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神谷信之助君 地方公共団体のやる仕事というのは、行政サービスを低下させないということだけが中心じゃないんですよ。同時に、その地域住民の暮らしをどうやって高めていくか、これが大事なんですよ、その地方公共団体の仕事はそれで、そこで働く労働者というのはその地域の市民であり住民でもあるでしょう。その人たちの生活も高めながら、そして同時に行政サービスも低下さをせない、この両面を統一してやらないと、行政サービスの低下さえなければいいんだということになれば、片一方のその地域の住民の
——それは一定の部分にしかすぎないかもしれない、しかしそういう労働者の低い賃金がずっと存在して、それがどんどんどんどん悪貨が良貨を駆逐するがごとく広がっていくんですよ。これがいま非常に大きな問題になっている消費不況の
一つの要因にもなるわけでしょう。だからそういう点を考えると私はこれは重要だと思うんですよ。
たとえば大阪府下のある市の
施設警備で、調べてみたら、たとえばその市の行っている工場を、これを二十四時間二人で勤務をする、そういう態様で、五十六年は六百三十万の契約でしたけれ
ども、五十七年になると六百二十四万になりますよ。それから事務所を夜十八時間二人でやるというやつで契約して、これは五十六年は四百四十三万ですが、五十七年には四百三十六万。それから同じ事務所で、十五時間勤務で二人でという契約で、五十六年が三百四十二万が五十七年は三百二十六万と、下がるんですよ。というのは一年契約ですから。だから、新しくそこの仕事を取ろうと思うと、いままでやっていたところよりも安い値で入札をする、こういう形態なんですよ、実際には。そうしなければ新しくできた
業者は仕事ができませんからね。
官庁がそれでいくんですから、だから民間の方も、これはもちろんもう別に政策意図も何にも要りませんからね。ただ優先するのは利益をどう上げるかですから、経費をどう減らすかだけが優先するんですから。官公庁の場合であって初めてその海域の住民の生活のことを考えなきゃならぬという重要な課題があるから、一定のいろんなことを政策として考えていかなきゃならぬ。しかしその政策として考えていかなきゃならぬところで安値入札制度が存在をしているということですから、これはますます民間も含めてダンピング競争をやらしていくということになる。これはだから労働省の願っている労働者の賃金をできるだけ引き上げる、あるいは労働時間を短縮をする、そういう全体としての労働政策と全く背馳をする状態なんです。しかもそのしわ寄せは、これから高齢化
社会を迎えようとする高齢者の人たちにぐんとしわ寄せがされているという
状況なんですね、大臣。これは
警備業法そのものから言うと若干外れますけれ
ども、私はこれからの高齢化
社会の問題をどう考えていくかという場合に非常に大事な問題ではないか。
警備業者あるいはビルメン
業者の皆さんのそういう高齢者の
方々の賃金の
実態、そういうものをいろいろお聞きをして、高齢化
社会に対応するこれからの考えなければならない重大な問題だというように思うんですよ。
そこで、この問題急に言うてもそう簡単に大臣がおっしゃるように解決しないと思うんです。これは自治体自身の、いまの地方自治法の請負の入札制度の最低制限価格制度を、工事と製造でしたが、工事と製造の二つだけにやっているのをそういうものまで含めることにするかどうか。あるいは一般の公共事業の場合は三省協定で労務費の単価というやつを決めていますわね。これは労働集約型で人件費が約八割を占めるというような
実態ですから、そういう点ではそういうものを導入することができるかどうか。どうすればいいのか、私にもわかりませんがね。自治体にも直接
関係もあるし、それから業法をこれからやっていくとすれば
警察庁が主管庁になるんだけれ
ども、
警察庁が中心になって、自治省や厚生省やあるいは労働省等の
関係省庁との協議をするという方向にするのか、あるいは自治省が、自治体の
関係が中心になってやっていくということにするのか、あるいは国の問題も関連をするということならば大蔵省も含めてやるということにするのがいいのかどうか私は知りませんが、どういう方法が一番いいか。いずれにしても大臣、これはこれからにとって重要な課題なんで、そういった問題を解決するために入札制度にそういう新しい方法を導入するのが適当かどうか。あるいは高齢化
社会に対応する労働政策として別の方法を考える必要があるのか。こういった問題はちょっと
検討してもらう必要があるというように私は思うんだ。
しかも、そうのんびりしたことを言っていられぬわけなんで、そういった全体の問題と、それから現に起こっているビルメンや
警備業者の中の半数以上を超える高齢者の人たちの低い賃金の状態、こういった問題の改善策、当面の問題もあるし、大きい問題とそういう当面の具体的問題と、こういう二つの問題を解決するための
検討をひとつ大臣、この席の中で一番偉い人だし、ただ一人の政治家ですから、そういう点でひとつ見解をお聞きしたいというように思います。