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政府委員(
鴨光一郎君) いろいろ御
指摘を受けまして、いささか答弁が長くなるかもしれません。
まず、郵政
事業特別会計法の
規定でございますが、ここの第一条では、
先生お話しございましたように、「郵政
事業を
企業的に経営し、その健全な発達に資するため、特別会計を設置」する、これは郵政
事業特別会計法でございます。それから
郵便貯金事業につきましては、
郵便貯金法の第二条で、「
郵便貯金は、国の行う
事業であって、郵政大臣が、これを管理する。」とあるのは御
指摘のとおりでございます。それから一方、
郵便貯金特別会計法、これは
法律の第一条でございますが、「
郵便貯金の
事業の健全な経営に資し、その経理を明確にするため、特別会計を設置する。」、これは
郵便貯金特別会計のことでございますが、そういう
規定になっておりまして、この
郵便貯金特別会計法につきましては表現的には必ずしも
企業的経営というふうにはうたわれていないわけでございますが、
事業運営に携わるものといたしましては、当然
企業的かつ効率的な運営に努力するということでございます。
一つの例でございますが、
経費率につきましても、私どもの経営努力ということで年々低下をしてきておりまして、
民間金融機関と比べまして、ダイレクトな比較が適当かどうかは別といたしましても、低いものであることには間違いがございません。
それから収入の面でございますが、現在のところは
資金運用部への預託が
法律的に定められておりまして、その場合の預託
利率は、大蔵大臣の方で財投金利ということで政策的要請を考慮して非常に低くなっているのが常でございます。その結果、
事業運営上の収入の大部分を占めます預託収入というものが、金利的に申しましても、国の借金でございます国債などの金利と比べまして、あるいは一般的な他の
政府保証債なども含めます長期金利に比べましても常に低い実態になっているということでございまして、そういう
意味では、私どもといたしましては
経済社会の中での金利の自由化といったことからも経営責任がより明確になるような観点から
制度の
改善を図って自由化に対応していく必要があるであろうというふうに
考えているところでございます。
また、自主運用という点での基本的な
考え方でございますけれども、
資金をお預かりをしたものが運用するというのは
金融界ではいわば常識的なことでもございます。同時にまた、われわれ外務職員あるいは一般の職員も含めまして、窓口の職員等も含めまして、
皆様方からお金をお預かりする、お勧めをする努力もいたしておるわけでございます。したがいまして、直接に
貯蓄をされる
方々のお気持ちというものも、それからまたわれわれの苦労といった面でも、いわば肌でそういった
状況というものを知っているということが申せるわけでございまして、そのお預かりをした立場、それから
皆様方の貴重な財産である、資産であるという点からも、当然のこと、先ほども申しました経営責任ということからも、私どもが直接運用することがよりふさわしい運用になるというふうに確信をいたしているところでございます。
それから先ほども触れました預託
利率との関係でございますが、
郵便貯金特別会計は独立採算ということでございますが、この収入は
資金運用部からの預託金利子収入をメーンにいたしております。そして、その収入で
預金者の
方々にお支払いする利子とわれわれの
業務の取り扱いに必要な経費を賄うという仕組みになっておるわけでございます。いまのような仕組みの中で申しますと、この
郵便貯金特別会計の収支と申しますものは、いま申しました預託
利率と
貯金利率との利差、それと
郵便貯金の増加
状況といったものに左右されるわけでございます。
もとより、この
郵便貯金事業というのは、
民間の
企業と異なりまして利益を出すということを
目的にはいたしておりません。したがって、収支そのものにつきましては長期的に相償する、相償うということになるように努めているわけでございますが、お金の面で申しますと、
貯金の金利が、これは
貯金法にもございますが、
民間の預
貯金金利に配意して決められる。一方で、この収入に対応いたします預託
利率は、先ほどから申し上げておりますように国債等の長期金利に比較しても常に低い。たとえて申しますと、国の借金でございます国債等の
利率と、応募者利回りと申しますか、これと私どもの
資金運用部への預託をしております
利率との差が常にあるわけでございます。これを私どもが預託
利率のかわりに国債等の利回りを適用いたしますと、五十五
年度の
数字で申し上げましても約二千四百億円ほどの増加が試算できるわけでございまして、言うならばそれだけのものを国の財政に寄与している、もっと言わせていただけば納付金をそれだけ納めているという形にもなるわけでございまして、私どもといたしましては、そういったことで集めたもの、お預かりをいたしましたものとしてみずからの運用をする。もちろん、そのことのためには、先ほど
お話のございました公共的な
資金であるということには当然配意をするということが必要でございますけれども、そういうことにも配意をしながら、みずからの経営責任をも明確にするという観点から自主運用の要求をしているということでございます。