運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1982-09-29 第96回国会 参議院 決算委員会 閉会後第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十七年九月二十九日(水曜日)    午前十時二分開会     —————————————    委員異動  九月十六日     辞任         補欠選任      山田  譲君     赤桐  操君  九月十八日     辞任         補欠選任      板垣  正君     北  修二君      岩本 政光君     三浦 八水君  九月二十七日     辞任         補欠選任     目黒朝次郎君     山田  譲君  九月二十八日     辞任         補欠選任      小谷  守君     対馬 孝且君      安武 洋子君     小笠原貞子君      三治 重信君     田渕 哲也君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         竹田 四郎君     理 事                 高橋 圭三君                 山田  譲君                 峯山 昭範君     委 員                大河原太一郎君                 河本嘉久蔵君                 塚田十一郎君                 福岡日出麿君                 福田 宏一君                 円山 雅也君                 森山 眞弓君                 赤桐  操君                 対馬 孝且君                 鶴岡  洋君                 小笠原貞子君                 柄谷 道一君                 田渕 哲也君                 森田 重郎君                 中山 千夏君    国務大臣        通商産業大臣   安倍晋太郎君        国 務 大 臣        (経済企画庁長        官)       河本 敏夫君    事務局側        常任委員会専門        員        丸山 利雄君    説明員        総理府内閣総理        大臣官房参事官  紀 嘉一郎君        行政管理庁行政        監察局監察官   堀江  侃君        経済企画庁調整        局長       田中誠一郎君        経済企画庁物価        局長       赤羽 隆夫君        科学技術庁原子        力局長      高岡 敬展君        科学技術庁原子        力局調査国際協        力課原子力調査        室長       加藤 康宏君        通商産業省産業        政策局長     杉山 和男君        通商産業省生活        産業局長     志賀  学君        資源エネルギー        庁長官      小松 国男君        資源エネルギー        庁長官官房審議        官        高橋  宏君        資源エネルギー        庁石炭部長    弓削田英一君        資源エネルギー        庁公益事業部長  川崎  弘君        中小企業庁次長  篠島 義明君        中小企業庁計画        部長       本郷 英一君        中小企業庁指導        部長       宇田川治宣君        会計検査院事務        総局第一局長   佐藤 雅信君        会計検査院事務        総局第四局長   磯田  晋君    参考人        中小企業金融公        庫総裁      船後 正道君        中小企業信用保        険公庫総裁    谷敷  寛君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○理事辞任及び補欠選任の件 ○昭和五十四年度一般会計歳入歳出決算昭和五  十四年度特別会計歳入歳出決算昭和五十四年  度国税収納金整理資金受払計算書昭和五十四  年度政府関係機関決算書(第九十四回国会内閣  提出) ○昭和五十四年度国有財産増減及び現在額総計算  書(第九十四回国会内閣提出) ○昭和五十四年度国有財産無償貸付状況計算書  (第九十四回国会内閣提出) ○昭和五十五年度一般会計歳入歳出決算昭和五  十五年度特別会計歳入歳出決算昭和五十五年  度国税収納金整理資金受払計算書昭和五十五  年度政府関係機関決算書内閣提出) ○昭和五十五年度国有財産増減及び現在額総計算  書(内閣提出) ○昭和五十五年度国有財産無償貸付状況計算書  (内閣提出)     —————————————
  2. 竹田四郎

    委員長竹田四郎君) ただいまから決算委員会を開会いたします。  まず、委員異動について御報告を申し上げます。  去る九月十六日、山田譲君が委員辞任され、その補欠として赤桐操君が選任されました。  また、十八日、板垣正君及び岩本政光君が委員辞任され、その補欠として北修二君及び三浦八水君が選任されました。  また、二十七日、目黒朝次郎君が委員辞任され、その補欠として山田譲君が選任されました。  また、昨二十八日、小谷守君、安武洋子君及び三治重信君が委員辞任され、その補欠として対馬孝且君小笠原貞子君及び田渕哲也君が選任されました。     —————————————
  3. 竹田四郎

    委員長竹田四郎君) 次に、理事辞任についてお諮りいたします。  粕谷照美君から、文書をもって、都合により理事辞任したい旨の申し出がございました。これを許可することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 竹田四郎

    委員長竹田四郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  この際、理事補欠選任を行いたいと存じます。  理事選任につきましては、先例により、委員長の指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 竹田四郎

    委員長竹田四郎君) 御異議ないと認めます。  それでは、理事山田譲君を指名いたします。     —————————————
  6. 竹田四郎

    委員長竹田四郎君) 次に、昭和五十四年度決算外二件及び昭和五十五年度決算外二件を議題といたします。  本日は、通商産業省経済企画庁並びに中小企業金融公庫及び中小企業信用保険公庫決算について審査を行います。     —————————————
  7. 竹田四郎

    委員長竹田四郎君) この際、お諮りいたします。  議事の都合により、これらの決算概要説明及び決算検査概要説明は、いずれもこれを省略して、本日の会議録の末尾に掲載したいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  8. 竹田四郎

    委員長竹田四郎君) 御異議ないと認め、さよう取り計らいます。     —————————————
  9. 竹田四郎

    委員長竹田四郎君) 質疑の通告のない船後中小企業金融公庫総裁及び谷敷中小企業信用保険公庫総裁は退席していただいて結構でございます。  それでは、これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  10. 山田譲

    山田譲君 私は、きょうはまず最初石油値上げの問題についてお伺いをしたいというふうに思います。  それから二番目には、問題になっております原子力船の「むつ」の問題についていろいろとお尋ねをしていきたいというふうに思います。  最初に、まず石油の問題でありますけれども、これはもちろん大臣でなくて結構でありますが、石油需給状況ですね、現在の、どうなっているか。それから今後の見通しはどうであるかということについて、まず御説明を願いたいと思います。
  11. 小松国男

    説明員小松国男君) いま先生から御質問のございました現在の石油需給動向でございますが、非常に経済が低迷いたしております上に、いわゆる省エネルギー、それから代替エネルギー開発、こういうものが進みまして、石油需要というのはここ三年ぐらいにわたりまして需要が落ちてきておりまして、世界的にも大体自由世界で五、六%ぐらい落ちております。日本の場合には二年続きで国内需要が大体一〇%、一〇%と二〇%近い需要が落ち込んできております。そういうことでございまして、現在は非常に需給が緩和している。こういうために石油業界自身もいろいろの調整もせにゃいかん、そういう事態に追い込まれています。ただ、現在の需要低迷というのは、景気低迷、そういうものが重なっておりますので、今後景気回復に向かいますと、当然需要も上向いてくる。特に最近時の問題としては、今後これからだんだん需要期にも向かうわけでございますが、そういう意味で現在がそういう需給面では底ではないかというふうに考えております。  ただ、全体といたしまして、省エネルギー代替開発、こういうものが進んでおりますし、それから景気回復もおくれておりますので、現在の需給緩和状態はもうしばらく続くと、私どもはこういうふうに判断をいたしております。
  12. 山田譲

    山田譲君 もう少し詳しく説明していただきたいと思うんですね。私は需給状況と言ったわけですから、需要の問題ばかりでなく、供給面からも御説明願いたいし、それから今後の見通しもお尋ねしてあるわけでありますから、今後何年間のうちにどのくらいに減るであろう、あるいはふえるであろうと、その需給関係説明していただきたいというふうに思います。
  13. 小松国男

    説明員小松国男君) 先ほど申し上げましたように、ここ二年ぐらい需要が落ちてきておりますが、大体今年度を底として、今後は需要が若干ずつ上がってくる。長期的な見通しとしては、私どもとしては石油需要自身につきましては、大体日本の場合には現在程度需要昭和六十五年程度まで続く、それ以降も大体横ばいである、後、エネルギー全体の需要を賄うのは石油代替エネルギーである、こういう見方をしております。  それから全体の供給動向でございますが、そういう状況でございまして、OPECはすでに相当の減産を強いられております。特に非OPEC、この供給がわりあいに大きく伸びてきておりますが、そういう関係で、世界全体の需要低迷の中で、特にOPECのいわゆる供給量といいますか生産量、これが相当落ち込んでいるわけでございます。ただ、中・長期的に見ますと、この点も先ほど申し上げましたように、将来は低開発国石油需要が伸びてくる、またOPEC石油需要、こういうものも伸びてまいりますので、先進国としては大体横ばい状態が続きますが、石油全体の需要発展途上国及び産油国を中心に相当伸びてまいりますので、一九八五年以降は石油需給もタイトになってくる、こういう見方をいたしておるわけでございます。
  14. 山田譲

    山田譲君 私の手元に、これは「(案)」と書いてありますから、これは本物になったかどうかわかりませんけれども、「昭和五七〜六一年度石油供給計画(案)の概要 昭和五七年五月二五日 通商産業省」というふうになった資料があります。これは「(案)」になっておりますので、その後どうなっているか、そこもお伺いしたいと思いますけれども、それによると、原油の輸入、これについて五十七年から六十一年度までの計画がずっと並べてあります。それによりますと、五十六年度の実績が見込みになっているようですが、二億三千二百万キロリットルというふうになっている。そして六十一年度の計画を見ますと、ほとんど違わないんですが二億三千四百万キロリットルというふうなかっこうになっておりますけれども、これは私のところには案の段階しかないんですけれども、これは本物になっているわけですか。これは変わりありませんか。
  15. 小松国男

    説明員小松国男君) いま先生からお話のありました数字は、石油供給計画ということで、五十七年度を初年度とする五カ年計画をつくっておりまして、いま先生おっしゃられました数字はそのとおりでございます。ただ、最近特に私ども石油供給計画をつくりましたのはことしの四月でございますが、その後今年度につきましては上期、特に需要低迷いたしておりますのでこの供給計画の中で、五十七年度の供給計画につきましては現在下方修正をいたしております。ただ、長期的な五十八年度以降については、先生御指摘のような数字で私どもは推移するというふうに見ております。
  16. 山田譲

    山田譲君 その次に備蓄供給との関係ということについてお伺いしたいと思うんです。つまり原油を輸入してきますね、そいつを今度輸入してきてすぐにこれを売るんじゃないんじゃないかと思うんです。つまり備蓄をするであろうというふうに思われますけれども、そうすると一たん輸入してきた原油は、大体どのぐらい備蓄して、それから市場に出されるものか、そこのところはどうなっているんですか。
  17. 小松国男

    説明員小松国男君) 現在、民間の場合には九十日の備蓄義務を課されております。実際には現在計算していただいて百日以上まだ持っておりますけれども、そういうことでございますので、ただこの備蓄は非常に異常事態が来た場合に取り崩すという考え方でおりますので、この備蓄量は、特に九十日備蓄は今後とも法律上の義務として維持すると、こういうことになっておりますので、一般的な通常在庫といいますか、これは大体その半分ぐらい、四十五日分ぐらいあれば、石油一般精製から販売に対する正常在庫としてはその程度で十分なわけですが、それを上回る在庫緊急事態に備えて民間としては持っておると、そういう状況でございます。
  18. 山田譲

    山田譲君 そうしますと、輸入してきた原油は、必ずどこかに備蓄というか、在庫にするということで、ですから具体的に言いますと、現在出されているこの石油は、一体いつごろ輸入したものであるかどうかということを聞きたいわけです。
  19. 小松国男

    説明員小松国男君) これは各社在庫動向、それから実際にやっております精製所供給される油がどこから持ってこられてどうなるかというようなことで、これはもう各社それぞれ違っておりますので、平均して幾日かというようなことは申し上げられませんけれども、ただ一般的に言って、会社の場合には、これは経理上の考え方としては、後入れ先出しとか、先入れ先出し、または平均とか、いろいろの形をとっておりますが、そういうことで操作しております。また全体具体的に入ってくる油がどの程度期間を要して製品になっていくか、こういうのはなかなか各社によって違っております。ただ平均して申し上げますと、正常の回転であれば四十五日ぐらい、私どもはそういうふうに考えております。
  20. 山田譲

    山田譲君 どうしてこんなことをお聞きするかと言いますと、物価特別委員会でこの春視察をしまして、ある大手メーカーのところへ行きましたら、そこの幹部といろいろ話し合ったときに、その幹部の方がこういうことをおっしゃったわけです。つまり、安くて買ったときの石油ほど高くて、高いときに買った石油の方が安いんですと、こういうわかったようなわからないことを言われたわけです。聞いてみましたら、つまり安いときに買っても備蓄といいますか、蔵に入れなきゃいけない、そうするとその間のコストが非常に高くなるので、安いときに買っても、むしろ四十五日なら四十五買って蓄えておいて出せば、そのときの方がむしろ現在高く買ってすぐあした売るやつよりも高いと言うわけですね。ですから、安くせっかく買ったものであっても、ためておくから高くなってしまう。ですから、むしろためないで、きのう買ったものをすぐきょう売れば、その方が高くは買ったんだけれども、前に安いときに買ったものよりも安く出せる、こういう話をしたわけです、よくわからない話なんですけれども。そういうことがあるだけに、今度石油値上げの問題に関連していきますが、そうすると俗に言うように円安だとかなんとかいうことでもって、石油が値上がりせざるを得なくなるという話ですけれども、いまのお話ですと、四十五日前くらいのやつがもちろん平均としていま出されているとすると、それじゃ四十五日前のをそのころ幾らで買ったか、それからその後在庫のために幾らくらいお金を使ったかということが石油値上げ理由にならなければならないはずであって、現在が円安だから直ちに高くするというのは理由にならないと、先ほどの大手メーカーの方の言葉をかりて言えばそういうことになるんですけれども、この辺はどういうものでしょうか。
  21. 小松国男

    説明員小松国男君) これは各社コストをどういうふうに計算するか、これはまさに会社経理的な操作をどうするかということでございますが、これは方式として、会社の選び方としては当然先入れ先出し、または後入れ先出し、それから平均、これはいろいろあるわけでございますが、石油会社の場合にはほとんどの会社平均価格ということで、平均的なコスト会社財務計算その他をする、こういうことで経理操作をいたしております。
  22. 山田譲

    山田譲君 さっきの四十五日のことを前提として言いますと、四十五日前は大体原油幾らくらいであったか、それからまたそのときの為替相場はどうなっているかということをちょっとお聞かせください。
  23. 小松国男

    説明員小松国男君) 為替相場自身が相当ここへ来て動いておりますので、四十五日前と言いますと、現在九月ですから八月の十日ごろということになりますと、為替相場がその当時で二百六十三円でございます。それからFOBコストでございますが、これは会社によってもちろん若干違っておりますが、大体FOBで三十五ドル前後ということになっております。
  24. 山田譲

    山田譲君 先ほどの備蓄の問題に関連してですけれども、九十日間の備蓄というのは全然別にとっておくんですか。それとも新しく買ったやつをそこへ入れて、それで古いやつを出していくというふうなやり方じゃなくて、備蓄備蓄用として全然別にとっておくんですか。古くなっても構わないわけですか。
  25. 小松国男

    説明員小松国男君) 国家備蓄の場合には、大体二年くらいたちますとその油を入れかえるという操作はいたしておりますが、民間の場合には、先ほど申し上げましたように、各社のいろいろの方針によってそれは変わってくるわけでございまして、必ずしも備蓄分をずっととっておくとか、または途中でその備蓄分を使って他に備蓄分を積み増す、これは各社やり方によるわけですので、必ずしも一律ではございません。
  26. 山田譲

    山田譲君 その石油なり、原油というものは、備蓄しておいても余り質は変わらないんですか。
  27. 小松国男

    説明員小松国男君) 余り変化はないというふうに聞いております。ただ、余り長期にわたってやる場合には、やっぱりタンクの管理の問題とか、いろいろございますので、国の場合には二年程度で回転させるというやり方をとっております。
  28. 山田譲

    山田譲君 その次に石油値上げの問題に入りたいと思うんですけれども、まず石油の値段につきましては、通産省としてはどの程度関与しておられるかどうか、実質的な面、あるいは法律的な面、どちらも含めてちょっと御説明願いたいと思うんです。
  29. 小松国男

    説明員小松国男君) 石油問題がかつて非常に問題でありました当時は、シーリングプライス制度というようなものをしいておりまして、その場合には事前各社から値上げにつきましてはその値上げに至る理由、それからコスト状況、こういうものを報告を受けまして、チェックをしておった時期があったわけでございますが、ことしの四月に現在のような石油需給動向から見れば、むしろシーリングプライスのような制度を置くことは適当でない、むしろ市場メカニズムに任せることがいいんじゃないか、こういうことでシーリングプライス制度を四月にやめております。そういう結果といたしまして現在は各社値上げ、それからコスト状況については、私ども事前チェックその他はいたしておりません。  ただ、全般的な調査として、現在油が幾らで買われているかとか、そういう問題についての一般的な報告は受けておりますが、価格そのものとか、コストそのものについては、現在チェックをいたしておりません。
  30. 山田譲

    山田譲君 石油というのは、国民生活に非常に大きな影響を及ぼすものであろうと思いますけれども、そうすると、通産省としては、石油の料金については、四月までは一応シーリングをつくって、その範囲内というふうな、ある程度チェックを実質的にやっておられたようでありますけれども、そうすると、五月以降は全然ノータッチという状況ですか。
  31. 小松国男

    説明員小松国男君) そういう意味ではノータッチでございます。
  32. 山田譲

    山田譲君 そのこと自体非常に問題だとは思いますけれども、そうしますと、今度たとえば値上げしましたということについても一切構わないという状況になるわけですけれども、そうすると、通産省としては、これはそういうことで上げようと上げまいと勝手だということのようでありますけれども、そうすると、今度値上げについての、なぜ値上げしたかというようなことについては、これはまあ市場メカニズムで自由であるというふうな考え方とはいうものの、通産省なりのお考え方があると思うんですけれども、この値上げについてどういうふうに理解しておられるかどうか、それをお伺いしたいと思うんです。
  33. 小松国男

    説明員小松国男君) 現在の石油各社経理状況、これはすでに一般に公表もされておりますが、たとえば五十六年度営業年度で見ましても、三十四社ベースで三千四百億円以上の赤字と、そういう状況でございまして、しかも現在は御存じのように非常に円安で、為替レートが、円がどんどん安くなってきている、こういう状況でございます。  しかし、一方需要の方は非常に低迷しておる、こういうことで各会社精製その他の操業度は相当落ちている、こういう状況でいろいろコストがかさむ要因がございます。こういう中で各社がいま値上げその他を行っているわけでございまして、現在為替レートもこう長期にわたって非常に円安が続いているわけでございますので、これがコストという形ではね返るわけですし、それから需要低迷による操業度の低下がやっぱりコスト増要因になる、こういう状況でございますので、現在各社値上げを言っておるのは、やっぱりある程度コスト転嫁ユーザーにお願いする、そういう立場でやむを得ないんではないかというふうに考えております。  ただ、具体的に各社コスト幾らでどの程度かということは私ども試算しておりませんが、ただ、非常にそれが不当であるというような場合には、通産省としても報告を求め、今後も監視するつもりではございますが、現段階で行われておる各社値上げ、これはむしろ各社経理状況、それからいまの需給動向から見て、この程度ユーザーに御負担願わないと、なかなか石油精製業者自身の経営が非常に苦しくなる、こういうことで言われているわけでございまして、私どもとしてはこれは言い値がそのまま通るかどうかはまさに市場メカニズム需給動向で決まりますので、現在はその動向を見守っておるということでございます。
  34. 山田譲

    山田譲君 それで、各社それぞれ違いがある。そうすると、各社の売り値もまた差が出てくるということですか。
  35. 小松国男

    説明員小松国男君) 最近はほとんどアラムコ格差というのもなくなりまして、FOB価格自身もそんなに会社によって差がなくなってまいりました。それから、円安その他から受ける各社影響もそう違わない。ただ、実際にはユーザンス期間の問題とか、それから各社財務内容、それから実際の操業度の問題、こういうことで各社によっては当然コスト間に若干の差はあると思います。  そういうことでございますので、当然会社によってコストには、まあ現段階では恐らく微差だと思いますが、それぞれ差があると、それぞれの各社営業政策とか、プライスについての政策に基づいて値上げが唱えられている、私どもはこういうふうに判断しております。
  36. 山田譲

    山田譲君 全般的に言って、さっきおっしゃった三千四百億とか何とかという赤字ですね、こういうものが出てきたその原因は何であるかというふうに考えていらっしゃるか。つまりさっきからずっと聞いておりますと、何か円安だけがその原因であるというふうにおっしゃっているわけですけれども、果たしてそれだけかどうか、この辺はどうですか。
  37. 小松国男

    説明員小松国男君) これはもちろん会社の場合に仕入れ差損、ユーザンス差損がありますが、ほとんど大部分は、私ども円安による影響が昨年度の三千四百億の赤字の大部分ではないかというふうに思っております。むしろ原油FOB価格では若干下がりぎみでございますので、そういう意味ではほとんどが為替差損というふうに見ております。ただ、それ以外に需要低迷、その他に伴うコスト増要因とか、それから各社財務内容によりますコストアップ要因とか、こういうものもございますが、大部分は円安に伴うものというふうに考えております。
  38. 山田譲

    山田譲君 そうすると逆に言うと、円高のときには非常にもうかったということになるんでしょうかね。
  39. 小松国男

    説明員小松国男君) まあ石油会社の場合に長期的に見て、実はここ一、二年前までは円高基調でございましたので、そういう意味で、為替差損という意味では恐らく長期的には石油会社の収入というのはその面でプラスだったんだと思います。ただ、それが会社の身になっておったか、また利益になっておったかどうかという点につきましては、石油会社は、御存じのように、非常に過当競争体質でございまして、それがまた市場価格にいろいろ影響するというようなことで、御存じのように、石油各社の現在の財務内容は決していい状態ではないというのが実情でございます。
  40. 山田譲

    山田譲君 この為替なんというものは年がら年じゅう上がったり下がったりするのがあたりまえだと思うんですね。ですから、下がったら直ちにその分は消費者が負担しろ、上がったときは負担しなくてよろしい、よろしいというのは上がったままというふうな、こういうその都度その都度為替によって値下がりはしないけれども、値上がりだけは一人前以上にするというふうな状況は、どう見てもこれはおかしい。とりわけ、いまの需給関係から見ていって相当油はあるわけでありますから、しかも、需要の方は減っているというような段階で、それは普通でいったらむしろ安くなるのがあたりまえだというふうに常識的に考えられるわけですけれども円安の問題があるにしても、とにかく逆に値上がりしなきゃならないという状態はどうしてもわれわれとしてはどうもおかしい、普通じゃ考えられないと思うんですけれども、その辺どうですかね。
  41. 小松国男

    説明員小松国男君) まあ価格は需給動向で決まるわけですが、同時に基本的にはやっぱりコスト幾らになるかというのが価格のベースになると思います。特に私企業ベースの場合には、いつまでも赤字を続けるということになりますと、これは金融もつきませんし、会社自身経営の継続が困難になるということでございますので、長期的にはコスト市場に転嫁してユーザーにその辺の御負担を願うというのが基本だと思います。ただ、実際には先生御指摘のように、現在需給動向が非常に緩和しておりますので、円安とか、その他コストアップに伴うものを市場に転嫁できないでいるのが現在の石油会社の実態でございまして、その結果として、先ほど申し上げましたように、五十六年度で三千四百億以上の赤字を抱え、現在も瞬間風速でずっと赤字経営になっておるというのが実情でございます。
  42. 山田譲

    山田譲君 いろんな産業がありまして、その中には相当ひどい不況産業もあるわけで、しかも、赤字の会社もたくさんあるわけですけれども、企業が赤字だからすぐにその分値上げしていいというふうなことにはなっていないと思うんですね。それは当然それなりの企業の努力が必要である。直ちに円安だからといってその分だけをすぐにユーザーの方へ責任を転嫁していくというやり方は、これは普通考えられないことだと思うんですけれども、もう同じようなことになって恐縮でありますけれども、その点どうですか、つまり、ほかの産業と比較した場合の話。
  43. 小松国男

    説明員小松国男君) 御指摘のように、当然コストアップを企業の合理化努力によって吸収すべきであるということはもう当然だと思います。現に私ども石油精製の実態につきましても、思い切った合理化をやる必要があるということで、昨年暮れに石油審議会石油部会の答申を受けまして、現在中・長期的な観点に立った業界の体質改善にも取り組んでおります。  たとえば、過剰設備が、現在相当操業率が六〇%を割るというような状況でございますので、しかも今後の石油需要動向を見ますと、長期的に見ても百万バレル程度石油設備は過剰だと、こういうものについてはできるだけその過剰設備の処理を図るとか、それからあとは精製それから実際の流通段階で、各社いろいろ共同でそういうものを使うとか、また提携をするとか、こういういろいろの流通面の合理化、精製面の合理化を図って、コストダウンを図って、できるだけコストを下げていく、この努力をするのはもう当然だというふうに思います。ただ、いかんせん石油の場合には、八五%が原油代というようなことになりますので、これがしかも全部ほとんど輸入で円安影響をずばり受けておるということでございますので、なかなか企業努力だけでこれを吸収することは不可能でございますので、こういう面につきましてはユーザーサイドからも十分の御理解を得たいというふうに思っています。
  44. 山田譲

    山田譲君 別の話でちょっとお伺いしたいんですけれども、いわゆる石油会社の中には、外資系の会社、あるいは民族系の会社あるいは合弁の会社とか、幾つかあるようでありますけれども一般的に言って、外資系の方が景気がいいとか、民族系の会社の方が景気が悪いとかという、こういうことはあるんですか。
  45. 小松国男

    説明員小松国男君) かつてアラムコ格差というのがございまして、原油調達コストに非常に差があったために、どちらかと言えばアラムコ系というのはほとんど外資系が多いんですが、こういうところの方がコストが安くて財務内容もよかったということが過去長期にわたって続いておりました。こういうこともございまして、現在でもこれは過去の蓄積が会社財務内容という形であらわれておるものですから、そういう関係で、現在でもアラムコ系を中心とする外資系の方が会社財務内容がいいと、財務内容がいいということになりますと、たとえば金利負担も少ないとか、いろいろな意味で有利な点があるわけでございまして、現在の瞬間的な状況で見ますと、原油調達コストとかこういうものについてはそう格差はございませんけれども、そういう過去の問題もいろいろ考えますと、依然としてアラムコ系を中心とする外資系の方の財務内容の方がいいということは申し上げられると思います。
  46. 山田譲

    山田譲君 過去の蓄積なり、財務内容がいいと、円安影響は一様に同じであるということになってくると、少なくともその財務内容がいいような、あるいは蓄積が非常にあるようなところ、外資系についても同じような値上げした場合には、ますますその差が大きくなってくる、外資系の会社の方がもうけていくということにはなりませんか。
  47. 小松国男

    説明員小松国男君) 先ほど申し上げましたのはそういうことでございますので、大きな差はございませんが各社によってコスト面で若干の差がある、これが各社の経営内容そのものにも響いているわけでございまして、その結果として非常に大幅な赤字を抱えている会社と、また会社によっては若干の利益を上げている会社がある、こういう格差が現実に出てきておるわけでございます。今後の市場価格につきましても、どうしても一物一価的に一般市場がなりますから、なかなか財務内容の悪い会社のやつは高く買ってもらって、いい会社のやつは安く買ってもらうというような価格形成は市場メカニズムのもとではむずかしいというふうに思いますが、一応それぞれ各社が自分のコストをベースにしながら価格政策をとっておる、私どもはこういうふうに判断をいたしております。
  48. 山田譲

    山田譲君 そうすると、やはり各社によって外資系とか民旅系、あるいはそうでなくても、同じ日本会社であっても、会社によっていろいろ差があるということは、これはどういう事情であるというふうにお考えですか。
  49. 小松国男

    説明員小松国男君) 御質問の趣旨が必ずしも明確でないんですが、会社によって財務内容が違う、コストが違いますと、自然と市場価格が同じになった場合には、経営内容が黒字になる会社と、それから依然として相当大幅な赤字で甘んじなくちゃいかんという会社に恐らく分かれてくるというふうに思います。今後そういう会社については、経営の合理化を図るとか、他の体質改善を図って、この問題を処理していくということになると思いますので、そういう意味で、こういう私企業体制のもとでは、おのずから企業間格差が出てくるのはやむを得ないというふうに判断をいたしております。
  50. 山田譲

    山田譲君 先ほどちょっと過剰設備についての通産省が指導しておられるというような話聞きましたけれども、新聞その他によりますと、百万バレルですかを減らせと言うけれども、なかなか会社が減らしてくれないと、こういうふうなことが少し前の新聞でありますけれども出ておりましたが、その後この指導について業界はどういうふうに対応しているんですか。
  51. 小松国男

    説明員小松国男君) 私どもは、百万バレル過剰であるというのは、先ほど申し上げましたように、長期的な需要動向を見まして、今後相当安定供給で安全を見越してみても、百万バレルは過剰だということで、これは石油供給計画の中にこの数字を示しまして各社の今後の過剰設備を処理する一つの目標として掲げたわけでございます。ただ、あくまでもこの設備を実際に処理するのは個々の会社でございますし、それから現在のように非常にもう稼働率が落ちておる段階で、現在動いていない設備を廃棄すれば、それで会社の経営内容がよくなるというわけではございません。むしろそういう百万バレルの過剰設備を処理する過程で、非常に能率のいい設備に生産を集中する。そのためには単に一社だけではなくて、グループ化とか、こういう中でそういう問題を処理していく、こういうことで合理化を図っていくことが大事でございますが、そういう一環として、百万バレルを一つのメルクマールということで掲げておるわけでございますので、まあ百万バレル自身を処理することが目的ではなくて、これ結果として石油業界全体の体質改善が進められ、グループ化が進められ、それからさらに現在その需要が落ちているだけではなくて、油種間の需給ギャップといいますか、たとえば重質油——重油とかナフサの需要は落ち、一方軽質油のガソリンとか灯油とかその他こういうものは非常に堅調に推移しているわけでございます。そういう需給のアンバランスに対応できるような供給体制をつくっていくと、こういう中の一環として過剰設備も処理していくということが大事でございますので、そういう体質改善の一環ということで各社にいろいろの検討を願っております。それについてはいろいろ石油審議会石油部会の中に小委員会をつくりまして、その小委員会の先生が中心になり、各社動向も聞きながらアドバイスをし、それから将来の体質改善、再編問題と絡めながら息長くこの問題を処理していこうと、かように考えておるわけでございます。
  52. 山田譲

    山田譲君 なお、新聞によりますと、何か七十万バレルか八十万バレルくらいまで会社、業界としてはやりましょうというふうな雰囲気になっているけれども、なかなかそれ以上は進んでいませんというふうに書いてありますが、これはもちろん六月ころの段階の新聞です。その後どうなっていますか。
  53. 小松国男

    説明員小松国男君) 各社から過剰設備を処理しますといって出てきたのが先ほど先生からお話のございました約七十万バレルでございます。そういう意味では目標にまだ達していないわけですが、その後各社の過剰設備の処理方針、その他処理の見通しにつきましては、通産省としてもヒヤリングをいたしました。それから先ほど申し上げましたように、石油審議会石油部会の中の小委員会の先生を中心に、各社の今後の考え方を聞き、それにアドバイスをしながら、先ほど申し上げましたような体質改善の一環として、今後もその過剰設備の処理に向かっては努力していただく、こういうことでいろいろ検討を進めておる段階でございます。
  54. 山田譲

    山田譲君 それからもう一つ、灯油というのがありますけれどもね、これから冬を控えているわけですが、非常に灯油が一体どうなるのだろうという問題が国民関心のあるところでありますけれども、灯油については、この供給状況はどうであるか、それからその料金は一体どうなるのか、冬場を控えて上がるのか下がるのか、この辺の見通しはどうですか。
  55. 小松国男

    説明員小松国男君) 灯油につきましては、石油需要全体が非常に低迷している中では、どちらかと言えば横ばい、ないし堅調に推移している部類の一つでございます。それについては、私ども民生用灯油につきましては、特に安定供給を図る必要があるということで、現在石油精製業者としては、相当思い切った生産調整もいたしておるわけでございます。それから需要低迷に伴いまして、私ども石油供給計画下方修正を行い、これに伴い各月別の減産指導もいたしておりますが、灯油については十分その供給量を確保する、こういう観点で、従来から考えております九月末の灯油の六百七十万キロリットルの期末在庫を確保する、こういうことで業界にもいろいろ指導いたしております。恐らくその量は確保されるというふうに思います。そういう意味で今後の灯油の需要に対して、供給面での心配は一切ないというふうに考えております。  ただ、価格の問題につきましては、これは円安その他原油の価格が上がっておるわけでございまして、これについては、灯油の消費者についても応分の御負担を願わなければいかん、こういうことで、現在それぞれの油種について、四月、七月と各社平均しますと一万円近い値上げを唱えておるわけでございます。ただ、これが実際にどういうふうに浸透していくかという点は、今後の市場メカニズムの中で決まっていく問題でございますが、現在私ども灯油の値段についてはいろいろ調べておりますが、八月現在で東京都区部で大体千七百八十九円程度というふうになって、北海道はもちろんこれより安いわけでございますが、こういうことで、コストアップとの見合いで、灯油についてもある程度値上げはやむを得ないというふうに思っておりますし、この点については消費者の御理解も得たいというふうに思っております。
  56. 山田譲

    山田譲君 いずれにしても、国民生活に非常に大きな影響を及ぼす灯油であるだけに、それは円安だからしようがないという言い方じゃなくて、できればひとつ積極的に指導をしていただいて、それから供給面はそういうことで安心だという話ですからいいんですが、料金について上がるのはやむを得ないというんじゃなくて、できるだけひとつ行政庁としても努力をしていただいて、そう簡単に値上げをしていただきたくないというふうに思うのであります。  それから、最後でありますが、いろいろお聞きしたわけですが、どうも石油業界の中にはまだ本気になって新しい需給状況に対応しようというふうな企業努力が足りないんじゃないか。それで何かと言えば円安だから上げざるを得ないというふうな、そう簡単に値上げされたんじゃ非常に困る。それで、しかも石油そのものは非常に大きな、いろんな方面にも影響を及ぼすものであるだけに、石油が値上がるということは、これは後で物価局の方に聞きたいと思うんですけれども、いろいろな影響は出てくるわけですよね。灯油なんかもさしあたりストレートに来る問題であるけれども、そうなりますと、これを四月からは自由にさして、市場メカニズムに任せるんだとはいうものの、やはりこれは非常に重大問題であるだけに、特に石油業界そのものの体質をやっぱり基本的に直していかなければいけないんじゃないかというふうに思うんです。かつて高度経済成長のときに、とにかく向こうから買ってきさえすればどんどん売れてもうかったというふうな、その時代の夢がまだ完全に覚め切っていないんじゃないかという感じがしてなりません。絶えず安易に政府に頼り、あるいは料金値上げに頼っていくというふうな、そういうことでいく限り、やはりいつまでたってもよくなっていかないんじゃないか。そして、変動きわまりない為替相場の間に間に、下がることはないけれども上がるだけ上がっていくというふうな、こういうことになっていくんじゃないかというふうに思います。  現にこの石油審議会の、先ほどお話もありましたけれども石油の小委員報告におきましても、そういうことをかなりあちこちで指摘しているわけですよね。つまり、「自己経営責任原則が徹底しないまま今日に至っており、これが厳しい環境変化への自主的対応を大きく妨げているとの批判がある。」と、こういうことが書かれている。「この際、経営者の意識革新が行われ、行政依存体質から脱皮し、構造改善の推進等に積極的に取り組むべきである。これを通じて、企業の自己経営責任と、市場メカニズムを基本とする自律的な産業秩序の形成を志向すべきである。」というふうな言い方をしている。これは当然お読みになっていると思いますけれども。それから、最後の方に行きましても、本当に最後の結論的なところでも、「各企業においては、為替差益を内部留保の充実に振り向け、為替差損の発生に備えるべきである。」というふうな言い方もしている。  こういった意味で、いろいろ指摘がされているんですけれども、真剣にこれについて、各企業はその線でやっていこうという一体意欲があるのかないのか、そこら辺については通産省としてはどうお考えであるか、どういうふうに今後指導していかれるか、そこのところをお伺いしておきたいと思うんです。
  57. 小松国男

    説明員小松国男君) 先生御指摘のように、石油産業の体質改善、これはまさに今後の大きな宿題であるというふうに考えております。現在非常に需給低迷して短期的に苦しい問題がございますけれども長期的にやはり石油というのは国民生活にとっても大事なエネルギーでございまして、そのための安定供給を図っていくためには、石油業界自身が体質を改善してコストの引き下げを図り、それから経営の安定を図っていくと、これが基本だというふうに思っております。こういう観点で、先生御指摘のような「今後の石油産業のあり方について」という答申を受けまして、私ども業界について要請をしながら、さらに石油審議会の石油部会を中心に今後の石油産業のあり方についてもいろいろの検討をし、それから、それを石油業界に実施していただくと、こういうことでいろいろ指導もいたしておるわけでございます。  特に、問題は幾つかございまして、一つは、相当大きな過剰設備をどうやって処理していくか。それから、コストアップ要因を防ぐために今後合理化をどうやって進めていくか。さらに、需要構造が特に大きく変わってくるわけでございまして、そういう重質油から軽質油に転換していく需要構造に対してどういうふうに対応していくか。そのためには、たとえば設備だけではございませんで、重質油分解のための技術開発、こういうものも必要になるわけでございまして、こういう需要動向に対応する体質、それから、全体としての合理化を図ると、こういういろいろの面に向かって今後とも努力すると、こういうことで石油業界を指導してまいりたいというように思います。  さらに、現在のように非常に為替相場が変動するということになりますと、こういう為替の変動に対する対応策についても、たとえば為替予約を進めるとか、円シフトを進めるとか、社内でその辺の十分態勢を整えるとか、いろいろの問題がございますが、こういう問題についても検討すると、こういうことで、現在の諸情勢を判断し、また今後の動向に十分石油業界が耐え得るような体質をつくっていくこと、これが石油業界に課された課題でございますし、また石油政策としても今後志向する大事な宿題だと、こういうことで業界も指導しながら、また基本的には業界の自主努力が基本になりますが、こういうことで今後とも努力を続けていきたいというふうに考えております。
  58. 山田譲

    山田譲君 もちろんこれは石油の料金は公共料金じゃありませんけれども、あらゆる公共料金にストレートに影響を及ぼすような問題であるだけに、これは市場メカニズムで勝手にやればいいんだというようなことじゃなくて、通産省としても、極力いまおっしゃったような線で、強力な指導をひとつしていっていただきたいというふうに思います。  続いて、企画庁に物価の問題で、いまお話ずっと聞いておられたと思うんですけれども石油料金あるいは灯油というふうなものがこれから値上がりする、もうすでに石油はしているわけだけれども、こういうことについて企画庁としてどういうふうに考えていらっしゃるか、そしてまた、それが一般物価にどのような影響を及ぼすであろうというふうに計算をしておられるかどうか、そこのところをちょっとお伺いしたいと思うんです。
  59. 赤羽隆夫

    説明員(赤羽隆夫君) お答え申し上げます。  まず、後者の問題から先にお答え申し上げますけれども、三月以来のおおむね一万円程度値上げによりますところの消費者物価への影響、これはガソリンと灯油でございますけれども、加えまして〇・一%程度と、こういうことでございます。三月から八月までの五カ月間に消費者物価は一・一%上昇しておりますけれども、その中の〇・一%が今回の石油製品の値上げ影響である、寄与であると、こういうことでございます。この〇・一%の中の九割方はガソリンの値上げでございまして、灯油の方はその一割程度と、こういう計算になります。これからどうなるのか、この見通しはどうか、物価に対してどういうふうに考えるのかという点でございますけれども、この点につきまして私どもは、一時的にはともかくといたしまして、長期的には物価というのは需給関係によって、すなわち市場メカニズムによって決まることが消費者のためにもなる、こういうふうに考えてございます。その根拠は、先ほど資源エネルギー庁の小松長官からもお話がございましたように、石油各社これから中長期的に見て体質改善というのを進めていってもらわなければいけないわけでございますけれども、この体質改善による合理化というものを達成するには、そのためには石油各社の経営の悪化といったような状況が長引くということは、決して利益ではない、こういうふうに考えてございます。市場メカニズムによるところの競争によりましてコスト引き下げの努力、それを通じて中・長期的な体質改善というものが強制されることが必要だ、こういうふうな理解に立って見ております。  それから当面のことでございますけれども、ガソリンにつきましてはこの一万円の値上げに基づく末端の価格への浸透というのがほぼ進んでいると、こういうふうに理解しておりますけれども、灯油につきましてはなおこれから先もかなりの値上げということが起こるであろうと、こういう予想をしております。
  60. 山田譲

    山田譲君 最後に一つだけ質問して、この石油問題やめますけれども、いま企画庁のお話聞きましてわかりましたが、こういう非常に重要な問題、石油というふうな国民生活に非常に大きな影響を及ぼすような、料金が上がるとかいう問題のときに、企画庁としてはただ拱手傍観して眺めていらっしゃるのか、あるいはそれに対して何らかの意見を述べたりなんかするのか。直接の担当は通産省でございますけれども、企画庁としてはどういう立場でおられたか。その点ちょっとお伺いしてこの問題を終わりたいと思います。
  61. 赤羽隆夫

    説明員(赤羽隆夫君) ただいま申しましたように、基本的な考え方として、市場需給関係市場メカニズムによって価格が決まることが望ましいと、こういうふうに申し上げましたけれども、まずその前提は、やはり供給が十分でなければいけない、供給をしぼることによって、需給関係が逼迫をいたしまして、それによって値段が上がる、こういったような事態は避けるべきであると、こういうふうに理解をしております。  そういう観点から、通産省について、これは毎年のことでございますけれども、要望しておりますことは、需要期が始まります九月末の在庫をたっぷり確保していただきたい。この点は、前回の第一次石油危機のときの経験から、私どもが痛切にその必要性を理解したところでございますので、この点を申し上げております。先ほど小松長官からも御答弁がございましたように、全体として石油供給計画下方修正の中で、灯油の九月末在庫六百七十万キロリットルという点は確保すると、こういうことでございましたので、この十分な九月末の在庫の確保によりまして、需給関係からするところの価格への悪影響ということは避けられるのではないかと、こういうふうに理解をしております。  ちなみに申し上げますと、私ども過去の九月末在庫がどれぐらいあったかということを調べてみました。第一次石油危機が起こります前の四十六年度、四十七年度の九月末在庫というのを調べてみますと、年間の消費量に対しましてほぼ二割程度在庫量でございました。在庫率が二〇%、こういうことでございましたけれども、第一次石油危機の直前の四十八年におきましては、これが一七%程度と非常に下がってございました。ところで、ことしの目標でございます六百七十万キロリットル、これは年間消費量に対してどれぐらいの在庫率になるかと申しますと、大体三割弱、こういうことでございますので、需要期が始まります前の在庫量としては十分な在庫量であると、こういうふうに理解をしてございます。基本は、余裕のある在庫を持つと、こういう点を通産省に対して要望してきた、また、そのとおりに努力をしていただいていると、こういうことでございます。
  62. 山田譲

    山田譲君 いま言われたようなところで努力していらっしゃるようですけれども、ひとつ今後ともに物価の担当する企画庁としても、こういった問題については積極的にひとつ意見を出して、そして、できるだけ国民生活影響することのないように、そして不当な、円安に便乗するようなこういう値上げを十分チェックをするようなことでがんばっていただきたいというふうに思います。石油問題についてはこれで終わります。  次に、これは「むつ」の、まあエネルギー関係するもんですから科学技術庁、特別通産省とは関係ないようなものでありますけれども、ひとつぜひ「むつ」の問題について質問させていただきたいというふうに思います。  まず最初に、これは決まりきったことで恐縮でありますけれども原子力船「むつ」というのがありますが、これをつくった目的ですね、これは一体どういうことであったか。そのときの計画、どういう計画でもって「むつ」をやろうというふうに考えておられたか。当然何らかの計画があって、それに沿って「むつ」ができたと思うんですけれども、その計画はどうであったか。そして、この実験を終わって、実用に供するまでに大体幾らぐらい経費がかかればいいというふうに見込まれたか。そこのところをまず最初にお伺いしたいと思うんです。
  63. 高岡敬展

    説明員(高岡敬展君) お答え申し上げます。  原子力船「むつ」につきましては、計画されたのが大分以前でございますが、原子力船「むつ」の目的といたしましては、原子力船の実用化というのは当時から考えられた時点におきましても、かなり先であろうという想定があったと考えております。でございますから、原子力船「むつ」を建造、運航いたしましても、続いてすぐ商船の原子力化ということが進むものではないという認識に基づきまして、原子力商船としての基礎的なデータを集積する、それから建造、運航についての経験を得るということを目的とした実験船でございます。実験を行う船だという趣旨で建造されたものでございます。この種の計画につきましては、アメリカにおきましては、すでに使命を終わっておりますけれども、サバンナ号という船がございます。それから西ドイツにつきましてもオット・ハーンという実験船が建造され、ある期間運航されたという経緯がございます。そういうことでございまして、当初の計画から見まして非常におくれておるということは事実でございまして、不幸にも昭和四十九年に出力上昇試験のきわめて初期の段階で、放射線漏れ事故を起こしたわけでございます。それ以来八年余りが経過しておりますが、そういった大きな時間の空費がございまして、非常に所期の目的を達成するまでの計画がおくれておるという状況でございます。
  64. 山田譲

    山田譲君 聞いてないことを言わなくていい、これからやっていくんだから。私が聞いているのは、目的が何かということと、そのときの計画はどういうことであったかということと、そのときの経費はどれぐらいを予想すればその計画は達成できるであろうと考えたかということ。そこを聞きたいわけです。ですから、そこをはっきり言っていただきたいと思うんです。それをもとにしてこれから議論していきますから。外国のことなんか言わなくてもいい。日本の話です。
  65. 高岡敬展

    説明員(高岡敬展君) 当初、実験船として建造するという計画を立てたわけでございますが、完成後におきましては、当初におきましては海洋の観測をするという目的で計画されたものでございます。当初の全体の経費につきましては、ちょっと手元に数字がございませんので、後ほどお答え申し上げます。
  66. 山田譲

    山田譲君 私が聞きたかったのは、どういう目的だったか、最初の話ですよ。どういう目的でつくられたかということと、そのときは一体何年やれば十分この実験船としての使命は終わるであろうというふうに考えたか。そしてまた、それまでに一体大体経費幾らぐらいがそこに必要になるであろうという、およその計画に伴って費用というものは当然ついてくるわけだと思うから、それが聞きたかったわけです。十分お答えできなかったけれども、先に進みたいと思います。  それで、その次に、この「むつ」が進水したのはこれ四十四年の六月ですか、本当に燃料を入れたのが四十七年九月というふうになっておりますけれども、「むつ」のまず建造に幾ら要したということから始まって、現在五十七年でありますから、もう十年以上たっておりますが、その間に大体幾らぐらいお金がかかったか、その内訳をおっしゃっていただきたいというふうに思うんです。
  67. 高岡敬展

    説明員(高岡敬展君) 先ほどの御質問でございますが、当初の計画期間といたしましては、昭和三十八年から四十六年までの九年間、これは完成後の実験航海を含めまして、九年間で完結をするという計画になっておったわけでございます。必要な経費といたしまして、建造費が約三十六億円、地上施設などを含めまして。
  68. 山田譲

    山田譲君 それは最初の予定の方ですか。
  69. 高岡敬展

    説明員(高岡敬展君) はい。総経費が六十億円という計画でスタートしたわけでございます。  ただいまのお尋ねの、現在までに幾ら経費を要しておるかという点でございますが、昭和三十八年から五十六年年度末までの経費について申し上げますと、合計で四百十四億円でございます。「むつ」の建造費が約七十三億円、それから大湊港、現在の母港でございますが、定係港の建設費が二十六億円、それからその他一般管理費、これが大部分が人件費でございますが、百二十八億円、そのほか遮蔽改修、御存じのように、佐世保におきまして遮蔽改修の修理をいたしましたが、その関係で大体六十六億円、そのほか研究開発費その他を含めまして、当初申し上げましたような地元対策費三十七億円というのが含まれておりますが、総額といたしまして四百十四億円という経費を要しておるわけでございます。
  70. 山田譲

    山田譲君 いま伺った四百十四億の内訳ですけれども、もう一遍言いますと、この建造費が七十三億、それから大湊の港をつくるというので二十六億、それから一般の管理費、これは人件費なんかですね。これは全部で百二十八億、その他の内訳はよくわからない。研究開発費というのは何ですか、これは。  つまり、私が聞きたいのは、研究開発もあるでしょうけれども、そのほかに最初の青森県関係の漁業振興のための経費、あるいは長崎県に行ったわけですけれども、長崎県関係の魚価安定の経費と、あるいは青森県のさらに別なやつですが、魚価安定経費、それから漁港整備事業とか、むつ市原船関連事業というふうなものもある。こういうものもあるわけでしょう、ほかに。それも教えてください。それから一般会計から持ち出したやつもありますね。事業団から出したんじゃなくて、一般会計から出したやつもあるでしょう。それと区別しておっしゃっていただきたいと思うんです。
  71. 高岡敬展

    説明員(高岡敬展君) ただいま申し上げました数字で、総額四百十四億円と申し上げましたが、このうち、いま御指摘の地元対策費約三十七億円でございますが、これにつきましては科技庁の事業団の予算とは別に計上いたしまして、農水省に移しかえた後地元対策費として支出をされたものでございます。  その内訳を申し上げますと、青森でございますが、昭和四十九年の事故後の地元との協定に基づきまして約十二億円が支出されております。これは、沿岸漁業近代化の設備整備でございますとか、漁業協同組合の助成でありますとか、漁業信用基金に対する県の出資の補助でありますとか、そういった目的で漁業者に対する協力をいたしておるわけでございます。  それから長崎につきましては、修理期間中におきます魚価安定特別基金の造成ということのために二十億円を支出をいたしております。それから、そのほかに魚価安定基盤の整備事業助成ということで、これは魚の荷さばき施設その他の整備補助でございますが、五億円を支出いたしております。合計いたしまして、先ほど申し上げましたように三十七億円が支出をされておると、こういうことでございます。
  72. 山田譲

    山田譲君 青森県関係の魚価安定にも金を使っているでしょう。
  73. 高岡敬展

    説明員(高岡敬展君) ただいま申し上げました青森県に対します漁業振興対策費十二億円のうちに、三億円計上されておりますのがそれでございまして、漁業信用基金協会に対する補助金として三億円を補助しておりますけれども、これが青森県におきます魚価安定のために使われておるという状況でございます。
  74. 山田譲

    山田譲君 いまの言われたのは四十九年のやつじゃありませんか。そうじゃなくて、今度新しくまた行ったわけですね。そこでもってまた魚価安定のための何か経費を考えておられる、それは幾らかということなんです。
  75. 高岡敬展

    説明員(高岡敬展君) 先ほど御説明申し上げましたように、長崎県の、佐世保港で修理期間中、魚価安定のために二十億円の基金造成をしたわけでございます。「むつ」を大湊に回航いたしました後の魚価安定につきまして、地元と鋭意折衝を重ねたわけでございますが、結果といたしまして、長崎県を下回る額の魚価安定基金ではとても納得できない、納得をしてもらえないという状況でございまして、先ほどの三億円に加えまして十七億円、長崎並みの金額を積み増しするということで、どういう性格の金で、どういうメカニズムで魚価、安定機能を果たすかということにつきましては、現在地元の漁協その他と折衝中でございます。
  76. 山田譲

    山田譲君 先ほどの四百十四億の中には、さっきの一般会計から出したやつは入っていないわけですか。
  77. 高岡敬展

    説明員(高岡敬展君) 先ほど申し上げました四百十四億の内数といたしまして、地元対策費三十七億円を含んでおります。
  78. 山田譲

    山田譲君 それは五十六年まででしたね。五十七年の予算をちょっと教えてください、この「むつ」に要する経費ですね。
  79. 高岡敬展

    説明員(高岡敬展君) 五十七年度の予算につきましては、政府の支出ベースで申し上げますと約七十二億円、正確に申し上げますと七十一億九千七百万円というものが計上されております。  内訳は新定係港——これは関根浜、同じ大湊、現母港と同じむつ市でございますが、新定係港の関係費が三十八億円、それから研究開発費二億円、一般管理運営費が十四億円、維持管理費が十八億円ということになっております。いずれも概数でございます。
  80. 山田譲

    山田譲君 それじゃ先ほどの地元対策費というやつですね、これはどういうふうなやり方で支出していったのですか。最初予算には組んでなかったわけですか、一般会計では。
  81. 高岡敬展

    説明員(高岡敬展君) 長崎についての例で申し上げますと、基金で二十億円、事業整備で五億円支出しておるわけでございますが、これはいずれも昭和五十三年度の補正予算といたしまして、科学技術庁に計上され、農水省に移しかえた上支出をしておるわけでございます。
  82. 山田譲

    山田譲君 じゃ、青森の場合も佐世保の場合も、同じやり方ですか。
  83. 高岡敬展

    説明員(高岡敬展君) 青森につきましては昭和四十九年でございますが、同じ措置を講じております。
  84. 山田譲

    山田譲君 それじゃことしの青森、今度はまた別にいきますね、それも同じやり方、今度も補正予算でやるんですか。
  85. 高岡敬展

    説明員(高岡敬展君) 現在、先ほど申し上げましたように、代表的に申し上げまして十七億円の積み増しでございますけれども、これをどういうメカニズムで魚価安定機能を働かせるかということにつきましては、現在青森県漁連、それから青森県当局と折衝中でございまして、詳細はまだ確定いたしておりません。おりませんが、私どもといたしましては、財政当局の御意見もございますし、政府の補正予算の項目に入れて考えるという方向では考えておりません。
  86. 山田譲

    山田譲君 よくわかりませんが、その中身はどういうふうにするかということはもちろん相談ものでしょうけれども、十七億というのはもう決めたわけでしょう。その金は現在の五十七年度の予算の中に入っているかいないかということと、入っていないとすると、従来のやり方どおり今度の臨時国会かなんかにかけられるであろう補正予算のところで、十七億を科学技術庁の予算として出すんですかということを聞いているわけです。
  87. 高岡敬展

    説明員(高岡敬展君) 十七億につきまして、現在のところおおよそ地元との間で合意ができておりますのは、十七億円というお金を最終的には県漁連その他が、農林中金その他から融資を受けると、その融資に対する利子相当分を補助金として事業団から支出をするというようなことを考えております。  五十七年度の予算としてどう具体的に処理するかということにつきましては、先ほど申し上げましたように、原子力船研究開発事業団の既定経費の合理化、節減をいたしまして、その範囲内で処理をしたいといえふうに考えておるわけでございます。
  88. 山田譲

    山田譲君 そうすると、十七億円については従来のやり方と違って、実質的には三億ぐらいしかない、何億か知りませんが、要するに利子を出すという、一般会計の中から。そうして融資したその枠みたいなやつについては国は全然めんどう見ないということですか、いまのお話でいきますと、利子だけを見ようということですか。
  89. 高岡敬展

    説明員(高岡敬展君) その点がいま鋭意地元三者、特に青森県の漁連との間で折衝を進めておるわけでございまして、積み増しを約束しております十七億円のうちで、まあ科学技術庁に計上されております予算の範囲で、できるだけの節減を図って、ある程度の、長崎県と同じような基金としての拠出ができるかどうか、そういうことも検討いたしておりますけれども、大部分の額は先ほど申し上げましたような融資という方式でその利子相当分を助成をすると、原子力船研究開発事業団の方で負担をするということで処理をしたいというふうに考えておるわけでございます。
  90. 山田譲

    山田譲君 そうすると、しつこいようですけれども、その十七億というのは中身は何もまだわからないけれども、どんぶり勘定みたいで十七億やりましょうというかっこうで決まった話ですかね、十七億というのは。
  91. 高岡敬展

    説明員(高岡敬展君) その点につきましては、先ほどの繰り返しになるかと思いますけれども、大湊港に回航された後の魚価安定対策というものをどうするかということで、青森県側と折衝を重ねたわけでございますが、先ほど申し上げましたように、修理ということで、臨時に佐世保港にいる間に講じました基金二十億円というものが前例がございますので、それを下回っては納得いただけなかったということでございまして、すでに支出をしております三億円プラス十七億円の積み増しをするということで合意を見たわけでございます。
  92. 山田譲

    山田譲君 この問題ばかり言っているわけにいきませんけれども、いずれにしましても中身は決まらないけれども、十七億はとにかくやりましょうと、こういう話し合いができて、それをどういうふうに使うか、これからの話し合いで決めていくと、そして、その十七億を一般会計の補正でやるか、あるいは節約か何かでひねり出すかは別として、いずれにしてもまず十七億が先にあって、そしてあと中身はこれからおもむろに相談しましょうと、こういう話だということですね。  それで、その次に先ほど出ました関根浜ですか、関根浜に新港を建設すると。ことしもうすでに五十七年度予算でこれは三十八億ですか、準備している。それで、これは来年度は幾ら予算には、まだ概算でしょうけれども、考えておられますか。
  93. 高岡敬展

    説明員(高岡敬展君) 来年度の予算につきましては、原子力船研究開発事業団の予算といたしまして政府支出で約百十三億円、これは現金でございます。それから、国庫債務負担行為といたしまして約百十五億円というものを要求いたしております。その中で新定係港関係の経費でございますが、現金で約八十億円というものを計上しておるわけでございます。  それから、先ほど申し上げました国庫債務負担行為の分につきましては、これは新定係港の施設のうちの附帯陸上施設、陸上の関係の施設の建屋の建設費に充てる予定の経費でございます。
  94. 山田譲

    山田譲君 予算はわかりましたけれども、それじゃ、この新定係港ですか、これの計画の大要、それからその全体幾らかかりますかということですね、これをまずお伺いしたいと思います。
  95. 高岡敬展

    説明員(高岡敬展君) 関根浜の新定係港につきましては、現在地元との間に漁業補償でありますとか、そういった予備的な折衝を重ねておりまして、五十八年度中には建設に着工したいという計画にいたしております。おおむね六十一年の九月をめどにいたしまして、港として供用できる、使用できると、つまり大湊から「むつ」が回航できる状態に持っていきたいという計画でございます。定係港といたしまして全体が完成いたしますのは六十二年度中になろうかと思っておりますけれども、そういった計画で進めたいと思っておるわけでございます。それで、これの全体の建設費でございますが、現在基本設計その他を詰めておる段階でございまして、正確な数字を申し上げる段階でございませんけれども、現時点での試算といたしましては、陸上の附帯施設を含めまして、大体五百億円ないし六百億円という程度のお金がかかるんではないかという推定をいたしております。
  96. 山田譲

    山田譲君 そうすると、ことしのこの三十八億ですか、五十七年度予算三十八億というのは何に使っているわけですか。
  97. 高岡敬展

    説明員(高岡敬展君) 現在、予定地につきまして海況、海のいろいろなデータをとるための調査をやったり、それから陸上につきまして、ボーリングその他の作業をやっておりますが、そういった環境調査が主体でございます。
  98. 山田譲

    山田譲君 二つ三つ一緒にお伺いしておきたいんですが、そうすると、いまの三十八億の使い道につきましては、地元との話し合いがなくてもできるということですか。  続いて、この新定係港、関根浜のやつ、これは「むつ」だけのものなのか、あるいはその他の一般の船もそこへ来れるような、そういう計画の内容になっているのか。おたくからいただいたこの資料ですね、「日本原子力船研究開発事業団’82」というのを見ますと、十三ページにこういう図がかいてありますよね。これはおわかりでしょうけれども、こういう図がありますね。こういうものをつくるわけでしょう、五百億か六百億かけてね。そうすると、この絵では「むつ」だけが泊まっているように見えるけれども、ほかの船は使えるのか使えないのか、使うことも考えてつくるのか、そこはどうなんですか。
  99. 高岡敬展

    説明員(高岡敬展君) 先ほど御説明申し上げました環境調査その他の予備調査でございますが、これはあくまで予定地の周辺に漁場がございまして、漁業者が操業をされておるわけでございますので、調査の都度、地元漁協はもちろんでございますが、関係者の了解を得て調査を進めておるわけでございます。  それから新定係港を「むつ」の専用港とするのか、あるいは公共的なものとして考えるのかという御質問でございますが、この点につきましては、私どもといたしましては、新定係港は長い将来考えますと、やはり公共的な性格のものとして活用を図りたいと、こう考えております。ただ、公共港湾ということになりますと、地元にその建設費の一部を負担してもらわなくちゃいけないというような問題がございまして、この点につきましては地元と協議を重ねたいと思っておりますけれども、現在の見通しといたしましては、「むつ」の建造の目的を達成するためには、何をおいても新定係港を早期に完成する必要があるという事情にございますから、当初の姿といたしましては「むつ」の専用港的な使い方になろうかと思いますけれども、将来にわたっては公共的な利用というものも図れるような配慮をしながら建設を進めたいと、こういう考えでございます。
  100. 山田譲

    山田譲君 そうすると、五百億か六百億かかけてこの六十二年度じゅうに新定係港をつくりたい。それについては一応さしあたりはこの「むつ」だけが泊まることができるような港にすると。しかし、将来は公共的な港に持っていくことも考えていると。しかし、その場合には地元とのいろんな負担とかなんかの問題があるので、さしあたりは「むつ」だけということでこの新定係港をこの図にあるような形でもってつくっていきたいと、こういうことでございますか。
  101. 高岡敬展

    説明員(高岡敬展君) 先ほど申し上げましたように、最終的には公共港湾として整備を図りたいということでございます。それで、まあさしあたっては「むつ」専用ということが実態かと思いますけれども、そういった最終的な姿を念頭に置きまして、公共港湾としての配置ということも考えまして整備を図りたいと、こういう考え方でございます。
  102. 山田譲

    山田譲君 この五者協定というやつがありますね。これ、五十七年八月三十日につくられたやつ。これにちょっと内容でわからないところがあるからお聞きしていきたいんですけれども、まず、大湊にすでにいろんな陸上施設、港についても同じかと思いますが、この「むつ」用のものができていますね。そしてそれはどんなものかということをまずお聞きしておきたいんですが、これはその質問に関連してきますけれども、この協定書の5に「甲及び乙は、新定係港の完成をまって大湊港の定係港を撤去するものとする。」というやつがあります。ここで言う大湊港の定係港を撤去すべき大湊港の定係港というのは一体何なのか、それとそれをつくるのに幾ら要したかということと、その定係港は実際に使われたか使わなかったかということですね、これをちょっと内容をお聞かせいただきたいんです。
  103. 高岡敬展

    説明員(高岡敬展君) 大湊港の定係港の建設費につきましては、先ほど申し上げましたように、約二十六億円を用意しておるわけでございます。これにつきましては四十九年に非常に残念な事件がございまして、十分定係港としての機能を発揮することができなかったということははなはだ残念でございますが、ただ、四十九年のあの事故の後にも入港をいたしておるわけでございますし、また、きわめて不満足な状態ではございますけれども、この九月の六日に「むつ」が大湊港に再び回航されまして、新定係港が完成いたしますまでの間大湊港で停泊しておるわけでございます。でございますから、もちろん地元との話し合いの結果、原子炉は動かさないと、凍結された状態に保持すると、少なくとも地元三者——県、むつ市、県漁連というものの同意がない限り、その状態は変えないということが協定に入っておるわけでございますから、そういう状態ではございますけれども、「むつ」の係留を行うというきわめて不満足な状態ですが、そういう機能は果たしておるということでございます。
  104. 山田譲

    山田譲君 よく人の言うことを聞いていていただきたいと思う。私はそんなことを聞いてるんじゃなくて、「撤去するものとする」と書いてあるわけですよ。何を撤去するか、撤去する内容を具体的に言っていただきたいということを言っているわけです。大湊港の定係港を撤去すると書いてありますから、その撤去すべき定係港というものの内容はどんなものですかということをお聞きしているわけですよ。
  105. 高岡敬展

    説明員(高岡敬展君) 母港の撤去といたしましては、たとえば母港の機能といたしまして、新しい燃料または使用済みの燃料の貯蔵保管施設がございます。それから放射性物質の処理、処分施設がございます。そのほか、原子力船固有の施設をいろいろ持っておるわけでございますが、そういった機能を撤去すると、こういう意味かと了解しております。
  106. 山田譲

    山田譲君 この燃料の保管施設といいますか、貯蔵施設、こういったものはあれですか、もうすでに使ったことあるんですか、使ったことないんですか。
  107. 高岡敬展

    説明員(高岡敬展君) いま申し上げました、たとえば核燃料の取り扱い設備につきましても、新燃料の保管施設などは当然使用をしたことがございます。ただ、使用済み燃料の保管施設などにつきましては、使用されずに終わるということが考えられるということでございます。それから放射性廃棄物の貯蔵、処理設備につきましても、実際に運転された実績は現在までのところございません。
  108. 山田譲

    山田譲君 そうしますと、この撤去するというのはもう一部使われたところもあるけれども、全然使われてないものもあるということで、それは六十二年に新しい港ができたら全部こちらをぶつ壊して、こちらに新しくつくりますと、こういうことですね。
  109. 高岡敬展

    説明員(高岡敬展君) 新定係港でございますが、先ほども申し上げましたように、非常に厳しい財政状況の中で多額の金額を要するわけでございますので、現在の母港、大湊の定係港にあります施設で、新定係港に転用可能なものにつきましては、鋭意転用を図りたいと思っておりますけれども、そういうことが技術的には可能であっても、経費節減の面でそれほどのメリットがないというものについては新設をせざるを得ないということかと考えております。
  110. 山田譲

    山田譲君 その次に、この「むつ」は原子炉を凍結したままいまの大湊に置くわけですね。新しい港ができればそっちへ移るということですけれども、その間船は動かすんですか、動かさないんですか。
  111. 高岡敬展

    説明員(高岡敬展君) これは新しく締結されました青森県との五音協定によって約束をされておることでございますが、青森県、むつ市それから青森県漁連の同意がない限り、原子炉が凍結をされた状態を変更しないということになっております。でごいますから、大湊港で何もしないというわけではございませんが、地元の同意を前提に取り扱いを決めたい、こういう意味でございまして、「むつ」が九月六日に回航されたばかりでございますので、現在のところ、大湊港においてどういう試験なり、操作をやるかということについては現在のところ白紙の状態でございます。
  112. 山田譲

    山田譲君 いや、協定書の三によれば「むつ」の補助ボイラーで動かす場合は構わないというふうに書いてあるんだから、何も相談する必要は全然ないと思うんですよ、この限りではね。  そこで私が聞きたいのは、この協定によると補助ボイラーだったら動かせると書いてあるから、補助ボイラーでもって動かしますかと聞いているわけです。
  113. 高岡敬展

    説明員(高岡敬展君) 協定の文面によりますとおっしゃるとおり補助ボイラーを使って「むつ」を運航するということは可能でございますし、それから、私どもといたしましても、乗組員の士気の維持でありますとか、あるいは一般地元関係者の理解を得るというためにも、ある程度の補助ボイラーを使っての運航ということは、地元の関係者の理解が得られれば実施をしたいというふうに考えております。
  114. 山田譲

    山田譲君 時間がないからちょっと急ぎたいと思うんですが、この同じ協定書の七に、「甲及び乙は、「むつ」に係る風評による魚価安定対策の充実を図るものとする。」という言葉がある。よくわかりませんけれども、この「風評による魚価安定対策の充実」というのは一体どういうことですか。
  115. 高岡敬展

    説明員(高岡敬展君) 端的に申し上げますと、先ほど御説明を申し上げましたように、現在「むつ」がいることによって実害があるわけではないと私ども信じておりますが、ただ、四十九年の事故以来、大変漁民の方々に御心配をかけ、不安を持っておられるということは事実でございます。でございますから、実害がなくても、いわゆる風評によって魚価が変動して、低落して漁業関係者に迷惑をかけることがないとは言えないという認識でございまして、そのための対策を増強すると。具体的には、従来三億円をこのために使っておりますが、先ほども申し上げましたように十七億円を積み増しをして増強を図る、こういう趣旨でございます。
  116. 山田譲

    山田譲君 そうすると、たとえば陸奥湾で取れたイカと函館の港で取れたイカと、陸奥湾で取れたイカは「むつ」がそこにいるから安いとか、そういうことが今後起こるという話ですか。われわれが普通魚屋に行って買うときに、これは陸奥湾で取れたやつですとか、これは函館湾だとか、そんな区別はないはずなんです。それがどうして差があるというふうに考えるんですか。
  117. 高岡敬展

    説明員(高岡敬展君) それの認定につきましては、確かに「むつ」がいることによって「むつ」が何かの、そんなことがあっちゃいかんのですけれども、トラブルを起こして、それが原因となって、風評のために魚価が低落したという社会的な客観的な事実が一般的に認定される、そういう状況になった段階で低落の実害を補償するという、そういった機能を持たせるというのが魚価低落対策の仕事だというふうに理解しております。
  118. 山田譲

    山田譲君 時間になりましたからあれですが、そうすると、何かそういう風評が立って、低落の事実があったときにこれは補償するということですか。そうじゃないでしょう。そういうことがあるかもしれないからというわけでお国の金を出すという意味でしょう、これは。
  119. 高岡敬展

    説明員(高岡敬展君) 漁業関係者と政府、それから事業団との間の信頼関係というのは多少異常なところがございまして、そういう事態が実際に起これば、政府としても、事業団としてもほうっておかないんだということをるる申し上げるんでございますが、それでは必ずしも納得をいただけませんで、そういうときには直ちに機能できるメカニズムというものをあらかじめ明示をしてもらいたい、それから、そのときにとりあえず出せる金を明確にしてもらいたいというのが地元の強い要望でございます。その点を理解いたしませんと私ども原子力船開発が進みませんので、その点の対策を講じておるというという状況でございます。
  120. 山田譲

    山田譲君 大体見当つきましたけれども、最後に、私がそちらに、まあ本当は長官に聞きたかったわけですけれども、世論を見ましても——世論というか、いろんな新聞の社説なんかを見ても、「むつ」を廃船をしろというふうな社説が圧倒的に多いわけですね。いままでずっと聞いてきましたように物すごくむだ遣いをしているとしか考えられない。最初は、もちろん出発するときはそんなこと考えなかったと思うけれども、いささか結果論になって恐縮でありますけれども、物すごく金を使っている。しかも、新定係港をこれから五、六百億をかけてつくろうとしている。そのときにはもうすでに全然使ってもいない大湊のものを撤去しなきゃならないとか、あるいは魚価が下がるか上がるかわからないのに、事前に何億という金を使っているというふうな、非常なむだ遣いをしていて、そして今後の見通しとして、展望がどうなるのかということもはっきり示されていないわけです。ですから世論なり、新聞論調として、廃船したらどうかというのが出るのがあたりまえだと思うんですけれども、今後の「むつ」の展望ですね、本当にこれをやれば役に立つのだとかという、ほかの国は、たとえばアメリカにしても、ドイツにしても全然もうやってないわけで、ソ連だけがやっているという話ですけれども、そういうふうな中で、これ一生懸命これから当てもない実験——実験にまで移らないんですけれども、こういう状態のままでお金を使う、そして一体どういう役に立つのか、しかもこういう財政再建の折から、ただでさえ公務員の賃金を抑えようなんと言っていながら、このなところで、失礼ですけれどもこんなにお金を当てもないのに使っている。そしていつになったら一体実際役に立つのだ。立ったところで、その船が、実験が役に立ったって、その線に沿って商船なり、貨物船ができるのかできないのか、そういう展望を見たって、ほかの国はすでに終わっていまつくっていないでしょう。そういう前例を見て考えた上で、一体科学技術庁、あるいは政府としては、それでもなおかつ「むつ」を強引にわけがわからない航海に立たせようとしているのかどうか、そこら辺をちょっとはっきりとお聞かせいただきたいと思うんです。
  121. 高岡敬展

    説明員(高岡敬展君) 「むつ」の建造につきましては、先ほど申し上げましたような不幸な事件のために、言うならばよけいな金を使っておるのは事実でございまして、はなはだ残念に思っておる次第でございます。でございますが、原子力船の将来につきましては、船舶の原子力化、原子力商船といいますか、そういうことは、いますぐにというわけでございませんけれども、将来必ず起こってくるであろう。一昔前には、原子力発電が火力発電——石油火力でありますとか、石炭火力に比べまして、今日見ますように半分、あるいは六掛けというような経済的に非常に有利だというような状況は、私ども予想しなかったところでございますけれども、そういう状況が出てきておる。船舶についても、条件はやや厳しゅうございますけれども、そうなるであろうし、日本の立場として、ぜひ早くそうしなきゃいけないというつもりで「むつ」の開発を進めておるわけでございます。でございますから、「むつ」につきましては、先ほど申し上げましたように、実験船としての所期の目的をできるだけ早く完結をするということでございまして、次のステップといたしまして、日本の産業界におきましては、実用化を促進するために、原子力商船というものを早く建造すべきだという意見もございますけれども、そこまでいけるかどうか自信ございませんが、たとえばソ連などでやっております極地におきます観測でありますとか、あるいは極地の海洋調査のために原子力船のメリットが非常に大きいことは自明でございますので、そういう技術を蓄積をして将来に備えるという考え方もあろうかと思います。いずれにいたしましても、「むつ」を土台にいたしまして、将来の原子力船開発を進めたいという考えでございます。  これは話が長うなって恐縮でございますが、日本だけがひとりよがりに言っておるわけではございませんで、カナダにおきましても、極地におきますタンカーとして、原子力船の建造につきまして設計を進めております。それから西ドイツにおきましても、フランスにおきましても建造を進めておる、将来の建造に備えまして研究を進めておるわけでございます。特に、米ソは別格といたしましても、イギリスでありますとか、フランスでは、商船に将来転用可能な技術を蓄積いたしておりますので、そういう点でハンディのある日本としては、原子力の開発というのはぜひ力を入れるべきだというのが基本的な考えでございます。
  122. 対馬孝且

    対馬孝且君 私は、北炭夕張問題につきまして、通産大臣初め関係の政府委員にお伺いをいたします。  まず最初に、大臣も御存じのとおり、いまや北炭問題というのは社会的、政治的問題として、政治課題としては最大の課題に発展をいたしております。しかも、大澤管財人が二十八日をもって全面閉山、全面解雇というのが、事態を憂慮をいたしまして十月六日まで延期をいたしました。そこで私は、きわめて今日の段階はまさに胸突き八丁の重大な局面に差しかかっている、こう認識をしなければならないと、こう思うわけであります。  そこで、まず冒頭にお伺いしたいことは、二十八日の日に大澤管財人が、炭労の交渉の席上で、今後炭労の同意が得られないとするならば、会社更生法二百七十三条、私は持ってきておりますが、これに従って更生手続の廃止をとらなければならない。つまり破産の状態に行かざるを得ない。こういう事態を迎えるので、ひとつ最大限の協力をしてもらいたいという前提で、実は六日に延期をされたと、こういうふうに、私は正式にいま聞いているわけです。  そこで、この点についてはきわめて重大な問題でありまして、この点をどのようにまず政府として受けとめられているか、この点まず冒頭伺っておきます。
  123. 弓削田英一

    説明員弓削田英一君) ただいま先生からお話しございましたように、実は夕張の閉山、全員解雇等につきましては、この二十八日に予定をしていたところでございます。炭労その他関係者の要請によりまして、十月の六日まで実は延期をしたところでございます。  この十月までの延期の期日でございますが、大澤管財人としては、夕張社の資金状況も踏まえまして、非常に現在窮屈な状況でございまして、これ以上延ばせないと、ぎりぎりの線で十月六日を決められたというふうに私ども聞いているわけでございます。したがいまして、もし十月六日までにこの問題が決着しないときには、北炭夕張社の破産というような最悪の事態に陥ることは考えられるわけでございます。  こうした場合には、真谷地、幌内の関連会社の連鎖倒産を招くことはもちろんでございますが、大澤管財人がお考えになっております新鉱の再建計画につきましても、その再建の可能性が無に帰してしまう、こういうようなことが考えられるわけでございまして、通産省といたしましては、このような最悪の事態に陥ることを非常に懸念をしているところでございます。  大澤管財人、関係労組の努力によりまして、早期にこの問題が解決することを期待しているところでございます。
  124. 対馬孝且

    対馬孝且君 いま弓削田石炭部長からきわめて重大な局面を迎えているということと、この事態を何とか避けてもらわなければならないという答えでありますが、その中身としては、真谷地、幌内の連鎖倒産の事態を招く状態にもなる、加えて北炭新鉱そのものの再建の見通しが立たなくなると、こういう理解でよろしょうございますか、この点について。
  125. 弓削田英一

    説明員弓削田英一君) 先生おっしゃったとおりでございます。
  126. 対馬孝且

    対馬孝且君 それだけに、私ども権威ある顧問弁護士を通しまして、この二百七十三条の問題、いまここに法律を持ってきておりますが、結果的には、合意を得られないということは、債権者集会の同意を得られない場合、限られた期間に更生計画が立たない場合、この二つが二百七十三条の項目にあるわけでありますが、そこで問題は、いま石炭部長がお答えになりましたが、かかる事態になっては絶対ならない。私も、どんなことがあっても夕張の再建と、真谷地、幌内の連鎖的倒産を招く、ひいては地域社会も壊滅をする、このことだけは絶対避けなければならないと、こう思っておるわけであります。  そこで、大臣にお伺いしたいわけでありますが、今日的段階がそういう基本にあるとするならば、ひとつ全面解決をするために、大臣の基本姿勢としてどういうお考えを持っているか、これをまず一つ大臣に冒頭伺っておきます。
  127. 安倍晋太郎

    ○国務大臣安倍晋太郎君) いま石炭部長からお答えをいたしましたように、これが労働組合の同意も得られないというふうなことになれば、会社がやっていけなくなる。破産せざるを得ない。そうなれば、他の山にも直接影響が出てくるし、地域も大変な混乱に陥ることは火を見るよりも明らかであります。私が常に言っておりましたような、山を残すというふうなことも不可能になるわけでありますから、何としてもここでは、いま大澤管財人が提案をいたしております内容について合意を得られるということが一番大前提であろうと思うわけでございます。  そのためには、さらに大前提として労務債の問題が出てくるわけでありますが、これについては萩原氏もしばしば炭労との会談等も通じまして、誠意をもって労務債の支払いを行うと、こういうことを言っておるわけでございますから、この問題が解決することが大きなまた前提でもあると、こういうふうに思います。
  128. 対馬孝且

    対馬孝且君 いま大臣から、まさしくそういう事態を避けるために、それなりの政府としての考え方が示されましたけれども、私はやっぱり、これから具体的にひとつお伺いするんでありますが、炭労と二十日の萩原会談で、まず労務債の問題を明確にしておきたいんでありますが、これは七十一億八千万円は責任を持つと。そして、私も二十六日の商工委員会で具体的に萩原の私有財産、あるいは沼田、さらに苫小牧、平和地域部内の遊休資産等の問題を提起いたしました。  そこで、ここで言っておりますことは、七十一億八千万円プラスアルファに努力をしたい、こう言って、その場合、国会でも指摘をされましたが、つまり私有財産をも処分してと、こういう決意を明らかにされたというふうに言っておるわけです。  ところが、その後、政府側としてもいろいろ努力をされていることは承知しておりますけれども、七十一億八千万円のつまり遊休資産というものの売却がなかなかめどが立たない。けさの新聞では四十億というふうな話も一部の新聞に報道されていますけれども、それは別にして、私が言いたいのは、そういう問題についてプラスアルファというよりも、むしろ完済を目的に最善の努力をしてもらわなきゃならん。この間、御案内のとおり、もうお聞きだと思いますが、夕張の全員大会で炭労に一任をし得なかったと、こういう憂慮すべき事態を招いているわけです。したがって、あす大会と、こういう段階で一定の政府側の姿勢ということが、いまやっぱり組合員が求めている、また夕張市民もこれを求めているというのがきょうの重大な私は問題点だと思うわけです。  そこで、私はお伺いをするんでありますが、つまり七十一億八千万円、これにさらに完済をめどに全力を挙げていただくということについて、政府として最善の努力を——萩原吉太郎はいまなお私有財産をなげうつと、こう言っているけれども、さっぱりこれは血を流していない。私に言わせれば、結果的に七十一億八千万円だって、通産大臣初め政府関係者がそれなりの政府の協力をして、つまり土地の売却、あるいは株の全体の受け取りというような問題等も政府がそれなりの努力をした結果が七十一億八千万円に到達をすると、こう私は受けとめているわけです。そうしますと、まだいまだにこの萩原の姿勢というのは、みずから血を流したというのは一体何だ。私に言わせれば株だけを売却をしたというだけであって、実際に自分の私邸の、この前指摘を申し上げました千三百八十二坪、金に換算して三十三億七千万円という私邸をいまだに血を流していないと、こういう受けとめは、これは労働者は当然、現地の住民も全くそうです。これに対していま一歩最善の努力を払ってもらわないと、一たん七十一億八千万円と言ったけれども、これもどうも危ぶまれるというようなことを言って、きのうの団体交渉ではこう言ったそうです。これは三点確認したそうです。百二十三億の支払いについては当然と考えている。二、百二十三億の支払いのために最大限の努力中であり、その結果を回答する。これは五日に回答する。三、炭労も社会的にも納得できる内容を提示したい。こういうことをきのうの十三時三十分の炭労と萩原会談の席上出されたそうでありますけれども、私は非常に懸念をしているのは、何といってもこの萩原吉太郎という人材については、この間の商工委員会でも指摘しましたが、率直に言って住民も組合員も信頼をしていない。それだけに、五日というもうタイムリミットがあるわけですから、これに向けて政府としていま一度萩原吉太郎、もちろん大澤管財人に対しても、労務債の完済ということに対する政府の積極的な強力な働きかけをしてもらいたいと、またすべきであると、こう考えるんですが、大臣、この点考え方をひとつ。
  129. 安倍晋太郎

    ○国務大臣安倍晋太郎君) 自己の経営責任で累積をいたしました労務債の処理でありますから、これは当然その性格上三井観光を含めた北炭グループで、誠意をもって対処すべきものであると、こういうふうに考えております。政府としましても、従来から北炭グループに協力を求めたところでありますし、私もまた萩原氏にも直接会いまして、強く労務債の処理について迫ったわけでございます。萩原さんも誠意をもってこたえると、こういうことでありましたが、今後とも引き続き関係者に対しまして指導を行うなど、適切に対処してまいりたいと、こういうふうに考えております。  昨日の萩原さんと炭労会談も私も聞いておるわけでございますが、いまお話しのようなこの三点、きわめて前向きに解決しようというようなことでございますので、これは来月の五日には回答されるわけでありますが、われわれとしてもこの誠意ある回答が実現できるように、今後とも関係方面に対しましても接触をしながら、指導もしてまいりたいと、こういうふうに考えております。
  130. 対馬孝且

    対馬孝且君 いま大臣から、五日という何といってもタイムリミットがあるわけですから、萩原吉太郎、大澤管財人、関係グループを含めて、ひとつ大臣としても関係方面にさらに働きかけをすると、こういうことですから、ぜひひとつそれを五日に、それこそ社会的、人道的立場、あるいは炭労労働者を含めて、なるほどと納得できるひとつ答えが出られるようさらに努力をしてもらいたいと、このことを強く申し上げておきます。よろしゅうございますね。  そこで次の問題は、新鉱再建の問題について、私は、夕張の市民会議が私のところにこの災害発生以来たびたび来ているわけでありますが、この市民会議というのは、自民党から共産党まで各政党全部入って、また商工団体、市長を先頭に、市長を議長にしまして、住民団体、農業団体、労働団体も全部入って、市民会議をつくって六項目の要請行動を、私のところに何回も来ておりますが、これを見ますと、言うまでもなく、一は労務債のあくまで完済に努めてもらいたい。二は雇用の確保を図るため北部開発まで残炭採掘による継続操業を確立されたい。三は北部開発並びに残炭採掘計画、労使の理解を得る計画を樹立してもらいたい。四番目として、再建計画の早期樹立のため、新会社構想について具体的な措置を明らかにしてもらいたい。五番目として、下請産業における殉職者遺体収容の場合の労務債二億二千万円、労務相当額七億八千万円、最優先完済になるんでありますが、そういう理解である、こういうことになっているわけです。  そこで、協力を得たいということになっていますけれども、そうだということに私も結論なっているんでありますが、問題は、やっぱり下請関係について、新会社構想ということをはっきりこれはもう夕張のまさに市長が議長になってわれわれに理解を求めたい、こういう基本姿勢に実はなっているわけです。この基本姿勢をどうするかということについて、社会党のわれわれ、これは三役で、阿具根委員長を先頭に、この事態をどうするかということについては、少なくとも新会社構想ということにこの際社会党は全力を挙げて問題の解決をすべきである、こういう意思結集をして対決ということになったわけでありますが、この点からまいりますと、問題はやっぱり下請関係の二億二千万に対しては当然やっぱりこれは配慮しなければならない。この点について政府はどういうふうに考えているか。つまり、二億二千万というのは、殉職者のときに下請関係のものは労務債の問題として払わなかった。この点に対して、当然通産省がアドバイスをして完済をさせると、こういうふうに考えますが、いかがでしょうか、この点。
  131. 弓削田英一

    説明員弓削田英一君) ただいま先生から御指摘のございましたように、遺体収容のための費用二億二千万を含めまして、実は下請関係の債務八億二千五百万が実はあることを私ども承知をしているところでございます。このような下請業者の労務債見合いの債権の取り扱いにつきましては、基本的には会社更生法の定めるところによりまして、裁判所の管轄のもとで管財人が今後策定されます更生計画の中で処理されることに実は相なるわけでございます。一般更生債権でございますこの種の債権につきましては、非常に弁済については困難な状況にあるというふうに考えられるわけでございますが、私どもといたしましては、関係者の協力を得まして、更生計画の中で適切に処理されることを実は期待をしているところでございます。  また下請業者の方々、非常に現在不況下にあるわけでございますが、私ども、昨年十二月夕張社が会社更生法の申し立てをいたしまして以来、下請対策といたしまして、全国の下請企業振興協会との連携のもとに、北海道商工指導センターによります下請取引のあっせんを行いますと同時に、道内の関係機関におきます公共事業の発注等、官公需の受注機会の増大といったようなことに努力を重ねてきたところでございますが、今後とも引き続きこのような対策に積極的に取り組みまして、下請業者の方々の救済について遺憾のないように対処してまいりたいと、かように考えている次第でございます。
  132. 対馬孝且

    対馬孝且君 いま石炭部長から、私が申し上げました二億二千万というのは、これはもうあの殉職者の九十三の遺体を収容するためにあえて危険な状態に身をなげうってやったあれですから、しかも、そのほかに七億八千万相当額というものがある。これは当然労働者の債権、債務同様な性格のものですから、これはいま石炭部長から明快に言われていますから、これはひとつ責任を持ってやってもらいたいということを申し上げておきます。  そこで、問題は、新鉱の再建方程式の問題なんでありますが、八月二十六日も私は通産大臣に対して、第七次石炭政策の基本方針、つまり二千万トン体制の基本を変更するのか、あるいは従来の方針を堅持するのか、こう尋ねました。大臣は一貫してこの問題については、この第七次政策の二千万トン体制については変更はしない、こういう基本的態度が表明されました。そうなるとすれば、当然現有炭鉱はつぶさない、プラス新鉱の開発をしなければ、私が申し上げたことは二千万トン体制を維持することにはならない、ここが基本の問題でありまして、そうすれば、おのずから今回の夕張新鉱という炭鉱も、これもしばしば大臣が一貫して申し上げておりますように、再建の基本方針に変わりないというのであれば、これを再建しなければ、今日もはや千八百万トン体制を割っている、同時に地域社会が崩壊をする、こういう問題の判断に立つとするならば、私は当然この新鉱の再建というものをしなければ、七次政策の基本にかかわる問題である、そのことを私は申し上げたいことが一点と、もはや第三次エネルギーショックは、これは御案内のとおり、ランツケーEA事務局長がことしの春来まして申し上げたことは、確かに油は小康状態を保っているが、中東の情勢を踏まえた場合に必ず第三次のエネルギーショックは起こる、起こるとするならば、この際代替エネルギーとして石炭というものは重要なやっぱり見直しをしなければならない、こういうことを私は明確に書面でも見ておりますし、会談の内容も知っております。この基本に立つとすれば、やっぱり政府としては、この新鉱の山の再建ということをどのように具体的にするかということについては、もちろん大澤管財人の提案が出ております。これは結果としては五年後に千三百人体制。五年後に千三百人体制ですから、そこにその前に問題になることは、それじゃその受け皿になる主体が一体どこなのか、この問題をやっぱりはっきりしなければ、私は山の灯がなるほどともったと、山の灯がついてやっぱり再建をする、これは住民の皆さんや働く労働者が確信を持つことができないんじゃないか。政府としてはそれなりの努力をするという大臣の一貫した山の再建の方針に変わりなしという、この方針はわれわれも十分に評価をするんでありますけれども、そこへいくためにはまず受け皿を一体どうするんだ、受け皿ということをまずどういうふうにお考えになっておるのか。私は、昨年来一貫してしゃべっていることは、石炭業界が主体になり、そして自治体が、夕張市なり、道がそういうものを協力願って、そして再開発をすることが望ましい。特に、ガス山として保安上の重大な政府調査団の指摘を受けた限り、そういう意味での方程式というものを考えるべきじゃないか。これは一貫して私は昨年来申し上げておりますが、この点についてひとつ大臣考え方をお伺いしたいと、こういうふうに思います。
  133. 安倍晋太郎

    ○国務大臣安倍晋太郎君) 御承知のように、昨年八月の石炭鉱業審議会のいわゆる第七次答申におきまして、石炭供給の経済性と安定性の調和に配慮しつつ、国内炭の活用を図るとの考えに立って、現行私企業体制のもとで、当面現存炭鉱の現在程度の生産水準の安定的な維持を基調としつつ、今後の石炭企業の体質改善や需給環境の好転に応じて、将来における二千万トン程度の生産の達成を目指すことを基本的な考え方とすべきである、こういうふうにされております。  私としましても、この答申の趣旨を十分尊重して、今後の国内炭政策の展開を図ってまいる所存であります、これはしばしば申し上げたとおりであります。こうした観点から、北炭のいわゆる夕張社の再建につきましては、去る九月二十日大澤管財人から夕張新区域十尺層開発構想が提示をされたところであります。私としては、いろいろと困難な問題がある現状のもとでは、同構想が現状の中では最も適切なものである、こういうふうに理解もし、大澤管財人にもその旨を述べたわけでございまして、今後石炭協会の中に新たに設立をされました夕張新区域十尺層開発検討委員会の場において、詳細かつ具体的な実施計画が作成されるとともに、経営主体となる新会社の問題についても、これは非常に大事な問題でありますが、早急な解決が見られ、本構想ができるだけ早く実施されるように期待をいたしております。このために今後とも関係方面の協力を要請をしていくつもりであります。  また、本構想が実施されることとなった場合、必要な資金については、現行の手厚い助成制度をできる限り活用して、支援をしてまいる考えでございます。
  134. 対馬孝且

    対馬孝且君 いま大臣から、そういう新鉱の再建について大澤提案というものを受けとめて、その上に立って協会で検討委員会を設置した、その検討委員会を踏まえて政府としては最大限のことをいたします、こういうことですね、答弁は。  そこで、私はそれだけでは、検討するということについてはこれはわかるけれども、検討するだけでは住民にしても、山元の組合員にしても、労働者にしても、本当に新鉱の再建になるのか、ここだと思うんですね、私は。その再建をやらせるんだ、業界を主体に、石炭業界を主体にやらせるんだ、この姿勢がいまやっぱり不明確だと思うんですよ、大臣。  そこで、みんなが聞いているのは、山の灯は消さないということは、この間も大臣もしばしば言っているし、再建の方針もいまも変わりはない、こういうのであれば、私の申し上げたいことは、石炭業界を主体として新会社を受け皿として再開発をすることについては、政府としてはやっぱり責任をもってこれをやらせる、こういう基本姿勢が出てこないと、なるほど住民がこれは責任をもって新会社に再開発をさせることなんだな、こういうふうにならないもんだから、私はそこをいま求めている。やっぱり住民の皆さんも求めているし、また働く労働者も求めている。この点の考え方をいま一度大臣、協会が検討するということはそれはそれでいいけれども、政府としてこの段階で、政府が保障する再建策というものは一体何なのかと、これを国民、道民に示してやらんと、私はなかなか理解しないと思うんですね。この点どうでしょう、いま一遍。
  135. 安倍晋太郎

    ○国務大臣安倍晋太郎君) これは私の先ほどの答弁に尽きておるわけなんですが、私はかねがねずっと、どうしても山の灯は消さない、そのために政府はできる限りのことをするんだということを言い続けてきたわけでございます。こういう事態になりまして、大澤提案が出されまして、検討委員会が発足をしたわけでありますが、その検討委員会で、これからいろいろな角度で山の再建についての構想が練られることになるわけでありますが、そういう状況の中にあって、私はやはり石炭業界を中心として新鉱の再建が行われるということでなければならんと思いますし、そのためには政府としては全力を尽くす、これは私が申し上げたとおりの基本姿勢でありまして、そのためのあらゆる努力はしなきゃならん、こういうふうに考えております。
  136. 対馬孝且

    対馬孝且君 それではこういうふうに理解してよろしゅうございますか。いまの大臣の答えというのは、あくまでも山の灯は消さない、山の再建を図る、そのためにはやっぱり石炭業界を中心として、受け皿としてひとつ再建をさせるために全力を尽くす、あらゆる努力を払います、こういうふうに確認してよろしゅうございますか。
  137. 安倍晋太郎

    ○国務大臣安倍晋太郎君) いまのお話のような基本的な考え方で今後とも対応をしてまいりたい、こういうことであります。
  138. 対馬孝且

    対馬孝且君 私は、少なくともやっぱりここをきちっと石炭業界を主体として、プラス道なり、市なりという要素が加わればなお結構なことだし、そういう問題をいま大臣から明確に、全力を尽くしてあらゆる努力を払う、こういうことですから、これは必ず受け皿が業界主体として行われる、こういう私は確認をいましたわけなんですが、そのとおりだと、こういう大臣の答えですから、それを受けて、それでは次のことを私はお伺いしたいんであります。  大澤提案というのは、大臣御存じのとおり、露頭炭を維持して、坑道維持をして、五年後には千三百人の態勢にする、一口に言ったらそういう提案ですな。これは、この前も私は八月二十六日の商工委員会で大澤管財人にも申し上げたが、これでは火種でなくて、火消しにつながる、こう言って私は明確に大澤管財人に指摘をいたしました。大臣も同席しておりましたからおわかりのことだと思うんであります。  そこで、そうなれば山の再建をするために現状の人員、山の労働者を含めて、その火種になるということにどういうふうにつないでいくかということが非常に私は大事でないか、こう思うわけです。  それで、もちろん北部ということが将来の開発ですから、だから北部以外の全体の買い上げということもあり得ると思います。その場合の境界線がもちろんいろいろ判断があると思うんでありますが、従来、私の経験からいいますと、昭和四十三年の明治炭鉱の平山、あるいは明治佐賀、明治西杵、北海道では奔別、さらに北海道の明治昭和、これは企業ぐるみ閉山をやった。そのときのことが先例として残っているわけでありますが、企業ぐるみ閉山をしたけれども、雇用対策上やっぱり一定の残炭を三年間、明治の平山と佐賀、明治西杵、この三つの山を再建さして雇用を維持していった、こういう先例があるわけですね、もちろんこれは慣例になっております。いま、そのことが過去にあったという歴史を私は言っているわけでありますが、そのことは別にして、一番大事なことは、夕張市長も市民会議で、ここに出してありますように、夕張の現状からいきまして、何とか雇用というものと新会社というものを力を入れて出してきているわけですが、この雇用確保の観点と地域社会を守るというためには、やっぱり一定の火種というものを残しながら、そして、残炭採掘というものでつないでいきながら、最終的にはこの千三百人という二切り羽体制の、つまり新北部の開発につないでいく、このことをいまどうしても現地の住民としては求めている。これは市民会議に出てきているわけですから。したがって、そういうものにこたえるためには、そこらあたり、政府としてどういうふうに対応していくのか。またその受け皿になる石炭業界を主体にどういう指導をさせるのか。政府の姿勢としてはまず次の段階でどういうつなぎをしていくのか、そして、大澤提案をリードタイムする、つまり早める。五年というのでなしに、一定の三年なら三年を目標に早めていくと。その間雇用をつなぎながら、最終的に千三百人という従来の山の態勢を堅持していく。このことがいま現地の住民としてはこれで山の灯がともった、こういう確信を持つ意味で私はお伺いするわけでありますが、どういうふうに通産省としてはお考えになっているか、この点をお伺いします。
  139. 弓削田英一

    説明員弓削田英一君) 大澤さんから提案のございましたた夕張新区域の十尺層開発構想につきましては、ただいま大臣からもお答えがございましたように、今後石炭協会において設立されます検討委員会の場で、保安面、採算面を含めまして、詳細な検討が行われ、具体的な実施計画が策定されると同時に、経営主体となる新会社の問題についても早急な解決が図られ、この構想が早期に実現することを私ども実は期待をしているわけでございます。  先生が御指摘になりました、いわゆるつなぎの問題に関連いたしまして、残炭採掘の問題でございますが、実はこの問題につきましては、大澤管財人も構想を検討される過程で、十分実は検討されたところでございますが、保安面あるいは採算面、また将来の新北部の開発計画の中で、どういうふうに位置づけをしていくかというような点など含めまして多くの問題がある、こういうふうに私ども聞いておるところでございまして、この問題につきましては相当慎重な検討を要する問題だ、こういうふうに実は承知をしておるところでございます。
  140. 対馬孝且

    対馬孝且君 これは石炭部長ね、いまの問題は非常に大事な問題なんですが、これは私八月三十一日に政府調査団の一員に加わった北大の磯部教授と約二時間対談をいたしました。これは若干時間がなくて省きましたけれども、ちょっと詳しく申し上げてみたいと思うんでありますが。  これは四十九年新鉱を開発した当時の委員長が磯部教授です。この磯部さんと話し合った結果明らかになったことは、これは総炭量としては五千万トンだったけれども、四千五百万トンにベースを置いたということですね。それをスタートにして、政府が投資した額が百六十億円、当時の年間出炭ベースが百五十万トン、一人当たりの能率が八十五トン、こういうことで坑口開設に至った。実は額としては、当時百八十億という要求がありましたけれども、百六十億ということになった。  そこで、今後の対策としてどういうことを考えられるのかということを、私も磯部教授とずいぶん意見交換をして一致したことは、やっぱり何といっても保安上——政府調査団ですから、磯部さんも加わっていますから。当然伊木教授が出されましたように、これはガス山だと、しかし坑内骨格構造の展開が間違っていると、こういう見解ですね、一口に言うなら。だから、坑内骨格構造の展開が間違ったとするならば、新たに千メートルの斜坑一本おろすといったことと、それから新たに清水沢寄りから立て坑一本をおろさなければならんと。これが当時調査団に加わった磯部教授の見解でもあり、われわれもかねて、この決算委員会ではありませんが、エネルギー委員会で私申し上げたことがあります。  そういうことを踏まえて考えた場合、やっぱり立て坑をおろし、同時に斜坑を一本おろすということは、これは常識的に言って、一日の伸びが大体六十メーターというのが、私も炭鉱マンですからわかっていますけれども、まあ岩石と沿層掘進ではわけが違いますが、大体六十メーターというふうに踏んだって、仮に四十メーターの伸びに縮めて安全性を持っていったとしても、二年ちょっとあればこれは斜坑一本掘れるわけです。同時に立て坑の掘削ができるわけです。私が言っているのは、そういう立て坑、あるいは斜坑一本おろすというのは、今日の大澤提案にもあるわけです。ところが、斜坑をおろすためには掘進要員が必要なわけですよ。大澤提案にもあるように、撤収もすると、こう言っているわけでしょう。撤収もしなければならん、坑道維持もしていくんだ、こうなってくれば、私は明らかに新北部地域というものを開発するという基本方針がある限り、当然その部内の——私の言っているのは新北部ですよ、いまある西部のことを言ってるのじゃありません。新北部地域におけるそういうものは当然撤収、それから斜坑を一本おろす、坑道掘削、こういう開発とつながっていけば、おのずから一定のやっぱり労務者の雇用対策は当然必要である。そういう意味の残炭とつなげていった場合には、山としては、炭労案でいけば七百という当時の再建構想を出しました。ですから、そのことは別にして、私が言いたいのは、そういう炭労再建構想にどこまで近づけるかは別にして、近づけるという基本方針は別にして、私が言ったことは、客観的に磯部教授の見解としても、そういう方程式というか、あるいは作業計画開発計画というものは組まれてしかるべきであると、これは私の意見とも全く一致しているわけです。ただ、私はそのことを言っているんであって、いま石炭部長から答弁があったのは保安上の問題、もちろんこれは調査団の結論がそうですから、とても北炭の経営者には任せきれないと、こういうずさんな管理体制の経営者に託せるかというのが結論ですから、われわれもそのことは多とするんでありますけれども、問題はそういう雇用をつないでいく、保安を管理していきながらつないでいくという、そういう対策があっていいんじゃないかという、それがひいては先ほど言った五年というものをリードタイムをして早めて、結果はやっぱり三年後ないし四年後には千三百人の山になる。なるほどこれで山の再建は図ったと、よかったと、夕張の地域社会は守られたと、こういうところへ行くためのあれが必要ではないか。もちろんそれは協会でいま検討されている、先ほど大臣が責任を持ってやらせるということですから、それは別にして、そういう問題について、保安上の問題、採算コスト上の問題もちろんあるけれども、私は経済合理性だけに余り中心を置くということではなしに、むしろ保安上の見地から十分にこれは検討しなければならないということは私も了解しております。ただしかし、保安上の見地を踏まえたとしても、そういう体制づくりをひとつ政府として検討していただかなければ、やっぱり将来そこへつないでいけない、ここに雇用対策の問題と、夕張地域社会を守る意味で、私はこの考え方をもう一回検討してもらいたい、こういうふうに考えるんですが、いかがでしょうか。
  141. 弓削田英一

    説明員弓削田英一君) 新北部の開発計画等に関しまして、骨格構造の問題が実は出たわけでございますが、私どもは従来の骨格構造については、それなりの役割りは果たしてきたと、こういうことで評価はしているわけでありますが、今後の新北部の開発につきましては、より安全に、より安定的な生産体制を確保すると、こういう観点から、実は先生も御指摘ございましたように、新しい斜坑の掘進及び新立て坑の開削等によります対偶式通気の確立によります保安の確保、あるいは区画採炭の実施等のことを実は考えているわけでございます。掘進計画等につきましては、従来におきます、新夕張におきます実績等を勘案しまして、先生御存じのようなことで、五年数カ月で二切り羽七十五万トン体制に持っていくと、こういうことで大澤さんの計画は立てられているわけでございますが、もっと早めることはできるんじゃないかというような御意見でございますが、私ども聞くところによりますと、石炭協会内にも、先ほど申しました掘進のスピード等についても、保安確保の面から若干問題があるんじゃないかというような御指摘等もございますので、いずれにいたしましても、この辺の問題はさらに協会の中に設けられました検討委員会で、詳細かつ具体的に検討されていく問題だろうと思っておるわけでございます。つなぎの残炭採掘の問題につきましては、先ほど申しましたように、種々の問題がございまして、私ども今後相当な慎重な構えで検討を要する問題ではないかと、実はこういうふうに考えている次第でございます。
  142. 対馬孝且

    対馬孝且君 石炭部長ね、いま検討するということだから、時間がほかの問題もありますからあれですが、やっぱり大事な点は私はこの問題だと思うんです。だから、われわれ言っているのは、保安を無視してとか、そういうこと言っているんじゃなしに、保安上指摘を受けた問題もあるわけですから、そういう点から踏まえて、過去に私も明治炭鉱の先例ということを申し上げました。したがって、具体的に申し上げたいことは、いまも検討するということですから、これ大臣に申し上げておかなきゃならんことは、山の灯はともったと、早めることが不可能か可能かという、またいま部長からありましたけれども、私はこれ大事をとって言っているんですよ。斜坑一本がどこの山だって六十メーター、部長だってこれ技術屋ですからわかっているとおりに、六十メーター延びない掘進の山というのはないんですよ。私は逆に、四十メーターで大事をとっていったとしても、約三年近くで斜坑一本は完成するじゃないですかと、こう言っているわけでしょう。あと残る問題は何かと言えば、管理体制、経済合理性、こういう問題も私はあると思います。ですから、そこらあたりはやはり、私大臣にも申し上げたいことは、現行の石炭合理化臨時措置法の制度資金、ずばり申し上げます、経営改善資金、あるいは近代化資金、災害復旧資金、これらの制度資金、さらにまた開発資金というもの、それらを最大限に運用をしていく、法律の現行制度の弾力的運用を最大限に政府としては体制をとるということとの関係がこれあるわけです、はっきり申し上げて。その体制がとれれば、いま言ったそういうつなぎの体制、雇用上からも、また技術的にも、また保安上の見地からも、経済合理性を踏まえたとしても、私言っているのは、そういう現行制度の最大限の運用というものをやると、この姿勢をこれからもひとつ堅持してもらうし、またこの再建のためにはぜひひとつやってもらいたいと、この点大臣にひとつお伺いいたしたい。
  143. 安倍晋太郎

    ○国務大臣安倍晋太郎君) これは先ほども答弁をいたしましたように、いま石炭政策は非常に手厚いものであると、こういうふうに考えておりますし、政府としてもこれまで制度を充実いたしまして、二千万トン体制を進めるための国内炭の確保ということに力を尽くしてきたわけでありますが、今後、具体的にこの検討委員会で受け皿も決まると、そういうことになって、この山を再建するという段階になれば、いまの制度、法律の中で許される限りの最大限の応援をしていかなきゃならない、こういうふうに考えております。
  144. 対馬孝且

    対馬孝且君 大臣からそういうことで現行制度を最大限運用をして、先ほど申しました制度資金等を含めて、開発資金等含めて最善の努力をするということですから、それとの兼ね合いで私がいま言った問題とは非常に関係を持っていると、そういう体制ができれば、これはやっぱり体制としては促進できる、推進できる、またスピードアップもできるということになるわけでありまして、そういう点を含めてひとつぜひ誠意を持って検討してもらいたいとこう思います。そういう答弁ですからそれでよろしゅうございます。  そこで問題は、六日ということを目前にして、この問題先ほど冒頭申し上げましたように、管財人の考え方の中で、二百七十三条更生計画認可前の廃止という方式を炭労に冒頭提案をされたと、考え方を示されたということがあるわけでありますが、いかなることがあっても、われわれはここまで人道的、社会的問題、政治問題になった限り、通産大臣も今日まで相当それなりの努力をされていますが、私は何と言っても冒頭申し上げた、時間もありませんから、労務債の完済に、先ほど答弁がありましたから、一段とやっぱりスピードを上げて、また強力な働きかけを願って、加えていまも私が出しましたこの新鉱の再開発については業界を主体として、全力を尽くしますといういま大臣の明快な答弁ですから、その上に立っていま申し上げました、どうしたら雇用と夕張地域社会を守っていけるかということとの関係において、ひとつ全力を挙げて対処してもらわなければならないわけでありますが、いまやっぱり問題になっていることは何かと言えば、下請関係と商工業団体の関係がどういうふうになっていくのか、非常に実は心配されているわけです。先ほど労務債の問題では、石炭部長の明快な答えがありましたが、二億二千万、下請関係の、全力を尽くしますということですから、それは結構なんですが、これからの下請関係なり、商工業者の団体が非常に不安だと、この二十一日に私も会っています。このことに対して、市民会議の要望もございますけれども、どのように政府としては下請関連と商工業団体に対して、どういうこれからの対策を、また、手を打っていくのかというあたり、ひとつ政府の考え方を聞いておきたい、こう思います。
  145. 弓削田英一

    説明員弓削田英一君) 今回の大澤さんの閉山提案によりまして、先生御指摘のとおり、夕張市におきます商工業者、あるいは下請業者等に対しまして、深刻かつ広範な影響があることが予想されるわけでございます。政府といたしましては、関連中小企業の倒産防止を図るために、地元地方公共団体、中小企業関係金融機関との密接な連携のもとに、金融対策、それから先ほどもお答えいたしましたが、下請取引のあっせん等に万全を期する、同時に企業誘致の促進、各種公共事業の実施、それから夕張市の財政支援等地域経済の振興につきましても可能な限りの努力をしてまいりたい、かように考えている次第でございます。
  146. 対馬孝且

    対馬孝且君 根本はやっぱりいま商工業者にしても下請も願っていることは、山の再建をぜひ図ってもらいたい、その基本に立って当面これは商工業者の代表も来ましたけれども、私のところに来ておりますけれども、率直に申し上げて現在売掛金だけでも全体の積み重ねしますと十二、三万の売掛金になっている、とてもこれじゃ取る見通しも、入ってくるかどうかわからない、こういう心配が懸念されるので、当面の中小金融公庫の金融対策、あるいはそういうものを含めて下請関係、中小商工団体の不安のないような措置をひとつ全力を挙げてやってもらいたい、時間経過しておりますからその点を申し上げたい。  それから、最後にひとつ大臣にもう一回申し上げますが、先ほど来申し上げましたように、大臣は一日にアメリカに貿易摩擦の問題で訪米される、こう聞いておりますから、したがって、何といっても六日という、どういったって六日というのが先ほど申しましたように期限を切っての最終段階だと、これでもって先ほど言った二百七十三条も辞しませんと、炭労はこれは就労強行するというわけですから、そうなればこれは流血の惨事に立ち至る。こういうことを考えます場合に、やっぱり労務債の完済と、先ほど言った新鉱の再建という、つまり青写真、再建構想の核心というもののひとつ納得いく回答をこれからも関係石炭部長エネルギー長官等からひとつ必ずこの問題について誠意ある内容を示していただく、こういうことを大臣の、最後に姿勢と、これからの考え方をお伺いして私の質問を終わりたい、こう思います。
  147. 安倍晋太郎

    ○国務大臣安倍晋太郎君) いま私は現在の段階におきましては、先ほどからしばしば言っておりますように、大澤管財人の提案をまず実行する以外にはないんじゃないか、そのために山の皆さんにも御理解を賜らなきゃならんと思うわけでございますが、同時にまたその前提としては労務債の処理をどういうふうにやるかということが大きな問題であります。この点については萩原さんもしばしば炭労との会談において誠意ある回答を示しておられるわけで、また、九月二十八日の会談においてはさらにこれを確認されるということでございますから、政府としても、今後とも五日までの間にも働きかけまして、これが具体的な誠意のある回答になるように、政府としても努力をしてみなきゃならん、こういうふうに思いますし、なお、山を残すという立場からの今後の課題につきましては、石炭協会を中心として、今後精力的に取り組んでいただく、そのための政府としても全力を尽くしてまいりたい、こういうふうに考えております。
  148. 対馬孝且

    対馬孝且君 ぜひひとつ、いま申し上げました六日になれば就労強行、片や閉山通告、全員解雇ということになるわけですから、この事態に至れば流血の惨事になる、その事態を踏まえて通産大臣を初め、大臣はこれアメリカへ行っちゃいますから、その残された期間で、ひとついま言った、私が先ほど申し上げました、具体的にどう雇用を守り、地域社会を守って、つまり、千三百人の山にしていくかということについては、先ほどの答弁では全く不満です。したがって、この点についてさらに長官、あるいは石炭部長段階で検討していただいて、ひとつ誠意ある回答が五日の前に出されるように特に申し上げて私の質問を終わります。
  149. 柄谷道一

    柄谷道一君 鈴木総理が九月十六日記者会見を通じて発表しました、いわゆる財政非常事態宣言につきましては、各新聞社の論説は一斉に展望と具体策を示さぬ財政非常事態宣言に失望、総裁選がらみで政治責任をぼかす、公約の破綻は明らか、公約を努力目標にすりかえ問題を先送りにすることは政治不信を増すのみなどと、厳しい失望と不満と批判の論調を展開いたしております。また、各野党がこれに反発するのは当然としても、与党内にも批判と不満が高まっていることが報ぜられております。また、財界、経済界や、労働四団体の反発もまた強いものがございます。  私は、この宣言をたとえて申し上げますならば、病状はきわめて深刻である、このまま放置すれば生命の危険すらあるという診断を行いながら、それをいかにして治療し、健康をいかにして回復するかという処方せんを示さないにも似た姿勢ではないかと思うのでございます。経企庁長官として、この宣言に対してどのような評価をしておられますか、まず冒頭お伺いします。
  150. 河本敏夫

    ○国務大臣河本敏夫君) この間の非常事態宣言は、私は財政が非常に深刻な状態になっておるということを述べられまして、国民のこれについての協力、認識を求められたのだと思いますが、ただ何分にもテレビの会見でありまして、総理の実情についての御説明は十分そこそこで、あとは質問と、こういうことでございましたので、時間が非常に短かったということで、十分な意を尽くせなかった、こういう恨みは確かに残ったと思いますけれども、ただ問題点が大変大ごとになっておるということを指摘されたと、こういうことにおいては意味があった、このように思います。
  151. 柄谷道一

    柄谷道一君 それでは具体的にお伺いいたしますが、大和證券経済研究所が去る九月二十日経済予測を行っております。これによりますと、下期に政府が一兆五千億円程度の追加公共投資を仮に行ったとしても、年度全体の成長率は二・八%程度にとどまるのではないか、一言で言えばそういう予測であると思うのでございます。経企庁長官は、この経済予測に対してどういう評価をしていらっしゃいますか。
  152. 河本敏夫

    ○国務大臣河本敏夫君) 最近民間調査機関がいろいろ修正見通しを発表しております。いずれも年度当初の経済成長見通しより一%前後下回った数字になっておりますが、大和證券の見通しは一兆五千億の投資をして、なお二・八%ということですと、現在のままで行きますと、せいぜい二・三、四%しかならないのではないかと、こういうことだと思います。消費をどう見るか、輸出をどう見るか、あるいは投資をどう見るか、こういうものの判断いかんによりましては、各調査機関に相当な差がございますので、私は大和證券の見通しは間違いであるとか、そういうことは言いません。そういう見通しも当然あっていいのではないか、消費投資、貿易等の見通しいかんでは、そういう数字も出てくるのではないかと、こう思っております。  ただ、政府部内で目下この問題については調整をしておりまして、政府部内の調整にはもう少し時間がかかろうかと、こう思っております。
  153. 柄谷道一

    柄谷道一君 通産大臣の御発言を常々新聞等で見ておりますと、このまま推移すれば、五十七年度の成長率は悪くすると二%を下回るおそれすらある、そういうことになれば日本の経済は失速をする。そこで、そういう展望のもとに、積極的経済政策への転換というものを強く主張されている、それがまた大臣の御持論であろうとも受けとめるわけでございます。そうしたお考えを持つ通産大臣として、ただいま経企庁長官は時間足らずで言葉足らずと、こう言われたんでございますけれども、この総理宣言をどう評価していらっしゃいますか。
  154. 安倍晋太郎

    ○国務大臣安倍晋太郎君) 私もいまの日本の財政の状況は、まさに宣言にも見られるような、いわば財政破産的な状況できわめて深刻であると、こういうふうな認識は持っておるわけでございます。ただ、そういう意味での財政の再建は急がなければならないわけでありますが、半面また、いま御質問がありましたように、経済の情勢もこれからだんだん悪くなっていくんじゃないかと、いまの指標以下にこのままで行ったら落ち込んでいく。これは輸出についてもそういうことは出ておるわけでありますし、あるいは民間の設備投資にもそういう状況が出ております。特に中小企業の状態が非常に悪いというふうなことから、経済がこのまま行くと相当落ち込んでいく。落ち込み始めると加速度がついてくる可能性があるんで、場合によっては失速するおそれすら私はあるんじゃないかということも警告をし、心配もいたしておるわけでございます。しかし、一面においては財政が窮迫しておる、こういう中でこれからの経済政策、経済運営をどうするかということは、これはきわめてむずかしい課題でありますが、しかし、経済の安定性が失われれば、財政再建すらできないということになるわけですから、私は基本的にはやっぱり経済の安定は何としても維持していくような努力は重ねていくべきだということを述べておるわけであります。
  155. 柄谷道一

    柄谷道一君 通産省によります日本経済の潜在成長率の測定、これは私はこのように理解いたしております。  日本経済は、労働供給面、資金供給面エネルギー供給面のいずれから分析しても、昭和六十五年度までのほぼ十年間、年率五%程度の成長が可能である、いわゆる潜在成長率としては五%程度と、こう見ていらっしゃるわけですね。  ところが、大蔵省の財政金融研究室の分析では、資本投資の伸び率、労働力の増加率、技術進歩等を考慮すれば、潜在成長率は三%台と試算される。潜在成長率が三%台であるということは、一時的には外需の伸びなどからこれを上回る成長が実現されることを否定するものではないが、中期的にはこの成長率に近いところにとどまらざるを得ないことを意味する。まさにこの潜在成長率の測定において、通産省と大蔵省の展望というものは、大きく食い違っているわけでございます。通産大臣はこの点どう理解されていらっしゃいますか。
  156. 杉山和男

    説明員(杉山和男君) 大蔵省から御指摘ございましたものは、一つの勉強会の成果でございますが、大蔵省の財政金融研究室が、日本の潜在成長率に関しまして、大体三%程度のものであるという見通しを出したということも、私ども承知をいたしております。私どもの感じを申し上げますと、この大蔵省の見通しというのは、第二次のオイルショックからまだ脱し切っていない、ここ一、二年間の成長のパターンというものをもとにして描いた、私どもから申しますと、やや比較的短期的な展望になっているんではないかという気がいたします。通産省といたしましては、今後の労働の供給状況、資本の供給状況等を勘案して、中・長期的に十年程度というふうな見通しのもとでは、五%程度の成長が可能である、可能性があるというふうに考えますとともに、社会資本、それから住宅、消費生活の各方面にわたる充実したゆとりのある国民生活を実現する、また活力ある経済を維持する、それから国際的な貢献をなしていく、それから望ましい産業構造を構築していくというふうな諸目標のためには、この程度の成長が必要であるというふうに考えておるわけでございます。  いずれにいたしましても、現在経済企画庁の経済審議会で新しい五カ年計画の策定作業が進んでいるわけでございますが、こういった場を通じまして、中・長期的な成長率に関しましてコンセンサスが形成されることになるだろうと考えております。
  157. 柄谷道一

    柄谷道一君 さらにお伺いいたしますが、通産省の分析では、経済成長率が仮に二%にとどまった場合、雇用面では雇用か賃金かという、それをめぐる深刻な問題が続いて、昭和六十五年度には五百万ないし六百万人の失業者という、欧州並みないしはそれ以上の雇用不安を招くおそれがある、こう指摘いたしております。ところが、大蔵省の財政金融研究室では、低成長が続いても実質賃金の動きいかんにより必ずしも失業がふえるわけではない。わが国の労使関係を見ると総体的に柔軟であるので、現在程度の成長率のもとでは深刻な失業問題は生じないと思われる。いわゆるこの雇用面に対する見方も非常に大きな段差があるわけですね。この点はいかがお考えですか。
  158. 杉山和男

    説明員(杉山和男君) 大蔵省の財政金融研究室の現在の三%程度の成長率のもとでも、日本の労使関係や実質賃金の動向を考えれば、一時的な摩擦はあっても、深刻な失業問題は生じないという見解につきましては、私どももそのような可能性を全く否定するものではありませんけれども、ただそうなった場合には、私どもは賃金が非常に伸び悩んで、実質所得が低迷することになるというふうに思います。  通産省の試算によりますと、十年程度のタームで考えてみた場合に、たとえば二%程度の低い成長率のもとでは、非常に低い賃金上昇率を甘受するのか、それとも失業の非常な増大を是認するか、そのいずれかになるということになっておりまして、いずれにせよ、国民生活に重大な負担をもたらすものと思っております。当省といたしましては、むしろ機動的な経済運営のもとで民間経済に明るい展望を与え、民間の活力を最大限に引き出すということによりまして、五%程度の成長が可能であるというふうに考えておりまして、雇用、賃金の問題というのは、そういったダイナミックな成長の中で解決さるべきものと考えておるわけでございます。    〔委員長退席、理事山田譲君着席〕
  159. 柄谷道一

    柄谷道一君 私はただいまの局長の答弁そして通産大臣の公式、非公式の御発言、これを聞いておりますと、通産大臣のお考えというのはこういうところにあるんじゃないかと私思うんです。  それは、わが国の経済は潜在成長率が五%程度あるんだから、それを達成するための適切な経済運営が必要である、当面の景気対策というものも、非常に短絡的に、ただ五十七年度の景気対策という視点からではなくて、中期的に展望して、日本経済の活力を増す施策がなければならない、本年度の政府経済成長目標五・二%の達成というのは困難ではあるけれども、そのような中期的展望の中で、可能な限りの景気対策を駆使して下方修正を極力最小限にとどめるべきではないか、それを五十八年以降も延長線上に発展さしていこうという、これが大体通産大臣のお考えではないかと私は思うのでございます。そのお考えは経企庁長官の考えもまず同じような基調に立っておられると私は理解いたしております。  ところが、これに対する大蔵省の姿勢は、総需要刺激策だけでは設備投資を稼働させることはできないし、無理に稼働させようとすれば、インフレを招くことになるのではないかと、きわめて消極的な姿勢をとっておる。  私は、わが国の潜在経済成長率を何%と見、いまの日本にとって、今後どの程度の成長率を維持しなければならないかという問題は、私はこれは政治哲学の問題だと思うんです。この基本的な政治哲学というか、経済哲学の面において、わが国の経済官庁である通産省と経企庁、相対する大蔵省の考えが基本的に相対峙しておるということで、果たして日本経済のかじ取りができるのであろうか、このような深い危惧を抱かざるを得ません。通産大臣としてどうお考えですか。
  160. 安倍晋太郎

    ○国務大臣安倍晋太郎君) いまお話しのように、私は、やはり基本的に先ほどから申し上げましたように、私も申し上げましたように、いまの日本の経済の潜在的な成長力は五%あるいは四%台はあるんだと、これは社会ストックの面においても、あるいは労働力の面においても、あるいは技術革新の面におきましても、その他いろいろな関係から見ましてもあるんじゃないか、こういうふうな考え方を持っております。  したがって、いま経済がこういう状況で落ち込んで、このままずるずるといくということではなくて、何らかのやはり対策を講じて、安定性を維持することは十分できると、将来にかけてその潜在力を引き出していく、そういう施策を将来展望としては中期的に考えていかなきゃならない、これがまた財政再建にやっぱりつながっていくことである、こういうふうな認識を持っております。    〔理事山田譲君退席、委員長着席〕 したがって、そういう面で、いま非常に財政が、これまた財政当局が言われるとおり破滅状態にあるんで、いま何らそういう日本の経済の運営に対して、これに対して手を加える、差し伸べるということは非常に困難である、こういうことは財政面からははっきり言えることであろうと思うわけでありますが、しかし、経済を失ってしまえば、財政も再建できないということにつながるわけですから、私はやはり何らかの、これ以上スピードが落ちてエンストするようなことにならないように、財政で相当手足は縛られておりますが、その中のぎりぎりの範囲内でできることはしなきゃならんのじゃないか、こういうことを主張しておりまして、この点についてはいろいろと意見の相違等も確かにあるわけでありますが、これはやっぱり政府としてはまとめていかなきゃなりません。やはり政府は一体としてまとめていかなきゃなりませんから、そこで、河本長官が座長をしておられる経済対策閣僚会議というのを来月の八日に開いて、そして政府の意思統一をして、これからの経済運営に対処していこう、こういうことでいま問題を進めておる、調整を進めておる、こういう段階であります。
  161. 柄谷道一

    柄谷道一君 経企庁長官にお伺いしますが、八月二十日に提出された経済白書を見ますと、日本経済の生産能力は第二次石油危機後、一時的に低下したものの、中期的に見た成長率は低下していない、こう分析していらっしゃいます。このことは、具体的にどの程度の潜在成長率があるかという数字は示していないものの、実質四ないし五%の成長率があると分析された結果が文章にあらわれている、こう見るわけです。  大蔵省でも言っているような、二ないし三%であっても雇用など経済の基本が安定しておれば問題はないというこの見方は、私はわが国の潜在成長率を低位に固定させ、その結果経済の活性を失わせ、雇用を不安定にし、財政再建そのものにも悪影響を及ぼす結果に陥る、こう見るわけでございます。  そこで、いま鋭意政府部内で調整が続けられているという話でございますし、八日にその結論が出ると聞いておりますけれども、いわばこれ政治哲学の問題ですから、経企庁長官みずからの経済運営に対する基本的姿勢というものが、この調整の結果意を満たされないという場合、経企庁長官としてどのような態度をとられるんですか。
  162. 河本敏夫

    ○国務大臣河本敏夫君) 大蔵省の文書は、お聞きいたしますと、単なる内部の研究資料であって、正式の大蔵省の見解ではない、こういうお話でありましたから、あえて私どもは反論はいたしておりませんけれども、ただ日本の潜在成長率が二%ないし三%ということは、これは私どもは同調できません。  昨年の五月に、総理大臣の諮問機関である経済審議会に、西暦二〇〇〇年、これから約二十年後の経済を初め、社会の長期的な変化はどう進むかということについて、この六月に正式の報告を受けました。これには日本のあらゆる分野の権威者百数十人が参加をしていただきまして、約二百回会議を開いて、とことん検討していただいたのであります。  その結論を見ますと、一九八〇年代はわが国の経済の潜在成長力は四%強である、しかし、一九九〇年代になると、やや減って四%弱、二十年間平均しておよそ四%の潜在成長力はある、こういう報告をいただいております。  経済企画庁が幹事役を務めておりましたので、その間の経緯は私もよく承知をしておりますが、しかし現時点では、ここ数年間は私どもは大体五%ぐらいな潜在成長力があると考えておりますのは、昭和五十四年に政府の方で決定いたしました新経済社会七カ年計画というのがございまして、これは毎年フォローアップをいたしております。ことし一月、政府部内でフォローアップをいたしましたときには、昭和六十年まで五・一%平均の成長を達成していこう、こういうことの再確認をしておるわけでございますので、現時点における政府の正式な見解は、昭和六十年までの平均成長率五・一%は達成できる十分な背景があるんだ、こういう考え方に基づいておるわけでございます。  当面は五%前後の潜在成長力がありますが、中・長期的に見た場合には、先ほど申し上げましたような長期展望委員会の報告を私どもは参考にすべきではなかろうか、こう思っておりますが、そこで来年以降、昭和五十八年から昭和六十二年までの新しいいま経済計画を策定中でございますが、新計画ではどのような結論が出てまいりますかそれはわかりませんが、多分私は、先ほど申し上げました長期展望委員会等の資料がある程度参考にされるのではなかろうか、もちろんそのとおりの数字が出てくるとは思いませんが、そのように推定をいたしております。  いずれにいたしましても、世界経済が現在最悪の状態にありまして、最近発表されましたいろんな世界の権威ある機関等の数字を見ましても、来年は大体上半期が二%、後半が三%と、この水準まで回復するであろうと、こう言っておりますし、最近のアメリカ政府並びにアメリカ議会のアメリカ経済の来年の見通しはもう少し高い水準になっております。そういうことを考えますと、日本よりも非常に悪い条件のもとにある欧米経済がそこまですでにもう回復しつつあると、こういうことでありますので、はるかに有利な幾多の条件を持っております日本が、それと同じ力しかないと、こういうことはどうしても納得できません。やはり相当高い潜在成長力を日本は持っておる、その潜在成長力をフルに発揮するということによって、当面の雇用問題とか、あるいは財政問題が解決できる、節約だけでは財政問題は解決できない、このように考えております。
  163. 柄谷道一

    柄谷道一君 両大臣のお考えは、わが国の経済は短期的に見て五%程度、中・長期的に見ても四%程度の成長率はあるんだ、したがって、その潜在成長率を実現させるための施策というものが必要だと、行革はやらねばならん、しかし、それだけでは財政再建はできない、いわゆる経済運営と両輪でこの危機を乗り切るべしというのがお考えであると、こう理解するわけでございます。ところが、今度閣議で人事院勧告の凍結が決定されました。この労働基本権制約の代償行為としての人勧凍結という基本問題については、私はまた別の場で論及したいと思いますが、これによる景気への影響について、本日はその点だけにしぼってお伺いをしておきたいと思うんです。  国家公務員は約九十万人、凍結によって三千億円程度の金が浮くということでございますが、地方公務員はこれに準じろ、公企体職員も仲裁裁定を、公務員が抑えるんだから抑えなさい、こうなりますと、約五百三十万人、仮に二〇%が貯蓄に回るとしても約一兆二千億円程度の個人消費がこれで落ち込むという結果になるわけでございます。仮に、政府がこれに恩給、年金、さらに各種社会福祉手当というものの凍結を行ったとすれば——そういうことの善悪をきょうは言っているんじゃないですよ、私は、一兆五千億ないし二兆円程度の公共投資等を中心とする景気対策を行っても、この措置によって景気対策という視点から見ると、これは帳消しになってしまうおそれがあるんではないかと、こう思うんです。経企庁長官は、景気対策の点から見た人勧凍結の問題に対するお考えをどうお持ちでございますか。
  164. 河本敏夫

    ○国務大臣河本敏夫君) 今回の人勧凍結による金額はまあ三千四百億だそうであります。地方の分を同じように扱うといたしますと約八千億ということになります。そこへ仲裁裁定がどう取り扱われますか、これはまあ別の問題でありますが、仮にという仮定を置きまして、同じ取り扱いということになりますと、一兆を超えるということでございますから、このベースアップ分がどれだけ消費に回るかわかりませんが、とにかく相当な影響があるということは仰せのとおりだと思います。
  165. 柄谷道一

    柄谷道一君 総合景気対策としましては、いま言いました人勧問題の個人消費に及ぼす影響、これは十分慎重に検討されるものと思いますけれども、そのほかに所得税減税の問題、公共投資の下期の追加措置の問題、宅地供給増加のための諸施策の推進の問題、不況産業対策の拡充問題等が挙げられるわけでございます。私はきょう時間の関係からすべてを聞けませんので、一点お伺いしますが、中小企業投資減税の問題でございます。  経済企画庁では、最近の景気低迷を打開する対策の一つの柱として、中小企業に対する投資減税を実施するために、通産、大蔵両省との調整を進められていると承知しております。この投資減税の趣旨は、現在省エネルギーなどのいわゆるエネルギー設備に限られている恩恵を、中小企業全般の設備投資に広げるという趣旨であり、規模としては五百ないし六百億円程度ではないかと、このように承知いたしておるわけでございますが、投資減税に対する経企庁長官のお考えと、その見通しについて明らかにしていただきたい。
  166. 河本敏夫

    ○国務大臣河本敏夫君) 最近中小企業の投資は相当落ち込んでおります。これは輸出が減ったということ等も直接影響を及ぼしておるわけでございますが、この点は私はこれからの経済にとっては非常に心配だと、こう思っております。したがってこの際、中小企業の設備投資の計画はあるわけですから、何とか落ち込みを防ぐ方法はないか、皆さん設備の近代化投資をやりたい、省エネ投資もやりたいと、いろいろ計画はお持ちなんですが、いまの状態ではちょっとやりにくいと、こういうことでありますから、そういうことでなく、むしろいまやっておいた方がいいですよと、こういうようなインセンティブを与える方法はないものだろうかと、これはことしから来年にかけての経済政策の非常に大きな課題だと、こう思っております。それで、その一環として私は、ごく短期間を限って中小企業の投資減税をすべきであると、こう思っておりますが、この具体的な進め方、交渉等につきましては、これは通産省の方で管轄をしておられまして、通産省の方でいまいろいろ御研究をしていただいておるようでございます。
  167. 柄谷道一

    柄谷道一君 細部は別として、基本的な投資減税に対するお考えは、通産大臣もただいまの経企庁長官の考えと同じでございますか。
  168. 安倍晋太郎

    ○国務大臣安倍晋太郎君) おっしゃるとおりでありまして、いまの経済が非常に停滞している中で、一番やはり私が心配しているのは中小企業の状況であります。特に、中小企業の場合は投資が非常に落ち込んでしまっている、商工中金とか、中小企業金融公庫等で調べてみましても、設備投資に対する相談件数がやはり去年に比べるとずいぶん減っている状況でありまして、しかし、いま中小企業は相当やはり設備が老朽化している、相当現在は設備投資を行わなきゃならんような状況にある、そういう中にもかかわらず、投資の相談が非常に落ち込んでしまっているということは、中小企業者にやはり景気の先行き不安ということで意欲が失われている、そういうことだろうと思います。したがって、こうした中小企業の経営者の投資意欲を増大をして、中小企業に活力が出てくるためには、やはり基本的には投資減税といったものを考えなきゃならん。そういうことで、今度の景気対策等におきましても、通産省としては、何とかその投資減税といったことを盛り込むことができないかどうかということで、いま鋭意検討をしておると、こういう段階であります。
  169. 柄谷道一

    柄谷道一君 私も持論として、ただ節減だけで財政再建はできないと、こう思う者の一人でございます。八日に結論が出るということでございますけれども、個人消費の問題、設備投資の問題、所得税減税の問題、さらに宅地対策の問題など、ただ短期的に日本経済をとらまえるのではなくて、両大臣は、わが国には十分の潜在成長率ありというお考えでございますから、それを文字どおり生かし得る積極的経済政策の転換、これに対する政策が打ち出されますように、これは強く期待いたしておきます。同時にその結論を見守りたいと思います。  そこで、次に通産大臣にお伺いいたしますが、円安になれば輸出は伸びると、これは通説なんですね。ところが、通産省の輸出確認統計を見ますと、本年二月から以来連続七カ月に及びまして、前年同月比を下回っております。八月の貿易収支は七カ月ぶりに赤字に転落をしております。  私は、その原因は、一つは世界的な不況の影響を受けて日本の輸出が伸び悩んだ。特に、石油の売れ行き不振と価格の低迷で外貨事情が苦しくなってきたOPEC諸国への輸出が相当減少したと。第二には、日本の輸出を支えてきた自動車、家電製品などが、輸出自主規制の影響を受けてかげりがあらわれてきた。第三には、メキシコ、アルゼンチンなどの中南米諸国の国際金融不安が、世界貿易全体に暗い影を落としてきた。こういったマクロ的な原因と、さらに、中国が在庫調整によって合成繊維の商談というものが激減をしたとか、アメリカの油田開発熱が冷却したことによる対米シームレスパイプの輸出が激減してきたとか、小型棒鋼の対イラン国際入札の価格が折り合わずに見送られたとか、また海運不況の影響を受けた輸出船受注量の低迷が続き、韓国の追い上げが激しい。さらには、インドネシア政府が打ち出しましたカウンターパーチェス方式が紡績機械等の輸出に大きな影響を与えた。さらに、厳しい国際競争のもとでのプラント輸出国際入札が頭打ちをしてきた。こういう個々産業の事情というものがこれに相重なって、現在の輸出不振という現状に波及してきたと、こう私は読み取っているわけでございます。  そこで単にアメリカの景気回復することを願うとか、国際金融不安の救済策として、国際通貨基金を中心とした対策を講じていくとか、ただそれだけではこの輸出対策は不十分じゃないかと、こう思うんですね。  そこで通産大臣、確かに厳しい国際経済情勢ではございますけれども、わが国は輸出立国ですから、ここにやはり抜本的な輸出に対する対策の見直しと、その政策の展開というものがいま求められているんではないかと、こう思うんですが、その点お考えございますでしょうか。
  170. 安倍晋太郎

    ○国務大臣安倍晋太郎君) 確かにいまお話しのように、円安にもかかわらず輸出が伸びない、というよりは、むしろどんどん減っておると。最近の輸出の動向を見ると、前年同月比で伸び率は、ことしの一−三月期が〇・二%減、続く四−六月期が六・八%減となっており、さらに七、八月も前年同月比一二・一%、一一・六%の減少というふうに、これまでにない低迷、減少を続けておるわけでありまして、輸出信用状等を見ますと、八月も九月も依然としてやっぱり減り続けるんじゃないかというふうな感じを持たざるを得ないわけなんですが、これはいまお話しのように、アメリカの経済、ヨーロッパの経済が非常に悪いということだけじゃなくて、具体的にいまお話しのような問題が相重なっておると、その結果として出ておると、こういうふうに思うわけなんです。  そういう中にあって、このままにしておっていいかどうかという問題ですが、やはり私は、日本はおっしゃるような貿易立国でありますし、日本としてはやっぱり外国から原材料を買って、これを製品にして外国に売っていくと、それによって日本経済というのは成り立っておる、まさに貿易立国でありますから、輸出問題についても、いろんな角度から対策を講じていかなきゃならない、こういうふうに思っております。私はまあやはり貿易というのは拡大均衡でなきゃならん。いまは輸出も落ち込んでおりますが、輸入も落ち込んでおるという現状ですから、ですから、輸出だけがどんどんふえていくと、ドライブがかかってどんどんふえていくということになれば、これはいまわが国は貿易立国である以上は、自由貿易体制というのは最も大事ですが、この自由貿易体制が崩れるおそれがある。保護主義が台頭して、日本に対する制限措置がさらに強化されるということになれば、これは大変なことになるわけでございますから、一面においては輸出が伸びるとともに、一面においては輸入が拡大をされるということが、貿易立国としては基本でなきゃならんと思うわけです。したがって、輸出対策も今後とも努力をしていかなきゃならんわけですが、輸入につきましても、もっと市場開放といった面について、政府がやっておりました第一弾、第二弾のフォローアップをきちっとやるとともに、内需の振興を行って輸入の拡大を図っていく、そしてまあ拡大均衡を図っていくと、このための今後ともいろんな角度からの努力を続けていきたい。ちょうど来月七日には貿易会議を久々開きまして、こうした現在落ち込んでおる輸出入問題、日本の貿易のあり方等につきまして、基本的に論議をする計画でいま準備を進めておる段階でございます。
  171. 柄谷道一

    柄谷道一君 まあ、輸出も伸び悩み、内需も伸び悩み、いわば縮小均衡の方向に動いているわが国の貿易の中で、まあ例外と言ってもいいのが、最近繊維の輸入の激増であろうと、こう思うんです。私は去る五十五年十月二十九日に当決算委員会で、繊維産業、特に紡績産業の実態を分析しながら、わが国の紡績が、労使の需給改善努力、これがある。すると在庫調整が進んで市況が回復する。すると、市況回復とあわせて今度は輸入が激増する。そして、そのことが再び需給の悪化、市況の低落に結びつく。いわばこのような悪循環のパターンが繰り返されておる。このパターンというものを打ち切らない限り、家族を合わせて約一千万の国民が働き、この産業の動向が地域の経済に大きな影響力を持つ。そういう産業の崩壊、混乱というものが社会不安にもつながっていくおそれがあるんではないか、こういうことを指摘いたしました。当時の通産大臣は田中六助通産大臣であったと記憶いたしますが、大臣は、わが国の繊維産業の日本経済に及ぼす、与えておる影響というのはきわめて重大だということを肯定されつつも、二国間協定に進む前に、まず需給見通しを官民関係者によって策定しよう、それによって、ガイドラインに基づいて輸入業者に対して輸入目安を示し、輸入業者に対しては輸入秩序化のための行政指導を行うと、そういう方法で対処したいと、こうお答えになったわけです。事実通産省もそのような努力をされたことは承知しております。  ところが、現状ではそれらの対策が全く功を奏していないということを立証しているんではないか。すなわち、綿紡績の場合は、昨年五月から五カ月間、不況カルテルを実施いたしました。その後引き続き自主減産努力を行いました。労使は歯を食いしばって生産調整に努力したわけです。その結果、一応過剰在庫調整しまして、市況もようやく採算点に達するに至った。すると、昨年十月以降、韓国、パキスタン等からの輸入が激増して、本年の一月から七月までをとりますと、前年同期二十一万こりに対して三十九万五千こり、いわば昨年の倍でございます。このような高水準の輸入が続いたために、需給関係は再び悪化して、綿糸在庫は危険ラインと呼ばれる六万こりを超え、いま大きく採算点を下回っているわけでございます。まさに私の指摘いたしました悪循環のパターンが再び繰り返されているというのが率直な現状であろうと思います。私は、このような状態が続く限り採算はさらに悪化するであろう、そして、そのことによる多くの倒産と失業を招くことは避けられない事態に至るであろうということを危惧するわけでございます。これは従来の行政指導では悪循環のパターンは断ち切れない。そこで、このためにはいまや二国間協定というものに踏み切らざるを得ない、そうしない限り産業が生き抜く道はないということを物語るんではないかと、こう理解するんですが、いかなる認識をお持ちでございますか。
  172. 志賀学

    説明員(志賀学君) お答え申し上げます。  ただいま先生からお話がございましたように、綿紡績業界は昨年の五月から九月まで不況カルテルを実施したわけでございます。それの背景になりました実態は、需要低迷等もございまして、流通段階を含めた綿製品の在庫、これが五十六年の四月末で約八十万こりと非常に高いレベルになったわけでございます。そういったことを背景にいたしまして、不況カルテルによる生産調整を行ったわけでございます。そこで、九月末におきまして、在庫も七十六万五千こりということで、適正在庫にかなり近づいたレベルになったということで、そこで不況カルテルを打ち切ったわけでございます。  その後、私どもといたしまして需給見通しによるいわゆるガイドライン方式という形で、需要見通しあるいは生産、輸入、そういった見通しをつくりまして、そのガイドラインに基づいて実需に見合った形で生産を行い、あるいは輸入を行っていくように業界を指導してまいったわけでございます。その結果、五十七年——ことしの七月末におきましては、綿製品の流通段階を含めた在庫は七十四万こりということでございまして、かなり適正在庫に近づいたわけです。綿糸の在庫も不況カルテルを実施後比較的安定しております。ただ、先生おっしゃるように、最近いわゆる綿糸のメーカー在庫がややふえてきているということはございます。これは一つには確かに輸入の問題がございます。しかしながら、同時に生産がかなりふえておるということ、それから輸入品と競合しない細番手のコーマ糸の在庫がかなりふえているんではないかと、こういう見方もございまして、いずれにいたしましても、私どもとしては生産をまず実需に見合った形で生産をさらに続けていただくということがひとつ必要だというふうに思います。  ただ同時に、先生おっしゃるように、輸入の秩序化ということについては私どもは深い関心を持っております。そういうことから、輸出国に対しましても、私もいたしましたけれども、事あるごとに輸出国に対して、秩序のある対日輸出をやるように強く要請をしておるわけでございます。また輸入業界に対しても強く指導をやっているところでございます。最近の成約状況から見ますと、私ども見通しとしては輸入は今後鎮静化に向かうというふうに判断をしております。八月の成約は前年水準をかなり下回るレベルにとどまっております。そういうことで、私どもとしては、当面、行政指導による生産の秩序化、あるいは輸入の秩序化を通じて綿紡績業の困難というのは克服していけるというふうに思っております。  MFAの発動についての御質問でございますけれども、MFAにつきまして、私どもとしても真に必要な場合にはMFAの適切な運用ということは考えていくという立場でございます。ただ、先般来の御質疑の中にもございましたけれども日本は輸出立国、貿易立国でございます。そういう立場から申しまして、また特に日本の場合に繊維製品の大幅な輸出国でございます、輸入の倍ぐらいの輸出をやっている、ECやアメリカと違って、繊維製品の大幅な輸出国でございます。そういう立場等々を踏まえまして、MFAの発動につきましてはやはり慎重に考えていくことが必要だというふうに思っております。
  173. 柄谷道一

    柄谷道一君 最近輸入が鎮静化したと、これは市況が低迷したから鎮静化してきたわけですね。悪循環が続いておることは、去年一月から七月とことしの一月−七月の対比が倍の綿糸輸入があるということはもうこれ歴然とした事実なんですね。私は時間の関係で多く語れませんけれども、集中豪雨的に繊維の輸入があるということは、欧米先進国がすべてMFAを適用して二国間協定を結び、輸入の秩序化を行っている中で、わが国だけが唯一の先進国の中における自由市場になっておる。そこでまたあわせて綿糸輸入関税が他の先進国に比べて著しく低い。韓国、パキスタン等が輸出奨励策をとって、あるいはダンピング輸出の疑いも濃い。国際環境を無視した発展途上国や中進国の繊維工業の拡大、輸出の増大がそのような環境のもとで日本にのみ集中的に行われている。この現実を打ち破らない限り、問題の解決はないと思うんです。  いまわが国は貿易立国だと、こう言われたんですけれども、多く言う必要もないんですけれども、MFAに基づく二国間協定というのは繊維貿易の秩序を維持しながら、拡大するための正当なガット上のルールでございます。しかも、この思想は自由貿易の永続化ということを目的にしてつくられた制度であり、したがって、先進国はこれを全部採用しておるわけでございます。また貿易収支の面から見ても、そういう二国間協定を結ぶことが、開発途上国や中進国の繊維産業の発展というものを秩序ある発展に導くことができるのではないか。貿易量が非常に高くなったり低くなったりするということが、それらの途上国や中進国の繊維産業にとっても深刻な影響を与えていることはもう御承知のとおりでございます。私はそうした情勢を考えると、なぜ日本だけがMFA協定の締結をちゅうちょするのか、このことがどうしても理解できない。端的に言えば、通産大臣は繊維産業というものを見殺しにするという気持ちがあるんではないかとすら思わざるを得ない現状でございます。  きょうはこのことに関連もいたしまして、独禁法の運用に関しても質問したいと思っておりましたが、時間が参りましたので、時間は守りたいと思います。  最後に、大臣からこのMFA二国間協定の問題について、過去の歴史を真剣に見詰め、この際わが国としても、これは保護貿易に転向するわけじゃないんですから、私は勇気を持って先進国に準じた繊維の秩序ある輸入体制の確立、それを通じて日本の繊維産業の安定、途上国及び中進国における繊維産業の秩序ある発展、これを目指す決断を下すべきときではないか、こう思います。いま二国間協定を結ぶという答弁は大臣できないと思うんですけれども、早急にその検討と準備を進める、少なくともその程度の御答弁を要求したい。  以上をもって質問を終わります。
  174. 志賀学

    説明員(志賀学君) ちょっと大臣の前にお答えさしていただきますが、確かにMFAというものは、先生からお話があったようなそういう性格のものでございます。ただ、いずれにいたしましても、MFAはガット十九条の特例措置ということでございまして、保護主義的な措置であることは間違いがないわけでございます。したがいまして、私どもとして現在の世界経済の中に置かれた日本の立場、その辺を十分考慮しながら、MFAの問題というのを慎重に考えていかざるを得ない、いくことが必要だというふうに思っております。ただ同時に、たとえばダンピングであるとか、あるいは輸出補助金というようなことを背景にする対日輸出、そういうようなことが事実として行われている、十分な証拠を伴ってそういうことが行われているということがはっきりいたしますれば、そういう不公正な取引についての対応というものについては、私どもとしては十分検討をしてまいりたいというふうに思っております。
  175. 安倍晋太郎

    ○国務大臣安倍晋太郎君) いま柄谷さんから、通産大臣は繊維業界を見殺しにするんじゃないかというふうなお話もありましたが、全くそういうことは考えてもおりませんし、われわれとしては、何としても日本の大事な産業であるところの繊維産業を育てていかなければならない、また、わが国経済において、繊維産業が非常に重要な地位を占めておるということは十分承知をしております。  こうしたことで、御案内のように、繊維工業構造改善臨時措置法に基づくところの構造改善事業を初めとする諸施策を講じてもまいったわけでありますし、また現在、繊維工業審議会、あるいは産業構造審議会におきまして、今後の繊維産業及びその施策のあり方について御審議をいただいておるところでもありまして、これを踏まえて今後とも繊維産業政策の一層の充実に努力をしてまいりたいと、こういうふうに考えております。  また、輸入の激増、これに対してやはりわが国としても秩序のある輸入が行われるような努力をすべきであると、こういう声も、そしてMFAの適用もやるべきだということも、発動すべきだというふうなことも、業界からずいぶん私のところへも陳情があるわけでございますが、これらについては、いま志賀局長も申し上げましたように、わが国としては基本的には自由貿易の体制に立っておるわけですし、ガットのルールというものを守っていかなければなりません。したがって、ガットのルールに違反するというふうなことになれば、これはわれわれとしてもきちっとした対応を示さなきゃならんと思いますし、また基本的にはいろいろと通産省で業界等とも接触をしながら、いずれにしても、もっと秩序のある輸入というふうなものが行われるように、今後ともいろいろな面で努力はしてまいりたいと、こういうふうに思っております。  繊維産業は非常に重要であると、非常に大事な地位を占めておると、これを守っていかなきゃならんという基本的な認識のもとに、これからも国内的な政策、あるいは対外政策というものを推進してまいりたいと、こういうふうに考えております。
  176. 竹田四郎

    委員長竹田四郎君) 午前の審査はこの程度とし、午後二時二十分まで休憩いたします。    午後一時三十三分休憩      —————・—————    午後二時二十七分開会
  177. 竹田四郎

    委員長竹田四郎君) ただいまから決算委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、昭和五十四年度決算外二件及び昭和五十五年度決算外二件を議題とし、通商産業省経済企画庁並びに中小企業金融公庫及び中小企業信用保険公庫決算について審査を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  178. 鶴岡洋

    ○鶴岡洋君 きょうは、私は景気対策と官公需の問題についてお尋ねをしたいと思います。  その前に、最初景気対策でございますけれども、きょうは経済閣僚、主要閣僚であるお二人がおいでですから、最初に両大臣にお尋ねをしたいわけですが、現在景気も悪い、財政危機である、五十六年度の決算は史上空前の赤字決算であったと、剰余金も全部払い出すし、それから調整資金も払い出して、言うならば一銭もなくなった、こういう状況下にあるわけでございますけれども、お尋ねしたいのは、そういうことで、十月八日開催予定の経済対策閣僚会議でございますが、ここで取り上げる問題についてでございます。  その前に、政府及び自民党は、二十二日の首脳会議で、十月八日に予定されている経済対策閣僚会議で、五十七年度経済見通しの改定と、景気対策を決定する方針と、こういうふうに言われておりますけれども、その中に景気対策を盛り込むことについて、経企庁長官、それから通産大臣の意見が取り入れられたと、こう報道されております。河本長官は、その前に九月十八日、すでに六項目の景気対策、これを打ち出されておりますけれども、この景気対策等をどのような方針を持ってやるのか、いま言いましたように、両大臣から初めに所見をお伺いしたいと思います。
  179. 河本敏夫

    ○国務大臣河本敏夫君) 現在、政府部内で景気の現状を分析をしながら意見交換をしております。あわせて、どういう対策やったらいいかということについてもいろいろ意見交換をしておる最中でございます。  そこで、現在の経済の状態を簡単に申し上げますと、物価の安定あるいは実質可処分所得の増加、消費の堅調な動き、もちろん消費には一進一退がございますが、基調的には堅調に動いておると思いますが、そういうプラスの面もございますけれども、しかし一方で輸出が非常に落ち込みまして、さらにそれから来るいろんな影響、特に設備投資の見直し等の機運が相当顕著に出ておりまして、これは大きなマイナスの面だと考えておりますが、明暗同時に混在しておるというのがいまの姿だと思いますが、そして全体としてはやはり私は経済の勢いは弱くなっていると、このように判断いたしております。  そこで、このまま放置いたしますと、雇用も引き続いてさらに悪化をすると思いますし、税収の落ち込みもさらに厳しいものがあろうかと思います。そういうことで、何らかの対策が必要であるということについては意見は一致しておるわけであります。  さて、それじゃ具体的にどうするかということにつきまして、いま相談をしておりますが、議論の対象になっておりますのは、一つはもちろん災害復旧はしなければなりませんが、同時に上半期に公共事業を大幅に前倒しをいたしましたので、下半期の公共事業の追加をどうするか、それから中小企業の設備投資が相当落ち込んでおりますので、これに対する税制上の対策、あるいは金融上の対策はいかにあるべきかという議論、さらに住宅対策をどうするか、それから構造不況業種対策をどうするか、また地域によりまして非常に厳しい経済状態になっておるところもございまして、こういう地域による跛行性をどう対応するかと、こういう問題。それからプラント輸出が最近落ち込む気配が非常に強くなっておりますので、このプラント輸出問題をどう考えるか、こういう問題についていま議論をいたしております。  しかし、私はそれらの議論とは別に、所得税減税問題も議論してはどうかと思っておるんです。と申しますのは、この春、衆議院で予算審議がストップをいたしまして、そのときに議長のあっせんによりまして、とにかく予算を通した後、所得税減税問題は大蔵委員会で小委員会を設けて引き続いて議論をして、そこで結論を出したらどうかと、こういうことになりまして、当時政府の方も所得税減税問題については、意見あるけれども、大蔵委員会の結論が出ればそれに従いますと、それを尊重しますと、こういう答弁もいたしております。自来もう半年経過いたしておりまして、なお結論がまだ出ておりませんし、たまたま先般の臨調の答申にも、直間比率をこの際見直せと、こういう答申も出ておりますので、臨調の答申を尊重すると、これを実行に移しますというのが政府の約束でありますから、当然こういう答申が出れば、これを受けて私は直間比率の見直しをしなければならん時期に来ておると思いますし、そういうことを考えながら大蔵委員会で、国民経済全体の立場に立っての前向きの結論が出ることを私どもは期待をしておりますが、そういう観点から、私はこの問題もやはり議論をしながら方向が出せればと、こう思っておりますが、しかし事務当局の間の議論では、私が以上申し上げた所得税減税を除いての数項目が議論の対象になっておるというのが現状でございます。
  180. 安倍晋太郎

    ○国務大臣安倍晋太郎君) わが国の経済の現状は、いま河本長官もお話しになったんですが、内需の低迷に加えて輸出が大変落ち込んでおります。こうした内・外需の動向が生産、収益、雇用に大きな影響を及ぼしておるところであります。実は通産省としまして、九月の上旬に最近の景気状況及び今後の見通しについて実情を把握するために、私と業界代表、約二十一の業界の代表との景気懇談会を行いました。それによりますと、基礎素材産業はもとより、工作機械、家電などの組み立て加工分野を含めても、景気は現在悪化局面にあるという業種が多い、基礎素材産業においては、収益がきわめて悪化をしてきておる、雇用面ではこのままでは雇用調整給付金に頼らざるを得なくなるとする業種が増加をしているほか、来年度の新規採用を削減する動きが広がっていく等の事実が明らかになったわけです。さらに当省では九月の中旬、中小企業を中心とする地域経済の動向をより的確に把握すべく詳細な現地調査を行ったわけですが、各地域とも大企業よりも一層厳しい景気状況報告をされております。これら一連の調査の結果をも勘案をしながら、十月初旬に予定されておるところの経済対策閣僚会議に向けまして、経済企画庁、あるいは大蔵省を初め関係省庁とも十分連絡をとりまして、いまお話のありましたような数項目を初め、全体的に今後の経済の運営、景気対策を進めてまいらなければならんと、こういうふうに考えております。
  181. 鶴岡洋

    ○鶴岡洋君 時間があれば一つ一つ具体的に河本長官のおっしゃった災害復旧対策、公共事業の点についてどうするのか、また所得税減税をどうするのか、いろいろ聞きたいわけでございますけれども、いずれにしてもこういう時期でございますので、何らかの景気対策をやらなきゃいけないということはよくわかるわけでございます。  その中で、経企庁長官、特に国民に最も関心のあるものは所得税減税だと思うんです。この点については先国会の経緯もございますし、現在空前の財政危機の中で減税をやる余裕があるかどうかという疑問もあります。五十六年度の税収不足は約二兆八千八百億、五十七年度は恐らく五兆から六兆になるだろう、こういうふうに見込まれておりますけれども、端的にお伺いしますけれども、この所得税減税ですけれども、規模はどのぐらいにするのか、また実施に必要な財源はどうするのか。河本長官は先日、二十五日ですか、新聞記事に載っておりますけれども、岩手県でしたね、そこで早急にこの所得税減税については結論を出す段階に来ている、こういうふうにもおっしゃっておりますので、腹づもりはあると思いますけれども、どんな程度にしたいと、こういう希望があるのかと思いますが、その辺はいかがですか。
  182. 河本敏夫

    ○国務大臣河本敏夫君) この問題につきましては、先ほども申し上げましたが、衆議院の大蔵委員会で作業が続いておりまして、政府はその結論待ちと、そこで結論が出ればそれを尊重するというのが政府の一貫した姿勢でございます。繰り返して恐縮でございますが、もう作業を開始してから半年もなるわけでありますから、私はぼちぼち結論が出てくるころかな、こう思っておったんでございますが、たまたま七月の末に臨調答申が出まして、そこで直間比率の不均衡を見直せ、こういう趣旨の答申が出ておりまして、その趣旨は当然所得税が過去五年間の間に総額二倍以上になっておるから、そして、直間比率が著しい不均衡になっておる、この際この均衡を回復するという観点に立って、これを根本的に見直せ、こういう趣旨の答申だと受けとめておりますが、そういうことを十分認識をしながら、私はもう半年も議論をしておるわけですから、当然ここで結論が出てもいいのではないか、こういう期待を持っておるわけであります。特に、国民経済全体に貢献するような、そういう結論が出ることを強く期待をしておりますが、さて、しからば内容はどうあるべきかということにつきましては、これは先ほども申し上げましたが、大蔵委員会の専門家の方々が議論をしておられるわけでありまして、その議論を待ちたい、このように考えておるところでございます。
  183. 鶴岡洋

    ○鶴岡洋君 大蔵委員会の専門家がやっておるわけですけれども、あなたも専門家以上の専門家ですからね。いずれにしても結論としては、その答申というか、結論を尊重する、こういうことですわね。  もう一つお聞きしますけれども、先ほどの話の中で、午前中にもお話ありましたけれども、中小企業の設備投資が落ち込んでいるので、時限の設備投資減税を実施せよと、こう主張しておりますけれども、これは私たちも当然やるべきことだ、こういうふうに思います。所得税減税、投資減税と来月八日の経済対策閣僚会議で正式に決定される可能性を河本長官は確信を持っておられるかどうか、この辺はいかがですか。
  184. 河本敏夫

    ○国務大臣河本敏夫君) 中小企業の全設備投資というのは、大企業の設備投資よりもむしろ若干多い、半分以上を占めておるということでありまして、金額的にも、ことし中央と地方で進めております全公共事業は二十四兆にも近い数字だと思うんです。その中小企業の投資が落ち込むということになりますと、これは非常に大きな影響が産業全体に、経済成長全体に出てまいります。  そこで、中小企業の方々はみんなこの設備の近代化投資をしたい、あるいは省エネルギー投資をしたいという強い意欲を持っておられるわけでありますが、しかし、何分にも十分な力がありませんから、経済情勢を見ながら、その時期を若干調整をされる、あるいはその規模を若干調整される、こういうことになる傾向が非常に強いわけであります。いまはたまたま内需不振、輸出の落ち込みということで、中小企業の設備投資が相当大幅に落ち込みそうな気配がございますので、そういうことでは、一方で公共事業をふやしましても、中小企業の設備投資が落ち込んでしまったんでは、これはもう何もならんということで、私は、ほぼ一年ぐらいの見当でいいと思うんです、時限立法で、この中小企業の設備投資意欲を守り立てるような、そういう投資減税をごく短期間、できるだけ大規模にやった方がよろしい、私はこう思っておりますが、これは原則論でございまして、具体的な進め方等につきましては、これは担当は通産省でございますので、通産省の方でいろいろ案を練っていただいておるようでございます。私は当然やるべきである、このように考えております。
  185. 鶴岡洋

    ○鶴岡洋君 通産大臣と企画庁長官一番先にお話あったことをお聞きすれば、大体御意見が同じような御意見だと、このように受けとめるわけでございますけれども、先ほど経企庁長官のおっしゃった六項目ですか、数項目のことについて、安倍通産大臣としてはどんなふうに思っておられるかお聞きしたいと思います。
  186. 安倍晋太郎

    ○国務大臣安倍晋太郎君) いま政府間で詰めておるのが、公共事業の追加投資を初めとして、中小企業対策であるとか、あるいは住宅対策であるとか、あるいは不況産業対策であるとか、そういうものでありますが、通産省としてもさらに中小企業対策にはいまの投資減税といいますかを加えたい、こういうことで折衝を始めたわけです。これは時限的なものにならざるを得ませんし、規模もいまの財政の状況から、そう大がかりなものができるとは思えないんですが、いずれにしても、これは何とか中小企業の投資意欲を拡大をしていくためにも、何とかひとつ実行、実現をしたい、こういうことでこれから努力を重ねるわけでありますが、しかし、なかなか所得税減税といい、中小企業の投資減税といい、全体の税制との関係もあるわけですし、これは財政のこういう状況の中で、財政当局は大変な反対といいますか、抵抗をいたしておるわけですし、政府全体で決める場合は、なかなか困難な問題も今後横たわっておるということはわれわれも認識をせざるを得ない。そういう中で、私の立場としては、中小企業対策の一環として、何とかこの中小企業の投資減税は日の目を見たいものだ、こういうふうに考えてこれからも努力を重ねたい、こういうふうに思います。
  187. 鶴岡洋

    ○鶴岡洋君 景気対策についてはわれわれも必要だと思いますし、この件について、もとへ戻りますけれども、二十二日に開かれた日本商工会議所の総会で永野会頭は、中小企業はもう抵抗力がなくなって、体力も限界にきている、こういうお話もしておりますし、反面、大蔵大臣の方は金がないから景気対策をやるにしても財源がない、こういうふうにも言っております。これに対して、ここにおられる二人、河本長官、安倍通産大臣は、十月八日の閣僚会議ではぜひ景気対策をまとめる、こう前向きの姿勢でございますけれども、そうなると、政府部内で景気対策について意見の食い違いがあるようにわれわれは感じるわけですけれども、食い違いはどこからくるのか。この意見の食い違いがいま言ったようにあるようですけれども、十月八日までにどういう形でその意見の調整をして正式決定していくのか、その辺は経企庁長官いかがでございますか。
  188. 河本敏夫

    ○国務大臣河本敏夫君) 意見の食い違いは、これはもうたびたびのことでございまして、その都度何らかの調整をしておるわけでございますが、いま御指摘がありましたように、これからの景気対策につきましては、まだ意見の調整はできておりません。相当食い違う点がございますので、いまいろいろ議論をしておる最中でございます。議論を通じて何らかの結論を得たいと、このように思っております。
  189. 鶴岡洋

    ○鶴岡洋君 次に、景気対策の効果についてでございますけれども、長官は景気対策の柱の一つに、先ほど申された一番最初の災害復旧事業を含むいわゆる公共事業の追加でございますが、この公共事業の波及効果は最近著しく低下しておりまして、恩恵を受けるのは建設関係、その反面土地等の値上がり、それから高金利のマイナス、全産業がそれを受けるなどして、マイナス面の指摘があるわけです。また五十七年度公共事業の前倒し発注七七・三%、この波及効果が果たしてあったかどうか、こういうことになると、ある中小企業の方から聞けば、とんと恩恵を受けなかった、こういうふうにも話を聞くわけです。  長官は、たとえば公共事業の追加投資一兆円程度でどのくらいの効果を期待しているのか、換言すれば、経済成長率、このアップにどの程度貢献するのか、その点はいかがでございますか。
  190. 田中誠一郎

    説明員田中誠一郎君) 公共事業の投資効果の点でございますが、先生御指摘の、まず土地の用地費の関係でございますが、最近の状況を見ますと、用地費約二〇%弱、年によって異なりますが、ほぼ安定している状況にございます。  また、資材価格等もこのところ安定しているということから見ますと、公共事業の投資効果というのは、それなりにあるのではないかというふうに考えられます。  今回行いました七七・三%の前倒しの効果でございますが、先般私ども地方でいろいろヒヤリングをいたしたわけでございますが、地方によっては徐々に出ているところもございます。まだ必ずしも十分でないというところがございますけれども、全般として前倒しの効果はこのところ徐々に出ているのではないかというふうに考えておるわけでございます。  一般的に公共投資の追加によります景気浮揚効果につきましては、景気の情勢によってかなり異なりますので、具体的に申し上げるというのは若干困難な面がございます。ただ、私どものマクロモデルによりますシミュレーションの結果でございますが、当庁のモデルによりますと、公共投資を一兆円追加した場合、初年度——初めの一年間でございますが、GNPが一兆二千七百億円増加するという結果が出てございます。二年度目が二兆二千五百億、三年度目に二兆七千二百億円、これは累積でございますが、という効果が出ているわけでございまして、したがいまして、その情勢によって異なりますけれども、公共投資が経済成長に与える効果というのはなおかなり高いものがあるというふうに考えておるわけでございます。
  191. 鶴岡洋

    ○鶴岡洋君 景気対策の最後ですけれども、人事院勧告の実施凍結についてお伺いするわけですが、九月二十四日の閣議で政府は正式にこの凍結を決定したわけです。これは鈴木内閣の経済政策の失敗の責任を公務員に転嫁するもので、私たちとしてはきわめて遺憾な決定であると、このように思っているわけです。また、労働基本権制約の代償措置である人事院勧告を、政府みずから踏みにじる暴挙であり、わが党としても強く反対し、この決定をぜひとも撤回をしてもらいたいと、こういうふうに思っているわけでございます。午前中も柄谷委員の方からこの件についてはお話ござましたけれども、この凍結によって景気への影響、これは重要な問題を含んでいると思うわけでございます。すなわち人勧の凍結が実施されると、国家公務員九十万、それだけではなくて、これに右へならえということで公共企業体職員、それから地方公務員、この凍結も当然右へならえしてくるのじゃないか、そうすると、五百三十万人のベアが凍結されると、こういう可能性が出てくるわけです。この人達五百三十万人のベアの凍結は、金額にして何兆円になるか、まずその金額どのぐらい推計されるのか、これが一つ。それとこれが実施されると、政府の景気対策のかなりの部分がベア凍結による個人消費の落ち込み、したがって、これも先ほどお話あったようですけれども、帳消しになるんじゃないか、こういう心配をするわけです。さらに、これが来年の春闘でのいわゆる民間賃金抑え込みにつながれば、これは経済は失速する、こういう危険性があると思いますけれども、この点について河本長官はどういう見解を持っておられるか、お聞かせ願いたいと思います。
  192. 田中誠一郎

    説明員田中誠一郎君) 人事院勧告の凍結によります影響でございますけれども、ただいま御指摘のとおり国家公務員による凍結の影響額が約三千四百億円でございます。これはいろんな推計がございますが、地方も仮に国並みということになりますと五千億弱、合計で約八千億ということでございます。なお、仲裁裁定についてはどういう扱いかということは決まっておりませんが、仮にそれを入れますと一兆を超えるという状況でございます。こういった所得の減少が個人消費にどういうふうに影響を与えるかというのは、かなりそのときの経済の情勢によりまして異なるわけでございますが、御指摘のとおり消費性向いかんではございますけれども、個人消費に与える影響はかなりのものがあるというふうに判断をしておるわけでございます。
  193. 鶴岡洋

    ○鶴岡洋君 次に官公需の問題についてお伺いをいたします。現在深刻な景気低迷の中で、民間需要は投資面でも、消費面でも大変落ち込んでおるわけでございます。九月二十七日のある新聞社の世論調査でも、景気の実感はどうかと、こういう質問に対して約八割、七七%の人が悪いとの回答をしております。この数字は世論調査を開始して以来最高の数字であると、こういうことでございます。  そこで、この不景気を打開するためには、その打開策としてはいまもいろいろお聞きしましたけれども、いろいろ打ち出されなければならないし、打ち出されようとしておりますけれども、これから取り上げる中小企業への官公需をもっときちっとやれば、政府自身の言っている中小企業者へのいわゆる受注機会をふやす、仕事をふやすということになるし、景気浮揚にも私は大きな貢献をするんではないかと、こういうふうに思われるわけでございます。こうした不況下で、中小企業者は一番欲しいものは仕事でございます。したがって、この官公需に対する期待、それは非常に強いわけです。  しかし、その官公需の現実はどうかというと、五十七年六月二十九日閣議決定した中小企業者に関する国等の契約の方針、この内容を見てもよくわかるとおり、どの部分をとってみても中小企業者の受注機会の増大を講ずるとか、図るとか努力するとか、こういうふうに決めながら、官公需が中小企業に流れないで、かえってそれが大企業に偏っておる。しかも、その実態というのはどうかというと、具体的には大企業に発注しながら中小企業に発注したと、そういう虚偽報告、中小企業向けの小さな仕事を大企業に発注していると、その反対も多少あるでしょうけれども、そういう例がたくさんあるわけです。それが意図的にされたのか、単なる数字のミスなのか、いずれにしてもきょうは行政監察局、この監察結果を踏まえてその内容を指摘したいと思います。  前置きが大変長くなって恐縮ですが、最初に通産大臣にお伺いをしたいんですが、昭和四十一年にこの官公需法、すなわち官公需についての中小企業者の受注の確保に関する法律、これができたわけです。ことしは五十七年ですからすでに十六年経過をしております。この法律ができてから今日まで中小企業者のために本当にこの法律が生かされてきているかどうか、これまでに果たしてきた役割り、成果、この点は大臣はどう思われますか。
  194. 安倍晋太郎

    ○国務大臣安倍晋太郎君) 官公需法の運用につきましては、政府としましては、その立法の精神を踏まえながら、毎年度中小企業者に関する国等の契約の方針を閣議決定をしまして、事業協同組合等の活用、分割発注の推進等各種の施策を講ずることにより、中小企業者の受注機会の増大に最大限努力を払ってきたところであります。その結果としまして、官公需総額に占める中小企業への契約の実績は、昭和四十一年度においては金額で四千八百九十一億円、比率で二五・九%であったものが、年々着実に増加をし、現在昭和五十六年度におきましては金額で三兆七千七百十六億円、比率で三七・一%の水準にまで達しております。しかし、いまお話がありました今回の行政管理庁からの勧告において、その運用についてなお改善を要する事項があるとの指摘がなされたところであるので、当省といたしましても、この勧告の趣旨に沿って早急に改善策を検討するとともに、各省庁に対しても本勧告の趣旨に沿った改善方を要請することとし、これによりまして国全体としての本施策の改善に最大限の努力を払ってまいりたいと考えております。
  195. 鶴岡洋

    ○鶴岡洋君 私がこの官公需の問題を取り上げた理由というのは幾つかありますけれども、確かにいま大臣のおっしゃったように、四十一年から始まって、四十一年は、実績見ると官公需総予算額が約一兆八千億ですか、その中で中小企業者向け契約見込み額、実績、これが二六・八%、それから少しずつこの数字は上向いております。五十六年は大体十兆円、これは特別会計、一般会計含めての数字でしょうけれども、十兆円といういわゆる大きな仕事、これは役務もあるし、物品購入もあるし、工事もございますけれども、いずれにしても国の予算が五十兆、そのうち一般会計、特別会計含めたとしても十兆円と、こういう大きな仕事であるわけです。この大きな仕事だからこそ、私はきちっとやっていかなきゃいけない。ましてやその中で中小企業者向けというのは五十六年を見ると三七・一%ですか、ですから約四割近くやっているわけです。確かにこの四割近くきちっとやっておれば、中小企業者への恩恵も多いし、これは非常にいいことだと思いますけれども、そこで順次お伺いしていきますけれども最初に、この制度の法律に基づいて、いま大臣がおっしゃったように、毎年中小企業者に関する国等の契約の方針、この閣議決定をしておりますけれども、ことしの五十七年六月二十九日に決定された方針によると、いわゆる中小企業者向け契約目標額は官公需総予算額の三七・二%、これが中小企業者向けと、こういうようになっておりますけれども、この契約目標について、内容ですけれども、どのような所見を持っておられるか、この点をお伺いいたします。
  196. 本郷英一

    説明員(本郷英一君) 五十七年度の国等の契約方針についてでございますが、例年ですと、この国等の契約方針、七月中旬から後半にかけて例年閣議決定をいたしまして、その具体的な実施を各省庁、地方支分部局に周知徹底をして実施を図っていくというのが従来でございますが、今年度は、先ほども先生からもお話がありましたし、大臣からもお話を申し述べております景気の問題を考えまして、早期決定を行うということで六月中にこれを取りまとめまして閣議で決定をし、実施に移したわけでございます。その具体的な目標額は金額で三兆九千百八十億円、官公需総額十兆五千三百七十一億円に対します比率としましては三七・二%でございます。これは従来の目標の数字に比べますと、金額、比率ともに過去最高の水準になっているわけでございます。  それから、この具体的な契約目標を達成するための措置でございますが、それについては従来から事業協同組合の活用、あるいは分割発注の推進等を講じておりますが、それらの措置を一層推進するとともに、新たな考えといいますか、新たに今年度から実施するものといたしまして、少額の随意契約案件についての中小企業者の受注機会の増大、それから地元中小企業者等の受注機会の増大を地方支分部局を通じて図ること、及び中小企業団体中央会を通ずる指導の強化、こういうものをさらに特に配慮することとしているわけでございます。現在の景気低迷によって、中小企業が特に厳しい状態に置かれているということにかんがみまして、本年度の目標の達成について最大限の努力を払ってまいるということで現在やっておる状況でございます。
  197. 鶴岡洋

    ○鶴岡洋君 まあ部長お話ですと、確かに数字の上では三七・二%、いままでの最高であるかもわかりません。そういうことで、非常にこの数字にとっては満足げなお話でございますけれども、また、これからことしは新しい少額の契約についても中小企業の方へ回す、また地元の中小企業を使うと、こういうふうに言っておられますけれども、ところで、四十一年に先ほど言いましたように、この法律ができたわけですが、当時の三木通産大臣がこの中小企業に対する官公需の発注の率について答弁をしております。この答弁を見ると、「五〇%ぐらいには早く持っていかなければならぬ」と、こういうふうにも答弁をしておりますし、それから五十一年一月の衆議院の本会議でも三木総理は、「官公需の発注については、現在は三二・九%でありますが、できれば五〇%にこれを持っていきたい、今後努力をいたす所存でございます。」と、こういうふうに言っておりますけれども、現在の安倍通産大臣としては、この官公需の中小企業向けの発注率、どの程度にすべきであるとお考えでございますか。
  198. 安倍晋太郎

    ○国務大臣安倍晋太郎君) 官公需の発注率につきましては、これまでいま説明をいたしましたように、毎年毎年これを拡大をしてきておるわけでございます。なお、三木総理が五〇%目標と言ったことについては、これは国会審議の経緯等から見て一つの目標と、中央の、国等の目標という点から述べたわけであろうと思いますが、これはなかなか、目標としては私もわかるわけですが、しかし現実問題としてこれを実現をするということにはなかなか困難な面もあると私は実際現実問題として思います。しかし、われわれとしては、やっぱり中小企業の状況から見まして、また中小企業の日本経済におけるウエート、あるいはその重要性から見まして、この官公需をできるだけ振り向けるように、これまでも努力をしてまいりましたが、今後ともさらに努力をしてまいりたいと、こういうふうに考えます。
  199. 鶴岡洋

    ○鶴岡洋君 そうすると、通産大臣としては現在は何%という目標は特にないと、こういうふうに理解するわけですけれども、それにしても、こういう状況下でございますから、少なくとも目標を立てて、そしてそれに向かって、分割発注もあるし、それから、銘柄のいわゆる廃止ということも閣議決定をしているわけですから、そういう面からも、たとえ努力目標であっても、中小企業者側に立って、目標を立ててやっていくのがこれは当然ではないか。直接この担当官庁である中小企業庁、こちらの方はいかがですか、この目標は。
  200. 本郷英一

    説明員(本郷英一君) この計画目標は、大臣からもお答え申し上げましたが、これに向かって政府全体といたしまして努力をしていくという性格のものでございますが、実際にこれをどういうふうに毎年度設定しておるかといいますと、前年度の予算の実績、あるいは当該年度の予算の内容、それから事業の予定等を踏まえて、実現可能性も勘案し、しかし、さらに最大限高いものということで目標を設定しているわけでございます。  実際にその目標がその年に達成できていないという年もございますが、これは予算の執行が、たとえば事業の進捗がおくれたり、あるいは公共事業の執行の抑制とか、あるいは御承知のように事務経費の節約というような、財政事情から来るような影響もございまして、この官公需全体、さらにその中に含まれる中小企業向けの需要というものが、ある程度変動せざるを得ないということはやむを得ないところかと思いますが、しかし現実には大観していただきますと、昭和四十一年度以来、この実績は毎年度着実に増大してきているということでございます。しかし、その目標を立てた以上、その目標を達成するための事業の進行管理等をきちんといたしまして、目標と実績との間の乖離ができるだけ小さくなるようにしてまいりたいと考えております。
  201. 鶴岡洋

    ○鶴岡洋君 五〇%、六〇%、中・長期的な目標はそれはそれとして、毎年閣議決定しているこの目標でさえも達成していない年度がたくさんあるわけです。五十五年度から過去にさかのぼってみると、五十六年度は三七・一%ということで、三六・八%から〇・三%、これは目標額を達成しているわけでございますけれども、この五年間一度も目標額は達成していないと、こういう数字が出ているわけでございます。言うまでもなく、わが国経済は近年景気のかげりが至るところにあらわれており、その度合いは来年においても一段と厳しい状況になるんではないか。その中にあって中小企業の動向を見ると、大変な状況である、こういうことがよくわかるわけでございます。それならば、この三十数%という目標も、この数字から見ても達成していない。これを達成させるためには、じゃ具体的にはどういう努力を中小企業庁としてするのか。その辺はいかがですか。
  202. 本郷英一

    説明員(本郷英一君) これは、この契約目標額の裏打ちとしまして、実施措置というものを政府として毎年閣議決定しているわけでございます。この内容は、事業協同組合の活用、あるいは先ほど先生お話しになりました分割発注の推進、あるいは銘柄指定の禁止、中小企業者に対する情報の提供等々ございます。これらについて着実に中央、地方におきます官公需推進のための各種のメカニズムを使いまして、末端までこれが周知徹底して実施されるということを私ども毎年度実施をしておりまして、通常行っおるこのじみちなやり方以外に、実に革命的なやり方というものが余りございませんので、このじみちなやり方を一層推進していくということが私どもの立場でございます。
  203. 鶴岡洋

    ○鶴岡洋君 それでは、「官公需についての中小企業者の受注の機会の確保に関する行政監察結果」、行管庁で調べた点についてお聞きしたいと思います。  九月十五日に発表したこの結果ですけれども、この目的とその結果の概要をなるべくわかりやすく、ポイントはどういうところがポイントだったか、厳重に勧告しなきゃならないのはどういうものなのか、そういうところをわかりやすくポイントだけ報告願いたいと思います。
  204. 堀江侃

    説明員(堀江侃君) 御説明いたします。  まず、監察の目的でございますけれども、国や特殊法人において実施されております官公需契約などの実態を調査をいたしまして、官公需についての中小企業者の受注機会の確保を図る施策の改善に資するために実施をいたしました。各省庁に勧告をいたしました事項の主なものを申し上げますと、一つは、各省庁等におきます中小企業者向け官公需契約実績を見てみますと、その契約率が昭和五十四年度から昭和五十六年度までの間に一〇%以上減少いたしておるところ、予定と実績に一五%以上の差を生じているところ、実績報告の企業区分に誤りがあったところなどの例が見られましたので、各省庁等における中小企業向け契約見込み額の算出を一層合理的なものとし、かつその実効性が確保されるよう、適切な進行管理の実施、実績報告の正確性の確保などの改善努力が必要である旨を勧告をいたしました。  第二といたしまして、物品等の発注に当たりまして、数量面や工事の工程面等から検討をしてへ可能な限り分割発注を行うように努めるものとされておりますが、その配慮が十分に払われてない例が見られましたので、分割発注の推進を一層具体化する措置を各省庁とも講ずる必要があると、こういう勧告をいたしております。
  205. 鶴岡洋

    ○鶴岡洋君 報告の中で、契約実績の状況についていまおっしゃっておりましたけれども、契約実績の推移で、五十五年度は対前年度減が九省庁、ここにあります。それから、五十六年度においては、前年度より減っているところが十一省庁あるわけです。これ全部、行管庁の方から出ているこの報告書では、A、B、Cという記号になっておりますけれども、この五十五年、五十六年二カ年連続して減となっているこの省庁、記号で言うとD、E、H、J、この四省はどこですか。
  206. 堀江侃

    説明員(堀江侃君) 御質問の、二カ年連続して実績が減少しておる省庁でございますが、公害等調整委員会。
  207. 鶴岡洋

    ○鶴岡洋君 順番で言ってください。Dはどこですか。
  208. 堀江侃

    説明員(堀江侃君) Dは公害等調整委員会でございます。Eが総理府本府でございます。それから、Hが科学技術庁。Jが法務省でございます。
  209. 鶴岡洋

    ○鶴岡洋君 通産省にお伺いしますけれども、この二年連続契約が減となっている省庁がいま言ったように四省庁あるわけです。中小企業庁はこの実態についてどのように掌握しているか。どうして減ったのか。その辺はいかがですか。
  210. 本郷英一

    説明員(本郷英一君) ただいま先生御質問の四つの省庁につきまして、この行管の報告書からもわかりますように、AからYまで並んでおります省庁のうちで、比較的中小企業向け契約比率が高い省庁の中にこの四つが含まれておるわけでございます。ちなみに、中央官庁の平均の契約比率は五十四年で四三%、五十六年で四五%弱でございましたので、そういった意味からもわりあい高目の省庁でこういうふうに下がってきているところが出ているというのがこの表からわかるところでございます。  そこで、先生が御質問の、その原因等をどういうふうに把握しているかということでございますが、私どもで承知しておりますところでは、たとえば事務の合理化、経費の節約ということを行いまして、もとになる官公需契約額が減ってしまっておる役所がございます。たまたまその減っておりますものが、中小企業向けがかなりウエートを占めるような予算項目でありまして、そのために中小企業向けに発注可能な官公需額が減少しているというために比率が減っております場合、それから逆に、予算が増加しましたところが、中小企業向け発注が困難な大規模な工事、あるいは新規の工事であったというために、全体として比率が下がったという場合もございます。
  211. 鶴岡洋

    ○鶴岡洋君 非常に模範答弁で、私よくその内容はわからないのだけれども、特にDとHについては、五十四年度に比べ、Dが一四・三%、それからHが一九・一%、大幅にダウンをしておるわけです。事務の合理化だとか、それから省力化だとか、また予算が急激にふえたとかと、こういうことでございますけれども、毎年の閣議決定では、何回も言いますように、「中小企業者の受注の機会の増大に努めるとともに、国等の調達する物品等の受注を確保しようとする中小企業者の自主的な努力を助長するよう配慮するものとする。」と、こういうふうに明示されながら、現実問題としては、この官公需が適正に運用されていないのではないかと、こういうふうに疑問を持たざるを得ないわけです。この閣議決定され、各省庁に指示しているいわゆる「中小企業者に関する国等の契約の方針」の運用については、大臣としてどんな見解を持っておられるのか、大臣からお聞きしたいと思います。
  212. 安倍晋太郎

    ○国務大臣安倍晋太郎君) 通産省は、中小企業向けの官公需の取りまとめの官庁としまして、毎年度、各省庁から中小企業者との間でした国等の契約実績の概要の通知を受けておるところでありますが、今回の行政監察の結果、こうした誤りが発見をされたということは、率直に言いまして、まことに遺憾であると考えております。ついては、通産省としましては、今後再びこのような誤りが生ずることのないよう、各省庁に対して、中小企業の定義など、本施策の遂行上、基本的に必要な事項を周知徹底をするとともに、正確性確保のための改善措置を講ずるように求めることとしたいと考えております。また、通産省においては、みずから率先して誤りの生ずる原因について内部監査を行い、その結果を踏まえて各契約担当部署に対し、今後の改善策を通達することなどによりまして、今後いろいろな事情はありますけれども、こうした過ちがなきように期してまいりたいと考えております。
  213. 鶴岡洋

    ○鶴岡洋君 大臣は気が早いのか何だか知りませんけれども、私、どこが間違っているなんて、まだ聞いていないわけですよ。これから聞くわけですけれども。行管庁がやったわけで、この本を読んでいるから間違いがあった、この間違いをこういうふうに正すということでいま言っておりますけれども、どこが間違っているかは、私はまだ指摘をしていないわけなんで、行管庁にどこが間違っているのか、その辺をちょっとお伺いしたいと思います。「契約実績把握状況調査の結果、昭和五十五年度における下部機関の契約実績の把握が適切でない個所を監察局は指摘をしておりますけれども、具体的に誤謬の種類、契約金額の比較について説明をしていただきたい、こういうように思います。
  214. 堀江侃

    説明員(堀江侃君) 私どもが今度取りまとめをいたしました調査を、現地で担当いたしました管区行政監察局、地方行政監察局が対象といたしました出先機関は十四でございまして、その十四機関におきまして、中小企業向けの契約実績だという形で報告をされました内容をチェックをいたしましたところ、四十一億二千三十万円余の発注実績だとされていたものの内容に、約四億九千三百八十三万円でございますけれども、実際上は中小企業向け実績とするのは誤りであるという判定をいたした結果が出ております。このような実績報告の誤謬が生じました主な原因でございますけれども、発注企業が大企業や公益法人であったにもかかわらず、中小企業者であると、そういう分類、区分の誤りによって生じたものだと、また中には特殊法人の現地機関につきましても調査をいたしましたが、同様の例が見られたと、こういう結果でございます。
  215. 鶴岡洋

    ○鶴岡洋君 それじゃ中小企業庁に簡単に聞きますけれども、官公需における中小企業者の規定、これはどのような分類になっているのか、確認のためにお伺いいたします。
  216. 本郷英一

    説明員(本郷英一君) この官公需法におきます中小企業の定義といたしましては、製造業等については資本の額が一億円以下の会社並びに従業員三百人以下の会社及び個人ということになっております。小売業及びサービス業については資本金の額一千万円以下の会社並びに従業員五十人以下の会社及び個人。次に卸売業については資本金三千万円以下の会社並びに従業員百人以下の会社及び個人ということになっております。さらに鉱業、あるいは陶磁器製造業、タイル製造業等、特定の一部業種につきまして、政令において上記原則とは異なる定義を採用しておりまして、これらを中小企業者としております。  このほか、これらの中小企業者をもって構成する事業協同組合、商工組合、協業組合等の組合も中小企業の中に含まれております。  以上でございます。
  217. 鶴岡洋

    ○鶴岡洋君 監察局にお聞きしますけれども、いま中小企業庁の方からお話のあったのは、これは法律で定められているわけです。この件についてはこの後質問いたしますけれども、いま説明の内容で、そちらからお話があった内容で明らかなように、実にずさんな作業が下部機関で行われている。ここを見ればいろんな面でそれが見られるわけです。大体十省のうち十四機関調査したと、ところが十四カ所とも全部大なり小なり間違っている部分が出てきている。そこで、とりあえずその十四機関の調査で、大企業等を中小企業に計上した件数はどの程度あるのか、代表的な事例を三つぐらい挙げていただけませんか。
  218. 堀江侃

    説明員(堀江侃君) 私ども、発注先企業すべてについて出先から報告を受けておりませんけれども、発注先企業の名前が明確になっている件数は四百六件ございました。発注先企業の区分を誤った例を分析いたしますと、三つぐらいにまとめることができるのじゃないかと考えます。一つは、明らかに大企業であって、なぜそういう誤りが生じたかということを私どもといたしましては理解に苦しむものがございまして、たとえば資本金が十五億円、従業員規模が五千人のエレベーターの管理保守会社でございますけれども、これを中小企業とした例がございます。  二つ目の類型は、小売業とかサービス業等で区分に事務上ミスが生じやすいものがございまして、たとえば資本金四千万円、従業員規模が五十五人というリース業者の例などが、それに該当するだろう。  最後に公益法人、公営企業で、これらは中小企業に該当しないという、そういう基礎的な知識を欠いているために生じた誤りだと、こんな三つに区分できるだろうと理解をいたしております。
  219. 鶴岡洋

    ○鶴岡洋君 いま報告があったように、これはそちらからいただいた資料ですけれども、たとえばK電設O支店、これは資本金が四十億二千万円ですよ、それで従業員は三千十六人もいる、これを中小企業。いわゆる中小企業にやるべき仕事を大企業にやったという例、大企業に仕事をやって、そのポイントを中小企業がやったということで、こういう例がたくさんあるわけです。いま言ったK電設とか、エレベーターの話がございましたけれども、これだって八千万円、従業員は四千人もいる、こんな中小企業がどこにありますか。こういうことで、はっきりした会社を中小企業と間違えている。これは私はどうしても納得がいかないわけです。先ほど中小企業のいわゆる規定が法律で定められている、そのことで基準はお話ございましたけれども、はっきり法律で定められているにもかかわらず、こうした間違いが、いわゆる本当に初歩的な間違いが出るということは、各省ともいわゆる発注担当者の不勉強だけだと言って済まされる問題ではないと思うんです。それ以前の問題で、怠慢なのか、それとも惰性なのか、それとも発注担当者が、勘ぐれば受注者と何らかの関係があるのかどうなのか。いずれにしても、お役人は頭のいい方ばかりなのに、こういう規定がありながらこういう大きな間違いをするということは、これは私は許されないと思うんです。何で間違うのか、この辺はどういうふうに中小企業庁としては、何で間違うのか、お考えはいかがですか。
  220. 本郷英一

    説明員(本郷英一君) 私どもで承知していますところによりますと、この官公需の窓口といいますのは、全国で万の単位でございまして、あってはならないことですけれども、そこにおける担当者の交代とか等もかなりあろうかと思います。そういう過程で先生御指摘のような単純なミスというようなことが起こったり、あるいはこの規定が、特定業種等では定義がやや入り組んでいるところもございまして、その辺でついうっかりするというようなことがあったのではないかというふうに見ております。  ただ、この辺はいやしくも官公需を実際に扱っている担当の部局でございますから、毎年度閣議決定した後この契約方針というものは、それぞれ末端のこういった部局まで周知徹底しているはずなのでございまして、その辺に対するところがややはっきりしていないところがあるのかもしれません。その辺につきまして私どもさらに周知徹底、それから正確性の確保ということについて努力をしてまいりたいと考えております。
  221. 鶴岡洋

    ○鶴岡洋君 あなた、ついうっかりとか、数字の間違いだとか、これでは済まされないんだ。十四機関調べて、十四機関地方かもしれない、それから基準はないかもしれない。だけれども、十四調べて十四の中で全部あったわけですよ。恐らく、これ何十万あるかしれないけれども、調べたら相当な私は額になると思うんです。さっき言ったように十兆円ですよ。そのうちの三七・二%、ことしは。ですから、約四〇%の中小企業向けのいわゆる発注があっていいわけです。ですけれども、いまの結果を見てくると約一〇%これが狂ってきているわけです。もちろん逆もあるかもしれない。さっき言ったように、大企業にやるべきものが中小企業に来たと、大企業にやったものが中小企業にポイントされたと、こういうことですけれども、その逆も多少はあるかもしれないけれども、そういうことになると相当な金額になると私は思いますけれども、推計は大体どのぐらいになると思いますか、間違いの推計というのは。
  222. 堀江侃

    説明員(堀江侃君) 私ども調査対象の具体的な実態に即して調査した結果、ただいま先生御指摘のように二・九%の実績報告に誤差が出たということは承知をいたしておりますけれども、その率がそのまま国全体の官公需、中小企業向けの官公需実績に推計できるとは考えておりません。したがいまして、私どもから具体的な数字を申し上げるのは差し控えさせていただきたいと思います。
  223. 鶴岡洋

    ○鶴岡洋君 推計が出ないようじゃパーセントももちろん出ないだろうから、これはこれ以上お聞きしませんけれども調査したのは、そちらの言い分では出先機関だけとか、調査対象が平均していないとか、または各省庁のいわゆる平均をしていないとか、調査基準がはっきりしていない、大きいところもある、小さいところもあるし、本当の最末端の出先機関を調査したと、これが十四だから、これだから全部そうであると、こういうことは言い切れないかもしれません。だから推計が出ないと、これは私はそう言えば確かにそう思います。しかし、いずれにしても十四機関やって、十四機関で大なり小なり全部あったわけですから、まあこれを基準に本省の方も、出先機関も全部ひっくるめてと、こういうふうにはならないと思いますけれども、それじゃあならないという、そんなに大きな金が中小企業に流れているということにならないと、こういうふうに私は思うんです。これは否定もできないし、肯定もできないと思う。そうなったら全部調べるしかないと、こういうことになってくるわけです。  たとえば、先ほど言ったように、四十数億円のいわゆる発注すべき目標、そのうちの三十六億ですか、したがって、四億九千万何ぼという差が出ているわけです。これは大体この数字からいくと一一・九%になるわけです。まあこれを一〇%と計算して、仮にこれは単純計算であり、先ほど言ったように、中小企業への契約が大企業に流れていると、こういうことですけれども、その逆も多少あるかもしれないけれども、本当に単純計算計算しても、たとえば五十年度の場合は六兆二千億、そのうち中小企業向けの実績が二兆二百億、三二・六%になっています。このうちの一〇%がいわゆる中小企業向けではなかったということにすると、いわゆる中小企業が受けた実績の実績となりますか、それが二九・三%。こういう計算をしていくと、これはそれこそ大ざっぱな計算ですけれども、五十年から五十五年、六年間で約一兆六千億、こういうことになるわけです。じゃあこの一兆六千億がそんなにたくさんのいわゆる間違いがあったと、こうそちらでは言うかもしれません。言っても、それがそうではないと言う根拠もないし、そうかといって、じゃあ反対にそうであるということももちろん言えないだろうし、そうするとなると、これは全部調べなければならない、こういうことになってくるわけです。だから、これを過去にさかのぼって調べるということは、これは私は大変なことだと思うんです。いずれにしても、先ほどから言っているように、十四機関調べて十四個所全部大なり小なり出てきているということは、これは間違いないわけです。  そこで、時間がございませんので、大臣に決意をお伺いしたいんですけれども、毎年予算審議の段階では国会に対して、この官公需における中小企業向けの実績、これが報告されているわけです。これは、先ほどから言っているように、政府が目標を設定し、それがそのとおりに行われたかどうかを見る、いわゆる大変重要な数字です、報告される数字は。ところが、その数字の実態というのはいま言ったような実態なわけです。だから私は全部調べろとはこれは言いませんけれども、すなわち大企業の水増し状態にあるということは、これは重大な私は問題であると思うんです。すなわち、国会に対してでも、政府の報告が必ずしも信用できなかったということをこれは証明している、こういうことになると思うんです。この処理というか、それから責任というか、何らかの方法で、二度と再びこのような事態を起こさないように、まあ不景気のいまの状況下において、中小企業側もこれを知れば、こんなずさんなことをする行政、これに対して中小企業側も非常に不満でもあるし、許せない問題であるし、まあ国民としてもどうしても許すことができない。そういった意味で、大臣が確たる責任を持って、そしてこれをどういうふうに対処するか、この御決意をお聞かせ願いたいと思います。
  224. 安倍晋太郎

    ○国務大臣安倍晋太郎君) 毎年、官公需の中小企業向けの比率につきましては閣議で決定をいたしておりまして、私も五十七年度各省庁と御協議しまして、五十六年度よりはさらに伸ばすということで、三七・二%ということでお願いをしまして、協力を求めて決定をするわけですから、そしてこれは毎年毎年中小企業に対して受注の機会を多く与えなければならんということでふやしてきているわけですから、その成果をやっぱり上げるということがこれは目標であります。したがって、この成果が確実に上がることが必要であるし、そのために政府としても全力を尽くさなきゃならんと、こういうふうに思うわけなんで、いま御指摘がございましたようなそういう中で、行管庁の調査の結果誤りが出たと、これはその中身についてはいろいろの問題もあるとも思うわけですが、しかし、いずれにしても誤りが出たことはこれは非常に残念に私は思うわけです。ですから、せっかくきちっとした数字を出して、そしてこれを周知徹底をせしめて、中小企業の受注を高めたいということでやっておるわけですから、これが確実に実行されるように、そしてこういう誤りを今後とも起こさないように、これからひとつ御指摘を受けたような点については十分反省もしながら、さらにひとつ周知徹底を図る、そして正確性確保のための改善措置というものを講ずるように、これはもう通産省みずからもやらなきゃなりませんが、各省庁にも求めていきたいと、こういうふうに思っておるわけでございます。まあそのためには各契約の担当部署に対しまして、やっぱり今後の改善策を通達をするということも、これはもうぜひとも必要だと、こういうふうに考えておりまして、何らかの改善策というものを早急に検討して結論を出して通達をしたいと、こういうふうに思います。
  225. 鶴岡洋

    ○鶴岡洋君 大体わかりました。  いずれにしても、通産大臣の責任のもとに、これは各省庁全部にわたる点ですから、先ほど言ったように中小企業側としてはこれは大変な問題ですから、通達を出すなり、何なり、具体的にきちっと二度と再び起こさないような処置をしてもらいたい。よろしいですね。  以上で終わります。
  226. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 大臣に伺いたいと思います。  多額の債権を抱えた労働者、そして深刻な状態に置かれている下請の方々、私一昨昨日も夕張に入ってまいりましたけれども、日一日と秋は深まってまいりまして、その不安は非常に重大な、そして深刻なものになうていたわけでございます。そういう局面において、いま一つ破産という問題が盛んに言われている。私は破産などということはあってはならないものだと、そう思うわけで、先ほども大臣、山の灯は消してはならないというふうにおっしゃっておりましたけれども、いまこの際大臣として破産という問題をどういうふうに受けとめてお考えになっていらっしゃるかお伺いしたいと思います。
  227. 安倍晋太郎

    ○国務大臣安倍晋太郎君) 私はこの問題で破産というふうな最悪の事態に至ることは何としても避けなきゃならんし、あってはならないと、こういうふうに思います。そのために政府としてももちろん努力をいたさなきゃならない、こういうふうに考えて、いませっかく懸命な努力を続けておる最中であります。
  228. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 まあ当然のお答えだろうと思います。あってはならないし、あったら大変なことになる。  そこで、もう一つお伺いしたいんですけれども、だけど大澤管財人がこれはもうしようがないということで、組合が納得のいかないままに破産手続をとるというようなことは、私は不正常なやり方で好ましくないと思うんですけれども大臣はその点についてどういうふうにお考えになっていらっしゃいますか。
  229. 安倍晋太郎

    ○国務大臣安倍晋太郎君) 私どもはこの大澤管財人の提案が、現在の状況のもとでは最良の措置ではないかと、こういうふうに思うわけでございまして、この提案が実行されないと、こういうことになりますれば、やはり最悪の事態に突入をする可能性は十分あるわけでございますから、われわれとしても大津管財人の提案が何とか実行されるように、各方面に働きかけておるわけでございますし、また労働組合の皆さん方も、これからの今後山を残すというふうな立場において、この点については現状を十分認識をしていただきまして、御協力もお願いをしたいと、こういうふうに思います。
  230. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 どういうふうに山を残して再建するかということについて、十分話し合うということは当然のことだと思うんですけれども、それが労働者が納得いかないままに一方的に破産というようなことをもし大澤管財人がおとりになると、これはやっぱり好ましくないと言わざるを得ないと思うんですけれども、いかがでございますか。
  231. 安倍晋太郎

    ○国務大臣安倍晋太郎君) これはいま二十八日を一応の期限にしておったわけですけれども、これが二十四日の組合の大会で一任がとれなかったというふうなこともあって、二十八日を延ばして来月の六日ということになったわけですけれども、しかし、山を維持するといってもこれは限界があるわけですから、それ以上またどんどん延びるということになれば、必然的に破産といいますか、崩壊の状況に追い込まれるわけで、その辺を私たちは非常に心配しているわけです。
  232. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 いろいろおっしゃいましたが、好ましいとは言えないですわね、そういうやり方としては。  それじゃ、次に移りますけれども、それと同じに連鎖倒産ということで午前中も対馬議員にお答えになりました。真谷地や幌内も連鎖倒産の心配があるとおっしゃったわけですけれども、じゃ、その連鎖倒産というのはどういう関係でなっていくかというのを簡単に御説明いただきたいと思います。
  233. 弓削田英一

    説明員弓削田英一君) 先生御案内のとおり、夕張社は北炭本社、さらにいま先生お話のございました幌内社、真谷地社四社の間にきわめて連帯保証その他非常に密接な関係があるわけでございます。そういう関係から、もし北炭夕張社が破産というような事態に陥れば、保証の追求その他担保権の発動というようないろんな問題が生じまして、真谷地、幌内等の関連会社の連鎖倒産も招きかねないと、こういうことを実は申し上げたわけでございます。
  234. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 その問題については八月二十四日に、政府はいろいろ御努力いただきまして、連鎖倒産にいかないようにというふうに努力していますと国会で御答弁いただきましたし、せんだっての集中審議のときにもそういうお答えだったというふうに理解しているわけなんでございます。  そこで伺うんですけれども、法的に言えば、いまでも担保権者は取り立てに行けるわけですよね。だけど、それが取り立てに行かないで破産しないということは、通産省がいままでおっしゃってたように波及させないということで、いろいろ御努力をいただいていたというその結果だと思うんですけれども、いかがでございますか。
  235. 弓削田英一

    説明員弓削田英一君) 先生いまお話しございましたように、八月の二十一日に実は大澤管財人から事業の一部休止、全員解雇と、こういう提案があったわけでございます。その後私どもとしては直ちに金融機関、取引先等に集まっていただきまして、夕張社が大澤管財人の提案どおり実施されるということになれば、当然真・幌への波及が予想されると、こういうことで、いろいろ実はお願いをしたわけでございます。ただ、先ほども申しましたように、夕張社が破産となりますれば真・幌への債権者の追求ということを防止することが非常にむずかしくなってくる、こういうのは事実でございます。政府としては、できるだけそういうことは避けたいわけでございます。なかなか、政府の要請をもってしても阻止し得ないような事態も出てくるんじゃないか、こういうことで、先ほど連鎖倒産を招きかねない、こういうことを申し上げたわけでございます。
  236. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 いろいろその事態で問題が出てくると思うんですけれども、基本的な考え方としては、いままで波及させないというような御努力をいただいてきたわけでございます。そうすると、万々が一破産ということになっても、やっぱり引き続き山を守って、エネルギー政策の上からもということで、波及させないといういままでの努力を、破産がもし起こったとしても御努力いただきたいというのが私の考えですし、当然それはやっていただけるものだと、そう思いますが、いかがでございますか。
  237. 弓削田英一

    説明員弓削田英一君) 私どもとしては当然努力はいたすわけでございます。ただ先ほども申し上げましたように、債権者の追及を防止することは非常にむずかしくなるだろう、政府の要請をもってしても、なかなかこれを阻止し得ないような事態も出てくるんじゃないかと、こういうことで実は憂慮しているわけでございます。
  238. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 いろいろむずかしいことはわかりました。しかし、それでもなおかつ政府としての御努力をいただくということは確認させていただいて、それじゃちょっと伺いますけれども、真谷地や幌内が新鉱への債務保証をしているのは、大体額としてはどれくらいで、その内訳はどういうふうになっておりますか。
  239. 弓削田英一

    説明員弓削田英一君) ただいま資料を持ち合わせてございませんので、正確なことは申し上げかねますが、保証として三百億程度、それから担保提供も大体同額ぐらいじゃないか、こういうふうに記憶をしております。
  240. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 私もちょっと先ほど気がついてこれを入れましたので、大変失礼しました。私調べましたら、新鉱への担保保証をしているというのが三百八十億でございました。三百八十億で、そのうち政府関係、いわゆる政府系というものがどれだけありますかというと、三百四十三億でございます。その政府系の三百四十三億のうち、二百九十三億はNEDOでございます。それから開発銀行が五十億でございます。それから民間が三十五億でございます。これは三井銀行とか北炭というようなのが入っているわけです。だから、三百八十億保証しているよと言うけれども、三百四十三億はつまり政府系のお金、こうなるわけですね。つまりそうしますと、NEDOというのも政府の一つの機関だと、開発銀行も政府との関係が深いということになってみますと、そうするともしも取り立てに行くとすれば、行ったらおたくの方でそこのところを押さえると、ほかの民間が行くんじゃないんだから、そこを押さえるということは当然私はこの性格から言ってやれるべきではないか。先ほど連鎖倒産などということを大きな顔をして言われて私はもうびっくりしたんですけれども、ここで取り立てに行って連鎖倒産が起こるよということは、おたくの方がNEDOだとか、開発銀行に対して、行って取ってこいということをおっしゃらなければ、この保証というもので連鎖倒産は起きることがないというふうに言えると思うんです。その辺、どうお考えですか。
  241. 弓削田英一

    説明員弓削田英一君) ただいま先生から数字お話があったわけでございますが、私もこの辺の数字について正確なところをただいま資料を持ち合わせないので詳しい数字を申し上げることができないわけでございますが、いずれにいたしましても、三十五億というような数字お話があったわけでございますが、私どもの理解するところでは、市中も多額の保証をし、また担保をとっていると、こういうことでございますので、先ほど申しましたように、政府の要請をいたしましても、なかなか民間の銀行等の動きをとめることもできないような事態も出来するのじゃないかと、こういうことで先ほど来申し上げているところでございます。
  242. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 民間三十五億を中心にしておっしゃったけれども、さっきも言ったように、三百四十三億のうち二百九十三億、ほとんどが政府関係ですからね。だから、ここのところを押さえて、そして後民間の方はいろいろの手だてを考えていくということをなさらない限り、政府が取り立てろということで、むしろ破産ということを政府がつくり出していくという危険があるということを私は指摘したわけです。金額がどうという数字の問題ではない、考え方として政府が押さえるという形で御努力をいただきたいということでございます。  それから、万一破産になった、そして取り立てに行った、行っても財産が真谷地や幌内でどれだけとれるというふうに見越していらっしゃいますか。そんな見返りの財産というのはないですね、山を見ましても。そうすると、これを無理に強行すれば山はつぶれちゃいますね、真谷地も、幌内も。つぶれちゃって、そしてエネルギー政策上も非常な問題が起こってくるということを言わざるを得ないんですね。だから、そういうことから考えても、元も子もないです、つぶしてしまったら。だから、つぶすのではなくって、やっぱり政府関係が大きな額を持っているんだしということで、連鎖倒産ということは極力政府としてこれを波及させないということが基本の考え方でなければならないと思うのです。もうそういうおそれがございますというような無責任な態度でおっしゃってもらっては困るわけなんで、その辺のところをしっかりやっていただきたいと、確認をしたいと思います。波及をさせないということについて大臣のお考えをお願いしたいと思います。
  243. 安倍晋太郎

    ○国務大臣安倍晋太郎君) 何か破産を前提に言っておられるような感じがしてならないんですが、われわれは、破産させない、そういう事態が起こらないために努力するわけです。破産したら、これは新しい山を残すなんてできないですよ。ですから、われわれは、いま大澤管財人がこれだけ努力していただいて、あれだけの提案をしていただいて、その陰には、私たちも山を今日維持するために全力を尽くしておるわけなんで、波及させないためにも全力を尽くしておるわけです。ですから、いまの大澤管財人の提案が何とか実行されて、山も将来残っていくという姿に持っていきたいために力を尽くしているわけですから、破産を前提としていろいろと議論をするというのは、私はちょっと納得できないわけです。
  244. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 破産を前提にして論議しているのじゃなくて、破産、破産ということをおっしゃるから、けさも破産がありますというふうにおっしゃるから私が質問に取り上げたわけです。  じゃ次、時間がありません。ところで、大澤管財人は、先月の二十六日の国会集中審議のときに、資金繰りについて、九月末に四億くらいしか金がなくなる、十月以降になると炭価アップの収入もあるかもしれないが、いずれにしろ賃金、物品代というものも支払えない状態になる、そして九月いっぱいで資金ショートするというふうに発言なさいました。十月以降金は四億以外一切なくなるというその考え方は、炭を掘らないということが前提で金はないよということになるんだと思いますが、その点いかがですか。
  245. 弓削田英一

    説明員弓削田英一君) ただいま資金繰りの詳細のデータを持っておりませんので、詳しいことを申し上げることは差し控えさしていただきますが、実は先生も御案内のとおり、二十八日の閉山、全員解雇というのを、先日十月六日までに延期を実はされたわけでございますが、大澤さんといたしましては、夕張社の資金状況から見て、まあその辺が限度だと、こういうことでお決めになったというふうに私どもは承知しているところでございます。
  246. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 私の伺ったのは、そういう限度だとおっしゃるのは、炭を掘らないということの、そこから来ているんではないですかというふうに伺っているんです。その辺どういうふうに見ていらっしゃいますか。
  247. 弓削田英一

    説明員弓削田英一君) 最近の夕張新鉱の出炭状況でございますが、先生御案内のとおり、ただいまは一切り羽ということで、これが大体八百トン程度の出炭でございますし、それから露天掘りが大体一日に六百トンを若干超えるぐらいの数字でございます。そして、これの収入が大体労務債に見合うというような厳しい状態でございまして、毎月の収入が毎月の労務債の支払いにほぼ見合うと、こういうような数字でございまして、販売諸掛かりでございますとか、あるいはその請負代金でございますとか、こういうもの等かなりの額が実は赤字になっているわけでございまして、そういう状況からしまして、資金不足が出てくるというのは当然のことでございます。
  248. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 簡単に伺いますが、原料炭の炭価、いま一トン幾らになっていますか。
  249. 弓削田英一

    説明員弓削田英一君) ただいま正確な数字はございませんが、大体トン当たり二万二千円程度ぐらいじゃないかと、かように思っております。
  250. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 じゃ、北炭夕張の露頭炭、あとどれだけ掘れる炭量としてありますか。
  251. 弓削田英一

    説明員弓削田英一君) ただいま先生御案内のとおり、露頭に関しましては、長良地区と高松地域と二つの地域で実は露頭を採掘しているわけでございますが、現在残っております炭量は私ども二十八万トン程度と、こういうふうに聞いております。
  252. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 露頭炭二十八万トンと、そして現在一日約六百トンというふうにおっしゃったが、七百トンくらいのベースで掘れるのではないかと思います。仮に、そこのところは露頭だから、がんばって一千トン掘るということにいたしますと、約六億くらいは掘れるのではないかというふうに考えられるわけなんですね。二万二千とおっしゃったけれども、もうちょっと高いというふうに私は見ているんですけれどもね。大体そういうふうに掘っていけば、それだけの収入があるというふうに考えられます。それが一つです。  それから、さらに北第三ロングの、現在もう一つの切り羽があるわけですけれども、これはあとどれくらい掘れるというふうに見ていらっしゃいますか。
  253. 弓削田英一

    説明員弓削田英一君) 先生いま露頭で云々というお話がございましたが、実は露頭の採掘は、これは一般炭でございまして、先ほど申しましたような手取りはございませんので、これはそういうことで実理解をいただきたいと思います。  それから、北第三上部のロングでございますが、この切り羽につきましては、八月から採炭を実は開始をしているわけでございます。現在のところ六万トン程度の残炭量があるというふうに私ども聞いておりまして、現在の採炭実績、大体日産で八百トン程度、これは八月、九月の平均でございますが、これで稼行を今後継続してまいりますと、三カ月弱の切り羽の寿命と、こういうことに相なります。
  254. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 そうしますと、露頭炭も、大澤提案が出まして、ここでまた百万トンというのが新しく出てきておりますよね。そうすると、いままで掘っていた長良地区に続く鉱区調整希望区の炭量合わせて百万トンというふうに出てきたが、二十八万トンじゃなかったなということで、みんな非常にびっくりしたわけですけれども、そういう露頭炭というのを両方の地区で掘っていく。一つのところでがっと掘るんじゃなくて、二つに分かれている地区だから、ここのところで全力を挙げて掘っていく。そして、いまおっしゃったように北第三ロングというようなところも、これもどんどん掘っていくという形にすれば、九月いっぱい資金ショートというようなことには数字的に見てならないと私たちは計算して踏んでいるんですけれども、その辺はどういうふうにお考えになっていますか。
  255. 弓削田英一

    説明員弓削田英一君) 先ほど申し上げましたとおり、大澤さんが実は閉山時期の延期をされた、十月六日まで延期されたわけでございます。その辺が資金のもつぎりぎりの限度だと、こういうふうに私どもは理解をしているわけでございます。
  256. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 大澤さんがそういうふうに計算なすったというのではなくて、通産省としてもきちっといまの炭価で幾らだ、どれくらい掘れるというふうな計算をやっていただきたいと思うんですわ。私の方も、大ざっぱに計算すれば、ここのところで一カ月九億くらいは出てくるんではないかと。そうすると、賃金分というものはこれで出していけるというふうに見ているわけなんですよね。  だから、その辺のところをまた詰めて御検討お願いしなければならないんですけれども、次の問題として西第四ロングです。西第四ロングは掘進を続けてきましたね、ずっと。そして、すでに着炭できる状態にまで来ておりました。これは事実ですね。しかし、八月二十一日に大澤提案が出されてから、これは完全にストップしたままになっているわけなんです。なぜ採炭できないのか。大澤氏が施業案を出さないから、だからこれは採炭手続がなされていないからできない。私、札幌通産局並びに鉱山保安監督局に出向いて聞いてきたわけですけれども、別にここのところは、ガスだとか何とかという障害があるわけではない。施業案が大澤さんから通産省の方に出されていないから、だから、せっかく着炭までいっている第四ロングの炭も掘れないんだ、掘ることができないんだということをおっしゃっていたんです。  だから、私はやっぱり、どうやって炭を掘り出して、それで再建していくかということから考えれば、この第四ロングの採炭の施業案というものが、通常のような形で通産省に出されるならば、通産省としてはこれを許可なさると思うんですけれども、その辺のところはいかがでございますか。
  257. 弓削田英一

    説明員弓削田英一君) ただいまの切り羽の問題でございますが、実はこの採掘予定区域につきましては、保安上著しく支障がある、かつまた採算に合わない、こういうことで掘進準備その他を中止したものと、こういうふうに私ども聞いております。
  258. 竹田四郎

    委員長竹田四郎君) 小笠原君、時間が来ております。
  259. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 事実はそうじゃない、聞いてきたわけですけれども。確かに保安上チェックするというのは必要なことですよ。だから、それは私はしちゃいけないと言っているんじゃない。しかし、ここのところ、着炭まで、西第三ロング、第四ロング行っていて、それでいまになって掘れなくなったというのは、問題は施業案が出ていないんだと。施業案出されて、そして掘る。その中で保安ということは当然チェックしていかなければならない。これが筋だと思う。どこでも採炭するときはそうなっているわけですからね。そうすると、やっぱり保安上これは無理だからというのではなくて、施業案が出た段階で、そして採炭する中で保安というものは当然チェックしていただく。だから、施業案が出されるという形になれば、それは許可するということが当然だというふうに私は思うわけなんです。保安上許可しないというのはちょっとごまかしだと思うんですがね。
  260. 弓削田英一

    説明員弓削田英一君) 私ども実はこの問題につきまして、札幌通産局からも事情を聞いたところでございまして、保安上問題が非常に多い地域である、こういうことを私ども聞いているところでございます。
  261. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 いままで私が申しましたのは、一つの問題として、そのほかに原料炭の単価アップというのが入るわけですね、四月にさかのぼって十月になりますと。そうすると昨年度でいきますと千百八十円ですよ、単価アップ分というのが。そうすると、四月から八月まで私は計算をしたんですけれども、そうすると出炭量三十万トンということになりますから、三億六千万円収入ということになるわけですよ。これは簡単なものですよ。そうすると、どう考えても、賃金すべて払えないと、いま切っちゃわなきゃならないという理由にはならないということを私は言わざるを得ないわけなんですね。だから、新会社がどうなるかわからない。そしてあとどういうふうになるかわからない。何にもわからない中で、労務債も何ぼもらえるんだか、それも具体的にはわからない中で、閉山、全員解雇ということだけが先行しているということは、これ非常に大きな問題だと言わざるを得ないわけなんです。  私たちが全員解雇とか閉山というものに反対しておりますのは。
  262. 竹田四郎

    委員長竹田四郎君) 早く結論急いでください。
  263. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 はい。残った炭をこのまま放棄してしまうというようなことがあってはならないと、そう思うわけですよね。つまり、残っている貴重な原料炭を放棄してしまう、そして雇用の場をなくしてしまうということは許されてはならないと思うわけなんです。大澤さんの案によっても、百二十億というものがあれば、そうすると北部へつないでいけるというふうにおっしゃっているわけですから、だからその百二十億をどうやって生み出していくかということについては、北部の開発期間六年間かけるというのを早めていただいて、そして四年にするということになれば、それだけ費用も二年分短縮できて、早く炭を掘って売ることができるということになるわけですよね。つまり、確かに夕張の新鉱というのは重症です、人間にたとえれば。重症だけれども、まだ死んでないんですよ。だから、この重症の炭鉱に向かってこれを殺して葬式代を考えている。これを閉山にしてしまえば交付金だの、それから失業手当だの、それから黒い手帳、賃確法なんかで約百億ですよ、政府が出さなければならないお金は。そうすると、生きている山、重症だけれども、これを殺すのに百億使うんじゃなくって、これを生かすためにこそ百億のお金は前向きに使ってもらいたい。そして、金がかかるというその百二十億の資金についても、ここで知恵を出してもらわなければならないと思うんです。そういう努力なくて、大澤さんの案でいくと閉山しかございませんというようなことでは、全く政府としての姿勢が私は問われる問題だと、そう思うわけなんですね。だから、その辺について私の考え方をはっきり申し上げたいと思います。
  264. 竹田四郎

    委員長竹田四郎君) 五分以上経過しております。
  265. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 はい。閉山になった場合に、交付金をもらう。そうすると、その鉱区は消滅しますね。その消滅した鉱区をまた掘るということができるのかどうかということだけ伺いたいと思います。
  266. 弓削田英一

    説明員弓削田英一君) ただいま消滅鉱区で採掘が可能かどうか、こういう御質問でございますが、御案内のとおり非能率炭鉱の整備ということで、閉山交付金制度が実はあるわけでございまして、この交付の対象になりました消滅鉱区につきましては、非能率炭鉱の再発生を防止すると、こういうふうな必要性から、以後採掘権の設定は認めないということになっておりまして、この区域において石炭の採掘を行うことは原則として認められない、こういうことでございます。  しかし、その採掘権の鉱区にかかる鉱床と、当該鉱区の周辺の採掘鉱区にかかる鉱床とを一体的に開発することが鉱床の位置形状からして合理的である、こういうふうに認められる場合におきまして、当該周辺の採掘鉱区の採掘権者であって、鉱床の一体的な開発に関する適切な計画を有し、かつまた当該計画を適確に遂行するに足りる経理的な基礎と申しますか、また技術的な能力を有する場合につきましては、採掘権の設定が認められ、石炭の採掘が可能になると、こういう規定が合理化法に実はあるわけでございます。
  267. 森田重郎

    ○森田重郎君 私は、最近の新聞論調を拝見しておりまして、ごく最近の各紙の論調の中から、若干私見を交えながら二、三の点につきまして質問をさせていただきたいと思います。  これはけさの日本経済新聞さんでございますが、「ガット閣僚会議日米共同歩調で合意」と、こういう大きな記事がございます。これは大体緊急輸入制限、セーフガードの問題が中心でございましょうが、言うなればガット事務局案を支持、こういうようなことが載っております。  今回、通産大臣アメリカにいらっしゃることになったというふうに伺っておりますが、この訪米の目的でございますが、これはいま申し上げたガット閣僚会議の開催につきまして、言うなれば、その成功をねらっておりますアメリカとの事前協議、こういうようなことであるとか、これまた最近新聞紙上で大変いろいろと取りざたされております日米の貿易摩擦の問題であるとか、その鎮静化のためとか、いろいろ言われておりますが、大臣が訪米されます目的、言うなれば中心課題は実は何であるのか、その辺をお伺い申し上げたいと、かように思います。
  268. 安倍晋太郎

    ○国務大臣安倍晋太郎君) 現在、世界景気が非常に停滞をしております。これを背景にして貿易摩擦が頻発をしておるわけで、こうした状況の中にあって、日米の通商関係は、御承知のように五月の二十八日の第二弾の市場開放対策実施以来、比較的良好に推移をいたしております。しかし、通商関係の背景にある経済状況はむしろ悪くなっておる。さらに、米国経済は依然として低迷をいたしておるわけでございまして、そういうことで、十一月に中間選挙があるわけですが、米議会の中では御承知のようなローカルコンテンツ法案の審議も進んでおる、また保護主義的な色彩が議会の中で強くなっておる、こういうことがはっきり言えるわけですが、こうした状況の中で、アメリカの政府がローカルコンテンツ法に反対、さらにガット体制を中心とする自由貿易体制維持、強化を貫こうと、こういうことで努力をいたしておるわけでございます。私はそういう状況の中で、まず訪米をして、ガットの閣僚会議を成功させるために、アメリカもいま努力を続けるし、日本も今後とも全力を尽くしたいということで、お互いにガット閣僚会議、これは自由貿易体制のいわばとりでですから、これを守るための閣僚会議を成功させるためにも、お互いに意見の交換をして、一致を見たいと思うわけでございます。  同時にまた、日本の第二弾の実施以来、たしか日本には多少は風当たりは弱くなっておりますが、しかしアメリカの経済が悪いものですから、またそろそろ日本に対しての風当たりが強くなりそうな気配もありますし、また第二弾の実施が不十分である、こういう指摘がずいぶんあるわけですから、私は今回の訪米によりまして、日本が第二弾の実施をこういうふうにきちっとやっておる、いわゆるフォローアップの問題について、十分意見の交換をして、いたずらにアメリカの日本に対する誤解が今後起こって、再び日米の貿易摩擦が拡大をする、こういうことのないように、十分話し合いをし、理解を進めたい、こういうことであります。  一つはガット閣僚会議を成功させるため、もう一つは日本市場開放対策のフォローアップについて意見の交換をする、こういうのが目的であります。
  269. 森田重郎

    ○森田重郎君 大臣の御答弁は御答弁なりによくわかるんでございます。しかし、一方考えてみますと、まさに日米間ともに言うなれば政治の季節に入ったというような感じがしないではない。レーガン政権の大統領選中間選挙というふうなものを向こうでは控えておる。こちらはこちらで自民党さんは総裁公選の問題を控えておられる。そういうような中で、特に何と申しましょうか、感ぜられることなんでございますけれども、いまのガット閣僚会議ではわが国の協力をあえて求める、そのこと自体はわかるんですが、一方これはけさの読売ですが、「市場開放米「たばこ」で揺さぶり」、これは逆にガット提訴云々というふうな見出しまでついておるわけでございます。同時にまた、農産物につきましても、六品目の問題もございましょうし、あるいはまた牛肉の問題、オレンジの問題、こういう問題もときにガット提訴の公算が云々というふうな記事まで実は出ておる。その辺がどうも、こちらの面では協力をしなさい、しかしこういう問題もあるんだぞというようなことで、今回の訪米につきましては大臣非常に御苦労も多いかと思うんですが、その辺に真のアメリカの姿勢というふうなものをどんなふうに御理解なさっておられるか、御所見を伺いたいと思います。
  270. 安倍晋太郎

    ○国務大臣安倍晋太郎君) 今回参りまして、アメリカ政府のやはり日本に対する考え方、いろいろと第二弾の発表以来変化もしておるわけですから、そういう考え方について、私も十分探ってまいりたいという気持ちもあるわけなんです。恐らくアメリカ政府としても、日本と同じように自由貿易体制を守るということについては、同じような考え方を持っておるんじゃないか、こういうふうに思うわけですが、しかし、日本市場開放がまだ十分でないというふうなことも言っておるわけですし、また一面においては、議会においても相互主義法案であるとか、ローカルコンテンツ法であるとか、そうした保護主義的な法律の審議が進んでおる、こういうふうな状況にあるものですから、そういうところにもアメリカ政府の真意というものを私も探りたいと思います。  同時に、農産物の問題、それからたばこの問題については、これはもう一応方向が決まっておるわけなんで、農産物についてはもうこれは十月二十日以後に農産物交渉が行われるわけで、これはその経過を見る以外にはない。レールが敷かれておるわけですから、その上に乗ってやっていただく以外にないですし、たばこについても、小売店の拡大等については合意を見ておるわけでございますが、その他の問題については、スタディグループなんかつくろうということで、これも一つのレールが敷かれているわけですから、これはこれなりに交渉をしていけばいいことじゃないか、こういうふうに思うわけですが、全体的にアメリカ経済全体の問題、あるいはアメリカの日本に対する考え方、特に貿易を通じての考え方、それから議会の動きへそういうふうなものをやっぱりしっかり見きわめて、これから日本とアメリカとの関係をさらに深めていくということは必要じゃないか、私はそういうふうに思っておるわけであります。
  271. 森田重郎

    ○森田重郎君 いま大臣からお話の出ましたローカルコンテンツ法案ですか、これがすでにアメリカの下院の商工委員会ですか、ここで可決されたというような話も新聞紙上で実は承知したわけでございますが、これもし両院を通過したというような形になった場合には、日本の自動車産業あたりはどんなふうになるか、その辺の大臣のお見通しをお聞かせいただきたい。
  272. 安倍晋太郎

    ○国務大臣安倍晋太郎君) いまのローカルコンテンツ法がいまは恐らく下院は通りそうな状況にあるわけですが、上院がどういうふうになるかわかりません。政府は反対だということを言っておりますので、私は最終的にことし通ることはない、こういうふうに判断はしておりますが、しかし、状況の変化でこれ通るというふうなことが仮にもあったとするならば、日本のこれは自動車産業はまさに壊滅的な影響が出てくる。たとえば、あのローカルコンテンツ法を見ると、七割はアメリカの自動車の部品を使わなきゃならんという義務づけになるわけですから、そんな形で義務づけられた日本の車の輸出なんということは、これは考えられないわけですから、ほとんどそういう意味で、そのまま実行されるというふうなことになりましたら、これは大変なことになるし、これは極端な保護主義的な法案である、こういうふうに断ぜざるを得ないわけであります。
  273. 森田重郎

    ○森田重郎君 そこで、前段の問題にもちょっと関係してくるんですが、恐らくはこれはレーガン政権としても、この法案は恐らくレーガンさん政治生命を張っても廃案に追い込むというふうに私どももある程度そんな理解をしておるわけでございますが、それと、先ほど農産物については基本的な大体線が敷かれておるというような御発言がございましたけれども、それとこの農産物との絡みの問題、そういう観点から一応の路線は敷かれておっても、なおかつこの上いろいろな問題が出てくるのじゃないかというような感じが私なりにしないではないんですが、いかがでしょうか。
  274. 安倍晋太郎

    ○国務大臣安倍晋太郎君) 実は、アメリカの方は絡めてくるということもこれはいままでのことから見て考えられないこともないんですが、日本の立場においては、これは絡ませることは一切できないわけなんで、また、農産物については、農産物交渉ということで、ここで話をするということが決まっておるわけで、基本的な方向が決まっておるというわけじゃなくて、いわゆる交渉をやるということ自体がはっきり決まっているわけですから、私は農産物は農産物の問題として、そこで単純にやるべきことであって、これをほかの問題に絡ませるということは、これはもうわれわれとしてはこれを認めるわけにはいかないわけなんです。
  275. 森田重郎

    ○森田重郎君 時間が余りございませんので、たまたま中小企業対策、中小企業の問題につきましては、先ほど来から柄谷委員、それからまた鶴岡委員の方からいろいろな角度からすでに御質問があって、それに対する御答弁もちょうだいいたしておりますが、鶴岡委員の質問に関連するような意味で、これは質疑通告してございませんけれども、多少何といいましょうか、細かい問題になってくるかと思うんですが、これは通産当局——中小企業庁でも結構でございますが、ちょっと御意見を伺っておきたいんですが、こういう問題はどんなふうにわれわれ受けとめたらよろしいのか、何かお考えがあればお聞かせをいただきたいと思うんです。  先ほど来この中小企業の定義、ディフィニッションというふうな問題について、法律で規定されておるというようなお話でございましたね。製造業にすれば資本金一億であるとか、小売業あるいはサービス業では資本金一千万とか、従業員五十人とか、あと個人とか。これは仮に大企業が一〇〇%出資して、その株式保有を全部大企業が持つ。大きな企業の、言うなれば課長さんであるとか、部長さんであるとか、そういう方が仮に社長、役員を兼務する。ですから、言うなれば大企業の別働隊のような形の法人ですね、こういうような問題についてどんなふうなお考えを持っておられるか、ちょっと御意見がございましたらひとつ。
  276. 宇田川治宣

    説明員宇田川治宣君) お答えいたします。  ただいまの先生の御質問は、いわゆる大企業のダミーである中小企業をどういうふうに概念するかということかと思いますが、一般的な中小企業の定義の中には、先生がいま御指摘になりました大企業が一〇〇%出資し、あるいは役員も出向している、そういう中小企業の場合にあっても、一般的には中小企業という範囲内で考えをいたしまして、中小企業施策の体系の中に一応組み入れているというのが実情でございますが、ただ内容によりましては、そういうような扱いをするということは必ずしも適当でないというような内容のものがございます。たとえばいわゆる分野調整法、中小企業が比較的市場の中で範囲を占めておりまして、そこに大企業が進出してくる、それによって既存の中小企業の分野が侵されるというようなものにつきましては、先生の御指摘のようなダミーをそのまま中小企業というふうに概念してしまいますと、分野調整考え方が十分徹底した処理ができないということで、分野調整法におきましては、資本金及び役員の派遣のいずれにつきましても、半数以上が大企業から出ていくという場合には、これも大企業の一形態ということでつかまえまして、中小企業とは概念しないということになっております。
  277. 森田重郎

    ○森田重郎君 わかりました。  先ほど来の御答弁を伺っておりまして、税法面からいきますと、仮にその同族会社とか、あるいは同族のどうとか、そういうようなことで、大分その辺がはっきりしていないような気がするんですけれども、ただいまのような御説明の中では、何かその辺ちょっと私どもお話を伺っておりまして、若干どうかなというふうな気持ちがあったもんですから、参考までにお伺いしたわけなんです。  それから、経企庁長官にお伺いしたいのですが、実はこれも先ほど来いろいろ景気対策の問題で御答弁をちょうだいいたしておりますが、中小企業の問題に絡めて若干お伺いしたいんでございますが、この政府系金融機関の中小企業金融公庫、商工中金とか、あるいはまた国民金融公庫とか、この辺の融資枠が拡大されるというようなことの中で、ある意味ではこれが中小企業の投資拡大につながるというようなことをいろいろ言われておりますけれども、反面では金利問題につきましては、これは民間金利もそうでございましょうが、逆に中小企業金融公庫あたりで、あれはたしか〇・二四%ですか、それから一般民間金融機関でも信託銀行〇・三%とか、その辺が多少アップするような、そんなことも承知しておるわけでございますけれども、その辺がどうもちょっと中小企業の投資減税というようなことの中で、これから大きく中小企業の発展、伸展させるというような姿勢と若干乖離しているような面がないではないというような感じがいたしますが、その辺経企庁長官あたりどんなお考えを持っておられるか、一言。
  278. 河本敏夫

    ○国務大臣河本敏夫君) 日本では中小企業が果たしております役割りは大変大きいと思うんです。しかも、いま相当困難な状態になっておりますので、やはり私はこの際は、金融政策と税制を相当強力に進める必要があろう、こう思っておりますが、具体的なことにつきましては、通産省の方でそういう趣旨のもとにいろいろ進めていただいておりますので、数字につきましては、私はむしろ通産省から御答弁がある方がいいのではないか、こう思います。
  279. 森田重郎

    ○森田重郎君 通産省の方からそれじゃ御答弁ちょうだいします。
  280. 篠島義明

    説明員(篠島義明君) 中小企業の設備投資、これは非常に冷え込んでおるということで、われわれも心配しておりますが、そういうことで、先回長期のプライムレートを〇・五%ばかり引き上げられたわけですが、中小企業の金融機関の中で、中小公庫、それから国民金融公庫、これについては現在の八・二%の基準金利をそのまま年内据え置くということで対処しております。来年の一月一日以降、これは〇・二%上げるという予定になっておりますが、こういう現状でございますので、先生御指摘のような御趣旨で、われわれとしても中小企業向け、特に設備投資金融については、金利面でできるだけの配慮をしていきたいというふうに考えております。
  281. 森田重郎

    ○森田重郎君 経企庁長官にまた同じような質問になるかと思いますが、減税問題につきましてお伺い申し上げたいわけでございます。  先ほど来の御答弁の中でも、臨調答申を踏まえて、直間比率の是正、見直しというふうなことも実は一つの課題として取り上げていきたいというような意味の御発言がございました。五項目ほどの問題とは別に、減税問題についても何がしかのお考えがあるというふうなことを伺ったわけでございますが、やはり減税ということになりますれば、どうしてもそれだけの財源がショートしてくるということになるし、一方、直間比率の見直しということになりますと、これはまたそれがやはり増税にもつながってくるというような感じがするわけなんでございますが、その辺を長官、基本的にどんなふうにお考えになっておられるのか、お考えがございましたら、ひとつお聞かせいただきたい、かように思います。
  282. 河本敏夫

    ○国務大臣河本敏夫君) 御案内のように、この春、衆議院の予算委員会がストップいたしまして、その際、議長から実質上のあっせんが出まして、予算が通った後、衆議院の大蔵委員会でいろいろこの問題について議論が続いておるんですが、政府の方はこの大蔵委員会での結論が出れば、これを尊重しますということを言っておるわけです。ところが、なかなか結論が出てこない。たまたま七月の臨調答申で御承知のような答申が出ておりまして、直間比率を見直せと、こういうことは結局その過程において、かねて懸案の所得税の減税のけりをつけなさいと、こういうことだと私は理解をいたしております。政府が臨調答申を尊重するということであれば、やはり全部を尊重するということでなければならんと、私はこう思っておるんです。  そこで、せっかく六カ月間も大蔵委員会で議論をされたわけでありますから、この臨調答申を踏まえて、適当なところで大蔵委員会でも何らかのやはり結論を出すようにしてもらいたいと、私はかねてそういう考え方を持っておりますので、その趣旨のことを機会あるたびに言い続けておるのでございまして、具体的な中身につきましては、それぞれ専門の立場の方々が議論をしていただいておりますので、私は考えがないことはございませんが、これはせっかく議論が続いておるわけでございますから、私はもう少しその経過を待ちたいと、このように思っております。
  283. 森田重郎

    ○森田重郎君 最後に長官に一問だけお伺い申し上げたいわけでございますが、これは自民党さんの、長らく大蔵省におられた経理、主計局長までお務めになったような議員さんがいらっしゃるわけですが、そういう方々の御意見あたりをちょっと私ども伺ってみても、こういうことをおっしゃる向きがあるんですね。たとえば、五十九年度赤字国債脱却というような考え方は、もうそれはとうてい考えてみても実現不可能だと、そういう実現不可能な旗印は、この際おろした方がよかろうじゃないかというふうなことを言われる方も実はあるわけなんです、これは私直接伺ったことでございます。私ども考えましても、先般実は当委員会におきまして質問をいたしました折に、大蔵大臣は五十六年度が最終的にはいろんなやりくりをやって二兆五千億ぐらいの赤字になる。五十七年度が、これが五兆、六兆といわれておる。五十八年度もときに十兆円というような数字まで結局云々されておるということになりますと、国の予算五十兆ということになりますと、五十五、五十六、五十七三カ年間で、年間予算の大体もう三分の一というような膨大な赤字が予想されるというような事態、まさにこれは財政の非常事態ということだろうと思うんですね。そういうような意味で若干の御質問をさせていただきました折に、大臣がこのような答弁をなさったわけでございますね。いろいろ努力をしてみると、とにかくできるだけのことはやってみると、しかし、どうにもならん場合には、国民の皆様によくその辺の事情を御説明申し上げて、増税ということもあり得るという意味の御答弁をなさっておるわけでございます。  私ども考えますのに、たとえば決算調整資金の取り崩しをするとか。
  284. 竹田四郎

    委員長竹田四郎君) 森田君、時間が来ておりますから、結論を急いでください。
  285. 森田重郎

    ○森田重郎君 国債整理基金の一・六%、これを停止するとか、補助貨幣回収準備金を取り崩すと、こういうようなことをいかにやってみましても、いま申し上げているような膨大な赤字の中では、まさに小手先の策にすぎないんじゃないかというような、そういう考え方の中で、たとえばいまの五十九年度赤字国債脱却というふうな問題を、どんなふうに経企庁長官としてお考えになっておられるかお願いを申し上げたい。
  286. 河本敏夫

    ○国務大臣河本敏夫君) 昭和五十五年度の税収は、年度当初ベースでどれだけの自然増収があったかと言いますと、約五兆の自然増収があったわけであります。それが五十六年度以降、財政力が弱くなりまして、現在のところは大体一兆円見当の自然増収しかない。そこでいまおっしゃったように、五十七年度も一兆ぐらいな自然増収であれば、六兆見当不足するのではないかと、こういうお話でございます。それから五十八年度は、この春大蔵省が財政中期展望で出してまいりました。それによりますと、四十一兆という税収を想定しておりますから、それからいくと十兆という計算になりますが、しかし、この四十一兆という税収は、これは相当含みのある税収でありまして、必ずしもそれだけなくても、私は十分予算編成ができると思うんですが、それはそれといたしまして、行政改革による節約は当然やらなければならんと思いますけれども、しかし一方で税の自然増収が五兆から一兆に落ち込んでしまったと、こういう状態では、なかなか再建はむずかしいと思います。大蔵省が出しました中期展望見ましても、毎年四、五兆の税の自然増収があるという前提に立っていろんな計画が進められておるわけでありますから、私はやはりこの五十五年度見当の税の自然増収が確保できるような、そういう財政力に持っていくということが何よりも肝心だろうとこう思っております。  経済にいたしましても、金融にいたしましても、こういう激動期でございますから、これを固定的にやはり考えないで、いまなぜこんなに悪くなっておるのかということは、やはり世界が五十年ぶりの最悪の状態になっておるから、こういう結果になっておるんだと思いますが、そういうような中におきまして、どうすれば経済の活力を回復することができるか、それを通じて財政力を拡大することができるかということについて、十分対策を立てていくということであれば、おのずから道は開けていくのではなかろうかとこのように考えております。
  287. 中山千夏

    ○中山千夏君 最初にまず経済企画庁長官にお尋ねいたします。  経済見通しについてほんの少し、時間もありませんし、私こちらの方面は非常に知識が少ないものですから、ごく簡単な大ざっぱな質問になると思いますけれども、お答えください。経済見通しの五十六年度、政府は国民総支出について大変高い数字を出しました。そして、ほかの民間の主要機関と比べても、これは高い数字でして、その結果としては、現実にはそこまでは伸びなかったと、素人考えですとそうすると、その次の年にはちょっと抑えるのかなというような気がするんですけれども、五十七年度についても、やはりほかの民間の主要機関に比べても、かなり高い数字が出てきている、これはどうしてこういうことになるんでしょうか。
  288. 河本敏夫

    ○国務大臣河本敏夫君) 五十六年度のGNPの規模を私どもは二百五十五兆ぐらいになるであろうと考えておりました。ところが結果は二百五十一兆ぐらいの規模になりました。約四兆ばかり落ち込んでおりますが、それが結局四・八%と想定をしておりました成長が、二・八%になったと、こういうことでございます。それにはいろいろの理由があったわけでありますが、しからば、五十七年度はなぜ五十六年度が二・八%という低い実績であるのに、高い目標を掲げておるのか、こういう御質問だと思うんですが、経済は非常に激しく動いておりまして、たとえばアメリカの経済なんかを見ましても、昭和五十一年から五十三年までは五%成長が続いておるわけですね。五十四年に三%台になりまして、五十五年、五十六年、五十七年と、いまこの三カ年は非常に落ち込んでおると、しかし、それじゃアメリカの経済がもうゼロ成長の力しかなくなったかと言いますと、私どもはそう考えておりません。やはりアメリカ経済は五%ぐらいの成長する力を依然として持っておると、こう思うんです。ただしかし、いまいろんな悪い事情が重なっておりますから、そこまではいっておりませんが、しかし来年の見通しとしましては、政府も、それから議会も四・四、五%の成長は可能である、それぐらいになるであろうと、こう言っております。だから、経済は非常に激しく動いておりますので、ある年は五%成長ができても、ある年はゼロになる、しかしまた条件が整ってくると再び五%成長に回復する、こういうことでありまして、一たん落ち込めば永久に落ち込む、こういうことではありませんし、また、そういうことになりますと、これは失業者がふえますし、税収も入ってきませんし、それ以外にいろんな摩擦が起こってまいりますので、そこでやはり私どもといたしましては、安定成長路線にできるだけ早く日本経済が定着するように、世界全体の動きを見ながら、いろいろ工夫をし努力をしておる、こういうことでございます。  それで、ことし設定いたしました五・二%成長というのもほっておいてもできる、こういうものではございませんで、やはりある程度政策努力を加えながら工夫をしていけば、五・二%成長はできる成長目標である、こういう前提のもとにこの目標を設定をしておるということでございます。
  289. 中山千夏

    ○中山千夏君 いまお話の中に目標とか、それから努力とかという言葉が出てきましたし、それから、ある新聞で、長官が各種機関の予測に目を通して、民間は気楽でいいなと苦笑いをなすったというのも読みまして、やはり民間の機関との数字との間に大分差が出てくるというのは、政府の見通しの場合には、ただ予想すればいいということじゃなくて、目標努力というような要素が入ってくるので、民間とは違った数字、ちょっと高目の数字が出てくるのかなと思うんですが、そうなんでしょうか。
  290. 河本敏夫

    ○国務大臣河本敏夫君) ことしの成長目標を設定いたします場合に、事務当局、専門家の間でいろいろ計算をしてもらいましたときに、その当時——昨年の秋の当時の条件では、ほっておけば三・八%成長ぐらいになるであろう、こういう見通しを出してまいりました。しかしその場合に、それじゃ日本の抱えております幾つかの課題は解決できるかと問いかけますと、それはできないと。たとえば税収は落ち込んでしまう、失業者はふえる、それから貿易摩擦は拡大をする、それではわが国は大変困った状態になりますので、そこで、ある程度の努力目標を加えたときに、どこまで成長が可能であるか、努力目標といいましても、これは不可能な努力はできませんから、可能な努力、こういう意味でありますが、その場合に、五・二%成長ぐらいはある程度の努力をすることによって可能でしょうと、そこまで成長すれば、これは大体安定成長路線でありますから、雇用の問題も解決をする、それから税収の問題もある程度確保できる、貿易摩擦もある程度解消する、そういう見通しが出てまいりましたので、それで政府の方といたしましては、年度間にある程度の追加政策を考える、そういう前提のもとに五・二%成長というものを設定したわけであります。いま追加政策を相談をしておるというところでございます。
  291. 中山千夏

    ○中山千夏君 これは外れたときのことなんですけれども、大体五十六年度外れた、五十七年度もどうも見通しどおりにはいきそうもないというようなことが言われています。それで、大体その見通しが外れてどうも予算がうまく運用できなかったというときに、大蔵大臣なんかは大分責められまして、そして、進退伺いまで出されたというようなことを聞いています。大蔵大臣のところにずいぶんみんなも文句を言いますし、非難が集中する。だけど経済の見通しを立てた経済企画庁にあんまり文句を言うというのを見ないような気がしますし、それから、長官御自身も渡辺大蔵大臣みたいにはあわてていらっしゃらないようにお見受けするんですけれども、これはどういうことなんでしょうか。  それと、もしその見通しが外れたという場合に、結果として、経企庁はそんなに責任をとらなくてもいいという機関であるということであるとしますと、どういうときに経企庁というのはどういうことについて責任を問われる、あるいは持たなきゃならないということになるのかなという疑問があるんですが、それはいかがでしょう。
  292. 河本敏夫

    ○国務大臣河本敏夫君) いま政府部内で相談をしておりますのは、当初政府が立てました成長目標を達成するために、最終需要幾らぐらい足りないか、まずこういう計算をします。その足りない最終需要を追加するような、そういう政策がやれれば目標の成長は達成できるわけであります。だから、これは政策選択の問題でありまして、それをやるかやらんかというだけのことでございます。当初の成長目標まで達しなくてもよろしいということであれば、最終需要の追加をそんなにしなくてもよろしいし、最終需要の追加をある程度やって、成長目標を達成しようということであれば、それはできるわけであります。したがいまして、これは政策選択の問題である、このように思っております。もっとも、いま経済見通しがある程度狂ってまいりました背景には、世界景気回復のおくれということがございます。御案内のように、いま世界経済は五十年ぶりの最悪の状態である、こういう状態になっております。私どももことしの後半から世界経済は回復するのではなかろうか、このように思っておりましたが、ただいまのところいろんな権威ある国際機関の見通しなどから判断をいたしまして、およそ半年ぐらいおくれそうだと、こういうことになっておりまして、こういう点も経済政策をむずかしくしておりますけれども、しかし、先ほど申し上げましたように、基本的には必要な最終需要の追加をすれば成長は達成できると、こういうことでございます。
  293. 中山千夏

    ○中山千夏君 時間がございませんので、次の問題に移りたいと思います。  次に、原発の広報関係費についてお伺いしたいと思います。広報関係予算の中で、通産省資源エネルギー庁電源立地関係広報というのがありますね。この数字見ましたら、五十四年から五十五年の決算の間というのがかなり著しく、二・九倍ぐらいにふえているんですね。これはどういう理由でこの年の間がこうやたらにふえたんでしょうか。
  294. 小松国男

    説明員小松国男君) 原子力についての広報予算につきましては、逐年増加しているわけでございますけれども、特に、先生御指摘の五十四年から五十五年度にかけて、広報予算が急速に増加しているのであります。その原因でございますけれども、逐年増加している中で、私どもとしては原子力の立地、これは石油代替エネルギー開発導入という観点から見ますと、いま原子力が本命でございますので、原子力の立地をできるだけ円滑に促進する、こういう観点から原子力についての安全性の強化を図ると同時に、原子力がいかに安全であるか、これを国民に御理解いただく、こういう観点で、いろいろの広報活動をやっているわけですが、特に、五十四年から五十五年にふえました理由は、一つは、第二次石油危機を経まして、原子力発電の重要性がますます高まった。それから立地の推進につきましても、これを加速しなくちゃいかん、こういう中で、できるだけ国民の御理解を得るためには広報予算を増加する必要があるという点が一つございます。  それからもう一つは、ちょうど五十四年の三月にアメリカのスリーマイルアイランドで原子力発電についての事故が起こりまして、これが日本の事故ではございませんけれども、原子力発電全般に対する不安感を一般の国民に与えた。この不安感をどうやって解消していくかという問題でございますが、一つは、当然原子力についての安全を十分確保することでございますが、同時に、きめ細かい対策を講じて、皆さんに日本の原子力発電所の現状、それからそれがいかに安全であるかということを理解いただく必要があります。そのためには、国が広報活動をやることはもちろんでございますが、都道府県、さらには地元の市町村においてもきめ細かい広報活動をやっていただく必要がある、こういうことで、五十四年度までは都道府県に対して、たとえば、こういう広報活動のための対策交付金というものを国が交付しておったのですが、五十五年度からはこれを市町村段階にまで広げまして、相当思い切った交付金の拡充を図っておるわけであります。それと同時に、原子力の安全についてのいろいろの広報をするための、たとえばパンフレットとか、映画とか、ビデオとか、こういうものにつきましても、その素材の作成について、できるだけ幅広い角度からいろいろの素材をつくって、これを広報関係者に提供する、こういうことで、この年度は特に予算が増大したわけでございます。
  295. 中山千夏

    ○中山千夏君 それが、五十四年度は四億四千八百万ですか、それが十二億八千五百万になった理由だというわけですね。  それから科学技術庁にちょっとお伺いいたしますけれども、広報・安全等対策交付金というのがございますね、これがやはり五十四年の二千七百万、それから五十五年の一億一千二百万ですか、ここで約四・五倍というふうにふえている、これはどういう理由なんでしょう。
  296. 加藤康宏

    説明員(加藤康宏君) 科学技術庁分に関します昭和五十四年度から五十五年度への増加分につまきましても、ただいま通商産業省から御説明がありましたとおり、従来科学技術庁所管の原子力関係施訴のあります県のみに交付していたものを、立地があります市町村段階にまで拡大したということでございます。
  297. 中山千夏

    ○中山千夏君 それでは総理府広報室の方にお尋ねいたしますが、やはり原子力関係の広報費、これは五十五年から五十六年ですね、五十五年一億四百万、五十六年三億四千八百万と約三・三倍にふえたわけですが、ここはどういう理由だったんでしょう。
  298. 紀嘉一郎

    説明員(紀嘉一郎君) お答え申し上げます。  おっしゃいますように、昭和五十四年度が一億三百万、昭和五十五年度が一億四百万、それから昭和五十六年度が三億四千八百万円でございますが、昭和五十六年度は通常ベースといいますか、一般的な原子力関係広報のほかに、日本原子力発電株式会社敦賀発電所事故に関する広報を行ったためでございます。
  299. 中山千夏

    ○中山千夏君 この敦賀発電所の事故というのは、責任ということで言えば、電力会社にあったのではないかというふうに思うんですけれども、管理上の責任といいますかね、直接の責任は。それはどうなんですか。
  300. 紀嘉一郎

    説明員(紀嘉一郎君) 総理府の広報は、いわゆる共同利用媒体を利用してやっておるわけでございますけれども、この事故の教訓としまして、必要性なり、安全性なりを私たちは広報しておるわけでございますけれども、その安全性ということについて、特に教訓ということでやったわけでございます。
  301. 中山千夏

    ○中山千夏君 この辺ちょっと一番最後の御説明のふえた分は何かむだじゃないかしらという気がとってもするんですね。というのは、確かにそういうことも必要なくはないかもしれませんけれども、電力会社がやっぱりそういうことはやるべきだと思いますし、もし報告というようなことがあれば。それから政府側の報告というようなことは、わざわざ広報しなくても新聞の普通の紙面で報道されますよね、それはそういうところに任しておいて、広報は倹約した方がいいんじゃないかという考えを持っているんです。それから同じ話なんですけれども、原発推進のPRをいろいろやっていらっしゃいますね、政府広報、資源エネルギー庁一緒のもありますし、それから科学技術庁、資源エネルギー庁、政府広報という三つの名前がついたのもありますし、いろいろこういうふうにウナギが寝ているのだとか、それから、「8年後の甲子園の熱戦。1/3を原子力発電で送りたい。」と、こういう広報ですね。原子力発電推進の広報というのはやめてもらった方がいいんじゃないかと思うんですよ。というのは、これに類した原子力発電推進のPRというのは電力会社がやっていますね、たくさん同じようなことを。その上に何で政府が似たようなことを税金使ってやらなくちゃならないのかと私思うんですよ。これは倹約したらどうですか、いかがでしょう。
  302. 川崎弘

    説明員(川崎弘君) お答えさしていただきます。  確かに原子力発電に関しますPRは電気事業者自体も行っておりますし、当然のことだと思います。ただ、この原子力発電、これはもちろん一方においては安全性の面に万全を期すということが必要でございますけれども、それとともに、この原子力発電に対します国民一般の広いコンセンサスというものを得る必要がございます。あるいは地元の関係者の理解と協力を得る必要がある。しかもこの原子力、現在のところはあらゆる石油代替電源の中で、経済性等の見地から見ましても、それから供給の安定性という見地から見ましても、国としても推進していかなければならない電源でございます。そういう意味もございまして、われわれといたしましても、全国的な広報活動を国の立場から実施いたしておるということでございます。
  303. 中山千夏

    ○中山千夏君 ですから、やってらっしゃることはわかるんですけれども、むだだと思うんですよ。電力会社がこれに似たようなことを全然やってないと、政府がやらなければほかにやる人がいないんだというのならまだわかるんです。だけれども、電力会社がやっている上に、何で政府がまた税金使って、新聞とか、週刊誌に、これはどっちかと言えば、イメージ広告が多いわけですよね、原発を推進しましょうという。そういうものをどうして出さなきゃならないのか。いま政府にお金があり余ってて、福祉もどんどん出しましょう、教科書も教材も何でもただにしましょうと言っている政府なら、まだこれやっててもいいかという話になるんですけれども、そうじゃないわけでしょう。人事院勧告なんか凍結だというような話も出てますし、それから教科書は有料にした方がいいというような話も政府であるわけですね。そういう方は、お金の額は違うかもしれませんけれども、直接に国民の生活に影響があるわけですよね、教科書が有料になっちゃうとかということがもしあったら。だけれども、この「8年後の甲子園の熱戦。1/3を原子力発電で送りたい。」という、このたぐいのPRをやめても、原発をつくりたいときには、十分地域に対する公聴会ですとか、それからパンフレットをつくって、各地域に説明するとか、そういうことは増額していらっしゃるし、地域に対しても十分していらっしゃるわけですよね。全国的なPRは電力会社がすごくやっているわけなんです。そこへもってきて、またこれやるというのはすごくむだですよ。それで、これやめても、だれも困らないです、国民は。やめるのに反対する国民なんて一人もいないですよ、痛くもかゆくもないですからね。それで、原発のこういう宣伝なら電力会社が出したのを見ればいいわけですから。それをどうしてやめないのか。私は原発に反対の立場ですけれども、別にそれで嫌みを言っているわけじゃなくて、本当に不思議なんですよ、何でこれを政府がお金使ってやるのか。お金がないない、大変だ、大変だと言ってんだったら、こういうところから何で倹約しないのかなと、すごく不思議なんですよ、何でなんですか。
  304. 川崎弘

    説明員(川崎弘君) いま先生御指摘の具体的な資料につきましては、私ちょっと見ておりませんのであれですけれども、国がやりますPRの中には、たとえば国がその原子炉の設計の段階から、どういうふうに関与して安全性の確保のために努力しているかと、あるいは運転管理の面におきまして、たとえば現場に管理官を置いてどういうふうにきちんとチェックをしているかと、そういうことも含めてPRをやっております。私どもはそういう意味で国の立場からのPRということも必要だと考えております。
  305. 中山千夏

    ○中山千夏君 指摘した例を外されちゃうと困るんですよ、私この例で言っているんだから。だから、おたくに広報の関係の資料くださいと申し上げて、このごろどんなの出してますかというふうに伺ったら、こういう物をいただいたわけなんです。これが全部なわけですよね、ほとんど全部見せてくださいと言ったらこれいただいたわけですから。それは電力会社がやっているのと変わりないわけ。だから、それを何で政府がまたやるんですかと、上乗せしてやるんですかということを言っているんですよ。それで、原子力発電のことを詳しく知らせるとか、それから、たとえばこれが何月何日どこそこにおいて公聴会を開きますと、皆さん聞きに来てくださいという広報なら私は不思議だと思わないんですよね。だけれども、これは原発推進PRですからね。そういうものは電力会社がやっているのに何でやるんですかというお伺いなんです。何でですか。
  306. 高橋宏

    説明員高橋宏君) いまのパンフレットが安全に関する問題のようでございますので、私からお答えいたしたいと思いますが、私は原子力の政府における広報にはいろいろな必要性があると思っておりますけれども、その一つは安全性に関するものだと思います。と申しますのは、原子力につきましての国民的な不安なり、あるいは賛成、反対についての議論というのは、一つは安全の問題だと思います。そして、その安全の問題といいますのは、おっしゃったように、一義的に電力会社が確保すべく努力しております。それについての活動をPRすべきだと思いますが、やはり国が監督する立場でやっておりますので。
  307. 竹田四郎

    委員長竹田四郎君) 答弁を簡単にしてください。
  308. 高橋宏

    説明員高橋宏君) どういう立場からやっているかということを御説明するのは私どもの務めだと思っております。そういう意味での広報がその一つでございます。
  309. 中山千夏

    ○中山千夏君 そういう務めもおありでしょうけれども、この広告に関して言えば、むしろ安全確保のためにこのお金を倹約して、原発の推進PRはやめて、安全対策の方にお回しになった方がいいですよという意味のことも含めて私は申し上げているんです。ですから、ちょっと外れていますし、それからもう一つ、いまのことに関連して、安全ということが出ましたので、最後に一つ言わせていただきますけれども、「「安全のうえにも安全」を」というのはやっぱりおたくで出していらっしゃる、政府で出していらっしゃるパンフレットとか、広告の中で見ました。でも、それにしては私なんかは、地震が絶対に起こるというふうに気象庁が太鼓判を押しているところに原発ができている、あるいは計画中だということはとても不思議だと思いますし、安全に対する説明にしても、これは五十六年の十一月号の「文勢春秋」に載っている中川一郎科技庁長官と、それから加藤寛さんという慶応義塾大学の先生とが対談していらっしゃる中で、きょういらっしゃらないから、これ言ってもしようがないかもしれないんですけれども、中川さんがこういうことをおっしゃっているんですよ。   この前も原子力発電反対の人に「原子力発電をやめてもいいですよ。ただし、石油が入らなくなったとき、戦前、戦後の耐乏生活で結構だから原子力発電をやめてくれと言うならわかるが、暮らしはいまよりよくしてくれ、原子力発電はやめてくれったって、それはとおりませんよ」と言ったんですが。  PRのページにこういう発言が出ているわけです。これは私支離滅裂だと思うんですよ、だって、もし石油が全然入らなくなったら、原子力発電だって実際できないでしょう。そういうことを平気でここで言っていらっしゃるわけですよ。しかも、まるで石油が入らなくなっても、原発だけはちゃんと電気を送り出して、原発の電気さえあれば、戦前、戦後の耐乏生活ができるというような話なんですよ。これ何か根拠が——もちろんこんなものありゃしないと思いますけれども、こういう発言を載っけているのはむだだと私は思いますよ。それと、これよりもっと顕著なのはこちらなんですよ。  だから、これはむだな広告か、そうじゃないか、電気会社に任せておいていいものか、それとも政府がどうしてもやらなきゃならないものかということを、もう少しきめ細かく、いまお金がないないと言って国民にがまんしてくれ、してくれと言っているときでしょう。だから、それをきめ細かく見て、広報の内容を考えてほしいんですよ。考えてくれませんか。
  310. 川崎弘

    説明員(川崎弘君) 確かに私ども原子力発電についてPRいたします場合には、やさしく正確な情報を流すということと、それからこういう時世でございますから、予算を効率的、効果的に使うということが必要でございます。ただいま先生御指摘のように、よけいな広告はわれわれもしていないつもりでございますけれども、なお一層その中身を分析いたしまして、効率的な広告をするように努力いたしたいと考えております。
  311. 竹田四郎

    委員長竹田四郎君) 他に御発言もないようですから、通商産業省経済企画庁並びに中小企業金融公庫及び中小企業信用保険公庫決算についての審査はこの程度といたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後五時十四分散会      —————・—————