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武田分科員 皆さん方は、
観光開発のいろいろな
効果はよく
御存じだと思いますが、私も少し勉強してみますと、大変な直接的な
効果があるということを改めて再認識いたしました。まず、大体七つか八つぐらい一応出てきたわけでありますが、
一つは
観光客の
消費の支出による
所得の
向上というのが考えられる。これは
地域の福祉の
向上というものにもつながっていっている。それから
観光産業への
雇用の
機会の
増大、これが非常に大きいということ。要するに地元で働く
方々がふえているということ、これは顕著に出てまいります。それから、その影響が
近傍都市への就業の
機会の
増大につながっているということ。
雇用の問題について、これは間接的なものになりますが
効果も出てくる。さらに
地方産業の
振興やあるいは
伝統芸術の
振興、そしてまた、こういうものが大きく育っていく、
てこ入れされるきっかけにもなっている。もう
一つは、そういうものが活発になってきますと、そのところに住んでいる住民の中にある
辺地意識といいますか、
僻地意識というものが改善されていっている。そしてもう
一つは、
観光開発の
投資による
経済波及がまた非常に大きい、こういうことでございます。
しかしながら、残念ながら
観光産業に対する公表された
統計的資料がきわめて乏しいというのも事実でありまして、私は、定量的にこうしたものを分析した事例が余りにも少ないことにびっくりいたしました。これでは私は、
観光を今後の
日本の大きな
事業として取り組む姿勢はまことにお粗末だと思わざるを得ないわけでありまして、改めて、その点にひとつ御留意をいただきたいなということを御要望しながら、たとえば、それではどういうふうに
効果があるかというのを数字で申し上げますと、
国内の
観光産業の規模というのは大体十兆円なのだそうでありますが、そのうち
東北は、新潟を入れますと一兆一千億です。約一割でございます。ところで五十四年度ですか、
東北七県の
農業の粗
生産額というのを見ますと二兆二千億です。
観光産業によるものはその半分であります。また、
国内の
農業粗
生産額というのは約十兆円ということでありますから、
観光産業というのはこれは大変なウエートを占めている。
農業にいろいろ
投資をされて、いろいろと農民の
方々の
生活の
向上、
農業の
充実を図りつつ十兆円。
観光産業が非常に手薄でありながらも十兆円稼いでいるということ。
しかも、
投資に対する
資本係数というのが、
観光事業が〇・四なんです。ところが、
農林業では一・四、
工業が二・七なんです。これはどういうことかというと、一億円の
所得を生み出すには
観光産業の場合は四千万、
農林業の場合は一億四千万、あるいは
工業の場合は二億七千万ということなんです。これは短期的に見た場合だと思いますが、こういう
効果を考えると、短期で
一つの大きな
効果を上げるというのも
観光業の大きなメリットになっている、こういう事実を知っていただきたい。そういう
意味で、ひとつ今後さらに一層、各
省庁の
協力による
観光開発というものに努力をしてほしいというふうに思うわけであります。
そこで、次に質問をいたしたいのは、そういう
地方自治体にとっても、特に景気の低迷といいますか停滞ということになりまして、
経済成長もそう極端に大きく伸びないというときに当たって、各
地方自治体も
観光開発というものは重要だというのは認めつつ、その
対応に一生懸命になってきているのも事実でございます。しかしながら、残念ながら
東北の場合を例に挙げますと、やはり
観光産業の最大の問題というのは
資金の
不足である。どうしても金が思うようにそこに
投資されないということがございます。新幹線が通りまして、
高速道路も走りまして、岩手県などは非常に顕著に
観光産業が伸びております。
東北の場合は、横の線の
道路網の
整備その他なさなければならない点がまだまだたくさんありますが、いよいよ二十一世紀に向かって
東北の
観光というものは脚光を浴びてくるということは間違いない、こういうふうに思われますが、いかんせん、すぐれた
資源があり、りっぱな温泉もあり、あるいはよき風景もある。しかしながら、それを十分に生かし切るだけの
資金が
不足だということでございます。
この点につきまして、特に
東北開発という
一つの大きな
役割りを担った
東北開発公庫というのがあるわけですから、なぜこういうものをもっと大きく活用できないものか。特に
海外からのお客様を呼ぶ場合には、やはりそれにふさわしい
環境をつくって差し上げなければならぬ。そういうことになりますと、
一つの
ホテルをつくるにしましても五億、六億かかるのだそうでありますから、こういうようなところを
一つの大きな
開発のポイントとして、あるいはまた
観光にかかわる
ホテルだけでございません。その
地域の
産業の
開発、あるいはまた
地域の
整備等々、これは国の方からも十分御
協力をいただかなければならないと思うのでありますが、民間の
方々がやればもっとやれるという部門もたくさんあるわけでありますから、それにはやはりこうした公庫などを大いに活用させて
対応させる
方向を検討してもらいたいと思うのです。この点、いかがですか。