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政府委員(
宍倉宗夫君)
恩給法等の一部を改正する
法律案につきまして、
公務員の
給与改定より一年おくれがあるのでおくれをなくすように特段の配慮をするようにという
附帯決議がなされておることは
承知をいたしております。
ただ、毎度申し上げていることでございますけれ
ども、
恩給の
年額改定と申しますのはいわゆる
スライドでございまして、四十八年から行ってきておるわけでございます。
スライドをいたしますときにどういう
指標で
スライドをいたしますかということがなかなか
現実の問題むずかしいわけでございますが、その年その年の
給与の
引き上げ額に応じまして
スライドをしてまいるということは、
現実の問題としてその年初にどの
程度の
人事院勧告があるかということはわかりませんものですから一年おくれの
指標をとっておるということでございまして、各
年度におきまして
恩給が四月なら四月からということで
スライドされていることにつきましては変わりないわけであります。その
指標が一年おくれているということでございまして、これは
指標そのものの問題でございますから、当然のことでございますが
追っかけ追っかけで同じような形になるというようなことで、技術的な問題ということ以上の何物でもないわけでございます。
ところで、本年の場合に、五月から
恩給の方もそれからまた今回お願いしてございます
公務員の
年金の方も
スライドをお願いを申し上げているわけでございまして、これが昨年までの四月とは違うではないか、こういうことでございます。
先生おっしゃっておられますように、
現職の
公務員と
OBになりました
公務員との間の
バランスというものを一体どういうふうに考えるかということでございます。
五十六年の
ベースアップでございますが、この取り扱いにつきましては、
国会の方にいろいろ御相談申し上げまして結果決まりましたことは、五十六
年度の
ベースアップにつきましては、
一つに、いわゆる
ボーナスについては据え置き、五十五
年度並みにする、それから
管理職、
つまり一種、二種の
管理職手当をもらっていらっしゃる方につきましては五十七年の四月まで
ベースアップをしない、一年据え置く、こういうことになっておるわけでございまして、その
ボーナスの分というのを考えてみますと、
ボーナスの分は四・九カ月あるわけでございますが、これが一年間据え置きということになりますと、実際
計算を細かくいたしますと細かい
計算はいろいろ成り立つと思いますが、ごく大ざっぱに申し上げますと、四月、五月、六月で三カ月、それから六月に一・九カ月の
ボーナスをいただきますので、結局四・九カ月おくれということは七月
実施、三カ月おくれということに概念的には同じようなことになるわけです。ただ、はね返りの
計算等ございますので、細かい
計算をいたしますと恐らく六月の半ば
実施ぐらいのカウントになるのだろうと思います。
現職の方は、
ボーナスと普通の毎月の
給与と合わせたもので考えますと大体二カ月ちょっとぐらいおくれている感じになるわけでございまして、それと
OBの方との
バランスを考えますと、
OBの方もやっぱり二カ月ぐらいおくれてもいいんじゃないかという
議論があり得るわけであります。そういたしますと、昨年まで四月
実施でございますから六月
実施でもいいじゃないかという
議論もあり得るわけであります。
片や、昨年の七月に出ました
臨調の第一次
答申では、
恩給の
年額改定については極力抑制するようにという御指示もございまして、その辺のところを
恩給局といろいろ御相談申し上げて、結局のところ、六月じゃなくて五月、
つまり二カ月おくれじゃなくて一カ月おくれにしよう、こういうことになったわけであります。それは、
現職の
公務員との
バランスを考えてみると、さてどっちがいいのか、
現職よりも
OBの方が少し優遇されたかっこうになっているんじゃないかという御批判はあえていただくかもしれないという心配も実はあったわけでございますが、いろいろいたしましてそういうことになった。そこで
公務員の方も
恩給と一緒になった。
片方、それでは
厚生年金や
国民年金はどうか。御
承知のように、
厚生年金で申し上げれば、五%以上
物価が上がりましたときには必ず
スライドをするんだという
規定が
法律にあるわけでございますが、五十六年の
物価の上がり方というのは恐らく五%は切るだろう、
政府の
経済見通しでございますと四・五%ということになっておるわけでございますから。この厳しい
財政状況から考えますと、必ずしも
物価スライドしなくてもいい範囲に入っているものですから、一年休んだらどうだろうかという
議論もずいぶんしたわけでございますけれ
ども、前にもそういうことが一遍あったではないかということも考えてみると、
年金受給者の方々があるいは相当に期待しているかもしれない、その期待を裏切ってもいかがであろうかということで、本来
法律上は義務的でない
物価スライドをいたすことにいたしたわけであります。
その際も、
法律の
規定でございますれば
厚生年金は十一月から、
国民年金は一月から
物価スライドをすればよろしいわけでございますけれ
ども、そこのところは
法律の
規定をもう一歩踏み越えて、
つまりもとから数えれば私
ども、卑近な言葉で恐縮でございますが、リャンハンかかってと、こう言っておりますけれ
ども、
実施時期を繰り上げまして、昨年までの六月に比べまして
恩給や共済の
年金と同じように一月おくれて七月からということにいたしているわけでございまして、これは例年と比べれば確かに一月おくれているということはございますけれ
ども、先ほど来申し上げておりますように、
現職の
公務員の方々との
バランス、それから現在の法制上の仕組みからいたしましてやむを得ないものではなかろうかと思っている次第でございますので、何とぞ御理解賜りたいと存じます。