○木島則夫君
経済政策の
基本につきましてはもうすでに同僚議員から、いろいろなあらゆる角度から質問されておりますので重複は避けたいと思いますので、農産物の自由化の問題についてお伺いをしてみたいと思います。
日米
経済関係の中で牛肉とオレンジは古くて新しい問題だというふうに思います。これまでも摩擦の張本人として日米間に紛争が起こるたんびにこの問題が前面に出て日米の間で火花が散らされてきた、こういった問題でございます。
アメリカ側は絶えず輸入の完全自由化を要求する、これに対して
日本側は
国内の畜産あるいは柑橘農家の保護を理由に自由化を拒否、輸入枠の若干の
拡大で対処をしてきたというのが現在までの経過でございます。こういった経過措置を細かく私ここで申し上げる時間がございませんので、せんじ詰めて申し上げますと、このままの事態を放置すれば、
日本が
世界の孤児になるのは目に見えているということから、鈴木首相も牛肉、オレンジの自由化はやむを得ないという腹を固められたようでございます。過日の日米
貿易摩擦に関する
予算委員会の集中
審議の私の質問に対してもこういった趣旨のことをはっきりとおっしゃっております。
こういう
状況の中で、農業団体は危機意識をみなぎらせて反対をされている、これは当然のことであろうと思います。
その反対理由を幾つかポイントとして挙げてみると、第一の理由としては、
日本は
世界最大の農産物純輸入国であって、日米
貿易不均衡の原因に農産物市場の閉鎖性があるという
アメリカ側の見解は全くの偏見であるというのが、これは第一点。一々理由は申し上げない。
第二の理由、残存輸入品目を撤廃しても、日米のアンバランスの解消にはつながらない、これが第二点。
第三点、牛肉を自由化すれば
アメリカからの飼料用穀物の輸入が激減をする、こういうふうに言い切っていますね。
第四点、
日本の農業全体への打撃、自由化がなし崩しに行われていけば、やがては米にまでこれが波及して農業が壊滅をして、食糧の安全保障上大問題になる。
第五点として、
アメリカもECも
日本以上に農業保護
政策をとっているじゃないかというのが反対の主な柱のようでございます。
私はこれに対してやはり疑問点を感じている。
まず第一に工業と農業とを分断した物の考え方では処理できないということが第一点です。非常にありていに、ざっくばらんに申し上げるならば、戦後の農村の近代化、あるいは耕作の機械化、自動車や家電に象徴される農村の生活革命、こういったものは決して農業の力だけで達成したものではない。むしろ工業分野を
中心とした
日本経済の発展の恩恵が農業の分野にも広がっていった結果こういうふうになったんだというふうに私は解釈をしている。
また、第二の疑問点としては、農産物残存輸入制限品目の二十二品目が本当に国を挙げて、ほかのものを犠牲にしても死守しなければならない対象品目であるかどうかということも私は
問題点であると思う。二十二品目の中には、オレンジとか、いま言った牛肉
——牛肉は確かに大事なものかあります。細かいことで恐縮でありますけれど、あとコンニャクとか落花生、こういったものが
日本の食糧安全保障上どういうつながりを持つかということも、私には必ずしも納得できない。
いろいろ挙げれば切りはございませんけれど、私が具体的な質問に入る前にまず
長官にお尋ねを申し上げたいことは、
日本経済の国際化ということは、非能率な産業分野は海外の
生産力に任せる、
日本はもっと高度な分野に挑戦をするという国際分業の理念にほかならないという見方は間違いでしょうか。多少乱暴な意見で申しわけないんであります。私も農業のお立場、農業団体の御主張というものはよく承知をしているつもりでございますが、この際ある意味で、問題を明確化する意味でいま申し上げた点について
長官の御意見を承りたいんであります。