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新谷寅三郎君 そういうお考えならそれで結構ですから、その点は十分慎重におやりになるように希望しておきます。
それから最後に、もう一つ、まだちょっと時間があるようですから、先ほど
片山さんも問題にされました
放送衛星の問題。
これについては、これからの発展の過程で新しいメディアをどうするかとか、いろんな問題があります。それはしかし、
片山さんからも
お話がありましたし、先般私は
NHKの予算のときにもそういったことについて
意見を申し上げましたから、きょう申し上げるつもりでないんですが、ただ、私はこの数年来非常に気になりまして、歴代の
郵政大臣にも、またある機会には科学
技術庁あたりにもそういうことを申し上げているんですが、つまり衛星というものについての基本的な方針が
政府で決まっていないんですね。そこに、これから実用衛星を打ち上げていった場合に非常にたくさんの問題が起こるわけなんです。それについて、私はぜひ、一番先にこういう実用衛星を打ち上げられるのは
郵政省でございましょうし、またこれからどんどんそういったものを活用していくのも
郵政省の仕事になっておりましょうから、これは
郵政大臣が、
関係大臣といいますと科学
技術庁長官もありますし、また大蔵
大臣もありましょうし、いろいろな
方面と連絡されまして、基本的な方針だけはなるべく早く確立するようにしなきゃいけないということなんです。
たとえば、申し上げますと、衛星というのは、やっぱりこれはまさか
船舶とか軍艦とかいうようなものと違うので、これは領土でもないんだから、一つの物体でしょう、これは
法律上は。それに対して、私は詳しい
法律論はよく知りませんけれども、しかし条理から言うと、やっぱり民法に書いてある物体だ、一つの物だという観念以外にないでしょうね。そうしますと、衛星の一体所有権はだれが持っているんだ、所有権者はだれだということですね。いまは、たとえば
放送衛星ですと
NHKが六〇%、国が四〇%持っているというんですね。そうすると、一般論からいいますと、六〇%の
NHKはマジョリティーを持っているわけでしょう。そうしますと、この所有権がどうなっているかというと、これは結局共有ですわね。
NHKと
政府の共有だ。そうすると、これをどういうふうに——民法にも書いてありますね、使用、収益、処分の権能と。これは所有権ですわね。そうすると、
政府で、
NHKはこういう波を使いなさい、残った波はだれだれに使いなさいと言っても、これは持ち分の
関係からいいますと、
政府のそういう命令権、監督権なんていうのはないんですわね、所有権の点からいいますと。そういった点をどういうふうにこれから規制をし秩序立てるかということを
政府において考える必要があるということが言えるわけですね。これは一例ですよ。
それから先般「ゆり」ですか、実験衛星BSですね、あれが作動しなくなったですね。それで、いまも衛星の姿勢の制御とか、そういったところは実験対象になっている。しかし、絵も送ってこない、音声も送ってこないというので、その方の実験はもう全然できないというかっこうになっているでしょう。こういった場合に、一体だれが責任を持つんだというようなことが明瞭じゃないでしょう。それは初めて打ち上げる場合に、いままで失敗した例がありますわね。これについては、ここでは詳しく申し上げませんが、とにかく
政府と
関係のユーザーとの間で交渉して、とにかく損害は半々で持とうということにされたようですね。それには保険がついている。そういったことのようですね。
ところが、一遍打ち上げてしまって、後、軌道に乗って衛星が動いているという場合に、今度はそれに対して、いま
政府でもどこでも何らの補償の
規定というか、補償の約束なんというのは何もないでしょう。一遍打ち上がってしまって動き出したら、その衛星が仮にいまの「ゆり」のように障害が起こった場合にどうするんだということについては何らの取り決めも何もない。方針も決まっていない。私は、これからどんどん実用衛星を打ち上げていかれるのにこのままでいいかどうかということは、これは
政府の責任としてお考えにならないといけないのじゃないかと思うんですよ。とにかく残された問題が余りにも多いんですね。私の
意見はあります。ありますけれども、これはむしろ
政府全体でもってお考えになっていただく問題だと思いますので、実用衛星が打ち上がるのは近いですから、それまでには何かこういった重要な基本方針について
政府の
意見をまとめておかれる必要があるのじゃないかと思いますので、これは
郵政大臣、特に気をつけて
努力していただきたいと思うんです。
それからこれに
関連して、衛星については、先般、
通信・
放送衛星機構法というのが出ていますね。これにつきましても、きょうは詳しく言いませんが、この衛星機構の
理事長からもこういう点について困っているんだというのがたくさんあります、問題が。
郵政省は、私はそうでないと思うんですけれども、衛星機構は衛星を管理する権限があるのだというようなことをときどき言われるんですよ。衛星の管理ですね。ところが、衛星機構の
法律を見ましても、これは打ち上げをほかのだれかに、それは宇宙開発
事業団でしょうね、それに対して委託をして衛星を打ち上げる仕事とか、それから衛星の姿勢の制御をすることとか、それから衛星に搭載された
無線設備、これを用いて
無線局を開設する者に
利用させることというようなのが衛星機構のこれが
業務になっているんですね。
法律に書いてあるんですよ。衛星の管理なんていうのはどこからも出てこないんです。それを便宜主義か何か知らぬけれども、何か衛星機構が衛星を管理しているんだというようなことをときどきどこかで言われるらしいですね。
もし管理しておられるのなら、さっき申し上げたような衛星が動いているその最中にどこかに故障ができた、衛星の本体にできる場合もあるし、中のミッション機器に故障ができる場合もある、管理しているのなら管理者としてそれを直すのが当然でしょうね。そんなとても追いついていくだけの衛星機構の財政状態じゃないですよ。これらの点は、ただ私は、場当たりでおっしゃっているのかしらぬけれども、やはりもっと基本的な
考え方に立って見直して、これから先の衛星というものはどういうふうにして管理し、どういうふうにしてチャンネルその他の使用について
政府が責任を持ってやるならやる、どういう方法でやるのかというようなことをもう一遍基本的に洗い直してもらって、早くそういう基本精神のもとにスタートしてもらわないと混乱するばかりだと思うんです。この点は、特に、長くなりましたが、最終的に私の
考え方として伝えておきますので、ひとつ善処をお願いしたいと思います。これは答弁は別に要りませんが、
大臣、ひとつしっかりやってください。
以上をもって、私の質問を終わります。