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1982-03-08 第96回国会 衆議院 予算委員会第五分科会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十七年三月八日(月曜日)     午前十時開議  出席分科員    主 査 後藤田正晴君       江藤 隆美君    鴨田利太郎君       塩川正十郎君    澁谷 直藏君       渡辺 栄一君    後藤  茂君       高沢 寅男君    野口 幸一君       福岡 義登君    武藤 山治君       山田 耻目君    草野  威君       武田 一夫君    金子 満広君       中島 武敏君    四ツ谷光子君    兼務 上原 康助君 兼務 川本 敏美君    兼務 鈴木  強君 兼務 土井たか子君    兼務 柴田  弘君 兼務 小沢 貞孝君    兼務 小杉  隆君  出席国務大臣         郵 政 大 臣 箕輪  登君         建 設 大 臣 始関 伊平君         国 務 大 臣         (国土庁長官) 松野 幸泰君  出席政府委員         国土庁長官官房         長       福島 量一君         国土庁長官官房         審議官     川俣 芳郎君         国土庁長官官房         会計課長    中村 博英君         国土庁計画・調         整局長     白井 和徳君         国土庁大都市圏         整備局長    宮繁  護君         国土庁地方振興         局長      柴田 啓次君         郵政大臣官房長 澤田 茂生君         郵政大臣官房経         理部長     奥山 雄材君         郵政省郵務局長 魚津 茂晴君         郵政省貯金局長 鴨 光一郎君         郵政省簡易保険         局長      小山 森也君         郵政省電気通信         政策局長    守住 有信君         郵政省電波監理         局長      田中眞三郎君         建設大臣官房長 丸山 良仁君         建設大臣官房会         計課長     梶原  拓君         建設省計画局長 吉田 公二君         建設省都市局長 加瀬 正蔵君         建設省河川局長 川本 正知君         建設省道路局長 渡辺 修自君         建設省住宅局長 豊蔵  一君  分科員外出席者         内閣総理大臣官         房参事官    渡辺純一郎君         沖縄開発庁振興         局振興第一課長 丸田 哲司君         国土庁大都市圏         整備局総務課長 金湖 恒隆君         文部省社会教育         局社会教育課長 五十嵐耕一君         厚生省社会局更         生課長     板山 賢治君         林野庁林政部林         産課長     三澤  毅君         運輸大臣官房観         光部計画課長  伊藤 嘉之君         建設省道路局市         町村道室長   駒田 敬一君         自治省財政局調         整室長     亀田  博君         日本国有鉄道情         報システム部次         長       永井 和夫君         日本国有鉄道電         気局信通課長  林  義郎君         日本電信電話公         社総裁     真藤  恒君         日本電信電話公         社技術局長   村上  治君         日本電信電話公         社営業局長   信沢 健夫君         日本電信電話公         社業務管理局長 稲見  保君         参  考  人         (日本道路公団         理事)     持田 三郎君         参  考  人         (住宅都市整         備公団理事)  星野 孝俊君         参  考  人         (住宅都市整         備公団理事)  中川 友夫君         参  考  人         (日本放送協会         放送総局総局         長)      荒川  博君     ————————————— 分科員の異動 三月八日  辞任         補欠選任   武藤 山治君     野口 幸一君   山田 耻目君     後藤  茂君   草野  威君     武田 一夫君   金子 満広君     寺前  巖君 同日  辞任         補欠選任   後藤  茂君     福岡 義登君   野口 幸一君     渡部 行雄君   武田 一夫君     春田 重昭君   寺前  巖君     中島 武敏君 同日  辞任         補欠選任   福岡 義登君     高沢 寅男君   渡部 行雄君     武藤 山治君   春田 重昭君     草野  威君   中島 武敏君     正森 成二君 同日  辞任         補欠選任   高沢 寅男君     田中 恒利君   正森 成二君     四ツ谷光子君 同日  辞任         補欠選任   田中 恒利君     山田 耻目君   四ツ谷光子君     金子 満広君 同日  第一分科員川本敏美君、第二分科員柴田弘君、  小杉隆君、第三分科員鈴木強君、土井たか子  君、小沢貞孝君及び第四分科員上原康助君が本  分科兼務となった。     ————————————— 本日の会議に付した案件  昭和五十七年度一般会計予算  昭和五十七年度特別会計予算  昭和五十七年度政府関係機関予算  〔総理府国土庁)、郵政省及び建設省所管〕      ————◇—————
  2. 後藤田正晴

    後藤田主査 これより予算委員会第五分科会を開会いたします。  昭和五十七年度一般会計予算昭和五十七年度特別会計予算昭和五十七年度政府関係機関予算総理府所管国土庁)について政府から説明を聴取いたします。松野国土庁長官
  3. 松野幸泰

    松野国務大臣 総理府所管のうち国土庁昭和五十七年度一般会計歳出予算について、その概要を御説明いたします。  国土庁一般会計歳出予算は、二千四百九億六千九百余万円を予定しておりまして、前年度予算に比べ二十一億六千四百余万円の増加となっております。  その主要な内容は、第一に、第三次全国総合開発計画定住構想促進を図るための国土計画推進。第二に、地価の安定、適正な土地利用促進等総合的土地対策推進。第三に、水資源開発水源地域対策充実水資源有効利用促進等の総合的な水資源対策推進。第四に、良好、安全な都市環境整備を図るための大都市圏整備推進。第五に、人口地方定住促進し、国土の均衡ある発展と活力ある地域社会形成を図るための地方振興推進。第六に、地方都市開発整備工業の再配置及び産炭地域振興を図るための地域振興整備公団事業推進。第七に、国土を保全し、国民の生命、財産を災害から守るための総合的災害対策推進であります。  国土庁予算重点施策概要につきましては、お手元に配付してあります昭和五十七年度国土庁予算概要説明によりまして御承知願いたいと存じます。  よろしく御審議のほどお願いいたします。
  4. 後藤田正晴

    後藤田主査 以上で総理府所管国土庁)についての説明は終わりました。     —————————————
  5. 後藤田正晴

    後藤田主査 これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。武田一夫君。
  6. 武田一夫

    武田分科員 私は、国土庁に対しまして、三全総の問題それから観光産業の問題についてお尋ねをいたします。  まず最初に、長官新しく就任されまして非常に張り切っていると思いますので、いま行われつつある三全総に対しまして、特に東北開発という問題につきまして今後どのように取り組まれていかれるか、その御決意と方向性につきましてお尋ねをしたいと思います。
  7. 松野幸泰

    松野国務大臣 お答えいたします。  三全総策定後の経済社会動向を見ますと、一部に人口動向変化産業構造変化国民生活高度化等、幾つかの注目すべき情勢変化が見られます。こうした情勢変化を長期的かつ総合的な視点から的確にとらえ、定住構想推進上の対応方向を明らかにするため、現在、国土審議会調査部を設けて三全総のフォローアップを行っているところであります。  国土庁としては、三全総の基本的な考え方である定住構想は現時点においても妥当性を持つものと考えており、今後とも定住構想を柱とする三全総の推進に努めてまいる所存であります。  三全総におきましては、平地面積水資源の約二割を占めるにもかかわらず人口全国の約一割にとどまっている東北地方を、北海道と並んで今後の魅力ある地域社会形成が期待される地域として位置づけております。東北地方の豊かな国土資源を生かし、定住の場を拡大していくためには、農業工業観光等地域特性を生かした多様な産業振興を必要と考えております。
  8. 武田一夫

    武田分科員 いまいろいろとお答えをいただきました。国土の均衡ある開発あるいはまた定住構想促進、まことに結構だと思います。この問は国土審議会東北開発特別委員会がございまして、私もその委員の一人でございまして参加いたしました。過去何回かこの会合に出ながら、いろいろと東北の今後というのは一層てこ入れをしなければならぬということを考えているわけであります。  いま長官がおっしゃいましたように、東北というものが日本の中に占める位置というのは非常に大きいわけであります。平地面積が、あるいはまた水資源が、約二割が東北にある。さらにまた、人口一人当たり賦存量を見ましても全国平均の二倍でありまして、首都圏に比べますと平地面積は四倍、あるいはまた水資源では九倍というのでありますから、極端に言いますと東京などは東北から水をもらって生活しているのだ。電気もそうでありますし、まして食糧もそうである。こう考えるときに、それだけ東北が重要でありながら、いまだに非常におくれておる、非常に県民所得が低い、こういう実態は非常に考えなければならぬ。定住圏構想を進めるに当たっても、そういう定着性を欠くようないろいろな条件の不備があるということを相当深刻に考えてもらわなければいかぬ、こう思うわけであります。  そこで私は、特に東北をこれからどのように発展させていくかということを考えたときに、一つは、いま申し上げました県民所得を上げる問題、やはり豊かな東北にしなくてはいかぬということに問題がいくわけだと思うのであります。長官御存じのように、このデータを見ましても、五十四年ですか、たとえば東京を一〇〇としたときの県民所得格差は、全国平均が六六・一、ところが東北は五四・一、沖繩が四四・一だと思いますから、沖縄の次に低い。金額で申し上げますと、県民一人当たり所得東京が二百四十二万八千円、全国平均が百六十万六千円です。ところが東北六県は全部百万台、たとえば青森県百二十二万一千円、一番高い宮城県でさえも百四十七万四千円、平均的に見ましても約二、三十万の県民所得格差があるわけです。こういう状況では、やはり極端に言って若い方々が中央へ指向していくのもうなずけるわけであります。そのために過密、過疎という現象が出てきた。これを解消するというのも三全総の一つの大きな目的だった、こう思うわけです。  そこで、定住圏構想あるいは定住構想というものを確実ならしめるためのいろいろな方策を考えられておりますが、私は、その中で特に観光の問題を取り上げまして、今後この観光開発による、いわゆる観光開発産業といいますか、そういうものによって東北の一層の開発と同時に、定住構想への大きな力としていくべきではないかという提案をしながら、この問題についてちょっとお尋ねをしたい、こう思います。  そこで総理府運輸省皆さんおいでになっていると思いますが、まず第一番目に、全体的な問題ですが、日本観光政策というものはどうなっているのかということをひとつお尋ねをしたいと思います。
  9. 渡辺修自

    渡辺説明員 観光に関する行政につきましては、非常に各省庁多岐にわたっておりますために、三十八年の閣議決定によりまして総理府観光対策連絡会議というものを設置いたしまして、関係行政機関相互の事務の密接な連絡を図っております。また、昭和三十八年に制定されました観光基本法に基づきまして、総理府附属機関といたしまして観光政策審議会が設置されておりまして、観光政策に関する重要事項について調査審議いたしております。この審議会によりまして出されました答申あるいは意見具申などを各種施策に反映させているところでございます。  なお、現在同審議会におきましては経済社会情勢変化対応しました観光地整備等のあり方につきまして検討を行っているところでございます。
  10. 武田一夫

    武田分科員 データをちょっとお尋ねしたいのですが、昨年、あるいは一昨年でも結構ですが、東北地方にどのくらいの観光客がやってきたか。外人も含めまして、どのくらいの金が東北に落ちたのかというような、そういう数字的なものがございましたら、ひとつお示しをいただきたい、こういうふうに思うのです。
  11. 渡辺修自

    渡辺説明員 私どもが実施いたしました調査、最近の第五回全国旅行動態調査の結果がまだ集計できておりませんので、前回に実施いたしましたものでございますが、昭和五十年の十月から五十一年の九月までに実施した旅行動態調査の結果によりますと、その間におきます全国宿泊旅行発生量が約一億六千百六十万人回でございますが、そのうち東北地方目的とするものは約千四百五十万人回ということになってございます。なお、消費額については、地域別調査というのが結果が出ておりませんので、まことに申しわけございませんが、ここで申し上げることはできないわけでございます。
  12. 武田一夫

    武田分科員 外国観光客の呼び込みというのは非常に少ないし手薄でないか、私こう思うのですが、その点はどうですか。
  13. 伊藤嘉之

    伊藤説明員 お答えいたします。  先ほど東北地方に訪れた外客につきましてお尋ねがございましたが、五十六年わが国を訪れました外客は約百五十八万人というふうに推定されております。そのうち、私ども国際観光統計という外客につきましての統計を実施いたしておりますが、その国際観光統計によりまして東北地方を五十六年に訪れた外客の数を推定いたしますと、約一万人が東北地方を訪れているということでございます。それで、その外客が五十六年に東北地方に落としました外貨といたしましては、約二億円から三億円というふうに推定されております。  それから、ただいまお尋ねのございました訪日外客誘致活動についてでございますが、御承知のとおりに、わが国資源小国でございまして、国際間の相互理解に基づく国際協調を図っていくということが、わが国にとりましても何よりも重要であるわけでございますが、そういった観点から、諸外国わが国に対する理解を深めさせるためには、外国方々わが国を実際に訪れてもらって、わが国をじかに知ってもらうということが最も効果的でございます。そういう観点から、政府といたしましても外客誘致活動に努めているわけでございますが、また、先生のただいま申されましたように、この外客わが国に落とします経済的な利益というものも、これまた地域観光産業振興にとりましては非常に重要な問題でございます。そういう観点から、政府といたしましては、国際観光振興会を設立いたしまして、これに対しまして補助金を交付して、外国からの訪日外客誘致活動を実施いたしております。昭和五十六年度におきましては約十八億九千万円の補助金を交付して実施いたしております。  以上でございます。
  14. 武田一夫

    武田分科員 いま話を聞きますと、外国観光客に対する呼び込みは非常に不足していると私思います。現実に世界各国の様子を見てみますと、非常に力を入れて、たとえば観光省みたいなものを設けつつ非常に力を入れている国もあるわけであります。私いろいろ話を聞いてみますと、多岐にわたっているがゆえに、それをしっかりと振興しながら統括していくような機関が非常に手薄のような気がしてなりません。  いま十八億九千万ですか、これは予算をとって海外観光宣伝のために力を入れておるようでありますが、しかしながら、わずか百五十八万人、東北に至っては一万人というわけでありますから、これはその対応が非常に弱いというふうに思います。  海外には確かに各地に宣伝網をしいておりまして、これは十五カ所ですか、そういうところがあるんだそうでありますが、何か人数が十六人程度しかいないということでありまして、金も大変——まあないんでしょうけれども、やはり、こちらから出ていく方が圧倒的に多いわけでありまして、行って何か文句を言われている日本状況を考えますと、こちらに呼び込んで、日本のよさをどんどん見せてあげるということも、これは観光だけでなく、国際社会の国交の中における民間の一層の潤滑油として、世界の平和、大きく言えばそういう面にも貢献するのが観光産業であり、日本の風土、世間そして人情というものをよく見ていただく。特に東北観光に来る方は何と言うかというと、一番多いのは、やはり田舎の自然があるということが非常にいいんだ、次は人情細やかな東北が好きなんだと言ってやってくる人が六割、七割、八割です。  こういうような活用に今後もっとやはり運輸省としても、あるいは総理府としても国土庁としても総合的な力を発揮して、てこ入れをしてほしいなと私はお願いするわけでありますが、この際、長官にちょっと提案をして御検討願いたいのですが、やはり国土庁中心としまして観光開発局というようなものを一つの大きなセクションとして、今後の東北あるいはまた九州などもそうでしょうが、おくれている地域、特に自然、観光資源の多いところを中心とした対応、そしてそれが日本全土にわたる対応にもなると思うのですが、そういうものをひとつ各省庁の中で御検討していただきたいものだと思うのですが、どうでしょうか、この件は。
  15. 白井和徳

    白井政府委員 先ほどから御説明しておりますように、観光行政につきましては各省庁それぞれ多岐にわたっております。したがいまして、総合的な調整は現在、観光対策連絡会議あるいは観光政策審議会等で行われているところでございます。  先生御指摘のように、観光振興地域開発産業振興上重要であるとともに、国際的な摩擦を減らす、貿易摩擦を減らすという意味でも非常に重要であることは十分理解しております。したがいまして、三全総の目指す人口地方定住を核とする定住構想推進する上にも大きな役割りを果たしていくだろうということでございまして、国土庁といたしましては、今後とも関係省庁と連携をとりつつ観光振興に努めてまいりたい、かように考えております。
  16. 武田一夫

    武田分科員 皆さん方は、観光開発のいろいろな効果はよく御存じだと思いますが、私も少し勉強してみますと、大変な直接的な効果があるということを改めて再認識いたしました。まず、大体七つか八つぐらい一応出てきたわけでありますが、一つ観光客消費の支出による所得向上というのが考えられる。これは地域の福祉の向上というものにもつながっていっている。それから観光産業への雇用機会増大、これが非常に大きいということ。要するに地元で働く方々がふえているということ、これは顕著に出てまいります。それから、その影響が近傍都市への就業の機会増大につながっているということ。雇用の問題について、これは間接的なものになりますが効果も出てくる。さらに地方産業振興やあるいは伝統芸術振興、そしてまた、こういうものが大きく育っていく、てこ入れされるきっかけにもなっている。もう一つは、そういうものが活発になってきますと、そのところに住んでいる住民の中にある辺地意識といいますか、僻地意識というものが改善されていっている。そしてもう一つは、観光開発投資による経済波及がまた非常に大きい、こういうことでございます。  しかしながら、残念ながら観光産業に対する公表された統計的資料がきわめて乏しいというのも事実でありまして、私は、定量的にこうしたものを分析した事例が余りにも少ないことにびっくりいたしました。これでは私は、観光を今後の日本の大きな事業として取り組む姿勢はまことにお粗末だと思わざるを得ないわけでありまして、改めて、その点にひとつ御留意をいただきたいなということを御要望しながら、たとえば、それではどういうふうに効果があるかというのを数字で申し上げますと、国内観光産業の規模というのは大体十兆円なのだそうでありますが、そのうち東北は、新潟を入れますと一兆一千億です。約一割でございます。ところで五十四年度ですか、東北七県の農業の粗生産額というのを見ますと二兆二千億です。観光産業によるものはその半分であります。また、国内農業生産額というのは約十兆円ということでありますから、観光産業というのはこれは大変なウエートを占めている。農業にいろいろ投資をされて、いろいろと農民の方々生活向上農業充実を図りつつ十兆円。観光産業が非常に手薄でありながらも十兆円稼いでいるということ。  しかも、投資に対する資本係数というのが、観光事業が〇・四なんです。ところが、農林業では一・四、工業が二・七なんです。これはどういうことかというと、一億円の所得を生み出すには観光産業の場合は四千万、農林業の場合は一億四千万、あるいは工業の場合は二億七千万ということなんです。これは短期的に見た場合だと思いますが、こういう効果を考えると、短期で一つの大きな効果を上げるというのも観光業の大きなメリットになっている、こういう事実を知っていただきたい。そういう意味で、ひとつ今後さらに一層、各省庁協力による観光開発というものに努力をしてほしいというふうに思うわけであります。  そこで、次に質問をいたしたいのは、そういう地方自治体にとっても、特に景気の低迷といいますか停滞ということになりまして、経済成長もそう極端に大きく伸びないというときに当たって、各地方自治体観光開発というものは重要だというのは認めつつ、その対応に一生懸命になってきているのも事実でございます。しかしながら、残念ながら東北の場合を例に挙げますと、やはり観光産業の最大の問題というのは資金不足である。どうしても金が思うようにそこに投資されないということがございます。新幹線が通りまして、高速道路も走りまして、岩手県などは非常に顕著に観光産業が伸びております。東北の場合は、横の線の道路網整備その他なさなければならない点がまだまだたくさんありますが、いよいよ二十一世紀に向かって東北観光というものは脚光を浴びてくるということは間違いない、こういうふうに思われますが、いかんせん、すぐれた資源があり、りっぱな温泉もあり、あるいはよき風景もある。しかしながら、それを十分に生かし切るだけの資金不足だということでございます。  この点につきまして、特に東北開発という一つの大きな役割りを担った東北開発公庫というのがあるわけですから、なぜこういうものをもっと大きく活用できないものか。特に海外からのお客様を呼ぶ場合には、やはりそれにふさわしい環境をつくって差し上げなければならぬ。そういうことになりますと、一つホテルをつくるにしましても五億、六億かかるのだそうでありますから、こういうようなところを一つの大きな開発のポイントとして、あるいはまた観光にかかわるホテルだけでございません。その地域産業開発、あるいはまた地域整備等々、これは国の方からも十分御協力をいただかなければならないと思うのでありますが、民間の方々がやればもっとやれるという部門もたくさんあるわけでありますから、それにはやはりこうした公庫などを大いに活用させて対応させる方向を検討してもらいたいと思うのです。この点、いかがですか。
  17. 柴田啓次

    柴田(啓)政府委員 ただいまお話がございましたように、東北地方というのは大変恵まれた自然、あるいは豊富な温泉、由緒ある史跡、多彩な伝統行事、こういうものがございまして、観光資源としてすぐれた価値を持っていると思うのでございます。確かに先生御指摘のように、地点を選んで適切な投資をすれば、観光がほかの産業振興以上に非常に役に立つということも多いかと思うのでございます。  北東公庫についてお尋ねがございましたが、御案内のとおり北東公庫は、北海道、東北地域産業振興開発に寄与する事業に対して、出資なり融資を行っているのでございます。当然東北地方におきまして観光産業整備というのは、雇用効果が高いとか、あるいは地域開発に役立つとか、そういう面がございますので、三十七年度から北東公庫が観光事業に対して出資、融資を行っているところでございます。実績を申し上げますと、五十五年度の場合は東北地域に対して観光事業で百二十一億余りの融資を行っておる、こういうような実績があるわけでございます。  北東公庫につきましては、私どもとしては北海道及び東北地域開発に欠くことのできない金融機関と考えております。これの強化拡充ということにつきましては常に意を用いているところでございますが、観光事業の育成に対する出融資につきましても十分配慮していく所存でございます。
  18. 武田一夫

    武田分科員 時間が来ましたので、最後に長官にちょっとお願いしたいのですが、いま振興局長さんが東北開発公庫の重要性というものを強調されましたが、どうもこれを何とか整理しようなんというとんでもない話が出ているわけです。いま開発している途上の重要なそういうものを、行管庁が何かいろいろ言うなんということはとんでもないことなんですが、この点はやはりもっと認識をさせなくてはいかぬと思います。これが一点。  もう一つは、公共投資というのはやはり東北の経済を自立させるための大きなてこ入れになっていっているのです。ですから、公共投資が落ち込むと東北の経済指標というものは極端に落ちます。はっきりしているのです。いまだ民間の活力というのは他と比べてまだまだ弱いわけです。そういうことで、前の原長官がやはりそのことを指摘されまして、よく理解していただいて、予算の配分などにおいては横並び、一線というようなことではいかぬ、そういう弱く、しかも重要な資源のあるところに重点傾斜配分すべきだという、非常にありがたい御意見をちょうだいしたことを私は記憶しておるのでありますが、長官におきましても、東北の占める日本の中における重要度、そのおくれを取り返すということを考えたときに、そうした予算的措置の面においても、やはり東北への効果ある適切なる配慮を私はお願いしたい。  この二点につきまして長官の御決意をお聞きしまして、私の質問を終わらせていただきます。
  19. 松野幸泰

    松野国務大臣 いろいろ貴重な御意見を承りましたが、まず北東公庫の問題でございますが、この北東公庫の果たしてきた歴史を振り返ってみますると、地域住民の皆様方に大きな貢献を果たしてきておると思います。したがって、こういう観点から存廃問題は論議されていくのが当然でありまして、私は今後とも北東公庫の果たしていく使命を十分踏まえて対処してまいりたいと考えております。  さらに、予算の配分の問題などについて貴重な御意見も承りましたが、私はやはり、過疎過密という問題の解決のためには、どうしても過疎地域に対して国が重点的に配慮していかなければならない、その点に思いをいたしますると、北東公庫の今後果たしていく使命も同様であり、また、国の予算の配分についても、前原長官の言われたことに私も同感でございますことをつけ加えて答弁にいたします。
  20. 武田一夫

    武田分科員 どうもありがとうございました。終わります。
  21. 後藤田正晴

    後藤田主査 これにて武田君の質疑は終了いたしました。  次に、鈴木強君。
  22. 鈴木強

    鈴木(強)分科員 私はきょうは三つお伺いします。一つは遷都計画、二つ目には大規模地震防災対策、それから霊峰富士山の崩壊に対する対策、この三つをお伺いします。  最初に遷都の計画ですが、これは話題になったり消えたり、話題になったり消えたりしているように思われるのですけれども国土庁としては本気で遷都をやろうとしておるのかどうなのか、その点を明らかにしていただき、やる気であれば、どういう基本的な方針と具体的な手順によってこれをなそうとしておるのか、ひとつ明らかにしていただきたい、こう思います。
  23. 松野幸泰

    松野国務大臣 遷都計画の件についてお答えいたします。  首都機能を移転しあるいは再配置するといういわゆる遷都問題は、三全総において、国土開発政策上の重要な課題であると位置づけられており、巨大な都市である東京の抜本的な改造と、国土の均衡ある発展を図る上から、避けて通れない検討課題であると認識しているところであります。  このような観点から、遷都問題については、二十一世紀を展望した首都改造計画においてもその重要な課題として調査検討をしているところであり、国民的規模での論議がなされるよう、必要な素材を提供してまいりたいと考えております。
  24. 鈴木強

    鈴木(強)分科員 素材を提供し国民的な御判断もいただくということですが、この国の基本方針に基づいて担当しております国土庁といたしまして、いまの大臣の御説明ですとさっぱりわからないのですよ。  こういうことをやるということだけはわかるのだけれども、何年たってもちっとも前進がないので、私はきょうはここで、その方針に基づいて過密化した大都市、首都、これを具体的に一体どういうような形で疎開をしていくのか、そしてそのためにはいろいろな審議会も必要でしょう、国民の意見も聞かなければなりません、そういう手順を踏んで、二十一世紀、こう言っているのですが、もうすぐですからね、そのおおよその構想というものを国民の前に明らかにして、国土庁としては、基本的にはこういう方法とこういう方法によっていきたいと思うということで、いろいろな研究をされ、調査をされ、それに基づいて国民の意見を聞いて決める、その手順を教えてくれ、こう言っているのですよ。そういう答弁はもう何回も聞いているから、ここで改めて聞こうとした私の質問の趣旨ではないのですね。
  25. 宮繁護

    宮繁政府委員 ただいま大臣が基本的な方針等につきましてお答えいたしましたので、事務的にお答えいたしたいと思います。  現在私どもがやっております遷都問題につきましては、実は首都改造計画というものを策定しよう、これは南関東地域に、東京都を中心にいたしまして神奈川、千葉、埼玉、茨城の一部、現在約二千八百万人の人が住んでおります。この地域をこれからもふるさととして住む人がだんだんふえてまいりまして、二十一世紀には三千万人くらいの人が住むだろう、それから、この地域わが国の社会、経済、政治、文化、これらの発展の中枢をなしておるわけでございますので、この首都をどういうふうに改造していくかということで昭和五十四年度から取り組んでおります。  それで、ここでは、現在までのところ、この東京の現状と問題点の把握とか将来展望をするとか、あるいは首都改造の主要計画課題の解決のための方策の検討を行っております。  この中の一つといたしまして、ただいまお話に出ております首都機能の移転、再配置問題をとらえたわけでございます。現在までのところ、首都移転をするための手法につきまして、仮に国会とか各中央省庁あるいは関係の特殊法人、企業の本社等が移転するとした場合に、総体でどのくらいの人口規模になるか、それからお金がどのくらいかかるか、それから、首都機能を移転するとした場合に移転の適地があるのかどうか、こういうことにつきましての中間的な調査がまとまりまして、このほど発表したわけでございます。  今後におきましては、この構想を五十七年度には素案に取りまとめまして、広く国民各層の意向を把握する、あるいは関係各省庁、地方公共団体などの間で調整を図っていきまして、五十九年度を目途に首都改造計画を策定したい、こんな手順で作業を進めておるわけでございます。  しかし、いずれにしましても、首都移転というのは大変な問題でございますので、先ほども大臣からお話がございましたように、私どもは、いまのところは素材を提供いたしまして、広く国民方々の御意見を伺って構想を練り上げていきたいと考えておるわけでございます。
  26. 鈴木強

    鈴木(強)分科員 わかりました。かなり具体的に御苦労をいただいておるわけですが、御承知のように中央高速自動車道が逐次完備をしてまいります。いまや電信電話は全国どこへでも即時に通ずる、それから新幹線等も逐次建設をされていくというわけですから、一千万人以上の住民が首都におるわけでありまして、私どもは地震でも来たらどうなるのか、関東大震災程度の地震が来たらもう逃げても仕方がない。外へ出れば、昔は大八車で逃げられたけれども、車に火がつけば火の海ですよ。逃げるところがない。  いまちょっと私、第二議員会館、第一議員会館を見たのですけれども、あの外に張ってありますあれは何と言うのですか、もう幾つも幾つもとれているんですね。きのうも水戸で震度四という地震が起きておるのですけれども、やはりかなり被害がありました。国鉄も汽車をとめるとか、デパートも棚の上に置いたものが散乱するというようなことで、震度四となるとそうなる。  ですから、こういった過密都市を、近代化されている交通の発展に備えて、できるだけ早く分散化していくということが大事なことではないかと思うのですよ。もし都市改造を根本的にやるとすれば、これは土地の問題は個人の私権にかかわることですから非常にむずかしいと思うのですけれども、もう少し高層化していけば東京都の土地の三分の一くらいは空き地が出ると私は思うのですよ。     〔主査退席、鴨田主査代理着席〕 そこまで国民協力するかしないかはこれからのことですよ。一軒の家をつくって庭を置いて、これが日本人の好みなんだから、なかなか高層化してアパート化するということには反発があるわけですね。そこらは本当にわが事として、一大事の場合にどうするか、それを本当に身にしみて考えれば国民理解してくれるのであって、そういう熱意を持たせるような行政をやるのがあなたのところの仕事なんですよ。  もちろん各省にも十分な連携をとりながらそういうことをやって、現状でいくならば現状でいくような方法で、そうでなかったら関東なら関東地域の——山梨なんかは本当に中央自動車道で一時間五十分で行っちゃうんですよ。汽車で行っても一時間五十分ですよ。あの霊峰富士のふもとにはりっぱな土地もある。頭をめぐらせばいい知恵が出てくるはずだと思うのです。  ですから、いまのように首都改造計画の中には二つあるようにも考えられるのですけれども、根本的な移転あるいは三十万都市というようなものを考えて、そこに官庁なり特殊法人なり、関連する会社等にもとりあえず移ってもらう。そういうことにして分散化していくというのも一つの道でしょう。それにはどこがいいか、これは一つの宿題ですね。そういうようなことをやっていただいていると思うのですけれども国民の目から見るとどうも遅々として進まぬ。これは臨調あたりがいろいろ文句をつけるかもしれませんけれども国土庁の仕事というのは、各省と総合的なバランスをとって国を保全していく大事な仕事です。     〔鴨田主査代理退席、主査着席〕  ですから大臣、自信と確信を持って、臨調あたりが変なことを言ったら、それはだめですよとけとばして——これは国民の生命と財産を守る非常に大事な仕事なんです。そういう機能を持っている国土庁ですから、もう少してきぱきと仕事を前進させるようにしてもらえないですか。人が足りないですか。足りなかったら要求しなさいよ。国民はそういうところは人をふやすことについては反対しませんよ。要らないところで人をふやすから国民は怒るんですよ。それが本当の行政改革だ、要らないところに人を置いているから。そうでしょう。大臣、そういう決断を持って、これはしなければだめですよ。  それから、その場合に皇居はどうなるか。宮内庁とも相談したのですか。
  27. 宮繁護

    宮繁政府委員 皇居の移転につきましては、ただいままでのところ、実は調査の対象にはいたしておりません。と申しますのは、東京におきます一極依存型構造といいますか、すべての中枢管理機能が中心に集まっているというこの構造も大変問題でございますけれども、これは業務機能でありますとか行政機構、こういった中枢管理機能が集積したところによる点が非常に大きいと考えております。  そこで、中でもとりわけ主要要因になっております首都機能の移転、再配置の問題について、特に現在重要な検討課題として調査検討を行っている、こういうわけでございます。
  28. 鈴木強

    鈴木(強)分科員 皇居の移転ということになると、これは大変なことでございましょうけれども、しかし皇居も、こういう過密化した都市よりももう少し環境のいい、空気のいいところがあれば、それも一つの方法でしょう、というような気もするのです。これは宮内庁の方と打ち合わせをしたことはあるのですか。
  29. 宮繁護

    宮繁政府委員 ただいま申し上げましたように、私どものこの計画の中ではまだ調査も行っていないという段階でございます。したがいまして宮内庁とも相談をいたしておりません。
  30. 鈴木強

    鈴木(強)分科員 それで大臣、東京、神奈川、以下千葉、茨城というふうに現在二千八百万人の人口から二十一世紀は三千万人になるだろう、したがってどうしても首都改造計画はやらなければならぬ、過密都市再編計画をやらなければならぬ、こういう方針のようです。ですからそこに力点を置いていただくのですが、問題は、土地として、場所として、要するにこの首都圏のどこを大体想定しておられるのか。そういう点はどう考えますか。  山梨なんかは私の選挙区ですけれども、霊峰富士もありますし、近いし、一つの場所じゃないかと私は思っておるのですけれども、大体移転をする地域、エリアはどういうところを考えておるか。それをひとつできたら明らかにしていただいて、これは事務当局でもいいですから、最後に大臣から、さっきから私が申しておりますような趣旨に基づいて、国民国土庁に期待しておりますから、ひとつ大臣の在任中に、五十九年に何とかいうような話も聞きましたけれども、早くひとつスピードを上げて促進していただくように、大臣の決意を伺って、この問題について終わります。
  31. 宮繁護

    宮繁政府委員 首都を移転いたします場合の適地があるかないかというようなことで、これは大変むずかしいものでございますので、私どもは実験的な方法というようなことを言っておりますけれども、たとえば、国全体の均衡ある発展を図るということ、あるいはまた過密を防除するとか、あるいは大規模な天災への対処をする、こういうふうな数項目を取り上げまして、これに基づきまして人口等の全国分布がどうであるかとか、あるいは地震等の安全性はどうかとか、あるいは大都市からの距離がどうであるかとか、いろいろな項目を十七項目ほど挙げまして、これを指標にいたしまして全国すべての地域を取り上げまして百の地域に分けまして、いま申し上げましたような評価に基づきます採点方法をとったわけでございます。  そういたしますと、たとえば過去に大きな地震がありました地域は百のうち二十は落とすとか、あるいは水の需給につきまして非常に問題がある地域は落とすとか、こういういろいろな方法でやりました結果、十数地点は首都の機能を移転するのに適地があると考えております。  しかし、まだこの方法は初めての方法でございますので、これからもう少し学者の意見等も聞きまして詰めていくことも必要でございますので、それがどの地域かということはまだ発表するのはいかがなものかというようなことで、発表いたしておりません。さらにこういう適地の選定につきましては、たとえばその地域のイメージであるとか、そういういろいろなことも考えるべきだと思っております。なお、これからも勉強を続けていきたいと考えております。
  32. 松野幸泰

    松野国務大臣 大変貴重な御意見を承りましたが、お説の中で、高層建物にして、そして空閑地を多くつくれという御意見がありましたが、私は前からそれは賛成でございまして、実は、日本のような地震の多いところには、高層ビルというものは非常に危険だということを言われた時代がありましたけれども、建築技術が発達しまして、いま六十階のものもできました。もう六十階、百階というものも可能性を生んできましたので、むしろそれを積極的に住民に呼びかけまして、そしていざというときに広い空閑地を持つようにやることが私は大切なことだと考えております。  首都移転の問題につきましてはまだそういう調査中でございますが、何とぞいい英知をひとつ拝借いたしたいと思いますが、いろいろまた御相談いただきたいと思います。
  33. 鈴木強

    鈴木(強)分科員 わかりました。ひとつ熱意を持ってやっていただきたいのです。これは長官、いまちょっと現状の中での改革のお話がございまして大体御賛成のようですが、私も五十階とか百階とか、そういう高層ビルは反対なんですよ。ですからある程度、まあ十階か二十階で——二十階というとあれですが、階数にしましてはそう高いものはやはりだめですよ。住民の協力が得られるならば、十階かその程度の高層的なアパート式なものにしていくということでございますから、百階みたいなそういう高いものはちょっと危険性がありますから、その点だけは違いますので申し上げておきます。  それから、時間が少ないですから次に大規模地震の防災対策についてお伺いします。  これは議員立法で五十二年でしたか成立をしたのでございますが、この法律施行後緊急整備の進捗状況、これはどうなっておりますか。  皆さんは強化地域として、神奈川の一部、静岡、山梨の一部、愛知それから岐阜の一部、長野の一部、この六県にわたって強化地区に指定をされました。私はこの法案の審議の際にも、災害対策委員会で、いつ来るかわからない東海地震に対して、この地域をできるだけ広げて万全を尽くしていただくように特に要請をしておいたはずであります。その後そういうふうな地域の指定が行われ、特に地域特例を指定して特別な財政措置もとっていただきました。それを行革でまた減らすなどということを言い出しましてとんでもない話であります。私たちは党派を超えて反対した。その結果、市町村段階においては現状維持になりましたが、県の方は六分の一削られている。一体何を考えているのか私にはわからない。  それは一応別にしますが、そういうわけで特に防災設備、それから学校等の木造を耐震的な建物にする、鉄筋コンクリート化していく。それから特にお年寄り、おじいちゃん、おばあちゃんで大変苦労されていま老後をホームで送られている方々がおります。そういうおじいちゃん、おばあちゃんが万一のときに逃げるのにも不便ですから、絶対安心というような施設にしてもらう、こういうふうなところに特別な御配慮をいただいて、財政的に見てもらっているわけですが、全部の進捗状況といっても大変でしょう。各省にわたっておりますから、各県、各市町村にわたっておりますから、国土庁としては全体的な姿を常に見詰めて、そして各省を督励してやる必要があると思います。そういうわけで、この進捗状況がどうか、特に重点的でも結構ですから教えていただきたいと思います。
  34. 川俣芳郎

    ○川俣政府委員 ただいまお話がございましたように、東海地域におきますところの地震対策につきましては、五十三年に成立をいたしました大規模地震対策特別措置法、それから五十五年にできましたいわゆる地震財特法、この二法に基づきましてその対策を現在推進をいたしておるところでございます。  進捗状況についてのお尋ねでございますが、五十五年の十二月に地震対策緊急整備事業計画の承認をいたしまして、現在実施をいたしておるところでございますけれども、五十九年度までの五カ年間に総額三千五百六十九億円をもって事業を実施いたすということに相なっておりまして、五十六年度末には約一千百八十億円、進捗率にいたしまして三三%の達成を見るものというふうに考えております。
  35. 鈴木強

    鈴木(強)分科員 いま私の申しました老人養護施設それから学校、それから特に消防対策、消防体制といいますか、防災対策といいますか、その点は各県どうでしょうか。特別力を入れてやっているというような傾向は出ておりますか。
  36. 川俣芳郎

    ○川俣政府委員 地震対策緊急整備事業の主なものは、ただいま先生も御指摘ございましたように、避難地、避難路の整備でございますとか、あるいは公立小中学校の耐震性の強化あるいは社会福祉施設についての耐震対策等でございますが、総額三千五百六十九億円のうち、避難地、避難路につきまして約六百億円、それから社会福祉施設につきましては百四十一億円、公立の小中学校等につきましては、これは実はまだ追加事業があると思いますけれども、現在のところでは約八百億円ということになっておりまして、各県とも鋭意その整備に努めておるところでございます。  進捗状況につきましては、必ずしも正確でないかもしれませんけれども、私どもで把握いたしておりますところを申し上げますと、社会福祉施設関係で約二五%、公立の小中学校等について四六%、かような状況に相なっております。
  37. 鈴木強

    鈴木(強)分科員 六県の指定をしましたね。その中で一番進んでいるところはどこですか、進捗率のいいところは。
  38. 川俣芳郎

    ○川俣政府委員 御案内のとおり、強化地域内、六県下でこの事業が行わているわけでございますが、各省それぞれございますもので、私ども実は進捗状況について問い合わせをし、把握いたしましたものが平均で三三%ということでございます。各県の状況については現在調査中でございまして、しばらくお待ちをいただきたいと思うのでございます。
  39. 鈴木強

    鈴木(強)分科員 そんなことがここでまだ答弁できないということは、それはちょっと怠慢ですよ。各県においてどういう計画を立てているのか。少なくとも五十五年度から五十九年度までの五カ年間に完備する、こういう方針ですね。したがって、それぞれの県におきましては、五カ年で国からの補助、県の助成、市町村の負担、こういうものを合わせて計画を立てているはずですよ。私の山梨なんかでも七百十二億円ですね。国から三百八十四億の補助が来るわけですが、そういうわけでちゃんと計画を立てて、知事が先頭に立って積極的にやっておるわけです。これは調べればわかるわけですから、ここで答えられなければ、後で資料でちゃんと届けてください。  それから、この際、ちょっと聞いておきたいんですけれども、たとえば強化地域の指定のことです。これは何を標準にしたのか。地震の問題で、最近は房総沖、千葉沖に東海地震よりもでかいのが早く起きるかもしれぬというような学説もちょっと新聞で拝見しました。富士山も死火山から活火山になるとかいうような、そんな話もちょっと耳にするのですけれども、いずれにしても、いまのところは東海地震というのが一番早く来る、しかもこれは大きい、こういう想定ですね。そういうことでこの法律ができてやっているわけですから、そういった地震予知というものに対しても国は惜しみなく金を出して、いまりっぱな予知機器ができているはずですよ、そういうものを購入してやるとか、大所高所に立った指導というものをあなたのところでやらなければだめですよ。  金がないからできるだけ節約しようとするんだけれども、それじゃいかぬ。早く予知して対策が立てられるような方向にしていかなければならぬぬですけれども、最初のことですから神奈川、静岡、山梨、愛知、岐阜、長野、こういうところでございまして、長官のところだって、岐阜県一区に入っているかどうかしらぬが、山の中の奥が入っているんです。だから人ごとじゃないんだ。あなたが在任中に一生懸命やってくれなければだめですよ、やってくれていると思いますけれども。  そういうわけで、こういう強化地域の指定についてもみんな虫食いなんだ。山梨県でも場所によっては除外されている。何を根拠にしてあるのか、県民にはよくわからぬ。それは地震予知の関係の学者と相談して、ここは大丈夫だということで抜かしたと思うけれども、あなた、一部にしてはだめですよ。岐阜だってもう少しやるとか長野も少しやるとか、静岡ぐらいが大体いっているぐらいなもので、神奈川県だって一部だ。ああいうことではだめだね、もう少しちゃんと整備しておかないと。何か災害があれば改めて思い直したようなことを言ってやるけれども、忘れたころに災害は来るし、来てから騒いでもだめなんだ。炭鉱問題でもそうですよ。戦後何十年間もこれを国会でやってきたでしょう。その都度ちゃんとやるやると言っておきながら、また発生する。そうすれば、またちゃんとやりますと言ってはまた出てくる。そんなことを繰り返しておってどうなりますか。地震、雷、火事といって、この三つは一番こわいんだ。だから、そういうことを肝に銘じて、少し全体的な指揮をとってやってほしいのですよ。強化地域にしても、どうも私の山梨県のことを言って悪いですけれども、選挙区のことですからお許しいただきますが、いまでも須玉町、高根町、大泉村、長坂町、小淵沢町、三富村、丹波山村、小菅村、これだけは除外されているのだよ。どうして除外したのかわからない。最初あなたの方から言ってきた地域に都留市とか大月市とか大和村、秋山村、道志村、上野原町というのが追加されたのだが、なお残っているわけだ。こういうものについてはなぜ除外したのですか。
  40. 川俣芳郎

    ○川俣政府委員 大規模地震対策特別措置法に基づきます強化地域の指定につきましては、先生御案内のとおりでございまして、駿河湾におきまして断層が割れましてマグニチュード八程度の地震が起こった場合に、東海地域におきまして震度六以上の地震が発生する地域について強化地域に指定をいたすということに相なったわけでございまして、各地域ごとに学識経験者等の検討を経まして指定をいたしたものでございまして、決して地域的なものではないというふうに考えております。
  41. 鈴木強

    鈴木(強)分科員 これはいまのところ学者先生が言うことを聞かざるを得ないのでしょうな。だから、それにある程度安全も考えながら地域をやっておかないと、そうなるかどうか来てみないとわからない。ですから、そういう安全性を確保しながらこの地域を考えるべきですよ。長官、強化地域についてはもう一度再考してください。
  42. 松野幸泰

    松野国務大臣 いろいろ貴重な御意見を承りましたので、事務当局で十分検討させます。
  43. 鈴木強

    鈴木(強)分科員 時間が二分ぐらいしかないですから、あと霊峰富士山のことで、私は何回もやるのですけれども一昨年久須志岳というところが崩壊しまして大変な死者を出したのですよ。たまたまあそこには県道がありまして、大沢崩れじゃないですけれども砂を滑っておりるところがあるのですね、甲州の方の通称砂場がありまして、そこで死者も出たのですが、これの対策については、県も県道があるし大変な苦労をしていたのですが、幸い、国、各方面の御協力をいただいて対策を立てていただきました。雪が降ると冬場はだめだしするので、その後、山梨大学の浜野教授あたりも大分力をかしてくれまして、皆さんの力で対策が進んでおると思うのですけれども、現状、いままでやってみてこれからどうしようとするのか、久須志岳の崩壊に対する防止対策、そこのところだけ、時間がないからひとつ簡潔に。
  44. 松野幸泰

    松野国務大臣 富士山の落石災害対策につきましては、一昨年の経験にかんがみ、昨年の夏山シーズンにおいては下山ルートの変更等の措置がとられたところであります。政府におきましても、この種落石災害の再発を防止するため、現在、技術検討委員会において総合的な安全対策の調査検討を進めているところであります。この調査結果を踏まえて、今後、関係機関と十分協議の上、適切な措置を講じてまいりたいと考えております。
  45. 鈴木強

    鈴木(強)分科員 わかりました。ありがとうございました。
  46. 後藤田正晴

    後藤田主査 これにて鈴木君の質疑は終了いたしました。  以上をもちまして国土庁についての質疑は終了いたしました。     —————————————
  47. 後藤田正晴

    後藤田主査 次に、郵政省所管について政府から説明を聴取いたします。箕輪郵政大臣。
  48. 箕輪登

    ○箕輪国務大臣 郵政省所管各会計の昭和五十七年度予算案につきまして御説明申し上げます。  まず、一般会計でありますが、歳出予定額は二百四十三億八千六百万円で、前年度に対しまして三億五千六百万円の増加となっております。  この歳出予定額には、実用の通信・放送衛星の管制施設整備費を初めとする宇宙の開発と利用の推進に必要な経費のほか、電気通信政策の推進、放送行政国際協力推進、電波資源開発と利用秩序の維持など、通信技術の著しい向上と複雑化する行政需要に即応した施策の推進に必要な経費を計上いたしております。  次に、郵政事業特別会計でありますが、歳入歳出予定額とも四兆三千二百七十三億八千七百万円で、前年度に対して一千九百四十八億五千五百万円の増加となっております。  このうち、歳出予定額におきましては、重要施策としております安定した郵便業務運行の確保に必要な経費、郵便貯金、簡易保険・郵便年金の普及推進と利用者サービスの改善に必要な経費、郵便局舎等の改善に必要な建設費及びその他所要の人件費などを計上しております。  なお、郵便事業につきましては、さきの郵便料金改定により事業収支も着実に改善へ向いつつあり、昭和五十七年度単年度における郵便事業の損益は五百八十二億円の利益が見込まれますが、過年度における欠損のため、年度末においては、なお、八百六十八億円の累積欠損金が見込まれております。  次に、郵便貯金特別会計でありますが、歳入歳出予定額ともに五兆三千八百四十二億七千七百万円で、前年度に対して五千四百四十三億九百万円の増加となっております。  次に、簡易生命保険及郵便年金特別会計でありますが、保険勘定におきましては歳入予定額は四兆八千七百十四億八千六百万円で、前年度に対して五千三十九億四千二百万円の増加となっております。歳出予定額は二兆七千二百二十三億七百万円で、前年度に対して四千九百五十三億五千四百万円の増加となっております。  また、年金勘定におきましては、歳入予定額は五百十四億一千二百万円で、前年度に対して三百九十四億六千八百万円の増加となっております。歳出予定額は八十三億七千九百万円で、前年度に対して三十五億六千五百万円の減少となっております。  最後に、日本電信電話公社の予算案につきまして御説明申し上げます。  事業収入につきましては、四兆一千六百六十四億円で、前年度に対して二千四百六十五億円の増加となっており、事業支出は四兆五百八十八億円で、前年度に対して二千三百二十七億円の増加となっております。  建設投資の額につきましては、一兆七千二百億円といたしております。これにより、一般加入電話百二十万加入の増設等を行うとともに、電気通信網の維持改善に特に配意することといたしております。  また、臨時かつ特例的な措置として、臨時国庫納付金一千二百億円の納付を予定しております。  これらの建設投資のほか、電信電話債券の償還、国庫への臨時納付金等に必要な資金は二兆四千十三億円となりますが、その調達につきましては、減価償却引当金等の内部資金で一兆三千九百三十二億円を、特別債・借入金、財政投融資等の外部資金で一兆八十一億円をそれぞれ予定いたしております。  以上をもちまして、郵政省所管会計の昭和五十七年度予算案の概略につきまして御説明を終わらせていただきます。  何とぞよろしく御審議のほどお願い申し上げます。
  49. 後藤田正晴

    後藤田主査 以上で郵政省所管についての説明は終わりました。     —————————————
  50. 後藤田正晴

    後藤田主査 これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。野口幸一君。
  51. 野口幸一

    野口分科員 私は、郵政省が今日まで事業を進められるに当たりまして、特に公共事業であり、また独占事業である立場から、ややもすれば陥りやすい独善と弊害を戒めるために、一層国民のためにサービスをしなければならない、そのための施策をどのように今日実行されているかということを中心としまして話をさせていただきたいと思っております。  質問に入ります前に、実は私、再三にわたりまして郵政省に話をしております年賀はがきの取り扱いの問題について、くどいようでありまするが、もう一度申し上げてみたいと思います。  御案内のように、釈迦に説法のたぐいでありますけれども郵政省にそんなことを言ってもおかしいのですが、郵便規則の第百二十条の二には、「年賀特別郵便の取扱においては、郵政省において、当該郵便物を十二月十五日から十二月二十八日までの間に引き受け、」云々、こうなっておりまして、取扱期間というのは十二月十五日から二十八日と規則に明らかに日時の指定があるわけであります。ところが、郵政省は、内部の事情といいますか、取り扱いの円滑化を図るために、当初はなるべく二十五日ごろまでにお出しをいただきたい、こういうPRを国民に対していたしました。国民理解をいたしまして、これに協力をしてきておるところであります。それが、なるべく二十五日が、なるべく二十三日、あるいはまた、日は忘れましたが、だんだん少なくなってまいりまして、昨今は実は「なるべく」という字がなくなりまして、差し出しは二十三日までに、こういう表現になっておるわけであります。  そこで、過般の逓信委員会でも、これは単なる「なるべく」という四字を抜いたという問題ではない。少なくとも国民皆さん方にサービスをする郵政省にあって、差し出し期間というのは決められている。それであるから、あくまでも郵政省は、お客様ということを意識するならば、なるべくお出しをいただきたいという協力の呼びかけをするのが当然である。にもかかわらず、抑圧的に二十三日までにというような表現をするのは誤りではないかということを再三にわたって申し上げてきたところでございます。  しかし、昨年の年末もこのことは改められませんでして、二十三日までにということでございます。そうなりますと、これは取扱規定をお変えになって、二十三日までが取扱期間なんだということになされる方がよろしいのじゃないか、逆にそうさえ思うのであります。しかし、それはおやりにならないようでございますし、問い合わせ、あるいはまた国民皆さん方からは、たった十五日から二十三日の間に出さなければならないのかというような、今度はまた間違った考え方をされるということもあり得るわけでございます。私はこれはどうも納得いかないのでありまするけれども郵政省としては、この規定の十二月二十八日までにというのは空文化されておって、一切これは受け付けないのだという姿勢をかたく堅持されておられるのかどうか、その辺のところから伺いたいと思います。
  52. 魚津茂晴

    ○魚津政府委員 年賀の取扱期間は、先生仰せのとおり十二月十五日から十二月二十八日という期間でございます。私ども、そういう期間の中でできるだけ早く年賀郵便物を出していただきまして、そのことによって元旦配達をできるだけ多くできるような体制に御協力をお願いしたいという趣旨から、先生仰せのような措置になっているわけでございます。  ただ、取り扱いというのは、あくまでも特別取扱期間は十二月二十八日までになっていることでございますので、十二月二十八日まで差し出された方には、特別取扱期間の一つの要件といたしまして、日付印を押さないという形で取り扱っているわけでございます。あくまでも取り扱いは十二月二十八日までであって、私どもいろいろPRを尽くしまして御協力を願うという線が、先生のお話では二十三日というお話でございますが、私どもさらに、これは先生の御趣旨からするとかえって問題になるわけでございますが、事実を申し上げますと、十二月二十日までに出していただきたい、こういうことでいろいろとPRをいたしている現状でございます。
  53. 野口幸一

    野口分科員 私の方が間違っておりまして、十二月二十日でございます。  結局、これは大臣聞いておられてよくわかると思うのですけれども、日の問題もさることながら、郵政省がいわゆる取扱規定で一応二十八日までということになっておって、そして内部の事情、いわば言い方はいろいろありますね、とにかく一日までに一通でも多く配達をしたい、そのために御協力をいただきたい、そこまで私も理解をするのです。しかし、あくまでも郵政省はお客様に対して物を言うのですから、規定がある以上、二十日までにという言葉は、あくまでも国民に言う場合には「なるべく」という言葉があってしかるべきで、ないのは全く威嚇的な昔の業務のあり方だ。少なくとも今日では、なるべく皆さんお出しくださいよというやり方が正しいんじゃないだろうか、そのことを私は申し上げた。それがいわゆる郵政省国民に対する姿勢でなければならない。  そういうことで、この前も申し上げたのでありますが、ひとつ大臣、この辺考え方としてはいかがなものですか。「なるべく」という言葉を入れる入れないという問題は、単なる言葉の問題じゃない、郵政省のお客様に対する姿勢の基本的な問題だと思うのですが、いかがでしょうか。
  54. 魚津茂晴

    ○魚津政府委員 私、まず事務的に申し上げてみたいと思います。  十二月二十八日まで取扱期間である。一方、年賀の業務運行全体をスムーズにするためには、できるだけ早く出していただきたいというそのことは、今後とも私ども国民の皆様方にお願いをしなければならない問題だと思います。しかしながら、これは先生仰せのとおり、きょうの御趣旨、それからかねがね逓信委員会等で強く申されている事態もございますので、私ども、二十八日の特別取扱期間であるということと早期差し出しをできるだけしていただきたいということの調和のある、それこそお客様にお願いするという心情をいかにして出すかというようなことを、先生のただいまの御趣旨を十分念頭に置きながら、ことしの秋のPRをする際に十分踏まえて検討してまいりたい、こういうふうに思っている次第でございます。
  55. 野口幸一

    野口分科員 大臣、どうですか。
  56. 箕輪登

    ○箕輪国務大臣 郵政事業は、郵便にかかわらず、すべてお客様があってこそ成り立つ事業でございます。したがって、先生御指摘のとおり、二十八日までとなっているものを二十日までに出してくれ、その際にやはり事務的であったり、あるいはお客様に対するお願いでございますから表現を工夫したらどうかというような先生の御趣旨だと思いますが、それに対しては、ただいま局長が答えられたとおり、御参考にしたい、こう考える次第でございます。
  57. 野口幸一

    野口分科員 何か郵政省が三月ごろの期間を、感謝月間というのではなくて、ありがとうという言葉を使おうじゃないかということを奨励される月にしようというようなことをお考えのようでございますが、私は、確かに、そのことも後で申し上げたいと思っておるわけですけれども、とにかく、いま大臣が言われたように、郵政省事業というのはお客様があって、あるいは国民の皆様方と接している省庁でございます。一番初めに申し上げましたように、独占事業であるということでありますので、ややもすれば、持ってこい、取り扱ってやるというような態度になりがちだし、いままでもそういうようなことが再々見られ、従業員もそういう感覚の中で育ってきているものだと思います。  したがって、こういう時代になりましたといいますか、時代の変遷もあり、国民のニーズも大きく変わっている中にありまして、郵政省自身もやはり威圧的な言葉というのは控えていかなければいけませんし、そしてまた、新たな構想の中で郵便というものを見直すに当たりましても、どうしてもやはり国民皆さん方に御利用いただくという立場を忘れてはならない。そのためには、威圧的に十五日から二十日までにというのでは、十五、十六、十七、十八、十九、二十、この六日の間に出さなければ年賀郵便は取り扱わないぞというような、外から見ればそうなりますね。年賀はがきは二十日までに出せ、こういうことはあくまでも避けていただきたい。そういう姿勢そのものが大事なんだ。なるべく、お差し出しをいただきましたら私どもも一生懸命配達いたします、一生懸命業務をいたしますが、皆さん方もひとつ二十旧までにお出しをいただきたい、そういう表現が正しいのではないだろうか。それはぜひともこの年末から実行をしていただくようにお願いを申し上げます。大臣、よろしくお願いいたします。  そこで、きょうは、いま申し上げました窓口のサービス問題について若干申し上げてみたいと思います。  実は、この質問に先立ちまして、都内の普通局、もっと回ろうと思ったのですが、結局回れませんで、六局と特定郵便局は四局ばかりでございますが、はがきを三十枚ずつ買いに歩きました。もちろんバッジを外しまして一般の者と思われるようにして参ったのでありますが、残念ながら、はがきを買いましてありがとうございましたと言われたのは数局でございます。特にこれは無集配特定局において、二局は確かに、ありがとうございました、そのうち一局は局長がわざわざ奥の方からありがとうございましたと、こう感謝の言葉を述べられました。私は、商売をしているのですから、物を売り買いするときに窓口の者がありがとうございましたとか言うことは当然のことだと思うのであります。ところが、残念ながら、非常に忙しいときを除きまして、私の参りましたときはちょうどそんなに忙しい時間ではございませんから、当然その時間には、お客様に対して物を売った場合には、もちろんはがきなり切手なりを売った場合、あるいはまた貯金をしに来られた場合、あるいはまた保険の加入を申し込まれた場合、ありがとうございましたということは言っていると思いますが、ややもすればそれを忘れているのではないだろうかということ。特に管理者の皆さん方が率先してそれをやらなければ、窓口はどうしても忙しいので忘れるとするならば、奥の方から立ち上がってでも、貯金課長でもあるいはまた保険の課長でも、それの課長代理さんであっても、管理者の立場の方々がお客様に対して感謝の言葉を述べるというような風習といいますか、ならいといいますか、そういうものを率先していかなければならぬと思いますが、この点について郵政省、先ほど私が初めに申し上げましたが、何かそういう月間を設けて励行しようじゃないかということをお考えのようでございますが、その点についてもう少し詳しく状況を御説明願えれば幸いだと思います。
  58. 澤田茂生

    ○澤田(茂)政府委員 先ほど大臣からも申し上げましたように、私ども事業はお客様があってこその事業でございます。三十二万人の職員は直接間接的に仕事を介してお客様と接しているわけでございまして、特に郵便局の窓口、お客様との直接の接点となっている窓口における接遇の問題というのは、大変重要な問題であろうというふうに考えて、かねてからいろいろ指導もいたしているところでございます。  お話がございましたあいさつの問題につきましては、人と人との心の接点と申しましょうか、普通、職場あるいは商売だからということでなしに、あいさつというものが自然に出るというのが一番望ましい形でございますし、特に、サービスを通じてお客様によりよいものを受け取っていただきたいというためにも、心からなるあいさつ励行ということを接遇の基本といたしまして力を入れてきたところでございます。  若干話が外れるかと思いますが、私どもかねてから努力はいたしておりますが、昨年の六月に行政管理庁で、行政サービス評価調査結果というようなものが発表されました。この結果によりますと、郵便局の接遇というものは高い評価を受けているという結果が出ているわけでございますが、いずれにいたしましても、お役所仕事と言われる中での評価であるとすれば大した自慢にならないし、先生御指摘にございましたような点もなおあろうかということで、今後とも心を引き締めてやっていかなければならないと思うわけでございます。  なお、いまお話がございましたありがとうキャンペーンという点でございますが、本年三月に郵便関係職員を対象にいたしまして、ポストマンのありがとうキャンペーンというものを実施をいたしておりまして、お客様へのあいさつの励行をさらに推進してまいりたいということにいたしているところでございます。
  59. 野口幸一

    野口分科員 そのように前向きに対処をされることを非常に多といたしますが、また、私が都内の局へ回りましたときに、全く初めからしまいまで無言で、私の方が一方的に物をしゃべった局が一局ございました。はがきを三十枚下さいと言ったら、黙って出しまして、そのまま黙って、全くこの人は物が言えないのかと思うような人が窓口に座っておるのでございます。やはり私どもからも啓蒙しなければならない点もあろうかと思いますが、少なくとも管理者の方々も特にその点に意を用いていただいて、今後、接客の一番基本的な問題であるところの、あいさつを忘れた物を言わないカナリアじゃない物を言うカナリアにしていただかなければならないと思うのでございます。  それからもう一つは、これは局内放送の問題を取り上げておるわけでございますが、実は窓口が混雑してまいりましたときに、何の説明もなされておらぬのでございます。年末首、窓口がいっぱいになっておりましても、どういう状況でいま込んでおるから少しお待ちをいただきたいというようなことも、一言もおっしゃっていただけないのであります。たとえば、貯金で一番窓口が込みますのは年金の取り扱いをなさるとき、年寄りの方が朝早くからずいぶんたくさん窓口に押し寄せておりますが、そういうことに対して、たとえば局内放送を用いまして、本日から老齢年金の支払いの開始を何時からいたします、お年寄りの皆さん、寒いのに御苦労さまでございますとかなんとか言って、少しく時間がかかるけれどもお待ちをいただきたいとか、少なくともそういうようなことくらい一言くらい言ってもよさそうなものじゃないかと思いますが、無言のままに、順番に来いと言わんばかりの取り扱いだ。窓口の混雑している年末なんかでも、小包を持っている人もあれば、郵便を差し出そうとして待っている人もあるけれども、どれだけ待ってもなかなか来ないというなら、窓口は非常に混雑いたしておりまして申しわけございませんが、順次取り扱いをいたしておりますので、しばらくお待ちをいただきたいとか、物を言わない窓口じゃなくて、物が言えないほど忙がしいときには、局内放送をするような施設の改善というものは何とか考えられないものか。ひとつぜひともやっていただきたいと思うのであります。  特に、国鉄なんかでは、窓口があのように自動になりましたので、ときどき、何々行きの切符は窓口でお買いをいただきたいとか、あるいは長距離の場合はどこどこの窓口でやっていただきたいとかいうことをやっている駅がございます。やはり郵便局も、そういうようなことで、もう少し前向きに放送設備なんかを設備していただいてはいかがなものかと思いますが、この辺についてのお考えはいかがなものでしょう。
  60. 澤田茂生

    ○澤田(茂)政府委員 郵便局における業務案内等につきましては、原則といたしまして案内板等掲示によってやっているというのが実情でございますが、先生いまお話のございました放送というものも大変有効な施策であろうと考えております。実は、窓口環境をよりよくするためということもございまして、バックミュージックを流したりというようなこともいろいろ試みている局もございます。また職員の自発的な工夫というようなことから、いろいろテープで流したりということをやっている局もございます。そういった中に、いま先生御指摘のような、お客様に対する御案内というようなものを臨機応変にやっていくというようなことが行われている局もあるわけでございますけれども、なお一層そういったものが徹底するように、局情等を見ながら、あるいは実情に合わせて検討させていただきたい、こういうふうに考えております。
  61. 野口幸一

    野口分科員 たとえば駐車の問題。長時間窓口におる場合に、駐車違反になりまして、お客さんが駐車違反でやられるという場合もございますし、いろいろなことがございます。もっと積極的に郵便局の窓口で、長時間お待たせの方、駐車違反にならないようにということを申し上げるとか、郵便局の前というのはわりあい駐車ができないところが多うございますから、そういうような問題も含めて、考えてやっていただかなければならないのじゃないか、それが本当のサービスではないだろうかということも思いますので、そういったことは少しく前向きに御検討をいただきたいと思います。  それから、もう一つついでに申し上げますが、窓口であります。窓口の施設、銀行関係に行きましても、窓口にあのような、ガラス張りであろうとも、隔てがあるのは郵便局だけじゃないかと思うのですが、どうしていつまでもカウンターの上に隔てをこしらえておくのですか。防犯上とおっしゃるならば、郵便局よりも銀行の方が金がたくさんあるはずでございます。定員の一名、二名あるいはまたそれに類似するような無集配特定の場合には、あるいはカウンターを乗り越えて賊が入ってくるというようなことを考えて、あのような施設が必要かもわかりませんけれども、たくさんいらっしゃる普通郵便局あたりであの窓口の隔ては必要なのでしょうか。あれは本当にお客様と中の者とを全く隔てたような形で存在している施設なのですが、この辺のことは改善されることはありませんか。  というのは、最近できました新しい局舎に行きましても、依然として窓口はガラスの隔てをこしらえておるのですが、どうしてあのようなことを改めようとしないのですか。その辺をお伺いいたしたいと思います。
  62. 澤田茂生

    ○澤田(茂)政府委員 お客様とお話をする、窓口でいろいろやりとりをする場合に、その境がないということがお客様に与える感じとしてはまことにいいということは当然でございます。私どもも、できるだけそういう新しいスタイルの、オープンカウンターと申しましょうか、そういったことを採用することにいたしているわけでございますが、何分経費等の関係もございまして、そこだけを改良するということではなくして、郵便局舎の新増築の際に、間仕切りのないオープンカウンターをやるというようなことでやっているわけでございますが、なお、お話もございましたように、少人数の特定局の場合には、何らかのものがあった方が安心感が得られる場合もあろうかと思います。そういう場合については、ある程度のスクリーンをつけるということも行っているところでございますが、いずれにいたしましても、お客様へのサービスという見地、あるいはそういった特殊な地域における防犯上の観点からいたしましたもののバランスというものを見ながら、できるだけお客様に感じのいいカウンターにしていくように今後とも配慮をしてまいりたい、こういうふうに考えているところでございます。
  63. 野口幸一

    野口分科員 時間がなくなっちゃいましたので、もう少し言いたいことが言えないのですけれども、とにかく旧態依然として窓口に隔てをつくっていらっしゃるのですよ。これは大臣にもひとつお聞きおきをいただきたいのですけれども、本当なんです。つい最近、新築の披露がありまして私も参りましたが、やはりまだまだ窓口に隔てをつくっているのかというところがあるのです。それはどうして必要なのかというと、一つは防犯だとおっしゃるのです。防犯上それが必要だということは私もわかりますが、少なくとも無集配特定の二人や三人という局ではそういうことも考えられますけれども、オープンカウンターになって、郵便から全部が並んでいる局舎においては、その窓口の隔てのガラスというのは不必要であり、お客様と従事者との間の疎外感をよけいに増大させていくものだと思いますので、今後一層要らぬものは取っ払っていただきたいということを特にお願いしたいと思います。  もう一つ、この際、申し上げておきますのは、非常にたくさんの掲示物をお張りになる。郵便局というのはいろいろなものを張るのが好きでございまして、全くあっちこっちにいろいろなものを張りめぐらすのでありますけれども、もう少し整理をして見やすいようにしなければせっかくの宣伝が行き届かない。先ほども澤田さんおっしゃいましたけれども、局内に掲示をするのが得意なんですが、とにかく郵政省というのは張るのが好きなんです。いろいろなものを張りめぐらすのですけれども、たくさん張るものですから、結局焦点がぼけてしまいまして、一体何が書いてあるのかさっぱりわからぬというのが現状でございます。そういう点を特に御研究なさるように——実は郵政省というのは、わりあい新しいことをするのが好きなんですけれども、昔のことをきちっと守るのも好きなんでございまして、なかなか新体制への切りかえができないのでございます。  時間が余りありませんから、次の問題に移りますが、実はふみの日の問題です。  大臣、いまちょっとお見受けしましたところ、ネクタイピンはふみの日のネクタイピンをおつけのようで結構でございますが、しかし、なかなか具体的に国民がふみの日を意識するところまでいっていないのでございます。私は常々申し上げておるのですけれども、郵便事業というのは、全くいまの時代から取り残されてしまいまして、手紙というものの持つ非常に重要なかつ文化的な問題というものをややもすれば疎外してしまっている。だから、それを一生懸命取り戻していただくために、もちろん文化の面から言うならば文部省かもわかりませんが、郵政省もひとつそのものについては大きく力を入れなさいということを、再三にわたって私どもは申し上げてきました。しかし、その結果か知りませんが、ふみの日というのをおつくりいただいて、少し前向きになったようでありますけれども事業の中身を見てみますと、どうも具体性に欠けるし、長期的に展望をしたものにはなっていないという気がしてなりません。  そこで、現在やっておられるふみの日の実態について若干御説明をいただきたいと思います。
  64. 魚津茂晴

    ○魚津政府委員 具体的な施策につきまして、本省、地方郵政局及び郵便局段階でそれぞれ創意工夫を生かすことを基本に各種の施策を推進してきたところでございますが、まず、本省におきましては、毎年七月の二十三日に新聞広告「手紙のある世界」というのを掲載しております。それからふみの日のキャンペーン切手を毎年二種類ずつ発行いたしております。それからいろいろと印刷物の作成配布、パブリシティーの活用というような点についても努力をしているところでございます。  各郵政局あるいは郵便局におきましても、要は、子供のころから手紙に親しんでいただくという意味での手紙教室の継続的な開催、臨時出張所の開設、その他各種事業展の実施等を通じてふみの日の定着を図ってきたところでございまして、この辺、国民にどの程度ふみの日が定着しているんだろうかということで、郵便のモニターが全国に四千人ございますけれども、昨年その四千人に対しましてアンケート調査をやったわけでございますが、約八割の方がふみの日については承知しておるというような答えもいただいているところでございます。それにしても二割がなお残っているわけでございまして、先生仰せのように、一つの施策というものを打ち出した場合に、その継続的な施策が非常に必要だと思います。そういう意味で、今後ともふみの日の定着というものについて一層工夫をこらしながら進めてまいりたい、こういうふうに思っております。
  65. 野口幸一

    野口分科員 言いたいこともまだたくさんあるのですけれども、時間が参りましたので、次の機会にいたします。ありがとうございました。
  66. 後藤田正晴

    後藤田主査 これにて野口君の質疑は終了いたしました。  次に、土井たか子君。
  67. 土井たか子

    ○土井分科員 先ほど箕輪大臣から予算説明を承ったわけでございますが、その中で、保険業務のサービスの改善、向上ということをお述べになりました。そこで私は、ちょっと保険業務についてお尋ねをまずさせていただきたいと思うことがございます。  簡易保険、学資保険、普通養老保険、こういう郵政でお取り扱いになっていらっしゃる保険関係に外国人は加入できますか、いかがでございますか。
  68. 小山森也

    ○小山(森)政府委員 外国人の方も加入できます。
  69. 土井たか子

    ○土井分科員 無条件で加入が認められるわけでありますか。
  70. 小山森也

    ○小山(森)政府委員 ただいまのところ、内部的な規定といたしまして、昭和五十一年に私ども本省から通達を出しております。この通達の中におきまして、一つ外国の方で出入国管理令、ただいま法律の名前が変わりましたけれども、これによりまして永住許可を受けた方等五項目の資格要件を決めておりまして、この中におきまして認められた範囲内におきまして、外国人の方と御契約いたすということになっておる次第でございます。
  71. 土井たか子

    ○土井分科員 いまおっしゃったその内部通達の中身がどうも徹底していないのですね、現場では、大臣もよく御承知だと思いますけれども、家庭訪問をされる外務員の方は、一人でもたくさん勧誘するということが成績にかかわってまいりますから、一時期はあの手この手と大変な勧誘ぶりであって、これが非常に批判の対象になったという時期があったことも、大臣、御承知のとおりなんですが、この家庭訪問をされる外務員の方が外国人にも勧められる。それは永住権を持たない外国人にも勧められるという例がいろいろあるのです。調べてまいりますと、これはいろいろあるわけですが、こういう外国人の方が多数勧誘を受けまして、外国人の立場からいったら、勧誘をされて、保険金を掛けさせられている。ところがその中で、いざ郵便局に参りますと、内部通達によってあなたには加入資格がありませんと言って拒否される場合と、そうでない場合と生じてきているようであります。内国人と外国人の平等という立場からいえば、これはやはり保険業務のサービス改善の中で、こういう内部通達というのはもう一度考え直して、一応破棄されるべきだと私は思われるのですが、大臣、いかがでございますか。
  72. 小山森也

    ○小山(森)政府委員 保険の仕組をちょっと御説明申し上げますと、保険というのは、基本的には生命保険のいわゆる生命表というものを基礎にいたしております。これは五十四年までは、郵政省では厚生省でとられた統計、いわゆる生命表をもとといたしまして、これを保険料を算出する基礎とし、さらにこれに予定利率等を算入いたしまして、お客様からいただく表定保険料と称するものをつくっているわけでございます。したがいまして、この基本的な表、これの中は日本人の方だけしがなかったわけでございます。ところが、これにつきまして、やはりその後の国際化等状況変化がございます。そこにおきまして、郵政省ではいわゆる経験表と申しまして、別の表を使い出したわけでございます。その結果、男の方、女の方、それぞれ生命の寿命というものが異なるということで、それぞれに保険料も変更したということがございます。  そういうようなことでございまして、保険というのは、先生がおっしゃられますとおり、国籍というものではなしに、いわゆる人の生活の根拠になっておりますところの生活環境から生じます生命表、これに基づいて、この方たちの間に相互に不公平のないような形でもっていくというのが、やはり基本だろうと思います。  しかしながら、私どもの簡易保険の基本は、やはり国営事業でございまして、そういう観点から国民のためのというのが一項目ございます。このような基本的な訓示規定的なものはございますけれども先生のおっしゃるとおり、いま国際化が進んでいる、日本人も海外に出ていく、日本にも大ぜいの外国の方が来て、永住の意思を持っている方もおられる。こういう点から、これはやはり一つの時期に来ていると私ども感じておりまして、個別の状況により審査を行う例外規定とか、あるいはいまは例外であるけれども、それを一般化してもいいではないかというようなものも考えられます。したがいまして、私ども、この先生の御指摘を一つ機会といたしまして、全体に洗い直しいたしまして、いろいろな問題がございますので、一般則だけで片づけてしまうのでなしに、例外的に審査をする一つの条項並びに例外の中でも、今度は一般化してもいいではないかという項目がどれくらいあるかという検討をいたしたいと存じておる次第でございます。
  73. 土井たか子

    ○土井分科員 早くもそういう方向で検討されるということをここで披瀝されたわけですから、いまある実態について詳しく述べるということも、ある意味では不必要かもしれませんが、現実について、こういう例があるというのも御参考になると思いますから、ひとつ申し上げたいと思います。  いまおっしゃったような、簡易保険、普通養老保険というのは、厚生省が手持ちであったいろいろな資料の中で、特に日本人の平均寿命というのを統計として割り出して、掛金の中身として考えていくというふうなことが過去の経緯としてあったようであります。これはおっしゃるとおりだと思います。そのためでしょうかね、ある郵便局では、一見して日本人と思われるような形相をしている外国人に対しては無条件なんです。ところが、目が青い、頭の毛が茶色い、一見して日本人でないという姿形の人は、たとえ永住権を持っている外国人でもだめだというきめつけ方をしている。だから、これは先ほどおっしゃった内部通達から考えてもおかしなことでありまして、通達にも当てはまらないやり方をやっているわけですね。通達違反ですよ。そういうやり方をやっている。なぜかといったら、やはり日本人の平均寿命ということを考えて、いまの保険の掛金についての考え方を郵政省としてはお持ちになったからというところから出てきている、これは物の考え方じゃなかろうかなと思います。また別の郵便局では、もう文句なしに外国人として登録証を持っていさえすれば結構ですよという取り扱いをやっている郵便局もございます。また別の郵便局に行くと、永住権を持って、しかももう一つ条件がある。幾ら永住権を持っていたって、日本語を理解できる人でないとだめだ。あなたは日本語が理解できますかどうですかという判別を郵便局がやっていらっしゃるようであります。これもおかしな話ですね。これは当たっていくと千差万別なんですよ、当たれば当たるほど。  そういうことからすると、ひとつそういうことで、私が先ほど申し上げたとおり、内部通達というものを、ここらあたりで一度考え直すということをはっきりやっていただかなければならない。それも前向きでやっていただかないとなりませんよ。後退するような方向でじゃだめなんで、やはり国際化が叫ばれているときですし、外国人に対しても、難民条約以後、いろいろ法制度の改革というものがございまして、日本国民と同じように、内国民と同じようにという取り扱いを進めるということが日本の法制度の基本に置かれておりますから、そのことをひとつお考えいただいてぜひお取り扱いをしていただきたいと思いますが、大臣、よろしゅうございますね。大臣の方から一言お聞かせください。
  74. 箕輪登

    ○箕輪国務大臣 御意見の趣旨を体しまして、事務当局を指導してまいりたいと考えます。
  75. 土井たか子

    ○土井分科員 それから、いまの健康に直接かかわり合いのある保険と別に、学資保険というのがあるでしょう。学資保険なんかの場合の取り扱いは、いまの平均寿命で考えるというのもおかしな話なんですね。これはちょっと違うのじゃないですか。  そうしてもう一言言わしていただきますと、外国人の中で永住権を持つ者と持たない者に分けて考えるというのは、これはどういうところに類別する理由があるのですか。
  76. 小山森也

    ○小山(森)政府委員 まず、外国人の方の永住の問題でございますけれども、これはやはり寿命がそれに非常に関係してくるわけでございますけれども、この寿命というのは、いわゆる住んでいるところの、生活の根拠としているところの経済状況から衛生状況すべてが関係しておる。その結果、一つの保険団を形成しておりますところの加入者相互間に、たとえば非常に衛生環境の悪いところに行かれた、その結果、不幸な事件が起きたというようなことになりますと、やはり従来使った生命表の間に差異ができるということで、できることなら永住権のある方というのは、日本生活環境の中にいる方という意味でございます。  それから、第二点の学資保険でございますけれども、いわゆる被保険者の死亡というような問題もございますし、契約者の死亡というようなものも関連してまいります。それを包括いたしまして、学資保険という一つの制度が形づくられている関係上、生命表をやはり使っているわけでございます。
  77. 土井たか子

    ○土井分科員 どうもいまその御答弁を聞いていると、私は解せないことばかりなんですがね。それは、自然環境でそれを考える、これは一つの物の見方でございましょうけれども環境のいいところにいる人必ずしも寿命が長いとは言いづらいですね。したがって、そういうことで永住権があるなしの判別の理由になさるというのは、ちょっといかがかと思います。これは理由にならない理由だと思いますよ。  あとの学資保険の考え方についても同様のことが言えるんじゃないか。これはいろいろやり合いをやっていますと、それだけで大変時間をとってしまうので、私本当はここでやり合いをやりたいと思うのだけれども、どうも十分なる時間を費やして討議を進めることができませんから、しかし、先ほど来内部通達については考え直すとおっしゃっていますから、ひとついまの永住権あるなしの問題で類別をするということについても、内部通達をお考え直しになる際、考え直していただきたいなと私は思うのです。いまの理由じゃ理由にならない。説得力ないですよ。ちょっと客観的な理由にはならないですね。と私は思います。大臣、これは早急にやっていただけるものと思いますけれども、早くお願いできそうですね、いかがでございますか。
  78. 箕輪登

    ○箕輪国務大臣 先ほども申し上げましたとおり、御意見の御趣旨はよくわかりましたので、事務当局を指導してまいりたい、こう考えます。
  79. 土井たか子

    ○土井分科員 これは早くお願いをします。ことし中に必ずできる、もっと早く、夏ぐらいまでにはできるだろうと私は読んでおりますが、それは間違いのないところだと思います。お答えにならないけれども、首を振ってにこやかに笑っていらっしゃいますから、これは間違いのない事実だと思います。そのように確認をさせていただいてよろしゅうございますね。夏ごろまでにできるでしょう。
  80. 小山森也

    ○小山(森)政府委員 できるだけ早期に検討して結論を出したいと思います。
  81. 土井たか子

    ○土井分科員 さて、もう一つあるのです。  もう一つの問題は、郵政省が郵便配達の業務の合理化とサービス向上というのを目標にして進めていらっしゃる取り扱いの中に、団地の主婦をパートの非常勤職員として雇い入れて、その住まわれている団地の郵便物を配達させるということを実施なすっていらっしゃると思いますが、全国でどれくらいの団地でこういうことが現に実施されているのでありますか。
  82. 魚津茂晴

    ○魚津政府委員 現在約千四百人の主婦労働力を活用して団地の配達をやっているわけでございます。
  83. 土井たか子

    ○土井分科員 千四百人を活用して、どれくらいの数の団地なんですか。
  84. 魚津茂晴

    ○魚津政府委員 団地の数は、私ちょっといま記憶いたしておりませんので、後ほど御報告させていただけないでしょうか。
  85. 土井たか子

    ○土井分科員 私は本来、主婦の方々について職域を拡大するとか雇用促進するとかいうことに対しては、もっとやっていただきたいという立場の人間なんです。この雇用拡大とかいろいろな職域を広げていくということは、もっと熱心にやらなければならないと考えている一人でありますけれども、しかし、この問題はちょっとわけが違うようであります。同じ団地の中に住んでいる主婦の人が、その団地に配達される郵便物を取り扱うということになると、勢いいろいろ心配される問題がございますけれども郵政省とされては何を一番心配されますか。ちょっとお伺いしたいと思うのです。
  86. 魚津茂晴

    ○魚津政府委員 郵便の最も大切な一つは、通信の秘密の確保である、こういうふうに思います。そこで、主婦労働力を活用する際に、自分の住んでいる団地を自分のエリアとして配達をさせているということからくる問題があろうかと存じます。
  87. 土井たか子

    ○土井分科員 これはそのとおりなんですね。いまおっしゃったとおり、認識はされているようであります。郵便法の第九条にはそのことがはっきり明記されておりますから。信書の秘密を侵すようなことは、断じて許されるはずもありません。そういうことに対して、郵政省としてはどういう御配慮をなすっていらっしゃいますか。
  88. 魚津茂晴

    ○魚津政府委員 私たち、この団地配達の法的な性格を考える場合に、民間に委託をする形式をとるか、郵政省が直接その配達業務を行うという観念でとらえるかということを、まず考えるわけでございます。  この団地配達は、民間に委託ということでなくて、文字どおり国家公務員として採用する、もちろん形式といたしましては非常勤職員という形式ではございますが、公務員というかっこうでやるわけでございます。公務員ということになりますと、先生仰せのように、郵便法にも第九条がございます。それと同時に、国家公務員法の百条で、公務員としての秘密の漏洩を禁止するという条文もございます。そういった法的な性格で通信の秘密の保障を担保するということをまず基本的に考えるわけでございます。しかしながら、通信の秘密は単にそういう法的な側面だけではまいりませんから、実際の訓練という問題が大切だと思います。したがいまして、団地配達として採用をした方には、まず採用時に訓練をする、そして毎月毎月継続して職場訓練というかっこうで訓練をやりまして、その中でいろいろと団地配達の仕事をやるに必要なことを指導しているわけでございますが、当然通信の秘密も最重点に指導しているところでございます。
  89. 土井たか子

    ○土井分科員 いろいろ御説明を賜りましたが、公務員として採用しているとおっしゃいますが、公務員には公務員としてのいろいろな権利がございます。たとえばこの団地のママさんに対しては、同様の権利が保障されておりますか。これはそうじゃないですね。パートですから、したがいまして、これは雇用の条件にしろ解雇の条件にしろ、権利に対しては客観的に裏づけられるものが全く何もない。実に不安定なありさまであります。  雇用とおっしゃいますけれども、一般に公募して採用なすっていらっしゃいますか。私が調べた限りでは、どうも実態はそうじゃない。郵便局長が自分の知っている人を、つてをたどって、あの奥さんこの奥さんと自分で考えて、お願いしますということをおっしゃっている。こんな雇用方法を国家公務員、つまり郵政関係の職員には全部おとりになっていらっしゃるのですか。郵政大臣が御存じのつてでもって、あの人この人というので採用なすっていらっしゃるのですか。そして国家公務員として起用なすっているのですか。これはおかしなことですよ。このありさまを見ただけでも、ちょっとどうかしているなと私はまず思ったのです。  それから、時間のかげんがありますからさらに申し上げますが、先ほど幾ら訓練をやっているから研修をやっているからとおっしゃいますが、団地の人たちの気分はそうはまいりません。配達される中には、いろいろ見てもらっては困るようなものも入るのです。たとえば借金の督促状とか、学校を受験したけれども不合格であったということの通知とか、就職に対して不合格の通知とか、封書に入ってくればまだしも、はがきで来る場合がないとは言えないのです。知られては本当に困る。こういうことからすると、勢い団地の中では、同じ団地に住んでいらっしゃる配達をなさる主婦の人に対して監視の目が光らないとは言えない。どうしてもそうなる。団地の中で実に気まずい空気がそこで醸し出されるわけです。コミュニティーを阻害するということがよく言われますが、これはまさしくコミュニティーのあり方を阻害する一つの例になっていく。断じてそうなりませんという保障はどこにもない。この問題は基本的に、どれだけ訓練されてもだめです。どうにもならない。  全国でこういうことを取り上げて、やめていただきたいということを申し入れられた例があると私は承知をいたしておりますが、御存じでしょうね、いかがでございますか。
  90. 魚津茂晴

    ○魚津政府委員 承知いたしております。
  91. 土井たか子

    ○土井分科員 そういうのは何例ございました。
  92. 魚津茂晴

    ○魚津政府委員 正確には承知しておりませんが、ときどき新しく団地配達の対象地域にするという場合の御意見として伺う場合がございます。
  93. 土井たか子

    ○土井分科員 御意見として伺う場合がございますなんて、そんな問題じゃこの地域方々は納得なさらないと思う。現にどうですか、この郵便法の二条によると「郵便は、国の行う事業であって、郵政大臣が、これを管理する。」とちゃんと明記されているのです。郵便事業というのは国の事業なんです。国で責任を持ってもらわなければ困る。そういうことを聞く場合があるというのは何ですか。住民の人たちからすると、自治体にそのことを申し入れて、自治体からはっきり郵政省に対して申し入れられている例があるのだから、お伺いするような場合があるじゃ、これは納得できません。いかがですか。
  94. 魚津茂晴

    ○魚津政府委員 先ほどちょっとお答えできなかったわけでございますが、現在団地配達を実施している団地は、全国で五百五十九団地ございます。対象の世帯が約百五万世帯でございます。  私ども先ほど、そういう御意見を聞く場合がございますという趣旨で申したゆえんは、五百五十九団地の実施の際に、そういう団地の主婦が配達するがゆえに通信の秘密が漏れるから絶対に反対だというケースはむしろ少ないわけでございまして、五百五十九団地の大部分は、私どもの必要があり社会的に是認されるというかっこうでやっている団地配達については賛成をいただいている、こういう趣旨で申し上げたわけでございます。
  95. 土井たか子

    ○土井分科員 そういう声が直接聞こえてこないから賛成されていると思われるのは即断であります。そういうことに対して、そう思われてしまうというのは、どうも事情に対してよく知ろうとなすっていらっしゃらないということにもなると私は思う。  これは大臣、先ほど申し上げたような通信の秘密を大切に守らなければならない基本問題が一つはございます。それと同時に、この主婦の方自身も、自分では一生懸命気をつけてやっているにもかかわらず、同じ団地の郵便物を扱うわけですから、細心の注意を払っていても、同じ団地の人たちから監視の目が自分に向けられているというお気持ちで仕事をおやりになるというのは、これ自身がまことに愉快ではありません。やりづらいという事情もございます。また団地の人も、私たちの通信を預かる人が果たして本当に秘密を守りおおせてくれるかどうかということに対しても、やはり不安だなという気持ちが渦巻きます。  こういう問題の中で、昨年の十月のことでありますけれども、とうとうある団地で郵便物が十数通置き忘れられたという事件が出まして、これではどうにもならない、いままでも心配していたことがいよいよ具体化したというので、その団地の方々が郵便局長に申し入れをなすったのです。ところが、その郵便局長のお答えは、この制度は中央の方で決められているのだから続けざるを得ない、パート主婦であっても、守秘義務などを指導していきたい、だからそれで間違いはなかろうと相変わらずおっしゃっているのです。問題は、中央がこういうことに対して改まらない限りはどうにもならないというのが、出先のそれぞれの郵便局長の弁です。だからそうなるだろうと思う。  ただ、ここで申し上げたいのは、そうさせてくださいと郵便局がおっしゃっても、必ずしもそのとおりなっていない地域もあることです。なぜかといったら、団地の方からお断りとおっしゃるときには実施がそうできない。ところが、いま私が例に挙げた十四通の置き忘れがあった団地は、お断りと言われたにもかかわらず強行されたといういきさつがございまして、それで、住民と郵便局との間で気分的にずいぶん摩擦が続いて今日に至っているのです。そのときの郵便局長の弁が、先ほど申し上げたとおりなんですよ。  そこで、一つはっきりさせていただきたいのは、同じ団地に住まわれている方に、その団地内の郵便物を配達させるというのは、ちょっと不穏当じゃないかと思うのです。団地のママさんについて、同じように配達要員として考えるということが、百歩譲ってよしやったとしても、団地を変えて、よその団地を配達するということを少しは配慮の上で考えていただきたい。それと同時に、その団地内から、私の方は、ここに住んでいらっしゃる主婦の方で配達をとおっしゃるけれども、どうもそのやり方に対しては賛成できないからお断りしますと言われる場合は、強行させないということをはっきり確認しておいていただかなければ困る問題だと私は思います。百歩譲って、いまの制度を続けるとおっしゃるのならば、せめていま申し上げたことを必要最小限度の問題としてはっきりさせておいていただきたいのですが、いかがでございますか。
  96. 魚津茂晴

    ○魚津政府委員 この通信の秘密という側面からいたしますと、先生仰せのとおり、配達なさる主婦の方の住んでいない団地を配達していただくということは、一般的にその方がよろしいことになろうかと思います。ただ、私どもそういったことでやっておりますのは、主婦の方のいわば条件といたしまして、できるだけ通勤の時間を必要としないことですとか、それから近いというのは、立地条件としては非常に効率という点でもよろしいというあれこれの事情からやっているわけでございまして、ただいま先生の御提言のそれに対しては、たとえば大団地でございまして、自分の住んでいる地域と隣接していま一つ地域があるという場合の担当の工夫というのは、私はあろうかと思いますが、ただ、団地が非常に離れたところで配達をするというような場合に、そこの団地に住んでいる方は配達できないということになりますと、この団地配達の基本にかかわってくるわけでございます。したがいまして、私どもいまお答えとして申し上げたいと思いますのは、担当を現実的に可能な中で工夫をする余地のある場合には、その趣旨を踏まえて十分徹底してまいりたい。しかしながら、そういう余地のない場合には、やはり通信の秘密の重要性を一般論としてあるいは具体論として機会あるごとに徹底して訓練をするということで御理解を賜りたい、こういうふうに思います。  それから、反対だという場合については、私ども、それでやめるということよりも、粘り強くいろいろとお話しを申し上げて、御心配は要らぬのだというような話も十分尽くした上で実施をさしていただいておるわけでございまして、今後ともいま先生のお話しになっている本質はどこにあるかということを十分考えながらお話を進めさしていただきたい、こういうふうに思います。
  97. 土井たか子

    ○土井分科員 どうも釈然としませんね。本来郵便配達というのは団地の主婦がやる業務なんですか。本来郵便局員がやる業務なんでしょう。国がこれに対しては、きちっと国の事業として管理をしてなきゃならぬ。私は、本来団地の主婦の業務だったら、いまおっしゃったようなことも聞きますよ。本来団地の主婦の業務じゃないんですよ。便宜的処置として郵政省がやっていらっしゃるだけの話じゃないですか。だからいまの御答弁は、そういうことからするといささかおかしな御答弁です。実情をもっと探査してください。そして反対する団地に対しても、粘り強く、その団地の主婦の配達業務が郵政省の立場から強行できるような条件をつくっていくとおっしゃるなら、何とまたこれを持って帰ったら、みんなの神経を逆なでするようなものですよ。いいかげんにしてくださいという声しか私は恐らく聞こえてこないと思います、いまのようなやり方でおやりになるのなら。  そして最後に申し上げますが、大体一日二回の配達であるのが決められたとおりの配達の中身であるにもかかわらず、団地の主婦の配達になったら一日一回というのが恒常化されてしまっているのです。これもおかしいのですよ。一日二回でなきやならない。これが一日一回になってしまう。これもおかしいと団地の方々がおっしゃっている、私はそのとおりだと思う。  大臣、これは最後にひとつ、この団地の主婦の配達業務について反対をしている地域にまで強行するようなことは、まさか、いろいろ良識ある大臣のことですから、おやりになるはずはないと私は思うのだけれども、これはひとつはっきり言っておいていただくことと、それからやっぱり本来は、団地の主婦が配達するということは、同じ団地に対しては好ましくないのです。だから、そういうことに対しては、もう一度いろいろなことを考え直してみようというふうにひとつお考えいただきたい。その中に、きょう私は、ほかの団地を配達の対象としてお考えになるのも一つの方法ではないかということを申し上げたのですが、これはあえて団地の主婦に配達をということをおっしゃるのなら、その程度の配慮くらいはなさらないと、それは郵便法の第九条を遵守するという大臣の立場からしたら、やっぱりおかしなことだと私は思いますが、いかがでございますか。
  98. 箕輪登

    ○箕輪国務大臣 先生のそのお話しされている趣旨はよくわかるのでありますけれども、隣の団地といっても、かなり離れたところの団地にということは、なかなかそれはむずかしいだろうと思います。  ただ、団地団地とおっしゃいますけれども、私は小さな村にいたんです。いまおっしゃる団地よりももっと小さいところです。そこに住んでいる配達の人が配るんです。やはりそこに住んでいる人も同じ条件だと思うのです。私がいた町は、女の配達の人が、やっぱりその町に住んでいる人が配達をしておりました。もうかなりおばあさん、まだ生きておるのです。表彰された人です。そういう人がその町内を配って歩くんです、町の中を。何の文句も出ません。団地だから文句が出るといったらこれはおかしいので、同じ女の人が配達をしているのでございますから、私は、この配達をしておった、私がいた町の女の配達の人は、これは正規の職員であります。女です、やっぱり。しかしながら、団地でその女の人が、非常勤ではあるけれども、国家公務員法の第百条で縛られている人でもあるし、先生おっしゃる九条でやはり縛られている人でありますから、やはり信書の秘密を漏らしたり何かしますと、これは刑事責任を問われることになるわけです。同じ条件だと私は思うのです。先生のおっしゃることはわかります。わかりますけれども、そういう田舎の方はそれじゃいいのか、団地だけが問題にされるのかということになるのではないだろうか。  私は、やっぱり婦人にそういう職場を開発し与えることは、悪いことではないと思うのです。ですから、そういう人方には……
  99. 後藤田正晴

    後藤田主査 時間ですから、簡単に願います。
  100. 箕輪登

    ○箕輪国務大臣 守秘義務というものを徹底させるということを私どもにやらしてほしい、徹底させるということでお願いをしたいと思うのです。
  101. 後藤田正晴

    後藤田主査 もう時間です。
  102. 土井たか子

    ○土井分科員 最後に一言だけ申し上げます。  その田舎の方のおぎゃあと生まれたときからつき合いのある村落と、新興の都市における団地とを一緒に考えられるところは大臣そもそも間違いですよ。そういう認識の上での間違いを正していただきたい。そこからこの問題に対する取り扱いについて、どうすることが最も大臣にとって大事な業務内容に責任を持つことになるかどうかというのを検討していただきたいと思いますよ。よろしゅうございますか。  以上、終わります。
  103. 箕輪登

    ○箕輪国務大臣 一言申し上げますが、信書の秘密を守る、守秘義務を守ってもらうということは、田舎であろうが団地であろうが私は同じだろうと思うのです。田舎なら結構です、団地だけは違いますということには私は賛成できません。
  104. 後藤田正晴

    後藤田主査 以上で土井君の質疑は終了いたしました。  午後一時から再開することとし、この際、休憩いたします。     午後零時十九分休憩      ————◇—————     午後一時一分開議
  105. 鴨田利太郎

    ○鴨田主査代理 休憩前に引き続き会議を開きます。  主査は少しおくれておりますので、私が主査の職務を代行いたします。  郵政省所管について質疑を続行いたします。後藤茂君。
  106. 後藤茂

    後藤分科員 時間が少ないので、切手の発行政策、三点ばかり、大臣及び郵務局長に御質問をしてみたいと思うわけです。  最近は郵政省も、昔のように切手というのは勝手に、勝手に張るわけじゃないですが領収証的に使われるものであって、そうそうデザイン等について配慮しなくても、あるいはまた発行政策についてそう気を配らなくてもいいといったような考えがあったのではないかというように私は思っておったわけですが、最近それぞれ、切手の図案等にいたしましても、あるいは郵政の業務の中での郵便に対する配慮というものが大変充実し始めてきているということは敬意を表するわけです。  その中の一つに、昨年から、エコーはがきと俗称言われておりますけれども、広告つきはがきを発行されるようになりました。これについても大変結構な話でありまして、当初考えておったよりも大変評判もいいというように聞いております。また郵政省当局といたしましても、非常に営業努力をされているようであります。  ただ、一つ困った傾向が最近出ておりますのは、私のところにもたくさん手紙が来るわけですけれども全国版はいいのです。しかし地方版の十万枚ということが、目先の立つ人がいるのでしょうか、どうしても投機的対象になる危険性がすでに出ているということ。様子を見ていかなければまだはっきりわかりませんけれども、これでは大変困りますので、こうしたエコーはがき、まだ試行錯誤の段階だと思いますが、投機的な傾向、あるいはところによってはすぐに売り切れて、そして手に入らないというような声も上がっております。  郵政省としては、こういった状況をどのように把握をされているのか。今後この広告つきはがきについて少し考えていかなければならないような点がありましたら、最初に局長の方からお伺いをしておきたいと思います。
  107. 魚津茂晴

    ○魚津政府委員 先生仰せのとおりでございまして、広告つきはがき、いわゆるエコーはがきの発行というのは、多少手前みそになるかもしれませんが、最近の郵政省のヒットした施策だというふうに受けとめて、喜んでいるわけでございます。と申しますのは、非常に好評な受けとめ方と全国的にわれわれ承知しているわけでございます。  そこで、発行しました当日に、全国の主要局の売りさばき状況なんかを絶えず私ども注視をしているわけでございますが、午前中に売れてしまう、あるいはその日のうちに売れてしまうという局も多うございます。それから、そこまでいかなくとも八十数%の初日の売りさばきというようなことでございまして、そこから先生のお話の投機的な動きがまた出てくるのじゃないかということから、私ども成り行きをいましばらく見まして、マイナスの面が出ないように、せっかくヒットした施策ということで受けとめられている広告つきはがきの発行に、マイナスの作用が起きないように注視をしてまいりたい、こういうふうに思っている次第でございます。
  108. 後藤茂

    後藤分科員 これはまだ余り深く掘り下げる段階ではないと思いますので、もう少し時間がたってからまた質問の機会があるかと思います。  私のところへは郵趣家がたくさん手紙をくれます、こうやって記念印を押したりローラー印を押したり。その中で、発行されますと、まず初日印を取りたいという欲望に郵趣家は駆られるわけです。午前八時から十二時までの午前印を押さなければならない。記念切手の場合にはそれぞれ指定局がありまして、そこへ行くと窓口が心得ておりますから、そうした収集家なり記念印を取りたいという者に対して大変親切なわけです。ところがエコーはがきなんかになりますと、全国、こういうものを扱ったことがないというところが扱うものですから、消印の押し方が、たとえば午前に入っておっても、はいわかりましたと言いながら窓のそばに置いておいて午後押すということになりますと、今度は十二時から十八時というような午後印になってしまうわけですね。そうしますと、せっかく頼んでおるのに、いわゆる初日印のそういうことにならないということがあります。こういったことは郵政業務からいけばわきの仕事だと言わないで、全国の各郵便局に対して、そうした郵頼等に対しましても、あるいはまたこういう消印を取りたいという者に対しても親切に窓口業務をしていただくように、ぜひひとつ御指導いただきたいと思いますし、なお初日印等であれば、何もその発行県のどこかに行かなければならないという手間をしなくても、県なりあるいは中央なりに指定局等を置いて、そこへ郵頼すれば初日消印をしてあげますよというような、親切な窓口行政もぜひ進めていただきたいと思います。これは一言、局長、大臣、どちらでも結構でございます。
  109. 魚津茂晴

    ○魚津政府委員 今日の郵便の課題というのは、郵趣の分野も事業にとって大切にしていかなくてはならぬということをわれわれは非常に痛感しているわけでございます。したがいまして、そういった初日押印の押し方というようなものについて、先生の仰せのお話をこの機会に具体例として関係の郵便局に周知徹底をいたしまして、コンブレーンのないようなかっこうでぜひやらせていただきたい、こういうふうに思っております。
  110. 後藤茂

    後藤分科員 ぜひそのような努力をお願いいたします。  そこで大臣、大臣のところなんかには、たくさん結婚披露の案内が来るだろうと思うのです。私にもこの間来た。この案内の封筒は七十円払わなければならない封筒でありますけれども、鳳凰をインボースした封筒で、裏に寿のシールまで張ってくるわけです。さて、ここに張られているのがこういう六十円のつり鐘の切手と十円のシカの切手です。大臣はあるいは御存じないかわかりませんけれども、いつごろでしたか、昭和四十二年ですか、国際観光年で十五円のちょうちんの切手が出でいる。もし、つり鐘とちょうちんの切手を張ったりしたら、結婚式はだめになるだろうと思うようなことになる。ぜひひとつ結婚の案内とかあるいはお祝いとか、こういうものに対しては、それにふさわしいような慶祝の切手を発行していくべきではないだろうか。後でお見せしますけれども、アメリカがついこの間、二十セントのラブという切手を発行したわけです。これはやはり慶祝の切手でありまして、御誕生祝いだとか結婚式の披露とかにこういうものを出しているわけです。このラブという字を花模様で、花でラブの切手をつくっているわけです。こういうことに対して世界各国がいろいろな配慮をしている。ぜひひとつお祝いの切手というものを発行してやるべきじゃないだろうか。  それからもう一つ、慶弔の弔の方の切手。これも年末になりますと、私どものところには、新年の賀状を失礼いたしますという、これはほとんどの方々が何通かいただくわけです。大概これは料金別納印が黒く、全く無神経に押されているのが多いんです。こういう慶弔の弔の方の切手に対しても考えて出すべきではないだろうか。これは主に四十円のはがきが多いですから、四十円でもいいのじゃないかと思いますけれども、場合によると封筒等もありますから、あるいは六十円ということになるかわかりませんが、こういったものに対してどういうお考えであるか。私は、ぜひこういった切手を発行していくべきではないだろうか、すでに先ほどお見せしましたように、アメリカ等でもこういうような配慮をしているわけでございますので、大臣いかがでしょうか。
  111. 魚津茂晴

    ○魚津政府委員 国民の皆様方から、慶弔用の切手を発行してもらいたいという御要望も実は非常に多いわけでございます。それからまた、考えてみますと、先生のお話にもございましたように、慶弔用の通信というのは、郵便に占める割合としてもかなりあるわけでございます。したがいまして、私ども本年度中には慶弔用のそれぞれの切手を発行すべくいま準備を進めているわけでございまして、ぜひとも先生にも喜んでいただける切手を発行いたしたい、こういうことで努力している次第でございます。
  112. 後藤茂

    後藤分科員 ちょっと、大臣の答弁をいただく前に。  私のところにもいろいろな手紙が来るのですけれども、この間も子供さんから手紙が参りまして、僕は、親戚に赤ちゃんが生まれると——コウノトリの切手が昭和三十九年の鳥シリーズの中で出ているのです。これはたしか十円であったと思いますから、いまの封筒に張るには六枚張っていかなければならないわけですけれども——コウノトリの切手を張って赤ちゃんの誕生をお祝いしてやるんだという手紙が来ているのです。  さらにもう一人、これは中学の子から来ているのですけれども、自然保護シリーズのタンチョウという二十円の切手があります。これは昭和五十年に出ている。五十一年にリュウキュウヤマガメの五十円の切手が出ている。合わせますと七十円になるわけですね。これを封筒に張ってお祝いをしているのだ。結婚式にはどうもタンチョウとヤマガメというのは余りよくないですけれども、たとえば喜寿の祝いだとか米寿だとか還暦とか、こういうものへのお祝いなんというのはやはりこういった切手を張ってやろうという、つまり心遣いが私は大切だと思う。  私は、結婚式の披露宴の案内状をいただきますと、百円のタンチョウの通常切手があります、それと五円のオシドリ切手を張って、その日の記念印を押してやって、これは黒活ですけれども、そして結婚式場で新郎新婦に上げるのですよ。そうしますと、大概の人がアルバムの最初の方に張って喜んでいるわけですね。そういう慶弔切手。  もう一つの例では、昭和四十九年に六十一回の列国議会同盟の会議に切手が出ております。これは川端竜子の愛染という、オシドリが二羽入っている絵です。川端竜子のかいた絵を切手にしているのです。こういうのを張ってやる。どうせ切手を張るのですから、みんなそういう工夫をしながら、心が伝わるようにとしているわけです。  そういう意味で、いま局長から御答弁をいただきましたが、再度大臣に、郵政大臣になられて、大臣の時代にこういうようなことにも配慮をした切手を出したのだということが残るように、ぜひひとつお考えをいただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
  113. 箕輪登

    ○箕輪国務大臣 後藤先生のただいまの御発言は、大変示唆に富んだ参考になるお話だと思います。ただいま局長から答弁いたしましたように、そういう先生の御要望、さらにまた国民のニーズが大変多いというお話もございまして、ぜひ先生に喜んでもらえるような、国民のニーズにこたえられるような、そういう切手を年内に何とか実現したい、こう考えているところでございます。
  114. 後藤茂

    後藤分科員 敬老の日も秋にはあるわけですし、あるいは文化の日もあるわけですが、そういうところまでに間に合うように発行を心がけていただきたいということを念を押しておきたいと思います。  次に、いま洋風建築シリーズが出ているわけです。これは大変評判のいい切手でありまして、評判がいいというのは、デザインなりその洋風建築という題材を選んだこともよかったわけですけれども、それ以上に、それぞれの地域に大変親しまれている建物だ、したがって、その地域の人々が好んでその切手を買って、手紙を出すときには張っている。大臣の地元の札幌でも、札幌時計台が出ました。あれは郵政省に聞いてみますと、少し余分に札幌の方、つまり北海道の方には配付をした。ところが、すぐ売り切れてしまっているのですね。地方の時代というわけじゃないですけれども地域の文化なり歴史なり等々を題材とした切手というものは、それほど実は大変地域に喜ばれる。そういうことを考えてみますと、私はぜひひとつ、洋風建築シリーズが大体五十七年度で終わるようでありますから、したがってその後を名城といいますか、日本では外国にはない建物としてお城があるわけです。このお城なんかは、ぜひ次の発行シリーズの題材として積極的に考えていくべきではないだろうか、かように考えるわけですが、大臣いかがでしょうか。     〔鴨田主査代理退席、主査着席〕
  115. 箕輪登

    ○箕輪国務大臣 シリーズ切手の題材は、先生御承知のとおり、わが国の自然とか文化とか産業などを広く国の内外に紹介するとともに、あわせて郵趣家の普及に役立つために図るというようなことを考慮して題材を選定いたしているところでございます。  現在、先生おっしゃったとおり、美術シリーズだとか洋風建築シリーズというものをやっておりますが、このシリーズが終了後に日本の名城、お城、これは外国にないお城でございますので、こういうものもひとつ次には考えたらどうかという先生のサゼスチョンでございますので、大変貴重な意見として、十分先生の意見を酌んだ中で慎重な検討をし、決定してみたい、こう考えているところでございます。
  116. 後藤茂

    後藤分科員 昨年、フィラTOKYO国際切手展が行われました。日本では初めてです。たくさん外国から郵趣家やあるいは郵政関係の担当者が来たわけです。せっかく見えたわけですから、日本の各地を歩かれたようですけれども、私の何人かの友人も城を見て、実はびっくりしているわけです。外国の切手では、キャッスルだとかシャトーだとかというのですか、こういういろいろな建物、城の切手も発行されております。日本では姫路城あるいは松本城というような、ごく一部より発行されていない。私、ここに「日本の名城」という本があるわけですけれども、これを見ましても、実にそれぞれの角度からすばらしい城の写真が載っているわけであります。  ある人に言わせますと、城といっても天守閣、天守閣というと形は同じ、切手にはどうもならぬじゃないだろうかという御指摘もあるようですけれども、四季折々の風情をバックにした城の表情というのはみんな違うわけです。それから、一つ一つ城がまた違いますから、切手というものが文化の大使であるとか使節であるとかと言われているときだけに、地域に密着するということとあわせて、先ほど大臣から御答弁いただきましたが、積極的にひとつ検討をしていただきたい。そして、できるならば発行にこぎつけていただければいいのじゃないだろうか。  この間も、郵政省の方から出している「ポストマン」というのを見ておりますと、「郵便を売ろう」などというようなキャンペーン記事が出ておる。結構な話だと思うのです。そうした中で、先ほど言いましたように、地域に密着した自然あるいは歴史あるいはまた文化財、こういうようなものを切手で発掘してやるということが大切だと思います。  また、自分の町から、あるいは地域から出たそういうような切手というものは、最近は手紙離れ、郵便離れをしていると言われておりますけれども、好んで張って音信を交わしていくということになるだろうというふうに考えますので、ぜひこの点を強くお願いをしておきたいと思うのです。  局長、この問題についていま大臣が、積極的にひとつ取り組んでみたいということを言っておりますけれども、省内でも、こうした建築シリーズの後、さらに深めていくということは少しは進んでおるのでしょうか。
  117. 魚津茂晴

    ○魚津政府委員 現在の二つのシリーズものは、五十七年度で近代美術シリーズが完了するわけでございます。したがいまして、五十八年度から新しいシリーズ切手の発行ということで、先生から名城シリーズのお話、これも大臣から御答弁あったとおり、私ども進めているわけでございまして、そのほかに昨年、後藤先生から人物シリーズというような御提案も受けておりますので、そういった点をいろいろ考えまして、ふさわしい切手シリーズを五十八年度から、いま大臣の御答弁の御趣旨を踏まえながらやってまいりたい、こういうふうに思います。
  118. 後藤茂

    後藤分科員 マニアというのは、どうも自分でいろいろなことをつくり上げてみるわけです。それも、たとえばこういう角度からやるときれいだということで、収集家というものはこういうものをつくって楽しんでいるわけでありますけれども外国の皆さんもそうですし、また収集家だけじゃなしに、一般の人々もこういうのを見ると大変潤いを持って見るわけでありますから、ぜひひとつ取り組んでいただきたいと思います。  時間がございませんので最後に。先ほど局長の方から文化人の話が出ました。私も第二分科会で実は一つ質問をしたのですけれども、それは大臣、私驚いたのですが、和伊辞典という、日本語をイタリア語にする辞典が初めてことしできたわけです。高橋という方ですけれども、大変熱心に三十五年かかって、こつこつと辞書を出されているわけです。これに対する文部行政ではほとんど助成をしていないわけです。それは別といたしまして、その辞書をずっと調べておりましたら、日本の辞書の歴史を見ましても、たかだか二百年か二百五十年ぐらいなんですね。文化交流の一番、つまり文化のあけぼのだろう、こういうように思うのですけれども、青木昆陽だとか新井白石なんかは、そのために大変努力をした。したがって、私は、そうした日本の歴史に足跡を残してきておる人々はぜひ顕彰をしていくべきではないか。昨年もそのことは申し上げておいたわけですけれども、これもさらに積極的に取り組んでいただきたい。いま「峠の群像」が出ております。たとえば近松門左衛門等にいたしましても、あるいはその当時文化栄えて、たくさんの画家、作家、学者等がいるわけですし、そういう者をぜひ顕彰していただきたいというように考えます。  そのときに一つお願いしたいのは、余り近代で明治以降になってまいりますと、またいろいろとかくの意見も出るかもわかりませんけれども、まあいまから百年より以前くらいだったら歴史的に大体評価が定まっておりますから、そういった観点からぜひ取り上げていただきたいということを御要望しておきたい。  それからもう一つ、現在、日本の近代美術シリーズの切手が出ております。これも大変喜ばれておる切手でありまして、私たち、外国の収集家と文通をするときには、大概こういった切手を張ってあげる。そうすると、いままでは日本の切手というとただ浮世絵だけ、浮世絵しか芸術というものはないのかというように言っておった人々が、近代美術シリーズの切手を見て、改めて見直していく面がある——単に絵だけじゃなしに、これは書だとかあるいは工芸品、陶芸だとか漆器だとか、さらにはまた着物の染色なんかも大変芸術的なものが多いわけです。こういった分野にも広げていくべきじゃないだろうか。いまの近代美術シリーズは、局長、一応はエンドレスでしょう。ですから、そういうような点も、ただ絵だけじゃなしに、ぜひ配慮をしていくべきじゃないかと思いますが、大臣いかがでしょうか。
  119. 箕輪登

    ○箕輪国務大臣 十分検討に値する御提言だと考えております。慎重に検討させていただきます。
  120. 後藤茂

    後藤分科員 きょうは三点ばかり、特に切手発行の政策について申し上げたわけでありますけれども、先ほど言いました文化人等をぜひ洗い出していただきたい、できればやはり専門家等、また文化庁や各大学等とも、それぞれの専門家と相談をしていきながら、ひとつできるだけそうした歴史的に功績を残された方々を発掘していくというようにぜひお願いしたいし、近代美術シリーズにいたしましても、絵だけに偏らない、日本の芸術というものはすぐれたものがたくさんあるわけですから、そういうものを掘り起こしていくということをぜひひとつ御配慮いただくように御要望をして、私の質問を終わりたいと思います。
  121. 後藤田正晴

    後藤田主査 これにて後藤君の質疑は終了いたしました。  次に、小沢貞孝君。
  122. 小沢貞孝

    小沢(貞)分科員 私は、これは政治家から御答弁をいただきたいわけで、大臣から答弁をいただきたいわけですが、グリーンカード制、これはわれわれも最初に見たときは、余り金のない方だからどっちでもいいよみたいなつもりになっておったのですが、最近わが党の中小企業や金融の専門家である塚本書記長が総括質問のときに提起したり、この一、二週間前に春日一幸がこれを廃止してしまえ、こういう提起がありまして、私も大変関心を持ち出したわけで、方々へ行って座談をやってみると、これをやっていけという人は一人も出てこない。金がないからみんな関心がないのか、あるいは国民の七、八割は無関心でいるでしょうけれども、金融機関とか専門家で研究している人は大変関心があって、こんな悪いことはやめてしまえという声ばかりが圧倒的に多いようであります。  そこで大臣から、個人箕輪議員でも結構です、あるいは郵政省として、大臣という立場でも結構ですが、二、三の事務的なことを質問した後で、ひとつじっくり考えていただいて賛成か反対か、特段の御発言をいただきたい、こういうのがきょうの質問の一番大きい点であります。  それで、郵政省事務当局にお尋ねしますが、郵政省の貯金口座、一体どのくらいあるでしょうか。
  123. 鴨光一郎

    ○鴨政府委員 概略で申し上げます。  通常貯金の口座が約六千二百万強でございます。積立貯金の口座数が約一千万口座。それに定額貯金、これは口座ではございませんで、証書の枚数で表示をいたしてございますが、約二億二千万枚強でございます。それらを総合いたしますと約三億になりますが、定額につきましては、先ほど申しましたように証書の枚数でございます。
  124. 小沢貞孝

    小沢(貞)分科員 そうすると、いわゆるグリーンカードの対象となる口座というのは一番最後に言ったものでしょうかね。通常とか積立はグリーンカードの対象にはならぬわけですね。だから一番最後のものですか。
  125. 鴨光一郎

    ○鴨政府委員 郵政省のグリーンカードとの関係でございますが、一昨年の所得税法改正法の中で入りておりますのは……(小沢(貞)分科員「そのことじゃないんだ、口座の対象の数だけ」と呼ぶ)対象になりますのは、郵便貯金をしていただく方には、いずれの場合におきましても窓口でグリーンカードを提示をしていただく、こういうことに相なっております。つまり、いま申しました通常貯金、積立貯金、定額貯金、そのほかに定期貯金もございますが、要するにそういったものを郵便局で、窓口で貯金をしていただく方にはグリーンカードを提示していただく、こういうことになっております。
  126. 小沢貞孝

    小沢(貞)分科員 そうすると、約二億二千万口座、こういうことになれば、一億の人で言うならば、おぎゃあと生まれた子供から棺おけに足を突っ込むような人まで平均二口座持っている、こういうことだと思います。それから一軒の家で言うならば、五人家族とすると十の口座を持っている、こういうことになるわけですね。  そこで次にお尋ねをしたいのは、郵貯のオンライン化がこう進んで、私はこれは非常に計算事務を省略して、大変いいことで、この合理化は早く進めてもらいたい、こういうことで念願をしておったわけです。大分進んだようでありますが、これが終わるのはいつでしょうか。
  127. 鴨光一郎

    ○鴨政府委員 ただいま先生から御指摘のございました定額貯金につきましては、先ほど申しましたように証書の枚数で二億二千万でございますので、確かに仮に一億人で割りますとそういうことになりますが、利用される個々のお方として計算いたしますと、全国民持っておられるわけではございませんので、もう少し一人当たりの数はふえようかと思います。ただ、証書一枚当たりの金額につきましては、これはいろいろまちまちでございます。一万円、千円、千円からの単位でお預け入ればできるわけでございますので、個々の預入されております金額はまちまちでございます。  それからオンライン化計画でございますが、下十三年の八月からスタートをいたしまして、五十八年度中に端末機を全国に配備する予定でございますが、その上に乗せますサービスは昭和六十年度中を目途に乗せていこうということで、計画をいまいたしておるところでございます。
  128. 小沢貞孝

    小沢(貞)分科員 引き続いてお尋ねしますが、これに要する投資額はどのくらいです。何千億でしょうが。  それで、その投資効果として、貯金特会の職員は一体どのくらい節減、減らすことができるか。
  129. 鴨光一郎

    ○鴨政府委員 オンラインシステムの全国網完成に要します建設費の方でございますが、ソフトウエアの開発費とか端末機器、電子計算機あるいは局舎設備等の費用を含めましておよそ千九百億円、これはトータルでございますが、それを予定いたしております。  また、御指摘の人員につきましては、この期間中におきまして約三千人の減員が可能であろうかというふうに考えております。
  130. 小沢貞孝

    小沢(貞)分科員 私は、郵政省でこういうことを計算するときに、民間でやっているような計算の仕方をしないんじゃないかと思うのです。二千億近くかけて三千人ばかりの節約で一体投資がぺイするのかどうか、こういう民間的感覚がないと私は思う。これは要望だけです。これだけの投資をしたら、七万人もいる郵政の郵貯の特会の職員はもう少し節約できないものだろうか、こう思いますから、これは要望だけ申し上げておきます。  それで、私はこれは前から言っているわけですが、不要な口座みたいなのをたくさん抱いているのじゃないか、こう思うのです。いまの郵貯法の二十九条は、十年間出し入れがなかったものを催告して、二カ月ばかりたって返事が来なければ没収してしまう、こういうことになっていて、これは、十年というのはちょっと長過ぎないかと前から私言っているわけです。五年くらいで何にも出し入れのない通帳というものはもうやめてしまって、そのかわり催告の期間というのは半年くらい置いて二回ばかり催促してみるというようなことをすれば、大分口座が減るのではないか、私はこう考えるわけです。前にもこのことはさんざんやりましたからあれなんだが、そういうぐあいに短縮して、二億二千万口座みたいなものはそういうことをやると大分減ってくるのではないか、その合理化に役立つと思うのですが、どうでしょうか。
  131. 鴨光一郎

    ○鴨政府委員 御指摘の点でございますが、郵便貯金の権利の消滅期間の短縮ということで、事務の簡素化という御趣旨と承っておりますけれども、権利の存続期間を消滅することにつきましては、預金者の利益に直接関係する事柄ということで、大変重要な問題だと私ども受けとめております。  それで、御指摘の、要するに一戸に、口座数を減らすということはどうかというお話かと思いますが、その点につきましては、確かにオンライン処理をしてまいりまして、したがって人手をかけずに処理ができるというふうな状態になってきている点が一つございます。同時に、センターの処理能力と申しますものは、口座の数と申しますよりは、実際に取り扱いをいたします預払い、お預かりをしあるいは払い戻しをする、そういうものによって影響を受ける、預入や払い戻しの件数によって影響を受けるわけでございますので、先生御指摘のような、口座を限定するということよりも、いま申しました実際の取り扱い、預入、払い戻しの件数が変わらないと、その処理の手数を簡略化するということには相ならないということでございます。
  132. 小沢貞孝

    小沢(貞)分科員 また時間があるときにそれをいろいろやってみたいと思いますが、グリーンカードができた場合に、いままで郵政省に、人の名前だか、にせの名前だか、架空の名前だか何か知りませんが、積んでおいたものがだんだんわかってくる。わからせなければいけないのがグリーンカードの目標でしょう。そうなってくると、一体どのくらいに減るだろうか。架空名義というか何というか、私は専門語はよく知らないのだが、これはどのくらい減ってきますか。
  133. 鴨光一郎

    ○鴨政府委員 グリーンカード制度につきましては、先ほど申しましたように、郵便貯金もこれにいわば参入するということになっておりますが、その場合の対応と申しますのは、先ほどもお話しいたしましたように、郵便貯金をされる方が窓口においでになりましたときにグリーンカードを提示していただく。私どもはそれを受けて、証書や通帳に番号を記入するという措置をするわけでございます。  この本人確認という問題は、郵便貯金が、先生御承知のように貯金法上三百万円と限度額を設けておりますことから、これまでも、グリーンカードが施行されていない現在の段階におきましても、われわれの責任におきまして、この限度額管理を厳格に行っているわけでございます。現在ではグリーンカードはございません。何で本人確認をしているかと申しますと、いわゆる身分証明書あるいは運転免許証、そういったもので御本人であることを確認させていただく。もちろん特定局等におきましては、お顔見知りの方も大ぜいおいででございますから、そういった方には改めての確認はいたしません。要するに、御本人を確認させていただくということは現在でも十分やっているつもりでございます。と同時に、確認されました個々の預金者の方々の総体的な預金額が幾らになるかということにつきましては、これも先生御承知の、後方にございます地方貯金局におきまして、全国一本で名寄せをいたしております。この名寄せもわれわれ厳格にやっているつもりでございます。その結果といたしまして、これもまた貯金法上手当てがされておりますが、われわれ、これまでにも減額処理というふうなこともさせていただいているわけでございます。したがいまして、グリーンカード制度が施行されたといたしましても、その意味においての、いま先生御指摘の意味においての貯金の増減ということは、特段の影響はないと考えております。
  134. 小沢貞孝

    小沢(貞)分科員 事務的な問題についてはいろいろありますが、このグリーンカード制が実施されることによってまた貯金局の職員が大ぜい要るとか、名寄せのために、何か国税庁の方はばかに大ぜい人が要るみたいなことで、実際国税の増収には七百億しかならないのに、事務費だか人件費が二百億とか三百億要るみたいなことで、行革が論ぜられているこのときにまるで逆行じゃないかみたいなことが言われるわけですが、郵政省の方としては特別の人員増その他はないでしょうか。これは後でいいです。  そこで大臣、時間がないのでお尋ねしますが、冒頭に申し上げましたように、これがいわゆる総合課税に移行する過程で、実際それにふさわしくないように預貯金を隠してしまうみたいな動きが大変大きく出てきているようであります。大蔵省では二、三日前にゼロクーポン禁止だ、大蔵省がそういうことをできるのかどうか私よくわかりませんが、個人がやろうとする営業について禁止する、ゼロクーポンに逃避する者がたくさん出てきたから。この間説明を聞いていると、五十五年は金の輸入量が四・八トン、それが五十六年になったら百八十トン、暮れになったら急速にふえてきて、ことしの一月だけで二十八トン、約三十トンですね。このペースで行くならばことしじゅうに五百トンも六百トンも金の輸入がふえて、金に逃避する、こういうものが出てくるようなことになりはしないか。これは春日一幸提起の問題で出てきておるわけですが、最初からこの制度について郵政省は消極的であったように私は記憶しているわけですが、どうでしょうか、この機会に——多分あした、わが春日一幸廃止提唱者と、自民党のグリーンカード問題の特別委員長金丸さんですか、政治的に話し合って、賛成させるみたいなことを言っているが、すぐにそうはいかぬでしょうが、郵政相として、また箕輪議員個人としては、これはどう考えるのでしょうか。
  135. 箕輪登

    ○箕輪国務大臣 これはまだ読んでおりませんけれども、この問春日一幸先生とお会いして、御趣旨はよく聞かされました。私個人と申しましても、個人でここに立っているわけでありませんので、鈴木内閣の閣僚の一員でございます。したがって、グリーンカード制度におまえは賛成か反対か、こういう政治的判断を求められたわけでございますけれども、閣僚の一人として、本件については答弁を差し控えさせていただきたいと存ずる次第でございます。
  136. 小沢貞孝

    小沢(貞)分科員 答弁をしかねるということは、実際腹の中はやめたいということをどうも意味しているように、決まったことをどうしてもやりたくないということが答弁をしかねる、こういうように私には理解できるわけです。これ以上大臣をいじめてもどうもいい答弁が来ないと思いますから、時間がないのでちょっとその先へ進ませていただきます。     〔主査退席、鴨田主査代理着席〕  昨今の新聞に、郵便局で公共料金の自動振り込みという記事が出ていましたが、これは関係者にとっては大変喜ばしいことで、歓迎をしているようなことではなかろうか、こう考えますが、それに関連して一、二の質問をしたいと思います。  新聞によると、二十四都府県でことしの六月から実施したい、こういうことですね。あとこれを全部実施できるのはいつごろになるでしょうか。
  137. 鴨光一郎

    ○鴨政府委員 自動払い込みにつきましては、今後オンライン化の進捗に合わせて、準備ができ次第全国に行き渡らせるように考えておりますが、御指摘の二十四都府県につきましては来る六月一日からを予定いたしております。五十七年度内につきましては、さらに十五の県でこの取り扱いをしてまいるつもりでございます。  なお、その後は、いわゆるオンライン化の進捗に合わせまして全国に行き渡らせるつもりでございますが、それの終了は昭和五十九年度となる予定でございます。
  138. 小沢貞孝

    小沢(貞)分科員 去年だかおととし出された郵貯懇の答申で、これは新聞の報道ですから正確かどうか私はわかりませんが、郵便局は総合口座の創設一個人貸し付け、振替サービスの拡大など、民間金融機関対応している業務分野に新たに進出すべきでない、こういう見解が出されているわけですかね。出されているとすると、これとの関係はどういうようにわれわれ理解したらいいのでしょうかね。
  139. 鴨光一郎

    ○鴨政府委員 いま先生の御指摘の金融懇の報告の取り扱いにつきましては、これは昨年の八月二十日に出されておりますが、九月三十日に郵政大臣と大蔵大臣、それに内閣官房長官、三大臣の合意というものが出されまして、これによってすべて決着をいたしております。  われわれといたしましては、貯蓄、送金、決済といった個人金融サービスの多様化あるいは改善充実に対します国民のニーズが非常に強うございます。これは官民を問わず、個人金融分野の充実に努めることが要請されておるというふうに考えているわけでございますが、今回六月一日から予定いたしております自動払い込みサービスは、いわゆる通常貯金と、これまでもやってきておりました郵便の振替サービスの二つを組み合わせるということでございます。具体的な形といたしましては、郵政省令で手当てをいたしまして、つまり郵政大臣の責任と権限の中で処理をいたしてまいるものでございます。同時にこれは、オンライン計画そのものが、実は昭和四十八年に策定をいたしました。実際に郵便局に機械が入り始めましたのは昭和五十三年度でございますけれども、この計画を立てました当初からこの種の自動払い込みサービスといったものも予定をしていたサービスでございます。国会におきましても早急に実施をすべきだというふうな御指摘をたびたび受けていたものでございますので、先生のお話にもございましたように、国民の皆様に喜んでいただけるものというふうなことで、私ども、これからさらに準備でき次第これを推進をしていこうというふうに考えているわけでございます。
  140. 小沢貞孝

    小沢(貞)分科員 時間がないのではしょって質問しますが、この新聞によると、郵便貯金の通常金利は現在三・一二%、それから民間金融機関の普通預金は一・七五%、この差はどういうことで出てくるでしょうかという点と、これも新聞報道によると、資金の滞留期間が、郵貯の方は五、六カ月であろう、ところが民間の滞留期間は二、三週間だ、こういうことが書かれておるわけです。  そこで、お尋ねしたいのは、自動振替に移行していけばやはり滞留期間は短くなる、こういうことも出てこようと思うので、郵貯の普通金利の現在の三・一二%というものを保持していけるかどうか。下げなければいかぬじゃないか。ところが大蔵省は、郵貯を下げろと一生懸命指導しているようなんですが、その辺はどうでしょうかね。
  141. 鴨光一郎

    ○鴨政府委員 御指摘の金利の差でございますが、郵便貯金の中の通常貯金は、銀行の普通預金に比べまして貯蓄性の要素が非常に強いものでございます。たとえて申しますと、昭和五十五年度におきまして滞留期間というものを比較いたしますと、郵便貯金の通常貯金が約五カ月ございます。普通預金の方は〇・一四カ月というふうなことで、通常貯金の方が長い。つまり、それだけ貯蓄性が強いということでございまして、そういったことで通常貯金の利率はこれまで沿革的にも銀行の普通預金の利率を上回っていたわけでございます。  それで、先生御指摘の利用率等が変わってくるのではないかという点でございますが、これは実際のところ、私どものオンライン計画の具体的な実現というものが、自動払い込みで申しましても十年間民間よりもおくれているというふうなことでございまして、そういった点から、利用率がどういうふうに変化していくかということは必ずしもつかみがたい面がございます。それと、先ほどお答え申し上げましたように、いまの段階では自動払い込みのサービスは全国を府県単位に段階的に実施をしているものでございまして、そういった面からも、いまの段階で、このサービスを実施した地域あるいはサービスをお受けになる人からというふうな形で利率を変更するということは、いわゆるあまねく公平という観点からもむずかしいというふうに考えております。  何にいたしましても、私ども、冒頭に申し上げました利用率も含めましての滞留期間というふうなことから沿革的な差があり、なおいま申しましたような実施が段階的実施というふうな状況からいたしますと、改定の必要性というのは現在のところはないのではないかというふうに考えております。
  142. 小沢貞孝

    小沢(貞)分科員 いま一つ、これは給与も民間の金融機関でやっているようなのを、だんだん郵貯の方でやるように当然なっていくのじゃなかろうかと思いますが、これは政令とか法律改正とか、何かむずかしいことは要らないですぐできるわけですかということと、やろうとしていますか。
  143. 鴨光一郎

    ○鴨政府委員 いま御指摘の給与振り込みというものは、通常貯金の預け入れの一方法ということで、実はオンライン化いたします以前の昭和五十二年から郵便局でも扱っております。ただし、これをオンラインに乗せましたのは五十五年度からということで、これも先ほど来申し上げておりますように、順次というふうなことで、段階的な実施でございます。  なお、今回の自動払い込みの問題は、公共料金等を通常貯金から払い戻しまして、収納事業者の郵便振替口座へ振り込むという形のものでございまして、いま御指摘の給与預入というものとは関係がございません。  なお、五十二年から行っております給与振り込みにつきましては、これは郵便貯金規則、つまり郵政省令の中で手当てをいたしております。また、それで足りるというものでございます。
  144. 小沢貞孝

    小沢(貞)分科員 それでは、時間でありますので大臣に要望しておきますが、まあ大臣という立場でグリーンカードには先ほど何とも答えられない、こういう御答弁で、きょうの段階としてはそれ以外にしようがないのではないかと思いますが、私は、そこの理由にもたくさんあるように、それらの理由のもとにこれをぜひ廃止した方がよかろう、こういうように考えますので、大臣にせっかく御努力をいただきたい。  いま一点は、これはかねて来私の主張ですが、今度は郵務局長の方なんで、町内会にいま郵政省のOBとか大蔵省のOBとか大ぜいいるわけです。もう幾らでもいるわけです。だから、郵便の配達は卸だけやれと、こうかねて来主張しているわけです。この町内会はだれが後委託を受けてやってくれるかという人のところへ卸で持っていけば、これは郵政省の職員はふえないで非常に能率よくできるのではないか。これは溝呂木官房長だか郵務局長時分からやってきたことなんで、一部団地等で実施しているけれども、これをぜひ計画的に実施できる場所からやっていけば、配達の人が末端までやっているよりは、いまもう公務員のOBがいっぱいいて職がなくて困っている、そういう人に頼めば喜んでやってくれそうなんで、委託をふやしていけば、郵政省の職員がそうふえないでいいのではないか、私はこういうふうに考えますので、これは新大臣に要望だけしておきます。  以上で質問を終わります。
  145. 鴨田利太郎

    ○鴨田主査代理 これにて小沢君の質疑は終了いたしました。  次に、中島武敏君。
  146. 中島武敏

    中島(武)分科員 聾唖者にとって電話で会話するということは全く不可能なことであって、電話とは自分らにとっては全く縁のないものと思われてきたわけであります。ところが、東京都立工業技術センターでは、聾唖者用の文字電話を昭和五十一年から開発研究に着手をして、五十四年に実用化開発に成功しました。この器具を電話機に接続して文字によって会話をすることができる、そういうものでありまして、小型で携帯に便利で、電話のあるところならどこでも、公衆電話からでも電話することができる、仮称コミュニケーターと呼んでおります。  私は過日、聾唖者の人たち、その父母の皆さん、養護学校の先生たちと御一緒に都立工業技術センターを訪ねて、実地に見学をしました。聾唖者の人たちが実地に操作してみて、目を輝かせている様子を見て、何としても実用化をさせたいと思いました。いまのところ、企業で、この器具の製造を引き受けてくれるところがないわけであります。つまり採算ベースに乗るかどうかということを心配しているようであります。電電公社で開発してくれれば一番よいと、工業技術センターの人たちも語っておりました。そこで私は、きょうは、聾唖者の人たちの熱い期待を担って、この問題について質問をしたいと考えるわけであります。  まず最初に電電公社に伺いたいと思います。私は、昨年の五月二十八日に電電公社を訪ねて、聾唖者用の文字電話の研究開発を進めるように要請したことがあります。そのときの回答では、何か文字電話のことをよく知らなかったようにも見受けられたわけであります。しかしその後、電電公社の方でも積極的に研究開発に乗り出して、開発を計画しているやにも伺っております。電電公社での研究開発はどうなっているか、まず最初に、この点を伺いたいわけであります。
  147. 村上治

    ○村上説明員 お答え申し上げます。  公社もかねてから、身体障害者の方々のためにも便利にお使いいただけるようにというふうなことでございまして、そういった意味で福祉対策といたしまして、いろいろなものを開発してきております。これまでにやってまいりましたものといたしましては、難聴者の方々のためにシルバーホン「めいりょう」であるとか、あるいは「ひびき」であるとか、あるいはフラッシュベルというふうなものをやっております。それから、盲人の方々のためには盲人用ダイヤル盤であるとか、それからひとり暮らしの老人の方々のためにシルバーホン「あんしん」というような、そういったものを開発あるいは提供してまいったところでございます。     〔鴨田主査代理退席、主査着席〕  私どもとしては、その次の段階といたしまして、聾唖者の方々が便利に使いやすいような、電話と言えるのかどうかあれですけれども、通信機を開発いたしたいというふうなことを考えておるわけでございまして、本格的にそういった検討に着手した段階でございます。そして、必ずしも聾唖者の方のために専用ということではございませんけれども、聾唖者の方々も便利にお使いいただけるのではないかというふうなものもすでにサービスに提供したり、あるいは近くサービスを提供いたしたいというふうに考えておるわけでございます。  一つは、昨年の秋から売り出しました、ミニファクスと称しております、ファクシミリでございますけれども、これもかなり低廉な料金で御利用いただけるというようなことで、これも聾唖者の方々も便利にお使いいただけるのではないかというようなことが一つございます。それから、これまた近く販売を予定いたしておりますものにディスプレイホンというのがございます。これは、一般の通話のほかに、キーボードから入力いたしまして英字、数字、それからかな文字、そのほのの若干の記号というふうなものが送れるわけでございまして、受け手の方では、それを約四百八十文字のディスプレーといいますか、表示盤がございまして、そこに表示させるというものでございます。これはディスプレイホンと称しまして、来年度、五十七年度早々にもサービス開始できればということで、ほぼ開発が終わって実用化の段階でございます。それからそのほかに、現在研究実用化を進めているものとしまして、電話をしながら手書きで文字とか図型とか、そういったものを同時に相手側に、やはりこれもディスプレーが要るわけでございますけれども、そういったものに表示させるということで、これはまだまだ仮称でございますけれども、スケッチホンと称しまして、そういったものの開発も鋭意取り組んでおるわけでございます。  ただ、冒頭に申しましたように、そういったものは必ずしも聾唖者の方のために開発したものではございませんので、必ずしも必要でない機能がついておったり、あるいは聾唖者の方々のためということになりますと必ず必要ではないかと思われるものがついてないとかということで、十分聾唖者の方々に御満足いただけるものではないのではないかといった、そういった面がございます。そこで、聾唖者の方々にも安くて大変便利な、使い勝手のいい通信機の開発に今後本格的に取り組んでまいりたい、こういうふうに考えておるところでございます。
  148. 中島武敏

    中島(武)分科員 いまの聾唖者の人たちに便利なものをこれから鋭意開発していきたいという、それはどういうものを予定しているわけですか。さっき私が申し上げましたのは、受話器に接続をして、こちらでかな文字を打ちますと相手の方の器具に文字で出てくるわけですね、それでスピーディに会話ができるというものなんですけれども、それについても、いまの答弁では何か開発の計画をお持ちのように聞こえましたが、具体的にはどんなことをお考えになっておられますか。
  149. 村上治

    ○村上説明員 お答えいたします。  聾唖者の方でございますので口と耳による通話ができないわけでございますから、先ほど私御説明しましたようにファクシミリであるとか、あるいは先生いま御指摘の都立工業技術センターでございましょうか、で開発されたものとか、つまり口と耳以外の通信ができるものということで考えておるわけでございます。そして、都立工業技術センターで開発されたものも私ども勉強させていただきましたけれども、これはいま御説明させていただきましたディスプレイホンと全く同じアイデアかと思います。ただ、私ども開発いたしておりましたもので近々販売しようと考えておりますディスプレイホンというのは、簡単なデータ通信の端末機に使えるのではないかということを主目的に検討いたして開発したものでございます。しかし、中身といたしましては、手で入力いたしまして、相手側でその送ったものをかな文字とか英文字とか記号などに表示いたしますので、アイデアとしては工業技術センターで開発されたものと大変類似しているものだと思っております。したがって、そういった工業技術センターで開発されましたものも一つのアイデアかと思いますので、そういったものも十分参考にしながら、最も便利で使いやすいものにしていきたいということでございまして、いまの段階で具体的に、こういうものにしたいというところまでは、いろいろな設計のイメージとか、まだ固まっていない段階でございます。
  150. 中島武敏

    中島(武)分科員 それは小型で持ち歩きが自由で、どこか電話機に接続すれば使える、そういうものでございますか。
  151. 村上治

    ○村上説明員 お答えいたします。  検討に着手した段階でございますので、先ほど言いましたように具体的なもののイメージで御説明するわけにまいりませんけれども、いずれにしましても電話機の附属機器として、あるいは接続機器として電話機と転換キーで切りかえて使えるようなもの、さらに便利で持ち運びができるということになりますと、送受話器を乗せまして、音響結合と称しておりますけれども、特に針金が要らないで電話機に接続すればよろしいという、そういった音響結合装置がいろいろな用途に使われておりますけれども、そういったものも含めまして携帯型になるもの、あるいは半固定的に接続できるものというふうないろいろなものが考えられようかと思っております。
  152. 中島武敏

    中島(武)分科員 大体の見通しですけれども、これはいつごろまでにできますか。
  153. 村上治

    ○村上説明員 お答えいたします。  先ほど御説明いたしましたいろいろな福祉機器がございますけれども、そういった開発に際しまして私どもは、健康者が考えただけでは、いろいろな条件について不十分であるということが、いままでのいろいろな福祉機器として開発したものでの経験からいいますと考えられます。したがって、原理的には先生御指摘のようなものもございますし、われわれが考えていたものもございますけれども、それをいかに聾唖者にとって最も便利に使えるかというようなことをいろいろと関係者の方々から御意見を聞き、そして試作いたしまして、さらにそういったものについてのお使いいただいた上での御意見をちょうだいして、本当に聾唖者の方のために便利なものというふうに仕上げてまいる、そういったステップが必要かと思います。いままでのそういった他の福祉機器の開発の経験からまいりますと、便利にお使いいただけるように完成するまでには、やはり二、三年要るのではないかと考えております。
  154. 中島武敏

    中島(武)分科員 細かいことをお尋ねしますが、研究開発が成功して、これが実用化に踏み切られるという場合には、聾唖者の人たちにレンタル方式でお貸しになられるか、あるいは買い取り方式で考えていらっしゃるか、その辺をちょっと伺いたいと思います。
  155. 信沢健夫

    ○信沢説明員 ただいまの公社のシステムでは、この種の電話機器類につきましては、福祉用機器も含めまして原則としてレンタル方式を採用してございます。したがっていまの制度の中では、レンタル方式で御利用いただくことになると思います。
  156. 中島武敏

    中島(武)分科員 これが完成して使用を開始するためには、郵政省の認可が必要かどうか。また認可されるまでには、えらい暇がかかるのかどうかということも、ついでですからちょっと伺っておきます。
  157. 守住有信

    守住政府委員 お答え申し上げます。  これは認可が必要でございます。ただ、いままで電電公社がいろいろな福祉機器を開発してまいりましたが、さらに聾唖者のためということでコミュニケーター、さらに電電公社の技術陣としては、多少人間工学的な手順と申しますか、も含めて、今後御意見等も承りながら試作していきたい。そして、それがある程度具体的になりますと、私どもとしては早目にそういう実情をお聞きしまして、形式的でございますが実際申請が出てきたら、なるべく早く認可できるように、サービス条件等の問題もございますけれども、そういう姿勢でなるべく早目に公社からお聞きしよう、こういう姿勢でおるわけでございます。
  158. 中島武敏

    中島(武)分科員 厚生省にお尋ねしたいのですけれども、この何と呼びましょうか、開発されてしまっているわけではないので呼び方がなかなかむずかしいのですが、仮にコミュニケーターとちょっと素人っぽく呼ばせてもらいますが、これが実用に供される場合には、聾唖者の人たちにとって日常生活用具としての認定をやられることになろうかと思うのですけれども、その点はいかがでございますか。
  159. 板山賢治

    ○板山説明員 聾唖者の人たちにとりましてコミュニケーター、これのみならず、先ほどもお話がありました「ひびき」とか「めいりょう」というような電話は大変に有効なコミュニケーション手段でございまして、私たちも五十六年度から、この「ひびき」「めいりょう」は日常生活用具に取り入れさせていただいております。また、郵政省並びに電電公社と十分に連絡をとりながら、いま先生御指摘のような日常用具への採用については検討してまいりたいと思います。  ただ、その場合に常に、日常生活用具に入れるか入れないかの一つの目安というのは、それが一般化されているかどうかというところにある。もう一つは価格の問題もあります。この二つが日常生活用具として採用できるかどうかの決め手になりますので、この辺は、これから開発の段階でよく御相談をいたしながら取り組んでいきたい、このように思っております。
  160. 中島武敏

    中島(武)分科員 先ほどの電電公社のお話では、レンタル方式でということを言っておられますので、その点は、いま金額の問題が出ましたけれども、レンタルということになれば、あとは取りつけ工事料とか、あるいは使用料ということになるんじゃないか。そうした場合には十分補助の対象になり得ると思うわけです。検討したいということでありましたけれども、日常生活用具ということになったら、どんな補助がなされるわけですか。
  161. 板山賢治

    ○板山説明員 これは実施主体が市町村でございまして、地方自治体事業主体になりまして、その市町村に住んでおります聾唖者に対しまして、いまのようなたとえばコミュニケーターを貸与する規定などをつくってもらいまして、その必要とする経費に対して国が三分の一の補助金を出します。そして三分の一は当該都道府県がこれにプラスいたしまして、実施主体になります市町村が三分の一持つ、こういう仕組みでございますので、今後の推移を見ながら私ども取り組んでまいりたいと思います。
  162. 中島武敏

    中島(武)分科員 これは聾唖者の人たちから非常に待望されているわけです。それだけに、これが早く完成し、実用化されることを非常に望むものでありますが、これができ上がった場合には、やはり政府の方でも政府機関とか、あるいは地方自治体機関とか、あるいは聾唖者の人たちが特に日常的に必要とする病院であるとか、公的な病院ですね、そういうところにはぜひひとつこれが使えるように、またそこで持っていて、いつでも使用に供されるというようなことを広く広めていく必要があるんじゃないか、そういうことを期待したいわけですけれども、この点、厚生省はどうでございますか。
  163. 板山賢治

    ○板山説明員 国際障害者年を機会に、こうしたことに関します政府地方自治体あるいは民間の関心が大変に高まっておりますことはありがたいことでありますが、いま御指摘のような点につきましても、これから特に福祉機器というふうなものの開発の中で公的な機関あるいは聾唖者の人たちがより多く利用するでありましょうような場所につきましては、いま御指摘のような配慮は隅々まで行き届くことを私たちは期待しておりますので、各ルートを通しましてお願いもし、また推進もしていきたい、このように考えております。
  164. 中島武敏

    中島(武)分科員 ところで、先ほどもお話が出ましたが、聾唖者用のテレメールそれからミニファクスですが、これには補助が出されているかどうか。私は聾唖者の人たちが使っておられるという限りにおいては、このための補助をぜひ厚生省が行うべきじゃないか。それからまた、いま仮称コミュニケーターというのができましても、それぞれ目的が違うわけですから、きちんとどれにも補助が出されるというように望みたいのですね。聾唖者の人たちは、このコミュニケーターの話を聞いて、これはどれか一つに補助がついてしまったら、いま持っているミニファクスだとか、あるいはテレメールなんかに補助がつけられないというんじゃ大変だ。あれかこれかに絶対しないでほしい、どれにも。こういうことを言っておるわけでありますが、この点もあわせてちょっと厚生省の見解を。
  165. 板山賢治

    ○板山説明員 先ほど申しましたように、五十六年で「ひびき」「めいりょう」というものが採用されまして、いま御指摘の幾つかのテレファックスを含めまして、コミュニケーション手段、福祉機器が開発をされておりますが、なかなかまだ高額という点で一つネックになっておりまして、もう一つは一般化、なかなか聾唖者の皆さんが一般的に使用できない。団体の事務所とかそういったところでは使えましても、個人的にまだなかなか使いにくいという点がございまして、いま補助対象にはなっておりません。御指摘のように、これからどの機械を採用することが最もよい方法かというようなこともあわせ研究いたしまして、公社の方のお知恵もちょうだいをしながら、福祉電話というふうな同じような意味での採用が可能かどうか十分に研究をさせていただきまして取り組んでいきたいと思っております。
  166. 中島武敏

    中島(武)分科員 関連して郵政省お尋ねしたいのですが、ちょっと時間が少なくなってまいりましたので簡潔に御答弁いただきたいのですけれども、文字多重放送、これの進みぐあい、それからいつから実用化されるかという見通しについて伺いたいと思います。
  167. 田中眞三郎

    田中(眞)政府委員 お答え申し上げます。  文字多重放送の進捗状況はどうかということでございますけれども昭和五十六年三月に電波技術審議会から技術的な方式の中のパターン伝送方式というものに関連いたしまして技術基準の答申がなされております。先生御存じのように、文字多重放送はテレビ画面に関連して二行程度の字幕をスーパーして表示することもできるということで、聴力障害者のためにはきわめて有効なものでございます。  そういう観点から、郵政省といたしましては、こうした技術開発の成果というものは早急に社会に還元さるべきものだという考え方に立ちまして、その実用化を図るための受け皿と申しますか、一つの法案改正準備その他も含めまして鋭意検討をいたしておるという現状でございます。
  168. 中島武敏

    中島(武)分科員 見通しは大体どれくらいか、鋭意検討と言われましたが、そこのところも。
  169. 田中眞三郎

    田中(眞)政府委員 これの実現に当たりましては、放送事業者、送りの側の御協力、それからメーカーさんの受像機の普及あるいは低廉化、いろんなものがあるわけでございまして、私どもとしましては、この放送を開始するための技術基準の設定、それから法改正が必要であろうと思っているわけでございますが、その辺の準備をできる限りやってまいりたいということで、その辺、関係方面の御協力次第かと思いますけれども、実際に御利用いただけるまで、どの程度かといいますとちょっと申し上げにくいのですけれども、早くて一年ちょっと、二年ぐらいはかかるのではないだろうかというふうに考えております。
  170. 中島武敏

    中島(武)分科員 NHKにお尋ねします。  いま郵政省のお話で、早ければ一年、まあ一、二年というようなお答えであったかと思いますが、聾唖者向けにどういうことをいま準備しておられるか。たとえばドラマですね、これにもちゃんと文字をつけるというようなことも準備が進んでいるかどうか、そういうことを含めてお尋ねしたいと思います。
  171. 荒川博

    ○荒川参考人 お答えします。  文字放送につきましては、御指摘のとおり、どういうものを中身として放送するかということで、いま局内を挙げて、これの開発と研究をやっているわけでございますけれども、文字放送には御承知のとおり二つの伝送の仕方がございまして、一つはよく言われております独立利用ということで、これは現在のテレビの画面を全面的に新しい文字放送で埋めるといいますか、全部の画面を使って文字放送をする、それが一つございます。  これは、具体的に私どもの方で申し上げますと、やはりニュースでありますとか生活上のいろんな情報でありますとか、それが主になると思いますけれども、これはいまお話の出ております聴力障害者の方にも、文字として情報が伝わるわけでございますので十分御利用いただけるのではないか。もちろんそれ以外の一般の方にも、これは当然御利用いただけるし、いただきたい、そういうふうに思っています。  それから、もう一つの方法は、テレビの、いま先生が具体的な例として取り上げられました、たとえばドラマでありますとかその他の番組に文字をスーパーする、まあ補完利用、こういう形でございまして、これにつきましても、あわせましていま局内で検討しております。できますれば一般の方が見ておられます番組も、いろんな形でやはり聴力障害者の方にこういう方法で見ていただきたい、そういうふうに思っております。  私どもの方の実際の検討の中身ということを若干この際申したいのでございますけれども一つは、番組によりまして、いろんな情報がその中に含まれておりますので、文字でその番組の内容を伝える場合に、どれだけ障害者の方に正確な情報をきめ細かく伝えられるか、これが一つの問題でございます。それからもう一つは、やや中での制作上の問題になるかと思いますけれども、ヨーロッパやアメリカのように、御承知のとおりアルファベットではございませんので、漢字まじりの言葉ということになっておりますので、この辺の、実際の番組をつくって、いつの時点で、どういう形でそういうものを入力するか、そういった時間的な問題、番組の送出の時間の問題といったようなことがございます。  それから、いま申し上げましたような二点につきまして、これは局内的な問題でございますけれども、どういう形で専門家を養成するか、こういったことがございます。そういうことをやる上では、当然技術的ないろいろな制作手段、それから要員その他がかかるわけでございますけれども、いずれにしましても、できるだけ御要望に沿えるようには努力してまいりたい、そういうふうに思っています。
  172. 中島武敏

    中島(武)分科員 時間が参りましたので、最後にちょっと一つだけNHKに。  現在、日曜日に教育テレビで聾唖者用の放送をやっておりますが、この時間延長をしてもらいたいということが要望されておりますので、これの見解を聞きたいということと、最後に大臣に、国際障害者年、そして社会への完全参加と平等ということを真に実現していかなければならない、私がきょう取り上げましたような聾唖者の問題につきましても、大臣の所見を伺って、私は質問を終わりにしたいと思うのです。
  173. 荒川博

    ○荒川参考人 「聴力障害者の時間」の放送時間でございますけれども、この番組は御承知のとおり、五十二年度に日曜日の四時半から四時四十五分という十五分の番組でスタートいたしまして、その後関心が御関係の方を中心に非常に高まりまして、翌年の五十三年度に、時間が悪いということで、日曜日のいま先生御指摘のように六時半から六時四十五分で十五分間、こういうことになりまして、さらに二年後の五十五年度に内容を二十分にいたしたということで、逐年番組の充実ということに努めてきてまいっております。  それから、中身でございますけれども、五十六年の十二月からは従来の番組の中にニュース等を入れるということで改善をしておりまして、ニュースを入れたということでいろいろまた御意見御要望をいただいておりまして、中で工夫をしておりますけれども、いましばらくこの定着化ということで将来の方向を検討させていただきたい、そういうふうに思っております。
  174. 箕輪登

    ○箕輪国務大臣 先生御主張のコミュニケーター、そうしたものについて一日も早い開発、そして実用化のできることを私も念願する次第でありまして、その意味において電電公社その他を指導してまいりたい、かように考えております。  また、文字多重の問題も、まだ一年ないし二年ぐらいかかりそうです。これらも聾唖者の方々、その他の方々が非常に熱望している問題であることも十分承知いたしておりますし、特に先生からの御指摘でございますので、これらについても速やかに実現できることを望みながら省内を指導してまいりたい、またNHKなどに対してもお願いをしていきたい、かように考ております。
  175. 中島武敏

    中島(武)分科員 終わります。
  176. 後藤田正晴

    後藤田主査 これにて中島君の質疑は終了いたしました。  次に、福岡義登君。
  177. 福岡義登

    福岡分科員 新幹線の電話についてちょっとお尋ねしたいと思うのです。  新幹線を利用させていただきまして便利をしておるのでありますが、御案内のように、新幹線から電話がかけられる、また地域からも新幹線へ電話がかかる、非常に便利なのですが、私の選挙区に尾道市というのがある。この尾道には電話が通じないのです。ところが尾道市の東隣の福山市は通話ができる。西隣の三原市も通話ができるのであります。尾道がぽかっと通話できない。新幹線の駅を尾道に設置してもらいたいという強い要望があったのですが、これはなかなか簡単に実現をしない。それで、せめて電話ぐらいはかけられないものかという強い要望があるのです。これは電電公社と国鉄とタイアップされてやっておる事業でありまして、結論として、尾道に一日も早く新幹線との通話ができるようにできないか、こういうわけでありますが、電電及び国鉄、それぞれから事情説明を承りたいと思うのです。
  178. 稲見保

    ○稲見説明員 電電公社の業務管理局長稲見でございます。  御指摘のとおり、尾道につきましては国鉄さんの列車からの通話サービスが利用できませんで、私ども実は気にかかりまして心苦しく思っておるわけでございますが、結論的に言えば、いまのところ具体的なめどをつけての見通しを持っておらないのが実情でございます。  先生御承知のように、列車公衆電話につきましては、国鉄側と電電側の二重投資を避ける、あるいは作業環境が特殊なものであるといったようなことから、ちょっと専門的になりますけれども、無線統制局から先の列車サイドの設備はすべて国鉄さんの設備を使う、こういうことになっておるわけでございますが、いまお話のございました東海道・山陽新幹線の列車公衆電話は、そういう考えから国鉄さんの業務用の通信設備を使いまして、サービスを提供させてもらっておる。それで地上と列車の間の無線回線を見ますと、現状八ゾーン当たり六回線ということで、少し技術的になりますが、いささか少のうございます。しかも一般の公衆用の通話と、車掌さんが行われますところの国鉄の業務用通話との相乗りと申しますか、共用ということになっております。したがって、せっかく御利用いただく場合にも話し中の状態が大変多いということでございまして、御希望のある地域、沿線の地域すべてを通話できるような状況にするにはとても対応できないということで、残念ながら、サービスできるエリアというものにつきまして一定の制限をつけざるを得ない、こういう状況がございます。  一体どういうガイドラインと申しますか、考え方で線引きをするのかということでございますが、これは国鉄さんともいろいろ話し合いもしましたけれども、今日一応の線といたしましては、原則的にはいまお話がございましたが、ひかり号の停車駅の所在する都市というものをサービスエリアにしよう、こういうことにしておるわけでございます。  実は、そういうふうにエリア制限をしておるわけでございますが、そういう中におきましても、なお地域によってある程度偏りはございますけれども、総じて話し中の状態が多い。特に何らかの列車運行上トラブルが起こったといったような場合、そういうような場合が実は御利用の多い一番大事なときなんですけれども、そういうときには特にお話し中が多くなるということもございまして、せっかくサービス提供をしておきながら、大事なときに大変使いにくい状況があるということで、私たちも大変御迷惑をかけておるということは痛感をしておるわけでございます。そういうことから何とかこのサービス、設備増強をして改善できないかということで、国鉄さんにもいろいろと御相談をしておりまして、大変御理解をいただいておるわけですが、そういうことから、いまから一年半ほど前になりますか、五十五年の秋には、実は国鉄さんの業務用通話のうちの営業指令用の通話というのを、一般の公衆通話との共用から分離をするといったような、設備上の配慮と手当てをいただいたということがございます。  しかしながら、繰り返しになりますけれども、なお一部区間ではかかりにくいということがございまして、先生からお話がありました尾道のほかにも、もっとエリアをふやせという御要望も大変強うございまして、私どももできることならば何とかそれに対応したいということで、国鉄さんにも引き続きお願いをしておりまして、今後もそういう対応を続けながら、サービス改善に努めてまいりたいというふうに思っております。  なお、つけ加えになりますけれども、実はこの六月あるいは秋に開業予定とされております国鉄さんの東北・上越新幹線につきましては、設備面でも抜本的に近代的な無線設備ということを国鉄さんの方で用意なさって、それとの関係で通話回線もいまよりは相当豊かにとれる、一方、利用密度としては東海道・山陽よりは小さいというふうなこともございまして、東北・上越につきましては先発の東海道・山陽線の場合よりは一足お先に、非常に便利な方式で、しかも全国、制限なしに一律にサービスができるということを計画しております。そういうことから、またこれが始まりますと、東海道・山陽も後発のところにおくれをとるようでは困るではないかという御要望が大変強まるだろうと思っておりまして、その辺も国鉄さんと十分連絡をとりながら対応をしてまいる、このように考えております。
  179. 林義郎

    ○林説明員 お答えいたします。  先ほど電電さんからもお話がございましたが、東海道・山陽につきましての通話地域、これにつきまして、開業当初につきましては東京だとか大阪、名古屋、この三地域でございましたが、その後山陽新幹線が延びるに従いましてサービスエリアを拡大させていただいております。これは電電さんと私どもとの相談といいますか、話し合いの中で、電電さんが主体になってサービスエリアの方をお決めになっておられますが、だんだん拡大してきております。また、このサービスエリアの拡大ということとその後の列車本数の増大、この両方が重なりまして列車公衆電話というものが非常に込んでまいっております。特に東海道側ではこの使用頻度が高くなっているような状況でございます。私どもも、サービスエリアの拡大というのは旅客サービス面からは非常に望ましい問題でございますが、いま申し上げましたように東海道側におきましては呼び出しても話し中だという確率が結構ふえてきておりますので、この辺のところ、サービスエリアを拡大するということはかなりむずかしいものがあるかと思います。  一方、東北・上越新幹線につきましては、先ほど電電さんからもお話がありましたように、新しい設備でやっております。また、列車密度も非常に少のうございますので、こちらの方は相当いいものになると思います。  山陽はちょうどその中間にあるということが言えるかと思います。山陽につきましては、列車本数も東海道よりは少ない、東北よりは多いというその中間にあるので、この辺のところについてのサービスエリアの問題というのはいろいろ考えられると思います。私どももそれなりに対応を考えていきたいと思います。
  180. 福岡義登

    福岡分科員 色よい返事でないので、現在のところ見通しがないというのが結論、いろいろ解説があった。やるためにはどうすればいいか、方法はないのか。お金をかけて設備をすれば方法はあると思うのですね。  そこで、電電は国鉄とは違って大変もうかっておるところだし、国の方へも毎年一千億からの金を納めるという状態なので、金をかければできるのか、技術的に、物理的に不可能なのか、その辺はどうなんですか。
  181. 稲見保

    ○稲見説明員 先ほど申し上げましたように、できることならばサービスが制限なく、東海道・山陽につきましても拡大されるというのが一番望ましいわけでございます。ネックはもっぱら設備の問題でございまして、結局はそれは投資と年の経費ということで、金の問題でございます。
  182. 福岡義登

    福岡分科員 大臣、いかがでしょうか。お聞きのとおりで、金をかければ方法はある。国鉄は赤字状態ですから逆さにしても金は出ぬと思うが、電電公社はもうかっておるので、いまここで具体的な御答弁というわけにはいかぬかと思いますけれども、だんだん拡大していきたいという気持ちもあるようですから、具体的に検討はしてもらうというようなことでいかがでしょうか、大臣。
  183. 稲見保

    ○稲見説明員 ちょっとその前に。  これは、設備、運営ということになりますと、先ほど来申し上げておりますように基本的には国鉄さんの資産、それを、言うならば貸していただくといいますか、共通に使わしていただくということでございまして、私どもの方でお金を用意して投資をし、人を出して賄うというわけには、電電の側としてはまいらない、やはり国鉄さんの方の財務等の許される範囲で、それに私たちは乗せていただく、こういう考えでございます。
  184. 福岡義登

    福岡分科員 一般の電話は債券を買わせたり全部電電公社が設備をするわけです。いまのお話を聞きますと、国鉄の、たとえば新幹線の車両に取りつけてある機械は国鉄がつくった資産である、これをやり変えなければということだと思うのであります。そこで、どうも電電公社、貧乏の国鉄に少し出させ過ぎておるのではないかという気もしますが、無線機の取りかえなりその他の設備を電電公社がやれば方法はあるのじゃないか、いかがでしょうか。  いまの御説明だと、現在国鉄の資産を使って営業しておる。それなりの経費は払っておられるのだと思うのですが、その辺のことも含めまして、時間がありませんから深い議論はこれ以上しませんが、大臣どうですか、ひとつ前向きに検討するというお答えをいただけませんか。
  185. 守住有信

    守住政府委員 わが国電気通信の法体系が基本になっていると思いますけれども、公共的なものは有線電気通信法というもので規律を受けておりまして、これにつきましては、国鉄さんは全国の鉄道ネットワークの中を業務用通信という形でみずから設備を設置し、通信をやっておられるわけでございます。それは列車内の公衆、お客様、旅客の利便ということで列車電話があるわけでございますが、ただそれが地方の、いわゆる電電公社のあらゆる全国的なネットワークの交信網と接続する接点以降につきまして、これは電電公社が責任を持って投資もし、保守もやり、維持管理等々もやる、こういう体系になっておるということだけをまず前提として御承知おきをいただきたいわけでございます。
  186. 福岡義登

    福岡分科員 法律を変えなければならぬところがあれば変えればいいので、問題は、これは公衆電話ですからね。鉄道がサービスを提供しておるという面もありますけれども、鉄道の車両の一部を逆に電電公社が借って、それで機械を取りつけて営業するという、一般の赤電話、黄電話と同じように解釈していけば方法がある。もしそのために法律改正が必要だとおっしゃるなら、それは国会でやればいい。  もう時間がないのですが、大臣どうですか、ひとついろいろなことを含めまして、サービスを拡大しなければならぬというような気持ちは確かにあるのですから、前向きで検討するぐらいの返事をひとつ出してください。
  187. 箕輪登

    ○箕輪国務大臣 なかなかめんどうな問題があるようでございますけれども先生のお話でございます、検討させます。検討させますが、先生の考えているようなことに答えが出るかどうか。検討を約束いたしますけれども、これはお約束できない、こういうことでどうぞ御勘弁をいただきます。
  188. 福岡義登

    福岡分科員 やむを得ぬ答弁かもしれませんが、前向きで、いい方向に検討していただくように、また機会を改めてお願い申したいと思います。国鉄さん、結構でございます。  次は、公衆電話。赤と青と黄と三つあるのですが、ここでは郵便局の前にある青電話、大臣はおかけになったことはないかもしれませんが、あれに入りますと午後五時からでないと使えない。午後五時を過ぎますと、夜間ですね、電報も打てるし通話もできる。せっかくあれだけの設備をしておるものを夜だけしか使わせぬなんという方法はない。確かに郵便局の中へ行けば赤電話もある、あるいは電報の受付もあるわけでありますが、せっかくあれだけの設備をしておるのだから、夜だけといわず——中へ入って電報を打ったり電話をかけたりする人はあってもいい、あるいは窓口で事務手続をしておるときに必要が発生して電話でどこかと連絡をとることもそれはいいのですが、郵便局の前にあれだけりっぱなボックスがあって、夜しか使わせない。わかっておる人はそこに入らぬのですが、知らない者は電話ボックスだから入って、幾ら十円を入れてもかからない。よく見ると五時以降でないと使えない、こうなっておる。まことに不経済な話なんで、いろいろ事情があるのかもしれませんが、これはどうですか、二十四時間じゅう使えるようにしたら。
  189. 稲見保

    ○稲見説明員 お答えいたします。  先生御指摘のように、お客様から見てまことに不思議な状態であったことは事実でございます。私どもといたしましても、これは早急に二十四時間お使いできるように、少なくとも電話については御利用いただけるように手を打とうということで、これは委託をしておりますので、郵政省さんとも御相談をいたしまして、五十七年度から、全国に相当数ございますけれども一挙にはできませんけれども、逐次切りかえていこう。つまり局の前のボックスにおきましてもお使いができる、使っていただけるというふうに逐次全国にわたって措置をしてまいる、こういうことを予定しております。
  190. 福岡義登

    福岡分科員 資料をお願いしましたら、郵便局の前の青電話は全国で六千四百三十九機ある。いま五十七年度から逐次切りかえていこうということで結構なことだと思うのですが、何年ぐらいでこれをやろうとされておるのか。それから参考のためにお伺いしておきたいのですが、せっかくあれだけの金をかけるのになぜ夜だけしか使えないようなことにしたのか、ちょっとその事情を聞かせてもらいたい。
  191. 稲見保

    ○稲見説明員 まず最初の切りかえのタイムスケジュールの方でございますが、いまちょっと申しわけありませんが、手元に予定表を持っておりませんが、できるだけ早く切りかえを完了してお客様の利便に役立てたいというふうに考えております。  それから、なぜいままで不思議なことになっておったのかという経緯でございますが、これはやはり郵政省さんと私どもとの間の委託契約の長い経過もございまして、確かに外から見ると不思議なようなことで申しわけなかったわけですが、私どもの方といたしまして一つの割り切りをいたしまして、郵政省さんの方にも御迷惑もかからない、お客様には喜んでいただけるという一つの解決方法を見つけまして、措置ができるということに前進したわけでございます。
  192. 福岡義登

    福岡分科員 わかったような、わからぬような点があるのですが、早くこれを日中も使えるようにしていただきたいということを重ねてお願いをしておきたいと思います。  同じ電話の話ばかりなんですが、国際電話の通話料はだんだん改善されましてややかなりというところに来ていると思うのですが、やはり依然として外国から日本にかける方が安くて、日本から外国へかける方が高い。ひところは大体倍ぐらいの差があった。千五百円でワシントンから東京へかけられるのを、東京からワシントンへかけると三千円ぐらい、約倍ぐらいかかる。だんだん改善をされまして、いただきました資料によりますと、レートの変動などありますけれども、大体アメリカと日本の関係で言えば、去年の四月一日のレートで換算しますと八三%、それからことしの二月一日のレートで換算しますと九〇%、その後レートが相当円安になっておりますから、また動きはあると思うのですが、大体アメリカとの関係は一〇%ないし一七%ぐらいの差になって差が大分縮まってきた。ところが英国との関係を考えますとまだまだ差がありまして、本年の二月で六七%、日本の方が三十何%高いわけであります。逆にフランスに行きますと、わずかばかり向こうの方が高い。一〇五%ですから五%ぐらい高い。西ドイツになりますとさらにドイツの方が四、五〇%逆に高い。  ところが利用度合いを見てみますと、日本からアメリカにかけるのが全体の通話の二三・五%、それからアメリカから日本に通話するのが約二八%、あとは英国なんかは四・何%ですからわずかなものなんです。韓国は日本からかけるのが相当多くて全体の一九%、こうなっているわけです。韓国と日本の関係はどうなっているというような資料をいただいておらぬのですが、一番大きな通話をしておりますアメリカとの関係で一割ぐらい、それから英国は四、五%ですから大したことはないと思うのですが、こういう状態の中で国際電話の通話料を漸次適正化していただきたいと思うのですが、全体的にどういうようにお考えになっておるか、お伺いをしたいと思います。
  193. 箕輪登

    ○箕輪国務大臣 先生御指摘のとおりでございます。ただ、国際電話料金というのは、先生も御承知だと思いますが、ITU条約の規則によりまして、各国は「関係国内法令に従い、その利用者から収納すべき料金を定める。」こうなっておるわけでございます。したがって、国際通信料金の決め方は、基本的には外国側の料金と日本側の料金とリンクしたものにはなっていないわけでございます。御指摘のとおり、為替相場の変動等もございましてそれに左右されることは間違いございませんけれどもわが国においても、三次にわたる料金引き下げの結果、いま先生が申されたような料金格差、特にアメリカ、イギリスと日本との比較では日本の方が高い、フランスや西ドイツ等々と比較いたしますとあちらさんの方が高い、こういう状況にあることも事実であります。  そこで、国際料金、その中で大幅な料金格差の問題があるということは好ましいことではございませんので、今後も国際料金の引き下げ等については慎重な検討をいたさなければならないことは事実でありますけれども、できるだけ引き下げを行うようにこれからも指導してまいりたい、こう考えているところでございます。
  194. 福岡義登

    福岡分科員 最後に、時間がないのでお答えは要りませんが、苦言も含めで一つ電電公社に要望したいことがあります。  黄色の電話で電話をしますと、長距離だと相当かかる。百円も十円も使えます。それで、私も何回か駅からかけたりいろいろ経験もありますが、相当つり銭部分があるはずであります。百円入れて通話をして、六十円分ぐらい通話して受話器をかけるとあと四十円分は残るわけですね。それで、電電公社にそのつり銭に相当するものはどのぐらいあるのかと言いましたら、答えないのですよ。わからない、こう言うのです。技術がこれほど進んでいるのにわからぬはずはない。それから、原価計算はどうしておるのかと言いますと、公衆電話全体ではやっていますが、赤、黄、青というようなことではやっておりません、こう言うのです。私が直接調べたかったのは、黄色い電話のおつり部分はある程度あるはずである。かけ過ぎというのはできぬわけです、自動的に切れてしまうわけですから。おつり銭が相当あると思うが、どのぐらいあるかと聞きました。担当課長に来てもらって二回も説明されたのですが、そういう経理はしてない、こう言うわけです。そんなずさんな経理を電電公社はやっておるのかと思ったのですが、ないと言うから仕方がない。意図的に隠しておるとは思わぬのですが、電電公社の経営はいまはいいようでありますが、行く先を考えてみますと、そう楽な条件ばかりではない。ですから、経営をうまくやっていくという立場からも、あるいは利用者に正確なサービスを提供するという意味からも、つり銭部分がどのぐらいあって、それがよけいあれば何らかの形で還元するというような工夫も必要であろうと思うのです。これをやろうと思いまして、資料を求めたのですが、結論として、申し上げましたようにないのです、わからぬのです。わからぬままに電電公社としては、支出の方じゃない、収入がふえる分だから、それで不都合がないのでそういうことをされておると思うのですが、将来こういう問題についてはもう少し細かい検討を加えていただくように要望をいたしまして、時間が来ましたので終わります。
  195. 後藤田正晴

    後藤田主査 これにて福岡君の質疑は終了いたしました。  以上で郵政省所管についての質疑は終了いたしました。     —————————————
  196. 後藤田正晴

    後藤田主査 次に、前回に続き建設省所管について質疑を続行いたします。高沢寅男君。
  197. 高沢寅男

    高沢分科員 建設大臣また住宅公団から御苦労さまでございます。  私は、きょうは、戦前は軍の成増飛行場という飛行場がありまして、戦後米軍に接収されてグランド・ハイツというハイツになり、それが返還されていまは光が丘という名前になっておりますが、この光が丘の住宅建設の関係で若干お尋ねをいたしたいと思います。最初に建設大臣に一、二総論的にお尋ねをして、あとは公団の方に具体的なお尋ねをいたしたい、こう思います。  それで、光が丘の地区の住宅建設総計一万二千戸、非常に大きな規模の住宅建設が進行しておりますが、これにつきましては、私たち地元選出の国会議員各党派を超えて、文字どおり超党派でいままで建設省や住宅公団の方へお願いをして、その住宅建設の仕事の少なくとも三分の一くらいは地元の建設業者で仕事ができるように、地元で仕事をもらえるようにというふうなことでずっとお願いをしてきた経過がございまして、きょうはそれをまた具体的にお尋ねをしたいわけです。  まず総論的に、大臣、そういうふうに地元業者と言えば全部が全部いわゆる中小の業者であります。そういう業者にできるだけ仕事をさせる、このことについての大臣のお考え、もちろんもう御賛成とは思いますが、経済効果とかその他のことも含めつつ、大臣の御見解をひとつ最初にお尋ねしたい、こう思います。
  198. 始関伊平

    始関国務大臣 光が丘団地の建設につきまして長い間御協力をいただいておりまして、まことにありがとうございます。  公共工事の発注に当たりまして、事業の種類、性格なり規模、いろいろの点を考えて判断する必要がございますが、ただいま御指摘のように、事情が許せば中小業者への発注の割合をなるべく高める。特にその場合に問題になるのは地元の業者だと思うのでございまして、一般的抽象的に申しまして、ただいまお話しになりました点は私どもの考え方と全く同一でございます。
  199. 高沢寅男

    高沢分科員 そういう大臣の積極的なお答えをいただきましたが、そこで、大臣の答えられたような御趣旨、特に公共の工事、そういう仕事が中小の業者にできるだけやりやすいようにというふうなことで、私の承知しているところでは、官公需を中小業者が共同受注できる、そういう共同受注のための適格組合という組合の資格もわざわざ認めて、共同で仕事を受けて、それで中小の業者がお互いに仕事を分け合ってやる、こういうふうな制度の仕組みまで出ているわけです。そういう点におきまして、全体的に建設関係の仕事、そういう官公需との関係で、中小業者のこういう仕事への参加の現状、これからもさらにそれを拡大していくという全体としての方向性をもう一度大臣からお尋ねしたいと思います。
  200. 豊蔵一

    ○豊蔵政府委員 ただいま大臣からお答え申し上げましたとおり、建設省関係の公共事業の発注につきましては、閣議決定の趣旨に従いまして、中小企業につきましての受注機会増大するよう努めてまいっておるところでございますし、また、いまお話がありましたような共同組合等の活用につきましても、国の方針といたしましてその趣旨に沿った運用を図るよう指導しておるところでございます。
  201. 高沢寅男

    高沢分科員 それでは、その方向に沿って、今度は光が丘における住宅建設の具体的なケース、ことに公団との関係で以下お尋ねをいたしたいと思います。  実は、地元の業者がそういう住宅建設の仕事をできるだけ受けられるようにということで、物の考え方としては、地元工区、この工区は地元業者の工区だ、こういう指定をしてもらう、それでもってその工区の中の建設は地元業者が参加をしてやる、こういうふうなことが昨年のこの光が丘の住宅建設の仕事の発注に当たってあったわけです。この光が丘というのは練馬区と板橋区にまたがっています。それで、二つの工区が去年は板橋の業者、それから二つの工区が練馬の業者、こういうふうに出されたわけですが、公団の側では、その後それぞれ地元の業者が参加して住宅建設を進めてきているわけですが、その住宅建設の成績といいますか、技術水準といいますか、あるいはまたやり方の誠意と申しますか、そういうふうな実績をどんなふうに評価されているか、それをまずお尋ねをしたいと思うのです。
  202. 中川友夫

    ○中川参考人 いま先生おっしゃいました地元の四業者さんが施工しておられるわけですが、現在まだ工事中でございまして、具体的にはコンクリート打ちをやっている最中でございまして、総合的な評価をするまでには至っておりませんが、現在までの工事につきましては、他の工区の施工業者と比べまして遜色がないというふうな報告を受けております。
  203. 高沢寅男

    高沢分科員 私、ただいまの中川理事の評価をお聞きして、地元の業者にと言ってお願いしてきた立場として大変心強い、こういう感じがいたすわけであります。そういう評価をいただけるとするならば、今度は、ことしの分とかあるいは来年の分とか、こういうふうに今後にも仕事が続くわけでありますが、その中で地元の業者にさらに積極的に仕事に参加させる方向に向かって拡大をしていただきたい、こういうことに当然なるわけであります。  さて、ことしの件は、実は先週の月曜日この質問を予定いたしておりましたところが、その後一週間おくれになったわけですが、ことしの関係の発注は地元に対してすでになされたやに聞いております。それはどんなふうな出し方でなされたのか、あるいは戸数とか、そういう関係をちょっと教えていただきたいと思うのです。
  204. 中川友夫

    ○中川参考人 五十六年度の発注につきましては、前年度と内容的に若干の相違がございまして、五十五年度工事は、中小の地元業者にも施工可能であると判断される五階建て程度の中層住宅がかなりございましたので、四工区について指名をいたしたわけでございます。五十六年度からは、先生御承知のとおり、大公園の南側の中枢部に入りまして高層住宅が主流でございますので、山元業者の施工能力等も勘案いたしましていろいろお打ち合わせをいたしました結果、二工区についてJV、共同請負方式で高層住宅に指名をいたすということに相なりました。二工区、八十戸でございます。前年度比では若干落ちておるようでございますが、高層住宅の施工のチャンスを私どもがつくったということで、御理解を得ているように聞いております。
  205. 高沢寅男

    高沢分科員 いま中川理事の言われた高層は何階建てかということ、それから、公団としては何階までは地元の業者でやれる、やらせる、こういう物差しをどういうふうにお考えになっているか、その辺も含めて説明をいただきます。
  206. 中川友夫

    ○中川参考人 高層住宅は十一階から十四階のものでございますが、今回指名いたしましたものは十四階のものと十一階でございます。何階から中小業者はだめだというふうには特段決めておりません。その中小業者の過去の施工経験といったものを勘案して指名するようにいたしております。
  207. 高沢寅男

    高沢分科員 私、なおさら安心しました。何階という確定した物差しは考えない、こうおっしゃったので、僕はむしろ何階建て以上はもう地元の業者はだめなんだ、こういう線をお考えかと思っていたのですが、そういうことはないのだということで安心いたしましたが、そうすると、その場合には、中小の地元業者がいままで公団の住宅建設をやった経験があるかどうか、こう言えば、ある者はほんの一部でありまして、大多数の業者はまだそういう経験がない、こういう人たちでありますから、したがって、いままでやったことのないそういう人に今度やらせて、そして、やった結果がよろしいというふうなことで、業者もそれが一つの経験になる、そういう形でだんだん地元の業者のやれる範囲を広げていただく、こういう方向に進んでいただきたいと思うわけですが、物の考え方としてはそういうことでよろしいですか、ひとつお願いします。
  208. 中川友夫

    ○中川参考人 先生のおっしゃるとおりでございますので、今回で公団の高層住宅の経験を積んでいただければ大変よろしいのじゃないかと思っております。
  209. 高沢寅男

    高沢分科員 いまの住宅の建築関係のことでそういうふうにお願いをし、またお尋ねをしたわけですが、その際、もう一つこういうことをちょっとお聞きしたいと思うのです。  去年は地元工区という呼び方でなされた。ことしはそうじゃない。こういうところに、ややもすると住宅公団は地元工区という名前のつき方あるいはそういう概念の設定の仕方を余り好まれぬというふうにちょっとお聞きする向きもあります。それから今度は、逆に、地元の業者が仕事をやりたい、では君たちひとつ組合をつくってこい、組合をつくってくればそれは出していいよ、こういう意味の示唆が公団の担当者の方からあったやに聞いているわけですが、この辺の地元工区という考え方、あるいは地元の業者が組合をつくるという、その辺の相互関連はどんなふうにお考えでしょうか。
  210. 中川友夫

    ○中川参考人 地元工区という特段の名前はつけておりません。(高沢分科員「地元で勝手にそう呼んでおるわけですか」と呼ぶ)はい、さようでございます。公団といたしましては、国の方針に基づきまして、工事の発注に当たりましては中小建設業者の受注の機会を確保するということで実施しておりまして、先生先ほどおっしゃいましたように、地元業者というのは中小業者がほとんどでございますので、広い意味の中小業者の受注の機会を確保することがイコール地元については地元業者の受注の機会を確保することに結果的にはなるということでございます。このためには、工事の規模に応じまして、格づけにふさわしい指名をするとか、あるいは共同請負制度、事業協同組合制度の活用等、これをやりますと、中小建設業者でも格づけに対応する等級よりも上位の等級の工事の受注の機会がございます。それから、団地建設に当たりましては、いろいろの小さな建物、店舗でありますとか集会場、管理事務所等もございますので、これらは単独工区として極力中小建設業者に指名するように考えている次第でございます。
  211. 高沢寅男

    高沢分科員 さっきありました昨年分はまだ建設の仕事が進んでいる過程でありますから、これができ上がって、そうして公団のちゃんとした最終的な検査を受けて、それでもってこの仕事のできが非常にいいというふうな評価が確定するのは、五十五年度分のものはいつごろになりましょうか。
  212. 中川友夫

    ○中川参考人 ことしの秋ぐらいだと思います。ことしの工区の数もそういった手持ちの工事があるということも勘案して決めておりまして、公団としては五十七年度以降も毎年千戸程度の発注を予定しておりますので、いい結果が出れば先生の御要望に沿って検討していきたいと考えております。
  213. 高沢寅男

    高沢分科員 その点は、ぜひこの秋ごろ最初に仕上がってくるものの評価をしていただいて、結構いい仕事をしておる、こういう公団の御評価があれば、今度は五十七年度の仕事を出す際、またそれは大いに前向きに実績をひとつ反映させていただいて、そして地元業者の参加できるそういう仕事の分野をふやしていただきたい、こういうふうにお願いとして申し上げたいと思います。  なお、それに関連いたしまして、こういうふうな住宅建設に伴って、たとえばフェンスをつくるとか、物置をつくるとか、あるいは自転車置き場をつくるとか、そういうふうな附帯的な建設関係の仕事が細かいもの等も含めていろいろあると思います。こういうふうな仕事になれば、なおさら、地元のいわばランクの低い業者も、そういうものならやれるよという人が当然たくさんあるわけでありまして、そういう仕事の面はなおさら弾力的に考慮されて、地元の業者に大いにやらせるという方向でひとつお考えをいただきたいと思いますが、どうでしょうか。
  214. 中川友夫

    ○中川参考人 いま先生のおっしゃいました屋外関係は、現在いろいろ設計中でございますので、今後先生の御要望の方向で、確かに小さいものは小回りがきくと思いますので、検討していきたいと考えております。
  215. 高沢寅男

    高沢分科員 それから、これは建築と密接不可分な関係にありますが、建物の枠ができて後、今度内部のたとえば給排水関係とか、いろいろなそういう施設をすることになりますが、これは地元の給排水とかあるいは空調設備関係の業者に言わせますと、昨年来そうやって地元の業者が仕事をもらえる道が開けてきてはいるのだが、そういう設備関係とか給排水関係の業者はこの場合全然対象になっていない、こういうふうなことがありまして、自分たちのそういう仕事もこの場合にはひとつ対象にしていただいて、地元のそうした給排水あるいは空調設備等々の業者もまた仕事に参加できる、仕事ができるというふうにさしてもらいたいという希望があるのですが、この点はいかがでしょうか。
  216. 中川友夫

    ○中川参考人 建築と付随します電気とかあるいは配管工事でございますが、これは建築より後に工事を出したわけでございますが、五十五年度につきましては、電気工事が二工区、衛生工事がやはり二工区すでに発注済みでございます。これらの電気あるいはは給排水の衛生工事につきましても、先ほど申し上げましたように同様の方針で、地元の中小業者に受注の機会が与えられるよう検討してまいりたいと考えております。
  217. 高沢寅男

    高沢分科員 これで私お尋ねしてお答えいただいたのは建築でしょう。それからいまの電気関係、それからそういう設備、衛生関係、こうなってきたわけですが、今度土木がございますね。それにもう一つ残っているのが造園というふうになるわけです。  この土木やあるいは造園、この関係も、そうした住宅建設に伴って住宅の周りの芝生をつくるとか、あるいは住宅の中の道路の舗装であるとか、いろいろそういう関係の仕事があるわけでありますが、こういう関係もまさに地元の中小の業者がやるに一番適した仕事である、こんなふうに思うわけでありますが、その土木なり造園の関係の業者に仕事に参加させる、こういう関係はどんなふうにお考えでしょうか。
  218. 中川友夫

    ○中川参考人 土木、造園につきましても、いままで申し上げたとおり、中小建設業者の受注の機会をふやす、確保するという方向で、実態に即して検討していきたいと考えております。
  219. 高沢寅男

    高沢分科員 実態に即して検討してといま言われたのは、五十六年度発注の仕事の中では、いま申し上げたような土木、造園関係というのは具体的に仕事がもらえるようになるのかどうか、その辺はどうでしょう。
  220. 中川友夫

    ○中川参考人 現在設計中でございますので、先ほど申しましたように、設計が上がった段階で工区割り等を勘案して、先生の御要望に沿えるように検討してまいりたいと考えております。
  221. 高沢寅男

    高沢分科員 いま言われた設計の上がった段階、それは上がるのは時期的に言うと大体いつごろになりますか。
  222. 中川友夫

    ○中川参考人 五十五年度工事の屋外関係については、おおむねこの夏ごろまでには上がると思います。もっと早くなるかもしれませんが、大体五、六月以降に逐次外構の工事の設計に入れると思います。その段階で先ほど申し上げたように検討してまいりたいと考えております。
  223. 高沢寅男

    高沢分科員 そうすると、五十六年度のやつはそれからまた一年ずれる、こういうふうに考えていいわけですね、時間的なずれは。
  224. 中川友夫

    ○中川参考人 高層住宅でございますので、一年半ぐらいのインターバル、があるというふうに考えていただければよろしいかと思います。
  225. 高沢寅男

    高沢分科員 これは私が言うまでもなく、よく御存じのことですが、地元の業者は光が丘開発建設協力会という団体をつくりまして、それで光が丘の建設にできるだけ自分たちも参加し協力したいということでもって、特に公団に対して中心的にいろいろなお願いをしておる、こういうわけですが、この開発建設協力会を構成しているのがいわゆる五団体ということで、建築、土木それに電気、造園に空調設備というふうな五つの業界が挙げて参加して、そしていま言ったようなお願いをしてきている、こういう経過があります。  いまの中川理事のお話で、それぞれの業界、建築関係はすでにできた、あるいは電気、空調もできた、これから今度は土木や造園関係は設計の段階で前向きに考慮する、こういうふうなお答えがあったわけですが、私としては、この協力会に参加している五つの業界のどれかがゼロであるというふうなことのないように、それぞれの業界がいずれも歴史的な住宅建設の仕事に参加できる、そして地元として一生懸命に仕事ができるというふうなことになるのが一番望ましいわけだし、また、恐らくこれは地元の練馬区としてのそういう町づくりの歴史からいってもどうしても必要だ、私はこんなふうに思うわけです。  いままで各論的にずっと中川理事のお答えで方向は大体わかりましたが、これで私終了するわけでありますが、結びとして、そういう開発建設協力会傘下の各業界、団体に対して、いずれも前向きに仕事を与えるという方向で今後ともなお一層努力する、こういう御決意を中川理事からお尋ねし、あわせて大臣からお答えをいただいて、終わりたいと思います。
  226. 中川友夫

    ○中川参考人 地元と一体になってわれわれグラント・ハイツの開発住宅建設をやっておるわけでございますので、先生の御要望のとおり、今後協力会のメンバーの方々にも積極的に参加していい仕事をやっていただきたいと思いますので、地元業者の受注の機会が確保されるよう、建築ばかりじゃなしに五団体の方々にも機会が与えられるように努力してまいりたいと存じます。
  227. 始関伊平

    始関国務大臣 ただいま御指摘のございました住宅建設並びにこれに関連する諸工事は、住宅都市整備公団が発注するわけでございますが、ただいま質疑応答のございましたような方向で、公団としては、やはりでき上がった住宅の質が一つ問題でございますし、また価格も問題でございますが、そういう点におきまして遺憾のない限り、ただいまお話のございましたような趣旨に沿ってやるように、公団の方を指導してまいりたい、かように存じております。
  228. 高沢寅男

    高沢分科員 どうもありがとうございました。終わります。
  229. 後藤田正晴

    後藤田主査 これにて高沢君の質疑は終了いたしました。  次に、柴田弘君。
  230. 柴田弘

    柴田分科員 私は、まず最初に、名古屋市の都市高速道路二号線、この中でも北部部分、具体的に申しますと名古屋市北区の萩野通一丁目から東区泉二丁目までの三・四キロの構造の問題について質問をいたしたいと思います。  そこで、お尋ねをいたしたいわけでありますが、これは御案内のように、高速道路建設に関しての計画が発表されますと、地域沿線住民から高架式高速道路に対しましては大反対が起こりました。そこで、名古屋市あるいは愛知県、そして高速道路公社は、昭和五十一年の十一月二十二日、地下式、掘り割り式ということで都市計画の変更をいたしまして決定をいたしております。それに対して、当時の建設大臣から計画変更の認可も受けているわけであります。  ところが、この一週間来、端的に申しますと、当時の名古屋市の助役、そして高速道路公社の理事長が、建設省当局に対して密約の文書、メモを入れておったのではないか、こういった問題が起こりまして、沿線住民から、これは背信行為である。その文書、メモの内容は、今後建設省との協議の中において構造を再検討する。つまり高架式への変更、再々変更ということになるわけでありますが、変更を求めた、そういった趣旨のメモを入れておった。こういうことで、いま住民からは大きな不安と、そういったことが背信行為ではないか、こういうことで、正直に申しまして問題になっているわけであります。  そこで、名古屋市長もあるいは道路公社理事長も早速記者会見をいたしまして、この問題については、計画変更の段階のときに、特に公社の理事長が申しておったのですが、建設省の要求に応じてそのメモを出した、誓約書といいますか密約をした、こういうことを存在を認めているわけでありますね。  私がお尋ねしたいのは、これは五年有余前の話ですから、当時の前任者に聞かなければわかりませんが、果たしてそういったものがあったのかどうか、あるいはそういった要請というか要求というものを建設省としてされたのかどうか。されたとすれば、こういったやり方が果たして正常なやり方であるのかどうか、この辺に問題はなかったのかどうか。この辺もお聞きをしたいと思いますし、それから名古屋市当局といたしましては、これはあくまでも公文書ではないんだ、私文書なんだ、だから拘束力はない、こういうふうにはっきりと断定をいたしておりますが、その辺について、三点になりますが、まず御見解をお伺いしたい。
  231. 加瀬正蔵

    ○加瀬政府委員 まず第一点の、そういうメモがあるかないかということでございますが、これは三月一日に新聞報道がなされましたので、私どもとしても早速、街路課が担当でございますので、そういう文書の引き継ぎがあったかどうかということを調べさせましたが、私どもの方では、担当者がそういう文書の引き継ぎを受けておりません。したがいまして、都市計画の決定に当たりまして、担当の者が、都市計画決定から事業着手までの間に、工法とか細部の構造等につきまして、さらに詳細な検討を行う必要があるという場合もございますので、私はこれは、そういう点についての留意事項といいますか、検討事項というものをお互いに確認する意味でのメモとして、文書をつくっておいたものが今回の報道の中身ではなかろうかというふうに理解しております。  なお、こういうメモの効力云々でございますが、当然のことでございますが、都市計画決定に当たりまして、必要があれば条件を付することはできるようになっておりますが、本件都市計画決定につきましては、条件は付されておりません。したがいまして、このようなメモが今後の事業認可に当たりまして効力を有するものとは考えておりません。  それから、どういうわけでこういうことをやったかという御指摘でございますが、当時の担当者にしてみれば、もともと高架構造で都市計画決定がされておったものを、地下式に変更するという決定変更の出願でございまして、これは御承知のように、都市計画は愛知県知事が名古屋市長と相談して決めることになっております。したがいまして、名古屋市長が環境対策等からどうしても高架構造を変えたいということで、県と当時十分話し合いをされた上で、県知事が計画変更の出願をされたわけでございますが、この段階で、道路の幅員とかあるいはその他の構造面の制約とかがございまして、実際に事業認可に至るまでの間にはかなり問題はあろうということは御認識されておったと思うのです。しかしながら、毅然たる御決意で地元から御出願がありましたものを、私どもとしても、地元の御決意を承った上で、特段そういう方向でおやりになるということについて異を唱えるような内容でもございませんし。御出願のままに認可をしたというのが実情でございます。
  232. 柴田弘

    柴田分科員 そのメモの有無、五年有余前の話でありますが、これは現実にあったわけです。これは名古屋市議会においてももうすでに問題になりまして、名古屋市当局もあるいは高速道路公社理事長も、入れました、こう認めているわけなんですね。  一つ私はお願いしたいのは、あったかなかったかということもありますが、やはりずいぶん前の話でありますので、その辺の事情を一遍よく聞いて、また御報告をいただきたい。  そこで問題は、沿線住民にとってみれば、掘り割り式あるいは地下式ということで渋々ながら一応の納得をしたわけです。高架式は絶対反対。ところが建設省の方は、いまの答弁がありましたように、やはり事業実施の段階において、事業認可の段階において、幅員あるいは構造上の問題を名古屋市に検討していってくれ、あるいは公社に検討していってくれ、愛知県に検討していってくれよ、こう言ってげたを預けて、また現実の事業実施の段階で、その向こうの意を受けて協議をされる。沿線住民にしてみれば、果たして掘り割り式でいくのかあるいは地下式でいくのか高架式でいくのか。特にあの辺は、御案内かと思いますが、小さな商店街が多いところなんです。高架式にされたら、彼らの営業、生活権の問題にもなってくるわけなんですね。だから、蛇の生殺しのような行き方でこれから対応していただきますと、一番困るのは沿線住民であるということを、建設省当局としてもよく理解をしていただきたい、こう思います。  そこで、具体的にあなたの方が技術上あるいは工法上あるいは採算、コストの面からいってこういった問題がある、こういうようにおっしゃっているわけでありますが、具体的に一体どういう問題があるのか、ひとつここで御説明をいただきたいと思います。
  233. 渡辺修自

    渡辺(修)政府委員 先生のただいまのお話の区間でございますが、一般論として申し上げますと、街路幅員が三十メートルでございますので、その中へ……(柴田分科員「一般論でなくて、ここの問題なのです」と呼ぶ)  はい、その問題は後で申し上げます。  三十メートルのところへ大規模な地下構造物をつくるということになりますと、その上の交通処理の問題がございます。それからまた、関係いたしまして工期が非常に長くなるという問題が当然あるわけでございます。ただいま先生からお話がございましたが、都市計画の方は都市局でやりますが、実施計画の段階は道路局でございますので、実はこれは、なくなったわけでございますが、名古屋オリンピックの関係があったわけでございまして、この区間も名古屋オリンピックの関連事業の計画ということになっておりまして、オリンピックまでに完成させるということでございました。そういたしますと、ただいま冒頭に申し上げましたような問題がございますので、二号北部地下区間の技術上の諸問題、これは十分検討してほしいということを申し上げた経緯がある、こういうことでございます。
  234. 柴田弘

    柴田分科員 僕の質問に答えていませんよ。具体的にどういった問題があるのか。これはどうですか。もう時間がありませんから明確に。
  235. 渡辺修自

    渡辺(修)政府委員 地下構造物につきましては、地下埋設物との調整の問題があります。それから民地と近接施工する場合に、地下構造であればあるだけその問題がございます。それから先ほど申し上げました交通処理の問題。工事の期間が長期化する問題。それから先生も御指摘になりました建設費の高騰という問題が当然あるわけでございます。
  236. 柴田弘

    柴田分科員 しからば、今後の協議の中でどうしていくかという問題が起こってくるわけです。それで、名古屋市当局あるいは高速道路公社、そして沿線住民、これはあくまでも計画変更をいたしました地下式、掘り割り式構造で建設を推進したい、していきます、こういうことをはっきりと言うておるわけなのですよ。それで、建設省の方は、それはそういった問題がありますから、事業実施の段階で、事業認可の段階で具体的に決めますよ、それまで検討し合いましょうや、これでは一番困るのは沿線地域関係住民なのです。蛇の生殺しといいますか、そういうことなのですね。  だから、私はこれは建設大臣に御質問をしたいわけでありますが、大臣、いまおっしゃった問題点を、名古屋市、愛知県、公社、そして建設省がもう一遍えぐり出して総点検をして、ではその問題をどんなふうに解決をしていったらいいのか、こういった前向きの方向でひとつ再度御検討をいただきまして、沿線住民が要望いたしております掘り割り式、地下式の建設の方向へ何とか作業を進めていただけないか。これはやはり彼らの最大の願いであるわけなのです。先ほど申しましたように、高架式ということになると、また反対運動が起こってまいります。あるいは沿線住民が生活の問題で一番困るわけでありますね。だから大臣、そういった問題点を一つ一つ洗い直して、それをどうしたら解決できるのかということで今後協議を進めていただけないだろうか、検討を進めていただけないだろうか。その上に立って、工法上どうしたらいいか、こういうことを決めるようにやっていただけないだろうか。こんなふうに、私は沿線住民の立場に立って御質問をいたしておるわけでございますが、大臣、どうでしょうか。
  237. 加瀬正蔵

    ○加瀬政府委員 大臣のお答えの前に私の方から若干御説明させていただきたいのでございますが、現在計画決定は、先生御指摘のように、地下構造でされておるわけでございます。したがいまして、このまま十分に詰めが行われて工事が可能だということで、経費の面まで踏まえまして、問題点を全部クリアして、都市計画の事業認可、さらには道路整備特別措置法の工事実施の認可、こういった段階に移るわけでございますが、そういう問題点をクリアできれば、そのまま移行されることになるかと思いますが、やはり問題なしとしないわけでございます。したがいまして、これは事業の施行者でございます名古屋の地方道路公社が中心となりまして、現地で都市計画をお決めになる県とか市御当局と十分に相談をされて、成案あるいはそれに近い方向を踏まえた案を持って私どもと当然御協議いただけるものと思います。その前に、当然沿線住民の方との御相談もあることかと思いますので、そういった段階で御相談があれば、十分に地元の御意向を踏まえて御相談に応ずるということは可能でございます。
  238. 始関伊平

    始関国務大臣 私、前後の事情を十分承知いたしておりませんので、ただいま両局長から申しましたように、繁華街に道路をつくります場合に、地下に入れるかあるいは高架でいくか、その地域にとりましては大きな問題だということは十分に理解をいたしております。  いずれにいたしましても、ただいま都市局長からお答え申し上げたわけでございますが、この工事を進めてまいりますためには、関係住民の十分な理解協力を得て事業を進めてまいらなければならないわけでございますが、第一義的な都市計画決定は愛知県なり名古屋市にあるわけでございますから、その協議の進みぐあいを見まして、当方としても適切なアドバイスなりあるいは協議に応ずる、かような形で進めてまいりたい、こんなふうに考えております。
  239. 柴田弘

    柴田分科員 大臣、玉虫色の答弁では困るのですね。いま沿線住民の生活権の問題、営業権の問題で非常に大変なことになっている状況をいろいろ説明しましたが、私がいま御質問しているのは、いま局長さんも答弁されましたが、問題点なしとはしないが、クリアできる問題もあるかもしれない。だから、現実に名古屋市あるいは公社、そして愛知県、そういったところから、掘り割り式で、そういった問題をクリアして地下式でやりますよ、建設省さん、どうですかと言ったときに、大臣、一緒になってそういった問題点をクリアをするために、ひとつ前向きの努力をしていただきたい、いかがなものか、そう質問をしているわけなんですよ。その辺はどうですか。
  240. 始関伊平

    始関国務大臣 前にも申し上げましたとおり、第一義的には、これは地元の問題でございますから、地下のいろいろな構造物等もございまして、地下道も非常に困難な問題があるということでございますが、それらの点を取り上げて、地元の方で協議がまとまってこちらに御相談があれば、十分に御相談に応ずる、こんなふうに考えております。
  241. 柴田弘

    柴田分科員 それでは念のために申し上げます。  これは地元の問題だ、だから、そういった技術的な、あるいは工法的な、あるいは採算的な問題を地元がクリアして、そしてどうしても掘り割り式、地下式でいくのだ、こういった方向であなたの方に協議があれば、建設省はそれを受けて立つのだ、そういうことでいいのですね。イエスかノーか。
  242. 加瀬正蔵

    ○加瀬政府委員 イエスかノーかとおっしゃられると困りますが、これは有料道路でございますので、採算の問題もございます。そういった問題を全部含めまして問題点をクリアした上で、どうしても地下式で進めたい、こういう御意向であれば、そういった点を検討させていただく。その場合に、十分に御相談には応ずる、こういうことでございます。
  243. 柴田弘

    柴田分科員 大臣、では要望しておきます。  できるだけクリアする方向で協議を重ねていただいて、沿線住民の意向に沿った掘り割り式、地下式の建設をお願いをいたしたい。これは要望でございますからよろしく。  それから、まだあと十分ほど時間があるわけですので、別の問題で質問いたしますが、名古屋市の環状二号線、国道三百二号線の整備推進という立場に立って御質問をいたしたいと思います。  御案内のように、この道路は、名古屋市の外周部に環状街路として都市計画決定が昭和三十二年になされておるわけであります。もう二十五年近い歳月がたっておるわけでありますが、その中で供用を開始しているのは、六十六・二キロメートル中、北部部分の平面部において二車線で八・六キロにすぎない、こういう現状であるわけでありますね。そこで、ここへ投下された予算も、全体の事業費九千六百億円のうち五十六年度までに約八百六十七億円、九%にすぎない。それで用地買収の状況も、五十六年度全線の四九%にすぎないわけであります。これは非常に重要な道路でありまして、今後一層の努力が必要である、私はこのように考えております。  それで、具体的に聞きますが、一つは、国土開発幹線自動車道の基本計画区間、ここの二十八・二キロについての専用部整備計画の決定の問題。これはどういうふうになっているか。それから二つ目には、一般国道二十三号から一般国道一号の四十八・六キロ、この一般部における整備の問題は今後どういうふうにしていかれるのか。第三点といたしまして、東南部の残る区間、つまり一般国道一号から一般国道二十三号の三キロメートル、さらに南部区間、一般国道二十三号から一般国道二百四十七号、この四・三キロの直轄事業化ですか、この問題についての御見解。それから第四点は、海上ルートの部分。これは西大橋の早期完成の問題、それから残りの海上部の中央大橋、東大橋についての建設の問題、この辺についてはどんなふうなお考えを建設省としてはしてみえるのか。時間が余りありませんので、簡単にひとつ御説明をいただきたい。
  244. 渡辺修自

    渡辺(修)政府委員 四点ほどおただしがございました。  まず最初の、名古屋二環の北部区間に乗ります高速道路の問題でございますが、去る一月二十日の第二十六回国土開発幹線自動車道建設審議会におきまして整備計画が策定をされたわけでございます。     〔主査退席、鴨田主査代理着席〕 ただいま地元の愛知県におきまして、都市計画変更の手続中でございます。この手続の終了後、日本道路公団が調査を行いまして、その後建設大臣の承認を得て事業に着手する、こういう段取りになるわけでございます。  それから、一般国道の二十三号、飛島村からずっと時計回りに国道一号の名古屋市緑区までの四十八・六キロのおただしがございましたが、この区間も先生御承知のとおり、主として用地買収をやっておるわけでございます。いろいろ区間によりまして異なりますが、大ざっぱに申し上げますと、すでに供用を開始しております国道二十二号から十九号までの区間、これが一番よろしいわけで大体八〇%台、それから北部、西南部等は大体五〇%台、東北部が三〇%台というような状況でございまして、これから東南部の問題等についても対応してまいらなければならぬ、こういう状況でございます。  そんな状況でございますので、三番目におただしのございました残りの区間でございます。一号線から二十三号を経て国道二百四十七号に至る区間でございますが、これにつきましては、いまとりあえずかかっております区間の事業の進捗状況を勘案しつつ検討させていただきたいということで、まだはっきり申し上げる段階にないということでございます。  最後に、四点目におただしのございました海上区間の問題でございますが、御案内のとおり、西大橋につきましては、公団と直轄が合同でいま仕事をしております。鋭意これを進めまして、昭和五十九年度に完成をいたしまして、いま金城埠頭からコンテナがぐるっと内陸部を回っておりますものを早くショートカットをするようにいたしたいと思っておりますが、中央大橋、東大橋につきましては、非常に長大な構造物にもなりますし、また関連する地域との問題もございますので、もう少し構造検討の調査を進め、事業化にかかれる以前の段取りをつけておきたい、このように考えておるわけでございます。
  245. 柴田弘

    柴田分科員 最後に、この名古屋環状二号線の整備推進の問題について、大臣にお伺いしておきます。  大臣、この名古屋環状二号線は、東西約十五キロ、南北約二十キロ、名古屋市域のほぼ外周部に位置する総延長六十六・二キロメートルの環状道路であります。関係する市町村は、名古屋市を初めとして十一の市町村がこれに関係をしてきます。それで、一般道路と自動車専用道路を併設する構造になっておりますね。名古屋都市圏にあっては、放射状に配置をされている名古屋都市高速道路——これはいま私が質問いたしました。この都市高速道路とその他の一般国道、主要地方道と相互に接続することによりまして、名古屋都市圏の道路網の骨格を形成することになるわけでありますね。  具体的に言いまして、この道路の果たす役割りは、一つは、都心を通り抜ける車を排除する、二つ目には、都心に流出入する車を円滑に分散導入する、三つ目には、都市内各街路の機能分化を促し、交通の質を純化する、四つ目は、名古屋港とその背後地を結ぶ流通機能の合理化を図る、五つ目には、上下水道など都市施設の併設空間を提供する、第六点といたしましては、火災時において延焼を防ぐ防災区間としての機能を果たす、こういうことですね。  御案内のように、東京あるいは大阪等には、こういった環状道路網が設けられまして、都市交通上非常に有効な機能を果たしているわけでありますね。ところが、名古屋市にはまだないわけなんです。やはり私は、こういった道路を早急に整備促進をしていただきまして、利用の便に資していぐ。いま言ったような大きな役割りもあるわけでありますから、今後ともより一層の整備促進に向けての建設省あるいは大臣の御努力をお願いをするわけでございますけれども、これについての御認識と今後の対応についてひとつ明確なお答えをいただければと思います。
  246. 始関伊平

    始関国務大臣 ただいま名古屋環状二号線の問題につきまして、幾つかの理由を挙げまして、有料道と一般道と併設するこの道路の重要性、それから地域の発展の上に期待される役割り等について詳細なお話をいただきましたが、私どもも、中部圏における道路整備の最重要課題がただいま御指摘の名古屋環状二号線の整備の問題だ、かように認識をいたしております。でございますので、今日までも努力をしてまいったのでございますが、今後ともその整備促進のために一層の努力をいたす所存であります。
  247. 柴田弘

    柴田分科員 もう時間もあと一分を切りました。それで、再度くどいようですが、お願いしておきます。  高速道路二号線の問題、掘り割り地下部分ですね。クリアできる可能性もあるということなんですよね。それは現実にあなたの方は地元の方から、地元というのは、愛知県、名古屋市、公社の方からのそういった話を待ってよく協議していきますよ、こういうことなんですね。どうかひとつそういった姿勢で、大臣いいですか、クリアしていただいて、何とか掘り割り地下式で計画変更いたしましたとおりの——そうしなければ、そういった法律的な手続が無意味になってしまいますからね。私はその問題でもお話ししようかと思ったのですが、時間がありませんから言いませんでしたが、言っておるのですよ、建設大臣の判まで押して計画変更の認可までしていって、そしていまさら技術的には問題がある。工法上の問題がある。採算上の問題がある。だから、またいわゆる高架式への再々変更というのは一体何だ、あのときの昭和五十一年十一月二十二日の都市計画変更の決定、認可というのはそんなに権威のないものか、こんなふうに言われている状況でございますので、ひとつどうか地元の協議をよくしていただきまして、住民の意に沿う方向への前向きな取り組みをしていただきたい。くどいようでございますけれども、重ねて要望いたしまして、私の質問を終わります。
  248. 鴨田利太郎

    ○鴨田主査代理 これにて柴田君の質疑は終了いたしました。  次に、上原康助君。
  249. 上原康助

    上原分科員 わずかの時間ですから、私は、沖縄のダム建設の件とそれから河川の改修整備の件、さらに三点目に、長い間問題になってまいりましたつぶれ地の問題、いわゆる市町村道未買収用地、この三点についてお尋ねをさせていただきたいと思います。  最初に、この五月の十五日で、沖縄は復帰して満十年を迎えるわけですが、残念ながら、人間生活に不可欠の資源である水さえ十分確保できないという現状なんですね。もうすでに制限給水になってから二百三十五、六日、約二百四十日に達している。隔日断水になってからでも百九十日を超している、こういう状態なんですね。したがって、これは県民生活にはかり知れない深刻な打撃を与えておって、観光産業にも相当の影響を与えておる。一体、飲み水さえ十分確保できなかった理由というのは、いろいろあると思うのですが、ダム建設は談合でやっているようですが、この問題は別として、国の直轄事業であるダム建設工事がやはり第一次振計の中で十分進捗しなかったがゆえに、こういう結果になったと言えないとも限らないと思うのですね。そういう面で、これまでの経過とこれからの見通しについてひとつ明らかにしていただきたいと思います。
  250. 川本正知

    川本政府委員 ただいま先生おただしのように、沖縄の現在の渇水状況は大変深刻なものがございまして、私どもといたしましても、いろいろと慎重にこれに対して見守っておるところでございますけれども、一番根本は、おっしゃいますように沖縄の水資源開発、ダムを中心といたします水資源開発をしなければならない。いろいろと自然条件その他ございますけれども、沖縄におきましては余り大きな河川がない、しかもダムの適地も少ないといったことで、水資源開発が従来おくれておったということも事実でございました。今後も沖縄の水需要というものは増大していくものと予想されますので、私どもといたしましても、沖縄の振興開発上、水資源開発といったものが最重要の課題であると考えておりまして、四十七年以降多目的ダムの建設を促進してきたところでございますけれども、現在までに二つのダム、福地ダムと新川ダムでございますが、これを完成さしておりますが、現在、沖縄本島におきましては五つのダムを建設しておりますし、また漢那ダムを実施計画調査に入れるようにしております。また、離島におきましても、建設一カ所、実施計画一カ所、こういうものを継続して実施しておるところでございます。  昭和五十六年度、今年度におきましては、建設の事業費が百三十六億四千五百万円でございまして、それから実施計画の調査費が二億二千七百五十万円ということで、これらの事業を実施しておりますけれども、このダムの中でも安波、普久川、福地ダムの再開発については、現在本体工事を鋭意促進しておるところでございます。  また、昨今の異常渇水にかんがみまして、この現在本体工事中のダムの工事の促進を図りまして、その結果、普久川のダムについては二月二十二日から試験湛水を開始できるというところまでこぎつけました。また、安波ダムにつきましても、三月一日から試験湛水を開始するということで、緊急の役に立てるように工期を繰り上げて施工し、努力しているところでございます。  五十七年度の予算につきましては、漢那ダム並びに比謝川の総合開発、この二つの事業を新しく建設事業として実施することを予定しておりまして、さらに今後とも、こういう逼迫しております沖縄の水需給に対しまして、その解消に対して努力してまいりたいと思っておるところでございます。
  251. 上原康助

    上原分科員 いろいろ御努力をやっていただいていることはわからぬわけでもありませんが、当初は福地ダムあるいは新川、このあたりができれば水の心配はないということを、開発庁なり建設省は言ってきたと思うのですね。しかし、それが、雨が降らないこともあるでしょうが、なかなかうまくいっていない。見通しは甘かったと思うのですね。  一体現時点の水の消費量はどのくらいで、たとえば昭和六十年度にはどのくらいになっていくのか、あるいは十年後はどういう見通しを持っているのか、その点についても明らかにしていただいて、同時に、それだけの需要供給、人口の伸び、そういうものの十分な見通しを立てた上での計画はお持ちなのかどうか、この点もあわせて明らかにしていただきたいと思います。
  252. 丸田哲司

    ○丸田説明員 昭和五十五年度におきます水の需要量は、大体日量で三十六万トンということになってございます。  それからいまお尋ねの、十年後の需要量はどのくらいかという点でございますが、この点につきましては、現在開発庁、各省、それから県を交えまして、鋭意検討をいたしておるところでございます。いずれにいたしましても、三十六万トンというような数字ではなくて、相当大きな数字になろうかと考えております。
  253. 上原康助

    上原分科員 時間がありませんから余り細かいことまで言えませんが、どうもそこいらの見通しをしっかり立てた計画というものが、これは国だけの責任じゃないと思うのだが、県を含めてやっていただかないと、これは本当に、水さえ十分ないという現状というのは、雨が降らないからしんぼうしようということでは通せぬと思いますよ。これこそ人災ですね。  そこで、じゃ、いうところの福地ダムのかさ上げ、安波ダム、普久ダム、新川、それから辺野喜、この五ダムが完成をする段階はいつですか。そのときはどのくらいの原水が確保できて、どのくらい供給できるのですか。
  254. 川本正知

    川本政府委員 先生いまおただしの安波ダムは、五十七年度に完成の予定でございまして、都市用水の開発量は日量七万五千トンを予定しております。それから、普久川も同じく五十七年度完成予定でございますが、開発水量が日量二万七千トンでございます。辺野喜が六十年の完成予定で進めておりますが、二万一千トンでございます。
  255. 上原康助

    上原分科員 そうしますと、計画では大体六十年度には六ダム、みんな完成するということですか。そのときの総供給量は幾らになるのですか。
  256. 川本正知

    川本政府委員 六十年までの完成で申し上げますと、いまの安波、普久、辺野喜のほかに真栄里ダムも完成する予定でございまして、羽地ダムは六十一年の完成の予定でございます。真栄里ダムは農業用水を十八万トンばかり開発いたしますので、トータルでいきますと、いまの安波、普久、辺野喜ダムで十二万三千トンですか、都市用水の開発ができます。それから、真栄里ダムで十八万トンばかりの農業用水の開発ができます。
  257. 上原康助

    上原分科員 簡単に言うと、それができれば水の心配はないのですかと聞いているのです。一々一つのダムの貯水量とか供給がどうなるということではなくて、知りたいのはそこなんです。もし、いま皆さんが計画している羽地ダムとか真栄里、漢那、比謝、これから開発しようということだから、もちろんそれも将来含むでしょうが、第一次振計で目標としたダムができた場合は水の心配がないようにできているのかどうか、それでもなお問題があるのかどうか、その点をはっきりさせてください。
  258. 川本正知

    川本政府委員 ただいま沖縄開発庁の方からお話がございましたように、将来の水需要についても、いろいろと見直し作業等も含めて検討をしておりまして、現在私が申し上げましたダムの完成が予定どおりできますれば、まあ何とか間に合うというふうな考えでも進めてきておりますけれども、いま沖縄開発庁から答弁いたしましたようなことも含めまして、極力そういったダムの完成を促進することで今後の対処を考えてまいりたい、そう思うところでございます。
  259. 上原康助

    上原分科員 どうも余り自信のなさそうなお答えで、ますます気になるのですが、大臣、それは本当に問題ですね。しかも、国の直轄事業でみんなやってきている。  もう一つ人口フレームの問題もある。皆さん、復帰して十年の人口は百三万と見通しを立てましたね。しかし、現に百十一万になっている。それにプラス四、五万があるということを忘れてはいけないですね、沖縄の水需要というのは。米軍の軍人軍属がいるということ、あれだけの軍事基地とあれだけの米兵がいるということ、それだけでも——もちろんそれも加味した計画であるかもしれませんが、要するに、ほかの類似県とか都道府県の物差しでそういった水とか基盤整備というものを考えちゃいかぬということ、この点も指摘しておきたいと思う。そこにも相当狂いが出てきたのではないですか。  もう一つは、いまもお話がありましたが、羽地ダムの開発についてどうなっているのか。これは、たしか五十六年度予算で四億円ついたと思うのです。五十七年度でも十九億円ついた。しかし、名護市と県、総合事務局の折り合いがついていない面で問題になっている。沖縄の水資源はほとんど北部にありますから、それを取られる市町村、周辺地域住民はやはり考えてあげなければいかぬですね。取られっぱなしではいかぬ。いかぬということはわかるのだが、しかし、それにしても、これだけ水問題が深刻化している中で、国なり総合事務局あるいは県なり等、このことについてももっと積極的に努力をして、関係市町村や地元の意向を入れたダム建設、開発ということをやらなければいかぬと思うのですが、ここいらはどうなっているのか、見通しが立つのかどうか。  それと、いま申し上げた五ダムのほかに、地下ダムの建設とか海水の淡水化ということも将来考えねばいけないわけです。本当にこれから水の心配がなく、少々のひでりや干ばつがあったにしても、飲み水くらいは常識程度は使用できるということでないといかぬと思うのですが、こういう件についてもう少ししっかりした見通しと計画を立てて、それを着実に遂行していくということでなければいけないと思うのですが、この点について改めてお伺いをして、今後の沖縄の水確保について、大臣はどういう御見解で事務当局なり関係者に指示していくのか、お答えをいただきたいと思います。
  260. 丸田哲司

    ○丸田説明員 羽地ダムの問題につきましては、現在、総合事務局、沖縄県、それから名護市におきまして、推進につきまして鋭意協議を重ねておるところでございます。いろいろ問題があるようでございますが、名護市もテーブルには着いておるやに伺っております。
  261. 上原康助

    上原分科員 そんな、いろいろ問題があるやに聞いていますがって……。どういう問題があるのですか。何が解決できないの。何がネックになって進捗しないのですか。もう少しそういう面は誠意を持って答えてくださいよ。
  262. 丸田哲司

    ○丸田説明員 その点につきましては、名護市が羽地ダムにダム使用権者として乗りたいというような意向を持っておるようでございますが、それにつきましては西系列あるいは現在の企業局の配水ということで対処する。別途の水道事業の補助等の問題もございまして、そういう方向で現在詰めておるわけでございます。
  263. 上原康助

    上原分科員 そうしますと、皆さんはよく、予算はつけたけれども地元の受け入れ体制がうまくいかないで未執行になったということを言っているのだ。革新県政時代もそうだった。これを声を大にしてみんな言っている。しかし、いまの保守県政だって、未執行、未執行で同じことじゃない。そういった、国の直轄事業でないから県に責任を転嫁するというのはあきませんよ、どういう態様の県政であろうが。見通しは立つのですか。五十六年度、たしか未執行になっていますよ。五十七年度はどうなんですか。もう年度末でしょう。
  264. 川本正知

    川本政府委員 お答えいたします。  ただいま先生御指摘の問題ですが、私どもは、県の状態がどういうことであれ、現在の沖縄の水の逼迫状態から考えて、一日もゆるがせにできない問題だと思っているわけでございます。  五十六年度は、確かに先生おっしゃいましたように、いろいろの支障があって進んでないということは事実であろうと思いますが、北部と南部との水の融通の問題、大変むずかしい問題だろうと思いますけれども、現実の水飢饉の実態からいきまして、沖縄の皆さん方の大乗的な御理解は、これから十分誠意を尽くしてお話し合いをすれば得られるものだ、そう思っております。五十七年度、確かに十九億の予算がついておりますが、これが実行できますように最大の努力をしてまいりたい、かように考えております。
  265. 上原康助

    上原分科員 ですから、それはもっとそういう実情というものを、三者間なり四者間で十分話し合ってやれば、私は理解しないこともないと思うのです。何も高飛車に押しつけてやれということじゃないですよ。それは、ますます悪化をしても、よくはなりません。それだけ深刻な問題でありながらも、なお水だけ取られて困るという気持ちというのは、これは出てくるのは行政理事者として当然でしょう、名護市にしたって北部の国頭村、大宜味村にしたって、東村にしたって。そういうことに対しての一体政府の努力というのがどれだけなされているかというのに私は疑問を持つのです。そのくせ、役人というのは、せっかく予算はついたけれども未執行だ、そういう言い方はこれはいけませんよ。それはよく注意をしていただいて、この地元の意向を入れてやっていただきたい。  いま建設大臣お聞きになったと思うのですが、実際水の状態はこうなんですね。ダム建設やってやっているというが、実際に現在も水さえないのですよ。制限してからやがて一年近くなりますよ。これに対してはやはり、事務当局任せじゃなくして、本当に国として水資源開発をどうしていくのか、特に二次振計がもうこれからできる段階に来ていますので、これに対する大臣の所見をお伺いしておきたいと思うのです。
  266. 始関伊平

    始関国務大臣 ただいま上原委員から、沖縄の深刻な水不足を背景といたしまして、水の供給確保に関する諸般の問題点を指摘されました。どうも政府機関対応が大変不十分ではないかという御指摘がございました。建設省も、この問題につきましてはやはり相当のかかわりを持っておりますので、ただいま御指摘の御趣旨を体しまして、沖縄開発庁その他関係各機関、地元とも協力いたしまして、ダムの建設その他につきましてさらに積極的にこれを進めるように今後努力いたしたい、かように存じております。
  267. 上原康助

    上原分科員 それはぜひ、二次振計策定に当たって前段で私が申し上げたことについて、十分人口フレーム見通しを立ててやっていただきたいことを重ねて強く要望申し上げておきたいと思います。  そこで、次は河川の問題をちょっとお尋ねしたかったのですが、時間がなくなると困りますので、つぶれ地の問題からまずいきたいと思います。  これも、これまでしばしばお尋ねしてまいりましたが、要するにまだ解決を見ないのですね。私たちは、これは戦後処理の大きな課題だと見ておるので、だんだん日にちがたつと後回しにされたり、もううっちゃられたりしますので、改めて十年という節目を考えて、このつぶれ地補償の問題についてはもう少しやっていただきたいわけです。  要するに、これまでの議論を簡単に申し上げますと、国道、県道については国でめんどう見る、また市町村の幹線市町村道路についても一、二級については見る、格上げしてやっていくということになっているわけですが、問題は、その他の市町村道をどうするかということなんですよ。これについては、建設省、それから開発庁、自治省の言い分がみんな異なる。自治省は、簡単に言うと、市町村に負担がかからないように国で国庫負担でやってもらいたい。建設省は、一、二級幹線までは見るけれども、その他はどうも自治省なり開発庁という言い分だ。開発庁は、当面格上げをして、一、二級幹線道路だけでも相当の事業量だから、そこを見た上で考えましょうということなんですが、これからどうなさるの、その他の市町村道については。また、見直しはどれくらいになって、三者間では、特にその他の市町村道のつぶれ地補償の問題についてはどういうふうに話が進んで、どういう見通しを立てておられるのか、もう一度明らかにしていただきたいと思います。
  268. 渡辺修自

    渡辺(修)政府委員 この件につきましては、先生からたびたび御質問もございましてお答えしておるところでございますけれども、市町村道につきましては、建設省としては、これは道路のいまの補助体系からいって幹線市町村道しかできませんということをたびたび御答弁申し上げたわけでございます。  そこで、幹線市町村道に一般市町村道からかさ上げをするとか、あるいはさらに市町村道から県道へ昇格するというようなことも、もうやってきたことは先生御承知のとおりでございまして、面積的に申し上げますと、幹線市町村道を見直した結果、市町村道関係では、従前の幹線市町村道が約百七十万平方メートルのつぶれ地があったものが二百六十万平方メートル、約一・五倍になっておる。それから、県道に昇格した分がその他に三十万平方メートルございますので、含めますと一・七倍ぐらいになる、こういうことでございます。  そこで、また、県の幹線市町村道の調査も五十三年に終了いたしまして、それから幹線市町村道につきましては鋭意国庫補助事業の対象といたしまして買収を始めたわけでございます。五十六年度一六%というまだ低率の状況でございますが、五十七年度以降も、とにかくこの幹線市町村道をなるべく早く片づけるということで進めてまいりたいというふうに考えております。
  269. 上原康助

    上原分科員 開発庁は……。
  270. 丸田哲司

    ○丸田説明員 当面、幹線市町村道の解決に努力をいたしたいと考えております。
  271. 上原康助

    上原分科員 その他の市町村道はどのくらいあるんですか。いわゆる、いま皆さんが対象にしないものね。  それを補償するとすると、どのくらいの金額になるのですか。
  272. 丸田哲司

    ○丸田説明員 現在のところ、若干精度は落ちますが、約百ヘクタール程度と考えております。  金額につきましては、この調査が五十一年時点でございますので、現在に換算いたしますとどのぐらいの金額になるか、ちょっと自信を持ってお答えする数字はございません。
  273. 上原康助

    上原分科員 関係市町村から出した県の要求は幾らだったの。
  274. 丸田哲司

    ○丸田説明員 五十一年度価格で二百六十億という数字がございます。
  275. 上原康助

    上原分科員 五十一年段階ですから、だんだんこれは、解決しないと、地価は上がるし、ますます問題が片づかないままにむずかしくなっていくわけですよね。こういうのは、私は前にも言いましたが、年次計画だから、大臣、一遍にそれだけ出るのじゃないですよね。なぜこの種の問題についてそうピンポン球みたいに投げ合いをするのか、そこはぜひ考えていただきたい。  そこで、自治省もおいでだと思いますので、これは五十六年の三月二十七日でしたか、沖特で私がこの問題を聞いたら、自治省はこういうことを言っているのですね。いわゆる特交で見るのか交付税で見るのかということについて、各市町村の財政状況全般を見回して総合的にその辺を勘案していく。  自治省としては、この問題を建設省なり開発庁なりに強く要望していくということを再三強調してきたわけなんですが、特にその他の市町村道の、これは市町村財政に及ぼす影響は大ですよ、いまのような財政状況で。どうお考えですか。見通しとして、どう解決しようとされるの。
  276. 亀田博

    ○亀田説明員 自治省としましては、先ほどお話がございましたように、この問題につきまして、基本的には国庫負担によって措置されるべきものだというふうに考えておりまして、関係省庁には必要に応じて申し入れをしておるところでございますが、その結果としては、先ほど来お話がございますように、見直しによって国庫助成の対象にしてもらうことが、関係団体も期待をしておりますし、私どももそのように考えているわけではございます。しかしながら、事業の性格から見まして、お話ございましたように、緊急に措置を講じなければならないものも位置境界不明地域内にはあろうと存じます。  そこで、そういう問題につきまして、いたずらに解決を延ばすわけにはまいりませんので、私どもは、当該事業が国庫助成の対象にならないとすれば、市町村の一般の単独事業ということになるわけでございますので、そうなりますと個々の個別団体、個別市町村の財政状況を考えて財政措置をしなければならないというふうに考えておりまして、そういう趣旨で県を通じまして指導をいたしておるところでございます。具体的な事業計画を見てから判断をいたしたいということで、県の方へお願いをしておるところでございます。
  277. 上原康助

    上原分科員 時間ですから終えますが、大臣、これはいま申し上げたように長い懸案事項なんですよ。やろうと思えばできることですから、ひとつそういった問題があるということを、これは建設省は大きいところだけ見てあとは知らぬ顔というわけにいきませんから、特に解決をしていただくように強く要望申し上げておきたいと思います。
  278. 鴨田利太郎

    ○鴨田主査代理 これにて上原君の質疑は終了いたしました。  次に、小杉隆君。
  279. 小杉隆

    小杉分科員 私は、特にまず最初に白金迎賓館の跡地の利用について質問したいと思うのです。  今度東京都では、白金迎賓館の跡地、約一万坪ですが、これを百三十八億円で買収をして、そして昭和五十七年度予算調査費ということで、美術館とか迎賓館などに利用するための調査ということで予算を計上したわけですけれども、ここに私いささかの疑問を感ずるわけです。やはり東京都内でこうしたまとまった緑というのは非常に貴重なものでございまして、ここに美術館とか迎賓館をつくるということに対して、非常に疑問に思うわけです。このことは東京都議会でも取り上げられたわけですが、やはり緑の問題、これは建設省も全国的な視野で考えておられると思うのですが、この機会にひとつ見解をお伺いしたいと思うのです。  そもそも東京都が迎賓館をつくるなんということは、いまこれだけホテルとか会議場とか宴会場等がありますから、お客さんを呼ぶための迎賓館というのが果たして必要なのかということで、これは疑問に思うのです。それから、美術館というのも、実はその近所に、本当に迎賓館跡地から歩いて数分ぐらいのところに、千メートルもないところに、いま目黒区の方で美術館の構想があるわけです。こういうふうに、東京都も美術館をつくる、区もつくるということになると、これは大変むだなことでもありますし、私はこういうむだな投資というのはどんなものかというふうに思うわけですが、たまたまその迎賓館の隣に、約七万坪に及ぶ文部省の自然教育園というものがあるわけなんですね。これを一体化して利用することにすれば、都心の非常に貴重な緑として都民にも大変喜ばれると思うのですが、こういう問題は東京都の問題だ、あるいは二十三区の問題だということで突き放すのではなくて、やはり建設省も、そういう貴重な都心の緑を守るという見地から指導すべき立場にあると思うのですね。  そこで、いま自然教育園というのは、私も実際中に入ってみましたけれども、武蔵野の自然をそのまま保全してある非常に貴重な存在なんですが、残念ながらまだ一般によく知られていないのと、開放する時間も夕方四時には閉めてしまうというような状況で、必ずしも都民のために余り活用されていないように思うのです。  そもそもこの自然教育園を設置した経緯というか由来というか、そしてどういう考え方で臨んでおられるのかというのをまずお聞かせいただきたいと思うのです。
  280. 五十嵐耕一

    ○五十嵐説明員 お答えを申し上げます。  ただいま先生の御指摘の附属の自然教育園は、わが国唯一の自然科学系の博物館であります国立科学博物館の附属機関として設置されておりまして、天然記念物に指定されている園内の学術上貴重な自然の生物群を保護しながら、これを一般公開するということでございます。それで、具体的にはそういう一般公開を行いながら、自然の研究観察及び実習に関する指導を行いますとともに、自然教育、自然保護の教育に関する調査研究を行っております。このため、こういう貴重な天然記念物でございますので、その運営に当たりましてはこの地域の特殊性を考慮いたしまして、同時に入園する者の数を最大三百人というふうに限定しておりまして、自然環境の保護との調和を図りながら一般公開をしておるところでございます。ちなみに、昭和五十五年度におきます入園者数は六万七千人でございます。
  281. 小杉隆

    小杉分科員 そういう隣に、いま港区なんという都心地域に七万坪という、しかも自然をそのまま残してある非常に貴重な場所の隣に、迎賓館の跡地にコンクリートの大きな美術館とか迎賓館をつくるということになると、やはり公園行政あるいは緑地の行政の点から見て、建設省としてどういうお考えをお持ちなのか、その辺をひとつお聞かせ願いたいと思うのです。
  282. 加瀬正蔵

    ○加瀬政府委員 ただいま御指摘の白金迎賓館の跡地でございますが、建設省といたしましては、これは昭和三十二年十二月に一応公園という都市計画決定はしておるわけでございます。ただ、ただいま文部省の御説明にもございましたように、自然教育の面からの非常に重要な施設でもございますので、東京都が五十七年度には跡地の利用計画を検討するということでございますが、跡地の利用計画を検討するに当たりまして、文部省とも十分御相談されるでございましょうし、私どもにも御相談があるかと思いますので、その段階でどういう利用がしかるべきか、十分に検討させていただきたいと考えておるところでございます。
  283. 小杉隆

    小杉分科員 これは、先般の都議会の知事答弁では、美術館並びに迎賓館等の可能性を調査するのだということで少しぼかしておりますけれども、いずれにしても調査費が五百万円ついているわけですから、私が冒頭申し上げたように、やはり緑と自然を保全したいという立場で、隣にそういうものが建つということについては、建設省としても無関心であってはならないと思いますので、ぜひ緑と自然を保全するという立場から、東京都とよくお打ち合わせをいただいて、ひとつやっていただきたいということを申し上げて、この問題についてはこの程度にしたいと思います。  それから次に、最近の河川のはんらんの問題について申し上げたいと思うのですが、最近東京都内でも二年続いて、たとえば神田川とか目黒川とかいうところではんらんがありまして、相当被害が出ているわけでございます。  ちなみに目黒川というものを考えてみますと、目黒川は戦前に改修がもう行われまして、都内の中小河川の中では比較的整備の進んでいる河川であったわけです。たとえば、未曽有の被害をもたらした昭和三十三年九月の狩野川台風とか、あるいは四十一年六月の四号台風にも、この目黒川はさしたる被害をこうむることはなかった。それだけ整備されていたわけです。ところが、昭和五十年代に入りまして、水害が非常に頻発をしてきたわけでございます。これは異常な集中豪雨によるものでもありますけれども、しかし流域の都市化とかいろいろな要因が重なり合って、昭和五十年代に入ってから毎年毎年水害が出るということなんですけれども、こういう目黒川なりあるいは神田川なりというものが、五十年代に入ってはんらんが起こるようになった理由というのは幾つかあると思うのですが、まずその辺からひとつ聞かしてもらいたいと思うのです。
  284. 川本正知

    川本政府委員 目黒川、神田川、昨年も七月と十月と二度の災害を受けました。先生御指摘のように、都市河川における水害というのが頻発しておるわけでございますが、これの原因といたしましては、河川の流域の状況変化といいますか、都市化といいますか、そういった状態の変化ということも一つではあろうかと思います。確かに先生おっしゃいましたように、自然現象的にも昨年の七月の目黒川の洪水は、時間雨量で八十ミリという最大雨量を記録しておりますし、そういった面では特異な現象であったということも言えるわけではございますけれども、水の出が流域の都市化に伴いまして、早く、しかも量が一度に押し寄せるために大きくなるということは、あり得る現象だというふうに理解しております。
  285. 小杉隆

    小杉分科員 特に上流地域の宅地開発が非常に進みまして、水がどっと流れ込むということだと思うのです。特に目黒川の場合には、その上流地域である多摩地区で大規模な宅地造成などが行われて、そして住宅建設が進んできた。もちろん住宅建設ということも大事ですけれども、やはり住宅建設あるいは宅地造成ということと河川の問題と整合性を持ってやらなければいけないわけです。こういう上流地域の宅地開発について、その辺はどういう考え方で対策を講じようとしているのか、ひとつお考えを聞かしていただきたいと思います。
  286. 吉田公二

    ○吉田(公)政府委員 都市計画区域の中で住宅用地を開発していくというような、一定の開発行為を行う場合には、御存じのとおり都市計画法におきまして開発許可制度というものがとられておりまして、大部分の開発行為については開発許可制度でカバーされているわけでございます。この開発許可は、都道府県知事または指定市の市長が許可をいたすわけでございますが、この「開発許可の基準」の中におきましては、排水施設の整備の基準、こういったものが設けられておりまして、水害防止の面から下水道の整備でございますとかあるいは排水施設の適切な配置、または防災調節池の設置というようなことを行いまして、開発区域そのもの及びその周辺の地域で溢水等によります被害が生じないように制度的に担保されておりますし、そういうものを指導していくということになってございます。  なお、宅地開発につきましては、やはり河川の整備と関連して行う必要がございます。そういった関係で、河川整備そのものも、一般の公共事業でいわゆる都市河川整備が進められておりますし、また、住宅宅地開発事業との関連におきましては、昭和五十三年に設けられました住宅宅地関連公共施設整備促進事業、通称促進事業というふうに呼んでおりますが、こういったものの活用によりまして河川の整備を図るということを進めているわけでございますが、今後ともこれらの事業を活用いたしまして、河川整備と宅地開発と、調和のとれた形で進めるように努力してまいりたいと思っております。
  287. 小杉隆

    小杉分科員 この辺はまた後で触れますけれども、もう一つ、下水道の普及によって河川への流入時間が大幅に短縮されているということも、災害を引き起こしやすい大きな原因になっているわけですね。東京都内の下水道普及率はここ数年来急ピッチで進みまして、いま七六%にも達しているわけです。ところが、河川改修については、一時間当たり五十ミリの雨量にたえられるという五十ミリ対応で考えますと、わずか一九%でしかない。下水道普及率の方は七六%、一方の河川改修は一九%、こういうふうに事業の進捗の度合いに格差があるために、結局川の方がのみ切れない、こういう結果になっているわけで、こういった下水道と河川改修との整合性に欠けた計画推進というのが問題だろうと思うのですけれども、この点についてはどうお考えですか。     〔鴨田主査代理退席、主査着席〕
  288. 川本正知

    川本政府委員 先生ただいま数字をもって御指摘になりましたけれども、目黒川につきましても、流域について、下水道の整備と河川の整備とが的確にバランスがとれてないということも事実でございまして、私ども、下水の排水を受け持つ河川の役目というものが先行して整備されるべきであると考えております。現状におきましては、目黒川につきましては、昨年の水害にかんがみましていわゆる激特事業というものを採択いたしまして、五カ年くらいの間に、七月に災害を大きく受けました地域の改修が進むようにということで促進をしてまいります。また、下流は高潮事業あるいは中小河川改修事業、それぞれいろいろな事業対応させましてその促進に努力をいたしまして、下水道との対応が一日も早くバランスがとれますように、努力してまいりたいと思うわけでございます。  一般的にいきまして、下水道との整合性ということにつきましては、それぞれの事業分担を定めまして、調整を図って実施する必要があるわけでございます。下水道と河川との事業分担につきましては、四十八年でございますけれども、河川局長、都市局長で通達を出しまして、原則として流域面積二平方キロ以下につきましては下水道がやろう、二平方キロ以上につきましては河川としてやろうというふうに事業分担を調整しております。  事業実施に当たりましては、先ほど申し上げたように下水道整備に先行して河川改修をやるのが当然でございまして、現在まだ立ちおくれておる状況の河川につきましては、五十七年度からスタートいたします第六次の治水事業の五カ年計画におきましても、下水道との均衡がとれるように、極力促進を図るように努力してまいりたいと思っております。
  289. 小杉隆

    小杉分科員 激特に指定をして緊急にこれをやろうということは結構なことだと思いますが、これは一口に言って後追い行政だと思うのですよ。下水道の方は予算はどんどんつくのですけれども、川の改修費というのは予算が全然伸びないわけですよ。だから私たちはもうここ十年来、こんなことをやっていたら将来必ず川の方が問題が起きてきやしないかなということをずっと危惧しておったのが、ここへきて現実になってきたわけですよ。ですから、いま東京都内、下水道局予算というのは枝線の予算いっぱい取っているけれども、それを使うことができないのですよ。河川の改修をやってからでないと、やたらにいま枝線を延ばすとまた下流地域がはんらんしちゃうということで、せっかく予算を組んでもこれが執行できないというのが現実の姿なんですね。ですから、私もこの質問に先立っていろいろお伺いしますと、やはりこういう点でも建設省というのは河川局、都市局、たくさん縦割り行政があって、どうもその辺の横の連携がうまくなくて、河川は河川のことばかり考えている、下水道は下水道のことばかり考えているというようなことで、そういう整合性が欠けてきたということがいまここへ出てきていると思うのです。そこで、さっき申し上げた宅地開発にしても、開発許可ということももう少し河川との関連で考えるところがなかったかどうかということなんですね。  そこで、建設省の方では、おくればせながら総合治水対策ということを五十年代に入ってからお始めになったのですが、そういういろいろな事業との関連性を重視しよう、総合的にもっと考えてやっていこうということからの発想なのかどうか。その治水対策の中身についてひとつお聞かせいただきたいと思うのです。
  290. 川本正知

    川本政府委員 総合治水対策と申しますのは、先ほど来先生御指摘のような都市河川、特に近年都市化の進展といいますか、流域の開発が著しい都市部の河川につきましては、治水の安全度が相対的に低下しているという現実がございます。そういったことに対するために、当然のことながら河川の方の、治水施設の整備を積極的に進めるということでございますが、あわせてその河川の流域の持っております保水機能とか遊水機能とか、そういったものを適正に確保してまいりたい。そういったことを含めまして、総合的な治水対策を推進しなければいけないという考えでございまして、五十二年に河川審議会からそれに関する答申も出ておるわけでございますが、省内でも関係各局全部合わせましてその対策協議会をつくりまして、その総合治水対策の内容につきまして十分協議いたしまして、またその円滑な推進を図ることに努力しておるところでございます。先ほど先生おっしゃったような省内の各局との調整というものは、そういう場におきまして十分図るよう努力しておるところでございます。  その総合治水対策の内容でございますが、先ほど来重ねて申し上げますが、河川改修事業の積極的な推進、これは当然でございますが、五十四年から総合治水対策の特定河川事業制度というものもスタートさせまして、そういった河川改修事業促進とあわせまして、流域の保水、遊水機能の確保についての方針や対策等を内容といたします流域整備計画というものを策定しよう、これにつきましては、その河川の流域の各市町村まで含めまして、総合治水対策協議会というものをつくりまして、その場でそういった計画を、コンセンサスを得ながらつくっていこうということでございます。また、あわせて適正な土地利用の誘導といいますか、あるいは緊急時の水防避難、そういったものの便に資するように、洪水によります浸水実績の公表とか、そういったことも現にやっておるわけでございます。また、流域住民に対する積極的な働きかけといったことを、そういった協議会で先ほど申し上げたように内容を協議いたしまして、推進を図っておるというのが現状でございます。
  291. 小杉隆

    小杉分科員 いまの総合治水対策の内容を聞いていますと、私が前から指摘をしている宅地開発とかあるいは下水道の整備との関連という分野が入っていないように思うのですが、私はやはり有効な治水対策だったらば、そういう宅地開発とか住宅建設あるいは下水道の整備との関係というものは、やはり軽視できないと思うのですよ。ですから、総合治水対策の中にそうしたものを入れる必要があるのではないかと思うのですが、いかがですか。
  292. 川本正知

    川本政府委員 現在、総合治水対策の特定河川として実施しておりますのは全国十二河川ございますけれども、その中では先ほど申し上げたように協議会をつくりまして、その協議会の中にはいわゆる河川サイドの部門はもちろんでございますけれども、都市開発サイドの部門の方も入っていただいております。そういったところで、いま先生おっしゃったような内容につきましては十分協議をして、その総合治水対策全体を進めていこう、そういうふうにしておるところでございます。
  293. 小杉隆

    小杉分科員 建設大臣がせっかくいらっしゃっているんで、いま私が指摘した問題ですが、やはり最近の河川のはんらんというのは、単に天災とだけ言い切れない問題が多いわけですね。上流地域の宅地造成とか、住宅建設あるいはニュータウンの建設等で排水量が非常に増大をする、それでまた都市内の下水道が急ピッチで進んでくる、そのことによって河川に流入する水量が非常にふえる。こういうことを総合的に考えて事業を進めるというのが、いままではちょっとおろそかにされてきたのではないか。東京都の都市化というのはもう昭和三十五年来、四十年代にかけて急ピッチで進んできているわけですから、私は五十年代に入ってあわててこういう激甚災害の指定をするというようなのはやはり後追いだ、もうちょっと計画的に、いろいろな事業を整合性を持たせてやっていくという姿勢が必要じゃないかと思うのですが、ひとつ建設大臣の姿勢をお伺いしたいと思います。
  294. 始関伊平

    始関国務大臣 中小河川のうちで、特に都市河川に対する治水上の対策がおくれているじゃないかという点につきましては、どうも同感だと言わざるを得ないと思います。その原因が、豪雨がときどき降ってくるということのほかに、沿線の状況がまるきり変わってきた。宅地化、それから一言で言えば都市化ですね、それで水のたまる場所がなくなってしまった、また、いまは下水道の受け入れのところが不十分だというような点等、御指摘になりました。私も同感でございます。いままでも、特に最近ではそういう点に大分注意いたしまして、各局の間でも連絡をとりましてやっていると思いますが、御指摘の点はごもっともだと思いますので、今後十分建設行政推進してまいります上に留意さしていただきたい、かように存じております。
  295. 小杉隆

    小杉分科員 残り時間が大分少なくなりましたので、あと一点だけお伺いしたいと思います。これは道路局になるのかあるいは都市局になるのかわかりませんが、最近国民の間にスポーツ熱などが非常に盛んになってまいりまして、たとえばジョギングとかサイクリングとか、非常に要望が強いわけですね。ところがいままでの日本の道路行政というのは、大体幹線道路とか自動車専用道路とか高速道路とか、そういうところを中心予算がつぎ込まれて、いわゆる生活道路というのかあるいはレジャーのための道路とか、もうちょっとゆとりのある生活をつくるための道路というものが少なかったように思うのですね。私なんかもいろいろ国内を旅行して、たとえば大きな公園の周りにサイクリング道路とか、あるいはもうちょっと木を植えてベンチをつくるとか、そういうふうなことをしたらもっと潤いのあるあれができるのではないかなと思うのですが、どうも池のふちへ行ってみると、紙くずとか缶からがいっぱい散らかっていて一つ整備されてない。ちょっと離れた自動車道路は非常にりっぱなのができているのですが、その湖の周りを散策する道路とか、サイクリング道路とか、緑とかいうものが全然ないのですね。諸外国なんか行きますと、そういう点では非常にきめ細かに、いわゆる自動車のためだけの道路でなくて、一般の歩行者とかあるいはスポーツを愛好する人たちのいろいろな施設が整備されているわけです。だから、最近道路予算に対していろいろ批判が集まってきて、道路財源をもっとほかのところへ使えというような意見も大分出てきているわけですが、私は全国の国道なりあるいは地方道路がある程度整備されてきた段階では、もう少し自動車のためだけの道路という考え方から、そういう生活道路とかレジャー用の道路とかスポーツ用の道路とか、そういう発想に転換していくべきじゃないか。特にいま高齢化社会というようなことが言われて、いま老人保健法の中にも単に保健とか医療とかということばかりでなくて一むしろ体力増進というような考え方を導入しようという、こういう最近の風潮から考えましても、建設省は車族のためだけの道路づくりから、もう少し転換をしたらどうかというふうに思うのですが、その辺についての見解を伺っておきたいと思います。
  296. 渡辺修自

    渡辺(修)政府委員 先生、私どもにとりましていわばある面では非常に耳の痛い御指摘があったわけでございますが、道路整備は何しろ戦後昭和二十九年からやっと五カ年計画で始めたという経緯がございまして、四十年代までは、とにかく問に合わせるということが第一義であった関係上、ゆとりのある整備がなかなかできなかったわけでございますが、一応そういう段階に達しましたので、これからはわれわれも質の高い道路、余裕のある道路、それからいわゆるネットワークとしての完結した道路ということを目指して道路整備を進めたいわけでございます。その意味におきましては特定財源等の緊急性はいささかも薄れていないと思いますので、ぜひ御理解をいただきたいと思うわけでございます。  そんなことで四十八年からは、例として申し上げますならば、たとえば国民の心身の健全な発達に資するというようなことで大規模自転車道等の事業を行っておりまして、御指摘のありました湖の周辺等も幾つかすでに例がございます。たとえば茨城県の洞沼であるとか東京都では西武の多摩湖でございます。それから山梨県では山中湖、それから琵琶湖は安土八幡水郷というような自転車道、静岡では浜名湖周遊といったものも着工いたしまして、逐次整備を図っているわけでございます。先生の御指摘大変ごもっともでございますが、われわれも今後そういうような多角的な道路整備を通じ、国民理解を得ていきたいというふうに考えております。
  297. 小杉隆

    小杉分科員 では時間が来ましたので、終わります。
  298. 後藤田正晴

    後藤田主査 これにて小杉君の質疑は終了いたしました。  次に、川本敏美君。
  299. 川本敏美

    川本分科員 限られた時間でできるだけたくさんのことをお聞きしたいと思っていますので、答弁はひとつ明快に簡単にお願いしたいと思うわけです。  まず最初に、木造建築というものの見直しといいますか、そういう問題を中心に私はお聞きしたいと思っておるのですが、最初に住宅局長にお聞きしたいのですが、町の景気が大変悪い。だからひとつ今度は、もちろん一兆円減税も大事だけれども、あるいは賃金も大幅に上げなければいかぬという意見も閣内にすらある現状ですけれども、やはりすそ野の広い住宅というものの建築戸数をふやそうじゃないか。本年度の当初にもたしか百三十万戸建設ということが言われたと思うのですけれども、実績は百十万戸台と言われておるわけです。来年度は大体どのくらい実質的に建設する見込みですか。
  300. 豊蔵一

    ○豊蔵政府委員 ただいま御指摘ありましたように、昭和五十六年度の住宅建設につきましては、現在までのところ、予想といたしましては百十五万戸前後ということになろうかと思っております。住宅を求める国民のニーズ、あるいはまたこれの景気に及ぼす影響等を考えますと、私どももいろいろな各般の施策を講じまして住宅の建設を促進したいと考えておりまして、昭和五十七年度は住宅土地税制の大幅な改正あるいはまた公的金融の拡充充実によりますところの諸般の対策を講じまして、今後五十七年度は政府の経済見通しでは実質一〇・四%の増を図りたいというふうに考えております。一応戸数に換算いたしますと、おおむね百三十万戸程度ということを目標といたしております。
  301. 川本敏美

    川本分科員 五十六年度は実質百十五万一尺これじゃ景気は悪うなるのはあたりまえですね、一時は百九十万戸建っておったのですから。来年度は一〇・四%の伸びで百三十万戸という予定だそうですけれども、これもふたをあけてみたらまた百十五万戸ということに落ちつくのかもしれない。これじゃ景気はよくなりませんよ。少なくとも実質百三十万戸というものはふやさなければいかぬ。  そこで、二月建ての木造住宅日本の気候、風土にも合っておると私は思う。国民のニードも大体そのような方向を向いておる。五十六年度、マンションとか高層住宅と二月建て木造住宅の建った割合はどのくらいでしょう。
  302. 豊蔵一

    ○豊蔵政府委員 ただいま手元にちょっと資料がございませんが、御指摘のとおり従来は木造住宅の比率が七割程度を占めておりましたが、最近は戸数の減が一番大きく響いているのは、在来工法の木造住宅関係にあらわれているように思います。したがいまして、五十六年度トータルいたしますと、六〇%台というようなことではなかろうかと思っております。
  303. 川本敏美

    川本分科員 そこで建設大臣、ちょっと私見をお聞きしたいんですが、木材というものは可燃物やと思いますか、不燃物やと思いますか。
  304. 豊蔵一

    ○豊蔵政府委員 木材につきましては、必ずしも可燃物であるとか不燃物であるとかいったような区別はいかがかと思いますが、その木材の材質あるいは大きさ等によっても程度はいろいろ異なろうかと思っております。ただ、一般的に申しますと、他の鉄骨づくりのものと比べまして木材の方がいわば着火点といいますか、その温度が若干低いといったような意味で、一応防火上の問題があるというふうに考えられております。
  305. 川本敏美

    川本分科員 住宅局長のお答えですが、世間の人は木材というたら大体可燃物やと思うておる。それはそうですよ。マッチの軸は木ですから、木材というたら可燃物やと思うている。しかし、太さによっては木材というものは不燃物だと私は思う。  フランスなんかの制度では、二階のはりの材料は鉄骨じゃいけない、木材でしか認めないと言われておる。なぜかといいますと、この間ニュージャパンの火事もありましてたくさんの方が亡くなりましたけれども、大体火がついて十分経過した時点では、鉄のはりだったらもう曲がってしまって危なくて中へ入れないし、消防活動をやれない。木材なら十分たっても強度はさして変わっていない。木材というのは表面、酸素と当たるところは燃えるけれども、しんまでは一遍に燃えないわけですよ。だから、関東大震災のときでも、あの震災の後で東京の町の中で、あるいは新潟の地震もそうですけれども、鉄筋コンクリートの建物は倒れた、鉄骨の建物はひん曲がってあめのようになっておった、木材の建物だけは、柱は皆黒焦げだけれども建っておったというようなことがあるわけです。鉄は温度が上がればしんまであめみたいになってしまうわけです。アルミは八百度を超えれば溶けてなくなってしまうわけです。ガラスも溶けてしまうわけです。だから、そういうことを考えますと、木材というものの建築上の評価を、日本の気候、風土にも合っている以上、もう一度改めて見直さなければいけないのじゃないかと私は思うわけです。  そこで、ちょっと調べてみますと、木材というのは、杉の木で強度も大体五倍くらい鉄よりも強いわけですよ。いわゆる引っ張ったときの力は弱いけれども、押さえつけた圧縮の強さというのはコンクリートの四・五倍、花崗岩の二倍の強さを持っているし、鉄の三倍の強さを持っておる。そういうことですから、この際、木造住宅というものについて制度的にも見直すべきじゃないかと私は思うわけです。たとえて言いますと、住宅金融公庫の融資の場合、木造住宅の償還期限は何年ですか。
  306. 豊蔵一

    ○豊蔵政府委員 木造住宅の場合は、住宅金融公庫の償還期限は現在二十五年ということになっております。
  307. 川本敏美

    川本分科員 来年度百三十万戸建てようということであれば、そのような木材のよい点に着目をして、三十五年ぐらいに思い切って償還年限も延ばすとかいうような形で、木造建築を建てやすくしたらどうかと思う。このごろの九センチ以下のような細い柱材を使うところは別として、私どもの田舎のように昔の四寸角、十二センチ角の柱を使っている木造住宅は、私の方へ行けば八十年、百年という家はざらにありますよね。だから三十五年の償却ということになっても、私は決してそんな無謀なことではないと思うわけです。そういう形で制度的にも、一つは金融対策からも見直してもらう、あるいは建築基準法の面でも、最初に触れましたように、木材は可燃物だという考え方でいろいろ言っておるけれども、鉄やアルミニウムやガラスに比べて木材の方が建築物としては優秀な材料なんだというような立場から、もう少し見直すべきではないかという意見を私は持っておるわけですが、その点建設大臣どうですか。
  308. 豊蔵一

    ○豊蔵政府委員 私からちょっと一言御説明させていただきたいと思います。  御指摘のように、木造住宅というものは、従来からの日本の気候、風土に適した建築工法として広く使われているわけでございまして、私どももこれらの木造住宅振興につきましては常日ごろ意を用いているところでございます。私どもは、最近国民住宅を求めるニーズが多様化し高度化している現状にかんがみますと、今後とも工務店あるいは大工の方々が木造住宅に対しますところの新しいニーズにマッチした建築技術を開発し、習得していただく、次にまたこれらの住宅の供給体制を整えていただく、さらにはその後のアフターサービスもシステム化していくというようなことが必要であろうかと思いまして、これらの点につきまして木造住宅振興モデル事業という表現で呼んでおりますが、過去そのようなモデル事業の実施を各地域においてやってもらっております。これらの成果を踏まえまして全国各地にこのような事業を広げていく、そういうことによって木造住宅ももう一遍見直して利用していただくということを考えております。  また公庫につきましては、実は五十三年に償還期間十八年から二十五年に延ばしたところでございますので、耐用年数等から考えてこれ以上困難だと思いますが、やはり初期負担を軽減するというところから、ステップ償還といいますか、現在初期負担を軽減するための措置が三年間となっておりますが、これを五年に延ばすといったことも考えております。また、躯体は木造でありましても、それに耐火性能のあるいろいろな外壁、内装等を加えることによりまして、金融公庫といたしましても簡易耐火建築物の扱いとする道も五十七年度に開いておりますので、そういったものも活用しながら今後とも木造住宅振興を図ってまいりたいと思っております。
  309. 川本敏美

    川本分科員 それでは大臣の御答弁を後でいただくことにして、きょうは林野庁、おいでいただいてますね。  最近、木材が大変不況ですよね。林業や木材産業が大変不況でどんどん倒産をしておる。その背景については、これは構造的な不況だと言われておるわけですけれども、林野庁としてはどのように考えておるか、まずお聞きしたいと思います。
  310. 三澤毅

    ○三澤説明員 お尋ねの件につきましては、まず木材需要の大宗を占める新設住宅着工量の大幅な減少、これが一つかと思います。それからもう一つは、産地国における丸太輸出の規制措置の強化と製品輸入圧力の高まり等、言ってみればこの二つの需給両面での環境条件の構造的変化が現在進行しておる、このように理解しております。
  311. 川本敏美

    川本分科員 しかし、林業とか木材産業というのはわが国の重要な産業で、いまおっしゃるように住宅建設の落ち込みとか、あるいは外材の輸入の状況が変わってきたとかいうようなことでございますと言って済ましておられるものじゃないと思う。だからやはり私は、この木材産業というものをどのようにして振興するのか、それは一つは先ほど来申し上げた木造建築の住宅の増築、たくさんつくるということをまず政策の第一に掲げなければいけないと思いますが、そのほかにもいろいろ問題点はあろうかと思うわけです。そこで林野庁としては、木材産業再編整備緊急対策事業というのですか、そういうものを来年度からやるとかいうお考えのようですけれども、それは大体どういうことをやろうとしておるのか、それを一つお聞きしておきたい。
  312. 三澤毅

    ○三澤説明員 当面の不況対策、各種行われているわけでございますが、それらとあわせまして、五十七年度におきましては一つは木材産業の過剰設備の廃棄、生産方式の合理化等を促進するよう、木材産業の再編整備緊急対策事業を新たに実施することにしております。この具体的中身につきましては、言ってみれば、利子助成によりまして一つ方向に向かっての産業誘導をしていこうという趣旨でございまして、このことによって産業基盤の健全化を図っていきたい、かように考えております。それからさらに、国産材産業振興資金という制度がございますけれども、この活用によりまして外材から国産材への原料転換を促進するということについても努力しておるところでございまして、これらをあわせまして産業の再編整備を進めてまいりたい、かように考えております。
  313. 川本敏美

    川本分科員 去年一年間で、全国的に見ますと、原木手当てができないということで合板企業が百十三工場倒産しておる。全国で七百ほどある中で百十三ということになると、これは大きな問題ですよね。まして、この外材の輸入が製品輸入に変わってきたということで、港の外材専門の製材工場もいま廃業や倒産にどんどん追い込まれてきておる。そこへ住宅が建たない。この三つに取り囲まれて、いま木材産業日本の林業はまさに危機に瀕しておると思うわけです。  建設大臣、この日本の大きな、古来の産業一つである林業や木材産業、これをつぶしてしまってはならぬと思うわけです。そのためにも、来年度は住宅建設は当初の予定どおり必ず実現してみせますという決意のほどをひとつお聞きしたいのですがね。
  314. 始関伊平

    始関国務大臣 私は千葉県の出身でございますが、川本先生の奈良県ほどではございませんが……(川本分科員「奈良の吉野です」と呼ぶ)吉野、本場ですな。私も千葉県の森林組合連合会の会長をやっておりまして、木材の需要不振、それから製材業は困り、したがって森林経営の上にも非常な悪影響をもたらしておることは十分承知いたしております。  ただいまの木材の効用、強度それから耐久力なんかにおきましてはまさに御指摘のとおりだ、燃えないという点はどうかと思いますけれども、私の生まれた家なんかも百五十年から二百年ぐらい古い家でございまして、耐久力、強度等については申し分ないと思います。私どもは、内需拡大の大きな柱といたしまして百三十万戸建設をぜひやり遂げたい。これにつきましては、御承知のとおりいわゆる住宅の中で住宅金融公庫の融資等、公的資金による部分と、その他の銀行ローン、これは利子を下げてくれというようなことを大蔵省にも頼んでおりますが、そういったものと二つございまして、建設省の直接の力の及ぶのは約半分だということでございますけれども、あらゆる方法を講じまして、ぜひ百三十万戸の建設をやり遂げたいと、ここにおります事務の諸君と一諸に努力をいたしております。  その一つとして、木造住宅の建設を促進したらどうかということでございまして、私も趣旨として同感でございます。ただ、それを政策面でどう生かすかは、ここに有能な局長連中がおりますから考えてもらうことにいたしまして、趣旨として木造住宅中心にやっていけというお考え方に対しましては、私も大変同感であるということを申し上げておきたいと思います。
  315. 川本敏美

    川本分科員 木造住宅というのは非常に高くついて、平均三千五百万とか言われています。だから、住宅金融公庫の融資だけではなかなか二月建て木造住宅というのは建たない。そうすれば、銀行ローンとの併用ということになるだろうと私は思います。一つの方法として、在来工法の木造住宅とかプレハブの木造住宅を建てた場合には、銀行ローンに対する利子補給を何ぼかしてやるというような奨励策も一つの方法じゃないかと思うのですよ。そういうこともぜひひとつ考えて、前向きに検討していただくよう、これは要望しておきたいと思うわけです。  それからもう一つ、ちょっとほかの問題ですけれどもお聞きしたいのは、道路公団おいでいただいていますね。実は奈良県に西名阪道路の香芝町に有名な高架橋があるわけです。なぜ有名かといいますと、現在この高架橋から出ておる超低周波によって、いろいろ家の建具やふすまがびびっと震動したり、眠られないとか、神経衰弱になって健康被害まで出ておるということで、いま裁判ざたになっておる。私はきょうはその裁判ざたの問題超低周波の問題について触れようとは思わないのですが、この香芝の高架橋というのはいつ建設されたのですか。
  316. 持田三郎

    ○持田参考人 多分施行いたしましたのは昭和四十一年からでございまして、竣工いたしましたのが、昭和四十四年の三月に竣工して開通いたしておると思います。
  317. 川本敏美

    川本分科員 上り線が四十四年の三月に竣工して完成をした。その後さらに拡幅されて、現在の下り線は四十七年に完成しておるのじゃないかと思うのですが、間違いありませんか。
  318. 持田三郎

    ○持田参考人 上り線につきましてはいまお話しのように四十四年の三月、それから下り線につきましては四十七年の十二月に供用開始してございます。
  319. 川本敏美

    川本分科員 そこで、この西名阪の香芝高架橋なんですが、いわゆる橋脚の上に鉄のけたがかかっておって、その上に床板といいますのが、床面のコンクリートが一つある。これが下り線と上り線とで大分傷みようが違う、三年違うわけですから。上り線の方はこの間から舗装工事か何かが終わりましたね。あれは最近工事は行いましたか。
  320. 持田三郎

    ○持田参考人 上り線につきましては、五十六年の十二月からただいまお話しの床板補強並びに舗装の修繕を実施いたしまして完成しております。
  321. 川本敏美

    川本分科員 そのときに、上のアスファルトをめくるとコンクリが一緒にめくれて、中の鉄筋が見えている個所がたくさんあったということですが、それは御存じですか。
  322. 持田三郎

    ○持田参考人 従来のアスファルト舗装の表面が大分傷みましたので、この舗装をはがしまして、そして新しく舗装を打ち直そうということで、実際に機械では切削機で切削するわけでございますが、切削機でやりますと非常に騒音が出て、付近の方にまた迷惑をかけるということで、実はショベルではがしたわけでございます。ショベルではがしましたので、施工業者も非常に慎重にやったわけでございますが、厚さ七センチ五ミリのアスファルトの舗装の下にコンクリート舗装がございますが、その舗装面をつめでかいて壊したというようなことは承知しております。
  323. 川本敏美

    川本分科員 いわゆる路面の車の走る方が鉄筋は見えておったようですが、橋の下から上を見ても、それらのコンクリがはげ落ちて中の鉄筋が見えているところが何カ所かあるわけです。これは床板の材質が建設当時から悪かったんじゃないか。そのために、多年の間に震動をして、そして、コンクリが外側にあって中に一センチほど入ったところに鉄筋があるわけですが、その一センチほどのコンクリが外側も中側もはげ落ちておるというようなことになると、これはもう破損がひどいんじゃないか、進んでおるんじゃないか、老朽化しておるんじゃないだろうか、これは早急にかけかえなければいかぬのじゃないかと私は思っておるのですが、その点はどのように考えておられますか。
  324. 持田三郎

    ○持田参考人 先ほどお話しいたしましたように、四十四年三月に開通いたしまして、五十六年まで約十三年間供用開始しておったわけでございまして、当初二車線で上下線を交通開始しておりましたが、四十七年に初めて上り線と下り線が往復分離になりまして交通量も半減したわけでございますが、相当の交通量を橋梁が受けておりまして、一般的にはコンクリートというものは交通量の震動その他によって非常に破壊されやすいわけでございますが、香芝につきましても、当初四十四年から四十七年の間に相当な交通量が通ったということで、そういった交通量による破損というものがたしかあったのではないかと思います。  また材料でございますが、私ども施行する際にはコンクリート標準仕様書というようなことで、たとえば砂利、砂、それからコンクリートの場合には水とセメントの量というものが後ほどの強度に非常に影響いたしますので、そういったものを十分仕様書にのっとって工事をさしたわけでございますので、必ずしも材料が悪いというふうには思っておりません。
  325. 川本敏美

    川本分科員 水とコンクリのまぜぐあいとかおっしゃったけれども、道路公団からも建設省からも行って、その床板をつくっておるときに立ち会って見ておったわけじゃないんだから、ただその仕様書を渡してあるだけだから、その仕様書どおりにつくったという確証は何らないわけです。四十七年にできた下り線の方は、十年たっているけれども全然傷んでいないのですよ。三年間にたくさん通ったから上り線の方が傷んでおるんだとおっしゃるけれども、それだったら、三年たって下り線の方はぴりっともしない、全然破損をしない、上り線の方だけがそのような破損をしておるということになると、これは床板の材質が悪かったと言われても仕方がないんじゃないか。  これはそういうことが原因で、いろいろなことで問題が起こっておるわけですから、その辺は道路公団も率直に認めて、私は思い切ってこのような——これが大きな事故があってからでもかえなければいかぬのですよ。私がきょう指摘しておいて、あなた方がそういうふうに強弁されて、そして三年なり五年の間にもし事故でもあったときには、あなた方は責任をとりますか。裏から見たって鉄筋が見えておるような橋を規格どおりの水とセメントを混合してつくってありますから、仕様書を渡してありましたから間違いおまへんて、そんなあほな話を聞いて引き下がるわけには私はいかぬと思うのです。ひとつその辺、建設大臣、適当な指導をしてくださいよ。これは低周波の問題だけじゃない。通行する車両や国民の生命、財産にも及ぶ問題なんですから、そういう問題についてはいま裁判中だから、こんな問題は少々欠陥があっても裁判が終わるまではがんばっていこうというような、そういう気持ちは私はないと思いますよ。しかし、もしかけらほどでもあって、事故が起こってから気がついたんじゃ大変だから、私は前もっていま指摘をしておるわけです。その辺、建設省として強力な指導をしていただきたいと思うのです。
  326. 渡辺修自

    渡辺(修)政府委員 工事のときにももちろん監督員もおりますので、実際にコンクリートを打つような場合は、後でまた直すことが非常にむずかしいわけでございますから、いろいろ監督はしておると思います。ただ、いろいろそういうことで、年数もたちまして傷んでおる面も確かにあるわけでございましょう。私どもは、公団が適切な対応をしてくれておると思いますし、また、こういった問題につきましては、先生の御指摘のように大事故が起こってからでは遅いわけでございますから、そういう点では公団を今後とも十分指導してまいる所存でございます。
  327. 川本敏美

    川本分科員 終わります。
  328. 後藤田正晴

    後藤田主査 これにて川本君の質疑は終了いたしました。  次に、四ツ谷光子君。
  329. 四ツ谷光子

    ○四ツ谷分科員 昨年の十月に建設省の住宅局が「大都市の木賃対策の推進について」というパンフを出していらしゃいますけれども、その中に、「木賃住宅の建替え推進は第四期住宅建設五箇年計画の重要な課題である」、こうして木賃対策の必要性をこのパンフレットは述べております。住宅の質、住環境の質、経営者、入居者、それぞれの問題点について指摘をし、居住水準の向上とか住環境の改善等のためにこれはどうしても必要な課題である、こういうふうに建設省が述べていらっしゃるわけです。  先ほどお伺いしますと、大臣は、千葉県で大変大きな森林の茂っているところにいらっしゃるとかいうことですので、とても、私がいま申し上げるようなことは御想像は非常にむずかしいのではないかと思うのですけれども、この木賃住宅の建てかえの整備の対象になるであろうと思われます大阪の門真市、寝屋川市、こういうところの実態をまずちょっと大臣にお聞きいただきまして、そして、建設省がいま進められようとしていますこの整備計画が本当に実態に即しているものかどうかということを、ぜひ大臣にお聞き願いたい、このように思うわけでございます。  高度経済成長政策の影響で、大阪では大変人口がふえているところが多いのですけれども、大阪市でたとえば昭和三十五年から十年間に人口が一・四倍になっているのですけれども、門真市では四・一倍、寝屋川市では四・六倍になっておりまして、この両市とも人口密度が大体一ヘクタール当たり四百人を超えるところがあります。それから、住宅戸数につきましては一ヘクタール当たり百戸を超える。大臣に文化住宅と申し上げましても、文化住宅と言えばどういうところか御想像はつきにくいかもわかりませんけれども、木賃の、非常に狭くてそして低質である。そして二階と一階とに分かれている。もちろん、二階と一階が続いているのではなくて、別々の人が住んでいる。こういうふうないわゆる文化住宅というのがこの門真市とか寝屋川市には非常にたくさん建っているわけでございます。  この文化住宅の畳数を言いますと、十・五畳から十二畳、こういうことでございまして、国の決めています最低居住水準は、大体十・五畳から十二畳といいますと一人か二人お住まいになるのが水準らしいのですけれども、この地域では平均して三人から六人住んでいる。非常に町も過密だし、おうちの中も過密、こういうふうな状況です。しかも、乱開発のせいで大変無秩序に町づくりが進んでおりますので、公道の整備が大変おくれております。道の幅が大体四メートルより狭いというところがほとんどです。しかも曲がりくねっていまして、至るところが袋小路です。ここから先、行けるかと思っても、家があって行けない。それから、家があってもう行けないのかと思うと、私が通れるか通れないぐらいの細い道がある。いわゆる迷路になっている。防災上、消防車も入らない、こういう状況になっています。それからもう一つの問題点は、子供の遊び場がほとんどない、こういうふうな状況なんです。  ところが、この過密状況の中で、だんだんと立ち退かれてこのごろは空き家がふえてきているのですけれども、しかし依然としてそこにしっかりと根を張って暮らしていらっしゃる方もたくさんある。なぜかといいますと、駅から近い、非常に暮らしやすい、それからいわゆる気を張って暮らさなくても気楽に暮らせる。しかも、家賃が大体二万円までというのが圧倒的に多いのです。アンケートによりますと、この地域の方は、支払い可能家賃というのは大体二万五千円以内でないと困る、こういうふうな地域なんです。  だから、いま建設省がお進めになろうとしています新しい施策が、こういうふうな実態を本当に踏まえて進むのかどうかというところが一つの大きな問題点だと思うのです。  まず、現状からお聞きをしたいのですけれども、こういう地域でもし大きな災害が起こって火災でも発生をいたしますと、これは恐らくパニック状態になるのではないか、こういうふうに思うのですが、先ほど御説明いたしましたように、この辺の道路の状況は非常に悪い。細い道路の拡幅も重要なんですけれども、特に迷路とか袋小路の解消、こういうものがどうしても必要だというふうに私は考えるわけです。何十メートルというふうな大きな道路もつくらなければならないということもありますけれども、既存の道路をもとにしながら、こういうふうな袋小路とか迷路というふうなものを何とかつないで、いざという場合に災害を防ぐような地域にぜひしていかなければならないのじゃないかというふうに考えますが、このような地域を対象とした避難道路の整備促進、これはどのように進めようとしていらっしゃるのでしょうか。
  330. 加瀬正蔵

    ○加瀬政府委員 大震火災時等におきます都市住民の生命あるいは身体の安全を確保するということは最も大事なことでございますが、それとあわせて、都市の防災性を確保するために、私どもといたしましては、三大都市圏あるいは大規模地震対策特別措置法により指定された地震防災強化地域、こういったところにおきまして避難路の整備を現在計画的あるいは優先的に推進しているところではございます。また、火災時におきましても、御指摘のように消防活動が非常にむずかしいというような密集市街地におきましては、緊急消防対策街路といたしまして、避難路の整備とあわせまして都市計画街路の整備推進している、一応施策としてそういう施策をとっておるわけでございます。
  331. 四ツ谷光子

    ○四ツ谷分科員 制度としてはそういうふうなことをとっているというわけですけれども、私がいま申し上げました門真市とか寝屋川市の非常な過密なところで、本当にパニック状況になったら大変だというふうな緊急性が必要なんですけれども、そういう緊急性にどういうふうに対応していただけるのでしょうか。
  332. 加瀬正蔵

    ○加瀬政府委員 こういった迷路、細街路等の整備というのは、原則として自治体が地域住民の安全を守るために当然お考えいただくことでございまして、私どもといたしましては、そういう自治体の動きには積極的に御協力申し上げておりますし、補助事業として採択しろということであれば大変結構なことでございますので、持ってきていただけば十分前向きに検討させていただきたいと思います。
  333. 四ツ谷光子

    ○四ツ谷分科員 自治体が持っていかれましたら優先的に対応していただける、こういうことでございますね。わかりました。何ともいい御答弁と申し上げていいのか、何となく無責任というのか、何かわからぬような答弁ですね。  もう一つ、先ほど言いましたように、この地域は非常に子供の遊び場が少ないのです。それで、寝屋川の市の職員労働組合が出しました「ねやがわ」というパンフレットがあるのですけれども、その中にも、住宅の立て込みぐあいと遊び場では、危険度の高い近くの道路で遊んでいる幼児は、立て込みぐあいに比例して、住宅が立て込んでいるところほど危険度が高くなっている、特に、大変立て込んでいる地域ではその比率が際立って高くなっていると述べています。それとは逆に、安全な遊び場である近くの公園、広場、校庭で遊んでいる比率は、住宅が立て込んでいるほど少なくなっています。さらに問題なのは、現在問題になっているゲームセンターとかスーパーマーケットで遊んでいる子供が、大変立て込んでいる地域にだけ多く見られるということでございまして、一つは、遊び場がないということで道路で遊ぶ、大変危険だ、幼児の被害が多い。それからもう一つは、スーパーだとかゲームセンターで遊ぶということで、非行が大変ふえている、こういうことなんですけれども、こういうふうな地域でも、子供の発達というのは遊び場ができるまで待っているというわけにはまいりませんので、遊び場、いわゆる子供公園、児童公園、こういうふうなものもぜひ早く整備していただきたい。これは地域住民の切実な要求なんですけれども、その辺の促進についてはどういうふうに対応していただけますか。
  334. 加瀬正蔵

    ○加瀬政府委員 先生御指摘のように、児童公園の整備というのは、市街地における子供たちの安全な遊び場の確保といった大きな役割りを果たすものでございますし、従来から市街地におきます基幹的な都市公園として整備促進してきているところでございます。整備に当たっては、児童公園の整備の立ちおくれている地区を特に優先的に事業採択するという方針でおります。市街化区域の児童公園に対しては、用地費も補助対象としております。ということで、積極的に整備推進を今後とも図っていきたいと考えておるわけでございます。  ちなみに、大阪府、大阪市をあわせました個所数での人口比の整備水準を見ますと、全国で大体八%に対しまして七%、若干低い数字になっておりますので、おっしゃるような施策を今後ぜひ進めたい、かように考えております。
  335. 四ツ谷光子

    ○四ツ谷分科員 それも、先ほどの緊急道路と同じように、地方自治体が持っていかれましたら、優先的にしていただけるのでしょうね。どうですか。
  336. 加瀬正蔵

    ○加瀬政府委員 児童公園につきましては、先ほどの道路事業に比べまして仕事も容易でございます。道路につきましては大変むずかしい点がございますが、そういうむずかしいのは私どもも十分お手伝いをしたいと思いますし、児童公園は比較的仕事もやりやすいと思いますので、どんどんお持ちくだされば、私どもとしてもできる限り、これは進める必要がございますので、配慮させていただきたいと思います。
  337. 四ツ谷光子

    ○四ツ谷分科員 大臣、いま局長から大変前回きなお言葉、お返事でしたけれども、大臣からも、そのようにしていただけるようにお願いしたいのですがいかがでしょう。     〔主査退席、鴨田主査代理着席〕
  338. 始関伊平

    始関国務大臣 ただいま加瀬都市局長からお答え申し上げましたが、木造住宅地帯で大変老朽化しておって、ごちゃごちゃして避難道路もないというような土地が方々にある。大阪にもたくさんあるということでございます。そういう点に着眼いたしまして、今度はそういう地帯の総合整備事業というのを始めまして、予算を取って、それぞれの自治体と相談して事業を具体的に進めるということになっておるわけでございますが、いま問答のありましたような方法をやはり誠意を持って進めるというふうにいたしたいと思っております。
  339. 四ツ谷光子

    ○四ツ谷分科員 では次に、国土庁にちょっとお伺いしたいのですけれども国土庁が、特別災害危険地域における防災計画指針策定調査というものをお始めになるというように聞いておりますが、どういうふうな目的あるいは目標でこのような調査をする必要ができたのか、またその背景は一体何なのかということをお願いしたいと思います。
  340. 金湖恒隆

    金湖説明員 私ども、大都市の防災、各省間の調整あるいは企画というようなことを担当しております。  従来から先生にいろいろお話しいただいているとおり、基本的な、たとえば防災緑地網をどういうふうに配置するか、あるいは首都改造等の中でもやっておりますが、防災基地の問題、避難路の問題等、基本論はございますけれども、これはいわば腰を据えて長期で取り組む話でございます。     〔鴨田主査代理退席、主査着席〕  ところが、一方、御指摘のように門真みたいな典型的な高密度の密集地がございます。あるいは消防活動が困難な地域も幾つかございます。この辺は、長期的なものもさることながら、応急的に何かやることがないだろうかということで、非常にこれはみみっちい話ですけれども、たとえば道路を広げるとなれば大変ですけれども、電柱二、三本を民地に移せば大分消防活動も楽になるのじゃないかとか、そういったようないわば応急、短期的な話を、これはもちろん公共団体で非常に力を入れてやっておられるわけですけれども、私どもがこれらを調べましていろいろお示しするだけでもお役に立つのではなかろうか、こういう知恵もある、こういう知恵もあるということで、応急的なものを来年度から二年にわたっていたそう、こういうことでございます。
  341. 四ツ谷光子

    ○四ツ谷分科員 応急措置ということでいま御説明があったわけですけれども、防災施設などの整備、それから防災活動などソフト面の整備、いずれも大切だと思うのです。しかし、地域整備が進まないことには大災害の温床を取り除くことができませんので、指針を策定するに当たられましては、先ほど申し上げましたように、門真の御事情も国土庁はよく御存じのようでございますけれども、避難道路の整備だとか、消防車、救急車が入れるような道の拡幅についても緊急性をはっきりさせて、促進に役立つような指針をぜひつくっていただきたいと思うのですけれども、いかがでしょうか。
  342. 金湖恒隆

    金湖説明員 御指摘のとおり、急ぐ話でございますので、余り時間をかけずに、二年ないし三年程度でできるだけお役に立つものをお示ししたい、こういうつもりでやっております。
  343. 四ツ谷光子

    ○四ツ谷分科員 それでは、木賃住宅地区総合整備事業についてお聞きしたいと思うのです。  まず初めに、五十七年度の計画内容、それから五十八年度以降の見通しについてどういう計画をお持ちなのか。特に指定地区の数とか建てかえの棟数はどの程度見込んでいらっしゃるのか、それをお聞きしたいと思います。
  344. 豊蔵一

    ○豊蔵政府委員 ただいまお話がありました木造賃貸住宅地区総合整備事業は、三大都市圏の既成市街地あるいは近郊整備地帯におきまして、相当密集しております低質な木造賃貸住宅が、御案内のとおり、住宅そのものといたしましても規模、構造、設備の面で問題がありますし、また、都市防災上の問題からも非常な問題になっておるというところから、公共団体におきまして地区を定めていただいて、その地区につきまして整備計画を策定していただく、この整備計画に従いまして、住宅を持っていらっしゃる方々が除却して建てかえる、できるならば共同で整備していただく、そういったことに対しまして公共団体が助成をする、また個人の方々ではできない場合、なおかつ建物が特に密集して環境上問題があるというところにつきましては、公共団体みずからが買収除却をさせていただく、そしてその上に良質な賃貸住宅等を建てていただく、これに対しまして国が助成をしようとする制度でございます。  初年度は、一応予算といたしましては、実行上約一億六千万円近くの予算を準備させていただいておりまして、十地区程度で整備計画をつくっていただく、そして一部事業に着手していただくというように考えておるところでございます。この制度は何分にも最初のものでございますので、住民の方々あるいはまた住宅の経営者の方々の御認識なり御理解をいただくことが必要でありますし、また、公共団体がその計画を立てるというところから、公共団体のサイドから十分な調査なりあるいは計画づくりを進めていただく必要があろうかと考えております。  五十八年度以降につきましてはまだ具体的な計画なりもくろみは立っておりませんが、五十七年度の進捗状況を見ながら、積極的にこれを伸ばしていきたいというふうに考えております。
  345. 四ツ谷光子

    ○四ツ谷分科員 それでは、ちょっと具体的にお聞きしてみたいのですけれども、指定地区になりますと、門真市の石原町に例をとってみますと、面積が十七ヘクタールありまして、木賃住宅は四千百四十八棟あるのですけれども、一体何棟ぐらい建てかえられるというふうに見込んでいらっしゃるのでしょうか。これは五十七年度で、たとえば門真の石原町でこういうふうなことをしようと思ったら、一体どのぐらいの棟が建てかえられるか。これを想定しないと予算も組めないと思うのですけれども、いかがですか。
  346. 豊蔵一

    ○豊蔵政府委員 いまお話し申し上げましたように、公共団体が木造賃貸住宅のかなり密集しております地域につきまして、地区を定めて整備計画を立てていただくことになっております。先生御指摘の門真市におきますところのそのような地域についての計画につきましては、公共団体も積極的に計画をつくる意欲を示しておりますので、その計画の中で、現在ある建物との関係あるいは公共施設の整備との関係等を見定めながら、具体的にどのくらいの戸数がその中で建てかえられるかということを計画されるものと思いますので、私どもそれを見ながら具体的な助成を考えたいというふうに思っております。
  347. 四ツ谷光子

    ○四ツ谷分科員 そうしますと、地方公共団体から計画を出してきて、そしてその中で実施をしていく。たとえば、いま門真の石原町の例をとりましたけれども、ことしの予算で一億六千万を組んでおられて十地区、これは一体どこから計算を出されましたか。
  348. 豊蔵一

    ○豊蔵政府委員 私どもは、たとえば門真なら門真地区について云々ということでなくて、初年度でございますので、一応十地区程度について計画をつくっていただく、そして、その計画の作成、あるいは次に、熟度の高い地域につきましてはある程度用地の取得の促進であるとか、あるいはまた建てかえのための最初の段階といたしまして、除却であるとか、道路、小公園等の地区の整備であるとか、そういったようなものを一応十地区、このくらいならば当面五十七年度は実施できるだろうというものを積算いたしまして、予算として計上したということでございます。
  349. 四ツ谷光子

    ○四ツ谷分科員 じゃ、もう一度お伺いしますけれども整備事業をお始めになるのですが、初年度は多分これぐらいいけるだろう、五十八年度以降はそれを見てから、こういうことですね。そういたしますと、この総合整備事業というのは、一体何年ぐらいで、三大都市圏の非常に過密状況でぐあいの悪い低質の木賃住宅を建てかえるというふうな——国の計画としてはないわけですね。国は何年ぐらいでやろうというような計画じゃなくて、地方公共団体が計画を出してくる、それに従ってやっていこう、いつまでかかるかわからぬ、こういうことですか。
  350. 豊蔵一

    ○豊蔵政府委員 ただいま申しましたように、私どもといたしましては、三大都市圏の中におきます木造賃貸住宅の共同住宅といいますか、これにつきましては、全国で約三百三十万戸存在しているというふうに見込んでおりますが、そのうち、いま申しましたように、どの地域でどの程度具体的に計画ができ、事業が進められるかは、公共団体とも十分御相談をしていきたいと思いますが、いま直ちに何年間でどのくらいというふうに積算はできないかと思います。しかしながら、御承知のとおり、こういったような住宅の建てかえをして環境をよくするということは非常に重要なことでありますので、なるべく早急に、そして各公共団体及び権利者の方々が積極的にこの事業推進していただくように、われわれも指導してまいりたいと思っております。
  351. 四ツ谷光子

    ○四ツ谷分科員 いまの御答弁を聞いていますと、これはなかなか進みそうにないというのが現状だと思うのですけれども、だから、よけい防災面というのが非常に大事な問題ではないかと思うのです。  建設省がお出しになりました——ちょっと示させていただきます。この図を見ますと、建設省がお書きになったんだから、私が示さぬでもわかると思いますけれども、これを見たら、何かオープンスペースがずいぶんあるみたいな図なんですけれども、実際はこういうふうにはなかなか進まないというふうに思うのです。  ちょっと委員長、済みません、大臣と局長に地図をお見せしたいと思うのですけれども、お願いいたします。
  352. 後藤田正晴

    後藤田主査 どうぞ。
  353. 四ツ谷光子

    ○四ツ谷分科員 これは寝屋川市の萱島という地域です。恐らく今度の整備事業地域に入るはずなんですけれども、そういう地域でございます。そして、いまお示ししました地図で、赤くずっと線を引っ張ってあるのは、消防自動車が入れる道なんです。そして、この地域を受け持っている消防署が二カ所ございます。そういたしますと、この赤い線で囲まれています中というのは消防自動車が入れないような道になっているのですけれども、ちょうど真ん中辺に市立あやめ保育園というのがございますね。この辺が一番よく立て込んでいるようなんですけれども、もしここのところにこの整備計画にのっとりまして高層のマンションでも建設をされたときに、ここには消防自動車が入らぬわけです。こういうふうなことについては、この整備計画は一体どうなるのですか。その点について何か考えていらっしゃるでしょうか。
  354. 豊蔵一

    ○豊蔵政府委員 私どもが考えております総合整備事業の中での公共団体が作成いたします整備計画では、当然のことではございますが、そういったような都市の環境整備とあわせて土地の高度利用といったものを考えるということでございますので、必要な公共施設なりオープンスペースの確保も考えてまいりたいと思っております。そういうような事業に必要な費用につきましては、一般的な都市の整備の中での街路なり公園の事業費とともに、私どもが考えておりますこの事業の中で、関連公共施設の整備のための費用といったものを組み合わせて整備していく必要があろうかと考えております。  お示しのこの地域につきまして、直ちにいまどうこうということを申し上げることはできませんが、大阪府あるいはまた関係の市におきましても、この事業につきましては積極的な取り組みを見せておりまして、早速新年度におきましては調査に入りたいというふうに聞いておりますので、寝屋川の地区につきましても、私どもの予定では、公共団体のするいろいろな調査に基づく整備計画が立てられるものと思っております。
  355. 四ツ谷光子

    ○四ツ谷分科員 そういたしますと、私がいま地図で示しましたような消防自動車も入らないような——現在は、高層ビルがこの中にありませんので、普通の消防車から、何というのでしょう、ずっとつないでいきまして消しているのですよ。ところが、私がなぜこういうことをお聞きしますかといいますと、寝屋川消防組合の専門家が、いま建設省はこういう計画を立てているけれども、もしこんなところにぽっと建ったらとても責任を持って火事は消せない、一体どうしてくれるつもりなんだというふうなことなんです。ですから、いま局長がおっしゃいました、いろいろな整備計画を立てるから、地方公共団体とも相談してということなんですけれども、そうすると、こういうふうなことにはならないように指導をしていくということなんでしょうか、どうですか。
  356. 豊蔵一

    ○豊蔵政府委員 御指摘のとおり、せっかくの環境整備を図ろうということでございますので、具体的な地域につきまして調べないとわかりませんが、消防自動車も入らないようなところへ中高層の住宅を建てるということじゃなくて、環境をよくしながら、しかもそういったところに十分消防活動ができるような、いわば総合的な地域整備を行いながら建てかえを促進していくというつもりでございます。また、そのように指導してまいりたいと思っております。
  357. 四ツ谷光子

    ○四ツ谷分科員 最後に、大臣にお伺いしたいのですけれども、お聞きいただきましたように、新しく建設省がお出しになっています木賃住宅地区の総合整備事業といいますのは、これは大変長いことかかりそうだというのが一つですね。それからもう一つ、私が最初に申し上げましたように、寝屋川とか門真市というのは、現状ここにどうしても住んでいたいんだという方もいらっしゃるわけでございます。道も大変狭くて、災害が起こりますとパニック状況になるのじゃないか、あるいは子供たちの遊び場もない、こういうふうな大変な地域でございますので、これはやはり住環境整備していくというのは大変大事なことだと思うのですけれども、この整備事業をいろいろ聞いておりますと、いろいろと地域の実情に合わないような問題点がたくさんあるような気がするのですけれども、私は、ぜひとも一度大臣に門真か寝屋川のこの地域に来ていただきまして、こんなところだというのを一遍、千葉県の森林のあるようなところの大臣ではちょっとおわかりにならないのではないかと思うのですけれども、大臣にも一度来ていただきまして、本当に実態に即した整備事業で、やはりやるんだったら早い期間にきちんといい計画を立てて、いい住環境ができるように、そういうふうな計画、それから、それができますまで、先ほどお願いをいたしましたような災害のための避難道路だとかあるいは子供たちのための遊び場、そういうふうなものが充実しますように、ぜひ大臣にお願いをしたいと思うのですが、いかがでしょうか。
  358. 始関伊平

    始関国務大臣 いろいろ御心配の点が多いようでございますが、大変な大事業でございますし、また、防災対策等が急ぐという面もあるようでございます。これは建設省だけがやるわけではございませんので、地方自治体とよく相談してやるわけでございますし、また、この地区にお住まいの方々がどういう反応を示すかということも進捗の程度を決める大事な要素でございますが、とにかく大変大事な問題だと思いますので、どこに行くかは別といたしはして、私もそのうち、ひとつ予算でも済みましたらどこか拝見いたしまして十分頭へ入れて、局長連中を督励いたしましてこの事業を進捗さしてまいりたい、そのように存じております。
  359. 後藤田正晴

    後藤田主査 これにて四ツ谷君の質疑は終了いたしました。  以上をもちまして建設省所管についての質疑は終了いたしました。  これにて本分科会の審査はすべて終了いたしました。  この際、一言ごあいさつを申し上げます。  分科員各位の格段の御協力によりまして、本分科会の議事を終了することができましたことを、ここに厚く御礼を申し上げます。  これにて散会いたします。     午後六時三分散会