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神谷信之助君 特に県、それから指定都市、それから相当のところではそれぞれ人事
委員会を持っているわけでしょう、その人事
委員会が、あなた方の言い方で言ったら役に立たぬ人事
委員会もあるかのような、非常に無視されたような答弁もありましたけれ
ども、それが
地方公務員法に基づいた権限に基づいて調査をし、そして勧告しているわけですよね。同時にそれは、片一方では首長が判断をし、そして職員
団体側と合意に達した
あるいは達しない場合もありますけれ
ども、そして、最終的には議会の承認を得る、こういう
状況ですよね。
たとえば、これは埼玉の例ですが、国家公務員の初任給がいま高校卒で八万五千九百円ですか、大学卒が十万六千九百円です。埼玉県の初任給は高卒で九万一千五百円、大卒が十一万二千六百円。ですから、ラスで言うと高卒の方が一〇六・五ですか、それから大卒が一〇五・三。ラスというよりは国公の初任給に対する比率ですね。ラスと言うと若干語弊があると思いますけれ
ども。まあそういうことになる。ところが、実際に埼玉県の労働部で調べた県内の二百九十九名以下の中小
企業の労働者の平均賃金、これを見ると、高卒の男子で九万八千七百四十六円ですね。だから、国公の初任給に対して一一四・九ですよね。それから男子の技術者で十万二百五円、一一六・六です。それから女子が九万五千二十一円、これでも一一〇・六になるわけですよ、国家公務員の初任給に比して。それから大卒の場合は、男子の事務職員で十一万七千八百三十円ですから一一〇・二、同じく技術職員で十一万九千八百三十五円ですから一一二・一というように、国の初任給に比較して
——二百九十九人以下というんですから県庁の職員数からいうとうんと小さいわけでしょう、中小零細
企業のそういうところの平均賃金、いわゆる大
企業と中小
企業の賃金格差が開いてきているというのは御
承知のとおりだと思うんだけれ
ども、その低い方のやつに比べても国家公務員の初任給基準というのは低いんです。これは地域的な格差というのが出てくるわけですね。東京に近いわけですからね、一時間半、二時間通勤にかかっても東京へ出てくる人がうんとふえてきておるわけでしょう。それだけに埼玉の中小
企業の場合、それだけの賃金、初任給を出さなければ来ないという面も出てくるんですよ。それは埼玉県の県庁でも埼玉の市役所の場合も同じ条件です。
だから、そういういろんな原因があり、その中で優秀な人材を吸収をしてそして効率的な行政を進めるというのはあたりまえだということになると私は思うんですよ。だから、民間でも技術を
中心に運用しているそういうところでは高賃金のそういう老練な技術者を集めるでしょう。それから、いわゆるコンベアシステムなんかでやっていると、これはもう技術は要らぬ、できるだけ低い賃金の人をたくさん雇う、こうなるでしょう。だから、そういう意味では、役所の仕事を実際に進めていき、しかも多様化しているいまの住民のニーズにこたえて、そして本当にそういう役割りを果たし得る仕事を自主的に自発的に創造的に
考えてくれるようなそういう行政事務労働者というのをつくろうとすれば、ほかに競合しているわけですからね、だから、そういう水準というのは、当然これはそれぞれの地域なりそれぞれの首長の
考え方によって変わってきてあたりまえなんです。それに従わないやつはけしからぬという、そういう
考え方は、これはもう
地方自治は要らぬわけですよ。皆自治省の出先にしたらいいんですよ。自治省の埼玉県出張所にしたらいい。そうじゃないんですよ、やっぱり。そこのところが私は、いまやられておるのは承認できないというんですね。
実際に、確かに公務員に対する風当たりは強いですよ、いま。これは結局
景気が悪いからですよね。高度
成長のときは大体公務員になり手がないわけです。逆に公務員の優秀な事務職員、技術屋でも、僕らの仲間でも、大分民間に引き抜かれていきました。いま
景気が悪いですからね。だから、どうしても公務員の方は、あれは終生保障されて、倒産はないし結構なことやという、そういう一般的風潮というのがあるのは事実なんです。それで、そういうのはありますし、しかも
実質所得がずっと減ってきているんですからね。ますますそういう点の気持ちというのは起こるであろう。
しかし同時に、やっぱりそれを助長しているのは、私は、この国会でも次々と出ていましたが、高級官僚が天下りをし、そしておみやげまで持っていって公共事業を食い物にするというような事件がどんどん出るわけだ。
報道される、われわれもどんどん
指摘する、次から次出てくるんだから。あるいはやめた高級官僚が公団、公社を渡り鳥しながら、平公務員ですと一年勤めて一カ月しか退職金の計算にならぬけれ
ども、月数で計算をして、二、三年で何千万というような退職金をもらっていく人がどんどんと出て、それが
報道されるわけでしょう。それは本当の一部の高級官僚、一部の人にすぎないんだけれ
ども、それが全公務員の姿かのように思われるわけですね。だから、そこからずっと批判、攻撃というものが出ているわけですね。
だから、細かいことで言えば、朝の出勤時間も、八時半出勤やのに八時半から八時四十五分じゃないか。八時半を守っていないのが多いと、こういって数日前のテレビにも出ていました、東京都のが。あれは、ラッシュを緩和するためにわざわざ時間調整をやっているだけの話です、実際は。そうせざるを得ぬわけでね。言うたら、公務員労働者の方が犠牲になっておくらして来る。時間をずらせて、ラッシュを少しでも緩和をするというので数年前からとられてきているやり方です。それが、いかにも出勤時間は怠慢やという宣伝にされているんでしょう。
そういう宣伝と相まって、いま皆さんの人件費
抑制のいろんな仕事というのがやられる。しかも、それ現場で実際に聞いてみますと、もう笑うに笑えぬわけですね。市の人事課長同士が雑談で言っているのは、おまえのところ正直に出すさかいや、ちゃんと出したらラスは減らせぬのや、公文書やからぱあんと判こ押してあったらそれをどうのこうの見いへんのや、おまえちょっとばか正直と違うかという話がやられているんですよ。
それから、急激に都市開発が進んだようなところでは、小学校卒で三十五年、四十年ずうっと勤めた人が総務部長とか部長クラスで三、四人残っているでしょう。その人がおらぬようになったらラスはもう二ぐらい下がるんだね、ばっと下がっちゃう。だから、あれは百五十三
団体、一一五ぐらいでしたか、あのすれすれのところというのは、もう助役にするとかどこかへ出向さすとか、こうやればよかった。おととい厚生省と年金事業団との出向の問題が同僚
委員から問題になっていましたけれ
ども。
〔
委員長退席、理事名尾良孝君着席〕
だから、要領のいいところは住宅供給公社とかいろんな
団体に水準の高いやつは出向さして、そして全体のラスを抑えると、人員も抑えることができる、こういう処理もできるわけです。
そんな報告を集めてやってみて一体どんな効果があるのか。それよりもっと大事なのは、私は、
地方自治をどうやって守り育てるか。それは、中には高いところもある、むだもあるでしょう。市長が選挙に勝って、それで自分のお気に入りを秘書に連れてきて、それでべらぼうな賃金を出しているところもありますよ。それは長続きはしないんです、そういうものは。必ず住民の批判が起こってそれはやめざるを得ぬという
状況になってきてます。時間はかかるけれ
ども、そういうことで
地方自治というのを大事に育てていくということを、人件費の問題も含め、その地域地域の決められた財源の中でどのように財源を捻出しながら住民の要求にこたえていくのかというのは、それこそ自治体に任せるべきだ。
私は、そういういろんな話を聞いていると、そんな報告に基づいて個別指導するというのはまさにナンセンスだ、おやめになった方がいい。それこそむだな仕事ですよ。税金のむだ遣いもはなはだしいと私は思うんだけれ
ども、
大臣、この点どうですか。