○和田静夫君 ただいま議題となりました
昭和五十三年度決算外二件につきまして、決算委員会における審査の経過及び結果について御報告申し上げます。
昭和五十三年度決算は、
昭和五十四年十二月二十五日
国会に
提出され、同五十六年四月十日当委員会に付託となり、また、国有財産
関係二件につきましては、同五十五年一月二十九日
国会に
提出され、同日当委員会に付託されました。
当委員会は、決算外二件の審査に当たりましては、
国会の議決した予算が所期の
目的に沿い適正かつ効率的に執行されたかどうかについて、広く
国民的視野からの実績批判を行い、その結果を
内閣による将来の予算策定に反映させるべきであるとの観点に立って審査を行ってきたのであります。
この間、決算外二件の審査のための委員会を開くこと十七回、別に述べるような
内閣に対する警告にかかわる質疑のほか、
財政再建、
行政改革の問題を初め、外交、防衛、
教育、科学
技術、社会保障、海外経済協力、
中小企業対策、
日本電信電話公社の不正経理など、行
財政全般について熱心な論議が行われましたが、それらの詳細は
会議録によって御承知願います。
四月二十六日質疑を終了し、討論に入りました。
議決案の第一は本件決算の是認、第二は
内閣に対する八項目の警告であります。
討論では、
日本社会党を代表して目黒委員、公明党・
国民会議を代表して峯山委員、民社党・
国民連合を代表して柄谷委員、
日本共産党を代表して安武委員、一の会を代表して中山委員より、それぞれ本件決算は是認できないが、
内閣に対する警告案には賛成である旨の
意見が述べられ、自由民主党・自由
国民会議を代表して亀井委員、ほかに森田委員より、それぞれ本件決算を是認するとともに、
内閣に対する警告案にも賛成である旨の
意見が述べられました。
討論を終わり、議決案を採決の結果、本件決算は多数をもって是認すべきものと議決され、次いで、
内閣に対する警告案については全会一致をもって警告すべきものと議決された次第であります。
内閣に対する警告は次のとおりであります。
(1) 会計検査院の検査機能の充実強化については、これまで本院において数回にわたり決議を行い、その実現方につき
政府の
努力を要請してきたところである。
政府は、会計検査院の検査機能の充実に関し、当面の実行可能な
措置を講じてきたところであるが、今後とも会計検査院の行う検査の重要性にかんがみ、同院の行う検査の
実施にあたっては、その
目的が十分達せられるよう
所要の
措置を講ずべきである。
(2) 近時、宮崎刑務所をはじめ多くの行刑施設及び矯正管区において、刑務作業製品展示即売会における販売代金の一部等を歳入に組み入れないで資金をねん出し、これを別途経理し、正規の予算で定められた
範囲を超えて、材料の購入あるいは即売会の経費等に使用するなど、会計法令に違反する不正な経理が行われていたことは、まことに遺憾である。
政府は、刑務作業という、行刑施設における処遇の基礎とされ、受刑者にとっては社会復帰のための重要な一手段とされているものに
関連して不正な経理が
指摘されたことを反省するとともに、各行刑施設が行う処遇活動が損なわれることのないよう留意しつつ、適切な管理運営に努め、もってこの種事態の根絶を期すべきである。
(3) 会計検査院が、決算検査報告において不当と
指摘した
事項の中には、たとえば電気
料金において、契約電力が使用実績に比べ著しく過大となっているため不経済な支払いが行われた事例にみられるように、同種の
事項について、多年度にわたり、数箇所の機関において相次いで
指摘されるような事態が見受けられ、しかもその金額が多額に上っていることは看過できない。
政府は、不当経理の絶滅に対する
国民の強い要望にこたえ、会計職員に対し予算執行について一層の注意を喚起するとともに、決算検査報告の
指摘については、単に当該機関における是正をもつて終ることなく、全体の問題として受けとめ、各
省庁等においてその周知を図り、同種事例の存否の点検を促すなど、予算執行の厳正を期すべきである。
(4) 国の予算編成にあたっては、その原資が
国民の税金であることにかんがみ、厳正な見積りが求められるのは当然であるが、毎年度決算上多額の不用額が発生するなどの事態が繰り返されていることは遺憾である。
政府は、現下の厳しい
財政事情の中にあっては、特に
国民から厳格な
財政運営が求められていることを改めて認識し、不用額の発生原因については十分調査
検討して今後の予算編成に役立てるよう努めるべきである。
(5) 東京芸術大学において、一教官が、大学の購入する楽器の選定に関し、収賄容疑で逮捕されるという不祥事件が発生し、これを契機として、さらに同大学における楽器購入の
手続きや教官の個人レッスン等の
あり方及び学生に対する楽器の売買に伴うリベートに関し、問題が
指摘されるなどの事態が生じたことは、まことに遺憾である。
政府は、大学教官が国家公務員であることにかんがみ、今回の事件に対しては厳正に対処するとともに、
指摘された問題については、まず大学当局が自主的かつ積極的な改善
措置を行うよう求め、今後再び
国民の不信を招くことのないよう努めるべきである。
(6)
日本国有鉄道は、諸般の事情により、その経営状況が極めて不良となっており、これに対し
国民の厳しい批判が寄せられている現状は看過できない。
政府は、
日本国有鉄道が、真に
国民の足として信頼される機関となるために、その経営改善について一層配慮するとともに、正常な労使
関係の
確立等について、国鉄当局が実効ある処置をとるよう指導監督するなど、万全を期すべきである。
(7) 近年、官公庁が発注する公共事業の入札に際し、業者間等において、いわゆる談合が行われているとの
指摘があり、公共事業の契約に関して
国民の不信を招くような事態が発生したことは、極めて遺憾である。
政府は、予算の効率的使用の観点からも、この種の入札にあたって公正な競争が確保され、公共事業の適正な執行を図るよう、入札に関する
関係法令の運用の一層の適正化を図るとともに、早急に実効ある対策を講ずべきである。
(8) 近年、特定の地方公共団体において、町税を正規の歳入科目に入れず、別科目で歳入処理するという違法な会計処理を繰り返し、普通交付税の算定資料に作為を加え、さらに虚偽の記載を行うなどして、長期にわたり、不当に過大な地方交付税の交付を受けていたことは、極めて遺憾である。
政府は、地方交付税が全地方公共団体共有の財源であり、地方自治の本旨及び地方公共団体相互の信頼
関係を基礎として運営されるものであることにかんがみ、その
基本的性格及び役割について周知徹底するとともに、都道府県をして地方交付税の検査の徹底と会計処理の適正化を図らせ、この種事態の再発防止に万全を期すべきである。
以上であります。
次に、国有財産
関係二件につきましては、採決の結果、いずれも多数をもって
異議がないと議決された次第であります。
以上御報告申し上げます。(
拍手)
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