○梶原清君 私は、まず新幹線とか
空港とかの
環境対策ないし周辺
整備のあり方を取り上げてみたいと思うわけでございます。
たとえば目下国鉄
当局の手で進められておりますところの東北新幹線の大宮以南の線区、これは聞きますところによりますと、
現実的には国鉄と
関係機関との間で協力体制が実りつつあるようでございます。しかし、こうした新幹線の場合をとって
考えてみますと、現在は新幹線を建設いたしますのはもちろん国鉄でございます。その公害対策を担当するのもまた国鉄というたてまえになっておるわけでございます。周辺住民の
方々から、騒音、振動、テレビの受信対策、こういう立場から、新幹線の両側に相当幅のグリーンベルトを建設をしてもらいたい、こういう要求が出てくるのは自然の姿でございます。ところが、これに対して現在あのように膨大な赤字を出しております国鉄がこれに応じ切れるかどうかということになりますときわめて疑問でございます。防音壁を建設するのがせいぜいだと、このように見受けられるわけでございますが、仮に国鉄
当局の手でグリーンベルトを設置するといたしました場合に、用地はもちろん国鉄用地でございますので、さくを打ちましてこの中へ入っていただいてはいけないという立入禁止措置をとらざるを得ない。木を植えるわけでございますが、管理がなかなか行き届きませんので、どうしても雑草も生える、そして害虫も発生する、のら犬な
ども生息するということになりまして、再び
地元住民からの苦情を受けざるを得ないようになってくるのではないか、このように予想されるわけでございます。
もしこれをグリーンベルトとしないで、国鉄が担当する国鉄の手によるグリーンベルトとしてでなくて、都市公園として
整備するとしたならどういうことになるかということでございますが、そうした場合には、新幹線の公害対策としての機能と都民の憩いの場所としての都市公園としての機能、この二つの機能が同時に達成できるわけでございます。
一つの土地が公害対策としてあるいは都市公園として多目的に利用できるわけでございまして、御案内のとおり、広域的な基幹交通施設の建設ということが、
地域社会との調和を保ちながら円滑にかつ能率的にできるのではないだろうか、このように思うわけでございます。
ところが現在の姿を見てまいりますと、役所がどうしても縦割り組織になっておる。私は縦割り組織がいけないと言うわけではございません。やはり縦割り組織でなければならないと思いますけれ
ども、しかし、こうした問題につきまして対処する場合に、建設省にお願いに参りましても、建設省は建設省なりの事情もあるわけでございましょうし、ゼロシーリングといった
予算上の制約もありましょう。そういうことで大変困難と苦労が伴うというのが実態ではなかろうか。そこでこのような新幹線といったような広域的に大変役に立つ基幹的な公共事業につきましては、
計画の段階から政府が一体となって、具体的に申しますならば、国土庁、大蔵省さんも入っていただいて総合行政的に取り組んでいただくということが大切ではなかろうか、必要ではなかろうかということを痛感をいたしておる次第でございます。
御案内のとおり、昨年の六月にオープンをいたしました新秋田
空港、これはジェット機の飛ぶ非常にりっばな飛行場でございますが、そしてまたこれはつけ加えますと、秋田県
知事が管理する第二種
空港になっております。
空港を取り巻きます六百ヘクタールの用地をファミリー・ピクニック・ゾーン、スポーツゾーン、青少年教育ゾーン、それから県立中央公園等々が着々
整備をされておるわけでございまして、
空港と周辺との調和がうまく図られておる、こういうことでございまして、模範的な
空港でございますが、これも一人の
知事のもとで推進された総合行政の立場からできたことではないだろうか、このように私は理解をしておるわけでございます。
実は私、運愉省に勤務をいたしておりますときに、
空港問題、とりわけ大阪国際
空港の騒音問題と長らく取り組んでまいりました。詳しいことは割きますけれ
ども、四十二年に航空機騒占防止法が制定されまして以来、四十九年には大阪国際
空港周辺
整備機構を設置をいたしまして騒音対策に取り組んでまいりました。五十六年度でも一年間に六百億円の資金を投入をいたしまして民家の防音工事、土地の買い入れ、移転
補償等々を進めておるわけでございます。仮に移転
補償ということ、土地の買い入れということにつきまして申し上げてみますと、従来、集落があって音がやかましいからというので出ていきたい、土地の買い上げをしていただきたいということが
地元から話が出ます場合に、
法律のたてまえは、地主からの、民家からの申し出によってこれに対処するということになっております。したがいまして、集落のうちの一軒一軒が逐次歯が抜けるように抜けていくわけでございます。集落がいまさらまだらになってしまう、こういう
状態になっておるわけでございます。このあいた土地を、国有地でございますので適切に管理をしなければいけない。それには防音さくをつくってそして跡へ芝生を植えなければいけないというような手数もかかっております。そして残った方の住民の方から申しますと、だんだんいままでおった人の一人抜け二人抜けしていきますので、残った人の住環境というのが非常にみじめな
状態になりつつあるわけでございます。一方、こうした土地を面的にまとまった形で有効利用を図るということもなかなかできない。といいますのは、先ほど申しましたように、移転
補償が申し出に基づいて任意に買い上げていくという制度になっておりますために、その点がむずかしいわけでございます。
したがいまして、私は思いますのに、どうしてもこの
空港の周辺対策に都市
計画の手法を取り入れた総合行政的な取り組みを進めていかなければ効率的に周辺対策ができない。広域的に必要な飛行場の施設とか、そして周辺の
地元の
方々との調和のある仕組みというものを
考えようとします場合に、どうしてもいまの取り組み方ではなかなかうまくいかないんではないか、このように
考えておるわけでございます。
五十二年の四月に大阪国際
空港にエアバスを導入いたします際に、私が担当しておったのでございますが、周辺市、周辺の府県にお願いをいたしまして、こうした取り組み方をぜひ一緒になってやってもらいたいということを申し上げまして、覚書も交換をいたしてまいりました。しかし、いまのような取り組み方ではなかなか十全を期すことができませんので、ぜひとも公共事業、とりわけ、広域的に大変な役立ちをしながらしかも周辺住民にはいろいろと迷惑のかかるこうしたものを円滑に推進していくための手だてを
考えなければいけない。それには政府全体となって、一体となって政府並びに政府闘係機関が
計画の段階から周辺
整備も含めて取り組んでいく、こういう姿が望ましいのではないだろうか、こういうことを心ひそかに
考えておる次第でございます。なかなか唐突に申し上げましてもむずかしゅうございます。私自身
考えましてもむずかしいわけでございますが、そうしたことを
考えておりますことを御披露申し上げまして、できますれば大臣から、国務大臣として御所感を承れれば幸いに存じます。