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簑輪分科員 私は、コンピューターに関連する
幾つかの問題をお尋ねしたいというふうに思います。
最初にちょっと
概要を申し上げてみたいと思うわけで、しばらくお聞きいただきたいと思います。
わが国のコンピューターは、ここ十数年の間に非常に著しい
成長を遂げて、保有台数では
アメリカに次ぐ
世界第二位というふうになってまいりました。今日、
経済社会の多方面に
影響力が及んできています。
政府はこれに対して積極的な振興策をとり、その開発のために莫大な補助金を出すなど、それから今後も第五世代開発のための
予算が組まれ、五十七年度
予算は対前年度比二十八・四倍という四百二十六億円を計上しております。ほかにも、融資とか
税制とかいろんな面で至れり尽くせりの手厚い配慮がされております。
財政再建ということで軒並み福祉や教育などが削られている中で、異常ともいうべき大企業優遇の施策であって、きわめて不当であるというふうに私は
考えております。
こうしてしゃにむに開発を進めてきたコンピューターですけれ
ども、今日、このディスプレイ端末機、VDTと言われているものが一体どれくらいあるのかわからないというほど各職場に広がってきております。航空界、
新聞、銀行、
金融、証券、官庁、社会の隅々に大量に普及されてきました。そのために、このディスプレイの端末機を見ながら仕事をするという人々もずいぶんふえてまいりまして、システムエンジニア、プログラマー、オペレーター、キーパンチャー、いろいろありますが、急速にふえているという
状況です。
それで、これらの人々の間にさまざまな健康障害の問題が発生して、またその危険も指摘されるようになってまいりました。新しい分野であるだけに新しい問題も生まれてきているわけです。この問題を理解する上で、こうした実態の一部を申し上げますと、
外国でもいろいろな問題がすでに出ております。
データメーションという雑誌の八一年五月号によれば、
アメリカでは、IBMの機械に関連して、レーザープリンターのトナーの中に含まれているトリニトロフルオレンというのが発がん性のおそれがあるというようなことを指摘して、これは近々解決される
見通しというふうに聞いております。カナダでは、トロントスターという
新聞社で働く四人の婦人が、四人とも障害児を出産したというようなことが報じられております。また、オンタリオ州の
政府で働く婦人の労働者、このビデオディスプレイの前で働く婦人も白内障を起こしたというふうにも言われております。そのほか、このVDTによっては眼精疲労、頭痛、背筋痛、こういった
調査があるということを伝えております。ウォール・ストリート・ジャーナルの八〇年の十月二十七日号によれば、VDT労働者たちは眼精疲労、視力減退、目まい、首、背、足の痛みなどに悩まされている、それから、頭痛や目のちらつきよりもさらに心配な問題は、端末機が有害な放射線を出している可能性があるのではないかというようなことを伝えております。
こうした問題が生じるのは、ビデオディスプレイ自体のスクリーンの上の電子ビームによるちらつきを初め、照明や採光、作業時間、姿勢などの作業環境から生じてくるというものもございます。その結果、視力低下、眼精疲労、胃腸障害などというのも起こしているということです。
このオンタリオ州
政府の前職員のダーレン・ワイスさんという人は、白内障を起こしたということで賠償の訴え、裁判にまでなってきております。彼女を診察した医者は、これはVDT使用の結果であるというふうに言っておるわけですが、放射線との関連が問題にされていくと思います。一方、トロントスターの四人の婦人労働者の、人、キャシー・ボーリングさんという人は、心臓に障害のある息子を持ったわけですけれ
ども、放射線は一度に有害な量を出さないかもしれないけれ
ども、蓄積効果があるのではないかというようなことを語っております。
こうしたいろんな問題がこのVDTから発生してきているわけですが、
日本でも、電算労、電算機関連労働組合協議会の職場アンケートによれば、健康であると自覚するような人々が年々減ってきておりまして、一二・五%という記録になっています。特に著しいのが視力が落ちたという問題でして、システムエンジニア、プログラマーでは四三・九%、オペレーターでは四六・二%、パンチャーでは四七・二%が視力が落ちたというふうに訴えております。そのほか、胃腸の不調や目が疲れる、疲れが取れない、いらいら、集中力や根気がなくなったなどというようないろんな症状があるわけです。プログラマーになって三年たつある女性は、三年前には視力が両方とも一・五だったのに、いまは〇・一と〇・二になってしまったというふうに訴えています。また、電算労アンケートでは、残業の問題でも、一カ月に最高四百三時間、三カ月連続百五十時間以上というような人のことも報じております。これらが健康破壊につながるであろうことは当然のことだろうと思います。
こうした実態に対して、すでに
対策もあちこちでとられ始めている例がございます。
アメリカでは、NIOSH、国立労働安全衛生
研究所というところで目の検査あるいはオペレーターに一時間ごとに十分間の休憩をという勧告をする運びというふうに聞いておりますし、西ドイツでは、生命保険会社で労使の合意で、妊婦はVDTオペレーターから外す、その仕事につかせない、それから、一時間の仕事の後十五分の休憩、一日では六時間以上仕事をさせないというようなことが双方で合意されているというふうに伝えられております。
日本航空でこの問題がいろいろと指摘されていることも御承知かと思いますが、一九七一年からいろいろ
調査や
研究がされておりまして、目の疲労をなくすために作業環境、照明や採光などの問題がいろいろと改善をされてきているようです。特にテレビ画面のCRTというのについては、見やすい文字とか色とか、ちらつき防止装置とか画面反射を防ぐつや消しのブラックフェイスマスクとか、画面の角度、反射防止フード、それからつや消しのキーなどいろいろと工夫がされたわけです。ディスプレイ作業のための机といすの
関係などのためにもワンタッチで操作するいすを設備するなど工夫がこらされてまいりました。一方、作業時間や休憩についても、昼休み時間以外に休憩をとる、体操をする、十五分や二十分のコーヒーブレークを別室でとるとか、そういういろいろな改善措置がとられてきました結果、四十八年には六、七〇%目の疲れがあると言っていた人が、五十五年の
調査では二三%に減ってきて、適正な
対策を講じることがいかに効果的であるかということを示している。
このことは朝日
新聞でも報じられているわけですけれ
ども、VDTにまつわるこうしたいろいろな問題があって、いまや放置できないところに来ているのではないかというふうに思います。そして
行政の面でも、これに対し何らかの適切な
対策がとられるべきだというふうに
考えておりますが、こういった事実を十分認識しておられるかどうか、そして、それに対する
対応はどうか、通産省、労働省の御
見解を承りたいと存じます。