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政府委員(勝谷保君) ただいま大臣が御説明申し上げました
中小企業信用保険法の一部を改正する
法律案の提案
理由及び要旨を補足して御説明申し上げます。
中小企業は、大企業に比べまして、資金調達面で不利な
立場に置かれているため、
政府としては、これを是正するため、各種の
中小企業金融施策を実施しているところであります。
中小企業信用保険制度は、この金融施策の一環として、
中小企業者の債務を保証する全国各地の信用保証協会に対し、その債務保証につき
中小企業信用保険公庫が保険を行う制度であり、
中小企業者の信用力を補完し、その事業資金の円滑な融通に資することにより、その経営の安定や事業の発展に重要な役割りを果たしているところであります。
しかるに、最近の
中小企業を取り巻く経営
環境は、依然として厳しいものがあり、その中にあってわが国
中小企業が今後とも健全な発展を遂げていくためには、やはり、金融面での十分な
対策を講ずることが必要であります。このためには、
政府系
中小企業金融機関の貸付制度の充実とともに、貸付資金量の大宗を占める民間金融資金の円滑な導入がきわめて重要であると
考えており、かかる観点から本制度の一層の拡充を図るため、本
法律案を提案申し上げた次第であります。
本
法律案におきましては、第一に、エネルギー
対策保険を創設することとしております。
わが国
中小企業がエネルギー情勢の変化に対応して健全な発展を遂げていくためには、エネルギーコストの低減及びエネルギー使用の多様化を図ることがきわめて重要であります。かかる観点から省エネルギー施設及び石油代替エネルギーの利用施設を設置しようとする
中小企業者の信用力を補完し、必要資金の円滑な確保が図れるよう、保険
条件の点で特に優遇したエネルギー
対策保険を創設することとしております。具体的には、付保限度額につきましては一億円、てん補率につきましては八〇%としており、また、保険料率につきましては、政令で定めることとしておりますが、やはり本保険の主旨に沿った有利な料率を定めることとしたいと
考えております。
本保険は、
中小企業のエネルギー
対策に必要な設備投資の促進に重要な役割りを果たすものと
考えております。
第二に、倒産関連
中小企業者の範囲の拡大をすることとしております。
災害等の突発的事由により、特定の地域の相当部分の
中小企業の経営の安定に支障を生じている場合に、当該地域における特定の業種が影響を受けている場合には当該業種に属する
中小企業者に対して、さらにその地域において業種横断的に影響を受けている場合には当該地域に事業所を有する
中小企業者に対して、それぞれ、普通保険、無担保保険及び特別小口保険について通常の付保限度額のほかに別枠で有利な
条件により利用できる倒産関連保証の特例が適用できるよう、倒産関連
中小企業者の定義を改正し、その範囲を拡大することとしております。これは、冷夏、豪雪等の被害を受けた
中小企業者の資金調達を容易にし、その経営の安定に大きく貢献するものと
考えております。
以上、この
法律案につきまして補足説明をいたしました。何とぞよろしく御審議のほどお願い申し上げます。
引き続きまして、
小規模企業共済法の一部を改正する
法律案の提案
理由及び要旨を補足して御説明申し上げます。
小規模企業は、全国事業所の中で圧倒的多数を占めるものであり、わが国経済社会の安定の基盤ともいうべき役割りを果たしております。
政府といたしましても、このような小規模企業の健全な発展を図るため、各般の施策を講じてきたところであります。
小規模企業は、その大部分が家庭と企業活動が渾然一体となった生業的色彩の強いものであり、小規模企業
対策におきましては、経営能力の不足を経営指導等により補うとともに、経営者とその家族の家庭生活基盤の安定を図ることが不可欠であると
考えられます。こうした意味から本共済制度は、小規模企業
対策の重要な一環をなすものであります。
本制度につきましては、昭和五十二年の改正以後五年を経過することとなりますが、
政府といたしましては、この間の物価の推移等の経済事情の変化、小規模企業者等から寄せられている要望等を勘案して、本制度の一層の整備、拡充を図るため、改正
法案を提案申し上げた次第であります。
改正の
内容といたしましては、まず第一に、掛金月額の最高限度を現行の三万円から五万円に引き上げることであります。共済金の最高限度も、これに伴い引き上げられますので、本制度の加入者の方々は、廃業、退任等の際の備えを一層充実することが可能となると
考えられます。また、第一種共済契約の掛金は、税制上、全額所得控除することが認められておりますので、掛金月額の最高限度の引き上げは小規模企業者にとって大きな魅力となるものと
考えられます。
第二は、共済金の受給のために必要な掛金納付月数は、現行制度では十二月とされ、共済契約者に死亡、廃業等の共済事由が生じた場合であっても、その者の掛金納付月数が十二月未満のときは、共済金の支給は行われず、掛金は掛け捨てとなっております。これを、共済契約者に共済事由が生じた場合に、その者の掛金納付月数が六月以上であれば、共済金を支給することとしております。
このことに関しては、かねてより、改善要望が強く出されていたところでありますが、掛金月額が高額化することもあり、小規模企業者にとって本制度を魅力あるものとしていくために、今回の改正においてこの点の改善を図ることとしたものであります。
なお、掛金納付月数が六月以上十二月未満である者に対する共済金の額は、納付にかかわる掛金の合計額としております。
第三は、第一種共済契約の共済契約者につき、いわゆる法人成り等の事由が生じた場合に、現行制度では、
中小企業事業団が共済契約を解除することとし、その後、解約手当金の支給等の手続を行うこととしており、
中小企業事業団がこれらの事由が生じたことを速やかに知る必要があるため、これらの事由が生じたときには、共済契約者は遅滞なく届け出なければならないものとし、届け出義務違反には罰則を適用することとしておりますが、かかる取り扱いは手続きをいたずらに煩瑣なものとしている嫌いがあるので、かかる場合には、共済契約は自動的に解除されたものとみなすとともに、かかる場合の共済契約者の届け出義務を廃止し、あわせて届け出義務違反に対する罰則を廃止することとしております。
なお、今回の法改正には含まれておりませんが、本制度の加入者に対する共済資産を原資とした融資制度については、事業資金として、掛金の積立額の範囲内で貸し付けを行う現行制度、金利年七・二%、一年に加え、共済契約者が疾病、負傷または災害により経営の安定を図るために必要とする資金について、掛金の積立額を超え、共済金の範囲内で、より有利な
条件、金利年七・〇%、三年で貸し付ける特別貸付制度を設けることにつき検討を進めております。
以上、この
法案につきまして、補足説明をいたしました。
何とぞ、よろしく御審議のほどお願い申し上げます。