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国務大臣(
小坂徳三郎君) ただいま
委員の仰せられたことは私も大変よくわかる点でございますが、率直なことを申し上げますと、実は私は今度の
法改正の中で、技術
審議会で大変長期にわたっていろいろ
検討してもらった中で、確かに日本の
自動車は大変よくなっております、まあ国産車についてはですね。したがいまして、技術的なメカニカルな面では非常に私はもうりっぱなものだろうと思うんです。しかし、私はその
審議の経過の
報告を受けたときに一番の困ったなあと思ったことは、やはり
公害でございます。時間の経過とともに
自動車の持つ
公害というものが意外に大きいというデータが非常に大きく示されたのでございまして、私は
定期点検ということは確かに
ユーザーの自主的な社会的
責任としてやっていただかなくちゃならぬ。そしてまた、それについては何ら
刑事罰的なことを科さないということは、確かにこれは非常に信用して事に当たるということで結構なことだと思っておったし、またそういう方針が貫かれることは結構であるけれ
ども、現在御承知のように物すごい数の
自動車でございますし、そしてまた道路事情だって決してそんなにすぐよくなってはおらないから、確かに非常に
メーカーその他の努力で排出ガスその他の
規制は厳格に守られつつあって、総量においてもだんだんと減っているというふうに私は理解しておりますが、しかし、
自動車そのものの使用の
期間とともに、やはりどんないい車でも二年過ぎると
相当な排ガスの値が出ているという、そうした
運技審の
報告が私は一番ショックでございました。
そうした
意味におきまして、どうしても
定期点検をやってもらいたいし、やらなくてはいけない。そうしたようなことを踏まえたときに、
公害対策としてもこれをどうしてもやってもらわなくちゃならない、一種の社会秩序、そしてまた
ユーザーの持っている社会的
責任を果たしてもらうということをもう一歩ここで推進しなきゃならぬ。ただ、
車検の
期間だけを二年でも三年でも延ばせば延ばすほど人気はあるでしょうけれ
ども、私はその延ばすということと
定期点検とは別であるというふうに考えて、こうした
過料というものがちょっとなじまないことはよくわかります。しかし、このなじまないということは、
定期点検をやっていただいて
ユーザーが
公害に対してそれなりの社会的
責任を
自覚してもらっていれば、この
過料なんということは全く
関係ないことでございますから、その方たちにとってはこの
過料制度というものは全然あってもなくてもいいことであろうと思うんです。
そしてまた、今日までの調査によると、五〇%
程度の人しか
定期点検をやっておらぬということでありますから、半分の方たちは全くそうした
公害を
自分で起こしていることに対して
責任がない、その
自覚が全くない、これはまずいことではないか。特にそうした面を中心にして考えたときに、それならば何が一番いいのかということでいま
局長が御答弁申し上げました。私も聞いてみました。この
過料という問題については実は一年以上前からやっておると言うんですね。私は去年の十二月から就任したものですからその前の事情は
報告を受けただけでありますけれ
ども、一年以上、どうしたら
定期点検を
励行をさせることができるかということで省内においては大変な
議論をやってきておる。結局、それならば
過料、秩序罰ということで御理解いただけないだろうかというようなことで法案をつくって出したのでございまして、これは何も
ユーザーを信用しないとか何とかいうこと以上に、私はやはりこの調査の結果で一番心配なのは、
公害が時とともに、
自動車はそれ
自体持って大きくしていくんだということでありまして、これを防ぐということは、決して私は
ユーザーにとってのただ
不信だとか、あるいはお上の権力意識だとか、そういうことではないというふうに考えまして御
提案させていただいておるわけでございます。
このことは
衆議院段階におきましても、また今日までの参議院の
運輸委員会におきましても、多くの方々から御指摘を受け、いろいろな御
意見を承っておりまして、われわれといたしましては、この
過料につきましてはそうした
趣旨であるけれ
ども、それを
実施する場合には十分国会における御
論議を体しまして、運営については、いま
委員が御心配になるようなことにならないような形でやろうというふうに考えているわけでございまして、その点御理解いただきたいと思っています。