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高木健太郎君 それはもう無理じゃないかと思うわけです。病院でも特殊の食品をつくって患者に特殊な栄養食を与えているわけですから、そんな病人でもないでしょうし、無理だと思いますが、ぜひ
学校医と相談をされまして、
先生と家庭と一緒になって、食物であれあるいは体育であれ、個別の指導をしていかなくてはいけない。これは健康上における落ちこぼれといいますか、そういうものに対する配慮も今後必要になるだろうというように思うわけです。
ところで、あとの時間を、
学校の校内におけるいろいろの
災害がございますが、そのうち私がちょっと
経験したことで水泳中の事故というようなことでお聞きしたいと思います。
水泳中に、といってもプールの中でも事故があるでしょうし、あるいは海や川でもあるだろうと思います。こういうことについて、件数なんかはきょうは時間がございませんからお聞きしないと思いますが、これは教育の中に入っているわけですね、水に入るときの注意というものが入っております。それを見ますと、なかなかいいことも書いてあるのです。この
小学校、
中学校の保健体育の方を見ますと非常にいいことも書いてございます。こういうふうにして水になれさせるということはいいことだなというふうに私も思いますし、なかなか系統的にそれを書いてあるということはいいと思うのです。それを全部をここで申し上げるわけにはまいりませんが、ただ、水に入る前はその環境をよく見ろ、禁止地区には入るな、そういう禁止項目がたくさん書いてございます。それから、いきなり水に入らないで準備体操をしろ、体がぐあいが悪いと思うときには水に入るなとか、いろいろの注意事項が
中学校あたりから大分出てきているようでございます。
ただ、いつでも私は教科書を見て感ずるわけなのですが、外国の教科書に比べて非常に何でもが抽象的であるということなのですね。指導要領を見てもそういう具体的なことが書いてない、教科書を見ても書いてない。
学校の
先生がそれは非常に勉強してこられれば別ですけれども、教科書の中だけで言うと、これじゃちょっと困るのじゃないかなと思うことが幾つかございます。たとえば、準備体操をしなさいと、こういうわけですが、どんな体操をするんだろうかなということなのですね。あるいは、よく昔から言われるように、入る前には水を皮膚にもかけなさい、顔や頭にもかけなさい、こういうように書いてある。これは私非常にいいことだと思うのですが、その準備体操というようなものももっと具体的に書いたらどうだということです。あるいは、指導要領にでも書くのですか、あるいはどこかに書いてあるのか知りませんが、そういう準備体操というものはこういうものなんだというようなことも書かなければいけないのではないか。それから、顔を水につけてもぐったり上げたりするという、練習するというのはいいのだけれども、あるいは、口の中に水を入れて出す、特に塩水の場合には口の中に入れて出す、これは非常にいいと思うのだけれども、鼻の中に水が入るということは余り書いてないんですね。鼻の中に水が入って一遍にショックを起こして死ぬ子もあるわけなんです。だから私は大体こういうところに入るには一遍全部入れたらどうかというようなこともひとつ学者
先生と相談されて、そういう絶対にショックを起こさないようなことを
子供によく教えておくことが大事じゃないか。そういうことは書いてございません。口の中に水を入れるぐらいまでは書いてあるけれどもほかは書いてございません。
それから、危ないと思ったら大声を立てて呼びなさいということが書いてあるわけです。ところが実際におぼれるときには大声は立てられないんですね。ずぶずぶと入ってしまうわけなんです。そういうことで同じ溺死といっても、おぼれそうで苦しいから大声を出すというときには出せますが、溺死というようなときには声も出せないということの方が多いわけでして、いつの間にか水の中に沈んでしまっている。教師も父兄も気がつかないというようにしておぼれる人がずいぶんございます。こういうこともこの中には出ている。
私は、教科書というものは
学校保健の中の
一つの非常に重要な指針であると思いますので、
子供が自分自身でそういうことを十分学ぶということで
学校保健を支えていかないと、何もかもお
医者であるというふうにすることは、私は
学校保健の本筋じゃないように思うわけです。この
子供たちが大きくなって自分自身の健康を守っていくわけですから、また、
子供を今度世話するわけですから、やはり義務教育の間に、これは私は水を
一つの例にとったわけですが、それだけではなしに自分自身で自分の健康を管理していくということを
学校保健の中で教えていくというようなことをされることを私は希望いたします。そう思いますと、この
学校保健というものは何か物足りないし、これだけでは大人になって間に合わないのではないかというふうに思うからでございます。
もう
一つ、どうしてもこれは申し上げておかなければならぬことがございますが、救急処置のところがたくさん書いてございまして、心臓マッサージまで書いてあるわけですが、
医者でも心臓マッサージをした人は余りないんじゃないかと思うわけで、ちょっとこれは余分じゃないかと思うのです。とてもじゃないが、
子供が中学生くらいで心臓をマッサージすることはできない。心臓がどこにあるかさえ余りよく知っておりませんから、文句では知っておっても、現実的にはよく知らないのに心臓マッサージはちょっと無理じゃないか。そういう余分な物すごい偉そうなことは書いてあるけれども、現実的なもっと具体的なことが書いてないというところにこの教科書の不満を覚えるわけです。
それから人工呼吸ですけれども、この中学の教科書を五冊ぐらい見ましたけれども、たとえば大日本図書、東京書籍、学習研究社、それから高校では講談社、大原出版、教育出版いずれも
文部省検定済みの教科書でございますが、これが全部口移し法というやつです。マウス・ツー・マウスという人工呼吸でございまして、これはどういうわけでそんなことになってしまったのか。そしてこれを実習させると書いてありますが、どうやって実習するのか、その点は
文部省の方でどういうふうにお考えになっておられますか。たとえば学習研究社というやつなんですけれども、学習研究社の人工呼吸法というのが百三十五ページに載っております。呼気吹き込み法がすぐれていると書いてありまして、それで口移し法の図が書いてございます。その後にちゃんと実習というのがありまして実習するんです。これは実習ってどうやってやるのか。