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政府委員(
松浦昭君) アメリカの二百海里内
水域はわが国にとりまして非常に重要な
水域でございまして、特にアラスカの周辺の
水域につきましてはわが国の主要な漁場の
一つになっており
ます。アメリカ
水域における対日割り当て量は五十七年で百十四万九千トンでございまして、
日本の総
漁獲量の約一千万トン強ということから御判断願い
ますと、いかにこの
水域が重要であるかということがわかっていただけると思うわけでござい
ます。従来まではアメリカ側はこの対日の割り当ては一年一回だけで全量を割り当ててきたわけでござい
ますが、ことしからこの割り当ての方式を変更いたしまして、当初半分、四月に二五%、それから七月に二五%割り当てるということで、当初割り当ては五〇%の割り当てをしてきたわけでござい
ますけれ
ども、第二回の割り当て量を四月二十六日に通告してまいりましたところ、予定されていた四月一日よりも一カ月も遅く、しかも量的にも予定量の二五%を大幅に下回って一五%ということで十七万トン、約十一万トンの削減をしてきたというのがその
経緯でござい
ます。
米国側はこの通告の中で、対日割り当て量を削減した
理由というものは明確にはしておらないわけでござい
ますが、従来までの
交渉の
経緯から判断をいたし
ますと、恐らく洋上買い付け等の問題につきまして
向こう側が
日本側の
協力につきまして不満であるというふうに考えた結果ではないかというふうに考えておる次第でござい
ます。アメリカは御案内のようにブロー法という法律がございまして、将来できるだけアメリカの
漁業を優先的に育てていくという
考え方がござい
ますし、さらにもう
一つは、外国の
漁船をアメリカの二百海里内で
操業させる場合には、アメリカに対する貿易の
協力といったようなことも配慮してこれを割り当てていくんだということを念頭に置いており
ますので、このような洋上買い付けにつきましても、恐らくアメリカの水産物の輸出、これを振興させるためにこのような
協力を要求してき、それについて不満があったということからこのような割り当てをしてきたのではないかというふうに考えるわけであり
ます。
ところが、米国の水産物の輸出のおよそ半分はわが国が買っておるわけでございまして、大変な
協力をしているというふうに考え
ますし、それからまた洋上買い付けにつきましても、
段階的に拡大するということは
先方に言ってございまして、去年は一万四千トンの洋上買い付けでございましたが、ことしは当初四万トン、さらに二万トンふやしまして六万トンまでは買い付けるという約束もいたしており
ます。長期的な問題についても討議をしているところでございまして、そのような
努力につきまして、今回の割り当てに際しまして何ら反映されていないということにつきましては、私
どもきわめて遺憾であるというふうに考えており
ます。
ただいま
先生のお尋ねでござい
ます、
話し合いでござい
ますが、実はこの点、洋上買い付けにつきましても、また対日割り当て量につきましても何回も話し合っておりまして、これは単にワシントンで話し合うだけじゃなくて、アラスカあるいはシアトルといったようなところに参りましても、現地に参りましても話をしておるわけでござい
ます。このような
努力につきましては今後とも重ねてまいるつもりでございまして、あらゆるルートを通じましてわが国の、特に洋上買い付け等につきましての態度を明確に
向こうに主張いたしまして、安定的な
操業を図ってまいりたいというふうに考える次第であり
ます。