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政府委員(
大和田潔君) 先生おっしゃっておられますように、西ドイツの総額請負制というものについてはいわゆる開業医だけとの契約ではないかと。おっしゃるとおりであります。医師全体の約五五%でございますが、総額請負
制度は開業医について行われるものであるわけであります。またイギリスの登録人頭払い
制度につきましても、これは一般家庭医、これは医師全体の約三五%でございますが、にのみ採用されておる。病院についてはまだ別の
仕組みがございまして、西ドイツの病院については、
保険者と病院との個別契約に基づいてやっておりますし、それからイギリスの病院はそのほとんどが国営である、必要とされる費用は租税で賄われておるというような
状況になっておるわけでございます。
で、これらの
各国の
支払い制度、西ドイツにおける団体請負
方式であるとか、あるいはイギリスの登録人頭払い
方式、
日本の
出来高払い方式、それぞれ先ほど申しましたように長所短所があるということが言えるわけでございますが、これらの診療報酬の
支払い方式につきましては、いろいろ
方式が諸
外国で採用されておるわけでございますが、それぞれの国の
医療制度であるとか、
医療を取り巻く諸情勢と密接不可分な
関係にございまして採用されているもんでございまして、その前提条件の異なる
わが国にこれらの
方式をそのまま導入するということは、それはなかなか困難なことであるわけでございます。これらにつきましては、なお今後とも研究を進めてまいりたいというふうに
考えておるわけでございますが、そのまま導入するのはなかなかむずかしいもんであるというふうに
考えます。
また、最後にイタリアの事情につきまして先生から御
指摘があったわけでございますが、このイタリアの
医療保障は、従来は社会
保険方式で行われてまいったわけでございますけれ
ども、一九七〇年代の一連のヘルス、保健
医療ですね、保健
医療改革の中で総合的ないわゆる保健
医療サービス体制に統合されるというような動きの中で、一九八〇年から新しく従来の
方式にかわりまして登録人頭払い、従来の
出来高払いを登録人頭払い制に移行をするという改革を行っておるわけでございます。
なぜこういうような
制度にしたかといいますと、従来の
医療保険制度が大幅な慢性的赤字に悩んできた、あるいは都市部における医師の過剰であるとか、あるいはイタリアの保健
医療水準の地域格差といったような問題がございまして、
医療保障
制度の変革というものに踏み切ったものと思われるわけでございます。
なお、その後の
状況を私
ども知り得た範囲で見ますと、スムーズにはなかなか運んでないという点な
どもあるようでございます。たとえば登録人頭報酬制に移行いたしました後に、どうも少数の有名医について登録が殺到している、希望してもなかなか登録されないというような場合がある。反面、多くのお
医者さんは四、五百人しか受け持つことができない、報酬
水準はかなり低いものになっている。そんなようなことから報酬引き上げを要求するお
医者さんのストライキが非常に起こっておるといったようなことも問いておるわけでございまして、なかなかスムーズにはいってないようでございますが、御
質問につきましては以上のようなことで、イタリアにつきましても一九八〇年代から
医療保障の移行が見られておるということを
お答えいたす次第でございます。