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大河原太一郎君 ただいまも先輩の
和田委員から御質問中にもございましたが、対米黒字百八十億ドル、EC百億ドル、大幅な黒字幅に関連いたしまして、貿易摩擦が
最大の国政の課題になっておるというわけでございます。内外、日に貿易摩擦問題が論ぜられない日はないというような事態でございますが、先般、院の許可を得まして党の貿易摩擦問題に関する訪欧使節団の一員としてECに参りまして、
〔
委員長退席、理事
藤井裕久君着席〕
EC
委員会あるいはこれを構成いたします主要国の
政府筋あるいは議会筋あるいは経済界筋と接触いたしまして、先方の主張あるいはその背景、当方の主張等について
論議を交わしてまいりましたので、特に貿易摩擦問題等関連におきまして、当
委員会の所掌等の関連で一、二お尋ねをいたしたいというふうに思うわけでございます。
もうすでに御案内のとおり、EC諸国は失業率、インフレ率等で二けた前後だ、また経済の成長はマイナス成長だあるいはゼロ成長というような事態でございまして、特に失業者がEC全体で千七十万人というようなあれに達しまして、経済問題の域を越えまして政治問題に相なっておるというわけでございます。
EC側の当方に対する主張、これはすでに御案内のとおりでございますけれども、私が要約さしていただいた点につきまして申し上げますと、EC側の主張は総括いたしますと自由貿易の必要性、わが方は自由貿易の原則の主張をいたすわけでございますが、自由貿易の必要性は認識しておるけれども保護主義の圧力が日々高まっておると。早急に貿易インバランスの改善の具体的行動を起こさない場合には、保護主義的な措置が
関係各国から起こることはとどめ得ないという前提でございまして諸般の点を申しております。
先般わが方は、貿易摩擦の第一弾として、御案内のとおり、本日も本院を通過いたしましたが関税の一括二年
前倒しあるいはNTB、いわゆるNTB、非関税障壁、輸入検査手続等の簡素化というような問題あるいは貿易
関係の苦情処理、OTOというような措置をとって対応したわけでございますが、先方は一応これについての評価はしておりますけれども、
日本市場への参入が容易になるように一層の措置をとらない限りは不満足であるというのが
一般的な意見でございました。
さらに、特に
アメリカなりあるいはECと比べて
日本の製品輸入の割合が大変低いと、
アメリカは一人当たり五百九十ドルの製品輸入、ECは六百七十ドル、
日本は二百五十ドルというような点で大変製品輸入の比率が少ないというような点、あるいは特定分野における集中的な輸出、この点についてはしばしば言われているところでございまして、いわゆるレーザービーム的な輸出と、これが特定部門の産業、域内各国の産業に破壊的に作用を及ぼして雇用問題を惹起しておるというような点、さらには国内政策としての
日本の輸出ドライブのかからぬように内需の拡大という点、また為替相場についても適正なファンダメンタルズを反映するような、過度な円安というものに対する懸念というような点について諸般の点があったわけでございます。
特にその中で、関税率の引き下げというようなものも、
アメリカのような市場開放、リベレーションという点と異なった味でEC諸国は関税率引き下げについて大きな関心を持っておるように承知したところでございます。もともと百億ドルの黒字がございますが、あたかもECの一部で言っておりますように、その減速、失速いたしましたEC経済の原因をもっぱら
日本の黒字幅に求める、いわば
日本をスケープゴートにするというような点についてはいろいろ問題であるというような点については、昨日も当
委員会等の御
論議等でも明らかにされておるところでございます。
また、しかし、一面におきましては、やはり
日本の貿易等を中心といたしました経済の安定発展は、二極であるECなりあるいは米国経済の安定発展とパラレルだと、したがって、この貿易問題、対EC
関係におきましてもそれなりの措置は必要であるという点も論をまたないところだというふうに
考えるところでございます。
長々申し上げますが、基本的な対策といたしましては、単に貿易政策だけではなくて、わが国の内需その他の喚起、円相場の適正水準の確保というような、いわば経済政策全般の問題とも関連いたしまして、それなりに困難を伴うわけでございます。そういう万般の施策の総合的なもとにおいての対策樹立という点が急がれておりますことは論をまたないところでございます。
特に、ECが関心を抱いております関税率の問題につきまして一、二お伺いをしたいと思うわけでございます。実は、きのうも関税暫定措置法の改正の御審議の際に同僚
委員からもお話ございましたが、関税水準が高いか安いか、低いか高いか、二国間その他に比べて高いかという
論議が行われます場合に、いろいろな指標のとり方があるかと思うわけでございます。きのうはUNCTADの報告で、新聞報道等が非常にUNCTAD事務当局が古い資料を使い、しかも、平均関税率と関
税負担率という
一つのカテゴリーを混同した
数字を発表して
論議をかもしたというようなお話が、同僚
委員からも
質疑の中で明らかにされたところでございますけれども、初歩的な質問で恐縮でございますが、関税の水準の比較という場合においてはいかなる指標をとってこれをとらえたらいいかという点について、まずお答えを願いたいと思います。