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竹本分科員 実は、私も二十年前に、星島二郎さんや片山哲
先生と一緒にMRAのコーの会合に出たことがあるのです。二十年ぶりに昨年の八月、一週間以上コーに参りましていろいろいい経験をいたしました。そのとき驚いたことは、そのコーの会議に
日本の外交官はだれも来ていないのですよ。
そこで、僕がいま
大臣に要望を申し上げたいと思いますのは、そのコーの会議というのはまことに意味がある会議でございました。まず第一に、政治家会議というのがございましたけれ
ども、その政治家会議には、一昨年は原文兵衛さんが行ったはずです。それから江田五月君も行きました。去年は私一人でございましたが、これは自発的にプライベートに行くわけですが、とにかく行ってみて驚きましたのは、ちょっと国の名を挙げてもいいですが、イギリス、
アメリカ、フランス、ドイツはもちろんのこと、ラオスからもあるいはインドからも、あるいは特にアフリカからはたくさんの人が来ていた。ジンバブエの前の大蔵
大臣も来ておりました。エジプトの前の経済企画庁長官も来ておりました。この人は、話しておるとなかなか気のきいたことを言うので、私は、あなたはどういうキャリアの人かと聞いてみたら、経済企画庁長官だったと言われたので、びっくりいたしました。マッケンジーさんは、御承知のようにブラント報告を書いた人でしょう。そういうすばらしい大使あるいは
大臣、そういったような政治家がたくさん来ておる。それからさらに、ドイツのショックスさんを初めとして、経済界の有力者がたくさんまた見えておる。そのほかに、インドではマハトマ・ガンジーさんの孫の人が、いまジャーナリストですが、来ておりました。
そういうわけで、とにかくわれわれが会いたいと思うような人、意見を聞いてみたいと思っておる人が何百人とおるわけですから、とにかく毎日、朝昼晩、三回の食事のたびごとに相手をかえて、大体二時間近く話ができる。こんなありがたい場はないですね。一ところへ腰かけておって、飯を食いながら、その間にまたいろいろミーティングはありますけれ
ども、飯を食うことを中心にしながら、毎日五、六時間、聞きたい人、そういう相手と話ができる。そういう場を提供しているわけです。そこで、ここに
日本の
外務省からだれも来てないのは一体どういうわけかということを、これはよく
外務省で調べてもらいたいですね。というのは、あんな一ところで
世界じゅうの情報がわかる場所はないと思いますよ。
私は、例を少し申し上げます。たとえば、フランスの政治家が来た。これは保守党の政治家ですよ。それで私は、フランが切り上げになることはないかとまず聞きました。そうしたら彼は、いやいや、フランの問題どころではないのだ、いまフランスではナショナリゼーションの問題が根本問題だということで、ミッテランの国有化、国営化の問題について二時間ほど話をいたしましたが、これはそれなりに非常に参考になりました。
また、イギリスの政治家とはアイルランド問題というようなものを中心にいろいろ話をいたしました。また、大東亜戦争を始めなければならないところへ追い込まれた
日本、あるいは追い込んだイギリスの反省ということについて非常に詳しく話を聞きまして、向こうさんの方から、
日本をああいう立場にまで追い込んだことはわれわれとしても責任があると言ってまず謝られて、私の方がちょっと面食らったくらいです。そういう政治家もおる。
ドイツは、実業家の産業人会議に私も出て会ったのですが、ショックスさんは、ドイツの経済はこの一年間に様相がまるっきり一変したということを言いまして、非常に正確な数字でスピーチをやりましたので、早速私が会見を申し込んで話しまして、ドイツ経済が今日抱えておる経済の悩みと矛盾というものを、私も非常に勉強になる話を聞きました。
さらに、いまのアフリカの問題あるいはインドのガンジーさんの孫は、中ソの関係について非常にいい話をいたしました。それからまた、ある人はイスラエルの問題について非常にいい話を聞かせてくれました。
とにかく、同じ場所で一週間で二十人ばかりの人とゆっくり懇談ができて、話ができるのですから、こんなありがたいところはない。もし
外務省の相当な人がそこへ行って、それぞれの政治家に会見を申し込んで情報をとるなりPRをするなりやれば、こんなありがたい場所はないと思うのですね。それがだれも来ていない。たまたま後でジュネーブの書記官がやってまいりましたが、これは私を迎えに来てくれたわけでございまして、そのときに最後になってわかったのは、そこのダニエル・ムッツーさんというスイスの理事長さんと、彼はどこかの機会に会合で知っておったという仲でございましたけれ
ども、しかし会議には出てきてなかった。
そこで、
大臣に私が申し上げたいことは、今度江崎さんが
アメリカへ行かれましたけれ
ども、そういうようないろいろな議員外交その他あって結構ですけれ
ども、すそ野を広げ、日ごろのお互いの知り合いあるいは信頼関係をつくるという意味において、ああいう
政府機関でない、プライベートというかボランタリーというか、そういう会合に出ていろいろな友人をつくるということは、最も有効適切な外交の基礎になると僕は思うのです。そこで、来年あたりから、ことしもあります、八月には必ずあるのですから、ひとつ
外務省からは適当な人を、個人の資格でしょうが、ぜひ出してもらいたい。
それからもう
一つは、
外務省の研修生あたりは、ああいうところへ参りまして、英語の勉強にもなりますし、外国の人の
考え方もわかるし、それからいまは南北問題が非常に大きな課題になっておりますが、ミーティングではそういうものが多い。しかしながら、南北問題に対する理解の問題も含めまして、ひとつ外交の必要な基礎知識なりというものを身につけるように、研修生あたりをそういうところへある意味で派遣することはできないものか、そういう点についてひとつ御意見を伺いたい。
〔主査退席、宮下主査代理着席〕