉄造君 きわめて素朴な疑問でございますけれども、民間各機関のいろいろな調査による調査結果と政府の見通しとの間にはかなりの乖離がございますですね。これはどういうところからそういう結果になっているのか、お聞きしたいんですが。
  180. 河本敏夫

    ○国務大臣(河本敏夫君) 民間の経済見通しというのはいずれも単なる私は見通しであろう、こう思うのです。しかし、政府の見通しというのは望ましい経済の姿を考えながら、政策努力を加えるならばそれは可能であるかどうかということを検討した一つの目的を持った経済見通しであろう、このように考えております。先般も申し上げましたが、事務的に昨年の秋検討いたしました段階では、このままほっておけば三・七%成長か三・八%成長である、しかしながらそういう成長では失業者がふえるし、それから税収は入ってこない、あるいはまた国際摩擦が拡大をする、そういうことからある程度の政策努力を加えることによりましてそして五・二%成長を達成しよう、こういうことを決めたわけでございます。  なお、民間の経済見通しにつきましては、御案内のように昨年の十一月から十二月の前半までに出た見通してございまして、政府のそういう政策目標を加味した幾つかの対策というものは、これは考慮に入っていない、こういうことだと思います。
  181. 中野鉄造

    ○中野鉄造君 いろいろな政府のこうした達成目標の打ち出しというものを見ておりまして、私はややもすればこの新七カ年計画が手かせ足かせになっているのじゃないのか、むしろ七カ年計画というものをいま少し見直さなくちゃいけない時期に来ているんじゃないかと思いますが、いかがですか。
  182. 河本敏夫

    ○国務大臣(河本敏夫君) 七カ年計画につきましては何回かお答えをいたしましたが、いま経済審議会の中に、二十一世紀を展望いたしましてこの二十年間に日本の社会と経済はどのように変化するかという長期展望の作業をしていただいております長期展望委員会というものをつくっておりますが、これが五、六月ごろに大体の答申をいただけようかと思っております。また、臨調の答申も七月には出るということを聞いておりますので、その二つを十分詳細に分析をいたしました上で七カ年計画を、これまでのようなフォローアップでなく、根本的に再検討すべきであるかどうかということについて結論を出したい、このように考えておりますが、実はそのほかにもう一つ問題がありますのは、いまかつてないような経済の激動期でございますので、こういう激動期に中期計画をつくり変えるのが適当であるかどうか、こういう問題についてもやはり議論をする必要があろうかと思います。と申しますのは、現在の七カ年計画の作業が終わりましたのは五十三年の年末であります。そして一月に閣議決定をする予定になっておりましたが、第二次石油危機が起こりましてエネルギー事情が相当混乱をいたしました。そこで五十四年の七月の東京サミットでエネルギー問題を中心に議論しようと、こういうことになりまして、その場合に、日本が七カ年計画に盛られた成長に必要なエネルギーを確保できるかどうか、そういうことがはっきりいたしませんので、それを待たないと正式に閣議決定はできないというので実は八カ月間決定を延ばしたことがございます。要するに、この混乱の時代にこういう計画はなかなか決めにくいということでございますので、そういう点もあわせて今後検討してみたいと考えております。
  183. 中野鉄造

    ○中野鉄造君 そうすると、いまの御答弁のそうしたものの発表とあわせて巷間いろいろ伝えられているように、四月じゆうかあるいは五月の初めごろに総合景気対策というようなものを発表される予定ございますか。
  184. 河本敏夫

    ○国務大臣(河本敏夫君) 御案内のように、先月第三・四半期の経済状態が思わしくございませんので、五十七年度の公共事業並びに公的住宅の繰り上げとかあるいは金融の機動的な運営とか、こういうことについて決めたばかりでございます。しかしながら、経済の情勢をよく分析をいたしまして相当厳しいような報告も各方面から出ておりますので、そういう場合に現在の対応でいいのかどうか、もう少し総合的な対応が必要であるかどうか、こういうことについても総合的な対応をすべしと、こういう議論もございますし、あるいはさしあたっては先月決めたようなことしかできないではないか、だからもうこれでしばらく様子を見たらどうかと、こういう二つの意見がございますので、幾つかの分析が出てこようかと思いますので、それらを勘案いたしまして政府部内でよく検討してみたいと、こう思っておるところでございます。
  185. 中野鉄造

    ○中野鉄造君 景気対策として、政府はもう御承知のように、公共事業費の七五%の前倒しを閣議決定しておりますけれども、したがって、こういうことになりますと当然下期にはまたぞろ二五%でいくしかございませんし、そういうことになってくるとまた息切れをする、そしてまた前年度の繰り返しで、次年度において公共事業の大幅な前倒しがまた行われるというようなこの繰り返しで、結局景気の浮揚というものがこういうようなことの繰り返していいかということを非常に私不審に思うのですが、いかがでしょうか。
  186. 河本敏夫

    ○国務大臣(河本敏夫君) 経済政策の目標、これは七カ年計画にも書いてあるところでございますが、それは何かと言いますと、わが国経済を安定成長路線に定着させる、これが目標でございまして、それによって初めて国民生活の充実、向上が図られ、わが国が国際社会に貢献できる経済力を維持できると、こういうことでございますので、経済の安定成長があくまで必要だと、このように考えております。  そういう角度から考えてみますと、上半期、先ほど申し上げましたような公共事業と住宅の繰り上げ執行をいたしますが、そこで幸いに景気全体が活力を回復するということであれば大変結構だと思いますが、しかしながら、どうもうまくいかない、なお力が大変弱い、こういうことになりますと、これはほうっておくわけにはまいりませんから、これもしばしば御答弁申し上げておりますけれども、そのときにはやはり適切な対応が必要であると、このように考えております。
  187. 中野鉄造

    ○中野鉄造君 公共事業費がもう五十五年、五十六年、五十七年と横ばいになっておりますけれども、ところで建設国債発行額、この三カ年それぞれ幾らになっておりますか。
  188. 松下康雄

    政府委員松下康雄君) 五十五年度の建設公債発行額は、当初予算で六兆七千八百五十億でございます。五十六年度におきましてもこれは六兆七千八百五十億でございまして、五十七年度の発行予定額は六兆五千百六十億でございます。
  189. 中野鉄造

    ○中野鉄造君 そうしますと、先ほどから申しておりますように、公共事業費の七五%が上期に前倒しということになると、下期において先ほどから言っておりますように、これは息切れする。またこれは建設国債発行ということになりますが、そうならざるを得ないでしょう、いかがでしょうか。
  190. 河本敏夫

    ○国務大臣(河本敏夫君) 先ほども御答弁いたしましたが、建設国債を発行するということは決まっておりませんで、適切な景気対策を進める必要があると、こういうことを申し上げたわけでございます。
  191. 中野鉄造

    ○中野鉄造君 まあ、いまのところはそれはなかなかこういう予算の審議の時期でもありますし、言えないと思いますけれども、いまお答えがありましたように、建設国債のこの当初予算額に対して、実績が五十五年度において千七百五十億円、五十六年度で二千五百五十億円、当初予算以上に、これは超過額ですけれども、発行しているわけですね。そうすると、今度は五十七年度においては建設国債のこの当初予算が前年度の実績よりも五千二百四十億円これは下回って計上されているわけですから、結局五十七年度下期においては六兆五千百六十億円のこの枠以上にかなりの額がここに発行されるというようなことにならなければ、いまの景気は浮揚しないじゃないかと思うのですが、いかがでしょうか。
  192. 河本敏夫

    ○国務大臣(河本敏夫君) いまの段階はとにかく公共事業を最大限繰り上げる、公的住宅、これも最大限繰り上げる。そして金融情勢も、まあ国内は金利をもっと下げられる条件は熟しておりますが、国際的な条件等がありまして下げられないわけでございますが、しかしアメリカの金利もどうも下がる方向に行くのではないかと、こういう見通しも出ておりますので、その場合は当然低金利政策をさらに一段進めることも可能だと、こう思っておりますけれども、いずれにいたしましても現段階はともかくやれるだけのことをやってみる。そして世界経済も後半――まあいろいろ見通しはありますけれども、回復の方向に行くであろうと、このように言われておりますので、民間経済の力が出てまいりますと、これは私は民間の設備投資というのはGNPの大体一六%ぐらいを想定をしておるんです。公共事業というのは大体GNPの九%ぐらいでありますから、一六%のこの民間の投資計画、それと住宅の方はGNPの約六%ぐらいになっておりますから、民間の設備投資と住宅が軌道に乗って力を回復するということになれば、それはそれで私はつないでいけると、こう思います。  しかし、いまの御質問はそうならぬ場合はどうするかということでございますが、その場合は適切な対策が必要であるが、それはその時点において相談をするのだと、こういうことを申し上げたわけでございます。
  193. 中野鉄造

    ○中野鉄造君 民間の設備投資と言われますけども、その長官の言われる民間というのは大企業ということじゃないでしょうか。中小零細企業を指しての民間じゃないと思うのですが、いかがですか。
  194. 河本敏夫

    ○国務大臣(河本敏夫君) これは両方でございます。ただ、五十六年度などは全体の民間の設備投資計画を四十二兆ぐらいあると想定をしておりましたが、五〇%以上がやっぱり中小企業の投資計画になっておりまして、大企業の方は五〇%以下になっております。五十六年度経済が予想を下回ったということは、この五〇%以上を想定しておりました民間の設備投資が十数%落ち込んだということも一つの大きな原因でございますが、いま申し上げましたGNP一六%の民間の設備投資を想定しておるという内容は両方を含めたものでございます。
  195. 中野鉄造

    ○中野鉄造君 そこで総理にお尋ねしますが、総理は赤字国債発行に対して五十九年度までにはこれは絶対にゼロにするということに政治生命をかけると、こう断言されておりますが、その御決意はいまも変わりございませんですね。
  196. 鈴木善幸

    ○国務大臣(鈴木善幸君) 私は、五十九年特例公債脱却、これをもって日本の財政が真に再建できる――それだけでできるとは思っておりませんけれども、少なくともそれは最小限度の目標として私はこれに全力を挙げると、この決意には変わりございません。
  197. 中野鉄造

    ○中野鉄造君 私いま総理に御決意を聞きましたのは、実はそういう赤字国債もさることながら、建設国債の発行額もかなりのいま額に達しているわけでございますが、現在の累計で幾らになっておりますでしょうか。
  198. 松下康雄

    政府委員松下康雄君) 四条公債の残高は、五十七年度当初予算で申し上げまして五十五兆六千百十二億円でございます。
  199. 中野鉄造

    ○中野鉄造君 そうしますと、建設国債もまた六十年から返済が始まるわけですけれども、この建設国債、赤字国債と合わせて、これはもう、いよいよそのころからかなりの額を支払っていかなくちゃいけない。六十年から六十九年までの十年間に返済期限の来る建設国債が約百五兆円、この中の六分の五がこれは借りかえられるとしましても、六分の一の十七兆五千億円はこれは現金で償還することになりますね。一方、全額を現金償還することになっておる赤字国債分三十八兆円、これを年平均にして毎年約五兆五千億円というものを償還していかなくちゃいけない。もっとも、毎年それまでに積み立てた償還のための財源であります国債整理基金というものが五十九年ごろには約六兆円を超える額にたまっているんじゃないかと思いますが、しかしそれも約一、二年でなくなってしまう。そうなりますと、そのころの返済償還計画というものはどういうふうになっておりますか。
  200. 松下康雄

    政府委員松下康雄君) これは私どもの財政の中期展望は、ただいまのところ昭和五十九年度、六十年度までを見通しておる数字でございまして、実はそれから先につきましてはよるべき経済指標等の手がかりがございませんので、私どもとしての明確な計算は実は作成できないでいるわけでございます。しかしながら、これは衆議予算委員会におきまして、特定の前提を置きまして、今後の経済成長率はこれだけと考えてみよう、国債発行の増加はこれだけと考えてみようということで、将来推計をいたしたものを実は作成をしたことがございます。  これらによりますと、おっしゃいますように国債整理基金の残高は五十九年度の六兆四千三百億がピークでございまして、六十二年度には残高がなくなる、これ以後は全体を一般会計負担によって償還をいたしていくという状態が続くわけでございます。これを単純にそのままの負担ということで考えてまいりますと、ピーク時には相当の要償還額を生ずるわけでございますけれども、これはあらかじめ負担を平準化するためにある前提を置きまして事前に予算繰り入れをやっていくという措置を講じます場合には、その最終の、最大のピーク時におきましてもかなり改善した姿も期待できる、大ざっぱに申しましてそのような計算になってございます。
  201. 中野鉄造

    ○中野鉄造君 おっしゃるように、非常に大ざっぱ過ぎてちょっとぴんときませんけれども、いま一番初めにお答えになったように、五十九年度ぐらいまでの試算しかできないと。ところが、現実はその五十九年から先が最もこれは大変な時期に入るわけですけれども、いまも言っておられましたように、法で定められたとおりに赤字国債を償還していくということになれば、それに必要な額を一般会計の財源の中からこれは繰り入れていかなくちゃいけないというようなことになるのじゃないかと思いますが、単純計算しても、ピークの六十五年度にはそのためだけに約六兆円を超すところの財源がまた必要になってくるわけでございますが、いま申しましたように、五十九年度から先のことはまだ考えていないということだとか、そうした五十九年度から先の厳しい現実、そういうようなものはこれはもういやおうなく来るわけなんですけれども、まず大蔵大臣、そして総理、ひとつそこのところをお答えいただきたいと思います。
  202. 渡辺美智雄

    ○国務大臣(渡辺美智雄君) 御指摘のとおり、六十年以降の国債償還というものは何兆円というものを現金償還するわけですから、これは言うべくして非常に大変であると私も考えております。したがいまして、それまでに行財政改革等を図り、まず歳出の抜本的な発想の転換にある削減、これをやっていかなければ……。一方、歳出は現行体制ではふえるばかりですから、ふえるものはどうしても――年金のようなものは抑えられない。これは仕方がないです、ある程度は。しかし、その他の部分についてはもう高度経済成長時代にできた体質から安定成長時代に切りかえてやるわけですから、歳出構造にもメスを入れる、そういうようなことを中心にして、また一方、いま河本長官がおっしゃいましたように、やっぱり景気がどんどん落ち込んでいっちゃってうんと縮小再生産になったんでは税収が入らないという問題がありますから、もう物価を高騰させない限界において効果のあるいろんな景気の持続策というものも図りていき、総合的に国力を強めて、借りた借金は返していかなきゃならぬ、そう思っておるわけでございます。
  203. 鈴木善幸

    ○国務大臣(鈴木善幸君) ただいま大蔵大臣からも申し上げましたように、六十年度以降の国債の処理というのはわが国の財政にとっては本当に大変な重圧であり、またこれをいまからこれ以上ふやすようなことがあってはいけないというようなことから、私がこの内閣の最大の政治課題として行政の改革と財政の再建というものを取り上げたわけでございます。私どもはこの初心を貫くために、今後行財政全般にわたりまして思い切った見直し、改革をなし遂げていかなければいけない、このように考えております。
  204. 中野鉄造

    ○中野鉄造君 では次に、反核、軍縮の問題に入っていきますが、核兵器は人類を滅亡に導くものである、核兵器を使用することはもう天地人道にこれは反するばかりでなく、人類に対するところの最高の犯罪行為であると私は確信いたしますが、総理、いかがですか。
  205. 鈴木善幸

    ○国務大臣(鈴木善幸君) 御指摘のように、核兵器は人類の滅亡につながるような惨禍をもたらすものである、このように考えておりまして、これが効果的な縮減、そして究極においては核兵器の廃絶ということに向かって私どもは努力しなければいけない、こう考えております。
  206. 中野鉄造

    ○中野鉄造君 ところで、総理にお尋ねいたしますが、去る三月十九日付で、自民党では幹事長名で衆参両院議員に対して、「核兵器及び軍縮問題に関するわが党の態度」という文書が送付されておりますけれども、その中に、わが党としては野党各党や諸団体の運動と一線を画し、自民党独自の立場で運動を推進することにいたしておりますので、野党等の運動には参加しないようにお願いいたします、こういうことがありますが、この中で、野党各党や諸団体の運動と一線を画し、このことが過日のわが党の田代委員の総理に対する署名要請に対し、翌日になって丁重にお断りになってきた理由かと思います。  そこで、参考までにお尋ねいたしますが、こういうグローバルな人類の生命の存亡にかかわるようなことは、それこそ野党も与党もない、西側も東側もない。それこそ総理もいま言われたように絶対悪と思われるならば、人類に対する共通の罪悪としての態度こそこれは肝要じゃないかと思いますが、われわれ野党とどういうところでその一線を画されるのか、またなぜその参加を制止されるのか、そこいら辺をお尋ねしたいと思います。
  207. 鈴木善幸

    ○国務大臣(鈴木善幸君) 野党各党や民間の各団体の反核運動と一線を画する、その一線を画するという意味合いにつきましては、これいろいろ議論のあるところであろうかと、こう思っております。  ただ私は、この核兵器の廃絶を含む核軍縮、この大目標を達成をいたしますためには、何といっても、核の超大国である米ソが大きな責任と自制を持ってこの問題に取り組んでもらわなければいけない、このように考えておりますし、またその他の核兵器保有国についても、私は一層この核兵器の及ぼす平和への脅威、惨禍というものを考えまして、一層今後自制と反省を絶えずしながらこれを低位にだんだん縮減をしていくという努力をしていかなければいけないと、このように思うわけでございます。  したがって、私どもは、アメリカだけを責めるとか、あるいはソ連だけを責めるとかいうことでなしに、核保有国全体に対してこの核戦力の縮減、核兵器を思い切った低位にこれを抑制をするという方向で現実的に取り組んでいく必要がある、このように思うわけでございます。
  208. 中野鉄造

    ○中野鉄造君 総理は、過日来日いたしましたワインバーガー国防長官との会見の中でも、当面の国際政治に臨むわが国の基本見解四項目の中で、やっぱり西側が軍事力の面で優位に立つことは軍事的抑止力となり、軍縮交渉にも役立つ、そういったような面の理解を示されたように思いますが、そういうようなところから今後、いまの総理の御答弁なんかを聞いておりますと、総理の反核というものが、先ほどは絶対悪というように言われましたけれども、どうも聞きようによっては、絶対悪じゃなくて必要悪というようなふうにも感じ取れるんですが、絶対悪なんですか、必要悪なんですか。
  209. 鈴木善幸

    ○国務大臣(鈴木善幸君) 私がワインバーガー米国防長官と話し合いました際に、御承知のように、現在のアメリカのレーガン政権は、米ソの間の核軍縮の問題にいたしましても、やはり均衡の上に立って交渉をしなければよりよい結果は生まれてこない、こういう考え方の上に立っておるわけでございます。これは長年にわたる米ソの交渉の体験から生まれてきた私は政策であろうかと思うわけでございまして、一方が圧倒的な優位に立っておって、そしてこれを抑え込んでいくというような形では、真の軍縮に向かって着実な前進は期待できない、こういう主張に対しては私も理解がいける、こういうことを私は申し上げたわけでございます。  と同時に、むしろ私の申し上げたのは、その均衡ということよりも、その均衡を低い水準、低位にこれを軍縮あるいは軍備管理等によってやっていくというところに重点を置いて申し上げたことをつけ加えておきたいと思います。  それから私どもは、核軍縮、核の廃絶を究極において目標としていくわけでありますが、それにはやはり現実実現可能な段階的にこれを進める以外にない。われわれは現実の政治に取り組んでおるわけでございますから、そういう観点に立ちまして、ただ核は絶対悪であるということでこれを廃絶すべしという声を上げておるだけでなしに、われわれは政治の場においてこれを推進をしていくという立場から、私は先ほど来、均衡を崩さない形において米ソ核超大国を初め核保有国が自制の上に立って軍縮に向かって着実にこれを前進をさせる、こういうことにわれわれは努力したいということを申し上げておるわけであります。
  210. 中野鉄造

    ○中野鉄造君 そうしますと、くどいようですけれども、総理は二月に核兵器は議論の余地のない絶対悪であると答弁された、いまもそれは変わりないわけですね。
  211. 鈴木善幸

    ○国務大臣(鈴木善幸君) 人道的な立場からいたしましてそのように考えておりますが、現実の国際政治なり、日本の安全保障の考え方も政治の上から重要にわれわれは考えて対処したい、こう思っております。
  212. 中野鉄造

    ○中野鉄造君 核兵器はもう絶対悪であるというりであれば、アメリカであれ、ソ連であれ、英国であれ、中国、フランスであれ、そういったような核保有をしている国は、これは基本的には全部人道的にはけしからぬと、こう思いますが、いかがですか。
  213. 鈴木善幸

    ○国務大臣(鈴木善幸君) 人道的にはそういう指摘もできると思いますが、国それぞれ自分の国の安全保障、ひいては世界の宇和と安定のために、そういう抑止力としての核の保有ということを考えておる、そういう政策の立場というものも無視できない、こう思っております。
  214. 中野鉄造

    ○中野鉄造君 先ほどもちょっと同僚議員からお話に出ました各市町村の反核宣言というものも、また欧州諸国の反核運動というものも、そしてまた私たちも何も反米のための反核を唱えているわけではないわけですが、いわゆる核兵器という絶対悪に対して反核を唱えているのであって、人類を滅亡させるような核兵器を持っている国は、これはいま総理がおっしゃったように、その国の政策を守るためとかなんとかいろんな理由がありましょうけれども、そういう人類に対する最大の悪である核兵器を持っているという、そういう国はこれは絶対に許せないんじゃないか、そういう持っておるという行為としてですね。そういう意味からすれば、それによって反米であるとか反ソであるというようなことを言われても、私はもうそれはいたし方ないと思うのですが、要するに、核保有国の中で、特に米ソというものは核保有の超大国であるわけですが、そしてまた、人類を滅亡させるような広島型の千五百倍も破壊力があるような、悪影響をもたらす、そういう兵器を持っておる、そういう意味で絶対悪だと私は総理にお尋ねしているわけですが、いかがですか。
  215. 鈴木善幸

    ○国務大臣(鈴木善幸君) 核兵器を戦争の手段としてこれを使うということは、私は許されないことであると、こう思っておりますが、それを抑止力として持っている国はこれは許せない存在であるというぐあいに短絡的に私は言うわけにはいかない。問題は、その抑止力を越えて、それを戦争手段に使って人類を破滅に導くような、そういう行為、それは断じて許されない、こう思っております。
  216. 中野鉄造

    ○中野鉄造君 総理のおっしゃることを聞いておれば、持つ分には構わないというように聞こえてくるわけですね、使いさえしなければ持つ分には構わないと。そういうことになれば、軍縮の意味もないような、核廃絶というような、そういうあれも非常にぼやけてくるんじゃないかと思うのですが、しかし、それをいつまで言っておっても時間がたちますので、私、その次の質問をいたしたいのですが、わが国は非核三原則を打ち出しておりまして、国連軍縮総会でも園田元外相はりっぱな演説を行いました。そして、内外ともに、日本は非核三原則を遵守している国家である、こういうように宣言をしたわけですが、諸外国もわが日本を見て、日本は非核三原則を遵守している国であると、そういうふうに見ていると思いますか。
  217. 鈴木善幸

    ○国務大臣(鈴木善幸君) 非核三原則は、御指摘のように、わが国の国是とも称すべき重要な政策であり、またこれは平和憲法の精神に沿うものである、このように考えております。したがいまして、わが国が非核三原則をあくまで堅持しておるという立場、これをあらゆる機会に世界の人々に徹底をし、また理解をしていただく、またその精神を広げていくということが私は世界の平和と安定のために重要なことだと、このように考えております。
  218. 中野鉄造

    ○中野鉄造君 過日、総理は、同僚議員の質問に対して、月本は非核三原則を国是としている国だから、それ以上に各自治体で非核決議をするのはほとんど意味がないと、そういったような趣旨の御答弁がありましたが、つまりわが国は非核宣言を外に向かってこうやってやっているので、もうそれより以上にする必要はないと、そういうふうな認識なんですか。
  219. 鈴木善幸

    ○国務大臣(鈴木善幸君) 私は、非核三原則を全国土に向かって実施しておる、また宣言もしておるということでございますから、その上に、個々に、この町村は宣言、決議をしたとか、ここはしないとか、そういうことは私はあえて必要がない。日本全国土が、全国民が非核三原則を国是としてこれを堅持しておるということでございますから、十分これで世界の人々に御理解がいただける、日本の姿勢というものははっきりしておる、こう思います。
  220. 中野鉄造

    ○中野鉄造君 であるならば、この論議についてはこれで終わりますけれども、最後にひとつ、総理、ここで明確にいま一度総理の口から、日本は非核宣言国家であるということを明確におっしゃっていただけませんか。
  221. 鈴木善幸

    ○国務大臣(鈴木善幸君) 全くそのとおりでございます。この立場というものは今後とも堅持されなければいけない、こう思っております。    〔委員長退席、理事土屋義彦君着席〕
  222. 中野鉄造

    ○中野鉄造君 そのとおりじゃちょっと私不足なんですが、非核宣言国家であるということでしょうか。
  223. 鈴木善幸

    ○国務大臣(鈴木善幸君) 私は、非核宣言国家という表現がよろしいか、非核三原則を堅持しておる国という表現で私はいま申し上げておるわけでありますが、この非核三原則の堅持につきましては、国会で満場一致で決議をして世界に宣明いたしておりますから、私はそれで十分である、りっぱなものではないかと、こう思っております。
  224. 中野鉄造

    ○中野鉄造君 では、次に、対米軍事技術提供についてお尋ねいたしますが、五十七年度予算成立後の早い時期に対米軍事技術提供問題について政府は閣議了承に持ち込むような様子を聞きますけれども、決定後ではこれは間に合わないので、日本としてあるべき立場なり、総理御自身の持っている理念、真情をまずお聞かせいただきたいと思います。
  225. 鈴木善幸

    ○国務大臣(鈴木善幸君) 私は、武器輸出禁止三原則、政府の見解、またそれに準拠したところの武器技術の輸出あるいは共同研究開発の問題、この問題は、私は今後も堅持されなければいけない、このように考えております。  ただ、武器技術の交流の問題につきましては、日米間におきましては、御承知のように、日米安保条約なり、あるいは協力援助協定なり、関連取り決め等がございます。そういう観点から、この武器技術の問題、方針を日米安保条約等との関連でどのように調整をするか、こういう問題はただいま関係各省庁の間で検討を進めておるところでございます。
  226. 中野鉄造

    ○中野鉄造君 先ほど総理は、非核三原則に対する国会決議ということ、これが最高のものであって、これを絶対破るなんていうことはゆめゆめこういうことはあり得ないという御答弁がありましたけれども、いま対米軍事技術提供ということに絡んで、武器輸出三原則に対する基本理念がどうもあやふやになってきているような気がしてならないんですが、御承知のように、昨年の三月三十一日の参議院本会議において、これは全会一致で議決された武器輸出問題等に関する決議、これをどのように理解。されておりますか。
  227. 鈴木善幸

    ○国務大臣(鈴木善幸君) 政府といたしましては、この国会の決議の精神は十分尊重してまいりたい、このように考えております。
  228. 中野鉄造

    ○中野鉄造君 米国への武器技術供与及び共同兵器開発問題について、政府はこれをいろいろな解釈のもとに行おうとしておられるようですが、そのための法的根拠というものをお尋ねしたいのですがいかがですか。
  229. 安倍晋太郎

    ○国務大臣(安倍晋太郎君) 武器技術の輸出または提供につきましては、先ほど総理も答弁をいたしましたように三原則があるわけでございますが、現在安保条約との関係において、アメリカ側もまた技術の提供を要請しております。安保条約との関係においてどうするかということについて目下政府の部内で検討をいたしておりまして、まだ結論が出ていないと、こういう状況であります。
  230. 中野鉄造

    ○中野鉄造君 安保条約を言われるのは安保条約の第三条を指しておられると思いますけれども、この第三条、この中にも私は条約上の義務規定というものはないと、このように確信いたします。それを、義務規定というものはないけれども一般的義務があるというような、そういう非常に詭弁ともとれるようなことでこれをなそうとなさっているように見受けられますけれども、そこで法制局長官にお尋ねいたしますが。この見解はいかがでしょうか。
  231. 角田禮次郎

    政府委員角田禮次郎君) ある特定の武器の輸出なりあるいは武器技術の提供の要請が米国からあった場合に、それに対して直ちに応じなければならないと、そういうような意味の具体的な義務は、御指摘のように安保条約三条にはないと思いますが、この点につきましてはもうすでに再々お答えいたしておりますとおり。ただ、安保条約があり、また先ほど総理の御答弁の中にもありましたように、わが国とアメリカとの間には武器を含む軍事援助の相互協定もございますから、そういう関係において武器輸出なりあるいは武器技術の提供についてどういうふうに考えるべきかということをまさに関係省庁の間で検討しておりまして、そしていまだ結論は得ていないと、こういうことでございます。
  232. 中野鉄造

    ○中野鉄造君 私は、安保条約三条にしてもこれは権利義務規定ではないではないか。つまり、アメリカヘの軍事技術提供を行うか行わないかは、これは日本政府の政治判断であると、このように私は理解するわけですが、先ほどから申しております仮に一般的義務というようなことになれば、これはどういうことを指すことでしょうか、一般的義務とは。
  233. 角田禮次郎

    政府委員角田禮次郎君) 一般的義務という言葉は私使った覚えがないものですからよくわかりませんが、安保条約三条というものがありますから、いかなる場合においても、一切、わが国としてはアメリカに対する援助と申しますか、そういう協力をしないということを、これは全く仮定でございますが、そういうことを言えば、安保条約三条の義務に違反をするということになろうと思います。
  234. 中野鉄造

    ○中野鉄造君 では、逆にその安保条約というものがあるから、いろいろなそういう要請があった場合に、はいそうですかということで一々全部聞かなくちゃいけないということでもないわけですね。つまり、それは日本政府の政治的な判断によって主体性というものはあるわけなんでしょう。
  235. 角田禮次郎

    政府委員角田禮次郎君) 先ほども申し上げましたように、ある特定の武器輸出について必ずそれに応じなければならないという義務はないと思います。ただあくまで、これも先ほど申し上げましたように、一切応じないというような態度をとることは、これは政治的判断としても許されない、条約上の義務としてそういうものはあると、こういうことでございます。    〔理事土屋義彦君退席、委員長着席〕
  236. 中野鉄造

    ○中野鉄造君 そういう、絶対何が何でもやらなくちゃいけないという義務はない、かと言って、またそういうものを全部それに従うというようなことでもないと、やっぱりそれはこっちの判断でということだと、そのように私も理解いたします。  昨年の二月に衆議院の予算委員会で、当時の田中通産大臣は、「「慎む」ということは、やはり原則としてはだめだということ、」なんだと、このように答弁されておりますが、この食い違いをどういうふうにお感じになりますか。「慎む」ということはだめだとあのとき言われているんですが。
  237. 中澤忠義

    政府委員(中澤忠義君) お答え申し上げます。  そのときの田中通産大臣の答弁は、「慎む」とは原則として認めないというふうな態度であるということでございますが、これは、慎重に対処するという政府の消極的な姿勢を示すということを大臣がその前の国会でも申しておりまして、そのことを述べたということだと解釈しております。
  238. 中野鉄造

    ○中野鉄造君 そうしますと、仮に今後政府が、米国のみにこの枠外として武器輸出、まあ技術提供というようなものを含めた武器輸出を認めることになれば、これはもう一大方針転換と言わざるを得ないのですが、そうなると、これまでの国是だとか、あるいは国会決議を無視するというようなことにこれはなりますけれども政府の判断だけでそんなことをされちゃもう大変なことだと思いますので、私はまた改めてくどいようですけれどもお尋ねいたしますが、そういうことはございませんね。
  239. 安倍晋太郎

    ○国務大臣(安倍晋太郎君) 武器輸出並びに武器技術の輸出、提供につきましては、三原則、政府の見解、そうして国会の決議もあるわけでございますが、対米関係につきましてはまた日米安保条約というのもあるわけでございます。その中にあって、どういうふうにこれを決めるかということについていまあらゆる角度から検討をしておるわけでありまして、枠外であるとかあるいは枠内だとかいろいろとあるでしょうが、そういう点も含んであらゆる角度から検討しておるということでございます。まだ結論が出ていないわけでありまして、いままあもっぱら検討中と、こういうことであります。
  240. 中野鉄造

    ○中野鉄造君 六月サミットも目前に迫ってまいりますけれども、いま検討中と、それはいつごろ結論が出ますか。
  241. 安倍晋太郎

    ○国務大臣(安倍晋太郎君) まさに検討中でございまして、いつ結論が出るかということは、ここではっきり申し上げる段階にまだ至っていないわけでございます。
  242. 中野鉄造

    ○中野鉄造君 六月サミット前ですか、後ですか。それさえもわからないですか。
  243. 安倍晋太郎

    ○国務大臣(安倍晋太郎君) サミット前とか役とか、それは関係なしに、とにかくいままさに検討中でありまして、できるだけ早い時期に結論は出さなければならないのじゃないかと、こういうふうに判断はいたしております。
  244. 中野鉄造

    ○中野鉄造君 検討中ということですけれども、先ほどから申し上げておりますように、事は重大な問題でございますので、結論が出たならばどのようになさいますか。
  245. 安倍晋太郎

    ○国務大臣(安倍晋太郎君) もちろん結論が出ればこれを公にはっきりさせなければならないと、こういうふうに考えております。
  246. 中野鉄造

    ○中野鉄造君 次の問題に入ります前に外務大臣にちょっとお尋ねいたしますが、一昨日の新聞にもちょっと出ておりますが、日朝民間漁業協定の改定交渉のために朝鮮民主主義人民共和国の代表が入国ビザをとるに当たって非常に困難が生じているというようなことが出ておりますけれども、これどういうふうになっていますか。
  247. 櫻内義雄

    ○国務大臣(櫻内義雄君) ビザの申請をされておられる方につきましては、過去にもそういうビザを依頼し、また日本が理解をして入国を認めたことがあるのでありますが、その場合に、政治活動は困るということをお願いをしておりましたが、残念ながら、入国後にその当方のお願いとは違った言動をとられたという事実がございまして、現在、その方のビザについてはこれは慎重な扱いをする、どちらかと言えばちょっとそれは困るということを申し上げております。
  248. 中野鉄造

    ○中野鉄造君 朝鮮民主主義人民共和国にいるいわゆる日本人妻の問題についてちょっとお聞かせいただきたいのですが、現在この日本人妻が、私の調査によりますと千八百二十八人いらっしゃるわけですが、これらの方々の在日家族の方々は非常にお互いに安否を気遣っておるわけですが、何せ国交がないばかりに、今日まで二十三年間もいわゆる生き別れというような形になっておりますし、中には片方が死亡されているというような、そういうような現状であります。ここにもその手紙を、いわゆる日本人妻の方々が郷里の自分の肉親にあてられた手紙をここに持っておりますけれども、その手紙の中に切々と望郷の念を訴えられております。また、非常に御不自由な厳しい生活を強いられているということがこの文面の中から拝察できますけれども、総理、そして外務大臣、法務大臣、この北朝鮮在住の日本人妻の方々は日本への里帰りを本当に心の底から待ち望んでいるわけですけれども、どのようにお感じになっておりますか。
  249. 櫻内義雄

    ○国務大臣(櫻内義雄君) 御質問の日本人妻里帰りの問題につきましては、人道的観点から深い関心を有しておる次第でございますが、言うまでもなく国交のない関係にございますために、従来、日本赤十字社を通じて繰り返しその里帰りを要望しておるわけであります。その間に、ただいまお話しのように、先方におられる方々の切々たるお気持ちをあらわしたお手紙が、これも自由に参っておるわけではございません、わずかながらそういうお手紙が来ておって、大変お気の毒な状況にあると、こういうことで、今後とも赤十字社を通じて機会あるごとに里帰りの要望をしていかなきゃならないと、このように思っております。
  250. 中野鉄造

    ○中野鉄造君 総理、いかがですか。
  251. 鈴木善幸

    ○国務大臣(鈴木善幸君) ただいま外務大臣からも御報告申し上げましたように、政府は、国交が開かれておりません関係から、赤十字社を通じましていままで何度となくこの問題を要請を続けてきたところでございます。それに対しまして先方では、それらの方々は非常に幸せな生活を送っておるのだから心配をする必要がないというような返事が返ってくるだけでございまして、前向きにこの里帰り等の問題あるいは自由な音信の交換、そういうようなことが十分できないでおるというのが現状でありますが、昨年来、政府としても二度、三度にわたりましてこの問題は粘り強く向こう側と折衝しておるというのが現状でございます。
  252. 中野鉄造

    ○中野鉄造君 一昨年、つまり五十五年九月に自民党のAA研の方々が北朝鮮を訪問しまして金日成主席にこの問題を訴えたときに、金日成主席は日本人妻の訪日、つまり里帰りですね、里帰りと、日本にいるその家族の訪朝を歓迎する、事務的な問題は朝鮮労働党、対外文化連絡協会と連絡をとって話を進めてほしいと表明されておるようですが、このことによって、北朝鮮側の窓口が、朝鮮赤十字会ではなくて朝鮮労働党及び対外文化連絡協会であることが明確になったような気がいたしますが、先ほど外務大臣がお答えになった、赤十字を仲介としての連絡というようなものとどういうふうな関係になりますか。ちょっと違うんじゃないでしょうか。
  253. 櫻内義雄

    ○国務大臣(櫻内義雄君) ただいまおっしゃるような連絡の方法もそれはあるかと思うのでありますが、政府としてとり得る連絡方法としては、現状におきましては、先ほど申し上げたとおりの赤十字社を通ずることが至当である、こういうことで、詳しく申し述べるとなかなか時間の必要なことでありますので、必要に応じて資料を差し上げますが、五十六年、五十七年、いろいろと交渉をしておりますが、なかなか明るい展望を見られないという現状でございます。
  254. 中野鉄造

    ○中野鉄造君 ひとつ人道的な立場に立って、本当に前向きた肉親の方々の身になって鋭意努力をしていただきたいことをお願いいたしまして、次の質問に移ります。  エネルギー関係、特に石油備蓄についてお尋ねいたしますが、エネルギー安全保障の観点から、石油代替のエネルギーの開発や、あるいは省エネ対策を積極的に推進するということはもとよりのこと、突発的緊急事態に対処するために石油備蓄の重要性ということはもちろん十分承知しております。  そこで、わが国の備蓄の現況をお尋ねいたします。
  255. 小松国男

    政府委員(小松国男君) いま先生からお話ございましたように、日本の場合は非常に海外に対する石油の依存度が高いわけでございますので、こういう脆弱なエネルギー構造に対して、エネルギー政策の観点からできるだけ備蓄水準を上げる、特に欧米諸国は現在でもIEA加盟国で大体平均百七十日というような備蓄を持っておりますので、これとの関連も踏まえ、日本として最大限の備蓄努力をしようということで政策を進めてまいっておるわけでございます。まず、五十三年以降、石油備蓄法によりまして民間につきましては九十日の備蓄を維持するということをいたしておりますし、政府備蓄につきましては、六十三年度に三千万キロリットルを目標として国家備蓄を推進するということで備蓄基地の建設を進めておるわけでございます。ただ、備蓄基地の建設にはおのずから時間がかかりますので、その間タンカー備蓄、こういうもので備蓄を進めておりまして、現在の政府備蓄は五十六年度末で千百五万キロリットル、約十七日分ございます。これと同時に、国家備蓄の建設基地についても、むつ小川原、苫小牧その他特定の基地につきましては、フィージビリティースタディーを終わり、建設を推進いたしておる、かような段階でございます。
  256. 中野鉄造

    ○中野鉄造君 六十三年末まで、いまおっしゃったこの六カ所の備蓄基地が完成できますか。
  257. 小松国男

    政府委員(小松国男君) 国家備蓄の備蓄基地につきましては、五十三年以降いわゆるフィージビリティースタディーという調査をいたしておりまして、すでに十一地点について調査をいたしまして、さらにそのうちの六地点につきましては立地決定済みでございます。この六地点のうち、むつ小川原地区と苫小牧東部地区、これはすでに主事に着工いたしております。それからさらに、昨年度立地決定を行いました白島地区、福井臨港地区、上五島地区及び秋田地区、これら四地区につきましては、現在工事に着手するための準備をいたしておるわけでございます。これ以外にも、志布志地区につきましては現在地元調整を行っている。それからさらに、地下備蓄につきましても、実証プラントの検討を進めると同時に、三カ地点についてフィージビリティースタディーの調査を実施しているということで、六十三年度に三千万キロリットル目標を達成することは可能であるというふうに考えております。
  258. 中野鉄造

    ○中野鉄造君 六十三年度までにこの備蓄が完成すると。しかし、それまでには相当莫大な資金がこれはつぎ込まれることになると思いますが、ところで私、ここで非常に問題であると思うのは、この石油備蓄基地が国定公園という大切な自然環境を破壊してまでここに、国定公園内に石油備蓄基地をつくろうとされているということが問題だと思うのです。すなわち、石油公団が昨年昭和五十六年九月七日に発表した鹿児島県の志布志プロジェクトのFS案について、当時の環境庁の鯨岡長官は、景観を損うという理由でもうこれは絶対に認められない、論外だというような厳しい態度を表明しておられましたけれども、それからわずか数カ月後、鹿児島県の提出してきた修正案に対し、長官の更迭に伴ってその新長官である原長官は、簡単に事実上の了承とも受けとれるようなニュアンスのものを現地に与えているわけですけれども、ここのところをひとつ原長官、御説明いただきたいと思うのです。
  259. 原文兵衛

    ○国務大臣(原文兵衛君) お答えいたします。  昨年の九月七日に発表されましたいま御指摘のFS案、これにつきましては、前長官はこれではいわゆる国定公園の景観を非常に害するので、代案を持ってこいと言われたわけでございまして、志布志地区に絶対に認められないと、こう言ったわけではございません。まずそのことを申し上げておきたいと思います。  それから、前長官時代と私になってからいまの時代と、自然公園あるいは国定公園等に対する環境庁の方針なり姿勢が変わったかというと、これも全く変わっておりません。われわれはあくまでも自然を守り、また国定公園、国立公園というような大事な、破壊されたらなかなか元へ戻らないようなものを大事にしていかなければならないという点におきましても、何ら変わっておるわけではございません。  九月七日のFS案の発表以来、鹿児島県と環境庁の事務当局の間で何回もこの問題につきましていろいろと折衝を重ねてきたわけでございます。そうして、環境庁といたしましては、国定公園の解除につながらないこと、それから景観を台なしにするようなそういう大きな景観に著しい影響を与えるようなものはいけない、この二本を基本といたしましていろいろと折衝を重ねてきまして、そうして、最後に出てきました代案が、最初のFS案は浜辺から二百メートル沖に出したところに出島式でもって基地をつくるという案でございましたが、鯨岡長官のときもこれは非常に景観に与える影響が多過ぎるというので代案を持ってこいと言ったわけですが、最後に出てきた代案は、浜辺から五百メートル沖に出す、面積を縮小する、それから鹿児島の志布志湾というのは北から南の方にずっと湾曲している浜辺でございますが、南の方に六百メートル寄せるというような代案でございまして、まあそれが出てくるまでには長い間いろいろと折衝したわけでございますが、これならば、まあ確かに何かつくれば景観に影響を与えることはゼロということはございませんけれども、まあまあぎりぎりのところ景観を台なしにするようなことはないし、もちろんのこと国定公園の解除にはつながらないということで、これならばこの位置においてアセスメントをやってもいいじゃないかというようなことの意味でもって私が検討に値すると、こう申し上げたわけでございます。  これだけ五百メートル出しますと白砂青松は守られると私どもは考えておりますし、また景観の方も確かに影響なしではございませんけれども、台なしにするような影響じゃない。それから出島には、この周りに百メートルの築堤をいたしましてそこに植栽をする。まあ植栽も仕方でございますが、その植栽によってタンクが海岸等から見ても見えない、一つの島みたいに見えるというような観点から、専門家も何回も現地に行きまして、まあこういうことでいいんじゃないかという結論に達したわけでございます。  ただ、私は鹿児島県知事に、これなら検討に値すると申し上げましたときにも、もうしかしこれがぎりぎりでもってこれ以上のことは認められませんぞと、もちろんこれ以上というのは浜辺、白浜、それから松原、いわゆる白砂青松にさらに埋め立てをするなんてことはもちろんでございますが、その浜辺の前面の海面におきましてももうこれがぎりぎりの線でこれ以上のものは認められぬというような意味でここでもってアセスメントをやる。まあアセスメントをやれば私どもにはもちろん関係するわけで、そのアセスメントを十分チェックをして潮流なりあるいは景観なりでも、もしそのアセスメントの結果、いまの築堤、植栽におきましても不十分でタンクが見えるというようなことであれば、それについてまたチェックをしてこちらから注文をつけるというようなこと等があるわけでございます。  そういうような意味で検討に値すると申し上げたわけでございまして、自然を保護する、そういう方針なりあるいは姿勢というものは変わりません。御承知のように、ここは国定公園地区でございまして、国定公園というのは県知事の管理に属し、しかもこの海面はここの場合には普通地域になっております。普通地域につきましては県知事に対する届け出だけで済むということでございますが、しかし、私どもはやはり景観に影響するということでわれわれとしても重大な関心を持っていままでやってきたわけでございます。そういう法律上のこともございますが、いま申し上げましたような観点からこれ以上のものを認められないということをはっきり申し上げて検討に値すると、こう述べたわけで、方針が変わったわけではないということを御理解いただきたいと思います。
  260. 中野鉄造

    ○中野鉄造君 ところで、原長官は現地においでになったことございますか。
  261. 原文兵衛

    ○国務大臣(原文兵衛君) 私は就任してから現地に行く余裕、時間もございませんが、申し上げたとおり環境庁のこの担当の専門家等は十分行きまして、そうして景観に与える影響等は十分検討し、その報告を受けておるわけでございます。
  262. 中野鉄造

    ○中野鉄造君 担当官は十分に行ったとしても、やっぱり国定公園の中に、言うなれば日本庭園の中に変な洋式の何かを建てようとするようなことなんですから、国定公園の中にタンク数が四十八基なんですよ。あの大きな備蓄のタンクが四十八基のものがにょきにょきと林立するわけなんです。どこからどう見たってこれは景観を損なわないということはあり得ないのです。景観を損なわないと思うとおっしゃいましたけれども、これは見る人のいろいろな主観の相違でもありましょうけれども、常識的にこれは景観を損なわないということはあり得ない。しかもその修正案が二百メートルから三百メートル離れた、さらに五百メートルになったと言われますけれども、ああいう海岸線の広々としたところでの海の中でのわずか百メートルや二百メートルは余り変わりはしないと思うのです。そういうようなこの地点にこういうものが建つというようなことを現に長官はごらんにもならないで、ただいろいろな担当官からの報告だけで軽々にこういうようなことを検討するとかああだとか、こういうことはちょっと早計じゃないかと思いますが、いかがでしょうか。
  263. 原文兵衛

    ○国務大臣(原文兵衛君) 先ほども申し上げましたように、何かつくれば景観に影響ゼロということはない。それはもう私どもも重々認識しておりましてゼロということはないが、景観を台なしにするような著しい影響を与えるものは、これはいかぬということを、そしてまた国定公園の解除につながるようなものであってはこれはもうとてもだめだという二つの基本方針でもって折衝してきたわけでございますが、これはまあ見方にもよるかと思いますが、まあ二百メートルと五百メートルというのではやはりかなりな違いでございますし、私どもといたしましては、先ほども申し上げましたように、この国定公園の普通地域はもともと法律上は知事に対する届け出で済むという地域でございますが、しかし、国定公園というものを大事にしなくちゃいけないという、また残された白砂青松を大事にしなくちゃいけないという観点から、環境庁としてもぎりぎりの努力をして自然を守ろう、白砂青松を守ろうと、むしろそういう気持ちもあってこういう結論になったわけでございまして、私は現地には行っておりませんけれども、担当官、専門の者がたくさん行っていることを私はやはりその報告によって判断をし、それを信じてやっているわけでございまして、どうぞ御理解のほどをお願いしたいと思います。
  264. 中野鉄造

    ○中野鉄造君 もう一つ重大な疑問がありますのは、何がゆえにわざわざそういう国定公園にここにそういうことが、景観を損なうとかなんとかということもありましょうけれども、なぜ国定公園と名前がついているところにわざわざそういうものをつくろうとなさるのか、この点どうですか。
  265. 原文兵衛

    ○国務大臣(原文兵衛君) 先ほども申し上げましたが、石油備蓄基地をつくるというそのものは環境庁の所管ではなくて環境庁の権限外のことでございます。これは鹿児島県知事がそこに埋め立てをして、そしてまあ石油備蓄のために埋め立てをしようということで、そういうことで知事がこの計画を立てたわけでございます。したがって、先ほども申し上げたように、法律上は知事が自分に対する届け出というかっこうになるわけでございますけれども、やはりわれわれは自然公園、国定公園を守ろうというそういう気持ちからこれに対してチェックをしてきて、そうして代案を出せというようなことでいろいろやってきたわけでございまして、私どもは、いわゆるその位置でアセスメントをするということに対して検討に値すると言ったわけでございまして、石油備蓄基地をここにつくれとか、つくっていいとか、悪いとかいうのは、私どもの方で担当しまた言うべき筋のものではございませんので、これらのことも御理解いただきたいと思います。
  266. 中野鉄造

    ○中野鉄造君 じゃ、長官、聞きますけどね、通産省あたりから、あるいは石油公団または鹿児島県、そういったようなところからいろいろ話が煮詰まってきて、ここに石油備蓄基地をつくるということにいよいよなったときに、環境庁長官としてそれを許可されますか。
  267. 原文兵衛

    ○国務大臣(原文兵衛君) 石油備蓄基地をつくることの許可云々は、これは環境庁の権限でもございませんし、仕事でもございません。これはやがて鹿児島県の方におきまして、私どもが検討に値すると言った位置について、いろいろとアセスメントもやろうかと思います。そしてまた、そこは出島でございますから、埋め立てになりますので、公有水面埋立法としてこれは運輸大臣の方の所管になりますか、あるいは港湾の関係で建設大臣になりますか、それはいろいろこれから検討されると思いますが、そういう場合に、そちらの方の許可になるわけでございます。その場合に環境庁の方にも協議がございますので、環境庁の方は、いわゆる自然を守るあるいは自然公園を守っていくというような観点から、その協議についていろいろとまた意見を言う、アセスメントについてもわれわれとしてもいろいろと注文をつけるというようなことは、これは当然あるわけでございますが、石油備蓄基地をつくることを許可する云云は、これは私の方の関係ではございません。
  268. 中野鉄造

    ○中野鉄造君 まあ手続としては結局こういうことになると思うのです。鹿児島県が運輸省に埋め立て申請を行って、運輸大臣が環境庁長官と協議をする、こういうことになろうかと思うのですね。その段階で原長官はアセスメント資料を検討の上環境保全についてチェックする、こういうように言っておられますけれども、それはつまり環境庁としては修正案は了承したというような解釈をしがちなんですが、どうですか。
  269. 原文兵衛

    ○国務大臣(原文兵衛君) アセスメントの結果、いろいろと潮流に及ぼす影響その他いろいろな問題が出てくるかと思いますが、そういう場合に環境庁としては自然を守る、あるいはまた水質を守るというような観点から十分チェックをしていきたいと、こう思っておるわけでございます。
  270. 中野鉄造

    ○中野鉄造君 もう時間がありませんから、もう一つお尋ねしますのは、この国定公園内の志布志プロジェクトについては、これは自然環境保全審議会の自然公園部会へこれは諮問をすべきだと思いますが、いかがですか。
  271. 原文兵衛

    ○国務大臣(原文兵衛君) 自然環境審議会の公園部会に諮問するかどうかという点につきましては、これはいままで長い間のいろいろなルールがございます。今度の場合は諮問する対象にはなっておりませんけれども、私はやはり非常に大事な問題であるということで、三月四日に開かれました自環審公園部会にその経過等も十分に御説明、御報告をいたしたところでございます。
  272. 中野鉄造

    ○中野鉄造君 環境庁は、昭和五十三年志布志湾港湾改定計画策定のときに、こう言っているんです。これは新大隅開発計画とは別のもので、今後埋め立てについては一切認めない、こういうことでこれは許可をしたはずなんですね。それを今回破るというだけの何か正当な理由がありますか。
  273. 原文兵衛

    ○国務大臣(原文兵衛君) 実は、いわゆる新大隅開発計画というものは、環境庁としては正式に承っておりません。しかしながら伝えられる新大隅開発計画というのは、志布志の国定公園の砂浜に一号地、二号地、三号地というような埋め立てをするというふうに聞いております。そこで、私は今度の検討に値すると申し上げましたときにも、先ほど申し上げましたように安楽川以南については、浜辺を埋め立てるとかなんとかいうことはもちろんでございますけれども、その海面におきましても、これ以上のものは認められないんだということをはっきり申し、これは環境庁の方針であり、これからもこれは守っていくわけでございますが、それによって私はぎりぎり国定公園の景観を守り、また白砂青松を守って、自然公園を守るこの姿勢を貫いたと、私どもは実はそういうふうに考えているわけでございますので、この点も御理解いただきたいと思います。
  274. 中野鉄造

    ○中野鉄造君 そこで、じゃ最後に長官に確認の意味からお尋ねいたしますが、このたびの措置について、原長官はいまもおっしゃいました。はっきりと日南海岸国定公園の安楽川以南には景観を保つため、これ以上の手は加えさせないと、こういうように鹿児島県知事に伝えたということでありますけれども、また三月の五日の記者会見では、石油備蓄基地以外の開発は今後一切認めない、こういうように強調しておられますね。しかし鹿児島県の地元では、原長官から、そういう今後一切認めないなんというような話は聞いていないと、こういうように言っているんです。ですから長官、ここで、こうした公的な席で、ひとつ明確に長官の口から言っていただきたいのです。
  275. 原文兵衛

    ○国務大臣(原文兵衛君) 覚書を取り交わしたわけではございませんけれども、私は鹿児島県知事にはっきり申しておりますし、鹿児島県知事も私からそういう話があったということは、何か県議会でもそういうふうに答弁しているように私は伺っております。  なお、いま申し上げましたように、これがぎりぎりの線で、安楽川以南については浜辺はもちろん、海面につきましてもこれ以上のものは認められないということは、国会でも答弁を申し上げておりますし、報道機関にもはっきり私からも言っておりますし、同時にこれは環境庁の方針として貫いていくということをもう一度重ねてはっきり申し上げたいと思います。
  276. 中野鉄造

    ○中野鉄造君 もう県の管理下にあるとかなんとかということをおっしゃいますけれども、しょせん国定公園を守っていくのは環境庁長官あなたなんです。そのあなたがみずから国定公園を破壊しようというような、それに賛同されるなんということはもうもってのほかだと思うのですけれども環境庁長官、ひとつ今度のこの志布志の埋め立てについては、どういうことがあってもそれはやらないと約束できますか。
  277. 原文兵衛

    ○国務大臣(原文兵衛君) 繰り返しますが、先ほど来申し上げておりますように、今度のいわゆる石油国家備蓄基地のアクセス案に対する代案について、これがぎりぎりの線であるということ。そしてこれ以上のものは安楽川以南については埋め立ても海上に何かつくることも認められないということは、これはもうはっきり先ほど来申し上げているところでございまして、これは私どもが固く守っていくということを重ねて申し上げたいと思います。
  278. 中野鉄造

    ○中野鉄造君 最後に総理、いまるる申し上げておりましたこの問題についていかがお考えですか。
  279. 鈴木善幸

    ○国務大臣(鈴木善幸君)国定公園地域内でもございますし、環境庁長官がお話を申し上げましたように、この自然景観の保全、また環境を守るという点につきましては、十分配慮をしながら今後指導してまいりたいと、こう思っております。
  280. 中野鉄造

    ○中野鉄造君 きょうは石油公団の総裁、お忙しいところをわざわざおいでいただきましてありがとうございました。公団総裁、いまいろいろと環境庁長官との間で論議してまいりましたけれども、いかがお考えでしょうか。
  281. 和田敏信

    参考人和田敏信君) 本件は三点あるのではなかろうかと思います。  一つは、エネ庁長官の方からも御答弁がございましたが、やはり三千万キロリッターというものを備蓄しなくてはならないというエネ庁の方の御要望でございます。  いま一つは、鹿児島県の方の、知事とされて、そこに地元としておつくりになりたいと、十分環境庁の方と御調整の上、また環境アセスメント等に関しましても、県自体とされて十分おやりになって、地元との間の調整も十分つけられて、これを進められたいという点が第二点でございます。  それから第三点が主に公団がかかわるところじゃないかと思いますが、政府の決められた御方針、それから地元、県の御要望、それでいよいよここでやるということになりました場合に、これは私どももフィージビリティー調査をいたしましたが、備蓄基地といたしましては、それ自身として十分立地可能な条件を備えていると思います。また全国的立地規模といたしましても、適正な分配関係にあるのではなかろうかと思います。  それで、ただいま申しました、鹿児島県の行われますアセスメント、それから環境庁との御協議、地元との調整というのがつきまして、これでいくということでありますならば、公団としてはその効率性に関しまして、その時点におきまして十分検討さしていただきまして、これの実施に当たらしていただきたいと、かように考えております。  以上でございます。
  282. 中野鉄造

    ○中野鉄造君 とにかく先ほどからもう何回も申しておりますように、こういう国定公園の敷地内にそうしたものをつくる、あるいはつくったということになると、やはり国民の皆さん方も何かあるんだろう、何でそういうところにわざわざつくったのか、ほかに場所はなかったのか、何かその背後にあるんじゃないかとやっぱり勘ぐりたくもなってくるわけなんですから、どうしてもここにつくらなくちゃいけないというような、そういう考え方じゃなくて、もっともっとほかの適当なところを探すような、そういう努力をされてはいかがかと思うのです。どうですか。
  283. 和田敏信

    参考人和田敏信君) この白砂青松の地というのは国民の共通の財産でございますので、御指摘のような点に関しましては、私どもも十分これを心得てまいりたいと思います。  本件に関しましては、鹿児島県御当局からの強い御要請でございますので、鹿児島県及び環境庁御当局との間で、十分御納得がいくように御説明がつきまして、これでいこうということでございますれば、本件に関しましては、私どもとしては、先ほど御答弁いたしましたように、その効率性に関しまして再度検討を行い、それがいけるということであれば、これは実施さしていただきたいと思っておりますが、冒頭申し上げましたように、国民の共通の財産でありますところの日本の景観を十分大事にしながら、かつ公団の備蓄計画も進めていったらどうかという御指摘に関しましては十分承るものでございます。
  284. 中野鉄造

    ○中野鉄造君 この件については、私も慎重にひとつ今後の成り行きを見守っていきたいと、このように申し上げて次の質問に移ります。  大規模林道建設についてお尋ねいたしますが――参考人の石油公団の総裁結構でございます。ありがとうございました。  森林開発公団が施行事業体となっております大規模林業圏開発林道の件につきましてお尋ねいたしますけれども、この事業計画を策定された昭和四十八年度において実現可能であるとの判断で計画なされたと思いますけれども、全体的な進捗状況はきわめて悪い。計画完成年度というものが予定どおりこれはいきますか。
  285. 秋山智英

    政府委員(秋山智英君) お答えします。  大規模林業圏の開発林道につきましては、かつての薪炭林地帯が最近大変過疎化しておりますので、私ども、潜在生産力を高める意味におきまして一番これが重要であるという判断で、四十八年以来鋭意努力してまいったところでございます。また、地域におきましても、今後の山村振興の定住圏を整備するためにもきわめて重要でございますので、また要望もきわめて高い関係もございまして、極力努力してまいったところでございますが、最近の財政事情その他の事情から計画に対しまして実績が遅延しておりまして、当初計画二十九路線におきまして現在二十路線現に実施しておるわけでございまして、その延長も百八十一キロメーターでございまして、現在二十路線の着工に対しましては一一%ということになっております。
  286. 中野鉄造

    ○中野鉄造君 とにかく、きわめて遅々として進んでいないというのが現況のようです。私の調べた範囲で申しましても、全体の工事計画が千六百六十五キロに対してわずかに工事施行になったのが二十九キロです。昨年一年かかって二十九キロです。いままでの累計で、その千六百六十五キロに対して百八十一キロしか完成されていない。このペースでいきますと、あと残された千四百八十四キロが完成するのには約五十年かかると、ころいうことになるわけなんですけれども、もう一つ臨調からの勧告、答申もあっているようですけれども、ここいらで見直すべきじゃないかと思いますが、いかがでしょうか。
  287. 秋山智英

    政府委員(秋山智英君) 私ども四十八年から実施してまいっておりますが、いろいろとその後の情勢等も変化してまいりましたので、現在、見直すための検討に入っている段階でございます。
  288. 中野鉄造

    ○中野鉄造君 見直す段階に入っているといま言われましたけれども、この事業費を見直すといたしますと、総事業費というものはどのくらいになりますか。
  289. 秋山智英

    政府委員(秋山智英君) 当初の私どもの計画によりますと、二十路線につきまして延長千六百七十キロメーターでございますが、その事業費が五千四百五十億円という計画のもとに事業を進めてまいったところでございます。しかしながら、先ほど申しましたように、もろもろの情勢によりまして、計画が当初に対しましてやはり見直すべき分野も出てまいっておりますが、そこで今後どの程度になるかということでございますが、経済変動等もございますので、私どもといたしましては、やはり計画策定時点から工事完了時までの物価上昇その他の額がおおむね増加するのではなかろうかと、かように推定しております。
  290. 中野鉄造

    ○中野鉄造君 この事業計画に対してかなりおくれているということは、これはお認めになっておりますけれども、大蔵大臣、これは大変なことであると思うのですが、簡単にこの事業を継続することに対して、これは法的に支障はないでしょうか。
  291. 松下康雄

    政府委員松下康雄君) 御指摘のように、この事業自体の進捗は非常に遅延をいたしておりますが、ただ、事業そのものの全体としてみての経済効果等は、私どももこれを認めた上でこの事業のスタートを図ったわけでございます。現在の林野の財政事情等からいたしまして、非常に多額の予算を現在ここに投入できるという状態でございませんために、私どもとしましては、小さな規模の工事を非常にあちらこちらまんべんなくやるというやり方を改めまして、できるだけ早く効果が発現できますように、この対象につきましては、たとえば新規の着工をなるべく抑えて継続事業を優先的にやっていくとか、あるいはまた、その中でも特に効果の発現が早期に期待できるというところを重点的に予算づけをしていくというようなこと等を中心といたしまして、五十七年度予算におきましてもこの事業の進捗を図っているところでございます。法律に違反しているような状態とは考えませんけれども、全体として、これは臨調あるいは検査院等の御指摘もございますので、林野庁ともよく相談をいたしながら、事業効果の発現がもっと早められるような工夫をしてまいりたいと思っております。
  292. 中野鉄造

    ○中野鉄造君 私の調べた数字によりますと、二キロメーター当たり三億一千八百七十六万円の経費がかかるわけなんですね。これがこういうようにまだこれから先長年にわたって続けていくということは、これはいかがかと思うのですけれども、一面、臨調あるいは政策労組等からも森林開発公団に対し廃止をする検討がなされているようですけれども、総理、この臨調等のこうしたお考えについてどのような認識をされておりますか。
  293. 鈴木善幸

    ○国務大臣(鈴木善幸君) 私、まだ臨調のその点についての中間的な報告も伺っておりません。ただ、先ほど来、林野庁長官並びに主計局長からもお話を申し上げましたように、事業内容を精査をして、そして事業の効果の発現の確実なもの、効果が期待できるもの、それにしぼってこれを進めてまいると、こういう方針で慎重に取り組んでおるわけでありますが、臨調から改めて何らかの御答申がございますれば、もとより関係省庁で十分検討いたしまして対処していきたいと、こう思っております。
  294. 中野鉄造

    ○中野鉄造君 これは四月の一日ですか、臨時行政調査会第四部会で検討されたその内容が新聞にありますけれども、いわゆるその中で、「特殊法人等の統廃合・合理化の方針」というものの中に、「公共事業(水資源開発公団、森林開発公団など十四法人)」というのがここに載っているわけなんです。ですから、ひとつこの点、総理よく、また今後の御検討をいただきたいと思うのですが。  この計画を見直すことによって、今日のこの経済的な実情にかんがみ常識的な予算をつける以外にこれは方法がないと思いますが、ちなみに、五十六年度一年間に費やした工事施行距離は、先ほども申しましたようにわずか二十九・三キロ、全体的な工事の計画が千六百六十五キロですから、いままで全部完成した距離は百八十一キロですね。大蔵大臣、この事業費について気の遠くなるようなこれは予算措置になってきますけれども、こういうことを今後認められますか。
  295. 渡辺美智雄

    ○国務大臣(渡辺美智雄君) 非常に厳しい財政事情でございますから国債を発行してやっておるような状態でございますので、それがいつまでたっても、借金の利息がふえていくが道路の方が利用価値がないということは不合理でございます。したがって、予算の執行等に当たっては、よく農林大臣と相談をいたしまして、効果のあるもの、しかけた中でも効果のあるもの、こういうものを優先的に考えていくべきだと思います。
  296. 中野鉄造

    ○中野鉄造君 終わります。  きょう、どうも時間の都合でせっかく通告しておりました省庁の皆さん方に質問できなかったことをおわびいたします。(拍手)
  297. 植木光教

    委員長植木光教君) 以上で中野鉄造君の締めくくり総括質疑は終了いたしました。     ―――――――――――――
  298. 植木光教

    委員長植木光教君) この際、本委員会の運営につきまして委員長から一言申し上げます。  本予算委員会は、一定の期間内に充実した予算審査を行うべき重要な責務を担っております。しかるに、昭和五十七年度総予算審査に当たり、年度末の日切れ法案の処理にも時間を割かれ、また、暫定予算の提出がないまま、予算の空白の長期化による国民生活への影響を避けるため、予算の早期成立を迫られるなど、委員会の運営上困難な状況に置かれてきたことはまことに遺憾であります。  このような事情が常態化の傾向にあることは、従来から指摘されておりましたが、さらに本日、各委員から改めて強い御意見があったところであります。また、今後このような事態が繰り返されることのないよう多くの具体的な提案がありました。  政府においては、各委員の発言の趣旨を踏まえ、本院の予算審議権の十分な行使が制約されることのないよう暫定予算の提出等今後各般の対策に万全を期するよう善処されることを強く要望いたします。  明後日は午前十時から委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後四時二十二分散会      ―――――・―――――