○沓脱タケ子君 ありがとうございます。大変具体的に全体の趨勢がわかってありがたいと思うわけですが、実は新日本婦人の会という全国組織の婦人団体が、昨年の十一月から二カ月間かかりまして全国的な規模で、これはフルタイマーで働いている婦人の
労働者の五千人以上の
方々の差別証言というのを調査をしてみたんですね。これは
労働省へも要請などがあったと思いますので御存じではないかと思いますけれ
ども、これを見てまいりますと、いま
労働省が御調査になられまして出てきた数値を示すような具体例というのが実に随所にあるんですね。
時間の都合があってたくさんは紹介できないと思いますけれ
ども、ごく少数例を紹介しますと、たとえば「採用・就職の差別」というところでは、東京の商社です。名前はちょっと控えますからね。「四年制大学卒業者は採用しない。採用しても嘱託」だと。それから埼玉の
製造業では、「四年制の大卒は一人も採用されない」。それから愛知のこれも商社ですが、これは四年制大卒ではないんですね、短大卒なんですが、「採用決定後、女子のみ親を呼び懇談をする。女子は縁故採用しか採らない。部長推せんを必要とする。」というふうな、これは具体例ですからね、そういうものがある。
「
仕事上の差別」ではどういうようになっているかというと、「女性は補助的な
仕事しかつけない」というのが、これは群馬県を先頭に全国二十二部府県から
意見が上がってきている。それから「責任ある
仕事に女子はつけない」。ひどいのは、どれだったかな、大阪のあるサービス業ですがね、「
仕事中でも上司のコーヒーやミルクの出前をたのまれる」と。それから京都のある保険業です。「女性は入社して定年まで
仕事の内容は同じで、責任ある
仕事に」はつけてもらえない。お茶くみ、掃除というのはどうなっているかというと、「お茶くみや掃除は女性の
仕事。」これは埼玉。
〔
委員長退席、理事安恒良一君着席〕それから
北海道の小売の職場ですが、「トイレ、事務所の掃除は女子だけの割当」。それからこれは大阪の事例ですが、「掃除は特に新入女子が三十分早くきて」やっている。時間外手当はつかない。宮城県では、「定年近くになってもお茶くみ、掃除は女性だけにさせる」。それから「役職による女性への差別」というのが、これはずいぶんいろいろありますが、これは長野県ですが、「女子の最高職は現場の組長まで」。それから栃木ですね、これは「
昭和五十四年にはじめて事務職で女の係長が誕生したが、男性では三十歳から三十二歳ぐらいで係長になるが、この女性は四十五歳になってやっとなれた」。
「賃金の差別」では、初任給差別もあるんですね、依然として。これは秋田の運輸業ですが、初任給から一万円以上の格差がある。それから福島の
製造業ですが、高卒女子の賃金が初任給で八万四千円、男子は九万円と最初から六千円の格差がある。入社時は一緒だが、賃金格差が起こっていくというのは、これはもうずいぶんたくさんあって、一番ひどいなあと思うのは愛知の商社ですが、「二十七歳の男性と五十五歳の女性の賃金が同じ」。それから大阪の
石油会社ですが、入社十六年目で
年間男性と百五十万円の賃金の開きが出てくる。この種の問題たくさんございます。
それからもう
一つは諸手当の問題ですね。扶養手当というのがもう非常に問題になっているんですが、これは千葉の
製造業ですが、「女性は世帯主にならない限り家族手当をもらえない」。夫が病弱で長く入院をしたりしている場合、あるいは
仕事がなくなったときには困ってしまうという問題。それから住宅、寒冷地手当等ですが、これは秋田ですが、扶養手当、寒冷地手当、住宅手当などは女子に支給されない。それから住宅手当にも格差がある。大阪の
石油会社ですが、住宅手当、女子は五千六百円、男子は二万円。
それからいろいろありますが、帰省旅費は女性には出さない。これは東京の商社。それから教育、研修、訓練等でも、これもナンセンスだなと思うようなことがあるんですけれ
ども、たとえばこれは大阪のサービス業。「英語研修、男性は費用会社もち、女性の場合は本人もち」。それからこれも大阪ですが、「通信教育課目は女子は二科目のみで、男子は二十科目、もし女子が全部受けたければ、全額自己
負担。男子は全額会社
負担」。この調子なんですね。
その他福利
厚生施設などずいぶんございます。これは時間の都合があるんでたくさん紹介をできませんけれ
ども、結婚祝い金等についての差別も依然として職場によってはあるようです。それから定年についての差別も残念ながら解消されていない。
私は、こういうひどさというのはいろんな形で残されているんだなということでちょっと驚いたのは、たとえばこんなことがあるんですね。これは健康保険組合の職場におる方なんですが、愛知の商社です。どんなことになっているかというと、「成人病検診内容が男子に重点がおかれている」、女子の成人病検診はない。「男子の扶養家族には成人病検診に対して四千円の補助金が出るが、職員本人である女子にはその恩恵はない」。これまた変なぐあいですが、こういう五千保人の
方々からの証言ですから、無数にあるわけで、ごく特徴的なものを拾い上げたんでもこういう状態なんですね。ですから、
労働省で御調査になった報告書の内容というのは、こういう形で残存しているということを示していると私は思うわけでございます。
大臣ね、こういう
お話を聞いていただきますと、いろいろ考えぬといかぬなということを率直にお感じになると思うわけでございます。まず就職は門戸が狭い。初任給から差別がある。しかもせっかく就職ができても昇任、昇格の差別があって、行を着く先はなかなか奥の細道だという
状況なんですね。こういう状態を御
承知いただきますと、婦人
対策に力を入れなければならないし、まだまだ差別扱いがたくさんやられているんだということがおわかりいただけたと思うわけでございます。この問題についての御見解をお
伺いしてもいいんですけれ
ども、時間の都合がありますので、そこで大卒者の公募なんです。
これは先ほど御報告の中に出ましたように、残念ながら女子の大卒の公募をしている企業というのは四分の一なんですね。非常に門戸が狭いわけなんですが、せっかく高等教育を学んだんですから、身につけたものを発揮する場がなかったら社会にも貢献できないわけですよね。
そこで、私は
大臣にひとつ考えていただきたいなと思いますのは、来年度この四年制の大卒の女子を積極的に採用するように
産業界に御要請いただけないものだろうか。やっぱり
大臣の御発言ということになりますと、社会的な影響というのは大きいと思うんです。
労働省は行政的にはずいぶん御苦労になってやっていただいておるようですけれ
ども、そういう点でひとつ
大臣の御英断を期待をしたいと思うんですが、御見解いかがなものでしょうか。