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政府委員(
鈴木登君) 五十二年に
船員制度近代化調査
委員会というものをやはり
官公労使の四者構成でつくりまして、それで諸
外国のそういう
近代化の
状況だとか、あるいは具体的に、実際に
日本の船でどういうふうな形で
仕事を行われておるかというような基礎データというのを集めまして、さらに五十四年にその
船員制度近代化調査
委員会を
船員制度近代化委員会というふうに改組いたしまして、その調査結果に基づいた、ひとつの基礎データに基づきまして新しい実験をやっていこうという形で五十四年から実験段階に入ったわけでございますが、その実験段階に入りますときに、やはり何らかの形で目標値をつくらないとなかなか実験ができないだろうということで、仮設的
船員像というひとつの目標値をつくった次第でございます。
その目標値は、簡単に申し上げますと、もう職員も、現在のところは
船舶内での職種といいますか、それは甲板部、機関部、事務部、通信部というふうに四つの部に分かれておりまして、四つの部がそれぞれ船長のもとにいわば独立しておりまして、甲板部の
関係の
方々は機関部の
仕事には全然タッチしない、通信部の
方々は機関部の
仕事には全然タッチしないというふうな形なっておりまして、したがいまして、同じ船に乗っておりながら、甲板の
方々は機関のことが全然わからない、あるいは通信の
方々はエンジンのことは全然わからないというふうな
状態でありました。ところが、それではやはりいけないということで、仮設的
船員像では、甲板も機関も通信もあるいは事務部も、その辺の区別をできるだけその障壁を取り払ってしまおうと。それから、現在は船長は甲板部出身の方でないと船長になれません。ところが、そういう仮設的
船員像では、甲板の方でも通信の方でもあるいは機関の方でも、統率力のある方はだれでも船長になれるような形にしようとか、あるいはさらに職員と部員は現在厳然たる差がついてございますけれ
ども、その辺の区別もできるだけなくしていこうと。というのは、
日本の
乗組員の中では部員というのは非常に世界的にも評価が高うございまして、非常に優秀でございますので、そういう部員をもっとどんどんどんどん職員に登用していくべきではないかというふうな問題もございまして、そういうふうな形で、縦割り、それから横割りといいますか、上下の区別をできるだけなくして、
乗組員である以上は全員
高級技術者になるような、そういう
船員というものに持っていこうというふうなそういう像を仮に設けました。これがいわゆる仮設的
船員像でございます。最終的には、これは十年先か二十年先かあるいはもっと先かもしれませんけれ
ども、いずれにしてもそこまで、そういう
一つの仮設的な像を、目標値をつくりまして、その目標値にいくためにいろいろワンステップ、ワンステップで進んでいこうと。
現在のところは一応その最初のワンステップでございまして、その最初のワンステップでは、部員について甲板部と機関部の区別をなくしてしまおうと。これは部員は甲板の
仕事も機関の
仕事もできるようにしようと。それから職員につきましては、一番下の職員といいますか、三等航海士、三等機関士について、相互の
仕事をお互いにし合うといいますか、相互交流をしようと。そこまでを一応第一段階として、それでやってみようということでおととしから去年にかけまして、その第一段階といいますか、最初の段階の実験を済ませたところでございます。これを今回
法律的に一応取り入れようと。
それから第二段階といいますのは、それをさらに職員の部で二等の航海士あるいは機関士のところまでやり、さらに第三段階では、一等航海士、一等機関士までもそういう相互に乗り入れをするというふうな形での実験をしていこうと。それが済みますと、また新しい
一つの像を求めて実験をしていこうということになっておりまして、現在のところは第一段階の総合実験が済んだというところでございます。