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参考人(
市川準君) 御質問にお答え申し上げる前に、
住宅金融公庫法の第三十五条の改定に関する
国会での御
審議の場におきまして、私
ども全国の地方
住宅供給公社の
住宅の入居者に
意見を申し述べさせていただく機会を与えられましたことを、まず厚く御礼申し上げます。
なお、御
審議に当たっては、昨日の新聞報道によりますと、当参議院の徳永議長が中国の故朱徳未亡人に
説明された、
衆議院はとかく数で勝負しようとするが、参議院は理に徹して
審議しますというふうに議長がおっしゃられたのを私、読みまして非常に感銘を受けまして、ここで理に徹した御
審議をまず入居者代表として切にお願いして、
答弁に入りたいと思います。
さて、御質問の件でございますが、まず第一に、昨年の八月に出されましたいわゆる家賃
答申につきましては、私たち公社
住宅居住者は実はあの時点でびっくりしたわけでございます。というのは、
昭和二十五年に制定された
住宅金融公庫法や
昭和四十年に制定された地方
住宅供給公社法に何だかよくわからないが
法律上の不備があると
指摘されている。私
どもが承っているわが国の中央官庁の官僚の
方々は非常に優秀で、そういう
方々がつくられた法に不備があったり、それが非常に長い間不備のまま気がつかれないでいたりというようなことが
指摘されたということは、
国民としてびっくりしたわけでございます。しかし、率直に言って私たちは、そんな不備があったなんということはないはずだと思っているんです。だから、いままでは何ら支障なく運用されてきた
法律であることは間違いないんで、不備なんかないんだけれ
ども、全然別の
理由できっと何か都合が悪くなったんじゃないか、そういうわけで改定したいというふうに
建設省さんがおっしゃっているんではないかというのがこれは庶民感情でございます。つまり、従来のままなら、家賃の構成のうち変更を必要とする部分は物価変動に合わせてスライドができるようになっている。それから物価変動とは全く無
関係な
金融公庫その他への償還に充てる元本は、変更させる必要がないから変更しないように決めてあるというだけで、非常にあたりまえの
規定になっているということだと私
どもは理解しております。それを今回の第三十五条の改定は元本まで変更できるようにしようとしているわけで、私たちにはどうしてもそうしなきゃいけない
理由、その妥当性が理解できません。仮にこの改定が成立したとすれば、私たちの家賃から剰余金を生むことになります。公社
住宅の持つ公共
住宅としての役割りも含めて、地方
住宅供給公社の性格を変えてしまうことになり、大変なことだと
居住者としては受けとめております。
第二に、私たち
居住者は従来から、
理由のいかんを問わず家賃値上げ絶対反対というようなことは一度も主張したことがございません。現在のままの改定前の三十五条と、関連する公庫法の施行規則の第十一条及び地方
住宅供給公社法の施行規則の第十六条を適用すれば、必要な家賃変更は
居住者の合意さえあれば可能なようになっている。つまり、公社の職員の
方々の給与に充てる分とか、私
ども住まわせていただいている
住宅の修繕費とか、あるいは公租公課などに充てる分はそれに見合って変更できるようになっている。われわれはそれに対してやみくもに何でもかんでも反対というようなことは一遍も言ってない。第一それが前回の値上げをしたときの
理由だったはずです。しかも、その
理由は唯一の
理由だったはずです。
私
どもとしては、第三に、
建設省がおっしゃっておられる値上げ分の使途について重大な関心を持っております。
住宅の
計画修繕等に充てる分という御
説明がありましたけれ
ども、団地別にその修繕
計画を明らかにした上で現行家賃では不足するということが具体的な資料で示され、
居住者がもし納得できるなら、現行の三十五条のままで話し合いによる家賃変更ができるはずで、
法律を改定する
理由にはこれはならないというふうに私
どもは考えております。また、
建設省は、
既存住宅の家賃の値上げ分を新規
住宅の高家賃の抑制に回したいという意向もお持ちのようですけれ
ども、
住宅に困窮する勤労者が自分の賃借している
住宅の
建設費を含む
事業費の全額を完済しながら、なおかつさらに、他の人の住む新規
住宅の経費を負担しなきゃならないということにどのような社会的妥当性があるのか、私
どもにはどうしても納得ができないわけでございます。
また、推定再
建築費という
考え方の導入についてでございますが、前回の値上げのときのように、家賃の中の維持修繕費にのみ適用するということであれば、その数字の根拠さえ確かならわれわれ納得できないものではありません。しかし、元本である建物の
建設費にまで適用するということはとうてい納得できません。なぜなら、全くいま新しく建てたとしたときの計算で家賃を払いながら、もとどおりの古い家に住むということになってしまって矛盾だからです。特に公共
住宅として許されることではない、かように私
どもは考えております。
また、
建設省がおっしゃる限度額という言い方でございますが、私
どもにはその
説明は納得できない。なぜならば、前回の値上げのときに、東京の例で言うならば、東京の公社の担当理事の方は、これ以上上げたいんだけれ
ども、これ以上上げちゃいけないという額を
建設省に抑えられているのでここまでしか上げられない額だというふうにこの限度額という言葉を使われたんです。先ほど
建設省がおっしゃるように、それが一番上で、だからその途中で家賃を決めるべき一番上の数字を言っているんだという数字であるにもかかわらず、各公社は実際に適用するときには、もうちょっと上げたいんだけれ
ども、これ以上上げてはしかられるのでここまでしか上げられない、限度という
意味はそういう
意味だというふうに前回使われているので、限度額だからそこまで上がるわけではないという
説明には納得いたしかねます。
以上でございます。