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宮之原貞光君 確かに御
指摘いただきましたように、現在のこの
政党政治いわゆる議会民主
政治の一番の中核をなしておりますところの
政党というものの
役割り、
任務について、その重要性は認めながらもまだ成熟しておらないじゃないか、したがってまあ成熟しないところの段階、いわゆる
国民の無所属の層も相当ある、
政党不支持層も相当あるんだ、したがって導入すべきでないという
立場からの御
意見があることは事実でございます。
ただ、ここで
お互い政治家として、特に議会制民主主義を発展させようという
立場に立つところの
政治家として
考えなければならないことは、成熟していないから導入をするのはまずいという
立場をとるのか、それとも導入によってやはり
政党政治をよりよくし成熟をさせていくんだという
立場に立つのか。私は、
政治家は少なくとも理想に生き、何としてもそういう
政党あるいは議会
政治というものをつくらなければならないという
立場に立つだけに、後段にやはり立つべきじゃないだろうか、このように
考えておるところでございます。それだけに成熟していないから導入すべきでないというそのことにはくみするわけにはまいらないのでございます。
なお、
寺田先生から御
指摘いただきましたように、それならば
知識人、
文化人が結集して新しい
政治団体を結成するという方法があるじゃないか、どうなのかということでございますが、私はやはり今日の現状の中におきましては、特に
既成政党に対するところの批判が厳しい中では、そういう
政治団体の
一つの連合の形式ですか、そういうことはきわめて
国民の期待にこたえるところの
条件に、
現実的には出てくるところの可能性があるのではないだろうかと思うのです。
御
承知のように、西ドイツには大きな
政党としてキリスト教民主同盟、社民党、自由民主党、まあ日本と違いまして自由民主党はここでは第三党でございますけれ
ども、こういうのがありまして、しかも御
承知のように五%
条項というのがありまして、いわゆる小
政党の乱立というのを防ぐところの
条項があるのです。しかしそれにもかかわらず、御
承知のように緑の党あるいはALという
政党がこの五%
条項を突破して市民権を得ておる。このことは何を物語るかと申しますと、これは
寺田先生御
指摘のような状態が西ドイツの中にもやはり
国民の意向としてあることを示すものではないだろうかと思うのです。したがって、そういう
意味におきましては、
既成政党に対してはみずからを顧みるところのきわめて重要なことを示唆しておるのではないだろうかと
考えるわけでございますが、いずれにいたしましてもそういう
一つの仕組みをするというのも私は
一つの方法ではないかと思うのです。
実は私、古い雑誌でございますけれ
ども、ジュリストの一九六八年の三月号をちょっと焼いたのをここに持っておるんです。そこに「
参議院二十年の歩み」という座談会がある。ここの中で——実はこの前後に
選挙制度の全国区の
問題点が
議論をされておる。この中で、実は亡くなられたところの
市川房枝先生がこういう
発言をされているのです。
「いまの
参議院でぜひほしいと思うのは、学者の方たちにもつと入ってもらいたいと思うのです。初期はある程度あったのですが、だんだんなくなってきた。二五年までは
専門家の人がいて、そしてそういう人が
委員長になってうまくいった」のでありますが、結局現行
制度の中ではそういうことが出られなくなった。こういうことをおっしゃると同時に、一番後部に「篠原さん」と言われているのはこの座談会に出られたところの東京大学教授の篠原一さんですが、その人の御
意見を踏まえて、「篠原さんのおっしゃるように、
政党でなくてもそういう
一つの連合名簿が認められ、そこにそういう人たちが入ってくだされば、道がひらけますね。そういう
比例代表制なら、私も賛成します。」、こう言っておられるのです。
まあ、すでに故人になられたわけでございますが、私この記録が絶対正しいとは言いかねますが、少なくともやはりそれぞれが責任を持って編集したわけでございますから、そのことはやはり亡くなられたところのあの市川
先生にしても、いま
寺田先生の御
指摘いただいたところの、
国民の
既成政党にあきたらないところのものを何とか反映をした新しい連合の方向というのも
一つの
あり方だねと、こういうことをお
考えになっておられたのではないだろうかと、実は私はこれを読みながらそんたくしておるところでございます。
なおもう
一つは、御
指摘いただきましたように、これはそういうことになりますと
既成政党もじっとしてはおられぬですよ。いままでのようなやはりふやけたようなかっこうで
国民の指弾を受けるようなことになりますとこれは大変ですから、そういう
意味ではまた
既成政党の自浄作用と申しますか、みずからの
姿勢を正していくということにも私は御
指摘のように大きく役立つのではないだろうか、こう
考えております。