○八百板正君 吉林省公主嶺の
日本式稲作の交流の点について理解あるお答えをいただきましたが、さきに華国鋒さんが
日本に来られて、その後閣僚会議を両国の間でやり、そしてことしの二月にはたしか北京でいわゆる事務レベルの日中両国の交流についてのいろんな話し合いをされたはずでありまして、その中にいま申し上げました吉林省の公主嶺の結果についても中国側が評価しているという話が出ておると伺っておりますが、ぜひひとつすでに行われたことについてどうこう言うのではございませんで、その結果をさらに発展して吉林省なりあるいは東北三省なりに広げていくという形で、組織的な
協力支援体制をつくっていくというような、そういう発展的な構想を両国の間にやっていくというふうなことがあってもいいのではないか、こういうふうな点を考えておるわけでありまして、ひとつ今後いろいろと具体的にお話が進むにつれてひとつ御
協力といいますか、御指導をいただきたいと思います。また同時に中国の
農業の
研修生をJICAを通じて、いろいろと
研修生なりいろんな形の交流が行われてきておりまするけれども、この点につきましても実は私四年前、いわゆる
日本と中国の平和友好条約が成立いたしましたそのとき、東京で当時の福田
総理と、鄧小平さんと福田赳夫さんと調印されました。その同じ日に北京で
日本との条約を記念する、いわゆる平和友好条約の成立を記念する中日、中国
日本――中国流に言いますと中国の方を先に名前出しますが、
日本で言う場合は
日本を先に出しますけれども、中日友好人民公社というものが命名式が行われまして発足いたしました。これには北京の
外務省の大使館からも御
出席されましたが、この際に私が提言いたしまして、中国の
農業の
研修化をそれ以後呼んでおりまして、そうしてこれは
日本の農家に入れて、起居をともにしながら
農業の実際
研修をする、こういう形で進めておりまして、去年は百四十一名入れましてことしは百四十八名入れました。いろいろと
外務省を初め
関係方面の御
協力をいただいておりますが、これはいわゆる自弁の形でわれわれがいろいろ工夫して費用を賄っている形でありますから大変困難なんであります。こういうふうな
事業を
実績の上に立ってそういうものを組織的にやっていくということに対してJICAなり何らかの方法を通じて
協力する、こういうふうな道につないでいっていただければわれわれも気が楽になると思うんです。気が楽というとおかしいけれども、ある
程度までは
民間ベースでやるが
実績ができたならば今度は政府でひとつやってもらいたいというふうな形で、もちろん
民間のベースのものをほごにするわけではございませんけれども、そういう形で乗っけていけば、さらにまた新たなるいろいろと発展の道が別の面でまた開けていくという余力ができてくる、こういうことにもなるように私は思うんです。この点もぜひひとつそういう方向について御検討を願いたいと思います。
要は、
海外に対する
技術協力と言いいましても、実効のある、早くよく結果が出る形で取り組むということがこれは眼目でありまして、ただ形の上だけでああやったこうやったというだけでは物にならないわけでありまして、とりわけこういう問題は意欲的な部分、ある場合には少し突出部分とも言えるほど意欲的な部分と、これを受け入れる、あるいは
協力する意欲的な部分とが結びついて初めてこれは意欲的な前進が見られるのでありまして、ただ国の
方針としてこうだからという形で、中国の場合でもそうです、中国の国家の
方針としてこうだからといって、ひとつこういうことをやるんだからあそこの
地域のどういうものをというふうに上の方からお仕着せみたいに押しつけて、そうしてそれを
日本と結びつけるという形にやったんでは、これはいわゆる意欲がわかないんです。そういう嫌いは中国にもありますし
日本にもある、やっぱりやろうという意欲の起こった部分、場合によると少しはね上がっていると申しましょうか突出部分だと思っても、そういう積極部分を取り上げてこれに対応する交流という形でいって初めて効果のある
協力という結果になると私は思うんであります。そういう意味で、
民間の意欲的な部分の結合、交流、
実績、積み上げというふうなものを、いわゆる国のベースのものにまたこれを引き上げると言うと言葉は不適当かもしれませんが、結びつけていく、こういうふうにしていくことが必要ではないか。ことに三江平原のお話が出ましたけれども、将来三江平原の大きな意味の開発というふうなことが
日本と中国の共同によって行われるという形になりましたならば、これは本当にもう大変な
規模の
協力関係がそこには生まれざるを得ないというものだろうと私は思うんであります。時間もございませんから、この点希望を強く申し述べておきます。
それで、最後にひとつ大いに大臣にがんばってもらいたいと思うんでありますが、何か
農業というものの価値判断というもの、あるいはこれは
農用地開発公団の
仕事でもそうだと思うんです。一体いままで何ぼ金を使ったと、その金使ったことによってどれだけの面積がどれだけよくなったと、すると、
経済効果はどうだと、一般の
企業と比べてそんなむだな金遣いだめじゃないかと、こういうふうな論法が当然つながっていくわけです。私は、それは無論そういう意味で一般の
企業に負けないような経済合理性を発揮しながら効率のある
仕事をしていかなくちゃいかぬという立場はこれは官民ともに同じでございますけれども、それを否定するわけではございませんけれども、やっぱりそういう採算、そろばんだけの立場で
農業というものははかれないものだということをやっぱり大臣はよく御
承知でございますけれども、農水省はひとつ強調していただきたいと思うんです。で、農水省の、これはたしか農水省の試算でしょう、
農業の
役割りとしてどれだけ一体仮にそろばんにはじいていったならばどんな大きな
協力をしているかということを農水省が、農水省の一部だと思うんですが、大臣も耳にしていると思うんですが、はじいたはずです。それによりまするというと、いわゆる米がとれたとか果物がとれたとかということと、もちろんそれも含むでございましょうけれども、一年間に三十兆円の金に換算するといわゆる
経済効果が、
役割りを果たしておるという
数字を出しております。あるアメリカ筋の
数字を見まするというと、私も
余り正確に覚えておりませんが、アマゾンの流域のあのうっそうたる森林の果たしておりまする酸素供給、大気浄化の
役割りは地球上の酸素のたしか三分の一だか半分というふうな
数字を出しておりました。これは非常に計算のむずかしいあれでございまするが、本当にアマゾン流域の繁茂した草木の
役割り、酸素を出して大気を浄化する
役割り、あるいはいまいろんな問題が出ておりまするけれども、あのラプラタ河畔の植物というようなものをちょっと図面だけで考えましてもこれは
世界の恐らく半分以上の酸素を供給していると言っても間違いないと私は思います。
そういうふうに考えますというと、
日本の
農業が
食糧の需給とか
食糧の増産とか、われわれの生命を支える糧をつくるというような意味で果たしていることはもちろんこれは直接的に非常に大きなものでございますけれども、国土の保全の上に果たしておりまする
農業の受け持つ
仕事というものは大きいわけでありますが、こういう点についても十分に啓蒙せられまして、今日の
日本の経済のゆがみというものをとんでもないところに持っていかないようにする配慮が非常に大事だと私は思います。そういう意味で農水省全体を激励したい気持ちであります。
また、
海外への
協力につきましては、私はそれによって何の利益を得るというようなものではなくて、やっぱり
世界じゅうの国々が皆それぞれ
日本と同じような科学
技術の水準に立ち、同じような
農業の
技術水準に立つと、これが基本でありまして、そういうふうにして、おれの方が上だとか差があるというふうな、そういう、差があれば当然に支配
関係が出てくるわけでありまするから、おれの方が上だ、おまえの方が下だというふうな
関係になるわけでありまするから、そういう差のない状態をつくっていくという、そういう基礎に立って
海外の
協力をやっていくというのが私は基本だろうと思います。そして国際的な、共通した、発達した水準の上に立って
世界的な
規模の秩序が保たれていくものだと私はそういうふうに考えるわけであります。
農水大臣の御見解を一言述べていただきまして、私の
質問を終わることにいたします。