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政府委員(吉崎正義君) まず、最近の光化学スモッグの
現状でございますけれ
ども、注意報の発令日数について言いますと、この一両年は天気のぐあい等もありまして
全般的には減少の傾向にございます。ですけれ
ども、たとえばことしの五月から六月初めにかけまして注意報が多発をしておりますことから見ましても、気象条件によりましてはかなり高濃度の汚染が発生し得る
状況にあるのではないかと考えておるところでございます。さらに、大都市周辺
地域でも注意報が発令されておるということもございまするし、また関東地方で行われておりますところの光化学スモッグによる植物
影響調査では、植物
影響に拡大の傾向が見られておるところでございます。そのような
状況でございますので、広域にわたる問題であり、また
環境基準の達成
状況もよくないのでございまして、さらに強力に対策を進める必要があると考えておるところでございます。
お話のございました先般の炭化水素に関する抑制措置でございますけれ
ども、御案内のように光化学スモッグの原因物質は二つあるわけでございまして、
一つは窒素酸化物ともう
一つはこの炭化水素でございます。窒素酸化物につきましては、固定発生源及び移動発生源ともに逐次法規制を強化しておるところでございますけれ
ども、一方の炭化水素類につきましては、移動発生源からのものにつきましてはすでに逐次規制を強化しておるところでございますが、固定発生源からのものにつきましてはややおくれておったわけでございます。中央
公害対策
審議会等からの
指摘も踏まえまして、
昭和五十四年から
専門家にお集まりをいただきまして
検討会を開催いたしまして、鋭意
検討を重ねてきたところでございますが、このほど固定発生源からの炭化水素類の排出実態及び排出抑制対策について
検討結果が取りまとめられたのでございます。あわせて排出抑制対策の技術指針がガイドラインとして提示されたのでございます。
そこで、その結果を踏まえまして、先月光化学大気汚染防止のための炭化水素類対策の推進について
環境庁の方針を明らかにいたしまして、炭化水素類を排出する各業界団体、地方公共団体及び
関係省庁に対しまして、装置対策、原材料対策等の所要の排出抑制対策の実施など、炭化水素類固定発生源対策の推進について協力を要請したところでございます。
第三点の
法律による規制はどうかと、こういう点でございますけれ
ども、ただいま申し上げましたように、排出抑制対策等技術指針
——ガイドライン、排出実態の一部等は
検討会の
検討結果をいただきましたのでございますが、御案内のように、固定発生源はきわめて多様であり、かつ多種でございまして、排出量等につきましてまだ明確でない点が残っておるのでございます。それから、光化学オキシダントと炭化水素類との
関係でございますが、相当程度明らかになっておるのでございますけれ
ども、定量的な因果
関係につきましてなお不十分な点があるのでございます。そういうことを考えまして、
法律による規制の導入にはもう少し
検討を要する点があるということでございます。
そこで、今回の措置によりまして、地方公共団体に対しましては発生源データの作成、また
関係業界に対しましては排水量についての定期的な
調査への協力などをそれぞれ要請しておりますので、今後これらのデータの集積に一層努力をしてまいりたい考えでございます。