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政府委員(
梅澤節男君) 先ほど
大蔵大臣が
答弁申し上げましたとおりでございますが、もう一度私
どももこの際、結果的に非常に大きな見積もり違いを生じたわけでございますので、その辺をきちんと、過去の問題ではございますけれ
ども、整理しておかなければならないという御
指摘は私
どももまさにそのとおり考えておるわけでございますが、まず四千五百億円の税収減を補正計上させていただきました
時点、これはちょうど五十七年度の本
予算を編成しております
時点でございますけれ
ども、この
時点では実は税収の実績ベースでは十月末の税収までが判明しておったわけでございます。これは前に申し上げているとおりでございます。
その後、
事態が進展いたしまして、ちょうど参議院で五十七年度本
予算が御審議になっておりました三月後半の
時点、これは税収の実績ベースで一月までの税収が判明しておった
時点でございます。この
時点までに税収の足取りを見ますと、実は私
ども瞬間風速と言っておるわけでございますが、毎月毎月の単月間の税収の伸び率を前年度の同月と比較いたします。その瞬間スピードで見ますと、実は十月以降、大勢といたしましてはしり上がりの
状況にあったわけでございます。これはもう計数がはっきりしておるわけでございまして、したがいまして、税収の見積もりをいたします事務当局といたしまして、三月参議院で本
予算がちょうど審議になっております
時点におきまして、補正後の
予算額が何とかして達成できるんだろうということを期待しておったこと、何とかして達成できるであろうと考えておったことは事実でございます。それが四月の
時点に入りまして、つまり二月の税収が判明いたしました
時点で急激な、先ほど申しました瞬間スピードが急に落ちたわけでございまして、その後二月、三月、四月、五月とこの情勢が回復を見なかった。
そこの大きな原因といたしましては、これは先ほ
ども御
指摘がございましたように、まさに法人税に典型的にあらわれているわけでございます。一月までの実績ベースで、瞬間風速はむしろしり上がりであったということを申し上げたわけでございますが、これは端的に申しまして、たとえばこれは先ほど
大臣も御
指摘になったところでございますけれ
ども、十一月税収、これは法人税で言いますと九月決算でございます。九月決算の大法人の税収額は前年の同期に比較いたしまして二三%の増。それから十二月の税収、これは法人の決算期で申しますと十月。これは二九・七でございますから、およそ三割近い伸び。それから一月、これは十一月決算でございますが、これも二割の伸びということでございますが、二月税収が判明いたしました
時点で、法人の決算期で言いますと、これは十二月決算でございますが、八七・五という激減を生じたわけでございます。
この情勢が実はずっと続いてまいりまして、結局最終的に五月で帳簿を締めましたわけでございますけれ
ども、三月決算に至りましては前年度ほぼ横ばい。もちろん業種によりましては、たとえば電気機械とか、それから
輸送、それから銀行の中でも都市銀行等、非常によい決算を示したものもございますけれ
ども、反面、円安等の
影響で電力、石油
関係が激減したということで、非常に伸びが悪かったわけでございます。結果として、そういうふうに非常に大きな狂いを生じたわけでございますが、しかもその場合に法人税が非常に大きく下へぶれた。これはちょうど最近
時点では五十年度、つまり第一次オイルショック後と同じような
事態になったわけでございます。
そこで、まあ私
どもの反省といたしましては、税収というのは基本的には実体経済の動きを直に反映するわけでございますけれ
ども、問題は、税収見積もりというのはある期間内、ある年度内に国庫にどれだけ現実の税収額として入ってくるか。つまり、実体経済と税収の収納期とのタイムラグの問題があるわけでございます。特にこのタイムラグはそのときの経済の、その年々の経済の動きによりまして必ずしも一律ではございません。急激に反映してまいります場合もございますし、かなりの期間を置いて出てくる場合もあるわけでございます。
そこで、法人につきましては現在約百四十万の法人がございます。活動法人だけでございますが、その百四十万の法人のうち、考えてみますと、数にいたしまして九九%以上は実は中小法人でございます。先ほど
大臣の御
答弁にもございましたように、私
ども大法人の動向につきましては、比較的従来からもヒヤリング等を通じまして、かなりの確度でもって早い時期に情報をとるいろいろな工夫をしておるわけでございますけれ
ども、問題は、中小法人の動向の把握について若干問題があるのではないか。
特に、経済の激動期におきましては、たとえばサンプリングのような手法を通じまして税収の動向を早目にキャッチする、あるいはこれは全国の税務署等を通じまして国税庁の協力も得ながらやらなければならない面もあるかと思いますが、こういった工夫を今後重ねまして、何とか今回の経験を、苦い経験を生かしまして、税収見積もりの精度を上げてまいる。一にかかって、そこはやはり私は、御
指摘のとおり、法人税収を今後どう見るかという点が私
ども税収見積もりをする場合の技術的な工夫を要すべき点ではないかというふうに考えておるわけでございます。