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1982-04-16 第96回国会 参議院 安全保障特別委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十七年四月十六日(金曜日)    午前十時三十三分開会     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         加藤 武徳君     理 事                 野呂田芳成君                 堀江 正夫君                 大木 正吾君                 渋谷 邦彦君                 上田耕一郎君                 柳澤 錬造君     委 員                 板垣  正君                 岩本 政光君                 江島  淳君                 衛藤征士郎君                 大木  浩君                 大坪健一郎君                 源田  実君                 戸塚 進也君                 村上 正邦君                 勝又 武一君                 瀬谷 英行君                 野田  哲君                 桑名 義治君                 秦   豊君    国務大臣        国 務 大 臣        (内閣官房長        官)       宮澤 喜一君        国 務 大 臣        (防衛庁長官)  伊藤宗一郎君    政府委員        人事院事務総局        管理局長     加藤 圭朗君        人事院事務総局        給与局長     斧 誠之助君        総理府人事局長  山地  進君        防衛庁参事官   新井 弘一君        防衛庁参事官   石崎  昭君        防衛庁参事官   上野 隆史君        防衛庁参事官   冨田  泉君        防衛庁長官官房        長        夏目 晴雄君        防衛庁防衛局長  塩田  章君        防衛庁人事教育        局長       佐々 淳行君        防衛庁経理局長  矢崎 新二君        防衛庁装備局長  和田  裕君        防衛施設庁長官  吉野  実君        防衛施設庁施設        部長       伊藤 参午君        外務大臣官房審        議官       藤井 宏昭君        外務大臣官房審        議官       松田 慶文君        外務省北米局長  淺尾新一郎君        外務省中南米局        長        枝村 純郎君        外務省条約局長  栗山 尚一君        外務省国際連合        局長       門田 省三君    事務局側        常任委員会専門        員        鈴木 源三君    説明員        国土庁地方振興        局特別地域振興        課長       清野 圭造君        外務省アジア局        外務参事官    長谷川和年君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○国の安全保障に関する調査  (昭和五十六年度中期業務見積りに関する件)  (防衛計画大綱に関する件)  (自衛官の身分及び処遇問題に関する件)  (日米共同演習問題に関する件)  (防衛費に関する件)  (軍事技術輸出問題に関する件)  (防衛力整備に関する件)  (わが国防衛日米関係に関する件)  (リムパックに関する件)  (専守防衛問題に関する件)  (日米防衛協力問題に関する件)     —————————————
  2. 加藤武徳

    委員長加藤武徳君) ただいまから安全保障特別委員会を開会いたします。  国の安全保障に関する調査を議題として質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  3. 板垣正

    板垣正君 私はまず初めに、去る四月十三日の日に、自衛隊制服幹部人たち総理の、三回目と承りますが懇談が行われたということでございます。長官も御出席ということでございますが、その趣旨を簡単に、どんな話し合いだったのか承りたいと思います。
  4. 伊藤宗一郎

    国務大臣伊藤宗一郎君) 先生からお話しのとおりそういう懇談がございました。  私はかねがね防衛庁長官就任以来、前からもあったことでございますけれども自衛隊幹部総理に直接お会いをして率直に意見を申し述べる機会を持つことはきわめて有意義でもございますし望ましいことであると考えておりましたので、総理の御都合をお願い申し上げておったところ、今般総理の方から十三日に会食懇談機会をつくっていただいたわけでございまして、十三日の会食懇談は正午から約一時間半にわたって行われました。  食後、総理の方から、きょうは率直な意見を聞きたいというごあいさつがございまして、これに対しまして私の方から、総理お忙しい日程の中でこのような機会を設けていただいたことは大変自衛隊にとって有意義なことでございますのでということで御礼を申し上げまして、その後順次統幕議長、各幕僚長等がそれぞれ所管事項に関しまして意見を申し述べました。  官房長がそのとき同席をしておったものでございますので、概要になるわけでございますけれども概要についてひとつ官房長から御報告をさせていただきます。
  5. 夏目晴雄

    政府委員夏目晴雄君) ただいま大臣から御報告がありましたとおり、大臣から統幕議長以下各幕僚長その他の御紹介がありまして、逐次大臣の御指名により統幕議長から順次所見を述べたわけでございます。  所見のあらましについて簡単に申し上げれば、まず統幕議長矢田海将からは、わが国防衛戦略についてあるいは自衛官の地位の向上についてというテーマに関して若干のコメントを申し上げ、続いて陸上幕僚長村井陸将からは、昭和五十六年度の教育訓練の成果についての御報告があったわけでございます。続きまして海上幕僚長の前田海将からは、昭和五十六年度の観艦式についての総理の御出席についての御礼わが国周辺海域における海上自衛隊訓練の実施について現況と問題点について申し上げ、航空幕僚長生田目空将からは、飛行安全と日米共同訓練について、続きまして陸上自衛隊東部方面総監荒木陸将からは、日米共同指揮所演習についての教訓について御報告自衛艦隊司令官秋山海将からは、自衛艦隊現状訓練状況についての御報告最後航空隊司令官樋口空将から航空自衛隊のパイロットの練度についての御報告があって、約一時間ぐらいそれに要したということでございます。
  6. 板垣正

    板垣正君 私もそういった機会を持たれることは大変結構なことだと思いますので今後も継続をしていただきたいと思いますが、さらにそれを一歩進めて、そうやって懇談をするということも結構でしょうけれども、正式に自衛隊制服の代表、統幕議長なら統幕議長が定例的にたとえば週に一回なら一回、月に二回なら二回、総理に直接会って、制服立場から世界軍事情勢懸案事項、そういうことについて自衛隊最高指揮官である総理に定期的にそうした制服最高立場からの報告、こうしたことが定例的に行われる必要がもうあるのではないか。前からもこういう意見も出ていると思いますけれども、この点伊藤長官のひとつ決断をしていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
  7. 伊藤宗一郎

    国務大臣伊藤宗一郎君) まず御指摘の方にお答えを申し上げたいと思いますけれども、先ほどの御質問にもお答え申し上げましたけれども自衛官幹部総理に直接お会いをし率直な意見を申し述べる機会を持つことは、先ほども申し上げましたけれども、きわめて有意義でもございますし、望ましいこととも考えておりますので、今後ともそのような機会を努めて多く持つように長官としてもセットといいますか、努力をしてまいりたいと考えておりますが、なかなか実際問題としていろいろのセットをすることで問題もございますし、また防衛問題について総理に対する報告は本当に随時私が責任を持って行っているところでもございますし、また事務的な事項につきましては、これまた必要の都度事務次官あるいは関係局長総理に御報告を申し上げておるということもございまして、必ずしも定期的に統幕議長自衛官幹部総理報告をするということはそれほど必要ではないのではないかというふうにも考えております。  ちなみに統幕議長国防会議には出席をしておるわけでございまして、そのような総理との接触の機会を全体として深めて、総理防衛庁なり自衛隊とのなお一層の意思疎通を図ってまいりたい。またそれがいまのところ総理の御都合等もございまして、なかなかこれ以上のことはむずかしいのではないかというふうにも考えておりますけれども、御趣旨の点は全く私も同感でございまして、できるだけそういう機会をつくるように今後とも心がけてまいりたいと思っております。
  8. 板垣正

    板垣正君 いまの問題は、やはり最高指揮官である総理には、この自衛隊人たちはほとんど顔を見る機会もないわけですね。やはりその最高トップがそうしたつながりを持つということが全国の自衛隊員に対して非常な精神的な面でも士気を高揚する面があろうかと思いますので、今後御考慮を願いたいと思います。  次に、私は、いま大きな問題になってきております五六中業のいまの進行状況、これからの段取り、こういうことについてまずお伺いいたしたいと思います。
  9. 伊藤宗一郎

    国務大臣伊藤宗一郎君) 御指摘の五六中業は、昨年の国防会議で了承されました方針に基づき防衛計画大綱に定める防衛力水準達成するということを基本として、おおむね一カ年の作業期間を予定して鋭意作業を進めております。防衛庁としては五十八年度の予算概算要求に間に合うように鋭意五六中業作成に目下全力を挙げておるところでございます。  問題点その他につきましては防衛局長からお答えさしていただきたいと思います。
  10. 塩田章

    政府委員塩田章君) いま大臣からお答えいたしましたように、概算要求までということでございますから、夏ごろまでには国防会議を終わりたいというめど作業を進めておりまして、いまの段階は私ども防衛局といたしましての局としての作業をやっておりますけれども、いずれ近く次官、大臣と上げまして、各省折衝等にも入りたいということで考えております。その経過を見まして、先ほど申し上げましたように七月の終わりか八月といったような時点までには国防会議を経て、概算要求に間に合うようにしたいというふうな考え方で現在進めております。
  11. 板垣正

    板垣正君 きょうあたりの新聞にも、一応もう素案がまとまってきている、この一月には各幕からいろいろ要求が出されて、それにしぼりをかけて、この国防会議に付議する時期等についてもこの新聞等にも報道されておりますが、一応防衛庁の案と言われるものが決まるのは、これいつの時期どういう形で決まるわけでございますか。その点伺います。
  12. 塩田章

    政府委員塩田章君) いま申し上げましたようなことで、いずれ近い時期に各関係省庁の、あるいは国防会議事務局を含めまして関係省庁との折衝に入りたいというふうに考えておりまして、そういった調整を経ました上で国防会議にかける時期が、いずれ夏までには考えておるわけですが、その時点でもって言うなれば私ども防衛庁としての案ができ上がっていくというようなことになろうかと思います。  と申しますのは、もちろんいまやっております作業折衝するわけですから、そういう意味では何も案がないわけではございませんけれども、今回は五三中業と違いまして国防会議に何らかの形で付議する、こういうことになっておりますので、国防会議にかけます以上やはり調整が当然要るわけでございますので、そういったことを経ました段階で私どもとしては防衛庁案として発表できるといいますか、国防会議にかけることができるというような形でまとまっていくのではなかろうかというふうに考えております。
  13. 板垣正

    板垣正君 基本的な点で、これは防衛計画大綱達成する、こういう立場でこの五六中業が検討されていると思いますが、その基本的な考え方、根本的な考え方は変わりがないかどうか。  一部報道等によりますと、達成ではなくて概成である、こういうようなふうにしぼらざるを得ないのだというふうな消極的な、まあこれは責任ある報道かどうかわかりませんけれども、その辺で基本的に六十二年までにこの大綱水準達成する、これは必ず貫く、こういう基本姿勢に変わりがないかどうか。
  14. 伊藤宗一郎

    国務大臣伊藤宗一郎君) 昨年の国防会議で了承された方針に基づいて防衛計画大綱に定める防衛力水準達成することを基本としていま作業をしております。またその目標には変わりはございません。
  15. 板垣正

    板垣正君 次は、大綱水準そのものに対する評価でございます。  この大綱が決められた経緯からも水準は必ずしも高いものではないわけであります。しかもこれは五十一年の計画。当時からもこれが国を守るため必要最小限のレベルと言われておったものでございまして、これから何年かかけてということで現在あるわけですけれども、いま内外ともに非常に厳しい情勢の中で、この防衛計画大綱水準達成ということで果たして本当にこの日本の国の防衛陸海空バランスのとれた、正面装備ももとよりでありますけれども後方支援態勢継戦能力、抗堪性等々において遺憾のない体制がこれでとれるものかどうか、きわめてこれは重大な問題であろうと思います。その点についての長官の御見解を承ります。
  16. 伊藤宗一郎

    国務大臣伊藤宗一郎君) 御指摘にもございましたが、ただいまの防衛力現状防衛計画大綱水準とはいまだ相当の隔たりがあるところでございまして、五六中業作成に当たりましても、いま御指摘もございました装備充実近代化継戦能力、抗堪性、即応能力向上といったことについては、これを重視をしていく必要があるものと考えておりまして、その方針のもとにただいま作業を進めておるということでございます。
  17. 板垣正

    板垣正君 去る三月二十六日に米国のワインバーガー長官日本に見えた。あれ以来の一連の動きの中で、いわゆるシーレーンをめぐっての昨年五月の日米共同声明あるいはプレスクラブにおける総理の一千海里についての演説等々をめぐって、どうも日米間に若干の食い違いがあるのではないか、若干というよりもっと本質的な食い違いがあるのではないか。  こういうところから、三月三十一日の統幕議長記者会見でも、どうも防衛計画大綱達成されてもこのシーレーン防衛については計画の当初とは大分状況が違う、つまりソ連の極東における兵力海上兵力も圧倒的に強化されておるわけであります。したがって、どうもその辺で十分なことができないという趣旨発言があったということが伝えられております。さらには四月一日の当参議院の内閣委員会における防衛庁長官の御発言の中にも、達成されてもこの大綱水準十分シーレーン防衛ができるかどうか懸念のあるような御発言があったと受けとめております。  さらにそれに対しての論議がいろいろ行われてきているわけでございますけれども、もとより日本防衛に関しては日本が自主的に決めるべきことであり、そうした選択をしなければならないわけですけれども、いまの防衛計画大綱でこの国を守るということにおいていろいろ懸念されるというふうな中で、当面の五六中業のまとめにこれから入っていくわけですけれども、これはよほどの決意を持って、最悪の場合でもこの達成、これはただ上面だけじゃなくて内容的なものが非常に重大だと思いますが、そういう点においてやはりいまの内外情勢を踏まえて、防衛庁としても非常に積極的なひとつ取り組みをお願いいたしたいと思うのであります。  言われているGNP対比の問題も、これが防衛上の本質的な問題であるかどうか、やはりおのずから判断されるところがあるべきであろうと思います。ちなみに昭和三十一年まではGNP一・七%以上という状態が続いてきたわけであります。昭和四十一年度まではGNP一%以上、それが当然の姿で、その中できわめて徐々にでありますけれども防衛力整備が図られてきた。したがいまして、いまの時点で何が何でも一%が絶対だという、これに固執することは私は国を守る上における根拠と言えない。  もちろん限られた財源の中で有効な整備を図っていかなければならないけれども内外の非常に厳しい情勢の中で自主的に道を選ぶにしても、防衛の問題における日米ギャップと言われるものがございますけれども、このギャップとは何かと言うと、一つ世界情勢に対する認識、これはもう日米共同声明におきましても、また日米ともにこの自由世界立場における今日の情勢認識においては一致して世界の平和を確保していこうというはずでありますけれども、そういう危機に対する認識におけるギャップがあるのではないか。対ソ脅威に対する認識の問題と言われております。  もう一つギャップは、現在の自衛隊、これから五六中業で一応整備されていくであろう自衛隊の現在の実際の力、率直に言ってこれは戦う体制にない。装備においても構成の面においても、あるいは後方支援その他の面においても、本当にこれは戦える体制、国を守るという体制にないのではないか、欠陥が非常に多いのではないか、この点についての認識の差がお互いにあるのではないか。  したがいまして、これから防衛論議をめぐっていろいろな立場からの論議があろうと思います。防衛論議に大いに国民的な関心が向けられるということは結構なことでありますけれども、やはりその一番中心になり、政治責任ある立場における防衛庁長官として積極的にこれに取り組み、今日求められている国の防衛体制の上にこれをいかに達成するか、この点についていわゆるGNP一%問題等を場合によってはもう踏み越えていくという強い決意で対処をしていただきたいと思います。その点についての御見解を承りたいと思います。
  18. 伊藤宗一郎

    国務大臣伊藤宗一郎君) 日米間にいわゆる世界情勢なり国際情勢についての認識の差はないものと思いますし、またいろいろお話がございましたけれども、われわれはやっぱりそういう認識は共通し同一にしながらも、わが国が自主的に日本防衛努力を進めるという基本姿勢は今後も貫いてまいらなければならないと思います。  また、防衛計画大綱水準をできるだけ早く達成したいという努力を積み重ね、その一環としてただいま五六中業作業を鋭意進めているところでございますけれども、反面、当面一%を超えないことをめどとして各年度の防衛予算作成するというような閣議決定もあるわけでございまして、それにも基づいて進めなければならないという、この両方の目的を勘案しながら目下ぎりぎりの努力をしているということでございまして、いろいろ板垣先生指摘なり御所見はまことに貴重な御所見でもございますし、また国の防衛あるいはまたそれを中心的につかさどっております防衛庁なり自衛隊に対する大変な御激励とも受けとめておりますけれども、目下のところは作業も途中でもございますし、またGNP動きもまだしかと把握もできておりませんので、いまのところそういう御激励なり御理解にしっかりこたえて防衛庁としての国民に対する責務を果たすための真摯なる努力を続けてまいるということ以外には、それ以上のお答えはまことに残念ながら申し上げられませんし、むしろ私どもが果たすべき役割りを十全に果たすことができますように、先生のなお一層の御鞭撻なり御支援をお願いを申し上げたいということでぜひ御理解を賜りたいと思います。
  19. 板垣正

    板垣正君 ぜひ強い御決意でひとつ臨んでいただきたいと思います。  あえてつけ加えるならば、どうしてもそうした正面装備というのが数字がはっきりする、そうすると予算を切り詰める。いままでもそういう傾向があるわけですけれども、どうしてもその目立たないところにしわ寄せがいってしまう。人件費をぎりぎりに詰めてしまう。後方支援の問題いろいろ詰めてしまう。そういうことでいつまでたっても本当に戦える体制ができない。こういう悪循環をやはり断ち切らなければならない。そのためにはやはり基本的に何が大事か、これはもうあえて申し上げるまでもございませんが、そういうことでひとつ積極的に取り組んでいただきたい。私どもも力いっぱい応援申し上げたいと思うのでございます。  一番最後に、ことしの防衛大学卒業式に私も参りました。四年間ともに学び国の防衛のために真剣に学んだ若い人たちが雄々しく巣立っていく姿に私も非常に感慨深くしたわけでありますが、ことしも三十一人ほどせっかく四年間学びながら志を変えていわゆる脱落してしまう。こういうことで毎年少なからざる人のそういう姿勢というのは、防衛大学防衛面における人的な非常に責任ある立場に立っていただかなければならないこういう人たちの一番基本的な教育の場におけるそうした姿というものは、一体どこに原因がありどこに一番大きな問題があるのか、じゃ、それをどう防衛庁としては取り組み解決しようとしておられるのか、率直なところを聞かせていただきたいと思います。
  20. 伊藤宗一郎

    国務大臣伊藤宗一郎君) 先生指摘のように、遺憾ながら卒業生の中で任官しない者がありますことは事実でございまして、まことに遺憾と思いますし、これに防衛庁なりわれわれが今後どう対処するかということは大きな問題でもございます。しかし反面先生のお言葉にもございましたように若干の非任官者はございますけれども、大多数の学生なり卒業生は本当に国を守るというこの使命に燃えて、すばらしい青年があのように自衛隊に巣立ってきたわけでございまして、その点は私はむしろ非任官者の問題もございますけれども大変すばらしいことだというふうにも考えております。このことにつきましては先生と私も同感でございます。  今後の問題点等につきましては政府委員の方から答弁させていただきたいと思います。
  21. 石崎昭

    政府委員石崎昭君) いわゆる任官拒否ということでございますけれども、巷間使われている任官拒否という言葉は大変間違いがございまして、たとえばことしの三十一人について中身を分析してみますと、家庭事情で、たとえば父親が死亡してしまったために家業を継がなければならないような事情に立ち至ったとか、そういう家庭事情とか、本人は自衛官になりたくてしようがないのに在学中に体を壊して泣く泣くあきらめなければならない人とか、そういう人が実は半分近くの十四名を占めているような状況でございまして、したがってこの三十一名の任官拒否というのは間違いでありまして、任官したくもできなかった人が半分近くおる。  そこで問題は、残りの半分近くの自分の意思で任官しない、別のところへ行ってしまう人たちのことでございます。それでそういう人たちがより少ないことが望ましいわけでありますから、いま私どもがそういうことを実現するための対策としてやっておりますのは、入ってくる前に入ってくる人たちに対して防衛大学校というのはこういう学校であるということをよくいろいろな方法で周知徹底しまして、十分中身を承知した上で入ってきてもらうという事前の広報を徹底すること、それから入ってから使命感を燃え立たせるような教育を一生懸命やりまして、卒業するときには燃えるような使命感の持ち主に仕立て上げていく、こういうことをやっておるわけでございます。それで何とか任官しない人の数を減らしていきたいと思っているところでございます。
  22. 堀江正夫

    堀江正夫君 私、予定をしました質問をいたします前に、いまの坂垣君の質問に関連をしまして一言だけ申し上げてみたいと思います。  まずお聞きしたいのは、長官就任以来軍事情勢について国防会議あるいは国防会議議員懇談会、あるいは総理に対して何度御報告しておられますか。軍事情勢ですよ。
  23. 伊藤宗一郎

    国務大臣伊藤宗一郎君) 国防会議というようないわゆる公式の席で防衛庁長官から軍事情勢を説明したということは、絶無ではございませんけれどもほとんどないわけでございます。  ただ、恐らく先生の御趣旨はこういうことだろうと思いますけれども、私も防衛の責任者として、その背景にあります軍事情勢国際情勢について総理を初め各閣僚のなお一層の御関心をいただくということが防衛庁長官としての責務であるというふうにも心得まして、全部新聞に出ているわけではございませんけれども、できるだけ機会をつかまえまして、閣議等の機会をつかまえましてその時点その時点でのトピックスと言ってはちょっとあれですけれども、なるべく発言をして総理を初め各閣僚の防衛問題に対するなお一層の御関心を喚起するという努力は続けているつもりでございますけれども、御質問軍事情勢について総理に席を設けて公式の場で申し上げたということはございません。
  24. 堀江正夫

    堀江正夫君 いま関心を得るようにすると言われましたが、関心じゃないと思うのです。私は正しい理解をやはり関係閣僚、総理が持たれることが内政、外政の総合的な政策を遂行される上のきわめて大きな柱であろうと思います。  今度のフォークランド諸島の問題についても防衛庁がこの軍事情勢について報告されたかどうか私は知りません。しかし私は防衛庁がやはり防衛の責任当局として絶えず軍事情勢を時宜に適してあるいは定期的に報告をするということを怠ってはいけないのじゃないか、こう思います。しかもそれは大変失礼でございますけれども軍事情勢について基本的な知識のある者が正しく報告しなければやはり正しい理解は得られないと思います。外交情勢については定期的に外務省からやっております。私は防衛庁としてはそのようなことを踏まえてやっていただきたい、このことを基本的にお願いをしておきたいと思います。  時間がございますから、予定をしました質問に入らしていただきます。  自衛官の士気が防衛力の中で欠くことのできない最も重要な柱である、この士気を維持高揚するために、自衛官の身分、処遇、こういったような点が至当に地位づけられなければならない、そのことが大きなかつ基本的な要素であるということにつきましては言うまでもないことだと思います。この点については私も内閣委員会で過去取り上げたこともございます。同僚議員からも問題提起がされております。また先ほどお話にございました十三日には、一年ぶりの昼食会で矢田統幕議長からこの点について総理に進言したとも報道されております。  そこで、本日はこの自衛官の地位づけに関連をした若干の問題について見解をお聞きをし、また提言もいたしたい、このように思います。実は本日は主務官庁であります防衛庁とその上にあります総理府の人事局、さらにその上に特に人事院からも御出席を願っておるわけでございます。もとより人事院は自衛官の問題については所管外でございますが、全般人事行政の最高の官庁として随時大所高所に立った御意見を伺わしていただきたい、こういう趣旨でございますので、ひとつよろしくおつき合いを願いたいと思います。  まず最初に、防衛庁の給与制度調査会の問題についてお聞きしたいわけでありますが、時間の関係がございますので、調査会の今日までの経過あるいはその目的、あるいは今日までの活動状況等につきましては、あと時間が残りましたらお聞きすることにいたします。  そこで、すでに過去三回にわたって答申が出ておる。そしてそのうちの二回目までの答申についてはしかるべき措置がとられておる。ただ五十三年三月に出された第三回の答申についてはすでに四年を経ておる。しかしこの中でまだまだ未解決の問題が多いように聞いております。以下、これらの内容についてお聞きしたい、このように思います。  第一は、俸給上の格づけの改善適正化の問題でございます。答申では警察官等との均衡を基本として設定された自衛官の階級に応ずるところの俸給がその後警察官のいろいろな是正に対して一部均衡を失しておるのじゃないか、このような指摘がなされておるようでございます。この指摘に対していままで何を改善し、また今後何をどのように是正をする計画か。まずそれを伺わしていただきたいと思います。
  25. 伊藤宗一郎

    国務大臣伊藤宗一郎君) 堀江先生が終始防衛庁のあるいは自衛隊の待遇、処遇の問題について御熱心な御研究なり御提言なり御支援を賜っておりますことに対しまして、長官として心から敬意を表したいと思います。  私自身も基本的には自衛隊の士気を維持向上させるためには、自衛官に対して、自衛官が国民から自分自身が期待をされておるということを自衛官自身に知っていただく、自覚をしていただくということが自衛官の士気の向上につながるという基本的な認識については全く同感でございまして、それに対して防衛行政を預かる者としていろいろのあかしを自衛官に示さなくちゃいけません。その一つの大きなあかしの柱が処遇の問題、待遇の問題であるということにつきましては私も同様の認識を持っておりまして、先生の御提言と御支援を受けまして、いままでも微力を尽くしてまいりましたし、今後とも趣旨を尊重しながらやってまいりたいと思いますので、なお一層の御支援をお願いを申し上げるということで、あと問題点につきましては政府委員の方から答弁さしていただきたいと思います。
  26. 堀江正夫

    堀江正夫君 簡単に言ってください。聞きたいことがたくさんありますから簡単に言ってください。
  27. 佐々淳行

    政府委員(佐々淳行君) 格づけの問題について防衛庁職員給与制度等研究調査会が勧告をいたしております点は、まず第一点、将補の格づけが警察官との比較においてやった場合、二等級格づけであるのはややバランスを失するのではないかという点、それから、かつては三尉、一曹、二曹という三階級がリンクされておりました公安職五等級、警部補でございますけれども、このリンクのさせ方について、その後、防衛庁の方には曹長、准尉という新しい階級ができたことから、この五等級に五階級がひしめいておる、こういうかっこうになっておる点やはりバランスを失しているのではないかという御指摘がございました。  これに対して改善措置でございますが、この勧告にはございませんけれども、まず第一点といたしまして、内閣委員会等でもしばしば御指摘をいただいております問題の一つとして、将の階級にある者が将(一)、将(二)に分かれておって、将(一)は指定職、将(二)は行政職(一)の一等級格づけとなっておる点は、一階級でありながら二つの俸給基準に属しておるのは妥当ではないのではないかという御指摘がございます。この点につきましては、将(二)という将官でありながら一等級にとどまって指定職になっておらない者、この人たちの格上げについて、過去数年来努力をしてまいりまして、現在将(一)のポスト、すなわち指定職ポストは五十五になっておりまして、将官が全部で九十五名でございますので、まだ将(二)と言われる格づけの者がおりますが、今後も改善をしてまいりたいと考えております。  第二の点、将補につきましては、この点二等級格づけはおかしいではないかという御指摘がございましたので、五十二年度から三カ年計画で、この将補のうち十三号俸に当たる者を行政職一等級にリンクさせていく、こういう措置をとって、ほぼこの問題は解決をいたしております。  三番目の、公安職五等級に相応する部分に三尉から二曹まで五階級入っておるのは少し是正の必要があるのではないかという御指摘につきましては、この三尉を四等級に格上げをするべく現在努力中でございます。まだこれは実現をいたしておりません。  改善の状況は以上のようでございます。
  28. 堀江正夫

    堀江正夫君 防衛庁総理府の人事局等と協力をされて大変な努力を重ねて逐次改善が行われておりますことに対しては、私はこれを感謝をし、多とするものであります。実は私は自衛官を公安職と横並びにするという基本的な考え方、それ自体に基本的な問題があるのじゃないか、このように思っておるわけでありますが、これについては後から申し上げることにします。  問題は、昭和三十二年三月までの十五等級時代の格づけが三十二年四月に八等級制になった、それがさらに三十九年九月に新八等級制へと改正された。その中で自衛官が、私はあえてこのように申し上げますが、異常な状態で昇格から取り残されてきた、そこに大きな基本的な問題があるのじゃないか、こう思うわけであります。  若干その例について申し上げてみますと、当初とも最高の十五級でございましたものが統幕議長は事務次官と同格の指定職の十一号でありますね。ところが方面総監は最近ようやく全部が八号になった。幹部学校長は四号である。これに対して東京だけを管轄しておるところの警視総監は——これは違っておるかもしれません、私知っているところでは指定職十号である。さらに警察大学校長、これは七号である。副校長も三号である。このように非常にアンバランスができている。  さらに、当初二番目の階級でございました十四級に格づけをされておっったのは、特別重要な本省の局長と陸海空の将であります。現在本省局長は指定職の七から八である。ところが将のうち、たとえば師団長は最近ようやく指定職三である。まだ一等級の将が先ほど言われましたようにたくさんおる。ちなみに県だけを統轄しておるところの県警本部長のうち——これも正確でないかもしれません、三分の一ぐらいの者は指定職で師団長と同格である。  さらに、一般の本省の局長、重要な管区の局長と将補が三番目のランクづけである十三級でございました。ところが本省及び管区局長は全部指定職になっておるのに対して、先ほどもお話しございましたが、実に将補は最近になって、しかも十三号俸以上だけがようやく一等級になった。したがって現在も十二号俸以下の者は二等級である。さらに将補は旅費規則上は仮に一等級になっておる者であっても全員二等級に格づけされておる。  当時、さらに本省の局次長、部長、重要な本省の課長と一佐が十二級でありました。そのうち局次長と部長は指定職となっています。重要な本省課長は一等級であります。ところが一佐は依然として二等級であります。ちなみに、地方局の部長は一等級である。これに対応する方面総監部の部長はもちろん一佐の二等級である。  私の資料によりますと、これも正確でないかもしれませんが、三十九年の指定職が設置されて以来今日までの指定職数の増加は、防衛庁を除く各省の合計は今日七・五倍になっている。防衛庁は合計して五・三倍である。防衛庁の合計して五・三倍のうちで本庁が六・六倍である。施設庁は当初一つだけであったのが十三になって十三倍である。自衛官は四・二倍である。これが現在の実態であろうと私は思っております。  いま申し上げましたこのような実態をどのように受けとめておられるのか。私は、いままで防衛庁が人事局と一緒になって個々の格上げについて努力をしていただいた、その範囲を拡大することについても非常に一生懸命やっていただいたことは十分にこれを認めるわけでありますが、個々の格上げじゃない、三十二年の当初の格づけに全面的に戻して正しい格づけにするのが至当じゃないか、こう思うわけです。  防衛庁人事局、さらに全般的立場から見ておられます一般職についてやってこられました人事院の、いま申し上げました私の説明に対しての御見解をいただきたいと思います。
  29. 佐々淳行

    政府委員(佐々淳行君) 防衛庁の格づけにつきましては、御承知のように自衛隊の発足の経緯がございまして、警察予備隊として発足をしたという経緯から公安職俸給表が準用され、その後指定職あるいは行政職の一等級俸給表が上位者については適用される、こういう複雑な関係になっておりますので、先ほど申し上げましたように、制度調査研究会等からも、あるいは内閣委員会におきましてもこの制度上のバランスについてはたびたび御指摘をいただいております。  私ども改善の努力をいたしておりますが、ただいまの御質問について二、三お答えをさしていただきますと、まず警察との比較において指定職あるいは格づけにかなりの遜色があるのではないか、こういう御指摘につきましては、警察官の場合職員数が約二十一万五千名でございますが、これに対しまして指定職ポストは四十八、必ずしも県警本部長の三分の一が指定職になっておるという実情ではないのではないかと存じます。この比率が〇・〇二二%でございますが、自衛官の場合は指定職が五十五ございまして職員数が二十七万二千、この指定職の比率は〇・〇二〇、わずかに〇・〇〇二%は劣っておりますけれども、おおむねバランスがとれておるのではないかと考えております。  それから格づけの変更につきまして、私どもといたしましては制服の指定職ポストをふやし、将(一)、将(二)の問題を解決いたしたいということで鋭意努力をいたしておりまして、昨年もほとんど全省庁を通じて指定職が認められなかった時点におきましても、防衛庁におきましては統幕学校長の指官職をいただくというなど努力をいたしておりますし、また指定職の割り当てをいただいた場合には制服の方のアンバランスの是正を最優先で考えるという姿勢で現在取り組んでおります。  もう一つ、二佐以下は公安職でございまして、これは現場的な性格が強うございますので警察との対比でよろしいけれども、本部と申しますか幕僚監部の課長等の職にあるところの一佐、これについては一等級にできないのか、こういうお尋ねでございますが、これにつきましては実は一佐の数が大変多うございます。したがいまして、現在千七百三十八名おります一佐を一挙に一等級にするということは大変困難であろうかと考えております。  将補の一等級格上げにつきましては、先ほど申し上げましたとおり現在約三十名ほど十一号、十二号の段階にとどまっておる将補がまだ二等級でございますが、これにつきましては今後も改善の努力をいたしたいと考えております。
  30. 斧誠之助

    政府委員(斧誠之助君) 自衛隊の給与につきましては、先生先ほど触れられましたように所管外でございますので人事院から言及するということは差し控えたいわけでございますが、この一般職職員につきましての格づけの物の考え方を人事院として申し上げておきたいと思います。  御存じのように、給与は職務と責任それから職務の複雑困難の度、そういうことで評価をいたすわけでございますが、給与の編成につきましては先ほど先生が御指摘になったとおりでございます。それでだんだん行政の方も複雑困難の度を加えますし高度化もするということで、行政に適応するように私たちは評価がえをしておるわけでございますが、まず課長について申し上げますと、課長は十五級制時代も十一級、十二級の課長がおりまして二段階になっておったわけでございます。それは現在もそのまま一等級、二等級という二段階の格づけになっております。一等級は重要課長、二等級は標準的な課長ということでございます。しかし行政が高度化しますし複雑化するということで次第に一等級の課長の格づけがふえているということは間違いないところでございます。  それから、指定職につきましては先ほど先生が事務次官以下御指摘になりましたですが、そのとおりでございます。これも当初指定甲、乙と、こうなっておりましたのが四十八年に一本になりまして、これも官職評価の結果困難度の高い者は逐次指定職に入れるということで格づけをしてまいっております。それで警察の場合で申し上げますと、本部長のうち標準的な指定職ポストというのは、指定府県つまりそのブロック内の一番重要な県の本部長が指定職になる、ただその間にいろいろ異動がございまして、異動上の均衡を必要とするものは指定職として取り扱うというようなことでやってまいっておるわけでございます。
  31. 山地進

    政府委員(山地進君) 総理府といたしましては、特別職全般をお預かりするという立場から防衛庁自衛官の給与についていろいろと御相談をしているわけでございまして、いま人事院の方からも御説明のありましたように、一般職の給与の体系、そういったものと、それから防衛庁の体系というもののバランスを十分考えながら今日までやってきたわけでございまして、今後は人事院の方でも六十年度までに給与制度全般の見直しをされるというところに来ております。私どもといたしましてもそういった人事院の一般職の扱いというものと十分整合性を持って考えてまいりたいと考えております。
  32. 堀江正夫

    堀江正夫君 実はこの研究調査会で答申をされて懸案になっておりますまだ幾つかの問題ございます。  たとえば医療費の見直しという問題。これは全自衛官は千分の二十四の医療費を事前に差し引いて基本給は決まっておる、それに対して一般の公務員は千分の十七を月給から引いておる。そういうことになりますと、若い隊員が多いのに負担額が多いのはどうしてなのだ、あるいは事前に基本給から差し引かれるということになると期末等の手当や退職金、年金にも不利益をもたらしているのじゃないか、こういったような問題がありまして、これを放置されておる、これが改善できない、これはもう大変な問題である。極端に言いますと差別待遇を自衛官は一貫して受けているじゃないか、こういうような問題があるわけです。  さらに災害派遣手当の問題。これにつきましても、これも防衛庁は五十四年以降要求をしておられるわけですが、大蔵省の方でいろいろ認めておらないという面があるようであります。しかしこれについては警察官も同じような災害派遣に出る。こういったような者については地方自治体から出ておるとも聞いております。そうなりますとやはりどうもおかしいじゃないか。  あるいは深夜勤務の看護婦には特別手当が出ておる。ところがレーダーサイト等の常続的な深夜勤務者に対してはそういう手当は考慮されておらないという問題も解決されてない。さらに若年定年制下の自衛官の退職手当、年金等、これはいまこういった法律は一本で一般職と同じように律せられておる。そこで国の都合で、国の一方的な要請によって若年定年制を設けられている自衛官について結局一律にやられてしまう、それは本当に正しい処遇なんだろうか、こういう問題もあります。いろいろありますが、時間ありません。  いま格づけの問題が非常に問題になっておるわけです。限衛庁の方からはやはり警察予備隊当時のいきさつで警察と横並びということ、これで物を考えておられる。私は実はそれは間違いだと思っておるのです。これははっきり国家公務員法の第二条の第三項十六号によって自衝官は特別職であります。  ここでいろいろ聞くといいのですけれども、時間がありません。お答えいただいたらあと質問したいことが一つもできないようになりますから、私の大体なぜ特別職かということについての見解をちょっと言ってみたいと思います。間違っておったら指摘をしていただきたい。  私はもう最大の理由は直接侵略に対処する自衛隊が実力部隊であるということじゃないかと思います。そこで軍人的な特性を一人一人の自衛官は持たなきゃいけない、そのことが事に臨んでは命を顧みないといったような宣誓の内容になっておる、あるいは命令に服従しない場合の罰則、これが一般公務員よりも強化されておる、これは組織を確立するという意味からだと思います。あるいは戦闘に耐える体力、気力を保有しておらなきゃいけないということが若年定年につながっておる、こういうことと思います。さらに自衛隊の軍隊的な特性からして常時勤務体制、指定場所居住、こういったような制約になっておると思います。  私は、この自衛官の特別職となっておる特性上に対する認識、これの足らなさと言ったら言い過ぎかもしれませんが、不一致、これが政府部内にあるのじゃないか、このことが具体的に自衛官のいろいろな処遇、身分、地位づけを考える上のやっぱり大きな問題になっているのじゃないか、このように実は思うわけであります。本当にこの軍人的な特性あるいは軍隊的な特性、これに応じて自衛官に対してどのような処遇が与えられておるのか、それちょっと防衛庁から聞きたいと思います。
  33. 佐々淳行

    政府委員(佐々淳行君) ただいま御指摘のような問題点があることは事実でございまして、鋭意改善の努力を続けておるところでございますが、まず格づけの改善のほかにも、先生ただいま御指摘の点は実は制度研究調査会が改善を答申したそういう項目でございました。  これにつきましては、たとえば医療費の負担につきましてはこの勤務の特殊性から公務あるいは公務外を問わず国の管理下に置く必要があることからその療養は国が行うこと、こういうことになっておりまして千分の二十四が控除される、そのほかに家族用の千分の十七が加わりまして千分の四十一というのが現在の控除でございます。しかしこれらを一般公務員の国家公務員共済組合の負担平均と比べてみますと、五十六年四月の数字でございますが、一般公務員の場合には千分の四十三・八と若干高くなっております。改善はされておりますけれども、御指摘のように身体強健な罹病率の低い自衛官についてはこの負担率を再検討する必要があるであろう、かように考えております。  それから、災害派遣手当、夜間特殊業務手当等につきましては新設をしていただくようこれまでも努力してまいりましたが、今日まだ諸般の事情により実現をいたしておりません。今後も努力を継続いたしたいと思います。  この処遇の問題について、自衛官がそういう特別職国家公務員であるということから徐々に御理解を深めていただいて改善されつつございますけれども、いわゆる処遇とか礼遇で、処遇の問題について他の一般公務員よりは若干恵まれているのではないかという点をあえて申し上げますと、たとえば将官会同があった後の拝謁であるとか、あるいは閣議了解人事が非常に多く、またその特別のポストの者については総司令官でございます総理にごあいさつをする等給与とか格づけの問題以外の社会的な評価を高めることによって士気を高揚させたい、かように考えて努力をしておるところでございます。
  34. 堀江正夫

    堀江正夫君 そういう精神的な面で非常にいろいろと最近努力をし配慮されておられる。これはもう私もよく承知をしておりまして高く評価をしておりますが、具体的な処遇の面で私見ました場合に、警察、公安職等と比べてみて特別優遇されておる点、特別職の意味は全く警察官とは違うわけですね。そういう点はないのじゃないかというような気がするわけです。これはやはり警察と横並びだということからだろうと思います。  しかし基本は違うじゃないか。軍人的な特性というものは全く違うじゃないか。あるいは警察官は本来行政官じゃないか。自衛隊というのは、自衛官というのは部隊の組織において動くものである、それを全く横並びにすることについてはやはりおかしい。まして警察予備隊として発足した、いまは自衛隊であって警察予備隊じゃない、それをこういう特性を考慮しないで横並びというのもどうも納得できない。  さらに警察の場合は九等級九階級ですから余り矛盾は起きない。ところが、先ほどもお話しありましたように自衛隊の場合それ横並びしておる。九等級で十六階級ですか、厳密に言うと十七階級ですか。ですからたとえば基準月額で言うと一曹から准尉まで三階級、これは同一である。幹部になっても本当に給料上がらないわけです。ですから責任の重い幹部になるのを嫌がる、こういう傾向が現実的にある。  私は、やはり自衛隊の軍隊的な特性ということからしますと、各国がやっていますように、一般職の年功によるところの給与制度じゃなくて階級によって段階を設けた制度というふうにしなければ救えないのじゃないか。それをやるということになると私はもう警察に横並びということはいかにも不合理なんで、これは別個の給与体系をつくり直さなきゃいけないのじゃないか、こう思うのですが、いかがでございますか。  これについては防衛庁、人事局、人事院もいまお聞きになって所見を承らせていただきたいと思います。
  35. 佐々淳行

    政府委員(佐々淳行君) 公安職とのリンクの問題につきましては、ただいま御指摘のとおり特に一番混雑をいたしておりますのが三尉から二曹まで、これが公安職五等級、警部補に格づけをされておる、こういうところに問題あろうかと思います。旧軍では少尉は高等官で警視と並んでおったという議論があるわけでございますが、警察予備隊発足当時の物の考え方を見てみますと、大学を卒業して警察に入った者の最初の格づけが警部補でございます。また警備実施部隊等を編成する際の小隊長の階級は警部補であるというところから、一般大学あるいは防大を出て三尉に任官した者が警部補相当の公安職五等級になった者だというふうに思われますが、これは御指摘のように差が大変小そうございますので、何とかこの一等級に五階級いるという状態だけは改善をいたしたいと思っております。  それでは、抜本的に公安職俸給表とのリンクの仕方がおかしい、これが間違っておるという御指摘でございますけれども、警察予備隊発足以来防衛庁の職員給与制度は、一般職との対比及び現場的性格の強い二佐以下の職種については公安職と対比ということでやってまいりましたもので、これを防衛庁限りで改善をするということは困難でございます。私どもといたしましては現在与えられておる権限とその法律の範囲内でできる限り改善をしてまいりたい、かように考えております。
  36. 斧誠之助

    政府委員(斧誠之助君) 俸給表の立て方についてちょっと御説明いたしますと、私たちが俸給表を立てる場合に独立して一つの職種をつかまえるというときには、その職種として同類の者が職群として存在しているかどうかということと、それから職務の特殊性があるかどうかということが着眼点になるわけでございます。したがいまして、自衛隊の職務をどういう特殊性あるものとしてとらえるかということが別の体系の俸給の仕組みにするかどうかということの着眼点であろうと思いますが、それは自衛隊あるいは人事局、そこでよく特殊性について考慮を払われてやっていただくよりほかないと思います。  公安職について、私たちがその特殊性についてどういう考慮を払っているかという点だけ申し上げておきますが、階級性があるということで最初の若い等級のところでは行政職よりは高い水準でもって俸給を決める、それから号俸数を相当延ばしまして昇給率も相当高い号俸のところまで維持していくというような配慮を払っておりますと同時に、それではなお見切れないという分については手当を出しまして補完しているという状況でございます。
  37. 山地進

    政府委員(山地進君) 自衛官の給与制度等の改善に関する基本的な考え方、給与研究調査会の中を拝見いたしますと、自衛官の俸給については警官等に基準を求めるというのは現状においても現実的であり、諸外国における軍人等類似の公務員の給与決定の基準から見ても妥当なものであると考えられる、こういうふうにおっしゃっておられるようでございますし、前文において自衛官の職務の重要性及び特殊性の評価、警察官と一般公務員の給与との均衡ということについて十分配慮するようにというふうに示しておられます。  私どもといたしましても公務員自体の給与についてどうするのか、これも国民の御納得のいく方法ということでいろいろと苦労しているわけでございますが、やはり自衛官についてはこの御提言にあるようなことで一般の公務員あるいは警察官ということが現実的ではないか。ただ、先生の御指摘になるようないろいろな問題、格づけ等については今後とも防衛庁の方といろいろと御相談をして是正には努めてまいりたい、かように考えております。
  38. 堀江正夫

    堀江正夫君 最後でございますが、自衛官の人事管理と一般職との整合性、均衡の問題でございます。  私が特にこの問題を申し上げるのは、防大の卒業生自衛隊の中で中堅から指導的な地位につき、やがてトップになる、こういうような現段階において一般職との均衡、整合、こういったような問題が大変大きな問題になっておる、このように感ずるからであります。かつて私は内閣委員会質問をしましたときに、上級職甲の人と自衛官の中でCGS等の合格者とは同格には取り扱えないのだという防衛庁見解が示されました。私はどうもそれはやっぱり間違っておったのじゃないかと思っておりますが、その点をひとつはっきりお聞きしておきたいというのが一つであります。  それから、それらは仮に基本的に同じであっても、運用上差が出るのはやむを得ないのだ、こういうような議論が起きるのじゃないか、こう思います。それはもう確かに防大の一期がごく一部この夏に将補、これは恐らく当初は二等級になるのだと、こう言われておりますが、同時期に大卒の上級職甲の人はすでに一、二年前に指定職になっておる。この大きな開き、これが大変問題なんですね。そのことがまたそのまま叙勲にも関係してくるわけです。それで自衛官は運用上それはしようがないのだという考え方はやはり一つの枠にとらわれているからじゃないか、こう思います。  ちなみに私は先ほど申し上げました三十二年のときの基準で、あの基準で一般職は全部指定職になっている。それと同じようなことでやりますと、いま指定職は五十五でございますね。これが大変ふえるわけです。私の計算によりますと大体将補以上の現在の職数というものがそのまま指定職になる。そうなりますと、一般職と大体数的には横並びになる。それは行(一)の同相当官、これと自衛隊の場合は任期制隊員を除いた自衛官との比率において大体同率になっちゃう。そうなれば私は運用上問題ないと思うわけです。  ですから、きょうはもう時間来ました。これでやめますが、いま人事局長が法律の範囲内でやるのだから格づけを基本的に直すとか俸給表を別個につくるとかというようなことはできない、こう言われました。私はこの研究調査会ですか、あるいは今度調査室設けられた。そういう中で、基本的に法律を変えるような問題までも含めて格づけの問題、別個の俸給表をつくるといったような問題をやはりやっていただかなければならない。そうしなければこの問題は永遠に解決しない。それで防衛庁は本当にいいのだろうか、自衛隊の士気を確立することはできるというふうに考えられるのだろうか、防衛庁の中の一般職と自衛官とが本当に相許して、そして一体になってやれるというような状況が確立できるのだろうか、こう思います。  長官最後お聞きして、私の質問を終わります。
  39. 佐々淳行

    政府委員(佐々淳行君) 事務当局からまず事務的なことをお答え申し上げます。  一般職の特に上級職甲との整合性の問題でございますが、自衛官の昇任に要する在職期間につきましては、自衛隊法施行規則の別表第七というところに最短期間が決められておりまして、このまま運用をいたしますと自衛官も上級職甲並みの経験年数で指定職につくことができるようになっている、おおむね四十七歳ぐらいでつけるようになっております。しかしながら、自衛隊の場合には各階級における経歴管理の必要性であるとか、階級別定数の範囲内での昇任管理の必要性等から、運用の面で三佐で六カ月、二佐で六カ月程度のおくれが出ております。この結果、そういう差が出てきておる。  それから、将補以上を指定職にせよというお話でございますが、将が九十五、将補が二百十七おります。そういたしますと、三百を超える指定職を現在五十五の割り当ての中で一挙にふやすということは現在の制度ではとても困難であろう、かように考えております。  制度を変えるかどうかということでございますが、これにつきましては私どもは現在は具体的にできる法律の範囲内での改善策の努力をいたしておりますけれども、先ほど人事院より御答弁ございましたように、あるいは総理府よりお答えございましたように、現行の制度で運用しつつも六十年における公務員の給与制度全体の見直しを目標に検討をいたしてみたい、かように考えております。
  40. 伊藤宗一郎

    国務大臣伊藤宗一郎君) 自衛隊員の地位を向上させる、させたいということにつきましては、私も冒頭にも申し上げましたとおり全くの同感でございまして、今後とも大いに長官が先頭に立って内部部局を激励しながら、できるだけ早くその目標に到達するように努力をしてまいりたいと思います。ただ先生も御指摘のように、またきょうも政府委員出席をしておりますとおり、関係省庁等の理解なり協力がなければなかなかその実を上げ得ない面もございますので、なお一層の御支援を賜りたいと思います。  俸給表自体もすでに御説明申し上げましたとおり、昭和六十年を目途とした人事院の給与制度全般の見直しと歩調を合わせて検討を進めて、改善の努力をさらに積み重ねてまいりたいと考えております。
  41. 加藤武徳

    委員長加藤武徳君) 午前の質疑はこの程度にして休憩いたします。    午前十一時五十九分休憩      —————・—————    午後零時三十七分開会
  42. 加藤武徳

    委員長加藤武徳君) ただいまから安全保障特別委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、国の安全保障に関する調査を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  43. 勝又武一

    ○勝又武一君 硫黄島には現在自衛隊と米軍の基地がありまして、民間人は一人も居住していないと思います。第二次大戦中に強制的にこの島を追われた硫黄島の旧島民の人たちが硫黄島帰島促進協議会を結成して、戦後三十六、七年の悲願を込めて政府や東京都に訴えられていると思いますが、この帰島を認められない理由は何でしょうか。
  44. 清野圭造

    説明員(清野圭造君) 硫黄島につきましては、御指摘のとおり火山活動でありますとかあるいは不発弾でありますとかいろいろの特殊事情がございまして、御指摘のとおり現在まだ旧島民の帰島が実現されておりません。おりませんが、昭和五十四年六月に決定されました小笠原諸島振興計画におきましては、「総合的な調査等のうえ、帰島及び開発の可能性を検討する」ことというふうにされております。このため昭和五十五年度から関係省庁の御協力を得まして、火山活動調査でありますとかあるいは不発弾等の実態調査等の総合調査を実施してきておりまして、昭和五十七年度におきましてはこれらの調査結果の解析とも相まちまして定住可能性検討調査等を実施することといたしております。
  45. 勝又武一

    ○勝又武一君 いま火山活動だとか、川もないとか地下水がどうとかという話がありましたけれども、これは長く住んでいた島民の皆さんの言い分の方が私ははるかに説得力があると思いますよ。そういうことじゃないのです。父島にも母島にももうすでに帰っているのじゃないでしょうか。この硫黄島に帰ることを認めない最も大きな理由は全島の四二%が基地である、こういうことですね。今後も本格的な航空訓練基地にするということがねらいだから、そういうことだからこの帰島を認めないのじゃないのですか。
  46. 清野圭造

    説明員(清野圭造君) 国土庁といたしましては基地の計画につきましてはつまびらかにいたしておりませんが、ただいま申しましたとおり、あらゆる条件を調査いたしまして帰島及び開発の可能性があるかどうかというようなことをまず調査をいたしまして、その上に立って、小笠原審議会の中に硫黄島問題小委員会というのがございますが、小委員会の方で十分に御審議をいただき、また関係各省庁とも十分協議をいたしまして結論を出したいというふうに考えております。
  47. 勝又武一

    ○勝又武一君 全然しようがありませんね、そんな言い方じゃ。私はやっぱり政府が統一して旧住民の望みをかなえるように早急に対処すべきだと思います。そうでなければ別の理由があるのだということに勘ぐらざるを得ません。  そこで、防衛庁にお聞きしますけれども、この硫黄島で五月四日から三日間米軍の上陸訓練が行われるというように聞いておりますけれども、戦後これは初めてだと。初めて戦後行うのに、一体なぜ行うのかという問題です。この米軍の上陸演習を契機として今後硫黄島を自衛隊の本格的な航空訓練基地と、こういうことになればまだ三千体に及ぶ遺骨も未収集だということですし、先ほど申し上げた島に帰りたいという旧住民の悲願というものも踏みにじっちゃうことになるのじゃないか。そういう意味で来月上旬の米軍の上陸訓練というのは私はおやめになった方がいいのじゃないか、そう思いますけれども長官いかがでしょうか。
  48. 伊藤宗一郎

    国務大臣伊藤宗一郎君) 御指摘がございました点は米軍の今回の訓練についてのことでございますけれども、これは地位協定第二条第四項(b)に基づいて、米軍が一定期間を限って使用し得る施設、区域である揚陸場及び飛行場に限って行われるものでございます。  防衛庁といたしましても、いまお話の旧島民の島に帰りたいという帰島希望があることは十分承知をしておりまして、新たな土地の使用を伴わないような訓練を行うように米側に要望もし、米側もこのような事情を踏まえまして、いま申し上げましたようなこれら施設、区域内に限って行うこととしたものでございまして、ただいまこういう方向で準備を進めているということでございます。
  49. 勝又武一

    ○勝又武一君 北海道の襟裳岬で、これも五月の下旬でしょうか、三自衛隊の初の上陸訓練を行うというように報道されていますけれども、これは事実なんですか。いや、事実かどうかだけ言ってください。おやりになるのですかならないのですか。
  50. 石崎昭

    政府委員石崎昭君) いまそういう計画を検討中でございます。
  51. 勝又武一

    ○勝又武一君 中身をお聞きしますと、これは新聞報道ですが、上陸用舟艇を使って完全武装で襟裳岬の周辺海岸に直接上陸訓練という、こういうこと。しかもそれは海空自衛隊が敵味方に分かれて戦闘機、ミサイル護衛艦、あるいは潜水艦を動員して輸送部隊を攻撃するという、最も実戦に近い訓練だというように聞いているわけです。  実は私は陸軍特別甲種幹部候補生として船舶部隊に所属をしその訓練を受けた経験もございますが、今回直接この襟裳岬にも出かけまして、その周辺も見てまいりました。沿岸漁民の人たちの主張は、この五月下旬の時期というのは、カレイ刺し網とかタコとか、そういうきわめて重要な漁業の時期に当たっていますし、サケ・マス漁のこともあり、こういう沿岸の漁業、特に水産資源への影響というものを非常に心配をしている。これだけの大規模なものをしかもこの時期に、住民の了解というものは一体もう得られているのか得られていないのか。この辺はいかがですか。
  52. 石崎昭

    政府委員石崎昭君) 関係の地元の方々とか漁業関係の皆様方には御連絡をとって、その御理解と御協力を得られるように、いまいわゆるその根回しをやっている最中でございます。
  53. 勝又武一

    ○勝又武一君 根回しをやっている最中だというのですけれども、私の聞き及ぶところでは全く大変な状況だというように判断をいたしております。  そこで、長官にお伺いしますけれども、この中身はただ上陸演習ではなくて、敵が北海道に上陸したという想定、つまり北海道が戦場になった、北海道が戦場だという、こういう想定ですね。一体本当に本土決戦というものをやられるというお気持ちで、そういう決意でこのことを検討されていらっしゃるのですか。
  54. 伊藤宗一郎

    国務大臣伊藤宗一郎君) いま政府委員からお答え申し上げましたように、いま準備といいますか根回しをやっている段階でございまして、まだ確定したわけではございませんけれども、その前提の本土決戦とか北海道に若干の想定を設けたというようなことではございませんで、去年は西の方でやらせていただいたものですから今度は順番といいますか、東北、北海道の方でというようなことでございまして、本土決戦とかあるいはまた北海道に想定を置いたというようなことでは全くございません。
  55. 勝又武一

    ○勝又武一君 いや、そうではないようですよ。戦闘機とかミサイル護衛艦とか潜水艦も動員して、しかも普通ですと基地に上陸される、一定のところにね。ところが今度の場合には上陸用舟艇を使ってやるのでしょう。しかもその場所もまだ決まってないのでしょう。僕も船舶部隊の経験があるということをお話ししましたけれども、こういう場合の漁業に対する影響というのは非常にあるのです。  同時に、もう一つは大体時期が悪いのじゃないですか、五月の下旬というのは。六月というのはどういう時期ですか。六月というのは国連の軍縮総会を控えていらっしゃるわけでしょう。総理を初め政府の方針というのは軍縮なんでしょう。これじゃまさにその総理が国連総会に臨んで軍縮を強調されるよりは、何かまさに軍拡に転換したという印象を道民も持つし国民も持つのじゃないですか。住民の要望を無視して、世論に反して自衛隊が独走しているという、そういう印象を道民に与える。国民に与える。新聞報道一つを見てもそういう印象を払拭し切れません。  そういう意味では、この訓練は私はやはり中止していただきたい、そう思いますけれども、いかがでしょうか。
  56. 伊藤宗一郎

    国務大臣伊藤宗一郎君) 時期等につきましてはいま政府委員の方からお答えをさせますけれども、私どもは国民の大方の皆様方から国の防衛についての責任を預かっておるわけでございまして、その責任を果たすために自衛隊員訓練なり練度向上なりということを図ることは国の防衛の責任を背負っておる者としては当然のことでございまして、そのための訓練でございまして、これを中止せよという御意にはお沿いできませんことを申し上げなければなりません。
  57. 勝又武一

    ○勝又武一君 次にお伺いしたいのは、陸上自衛隊と米陸軍とのいわゆる日米共同指揮所訓練というのが二月十五日から五日間、御殿場で行われました。日本側が約千人、米本土からも含めて米国側が約五百人、計一千五百人の作戦幕僚らが参加をされたというように伺っています。  私は、この日米合同演習が海空だけでなく陸上について初めて大規模に行われたという点が特に問題だというように思います。しかも、この報道によりますと仮想敵二万が関東平野を侵略したために日米両軍約六万がこれを阻止するという、こういう目的、図上作戦でしょうけれども、何か利根川の渡河作戦も含まれていたというように報道されていますけれども、これも事実でしょうか。
  58. 石崎昭

    政府委員石崎昭君) いまおっしゃいました陸の日米共同の指揮所訓練といいますのは、指揮所訓練ということでおわかりのとおり実際に部隊を動かしてやる訓練ではありません。図上で行ったわけでございます。  その場合、部隊をどういう場所で動かして演練するかといいますと、しかるべき地形、地物の場所を選んで、それに適合するような部隊を運用するわけでありますが、今回滝ケ原駐屯地で行いました日米共同指揮所演習の場合には、日本側の出ました部隊が東部方面隊でありましたために、東部方面隊が一番なれている場所は東部方面隊のいる区域でありますから、したがって関東甲信越ということになります。そこで、よく地形、地物を知っている関東地方の地図を使って、その上で仮想の部隊を運用してやったということでありまして、したがいまして関東地方が演練の場所に選ばれたというのは、防衛庁が現在の情勢を見積もって、その結果関東地方に脅威が発生するとか、そういう結論を出して、それに基づいて訓練をやったというのでは全くありませんで、たまたま東部方面隊が日本側の部隊であるがゆえに、なれている地形の関東を場所に選んだということで、これは関西の地図を使っても九州の地図を使っても、理論上はどこの地図を選んでそれを使ってやってもいいわけであります。そういう種類の訓練であります。
  59. 勝又武一

    ○勝又武一君 千五百人の作戦幕僚の図上演習なんでしょう。幾ら図上でやろうがなかろうが関東平野を戦場にして利根川の渡河作戦ということで図上作戦をやるのでしたら、これはやっぱりどの程度の被害人数が出たり、どの程度の被害総額が出たりということも当然想定なさっていらっしゃるのでしょうね、お伺いしますけれども
  60. 石崎昭

    政府委員石崎昭君) この前やりました訓練の細部につきましては戦術戦法のいわば手のうちに属することでありますから、非常に細かいことになりますと何とも御説明できない点がありますが、あらましを申し上げますと、考え方としてはもちろん日米の登場した図上の部隊の損耗とか、あるいは対抗部隊側の損耗とか、そういうことはもちろん訓練でありますから十分計算しながらやっていくわけでありますが、その他の関東地方にいる住民の損耗などをどういうふうに扱ったかということになりますと、これは想定外といいますか、勘定に入れずにやるということであります。その点で現実味に乏しいではないかとおっしゃられればまさに現実味に乏しい訓練でございます。  これは住民とかその他あらゆる要素を全部現実に即して取り入れて訓練をやりますときわめて複雑になり、かつ現在の法制の中ではなかなかむずかしい問題もたくさんありますので、一方において有事法制の研究というものが進められており、それが将来訓練中身に現実味をより多く持ち込むことになっていくであろうと思いますけれども、この間の場合はそういうことで、住民とかあるいは点在している市街地をどう扱うかというようなことについては大変抽象的な作業をしまして、たとえば大きな町は一大沼沢地であって部隊の通行不可能というような想定にしてしまうとか、そういうことでむずかしい要素は単純化して訓練を行うという方法をとったわけでございます。
  61. 勝又武一

    ○勝又武一君 時間もありませんから簡単にしますけれども、私はやはりいまの答弁は非常に不満ですね。アメリカからもいらっしゃっているのでしょう。千五百人の作戦幕僚が集まるといったら大変なお金がかかるわけでしょう。いまの程度のことでそんな程度のことをやるのですか。私はそうじゃないと思いますよ。  しかも、新聞によりますと日米双方ともに図上作戦だけでなくて、この秋には実動演習を実施したいということを報道しておりますね。これは長官に事実かどうかをお聞きしたい。そして村井陸幕長はこの図上作戦では所期の目的を達成した、こういう報道もしておりますね。いよいよ問題ですよ。  この図上作戦だけでなくて、この秋に関東平野が戦場になる場合の想定による実動演習、この場合には、まさに私はいまもおっしゃっていた住民の被害なり人数なり、そういう総体的な国土の被害状況というものを、これはまさに本土決戦でしょう、そういうものを当然出して、国民に対する自衛隊の本当の考えというものを明らかにする、これは当然の防衛庁としての責務だというように考えます。そういう具体的な資料をこそまず先に当委員会あたりには提出すべきだというように私は考えますが、長官いかがでしょうか。
  62. 伊藤宗一郎

    国務大臣伊藤宗一郎君) 先ほどの図上演習に続きまして今年度は実動訓練を実施したいと考えております。ただ、現在その場所あるいは時期、規模等につきましては目下検討中でございまして、いまここでこれ以上のことを申し上げられませんことを御理解賜りたいと思います。
  63. 勝又武一

    ○勝又武一君 全く無謀ですね。そうしてそういう具体的な論議もなしに実動訓練を関東平野を戦場にした想定でやられるなんてことが、一体本気で、どういう趣旨で、それから具体的な資料を提示もなしにおやりになるというようなことについては全く了解できません。こういうことだから私はやっぱり自衛隊に対する国民の信頼というものがもう一つ生まれてこない、そういうふうに思います。  そこで、次に自衛隊員の募集の問題について一、二お伺いいたします。  特に高校生に対する募集、入隊勧誘について、その時期や方法について多くの行き過ぎがありまして、再三これは衆議院、参議院の各種の委員会で取り上げられてきた経緯があります。きょうは時間もありませんので、それらの経過を詳しくお聞きする時間がありませんから、そういう事実経緯の上に立ちまして二つだけお聞きをしたい。  一つは、文部省と労働省、それぞれの担当官から四月八日の日に防衛庁に対して具体的な申し入れがあったと思うのです。これは衆議院、参議院のそれぞれの委員会での質疑経過、こういうものを踏まえてされたと思いますが、その内容等防衛庁としてはどういう回答をなさったか、明らかにしていただきたい。
  64. 佐々淳行

    政府委員(佐々淳行君) お答えいたします。  御指摘のとおり、四月八日の午後、文部省の職業教育課長及び労働省の業務指導課長から防衛庁の人事教育局人事第二課長あてに口頭の申し入れがございました。  その申し入れの趣旨は、自衛官の募集について、新規高校卒業生にかかわる部分については試験時期の遵守であるとかあるいは受け付け開始の時期の遵守、あるいは学校を通じて学校の協力のもとに行うという方針に準じてやっていただきたい、文部省といたしましても教育委員会等を通じて他の民間企業あるいは公務員と同様自衛官の募集についても学校当局で公平に扱うよう指導をするつもりだが、防衛庁自衛隊側も行き過ぎがないようにと、こういう趣旨のお申し入れがございました。  私どものこれに対する回答は、基本的には私どもも学校を通じてその就職指導秩序を乱さない形で自衛官の新規高校卒業分の募集が行われることが望ましいと考えておる、しかしながら現実には学校当局で御協力をいただける学校が非常に少ないという現状にかんがみ自衛隊としては職業安定法あるいは自衛隊法によって与えられたところの権限によって募集を行わざるを得ない、私どもも行き過ぎを慎むようによく指導をいたしますから、文部省、労働省におかれましても学校当局その他に対して整々と学校当局を通じて募集が行われるよう公平にその御指導をいただくようお取り計らいいただきたい、こういう回答をいたしたところでございます。
  65. 勝又武一

    ○勝又武一君 いまの文部省それから労働省が言っている趣旨や、参議院、衆議院のそれぞれの委員会であった点で、そして特にいまの点については募集の時期も含め、方法も含めて、行き過ぎがないように特段の注意をお願いをしたいと思います。  この問題について特に長官にお聞きしたいのは、いまもお話がありましたが、これは参議院の予算委員会、決算委員会でも長官も再三この本来の趣旨に基づいて学校教育を尊重して学校を通して行うというように答えられていらっしゃいますね。ですから私たちもこのことは家庭訪問は原則的に行わない、こういうように理解をし認識をしておいてよろしいか、いかがでしょうか。
  66. 伊藤宗一郎

    国務大臣伊藤宗一郎君) ただいま政府委員からも答弁をいたしましたように、また私自身も御指摘のように学校を通じてやるべきである。またやらねばならぬというふうにも指導もし、そういう方針で今後進めてまいりたいと思っております。仮に家庭訪問ということでありましても、それは自衛隊使命の重要性、そういうものの一般的な説明ということでございまして、そういう意味での家庭訪問ということで御理解を賜りたいと思います。
  67. 佐々淳行

    政府委員(佐々淳行君) ただいまの問題につきましては、御承知のように新規高校卒業生の募集につきましては七月一日以前にはこれを行わない、また募集広報につきましては学校における求人申し込みが受理される七月十五日、これも文部労働両省の通達の趣旨でございますが、それから試験選考は十月一日以前には行わない、この趣旨を守るように指導いたしております。  なお、ただいま長官が御答弁申し上げましたように、自衛官の場合には十八歳以上二十五歳未満の青年一般につきまして三百六十五日募集体制をとっております。そういう関係から自衛隊の広報宣伝活動としての一般的な活動はこれとは別に行われております。しかしながら新規高校卒業生につきましては家庭訪問を仮に行います場合も紹介者を通じて行うとか、あるいは大学受験を目指してやっておる者のところへ行って自衛隊に来るようにというようなのはやはり常識に反しますので、こういう問題は慎むように、あるいは進学校等につきましてはこの点神経を使ってやるよう指導をいたしております。
  68. 勝又武一

    ○勝又武一君 再三再四最初おっしゃっていることと後で言うことと違わないようにしてくれませんかね。だんだんわからなくなっちゃいますよ。いま長官がおっしゃったことでいいのじゃないのですか。そうでしょう。長官がおっしゃっているように、原則的には家庭訪問を行わないのだ、家庭訪問をやるということは一般的な問題なんだということをおっしゃっているのだから、余分なことを後になってつけ加えないようにしていただきたい。  そこで、これは防衛庁の人事教育局の発表によりましても、二士男子隊員の自主志願率というのは一割程度だというのですね、約一万二千人の高校卒自衛隊員のうちの。中堅幹部クラスの競争率というのが高いのと比較して余りにもやはり違い過ぎるのじゃないですか。そういう意味では防衛庁としてはもっとやはり私は別の観点での反省が十分に必要だというように考えます。これは答弁は要りません。  そこで次の問題ですが、経団連の防衛生産委員会が五六中業に対する見解と称する要望書を四月九日の日に提出をされておりますね。資本支出を三〇%まで引き上げよ、ほか四点にわたっておりますけれども、このとおりに実施をするとして試算をするとGNPは約一・〇になる。これは経団連の試算によるとというようになっておりますけれども、こういう言い方をしている。経団連そのものは臨調を全面的に支持をし、行政改革を推進しているわけですよね。そういう立場から、この段階で経団連の生産委員会が政府に対して従来の経団連の主張と逆行するような見解なりこういう要望書を出された。行革と防衛とは別だ、防衛だけは特別扱いだ、こういう印象を与えかねない。  だから、私は特に防衛庁長官としてではなくて国務大臣としての長官に、やはり行革推進の政府の方針というものが基本にあるのであって、当然それと反するようなことについては政府を構成する国務大臣としてはそういう政府方針と反するということについては、やはり何というか、見識ある考え方というものを持つべきだというように思いますけれども、いかがでしょう。
  69. 伊藤宗一郎

    国務大臣伊藤宗一郎君) 五六中業に対する見解として経団連の防衛生産委員会がまとめました要望というものを私も見ました。  この内容は、資本支出の充実、装備の国産化、研究開発の推進、後年度負担の歳出適正化等の内容が主なるものでございましたが、われわれはいま五六中業を現在防衛庁において作成作業を進めている段階でございまして、この防衛生産委員会の要望についての、また細部についてのコメントはいま差し控えさしていただきたいと思いますけれども、もともと私ども防衛計画大綱水準達成するということを目途にしながらも、そのための道のりとして財政経済との関連も考え、また他の諸施策とのバランスといいますか、調和ある関連というものも考えながら、そういうことを総合的に考えながらいまも進めておるところでございまして、防衛政策だけがあるいは防衛計画だけが独走するということの態度で進めているわけではございませんので、御指摘のあらゆるほかの諸施策との調和ある関連のもとに進めておるわけでございまして、そういう意味においては御趣旨に浴っているかとも思います。
  70. 勝又武一

    ○勝又武一君 防衛庁の研究開発費の総額は幾らになりますか。そのうちで民間で使われているのが大部分だとは思うのですけれども、何%くらいになりますか。
  71. 和田裕

    政府委員(和田裕君) 五十七年度の研究開発費は三百五十六億円でございまして、防衛費の中に占める制合は一・三八%ということに相なります。
  72. 勝又武一

    ○勝又武一君 試作品費とかあるいは訓練中の試作とか、研究用機械器具とか、電子機器借用料とか、技術調査研究費とか、そういうものを全部含めるとどのくらいになりますか。
  73. 冨田泉

    政府委員(冨田泉君) いま装備局長からお答えいたしました経費は防衛庁が研究開発を……
  74. 勝又武一

    ○勝又武一君 いや、総額幾らですか。それだけ答えてください。
  75. 冨田泉

    政府委員(冨田泉君) 総額はただいま装備局長お答えしたとおり三百五十六億円でございまして、その中に先生おっしゃいましたような諸経費が含まれておるわけでございます。
  76. 勝又武一

    ○勝又武一君 これ別のところで見ますと二千八百億ぐらいになっていますよ。これ全然おかしいですね。了解できませんね、皆さんのところからもらっている資料ではありましても。それはじゃおきましょう。後で具体的に資料で別途お聞きしましょう。  時間がありませんから、特にF15とP3Cのことについて伺いますが、F15とP3Cを採用した初年度五十三年度、それから五十七年度、この各一機当たりの輸入機と国産機、それぞれ幾らになりますか、初度部品とか交換部品とか、そういうものを一切含めた金額で。
  77. 和田裕

    政府委員(和田裕君) まずP3Cで申し上げますと、五十三年度でございますが、初度部品等を込めた価格で申し上げまして五十三年度国産機が約八十五億円でございます。それから輸入機が六十億円でございます。それから五十五年度以下はP3C国産機だけになりますが、五十五年度は……
  78. 勝又武一

    ○勝又武一君 五十七で結構です。
  79. 和田裕

    政府委員(和田裕君) じゃ、五十七年で申し上げますと百十五億円であります。  それからF15は五十三と五十七について国産、輸入で申し上げますと、まず五十三年度国産機でございますが、これが八十億円、輸入機が五十三億円であります。五十七年で言いますと、国産機が百十二億円、輸入機が九十五億円ということになります。
  80. 勝又武一

    ○勝又武一君 ちょうど四年半前になりますか、私は五十二年十一月二十二日、参議院の内閣委員会で、初めて米国からの購入を決定したF15とP3Cについて質問をした経緯があります。  私はその際に、恐らくこれから数年たつとこのF15とP3Cの価格というのは非常な勢いで値上がりしていくのじゃないか、こういうふうに心配をして指摘して質問をしたのです。当日の装備局長は私にこのように答えておる。ここに会議録がありますが、アメリカの防衛契約監査局と防衛庁とで厳密な原価監査をやってきちんと押さえていくから、先生が御心配することはしなくてよろしい、こう答えられているのです。  心配しなくてよろしいと言って四年半たちましたけれども、これは心配しなくていい程度の値上がりですか。結果的に私は五十二年十一月二十二日の装備局長の答弁にだまされたというか、ごまかされたといいますか、そういうことになりますよ。これは四年半にわたる歴代の装備局長は一体どういうような原価監査をやってきちんと押さえてこられたのですか。
  81. 和田裕

    政府委員(和田裕君) いま私手元に四年前の記録がございませんけれども、DCAA——国防契約監査局、これは国防総省についておりますが、これとの関係で申し上げたのは、P3CなりF15にコミッションとかそういった望ましくない経費が入っていないことを確かめるという意味を主として申し上げたのではないかと思います。  値上がり自体について、DCAAに監査をお願いしたからといって値上がりをとめるというような認識は当時の防衛庁も持っていなかったと私は考えております。したがいまして、御質問はなぜこんなふうに値上がりしたかということになろうかと存じますけれども……
  82. 勝又武一

    ○勝又武一君 それは後で聞きますよ、それは後でお伺いしますよ。
  83. 和田裕

    政府委員(和田裕君) まず、じゃそこでとめさしていただきます。
  84. 勝又武一

    ○勝又武一君 いま装備局長がおっしゃっているようなことじゃないですよ、この十一月二十二日の当時の装備局長の言っているのは。私のそういう質問に対して「原価監査をするということによってきちんと押さえていきたい、」と言っている。一体どういう具体的な方法でこの四年半これをやってこられたのですか、装備局長という立場は。もう一度聞きます、それを。
  85. 和田裕

    政府委員(和田裕君) アメリカの国防総省のDCAAとFMSによりまして契約をいたしまして、ちょうど米国の国防総省がF15あるいはP3Cを買うのと同じ立場でこれについての原価監査をお願いしてやっていただいている、こういうことでございます。
  86. 勝又武一

    ○勝又武一君 ライセンス料というのはお幾らですか。
  87. 和田裕

    政府委員(和田裕君) ライセンス料につきましては、これは実は日本のライセンス生産に携わっておりますメーカーと、それに対しまして民間の技術を提供いたします要するに技術の実施権でございますが、そういった技術を提供いたしますアメリカのメーカーとの間の私契約に属するものでございまして、企業上の秘密であるので、ここで申し上げることを差し控えさしていただきたいと思います。
  88. 勝又武一

    ○勝又武一君 ライセンス生産ということが非常に大きないま国民的な課題なんですからね。私はやはり企業秘密ということでなしに、これは聞きますと何だかライセンス料というのは毎年変わるというふうに言われていらっしゃる。こういうことになりますと、ますます資料の提示の方法等については今後検討していただくにしても、私はやはりこれだけの問題になっていることですから、今後検討していただきたいというふうに思います。  そこで、F15とP3Cがこれほど異常な価格の値上がりをしているということですから、もう私がきょうお聞きするまでもなく、衆議院、参議院のそれぞれの委員会、予算委員会、内閣委員会、決算委員会、それぞれのところで議論がされています。私はもうくどく聞くつもりはありません。これは細かくできるだけわかるつもりで、いろいろな方々がやっていらっしゃる質疑応答を読んでみました。勉強してみました。装備局長が答えていらっしゃることもわかりました。  詰めて言いますとあなたのおっしゃっているのは、一つはアメリカの物価上昇率が高いのだということ、もう一つは国産機の場合には生産機数がアメリカと比較をして日本の方が少ないから、つまり生産設備の減価償却費分——あなたはこう言っておりますね、償却費の割合、償却費の割り掛け、こういう言葉会議録で使っていらっしゃる。これが一機当たりに直すと日本の方は非常に高くなるから高くなるのだ、こういうふうにおっしゃっていますね。いろいろ言っているけれどもせんじ詰めて読みますとその二つに帰するというように私は理解をいたしましたが、もしそれ以外にあるのならおっしゃってくれませんか。時間もありませんから、簡単にその点お答えください。
  89. 和田裕

    政府委員(和田裕君) いまの御比較がアメリカの国防総省が買っているものとの御比較であるということに仮になるといたしますと、そのほかにいろいろな要素がございます。  たとえば、研究開発費というのがございまして、これにつきましてはアメリカの国防総省はアメリカのメーカーに払わないわけでございます。それからアメリカ政府が持っております官有設備の費用につきましても払っておりません。それから私どもはFMSでアメリカから買います場合にはFMSの管理費というのをお払いいたしますが、それもアメリカの場合入りません。それから最後に運賃がございますけれども、そういったものも入ってこない、こういうことでございます。
  90. 勝又武一

    ○勝又武一君 いまあなたのおっしゃっているのはあたりまえのことなんです。それぞれの質問者が指摘をしている、さっきあなたがおっしゃいましたね。これだけの大変な額でしょう、五十三年から五十七年までの四年間の値上がり分は。これについてなぜこんなに上がっているのだという問題について、あなたがいま後段おっしゃったことは当然のことのコストなんです。これは費用であろうし、経費だと思いますよ。ところが異常に上がっている分の説明としてはアメリカの物価上昇率が非常に高いということ、これにあなたがおっしゃっているのは尽きているのじゃないでしょうか。物価上昇率が高いということに尽きているのじゃないですか。  そこで、これも再三お聞きしていますね。私は、やっぱり物価上昇率はアメリカが高いという。これだったら、アメリカと日本と比較をして、このF15とP3C以外の他の商品価格というのは一体どうなのだ。その比較からいったら全くあなたの説明は説得力がない。もし具体的にあるなら他の商品価格との資料比較を出してくださいよ。これ出していただけるのかどうなのか。  それからもう一つは、あなたはこの減価償却費の割り振りのことをおっしゃっていますけれども、そうならこの減価償却に使っているいわゆる生産設備、あなたは機械とか治工具という言葉を使っていらっしゃるけれども、これの耐用年数はどのくらいに見ていらっしゃるのか。
  91. 和田裕

    政府委員(和田裕君) まず第一問でございますが、他の商品との比較ということでございます。これは一般的に私ども使用しておりますのは、アメリカにおきますところの商務省で出しております物価指数等を利用さしていただいておりまして、それによりましても非常に物価上昇率は高いわけでございます。いま問題になっております五十三年度から五十七年度までの間、年率十数%というようなことでございますし、その中でもF15が非常に多用しておりますチタン等の特殊な材料というものにつきましては、過去二年間の値上がりは年率にして七〇%というような驚異的な値上がりをしておる、こういう事実もございます。  ちなみに、航空機に近いものでも、F15、P3Cに近いもので、たとえばジェット旅客機の価格の推移がどういうことかということで調べたものがございますけれども、たとえばボーイングの747というものにつきまして五十五年度から五十六年度の値上がりを見ますと、年率で三六・四%、こういったような値上がりになっているわけでございます。いずれにいたしましても、先生のせっかくの御要望でございますので、資料を取りそろえるように努力いたします。  それから第二問でございますが、治工具費の耐用年数がどのぐらいかということでございますが、それにつきましては、一般的に言いますと、F15、P3Cを生産いたします期間というものを頭に置きまして、それによって割り掛けをする、こういうことに考えております。
  92. 勝又武一

    ○勝又武一君 第一の方は、物価上昇率だけで商品価格というものは決まらないわけですよね。これ独占価格だからですよ。他の商品の商品価格が決まるのは何も物価上昇率だけじゃないでしょう。その比較を出してくれということを言っているのじゃない。まさにこれはあなたがおっしゃっているように物価上昇率だけで比較をすればそうでしょう。これはまさに独占的な兵器だから、アメリカとの比較はあなたがおっしゃっているようなことにしかならない。  もう一つ、この日本の中の減価償却費を割り振っているという点ですけれども、これいまあなたの説明ではよくわかりませんけれども、アメリカで百機つくるから一機当たりは安くなるのだ、日本では十機だから一機当たりは高くなるのだというように、非常に短絡的に言うとあなたの説明はいろいろ読んでみますとそういうふうに受け取れるのですよ。だけれども、実際はそうじゃない。  減価却費というものを考えた場合には、それじゃやっぱり僕は間違いだと思う。やはりその減価償却費と耐用年数との関係は、生産機数が日本の方が少なければ、さらにそれを少し延ばすとか、この耐用年数と減価償却の比率の問題をもう少し考え直すとか、このことは他の商品価格の場合には当然出てくる。これもすべてそういうように独占的な、いまこれたった一つしかないでしょう、三菱重工業とか、そういうところしかないのだから。それから出てくればもうそうなっているということしか言えないのじゃないですか。  そういう意味で、こういう価格についての資料というものはもっと具体的な提示をすべきだ。そうでない限り、この兵器産業にきわめて莫大な利潤が流れているというようなことがいま言われているわけでしょう。これはたしか愛知県か岐阜県ですか、航空機産業の親会社から下請に至るまで好況で、不況の町工場が息を吹き返した、F15とP3Cの本格生産開始によって現在二千八百億程度の航空機市場が十数年たつと一兆八千億円市場になる、銀行が一流大手銀行から地方銀行に至るまでいま金貸し競争をこういう下請町工場にまで航空機産業の関連工場に働きかけているという状況でしょう。そこに私はやはり約二千八百億近いような総合的な研究開発費を出したり、このような膨大な独占企業の中で金額が、しかもいまお話しのような程度の説明だけでされているというところに非常に大きな国民に対する疑惑を生んでいる。  そういう意味で、このことはやはり国民の不信感を払拭するような具体的な手だて、資料提示、そのことが企業秘密にかかわるならば、そういうことに対する別途の手だてを講ずる中でも国会の審議にそのことが、何といいますか、提出をされる、こういうことが十分必要だというように考えますけれども、いかがですか。
  93. 和田裕

    政府委員(和田裕君) まず、機械の割り掛けでございますけれども、確かに一般的に言いますと、先生おっしゃったように、耐用年数を人為的に短くして、それによって割り掛けを高くするということはいかがかということだろうかと思いますけれども、F15、P3Cにつきましては、非常に特殊の機械、特殊な治工具がございまして、これを生産いたしますところのメーカーが他に転用できないものが多うございます。そういったものにつきましてはやはり生産している年数で割り掛けるという方法をとらざるを得ないのではないか。もしそういうことをしないといたしますと、メーカーの方において損失を招くということに相なるというふうに考えているのであります。  それから、独占価格ということでございますが、確かにアメリカの方は機械メーカーについては独占性があるかとも思いますが、しかし同時に、私どもが買っておりますのは、輸入物は別にいたしまして、ライセンスの場合には日本のメーカーにアメリカから部品なり材料を買わせますと同時に、また日本で独自につくりますところの部品、材料その他を加工してつくる、それを組み合わせてやっているわけでございますので、そういった場合には、アメリカの部品メーカーと必ずしも独占的な立場に立たないということを御留意いただきたいと思います。  いずれにいたしましても、先生の御指摘のように、そういった価格の上昇等がわかるような資料を御報告せよということでございますので、それにつきましては何とか取りまとめるよう努力いたしまして、後で御説明させていただきたい、そういうふうに考えております。
  94. 勝又武一

    ○勝又武一君 きょうだけでなくて、いままで衆参のそれぞれの委員会でされているあなたの答弁を聞いているとわからないから、きょうはまとめてお聞きしたのですが、具体的な資料提示をしていただけるということでありますので、それに基づいて今後適当なところでさらにお聞きをしたいと思います。時間の関係できょうは打ち切ります。  先ほどの十二時のテレビでもやっておりましたが、長官にお聞きしますが、何かきょうの閣議の後で、総理長官と五六中業のことでお話があったようでありますし、このところ連日新聞は五六中業のことについて報道をしております。正面装備に五兆円前後、当然防衛費GNPの一%を超す、こういうことで、きょう長官総理と相談されたようでありますが、この点についての現在での長官決意というか、見解はいかがですか。
  95. 伊藤宗一郎

    国務大臣伊藤宗一郎君) われわれはいま昨年の国防会議に了承されたことにのっとりまして五六中業作成作業を進めておりますけれども、それにはもとも防衛計画大綱水準をできるだけ早く達成したい、そのことを基本としているということとあわせまして、当面GNP比一%を超えないことをめどとするということを基本としてやらねばならぬという二つの方針があるわけでございまして、それを両方基本としてやり、また目下作成作業中でございまして、またGNPの問題もまだ流動的でもございますし、また五六中業の内容もまだ固まっておりませんので、いま両方を調整しながらぎりぎりの努力をしているという以外にはいまのところ申し上げることができません。
  96. 勝又武一

    ○勝又武一君 重ねてお伺いしますけれども、よくGNP一%論はヨーロッパの比較がされますね。ヨーロッパの国々と比較して日本の一%が低いとかどうとかという議論があります。  そこで、私は、それらの米国なり西欧の国防予算の中に入っている費目、入っていない費目の比較をすれば、たとえば軍人恩給、これをお聞きしますと五十六年度で一兆五千億、五十七年度ですと一兆九千億、これは防衛庁の試算ですが。それから自衛隊の退職者の方の年金の総額を資料要求しましたが、これをよくわからないから出されないというお話でした。たとえばこの一兆九千億の軍人恩給なり自衛隊の退職者年金というようなもの、それから諸外国では入っているけれども日本では入れてない他省庁にまたがる関係費、こういうものを入れれば私はもう一・五%ぐらいになるというのは当然だというように思うわけです。  それからもう一つは、防衛計画大綱基本というのは、いわゆる戦力の均衡論に立っているというふうに考えるわけです。他国が侵略をしてくるからそれを万全に防止をするのだ、まあよく皆さんは仮想敵国ということをおっしゃる。仮想敵国の軍備を上回るものにしなくちゃならぬというのはこれもまた当然の論理になる。こういう論理に立てばやはり軍備というのは、そういう考えをやめない限り果てしないシーソーゲームの連続にしかならない。その意味ではGNPの一%どうとかこうとかというのはもうまさにナンセンスです。そういう意味で、そしてその他の経費を入れれば一・五%ぐらいになるのでしょうし、この基本のいわゆる均衡論、シーソーゲームをどこかで断ち切っていくということをやらない限り、一%論というのは二%になり三%にも果てしなく広がるというように私は考えますけれども長官見解はいかがですか。
  97. 伊藤宗一郎

    国務大臣伊藤宗一郎君) われわれはいま防衛力整備を進めておりますけれども、そもそも国の平和と安全を確保するためには防衛力整備ということだけでなしに、外交、経済、技術、文化等の各分野における諸般の施策を総合的に追求することが大事である、重要であるとは考えております。  そのとおりに考えておりますけれども、またこれは防衛力整備を怠ってよいということではないものと考えてもおります。そしてまた、私ども基本方針は先ほど申し上げましたとおり当面一%を超えないということもわれわれの守らねばならない基本方針、またいま申し上げました怠ってはならない防衛力整備の目標としての防衛計画大綱水準もできるだけ早く達成しなきゃならぬということもわれわれの基本的な方針でもございます。そういうことを財政経済あるいは他の諸施策との調和ある関連を図りながらやり抜くということでございまして、そのことが軍拡とかそういうことにつながるものとは考えてもおりませんし、またそうあってはならないと思います。  もともとわれわれは専守防衛でございますから、仮想敵国は設けておりませんけれども、ほかの国が日本の国に侵略のような意図を持った場合においては、そう簡単にはわが国は侵略されないというような抑止力をできるだけ早く身につけたいということでございまして、数字的な問題で軍拡とかそういうことにはならないものと考えております。
  98. 勝又武一

    ○勝又武一君 時間がなくなりましたので最後一つだけ伺いますが、核兵器廃絶、軍縮推進を求める決議や意見書を採択した各地方議会の動きについてどうお考えになっていらっしゃるか。  これは四月初めの数字でありますが、三十一都道府県、三百九十五市、四百七町村議会、この数字ですね。これは私は大変なものだ、まさに二十九年のビキニの直後をはるかに上回っている数字だ、まさに国民的な反核、軍縮の高まりだというように私は評価をし考えていますけれども長官はいかがにお考えになりますか。
  99. 伊藤宗一郎

    国務大臣伊藤宗一郎君) 御指摘のように、軍縮特に核軍縮に対する内外の世論が高まっておりますことは私もよく承知をしております。そしてまたその願いは私としてもよく理解できるところでございます。  ただ、同時に軍縮、軍備管理というものを効果的に有効的に、そしてまた観念論でなしに具体的に進めてまいりますためには、半面戦後三十数年力の均衡ということでわれわれの国際社会の平和と安定が支えてこられたという現実をも認めなければならないと思うわけでございまして、その均衡の維持に努めるとともに、さらにその水準をできるだけ低くする努力を続けることが肝要であると私は考えておるわけでございます。
  100. 勝又武一

    ○勝又武一君 米ソの力の均衡論、これではもうだめなんだから、全世界的に核廃絶、軍縮をやろうというのが私やっぱり世界の世論だというように思いますよ。ヨーロッパの反核運動の高まりもそうじゃないのでしょうか。米ソの均衡論だとどうしてもこれはシーソーゲーム、果てしない軍拡になるだけだ、これはどこかで断ち切ろう、これがヨーロッパの反核運動の高まりだと思いますし、やはり日本の先ほど挙げた各県、市町村の議会の決議だというように私は思います。  総理は六月の軍縮総会でどういう演説をされようとするのか。被爆国の政府の代表としてまさに核兵器廃絶、軍縮を訴えるべきだというように私は考えますし、核の不使用決議が出れば当然賛成すべきだというように、私は日本の政府としてそういうように行為すべきだと考えますが、この点はいかがでしょうか。そのことをお聞きをして私の質問を終わります。
  101. 伊藤宗一郎

    国務大臣伊藤宗一郎君) 御趣旨の点につきましては、私先ほど来申し上げていることの繰り返しになりますけれども、国の平和と安全を確保するためには当然防衛力だけでなしに外交、経済、技術、文化等、特に外交の問題が大事であるということは私どもも重々理解をし、そのための努力を政府がやらしていただいているわけでございまして、その一環として鈴木総理が軍縮国連総会に出席をされての行動というものもそういう一環だろうと思っております。  ただ反面、これこそ繰り返しになりますけれども、そういう軍縮、軍備管理というものを有効に、ただ観念論でなしに具体的に効果的に進めてまいるためには、やはり力の均衡というものが平和と安定を支えておる、また支えてきたというこの現実をも認めなければならない。したがってその均衡の維持も図らねばなりませんし、またその水準をできるだけ低くする努力ということをわれわれ防衛庁としても進めてまいりましたし、今後とも進めてまいる覚悟でございます。
  102. 大木正吾

    大木正吾君 最初に、いま私の方の勝又委員が質問しましたことに関連いたしまして、まず五六中業問題で長官に伺いますが、これはさっきのニュースも拝見いたしましたが、ちょっと気になりますことは、四月五日の予算の締めくくり総括でわが党の矢田部委員の質問に対するいわば総理長官GNP一%問題に対する答弁のニュアンスが若干違うのですね。ここのところ、長官の方では総理がおっしゃるとおり大綱達成、同時にGNP一%の枠内、このことはしっかり守るということをはっきり冒頭に私は明確に明言してもらいたい、こう考えていますが、どうですか。
  103. 伊藤宗一郎

    国務大臣伊藤宗一郎君) この点に関しては大木先生御自身御指摘を賜りましたように、先般の予算委員会の最後段階で、五六中業作業大綱の線に達することを基本として目下作業を進めております、その際当面一%を超えないことをめどとするとの閣議決定にも基づいて作業を進めます、しかしなかなか作成作業もその時点において、まあ現在もそうでございますけれども、まだ内容も固まっておりませんし、またGNPの動静もしっかり把握できませんので、これ以上のお答えはできない、そしてまたそういう二つのわれわれが守らねばならない閣議決定、閣議了承の線を守りながらぎりぎりの努力を続けておるということで御理解を賜りたいし、それ以上のことは申し上げられませんということをお答え申し上げたわけでございまして、きょうの段階でもそれ以上のお答えができませんことを御理解を賜りたいと思います。
  104. 大木正吾

    大木正吾君 これは私国会の記録まだ読んではいないのですが、新聞報道をちょっと拝見いたしますと、総理の方は相当はっきりと要するに大綱の実施にあわせましてGNP動いているのでいまはっきり言えないと、いまあなたがおっしゃったことと同じことを前段では言ったのですよ。しかし後段にいきますと、五六中業では方針を変える必要はないとはっきりこれは断言しているのですね。  あなたの答えを聞いていると、やっぱり私自身もわかりますよ。GNPが渡辺蔵相じゃないけれども物価が四%と落ち込んだから下がったとかふえたとか、その程度のことはわかるわけですけれども、しかしやっぱり従来、もちろんこれは各国ともにいろいろな貨幣価値も違うし中身も違ってきますから、それはいろいろありましょうが、やはり日本における防衛論争というものについてはGNP中心でやってきた経過がございますからね。総理長官見解が違うというふうに受けとめてもよろしゅうございますか。
  105. 伊藤宗一郎

    国務大臣伊藤宗一郎君) きょうも若干の時間でございましたけれども総理とこの問題についてお話し合いをする機会がございました。もちろん短い時間でしたから内容等についてのお話し合いはありませんでしたし、われわれがいまこんなような手順で進めたいと思いますという全く事務的なスケジュールのお話しかしなかったわけでございますけれども、その間総理と私との間に言葉は変わしませんでしたけれども、以心伝心われわれと総理との間には何の食い違いがないように短時間ながら私は感じてまいりました。
  106. 大木正吾

    大木正吾君 これは長官、数字の問題だから、以心伝心なんてことではこれは困るのですよね。やっぱりもう少し明確にしてもらいたいわけで、総理長官見解が違うなら違うとして、僕らはいずれこれは委員会にやっぱり会期中に総理に一遍おいでいただきまして、両方並んだ席でもって念を押さなきゃいけない責任がございますので。  これに関連してちょっとちょうど塩田さんおられるから伺いますが、塩田さんは同じくこの予算委員会の答弁でF4問題のときの関係なんでございますが、三月参議院に入ってから、装備増強の基準は動くのだ、こういうふうに答えておりますね。装備の増強の基準が動くのですと、こういうふうにはっきりあなた答えていますが、このことについてはあなた御自身の気持ちはそういうお気持ちに受けとめて変わりがありませんか。
  107. 塩田章

    政府委員塩田章君) いま装備増強の基準というふうにおっしゃったように聞こえたのですが、私が申し上げましたのは、現在われわれは大綱の線で整備を図っておるわけでございますが、装備の質的な中身、これは各国のそのときの国際的な軍事技術の情勢というようなものは当然考えて、それに対応していくものに逐次持っていくということは大綱の中にもうたっておりまして、そういうことは当然考えていくべきだということを申し上げたつもりでございます。
  108. 大木正吾

    大木正吾君 結局二つの長官の答えた分とあなたの話、これ別に論理的な関係は余りないと私は思うのですが、ただ、これは長官の方はGNPのことについては経済動向も変わるし計算の仕方もあるから云々とおっしゃって含みを持たしており、あなたの答えですと基準が変わってくるわけですからね。客観的に言えば装備増強に対する歯どめというものはなかなかかけにくい状況に僕らはいま防衛庁幹部の方々の頭の中にはある、こういうように理解しないわけにいかないのですが、どうでしょうか、これは。
  109. 塩田章

    政府委員塩田章君) いま申し上げましたように、防衛力整備していくに当たりまして当然わが国基本的な方針であります他国に侵略的攻撃的脅威を与えるような装備は保持しない、これは当然ずっと守っていくべき基本的な方針でございますけれども、その範囲の中であくまでも自衛のために必要な最小限度の範囲で防衛力を保持するという観点から、防衛力整備するに当たりまして具体的にはそのときそのときの国際情勢、軍事技術、そういった条件によってどういうものを整備していくかということが相対的な面を有するということは、これはしばしば申し上げてきたところでございます。  ただそれは、いま先生の御指摘のように、それでは客観的な基準といいますか歯どめというものがないではないかということに、そういう御議論になろうかと思いますが、それは結局政府部内でいいますと、われわれ防衛庁がこういう装備を欲しいということで決定をいたしますと、それは国防会議にもかかりますし、政府としての予算原案という策定の手続も経ますし、さらにそれが国会で御審議をいただいて実際の装備に入っていくということで、そういった過程を経まして具体的には決まっていくと言うよりほかにお答えのしようがございませんで、抽象的にこういう基準であるというふうなお答えはこれは大変むずかしかろうかと思います。
  110. 大木正吾

    大木正吾君 それじゃもうちょっと、これまだ正式に陸海空の出されたと思われる五六中業要求自身が手元にあるわけじゃありませんが、ちょっとこれ一日、二日の新聞見ておりますと、けさの毎日新聞の記事ですが、五六中業についての問題はGNP一%は確実に超えるだろうと、これは新聞の見出しですからあえてそう申し上げておきますが、正面装備費関係だけをやって、それ以外のものは何といいますか、後に回すのか、隠すのか、そういったような意味のニュアンスの記事になっておるのですが、作業はそういうふうにやるのですか。正面装備費をやって、そしてその次にいわば後方をやって、あと人件費はいわば隠しておくのか、あるいはベースアップがありますが、そのたびにくっつけていくのか。そういうようなことをやっていきますとこれ一%のGNPなんてどこかへ吹っ飛んじゃうのですね。その辺の段階的なやり方になるのか、あるいは正面装備、後方装備まとめて何兆と発表して、まあ十兆ぐらいになるかもしれませんけれども、それに加えて人件費が上がっていく場合にはこうなりますと、こういう説明になるのか。その辺はどうなるのですか、これは。
  111. 塩田章

    政府委員塩田章君) これは私ども五六中業作成するに当たりまして、去年国防会議で御決定いただきましたときも、要するに五三中業のときと基本的には同じ考え方でいきたいというふうに考えております。  五三中業考え方といいますのは、いまお話ございましたように、主要装備につきまして装備計画をつくるというのが中業基本的な考え方でございました。したがいまして五三中業のときもそうでしたが、今回も正面の主要な装備につきましては比較的詳しい積み上げ計算をいたします。いたしますが、それ以外のものにつきましては必ずしも正確な積み上げ計算をするわけではないということでございます。  いずれにしましてもそういった正面装備につきましての五カ年間の計画をつくるわけでございますが、五三中業のときにもそういった観点から五三中業の場合ですと二兆七千億ないし二兆八千億ということが答えとして出てきたわけでございますが、今回もそういったようなものに当たるものをいま求めておるわけでございますが、同時に中業作業とは別に、これにも関連するいわば関連資料といいますか、附属資料といいますか、そういうような意味でいま御指摘の後方関係あるいは人件糧食費関係、こういったものは一体どういうふうな推移をするであろうかという、これは積み上げじゃございませんで、いろいろな仮定を置きました推計をいたしまして全体の経費はどうなるだろうかというめどといいますか、そういうことを見る参考資料的な計算は五三中業のときもいたしております。そういうものは今回も当然いたすべきではなかろうかと思っております。  ただ、五三中業作業そのもののねらいは主要装備費にあるということはそのとおりでございます。
  112. 大木正吾

    大木正吾君 ちょっと伺いますが、塩田さん、これ正面装備費というのはまさしく戦闘部隊の航空機あるいは護衛艦その他の問題ですわね。しかしあなた、それの整備とか維持とか、まあ維持といったらこれは恐らく修理やガソリン代なんかも入ってくるのだろうと思うのですが、そういったことをあなた、当初の計画の中でもってうたい込まずに計画がつくられますか。ちょっと聞きたいのですが。  人件費の方は恐らくあれは公務員なんかに準処しますから動きましょうね。それはわかりますよ。しかし私は少なくとも正面装備費と後方といいますか、要するに維持費関係ですね。その他含めたものについてはやっぱりあなた、一緒に作業しなかったらできないと思いますよ。演習はどうするかとか、結局そういったこと全部関係してくるでしょう。
  113. 塩田章

    政府委員塩田章君) そういう御議論は確かにあろうかと思いますが、実際の作業といたしましては、後方関係につきましては過去の後方経費の伸びていった推計値でありますとか、あるいは正面対後方の割合をどう見ていくかとか、そういったようなことから大体の推計値をいろいろな仮定を置きまして試算してみるということで、五三中業のときもそうやりましたし、五六中業におきましてもその点は同じような考え方で、正確な積み上げをするということでなしに、一定のいろいろな仮定を置きますけれども、いろいろな仮定を置いた推計値でもって推計をしていくというやり方でやっていきたいと思っております。
  114. 大木正吾

    大木正吾君 ちょっと念のために念を押して聞きますが、いま陸海空から出ている要求で、特に空と海の関係でございますけれども、F15は八十五機の新規発注、P3Cは四十九機の新規発注、七四式戦車は五百両の増ですね。同時に護衛艦十八、潜水艦七、これは大体当たっておりますか、各現場の方からの要求としましては。どうでしょう。
  115. 塩田章

    政府委員塩田章君) そこら辺いままさに流動的に作業をいたしておりまして、ちょっといまここでそれが当たっているとか当たっていないとかいうことは控えさしていただきたいと思います。
  116. 大木正吾

    大木正吾君 それじゃ、これはぴたり当たらなくても、一機や二機は変わっても、大体大まかには見当はこれでいいということでしょうね。  私、これちょっといままでの、さっきもちょっと話がありましたけれども、たとえばP3Cが幾らだ、百何億とか全部これちょっと頭脳計算してみたんだ、頭の中で算術計算ね。それで従来のたとえば後方装備費、この率をたとえば五十七年度の場合に三三・七%、五十六年度三三・二%ですか、これは従来の五十六年度分についての統計があるのですよ。これを掛けていきますと、やっぱりこれはどう考えてもGNP一%の枠の中におさまるという計算出て来ないのです。ことしはだいぶマイナス成長ですから幸いに二百七十兆前後のGNPかもしれませんが、まだ河本さんの場合なんかそう心配ない、こう言っている意見もあるし、これ中身もありますけれども、まさしく同年にまたそういった状態でマイナス成長していると国民はまいっちゃうのですからね、税金は払えないのだから。  そういったことを考えていきますと、やっぱり二百八十兆、二百九十兆状態で上がっていきますからね。そうするとやっぱりどう考えてもGNPの一%という、たとえば恩給費とかそういったものを含まなくても、従来の計算どおりでもまず一%以内におさめることはむずかしいというように、私自身が算術計算した頭の中にあるのですが、どうします。今度は、きょうはここでもって答えが出なければ総理おいでになったときに、もう少し詳しく計算してみますから、お互いにやってみますか。どうでしょう。
  117. 塩田章

    政府委員塩田章君) いずれにしましても私ども今後作業を進めていくわけでございますから、いずれそういった御指摘の点の数字も明らかにしていくことになるわけでございますけれども、何しろいまの時点でどういうふうな状況であるかということにつきましては全く流動的でございますので、控えさせていただきたいと思います。
  118. 大木正吾

    大木正吾君 まあいいです。これは国民の方々が自衛隊の数はもう現状ぐらいでいいという話もだいぶ世論の方が高まっていますから、この次長官総理に一遍、どうしても委員長にお願いしまして出ていただいたときに、私の方でもうちょっと過去の例を積算してみまして大体どういう見当になるかということについて数字を挙げて少し議論してみたいと思うので、そういうふうにお願いしておきます。  もう一つちょっと伺いますが、これは武器輸出の問題でございますけれども、最近日電さんが光ファイバー問題で、これが米軍が使っている兵器の中に入ってきているわけですが、この問題についてもう一つ出ておりますのは、要するに見えない爆撃機という問題で、これは東京電気化学ですけれども、この方はまだ輸出していないみたいですが、こういった事実があることについては御承知ですね。
  119. 和田裕

    政府委員(和田裕君) 見えない爆撃機かどうかはちょっと私ども知り得る立場にございませんけれども、東京電気化学が開発いたしました広帯域の電波吸収体塗料につきまして米国より引き合いがあったということは聞いております。
  120. 大木正吾

    大木正吾君 これ五十六年十二月、ですから去年の暮れですけれども、デラウアーという国防次官が「「米国にとつて光通信、ロボット、マイクロプロセッサーの導入は大きな支援となる。しかし、これはあくまで民間企業が個別に導入を進めるべき性質のものだ」と述べ、米国の方針としては軍事技術協力は民間ベースが原則であることを明らかにした。」、こういうようなことは装備局長は御存じですね。
  121. 和田裕

    政府委員(和田裕君) いま言われたのは何か新聞に出たのを読んだ記憶はございますが、直接そういうようなことを私は耳にしたことはございません。ただ私が昨年九月に渡米いたしましてデラウアー国防次官とお話ししたときに、民間対民間の技術交流というものも役に立つ一つの方法だろうというお話はございました。
  122. 大木正吾

    大木正吾君 あなた、これとぼけてもらっては困るのだけれども、私いま読んだのはこれは政府の答弁書よ。衆議院における外務委員会のメンバーのわが党の方々が質問を連名で出した中に対する鈴木総理の答弁ですよ、これ。答弁書の中を私読んでおるのだよ。こういうことをあなたは相談受けてないの。そんな不注意な話じゃ困るじゃないですか。——装備局長、あなた勉強しないとは言わぬけれども、そういった不注意は困りますよね。  時間がありませんから質問を続けますが、そこで問題は、この光ファイバーというものは大体日電が開発したものじゃないのですよね。電電公社の電気通信研究所が開発をしたものなんですよ。それを実用に供するに当たりまして富士通さんとか日電さん等に提供しながら共同試作などやっていくわけですね。  このデラウアーさんのお話でいきますと、アメリカの場合にはもちろん兵器生産とは称してもちろん研究は軍の方も若干やるでしょうけれども、ペンタゴンもやるでしょうけれども、しかし生産の方はもちろん民間がやるということはわかるのですが、私たちもこれ解釈にちょっと困っているのは、電電公社と最近IBMが物すごい大きないわば業務提携といいますか、そういったことをやっておるわけですよね。IBMというのはいわばアメリカにおける軍事産業の大生産、要するにこれからの新しい近代的な兵器に対する影響力なりあるいは大提供、これは企業集団ですよね。  そうなりますと、電電公社とこのIBMの関係におけるものと、いまこのデラウアーさんのおっしゃったものと、同時に日本における武器輸出三原則、この絡み合いというやつはどうもなぞが解けないので困っておるのですが、これについて装備局長どうお考えになりますかね。
  123. 和田裕

    政府委員(和田裕君) 電電公社とIBMがどういうような技術提携関係を結んでいるか私存じませんが、一般論で申し上げますと、武器輸出三原則というのは五十一年二月二十七日の政府統一見解によりまして武器技術についても適用があるということでございますし、当初の三原則地域以外にも広がったということでございます。  したがいまして基本的には米国につきましても武器輸出三原則及び政府統一見解に準じて対処するということになっておるかと思うわけでございますが、したがいまして、いま仮にでございますが、仮に電電公社とIBMの提携契約によりまして武器技術が供与されるといった場合には、これはこの三原則との絡み合いが出てくるのではないかというふうに考えております。
  124. 大木正吾

    大木正吾君 これは新聞にも大々的に報道された記事でございまして、東京新聞、朝日新聞等の切り抜き持ってきて見ているのですけれども、電電公社の北原副総裁がIBMと提携した場合には当然いわば軍事面との影響が出てくるおそれがある、こういうことを新聞記者会見で述べているわけですよね。  ですから、私やっぱり日本の電電公社とアメリカのAT&T、ITT、これ全部経営形態が違いますからね。一時伊藤さんも御承知のとおり要するに開放物品で問題になったことありましたね。向こうは民間だと、こっちは官庁ですからやられたわけですけれども、まあ今度は問題別でございますけれども、非常に電電のいまの研究システムなんかは進んでおりますからね。  光ファイバー直接やっていないのですが、日電の方でもって開放したものを向こうへ持っていったのですが、これからもこの種の問題起きてきますと、私が心配いたしますことは、政府は非常にりっぱに日本語でもって武器輸出三原則云々というものをつくっておられますけれども、結果的に開発関係いわゆる研究関係がそういうことになってきますとほとんどもうこの問題はしり抜けになって、完成品というものをアメリカに日本が輸出するものはほとんどないわけですよ。買う物ばかりでしょう。  そうしますと、結果的には古い物をアジアにあるいは途上国に提供するか、売って提供するのか、あるいは高度のものは汎用品なり部品としてどんどんしり抜けでアメリカへいってしまって、これも新しく武器輸出三原則そのものについても完全にこれ歯どめかからぬ状態に入る。こういう心配があるものですから、少し問題がこじれているものですから、その辺の見解について装備局長もう一遍答えてもらいたいし、同時に大臣にもう時間が来ましたので最後に一言、あなた電電関係詳しいと存じますのでお答えいただきたい、こう考えています。
  125. 和田裕

    政府委員(和田裕君) 光ファイバーというのは基本的には汎用品だという前提で御質問だと思いますし、私どももそういうものではないかというふうに考えておるわけでございますが、汎用品につきましてこれをどうするかというのは通産省の所管でございますが、汎用品につきましては、これは武器輸出三原則との絡みがないということで扱っているというふうに承知しております。ただ、汎用品であるかそうでないのかという、そこら辺の判定については個別のケースに基づいて恐らく慎重に審査をされているのではないかというふうに考えております。  それから、ちょっと前の御質問に戻って恐縮でございますが、先生さっきのおっしゃいました「ロボット、マイクロプロセッサー」云々というのは確かに質問主意書の中にございますが、それは質問の五の中で触れられていることでございまして、政府の答弁の中にはそういう言葉は使っておらない、この点についてちょっと御了解いただきたいと存じます。
  126. 伊藤宗一郎

    国務大臣伊藤宗一郎君) 一般的に米国に対する防衛技術等の供与の問題については、再三この国会で各委員会等でも申し上げておりますとおり、米国についても当然武器輸出三原則、また武器輸出に関する政府方針に基づいて処理する考えでございます。ただ米国につきましては安保条約との関連もございますので、目下この点についての調整関係省庁でやって検討を行っているという段階でございまして、まだ結論は出ておりません。  また、いま御指摘の光ファイバーあるいはまたフェライト等の汎用品の輸出に関する取り扱いについては、いま装備局長からも若干触れましたけれども、これは残念ながら通産省の所管にかかわる問題でございまして、いま大木先生からもお話のとおり、私自身個人的にも電電のことを若干、しかも相当長い期間承知をしておりますので、私も個人的に大変関心を持っておるわけでございますけれども、これは通産省の所管にかかっておる問題でございますので私からは正確な答弁はできませんけれども、いま装備局長お答え申し上げましたとおり、軍事技術であるかあるいはまた汎用技術であるかということについては通産省の方で客観的に慎重に判断をして、先ほど触れました三原則あるいは統一見解を踏まえて対処していくものと承知をしておるわけでございます。
  127. 大木正吾

    大木正吾君 終わりますが、とにかく長官御承知のとおり共同開発とか、いまも装備局長おっしやったのですが、向こうの方ではあくまでも汎用品で買って民間でこういったものが非常にいいという、こういう話で、これはもちろんわかるわけですが、ただそういうことが重なってきますと、結局政府が決めた大原則それ自身が全くもう意味がなくなってしまうので、そういったことについては通産省もちろん担当でございましょうけれども防衛庁きわめて関係が深いわけでございますから、そういった関係省庁間でもって整理をして、政府の共同見解というものについてやっぱり秋の国会等までには準備しておいてもらわぬといけない。何のための武器禁輸関係の原則かわかりませんから、そういうことをお願いいたしまして終わります。
  128. 渋谷邦彦

    ○渋谷邦彦君 最初にやはり防衛費の問題から入らざるを得ないだろうと思います。  その一つの歯どめの材料としていままでもお話があったように、また何回か衆参両院を通じても議論がなされましたように、また総理みずからが明確に申されておりますように、GNPの一%の枠は絶対に超えない、しかし客観情勢のもろもろの変化に伴うところに従って果たしてそうしたことがこれからも続けられるのかどうなのかという疑問がわくのは決して私一人だけではあるまいと思います。たとえば伊藤長官自身が予算委員会のわが党の議員の質問に答えて三海峡封鎖の問題を出した、あるいはシーレーン防衛の問題がいま出ている等々、それに加えてアメリカ側からの強い防衛力増強の要請が陰に陽にわが国に対して寄せられている等々の絡みの中で、しかも資源が——資源というか原材料と申し上げた方がよろしいと思うのですが、毎年のように上がっている。加えて経済成長率が落ち込んでいる。そういうかかわり合いの中で果たしてできるのかできないのか。  私たちはやはり一つの歯どめというものはどこまでも守っていただきたい、またわが党の基本政策もそれを貫いております。しかしいまやそれが足元から音をたてて崩れていこうとする気配が見えるのではなかろうか。いまこの席上ではなかなかそのことを明確におっしゃらない。しかし常識的に考えてもそういったような可能性というものがいまこの時点でも考えられはしまいか。  その辺をもう一遍整理をしていただいて、いまいろいろな観点から私申し上げました。なおかつ伊藤長官は、従来の総理が述べられておるような基本的な方針に従ってこれを続けられるおつもりなのかどうなのか。まずその点から入り口として質問をさせていただきたいと思います。
  129. 伊藤宗一郎

    国務大臣伊藤宗一郎君) 先ほど来お答え申し上げておることをもう一遍整理をして答えろということでございまして、いま先生指摘のようなことを私どもも考えながら、目下進めております五六中業というのは防衛計画大綱に定める防衛力水準達成することを基本とし、あわせて当面一%を超えないことをめどとするとの閣議決定にも基づいて目下作業を鋭意進めております。しかし、その事業内容、GNP比というものもまだ正確には把握できない段階においていかなる答えができるかということについては、これ以上のお答えは申し上げられないということに尽きるわけでございまして、重ねて御理解を賜りたいと思います。
  130. 渋谷邦彦

    ○渋谷邦彦君 恐らくいまお気持ちの中には、答えられないということは、いまここでお答えになるといままでの政府の基本方針が崩れるという心配があるからとしかわれわれ判断できない。そのように受けとめざるを得ないけれども、ここで念押しをすることはちょっとお気の毒ですからやめておきましょう。  ただ、そこで問題になることは、必要最小限防衛力整備ということがいままで繰り返し言われてきているのです。ところで、いま退官された高級幕僚の中にも、いま改めて問われてみた場合に必要最小限防衛力というのは一体何だと言われても確信がない、こうおっしゃっているのですよ。防衛庁としてはある程度のビジョンというものをお持ちになっている、計画もお持ちになっているでしょう。けれどもそれが必要最小限度のものなのかどうなのかというこの具体的なそういう中身というものについては何らいままで公にされていない。  私も何回となくこれを申し上げたのですけれども、ただおっしゃられることは、防衛大綱水準に達することをもって必要最小限度だという答弁しか返ってこない。一体何なんだということが明確にならなければ、国民のコンセンサスを得るためにも、これからの防衛論議をまともな方向に持っていく場合においても、はっきり申し上げて防衛庁としても非常に苦労するのじゃないかと私は思うのですよ。  その点どういま防衛庁としてはこれからそういう面についての、許される範囲においても結構ですので、これが許された許容範囲の中における必要最小限度のわが国の専守防衛を果たすための防衛力であるというふうに見られているのか。一体どうそのための計画を持っているのか、具体的なものはないと言うのですか。
  131. 伊藤宗一郎

    国務大臣伊藤宗一郎君) 必要最小限度の防衛力中身といいますか限界を数量的に示すということは正直言ってむずかしいのでございますけれども、いまわれわれにそのように数量的に示せということであるならば、防衛計画大綱のあの水準ということになるわけでございまして、しからばそういうようなことの歯どめみたいなものは何だろうかということになりますと、やはり最終的には毎年度の予算の審議において国民の代表でございます国会において判断をされるということ以外にはないものと、それがやっぱり最終的な歯どめではなかろうかというふうに考えておるわけでございます。
  132. 渋谷邦彦

    ○渋谷邦彦君 私はいままでもこういう委員会等において明らかにされなかった、そういったことがアメリカの方に反応して、ですからそこのところかみ合わないままに現状では足りない、だから防衛力を増強しよう、こういう一つのアメリカ側からの強い要請となってあらわれてきているのじゃないかと勘ぐって言えばそういうことも判断される。その辺についての考え方、私がとっている方が間違いなのかどうかという点についてはどうですか。
  133. 塩田章

    政府委員塩田章君) いま大臣からもお答えいたしましたように、われわれは当面防衛計画大綱の線から大分隔たっておりますので、そこを目指していま整備をしておるということはかねがね申し上げております。このことはわれわれがアメリカと話をする場合におきましてもわれわれの基本的なスタンスでございます。  アメリカはなるほど先生がおっしゃいましたようにアメリカの立場でいろいろのことを言っていることは事実でございますけれども、そういう意味ではこれはあるいは先生のお言葉を使えばかみ合わないではないかということになるのかもしれませんが、アメリカはアメリカの立場がございましょうから、それでいろいろ意見を言う。これはそれなりにアメリカの立場として考えればそれは納得できるわけでございますが、われわれはわれわれの立場がございますから、そういうことで現在進めておる、それをかみ合わないではないかというふうに受け取れば受け取れるわけですけれども、そこで日米間でわれわれ絶えざる対話をしながらやっていくということでやっておるわけでございまして、私たちのその間のスタンスはもう防衛計画大綱の線に早く到達したいということで終始しているわけでございます。
  134. 渋谷邦彦

    ○渋谷邦彦君 じゃ、別な角度からお伺いしますよ。  必要最小限度の日本にいま許される範囲の防衛力整備というものはこういうものですということは、いまここに明らかにされるわけにいかないということであるならば、日米間においてはそういうような検討がなされているのかどうなのか。そして、なおかつそういう話し合いの中で、現在日本政府が考えているような防衛力増強では不足である、これもやってくれ、これもやってくれ——またワインバーガー長官の記者クラブでの発言も用意してありますので申し上げますけれども、ここで明かせないものは一応日米間の軍事秘密といいますか、そういう間においては話し合いがなされているのでしょうか。中身はいいです。
  135. 塩田章

    政府委員塩田章君) そういう観点からのお尋ねであるとしますと、たとえば去年ハワイにおけるわれわれのディスカッションにおきまして、アメリカの方から日本自衛隊現状につきまして即応態勢でありますとか、継戦能力でありますとか、あるいは指揮通信能力でありますとか、あるいは装備の近代化といったような四点を挙げていろいろ指摘しているというようなことは、アメリカはアメリカの立場で言っておるわけです。ただ、それをいまお話しのように、それで日米日本の最低限あるべきものを検討しておるのかというお尋ねでありますと、そういうことでやっているわけではございません。  つまり、そういったディスカッションを通じて日本の最低限度のあるべき防衛力は何かということを具体的に求めていくというための検討をしておるわけではありません。それは私どもは先ほど申し上げましたように防衛計画大綱の線に達するのが先決だという立場をとっております。アメリカはアメリカで、先ほど申し上げましたような点を挙げてアメリカの見解を述べておる、こういうことでございます。
  136. 渋谷邦彦

    ○渋谷邦彦君 こういうことなんですよ。  いま申し上げたように、日本は財政的な関係もこれあり、国民的な世論も背景にある、また憲法上の問題もある、いろいろございますね。それは特にアメリカ側としてはわかっている。そういう範囲の中で必要最小限度というものはこういうものです、もうこれ以上どういう要請をされてもこれはもう要請に応じかねますというようなことは、いままでの話し合いの中にはなかったのでしょうか。
  137. 塩田章

    政府委員塩田章君) 御指摘のように、日本の財政事情あるいは日本の世論の動向、憲法の体制というようなことは、もちろんアメリカ側もよく承知しております。そういうことを向こう側も前提にしていろいろな先ほど申し上げたような向こう側としての見解を述べておりますが、これに対してわれわれの言っていることは、先ほど来申し上げておりますように、防衛計画大綱の線に早く達したいということを言っているだけでございまして、それ以外に最低限のこれだけだというようなことを申しているわけではございません。
  138. 渋谷邦彦

    ○渋谷邦彦君 恐らくそれの繰り返しでしょう。何回申し上げてもそれ以上の域を一歩も脱し切れない。  ただ、今回のこの五六中業ですが、これが達成されるのは昭和六十二年。六十二年の予算措置によって最終的に完成するという運びになるわけでしょう。その予算措置で最終的に完成する。その後、実際に防衛力として発揮できる時期というものは直ちにというわけにいきませんね。何年かかかるわけでしょう。五年とか六年、空白が生まれてきます。  完全に五六中業でやったことが達成できるというのはいつの時点であるか。その空白というものはどういうふうに埋めていかなければならないのか。そこまでいかなければ、とにかく結論は出なかったけれども必要最小限度の防衛力整備というものはできてないわけでありますから、そのできてないときに一体もし有事が起こった場合にどうするか。いろいろな想定をしなければならぬ。そういうことがあってはなりませんけれども、そういった場合にどうするか。当然それは日米安保条約のかかわり合いの中でアメリカの支援を受ける、こういうことになるのだろうと思うのです。だけれども、その空白の期間というものはどういうふうに対応されていくのでしょうか。
  139. 塩田章

    政府委員塩田章君) 御指摘のように、六十二年度の予算でいわゆる契約ベースとしては私どもの現在のもくろみから言えば防衛計画大綱の線に到達するということで現在やっておるわけでございますが、オンハンドベースで言いますとそれから最長五年かかるわけでございますから、その間、実際の装備化という形で達成をしたというわけにはいかない、これは御指摘のとおりでございます。  ただ、その間、先生空白ではないかということでございますが、これは当然のことながらその間全く空白という意味じゃなくて逐次整備をされていく、逐次オンハンドしていくということになります。そして最大五年後に全部のものを装備化していく、こういうことでございます。  その間に、いまの御指摘でございますと、もし有事の事態が発生したらどうするかということでございますが、これは当然その段階における装備化されたものをもって、かつまたその時点における米軍の支援を受けながら対処する、こういうことになるわけでございまして、言葉の問題でございますけれども、その間空白というわけではない、逐次装備化されていく、こういうことだと思います。
  140. 渋谷邦彦

    ○渋谷邦彦君 そこで、それは一応さておきましょう。  米国の支援といういま問題が出てまいりましたが、とにかく近代戦というものは相当強力な米ソを中心とした兵器を持っているわけでありますから太刀打ちはできない。それで日米安全保障条約の取り決めによって米国の支援を受ける。  これはまた繰り返しになるかもしれませんけれども、どういう状況のときにその支援を受ける要請がなされるのか。いろいろなことが想定されると思うのですね。日本が焦土化するようなときになって助けてくれなんと言ったのじゃこれはもう手おくれですし、あるいは十二海里水域を侵されたときに助けてくれと言うのか、あるいはどこかの地域が占拠されたというような事態が起こったときにその支援を要請するのか、そういったことの具体的な交渉というのは日米間においてやはり取り決めというより一つの約束として計画的に決まっているのでしょうか。
  141. 塩田章

    政府委員塩田章君) もういまお話にございましたように、まさにこれは状況はそれこそ千差万別であろうと思います。したがいまして、どういう状況というふうに具体的にお答えすることはとても不可能だと思いますが、実際にそれではどうやっているかといいますと、結局安保条約ではアメリカ側は日本を援助する義務があるわけでございますから、その具体化として御承知のように現在日米ガイドラインというものを設けて、ガイドラインに基づく共同対処のための共同作戦の計画を研究をいたしております。  しかし、これもいわば一つの想定をやっと一つやったわけでございまして、そういった先生の御指摘のように、恐らく千差万別の状況すべてにやるということはとてもできません。できませんので、逐次いろいろな想定を前提にした研究をやっていくべきだと思いますけれども、いずれにしましても、すべての状況についての事前の研究ということはこれはできませんから、その時点においてその起こった状況に対応する具体的な共同対処のための計画を立てる必要がある、そのためのベースになるものとして現在共同作戦計画をいろいろな想定を置きながら研究をしておる、こういうことでございまして、実際の対処のあり方としましては安保条約に基づく義務、アメリカから言えば義務でございますが、義務をどう具体化するかという形をいまガイドラインで具体的には研究をしておる、こういうことでございます。
  142. 渋谷邦彦

    ○渋谷邦彦君 いま言われたように、確かにその態様というものは千差万別だと思うのですね。  しかし、その千差万別の中でも、大体大まかにこういう場合はこういう場合はというものを想定した上に立って当然のことながら進められていくのであろう、こう思いますが、そうしたようなかかわり合いの中で、常に防衛というものは有事ということを前提に置いていろいろと構想が練られ、そのために整備されていくわけでございますから、とかくそうした面の日本防衛力整備に当たっては、鈴木総理がしばしば言明しておりますように、あくまでもそれは自主的に判断をしてやるのだということを、長官にもそのことを言われたということが伝えられております。しかしその一方においては、先ほど若丁触れましたように、米国側からの要請というものはひっきりなしと言ってもいいくらいに、過度的と言ってもいいくらいに強い要請がある。  たとえばこの間ワインバーガー国防長官が来られたときに述べられたことを書いてあるまま間違いのないように申し上げれば「日本が北西太平洋における海と空の防衛を提供しうる能力を持つことは、同地域での米国の戦略および通常戦力を補足することになる」、これは読みようによっては大変物騒な言明じゃないのかなということを考えるわけです。  一つは、明らかに米国の世界戦略の一つ日本防衛というものは組み込まれるおそれがあるのじゃないかということが一点。それから第二点は、「通常戦力を補足する」とあります。これもやはり同じ意味にとれるのではないだろうか。そうなると、勢いいままで絶対ありませんと言ってきた集団自衛権というものにつながるおそれが出てきはしまいか。  この二点について述べていただきたいと思うのです。
  143. 塩田章

    政府委員塩田章君) 御承知のようにレーガン政権になりましてから現在の情勢にかんがみましてアメリカの努力だけではむずかしい、同盟諸国の言うなれば役割り分担をお願いするということをよく言っておるわけでございますが、そういった観点から日本につきましてもアメリカ側はいろいろ防衛努力を期待しておることはこれは事実でございます。いま御指摘になりましたワインバーガー長官発言も、そういった趣旨のことを念頭に置いて述べられたものであろうというふうに私ども理解をいたしております。  これに対しまして、わが国としましては申し上げるまでもございませんけれども、憲法あるいは基本的な防衛政策に従いましてあくまでもわが国防衛するため必要最小限度の範囲でわが国の領域及びおおむね一千海里程度の航路帯を含む周辺海域、空域における防衛力の改善の努力をしておるということは申し上げておるところでございますが、日本がこのように自国の防衛のために必要な防衛力整備を図るということは、アメリカから見れば、日本の平和と安全の確保を約束しておるアメリカの立場から見ましてアメリカの軍事力を補完することになるということは、それはアメリカの立場から見て言えるだろうと思います。  しかし、先ほど述べましたように、日本日本の憲法及び基本的な防衛政策に従いましてあくまでも日本防衛するために必要な限度で防衛力整備しそれを運用するということでございまして、決して最後に御指摘がございましたような集団的自衛権の行使というようなことに当たるものではないというふうに私どもは考えておるわけであります。
  144. 渋谷邦彦

    ○渋谷邦彦君 これはいまずいぶん含みを持った答弁をされているのではないだろうかという感じがするのです。これはやはり日本語というのはいろいろな意味を含む場合があります。いろいろな解釈をなされる場合があります。しかしこれを文字どおりに受けとめますと、やはり米国の世界戦略の一環に組み込まれたそういう体制を築き上げていく、単に日本防衛というところに主力を置いた発想ではなくして、いま申し上げたアメリカの世界戦略、こうなりますと、いま申し上げているようなおそれというものが、にわかにではなくしても徐々に形骸化されていくようなその環境の中で、アメリカの計画どおり、あるいは思うつぼと言ったら言葉が過ぎるかもしれませんが、そういう方向にだんだん傾斜していく危険性があるのではないか。まあいまこれはやりとりいたしましても直ちに結論が出る問題ではないだろうと私は思うのです。  一方において、これまたやはりアメリカの要請だろうと思うのですが、先ほどちょっと途中の段階で触れてまいりましたけれども、前の在日米軍司令官のアメリカ下院外交委員会において証言をした内容を引用しまして、そして予算委員会で同僚議員が発言をしておるわけです。そのときにやはりこのアメリカの要請の絡みの中で、公式な要請はないけれどもということを断りつつも、一たん緩急の場合は三海峡封鎖があり得るのだ、それには潜水艦あるいは水上艦艇、あるいは航空機、そういったものを連動させながらやるのだという趣旨のことが述べられております。  どだい私は戦術的な細かいことはわかりません。ただ従来の歴史的な戦史を振り返ってみますと、そういったものを敷設する場合には制海権、制空権というものをがっちりこちらが持っていない限りは不可能だというふうにされているのがいままでの常識とされているわけであります。こういったことも十分考慮の中に入れながら長官がそういう答弁をなされたのか、実際また起こった場合に三海峡鎖ということがあり得るのかどうなのか、これは公海条約の上から見た場合に背反行為にならないのかどうなのか等々いろいろな問題が私は関連して出てくるのではないだろうか。  これは封鎖をすれば確かに出る出られないという問題がある。これは相手国だけじゃありませんね。日本の場合も出られなくなっちゃうわけです、漁船はもとより。そういうような障害というものも十分考えられるわけでありまして、恐らくその場合には有事ということを想定した上のことであろう。しかしこれにはもう膨大な爆雷が必要になってくるのですね。まあドーバーとは比較にならぬと思うのですけれども、かつての第二次大戦のときにドーバーには大体二万個敷設された。海域が違いますからあながち同一視することはできないと思うのですが、そうすると、これが先ほど冒頭に申し上げたまた防衛費に大きくのしかかってくる。しかも五六中業ではそれもいまやる方向に向かって策定が進められている、こういうことがもうすでに長官の口をついて出てきているわけです。一体そんなことが本当に可能性があるのかどうなのか。あるいは専守防衛の枠を逸脱しているような方向へ踏み込んでいきはしまいかどうか。  その場合にもう一つ考えられることは、そういうことが起こった場合に、これは仮定のことを言っても始まらぬと思うのですけれども、やっぱり防衛論争というものはいろいろなことを想定しながらお互いに考えなくちゃならぬ問題だろうと思うのです。その場合には米国側が単独で敷設をするのか、日米が共同して敷設をするのか、あるいは日本が独自の立場で敷設をするのかという問題もまた出てくる。それによっても大分対応の仕方というものは違ってきはしまいか。この点余りこの問題ばかり触れておりますとほかへ行けなくなりますから総括してひとつお答えをいただきたい、こう思います。
  145. 塩田章

    政府委員塩田章君) まず三海峡の封鎖の問題につきましては、先生も御指摘のように、これはもし封鎖するということになるといろいろな影響が大きいことはこれは当然でございますが、ただお断りしておきたいのは、通峡を阻止するといいます場合に、イコール機雷を敷設するということではございません。潜水艦、艦艇、航空機、いろいろな形による通峡阻止ということも当然あり得るわけです。機雷敷設ということはその中の一つの手段でございます。ですから通峡を阻止するということがあり得るといいましても、どの形をとるか、そういったことはすべてそのときの状況判断によるわけであります。  ただその場合に、機雷を敷設するという手段を使います場合は、これは影響するところがきわめて大きい。まさに御指摘のように、自分の国の船も通れなくなるというおそれもあるわけでございますから、そういう意味におきまして慎重の上にも慎重を要するということはこれは当然のことでございまして、こういったことはしばしばお答えをしてきておるつもりでございます。そもそも通峡阻止につきましては、相手国の侵略をもし日本が受けた場合に、日本に対して侵略行為をしておる国の艦船の通峡を阻止する必要がある場合に通峡阻止を行うことがあり得るということをお答えしてきておりますが、その際の具体的な手段、方法、特に機雷を使うか使わないかといったようなことにつきましては慎重な配慮が要るものであるということは、私どもそれは当然のことであろうと思っております。  それから、仮定のこととおっしゃいましたけれども、アメリカが単独でやるのか、日米が共同でやるのか、日本が独自でやるのかというようなことをお尋ねでございますが、まさにこれは仮定の話でございまして、どういう形になるというふうなことは私どもいまここで一概に申し上げることは困難でございます。ただ私どもとしましては先ほどの原則、日本が侵略を受けた場合に、日本に対して侵略行為をしておる国の艦船の通峡を阻止するという必要がある場合はあるであろう、そういう場合には先ほどのような状況を十分判断して必要な通峡阻止のための措置をとることはあるだろうということを申し上げるところにとどめておきたいと思います。
  146. 渋谷邦彦

    ○渋谷邦彦君 もう一ついま申し上げた中でお答えいただかなかった面は、この五六中業の中でいまいろいろと検討を加えられている最中でありますけれども、これが実際に盛り込まれるのかどうなのか、これもちょっと申し上げられませんというふうに返ってくるのかということが一つ。  もう一つは、ことしの夏に予定されている日米ハワイ会談ですね、事務レベルの折衝。こういったところではもっともっと枠を広げたような問題提起がアメリカから出されるかもしれない。いろいろなことを防衛庁としても想定しているでしょう。しかしいずれにしても大前提として予算というものがございますので、その枠を逸脱するようなことは断じてこれは許されるべき問題ではないはずであります。しかし防衛計画大綱まで達するためにはというそういう含みの中で、それでも足りないというふうなそういう要求というものがもう繰り返し繰り返しいままでアメリカ側からよこされている。その一環としていま申し上げた機雷敷設の問題もあったであろう。こういったことを総合して、五六中業あるいは防衛計画大綱というものを見直さなければならないのか。  これは口が裂けても言えないでしょうね、いま政府の基本方針でございますから。しかしあえて聞きたいわけですね。そういう意図が全くないのか、それは当面ないのか、将来はやはり考慮の余地があるというのか。変えるとは言いません。考慮の余地があると判断されているのか。その辺はいかがでございましょうか。
  147. 塩田章

    政府委員塩田章君) まず五六中業の中での検討の問題でございますが、機雷につきましてもわが国の即応態勢の整備といったような観点から艦艇、対潜哨戒機あるいはヘリ、そういったような更新近代化を図っておりますし、また機雷そのものをどれだけまで備蓄していくかというようなことも検討をいたしていることはこの前もお答えをしたつもりでございます。  それから、ハワイ会談で今度アメリカの方から枠を広げたような問題が提起されるのではないかというようなお尋ねでございますが、これはしばしばお答えいたしておりますように、もとも趣旨がフリーディスカッションでございますから、どういうふうなことを言うかもちろんわかりませんし、議題を決めてやるわけでもございませんけれども、御指摘のようにわが国にはわが国立場がございますし、ましてや予算で決められた以上のことをお答えできるわけのものでもございませんし、そういった点は私どもはもちろん十分考えておるつもりでございます。  それから、大綱の見直し論についてのお尋ねが最後にございましたけれども、これはもうしばしば申し上げておりますように、現在大綱の線に到達することが急務であるというのが私たちの基本的な立場でございます。
  148. 渋谷邦彦

    ○渋谷邦彦君 私はいま三つの提言をしながら、そこで本当は答弁を求めたのですけれども、やはりそれ以上のお答えは得られませんでしたね。また機会を改めてということにしたいと思います。  ちょっと私の質問が途中でとぎれることになりますので、はしょっていきますけれども、次はリムパックの問題。これは今回行われているリムパックは前回に比して非常に規模的に大きくなった、その理由は何ですか。
  149. 石崎昭

    政府委員石崎昭君) 今回のリムパックは過去何回か行われたものと比べて確かに期間も長くなり参加規模も大きくなっておりますが、この理由は日本立場から見た場合はやっぱりリムパックというものがそれなりの大変意味のある訓練であるということ、わが方から見ればそれが理由になります。多分ほかの四カ国の場合も同じような理由で有意義な訓練であるがゆえに期間も延ばし参加規模もふやして、より充実したものにしたい、こういうことが理由であろうと思います。
  150. 渋谷邦彦

    ○渋谷邦彦君 それは概念的に言えばいま石崎さんおっしゃったとおりだと思うのですよ。しかしその中身というものをこれはなかなか明らかにしていただけないですね。記者の方も艦艇に同乗して見ているわけじゃございませんから、だからなかなかそれが明らかにされない。  ただ、ここに比較があるのですよ。艦艇を例にとれば、これは報道に準拠して申し上げるわけですが、前回四十三隻、今回六十隻、それから兵員が前回は二万、今回は約三万近くです。相当大幅にふくれ上がっている。しかもアメリカは空母レンジャー、六万トン級の航空母艦ですね。これを中心として演習が行われる。しかも日本の場合も今回「しらね」を中心として一隻ふえているわけですね、兵員も約一千名近く。  それはやはり訓練であるとかいろいろな面もそれはございましょうけれども、今回の場合は単なる訓練というよりも、想定できる実戦というものを描きながらやっているのではないか。当然訓練はそれを前提とするわけですけれども、それにしてはずいぶん規模が大き過ぎるなと、いまのお答えだけでは果たして国民の理解と納得が得られるであろうかという疑問がやはり出てまいります。  答えは、五十分から数分間官房長官に質問が秦さんからございますので、答えはその後にしてください。それだけいま問題提起をしておきますから。
  151. 秦豊

    ○秦豊君 渋谷先生、恐縮です。  官房長官、ミッテラン絡みの厳しい日程を縫っていただいて恐縮です。  端的に伺いますけれども、昨年鈴木総理がワシントンでされた発言の中で、特に例の一千海里シーレーン防衛論につきましては、日本政府の判断と反応はともかくとして、公約ないし準公約としての受けとめ方が大統領から一下院議員、上院議員に至るまでの平均的反応です。日本政府としてはそれでよろしいのかどうか、その辺をまず官房長官に政府サイドとして伺っておきたい。
  152. 宮澤喜一

    国務大臣(宮澤喜一君) 昨年五月にワシントンのナショナル・プレスクラブにおきまして記者団の質問がございまして、それに対して鈴木総理がいまのようなことを答弁をされたわけでございます。これは無論政府の方針として総理大臣が答えられたものでございますし、今日もなおこれはわが国の政府の方針でございます。  公約云々ということにつきまして議論になりましたのは、このような問題はわが国が当然のことながら自分の政策として独自に決定をすべき性質のものであって、よそから頼まれてするとか、あるいは人に約束をして云々という性格のものでございませんので、公約というようなことは適当なことではない、こういうふうに申しておるわけでございますけれども、これが日本政府の方針であるということについては少しも違いはございません。
  153. 秦豊

    ○秦豊君 非常に明確な御答弁だと思います。同盟国の義務というよりは自助努力である、判断はそれでいいと思うのです、まさにシーレーンは。先般のナショナルセキュリティー論ですね、政府マター論、あれで私はまことに明確になったと思います。しかしそれにしても政府はアメリカとは間断なき対話とおっしゃっている。結構です。  で、ハワイ定期協議、伊藤長官の訪米を控えて先立ったちょうどいいタイミングとしてベルサイユサミットが設定されています。だから、これは私はボタンのかけ違いという認識ではなくて、より日米双方の安全保障に対する理解を深めるという観点から、やはりこの鈴木・レーガン会談をベルサイユ会談の中に伴って設定をされて、より理解を深める、誤解なきように努める、そのことがその後のハワイ定期協議あるいは伊藤訪米に至る大枠の設定にもつながるし、より慎重な対応であろうと思いますが、その点については長官いかがですか。
  154. 宮澤喜一

    国務大臣(宮澤喜一君) ベルサイユサミットの際にできますならば日米両国の首脳会談の場を設けたいと考えておりますことは御指摘のとおりでございます。  ただその場合、このいまの問題についてこれが約束であるないということを別段話に出す必要がないと思われますのは、これがわが国政府の方針であることは間違いないわけでございますから、アメリカ側としてそれを前提に物を考えてくれて差し支えないことで、これは十分米国も知っておることでございますから、特にこれが約束であるないということをその際に申す必要はなかろうと存じております。
  155. 秦豊

    ○秦豊君 一千海里にはこだわらないけれども、しかしせっかくの機会だから首脳会談も設定されているようですし、日米安全保障問題全般についての話し合いはあり得るというふうに確認さしていただいてよろしいですか。
  156. 宮澤喜一

    国務大臣(宮澤喜一君) 実はまだ首脳会談を設定したいと考えておりますが、はっきり約束ができ上がっておるわけではございません。恐らくそういうことができるであろうと思っておりますが、その際どういうことを話すかということについては別にアジェンダを設けておりません。設けない方がかえっていい話ができるのかもしれないと思っておりますが、もちろんその際に日米両国間の関係、いろいろな点が話し合われるであろうと存じております。
  157. 秦豊

    ○秦豊君 一転して日韓の問題をちょっと一、二問伺っておきたいと思います。  昨日の報道によりますと、政府首脳——これは報道の慣例として恐らく長官御本人ではないかとも思われます。外務大臣のソウル訪問はゴールデンウイーク中はむずかしいのではないかとされた上で、しかし中旬にはあり得るという示唆があったという、ほのめかしたという表現に近いと思います。しかし常識として考えて各省庁にまたがるずれがあり、特に大蔵が頑強に抵抗しており、仮に明敏なる宮澤調整案を中心にコーディネートされているとしても、ゴールデンウイークはだめ、幾日か置いた中旬にはあり得るというふうな、この差がどうもよくわからない。なぜ幾日かのタイムラグでもって訪韓可能というふうな判断と結びついたのか、根拠とか目算を伺っておきたい。
  158. 宮澤喜一

    国務大臣(宮澤喜一君) これは御明察のとおりわが国として提示すべき案がまだでき上がっておらないわけでございまして、関係省庁の間でせっかく調整を急いでおるところでございますが、このままではゴールデンウイークの前に外務大臣に訪韓をしていただくのに少し時間が足りないような感じがいたしておるのは事実でございます。  ただ、中旬となぜ卒爾として申したかというお尋ねでございましたが、五月十日あたりにOECDの閣僚会議が御承知のようにございますので、外務大臣はそちらに一度行かれなければなりませんから、したがいましてその期間はどうもちょっと無理になる、こういうことを申そうとしたわけでございまして、それ以外の意味が特にあったわけではございません。
  159. 秦豊

    ○秦豊君 これが最後質問ですけれども、いずれにせよ私こういうことを申し上げて失礼かと思いますが、政府の作業が大詰めであることは客観的な事実です。四月二十日ごろが大体一つめどになって訪韓のタイミングをややしぼる。あと数日だと思います。違っていればそのようにお答えもいただきたいのだが、大体そうだと思います。そうすると、あと四、五日でしかし国内の調整が可能であろうかという疑問が一つと、最後に、いずれにせよ政府としては決着のめどと見通しがない限り櫻内外大臣の訪韓はいたさせないというふうに受け取ってさほどな間違いではありませんか。いかがでしょう。
  160. 宮澤喜一

    国務大臣(宮澤喜一君) せっかく作業を急ぎまして何とか余り時間がかからないようにとは思っておりますが、御指摘のようになかなかむずかしい問題でございます。できるだけ急いでやりたいと思っております。  それから、こちらの考え方がまとまりませんのに外務大臣に訪韓をしていただきましても、かえっていかがかと存じておりまして、外務大臣にも御相談はいたしておりませんけれども、やはりおいでになりますときにはある程度こちらの考え方をまとめて行っていただくことが望ましいのではないか、こう思っております。
  161. 秦豊

    ○秦豊君 さらに伺いたいが、限度を守ります。終わります。
  162. 渋谷邦彦

    ○渋谷邦彦君 まだ私の持ち時間が十四分あるのですけれども、十四分やってしまいますと次の日程に混乱を起こしますので、手短かに申し上げます。  先ほどリムパックのことを申し上げました。一つは非常に規模が大きくなった、それには何らかの意図があるのではないか。それは訓練を目的としている、前回同様の訓練目的で行われているということはわかりました。われわれもわかっているつもりです。ただ今回攻撃型原潜が二十三隻も投入されている等々のいきさつを考えますと、事実上千海里防衛を背景とした今回のリムパック、そういうことに連動して行われたのではあるまいかというのが一つ。  それからもう一つは、今回も日米のほかにカナダ、オーストラリア、ニュージーランドの国々が参加をしている。幾ら広い地域とはいえ、これだけの艦艇が投入をいたされますと、日米間の訓練だけに限定されたものが果たしてできるであろうか。やはりこの五カ国が全部何らかの連動といいますか、連関的な、連係的な行動をとりながらこの演習に参加をしているのじゃないか。ということになりますと、前にも私そうした問題を通じてどうしても集団自衛権というもののおそれというものがまたぞろ浮かび上がってこないかという気がしてならないのです。  そうした点がやはりいつまでたっても霧の中に包まれたような方向でこういう合同演習が行われるということは好ましくない。やはり国民に理解を求める上からも、その点を明確にされる必要がある。この千海里防衛、そうしたものの絡みがもう具体的な一つの事実関係としてその線上に今回の演習が行われているのじゃないか。  しかも今回「しらね」というのは従来参加した艦艇よりも非常に優秀艦だと言われておりますね。リンク11というのですかデータ探知機、これも備えている。敵に悟られないそういうものを装置している等々相当高度な訓練がされているらしいという受けとめ方ができるのですけれども、いま申し上げた残余の質問については次回に回したいと思いますが、この二点についてお答えをいただいて、私の質問を終わらしていただきたいと思います。
  163. 石崎昭

    政府委員石崎昭君) リムパックが霧の中で行われておって国民の理解と支持が得られないということであってはわれわれも大変困るのでございまして、なるべくよくわかっていただきたいと思っております。  二点というのはシーレーンの一点でございますね。——まずリムパックがどういうシナリオを持って訓練をやっているかということでございますが、これは前回参加するときも主催者であるアメリカ海軍に徹底的に細かく問いただしましてわかったのでありますが、いわゆる戦略想定と言いましょうか、そういうものはリムパックにはございません。戦術想定とでも言うべきものはもちろんございます。戦術想定がないと訓練ができませんので、下から潜水艦が攻めてくる、上から飛行機が何機で襲ってくる、こういう種類の想定がないと今度は訓練になりませんから、もちろんこういう想定はございます。しかしながら、どこどこの国がどこどこの海域を分担して守るとか、あるいは合同して編成した艦隊が特定の国を防衛するとかという意味の戦略的想定というのはございません。  そういう意味で集団的自衛権の行使にわたるような訓練でないということは、私ども前回参加するときに徹底的に確かめまして、その上で参加したわけでございます。で、前回帰ってきた海上自衛隊の指揮官に私も直接詳細な報告を求めまして確かめましたけれども、その種のさっき申し上げましたような戦略想定というべきようなものは一切ない、これがなくても訓練可能でありますので、そういうことでありました。したがって、その点は国民は何か隠された特別のシナリオがあるというように誤解なさる必要はないので、そうあっては困ると思っております。そういう意味で千海里シーレーン防衛リムパックというのが関連があるかという問題については、関連がないということをはっきり申し上げられます。  それから、もう一つは規模が大きくなった問題、これはさっき申し上げましたような参加各国にとって非常に有益な訓練であるがゆえに期間も長くなり参加規模も大きくなったというような抽象的な説明では納得ができないのであって、これは質的な変化があるはずであるという御趣旨のように承りましたけれどもリムパック訓練のそれぞれの内容は前回と同じでありまして質的な変化はございません。  ただ、両用艦艇が参加して海兵隊がかなり大規模に参加しているという今回の訓練の特色からして、その点で質的な変化があったのではないかという見方がたくさんありますけれども、これも再々国会で申し上げてきたような訓練項目でありまして、海上自衛隊が参加するのはそれでありまして、両用艦艇と海兵隊を使ってこれは多分上陸訓練をやるのだろうと思いますが、これには海上自衛隊は一切参加しておりませんので、そういう意味で海上自衛隊にとってはアメリカの海兵隊が大量に新しく投入されたからといって訓練の内容はわれわれにとっては何らの変化もございません。そしてさっき申し上げたような戦術的な想定によって訓練をやるということで御理解いただけるのではないかと思います。
  164. 加藤武徳

    委員長加藤武徳君) 暫時休憩いたします。    午後三時五分休憩      —————・—————    午後四時三十二分開会
  165. 加藤武徳

    委員長加藤武徳君) ただいまから安全保障特別委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、国の安全保障に関する調査を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  166. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 私は、リムパック、それからヤマザクラI、IIなど、海及び陸の日米共同演習の問題についてお伺いしたいと思います。  先ほど同僚議員の質問に対して、リムパックについては戦略想定はないけれども戦術想定はあるという答弁がありました。これまでの国会答弁では共同防衛のための具体的シナリオを持った訓練ではないと言われておりましたけれども、戦術的な意味ではシナリオはある、そう理解していいでしょうか。
  167. 石崎昭

    政府委員石崎昭君) いままでリムパックについては訓練の目的としまして戦術技量の向上があるのだということを国会でしばしば申し上げてきたわけでございます。戦術技量を向上するための訓練を行うためには、それに必要なそれなりの想定というものがないと、先ほども申し上げましたとおりで訓練がうまくできません。したがって戦術技量向上のための訓練の目的を十分に果たせるような必要な限度でのシナリオ、これはもちろんある、つまりそれがいわば戦術想定とでも言うべきものであるということをお答えしたわけでございます。
  168. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 先ほど石崎参事官は質的な変化は今度ないと言われましたけれども、六千名の海兵隊が参加していることは明らかに質的な変化だと思うのです。これまでのたとえば佐々参事官の答弁では、リムパックというのはフリートエクササイズだ、艦艇の総合訓練だと言っていたけれども、今度艦艇でなしに海兵隊、これが六千名参加することになったわけで、単なる艦艇のエクササイズだけでなく海兵隊の上陸訓練が入ってきたことは非常に重大な変化だと思うのです。先ほど石崎参事官は両用艦の上陸作戦には、その訓練には自衛隊は参加しないとそう言われました。海兵隊の問題についてはどういう戦術的なシナリオが今回あるのか、お答えいただきたいと思います。
  169. 石崎昭

    政府委員石崎昭君) 両用戦艦艇と海兵隊が参加したことがリムパックを質的に変化させるのではなかろうかという問題については私どもも相当突っ込んで研究をいたしました。実は海兵隊が参加した訓練というのは今回が初めてではなくて、前にも海兵隊が参加した実績はございます。たとえばリムパック80、前回は参加しておりませんが、両用戦艦艇について見ますとリムパック78には参加しておるという実績があります。そういうわけで初参加ということではございません。  それから、海上自衛隊がこの海兵隊の参加にどういう関連を有するかということについては先ほども申し上げましたとおりで、海兵隊や両用戦艦艇の加わる訓練には海上自衛隊は参加いたしません。そういう意味では、簡単に言えば海上自衛隊リムパックのほとんどすべてのほとんど大部分の種目に参加いたしますけれども、全種目参加でないと言えばわかりがいいかと思います。  そこで、両用戦艦艇とか海兵隊がどういうことをやるのか、これは海上自衛隊が参加いたしませんから、かかわりがないので詳しいことはアメリカからも聞いておりませんけれども、常識的に見て両用戦艦艇と海兵隊が訓練をやるからには上陸訓練であるということは容易に想像ができるところでありますが、中身についてはいま申し上げたように海上自衛隊が参加いたしませんので、かかわりありませんので、内容については聞いておりません。
  170. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 変化はないと言われたけれども、もう一つリムパック80と82の防衛庁の発表を見ますと、海上自衛隊が行う訓練に今度新しく「対敵顧慮下の移動訓練」というのが入っております。これは明らかに重要な変化だと思うのです。そこには「電波管制下での移動、あるいは水上艦艇、潜水艦、航空機等の各種脅威に対処しつつ移動する訓練」ということになっている。  私も軍事専門家でないのでよくわかりませんけれども日本語でこれ読みますと、今度新しく入った「対敵顧慮下の移動訓練」、しかも「脅威」でしょう。「各種脅威に対処しつつ」というわけで、たとえばこういうふうにも憶測できる。つまり六千名のハワイのカネオへ基地の第一海兵旅団が入るわけですね、入ってくるわけです。で、上陸訓練を行う。西太平洋でどこへ上陸するかというと、やっぱり恐らくアジア地域、極東地域のどこかだろうと思うのですね。そこに、ある戦術想定でもいいです、戦略想定ないと言うのなら。そこへの上陸作戦をつまりハワイから送るわけですな。ハワイから送る海兵隊を輸送していきますと、これは緊急時ですから、これはいわゆる仮想敵の攻撃脅威が当然あるわけで、艦艇、潜水艦、航空機などから輸送中の海兵隊に対する攻撃、こういう脅威を想定して電波管制下で全部連絡をとりながら移動する訓練だ、直接上陸作戦に参加しなかったとしても海兵隊の上陸、それを輸送する機動群、それに対するさまざまな攻撃に対してそれに対処しつつ移動する訓練、つまり間接的な意味では海兵隊の輸送訓練に参加したということがあるのではないかと思いますが、どうでしたか。
  171. 石崎昭

    政府委員石崎昭君) 「対敵顧慮下の移動訓練」といいますのはまさにここに防衛庁が発表したとおりの内容のものでありますが、これは特に訓練を事細かに例示して、いわば親切でたくさん並べてみたということでありまして、前回のリムパックにおいても対敵顧慮下の移動訓練というのは行っておったわけです。  これは水上打撃戦訓練とか、対潜捜索攻撃訓練とか、防空戦とか、この種のいろいろな種目の訓練を行うに当たって当然付随的に各種の活動を行うときに艦が移動する。これは特別の項目として前回挙げた挙げないにかかわらず移動ということは前回もあったわけでありますし、今回もあるわけであります。それで、それは実戦を想定しての訓練でありますから、対敵顧慮下に移動する。これは当然のことでありますので、「対敵顧慮下の移動訓練」という項目が挙がったということがリムパック訓練内容を質的に変化させているというふうには私どもは思っておりません。  それから、海兵隊の移動に海上自衛隊がどうかかわり合うかという問題につきましては、海兵隊両用戦艦艇、これらの訓練には移動も上陸訓練も含めて一切海上自衛隊はかかわり合いを持ちませんから、したがってここに挙がっている「対敵顧慮下の移動訓練」というものが対敵顧慮下で移動しながら海兵隊を守るとか、そういう関連は一切持っていないわけでございます。
  172. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 私はいま挙げたこれ、第一の問題だと思うんですね。いままで防衛庁は一九八〇年のリムパックに際して具体的なシナリオはないないと、ある限定つきで言っておりましたけれども、今回ある国がどの国を攻めるかという戦略的な想定はないけれども戦術的な想定、つまり戦術的なシナリオはあるということを認められた。  われわれは、このシナリオというのは今度海兵隊の新しい参加、またいま石崎さんは弁解をいたしましたけれども、前回には明らかになかった。前回「ア、イ、ウ、エ」の「電子戦訓練」までだったのですから、わざわざ「オ」として「対敵顧慮下の移動訓練」というのを加えたという点ですね。これはやっぱり今回のリムパックの背景にあるのは、規模も、しかも月日も延びているわけで今度五週間でしょう。もちろん一つの戦略想定で訓練ですから、全部通してやっているとはわれわれ思わないけれども、ある戦略想定下のもとに幾つかの面について区切られた部分的な局面を想定して、その戦術シナリオのもとに数種類の訓練を行っている演習であろうと思うんですね。  私は、このリムパックというのは集団自衛権を前提とする日米共同作戦、さらには五カ国の共同演習に向かう事実上の数歩がもう進んでいるものだと思うのですけれども、いまのシナリオの問題ですね。これが第一の問題と考えるわけです。  二番目の問題はリンク11、先ほども質問がありましたけれども、それに関連する問題です。今度「しらね」に初めて搭載されて、それを積んだ「しらね」が参加したわけですね。このリンク11というのは一体どういうものなんですか。これはアメリカから買ったものなのか、説明願います。あるいは日本でつくったものなのか、中身説明してください。
  173. 和田裕

    政府委員(和田裕君) リンク11というのは、先生御承知かと思いますが、データリンクの略称でございまして、データ通信によりまして二局間以上の間を結びます通信回線及びその回線に連続されております局の通信装置、そういった全体を示すものでございます。各種情報の迅速な交換を行う機能を持っているものでございます。これはアメリカから買うものでございます。
  174. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 この今度——今度というか最初からずっと参加しているアメリカ以外のカナダ、オーストラリア、ニュージーランドの艦船の中にもこのリンク11を持っている船があるのですか。
  175. 石崎昭

    政府委員石崎昭君) いまおっしゃった国の船にリンク11があるかないかは私どもは知りません。  それから、さっきリンク11のお話の前の第一点の御質問に対してまだお答えしてありませんでしたが、シナリオの問題でありますが、リムパック全体……
  176. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 いや、それはいい。
  177. 石崎昭

    政府委員石崎昭君) ちょっと誤解があるといけませんので。
  178. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 それは質問していないんだから、僕は。僕の断定を述べただけで。いいです。
  179. 石崎昭

    政府委員石崎昭君) それならば結構ですが、私どもはそれを認めたわけではございません。
  180. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 認めるとは思っていませんから。  「世界の艦船」という雑誌があります。この八二年一月号にリンク11についての説明があります。「コンピューター内のデータをLINK11を介して他のネーバル・タクテイカル・データ・システムの艦と交換することが可能となった。」、つまりリンク11というのはコンピューターの中のデータを全部相手の局と相互に交換するということができるシステムなんですね。
  181. 和田裕

    政府委員(和田裕君) 非常に細かいリンク11についての性能を申し上げることはちょっと差し控えさしていただきますが、先ほど申し上げましたように、リンク11の主たる機能というものは各種の情報の迅速正確な交換を行う、こういったものでございます。
  182. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 差し控えるという話がきょうの審議でも非常に出てくるのですね。リンク11なんというものの性能も差し控えたいと。しかし相互に情報交換できるというと、この私が「世界の艦船」に書いてあるのを読み上げたコンピューター内のデータを交換することが可能だということは間違っているかどうか、簡単にそこだけ答えてください。
  183. 和田裕

    政府委員(和田裕君) これはいろいろな場合があるかと思いますが、基本的にはたとえば狭義に関します情報等につきまして、情報交換することは可能だと思います。
  184. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 石崎参事官ね、アメリカ以外の参加国にリンク11があるのかないのか承知していないと言われましたが、調べて知らせていただきたいと思います。
  185. 石崎昭

    政府委員石崎昭君) 調べてわかれば、そういうふうにいたします。
  186. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 どんどん時間がたちますが、サンケイの去年の六月十九日号には、リムパック80の際こちらはもっぱら手旗信号と無線通信だった、そのためにアメリカ及びオーストラリア、カナダなどの艦隊行動についていけなかった、「操艦技術や射撃精度では気を吐いたものの、結局は足手まといになるというみじめな結果に終わってしまった。」、こう述べています。それで今回リンク11をつけてアメリカの旗艦との間で実際にどういう通信をやるかということをやるのだという記事があります。  それで、私非常にこのリンク11の問題を重視しているのは、やっぱり各国の軍隊、これは船もそうで飛行機もそうですけれども、共同作戦をやろうとすると、最大の問題はお互いの通信連絡を一つの共通の暗号、共通のブックに基づいて一つのものにすることなんですね。そうでなければ指揮連絡がお互いに情報交換できないわけだから。その点でアメリカからこのリンク11を買って、こういう電子戦下の情報連絡、情報交換をやる態勢を行って、実際に今度のリムパック82で演習を行ったということ、これは非常に重視すべきことだと思うのですね。  つまりこれはオーストラリアやカナダ、ニュージーランドとお互いに通信連絡しなくても、もしこの五カ国の軍隊、軍艦の間に単一の通信技術、通信装置が成り立てば、これはいつでも共同作戦が可能な非常に重大な技術的突破が行われたということだと思うからです。このリムパック82については五カ国の間で使う通信は同じ暗号、同じブックスに基づいて行われているのだと思いますが、いかがですか。
  187. 石崎昭

    政府委員石崎昭君) リムパック海上自衛隊が行動をともにする相手はアメリカであるということは国会でもしばしば申し上げたとおりであります。  そこで、アメリカとの共同行動をどういうコミュニケーションでやっているかということについて申し上げれば、もちろん暗号とか略号とかいうものを訓練の過程で必要に応じて使うということは当然でありまして、暗号とか略号のたぐいを使わないということは申し上げたことはございません。複雑な内容を単純な言葉で短時間で送り伝えるというためには、暗号、略号のたぐいはこれはぜひとも必要なことでありますし、また訓練のいわば対抗部隊、敵方に通信の内容を察知されないためにも暗号、略号のたぐいは必要であるということは常識的なことでありますから、各種の通信手段を使って、この暗号、略号で組み立てられた通信内容が伝えられるということは当然のことでございます。
  188. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 つまり私の言うことはお認めになったわけです。共通の暗号、略号、コードブックス、こういうものでリムパックの演習というのは成り立っているということですね。この通信技術の問題が二番目の問題。  三番目は、機動群の編成の問題です。七九年十二月十日、山中質問で、佐々防衛参事官が答弁で、同一海面で他の艦隊、つまりアメリカ以外の他の艦隊も訓練をやるのだから、お互いにターゲットをサービスし合うことがある、これはリムパック80の前ですけれども、お互いに標的になり合うようなことはあり得るという答弁をしているのですが、リムパック80のときは実際にオーストラリア、カナダ、ニュージーランドの艦艇とターゲットサービスをやり合うことはあったのですか、なかったのですか。
  189. 石崎昭

    政府委員石崎昭君) リムパック80がどういう結果であったかについては、細かい動きの内容については五カ国で合意が成り立たなければ公表しないということでいままで御説明してきておりますので、ターゲットとしてたとえばどこの国の船がどういうふうに行動したとかいうような細かいことは私も申し上げるわけにいきませんが、リムパック80に先立って国会で御説明してきた参加している他の国が相互にターゲットサービスをし合うことがあり得るという答弁はそのとおりでありまして、80に参加して帰ってきた指揮官から私も詳細な報告を受けておりますが、そういう線で訓練が行われたということでございます。
  190. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 つまり、なったということですな、どうやら。それで、内容はまた申し上げられないと。本当にもうこういう重大なことをやっていて何にも言えない何にも言えないというのはけしからぬですがね。  「三つのバトルグループを編成し」「日本からの二隻は、アメリカのコンステレーション・グループと終始行動をともにした」、そういうある公表があったのですけれども、事実ですか。
  191. 石崎昭

    政府委員石崎昭君) そういうことが報道されたということは私も知っております。知っておりますが、どこの国とどこの国が艦隊を組んでどういうふうに対抗し合ったとか、どういうふうに行動したということは、さっき申し上げましたとおり五カ国で合意しなければ公表しないということでありますから、これは何でもかんでも隠すという意味ではないのでありまして、訓練概要、性格、こういうものはたびたびもう御説明してきていることで、具体的な個々の艦や艦隊の動きは申し上げられないと言っているだけでありまして、何もかも言えないということではございません。  そこで、いまの問題もそういうことでありまして、どこの国とどこの国がどういう艦隊を組んだという報道があったことは知っておりますが、これは防衛庁が公表したことでもありませんし、いまのようなことでありますから公表したことでもありませんし、またアメリカが米海軍として公表したとも私は聞いておりません。
  192. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 これはやはり「世界の艦船」という雑誌ですが、八〇年六月特大号「リムパック80撮影取材記」というので柴田三雄という写真家の方がアメリカの第一空母群司令官ラムゼー少将に会ったわけです。コンステレーションに実際乗って。そのラムゼー少将が「今作戦中、三つのバトル・グループを編成したこと、それぞれ個別にまとまってグループを作ったが、日本からの二隻は、アメリカのコンステレーション・グループと終始行動をともにしたことなどが初めて明らかにされた。しかし作戦の重要な部分については説明がなく、何を行なったかは皆目不明」であるとラムゼー少将から聞いている。だからアメリカが公表したことなんですね。  で、幾ら聞いてもあなた方言わぬけれども、とにかく三つのバトルグループに分かれて、アメリカは終始コンステレーション——コンステレーションというのは八〇年のとき空母をアメリカから一隻、オーストラリアから空母一隻で中心ですよ。そのアメリカの空母と終始行動をともにして動いたわけだ。三つのグループだったのですよ。そうすると、この機動群の編成について日本はまさに招待されてその中へ入った。じゃ、このグループに他国のオーストラリア、カナダ、ニュージーランドがいたかどうかと聞いてもあなたは言わないと言われるでしょうけれども、この事実からは三つのバトルグループでずっとやったというわけですから、やっぱり単一の指揮ですよ。あのとき調整は第三艦隊のアメリカの司令官がやったわけですな。その総合的調整のもとで日本の自衛艦がその指揮のもとに動いた、五つの国の艦艇と一緒に三つのグループに分かれてという事実が私は明らかに浮かび上がっていると思うんです。  私はきょう、つまりシナリオの問題、それからリンク11の通信問題、単一の通信情報で行われているということ。それから三つ目にグループ編成、日本自身が後から参加してその三つのグループに入った、これがアメリカから公表されている。この三つを見ても、国会にも隠して、何にも言えない何にも言えないということで、事実上非常に重大なつまり太平洋の連合艦隊化ですよ、五つの国の艦隊の。連合艦隊化を前提にした訓練が行われているという大きな疑問を持つ。  このリムパックというのは七一年から日本の参加する前に五カ国でやっているわけだから、これはみんな集団自衛権を持っているわけだ。当然集団自衛権を持った訓練を六回やったわけでしょう。七回目と八回目に日本が招かれて参加したわけだ。集団防衛権を持っていない日本が入ってきたからといって集団自衛権を前提とした訓練をやめるわけはないのですよ。つまり安保条約のNATO化、双務改悪並びに憲法改悪を前提として集団自衛権なしには行えないような太平洋の五カ国の連合艦隊的混成艦隊ですな。混成艦隊的な共同演習、しかも今度は五週間、海兵隊の上陸作戦まで入っているというものに海上自衛隊が演習という名目で参加している。これは私は非常に重大だと思いますね。  もう時間がございません。防衛庁長官、私はきょう三つの問題を指摘して、憲法改悪それから安保条約の改悪、それを前提として、しかも演習という名目で集団自衛権があるものとして行われている共同演習にひそかに参加している。しかも国会には何事も隠しているという疑惑を持つのですが、責任者として明確な答弁をお願いします。
  193. 石崎昭

    政府委員石崎昭君) 大臣お答えする前に事務的な材料だけ私から並べて申し上げます。  まず、ラムゼー少将が発言したということについては、私どもも当時その報道は熟知しております。ところでラムゼー少将は米海軍のスポークスマンとしてそういう発言をしたのかどうか、これは私どもは知りません。米海軍は公式には詳細な部分は発表しないということでありますから、それを守るのが米海軍のサイドであると私どもは思っております。  それから、次のバトルグループ編成云々、これは艦隊レベルの訓練をやる以上は幾つかのグループを編成して訓練をやる、これも常識でありますから、私はそれを否定いたしません。ただ細かいことは申し上げられないと言っているわけです。  それから、何もかも国会に隠すという御指摘については私どもリムパックの話が持ち上がって以来もう何年かにわたって終始総論については逐一御説明してきたわけでありまして、各論のこういう理由で言えない、つまり戦術戦法を明らかにすることが仰止力を傷つけるというような合理的根拠のあるものに限っては各論については申し上げられないと言っているわけでありまして、総論については逐一御説明をしてきたところでございます。  それから、最後の集団的自衛権云々でございますが、防衛庁はこの集団的自衛権の行使云々についてはきわめて神経質でありまして、リムパックに参加するについては米側に、第三艦隊に徹底的にこの辺を確かめまして、先ほど申し上げました個々の戦術的なシナリオに至るまで集団的自衛権行使にわたるような要素が一切含まれていないということを十分確認の上参加してきたわけであります。そして終わって帰ってきた指揮官に事後そこの点も徹底的に確かめました。そうしたところ、最初の米側の説明のとおり、集団的自衛権の行使にわたるような訓練内容は一切含まれていないということが現地に参加して訓練をやってきた指揮官からもきちんとした報告がありましたので、それを確かめ得たところでございます。
  194. 伊藤宗一郎

    国務大臣伊藤宗一郎君) 石崎政府委員の答弁で御理解をいただけたものと確信いたしますけれども、まず第一点、国会に対しましては政府委員も申し上げましたとおり、でき得る限り、しかもこれは何度か事前にも申し上げておったように私も記憶しておりますし、決してひそかにやっているというようなものではございません。あくまでも自衛隊訓練をし、またその戦闘技術の向上を願っての訓練でございますので御理解を賜りたいと思います。  また集団的自衛権等の行使を前提とした訓練でないということはいま申し上げたとおりでございます。したがいまして、いろいろの御議論の末、憲法改悪というようなことについての御指摘がございましたけれども、それはちょっと飛躍的な論理ではないかというふうに申し上げたいと思います。
  195. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 もう時間がちょっと過ぎたので終わりにしますけれども、私は何ももうすでに集団自衛権行使してカナダやなんかと一緒にやっているということは言わない。そのことは避けてアメリカとだけ演習はやっているのでしょう。しかし演習全体はそういう集団自衛権行使を前提としたもとに成り立っていて、それをアメリカとだけやっているという形で踏み込んでいるという事実を指摘している。それをしかも防衛庁設置法五条の二十一「所掌事務の遂行に必要な教育訓練を行うこと。」ということに基づいてやっているという詭弁、これも虚構ですね。それを広げに広げているということを指摘しておきたいと思います。  ハワイでの日本共同の陸上部隊の演習についても質問する予定でしたが、時間が過ぎました。以上で終わります。
  196. 柳澤錬造

    ○柳澤錬造君 これは前に総理に私が一度聞いたことですけれども、きょうは防衛庁長官に直接お聞きをいたします。  他国に脅威を与えるような軍備は持たないというのが総理を初め政府の皆さん方の口ぐせに言う言葉なんです。他国に脅威を与えるような軍備は持たないということはどういうことを意味するのか、それはどんな軍備ですかということを私は知りたいのですよ。同時に、脅威を与えないような軍備だったら持つことが意味がないではないか、脅威を与えるからこそ戦争抑止力になるのであって、脅威を与えないようなものだったら持たない方がいいと思うのですけれども、その辺についての防衛庁長官のお考えをお聞きしたいと思います。
  197. 伊藤宗一郎

    国務大臣伊藤宗一郎君) 御質問にそのままお答えにはならないかと思いますけれども、私どもがとっております防衛基本政策は、侵略に有効に対処し得る質の高い防衛力を保持し、そして侵略に対しては手痛い打撃を与え得ることにより侵略の企図をくじき、侵略を未然に防止することにあるわけでございまして、わが国は平和憲法のもと専守防衛に徹して自衛のため必要最小限度の範囲においてこのような抑止力となるような防衛力整備を行っているところでございます。  わが国が他国に脅威を与えるような防衛力を保持しないという意味は、わが国が他国に侵略すると見られるような防衛力を保持しないということでございまして、先ほど私が申し述べたような考え方のもとで侵略を有効に抑止し得る防衛力というものを整備してまいりたいというのがわれわれの基本的な方針でございます。
  198. 柳澤錬造

    ○柳澤錬造君 長官ね、長官自身がその答弁をなさっておって、自分の胸に落ちるのですか。侵略されたならば手痛い打撃を与えるようなという御答弁なさるのでしょう。攻め込んでこられたものに手痛い打撃を与えるような軍備なり装備なりを持つということは、それは相手の国にとっては大変脅威なことじゃないのですか。  そして脅威を与えないというのは、これはこの前も総理にも言ったのだけれども、あの人もわからないのだけれども、脅威に感じるか感じないかは相手の国のことなんですよ。何でそんなことが日本の国の政府なり総理大臣が判断できるのですか。相手の国が日本のいま持っているそういう軍備なり装備なりでもって、あんなものだったらへっちゃらだと思うか、大変おっかないなと思って脅威に感じるかなんですよ。少しも脅威に感じないようなものを持っておって、それで防衛庁長官、少なくとも日本の三軍の指揮をするわけだけれども、向こうから攻めてきたときには手痛い打撃を与える、そんなことがどうしてできるのですか。  もう少し肝心なところを——先ほどあなたもミッテラン大統領のお話も聞いてきたと思う。外国へ来たのですからミッテラン大統領だって多少は外交辞令的な話はあるけれども、それは防衛庁長官よりかよほど率直な話をするじゃないですか。少なくともあなたは日本の内閣の防衛庁長官なんですから、そういう意味に立って私たちが聞いていることに率直にお答てをいただきたいと思うのです。もう一回御答弁してください。
  199. 伊藤宗一郎

    国務大臣伊藤宗一郎君) もちろん脅威を感ずるのは日本以外の国でございます。ただわれわれはそういうような他国に脅威を与えないものと与え得るようなものでないというようなものをつくり上げたいというのは、日本の政府なり防衛庁なりが自主的に判断をして、そういう観点のもとに防衛力整備を続けておるわけでございます。また手痛い打撃、侵略の企図を持った国があるとするならばそういう企図をくじくような、そういう企図がくじかれるような、そういう抑止力としての防衛力をわれわれは目指しながらいまつくっておるということでございます。
  200. 柳澤錬造

    ○柳澤錬造君 別に私軍事的な機密のことを聞いているのじゃないのであって、いつも国会の中でいろいろのことが議論を呼ぶ。F4ファントムにしてもそうなんです。議論を起こして混乱を起こすのはあなた方の答弁が悪いからそういうことになるのですよ。だからその辺のところがもう少し防衛なら防衛、そういうものの基本的な理念をきちんとしてほしいということなんです。  それで、そこのところはまだ納得しないのだけれども、もう一歩今度は具体的に聞いていくのですが、専守防衛立場にあることはこれはもういつも長官も言われるとおり。その専守防衛立場に立って、いよいよソ連がSS20をアジアに配備したことも御存じのとおり。それももうお答えになっているのだが、あのSS20が万が一の形でこちらへぶち込まれたときに少なくともマッハ六で飛んでくるのだけれども、いまの日本防衛体制でそのときにはどの辺でそのSS20の飛んでくるのが発見されて、どのような具体的手段、方法でそれを防ぐのですか。
  201. 塩田章

    政府委員塩田章君) SS20によります核攻撃をもし受けるとしました場合に、日本はそれをどうやって具体的には防御するのかというお尋ねでございますが、率直に申し上げまして核につきましてはアメリカの核抑止力にまつという考え方をとっておるわけでございますが、具体的な防御対策という意味でのお尋ねであれば、現在われわれはSS20の攻撃に対しまして具体的に対処する方法はないということでございます。
  202. 柳澤錬造

    ○柳澤錬造君 局長大変率直で、そのことのいい悪いは別として、しかしいまの日本防衛体制でSS20を防ぐ手段方法は持っておりませんということでしょう。  もう一つ、じゃバックファイアの場合、あれはまだそんなに速くはないからだけれども、来られたときの防ぐ方法というのはどういうことを考えているのですか。
  203. 塩田章

    政府委員塩田章君) バックファイアの場合は、わが国の防空圏内に来ました場合に現在のF15をもってすればこれは対処できるというふうに考えております。
  204. 柳澤錬造

    ○柳澤錬造君 それからこれは防衛白書の中でも言っていることですけれども、専守防衛立場に立って外部からの武力攻撃を受けたときなるべく海上でもって阻止しようといういわゆる水際作戦ですか、これが防衛庁がお立てになっている方針なんですが、このことも具体的にそういうかっこうで外国からの侵略があったときに、その水際作戦と言われる作戦というものが具体的にどういうような手段方法がとられていって、そして食いとめるということができるようなことになっているのかということ。
  205. 塩田章

    政府委員塩田章君) 具体的な作戦計画といいますよりも一般論としてお答えをいたしますと、洋上で相手国の船団が日本に向かってきておるという段階から申し上げますと、やはりまず第一には、航空機部隊はF1等を中心としました部隊がこれに対処するというのがまず第一段階。もちろんそのためには要撃戦闘機部隊によるエアカバーが要るだろうということはこれは前提として考えられますが、船団そのものに対しましてはF1を中心とした対地支援機部隊、それと同時にあるいはそれに前後しましてわが方の潜水艦あるいは水上艦艇等による防御ということも当然考えられます。さらに近づいてくるという場合には、まだわが国にはありませんけれども、地対艦誘導弾でありますとか、それから現在でいいますと魚雷艇部隊、将来もし構想が実現できると仮定しますと、ミサイル艇みたいなものができればそういったミサイル艇部隊といったものがその次の段階で対処するということになろうかと思います。  さらに近づいてくるということになりますと、上陸予想地点がある程度想定されますと、その前には機雷をもって阻止するということも一つ考えられます。さらに近づいてくるということになりますと、相手方の船団から舟艇に乗り移って上陸部隊が発進するあるいは上陸部隊が海岸に達する間、いわゆる水際でございますが、その間がやはり一番相手方の弱い時期でございますからこの間に集中的に、もちろんまだ航空部隊による攻撃もありましょうし、それから地上からの対舟艇対戦車誘導弾部隊もございますし、地上からのそういった抵抗が考えられます。  いよいよ上陸してくるという段階になりますと、地上のいわゆる戦車なり火砲なりそういったものも有効射程の範囲に入ってくればこれに対処する。さらに上陸をすればそれに加えまして対戦車ヘリコプターとかいったようなものも相手方の戦車部隊に対しては考えられますというようなことがいろいろ考えられますが、こういったことは非常に一般論として申し上げたわけでございますが、そういったいろいろな形の段階で抵抗して、でき得べくんば相手を上陸させないで防ぎたいということがこれが一般的な考え方として言えるかと思います。
  206. 柳澤錬造

    ○柳澤錬造君 防衛庁長官、いま局長がこういう場合さらにさらにとこうお話なさっておったのだけれども、そのとおり来てしまえばもう上がってきちゃうわけですよね。それを上げないでもって、いわゆる水際作戦というのを日本の専守防衛立場に立った大きな柱にいましているわけだけれども防衛庁長官、いま局長がお話しになったさらにさらにというどの地点でもって武力行動のそういうことを発動なさることを総理に言って発動するお考えですか。
  207. 伊藤宗一郎

    国務大臣伊藤宗一郎君) わが国に対する武力攻撃の発生の時期、これをどう見るかということでございますけれども、これは侵害のおそれのあるときではない、またわが国が現実に被害を受けたときでもない、侵略国がわが国に対して組織的計画的な武力による攻撃に着手したときであります。この着手した時期が具体的にいつということにつきましては個々の事態に応じて判断されるべきでございまして、この時期にいわゆる防衛出動というものを下令するようにわれわれは総理なりそれぞれの手続をとらざるを得ないということだろうと思います。
  208. 柳澤錬造

    ○柳澤錬造君 私の聞いているのは、洋上にある間に、ああこれは日本の国に攻め込むなあと思ったらそういうことを発動するのか。それとも洋上は公海上だからじっと見ておって、もう領海に入ってきたら、もうわが国の領海に入ってきたから断固と言って武力行動の発動をさせるのか。それとももう領海に入ってもじっと見ておって、それで上陸用舟艇で上がってきていよいよこれはもう本土の日本の国土に入ってきたからといってやるのかという、そこのあなたがその決断をするとしたらどの時点でそれをなさるかということを聞いているんです。
  209. 伊藤宗一郎

    国務大臣伊藤宗一郎君) それは一にかかってわが国に対して組織的計画的な武力による攻撃に着手したものと判断するかどうかにかかっておりますけれども、これは個々の事態がいわゆる大変な千差万別でもございますので、洋上、公海、領空、領海、いずれの場合ともそういうことの場所の問題でなしに、そういう具体的に組織的計画的な武力による攻撃に着手したということの内容なり形勢なり情勢を私どもが判断をしたそういう時期にしかるべき下令の手続を進めるということでございます。
  210. 柳澤錬造

    ○柳澤錬造君 時間ないからもうやめますが、長官ね、あなたがいまそういう答弁なさるのなら、その長官が答弁なさるようなことはどういう段階ですかと聞いたらお答えできるのですか。私が聞いていること以上にいま長官の御答弁というのはむずかしいことを言っているのですよ。何で、それこそさっきのあれと同じで、相手さんがたくさん船がいたって攻撃の意図を持っているか持っていないかって何でそんなこと判断できるのですか。現実に相手が何らかの行動を起こしたときに判断するしかないでしょう。専守防衛と言うのだから。  だから、もうちょっと防衛庁長官なら防衛庁長官として、いま景気が不況でもって経済の成長率の問題もこの前も盛んに議論したのだけれども、それ以上に大事なことなんですからね。その辺の決断をするときにはできるような長官であってほしいし、そのことができないというならば、それは防衛庁長官、もうやっぱり辞表を書いておやめになることです。  それから次にお聞きしたい。これは局長の方で結構だけれども、いまアメリカなりソ連の潜水艦の水中のスピードというのはどのくらいですか。トライデントでも何でもいい。  それで、今度は一緒にもう聞いておくけれども日本の護衛艦の方はどのくらいのスピードを持っているのか。
  211. 新井弘一

    政府委員(新井弘一君) お答えします。  まず米国の原子力潜水艦の水中速力でございますけれども、攻撃型、たとえばロサンゼルス級の場合は三十ノット以上、それからSLBM搭載型ラファイエット級の場合約三十ノットというふうに理解しております。それからソ連の原子力潜水艦の水中速力でございますけれども、攻撃型の場合は四十二ノット、それからヤンキー級といいますSLBM搭載型の場合、三十ノットと言われております。  それからわが国の護衛艦の速力でございますけれども、これは種別により若干異なりますが、たとえばいま先生がおっしゃいましたが、ヘリコプター搭載護衛艦の「しらね」、あるいはミサイル搭載護衛艦「たちかぜ」型、いずれも約三十二ノットでございます。それから今後護衛隊の中核となる予定の護衛艦「はつゆき」型、この速力は約三十ノット、そういうふうに理解しております。
  212. 柳澤錬造

    ○柳澤錬造君 私が申し上げたいのは、潜水艦が水の中もぐってでも三十ノットから四十ノットもういまの新しいのは走る。それでいわゆる対潜哨戒機がいまP3Cが入ってくればかなりのところも発見が可能にはなってくるけれども、P3Cがここにいまいるぞといって発見したからといって、こちらでもって追いかける護衛艦の方が三十ノットそこそこではもう追いつかぬわけですね、すぐその上にいれば問題ないけれども。ですから、そういうようなことなんかも今後の課題としてどういうふうに対処をするのかお考えをいただき、また機会があるときに御説明を賜りたいと思う。  それから、海上自衛隊の護衛艦というのは日本の場合には軍艦としての待遇が与えられているのですかいないのですか、国際的に、国内的に。
  213. 夏目晴雄

    政府委員夏目晴雄君) 一般的に護衛艦が軍艦の待遇を与えられているかどうか、まず国際法的に申し上げれば個々の条約なり協定の内容によってそれぞれ異なると思います。  それから国内法的について簡単に申し上げれば、自衛艦、護衛艦はあくまでも自衛艦であり護衛艦であって軍艦そのものではない。ということは現在の自衛隊は軍隊と性格が異なるものがある、言うなれば憲法の制約、自衛隊法による制約というものがあって、いわゆる外国の軍隊と全く同じものではないということに起因するものと思います。ただし自衛隊法の百八条なり百十条によりまして一般の船舶とは異なった取り扱いを受けているということがございます。  それから条約については先ほど申し上げたとおり個々の条約で軍艦として取り扱われるかどうか決まるわけですが、一般的に私どもの護衛艦が外国へ行った場合、たとえば教育訓練で行った場合、遠洋練習航海で行った場合等は実質的に軍艦としての取り扱いを受けているというのが実情でございます。
  214. 柳澤錬造

    ○柳澤錬造君 時間がないですからもう簡単にお聞きをして、防衛施設庁に簡潔にお答え賜りたいのですが、岩国基地の沖合い展開について、これはもう施設庁の方でも四十八年ごろからいろいろ予備調査をなさって、五十三年ごろからさらに補測調査とかいろいろずっとやられてきて、ほぼもう結論が出る段階になっていると思うのですけれども、この沖合い展開ということについてどういう御見解をお持ちなのか、そのことを、あれだけ地元から長い要望があったのでおやりいただけるのかどうか、その辺をお答えいただきたいのです。
  215. 吉野実

    政府委員(吉野実君) 詳しくは説明いたしません、先生よく御存じのようでございますから。  つまり沖合い施設が技術的に可能かどうかということを長い間かかって調査をいたしました。それは膨大な金がかかるということで、これではなかなかむずかしいだろう、こういうことになって五十六年度の調査において沖合い施設について障害の緩和、危険の防止というような点からとり得べき経済的効率的な方策というもの、措置はどういうものかということを調査をいたしたわけでございます。五十六年度で出てまいりまして、委託調査でございますから、それで私の方はそれをいま取りまとめております。取りまとめた結果、われわれの方でも慎重に検討をして防衛施設庁としての考え方をまとめます。その時期は、恐らくまだこれからですけれども、六月に入ってからだと思いますが、それ以後関係省庁調整をいたします。  ですから、いまここでどういう方向で何をやるのだ、あるいはやらないのだということを言うのはちょっとまだ尚早だと思いますが、そういうことにしてやることになれば概算要求に間に合うように、やらないようになった場合にはそういう調整もせなきゃならぬということで、いまここで断定的なことは申し上げられませんが、概要その他についていまのとおりでございます。
  216. 柳澤錬造

    ○柳澤錬造君 あと一分しかないので、それは施設庁長官、私も経過よく存じておりますし、長官の方もよく存じておると思いますので細かいこと触れません。だが、先ほども言いましたように長いことかかってあの地元の人たちが要望して、現実に何回も事故もあったことなんですから、そういう点から立つならば最終的な結論を出すところに来たのですから、そういう点ではやはりぜひとも地元の要望を受け入れて沖合い展開という、そういう結論になるようにしてあげていただきたいということを要望して終わります。
  217. 秦豊

    ○秦豊君 最初に外務省に伺います。官房長官に二、三伺いましたので、欠落したところだけを一点、対韓援助問題。  輸銀と円借款、その他のバンクローン、三位一体の組み合わせなんだけれども、いずれについても目下の方針はすべてそれらにひもをつける、言葉は余り上品ではないけれども、そうしてひもをつけてタイドローンとする。そして拘束をし、資材とかサービスの提供はわが国からのみに特定をする、発注はもとよりわが国からというふうに限定をする方向でいま策定されているのかどうか。この点どうでしょう。
  218. 長谷川和年

    説明員長谷川和年君) お答えいたします。  韓国に対する経済協力の問題につきましては、先方から出されました案件につきまして現在わが国の財政事情等……
  219. 秦豊

    ○秦豊君 途中を省いてください。
  220. 長谷川和年

    説明員長谷川和年君) はい。  その各プロジェクトの内容、それから性格等を勘案しまして円借款とか輸銀とか、こういった内容で対応するということを目下検討しておりまして、具体的な内容についてはまだ現時点においては関係省庁間の協議が詰まっておりませんので、一応こういうことで御了解いただきたいと思います。
  221. 秦豊

    ○秦豊君 長谷川さん御苦労だけれども、まあ時間があれば、あなたの答弁なんかとんでもないので、一点にこだわると十七分費やすからやめるのだけれども、大方の大方向はタイドローンじゃありませんか、あなた。通産も支援し財界も支援し、プロジェクトはもうちらちら浮かんでいるでしょう、各会社の名前まで。冗談じゃありませんよ。これからそのことを含めて調整なんという答弁は当委員会では通らない、権威ある安保特別委員会では。外務委員会でも通らぬでしょう。あなたの答弁は実態とずれている。偽りの答弁、あえて言えば。そんな答弁納得するわけにいかぬ。  じゃ、私の言ったことを否定されますか。
  222. 長谷川和年

    説明員長谷川和年君) お答えします。  ただいま関係省庁間で検討しておりますのは、具体的な案件の内容、そのフィージビリティーとかこういった問題、それから全般的にどの程度費用がかかるか、そういった非常に一般的な問題を検討しておりまして、それについてもまだ結論が出てないというところでございます。したがって、そういった輸出入銀行その他の細かな問題等については、まだ政府としても関係省庁としても具体的な検討に入る段階にはございません。
  223. 秦豊

    ○秦豊君 じゃ、あなた結構です。御苦労さまでした。  外務省、松田さんでしょうか。一部報道でハワイの定期協議は七月十九日というふうなことが散見されましたけれども、あれは日本側の一方的な願望なんですか。ワシントンの感触を確かめて合意に近づいているのか、あるいは日にちまで合意しているのか。ならばいつか、この点はどうでしょう。
  224. 松田慶文

    政府委員(松田慶文君) 本年の安保事務レベル協議はおおむね七月中下旬にハワイにおいて行うという方向で米側と詰めておりまして、御指摘のような私どもの一方的な期待、願望ではございません。双方の調整事項と御了解いただきたいと存じます。
  225. 秦豊

    ○秦豊君 そんなのんびりはしていないでしょう。調整はかなり進んで、いま第一候補、第二候補、シナリオはあるのじゃありませんか。
  226. 松田慶文

    政府委員(松田慶文君) 御答弁申し上げたとおり、七月中下旬、報道にございました日も含めてそのかいわいでのフィージビリティーをただいま詰めております。
  227. 秦豊

    ○秦豊君 日本はちょっとおくらした方が対応がかなり十全、また十全でもないが一応と。だから十九日というのはいい線だと思いますが、違いますか、松田さん。
  228. 松田慶文

    政府委員(松田慶文君) いい悪いは御主観の問題かと存じまして、私どもは事務的に双方の都合、いろいろな勘案事項を取り込みましていま検討をしておるところでございます。
  229. 秦豊

    ○秦豊君 これ以上はむだでしょう。  今度は安保条約の厳密な条約解釈からすると、これはちょっと政治次元に入り込むというふうな逃げの答弁も用意されていると思うが、中東有事ないしそのおそれがある事態、シナリオというのは、安保条約における六条事態とはどうかかわりますか。全く無縁という解釈が正鵠なのか、あるいはその周辺という解釈は政治解釈を含めてあり得るのか。どうでしょう。
  230. 栗山尚一

    政府委員(栗山尚一君) 中東と極東、安保条約でいう極東あるいは極東の周辺という問題とどういう関係があるかということにつきましては、一昨年の衆議院の予算委員会以来累次政府が御答弁申し上げているとおりでございまして、もちろん中東というものが極東の範囲に入るということはない、安保条約の極東の範囲については従来から政府の統一見解で申し上げているとおりであるということでございます。  それから、極東の周辺という問題については、これも従来から政府が申し上げておるとおりでございますので、ここで改めて詳しく申し上げることはいたしませんが、結論として中東との関係につきましては、一昨年の答弁以来累次政府が申し上げておりますように、現実の問題として、中東の紛争というものが安保条約でいう極東の平和と安全に直接かかわり合うというような事態というものは考えられないということは従来から申し上げているとおりでございます。
  231. 秦豊

    ○秦豊君 それが常識的解釈であろうと私も共感します。  ただしアメリカ軍部の感覚は違う。中東有事のおそれの段階から海峡封鎖の強力な要請を展開すると思う。これは国家のデシジョンメーキングとしては非常にデリケートでかつ重要であると思う。したがってわが国が侵攻の危機にさらされたいわゆる五条事態ならばともかく、六条事態で海峡封鎖という選択を選び取るということは大変私は問題があるという前提があったから聞いたのであって、防衛庁長官、これは長い答弁要りませんから、中東紛争ないし中東有事のおそれの段階で海峡封鎖というふうな下命はいたさないでいただきたい、こういう私は要望なんだけれども、これについてはどう答えられますか。
  232. 伊藤宗一郎

    国務大臣伊藤宗一郎君) そういうことはいたしません。
  233. 秦豊

    ○秦豊君 それから、元海幕長大賀氏がある刊行物の中でこういうことを言っている。海峡防衛作戦いわゆる封鎖作戦というものは私の長年の軍歴からするとアメリカとの共同作戦あるいは分担がぜひとも必要であると、明言しています。そこで、この対馬海峡の場合などは東と西、この前聞いたら塩田さん、初耳とか調べてみるとか言われたが、チームスピリットでは対馬西を想定した共同訓練をしている。それで、防衛局長は対馬海峡、宗谷海峡とも単独封鎖防衛が可能であるというお考えですか。
  234. 塩田章

    政府委員塩田章君) 海峡の通峡阻止作戦につきましては、どの海峡についてはどういうふうにできるとかできないというふうに一つ一つお答えすることは差し控えさしていただきたいと思います。私たちが言えますことは、ガイドラインにもありますように、海峡防備は海上自衛隊が主体となって行う、それでアメリカ海軍はこれを支援する、こういう形になっておりまして、その形で対処するということだけは言えますけれども、それ以上どの海峡をどうするということは控えさしていただきたいと思います。
  235. 秦豊

    ○秦豊君 あなたの次の防衛局長と詰めましょう、それは。  五十五年十一月二十七日、参議院内閣委員会の私の質問に対して、日米防衛協力、ガイドラインに関連して、こういう答弁がある。設想論の中でですよ。三海峡封鎖については「今後の設想には入り得る。同時に、それは三海峡にとどまらず、シーレーン防衛作戦についても」「今後の課題としてはあり得ると思います。」、こういうこと。その前提は日米双方が関心を抱くすべてのシナリオという前提であなたの答弁がここに明記されている。そうすると、いま本土に対する侵攻は一応終わった、極東有事が戸惑って足踏みしている、このシーレーン防衛と海峡封鎖の問題は日米共同防衛という範疇の中でやがて検討の対象になるという。明言されているのだからそれはやがて浮かび上がってくる次の命題でしょう。それはよもや否定されないでしょうな。
  236. 塩田章

    政府委員塩田章君) あの御質問のときに将来の課題として研究対象になり得るかということでございましたから、それはなり得るでしょうということは確かに答えました。しかし現実にいままでの設想の中ではまだ取り上げておりませんし、いまの時点でこの次に取り上げるとかそういうことをまだ考えておりません。
  237. 秦豊

    ○秦豊君 だけれども、単独はしょせん無理なの。じゃ、C130Hを何機購入できるのですか。きのうからやっている機雷敷設訓練、あれは太平洋戦争当時のレベルですよ。ミニチュア版ですよ、あのトレーニングは。しかもあれがほとんどの戦力です。いいですか。あなたの答弁には無理があり過ぎる。軍事的合理性を全く欠落しているの。ねばならぬからそういう答弁しているの、あなたは。御苦労には存ずるが評価はしない。  やがて日米共同のアイテムに必ずなるのです。だからあなたはここでわりと大胆に明言しているわけだ。だからこの次の極東有事は足踏みしていつかわからぬけれども、とにかくいつの日かはあり得る。しかもそれは三海峡封鎖、シーレーンをまじめに考えれば浮かび上がってこざるを得ないエッセンシャルなものだ、必須なものだという認識はお持ちか。いかがですか。
  238. 塩田章

    政府委員塩田章君) 結局共同作戦計画の研究でどういう設想をするかということによりまして、いま御指摘のようなシーレーンの問題でありますとか三海峡の問題でありますとか、そういうことをテーマに取り上げる設想の場合は、当然これはもうまさしくエッセンシャルであり得るわけでございますけれども、具体的にどういう設想を立てた研究にこの次の段階で入るかということはまだ決まっておりません。したがいまして、いまの時点で今度入るとか入らないとかいうことを申し上げることはできないということを言っているわけです。
  239. 秦豊

    ○秦豊君 和田さん、ちょっとこちらへいらしてください。  四月九日に経団連が要請文を出しておりますが、その中にFMSの見直しという項目が入っている。したがって、すでに防衛庁としてはFMSについては、たとえば来年度ぐらいからどうするかという方針は初歩的にはお持ちなのか。あるいは全廃をするのですか。それとも全廃できないとすればどういう部分が残るのか。  それから、ロッキード、グラマン両事件、忌まわしい事件再発防止の教訓は、今度また商社が登場するわけだから、どのように生かされようとするのか、少し盛りだくさんだが、簡潔に答えていただきたい、いつものあなたの答弁ではなくてポイントを圧縮して。
  240. 和田裕

    政府委員(和田裕君) 第一点でございます。何らかの案はございません。  それから、FMS全廃するか。全廃いたしません。  それから、ロッキード事件の教訓につきましては、これは御存じのとおり大きなものを買いますときには向こうのメーカーから誓約書をとる、それから原価監査、原価計算等を厳密に行う、そういったことでやっております。
  241. 秦豊

    ○秦豊君 じゃ、来年度もFMSは存続維持、五十八年度、つまり五十九年度もそうなんですか。両三年は現行体制ですか。
  242. 和田裕

    政府委員(和田裕君) FMS自体につきましては、私どもはFMSが非常に絶対いいものであるとは実は考えておりませんで、長所短所ございます。先生よく御存じのとおり、ものによってはどうしてもFMSを利用せざるを得ない、性格によってそういうものもございます。  そういったことでやっておるわけでございますが、FMSにつきましていまこういった見直し論も出ているわけでもございますし、また臨調等においてもそういう話が出たこともございます。そういったようなことも考えまして、今後ともFMSをどこまで活用していくか、どういうふうに維持していくかということについては引き続き検討していきたいというふうに考えております。
  243. 秦豊

    ○秦豊君 それは来年度からということを想定しての検討項目ですか。もっとタームは長いのですか。
  244. 和田裕

    政府委員(和田裕君) 特に来年度とか今年度ということじゃございませんで、常に私どもは調達の場合に最も効率的かつ経済的にやろうということを考えておりますので、そういったことのいわば一環として部内で検討しよう、そういうことでございます。
  245. 秦豊

    ○秦豊君 塩田さんね、二月十七日の私予算委員会の秦質問に対して塩田さんがF1後継機に絡んで三つの選択、塩田答弁、FSXをどうするかという問題は検討にはまだ入っていないけれども「いま御指摘のような」「機種がその時期において議論の対象になるであろう」、その機種というのはF1改、ファントム改、F16等の導入、こういう三つの選択肢を挙げたのだが、その時期というのは、塩田さん、五六中業期間中ですか。
  246. 塩田章

    政府委員塩田章君) まず候補機種が三機であると言った意味ではございませんことをお断りしておきます。
  247. 秦豊

    ○秦豊君 すべてが含まれると言っている。
  248. 塩田章

    政府委員塩田章君) そういった三機が含まれるであろうということは申し上げました。  それから、検討の始まる時期がいつかということを現在まだ考えておりませんが、五六期間中に検討に入るかどうかということでありますと、いま言えますことは可能性としては考えられるということです、可能性としては。
  249. 秦豊

    ○秦豊君 その場合は、塩田さん、いまF16はきのうのF16ならずで、F16Eというユニホームからすればまさに垂涎の的のような新しい機種が新設計で開発されている。これなども含まれると解釈していいですね。
  250. 塩田章

    政府委員塩田章君) 先ほど申し上げましたのは、そういった各飛行機の新しい計画といったようなものを含んで十分検討した上でのお答えではございませんので、16につきましてEへの改装計画があるということは承知しておりますけれども、それを前提にして云々といった段階ではまだございません。まだ本当に白紙的に先ほどのような三機種が考えられるだろうということだけを申し上げたつもりでございます。
  251. 秦豊

    ○秦豊君 それ以上は無理でしょう。要するに五六中業期間中に三つを含めて、まあ一つはスタートしていますし、二つともあるし、ないのはF16だけだから、答弁のニュアンスは酌み取りました。  最後伊藤防衛庁長官、先般も私宮澤さんがこの席におられて、一防衛庁マターではない政府マター、ナショプロという観点からシーレーンの問題を扱った。そこで伊藤長官に、本来なら防衛期待度があってオーダーが上から下に、政治から現場に来るのですよ。防衛期待度、何から何をどう守れ、南西南東。いまないですね。こういう現状についてはあなたまさか満足はされていますまい。おかしい、倒錯というふうな認識は当然おありになってそれが常識だと思います。ならば、あなたも総合安保関係閣僚会議の重要な構成メンバーだから、近く思い切ってやはり総合安保関係会議かないし国防会議に、シーレーンは、夏の七月の運輸省の運政審の答申も出ることではあり、いい契機だからナショナルプロジェクトで取り組んでもらいたい、政府マターでということを正面切ってあなた建議し、献策をし、長期の策定に入るというぐらいの決意はお持ちいただけないかということが一つ。  それから、衆参両院を通ずる関係で、シーレーン論議はまだまだ密度は薄い。そこで、これは委員長並びに各党理事の皆さんにお願いですが、現有の四個隊群、レディネスステージはわずかに一個護衛隊群、これで不幸にして有事を迎えた場合に南西南東両航路について一体どの程度の護衛が可能なのか、口ではなくて資料として当委員会に出していただきたいことが一つ。  それから、防衛計画大綱水準を仮に達成した場合には、わが国の海上防衛についてはこの程度の裏づけができるという防衛庁の今日的な対応を同じく文書にして当委員会に出していただきたいという要望を含めて、それに対する答弁を期待し、善処を期待して終わりたいと思います。
  252. 伊藤宗一郎

    国務大臣伊藤宗一郎君) 秦委員から先般の委員会を通じまして御指摘のありました問題、いま改めて御指摘のありました問題は、私も大変大事なことだと考えております。また、それなりの意見を何人かの先輩政治家に、正式の場ではございませんけれども申し上げたことがあります。  ただ、私の防衛庁長官という立場で正式な建議なり提言がどういう場面でできるものか、やらねばならぬなという気持ちはありますけれども、どういう場面、どういう局面でそういう建議がやれるものかどうか、私自身もいま模索をしながらおるところでございまして、いまそういう気持ちのあることだけは申し上げたいと思いますけれども、どういう場面で、どういう局面でそういう建議なり提言ができるものか、そういうかたいものではなくても、何らかの問題提起をしたいなというような気持ちを持っておることは事実でございます。
  253. 塩田章

    政府委員塩田章君) 資料二点お尋ねがございましたが、まず第一点のシーレーン防衛の能力を文書でもって表現できるような資料はないかというお尋ねでございますが、これはなかなか実際数字であらわすということができないむずかしい問題でございますので、ちょっといまどういう資料にしたらいいか思い浮かびません。ひとつ工夫はさせていただきたいと思いますが、ちょっとむずかしいのではないか、どういう形であらわすかが……
  254. 秦豊

    ○秦豊君 下敷きはかなりありますよ。
  255. 塩田章

    政府委員塩田章君) 工夫させていただきたいと思います。  それから二番目の方の、大綱達成した場合の能力見積もりというような趣旨のお尋ねでございました。これは大綱達成に向かっていま作業をしておるわけでございますけれども、いまの五六中業作業ができてからのことであればある程度のことは考えられる。ただ、それもいわゆる自衛隊の持っている能力、いわゆる能力見積もりに当たりますようなものである場合に秘にわたるようなものがあるかもしれませんので、その辺はちょっと困難かと思います。そういうこともあわせて検討させていただきたいと思います。
  256. 秦豊

    ○秦豊君 委員長よろしくお願いいたします。
  257. 加藤武徳

    委員長加藤武徳君) 資料の提出につきましては、いま秦委員からもお話がありましたし、柳澤委員からも上田委員からもお話がありました。資料提出願います際は、たしか各党の申し合わせで理事会で検討しますような取り運びになっておりますから、政府でもこの点を了承願ってそういう運びにしていただきたい、こういうぐあいに考えます。  本日の調査はこの程度にいたしまして、これで散会いたします。    午後五時四十九分散会