○渋谷邦彦君
総理の
国連における
軍縮特別総会演説を何回も何回も私読み返しました。確かに全体的には理念として同感するところもございます。ただ、いま
質疑のやりとりを聞いておりましてもそうでございましたけれ
ども、
総理のお気持ちの中には、実現可能性がないものについて具体的に
提案するのはいかがなものであろうかというちょっと足踏みをするようなそういうお気持ちがあったのではあるまいかというふうにいま印象を受けたわけです。今回の一連の内容については
総理御自身が何回も手を加えられたと伺っております。それだけ相当な決意を持って今回の
国連にお臨みになったのだろうと思うんです。三
原則もさることでございますけれ
ども、私がいま共感といいますか、同感だなという理念的な
考え方の中には幾つかございます。その一番印象に残るものとしては、先ほ
ども若干問題がありましたけれ
ども、
国家間の信頼関係を促進する、それから非核地帯構想ということについても述べられております。それから
国連の
平和維持機能を
強化、拡充すること、あるいは検証措置の必要性、最も重要なことは、
核軍縮と並行して通常兵器の
軍縮を進めることなしには、
核兵器の
廃絶を含む全面完全
軍縮は達成し得ないと、こうお述べになっております。全くこのとおりだと私は思うんです。
さて、こうした主張を今後どう一体実効ある具体的な
方向へ道を開くことができるんだろうか、果たしてその可能性というものを
考えてみた場合どうなんだろうか。四年前の第一回の
軍縮特別総会における最終文書、これすらも一歩も前進していない。そういうような経過を踏まえつつ、そしてまたぞろ二、三日来の
アメリカ側の宇宙
政策に対する
レーガンの
考え方というものをわれわれが判断いたしますと、これまた軍事優先ということを明確に打ち出している。
軍縮特別総会というのは一体何であったのだろうというような疑問を持つのは、私一人ではあるまいというふうに思うわけであります。それほど確かに忍耐を要求される課題であるということはだれしもが認めるところではございましょうけれ
ども、いま手をこまねいてこれを傍観しているわけにはいかない。何か
一つでも具体的な
方向に道を開かなければならないであろうというのがわれわれの共通した気持ちであろうというふうに思うわけであります。
さて、いま申し上げた中でこの信頼関係の促進というのは一番
基本に置かれなければならない問題であろうと思うのです。ところが一九五五年、ロンドンにおきましてラッセル・アインシュタイン宣言というのがあるのです。これは恐らく私が質問通告を申し上げましたので、お読みになったろうと思うんですけれ
ども、ここには、思想的な対立の排除なくしては紛争というものは絶えないと、こうあるんですね。しかし、それは短絡的に見ればそういうことになるかもしれませんけれ
ども、この信頼関係を回復するにはどういう一体具体的な方法があるのであろうかという
一つの疑問、これがもしございましたら後で述べてください。これが第一点。
それから第二点の非核地帯構想、確かに私もこれは
総理のお
考え方というものとは全く同感です。しかし、これには条件を
政府側としてはつけているわけです。それをいまあえてここでやっぱり申し上げておいた方がよろしいと思うんです。その四つの条件が満たされなければ非核地帯構想の実現はできない。
つまり一つは、
核兵器国を含む関係
諸国のすべての同意があること。これは事実上非常に困難じゃないかという感じがするんです。特に当該地域内
諸国のイニシアチブを基礎とすること。第二点が当該地域のみならず、
世界全体の平和と安全に悪影響が及ばないこと。第三点が査察、検証を含む適切な保障措置を伴うこと。第四点が公海における航行の自由を含む
国際法の諸
原則に合致したものであること。こういう条件が満たされなければ非核地帯構想というものはできないというのがわが国の
基本的な
方針のようでありますけれ
ども、しかし
総理御自身は今度の
特別総会においてこれを打ち出された。
日本自身がイニシアチブを持って、少なくともわが党が提唱しております
アジア・太平洋地帯における非核地帯というものの設定というものは早急に具体化すべきではあるまいか、こういう点について一体どういうふうにお
考えになっていらっしゃるのか、まずその二点、一番
基本的な問題になりますので所信をお伺いしたいと思うわけであります。