○
政府委員(石原信雄君) 過去におきまして、決算と
地方財政計画との間に単独事業につきましてはかなりの乖離が存在したということは事実であります。その乖離の原因としては、一部は本来単独事業に挙げるべきものを
地方の決算統計で補助事業の方に挙げてしまっているというようなものがありまして、それが乖離を大きくしている原因にもなっておりますから、それらを控えるにしても、いずれにしても過去に若干の乖離があったことは事実であります。現在、五十五年度までは決算が出ておるわけですが、五十六年度についてもどうなっているか私
ども気にしておりまして、フォローしてみましたが、五十六年度の場合には、少なくとも府県について言いますと、単独事業は
地方財政計画上は八%増を予定したのでありますが、府県では一〇%を超える増額を行っております。ですから、五十六年度の場合にはかなり乖離は縮小するのではないかと期待はしております。
それから五十七年度でありますけれ
ども、まだ現段階では正確な
状況を把握しておりません。五十七年度の財政運営通達などでは計画的な執行をお願いしているわけでありまして、
地方財政計画で予定しております八・五%の単独事業の増が最終的にどうなるか、これは確かに努力を要することであろうと思うんです。当初予算の
状況を調べてみますと、都道府県段階では、全体として言いますると増加率が六%程度であります。ですから、計画の率まで行っておりません。しかし、相当数の団体が九月補正を予定していると聞いておりますから、それを含めて見ませんと最終的にどうなるかわかりません。ただ、先生が御指摘になったように、今年度の税収の進捗
状況は非常に悪い、そういう不安から、今後予定しておりました単独事業の追加を手控えるんじゃないか、あるいは手控えざるを得ないんじゃないかという動きがあることは事実です。それは主として税収が確保できないということの不安から出ている面が強いということもあります。
そこで私
どもは、相談がありましたならば、税収入が特に現在調子が悪いのが法人
関係税なものですから、法人
関係税等につきましては、年度末に行って、年度末の段階で、交付税の計算等で予定したものに対して相当程度の落ち込みがあるということが明らかになれば減収補てん債を発行することについて十分協力するからというようなことを言いまして、とにかく、単独事業の追加計上については、少なくとも税収面から来る不安材料が原因であるならば、それについてはいろいろな面で協力できると思うからという話をして、計画で期待したような形での消化をお願いしているというのが現状でございます。
それからもう一点、
地方交付税の計算上、
地方の単独事業の実施
状況を反映させる仕組みを導入するという点でございますが、本件については、交付税法の審議の際も御答弁申し上げてきたところでありまして、今月中に最終的な
結論を出すつもりであります。
現在進めております
考え方というのは、過去の一定の年度、具体的には、現在は昭和五十三年度から昭和五十五年度までの三カ年間の単独事業の実施
状況を決算統計でつかまえまして、その単独事業の実施額がその団体の標準財政規模に比べて全国平均を上回る団体については、その上回る部分の、全部じゃありませんけれ
ども、一定部分を投資補正に反映させるという方向で現在作業を進めております。この
考え方は、結果として単独事業の実施にインセンティブを与えるということになることは間違いありませんけれ
ども、
考え方としては、現在単独事業は、人口でありますとか面積でありますとか、あるいは道路の
延長などいろいろな客観的な数値でもって計算をしておるんですけれ
ども、こういった一律的な機械的な計算だけではどうも完全には捕捉できない要因があるという悩みを市町村からよく聞くわけであります。そこで、それらについてはいろいろ御議論はあろうかと思いますけれ
ども、過去の一定の期間における決算統計上、標準財政規模に比べて平均を上回る単独事業を実施せざるを得なかったという要因をある程度反映をさせるということが投資的経費の算定の適正化という意味で前進になるのではないかという
考え方のもとに、本年度から、投資補正の
一つとして単独事業の
要素を導入することにいたしたわけであります。
なお、この補正は都道府県には適用いたしませんで、市町村についてのみ適用するということで現在最終的な作業を行っているところでございます。