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政府委員(松浦昭君) 先生御指摘のように、遠洋カツオ釣り漁業につきましては非常にむずかしい情勢にございまして、
基本的に申しますと、
昭和五十三年が底でございまして、それから回復基調にあるというふうに考えておったわけでございますが、またそれに対応いたしまして私どもといたしましても、燃油資金であるとかあるいは経営維持安定資金といったものの融通によりましてできるだけ経営のてこ入れをするという方向でまいったわけでございます。
ところが、最近の情勢から申しますと、本年の一月中旬以降に冷凍カツオの産地
価格が下落をし始めまして、その後一時回復いたしましたが、最近の
状況ではまた再び低落をするという
状況で、いま二百三十円台であるというふうに思っております。これは
生産の動向を見てみますと、必ずしも
生産はふえておりません。また、
需要の動向を見ましても、国内の生食
——かつおぶしが若干
需要が減退しておりますけれども、
一般生食は伸びはかなりございまして、最大の問題はアメリカが高金利政策をとっておるものでございますから、このために
在庫をできるだけ減らすということのためにアメリカへの輸出不振ということが最大の問題になっているわけでございます。
そこで、このような動向に対応いたしまして、私どもといたしましては、なるべくこの魚価を維持するということが重要であるというふうに考えておりまして、実は日鰹連及び全漁連に対しまして
調整保管の実施を話をいたしまして、これは実施の態勢に入っております。それを予定しているという
状況でございます。
それからまた同時に、このような魚価の
低迷の動向に対応いたしまして、実は八月十日に今後の対策につきまして
関係四団体
——これは日鰹連とそれから近鰹とそれに海外まき網漁業協会、それと北部太平洋まき網漁業協同組合連合会、この四者でございますが、この四者を集めまして、この魚価対策について鋭意検討してほしいということを申しまして、この結果、当面この四団体とも品質の
向上に努めるということと、それから今後の冷凍カツオの魚価の推移によりましては水揚げの分散、それから海外から日本への輸出の
調整といったような事項につきまして必要に応じてその実施を検討してまいるということにしたところでございます。
水産庁といたしましては、このような
関係団体の検討結果も踏まえまして、今後の魚価の動向を十分に注意いたしまして適時適切な対応策を実施するということで冷凍カツオの
価格の安定を図ってまいることによりまして遠洋カツオ釣り漁業の経営の安定を図ってまいりたいと思っている次第でございます。
なお、長期の問題といたしましては、やはりこの遠洋カツオ釣り漁業の経営を支えてまいりますには、やはり生食を中心にいたしまして、特に付加価値の高い刺身とかあるいはたたきといったような
需要をふやしていくということが非常に重要でございますし、また同町に空冷装置等をつけさせることによりましてより経営が合理化できるようにし、かつまた自動釣り機とかあるいは省エネ対策といったようなことを重点的に実施いたしまして、このカツオ釣り漁業の長期的な安定策というものをとってまいりたいというふうに考えている次第でございます。