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参考人(遠
間武夫君)
自動車連盟の遠間でございます。
今回の
車両法改正法案が発表されましてから、私
どもがかつて経験したことのないようなこの
法案の
過料という点につきまして非難や
批判の声が出てまいりました。私
どもの会員は現在
全国で二百五十二万人でありますけれ
ども、
全国に各支部を持っておりますが、ここへこれらの
批判が電話や手紙で殺到いたしまして、私
どもは対応に振り回されたような次第でございます。
わが国のこれらの
騒ぎを通じまして私
どもがつくづく感じましたことは、
わが国の
自動車がいま
国民生活の中に深く根をおろした、したがいまして、
自動車に
関連する問題というものは、
国民の
生活に直接深いかかわりがあるということを深く身をもって感じたわけでありますが、なお
交通反則金とかその他
自動車ユーザーといたしましては、この種の問題について、
過料というふうな問題については相当の
理解があるはずでありますが、なぜそういう
立場におる
ユーザーがこんな
騒ぎを起こしてきたのかとよくいろいろ
検討してみますと、やはり根差すところは、現在の
定期点検整備制度、この
制度が
現実から離れておりまして、後ほど詳しく
お話しいたしたいと思いますが、
現実と離れておりまして、これに
過料というようなことをかけることがいかに不合理であるかということを
自動車を持っている人は、あるいは過去において持った人は肌でこれを知っておるわけであります。それにもかかわらずこういうふうな
過料制度が設けられるということについての強い反発であろうと、こう私
ども感じたわけでございます。
この
定期点検整備の
過料という問題につきまして、どうしてそれがそうなるのかということに。きましては、すでに
皆さんがよく
御存じだと思います。過去において耳にされたこともあると思いますので、あえてここで詳しく
お話しすることは避けたいと思います。ただ、せっかくの
機会でございますので、私
どもは
一つお願いがあるのでありますが、その
お願いと申しますのは、先に
お願いだけを申し上げておきますけれ
ども、現在の
法案の中に入っております
過料というものは、私
どもの
希望としましては、できるならばひとつ
削除していただきたい、こういう
希望であります。
なお、
マスコミ等でいろいろ報道されておるところを見ますと、この段階に至りますと、これはすでに、見解としまして、
過料というものの適用は、
暴走族であるとか
白トラであるとか、あるいはダンプであるとか等の
違法車両に適用するので、当分は一般のマイカーには適用するつもりはないというふうな報道を私
どもは耳にしておるのでありますが、これは、これから御
説明申しまする
理由によりまして、私
どもはひとつ取りやめてもらいたい、こう
お願いする次第でございます。
その
理由と申しますのは、第一番は、
車両の
保安基準を維持するということにつきましては、現在の
車両法あるいは
道交法、これによって十分であろう、その効果は十分得られるであろうというのが
一つの
理由であります。
それから第二番目といたしましては、どうもこの種の
附帯決議というふうなものをつけられましても、
ひとり歩きをする恐れが多分にございます。特に交通安全であるとか
事故防止であるとか、こういう大義名分のはっきりしたものを掲げられますと、これには反対しにくいのでありまして、いいものはいいほどいいんだというふうな、ほかに大きな欠陥がありましても、そういう単純な理論によりましてどんどん
ひとり歩きを始めてしまう。現在の
道路運送車両法の中でも、現にこういうふうな
ひとり歩きをしておるという点が幾
つか見られるのであります。これは
行政の
立場に立っておられる方でも、あるいは
自動車を
整備する
整備業者の方でもこれは両面起こってまいりまして、
整備業者の方もこれは
企業でありますから、当然そういう欲が働くのはあたりまえであります。
それから第三番目の
理由といたしましては、どうも
附帯決議というものをつけますと不徹底でありますが、この不徹底ということを、便乗と言っては申しわけないのですが、活用しまして、そして
定期点検整備を励行させるための何と申しましょうか、精神的な担保と申しましょうか、こういうことを期待される向きもあるかと思うのでありますが、これはまさに私は非常にまずいことであろうと思う。よく今回の
過料は
秩序罰である、こういうぐあいなことを言われまして、
秩序を乱すのを防ぐんだという
お話をたびたび私ほかで聞いておるのでありますけれ
ども、
秩序が、正しい
秩序、正当な
秩序であれば乱してはいかぬと思います。しかし私
どもが心配しておる
現行の
定期点検整備というものについては、単に
ユーザーが
負担が多くなるというだけではなしに、
資源のむだを生ずるというふうな問題、そういういろいろな
不都合が生じておりますので、ぜひひとつこれは
附帯決議というようなことではなしに
本案を
修正していただきたい、これが私
どもの
希望であります。
そこで、
定期点検整備という
現行制度につきまして、ただいま私も不適当であると、こういうことを申し上げましたので、これにつきまして若干の
説明を加えておきたいと思うのでありますが、本来
定期点検整備というのは、
一定期間ごとに
点検をしまして、そして
故障を
早期に発見する、あるいは
故障の発生を防止する。
故障を
早期に発見して修理をしますと、破損してから修理するよりも経済的に安上がりであります。そういう意味からいって
予防整備でありまして、
予防医学と同じような
予防整備でありまして、車を
管理する
方法としましてはまことにいい
制度だと私
どもは思っておるのであります。
ただ、現在の
定期点検整備というものは、
自動車は
技術的に非常に進歩いたしまして、そして
耐久力もふえた。しかも
使い方が
大衆化するにつれまして非常に多様化してまいりました。毎日毎日使っておる人もありますし、あるいは都会のサラリーマンのように一週間に一遍しか使わない、あるいは一カ月に二、三回しか使わない。特にエネルギー問題が出ましてから、御
承知のことと存じますけれ
ども、
自動車の
平均走行キロというのは非常に下がってきております。その
中身はそういうことでありまして、ふだんどおり使っているものもある。しかし中には本当にわずかしか使わない、しかし、
自動車というのはいまの
生活から手放すことができない、こういう
使い方をしておるわけであります。これらの
使い方——走行キロと申しましょうか、これが非常に格差が大きいものをつかまえて、六カ月とか一年とか二十四カ月とか、一律に
一つの時期をとらえまして、しかも
点検個所は全部同じであります。
点検個所の
点検は結構なんですが、場合によると
整備をする、中には
分解整備をする、装置をばらして
整備をやる、そしてまだ使えると思われるものも、ある考え方からこれを定期的によくても悪くても交換してしまう。油もよくても悪くても交換してしまう。こういうのが
現状の
定期点検整備であります。
そうしますと、これをそういうことを必ずやらにゃならぬということで
過料に処すというふうなことになりますと、これをやること自体において非常に
ユーザーに
負担をかけるだけではありませんので、
資源を乱費すると、国家的にもこれは相当大きな問題だろうと思うのであります。こういう
意味合いから、現在の
定期点検整備というふうな
制度は
現実に合っておりませんので、むしろこれは前々から私
どもそうなんでありますが、いい
制度である、
使い方によればいい
制度でありますから、
行政指導でこれをやっていただく。
過料その他の
罰則をつけましてそして強制すべきものではないと、こういうふうに考えておるわけであります。
よく
批判の出てくるのは、いままで
故障してなかったものが
点検整備をやったために
故障が逆に起こったと、こういう訴えが相当あるのでありますが、これは
現行の
技術の進歩した
自動車でありますけれ
ども、いま
新車を買いましても、購入した六カ月とか一年の間は、これは
運輸省の
統計でも出ておりますが、
故障が多く起こります。これだけ
技術が進歩した車でも、組み立てて直後というのはいろいろ組み合わせその他で
不都合が出てまいって
故障が起こっております。しかしこれが
ユーザーの手に渡りまして、そして、どうも使ってみてここが悪いとか、あそこが悪いとかと、こういうことを
修正してまいりますと初めて部品がなじみまして、
故障が起こらなくなる。これは
現実であります。ですから、途中で
定期点検整備というようなことをやりまして、目的はまことにいいように思われますが、そこで
分解をするということはかえって逆に今度は
故障を起こしてしまう、またなじむ
期間をある程度見なきゃならぬ、こういうふうな現象が
現実問題として起こっておるわけであります。したがいまして、この
制度というものは、いまも申し上げましたとおり、
行政指導としては進めるべきである、しかし
罰則その他で強制すべきものではないと、こう私
どもは考えております。
御
説明いたしましたとおり、
附帯決議をつけまして、そしてここで採決するというふうなことはできるだけ避けていただいて、
削除を
お願いいたしたいと、こういうことを
お願いいたします。
以上でございます。