○馬場富君
委員派遣の報告を申し上げます。
派遣委員は、
坂倉委員長、
青木委員、江田
委員及び私、馬場の四名であります。
派遣期間は去る一月十八日から二十日まで三日間で、沖繩県における
公害及び
環境保全並びに
交通安全対策の実情について沖繩県、沖繩総合事務局、第十一管区
海上保安本部、那覇防衛
施設局、沖繩県
警察本部、那覇空港事務所、石垣市及び竹富町よりそれぞれ
業務概要を聴取するとともに、那覇港、那覇空港、沖繩ターミナル及び沖繩石油基地株式会社のCTS基地、
安全運転学校、西表国立公園浦内川水域周辺、沖繩戦跡国定公園並びに国道五十八号線
道路交通状況等の実情を視察
調査してまいりましたので、以下主要な点について御報告申し上げます。
最初に、沖繩県の
経済概況について申し上げます。
沖繩県は、全国面積の約一・二%、二千二百五十平方キロメートルで、そのうち五二・八%が本島により占められており、総人口は、
昭和四十七年九月九十五万七千人から五十六年九月推計百十一万五千人と大幅に
増加しておりますが、特に本島中南部圏域に人口の八〇%が集中して
都市化が進む一方で、本島北部及び離島においては過疎化現象が生じているとのことであります。
沖繩
経済については、復帰以来沖繩振興開発十カ年
計画に基づき、本土との格差是正と
地域特性を生かした自立的発展の基礎条件
整備に努めているが、最終年度となる本年度において必ずしも当初目標の達成されていない
分野もあり、かつ未解決の
課題を抱えているとのことであります。
ちなみに、県民所得は復帰時の一人当たり四十一万六千円から五十五年度百十五万六千円に
増加しているが、これは海洋博関連
事業等社会資本
整備のための財政融資によるもので、四十八年度から五十四年度までの実質成長率が全国平均を上回っていることからも推察できます。
一方、産業構造に占める第三次産業のシェア及び完全失業率、特に若年労働者の失業率がそれぞれ全国平均よりも著しく高いのが特色となっているように、現在の
経済構造は財政需要への依存度が高く、企業設備投資が小
規模でいわゆる消費型
経済となっているため、今後とも一層の効果的な産業振興、雇用機会の拡大等の
措置が望まれるとのことであります。
なお、沖繩県から、現行の沖繩振興開発特別
措置法を
昭和五十七年度以降十カ年延長し、同法に基づき第二次振興開発
計画を
策定すること、沖繩振興開発のための必要事項について
所要の財政
措置のほか、産業振興、電気
事業の
保護育成、雇用
対策の
推進、米軍提供
施設等の早期返還の
促進などについて特別
措置を講ずるよう要請がございました。
第二に、
公害及び
環境問題について申し上げます。
まず、
大気汚染物質の排出源は、主として本島中南部に多く立地している発電所、石油精製工場等でありますが、
大気環境は五十五年度測定結果によると、オキシダントを除いて他の物質はいずれも
環境基準を満たしており、同様に
自動車排出ガスについても、那覇、宜野湾及び沖繩三市の測定結果では、いずれも
環境基準を満たしております。
次に、悪臭及び騒音に対する苦情については、前者が五十五年度苦情件数の約四〇%を占めており、その主な
発生場所は養豚、養鶏場であるため、その
防止対策として五十三市町村のうち十市九町村を悪臭
防止法に基づく規制
地域として指定し、後者は、前者に次いで苦情件数が
増加傾向にあるため、五十五年度末に十市七町村を騒音規制法に基づく規制
地域として指定しているとのことであります。
次に、
航空機騒音については、本年度中に那覇空港の
環境基準の類型当てはめを行い、後述するように、嘉手納、普天間両飛行場についても順次指定していきたいとのことであります。
次に、
水質汚濁について申しますと、五十五年度の
環境基準の類型指定は十七河川八
海域で、公共用水域の水質
環境は総体的に
現状維持ないしは若干悪化の
傾向を示しておりますが、特に都市河川の
水質汚濁が悪化していること、さらに赤土による河川
海域の水質
汚染に対しては、今後実態
調査を行い、水質、
地域環境への影響を把握するとともに、効果的な
防止対策の確立に努めたいとのことであります。
また、第十一管区
海上保安本部の説明によると、油等による海洋
汚染の
発生件数は、五十五年度八十三件から五十六年度九十件と
増加しておりますが、その
汚染源として
船舶によるものが大部分であることにかんがみ、特にタンカールートについて哨戒
海域を設定し、巡視船及び
航空機による常時監視取り締まりを
実施していること、本県周辺
海域における廃油ボールの漂流、漂着に対しては油塊
調査定点を設定して定時
調査の結果、五十六年は前年を大幅に下回っているとのことであります。
また、石垣市の説明によると、本市における
大気汚染、
水質汚濁はいずれも
環境基準を満たしており、良好な状態にあること、悪臭についても八重山地区畜産経営
環境保全推進協議会を設置して畜産農家の
指導に努めているとのことであります。
次に、いわゆる基地
公害について申しますと、本県には県土面積の一一・三%を占める四十八
施設二百五十四平方キロメートルの米軍基地があり、その大部分が本島中南部
地域に存在するため、基地に起因する排水による
水質汚濁と米軍
航空機騒音が住民
生活に与える影響も多大となっております。
このため、県は、前者については公共下水道への接続及び処理
施設の改善を進めるとともに、定期的に監視
調査を
実施するなど
防止対策を講じております。
また、後者については、特に嘉手納及び普天間飛行場周辺においては
環境基準を超え、しかも広範囲となっているため、嘉手納飛行場について常時監視測定システムの導入を図るとともに、現地米軍、防衛
施設局及び県の三者構成の連絡協議会において飛行時間、エンジン
調整等の規制に関し協議を行っているが、米軍の合意に達しなかったため、日米合同
委員会で採択されるよう国に対して要請しているとのことであります。
なお、那覇防衛
施設局の説明によると、嘉手納飛行場にはF15イーグル戦闘機八十機、KC135空中給油機、E3A空中早期警戒管制機等が配置されておりますが、昨年一月十一日から四月一日までの
調査では、石川市美原等の測定においてWECPNLは七十二・五から八十五・一に達しております。このため、昨年七月に防衛
施設周辺
整備法等に基づき、嘉手納及び普天間飛行場について八十WECPNLの一種区域の追加ないし新規指定が行われ、近く七十五WECPNLまで
騒音対策の範囲を拡大することが予定されております。さらに、周辺住民の
生活環境の
保全、障害
防止の軽減を図るため、両飛行場の周辺防音
対策事業として四十七年度から五十五年度までに三百三億円に達する学校、病院、住宅等の防音工事に対する助成
措置が講じられているとのことであります。
第三に、自然公園の
現状について申し上げます。
本県には西表国立公園、沖繩海岸及び沖繩戦跡国定公園の三自然公園があり、陸域約二万四千八百、
海域を含めて約八万四千ヘクタールの膨大な面積を擁しており、その中には七つの海中公園と二十九の
鳥獣保護区が設定されております。しかし、近年公園区域とその周辺の市街化及び自然的社会的条件の著しい変動により、自然公園としての資質が問題となっているとのことであります。
まず、今回視察いたしました西表国立公園について申しますと、本公園の総面積は西表島中央部原生林
地域、竹富、小浜及び黒島等を含む陸域と
海域四万四千六百六ヘクタールが四十七年五月に指定されております。
公園の利用
施設としては、竹富島のビジターセンター、海水浴場等が
整備されて利用者は年々
増加傾向を示しておりますが、派遣団は島内復帰道路及び浦内川周辺水域等を視察いたしましたところ、国立公園区域としておおむね良好に維持されているものと推察いたしました。ただし、
課題としては、集落周辺の海岸線が公園区域から除外されているため利用
施設が
整備できないので現在公園
計画の見直し作業が進められていること、イリオモテヤマネコ、マングローブ林の
保護、オニヒトデ駆除
事業等を継続
実施する必要があるとのことであります。
次に、沖繩戦跡国定公園は、第二次大戦終えんの地である糸満市摩文仁を
中心とした
地域等約五千ヘクタールでありますが、本公園は日、米人等の墓碑群が林立した霊域であるため、公園
計画における利用
計画が
策定されていないとのことであります。
第四に、
交通安全対策の
現状について申し上げます。
本県における五十六年の
交通事故発生件数は千五百二十五件で、前年と比較して百二十六件、同様に
死傷者百二十二人とそれぞれ
減少しております。しかしながら、
事故の内容としては、全国平均と比較して致死率が約三倍であり、酒酔い等いわゆる
交通三悪、夜間運行による死亡
事故の多いことが特色となっているが、むしろ検挙件数は対前年比で三千百十一件
増加しております。一方、信号機等の
交通安全
施設の
整備は復帰時と比較して
格段と拡充
強化されておりますが、さらに本年度を初年度とする第三次
交通安全施設等整備事業五カ年
計画に基づき各種
施策が講ぜられるとのことであります。
また、国道五十八号線の浦添市勢理客等においては
交通量、死亡
事故がいずれも
増大しているため、六十二年の沖繩国体開催を目途として、同市と那覇市境界付近の安謝立体交差
事業を
推進することとしております。
なお、五十三年七月三十日の
交通方法変更後二
年間の
事故発生件数と
死傷者数は大幅
減少の後漸増
傾向となっているが、
交通方法変更に伴う
特別事業として
安全運転学校五カ所と那覇市全域をカバーする
交通骨制センターが設置されたことを契機としてさらに
事故防止対策の
推進に努めたいとのことであります。
第五に、
港湾及び空港
施設整備について申し上げます。
まず一那覇港は本土及び周辺離島への流通拠点
港湾として二万トン級岸壁五、一万トン級岸壁二バース等が
整備されており、県内主要
港湾における五十五年の取扱貨物量の八〇%に相当する六百七十五万トンを扱っておりますが、さらに本年度を初年度とする第六次
港湾整備五カ年
計画に基づき、岸壁、防波堤及び緑地等の
整備を予定しているとのことであります。
次に、那覇空港は二千七百メートル滑走路、ILS、ASR等の無線
施設などを有しておりますが、現在国内線三社で一日当たり百三便、国際線五社で週三十二便が運行されております。しかしながら、海洋博以降旅客数は
減少したが、五十五年五百八万人、五十六年推定五百三十万人と漸増
傾向となっております。このため、本年度を初年度とする第四次空港
整備五カ年
計画においては六十年の旅客数を七百四十万人と推定し、滑走路三百メートル延長のほか、本格ターミナル用地の造成等を
推進していきたいとのことであります。
最後に、CTS基地の概要について申し上げます。
まず、与那城村平安座島にある沖繩ターミナルは十万キロリットル原油タンク十六基、また平安座島に隣接した宮城島間の埋立造成地にある沖繩石油基地は十万キロリットル原油タンク二十一基を有し、それぞれ五十万トン級シーバースと
公害及び災害
防止設備等を有して稼働しております。
なお、県の説明によると、CTS基地の周辺
海域である金武湾、与勝
海域におけるCTS設置前と五十五年度のCOD平均値の比較はほとんど
変化はないが、埋め立て時のしゅんせつ等に伴い軟泥が堆積しているとのことであります。しかしながら、与那城村と平安座局間の海中道路建設等に対して、沿岸漁民から海中道路橋梁化の要求が提案されていることにかんがみ、土砂流出抑制策確立のための
調査を進めているとのことであります。
以上のほか、今回の派遣に際して
調査してまいりました説明資料等につきまして、別途その要旨を
会議録の末尾に掲載させていただきたいと存じますので、以上よろしくお願い申し上げます。