○仲川幸男君 それでは大体数字を承りました。
いまから
お尋ねを申し上げるものは、
大臣、ちょっと整理をしないとわかりにくくなると思いますので、一応現在まで汚職の問題、天下りとか、いろいろ問題たくさんありますが、そういう問題は別個に外します。これからの
お尋ねは、全然汚職の問題とか、
談合自体で起こらなかった問題を外しましてまず
お尋ねを申し上げたいと思います。
本来、人間の性は競争の性があるのですから、そういうことにおいては過酷な競争をやりたいという性を持っておるわけでございますが、
建設業界にはその土壌ができておらないということをこれから御認識をいただかなければならないと思うわけであります。
本来、契約というのは、一番いいのが随意契約というのが理想的なのであります。さっき
検査院からお話もございましたように、
予定価格をつり上げたものは一件も見当たりませんでしたというこの中で、ということは、反対に言いかえしますと、大方
公共事業は、国から市町村に至るまで
予定価格というものがあって、それで落札をしておると、こういうことでございます。これはちょっと別な話なんですけれ
ども、買い手市場と売り手市場とでございまして、もう
発注者側は完全な買い手になっておるわけでございますから、バランスがとれておらないのです。その中で入札をするという、この実情を御認識をいただかないと、私は
談合問題の本質に触れていかないと思います。そういうことをひっくり返しますと、一番いい理想的なものは、一番適当な人が、適当な工事を請け負っていき、仕事をしていくということで、随意契約が最も理想的であるわけです。それが実際にはなかなかむずかしい。それは
発注者が公平であって、公正であって、有識であって、こういういろいろなものがそろわないと、もっと大きな不
都合な問題が起こるわけでありますから、随意契約というものがそれでできないのですけれ
ども、本来の姿は随意契約が理想的だということが、まず
談合問題の基本をなすときに考えなければならないものではないかと思うのです。
いまお話しのように入札件数が五十万、私
たちはもっとあると思うんですよ。一県に一万ずつありましても四十七万あるわけですから、市町村入れたら
公共工事の入札件数が一万件、もっともっとあると思うんですが、まあ五十万といたしましても、五十万の中で
談合としてあらわれてきておるのはごく一部であります。
これは、銀行員というと私
たちは最も紳士の代表だぐらいに思っております。そこにやはりコンピューター犯罪が起こり、尊敬をし、最もわれわれのある
意味では権威があると思っておる大学教授に問題がありという世の中でございますからね、
大臣。一概に十あった、十五あった、三十あった、五十万件、百万件の中で幾つあったかということについては、先ほど一つを罰することによってというお話もございましたけれ
ども、そのことの認識の上に立って、ひとつこの
談合問題を、たくさん論じられてきましたが、少し変わった形から
お尋ねをしなきゃならぬと思うのです。
いま諸悪の根源
談合にあり、それは今度反対に言いますと、五十万、家族も入れますと千七百万の人
たちが、共同の形でその泥水をかぶっておるわけですから、私はこのままでは済まないと思うんです。この
談合問題をこういう形で論じられたのでは。中小企業というものが肩寄せ合って、本当に日本の産業の底辺を、
公共工事の底辺を支えておるこの人
たちに申しわけないと思うわけであります。時間がございませんから、そういうものの中でこの
談合問題が起こってきた原因について、少し
大臣御認識をいただいたらと思います。えらい
質問が長うなりますんですが、長ういたしませんと、とぎりをしてやりよりますと時間がございませんので、お聞きをいただいて、総括的にお答えをいただいたらと思うのです。
刑法の九十六条の三に定める
談合罪に該当しないものは一切ないといってとではありませんけれ
ども、適正利潤確保の
談合を認めた大津裁判というものも御承知のようにあるわけで、特に独禁法に定める不当な
取引制限、不公正な
取引方法に該当する行為ということを、公取から、実はきょうは
委員長に来ていただいてお答えをいただこうと思ったのですが、そうならなかったから、これはよろしくひとつ公取もこの私が申し上げておることをお聞きいただいて、お答えをいただきたいと思うんです。
犯禁法につきましては、御承知のこの問題の権威者でございます上智大学の松下教授や、渡部昇一教授が話しておりますように、日本の占領の中で公取に課せられたいまのもろもろの権利、力、そういうものでありますが、それはその当時にできたものでありまして、その当時にできた上へ、五十一年ですか、オイルショックがありましたのは。第一次オイルショックのときに、大変不
都合なことが起きるから強化をしたということが、そのまま現在の
建設業にかかっておるということであります。
もう一つは、
建設工事というものの積算は、先ほ
どもお話がございましたように、一つの積算というものの基礎がございまして、五割もうけたとか、四割もうけたとかいう話が一つ出ますと、日本国じゅうの
建設業者はそんなにもうけておるのかということになりますので、このことをはっきりと
建設省の方からお答えを願いたいと思うのは、物価版による
建設単価に三省協定の労務賃金を積算で足しました上へ、先ほどお話のあったような、三%どころか、私
たちは二・三%ぐらいだと思いますけれ
ども、三%を上積みをしたものでございますから、正常な形で運営をし、正常な形で工事をしますと、三%しか残らないという、こういう仕組みに
建設業界がなっておるということも、もうちょっと
談合を、この
事件の一連の中で、この論議の一連の中で
建設省は私はもっとはっきりさすべきではないかと、こう思うのですが、いかがでございましょうかということでございます。
そういうことになりますと、今度労務賃金の問題についてのみ一つ焦点を合わせてお答えをいただきたいと思うのです。土佐犬をかみ合わすように、けんかをやれやれ、競争をやれやれ、そういうことでいいかどうかということであります。それは一〇〇%のもので落札をいたしまして、いま賃金は大体八千円
程度であります。屋外二十一日就労ということになりますと、十八万円ぐらいになります。そして、その十八万円を仮に競争をして九〇%でとりますとどうなりますかということであります。八〇%でとりますとどうなりますかということであります。それには、先ほどお話がございましたように、いまの農業の中で、実は農業だけで食えておる人はありませんから、一番手近な
建設の労務者になっておるわけであります。そういう中で、独禁法でこれだけ騒がれますと、中央のじゅうたんの上で、重役室で上はねをするようなお話とは違いまして、
地方はそれぞれに苦しい現在の中でやっておる。先ほど倒産の数字もお聞き及びをいただきましたとおりでございます。その倒産の数字のお聞き及びの中にもありましたように、私は九九%だと思いますが、九九%もの中小企業の倒産の中で、
建設業者が三〇%もあるということであります。農業の
皆さんも一カ月の賃金が十五万内外でいま生活ができるか、御想像をいただいたらいいと思うのであります。
談合を現在の
法律の中で肯定をして物を申しておるのではありません。出口をどこへ求めるかは、先ほどお話しのように、あちらで協議をしてもらっておるということだけでは、私は済まない問題ではないであろうか。そして公取においても、またそれぞれの形からのこれからのこれの取り締まり、指導、あなた方の公取というところの使命は、正常な経済の情勢を保つということでありますから、それが不正常になる方へ向かってあなたの方が、公取が力を及ぼすということではならないのではないでしょうか。このあたりでひとつ一応お答えをいただきます。