○
木下分科員 大臣の方から考えるとそういうふうになるのでしょうけれ
ども、
農家がもっとがんばればいい、もっと意欲的にやればいい、親御さんが自分自身も自信がないから子供にも勧めない、もっと自信を持ってやればいい、それは無理な御注文だと私は思うのです。
私自身が日ごろから仲よくして一番
農業問題を一諸に話している
人たちは、まだ若い、三十代です。一生
農業をやっていこうとする本当の専業
農家の若い
人たちと話しているのです。この一番
中心になる
人たちが、
農業のことをいろいろ考えたけれ
どもやはりやめるのが一番いい、こう言いますよ。これ以上の意欲を持ってやれと言うのは不可能だと私は思います。
それから教育に
原因がある、教育して、いやな仕事だろうと何だろうと
日本の
農業は大事だからそれに犠牲的になってやるような人間を育てるのが教育だとしたら、これはいまの実情に合わない教育だと思います。もっと別の次元からとらえて、なぜ
農業の後継者が出てこないのか、どうしてあなたは
農家に生まれ農地も持っていながら
農業をやろうとする意欲が出ないのかというこの
原因を、
大臣、もう少し
研究してください。私はそんなところに
原因ないと思います。いまの
農業には将来に
希望が持てないからやらないのだと思います。
私もかつて自分の職業を選んだことがあります。そのときに、やはり人間というのは若いうちに苦労して将来楽をしたい、だんだんよくなるものを選びたい、若いころ苦労していれば将来安定するものを選びたいというのがあたりまえのことであって、その気持ちを超えておまえは
日本の
農業のために犠牲になれとは言えないでしょう。そのときにいまの
農業にそんな
希望が持てますか。ミカンをつくろう、つくる、それがいいかもしれないと思ってつくっていれば、余るようになる。肉牛を育てようと思って、何年もかかりますよ、何年も育ててやっと少しできるようになったかと思ったら、もしかしたら輸入枠をふやされるのではないか、こういうような
状況で、若い人にどうして
農業を自分の生涯の職として選べと言えますか。職業としての
農業を選ばせるためには、もっと長期にわたって明確なビジョンを持って、安心してこの職業につける
状況をつくらなかったら
日本の
農業後継者は絶対にふえないと思います。
それから、
大臣の言われたようなりっぱな
農業の指導者が何人かいます。そして、これまでの何年間かをその核になって育ててきた人が大分に何人かいます。私が申しているのは、その
人たちが、
木下さん、もう
農業はやめた方がいい、私は若い人に
農業を続けることを勧める自信がない、こう言っているのです。
大臣の言われたその理想とするような人が、みずからそう言っているような
時代になっている。この認識をもっと深刻に受けとめてもらって、国民に向かって数字を挙げて、いま
日本の
農業は非常
事態に来た、やるだけのことをやったけれ
どもこのままいったらとんでもないことになるという宣言を
大臣にしていただきたい。どうかこの問題は
大臣一度じっくり考えていただいて、将来のことを考えていただきたいと思います。どうぞよろしくお願いします。
時間がありませんからあと少し先の問題をさせていただきたいと思います。時間の
関係で少し飛びますけれ
ども、一番先に漁業の問題をやらせていただきます。
大分県だけではなく、いろいろなところの沿岸漁業は漁獲法がいろいろ
近代化されまして、乱獲等のため水産資源が枯渇してきています。このままでは、せっかくとりたくても、漁法が幾ら発達しても魚がいないというような
状況で、稚魚を放流して育てようという方向に向いていると思います。昨年は第一回の豊漁祭を大分県でやらせていただいておりまして、大分ではそういった機運も大変できておりますけれ
ども、せっかく放流した稚魚が順調に育っているかどうかがなかなかむずかしい。これが育つためにはやはり
二つぐらいの大きな援助というものがあるだろうと思っています。その
一つが魚礁を積極的に拡大することであり、もう
一つは保護区域を設定していくことだと思うのです。
この魚礁について、コンクリート等工
作物で相当な資金のかかるものをやっておられるようですけれ
ども、もっと安価で需要に応じられる方法があるのじゃないか、もしくはもっと積極的にやっていくことができるのじゃないかと思うのです。たとえば、これはちょっと環境面やらいろいろあるから私自身も
検討した上で申し上げているわけじゃないのですけれ
ども、勝手に実験することができませんので政府の方でも御
検討を願いたいと思うものに、古タイヤとか廃車等で安価に魚礁ができないものだろうかという漁民からの声を聞いているのです。この点お答えいただきたいと思います。