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金子(満)
分科員 その工期を繰り上げる、それから積極的に時間を短縮してやる、この点はお願いしたいわけですが、御承知のように、この四
年間にこの
地域と言えば、新宿、豊島は災害救助法が四回、文京は去年二回適用を受けておるわけですね。たとえば去年の七月二十二日の場合には約二時間で八十四ミリの雨。そういう中で、とにかく文京、新宿、豊島で床上が千六百七十五軒、床下が三千百七十九軒。商店街などは、米屋さんの米がみんな水浸しになる、スイカが八百屋さんからぼこぼこ浮いて流れていくんですね。そして今度は布団まで水浸しになるとか、野菜なんか本当に
幾らでも流れるような状況になるわけですね。それからいろいろな自動販売機、モーターが下に入っていますね、あれはちょっと持つわけにはいかぬわけです。あれも全部水浸しになって自己負担になる。それからまた、衣料品店なんか商品にもならないし、使いものにならなくなるわけですね。救助法が適用されてももちろん補償してくれるわけじゃありませんし、それから地方自治体でも三万とか五万の見舞い金とかタオル一本では、これはどうしようもないわけですね。
きょうは新宿の区議会の
神田川水害
対策特別委員会の東喜久子委員長、それから文京区の
神田川水害をなくす会の岡和夫会長も見えておりますが、ちょっとお許しを得て、これを
大臣に見てもらいたいのですが、毎回水害にやられるものでいろいろな物を捨てる場所まで決まっているんですね。新しい畳が山のように積まれる、テレビから家財道具、布団から、捨てるところが決まっていて、これを運ぶのも大変だと思いますが、莫大な損害が毎年出るんですね。
この周辺は、一階は大体畳の部屋というのは普通の家はつくらないのです、必ず水が出るのですから。それから、たんすは底上げになっていますね。台をしないと上から出せないように、上を天井までつかえるほど上げなければならない。ですから、家屋の利用率は非常に低いんですね。
それから、この
地域は、新宿も文京もそうですが、印刷、製本の地場産業の密集地帯であり、そして、横に
土地は広がりませんから、結局地下を使うわけですね。地下の部屋は水浸しになる。そして印刷機械もだめになるし、製品、半製品がみんなやられてしまう、こういうような非常にひどい状況になっているんですね。
いま説明がありましたが、下流の
対策、つまり下流の応急
対策で、極端に言えばどんなに堤防を高くしても、上から来る水は流れますけれ
ども、下にある水を吸い込まない、つまりそれが流入することを阻止してしまうわけですね。したがって、これは下水もすべてそうでありますけれ
ども、総合的な治水
計画を立てる以外にない。そういう点では政府は全国の十二河川を総合治水
対策特定河川事業に指定をし、東京では新河岸川がこれに指定されているわけですね。
ところが、
神田川というのは都市進展が激しくて調整池がないということで、結局は河川改修に重点が置かれる、こういう形で、先ほ
ども説明があったわけですが、典型的な都市型水害といいますか、上流の水が一遍に短時間で流れてくる、しかも相当のスピードで来る。したがって浸水がじわじわいくのでなくて、あれよあれよという五分か十分の間が勝負だと言われるぐらい早く浸水してしまう。これが被害を非常に大きくしてきているわけですけれ
ども、そういう中で、いまどうしても必要なことは、上流の方に一時的に水をためておく、つまり、保水機能、遊水機能をどうつくるかというのが火急の問題だと思うのです。一年おくれると一年また水害がひどくなるわけですね。そして、そういう点からいうと、上流で五分、十分、二十分の水をその時間ためておくことができるとすれば、下流の水位は上がらないわけですね。こういう点でぜひ努力をしてもらいたい。
具体的な問題をその点で申し上げたいのですが、これは建設月報の去年の七月号、建設省の広報室が出したものですけれ
ども、当時の事務次官の粟屋さんが、非常にいいことを言っておられるわけです。ちょっとその部分を御紹介しますと、中小河川、特に都市河川について、「特に東京など大都市を例にとりましても周辺がどんどん開発されております。従来は、雨が降りましても田んぼや畑の保水遊水機能がありましたけれ
ども、開発が進んでくるとそれが全部コンクリートで固められますと、降った水が一遍に流れ出してくるというようなことで、都市河川の洪水というものが、東京でもちょっとした雨でも氾濫するという状況でございますので、これに対してどう対応していくかという非常に大きな問題がございます。」そういう中で
一つの例として、「東京に江戸川橋というところがございまして、
神田川が流れておりますけれ
ども、そこは道路の下に暗渠をつくりまして、そこに水を流して洪水の処置を図るということもやっておりますが、今後はまさに都市の改造と関連させながら、河川の整備を進めていかなくてはならないというようなことだろうと思っておるわけでございます。」全く適切だと私は思うのです。
そこで、具体的な問題ですが、
一つは遊水地問題についてなんです。公共用地を遊水地にする、いざ大雨が降ったときにそこでたとえ何分、何十分でも水をためておくというようなことでやらなければならぬ。そのためには、たとえば公園とか学校の校庭とか都営の
住宅とか、こういうところに遊水地をつくるという点がひとつ急がれなければならぬことだと思うのです。去年上流の善福寺の和田堀公園、二カ所に五千五百トンの水を一時遊水できるという
施設をつくったわけですけれ
ども、こういうことは大変有効なので、遊水地
計画についてどのような促進案を持っているか、一言お聞かせ願いたいと思うのです。