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1982-03-01 第96回国会 参議院 決算委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十七年三月一日(月曜日)    午後一時三十一分開会     —————————————    委員異動  一月二十二日     辞任         補欠選任      丸谷 金保君     山田  譲君      穐山  篤君     本岡 昭次君  二月十日     辞任         補欠選任      山田  譲君     丸谷 金保君  二月十二日     辞任         補欠選任      丸谷 金保君     山田  譲君  二月十三日     辞任         補欠選任      山田  譲君     丸谷 金保君  二月十六日     辞任         補欠選任      丸谷 金保君     安垣 良一君  二月十七日     辞任         補欠選任      岡部 三郎君     亀長 友義君      仲川 幸男君     山崎 竜男君      安垣 良一君     片岡 勝治君  二月十八日     辞任         補欠選任      亀長 友義君     岡部 三郎君      山崎 竜男君     仲川 幸男君      片岡 勝治君     山田  譲君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         和田 静夫君     理 事                 井上  孝君                 亀井 久興君                 高橋 圭三君                目黒今朝次郎君                 峯山 昭範君     委 員                大河原太一郎君                 岡部 三郎君                 塚田十一郎君                 内藤  健君                 仲川 幸男君                 福田 宏一君                 降矢 敬雄君                 円山 雅也君                 森山 眞弓君                 粕谷 照美君                 本岡 昭次君                 山田  譲君                 黒柳  明君                 鶴岡  洋君                 安武 洋子君                 柄谷 道一君                 三治 重信君                 森田 重郎君                 中山 千夏君    国務大臣        外 務 大 臣  櫻内 義雄君        国 務 大 臣        (防衛庁長官)  伊藤宗一郎君    政府委員        防衛庁参事官   新井 弘一君        防衛庁参事官   石崎  昭君        防衛庁参事官   上野 隆史君        防衛庁参事官   冨田  泉君        防衛庁長官官房        長        夏目 晴雄君        防衛庁防衛局長  塩田  章君        防衛庁人事教育        局長       佐々 淳行君        防衛庁衛生局長  本田  正君        防衛庁経理局長  矢崎 新二君        防衛庁装備局長  和田  裕君        防衛施設庁長官  吉野  実君        防衛施設庁総務        部長       森山  武君        防衛施設庁施設        部長       伊藤 参午君        外務大臣官房長  伊達 宗起君        外務大臣官房会        計課長      恩田  宗君        外務省北米局長  淺尾新一郎君        外務省経済局長  深田  宏君        外務省経済局次        長        妹尾 正毅君        外務省条約局長  栗山 尚一君        外務省国際連合        局長       門田 省三君    事務局側        常任委員会専門        員        丸山 利雄君    説明員        通商産業省通商        政策局米州大洋        州課長      堤  富男君        通商産業省貿易        局為替金融課長  広海 正光君        通商産業省機械        情報産業局航空        機武器課長    坂本 吉弘君        会計検査院事務        総局第一局長   佐藤 雅信君        会計検査院事務        総局第二局長   堤  一清君     —————————————   本日の会議に付した案件昭和五十三年度一般会計歳入歳出決算昭和五  十三年度特別会計歳入歳出決算昭和五十三年  度国税収納金整理資金受払計算書昭和五十三  年度政府関係機関決算書(第九十一回国会内閣  提出)(継続案件) ○昭和五十三年度国有財産増減及び現在額総計算  書(第九十一回国会内閣提出)(継続案件) ○昭和五十三年度国有財産無償貸付状況計算書  (第九十一回国会内閣提出)(継続案件)     —————————————
  2. 和田静夫

    委員長和田静夫君) ただいまから決算委員会を開会いたします。  まず、委員異動について御報告いたします。  去る一月二十二日、丸谷金保君及び穐山篤君が委員辞任され、その補欠として山田譲君及び本岡昭次君が選任されました。     —————————————
  3. 和田静夫

    委員長和田静夫君) 次に、昭和五十三年度決算外二件を議題といたします。  本日は、外務省及び防衛庁決算について審査を行います。     —————————————
  4. 和田静夫

    委員長和田静夫君) この際、お諮りいたします。  議事の都合により、これらの決算概要説明及び決算検査概要説明は、いずれもこれを省略して、本日の会議録の末尾に掲載いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 和田静夫

    委員長和田静夫君) 御異議ないと認め、さよう取り計らいます。     —————————————
  6. 和田静夫

    委員長和田静夫君) それでは、これより質疑に入ります。質疑のある方は順次御発言願います。
  7. 山田譲

    山田譲君 私は、五十三年度の決算につきまして、参議院の決算委員長が要求をして、それに対して出てまいりました資料、これについて主としていろいろ御質問申し上げたいと思います。  まず最初に、第八表というのがございますね。「昭和五十三年度主要調達品目」という表がございますが、これはおわかりですね。これによりますと、中の契約相手方を見ますると、陸幕海幕空幕、それぞれ五十三年度に契約をした主なものについて、金額であるとか、数量、それから納期がこの表に書いてあるわけであります。これを見まするというと、契約相手方が、いわゆる三菱重工であるとか、三菱電機であるとか、そういうメーカー、それとアメリカ海軍省、それから、これは一つしかありませんけれども、住友商事という商事会社契約相手方として表に出ております。  ここでお伺いしたいのは、そういう海軍省から買ったり、あるいはメーカーから直接買う、あるいは商事会社を通して買う、この三種類が大きく分けてあるようでありますけれども、どういう理由で、どういう基準に基づいて、これらのものをそういうところから買っているのか、こういうことについてまずお伺いしたいと思うんです。
  8. 和田裕

    政府委員和田裕君) お答え申し上げます。  まず、この表の見方につきましてちょっと一言触れさしていただきたいんでございますが、この表は、先生おっしゃるとおりに、いわゆる大メーカーであるとか、海軍省とか、商社等相手先が限られておりますが、この資料は、契約件数が実は大変膨大な数になりまして、問題になっております五十三年度をとってまいりましても、調達実施本部契約件数は、約九千五百件というようなこともございますもので、調本が調達しましたもののうち、一件十億円以上の主要装備品につきまして取りまとめさしていただいたものでございます。  そういうことになりますと、こういったような主要アイテムというものは、片や航空機製造事業法武器等製造法等の適用を受けるというようなことで、生産業者が限定される、こういうような制約が一つございますし、またライセンス生産をするものにつきましては、外国企業との技術援助契約を必要とするというようなことで、また、どうしても製造業者が限定されてくるというようなことがございまして、数がしぼられてくる、こういうことが基本的にございます。  商社につきましても、輸入品の場合には、ほとんどのものにつきまして、あらかじめ外国企業、ほとんどの場合外国メーカーでございますが、外国メーカーとの間の販売契約というものが締結されておるということになりますと、結局そういったような販売契約を持っている商社と、当方としては契約を結ばざるを得ない、こういうこともございます。そんなようなことが基本的にあるということを、まず御説明さしていただきます。  次に、そういうことで、いまおっしゃいました、大メーカーに限られているということは、一つ契約金額が非常に高いものであるということで、こんなふうになったわけでございますが、防衛庁全体としましては、必ずしも大メーカーだけを相手にしているわけでございませんで、いろんなサイズの、いろんな大きさの規模のメーカーと、場合によっては商社契約さしていただいておる。こんなようなことでございます。  ちなみに、五十三年度で契約社数の全体を申し上げますと、約九百社と契約しているということでございますので、当然のことながら、中小企業の方もかなり入ってきております。  次に、御質問の中で、大メーカー関係で言いますと、個別にもうちょっと申し上げてもよろしゅうございますが、とりあえず先ほどの説明でもある程度触れたわけでございますが、製造法関係、要するに武器等製造法、あるいは航空機等製造法、そういったようなことで縛りがかかっておりますために、武器航空機につきましては、そういったような製造法認可を受けているメーカーに限られてくる。こういう実態がございます。  ライセンスにつきましては、また先ほどの繰り返してございますが、技術能力、それから相手方のこれまでの経験、そういったことをどうしても考えざるを得ない。  海軍省でございますが、これは実はFMSという、有償援助契約と呼んでおりますが、フォーリン・ミリタリー・セールスの翻訳でございますが、FMSによってやる場合に海軍省になるということでございます。この場合には、たまたま海軍省の方が、この機材につきましてアメリカメーカー契約を結びまして、アメリカメーカーから物を買って日本に売る、こういう制度のもとで日本に供給するといった関係で、海軍省契約をしたということでございます。  大体いまで一応は触れさしていただいたつもりでございます。
  9. 山田譲

    山田譲君 聞きもしないことをしゃべってもらう必要はないので、聞いたことをはっきり言ってもらいたいと思うのですよ。私はこの資料に基づいて物を言っているのであって、この資料に出てないものを聞いているわけでないのです。ですから、この資料に出ている限りのことで私は聞いているのだから、資料に出ている限りのことを答えていただければいいわけです。  私が聞きたいのは、契約相手方に、海軍省もあるし、メーカーもある。それから商事会社もある。この三つがあることは事実なんで、それが一つ一つがどういう基準で、どういうものが海軍省、どういうものがメーカー、どういうものが商事会社と、こういうふうにしましたということをはっきり言っていただけばいいんですよ。大企業だとか中小企業、そんなこと聞いちゃいないので、これからまた話すかもしれないけれども、最初それをまず答えていただきたいと思うのです。
  10. 和田裕

    政府委員和田裕君) この基準というのは、一つ基準でたまたまこうなったわけでございませんで、いろんな基準を総合いたしまして、その結果がいま言ったようなことになったということでございます。  まず、そうなりますと、当庁が一般的に装備品を取得するに当たりまして、どういうような考え方をしているかということにどうしても戻らざるを得ないわけでございますが、当庁の場合には、大きく言いまして、国産のものを買う、それから輸入で取得するという二つ方法がございます。輸入の場合に、また、商社から買う場合と、FMSといいまして、アメリカ国防総省契約を結ぶということになるわけでございます。それで、国産の場合、輸入の場合、それぞれ長所、短所がございます。私どもとしては、両方が選択できる場合には、そういったことを総合的に考えて、費用効果、あるいは国産によりますところの維持補給のメリット、そういうようなことも考えまして選択をする。それから、物によりましては、どうしても輸入によらざるを得ないというものもございます。そういうことが基本的な考え方になるわけでございます。  それから、御質問の趣旨で、まず輸入部分から触れますと、輸入による取得方法には、いま申し上げましたように商社FMSがございますが、FMSというのは、たとえば弾薬であるとか、それからアメリカ軍のいわゆるサービス、役務でございますね、訓練役務であるとか、教育役務であるとか、そういったようなもの、それから非常に秘密度の高いもの、こういったものにつきましてはFMSで買わざるを得ないということで、おのずからFMSに限定されてくる。その他のものにつきましては、商社輸入とそれからFMS輸入と、二つのオプションといいますか、選択があるわけでございますが、それにつきましても、費用効果とか、実際にどちらの方が早く入手できるかとか、維持補給の便利さとか、そういったことを比較いたしまして、商社にするか、FMSにするかということを決めているわけでございます。仮に商社になった場合には、さっき申し上げましたように、相手方メーカーとの販売権契約があるかどうか、ある場合には、どうしても販売権契約のある商社に縛られてくるということになりますので、そういった販売権契約相手方メーカーから与えられているその商社契約せざるを得ない、こういうことになるわけでございます。  それから、メーカーの場合にはどういうことかということでございますが、メーカーの場合には、物にもよりますが、まず基本的には武器等製造法、それから航空機等製造法等関係認可を受けているかどうかというのが一つの大きな基準になるわけでございます。これは通産省の方おいでになるかどうかわかりませんが、通産省の方が御所管になっておりますが、その認可があるものと契約するということでございます。  その次に、具体的には当該装備品生産いたしますにつきまして、最も適切なる生産基盤を有するか、それから技術力を有するか、またいろいろ知識経験を有するか、そういったことを考えた上で相手方選択して、その相手方契約をする、こういうことでございます。
  11. 山田譲

    山田譲君 時間もないんですから、はっきり返事してもらいたいと思うんですけれども、先ほどちょっと聞いた限りで、アメリカから買わざるを得ないというふうな言葉がちょっとありましたけれども、それはどういうことですか。
  12. 和田裕

    政府委員和田裕君) まず何を買うかということを、いわば防衛上の観点から決めるわけでございます。たとえば、一例で申し上げますと、P3Cという例がございますが、これにつきましては、防衛上の観点から、対潜作戦を行う航空機としては何が一番必要かというようなことで、種々の観点からP3Cを選ぶということになりますれば、そのP3Cにつきまして、どういうかっこうで調達するかという問題がその次に起こってまいります。その場合には、いつまでにこのP3Cを入手すべきかと、こういう問題が起こってまいりまして、部隊編成関係、そういったことが主になると思いますが、そういったことからいたしまして、一番最初の、どう言ったらいいのでございましょう、グループにつきましては、多くの場合アメリカで現に生産しつつある機種でもございますので、向こうからのものを買うということが、早期入手可能性という観点から非常に有力なものとして浮かび上がってくる、こういうことがございます。これは、防衛上の所要と、それから早期調達必要性、この二つ観点で申し上げました。  それから、さきに申し上げましたように、P3Cの場合には、最初の三機を除きまして、あと国産生産するということになっておりますが、あと輸入国産との割合につきましては、わが国における維持補給観点、それからわが国におきまして技術能力を維持する観点、あるいは生産基盤を有する観点、さらにひいては経済一般、あるいは雇用とか、そういったようなことに関する影響等もいろいろ勘案して、こういうことが決まってくる、こういうことになるわけでございます。  なお、補足さしていただきますと、アメリカから買わざるを得ないというものの中で、典型的な例で、もう一回繰り返し言わさしていただきますと、弾薬につきましては、これは商社が扱うことができませんので、これにつきましてはFMSになる。それから秘密度が非常に高いものにつきましては、やはり商社経由で売ることはアメリカ国防総省が許しませんので、これにつきましてもFMS契約になる。三番目に役務契約でございます。訓練役務とか、それから教育役務とか、こういったことはアメリカ国防総省自体が、いわば自分で何といいますか提供するその主体になるわけでございますから、それにつきましてはどうしてもFMSになる、こういうことでございます。
  13. 山田譲

    山田譲君 私も専門的なことは余りよくわからないけれども、常識から言うと、外国から買うという場合は、外国の方が安いとか、あるいは日本にはないものだとか、あるいはまた別に何かの協定みたいなものがあって、アメリカのものを買わざるを得ないという、こういうことか、その三つ一つくらいしかないと思うんですけれども、はっきり一言でお答えいただきたいんだけれども、そのうちのどれなんですか。外国から買う場合の話です。
  14. 和田裕

    政府委員和田裕君) 一言でといいましても、いろんなケースによりまして実は分れてまいりまして、いま先生がおっしゃったそれぞれのケースが当てはまりますし、またそれぞれのケースのどれか一つに当たる場合もございますし、その二つがたまたま組み合うこともある、こういう状況でございます。
  15. 山田譲

    山田譲君 たとえば、この資料を見ますと、先ほどちょっとお話ありましたP3C、これが海幕で買っております。米海軍省から「三機他」と、この「他」がまた何かよくわからないけれども、日本川崎重工業から五機を買っている。そしてP3Cのアメリカ海軍省から買ったものについては単純な平均で割れば単価が一機七十八億になって、日本川崎重工業から買った場合には三十八億になっている。ぐっと安いわけです。ただ、ここで問題は「他」というやつがありますから、この意味もいまお伺いしたいと思うんですけれども、そうすると、どうしてP3C三機を米海軍省から買い、同じものを五機をこの川崎重工業から買ったかということなんです。  それから、その次の次のページを見ますると、これは空幕で買ったいわゆるF15J航空機というやつです。これが三菱重工業から買ったのが十五機で五百五十四億になっている。そしてアメリカ空軍省から買ったのが八機で三百七十七億というふうな数字になっております。これも単価にしたら日本の方がずっと安いということでありますけれども、ちょっとわからないのは、この「他」というやつが一体何物なのかわかりません。この説明をちょっとしていただきたいと思うんです。
  16. 和田裕

    政府委員和田裕君) まず御質問の中で「他」と書いてあるのは何かという点の御説明をさしていただきますが、この「他」と申し上げますのは、P3Cの完成機のほかに、国内でP3Cを生産するに必要な機材官給——官給といいますのは、防衛庁が買い上げまして、それをまたメーカーの方に与えることを完結と言っておりますが、こういった機材を官給するための、エンジンとか、プロペラであるとか、電子機器など、こういったような部品等一つ契約としてアメリカ海軍省から買うと、こういったようなことで「他」というふうに入っているわけでございます。  その次に、値段の点での御質問でございます。確かにこれ御覧になると、値段がちょっとばらつきがひどいではないかという御指摘かと思いますが、これにつきましては、実はP3Cは川重でございます。それから、F15につきましては三菱重工でございますが、これはたまたま三菱重工なり、川崎重工なりは、機体だけのプライムになっておるということでございまして、機体本体価格が中心でございます。搭載品であるとか、エンジンとかいうのは、防衛庁がまたほかのメーカー契約いたしまして、それで官給品として三菱重工、あるいは川崎重工に供給いたしまして、そこで最終的に組み立ててもらうと、こういうことになりますために、金額の中に入ってこない、こういった関係価格が非常にアンバランスになっているということでございます。
  17. 山田譲

    山田譲君 このほかP3Cについて、「三機他」と書いてある。これは米海軍省から買ったんだと。その「他」というのはいま御説明あったとおりだと思うけれども、そうするとその「他」というのの価格は幾らですか。
  18. 和田裕

    政府委員和田裕君) 申し上げます。  P3C型航空機につきましては、完成機三機で百五十六・八億円でございます。それから「他」でございますが、それは七十八・四億円でございます。以上合計いたしますと、二百三十五・二億円と、こういうことに相なります。
  19. 山田譲

    山田譲君 そうすると、「他」の七十八・四億を引いたものを三で割れば、一機の単価が出るというふうに考えていいですか。
  20. 和田裕

    政府委員和田裕君) 基本的にはそういうことでございます。若干、ごくわずかの国産品部分品等もございますが、基本的には先生のおっしゃるとおりでございます。
  21. 山田譲

    山田譲君 そうすると、日本川崎重工業から買っております五機というのは、この五機と、もう一つ海軍省から買ったこの三機、この中身は違うものという意味ですか。
  22. 和田裕

    政府委員和田裕君) 中身は違うものでございます。
  23. 山田譲

    山田譲君 そうすると、違う中身というのは、これは海軍省でなければつくれないものなんですか。
  24. 和田裕

    政府委員和田裕君) 海軍省でなければつくれないものではございませんで、たとえばエンジンとか、プロペラとか、電子部品というのは、日本で、向こうから技術をもらいましてライセンス生産することができました場合には、日本でもつくれるものが入っております。
  25. 山田譲

    山田譲君 そこで伺いたいのは、どうしてそれじゃ日本でもできるのにもかかわらず、海軍省から買わなきゃならなかったかというその事情といいますか、その理由ですね、これはどういうことでしょうか。
  26. 和田裕

    政府委員和田裕君) 先ほどもちょっと触れたかと思いますが、いわゆる防衛上の所要からいたしまして、P3Cの最初の三機につきましては、早期に入手する必要があったということでございまして、そのためには、現に向こうでP3Cにつきましては長い間生産ラインもございまして、ずっとつくっておるということもございまして、実際に注文してから入手するまでの期間が非常に短い。わが国の場合には新しくライセンス生産を起こすということでございまして、機械も新しく買ってこなきゃいけませんし、生産技術も習わなきゃいかぬということでございまして、非常に手間がかかります。そういったようなことで、どうしても、実際に契約をいたしましても、入手するまでに相当期間かかります。その間のギャップを埋めるという観点から、最初の何機かにつきましては、アメリカから直接調達する、こういうことでございます。これはP3Cに限りませんで、ほかのものについても同じような例が間々ございます。
  27. 山田譲

    山田譲君 そうすると、これからはこういうものは日本川崎重工業かどっかは別として、日本でもって買いますと、こういう話ですか。
  28. 和田裕

    政府委員和田裕君) P3Cについては、もうアメリカから買うものはございませんで、すべてライセンス生産に切り変わっております。
  29. 山田譲

    山田譲君 それからもう一つ。これは海幕で中型掃海艇というのがございますね。これは全く同じ名前ですけれども、一隻は日立造船につくらせ、一隻は日本鋼管につくらしている。値段は大した違いありませんが、それぞれ二十三・二億と二十二・六億という差がある。この掃海艇は同じものですか、違うものですか。
  30. 和田裕

    政府委員和田裕君) これは中型掃海艇は船でございまして、基本的な値段につきましても、大体同じ値段になっているかと存じます。二十三・二億と二十二・六億ということでございますが、これは同じ年度に発注したものでございますから、基本的な船に対する要求性能等は同じもので発注いたしまして、たまたま値段が多少違ってきたということかと存じます。この点につきましては、突然のお尋ねでもございますので、値段の差につきましては、なおよく詰めさしていただきます。  それから発注先についても触れられておったかと思いますが、これにつきましては、船につきましては一般的にそうでございますが、艦艇関係の造船能力を維持し、培養していくという観点と、それから片や価格につきましても競争制というものを導入いたしまして、それによって適正価格の導入を図ると、この二つ観点から、艦艇メーカーというものを数社にしぼりまして、その間で競争させつつ、かつまた全体的に、計画的に、船ができるように配慮いたしながら発注していると、こういうことでございます。
  31. 山田譲

    山田譲君 もう同じか違うかわかりませんけれども、もし同じであるとすれば、これは常識的には安い方につくらせるのはあたりまえじゃないかというふうに私どもは考えます。しかし、よく御説明わかりませんけれども、せっかく出した資料でありますから、ですから、違うなら違うというようにはっきり書いておいていただかないと、私は、同じものが二つあって、片一方は二十二・六億で、片一方は二十三・二億というふうに単純に読みますから、ひとつこの区別ははっきりしておいていただきたいと思うんです。  先ほどのP3Cの問題につきましても、「他」というふうな言い方じゃなくて、これはっきりと「他」は何であるかということを、やっぱり決算委員会に対する資料でありますから、これはぜひ今後はこういうことをはっきりと示すようにしていただきたいと思うんです。  それからその次に、それぞれの価格を見まして、いまもいろいろお話あったわけでありますけれども、一般的に兵器の——一般的には無理かもしれませんが、ここに出ている程度の大きな品目の価格決定のメカニズムといいますか、これは一体どうなっているのか。つまり一般入札でやるのか、あるいは随意契約というふうなことでやるのか、そのものによって違うかもしれませんけれども、その辺のところをちょっとお聞かせいただきたいと思うんです。
  32. 和田裕

    政府委員和田裕君) 価格決定のメカニズムということでございますが、一般的に言いまして、防衛庁が調達します装備品につきましては、材料費であるとか、加工費等の価格に必要な要素というものを個々に積み上げをいたしまして積算しております。もうちょっと具体的に申し上げますと、過去に調達があったものにつきましては、最新の調達実績に基づきまして、その後の材料費あるいは加工費等の変動、それから仕様変更、こういったことを勘案して作成しております。それからまた、新たに調達いたしますものにつきましては、類似物品といいますか、類似機種の価格または外国から入手いたしました価格に関しますところの資料、そういったものを基礎にいたしまして、これに国産化の諸条件とか、あるいは取得時までの値上がり率、そういったことを加味いたしまして積算いたしております。  それから一方、一般的に市販されておりますようなそういったようなもの、あるいはそれに類似なものというのがございますが、そういったものにつきましては、民間との共通部分につきましては市場価格が存在いたしますことでもございますので、会社の見積価格をとりまして、そういった市場価格を会社見積価格に反映させながら査定をして積算をすると、こういったような場合もございます。  それから、FMSにつきましても、もし御質問がございましたら御説明いたしますが、基本的にはそういうことでございます。
  33. 山田譲

    山田譲君 いろいろありますから一般的には言えないとは思いますけれども、ここで書いてある、資料に出ている程度のものの場合はどちらが多いんですか、入札あるいは随意契約ですね。
  34. 和田裕

    政府委員和田裕君) 随意契約の方が多うございます。
  35. 山田譲

    山田譲君 さっきのアメリカ空軍省あるいは海軍省というところから買うような場合は、これは何らかの手数料といいますか、そういうものを取られるわけですか。
  36. 和田裕

    政府委員和田裕君) アメリカ国防総省で一定の管理費というものを決めておりまして、その管理費を払うことになっております。一種の手数料というふうにお考えでいただいても結構でございます。
  37. 山田譲

    山田譲君 それは幾らぐらいですか。
  38. 和田裕

    政府委員和田裕君) 個々の具体的な場合に即していませんと正確には申し上げられませんが、一応の標準のパーセンテージとしては、大体三%というふうにお考えいただきたいと思います。
  39. 山田譲

    山田譲君 そうすると、さっきのP3Cの場合なんかも三%を含んだ価格ですか。それとも、これとは別に出すという意味ですか。
  40. 和田裕

    政府委員和田裕君) 三%と申し上げましたけれども、その管理費を含んだ価格でございます。
  41. 山田譲

    山田譲君 それでは、一応先に進みます。  同じこの資料の第十五表というのを見ると、「自衛隊航空機現有数」というのが陸上、海上、航空と分かれて書いてありますね。私は、これが非常におかしいと思うのは、それぞれが「約」と書いてある。約十だとか約三十だとか、そういうふうに書いてあるわけです。そして、その下に注として「国有財産台帳による。」というふうに書いてありますが、そうすると、これは国有財産台帳に「約」というふうに書いてあるんですか。
  42. 和田裕

    政府委員和田裕君) まず最後の問いでございますが、国有財産の台帳には「約」ということではございませんで、機種ごとに正確な数字を書いてございますが、この資料をつくるときにおきましては、用途別に私ども自衛隊が持っております航空機を分けさしていただきまして、それによりまして集計いたしまして、それで端数を丸めさしていただきました。そのために「約」というふうになっております。
  43. 山田譲

    山田譲君 だから、「国有財産台帳による。」なんというのはこれうそだと私は思うんですよね。まさか「約」なんということを書いてある国有財産台帳なんてあるはずがない。現に国有財産のこれを見ましても、きちっと何機まで書いてあるわけですよね。ですから、これは「国有財産台帳による。」と書いてあるけれども、本当はそうじゃないと思うんですが、どうして私は「約」なんというような数字にしたかわからない。しかも、これは何万何千とかという単位ならともかく、十なんというものに対して約十なんという数字は考えられない。これ全部「約」にしちゃったのはどういうわけですか、これは。たとえば一つ一つ足していけば、これは千五百九十機になる、これだけの限りでね。小計だけ足せば千五百七十機で、ここだけでもすでに二十機の差が出てきてしまう。こんなところでどうして「約」にしたのか、その気がわからないんだけれども、もう一遍そこのところを説明してくれませんか。
  44. 和田裕

    政府委員和田裕君) 私どもはこれだけの紙数の資料でもございますので、なるべくその全容とか、構成がわかりやすいというようにするために用途別に集計さしていただきまして、それでその端数を丸めたものでございまして、全く他意はございません。  正確な数字が必要でございましたら、いままた御答弁申し上げても結構でございますが、いま申し上げたような趣旨で「約」というように精査した次第でございます。
  45. 山田譲

    山田譲君 他意はないとおっしゃるからないということを信じますけれども、それにしてもおかしいじゃないですか。約十なんというのはちょっと聞いたことがない。しかも、仮にも決算委員長に出す資料が、傾向さえわかればいいんだというようなことで「約」でやられたんじゃ困るわけでして、約十と言ったって五機なのか十四機かわからないわけでしょう。そこら辺どうなんですかね。
  46. 和田裕

    政府委員和田裕君) たまたま十の場合には、確かに約十というのは本来の数字と多少その差があるかのごとく見えるところがあるかと思いますが、主力になっております飛行機はどうしても数が多うございます。ここで見ていただきますように、たとえば哨戒機であるとか、戦闘機であるとか、そういったものがかなり多い、百のオーダーであるとか、そういうことでございまして、そういうことになりますと、余りいたずらに細かい数字を書くよりも、用途別に書きまして、その概数をお書きした方がとりあえずの御理解にはわかりやすいんじゃないかと、こういうことでしたわけでございまして、全く他意はございません。
  47. 山田譲

    山田譲君 わかりやすくないから聞いているわけなんでね。ですから、約十なんというのはいま言ったように五機か十四かわからないわけでしょう。それは何万何千という話ならともかく、全部でもって千五百かそこそこのものですよ。百単位というのはめんどうくさいから丸めるというなら、ほかの数字だって百以下はみんな丸めるんですか、おたくの資料というのは。そんなばかな話ないと思うんですよね。こんな大事な資料は、やはり「約」なんということじゃなくて、ちゃんときちっとした数字を出してもらいたいと思うんです。しかも「国有財産台帳による。」なんて麗々しく書いてあるけれども、国有財産台帳こんな数字じゃないですよ。ちゃんと何機と書いてありますよね。ですから、これ注も間違っていると思うし、「約」でただ傾向さえわかればいいじゃないかというふうな、そういう考え方決算委員会資料つくられては困るわけですが、そこら辺どうですか。
  48. 和田裕

    政府委員和田裕君) 先生いろいろ御指摘いただきました趣旨もよく踏まえまして、内部で早速検討さしていただきます。
  49. 山田譲

    山田譲君 本当によく考えて出してくださいよ、正確な数字をですね。  それから、こればかりやっているわけにいきませんので、先に進みます。  古い話で恐縮ですが、これ四十五年の七月の十八日に防衛庁が自分でおつくりになって、これ時の長官まで決裁になっているという話ですが、「装備の生産及び開発に関する基本方針」というのが出されております。それと「防衛産業整備方針」、それから「研究開発振興方針」というこの三つの方針が出されております。この方針は、これは読めばわかりますが、結局結論としては、国を守るのには当然自分の国で装備はつくるべきであると。ですから、そういうものは、自分で開発して国産を進めていかなければいけない。それから、適正な競争によって兵器はつくられていかなければいけない、あくまでも積極的に競争原理を導入して、そうしてりっぱな装備をつくっていくということで、適正な競争原理の導入というふうなこともかなり何回か言っております。  それともう一つは、あくまでも国で守るんですから国がつくるべきである、外国からいつまでも買っているようじゃいかぬということを、すでに防衛庁内部で決められたのが四十五年七月十八日であります。その後、十二年以上たっているわけですが、この方針が現在変わっているのか、変わっていないのか、これをお伺いしたいと思うんです。
  50. 和田裕

    政府委員和田裕君) 当時の方針を特に変えたということはございません。
  51. 山田譲

    山田譲君 方針は変わっていませんか。
  52. 和田裕

    政府委員和田裕君) 方針はそのまま生きております。
  53. 山田譲

    山田譲君 そうすると、たとえば武器輸出の問題なんかについても、この中では慎重にやるというふうなことを書いてあるけれども、防衛庁としては武器輸出については慎重にやるという程度なんですか。絶対やらないという、これどっちなんです。
  54. 和田裕

    政府委員和田裕君) 武器輸出につきましては、所管官庁は通産省でございまして、防衛庁といたしましては、そういった観点もございまして、私どもの方が所管しているわけではございませんが、これにつきましては五十二年二月二十七日の武器輸出三原則、それを踏まえた政府の統一見解がございますので、それを踏まえて慎重にやるといったことでございます。
  55. 山田譲

    山田譲君 防衛庁がおつくりになったこの「方針」に武器輸出のことがいま言ったような表現で「慎重に処理する」というふうに書いてあるわけですから、少なくともこの限りは、その後の三原則に従って変わっているというふうに考えていいわけですね。
  56. 和田裕

    政府委員和田裕君) 武器輸出三原則でも、三原則統一見解がございまして、三原則以外の地域につきましては「慎む」という言葉を使っておりますが、私この「慎む」ということにつきまして、通産大臣等から「慎む」というのは慎重に対処するんだということでおっしゃっておりますけれども、ここに書いてございます「慎む」というのも全く同じ趣旨でございます。
  57. 山田譲

    山田譲君 それで十二年間たっているわけですけれども、この方針に沿ってやってきているかどうかということをお伺いしたいわけですが、それに関連して兵器をアメリカ以外のところから買っている例はありますか。
  58. 和田裕

    政府委員和田裕君) ございます。
  59. 山田譲

    山田譲君 どこから何を買っているんですか。
  60. 和田裕

    政府委員和田裕君) 五十三年以降におきまして、アメリカ以外から買った費目の主なものを申し上げますと、イギリスでございますが、百五ミリの装弾筒付高速徹甲弾、これは七四式戦車に使います弾でございますが、装弾筒付高速徹甲——徹甲というのは装用を貫くという意味でございますが、徹甲弾といったようなものでございます。フランスからは一般補用部品、それから電子管等がございます。それから西ドイツからは競技用の銃、同弾薬といったものがございます。それからカナダでございますが、ヘリコプター着艦拘束装置、これはヘリコプターが自衛艦の上におりてまいりますときに、揺れている船にうまく着艦し、かつそれがおりてから動かないようにする、こういうものでございますが、そういったものでございます。それから、スウェーデンから八十四ミリの無反動砲——カール・グスタフと呼んでおりますが、同弾薬、大体そんなものでございます。
  61. 山田譲

    山田譲君 まあそこら辺の国から、いま言われたようなものを輸入しているようでありますけれども、ざっと見た限りでは、やっぱり圧倒的にアメリカから輸入しているということが多いんじゃないかと思うのです。  そこで先ほどの方針に戻りますけれども、自国の防衛は自国でつくったものでやるんだという大方針でいるわけですけれども、そういう方針に沿って、なるべく外国から輸入しないと、かつて日本もそれはりっぱな軍艦なり、りっぱな飛行機を皆国産でやってきたわけでありますけれども、そういう方針で十二年間やってこられたかどうか。やってこられたとすると、その成果は上がっているかどうか、そこら辺についてお聞きしたいと思います。
  62. 和田裕

    政府委員和田裕君) 先生御指摘のとおり、この方針にも書いてございますように、装備の面から見ましたところの防衛力の一つの柱は、自国の防衛産業であろう、こういうことで、できるだけというより産業基盤、あるいは技術力というものを整えるということで、いろいろ努力はしております。しかし、一方防衛費につきましても、おのずからいろいろ制約もございまするので、その防衛費を最も効率的に使わなきゃいかぬという制約もございます。加えて防衛所要といったような観点から、どうしてもわが国ではできないものも少数ながらございます。こういったようなことを総合的に考えましてわれわれやっているわけでございます。結果におきましてどういうことかということでございますが、問題になっております国産調達の率で最近の趨勢を申し上げますと、大体八五%程度は一応の国産調達率でございます。
  63. 山田譲

    山田譲君 その八五%というのは金額にしてですか。
  64. 和田裕

    政府委員和田裕君) さようでございます。
  65. 山田譲

    山田譲君 それから「方針」にも言っておりますように、民間企業の競争原理を導入するんだ、しかし、競争といっても少数の競争原理ということを言っていますけれども、大分そういう点で努力して、競争原理でやっておられるかどうか、そういう努力をしておられるかどうか、そこら辺をお伺いしたいと思います。
  66. 和田裕

    政府委員和田裕君) 競争原理は私どもなるべく入れていくべきだと、それがその価格をなるべく低くし、かつ良質の装備品を入手する非常に有効な方法だと考えておりますが、装備品の場合には非常に特殊の技術能力、あるいは生産基盤経験と、こういったものが必要になることもございますので、全く未経験、全く実力のない方にも常に調達に参加していただくというわけにもいかないことは御理解いただけるんではないかと思っておりますが、また、そういうことを反映いたしまして、武器等製造法とか、航空機等製造法といったような法律の枠もかぶっているわけでございますが、その中におきまして、私どもはなるべく競争原理は活用していきたいと思っておりまして、たとえば、最近の例で申し上げますと、見積もり合わせというようなことをいつもやっているわけでございますが、いまバッジ——バッジといいますか、次期の自動航空管制装置、これのプライムコントラクターといいますか、契約の主になる方の選定をやっているわけでございますが、この際にも三つのグループから提案書を出していただきまして、その間で一番われわれの要求性能に合う非常によいもの、かつ加えて価格等につきましても非常に経済性の高いものといったことが当然そういった選定の大きなポイントになってくるだろうというふうに考えております。またそのほかの機種等につきましても、これから新しくつくるもの等につきましては、常に競争性ということを重視いたしまして、選定に努力をしている、こういう状況でございます。
  67. 山田譲

    山田譲君 やはり「方針」の中で、適正な防衛生産基盤の確立をするために、特定企業に集中することのないように配慮するというふうな言い方をしております。どのような配慮をしているか伺いたいのですが、先ほどの調達した品目の会社の名前を見ますと、やはり圧倒的に特定の企業に集中されているというふうに考えざるを得ません。ですから、四十五年にこういう方針ができたわけですけれども、その後そのことについて、どういう努力を、あるいは配慮をしておられるかどうかお聞かせいただきたいと思います。
  68. 和田裕

    政府委員和田裕君) いま申し上げましたように、私どもといたしましては、装備品を調達する場合には、さっき申し上げましたようないろいろの制約もございます。それから、いろいろな基礎条件もございますけれども、その中で、なるべく競争性、競争原理というのを考えておりますけれども、片や装備品のあるものにつきましては、おのずから技術力、それから生産基盤、それからこれまでの経験といったことを重視しなければいけない場合等もございまして、まあ一見しますと、たまたま同じ業者が、ある装備品について出てくるじゃないかというふうにごらんになるのもあるかとも思いますけれども、それはたまたま私どもが常に、いま申し上げましたように多くの業者から選ぼうという努力をして選択し、その結果たまたまそうなったどいうことでございまして、私どもとしては常に競争性の導入ということを片時も忘れたことはございませんし、今後ともそういう方針でやらさせていただくと、こういうふうに考えております。
  69. 山田譲

    山田譲君 この問題、私は後でまた詳しくやりたいと思っておりますけれども、先へ進めます。  同じくこの方針の中で、兵器の秘密を守らなきゃいけないということを言っております。  そこでお聞きしたいのは、この兵器を買っている相手方として、日本アビオトロニクス株式会社というやつがありますね、これ情報表示サブシステム3型というやつを買っている。これは聞くところによると合弁というふうなことを聞いておりますが、合弁のようなところで兵器をつくって、果たして本当にその国の装備の秘密が保たれるものかどうかということが心配されるわけでありますけれども、この点はどうでしょうか。
  70. 和田裕

    政府委員和田裕君) 合弁会社でございますが、これは日本の法律に従ってできた会社でございます。それから、防衛庁は秘密を守るために、契約の際に秘密を守ってもらうための特別な条項を契約の中に入れておりまして、それによって一般的に秘密を保っておりまして、その条項につきましては、合弁会社であろうと、そうでない一般の会社であろうと、日本の一般の会社であろうと、その間に差異が特別に生ずるというふうには考えておりません。
  71. 山田譲

    山田譲君 そうすると、今後も合弁会社については、別に防衛庁としては、そういう秘密を守るという契約条項があるから合弁会社でも構わないと、こういう考え方ですか。
  72. 和田裕

    政府委員和田裕君) この日本アビオトロニクスはたまたまこれバッジの関係で出ておるかと思いますが、バッジにつきましては、今度は当時のバッジを建設している時代と大分いろいろ情勢も変わってまいりまして、現在では日本電子機器メーカーの実力が大変ついてまいりまして、技術的にも非常に高いレベルに達しておりますので、今回は日本メーカーの方だけに具体的な建設の提案計画というのを出していただく資格を与えるということで、たまたま日本メーカーの六社にお誘いをかけまして、そのうち相手方三つのグループになって今度提案してきているということでございまして、一般的にはバッジにつきましてはそういうことでございますけれども、ただ、先生のおっしゃいます秘密等の関係につきましては、さっき申し上げましたように、契約条項で私どもは縛っておるので、特に合弁会社を排除するというようなことは、そういう必要は特別にないんじゃないかというふうに考えておる次第でございます。
  73. 山田譲

    山田譲君 それでは、防衛産業の問題について最後に通産省にお伺いしたいんですけれども、防衛産業というものが今後どういうふうに日本全体の産業政策の中でその位置づけをしていくか、こういう基本的な考え方について通産省のお考えを聞いておきたいと思うんです。
  74. 坂本吉弘

    説明員(坂本吉弘君) 防衛産業のあり方についての通産省の基本的な考え方ということでございますが、先生御承知のとおり、防衛産業と申しますのは、他の産業とやはり少し性格の異なったところがございまして、まず一国の防衛産業のあり方、その規模、形態といったものは、当該国の防衛政策によって基本的に位置づけられるんではないかと、こういうふうに考えております。したがいまして、わが国防衛産業のあり方といったものは、わが国の今後の防衛政策というものと密接不可分の関係があるということでございまして、わが国のその防衛政策を支えるいわば生産の基盤ということで、と申しますか、それの十分防衛政策の目指すところを果たし得るような基礎が確立されている必要があるだろうと、こういうことでございます。そういう一定の規模なり形態といったものが、防衛政策の中から基本的——そこに基本を置いて定まってくるものでございますから、その中において、ただいま先生るる御指摘のように、いかに競争性を確保し、かつ効率的に防衛の装備体系を供給し得るかということにその責務があろうかと考えております。  なお、先ほどから御議論がございましたように、輸入国産かといった問題につきましては、私どもといたしましては、一国の装備体系というものは、可能な限り自国の技術体系及び工業力水準を基盤にして装備されるべきものと、かように考えておりますが、その都度個々の装備品がどういう形態で調達されるかという点につきましては、それぞれの分野における防衛政策上の要請と、またそれに対応し得るわが国防衛生産の供給可能性という点を個々に判断して決定してまいらねばならないのではあるまいかと、かように考えております。  なお、先ほど御指摘もございましたように、わが国防衛産業をめぐる問題として一つの重要な問題は、先ほども御指摘のありましたように、武器輸出の三原則及び政府統一見解というのがございまして、国際的にわが国武器が国策と別に諸外国に売りまくられるということは、わが国としてこれを慎んでいくという枠がかぶっております。したがいまして、そういった防衛政策及びわが国の国策という枠の中で効率的に装備体系を供給していくものと、こういうものがわが国防衛産業の基礎になるのではないかと、かように考えておるわけでございます。
  75. 山田譲

    山田譲君 最後に、防衛施設庁にお伺いしたいんですが、時間がありませんから端的にお願いしたいんですが、群馬県の相馬ケ原の演習場が足りないということで、さらに八万平米ばかり伊香保町の町有林を借りようとしている話があるわけでありますけれども、この話が事実かどうか、その目的は一体何か、その契約する時期が一体いつごろになりますかと、これについて具体的にお伺いしたいと思うんです。
  76. 上野隆史

    政府委員(上野隆史君) 群馬県の伊香保町の町有林山林約七万九千平米、これにつきましては陸上自衛隊の訓練用地として借り上げたいと考えております。昨年来町当局の意向を非公式にではございますが、現地部隊等あるいは現地の施設事務所等を通じまして打診をしております。  この町有地は、御承知のように、相馬ケ原の演習場がありますが、そこから約十五キロメーターぐらい離れたところにあります。そして、その相馬ケ原演習場を使用する部隊の集結地として、あるいは相馬ケ原演習場との間の通信訓練等の用地として使用したいと考えております。
  77. 山田譲

    山田譲君 時間ですから最後に一つだけ。  実は同僚のある国会議員の人がその問題について、去年の十二月十三日かなんかに施設庁の方にお伺いしたところが、そんな事実は全然知りませんと、そんな事実があるんなら逆に教えてもらいたいくらいだと、こういうことを言ったというんですね。教えてもらいたいというふうな、そういう失礼なことをどうして言うのか。しかも、お話聞いていれば、もうすでに話がずっと進んでいる段階で施設庁の人がそういう返事を——しかも正式に政府委員室を通じて資料を求めたら、それに対して電話でもって、そんな話があるんなら逆に教えてもらいたいくらいだというようなことを言うのはまことにもってけしからぬ話だと思うんですが、これどう思いますかね。とぼけているじゃないか。
  78. 上野隆史

    政府委員(上野隆史君) これは、まず当初、現地の部隊と町当局との間で現にいろいろ話が続いておりまして、施設庁の方にバトンタッチする時期というのがあるわけでございますが、そこの間で何らかのそごが、私どもの間の中の連絡が不十分であったと、係官にまで至る連絡が不十分であったかと存じます。そういうようなことで、それが起因いたしましてそのようなまことに失礼な事態に立ち至ったかと存じますが、この点につきましては十分に反省をしてまいりたいと存じます。  ただ、現に現地の部隊でこれは施設庁を通さずに、五十六年の夏でございましたか、それぞれ一、二日間、二、三回程度その町有林をお借りして訓練をしたことがございます。その時点におきましては、必ずしも防衛施設庁の方に部隊との間で連絡が密にいっておったかどうかという点につきましては、いささか自信がないわけでございますが、そのようなことが起因して、そういうような事態になったんではないかと思っております。
  79. 山田譲

    山田譲君 最後に一言だけ、返事は要りませんから。  知らないなら知らないとはっきり言ってくれればいいんであって、こっちが教えてもらいたいくらいだというようなことを、人をやゆするような言い方はけしからぬと思うんですよね。特に今後注意していただきたいと思います。  これで終わります。
  80. 本岡昭次

    本岡昭次君 私は、新規高等学校卒業者に対する自衛官の募集活動について質問をいたします。  最近、防衛庁が行っている新規高等学校卒業者に対する自衛官の募集求人活動は、新規高等学校卒業者の求人秩序を乱す不当なものになっていると私は見ています。防衛庁長官の責任を指摘するとともに、五十八年三月の、来年度ですが、求人業務について、求人秩序を乱すことのないよう防衛庁がその業務を行うことをここで求めたいと思います。以下、防衛庁のその求人活動がどのように一般的な求人秩序を乱し、不当なものになっているかということを、幾つかの事例を申し上げて指摘をいたします。  日本教職員組合が一九八一年九月末現在をもって自衛官の隊員募集の状況を各県抽出で行っております。三年生の男子二〇%程度を対象に調査をいたしております。その回答は二十三都道府県に及び、その調査実数は四百七十五校、この数は全公立高等学校数の一〇%に当たります。そしてまた、調査生徒数は五万八千二百六十六人、この数も公立学校に在学する三年生の二〇%に相当するわけであります。そして、その中で自衛隊の入隊勧誘を受けた生徒数が二七・一六%ということになっており、その数は一万五千八百二十七という数字が出てきているわけなんですが、私は高校生に対する自衛隊勧誘問題について大変不当な、そして求人秩序が乱されている事実があるということを以下申し上げるわけですが、まず二点について申し上げてみます。  まず、その第一点はその時期であります。  この調査によりますと、三月の段階から勧誘が行われております。四月、五月、六月、七月、八月、九月と。三月と言えばこれはまだ高校二年生の段階であります。しかも、異常なのは、この三月の段階で大阪、三重、神奈川、そうしたところで相当数行われておりまして、一番問題であると思うのは大阪であります。大阪の調査によると、勧誘を受けたという生徒のパーセントが三月段階で一二・四%、四月で一二・五%、そして五月、六月、七月は一〇%、一〇%、一一%と下がっていくわけです。またもう一つ異常な形で勧誘を受けているのが宮崎県。これはもう四月が三四・二%、五月が二八・四%、以下六月、七月、八月とだんだんと少なくなって一二%、一一%、一〇%、九月になると三%と、このようになってまいります。一体三月の段階から、そしてまた四月——高等学校の三年生になったその段階から、自衛隊が自衛官になってくれという勧誘をさまざまな方法で高校生にやっていいものかどうか、これはもう常識で考えても高等学校の教育そのものに対する介入でもありますし、教育活動そのものがこのことによって非常に大きな影響を受ける。そういう意味で、いかに自衛隊といえども私は不当であると、このように思います。  それから、その方法でありますが、文書送付あるいは自宅訪問、電話、街頭、さまざまな方法で行われております。その中でも一番多いのが自宅訪問四四・四%、文書送付が三七・八%、非常にパーセントは少ないけれども問題があると思うのは街頭による勧誘九%、このようになっています。しかも、大阪府で調査の結果上がってきましたこの街頭問題というのは、大阪府内の調査の六八・八%の生徒が街頭で勧誘を受けたと、このように言っているわけなんです。一体どのように大阪府内の各駅頭あるいは繁華街等でもやって、高校生に対して自衛官にならないかという勧誘活動を行っていくのか、どう考えても理解のできないことがここに起こっております。自宅訪問についても、新潟県、高知県、大分県、こうしたところが非常に高いパーセンテージをそこに示しておるのであります。この自宅訪問という求人方法は、労働省が求人活動の秩序を保つために、特に高校生についてはその学校教育そのものを正常に維持していくためにしてはならないという、禁止をしているこの求人活動であるわけなんですが、それが堂々とこのようにやられている。街頭——これはもう論外だというふうに私は考えます。しかもなおこの日教組の調査にはありませんが、佐賀県の高等学校教職員組合が独自に調査した中身も私のところにあります。それによると自衛官にならないかといって勧誘される、勧められるその回数が大変な内容になっています。一回勧誘された、これは昔通だと思うんですが、佐賀県の場合、五千三百六十三人が回答を寄せて、そのうちの、一回は九百十九名、二回が三百二十四名、三回が百三十二名、四回四十八名、以下ずうっと続くんです。十一回以上というところまであります。十一回以上十二人。一体十回、十一回それ以上勧誘するというのは、どういう状況がそこに起こっているのか。私は大変なことだと思うんですよ。四月から九月まで十二回の勧誘をやろうと思えば、どういうことになりますか。毎月二回ないし三回自宅訪問か電話か何かをやっておらなければならない。これが異常でなくて正常な自衛隊の勧誘業務、求人業務、それが防衛庁長官の指示によって、陸幕長の計画に基づいてこういうことがなされているとしたら、私は大変なことだと思うんです。この事柄について防衛庁長官の、私は明確なる責任という立場から答弁を、まずいただきたいと思います。
  81. 伊藤宗一郎

    ○国務大臣(伊藤宗一郎君) 自衛官募集につきましての防衛庁としての基本的な立場について申し上げたいと思います。  まず、自衛官の募集につきましては、一般の国家公務員や地方公務員と同様、職業安定法の適用を除外されておりまして、自衛隊がみずから募集を行うことは当然のことであると考えております。  さらに先生からいろいろの御指摘がございましたけれども、募集方法に行き過ぎがあるのではないかということでございますが、新規高校卒業予定者に係る自衛官の募集につきましては、基本的には学校を通じて学校の協力のもとに行うことが望ましいと考えております。しかし、残念ながら学校側における御協力が十分でない場合もございまして、自衛隊が直接に募集広報を行うこともやむを得ないというのが現在の実情でございます。しかし、防衛庁としては本来の趣旨に基づきまして、今後とも学校の御理解と御協力が得られるよう、さらに誠意を尽くしまして、各学校当局に働きかけてまいりたいと考えております。  また新規高校卒業予定者の選考開始期日等につきましては、文部省、労働省両省の御依頼の御趣旨を十分尊重いたしまして、試験選考は十月一日以降に実施をしているところでございます。  また自衛隊は年間二万人を超える新規隊員を募集しているわけでございまして、できるだけ良質の隊員を確保するためには、新規高校卒業予定者に対しまして、適正な募集努力を続けていかなければならないわけでございまして、こういう立場にあります防衛庁の自衛官募集の現状に対しまして、御理解と御協力を賜りたいと念願をしております。  なお、いろいろの御指摘の点につきまして、お答えできなかった点につきましては、政府委員から補足答弁をさしていただきたいと思います。
  82. 佐々淳行

    政府委員(佐々淳行君) お尋ねの自衛官募集の問題についてお答え申し上げます。  自衛官の募集は、先ほど長官御答弁申し上げましたように、自衛隊法によりまして法的な権限が与えられておるわけでございますが、先ほど御指摘の文部省初等中等教育局長と労働省職業安定局長の連名によりまするところの通達、たとえば昭和五十六年の三月二十六日にちょうだいいたしました「昭和五十七年三月中学校高等学校新規卒業者の就職のための推薦及び選考開始の期日等について」という通達を私どもは遵守をいたしまして、高等学校の新規卒業生につきましては募集広報の開始を、七月一日に高等学校訪問、それから七月十五日以降に受け付け等の開始、そうして十月一日以後に選考試験を開始すると、こういうお申し入れの趣旨にのっとって実施をしておるところでございます。ただ、年間二万名を超える十八歳以上二十五歳未満の二等陸・海・空士の採用につきましては、これは必ずしも新規高校卒業生ばかりを対象といたしておりませんで、年間三百六十五日やっておるわけでございます。それで、その三百六十五日募集を行うための一般的な広報活動は、この新規高校生とは別に常時行われているわけでございます。したがいまして、新規高校卒に関しましては、先ほど大臣御答弁申し上げましたように、この通達の趣旨にのっとって——この通達の趣旨と申しますのが二点ございます。御承知のように第一点は、選考開始あるいは受け付け開始の時期の遵守、もう一つは、差別的な選考をしないことと、この二つでございます。この通達は、主として民間企業の就職秩序確立のために行われているものでございまして、国家公務員、地方公務員並びに特別職届家公務員である自衛官は、直接的にはこの対象外でございますが、協力申し入れがございますので、その趣旨を体し行っておるところでございます。  また先ほど先生ちょっと三月、四月に非常に勧誘が多いというお話でございましたが、日教組の資料によりましても、三月は一・八%と、むしろ八月の学校の休みのときに三二%、こういう数字が出ておるようでございます。三月、四月に新規卒業生に対しまして勧誘が行われたとすれば、それは自衛官になるには防大であるとか、あるいは幹部候補生コースであるとか、あるいは航空学生であるとか、いろいろなコースがあるよという説明をしておる一般広報ではなかろうかと存じます。
  83. 本岡昭次

    本岡昭次君 自衛隊が職安法から除外をされて、自衛隊法に基づいて求人をやっているということは百も承知の上なんですよ。だからといって、先ほど私が言ったような、一方に関係者が集まって秩序立てようとしている新規高卒者の求人活動を自衛隊が何をやってもいいということにはならないでしょうということを防衛庁の長官に言っているわけなんですよ。三月の求人が一・八%で少なかったらいいというものじゃないでしょう。取り消しなさいよ、いまの発言は。
  84. 佐々淳行

    政府委員(佐々淳行君) 日教組の資料に出ております一・八%というのは、勧誘を受けた生徒数でございますが、先ほど申し上げましたように、十八歳以上二十五歳の者を対象に一般的な広報——募集広報ではございません。募集ではなくて、自衛隊というのはこういうものですという広報を行っておりますので、その関係でそういうパンフレットが行ったり、ダイレクトメールが行ったことがあるであろう、こう申し上げておるのでございます。
  85. 本岡昭次

    本岡昭次君 そうすると、まず私の言った、募集方法としては、自宅訪問あるいはまた街頭、電話、文書、そうした方法で行われているということと、それは求人活動ではないんだから、年間通じて高校生にも無差別にそういうことが行われているという事実は認定してもいいんですね。
  86. 佐々淳行

    政府委員(佐々淳行君) 求人のための広報活動、すなわち求人のためのパンフレット等には、新規高校卒業生は労働省、文部省の通達に決められた開始時期以後に行いますということが明示されております。また、三百六十五日やっておりますのは一般広報と申し上げましたが、七月十五日の受付解禁時期以後は新規高校卒業生に対しましても間接的、直接的に募集活動を行っております。
  87. 本岡昭次

    本岡昭次君 私の質問に正確に答えてください。私は、自宅訪問、街頭、文書あるいは電話、こうしたことが、あなた方は求人活動でないと言っているんだからそれでいいでしょう。広報であろうが、勧誘活動であろうがいいです。そういうことが高校生に対して行われているという事実は認めたんですねと言っているんです。
  88. 佐々淳行

    政府委員(佐々淳行君) 両省の共同通達の解禁日以後は行っております。
  89. 本岡昭次

    本岡昭次君 そうすると、私が先ほど述べたのは三月から行われているというんです。あなたの言っている解禁というのは七月、あるいはもう一つは十月という節がありますが、そうすると、三月、四月、五月、六月に行われている自宅訪問、執拗なまでの自宅訪問、文書活動、街頭の勧誘、これは募集計画あるいは広報活動、勧誘活動の中に入っていないということですね。七月以前はやっていないはずだとおっしゃるんですね。
  90. 佐々淳行

    政府委員(佐々淳行君) 再々申し上げておりますように、三月、四月にも一般的な広報活動は行っております。その中に、自衛官になるにはこういう道があるという項目が入っておることは事実でございますが、いまおっしゃいましたように、無差別な家庭訪問等をどんどん秩序を乱して行っているということではなくして、家庭訪問をいたします場合も、本人が希望しているけれども両親が反対しておるとか、逆に両親は賛成だが本人は反対しておるとか、いろんなケースがございます。また、紹介者があって訪れるということもございますが、そういう無差別に、アトランダムに押しかけておるということではなくて、何らかの紹介者なり、つてを求めて、自衛隊の一般的な御説明には伺っておる。ただし、募集のためにおいでいただきたいという勧誘は、この通達の趣旨を尊重いたしまして、受付開始あるいは試験開始の期日以後に行っておる、こういうこととして御了解いただきたいと思います。
  91. 本岡昭次

    本岡昭次君 防衛庁長官、いま事実に反することを言っていますよ。しかし、これは水かけ論ですからどうしようもない。だから、来年度の募集活動に、果たしていま私の言ったようなことが、同じことが三月の段階から行われるかどうか、これは事実でもってこのことの決着をつける以外仕方がないと思います。  そこで、防衛庁長官、あなたは求人活動の責任者ですからね。私が先ほど言いましたように、自宅訪問とか、あるいはまた文書活動、あるいはまた街頭、電話、さまざまな方法でもって三月の段階から勧誘活動が行われ、しかもその回数が十二回以上もされたというふうな報告がそこにあり、しかも、四月から、あるいは二年生の段階からそれが行われているというそのことは、仮に自衛隊はなるほど職安法の適用除外を受けているにしても、自衛隊以外の地方公務員も国家公務員も、また一般の職安法適用の各企業も、それぞれ先ほど言ったような求人秩序を守ろうとそれぞれが努力し、協力し合っているのに、ひとり自衛官募集をやる防衛庁のみが勧誘という名によって何をやってもいいということにはならない。おのずからそこに自制というものがありましょうし、一般的に形づくられようとしている秩序、それに防衛庁も合わしていこうとする努力、それがなければ、あなた方が言われる国民の自衛隊なんということじゃなくなる。無法きわまる自衛隊、こういうことになりかねぬと思うんですよ。だから、防衛庁長官として、今後の高校生の募集、勧誘活動について、いま私の言ったような、そういう実態は今後の募集活動の中にはとらない、そういうことについて内部で十分検討する、こういう御答弁をひとついただきたいんですが、いかがでしょうか。
  92. 伊藤宗一郎

    ○国務大臣(伊藤宗一郎君) 基本的な立場は、私が先ほど申し上げたとおりでございまして、その補足として政府委員から申し上げました。いま先生お話しのとおりの御趣旨も私はまことに同感でございまして、どんな物事でも行き過ぎなり、そういうことはあってはならないわけでございまして、それらの点につきましては、いま先生のお言葉にもございましたとおり、入っていただく自衛隊が国民の理解と協力なしには、本来の目的を達せられませんので、そういう国民の理解なり、協力が得られますように、また、あくまでも学校を通して、学校の協力なり理解のもとに自衛官の募集が行い得るように、そういう環境づくりのためにぜひ努力をしながら、先生の御発言の趣旨も踏まえまして、鋭意募集方法の正当なやり方につきまして十分検討してまいりたいと思います。
  93. 本岡昭次

    本岡昭次君 いま少し掘り下げてみたいんですが、もう一つの問題を持っておりますので、きょうはこの程度で、いま防衛庁長官のお話しになったその事柄が具体的にどのように来年度の自衛官募集について誠意が見られるか、これから見守って、改めてまたその問題については追及さしていただくことにします。  次の問題は、ナイキJ基地の問題でございます。五三中業の中で航空自衛隊が三田を含む京阪神地帯にナイキ基地を設置し、ナイキJを六個高射群二十高射隊とするために予算化されていた土地購入費ですね、五十五年度の。この処理はどのようになりましたか。
  94. 上野隆史

    政府委員(上野隆史君) これは不用に立てでございます。
  95. 本岡昭次

    本岡昭次君 五十七年度予算には計上されているんですか、いないんですか。
  96. 上野隆史

    政府委員(上野隆史君) 計上されてございません。
  97. 本岡昭次

    本岡昭次君 五三中業は、昭和五十五年から五十九年までを定めたものでございますが、このナイキ基地を一部隊増設して、京阪神地帯の防空体制を強化するんだという事柄については、今後五三中業の中ではどのようになるのですか。これは五三中業の中に、一つの設備関係の中で新しく設置すべき項目になっていたと思うんですが、その点はいかがですか。
  98. 塩田章

    政府委員(塩田章君) 御指摘のように、五三中業で京阪神地区にもう一個高射隊をつくりたいという希望は持って劣りましたが、諸般の事情が整いませんで、この見通しを得るに至らず、昨年の衆議院の予算委員会でしたか、その点につきましてはナイキJの配備につきまして打ち切りという意味のお答えをしたことがございます。現在その後の私どもの考え方といたしまして、いま五三中業で引き続きまだ考えているのかという御趣旨でございましたが、この問題は実はナイキJの後継の問題がございまして、SAM−Xを今後どう考えていくか、どういう種類のものを採用し、またその採用に伴って新しい構想のもとに防空体制というものをどう考えるかというようなことが差し迫ってまいっておりますので、一たんナイキJにつきましては考え方を中止いたしまして、次期のSAM−Xとの関連の中でこの問題は考えていきたいというふうに考えております。
  99. 本岡昭次

    本岡昭次君 いますイキJの後継の問題について答弁がありましたが、それではナイキJの後継、ナイキJの後を継いでいく新しいナイキの機種というんですか、それはどういうものがいま考えられているんですか。
  100. 塩田章

    政府委員(塩田章君) 候補として考えられておりますものは、一つアメリカが開発しておりますパトリオット、もう一つは新しくわが方で開発いたしたい、研究いたしたいと考えておりますナイキフェニックス、このいずれかが具体的には考えられる。そのほかの機種もあるいはあるのかもしれませんけれども、現実の問題としてはその二つのいずれかということで、現在調査、研究をしておる段階でございます。
  101. 本岡昭次

    本岡昭次君 そのパトリオットとフェニックスといういま名前が出ましたが、これは日本国産ということになるんですか、それともアメリカならアメリカからそれを輸入するということになるんですか。
  102. 塩田章

    政府委員(塩田章君) まだ選考、決定前の段階でございますから、将来のことまで申し上げるのはまだ早いわけでございますが、パトリオットにつきましてはもともとがアメリカの製品でございまして、これをもし採用するとなれば、ライセンスになりますか、あるいは輸入になりますか、そういった問題は将来の課題になります。それからナイキフェニックスは、これは研究自体がわが国がやろうとしておるものでございまして、もしこれを採用ということになれば、いずれにしても何らかの形でわが国生産をするということになろうかと思います。
  103. 本岡昭次

    本岡昭次君 それで、現在の状況でナイキJの基地をつくろうとすれば、土地の購入費を別にして、どの程度の費用があればナイキJの高射砲隊一隊を設置できるのか、それがいまおっしゃったナイキJの後継のパトリオットとかフェニックスとかといったものになってくると、その費用関係は概算でどのようなことになるのか、よければひとつ説明していただきたい。
  104. 塩田章

    政府委員(塩田章君) いますイキJの基地をつくる場合の経費というふうなお尋ねでございましたが、先ほども申し上げましたように、ナイキJは今後基地をつくる計画はもうございません。SAM−Xのどちらかになった場合に、どういう基地をどこにどういうふうにつくるかという問題になろうかと思いますが、いま申し上げましたような、まだ機種選定の段階でございまして、経費についてまで、特にまた基地の経費についてまでまだ考えておりませんので、ちょっと申し上げることはできない状況でございます。
  105. 本岡昭次

    本岡昭次君 それでは、現在五六中業を策定し、そしてそれを具体化する段階に入っているんじゃないかと思いますが、五三中業の段階では、全国に六個高射群、そして二十高射砲隊を配備するということで進んできた、しかし現在は十九高射砲隊しかない、その一つ不足しているのが京阪神地帯の一高射砲隊である、このようになっているわけですね。だから五三中業ではそれを増強したいということでしたが、いまのように事情があってそれは設置できなくなったと、そしてもうナイキを今後増強するということは考えていないということでもありました。  そこで、五三中業のときに考えられた京阪神地帯の防空体制をするために一つの高射砲隊が必要であるということであったんですが、そのナイキ基地をつくることの必要、不必要とは別に、もう一つ防空体制を整えるために京阪神地帯に一高射砲隊が必要だというその事柄については、その五六中業の中ではどのように論議をされていっているんですか。
  106. 塩田章

    政府委員(塩田章君) 五三中業におきます時点での御指摘は、いまお話しになったとおりの状況でございました。それで、五六中業で今後その点がどうなるかということでございますが、いま申し上げましたように、機種の選定そのものがまだ進んでいない。若干まだ時間がかかる状況でございますので、それを五六中業の中でどこまで進んで、どこまで整備計画として入るかということ自体が、何といいますか、まだ検討中の段階でございまして、どうなるかもまだわかっておりません。したがいまして、五六中業で仮にSAM−Xの選定作業を行い、かつそれが装備化されていくというような段階までいくものかどうかがまだ検討中でございます。そういう状況でございますので、いまのお尋ねのように具体的にその場合に京阪神地区の防空体制がどうなるだろうかというようなことまで実はまだ検討に入っていないというのが実情でございます。
  107. 本岡昭次

    本岡昭次君 くどいようですが、いまの問題を整理さしていただきます。  五三中業の中では京阪神地帯のどこか一カ所に高射砲隊一部隊を増強しようということで進んできた。しかし、諸般の事情があってその基地をつくることは中止した。それはナイキJ基地であったと。そこで五六中業の段階へ進んでいく場合には、もうすでにそのときはナイキ基地、ナイキJという機種ではない、新しい機種をこれから検討をしていくんだということ、そこまではわかるんですね。しかし、そのときにナイキJの場合は京阪神地帯にもう一カ所必要であった。しかし、新しい機種の場合にはその必要性の方もまだわからぬと、新しいものができた場合に二つ可能性があるわけですね。引き続いて京阪神地帯のどこか一カ所に新しい機種のものをもって高射砲隊をそこに設置しなければならないとするのか、いや新しい機種であるから現在ある京阪神地帯を守っていると言われている三つ、現在あるその三つでそこがカバーできるとなれば、その一つはなくなると、こういう想定の問題になってこようと思うんですが、私が尋ねたいのは、京阪神地帯に一地帯増強するという事柄は今後も引き続いて、新しい機種がどうなろうとも、この問題は引き続いていかれる事柄であるというのかどうかという点なんです。
  108. 塩田章

    政府委員(塩田章君) 私どもがナイキJの中止をいたしましたのは、京阪神地区の防空体制があれでいいと思ってやめたわけではないわけで、別の事情でございますから、防空体制について今後検討していかなきゃいけないという気持ちは変わっていないわけです。その場合に、やはりナイキのときと同じように、一個隊よりさらに要るのかどうかということにつきましては、今度の新しい機種の性能でありますとか、いろいろのことを考えながら決めていかなくてはいけないということになります。その場合に、私たちの気持ちとして京阪神地区に現在のナイキJの体制においては防空体制上欠陥があると思っておることは事実でございますから、そのことは十分含めて今後のSAMIXの選定に合わせてその辺は十分検討していく必要があるというふうにいま考えているわけであります。
  109. 本岡昭次

    本岡昭次君 そうすると、五六中業の方にも引き続いてそのことが検討されるというふうに理解をしていっていいわけですね。  そこで、五十五年の防衛白書によりますと、「ナイキは、昭和三十七年度に運用を開始したが」からずっと始まりまして、「開発後二十年以上を経過した本システム」、で、いまおっしゃったように、もう新しいものにかえにゃいかぬということなんですね。そこで、その防衛白書の方にはこう書いてあります。「最近の航空機に対しては要撃能力が相対的に低下しつつあるので、近代化が必要となっている。このため、次世代の地対空誘導弾システムについての調査、研究を実施している。」と、こういう防衛白書が出ているんですが、この地対空誘導弾システムというものを新しいものにしていくんだというふうに私は理解をするんですが、いまおっしゃったナイキJにかわって新しい機種をそこに導入するんだということとは別に、ここに「次世代の地対空誘導弾システムについての」と、こう入っているわけですね、この「次世代の地対空誘導弾システム」というのは一体いかなるものを指しているんですか。
  110. 塩田章

    政府委員(塩田章君) 具体的に言えば、先ほど申し上げましたパトリオットとか、またはナイキフェニックスか、いずれかの選択をいま、いずれ将来考えていかなきゃならないと思っておりますが、具体的にはそのいずれかを指しているというふうに御理解いただきたいと思います。
  111. 本岡昭次

    本岡昭次君 そのときに、ナイキJの後継というんですか、そういう言葉であるならば、機種の問題としてわかるんですね。しかし、ここに書いてある言葉は「次世代の地対空誘導弾システム」と、こう書いてあるんですよ。システムというと、その機種がかわるということだけじゃなくて、地対空の迎撃というんですか、何かその仕組みがナイキJの能力をもっと拡大した大きなシステムにかえていかなければならないという意味がこの防衛白書に書かれてあるのではないかと私は判断するんですが、違うんですか。
  112. 塩田章

    政府委員(塩田章君) お尋ねの趣旨はわかりましたけれども、具体的にシステムという言葉に意味がないというわけではございませんけれども、このシステムというのは、現在のナイキでも一つのシステムの中で動いているわけです。ですから、そのナイキにかわる次のSAMiXもやはり新しいシステムの中で機能を発揮するということになろうかと思います。ですから、要するに現在のナイキの世代より、次の一つ新しい世代のものを今後採用していくという趣旨のことでございまして、ここへシステムという言葉が入っているから、全然地対空誘導弾という以外の任務もあわせ持った何か別のシステムというふうな、そういうものではございません。
  113. 本岡昭次

    本岡昭次君 そこで、いまシステムという言葉が出ましたが、ナイキJ基地にもこれはそのシステムのようなものがこうありまして、それは主なものはレーダー網があるわけですね。私の持っている資料に出ているナイキ基地を構成するレーダーなんですが、目標を捕捉する、それから目標を追尾していく、それから距離を測定する、またナイキJ、ミサイルそのものを追尾していく、この四つのレーダーというものがナイキ基地にある。このレーダーそのものはいま言いましたナイキJそのものを取りかえると、新しい機種に、パトリオットとかフェニックスとかというふうなものに取りかえた場合、いま言いましたレーダーサイトというのですか、それはいままでのままで使えるのか、また新しい能力を持ったレーダーサイトがそこにつくられるのか、この点はどうですか。
  114. 塩田章

    政府委員(塩田章君) それは別にお考えいただきたいのですが、いま先生が御指摘のような捕捉する、あるいは追尾する、あるいは距離をはかる、そういうレーダーは一つの高射隊の中で、つまりナイキの、いま話が出ました基地なら基地の中でそういうレーダーを持っております。そして、全体が一つのシステムとして動いております。今度、仮にパトリオットになれば、当然パトリオットとしてのそういうシステムが一そろい備えられることになります。  いま先生が最後におっしゃったバッジとの結びつきは、これはもっと大きく見れば、レーダーサイトからの捕捉なり、それから戦闘指令所の方を通じて各ナイキ部隊に指令が来ると、こういう一つの大きなシステムが別にありまして、その中でナイキ基地の部隊は動いているわけです。そういう大きな意味の、レーダーサイトと結びついた意味のシステムというのはまた別個に——別個といいますか、現在でもあるわけですが、それを取りかえるかどうかというのは、別途いま問題になっておりますバッジシステムの切りかえの問題でございまして、これは私ども大きな一つのテーマとして近く取りかかりたいと思っておりますが、いま個々のナイキの基地、今度パトリオットになるか、ナイキフェニックスになるかわかりませんが、その個々の基地にいま先生がおっしゃったような意味のレーダーももちろんあって、それは今度パトリオットになれば、パトリオットと一緒に一つのユニットとして入ってくると、こういうことになるわけでございます。
  115. 本岡昭次

    本岡昭次君 そこで、いまバッジシステムの問題にやはり関係してくるんですが、そうすると、そのナイキJの基地、あるいは新しく選ばれた機種の基地になったという場合に、その周辺測定レーダーというのですかね、弾道弾の上昇誘導というのですか、上昇弾道そのものを捕捉する能力を持つレーダーがバッジシステムの大きな意味を持っていると、こう思うんですが、それとの現在ある高射砲群、あるいは隊の中にあるレーダー網との関係はどうなるんですか。
  116. 塩田章

    政府委員(塩田章君) もしバッジが切りかえられるといたしますと、レーダーサイトで目標を捕捉したものが、その情報が指令所の方に報告されるわけですが、その受けた指令所はそれを要撃戦闘部隊で要撃するか、あるいはナイキ部隊をもって、地対空部隊をもって要撃するかという振り分けをいたします。そうしますと、ナイキ部隊ならナイキ部隊の方に指令が来ます。それを受けましてナイキ部隊の方で、いま自分で持っている今度はレーダーで相手を捕捉し、追尾しながらこれを迎え撃つと、こういうことになるわけでございます。
  117. 本岡昭次

    本岡昭次君 そうすると、いま五三中業から五六中業に向けて防衛力の増強そのことが防衛計画の大綱の水準に近づけるんだということで、いろんな装備が強化されていくわけで、当然このナイキJを新しい機種にしていくというのもその中の一つであろうと思うんですが、先ほど私の質問についてまだ未定のものだからどのようになるかわからぬということでございましたが、しかし、現にナイキJの基地が全国で十九高射砲隊として存在をして、それを全部新しい機種に切りかえていくその費用も大変なものだと思いますし、ナイキJがパトリオットにかわるということとあわせてレーダーの性能そのものも非常に高いものになって、アメリカとの関係において、そのレーダー基地そのものの方がより日本の防空能力というんですか、そうしたものについて威力を発揮をするという事態に変わっていくと、こう見ているんですが、ナイキJそのものを現在維持管理している状況から、その十九高射砲隊すべてがそうした新しいシステムに変えられていくという、これは大変なことだと思うんですが、それにかかわる費用、お金、そしてそれがどういう機能を持つのかという問題について、いまひとつ詳しくこれは国会の中に報告し、そして国会の理解と了解を得ていくということが必要ではないかと私は思っているんですが、単に機種を新しいものにかえるということでなくて、費用の面からも、あるいはその持つ能力の面からも、非常に重要な意味を持ってくるんではないかというふうに思うんですが、その点についていかがですか。できればどれだけの費用が全部組みかえていくために要るのかという、その大まかなところでいいから、このぐらいかかるんじゃないかということぐらいひとつ言っていただきたいんですが、いかがでしょうか。
  118. 塩田章

    政府委員(塩田章君) わが国のSAM−Xを今後整備していくに当たりまして、国会等にも御報告申し上げながら御理解をいただいていかなければいけないことは当然でございまして、そのように考えておりますが、具体的には先ほど申し上げましたが、五六中業自体でまだどこまで入っていくかもわからない状況でございます。  いまの時点で申し上げますと、五十七年度予算でパトリオットとナイキフェニックスの調査研究費をお願いいたしております。これを五十七年度で終わりますれば、五十八年度以降にその成果を踏まえまして、いずれかを選択する、あるいはさらにもっと詳しく調査が必要ということも起こるかもしれませんが、いずれにしましても五十七年度の調査を踏まえて今後の方針を決めていくということになろうかと思います。そうしました場合に、実際の整備計画に入りますのは何年ごろになるのか、大分先のことになるのではないかと思われますので、今度の五六中業で具体的な整備目標として、整備計画としてどの程度まで入っていくかというのは、いまの時点全くわからないと申し上げるのが実情でございます。したがいまして、整備計画そのものも、それから金額の点におきましても、これはいま何とも申し上げられるような段階にないというのが実情でございます。  どういう機能かというような点につきましては、いずれにしましても現在のナイキがもう二十年近く使っておる装備でございまして、現在の時点でいろいろな軍事技術の発達といった情勢に対応し切れないでいるということは事実でございますので、その点は今後のいろいろな軍事技術の発達の趨勢といったものにマッチしたものに考えていく必要があるという意味で、今回の研究をしておるということは申し上げられますが、いま申し上げましたような段階でございますから、具体的な計画、大まかにでもとおっしゃいましたが、費用にいたしましてもいまちょっとどのくらいであろうというようなことを申し上げられるような段階ではございません。
  119. 本岡昭次

    本岡昭次君 それでは最後に、ABMシステムというのですか、弾道弾迎撃システムという、一つのナイキJ基地というものの持つ機能を最高度に高めれば、そうした弾道弾迎撃システムというものになっていくのではないかという説もあるし、現にABMシステムというふうなものが具体的に存在しているというふうなことを聞くのですが、その現在防衛庁としてこのABMシステムというふうなものがナイキJからどんどん進んでいって、最終的に日本が持つべきシステムと、こういうふうなものを考えているのかどうかという点についてはいかがでございますか。
  120. 塩田章

    政府委員(塩田章君) ABMシステムとおっしゃいますのは、対弾道弾ミサイルだと思いますけれども、それはとてもいまの時点で日本に考えられるような状況にございません。これはアメリカも持っておりません。今後のナイキJあるいはその後継といったような段階で先生考えていくんじゃないかというような御指摘でございますが、とてもそんな状況ではございません。
  121. 本岡昭次

    本岡昭次君 そこで日米協力というふうなことがいろいろ言われているわけですが、最近アメリカが日米の防衛協力の中で、日本列島が一つアメリカ防衛する防波堤というふうな役割りを果たすべきであるというふうな議論があるとかないとかということを新聞等で耳にするわけですが、対中国であったものが、いま対ソ連というふうにアメリカ防衛戦略が変わってきている。しかし、対中国というものも決して忘れていないと思うのですが、そのときにまさにソ連なり、中国なりというふうなものと、アメリカ本土、あるいはまたハワイ、グアム、こうしたアメリカの戦略の要点と、それぞれをこう結びつけていったときに、日本列島はまさに地図の上ではこれは防波堤の役割りを果たしているのであって、そこに日本列島のどこかの場所にABMシステムというものの配備というものが非常に有効性を持つということは、私のような素人でも考えられるわけなんです。だから、いま局長はそのようにおっしゃいましたけれども、アメリカ日本防衛問題を論議し、そしてその対ソ戦略ということを考えていったときに、恐らくそうしたものの考察があるのではないかということを思っていまお聞きしたわけなんですが、もしそのような論議がアメリカから持ち込まれたときに、日本はまさに防波堤になって、ソ連からアメリカ本土に、ハワイに、グアムにICBMが発射されたときに、まず第一に日本列島の頭上においてそれを捕捉し、そしてそれを迎撃するというふうなものをつくることが肝要ではないかという議論が起こってきたときに、これは一体日本としてどういうふうにこれに対応していくのか、これは防衛庁長官いかがですか、この問題。
  122. 伊藤宗一郎

    ○国務大臣(伊藤宗一郎君) いろいろ御指摘がございましたけれども、われわれの防衛力整備の基本方針は、従来からも再三いろんな時点で申し上げておりますとおり、具体的に御指摘のナイキの基地とか、レーダーサイト等々は、あくまでも専守防衛を旨とするわが国にとりまして、周辺空域を常続的に、常に監視をするとともに、空からの侵攻からわが国防衛するために、適時適切に対処するために必要なものとして維持整備をしているものでございます。米国がわが国に応分の努力として期待をしていることも事実でございますけれども、それはわが国自身を防衛するための防衛力の整備充実でございまして、その範囲を超えるような、いわゆる米国の戦略のための防衛力の整備充実ではございません。これまた繰り返して申し上げますけれども、わが国としてはわが国自身の防衛のための防衛力について、米国の期待は念頭に置きながらも、自主的な判断のもとに着実に整備を図っているところであるというのがわれわれの現在の防衛についての基本的な立場でございますので、ぜひとも御理解を賜りたいと思います。
  123. 黒柳明

    ○黒柳明君 江崎さんが一昨日帰ってまいりまして、この江崎ミッション期待どおりといいますか、非常にアメリカからの攻勢は激しゅうございまして、日本に伝えられる分は、日本の弁明、説明よりもアメリカ側の強硬意見の方が大きく反響して伝えられてきたと、こういう感じでございます。  外務大臣、日米間の直接の担当大臣としまして、いまのこのアメリカの貿易摩擦に対する強硬姿勢、それに対する十二月の半ばですか、わが国も経済関係閣僚協議会で五項目にわたっての実行行為、この範囲で江崎さんがいろいろ説明したんですが、これも余り効果がなかった、こういう感触でありますが、いまのこのアメリカの貿易摩擦に対する強硬な姿勢、今後日本の対応の仕方、これは通産マターというものがメインでありますが、外交の当事者として、その感想を含めまして、ひとつ所感をお述べいただきたいと思います。
  124. 櫻内義雄

    ○国務大臣(櫻内義雄君) 江崎ミッションなかなか厳しい環境の中で対米折衝をしてまいりました。わが方としては、黒柳委員のおっしゃるように、昨年の経済閣僚会議以来の対米対策、関税の前倒し、非関税障壁の改廃等いろいろやりまして、これで貿易摩擦の解消について、ある程度の説明、了解がつけられるというような配慮をいたしておりましたけれども、なかなかアメリカの当面する経済情勢は、一般・予算教書でもおわかりのように、大幅な赤字を見ながら防衛努力をする、あるいは減税施策をやると、こういうような中でありますので、江崎団長も各方面の説明に非常に苦労したようでございます。しかし、私はやはり一連の日本側が対策を立てた後でありますから、それに基づいての各方面との話し合いというものは、それなりの効果があったものと思います。しかし、アメリカ側がいままでの対策で満足せず、さらに一層具体的な対策を要望しておるということも事実でございまして、それにつきましては、農産物等の残存制限品目に対しての見解、あるいは新たに投資、サービス、そういうものについての要望というものが幾つか出てまいっておりますので、明日の江崎団長の報告を受けて経済閣僚会議を催しますので、その後その所見に基づいての具体的な対策をさらにいたさねばならないというように受け取っておる次第でございます。
  125. 黒柳明

    ○黒柳明君 当然日米関係というのはぎくしゃくさしちゃならないという基本的な見解は、当然私どもあるわけでありますけれども、鈴木総理が行かれたときには同盟関係という、政府・与党としては、新しい緊密な友好関係を保っていこうと、こういうことで日米関係というものを考えているかと思います。  なかんずく、防衛庁長官、日米防衛問題、安全保障の協力関係というものは、防衛庁にとりましては非常にいい方向に進んでいるのじゃなかろうかと、こう思います。そういう中で、どこの省の所轄と、こういうことではなくて、日米間の問題としまして大きくこういう貿易摩擦、これはボルドリッジ商務長官なんかも、日本で考えると、何をやっていいかは日本で考えることだと、構造的な問題から直していかなければ、これは解決しないと、ただ貿易の項目、あるいは非関税障壁項目を手直ししただけじゃだめなんだと、こういう厳しい意見が出ておりまして、ある新聞紙上には、最後通告ではなかろうかと、こういう見解も述べられております。  片方防衛問題では、私たちはそう思いませんが、政府・与党、なかんずく防衛庁あたりは非常にいい方向に行っている。ところが、いままでの日米問題というのは、どうしても経済と安全保障、貿易と防衛とはこれ絡んで出てきまして、絡ませないというアメリカ側の発言もありましたが、いままでがこれ絡んで出てきている。これからもやっぱり絡んで出てくるとすると、またこういう貿易摩擦から防衛、安全保障問題についてイチャモンをつけられる原因をつくる。防衛庁長官にとりましては、せっかくいい意味で日米防衛、安全保障協力関係が進んでいるのに、どうも今回のこの貿易摩擦はうまくないと、苦々しいと、こう思っているんではなかろうかと、私こう推察するんですが、防衛庁長官としまして、全くこれはもう所轄外のことでありますが、アメリカとしましては、あくまでも日本は経済第二の国だと盛んに言っている。第一の国が失速すれば第二の国がと、その中にはこれ当然防衛問題を排除して考えられない問題でありますので、ひとつ防衛庁長官としまして、いまのこの日米貿易摩擦、どういうふうなお感じをお持ちでしょう。
  126. 伊藤宗一郎

    ○国務大臣(伊藤宗一郎君) 先ほど外務大臣からお話しになりましたような事情でございまして、あす江崎団長からじきじき私ども御報告を承りまして、それからのことになるわけでございますけれども、また黒柳先生の御質問に多少ニュアンスを違えてまことに恐縮でございますけれども、私ども防衛庁といたしましては、アメリカ側のわが国に対する防衛努力についての期待というものは念頭には置きますけれども、あくまでもわが国防衛わが国で決定をし決めていくという、自主的な判断でやるというのが基本的な立場、姿勢でございまして、そしてまたこのことについて若干ニュアンスが違うわけでございますけれども、防衛と経済摩擦は、防衛庁の立場から言うならば、絡ませてはならない、また絡むべきものではないという、そういうスタンスで今後とも防衛力の整備を自主的に、しかもわれわれ自身が掲げた目標に向かって、着実に歩みを進めていくということで進んでまいりたいと思います。
  127. 黒柳明

    ○黒柳明君 アメリカ局長ね、江崎ミッションは対政府同士の話し合いということも当然やったと思うんですけれども、党の代表ということで議会関係工作というのも相当やられたというふうに新聞では見ておりますけれども、十六ですか、議会に提出した相互主義法案。これは考えようによりますと、安倍通産大臣が怒っておりましたけれども、考えようによると中間選挙向けの一つのものかと、アメリカも当然議員がオーナーの地元の選挙区の様子を考えまして、どこの政治家も同じようなパターンで、選挙区向けに対日攻勢をかけていると、こういうことも考えられないではありませんが、いままでにないような、一議員ではなくて、数十名の議員がまとまって攻勢をかけるというのはいままでに例がないような感じがいたしますが、この十六本だと思いますけれども、相互主義法案、これはどうですか、議会関係というのが日本の政府、議会よりも、アメリカ政府、議会というのは、より議会の力というのは強うございますので、この法案の見通しなり、通過するものか、議会関係の力がどれぐらいこういう法案について力を入れていくものやら、そこらあたりの情報はもう刻々つかんでいなきゃならないと思うんですが、そのあたりの感触どうでしょうか。
  128. 深田宏

    政府委員(深田宏君) 私から御報告申し上げます。  相互主義の法案でございます。先生御指摘のように、いろいろな種類のものが出ておりまして、総じて申しますと投資、サービスの分野にも相互主義的な考え方を入れたいということ、あるいは投資、サービスの分野においても外国政府と交渉をする足がかりをつけようというたぐいの系統の法案と、物の貿易自体につきまして相互主義の考えをもっとはっきり打ち出したい。これは御存じのように、通商法の三百一条に、すでに外国が不当な扱いをアメリカの産品に対してしたときには、いわば対抗措置をとり得るという規定がございますけれども、そこをいわば敷衍いたしまして、アメリカの方で外国の産品に与えておるものと、実質的に同等な市場機会を与えないような国に対しては、それに応じた対抗措置をとるということにしようと、そういうような考えでございます。いま御指摘のように、数多くの法案が出ておりまして、これから公聴会等をそれぞれ開いて審議されるということでございますけれども、アメリカ国内でもこれについてはすでにいろいろ議論が分かれておりまして、こういう考え方は保護主義的なものにつながるのではないかという意見もかなり見られるわけでございます。そのような状況のもとで行政府自身はまだ態度を決定的には決めておりません。したがいまして、今後これらの法案がどのような推移をたどるかということは、現在大変流動的な状況でございまして、一概に予測をすることは困難でございますけれども、しかし先ほど来お話にございますように、通商関係あるいは経済環境をめぐって、アメリカの中の雰囲気は大変厳しいという現状でございますので、私どもとしましても、この行方に厳重な目を見張っていきたい、厳重にこれをウォッチしてまいりたい。また、相互主義法案が保護主義につながるという観点におきまして、日本としてはこれには反対でございます。そういう意味合いにおきまして、これらの動きに非常に重大な懸念を持っておるということでございます。
  129. 黒柳明

    ○黒柳明君 外務大臣、あした江崎団長の報告聞いて関係閣僚が協議して、先月日本側の対策としてとったその方法の延長線でいいのか、あるいは新しいものを何か考えるのか。これはいろんな各省庁の知恵が出てくるだろうと思いますが、その中心が外務大臣になるわけですけれども、外務大臣も間接、直接にいろんな報告等をお聞きになっておるかと思いますが、何か妙手と言わないまでも、こうすべきであるという案をお持ちなのか、あるいは先ほど申しましたように、通産大臣はこの相互主義法案に対して、自由経済の旗手であるアメリカが保守主義に陥るようなことはとんでもないと、こういう厳しい批判をしておりました。外務大臣は、このアメリカの相互主義法案というものの議会における審議、提出というものについて、どういう見解を持っているか、いかがでしょう。
  130. 櫻内義雄

    ○国務大臣(櫻内義雄君) 明日報告を受けました後のプログラムを考えてみますと、本月の九日、十日に日米貿易小委員会がございます。その機会に、米側がどのような市場開放についての関心品目があるのか、そういうような点を具体的に詰めてみたいと思うのであります。ただ、日本側といたしましては、たとえば農産物について、柑橘類とか、肉類などの一層の市場開放というものについては、日本の農村の実情から非常にむずかしい点がございます。こういうような点は従来すでに繰り返し説明をしておるところでございますが、やはり日本として言うべきことは言っていかなければならないと思うのであります。しかし、アメリカ側は現在の経済全般の状況、あるいは秋の中間選挙を目指して、それぞれの選挙区の突き上げなどからいたしますと、それが一言で言うと、もっとドラマチックな方法を講じろというようなことになってきておりまして、尋常一筋にはいかない状況下にございますけれども、九日、十日の貿易小委員会で具体的な作業をしながら、結論をどういうふうに持っていくか。時間も非常に差し迫っているということを、米側のそれぞれの高官の方が口にされておりますので、それこれを頭に置きながら、米側に対してどういう具体策をとるか、対応策をとるか、これはこれからの問題でございます。
  131. 黒柳明

    ○黒柳明君 外務大臣は今月訪米するなんという情報が出ていましたが、これはどうなんですか、その方向なんでしょうか。
  132. 櫻内義雄

    ○国務大臣(櫻内義雄君) 現在衆議院で本五十七年度の予算案の審議の最終段階を迎えております。また、参議院の方にその後に予算の御審議をちょうだいしなけりゃならない重要な段階にございますので、かかって衆議院、参議院の御意向によって、訪米の日程を決めたい。しかし、これからの国会の模様、あるいは国際的な関係を考えますときに、三月の末の連休とか、五月の連休を利用する以外には、訪米をすることはなかなか困難ではないか、こういうようなことを考えておるのでございますが、これもある程度の予算審議の見通しがついて、国会の御承認が得られてから決定をいたしたい、かように考えておるところでございます。
  133. 黒柳明

    ○黒柳明君 きょうの二時二十五分からその見通しつくような会談やっているみたいですから、見通しつくんじゃないかと思うんですけれども、通産省のだれかおいでかと思いますけれども、あした本格的な各省庁集まっての検討会、それからまた新しい対処の仕方、知恵を出すという段階ですが、江崎団長が苦労されたそのいまの時点の範囲で、事務当局としては、あるいはこんなことも何かできる面があるんではなかろうか、こういう案、漠然としてでも何かお持ちでしょうか。
  134. 堤富男

    説明員(堤富男君) お答えいたします。  アメリカ側の要請はこれまでもいろいろな形で参ったわけでございますけれども、いま外務大臣からのお話もございましたとおり、三月九日、十日にアメリカ側がさらに具体的な措置を提示するような動きもございますので、そういう動きをさらに十分勘案しまして、それぞれがいままで出た問題は国内的にも大変むずかしい問題を抱えておりますし、通産省だけの所管というわけでもございませんが、今後ともその米側の出方、あるいは国内の動きなぞを見て、先生のおっしゃる妙手というふうにいくかどうかわかりませんけれども、いま盛んに知恵をしぼっておる段階でございます。
  135. 黒柳明

    ○黒柳明君 外務大臣、三月にせよ、五月にせよ、いずれ早い時期に訪米される、こういう方向でしょうが、たしかアメリカの全国知事会で、日系の人から、日本から雇用創出についての資金を出せとか、こんな提案がありましたけれども、私がってのマーシャル・プランじゃありませんけれども、失業率ももう九%あるいは若干割るぐらいで、非常にやっぱり雇用関係も危機的な状態であります、アメリカは。こういうときに、百億ドルぐらいの雇用創出資金、いわゆるマーシャル・プランの向こうを張って、鈴木プランなんか出しますと、これは永遠に日米関係に鈴木さんの名前は残ると、こういうような感じもするんですけれども、そういうドラマチックな案なんというのはどういう案であるのか。妙手なんかあるのかないのか全くわかりません、私たち素人には。これからいろいろお考えになるんだと思うんですけれども、たとえば、たしかいま申しましたように、日系の方が全国知事会でそういう雇用創出に対して日本から基金を出させることも一つの案じ中ないかという提言がなされたと私は記憶しておりますが、これがすべてであり、これをしろというようなことは考えられませんけれども、何かそういう、構造の問題であると、先ほど長官がおっしゃったように、項目を羅列して、あるいはたばこの窓口を広くした、これだけじゃどうしても済まされないと、向こうからも発言があり、私も何かそんなような感じがしますので、何かそういうドラマチックというような、そういうものも考えの中にあるんじゃないかと思うんですが、ぜひ外務大臣いらっしゃる今月末なり、五月の連休なりには、そういう面での検討をしないと、やっぱり私たちも日米間というのはこれは基本的には一番重要な関係である、これはもう政府以上に思っておるわけでございます。それが何か中間選挙目指してという政治家、議員筋の思惑があるにせよ、こういうものがアメリカ全体にやっぱりムードとして流れますと、対日公聴会も上下院で行われると、どうしても何か日本だけが悪いことをしているようなムードが流れると、非常にこれはやっぱりうまくないわけでありまして、ひとつ考えられることを、向こうの要請、これは防衛とか、安全保障、防衛費をふやせというような、対空、対潜機能をふやせということとは違うわけでありまして、これはそれも含めて日米関係で重要なことでありますので、そういうことを私ちょっと思いついたんですが、ひとつ文字どおり何かドラマチックな対米姿勢というものを日本が打ち出さないと、ただ単に中間選挙向きというふうじゃなくて、あれよあれよという間に対米関係がさらに悪化するという方向に打っちゃうと、これはうまくないという老婆心があるんですが、ひとつぜひ外務大臣訪米の前には、こそくな手段じゃなくて、文字どおりドラマチックな考えをしていただきたいと要望するんですが、いかがでございましょうか。
  136. 櫻内義雄

    ○国務大臣(櫻内義雄君) 大変示唆に富んだお話をいただきまして、まことにありがとうございます。アジア人会会長のスガハラさんの百億ドル基金、これは私も関心を持っていろいろ情報をお聞きしましたが、一つの構想の範囲はまだ出ておらないと思います。ロサンゼルスのリトルトーキョーなどのように、ひとつ日本も大いに資金を出してやったらどうかというようなのが、ある程度具体的な御意見のように承りましたが、しかしただいまお話がございましたように、要は欧米を通じてのいまのインフレ、失業、そして経済成長率もどちらかというとマイナス前後というような、一言で言えば国際的な不況、これをどう打開していくかということでございまして、この点についてはすでに昨年のオタワサミットの当時から、国際経済の活性化ということが言われておりまして、それが具体的に進んでおらないわけであります。国際的な大きなプロジェクトを幾つかやって、何か景気浮揚のために役立てるとか、あるいはかつては西独、日本が牽引車になって、経済発展をやれとか、いろいろあったのでございますけれども、現在ではどうもそういう方向に具体的なものがないということが残念でございます。ふつつかな私で、訪米してどうということはございませんが、しかしお話のような、何か画期的な構想を必要とすることはこれは私も同感でございます。
  137. 黒柳明

    ○黒柳明君 次は先端技術の問題ですけれども、衆議院で兵器開発の問題、F4の問題、まあ当事者じゃないから一生懸命ホローしてないからかと思うんですけれども、どこでどうなっちゃっているのか、結末がどうなっちゃったのかさっぱりわかりませんものですから、ひとつお教えもいただくという、短い時間ですけれども、そういう観点でひとつお尋ねしたいんですけれども、日米の軍事技術の供与の問題、これは日米安保条約、地位協定の問題やら、あるいは武器輸出三原則の絡みやらいろいろありますけれども、これはどうなんですか、結末はついたということなんですか。あるいは防衛庁当局としましても、何か外務、通産三者で話し合って、いつの時点か何かの統一見解でも出していこうという考えなんでしょうか。その検討のいま最中なんでしょうか。その点どうなんでしょうか。
  138. 伊藤宗一郎

    ○国務大臣(伊藤宗一郎君) 先生にまだ御報告がおくれておりますけれども、御指摘の点につきましては、基本的には米国についても武器輸出三原則及び昭和五十一年二月十七日の武器輸出に関する政府方針に基づき対処する考えでございます。ただし、対米関係につきましては、これまた御案内のとおり日米安保条約等との関連もございますので、目下この点につきまして、いま御指摘を受けました三省庁間におきまして、引き続いていま検討を行っているところでございまして、いまのところまだ結論が出ていないというのがただいままでの現状でございます。
  139. 黒柳明

    ○黒柳明君 たとえば、いま申しました先端技術わが国は非常にこの面では技術が優秀だと、こう認識しておりますけれども、ことしの初めごろですか、TDKの特殊合金、フェロ何とか——ちょっと忘れましたけれども、これを含めた塗料を在日アメリカ大使館から引き合いがあった、こういう話がある。あれは結局どうなったんですか。防衛庁の許可があればなんて、これはマスコミ情報では流れておりましたが、それはどういうふうなことになったんでしょうか。
  140. 和田裕

    政府委員和田裕君) 東京電気化学工業の広帯域電波吸収材料のことかと思いますが、これにつきましては、アメリカ側から東京電気化学の方に打診があったということは私ども承知しております。  これにつきましては、防衛庁は、研究の委託をいたしまして、お金を出しております関係からいたしまして、東京電気化学工業から特許出願の権利を承継いたしまして、それによりまして特許庁に特許の出願をいたしまして、現在それが出願公開されている、こういう状況でございます。したがいまして、防衛庁が事実上、これについて特許権を実施許諾できる、こういう立場にございますが、仮にもしTDKの方から特許許諾の出願がありましたら、この許諾をするのに別に大きな支障はないんじゃないかというふうに考えている次第でございます。  なお、この品物が一体どういうふうに使われるのか、また仮に輸出に向けられるといった場合に、輸出をどうするのかといったようなことにつきましては、私ども直接に関知する立場ではございませんので、答弁を差し控えさせていただきます。    〔委員長退席、理事目黒今朝次郎君着席〕
  141. 黒柳明

    ○黒柳明君 何か報道によりますと、MX開発についてのいわゆる見えない飛行機をつくる、そのための塗料であると、こういう目的に使われているという前提だと、これはどうなんですか。さらに、日本電気の光ファイバー、これは核攻撃に対して通信用として、光に通信を乗っけるとこれは核攻撃に対してディフェンスがかたい、こんなこともありますけれども、汎用品というものは当然軍事目的じゃないから輸出はできるんだ、こういうことでありますが、これはいままでの汎用品という見解、確かにトラックとか、あるいはいろいろな、先般の堀田ハガネの問題とかというのと、これからちょっと次元が違った面の汎用品、こういう角度からこの先端技術というのはとらえなければならないと私は思うんですけれども。しかも、これが決定的に軍事目的に使われる、こういう前提で引き合いがある、あるいは見本をくれ、あるいはそれから延長線で輸入しよう、こうアメリカが出てくる可能性十二分にあるわけですね。そういうことを想定して、今後はこのアメリカに対する技術供与、軍事技術の供与というものはちょっとやっぱり考え方が違ってくるんじゃなかろうかと、いままでのと。こういうふうに思うんですけれども、いまおっしゃったのは別に問題がないと、これは汎用品という範囲で問題がない。これは従来のものと、トラックとか何とかと同一視してというふうに私は受け取るんですが、そういう観点からでしょうか、どうなんでしょうか。私はこういうものはもういままでの汎用品とは若干違った考えでこれから対処していかなければならないと、こう思うんですけれども、その点どうですか。
  142. 和田裕

    政府委員和田裕君) 御質問の点は、汎用品につきまして、武器輸出三原則統一見解との関係でどうすべきかというふうに承りました。そういたしますと、私どもでございませんで、どうも通産省の方に関連があることではないかというふうに考えます。  私どもは、通産省の方がおいでになれば、あと補足していただきますが、私ども聞いておりますところでは、汎用品ということでありましたら、それがたまたま外国に輸出されまして武器に利用される場合でありましても、これについては、日本の輸出という観点から、こういったものは基本的には認めていくというふうに伺っております。
  143. 黒柳明

    ○黒柳明君 これは、従来はたしか汎用品はそういう見解ですね。三木内閣のころにそういう明確な答弁があって、汎用品は要するに人を殺傷するものでなければ関係がないという見解が出ておりますね。ですけど、先端技術というのは、たとえばMXが開発される、あるいはB1が開発される、そのときに、レーダーを避ける塗料、それが日本から輸出されていたとか、あるいは何かNORADとアメリカの軍事基地を結ぶのが、日本電気の光ファイバーだと核攻撃に対して非常に強いとか、きのうNHKでそういうことをやっていたということですが、私見なかったので、後で見た人によく聞かなきゃならないんですけれども、そういうことも言われている。そうなりますと、確かにいままではそういう汎用品というのは、地上を走るトラックであったり、あるいは本当に砲身として使われるかどうかわからないようなものもあったでしょう。あるいはヘリコプターもその範疇に入っていたでしょう。ところが今後は、もしもアメリカ日本技術供与、こういうものを日米安保条約、あるいは地位協定上求めるならば、装備局長、何もいま言った三原則に対しての絡みじゃないわけですよ。    〔理事目黒今朝次郎君退席、委員長着席〕 もっと政治的な判断を私はお伺いしているわけです。そうすると、いままでの汎用品としての考えと同じ延長線でこれいきますと、世界最強の爆撃機、それが今度はどっかの国のレーダーを受け付けない。それが日本から来た塗料であるとなりますと、これはもう爆弾以上にやっぱりその塗料が相手から見ると塗料憎しと、こうなるわけです。塗料憎しとなると日本憎し、防衛庁憎し、装備局長憎しと、もう一手に装備局長がそのかたき役になっちゃうわけですよ。私はそういうことがいまからわかるから、装備局長の将来のために御忠告しているわけでありまして、もう汎用品という範疇についての考え方を変えないと、長官、これはもう政治的なやっぱり考え方の問題だと思うんですよ。もういままでの汎用品、それと、いまここで要するに日米の軍事技術供与、これを考える。これはいままでの範疇の中で、いわゆる国会で言われたから、どうこれをやればいいのかということですけれども、将来的にはいま言ったように、TDKの引き合いもあるし、それはいままでの汎用品の中においてはこれは文句ないんだと、ただそれが、いまアメリカからの引き合いは、ただ単にトラックだから、ヘリコプターだからどっかで輸送するんだという感じじゃないわけでしょう。見えない、電波から避ける塗料として、見えない爆撃機をつくるための塗料と、こういうはっきり前提があるわけです。そうなりますと、確かにいままでの概念では汎用品ですけれども、これからはそれも汎用品と言って済まされるかとなると、これはそうじゃないんじゃないですか。汎用品だって軍事目的として使われると言って、明らかにそうなった場合には、これは汎用品だから結構ですと、こう言えないんじゃないでしょうか。しかも、これからの米ソの最高の核戦略の中に組み込まれるようなものであるとすれば、これはただ単にいままでの政府見解の、汎用品だから構わないんだと、こう言っちゃいられない問題がこの先端技術の中には含まれてくるんじゃないでしょうか。そういう将来的な見通し、こういうものをいま聞いているんで、まあいままでの増田見解、四十三年、十四年たって、どうかこうかというこういう議論じゃなくて、私は非常に二十一世紀的ないま議論をここでやろうとしているわけですよ。長官、どうですか。ですから、いままでの汎用品、だからいいんだということじゃありません。それがいまのTDKにしても、はっきり軍事目的に使われるという前提があるわけですよ。しかもそれは非常に高度な米ソの核戦略の中に組み込まれるという可能性があるわけですよ。そういう中において、これから先端技術を、世界で優位を占めている日本が、果たしてそういうものをやぶからぼうに、いままでの見解の中で、考えの中で、日米軍事技術協力の中で、いわゆる輸出ですな、供与していいものか。こういうことはどうですか。
  144. 伊藤宗一郎

    ○国務大臣(伊藤宗一郎君) 軍事技術の対米供与問題につきましての基本的な立場は、先ほど私が申し上げたとおりでございます。ただ、御指摘のことにつきましては、現在のところ通産省の所管でございまして、通産大臣の御判断によるわけでございますが、基本的には汎用品は構わないという基本方針はいまあります。  そういうようなことで、先ほど私が申し上げましたとおり、軍事技術の対米供与問題でも、基本的には武器輸出三原則、または統一見解にのっとって対処をするわけでございますけれども、反面、日米安保条約というものとの関連もあるというようなこと、こういうことにつきまして、目下鋭意政府としての見解を三省庁間で調整中でございますということも改めてつけ加えてお答えを申し上げたいと思います。
  145. 黒柳明

    ○黒柳明君 いままでは構わない、入っていたわけです、汎用品は。ところが、今回は前提が違うんですよ。ですから、そういう前提を踏まえた場合に、当然いまここで構わなくないんだという答弁をしろと言うつもりはないんですけれども、これからますますそういう先端技術について、ほかの国はいざ知らず、日米間というのは安保条約、地位協定があるんですから、そういう面で、やはりソ連というものが米ソの一つの対決の相手ですから、そこから、あるいは米ソ対決だけじゃないと思いますよ、将来は。アラブからそうなるのか、あるいは中米からそうなるのか、やはり日本の汎用品だからと言ったのが汎用品で通らなくなる、そういう面がこの先端技術には入っている。ただ単にトラックを送ったから、それで兵隊さんを送ったんだからと、こちらは汎用品だからと言っちゃいられない面が出てきますよと、こういう可能性があるものについては、できるならば、いまこの三省で検討している中に、そういうものも含めて、ひとつこの際考えていただいたらどうですか。だから、こう結論出せと言っても、私は行政当局じゃありませんから何ともわかりません。そういうものも含めて、ひとつ考えをもうしなきゃならないときじゃないでしょうか。どうですか、装備局長
  146. 和田裕

    政府委員和田裕君) お答え申し上げます。  確かに先生おっしゃいますように、たまたまある技術が軍用に使われる可能性があるといった場合に、それを抑えろということも御意見としてはどうもあるかと思いますけれども、規制の実効性ということを確保する観点からいたしますと、技術そのものには色はついてないわけでございますから、一般的に言いますと、その技術が出ていく段階で、客観的に一体どういうふうに使われるかということもすべて抑えることもできませんし、また抑えるべきでもないというような観点がどうもあろうかと思います。そういったようなことを考えますと、たまたまある特殊の理由によってそれが軍用に使われるということがわかったときだけ、それについて抑えるといったことが、本来のその輸出規制といったような行政の公正を確保する上でいいのかどうかというような観点もあるんではないかという気がいたします。  この辺はどうも通産省の御判断に属することかと思いますけれども、先生のおっしゃった御指摘の点、いろいろ私どももお聞きしたわけでございますが、防衛庁という観点からいたしますと、先ほど申し上げていますように、私どもはたまたま研究開発でお願いいたしまして、やはり非常に優秀な技術が出てきたと、それの関連で特許を獲得したということで、その特許権という国有財産を、こういった行政改革が非常にやかましく言われている中で、どういうふうに国有財産を円滑に利用していくかという観点が先に立ちますので、そういったような観点を主として考えさせていただきたいと、こういうふうに考える次第でございます。  御趣旨の点はまた通産省のしかるべき方にもよく伝えましてお話をしたいと思っておりますが、これまでのところは、先ほど来申し上げ、また、大臣からも言われたようなことになっているということでございます。
  147. 黒柳明

    ○黒柳明君 通産大臣が忙しくてお出になれないので、やはりある意味では、こういう問題は政治的な考え方というものが出なければだめだと思うのですが、通産の方もどなたかお見えになっておりますね、どうですか、私はいま協議している中に、汎用品の中から外せとかなんとか言っているんじゃなくしまして、将来的に見て、こういう問題は一つのまたテーマとして考えなければならないんじゃないかと、こういうふうに私なりに思うんですよ。しかも、このTDKへの在日大使館からの引き合いは目的がはっきりしているわけですよ。どこに使うんだかわからないからひとつ見本をくれというんじゃないわけでしょう。だからそういう前提がはっきりしている場合はと、こういうふうに私は言っているわけなんですけれども、どうですか。
  148. 広海正光

    説明員(広海正光君) いわゆる汎用技術の問題でございますが、軍用目的に使われるということがはっきりしている場合におきましても、従来からの私どもの考え方は規制の対象にはならないといえ考え方でございます。  技術は、申し上げるまでもなく、その性格上非常に応用範囲が広いわけでございまして、提供の段階でその用途がすべての場合に明らかでないわけでございます。したがいまして、たまたま用途が明らかになった場合だけを規制対象にするということは、やはり規制の公正さを欠くことになるだろうということがまずあるわけでございます。  また、規制の実効性の確保という観点から申し上げますと、軍用に供される可能性のあるすべての技術輸出を政府の監督下に置くという必要が出てくるわけですが、その場合にはほとんどすべての技術輸出を規制対象としなければならない。そうなりますと、国民の権利の重大な制約となるおそれが出てくる。したがいまして、規制の運用に当たりましては、提供される技術の内容から見まして、もっぱら武器の製造等に係わる技術と客観的に判断できるものだけを対象とするということが、先ほど申し上げましたように、規制の公正さと実効性を確保するという観点から合理的であろうというふうに考えまして、先ほど申し上げましたような規制の運用をやっているわけでございます。
  149. 黒柳明

    ○黒柳明君 外務大臣、外務大臣の守備範囲からちょっと外れるかと思いますけれども、当然日本の外交的立場、これはもういまおっしゃったよりもっとやはり強い立場に立っているわけでありまして、いわゆる見えない爆撃機をつくるための塗料であると言って、日本からその塗料が輸出された、そうなった場合に、これは日米関係はいいでしょうけれども、ほかの国との関係というのは、その一つによって悪化することはこれは間違いないんじゃないでしょうか。ですから、私はいまのこの汎用品の中に入れて考えられる問題と、この先端技術の問題は、これからちょっと次元が違ってくるんじゃないか。まして、これから世界的な核戦略の中に日本のそういうものが組み込まれていくという可能性が強いわけです、先端技術ですからね。いままでの地上を走るもの、空をちょこちょこと飛ぶものとわけが違うわけです。日本外交というのはそういう外交の仕方じゃないんじゃないでしょうか。どこの国ともやはり平等に仲よくつき合っていく。でありますけれども、いままでの汎用品という概念の中で、技術の進歩というものについてだけとらえた場合に、われわれはコマーシャルベースについてブロックできないんだと、こういう考えをそのまま延長しますと、日本の先端技術というのをアメリカに提供していくと、外交的に日本の立場がまずくなる局面というのが相当考えられるんじゃないでしょうか、外務大臣、常識としまして、今後の問題として。だからこういうものは、先端技術は前提がたまたま軍事目的に使われると、こういう前提がわかっていた場合に、これはもう当然やっぱり考えなきゃならないものだと、日本の等距離外交というものを踏まえた場合に。こう思うんですけれども、外務大臣その点どうですか。
  150. 櫻内義雄

    ○国務大臣(櫻内義雄君) 先ほどから御論議を承っておるわけでございますが、黒柳委員のおっしゃっていることは、確かに問題提起ではあると私は承っておりました。しかしながら、いま二つ問題点があると思うんですね。  一つは、日本として武器三原則、それから政府の統一方針と、そういうものがあって、これはアメリカにももちろんそれは適用されていく、しかしながら安保体制の中にある日本としては、一体これから武器技術についてどうするかということは、御承知のようなこれはあらゆる角度から検討しなきゃならない、こういうことで、いませっかくの検討の最中であるわけでございます。それはそれで一つ問題が残るわけですね。  それから、お話のもう一つ、今度は先端技術の扱い、汎用品ではあっても、軍事目的が明らかである場合はどうなるかというと、先端技術のこれからの扱いについて、黒柳委員のおっしゃることを問題提起として考えると、その二つの問題になっていくと思いますが、しかし、この先端技術でも汎用品であるということになりますと、それを取り締まる上におきましては、実効性がなかなか上がらないと、こういう現実の問題もございまして、汎用品はやはりこれを純粋の武器技術と同様に扱うわけにはいかないんじゃないかというふうに御論議をただいま聞いておったところでございます。
  151. 黒柳明

    ○黒柳明君 時間ありませんので、最後にF4の問題。  防衛庁長官、何かF4の問題、またこれも統一見解が出るのかなという感じがするんですけれども、総理大臣も知らなかった、国防会議事務局長も知らなかった、防衛局長、装備局長どっちが担当なのか、いろんながたがたがたがたがありまして、それで長官、何でこういうような五十六年の十三億、五十七年の八十五億、長官もこれ説明を受けたわけですね、どういうものに使われるか。そのとき長官がどういう説明を受けたのか、なぜこういうF4なんという問題、野党から追及される原因ができたのか、また、総理大臣やなんかとの食い違いが起きたのか、いま何をこの事実について反省を防衛庁長官としてされているのか、それから統一見解も出るのか、増田見解どうなのかとか、その問題ひっくるめてどうですか。  それからもう一つ、具体的に、装備局長、F4とF15、そのF4、がF15のコンピューターをつけるとか、あるいは16のFCSですか、ファイア・コントロール・システムをつけるとか、あるいはF1の対艦ミサイルですか、つけると15より性能があるとかないとか、トータルで、スピードとか、あるいは航続距離とか、あるいはいま言ったようなものとか、ひっくるめて表にしますと、F4とF15というのは、この試改修、いま現在においてどういうふうな優劣が出てくるんですかね、教えてください。
  152. 伊藤宗一郎

    ○国務大臣(伊藤宗一郎君) まず事務当局からは、私が就任しまして、まあ十二月になったわけでございますけれども、五十七年度の業務計画案、あるいは想定問答等の説明に際しまして、F4EJの能力向上のための試改修はこういうものだと、その中でレーダーの換装、セントラル・コンピューターの装備等によって要撃能力が向上するほか、対地攻撃能力も向上すると、しかしこの場合でも、かつて取り外したような対地攻撃専用装置を持つわけではなく、軍事技術の発達等も考慮するならば、他国に侵略的攻撃、脅威を与えるようなものとの誤解を生じさせるおそれはない旨、増田元長官の発言との関連で説明を受けております。また、そういう報告を受けながら、私といたしましても、国の基本的な防衛の政策、方針にのっとっているわけでございますから、本件F4の試改修を行うことが必要と判断をし、五十六年度に引き続いて、ただいま御審議を賜っております五十七年度予算においても、所要の経費を計上することにしたわけでございます。  そういう報告に基づいて、五十七年度予算に経費を計上し、先般来衆議院で御審議を賜っておったわけでございますけれども、この今回のF4EJの試改修によりまして、爆撃計算機能を付与することになるわけでございますけれども、試改修の段階でございますから、まだこれが成功するかどうかわかりませんけれども、成功したならば、爆撃計算機能を付与することになるわけでございまして、このことが増田元長官の発言を変更することになるかどうかということたつきまして御論議がございまして、あの増田長官の発言を変更することになるかどうかということにつきまして、目下政府として検討中でございまして、しばらく時間をかしていただきながら、その結論が出た段階で国会で明らかにしたいというのが、この問題につきましてのいままでの状況でございます。
  153. 塩田章

    政府委員(塩田章君) 後段の、試改修後のF4とF15の比較の問題でございますが、御指摘にもありましたように、今度の試改修が成功したといたしますと、F15との比較におきましてどうなるかということを概略的に申し上げてみますと、もともと要撃戦闘機としまして、飛行機それ自体はやはりF15の方が一世代若い新しい飛行機でございまして、基本的にF15の方がそういう意味ではすぐれた飛行機であるということは変わりございません。ただ、今度の試改修によりまして、対地攻撃能力という点に限って問題を見た場合に、どういうことになるかということがしばしば御論議になっているわけでございますが、そういう点で申し上げますと、一つには、直接の対地ではございませんにしても、とにかく対艦攻撃ミサイルを今度はつけたいと思っております。したがいまして、これが成功すれば、船を攻撃する限りにおきましては、F15にはそういうミサイル攻撃の能力が現在ございませんので、試改修後のF4の方がすぐれたことになります。もちろん現在のF15でも、爆弾とか、そういう攻撃は船に対してもできますけれども、対艦ミサイルを持っておりませんので、スタンドオフ性においてやはり試改修後のF4の方がすぐれたということになりますが、それ以外のいわゆる対地攻撃能力について見ますと、今度F4の試改修機につけたいと思っておりますコンピューターは、F15のものをつけたいと思っておりますので、F15が持っておる能力と同じコンピューターでございますから、ほぼ同等なものを持つということはこれは当然考えられるわけであります。ただ、飛行機の比較というものは、そういう積んでおる機械だけで比較すべきものでは本当はございませんで、たとえばスピードにしましても、ただ空を速く飛ぶというだけじゃなくて、対地攻撃をする場合のスピードにおきましても、スピードそのものは対地攻撃につきましては余り変わらないにしましても、攻撃した後の退避行動といったようなことでは、やはりスピードの速い方が有利であるというようなこともあります。あるいは相手方のミサイル攻撃を受けた場合の退避行動にしましても、旋回性能がいいという方が有利であるというようなことがございますので、対地攻撃に限ってみましてもF15の本来持っております。そういう飛行性能の優秀性といった点はやはり出てくるんではないかと思います。ただし、爆撃の計算能力自体は、当然同じコンピューターでございますから、同じものになるはずでございますし、またそういった以外に、たとえばF4の方には、このF4という飛行機は複座でございますから、複座であることによってのメリットというものもこれはございます。それからまた、F4は非常にペイロードの大きい飛行機でございますから、行動半径のことを犠牲にして、たくさん爆弾を積むということができるという点だけで考えれば、F4の方がたくさん積むことができるといったような、いろんなそれぞれの特性がございますから、一概にどちらがすぐれておるとか、どちらがすぐれていないとかということはきわめて言いにくいわけですけれども、いま申し上げたようなことを前提にして、あえて申し上げれば、やはりF15の方がすぐれた飛行機であって、今回の試改修によってF15のコンピューターをつけ、F16のレーダーをつけることによって、非常に能力がアップされるけれども、やはりF15よりすぐれたと言うわけにはいかないであろう。F15並み、あるいはその範囲内というような一般的な表現ならそういうふうに言えるんではないかというふうに私は考えております。
  154. 柄谷道一

    柄谷道一君 同僚の黒柳委員から米国の相互主義法案への対応について御質問がございましたが、私の立場からさらにこの問題についてお伺いいたしたいと思います。  与党の二階堂幹事長は、貿易摩擦は二国間で話し合って解決のできる問題ではない、グローバルな立場で考えるべきだと、こう述べておられます。これは六月のパリ・サミットで話し合おうという意思を明らかにしたものだと受けとめられるわけでございますが、しかしアメリカの現在の姿勢はさほどなまやさしいものではない、こう受け取るわけでございます。三月九日、十日の日米貿易小委員会で、アメリカは厳しい具体的な市場開放要求をしてくるであろう、また、予算審議の関連上流動的ではありますけれども、早ければ三月の下旬外務大臣は訪米されるということでございますから、当然日米間の緊急の課題として、この問題が浮かび上がってくる、これはもう当然のことでございます。いわば現在の情勢は、私は戦後日米間の最大の外交危機と言っても差し支えがないと思います。  そこで、あす経済閣僚会議も開かれるわけでございますけれども、外務大臣が訪米するに当たって、アメリカの言うサムシングドラマチック、その具体策をひっ提げて渡米し、この日米の危機的状態の打開に当たるというお考えを大臣お持ちなのかどうか。  さらに、そのことによって、今後の見通してございますけれども、両国間の修復が可能であるという確信をお持ちなのかどうか、この点をお伺いいたします。
  155. 櫻内義雄

    ○国務大臣(櫻内義雄君) なかなかむずかしい問題だと思います。国会の御承認があって行く機会を得ましたときには、私なりに誠心誠意腹蔵のない意見の交換をいたしまして、その間に何か打開の道を見出したい、このように思っております。  二階堂幹事長の発言、どういう場でされたかは存じませんが、しかし、柄谷委員がお取り上げになりましたように、貿易摩擦を二国間だけで取り上げていくのは問題だということについては、私もまさにそのとおりだと思うんです。たとえば、アメリカは一番牛肉について大きな関心を示しておりますが、日本アメリカの立場を考慮して、高級牛肉の枠を拡大してきておるわけでありますが、そのことはいまの取り決めからいたしますと、豪州には多くの不満があると思うんであります。また、それならば思い切って全部自由にしたらばどうかと、それは私はまたアメリカとしても困る状況になるんではないか、豪州の肉の方が日本に入りやすいというようなことになってくるんではないか。要は日本アメリカだけでやりとりいたしましても、その結果次第では多くの国に影響があるということは論をまたないのであります。したがって、いま制限品目がいろいろ問題になりますが、ガットの場などで腹蔵のない意見交換をやり、そして取り決めもしておるという状況でございますし、また、お話しのようなベルサイユ・サミットの場で各国の間で大いに話し合うのがよかろうということも、私はそれも一つ考え方だ、また有効な考え方であると思うのであります。しかし、現在のアメリカの差し迫った状況というものは、今回の江崎ミッションの報告からいたしますと、容易ならざるところにきておると思うんであります。それはアメリカ経済全般の状況、失業者が一千万人になんなんとする状況下にある、また、インフレとか、あるいは成長率がマイナス前後というようなことからいたしまして、アメリカ経済の状況が非常に厳しいということから、これを打開する上におきまして、日本との関係で何か協力が得られないかと、そういう気持ちも見えておるわけでございます。ですから、今度の幾つかの会談におきまして、思い切った措置をとるようにとか、もう時間は限られておるとかいうような、そういうことが会談の中で言われておるわけでありますから、私が仮に行く場合には、そういう点にどう対応するかということは非常に重要な緊急な問題だと思います。  そこで、いま別段結論を持っておるわけではございませんが、御指摘のとおりにあすの経済閣僚会議での報告を受け、またさらには九日、十日の日米貿易小委員会の検討を踏まえながら、さて政治的な判断をどうするかというような順序になるかと思いますが、日米の関係というものは、戦後とってまいりました日本の外交の中で大きな基軸でありますから、相互の利害を損なうことなく、また相互の友好親善に影響のないように、誠意をもって努力をしてまいりたいと、こう思うんであります。
  156. 柄谷道一

    柄谷道一君 ただいまの御答弁聞いておりますと、こう理解していいですか。日米間にいま実在しておる重要なこの問題については、当面その解決を図る、そして全世界的な問題はベルサイユ・サミットにおいて解決する、この貿易摩擦の解決をいわゆる二段構えの方法をもって対処するというのが政府のお考えであると、こう理解してよろしゅうございますか。
  157. 櫻内義雄

    ○国務大臣(櫻内義雄君) 私の考えとしての方向はそういう方向を持っておりますが、ベルサイユ・サミットにつきましては、現在予備会議が持たれておりまして、この会議でどういう問題を取り上げるかということについては、その予備会議での各国の考え方が出されて、そして協議の結果によるわけでございますので、いま柄谷委員のおっしゃる方向で、また私も同意見である、ベルサイユ・サミットではそういう問題を取り上げると言い切ることはこれはちょっとできないのであります。  それから、この両国間の当面の問題について、これを日米間で話し合うということは、これはもう当然のことでございます。そこにいろいろ困難がございましても、私が訪米する以上は、これはもう相互に忌憚のない意見を吐露して、そして両国の関係を損なわないよう、できれば一層の友好親善を図るような道を探求したいと思っております。
  158. 柄谷道一

    柄谷道一君 五十六年の十月以来アメリカの上下院には、日本防衛費分担の増額を求める五つの決議案が上程されております。また、相互主義関連法案も昨年以来、一九八二年サービス相互主義法案、一九七四年通商法三百一条改正法案、一九三四年通信法改正法案、自動車輸入平衡税賦課法案、一九八二年相互貿易・投資法案、主なものを拾い上げましただけでも、五つの重要な法案が提出されております。  去る二月二十五日、外電の報ずるところによりますと、シュルツ及びリッチモンド下院議員は、日本が対応策をとらない限り、主要望品分野についで「税率二」の適用、すなわち共産圏並みにこれを取り扱うべしと主張を述べたと報道されておるわけでございます。私は、従来アメリカわが国に対する姿勢は、日本に門戸を開放しなさいと、こういう要求でございました、これは貿易拡大の方向を目指す要求であったんでございますけれども、この最近の相互主義法案の特徴は、日本がやらなければ閉鎖的な態度をとりますよと、明らかにその方向は大きく変化を遂げつつあると見なければならないと、こう思うのでございます。  そこで、簡単で結構でございますが、このような一連の動きがアメリカにおいて強くあらわれてきたその背景について、外務大臣はどう分析していらっしゃいますか。
  159. 櫻内義雄

    ○国務大臣(櫻内義雄君) これはもう簡単に申し上げますならば、最近における日米貿易の、日本側から言えば大きな黒字、百八十億ドルと言われるのがさらに拡大するのではないか。そういうところから、この貿易を改善しようと、こういう米国会内の、特に不況産業を選挙区に持っておる議員の方々の意見がいろんな形で表に出てきておるんではないかと思うのであります。私はこの問題については、経常収支を見てもらいたいと、全般的な貿易、それから経済収支、それはアメリカはそう悪くないんじゃないかと、むしろ昨年あたり、一昨年あたり、こう見ますと、黒字ではないかということを申しておるんでありますが、そういう経済的な考え方からいろいろ申しましても、むしろ当面の大きな赤字、アメリカにとっての赤字、そしてその赤字が一千万人近い失業者につながって増大しておると、こういうことから、日本側の市場開放を求めてきておると思うのであります。  お話のように、相互主義も考えようによっては拡大均衡に持っていけるのでありますが、しかし、現在のアメリカ議会でとられておるものは、遺憾ながら保護主義的な傾向、おまえの方が閉鎖的ならおれの方も閉鎖的にするぞと、また簡単に言えばそういう構想が表に出ておると思うのでありまして、それだけにこの日米間の貿易摩擦をどう打開していくかということが、大変な問題になっておる次第でございます。
  160. 柄谷道一

    柄谷道一君 対日貿易の赤字の増大という経済的理由、雇用失業状態の深刻化という社会的事由、そして十一月の中間選挙を控えておるという政治的事由、これらが混合されていまアメリカの動きになってあらわれてきておると、こう見るべきだと思うのでございますが、江崎ミッションに対して、アメリカ日本の事情説明を一蹴いたしまして、もう時間がない、政府として歓迎するところではないが、何らかの劇的な措置をしなければ相互主義法案の成立を抑え切れないと警告をしたと、こう報ぜられておりますし、安倍通産大臣も二月二十五日の衆議院予算委員会で、成立する法案もあるのではないかと憂慮しているという趣旨の答弁をしていらっしゃいます。いま担当局長の方からは、情勢は厳しいが流動的である、懸念を持ちつつ重大な関心を持って見守りたい、こういう趣旨の答弁があったわけですが、大臣、率直に相互主義法案の成立についてどういう見通しを持っていらっしゃいますか。
  161. 櫻内義雄

    ○国務大臣(櫻内義雄君) 現在のアメリカ議会の空気からいたしますと、なかなかこの空気が冷却するとは思えない、時間は限られておるという表現までしておりまして、そして二月二十四日には、いまお話の出ましたリッチモンド、あるいはシュルツという方々の法案もさらに出てくるという状況でございますから、きわめて厳しい空気にあると思います。ただ私どもは、いま出されておるものが、これが幾つかが一つになって通るとか、あるいはほとんどのものが通るとかというようなふうに、にわかに判断はしておらないわけであります。アメリカの議員の中にもやはり冷静に御判断をいただいておられる方々もございまして、いまの空気で言えば、どちらかというとサービスとか、投資面とか、そういうものについてより一層の市場開放の必要があるんじゃないかというのが、この冷静に物を判断しておられる方の御意見ではないか。これもにわかに即断はできませんが、相互主義法案がどれもこれも通り、そして保護主義的な方向へ一遍に行ってしまうんだと、そういうことではないんじゃないか。日本の市場開放を強く求めておることが、こういう議会の動きになっておるということをよく踏まえまして、これに相手側が満足するか、あるいはそれに近いような対応を日本がとれば、おのずから問題の解決をする方向へいけるんじゃないかと、こう思うんであります。
  162. 柄谷道一

    柄谷道一君 端的に伺いますけせもど、商務長官の発言等から考えますと、これは日本の対応いかんでございますけれども、法案が通った場合、アメリカ大統領としては拒否権を発動できないという情勢にあると、このような見方が一般的でございますけれども、そのようにアメリカの情勢を把握していらっしゃいますか。
  163. 櫻内義雄

    ○国務大臣(櫻内義雄君) これは私、特別な情報は持っておりませんが、江崎団長とレーガン大統領の会談の中で、行政府は議会に対して無力であると、こういう発言をしながら、議会の動きの容易ならざることを指摘せられておりましたから、そういうことを念頭に置いてまいりますと、拒否権をどういう場面でお考えかちょっとわかりませんが、なかなか議会に対してそういう強い姿勢を米大統領はとりにくい状況にあるんじゃないかと見ております。
  164. 柄谷道一

    柄谷道一君 ボルドリッジ商務長官が言う劇的な措置、いわゆるサムシングドラマチック、これはもちろん日本が判断しないと、こういうことですけれども、アメリカは一体日本に対して何を求めていると分析されていらっしゃいますか。
  165. 櫻内義雄

    ○国務大臣(櫻内義雄君) これが、商務長官の劇的な措置というのが、こういう措置をとってくれというんであれば、また江崎ミッションも、また仮に私の方へ言ってまいりました場合も、すぐ検討ができるんでありますが、劇的な措置と言いながら、それは日本が考えろというのでありますから、その辺がなかなかむずかしいことでございますが、しかし、いままでにとられました関税の前倒しとか、非関税障壁の改廃では不十分であると、もっと具体的な、積極的な措置をとれと、こういうふうにすんなり受けとめるべきではないかと思っております。
  166. 柄谷道一

    柄谷道一君 アメリカ通商代表部——USTRが日本大使館に対しまして、日本の六十七項目の非関税障壁の改善の中で、潜在的にアメリカにとって価値のあるものは二十三項目にしかすぎない。日本のとりました措置をきわめて低く評価をいたしまして、農産物の輸入数量制限や投資・サービス貿易の障害改善を求めたと、こう報せられております。しかし、この問題に対する政府の対応は、これは二十五日の衆議院予算委員会でございますけれども、外務大臣、通産大臣の見解と、農林大臣の見解は微妙なところで大変大きな食い違いがございます。いずれにいたしましても、もちろん日本の対応というものは、十分アメリカ説明し、理解を求めなければなりませんが、ただ、官房長官がアメリカは理解不足であるという反発だけでこの問題の解決ができるという状態にはないと、こう思うんでございます。  そこで、外務大臣に相互主義法案の最後の質問でございますけれども、あす経済対策閣僚会議が開かれます。そこの場に、外務大臣としてはどういう基本姿勢とお考えをもってこれに臨もうとしておられるのか、日米外交の危機であるだけに、あすの経済閣僚会議に臨む大臣としてのお考えをこの際明らかにしていただきたい。
  167. 深田宏

    政府委員(深田宏君) 大臣からお答えがあります前に、事実関係で若干御報告申し上げますが、先ほど先生御指摘のように、確かにアメリカにとって本当に値打ちがあるのは二十三項目だというようなやりとりもございました。それについてはさらにアメリカ側の認識を深めるようにいま努力をいたしております。  また、先ほど来外務大臣から御答弁がございましたように、三月の九日と十日に日米の貿易小委員会がございます。このような場を通じて、日本側の措置の、非常にまあ日本側としては勇気をふるってとった措置であるということを十分納得させるつもりでございます。  また、いま御指摘のいろいろな日本側の対応、御意見等につきましては、このように日本側が昨年来誠意をもって措置をとっていることが、どうも日本側が期待したほど必ずしも評価されてないんじゃないかというようなところは大変残念だという気持ちもこもっておるところでございます。  明日の会議に臨む方針につきましては、外務大臣から御答弁いただくと存じますけれども、現在関係省とも打ち合わせをいたしておりますが、第一義的には江崎先生御一行の御報告を伺うということが、明朝の会議の主な部分になる、そのように考えております。
  168. 櫻内義雄

    ○国務大臣(櫻内義雄君) 私からは二点お答えを申し上げたいと思います。  一つは、予算委員会で外務、通産、農林の間で食い違いがあるような御指摘で、そういう報道もされておりましたが、これは正直に申しまして、いまの田澤農林水産大臣は現職、それから安倍通産も不肖私も皆農林大臣の経験者でございまして、この食い違いというのは、私は大事なことだと思うんですね。田澤現職の大臣はいまのお立場でこれ以上二十二品目についてどうこうはできない立場であるということを終始強調をされております。しかし、アメリカの厳しい空気、特に安倍通産大臣は本年一月に向こうへ行っておられますから、そういう空気を踏まえて、残存制限品目について検討をしなきゃならないというお立場を持っておられると思うんであります。私は先ほどもちょっとお答えの中で申し上げましたように、アメリカが非常に興味を持っておる品目——柑橘類、あるいは肉類につきましても、果たして真意はどこにあるのか、なかなかこれも検討していきますと、相当デリケートのものがあるんではないかと、こういうふうに見ておるわけでございまして、しかし、せっかく日本の市場開放をさらに要望しておる現在でございますから、最初から、これはだめ、あれはやれぬということでなく、やはり誠意をもって検討をするのがよろしいかというようなことが、これが食い違いと言われればあるいは食い違いかもしれませんけれども、それぞれの立場における率直な意見を申しておるということでございます。  なお、明日の経済閣僚会議に臨むに当たってどうかと。これは、ただいま経済局長が申し上げましたように、あすは江崎ミッションの報告を聞き、私どもが何か疑問のところがあればただして、そして、それから対策に入ると、こういうことでございまして、私も正式に江崎団長、他の団員諸君からまだ報告を受けておらないのでありまして、あすは、いろいろ考えるその前提の会議であると、こういうふうに御了承をお願いしたいと思います。
  169. 柄谷道一

    柄谷道一君 これはいずれにしても対応を誤れば日米間の関係は悪化する、しかし無条件で認めれば国内産業は混乱する、両面を抱えた問題でございます。これは私は単に与党だけがこの問題に対応するというんではなくて、ぜひ外務大臣、渡米前には、これは政審会長会談にするか、書記長会談にするかそれは別として、これは日本の外交が直面している一つの大きな危機でございますから、この問題に対して私は超党派の意見を交換し合って、日本の国論をひっ提げて外務大臣は渡米されるという配慮があって当然しかるべきだと思うのでございます。この点ひとつ真剣に記憶にとどめて御配慮を賜れば幸いである、こう思います。  時間がございませんので、次に防衛庁長官にお伺いいたします。  総理は一月十二日、長官に対しまして防衛政策上の指示を行っていらっしゃいます。これについて、皮肉な見方でございますが、与党の中にも総理というのは何か目立ったことをすると、後で必ずこれを揺り戻して、バランスをとるという政治手法を持っておられる、防衛費の七・七四五%増に対する世評に対して、国会や世論向けにハト派の印象づくりをされたのではないかと、与党にそういう見方もあるということが皮肉に新聞に書かれておりますけれども、それは横に置きまして、長官はこの指示に対して、新聞の報ずるところによりますと、これだけはっきりした形で総理から指示あったので、当然今後の防衛政策に反映していかなければなるまい、五六中期業務見積もりの策定作業や、五十八年度予算案の編成に反映させていくように防衛庁幹部に指示したと、こう記者団に意見を述べられたと、こう報ぜられているわけですが、長官はこの総理の指示に対してどう受けとめていらっしゃいますか。
  170. 伊藤宗一郎

    ○国務大臣(伊藤宗一郎君) 先生から御指摘がございました総理からの御指示は、わが国は四万を海に面した海洋国家でもあり、平和憲法のもと専守防衛に徹するわが国としては、これにふさわしい防衛体制を考えることは当然であり、そのような観点に立って専門的な研究を深め、今後防衛計画の大綱の水準の達成に当たって、十分反映するようにとのことであると理解をしております。したがって、いま先生からも御紹介がございましたように、私といたしましてはこのような総理の考えを体して、今後防衛力整備に努力してまいりたいと考えております。また、これも御指摘がございましたけれども、そういう海洋国家であり、専守防衛にふさわしいわが国防衛体制についての研究は、防衛庁の中の専門家によって行う必要があると考えておりまして、それらを五六中業の作成作業の過程で十分検討したいと受けとめており、考えております。
  171. 柄谷道一

    柄谷道一君 具体的にそれじゃお伺いしましょう。  総理の指示の中には防衛費を伸ばしたのは国際情勢の緊張に対応したものではない、私は脅威対応の防衛論はとらないと新聞に明らかに文字として報道されているわけでございます。私は、現在の大綱を支える考え方の中に、没脅威論に立つ基盤的防衛力構想が存在したときがございました。しかし、民社党は一貫して脅威に対応しない防衛論というものが一体あり得るのか、そのような指摘に対しまして、時間の関係で詳しくは省略しますけれども、五十五年十月十一日、衆議院予算委員会における大内啓伍委員質問に対し、当時の大村防衛庁長官、「私どもは潜在的脅威を念頭に置いて対応することを考えている次第でございます。」五十五年十月二十八日、神田厚委員質問に対する同じく大村防衛庁長官の答弁、大綱は脅威を無視した平和時の防衛体制をとるということではなく、わが国に侵略し得る軍事能力、潜在的脅威を念頭に置いております。五十六年八月に発表された防衛白書、「防衛力が外部からの脅威に対し備えるものであるとの考え方に変わりはない」と述べていらっしゃるわけですね。したがって、脅威を無視した平和時の防衛論から、一連の国会答弁及び防衛白書は、明らかに潜在的脅威を念頭に置いた防衛力整備ということに変わってきておることは明らかでございます。総理の指示は、没脅威論はとらないという、そうしたいままでの国会答弁や、防衛白書を百八十度転換する長官に対する指示ではないか。私は総理の指示の中でそのことが正しいとすれば、いままでの国会答弁は一体何であったのか、防衛白書は一体何であるのか。しかも、総理はその没脅威対応、没脅威論は私が内閣をつくって以来変わらない方針である、とするならば、従来の国会答弁というものは、総理の意思と全く相異なった、ただ委員会の場を逃れるための発言であったのかともとれるわけでございます。私は、防衛庁長官というものは、むしろ総理の指示に対して、過去の経過、そして現実というものを直言して、総理の姿勢に誤りがある、誤断があるとすれば、それを正すということこそ防衛庁長官としての責務ではないか、こう思うんでございますが、仰せごもっともと総理の指示を受けとめられた真意は一体どこにあるのか。  さらに、長官はその後二月二十四日の衆議院の安保特別委員会で所信を明らかにしておられますが、これは脅威対応論を前面に打ち出した情勢の分析であろうと思います。総理の指示とは明らかに異なると理解するわけでございますが、これについていかがでございますか。  さらに、最後に、総理は地政学的に海洋国家であるので、それにふさわしい防衛体制を考えてみるべき時期であると、こういま言われたということでございますが、私はこの海洋国家ハリネズミ論ですね、これは外国でハツカネズミと誤訳されたこともあるんでございますが、一本や二本の針ではハリネズミではないわけですね、いわゆるハリネズミのごとく防空ミサイル網を張りめぐらす、これは大変な経費のかかる問題でございます。私は総理の発言というものは、第一に予算的裏づけが全くない、第二にわが国防衛方針の根幹を変更するという内容を含むと思われるんでございますが、国防会議にも付議してない。新聞報道によると、官房長官も総理がそういう指示をされることを知らなかった、こう言っておられる。私は、総理というものは日本防衛に当たっての最高責任者である、総合安全保障の実践者である、防衛の総指揮者である、こういう立場から考えますと、何らの裏づけのないこのような指示は、かえって国民の総理に対する信頼を失墜せしめ、わが国の国民の平和と安全保障に対する国民合意というものを混乱させるだけではないかということを憂うるのでございます。これに対しても、当然防衛庁長官は、職を賭しても直言をされるべきが立場ではないか、こう思うのでございます。この二点に対する長官の明確な御答弁をいただきたい。私は、その答弁いかんによりましては、引き続き内閣委員会において細部の点を追及し続けたいと思います。  以上です。
  172. 伊藤宗一郎

    ○国務大臣(伊藤宗一郎君) 段々御指摘がございましたけれども、まず総理の脅威の問題についての御指示は、総理の言われたことは、最近の国際情勢が厳しさを増しているからといって、大綱の水準以上のことを考えて防衛整備を行っているわけでもないし、そうすべきではないという趣旨であると理解をしております。そして、そのことはまた政府内閣の一貫した考え方でございまして、防衛力整備の基本的な認識が一定していないといったことではないと私は考えており、受けとめております。  また、防衛計画の大綱の水準においては、わが国周辺の軍事能力を当然念頭に置いた上で、わが国が保有すべき防衛力の機能、質等について定めているものでございまして、その規模についても、そのことをわが国周辺の軍事能力を念頭に置いて、限定的かつ小規模な侵略に対して、有効に対処し得るような防衛力を定めているものでございまして、同大綱が脅威を無視して整備すべき防衛力を定めているということはないということでございます。  また、現在この大綱に基づいて、いま国会の御承認を得ながら防衛力の整備を進めておるわけでございますけれども、それに当たっては、わが国周辺の国際軍事情勢をも念頭に置いているところでございまして、この観点からも規模、質の両面において、大綱の水準をできるだけ早く達成したいと考えております。  ただ、いわゆる脅威対抗論というものが、平時から考えられる限定的かつ小規模を超える通常兵器による侵略に対しても有効に対処できる防衛力を整備しようとする考えであるということであるならば、そのような事態に対しては米国からの協力を待って対処することとしておりまして、現在そのような考え方に基づいて防衛力整備を行っているものではないということは申し上げることができるわけでございまして、このような防衛庁考え方は従来から一貫をしておるわけでございます。  また、いわゆるハリネズミのことにつきましての総理の御趣旨は、先ほど私が申し上げましたような、四万を海に面した海洋国家、あるいは平和憲法、あるいは専守防衛に徹するわが国防衛体制、そういうことについて専門的な研究をやってみろという御趣旨でございまして、そのことを事務当局に私が指示をし、五六中業の作業過程におきましてただいま検討を進めておるところでございます。しかしまた、こういう総理の考え方はあくまでも防衛計画の大綱の枠内のことでございまして、このために大綱を見直す必要があるとも考えておりませんので、いま御指摘のような、総理にそういうことではいけませんよというようなことを申し上げるような内容ではなかったということで私は承ってき、その方針をいま事務当局に指示をしているということで御理解をいただきたいと思います。
  173. 柄谷道一

    柄谷道一君 理解できませんが、次にまたやりましょう。
  174. 安武洋子

    ○安武洋子君 五十七年度の防衛庁の業務計画の中に、地対艦誘導弾の研究開発、こういうのがございます。まずお伺いいたしますが、この地対艦誘導弾の内容はどういうものであるのか。そして五十七年度、そのために予算は全部で幾らなのか、金額の総計とその内訳、これをお知らせいただきたい。  また、研究は何という名のプロジェクトなのか。そして、陸幕の要求と聞いておりますけれども、どのような運用をするんでしょうか、お伺いいたします。
  175. 冨田泉

    政府委員(冨田泉君) ただいまお尋ねがございました五十七年度の地対艦誘導弾の研究開発に関する二、三の問題点でございますが、五十七年度予算の要求総額は約五十六億円でございます。これは三カ年の国庫債務負担行為として要求をしておりまして、したがいまして、当年度の、五十七年度の歳出額は約六億円でございます。  それから、第二の内訳というお尋ねでございましたが、飛しょう体、飛んでいくミサイルそのものでございます。それと、ミサイルの中の試験をするための構成品と、それから地上でこのミサイルを撃ち出すための地上装置と称しておりますが、そういうもの。それから、できたものをいろいろと試験いたします。その試験のための計測器材というようなものから構成されております。  それから、陸上自衛隊の要求によるものというのは、おっしゃるとおりでございまして、陸上の基地から洋上の艦船に対する攻撃を考えるというものでございます。  また、プロジェクトの名前は、地対艦誘導弾の研究開発ということでございます。  また、この配備計画等につきましては、これは防衛局の方の所管かと思いますが、現在のところまだ明確に決まっておらないというふうに聞いております。
  176. 安武洋子

    ○安武洋子君 五十七年度の業務計画に、これは初めて地対艦ミサイルの研究開発と、こういう名目で公表をされております。この研究というのは、実はもっと前から行われているのではないかと思います。一体何年度から行われているんでしょうか、年度と年度別の金額、その内容を明らかにしてください。
  177. 冨田泉

    政府委員(冨田泉君) これは五十四年度から部分的な構成品につきましての研究を始めておりまして、五十六年度までの研究費といいましょうか、それに要した予算額というのは約二十億円足らずでございます。
  178. 安武洋子

    ○安武洋子君 なぜ、いままで研究を行っているにもかかわらず、国会にも国民にも明らかにしないんですか。いまF4ファントムで爆撃照準装置をつける問題ね、これ同じように国会軽視ということで問題になっておりますけれども、私は国会軽視もはなはだしいと思います。マスコミの報道でも、すでに防衛庁技術研究本部では、長射程化を図るため、推進力にはジェットエンジンが採用され、四台の試作エンジン技術研究本部第三研究室で運転試験を受けていると、こういうことですけれど、このとおりでしょうか、お答えいただきます。
  179. 冨田泉

    政府委員(冨田泉君) お尋ねは二点あったかと思いますが、五十七年度からは全体の開発に入るわけでございますけれども、その開発ができるかどうかという前段階の部分的な研究をやっておきませんと、その全体の構想が固まらないということがございます。  また、この部分的な研究といいますのはごく基礎的な段階のものでございますので、先ほどお話がありましたような小型のジェットエンジンであるとか、あるいはホーミングの部分であるとかいうのはごく小規模に、研究室的にと申しましょうか、そういう段階、そういう規模で研究をやるということで、これはほかのプロジェクトにつきましても、できるだけ事前の可能性の検討を詰めるということはやっておりまして、その段階ではその仕事を端的に表現するような名前を使っておるということでございまして、今回それが全体としてまとめられた形での予算をお願いをしておるということでございます。
  180. 安武洋子

    ○安武洋子君 だから、ジェットエンジンの試作されたエンジンが、第三研究室で運転試験をもう受けているということは間違いないわけでしょう。そして、どちらにしても、あなたたちは地対艦ミサイルをやるということで五十四年から二十億を投じて、そして研究を積み重ねてきたということははっきりしているわけです。ですから、そういうことは、地対艦ミサイルの研究をやっていくんだ、その基礎をやるんだということは、国会にも国民にも明らかにすべきです。国会も国民も知らない間に、こういうふうな部分的な研究をやって、あとは総合的な開発なんだと、こういう姿勢に対して私は国会軽視もはなはだしいと申し上げているわけです。この地対艦ミサイルというのは、F4ファントムにも搭載するASM1ですね、これに基づいて製作するんですね。ASM1は昨夜NHKで「視点」というので報道されておりましたけれども、ここではハープーン、フランス、西独などのものと比較して、弾薬の詰める量や命中精度などではハープーンと並ぶ世界一流のもので、防衛庁最初命中率が九〇%ぐらいと思っていたけれども、それ以上になったので、これは実験する側も、アメリカもびっくりしたんだと、これをもとに本格的に地対艦ミサイルの研究をすると、こういうふうに報道をしております。  そこで、この地対艦ミサイルですけれども、このロケットエンジンのASM1をジェットエンジン化して、射程を約百五十キロ前後——百二十キロと言ったり、百六十キロと言ったりしておりますけれども、百五十キロ前後にする計画ですね。大体いま私の申し上げたことは間違いございませんでしょうか、お答えいただきます。
  181. 冨田泉

    政府委員(冨田泉君) ちょっと私聞き間違えたかもわかりませんが、地対艦ミサイルは航空自衛隊の要求で開発いたしました空対艦ミサイルの飛しょう体の部分を利活用するといいましょうか、そういう形でできておるものでございまして、おっしゃるようにエンジンはロケットからジェットエンジンに取りかえるということでございます。飛しょう距離は確かにASM1よりは伸ばすわけでございますけれども、この数字につきましては防衛上の秘密事項でございまして、申し上げるのは控えさしていただきたいと思います。
  182. 安武洋子

    ○安武洋子君 どちらにしても足を長くするということなんでしょう。先ほどのお答えの中で、内陸部から艦船目がけてそれを使用するんだという御答弁がありました。そうであれば、足を長くしなければならないわけでしょう。そうしていまおっしゃった空対艦ミサイル、ASM1、これをもとにしてやるんだということですからね。これがもとになりますと、いま開発されている超小型のジェットエンジン、これを積むわけですから、これで飛行する。そして誘導装置で目標の位置を探る。建造物を回避したり、あるいは飛び越えたり、内陸部から撃つわけですから、山を越えたり、谷を縫ったりする。そして海上へ出て目標に向かう。コースを変える能力をみずから持つ。こういうことでありますから、ロボット操縦爆撃機、すなわち日本で初めてのこれは巡航ミサイルそのものではないですか。ですから、このような巡航ミサイルはASM1と比較をいたしますと、ジェットエンジン以外、ほとんど共通をしております。ですからF4ファントムでも発射できるものとなるというふうに私は思います。少なくとも現状のままでは無理だとおっしゃいますでしょう。でも、ある程度の改造をすれば、そういうことも可能になるというふうに思うわけなんです。そういうことが可能になる改造の研究ですね、私はそういうことは絶対してはならない。そういう開発をしてはならない。そうでなくて、ファントムにこういうものを積んでいくというふうなもし発想をお持ちならば、こういうものをファントムに積んではならないと、そういうふうに思いますけれども、そこら辺はどうなんでしょうか。  私が申し上げたように、これはまさにASM1、これをもとにしてやるわけです。こういうことになりますと、何とおっしゃろうと、これはすなわち日本で初めての巡航ミサイルそのものだと思います。こういうものをF4ファントムで発射するというふうなことは、ある程度の改良を加えれば、これはできるんではなかろうかというふうに思います。ですから、こういう開発とか、あるいは研究とか、こういうことは今後行わないということをここではっきりしていただけますか。
  183. 冨田泉

    政府委員(冨田泉君) ただいまのお尋ねの中に、いろいろ私どもも疑問に思うようなお尋ねがございましたが、巡航ミサイルとはもう本質的に相当な技術の違いがございまして、このものが巡航ミサイルにつながるというようなものではございません。これはもう技術的に明らかにわれわれにはそういう力はまだございません。  それから、このF4ファントムに積むといいますのは、現在このASM1というのは、F1という対地支援戦闘機に搭載して運用しておるわけでございますけれども、それと同じようにF4にも積むということでございまして、特段能力的に差が出てくるというものではないと考えております。  また、将来のことにつきまして、いろいろお尋ねがございましたけれども、現時点においてそういう計画はございませんし、また先ほども申しましたように、技術的にも、あるいは運用的にも、そういうことはやる必要は起こってこないというふうに理解しております。
  184. 安武洋子

    ○安武洋子君 まず一つ確認をとっておきます。では、いま地対艦ミサイル、あなたたちがこれを開発する、本格的に乗り出すというふうなのは、将来はF4ファントムとか、あるいは艦船とか、そういうものには絶対に積載しない、そういう計画は持っていないということは、まず確認しておきますけれども、それはそれでよろしいですか。
  185. 冨田泉

    政府委員(冨田泉君) 地対艦ミサイルは地上から発射するミサイルでございまして、これは航空機には搭載できないわけでございます。
  186. 安武洋子

    ○安武洋子君 だから、それを改造して、そして、そういうものをF4ファントムに積むとか、あるいは艦船に積載するとかというふうな開発計画に乗り出さないなということを確認しているわけです。
  187. 冨田泉

    政府委員(冨田泉君) この地対艦ミサイルは、先ほど申しますように、地上から発射するものでございまして、これを巡航ミサイルのように改造するということは技術的にも大変段階の違うものでございまして、そういうことは考えておりません。
  188. 安武洋子

    ○安武洋子君 では、巡航ミサイルでないとおっしゃいました。じゃ、巡航ミサイルとどこがどのように違うんですか、はっきりしてください。
  189. 冨田泉

    政府委員(冨田泉君) これは技術的に申しますと、巡航ミサイルそのものの技術内容というものを私どもはつまびらかにしておりませんけれども、巡航ミサイルの目的が相当な遠距離から対象国の内陸部に入っていくということのようでございまして、そのためには相当な遠距離から正確に入っていくという機能を持たなければならないと思います。そのためには、一説によりますと人工衛星から誘導するとか、あるいは対象国の地上の地形等を記憶させて侵入していくとかというようなことを言っておるようでございますけれども、これはいずれも技術的に見ますと大変高度な技術でございまして、わが国の現時点におきます技術としましては、なかなかそこまでは相当な距離があるというふうに御理解していただきたいと思います。
  190. 安武洋子

    ○安武洋子君 遠距離だけの問題でおっしゃっておりますけれども、しかし、SALTIIの議定書の厳密な定義によりましても、巡航ミサイルといいますのは、「飛行経路の大部分を航空力学上の揚力を利用して飛行を推持する、無人、自力推進、誘導式の兵器運搬手段」と、こういうふうになっております。ですから、先ほど御答弁のあった、内蔵した超小型のジェットエンジンで飛行して、誘導装置で目標の位置を探りつつコースを変える能力を持っていると、この無人飛行機、ロボット操縦爆撃機、これは巡航ミサイルである事実というのは疑問の余地もないということを、マスコミでもはっきりと申しております。それでも、あなたたちは巡航ミサイルということを言われるということを大変嫌っているということもマスコミで報道されておりますけれども、なぜこの巡航ミサイルでないということを巡航ミサイルであるのにそのように私は固執されるのかということを大変疑問に思います。  そこで、時間の関係防衛庁長官にお伺いいたします。  私がこのように申し上げておりますのは、私どもは巡航ミサイルであると、このSALTIIの定義によりましても巡航ミサイルであるというふうに思えるものについて、これを改造すればF4ファントムにもこういうものがつけられる、艦船にもつけられるということになれば、距離の問題はこれは解決できます。はるか遠く敵の内陸部にもこれを撃ち込むことができるというふうなことで、非常に攻撃的にもなると。侵略的にもなる。だから、こういう開発はすべきでない。艦船にも、F4ファントムにもつけるべきでない。F4ファントムに照準装置をつけるというふうなことは非常に侵略的になるということでいま問題になっております。それだけでなしに、こういうものまでも改良し開発しようとすれば、非常に攻撃的、侵略的になるというふうなことで、私はこういうものはやめるべきだと、こういう軍事費そのものも削減すべきだと、研究開発をやめるべきであると、このことを強く要求をいたしますが、御答弁をお伺いいたします。
  191. 伊藤宗一郎

    ○国務大臣(伊藤宗一郎君) 先ほど来政府委員から御答弁を申し上げているような内容のものでございますけれども、いずれにいたしましても、私どもは専守防衛に反するような、またその域を脱するようなものの開発とかを考えてもおりませんし、またそういう装備を持とうという考えもないのでございまして、ぜひこの一点にしぼって御理解を賜りたいと思います。
  192. 安武洋子

    ○安武洋子君 ですからね、地対艦ミサイル、あなたたちはこれは専守防衛の兵器なのだと、こうおっしゃる。しかし、それを少し改良すれば、F4ファントムに積むとか、あるいは艦船に積むとかというふうなことになれば、非常に侵略的な威力を発揮すると、だからそういう研究を一切やらない。そして明らかに巡航ミサイルであるのに、巡航ミサイルであるというふうなことを否定なさるというその姿勢にも私は大変な疑問を感じるわけです。  これは引き続いてまた追及をさせていただくということで、大変残念ですが、時間が超過いたしましたので、きょうの私の質問を終わります。
  193. 森田重郎

    ○森田重郎君 まず外務大臣にお伺い申し上げたいと存じます。  もうほとんど私の質問事項は、前段におきまして黒柳委員、そしてまた柄谷委員の方から御質問がございました。  若干質疑通告を離れる、そういう個所もあろうかと思いますが、お伺い申し上げたいと思います。  先ほど来外務大臣のお話をずっと伺っておりまして、まあその御答弁の中で若干感得できたような感じが二、三あるんでございますが、実は貿易摩擦の問題で、残存輸入制限品目のさらに緩和の問題、特に農産物輸入の拡大の問題、それからまたサービス業であります金の問題、物から金、金融、保険、そういった問題をこの際わが国の姿勢として思い切った門戸開放、優遇措置というふうな観点からしての結論を出すというような形の中でのアメリカとの交渉、これらの中で何か一つの解決策が図れるというふうな印象をちょっと持ったわけでございますが、その辺いかがでございましょうか。
  194. 櫻内義雄

    ○国務大臣(櫻内義雄君) 今回、一連の措置、関税の前倒しとか、非関税障壁六十七品目を実行しようと、こういうことで江崎調査団が行ったのでありますが、日本の意図したように、それでアメリカ側が十分満足するということに至らず、なお一層の市場開放を求めてきておる。特にいま御指摘がございましたサービス分野についての期待感が強かったようでございます。ただ、今回の江崎ミッションがあちこちで話ししたのを調べてみますと、日本で銀行の支店を開くことは自由なんですよというような話をすると、ああ、そうでしたかというようなこともあるようでございまして、まだまだ日本の実情について十分な理解を得てない面もあるように思います。しかし、米側からもう時間的にも差し迫っている、もっとドラマチックな措置をとれと、こういうことでありますので、あす江崎団長から詳細承りまして、順次検討してでき得ることはいたしたいと、こういうことでございます。
  195. 森田重郎

    ○森田重郎君 先ほどの大臣の御答弁の中で、いろいろと牛肉の問題等のお話が出ました。必ずしも牛肉の問題を例にとっても、豪州あたりから安いものが入るというようなことで、アメリカの牛肉が素直に、即座に入ってくるとも限らぬというようなお話も出ましたし、いまも銀行のお話等が出たわけでございますが、私は、かつて農水大臣経験者でもあります外務大臣は、恐らくは何かこの訪米に際して、外務大臣なりの御意見というものも持っておられるのではなかろうかというふうな気がするのでございますが、もう一歩突っ込んで、大臣が訪米されます折に、大臣なりの御所見というものがあったらば、率直にひとつお聞かせ承りたい、かように思います。
  196. 櫻内義雄

    ○国務大臣(櫻内義雄君) 今度の訪米団の話からいたしますと、いろいろ言いわけのようなことはもう必要がないんだと、すべからく何かはっきり実行してくれと、そういうような空気が強いようでございます。そして、それについて具体的に何か特に要望があるかと、こういうことになりますと、関心品目はいろいろと示されております。しかし、そういうことよりももっと思い切ったことをやれと、こう言うのでありますから、なかなか訪米をするからといって、決め手になるようなことはないんじゃないか。米側の示した関心品目につきましては、この三月の九日、十日の日米貿易小委員会で具体的に検討をしてもらうと、こういうことをまず考えておるのでありますが、日米間で、このことをやれば両国の友好信頼関係を深めるんだというようなものが、これが見出せれば非常にいいのでありますが、いろいろいま江崎ミッションの報告を聞いて頭を痛めておるというのが率直なところでございまして、何かそれあればいいなということで鋭意検討中でございます。
  197. 森田重郎

    ○森田重郎君 江崎ミッションに対しまして、米国側で、十二品目でしょうか、についての開放の措置、そういうふうなものが列挙されたということでございますが、これちょっとひとつお聞かせ願いたいところでございます。
  198. 妹尾正毅

    政府委員(妹尾正毅君) お答え申し上げます。  結果において十二品目になるかどうか数えておりませんでしたけれども、今回、江崎ミッション訪米中に、いろんな米側の関係者——政府関係者、議会関係者等から日本の市場が閉鎖的である、こういうことをやるべきではないかということで提起された品目は、牛肉、柑橘、オレンジジュース、小麦粉、燐鉱石、木材、たばこ、ソーダー灰、紙、石油化学製品、先端技術製品、通信機器、原子炉、石油開発機材、血液分析機器等でございます。
  199. 森田重郎

    ○森田重郎君 どうなんでございましょうか。たとえばこれ十二品目になりますか、十三品目になりますか、こういったアメリカ側の要求に対しまして、これらの問題の中から仮に何項目かに限ってわが国の方で、必ずしも満足がいかないにしても、ある程度の誠意を示すというようなことで解決し得る問題であるかどうか。つまり向こうの要求というものを、十二品目とこう私申し上げましたけれども、新聞紙上では十六項目というふうな表現になっております。そういう形の中でこれが解決し得るような問題であるかどうかというようなことについて、大臣の御意見をちょっと伺いたいと思います。
  200. 櫻内義雄

    ○国務大臣(櫻内義雄君) ただいまお示し申し上げましたそれぞれの品目を、これをよく検討いたしまして、どの程度の市場開放ができるか。何らかの結論が出ますれば、それはそれなりに当然米側が評価してしかるべきものではないか。この九日、十日の場合は、品目ごとに日本側の事情も言い、また先方の意見も聞くという場でございますから、その際にどういうふうに話が詰まるのか。これは両者の間で協議し、お互いに意見を申し述べての結論になっていくわけでありますから、それはそれなりの評価を受けてしかるべきものではないかと、こういうふうに思います。
  201. 森田重郎

    ○森田重郎君 この九日、十日の小委員会につきまして、何かこの議題のような、テーマが何か設定されておるんでございましょうか。その点いかがでございますか。
  202. 妹尾正毅

    政府委員(妹尾正毅君) まだ決まっておりません。
  203. 森田重郎

    ○森田重郎君 何かこれは一部新聞報道によりますと、たばこ、それからオレンジ、牛肉、まあ農産物輸入の問題、あるいはまた先ほどちょっと触れました銀行、保険業等サービス業の問題とか、そういったような形で幾つか問題がしぼられているやに承知したんでございますけれども、その点いかがでございましょうか。
  204. 妹尾正毅

    政府委員(妹尾正毅君) お答え申し上げます。  確かにただいま先生御指摘のような品目は従来日米間で重点的に——重点的と申しますか、アメリカが重視する形で取り上げられてきたということは事実でございます。たとえばこの日米貿易小委員会、前回ありましたのは去年の十二月でございますが、その際にもいまのたばこ、オレンジ、牛肉、農産物の輸入という問題は提起して討議されているわけでございます。  そういうことからしますと、アメリカ側がこういう問題に、これだけではございませんが、こういう問題にも重点を置くということは十分考えられるところだろうと思います。  それから、銀行、保険の問題でございますが、この点ははっきりしたことはわかりませんが、情報によりますと、アメリカは次回の日米貿易小委員会では、こういうサービス貿易の問題についても重点的に取り上げたいという意向があるという情報がございますので、申し添えます。
  205. 森田重郎

    ○森田重郎君 けさ実は、あれはNHKでございましたか、ニュースを実は拝見しておりまして、たまたま江崎団長が今回の訪米についていろいろ語っておられた。最後の方でこういうことをおっしゃっておりましたですね。  要するに、経済大国ナンバーワンのアメリカが、これだけ苦しんでおる。窒息という言葉を使っておりましたけれども、窒息をしておるというような折に、ナンバーツーの日本は、言うなれば手をこまねいておるというような姿勢の中で、この日米貿易摩擦の問題を解決することはもうまさに至難のわざだというような意味のことをおっしゃっておったんですが、私はどちらかというと、何かこの辺で共和党本来の姿が如実に出てきたというような、どちらかというと一種の悲観論者に強いような立場でございます。  これまでに経済人の方々が向こうへ何回か行っていらっしゃる。その中には元賢人会議のメンバーの方なんかも行っていらっしゃる。向こうの情勢は非常に厳しいと、こういうようなことを声を大にして何回かにわたってお話をしておるようでございますし、先ほどちょっと申し上げた江崎さんのお話を伺っても、非常に厳しいような、そういう気がしてならないわけでございます。  先般、二十五日でございましょうか、元福田総理が、あれはアジア調査会でございましたかね、そこでちょっと講演をされた。そのときはこういうことをおっしゃっているんですね。米国の場合、貿易摩擦解消を要求しているだけでなく、日本が同盟国として米国の世界政策に対してその役割りを果たしてほしい云々というふうなことをおっしゃっておるわけでございます。  そういう意味から申し上げまして、先ほど来の貿易摩擦の問題を農産物に限るとか、あるいはまた金融、保険、サービス業等々の問題に限ると、こういうふうな問題だけで解決し得ない何か一つの大きな問題が裏にひそんでおるような感じがしてならないわけでございますが、その辺さらに重ねて大臣の御所見を伺いたいと、かように思います。
  206. 櫻内義雄

    ○国務大臣(櫻内義雄君) 森田委員ただいまおっしゃったように、日米間では、昨年来話題を呼んでおる防衛の問題、貿易摩擦の問題、これだけに限られるということでないことは、これは言うまでもございません。また日本は、日本外交を遂行していく上におきまして、安保体制を基軸として、真の友人としてのおつき合いをして、そしてわが国の平和と安定のために寄与することはもとよりでありますが、しかし同時に、世界の平和と繁栄に尽くしていくということも、これは両国の間で相協調してやるべき大きな問題だと、こう思うんであります。そういうようなことからいたしますれば、それは当面の問題に限らず、今後軍縮の問題にどう取り組むのか、あるいは南北問題にはどうするのか、あるいはきょうも話題に出ましたが、国際経済の活性化についてはどうするのかというようなふうに、各種の問題を抱えておるわけでございまして、さような意味合いからいたしますと、この日米間の問題から、さらにベルサイユサミット、またその折の、でき得るならば日米首脳の会談というものがきわめて重要であると思っております。
  207. 森田重郎

    ○森田重郎君 最後に一問、防衛庁長官にお伺いしたいと思います。  現在、軍拡問題が云々されております反面、軍縮、特に核軍縮の問題が非常に大きく取り上げられてきております。あらゆる文化団体、あるいは学者グループ、婦人団体等がそれぞれ、あるいはまた統一的な行動の中で、反核運動を展開をしておりますが、こういう中で、防衛力増強の問題とあわせて、軍縮問題についての長官のお考えをお聞かせいただければと思います。
  208. 伊藤宗一郎

    ○国務大臣(伊藤宗一郎君) わが国の平和と安定がより確固たるもの、確かなものになるためには、わが国が生きておりますわれわれの世界が、より平和に、より安定していくことが当然必要となってくるわけでございまして、そのことによってまた逆にわが国の平和と安定がより確かなものになるわけでございまして、そういう意味からいきましても、軍縮、とりわけ核軍縮の進展が望まれますことは当然でございまして、防衛庁としても軍縮の進展にはいままでもそれなりの貢献をし、また今後とも貢献をしていかなければならないというふうに考えております。
  209. 中山千夏

    ○中山千夏君 一月十九日の決算委員会で核不配備に関する決議案、それから核不使用に関する国連の決議案、これが問題になりました。このような条約、決議案に日本が反対するのはおかしいんじゃないかということで、峯山さんが質問をなすって、国連局長とそれから宮澤官房長官がいろいろお答えになったんですけれども、その中で宮澤さんがお答えをまとめるというような形でこんなふうにおっしゃっています。「国連でこの問題が議論になりますときに、時として必ずしも純粋な動機からばかりでなく、政治上のいわゆるプロパガンダと申しますか、そういう動機が混在して議論をされることがままあるわけでございます。」、それから「決議案の背景が非常に政治的なプロパガンダといったようなものになってまいりましたときには、わが国の純粋な立場はそれといたしまして、そのような背景における決議案にどう対処するかということを考えなければならない場合が現実の問題としてある、こういうことを政府委員は申し上げておるのだと思います。」というお答えがありました。  そこで、外務大臣にお伺いしたいんですけれども、この背景というものはどのようなものか、多分把握していらっしゃると思うので、ちょっと御説明いただきたいんです。
  210. 門田省三

    政府委員(門田省三君) お答え申し上げます。  いま中山委員から御質問のございました、軍縮に関する決議案についての各国の意図あるいは思惑、こういったものがどういうものであるかという点につきましては、加盟国の数が非常に多いという点が一つございます。  それから、国連の加盟国の中にはいろいろなグループがございます。これらにつきましては、御存じいただいているところでございます。  したがいまして、幾つかございますところの決議案について、それぞれ多くの国、しかもグループごとに属する国の考え方がどうであるかという点につきまして、一々しさいに申し上げることは非常に困難でございます。そういうことで、具体的にこの国はこういう決議案についてこういう意図を持っていたということをこの場で御説明さしていただくことは差し控えさせていただきたい、御了承賜りたいと存じます。
  211. 中山千夏

    ○中山千夏君 大変時間がかかりそうなお話なので、私も恐ろしくなりましたから、それはここでは伺いませんけれども、後ほど機会を改めて御報告はいただけますね。
  212. 門田省三

    政府委員(門田省三君) 承りました。さよういたします。
  213. 中山千夏

    ○中山千夏君 なぜこれ気にするかといいますと、ここにも宮澤さんがおっしゃっていますけれども、「わが国の純粋な立場はそれといたしまして、」というふうにおっしゃっているわけです。この「純粋な立場」、つまり非核の立場というのは、とてもたくさんの国民が支持している立場なわけです。それをそれとしておいて優先するものは何なのか、優先するものがあるとしたら、それはやはりみんなの前に明らかにされなければならないことだと思うんです。ですから、その背景を知らせていただきたいと思うわけです。  それともう一つは、こういう言い方をされますと、何となく、本当は賛成であるけれども、現実的ないろいろなことを考えた結果反対をしておるのだというようなことがまかり通りますと、ほかの国連の決議もあるわけです。たとえば婦人の差別撤廃条約など、早く批准してほしいというふうに私たち思っていますけれども、批准された結果に望みをかけているんですけれども、それが、賛成はしたけれども実は現実的には反対なんだというようなことでは非常に困るわけですよね。ですから、額面どおりに受け取れる決議をやはり国連ではすべきではないかと私は思っているんです。その点を申し上げたいと思いました。  それから次に、防衛庁長官にお伺いいたしますけれども、自衛官の健康、特に精神衛生面の管理についてはどのような努力をなすっていらっしゃるか、ちょっと伺いたいんですが。
  214. 伊藤宗一郎

    ○国務大臣(伊藤宗一郎君) 政府委員から答弁さしていただきます。
  215. 本田正

    政府委員(本田正君) 隊員をまず採用いたしますときには、採用に関する規則がございまして、それにいろいろ、身長、体重に始まります基準がございます。その基準に合致しない場合は採らない。その中にも精神衛生にかかわる事項がたくさんございまして、そこでふるい分けをいたします。  それから、パイロットの場合は、これまた航空身体検査の基準がございます。これにも同様の厳しい基準がございます。  それから、平常時は健康管理を行っておりますけれども、これも定期の健康診断、あるいは定期外の健康診断等々ございまして、これによりましても精神衛生面のチェックをさせていただいております。
  216. 中山千夏

    ○中山千夏君 自衛隊の航空機大事故のデータというのを見ますと、操縦を原因とする事故の数というのが大変多いんですね。六九年から七九年というものをちょっと見せていただいたんですけれども、その中で言いますと、最低が全事故数の二五%を占めている、これ七五年、これが最低でした。それから最高が七四年で六七%を占めているんですね。  それで、この十一年のうちとりまして、二〇%台が二、三〇%台が四、四〇%台が一、五〇%台が三、六〇%台が一というふうになっていまして、ゼロの年はありません。ほかの原因の項目ではゼロである年も少なくないということを考えますと、かなり多いという感じがするんですね。これは操縦員の精神衛生面の管理と何か関係があるんじゃないかという疑問を持つんですけれども、いかがでしょうか、その点。
  217. 本田正

    政府委員(本田正君) 先ほど申し上げましたように、航空パイロットにつきましては、航空身体検査に関する基準がございまして、年に一回ないしはパイロットの種類によりまして二回検査をいたしております。その際にも十分これは精神衛生面でのチェックをいたしておりますけれども、いま御指摘の事故に関しましてパイロットミスというようなものがある、その中に精神病的なものがあるんじゃないかという御指摘でございますが、もちろんそういうものが発見されますと、これは飛行停止にいたしております。そして、治療なり必要な医学的な措置をやらせて、そして改めてよくなりましたならば復帰させる、あるいはそのまま飛行停止を命ずるという措置をとっておるわけです。そこで事故の原因となりますと、事故が起こったときには当然事故調査委員会で、事故ごとに詳しい、これは医学者も交えた調査をやります。その際に、精神異常によって起こった事故はないと聞いておりますし、それから多くの場合は、ごく瞬間的な、一時的な、いわゆる一瞬タイミングを失したと、そういったものでございまして、これが精神病的なもの、あるいは精神薄弱とかいろいろございますけれども、そういったものによって起こったという事例はないと聞いております。
  218. 中山千夏

    ○中山千夏君 この間、二月九日に羽田で日航機の墜落事故が起こりましたね。そのことについて豊田さんという作家が新聞に記事を書いておられまして、豊田さんという方は大戦中に急降下爆撃機の操縦員をしてらしたそうなんです。その経験の上から書いていらっしゃることで、ちょっと読みますけれども、夜間訓練のときの話です。「雲の上は晴れているらしいので上空へ出るべく上昇を続けたが、雲の中で急旋回に入っていた。そんなことをしてはいけない。真っ直上昇すればよいのだと自分に言って聞かせながら、急旋回しつつ上昇した。雲の上に出たときはほとんど背面に近くなっていた。あの雲がもう百メートルも厚かったら私の機は錐揉みに入って墜落していたであろう。」そして「夜飛んでいると水平線が傾いて見えるようになった。これはおかしいと機を水平に直すと機は旋回を始める。実は傾いてはいないのである。軍医に相談すると、航空神経症であろうという。心因性のもので精神病とは違うから、なれれば治るということであった。」、これは「航空神経症」という題で書かれていまして、私なんかは初めて耳にするようなことでびっくりしたんですけれども、あの羽田の事故がありました直後に、旧の軍隊でやはりパイロットの経験を持っていた人たちが集まって、すぐにいろいろ新聞に報道されていることやなんかから、片桐機長は航空神経症だったに違いないというふうに話し合ったんだというようなことを、出席してた方からも聞いたんですね。日航機の事故に関する運輸省の調査などを読ましていただいても、それから報道を見ましても、副操縦士がキャプテンやめてくださいと墜落直前に言った、そういうレコーダーが残っているというようなことから推して、私なんかも航空神経症というものなのかなという感を、もちろんまだ結果は出てませんけれども思いますし、パイロットの経験者であるとか、それから関係者の中には、片桐機長は単なる精神障害ではなくて、彼が操縦士であったがゆえの航空神経症というものだったんだという意見がかなりあるんですね。こういうことについては、もちろんいろいろ詳しく御存じだと思うんですけれども、どうなんでしょうか。
  219. 本田正

    政府委員(本田正君) ジェット機等の非常にスピードの速い飛行機の上での操作は、地上のいわゆる生理学で考えられないようなことがしばしば起こるんだそうでございます。たとえば飛行機がすれ違う場合も、一点見えたかと思うとあっという間にすれ違う、そういういわゆる通常地球上でわれわれが生活している状態と全く違う現象がある。それに加えることにGがかかることもありましょうし、低圧という場合もありましょう。そういったことからいろいろいま御指摘のような状態が起こることはあり得るんです。しかし、それは訓練によってある程度克服されていくものだと聞いております。これはいわゆる一般に言います精神病というものとは全く違う概念であると思います。したがいまして、今度の羽田の例は詳しくは新聞報道しか存じませんけれども、これはよくよく特殊な例だと存じます。そういうことがあるかどうかということ、ありはしないかどいうことを私どもも改めて調査を内部でしたわけでございます。あの例に当たるようなものは幸いなことにございません。
  220. 中山千夏

    ○中山千夏君 豊田さんは最後にこういう指摘をしていらっしゃるんです。「大体人間が空を飛ぶということは異常な状態である。表には出なくともさまざまなストレスがひそんでいる。悪い要因が集中しない内に発見し、思い切った対策の手を打つという健康管理が望ましい。」、これは普通の健康管理ではなくて、航空神経症というようなことが経験者だとか、関係者の間で言われている以上、そのことについて研究をしたり対策を立てたりということが別個に必要になってくると思うんですけれども、その辺はいかがなんでしょう。
  221. 本田正

    政府委員(本田正君) ごもっともな御指摘だと思います。それで、自衛隊におきましては、航空自衛隊で航空医学実験隊というのが早くにできておりまして、そこで相当の機械を整備し、いろんな研究をやっております。そこで出てきた成果は逐一身体検査基準等に盛り込むべくいたしております。  なお、自衛隊の場合の身体検査というのは一般のパイロットの場合とまたちょっと違いまして、非常に詳しくなっております。たとえば一般の場合が精神に異常がある場合は云々という言葉でありますけれども、私どもの場合は、たとえば精神分裂症等々の病名を挙げました詳しい身体検査基準でやっております。  御指摘のような研究それから調査、そういったものの成果も逐一反映していく仕組みになっておりますし、今後とも一層努力したいと思います。
  222. 中山千夏

    ○中山千夏君 そうすると、わりあい操縦を原因とする事故が多いという中で、いままでのお話だと精神面に原因があるというものは一件もないということですけれども、だとしますと、そのほかはどういうことになるんでしょうか、操縦面が原因というのは。下手だったとか、そういうことなんですか。
  223. 石崎昭

    政府委員(石崎昭君) 事故を調査してみますと、いまおっしゃいましたように下手であった例もありますし、それからノーマルな人間の許容範囲内といいますか、ノーマルな人間でも陥りやすい一瞬の判断の誤り、一瞬の気おくれ、そういった若干気が弱い人とか、そういう批判は当てはまるかもしれませんけれども、通常の人間でしばしば陥りやすい心理上の瞬間的な判断の誤り、こういったようなことがございまして、そういうノーマルな人間の域を超えた原因で操縦ミスが起こったという例は、調査の結果では出てきておりません。
  224. 中山千夏

    ○中山千夏君 それから、陸上自衛隊北部方面隊の自衛官が二人覚せい剤で逮捕された事件が先月起きていますね。この覚せい剤に走るというようなことも、私なんかは考えますと、広い意味で精神衛生面の管理に問題があるんじゃないかという気がどうしてもするんですけれども、この辺はいかがでしょうか。
  225. 本田正

    政府委員(本田正君) 覚せい剤を使用するというのは、これは確かにいけないことでございます。これは精神状態が医学的に言う精神病であるとか、だから使用するということじゃないと思います。ほかにいろいろ誘惑がありまして使用することだと存じます。
  226. 中山千夏

    ○中山千夏君 ですから広い意味でと申し上げたわけで、私も精神病であれば覚せい剤を使用するというふうには全然思っていないわけです。ただ、やはり自衛隊というようなところは、片桐機長が大変ストレスの多い状態に置かれていたそうですけれども、やはり相当重い責任を一人一人が負ったり、それから一般の会社勤めとは全然違うような事態に直面することが多いと思うんですね。ですから、広い意味での精神衛生管理というものが必要なんじゃないか。そこに欠陥があると、やはり覚せい剤に走るような人たちが出てくるんじゃないかと思うんですね。そういう広い意味での精神衛生管理ということは余り考えていらっしゃいませんか。
  227. 本田正

    政府委員(本田正君) 精神衛生管理といいますよりも、むしろ生活指導だと存じます。まじめに人間が生きていく上に、自衛隊員といえども、そういうものを使用するということが、いろいろまたこれ中毒症状で、心身——身体にも害が来るし、精神にも害が来るということを含めました、そういった生活指導にあるんじゃなかろうかと存じております。
  228. 中山千夏

    ○中山千夏君 生活指導ではなくて、むしろ私は精神衛生管理ではないかと思うんですけれども、道徳で幾らしてはいけないことだと言い聞かせても走ってしまうというのは、やはり精神的に問題があるんだろうと思うんですね。生活指導も十分なすっていらっしゃるでしょうから、たとえばこの覚せい剤を使ってつかまった自衛官に関して、これ覚せい剤はよくないことなんだという自覚が全くなかったとは私には思えないわけです。それは十分もちろん教育なすっていることでしょうから、あったんだろうと思います。それでもなおかつこういう人が十分教育した上で出てきてしまうというあたりに問題があると私は思うんですけれども。いずれにしましても、航空機事故にしましても、それから覚せい剤にしましても、下手をしますと民間、一般の人たちに大変危険の及ぶことなんですね。そのもとに自衛隊がなるようなことがあっては大変皆さんも不本意じゃないかと思うんです。ですから、そういう対策としては、ただ一般の精神医学的な考え方などを超えて、隊員の方たちの精神的な衛生面の対策というものがどうしても必要になってくるし、今後努力なさるべきではないかと思うんですけれども、その辺防衛庁長官はいかがお考えでしょうか。
  229. 伊藤宗一郎

    ○国務大臣(伊藤宗一郎君) 今回の覚せい剤の事件はまことに遺憾なことでございました。私も報告を聞きまして、大変遺憾なことだということで、改めて長官としての責任を感じました。  中山先生御指摘のとおり、いろいろの手法があろうと思いますけれども、いま政府委員から申し上げましたとおり、また教育の面、生活指導その他いろいろいままで以上にきめ細かにいたしまして、こんな事犯がもう二度と自衛隊の中には起こらないように努めてまいりたいと思います。と同時に、やはり国民の自衛隊でございますし、また国民を守るための自衛隊でもございますので、国民の皆様方の温かい御理解なり、また御支援も、今後の自衛隊がりっぱに育っていくためには必要であると考えております。
  230. 和田静夫

    委員長和田静夫君) 他に発言もないようですから、外務省及び防衛庁決算については一応この程度とし、本日はこれにて散会いたします。    午後六時十八分散会      —————・—————