○
小笠原貞子君 確かに減ってますよね、希望する
船員さんになりたいというのが。これもゆゆしい問題だと思うんですよね。いまおっしゃったみたいに、高級の技術者になってそして魅力ある職場になるということは、私は大事だとそう思うわけですよ。しかし、この
近代化の中でやっぱり
一つの大きな問題は、
機関士と
航海士というのを、両方の
仕事ができるようにというので
運航士というような
制度にいま進もうとしているわけですよね。
そこで、「
船員制度近代化によせて〃
近代化船は安全か〃」ということで、三等
航海士の岡田卓三という名前が書いてありましたね。これは日本郵船の「
航海士会報」というのをずっと私読ませていただきまして、これを見てたら本当にこれは大変だなということがわかったわけです。これはこの人が実際に
近代化の中でこの訓練教育を受けているということですよね。これ全部読んだら本当にわかっていただけると思うんですけれ
ども、時間もございませんので、この中でちょっと抜粋して申し上げたいと思うんです。
この人が教育に入ったと。「7月20日頃でしたが、突然神戸海運局で8月中旬に乙一と甲二の海大
近代化臨時試験を行うという情報が某社の人から伝わって来ました。」と。そして、「強引に臨時国家試験を、しかも海大の講習生のみを対象にして行わせるということで、まさに寝耳に水」だったと、こういうことが書かれているわけですね。だけどとにかく試験を受けなきゃならないと。「とにかく
文字を暗記することにしました。」と、勉強しなきゃならないから、「
意味がわかろうとわかるまいと、とにかく効率が良いと書いてあれば、そのまま覚えるわけです。」と。これはそうですね、試験するときには全部暗記しますよね。そして、「ここで甲二機の筆記試験に合格し、
職員法改正で免状になるようなことになったらどうなるのかな、と考えてみました。」と。確かに頭で暗記して試験は通るかもしれない、だけど心配だと、こういうわけなんですね。「エンジンコントで、メータ類の監視を
当直に入って行っているとします。このことは当然W/Oに
当直業務として要求されることです。安全圏内にあるメーターを確認したりすることは、W/Oにも認識可能ですが(青マークがついている)、その微みょうなメータの変化の具合をさっと判断する能力は、W/Oにはゼロと言って良いほどありません。目にみることのできない
機関の異常音、わずかな温度、圧力の変化を感じて未然に機器の大きなトラブルを防ぐ能力は、とてもじゃないけどありません。明らかにメータが安全圏をはずれていれば異常がわかるけど、そのような時は
機械は大きなトラブルを引き起している」という状態で、変わってくるわけです、ランプがついたりと。そして今度また書いてありまして、「反対にW/Oは、異常を生じたことがメータ類のみからしか判断できないわけで、その原因となるとまるっきりお手上げの状態です」、こういうふうに書かれています。そして、また云々書かれて、「しかし現段階の
近代化を見ると、極端な言い方をすれば、安全
運航を根本からひっくり返しているとしか思えない気がします。見方によってはW/Oなどと名前がついていますが、船をまるっきり知らない人に三ケ月の座学と四ケ月の実習をさせて〃はい、船の
当直をしてください〃というのと同じようなもの」だ、こういうふうにまた言っているわけです。「このまま
近代化が進んでいくと、超人的な人が
実験でできたのだから守備範囲として組込んで可能だ、なんてことになりそうで恐しくて仕方ありません。」と。こういうふうに実際に試験を受けて、そしてあなたは大丈夫大丈夫と言われても不安だ、こうなってくるわけですよ。
だから、私は
局長と立場は違いますわ。私はどう見ても、これを分析すればするほど今度の中身というのは、まず人減らしというのが先に立って、これをどうつじつまを合わせるかということになっている。そして、確かに
機関士だけではなくて
航海士も、できれば通信の方もみんなわかるような、そういう高度な技術を持った、そういう人が必要だというのはわかるんです。しかし、そういう人たちが本当に実力を持ってできるような、そういう準備があって初めて移るというのが筋だと思うんですよ。しかし、そういう準備も不十分なまま実際に参加している人がこんな不安を持ったまま——だからすべて法が先だということになると、私が何度も
指摘しましたように、これは決して安全だとかなんとかにはつながらない、非常に不安だ、だからどうしてもこれは私はどっちへ転んでも賛成できないんだということで、再度、しかも十分な資料もお出しにならない中でこういうふうなことを私は認めるわけにはいかないということをはっきり申し上げて、そして先ほ
ども言いましたように、審議してくれとおっしゃるならば審議に必要な資料というものは事前に当然お出しになるべきです、その辺のところは。
大臣、ひとつそこを聞いていただきたいんだけれ
ども、こんなに審議してくれと言いながら、資料も出さないで、そしてわんわんさっきも時間とるようなことで、私は姿勢を疑わざるを得ないわけです。そういう姿勢だからこそ私はいろんな心配が出てくるということを申し上げているわけなんです。だから、本当に国会を一ただもう
近代化委員会でできたんだと、
官公労使でできたんだからと言うんだったら国会は要らないわけでしょう。だから、そういう
意味で国会というものを、そしてこの
専門を扱っている
委員会に対してもっと私は謙虚な気持ちでやっていただかないと、国会議員個人を冒涜するだけではなくて、これはまさに国民に対する背信行為だということを最後に重ねて申し上げて、
大臣としてもきょうるるお聞きいただいたと思いますけれ
ども、こういう姿勢でやられては困るということについて御所見を承って、終わりたいと思います。