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政府委員(加藤隆司君) ただいま御指摘の八一年の債務累積五千二百四十億ドル、元金利子が千百十七億ドルという数字がございます。ただ、この内訳を見ますと、一番うんと借りている国十カ国が約半分になるわけでございます。それからさらに、一番大きな順で三カ国で三〇%ぐらい占めております。本当に困った国というのが約三十一カ国ぐらいございますが、この債務残高というのは百八十億ドルぐらいでございます。
それで、一口に非産油発展途上国の債務負担問題と申しましても、たとえばブラジルとかメキシコのように、非常に積極的な
経済政策をやっておる、あるいは農業が不作であった、それから石油価格のインパクトを受けたというような個々のいろんな理由がございますけれども、どちらかといいますと、債務残高のでかい国はこういう非常な積極的な
経済政策をやっている国が多いわけでございます。だから大丈夫だという意味ではございませんけれども、その辺をどう考えるかという問題になるわけでございます。
七〇年代IMFが中心になりまして債権
国会議をやった国が十二カ国ございますが、これをIMFが分析してみますと、やはり
経済政策にいろいろ問題があるという指摘がございます。しかしながら、農業の不作なりあるいは石油価格の高騰なり御指摘の高金利というようなことで、こういう国々が非常な困難に逢着していることは事実でございまして、
世界全体の
経済がその結果いろいろな影響を受けかねないという状況にあることは否定できません。
それで、世銀の金利が現在一一・六%であるということでございますが、これは日本から見た場合に非常に高く見えるわけでございまして、大体世銀は先ほどの御
質問にもあったわけでございますが、払い込み資本と授権資本との差額を資本市場で調達しておるわけでございます。そこで一定のルールを設けまして計算方式があるわけでございますが、各国が出資拠出した金とマーケットで調達した金、これらを総合しまして過去六カ月の平均金利と将来の六カ月の借り入れコストを平均しまして、それに〇・五というような手数料を乗っけた数字が毎六カ月ごと発表になるわけでございますが、現在適用されているのが一一・六%である。これをユーロ市場で借りたとすればやはり一五、六%取られるわけでございます。日本の金利が非常に特異な現象で低いというようなことでそういう問題もあるわけでございますが、同時に一一・六%という絶対水準は決して低くないという点はございます。
それで、いろんな問題ございますが、ある
銀行の計算によりますと、金利が一%上昇しますと大体十二カ国ぐらいの計算で十三億ドルぐらい利子負担がふえるというような計算もございます。OECDの見通しによりますと、八二年度は非産油開発途上国の経常収支の赤字が七百四十というようなことでさらに昨年より悪化するわけでございますが、そういう意味で御指摘のような非産油開発途上国の債務累積問題というのはかなり大きな問題でございますけれども、同時に、それぞれの国の
経済政策をしっかりしなきゃならないというようなことで、若干最近国際的にも
考え方が変わってきておりまして、IMFから金を借りた場合にコンディショナリティーといいまして
経済政策に注文がつくわけでございますが、世銀についてもそういう
考え方が要るんではないかというような
考え方が出てきております。で、むしろ困っているからじゃんじゃん安い金利で貸した方がいいという
考え方よりも、やはり
経済政策をしっかりやると、そうした上で助けるというような
考え方の方がだんだん力が、数がふえてきているように思います。
ただ、開発途上国の方は、さはさりながら高金利でわれわれは非常な大きな影響を受けているという要請は強く出ております。その辺今回の暫定
委員会の機会に、世銀・IMFの合同開発
委員会というのがございます。これは開発途上国と先進国との合同の
会議でございますが、その場におきましても開発途上国からは御指摘のような要請が出、先進国の方からは私が申し上げたような議論が出、それぞれ毎回議論をしておるわけでございますけれども、いま申しましたように、後進国の方はみずからそういう
経済政策のあり方を反省すべきであるし、先進国の方はできるだけの援助はしなければならないというようなことで、コンセンサスが大体まとまってまいったわけでございます。