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1982-02-27 第96回国会 衆議院 予算委員会第五分科会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十七年二月二十七日(土曜日)     午前九時三十分開議  出席分科員    主 査 後藤田正晴君       江藤 隆美君    鴨田利太郎君       澁谷 直藏君    渡辺 栄一君       井上 普方君    上田  哲君       土井たか子君    中村  茂君       平林  剛君    広瀬 秀吉君       水田  稔君    武藤 山治君       山田 耻目君    草野  威君       竹内 勝彦君    薮仲 義彦君       安藤  巖君    金子 満広君       栗田  翠君    榊  利夫君       瀬長亀次郎君    渡辺  貢君    兼務 沢田  広君 兼務 長田 武士君    兼務 斎藤  実君 兼務 吉浦 忠治君    兼務 神田  厚君 兼務 浦井  洋君  出席国務大臣         運 輸 大 臣 小坂徳三郎君         建 設 大 臣 始関 伊平君  出席政府委員         運輸大臣官房長 角田 達郎君         運輸大臣官房会         計課長     大塚 秀夫君         運輸省鉄道監督         局長      杉浦 喬也君         運輸省鉄道監督         局国有鉄道部長 永光 洋一君         運輸省自動車局         長       飯島  篤君         運輸省航空局長 松井 和治君         建設大臣官房長 丸山 良仁君         建設大臣官房会         計課長     梶原  拓君         建設省都市局長 加瀬 正蔵君         建設省河川局長 川本 正知君         建設省道路局長 渡辺 修自君         建設省住宅局長 豊蔵  一君  分科員外出席者         行政管理庁行政         監察局監察官  塚原 喜朗君         防衛施設庁施設         部連絡調整官  田中  滋君         環境庁企画調整         局環境影響審査         課長      森下 忠幸君         環境庁自然保護         局鳥獣保護課長 山口  昭君         国土庁大都市圏         整備局計画課長 安達 五郎君         国土庁地方振興         局離島振興課長 児玉 義幸君         国土庁地方振興         局特別地域振興         課長      清野 圭造君         大蔵省主税局税         制第二課長   新藤 恒男君         農林水産省構造         改善局農政部管         理課長     合馬  敬君         水産庁振興部沿         岸課長     鳥居 秀一君         運輸省航空局技         術部長     長澤  修君         運輸省航空局管         制保安部長   武田  昭君         労働省労働基準         局監督課長   岡部 晃三君         建設省道路局高         速国道課長   鈴木 道雄君         消防庁地域防災         課長      長谷川寿夫君         日本国有鉄道総         裁       高木 文雄君         日本国有鉄道常         務理事     吉井  浩君         日本国有鉄道常         務理事     半谷 哲夫君         日本国有鉄道常         務理事     橋元 雅司君         日本国有鉄道常         務理事     坪内 亮嗣君         日本国有鉄道常         務理事     竹内 哲夫君         参  考  人         (首都高速道路         公団理事)   宇都宮 寛君         参  考  人         (本州四国連絡         橋公団理事)  山根  孟君         参  考  人         (住宅都市整         備公団理事)  救仁郷 斉君     ————————————— 分科員の異動 二月二十七日  辞任         補欠選任   武藤 山治君     井上 普方君   山田 耻目君     上田  哲君   草野  威君     薮仲 義彦君   金子 満広君     安藤  巖君 同日  辞任         補欠選任   井上 普方君     土井たか子君   上田  哲君     水田  稔君   薮仲 義彦君     竹内 勝彦君   安藤  巖君     瀬長亀次郎君 同日  辞任         補欠選任   土井たか子君     中村  茂君   水田  稔君     広瀬 秀吉君   竹内 勝彦君     草野  威君   瀬長亀次郎君     渡辺  貢君 同日  辞任         補欠選任   中村  茂君     武藤 山治君   広瀬 秀吉君     平林  剛君   渡辺  貢君     金子 満広君 同日  辞任         補欠選任   平林  剛君     山田 耻目君   金子 満広君     栗田  翠君 同日  辞任         補欠選任   栗田  翠君     榊  利夫君 同日  辞任         補欠選任   榊  利夫君     金子 満広君 同日  第三分科員斎藤実君、吉浦忠治君、第四分科員  沢田広君、長田武士君、神田厚君及び浦井洋君  が本分科兼務となった。     ————————————— 本日の会議に付した案件  昭和五十七年度一般会計予算  昭和五十七年度特別会計予算  昭和五十七年度政府関係機関予算運輸省及び  建設省所管)      ————◇—————
  2. 後藤田正晴

    ○後藤田主査 これより予算委員会第五分科会を開会いたします。  昭和五十七年度一般会計予算昭和五十七年度特別会計予算及び昭和五十七年度政府関係機関予算運輸省所管について、昨日に引き続き質疑を行います。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。井上普方君。
  3. 井上普方

    井上(普)分科員 私は、国鉄赤字ローカル線合理化廃止の問題について、わからぬところが余りにも多いので、ひとつお伺いいたしたい。  まず、収入あるいは営業成績というのがいろいろと発表されておる。それを見ますと、たとえて言いますと、私の方のくにの小松島線の場合だが、収入は一年間で二千二百万円しかないということになっているのですが、これはどういう内容なんですか。ひとつお示し願いたいのです。
  4. 竹内哲夫

    竹内説明員 二千二百万円の内訳は、旅客が千二百万円、貨物その他で一千万円、合計二千二百万円でございます。
  5. 井上普方

    井上(普)分科員 私が聞いているのはそうじゃないのです。実は小松島線というのは一つの駅しかない。小松島港駅と小松島本駅とあって、この間二百メートルも離れていない。そこで、ここの売り上げというのは、一つの駅の売上げを見てみると、年間六千九百万ある。ところが収入は二千二百万しかない。これは一体どういうわけなんですか。
  6. 竹内哲夫

    竹内説明員 いま先生のおっしゃいましたのは、取り扱い収入のことでございます。この線区別原価計算におきましては、取り扱い収入のうち小松島線に乗車したキロ程だけを分割いたしまして小松島線配賦をしているということでございます。
  7. 井上普方

    井上(普)分科員 そうすると、小松島の駅から上がった金は六千九百万ある。そのうちで小松島から中田の間わずか四キロだから、ここだけの間のキロなんですね、金額を掛けた、こうおっしゃるのですか。そう理解してよろしいか。何かむずかしい専門用語を使われると私らにはわからぬのだが、そう考えていいですな。
  8. 竹内哲夫

    竹内説明員 そのとおりでございます。
  9. 井上普方

    井上(普)分科員 そこで私はお伺いしたいのだが、そこで二千二百万円しか上がらない。収支係数が一五七二。これだけ収支係数赤字になるのはあたりまえの話じゃないですか。といいますのは、これは大臣総裁も聞いていただきたい。  この小松島の駅から徳島本線というのが昔は出ておった。ところがいつの間にか、昭和三十六年、だれもわれわれの知らぬうちに徳島本線というのは小松島だけ外して小松島線というのが突如として出現した。小松島始発なんです。始発から今度小松島線というのを通って徳島本線に乗りかえる。牟岐線も乗りかえて今度は行きよる。あなたの方が勝手に決められたのですな。  そこでお尋ねするのだが、昭和三十六年以前のままの形態、すなわち徳島本線として小松島線を考えた場合は、一体収支係数幾らになるか、あるいは収入幾らになるか。この点お伺いしたいのです。
  10. 竹内哲夫

    竹内説明員 ちょっとそういう計算は私ども持ってございませんので、お答えいたしかねるわけでございます。
  11. 井上普方

    井上(普)分科員 それが計算できておらずに廃止するとは、一体どういうことですか。廃止すると言ってあなたの方が計画を立てているということはどういうことですか。住民にとってみれば、長年にわたって小松島からあの線は徳島本線だと考えておった。ところがこれがなくなって、おたくの方の御都合で三十六年に小松島線という線が突如として出てきた。そうして、その前のとおりであったならばこの線は一体どのくらい赤字が出るのだろうか、収入はどのくらい出ておるのだろうかというのは、住民として、またわれわれ国民の代表としては当然の疑問ではありませんか。これの計算ができていないのですか。そんなずさんな経営国鉄はやっているのですか。どうなんですか。
  12. 竹内哲夫

    竹内説明員 先生がおっしゃいますように、三十六年に中田からは小松島線ということになったわけでございますが、実際の輸送の流れといたしましては、現在の牟岐線を御利用になっておるお客様が約八〇%ございまして、小松島線の方は約二〇%ぐらいの割合であるという輸送実態からいたしましても、その方がいいのではないかということで、恐らく当時そういうことになったのではなかろうかと思っております。
  13. 井上普方

    井上(普)分科員 ここではそうではないかというような答弁では困る。住民にとってはこれは死活の問題なんです。また市にとっては、市の消長にかかわる問題なんです。ではないかと思うというような答弁をせられたら困る。三十六年には一体どういう理由で小松島線というのを突如としてつくったか、そこのところをお伺いしたい。
  14. 竹内哲夫

    竹内説明員 突如として小松島線というのができたわけではございませんで、徳島まで徳島本線であったのが、中田小松島間が小松島線になったということでございます。今回小松島線という名称対象といたしましたのは、明治四十二年以来国鉄線路名称というのがございます。これが一つの客観的なよりどころというものではなかろうかということと、現在におきます線路名称というものを使用するということが最も公平かつ客観的に妥当なものであろう、他のものによるよりはこれによるのが妥当であろうということで、日本国有鉄道経営再建促進特別措置法におきましても、この地方交通線対策営業線ごとに進めるということになっておるわけでございます。私どもはそれに基づきましてこの区間線路名称を使わせていただいておるわけでございます。
  15. 井上普方

    井上(普)分科員 法律はどうあれ、ともかく住民にとっては、あそこがにわかに小松島線という名称が出てきたのだけれども実態は前と同じだ、実態小松島から出て中田を通り、徳島を通り、さらに池田へ行く、これが徳島本線だ、これが実態なんだ。実態は全然動いていないけれども名称だけは小松島線といって一つ区間始発から次の駅まで、これだけできた。そうして、その始発から次の駅までの区間の四キロ、それだけの金額計算すれば、これは二千二百万円になるのはあたりまえの話、大赤字になるのはあたりまえの話じゃありませんか。実態は前と同じことになる。実態小松島駅を始発とし、小松島線通り牟岐線を通りあちらへ行っているんだ。徳島本線を通っている。実態は変わっていない、名前だけ変わっている。中田小松島の間だけ名前だけ新しいのをつくってきた。それで計算するならば、小松島中田の間、わずか四キロの間だから赤字になるのはあたりまえの話。それをもって一五七二という収支係数を出している。間違っているのじゃないですか。これは徳島本線一緒にして考える、あるいはまた牟岐線と前のとおりで計算するならば恐らく三〇〇か四〇〇の収支係数であるはずなんです。どうです、そこらのところ、前の計算やっていないというけれども、概算、二けたくらいの間違いは構わぬと私は思うから、言ってごらんなさいよ。
  16. 竹内哲夫

    竹内説明員 そういう数字は国鉄にもないわけでございますけれども徳島本線営業係数を見てみますと約二五〇くらいというところでございます。
  17. 井上普方

    井上(普)分科員 二五〇になる。二五〇になったら、あなた、実態からいうと廃止計画線の中に入らない。これはどうなんです。  総裁、お聞きのとおりだ。実態はそのまま通っているのですよ。名前だけ三十六年に小松島中田の間を小松島線とした。いま、始発小松島から出てずっと行っている。そしてそのわずか四キロ区間収入が、先ほども申しましたように一つの駅の売り上げが六千九百万ある。ところが資料によると、おたくの方は二千二百万しかないという。それで聞いてみたら、その四キロの間の乗車人数に四キロの間の運賃を掛けたのがこれだという。こんな不合理な話がありますか、どうです。
  18. 高木文雄

    高木説明員 一昨年、いまの再建促進法を国会で御審議いただきましたときに、幾つか決め方がむずかしいじゃないかという問題がございまして、その幾つかの問題の中で最も問題になりましたことがいま御指摘の問題でございます。私どもの方の線路は全部こうつながっておるわけでございますので、ある区間を切ってそこで何人お乗りいただいているかという計算をどうやって出すかということがいろいろあるわけでございます。  たとえばこの付近で申しましても、一般的には横須賀線と言えば久里浜なり横須賀なりから逗子、鎌倉を通って大船を通って東京まで来るのが横須賀線だという概念が常識的な概念でございますけれども、先ほどの線路名称区分等では大船までのところで切れておるわけでございまして、こちらは東海道本線として扱うというようなことになっております。  そこで、あの法律段階でどういうふうにして単位をとるべきかということを、相当慎重審議で長い時間御審議をいただきました中でも、この問題は非常に論議されたわけでございます。いい悪いは別として、私どもの方としては線路名称区分別に毎年決算上の成績を、参考までにかなり古くから算定をいたしております関係から、いまこの段階で違う区分方法をとるということは適当ではないのではないか。全国的に大変問題があるわけでございまして、またこれを別の基準にとりますと別の線区がいわば対象として浮かび上がってくるというような問題がありまして、相当御議論の上で、われわれも問題があるということをかなり意識しながら御審議をいただいて、それでこれ以外にないかなというところに落ちついたわけでございます。御疑問が出ますのはごもっともであると存じますけれども、ほかにどうもいい方法がないということなのでございます。
  19. 井上普方

    井上(普)分科員 総裁、大体これはずっと徳島本線と称して、明治年間から小松島から池田まで行っていた。実態はいまでも何ら変わらないのですよ。ここの駅が一体どういうふうに出ておるかというと、小松島始発でほとんど、十二、三本のうちで徳島まで行くのが五本、そして池田へ行くのが八本、こういう実態なんです。実際は徳島本線と何ら変わらない。これが小松島から牟岐に行く汽車があるというんだったら話は別だ。ないのですよ。高松へ行く汽車があるかと言えば、旅客列車についてはない。だから、これは実態とすれば、あなたの方が勝手にと私ら言うんだ、小松島線というのを中田小松島の間につくっただけの話なんです。名称区分というのはもともと徳島本線だった。それをいつの間にか小松島線というのをつくった。そして、ここだけの、一つの駅の区間だけは二千二百万円しか上がらないという。小松島の駅が売っておるのは六千九百万円。どうしたんだ、これだけ差があるのはと聞いてみたら、中田小松島一つの駅の区間だけの計算しか出ていない。それじゃ赤字になるのはあたりまえ。ことに始発なんです。これをもって再建法にかけるというのは不合理至極。こんなことはわかっているんだろうと思って私はほうってあったけれども、質問もしなかったけれども、何と、聞いてみれば余りにもひどいので、きょうお伺いしているのです。  それじゃ、この小松島線廃止するという御方針らしいが、その上に問題になるのは、ここには操車場があるあるいはまた車両基地がある、これを残すのですか、残さないのですか。どうなんですか。
  20. 竹内哲夫

    竹内説明員 今後この小松島線バス輸送等転換する場合には、連絡協議会を設置することにいたしております。その中で、そういう問題も含めて当然に議論になるだろう、もしこれをバス輸送転換するとなった場合には、この問題については当然先生のおっしゃるような方向を考えなければならないであろうというふうに私どもは考えております。
  21. 井上普方

    井上(普)分科員 これも決まってないのですか。バス輸送にしたらあれだけ大きい操車場及び車両基地、そんなものは必要ない。これをつぶしたならば、また操車場ないし車両基地というのを新しくつくらなければならないでしょう。高松満杯徳島駅の車両基地あるいは操車場、これまた満杯。新しくつくらなければならない、こういうことですね。そうすると、もしそのまま置くとするならば、小松島から徳島までの間あるいは中田間客車は空で走らなければならぬということになる。ここらあたり、どうするのです。それもこれから協議会で相談するのですか。
  22. 竹内哲夫

    竹内説明員 バス輸送転換するということになれば、空の車を走らせるというようなことはあり得ないと思います。
  23. 井上普方

    井上(普)分科員 空の車を走らせないということは、操車場をなくするあるいは基地をなくするということですか。そうしたら、どこへその基地なり操車場をつくるおつもりなんです。
  24. 竹内哲夫

    竹内説明員 当然に私どもそういうことを考えなければならないかと思っております。  ただ、いま申しましたバス輸送等転換という場合に第三セクターという方向をとるということも、そういう結論が協議会で出るということもあり得るかと思います。その場合の処置につきましては、また別途考えなければならないと思っております。
  25. 井上普方

    井上(普)分科員 何を言っているのかわけがわからぬじゃないですか。いいですか、おたく廃止すると言っているんだ。それじゃ基地はどうするんだ、あるいはまた操車場をどうするんだ。これをなくしたならば、新しくつくらなければならないことは、土地を買ってそうして基地をつくらなければならないのはあたりまえの話。もうほかのところは全部満杯ですから。新しく買わなければならない。それでは小松島操車場は何をするのだ。ともかく四キロを走らすところのバスのなににするにはもったいない話だ。当然あそこから空の汽車が、中田小松島の間は走らなければならない、こう考えるのはあたりまえの話です。四キロの間をバス何台、まさか三百台も四百台も走らすわけじゃないでしょう。そうしてくるというと、ここの間は空、しかも操車場がないのですから新しくつくらなければならない。それには都市計画法もかからなければならない。なかなか土地も手に入らぬのはあたりまえの話。あと四、五年先の話。こんなことで、こんな計画をあなた方はやっているんですか。だれが見たって不合理きわまりない。  しかも、今度は人員だ。一体これでどれくらい、あなたの方は、この間も聞いたところが、何やらごちゃごちゃと私のところに報告が来た。三億三千万円、ともかくこれは経費が要るのだ、こうおっしゃる。三億三千万円、そのうちの人員はどうなんだというと、駅には二十七人、そして二十五人ですか、これを減らすんだ、こうおっしゃる。そして機関区の方に七十一人、貨客車区には二十九人おる。百二十七人、これはどこへ持っていくんです。どうなるのか。これらの話も一向にない。車両基地がなくなったらどこかほかへ持っていかなければならない。この二十七人の内訳は、一体どんな人々だと言えば、この人たちは大半は車両を切りかえる要員である。車両基地操車場とが一緒にくっついているのですからね。これで三億三千万円も——二十五人の人員整理が、実際問題としては配置転換をすることによってのみこういうことが言える。実際は車を動かすのですから。新しく基地をつくらぬ限りは、ここから出ていくのだから。人間は残るんですよ。基地も残るんですよ。それで二十七人の内訳は一体何だと聞いてみますと、何とこれは運転士が八人、保守が三人、全部機関車の方に要る金、車の金だ。駅員じゃない。駅員というのはこれは五人ですか、保守が三人、八人なんです。三億三千万円、何でこれで経費節減できるんです。全部これはいずれにしても要る人たちばかりじゃないですか。小松島の駅を廃止をすることによって減るのは八人か九人ぐらい。どうなんです。
  26. 竹内哲夫

    竹内説明員 小松島線の維持のために現在充当されております人員は、駅あるいは施設運転等を含めまして四十三人程度であるというふうに考えております。
  27. 井上普方

    井上(普)分科員 おい、おい、それはただごとでないぞ。わずか四キロの間に四十三人も人間を使っているのか。しかも売り上げ年間六千九百万。そこに四十三人もかけておるのですか。そんな計算でやっているのですか。それは赤字になるのはあたりまえの話だ。総裁、四十三人というのは始発の駅として必要な人員を含んでいるのではないですか。始発の駅として必要な人間は、小松島線廃止したってやはり要る人員なんだ。こんな不合理な合理化というのは、合理化という名前の不合理化だよ。どうなんです。
  28. 高木文雄

    高木説明員 それがいまの地方交通線問題の姿をあらわしておるわけでございます。現在、営業運転、管理等含めましていまの基地人数とか何かは別にいたしまして、直接その短い区間の仕事のために四十三人の人が配属されておる。それで四十三人というと、一人当たり五百万円と考えまして大体その人件費だけで二億ぐらいかかるわけでございます。そこで地方交通線の問題というのは、そういう線区、何も小松島線に限りませんで各線区を共通にいたしまして、お客様の少ない線区については人を減らしましても、なかなか四十三人は現在で適正なものかどうか、さらに減らし得るのではないかという問題はございますけれども、一方において収入が二千万円強という場合には、いろいろ切り詰めましてもそこまでは人は減らせないということがございます。そこで一日一キロ当たり輸送人員が二千人未満のところについては、これはどうもやはりバスに切りかえさせていただいた方がいい、それ以外にどうも方法がないということで、もともとこの地方交通線バス化という問題を取り上げさせていただくようになったわけでございます。  人を減らすなり何なりすることによって何とかもう少し収支を償うようにすることが可能な地域は、今後も維持してまいります、しかしどうも二千人以下のところはそうはまいりませんというのがこの考え方のスタートでございますので、この場合についてもやはりバスに切りかえさせていただいた方が、より効率的というか、赤字を減らすための対策としてはそれ以外にないのではないかという考え方をとっているわけでございます。
  29. 井上普方

    井上(普)分科員 それで何で赤字が減るのです。いま小松島の線に乗っておるのはずっと続いて行っておる人たちばかりですよ。この二千二百万というのは大きな間違いだということはわかったでしょう。先ほど来言っていますように、実態としては徳島本線なんですよ、明治以来。いまの車の動かし方もそのとおりだ、名前だけが小松島線というので、中田小松島に新しくつくったわけだ。そこが赤字が出るからといってこれを切っていくというのは、もう紙の上の計算ばかり。実態をもう少しお調べにならなければ——高木さんという方はもっと合理的な頭脳の持ち主だと思っておったが、あなたも長年の官僚のあれでこちこち頭になったのかもしらん。こんなことが、私が話しするのがおわかりにならないのであれば、私の話し方が悪いのだけれども、いやしくも国鉄総裁赤字路線を廃止しようというなら、実態をもう少し御勉強になってしかるべきだと私は思う。ただ小松島線という名前だけにとらわれて、ここが赤字になっておるから切りましょう、こうおっしゃっているにすぎない。実態は違うんだ。それは横須賀線や何かと話は違いますよ。これは例が違う。そして先ほども申しますように、駅には附属物として、始発の駅でございますので、これは当然操車場もあるし基地もある。その小松島線基地というものは徳島線に全部使っている。徳島線には基地というのはこれだけしかないのですよ。操車場というのはここしかないのですよ。そして今度はそこをバス輸送にしたならば、どこから車が出ていくのです。小松島からやはり出ていかなければならない。それでなければ、新しい基地土地を買いまして新設しなければならぬということになる。こんな不合理な話がありますか。  もう時間が来たようだからこの程度にするが、いずれ改めて高木総裁に対しまして、実態とこの不合理性についてお話しする機会を持ちたいことを最後に付言いたしまして、私の質問を終わります。
  30. 後藤田正晴

    ○後藤田主査 これにて井上君の質疑は終了いたしました。  次に、上田哲君。
  31. 上田哲

    上田(哲)分科員 いま行革の目玉となりました車検の延長問題についてお伺いをいたします。  去る一月二十八日に運輸技術審議会が日程を早めて答申をいたしました。  まず基本的に大臣から伺っておきたいのですが、政府としてはこの答申を正確に受けとめて速やかに法令改定作業を行う。今国会の成立を期して鋭意準備中であるというふうに理解してよろしゅうございますか。
  32. 小坂徳三郎

    ○小坂国務大臣 おっしゃるとおりの方向で進んでおります。
  33. 上田哲

    上田(哲)分科員 念を押しますが、この答申を一〇〇%受けとめた法令化、道路運送車両法の改正その他の政令事項であるということでよろしいですか。
  34. 飯島篤

    ○飯島政府委員 答申に盛られております具体的なそれぞれの事項について、技術的、専門的、これは法制面でございますが、詰めた上で必要なものは法律改正に盛り込みますし、政令あるいは省令の改正で対応するものもございます。また、行政指導で対応するものもある。また、財政措置で対応するものもあるかというふうに思われます。
  35. 上田哲

    上田(哲)分科員 そんなことばわかっているので、私が伺っているのは、答申の内容を一〇〇%正確に受けとめて改定作業を進めているかということです。
  36. 飯島篤

    ○飯島政府委員 尊重していま作業をいたしております。
  37. 上田哲

    上田(哲)分科員 行革の目玉でありますから、具体的に伺っておきますが、行財政改革として、まず行政側ではどのような効果が期待されるのですか。
  38. 飯島篤

    ○飯島政府委員 自家用乗用車、軽乗用車を含めまして、新車初回の検査有効期間を一年延長することといたしました場合に、今後の行政に対する影響でございますが、第一に、自動車の増加傾向は依然として続くと思われますので、検査業務量の伸びが予想される。第二に、国の検査要員は車検場の施設、検査コースごとに配置されているため、一定数の要員は業務量が減少いたしましてもどうしても必要である。それから、車検期間の延長によりまして検査業務量が当分の間波動いたします。検査業務量の多い年に合わせました施設、要員を確保する必要があるということでありますので、短期的にはその効果は顕著にはあらわれるものではないと推定いたしております。ただ、長期的に見ますと、現行制度を前提とした場合に比べまして、検査要員の増加は年とともにその抑制効果があらわれてくるものと考えております。
  39. 上田哲

    上田(哲)分科員 ユーザーはどれくらい得をしますか。
  40. 飯島篤

    ○飯島政府委員 国民負担の軽減の程度でございますが、まず、新車初回の自家用乗用車の検査有効期間の延長が第一でございます。その次に、自家用乗用車の新車初回の六カ月点検の廃止、それから定期点検項目の簡素化、それから定期交換部品の交換時期の延長というようなものが、ユーザー側に好影響を与える要因かと思われます。  この影響について考えます場合に、いろいろな仮定を置いて考えざるを得ないわけですが、料金がどうなるのか、それから車の増加がどうなるのかというようなこと等はございますが、一応マクロで見まして、制度改正の実施から二年後に一番効果があらわれてくるわけでございまして、その時点でユーザーが現行制度であれば払うであろう額から比べまして七・一%くらい軽減されるのではないか。制度改正後五年間で四・四%程度、八千五百億円程度が軽減されるのではないかというふうに考えております。
  41. 上田哲

    上田(哲)分科員 端的に答えていただきたい。モデルパターンをつくっているはずですから、ユーザーが一体具体的に幾ら得をするか、そういうわかりやすい数字を出してください。
  42. 飯島篤

    ○飯島政府委員 ただいま申し上げましたのはマクロの数字でございますが、ユーザー個々の方から見た場合に、一つの仮定を置きまして、通常二車検の前に車を買いかえするケースが多うございます。ということで、四年十カ月、二回目といいますと、今回は今度の制度改正がもし行われれば五年になるわけでございますが、四年十カ月程度使用した場合、現行制度の場合に二十一万四千円くらい負担をすることになるだろう。制度改正が行われますと十三万二千円くらいで済むのではないか。ただし、との前提といたしましては、新車初回の六カ月定期点検整備料金はゼロ、以後の六カ月の定期点検整備料金を一応五〇%減として試算をいたしました。
  43. 上田哲

    上田(哲)分科員 特に私が伺いたいのは、整備工場が今日この制度であれば年間三兆八千億程度の需要と見込まれておるはずですが、これがどのように影響を受けることになりますか。端的に答えてください。
  44. 飯島篤

    ○飯島政府委員 これは国民負担の軽減とうらはらでございますので、先ほど申し上げましたように、最大影響時、制度改正の実施から二年後でございますが、二千七百億円程度、総売り上げに対しまして七・一%、制度改正後五年間の累計で四・四%、八千五百億円程度でございます。ただ、現在の時点に対する影響はまた別の見方に相なるわけでございます。
  45. 上田哲

    上田(哲)分科員 大臣、この整備業者というのは全国に七万八千あるわけですね。今回の改正によって、いまお話しのように七二%、二千七百億円程度の減収になる。七万八千人の内訳というのが、五人以下の工場が実に七八%だ。きわめて零細なわけですね。  ここで一つ、モータリゼーションの進化に伴って、今回の答申の趣旨、これ自体はこの議論から外しますけれども、いま御答弁のように、非常に具体的な影響といいますか被害が出てくる、ここに救済というか行政上の配慮がなされなければならないわけでありまして、この答申の中にも国の配慮ということが出ているわけです。私は、去る十月二十二日に前の塩川運輸大臣に決算委員会でこのことを質疑いたしまして、前大臣からも十分な国の配慮をともに行うという答弁を得ているわけでありますが、お考えを伺いたいと思います。
  46. 小坂徳三郎

    ○小坂国務大臣 御指摘のように、零細な整備業界は大きな打撃を受けるとわれわれも予測しておりまして、したがって、今度の臨調の答申に対して、われわれもこれを実施するということをするわけでありますが、一面において、やはり零細企業対策をきめ細かく、そしてまた大きな不安を与えないように、いろいろいま関係各省とも連絡をとりながら考えておるところでございます。運輸省といたしましては、整備業界が打撃を受けることを見て見ないふりをするつもりは全くございません。
  47. 上田哲

    上田(哲)分科員 その配慮の一つが、十分な準備期間を置くべきであるということがこの中にも触れられておりまして、実施は五十八年四月である。一年余りかけてじっくりやろうではないかということ、これも一つの手当てだと思いますが、先ほどの七・一%の減収と見合って、当局の見方としては転廃業がどのように出てくるであろうかというおおよその見通しはいかがですか。
  48. 飯島篤

    ○飯島政府委員 先ほど申し上げたのは、現行制度のままで、かつ車が伸びていくという前提を置いて、その時点において得べかりし総売り上げに対する影響を申し上げたわけでございますが、現在の時点での売り上げとの対比で考えますと、先ほど申し上げたような数字にはならないというふうに考えられます。  先生御指摘のように、一つの激変緩和の意味もあって、実施時期を来年四月を目途といたしております。その間にいろいろな対応があるかと思いますが、具体的に転廃業がどの地区でどのくらいということば、いまの時点ではうきりした数字を申し上げる準備はできておりません。
  49. 上田哲

    上田(哲)分科員 いまの時点で十分な準備ができなければ、三月になって法改正を出すということにはならないじゃないですか。だから、コンマ幾らの細かい数字を出せとは言いませんけれども、きわめて端的に言って七二%、二千七百億円の減収ということになれば、中小零細、五人以下が八割近い業界で、転廃業などということがなしにおさまるのかおさまらないかぐらいの見通しは持たなければならないでしょう。いかがですか。
  50. 飯島篤

    ○飯島政府委員 具体的に影響があらわれてきますのは、五十八年四月からの新車に対して適用するということになりますと、その二年後ということになるわけでございます。したがって、制度改正の実施一年目は一%台で影響が済むと思われます。三年目に現在の時点での売り上げに対して四、五%ということになりますれば、それで即転廃業が行われるかどうかということについて、業界側からも余りそこまでの話は目下出ていないというふうに承知しております。
  51. 上田哲

    上田(哲)分科員 つまり、転廃業はないだろうという前提でやるわけですか。
  52. 飯島篤

    ○飯島政府委員 近代化のための構造改善事業の中にも転廃業の要素を織り込んでおりますし、私ども決してそういうつもりで申し上げたわけではございませんで、中小企業者に対する既存の助成措置といたしまして中小企業事業転換対策臨時措置法というものがございますが、この適用について関係省庁との詰めを一応終わっておりまして、これを活用する準備を行っているところでございます。
  53. 上田哲

    上田(哲)分科員 転廃業があるということを前提にしているわけですね、くどいようですが。
  54. 飯島篤

    ○飯島政府委員 あり得るということで準備をいたしておるわけでございます。
  55. 上田哲

    上田(哲)分科員 もう一つ畳み込みますけれども、それはどの程度だという数字的把握には至ってないのですか。ある程度の見通しを持つのですか。
  56. 飯島篤

    ○飯島政府委員 先ほどから申し上げている影響はマクロの影響でございますので、地域別、取扱車種別、業態別に、もっと詳しく実態を把握し、業界の御要望をお聞きいたしませんと、はっきりした数字を申し上げるまで詰め切れない。ただ、あり得るということで、いま申し上げたような対策を準備しているということでございます。
  57. 上田哲

    上田(哲)分科員 お言葉の中にありましたように、地域的な問題というのはこの際非常に大きな要素でありまして、都市部、農村部というところは明らかに違います。また、都市部でも東京の二十三区と三多摩とは明らかに違います。これはプラスとマイナスの違いが出てきますね。運輸大臣の世田谷等々もむずかしい方の一つに入るわけです。だから、平均値のお答えでは、私は問題は解決しないと思いますよ。そのむずかしいところ、都市部、東京でもそういう中心部等々では、明らかに転廃業対策が十分でなければならぬということになりますが、いかがですか、大臣
  58. 小坂徳三郎

    ○小坂国務大臣 実は、東京都の整備業界の指導者がたくさん来られまして、私もこの話をいたしております。  それで、問題は、いろいろな法律だとかむずかしいことがごちゃごちゃありまして、零細企業の方々よく理解できないで非常に困っているような様子も伺ったので、こういう問題については、むしろわれわれの方が積極的に、陸運局を通じたり、また業界を通じて、こういう制度があります、あるいは転換するときはこうしたらどうですかというような話し合いを密にやろうじゃないかということを申し上げたわけでございます。やはりおっしゃるように、都市部と農村では全く違うわけであります。そういう問題を、あの答申が出た直後から、もうすでに自動車局を中心に、また私も参加して、きめ細かくやっておるつもりでございますが、また、法案提出前後にかけましては、特にその点をよく詰めまして、皆さんに余り不安の起こらないようにと考えておるところであります。
  59. 上田哲

    上田(哲)分科員 まさしく、マクロの平均的な数字でなくて、この答申に基づく改正というのが行政改革の問題としてプラスの面があるとして、しかも逆の、言うなれば犠牲者というのがここに出るかもしれないという点についての行政の施策というものが強く求められているわけですから、その点は、いまの大臣の御答弁のように、しかと御努力をいただきたいと思うのです。  先ほどの御答弁のように、事業転換法については関係省庁ともうすでに詰めてあるということでありますから、そのことは裏書きされていると思いますが、事業転換法のみならず雇用保険法の問題についてはいかがですか。
  60. 飯島篤

    ○飯島政府委員 雇用保険法につきましては、具体的にそういう事態が起きてきた段階で適用するという制度になっております。労働省とも、もしそういう事態が起きれば前向きに検討をしてくれるよう話が済んでおります。
  61. 上田哲

    上田(哲)分科員 済んでいるのですか、進んでいるのですか。
  62. 飯島篤

    ○飯島政府委員 済んでおります。そういう事実があれば適用する。
  63. 上田哲

    上田(哲)分科員 雇用保険法ということになりますと、造船、繊維というような先例がございますね。今回、車検の問題というのは、それに含まれ得るという展望をお持ちなわけですか。
  64. 飯島篤

    ○飯島政府委員 設備について、それを廃棄したり、また一方それを買い上げるというような措置まではいまのところ起きないのではないか。むしろ、問題は、需要の減少時におきます資金繰りが困難となる、また、近代化を進めていくに当たりまして、設備資金についての借り入れという問題等が非常に大きなウエートを占めるのではないかということで、対応する場合に、当然、事業者の自助努力というものがまず主体になりまして、それに対応して国が適切な措置をとるということになると考え、目下その点について検討いたしておるところでございます。  また、先ほど申し落としましたが、私どもいまこの答申を受けまして、定期点検の実施率の向上が非常に重要になってまいりますので、現在五〇%ないし六〇%の実施率の向上について、何らかうまい手がないかということで鋭意考えておりますし、実施率が向上することになれば、それなりに整備業に好影響が当然ありますので、その辺の絡みも考えながら対応してまいりたいと思います。
  65. 上田哲

    上田(哲)分科員 事業転換法と雇用保険法の場合は違ってくると思いますが、とにかくできるだけ手を広げようということであるならば、それは承っておきます。  大臣、結局こういうものを骨子とする対策、法令、通達というような問題については、五十八年四月に間に合うように手当てをされるということでよろしいですね。
  66. 小坂徳三郎

    ○小坂国務大臣 当然、そうせなくてはならぬと思います。  ただ、一言申し上げたいのですが、密集地の東京とか大阪、特に東京でしょうけれども、工場がそこにあるということ自体が地域住民から猛烈に反撃を受ける。現実も、それでみんな非常に困っています。  それからもう一つは、ある程度企業整備でくっつきたい。ところが、スペースがなかなか規則に合わないというようなことで、くっつこうと思ってもできないというような問題がありまして、私は、いまの補償したりいろいろなことも大事だと思いますけれども、実際にこういう事態の中で零細な企業の方々が集約した仕事をしょう、また、それが地域で入れられるような環境、これを一体どうするべきかということが、大変私はいま頭が痛いと思っているのです。そんなような問題もございますが、いずれにいたしましても、安心して新しい車検制度が進むように努力をいたしたいと思っております。
  67. 上田哲

    上田(哲)分科員 自動車局長答弁の中に、定期点検の実施率の向上等々の問題があるということなんですが、それはまさにまた整備業界からすれば需要の喚起ということになるだろう、そこはわかります。しかし、実際に今回の答申の方向は、項目の大幅な簡素化ということがうたわれているわけですね。ですから、これはいまのおっしゃるところとは少し矛盾することになります。  そこで、具体的に伺うのだけれども一つのポイントは教則の作成、これは国がやる。それから、いまの定期点検の場合の、具体的には十二カ月点検の標章の制定、これをやる。ここのところは前よりは強化される面だというふうに理解するのですが、いかがですか。
  68. 飯島篤

    ○飯島政府委員 御指摘のとおりでありまして、教則の作成は、一方ではユーザーの理解を深め、ユーザー参加を推進するということでもございますが、点検整備についての認識を深めていただくということによって、結果的に実施率の向上につなげてまいりたい。  それから、実施率の向上策といたしまして、答申では定期点検整備記録簿の整備の励行というのを掲げてございますが、これにつきましては、記載内容を充実するとともに、保存期間を延長し、それを車に備えつける等して、検査あるいは街頭検査等のときに見させていただくというような措置も講じたい。  それから、定期点検標章については答申に書いてございます。現在、普及運動の一環として行われておりますが、これをどういうふうに取り上げるかについては、法制技術的な面もございまして、まだ鋭意関係方面と詰めているところでございます。
  69. 上田哲

    上田(哲)分科員 まさにいままでは促進、奨励であった。つまり、業界の指導ですね。今回は国がやるというわけですね。ですから、これはその意味では強化されるといいますか、一歩進めるということになるのだろうと私は思います。この答申の中にも、定期点検整備記録簿の整備の励行、十二カ月点検について定期点検標章の制定、それから街頭検査の強化ということがうたわれています。  そうしますと、一つだけ伺いますが、街頭検査の強化というのは、具体的にはどういうことですか。
  70. 飯島篤

    ○飯島政府委員 ここで言っております街頭検査は、運輸省に対して、現在陸運事務所等が実施しております街頭検査の強化を求めておるものと理解をいたしております。実務上はしばしば警察の御協力を得て実施しているのが事実でございます。
  71. 上田哲

    上田(哲)分科員 つまり、ステッカーは国の責任でつくって、いままでよりは強化する。さまざまな関係官庁からも協力を得るということでいいですね。
  72. 飯島篤

    ○飯島政府委員 ステッカーにつきましては、先ほど申し上げましたように、法制技術的な面で問題が皆無ではございませんので、いま詰めております。この答申に盛られたこと以外にもっと励行策の有効なものはないかということで、いろいろ勉強をいまいたしておるところでございます。
  73. 上田哲

    上田(哲)分科員 料金の適正化を図る方策云々というのは、どういうことでございますか。
  74. 飯島篤

    ○飯島政府委員 料金の適正化につきましては、中間答申におきましていろいろ触れておるところでございますが、点数制を導入し、それに各工場がレーバーレートを掛けて料金を決め、基本料金表を掲示するというような措置を求め、また、関連団体で実態を調査して公表するというようなことで、明朗化を図っていきたいというふうに考えております。
  75. 上田哲

    上田(哲)分科員 レーバーレートの問題等々は、公取の関係もございますから、これはまた別途詰めたいと思います。  そこで、この答申の一番冒頭に、「今後とも、適時に見直しが行われることが必要である」、こういうことになっているわけですが、これは今回は新車乗用車の二年、三年という問題でありますが、その他の車種あるいは継続車等についても引き続いて検討を行うという意味か、二十数年ほっておいたからこういうことになったという表現であるのか、その点、明確にひとつお願いいたします。
  76. 飯島篤

    ○飯島政府委員 今回マイカーのみでなくて、ほかの車種についてもデータを検討いたしまして結論を出したわけでございます。したがいまして、この答申のはしがきの末尾にある文言は、「今後とも、所要の資料の整備に努め、自動車技術の進歩等に対応して適時に見直しが行われることが必要である」とうたっておるわけでありまして、先生御指摘のように、二十年も三十年もほっておいてはいかぬという趣旨であるとわれわれは理解いたしております。
  77. 上田哲

    上田(哲)分科員 確認しますが、これまで二十年、三十年ほっておいたという批判もあるので、今回は全部について見直しをしてこの結論を出した。したがって、これから先はすぐほかの問題に入ることはないということですね。
  78. 飯島篤

    ○飯島政府委員 先生のおっしゃるとおりでございます。
  79. 上田哲

    上田(哲)分科員 これに関連して、重量税の引き上げということが検討されるという風聞がございます。この重量税については、五十七年度が見直しの時期にも当たっておるわけでありまして、暫定税率云々の議論もあるわけですが、その点はいかがですか。
  80. 新藤恒男

    ○新藤説明員 自動車重量税の現行の税率は暫定でございまして、五十八年四月末付でなくなります。その後の負担水準をどうするかという負担水準のあり方等につきましては、五十八年度改正の一環として検討するということでございます。現段階におきましてそれをどうするかということを申し上げるという状況にはございません。
  81. 上田哲

    上田(哲)分科員 つまり、重量税の引き上げは今回は考えているのですか、いないのですか。
  82. 新藤恒男

    ○新藤説明員 今回の自動車の新規車検の場合に二年を三年に延ばすということに伴います税率の問題につきましては、これは負担水準の維持、あるいはいまの場合ですと、一年ものに対して二年ものは二倍になっているということとの権衡を考えまして、これは一・五倍にするという必要はあると思います。
  83. 上田哲

    上田(哲)分科員 だから、二年が三年になるから自動的に計算上は一・五倍になるのだが、これを引き上げるということはないわけですね、ひとつ念のために。
  84. 新藤恒男

    ○新藤説明員 その全体の重量税の負担水準をどうするかということは、五十八年度改正の問題として、先ほど申しましたように対応させていただきたいということでございます。
  85. 上田哲

    上田(哲)分科員 大変重要なところなんですが、このことに関連して税率の引き上げというようなことはないというふうに私は理解をいているのですが、違いますか。
  86. 新藤恒男

    ○新藤説明員 来年度以降の問題につきましては、いずれにいたしましても五十八年度改正の中で考えさせていただきたいということでございます。
  87. 上田哲

    上田(哲)分科員 これは大臣に来てもらわなければ議論ができないから、私は、これに関連して引き上げなんということを考えるのはよこしまであるということをユーザーのためにもはっきり申し上げておきます。  最後に大臣、きょうの質疑で行革の目玉であるという車検延長問題の一つの決着。つまりどれくらいマイナス、プラスが出てくるか、特に一番弱い整備業者にどういう影響が出るかということが数字の上でも明らかになりましたので、この具体的な数字に基づいて、きわめて急がれています法案整備の中に、それにぴったり平仄を合わせて救済策といいましょうか、対応策を講じていただきたいということをひとつしっかりお約束をいただく。  あわせて、少し話が飛びますけれども、今朝報道されているところで、土光会長が行革を十分に貫くならば減税可能である、増税ではなくて減税可能であるということを発言されておりますが、これについて国務大臣としてどのようにお考えか、あわせてその二点、伺います。
  88. 小坂徳三郎

    ○小坂国務大臣 近く国会に御提出する法案につきましては、ただいまの問題は十分配慮して御提案をしたいということが第一点。  それから第二点は、土光会長の改革をやれば増税は要らない……(上田(哲)分科員「減税ができると言っているわけだ」と呼ぶ)いかにも土光さんらしい発想であるし、非常に貴重な御意見であるというふうに考えます。
  89. 上田哲

    上田(哲)分科員 努力なさいますか、そっちの方に向かって。
  90. 小坂徳三郎

    ○小坂国務大臣 当然それはやったらいいじゃないですかね。
  91. 上田哲

    上田(哲)分科員 終わります。
  92. 後藤田正晴

    ○後藤田主査 これにて上田君の質疑は終了いたしました。  次に、長田武士君。
  93. 長田武士

    長田分科員 首都圏の交通緩和を図るための池袋を中心といたしまして現在建設中の通勤新線及び地下鉄について、若干質問いたします。  現在、東北本線及び京浜東北線の通勤難解消のために通勤新線が建設されておるわけでありますが、工事の進捗状況並びに概要についてお答えをいただきたいと思います。
  94. 半谷哲夫

    ○半谷説明員 通勤新線と申しますのは、赤羽から大宮、それからさらに北へ行きまして宮原につなげるというものでございます。これは御承知のように、現在北方面からは東北、高崎線が入ってきております。それから大宮からは京浜東北線が放射状に入ってきているということでありまして、いずれも現状では朝夕相当の通勤旅客輸送しているということでございます。かねて、この両線の輸送量の増加に対応しましていろいろ対策を打ってきているわけでございますが、今回、たまたま東北新幹線が建設される、それに併設いたしまして赤羽−大宮間、さらに宮原まで複線を増設するということでございまして、当然この地域の通勤輸送、いわゆる都市交通に役立たせる目的で建設中のものでございます。五十三年の十二月に運輸大臣の承認をいただきまして、現在、東北新幹線と同時に施行するということで工事を進めているわけであります。  概要を申し上げますと、赤羽−大宮間約十八キロございますけれども、これは、現在の東北線、京浜東北線等が走っております東北線から約二キロ、場所によって多少違いますが、大体二キロくらい西側に建設しております。  構造的には大部分が高架構造でありまして、大宮に入りまして、大宮では地下に入りますけれども、その先また地上に出まして、宮原まで約四キロ、これは高崎線に並行いたしまして一複線をつくるということであります。  駅設備といたしましては、赤羽−大宮間に十駅を新設いたします。  この線は、でき上がりますと、赤羽駅で現在の赤羽線に接続をすることになります。したがいまして、現在赤羽線と称されておりますものは、山手線の池袋から赤羽まで折り返し運転をいたしておるわけでありますが、これが建設中の通勤線につながりまして、現在の赤羽線が赤羽をさらに通り越しまして、この通勤線に入って運転されるということになるわけであります。したがいまして、これができますと、通勤の大多数のお客さんというのは、池袋まで直通で乗り入れるということができるわけであります。  それから、浦和市内では武蔵野線と交差いたしますので、ここでは武蔵野線と乗りかえができるような連絡設備をつくりたいということでございまして、総工事費は約三千億弱という想定をいたしております。  現在、用地買収を進めている状況でありまして、非常に進んでいる地区ではすでに全用地買収の五〇ないし六〇%という進捗状況であります。今後、用地買収の済んだところから現在工事を始めておりますけれども、来年度、五十七年度からは全線にわたって工事にかかりまして、東北新幹線が上野に乗り入れるという時点を目指しまして、その工事を進めていきたいというふうに考身ておるわけでございます。
  95. 長田武士

    長田分科員 この通勤新線は、大宮と赤羽間の交通緩和をねらったものであるわけでありますが、この線が赤羽から池袋まで通じるために、現在でも池袋は相当混雑をいたしておりますのに、そういう点で、この通勤新線が開通されたら、この混雑がなお一層拍車がかかると私たち見ておるわけであります。  そこで、池袋駅におきまして通勤新線の工事けどのようにされておるのか、されるのか。また、通勤新線の完成によって高崎線や京浜東北線を知用する通勤客の流れがどうなるのか。この対策をどう考えておられるか。簡単に答えてください。
  96. 半谷哲夫

    ○半谷説明員 池袋では、池袋駅改良ということで現在工事を進めているわけであります。  これは、池袋の駅にホームがいま二本ございますけれども、このホームの二本で山手線の内回り、外回りと赤羽線電車の着発を扱っておるわけでありますが、このホーム上の混雑、それからその下のコンコース等の混雑等がありまして、どうにもこのままではもたないということで、たまたま隣接いたしまして貨物用の本線並びに設備がございますので、それを整理いたしまして、新たに内側にホームを一本設けまして、ここに赤羽線専用と申し上げていいと思いますが、赤羽線の着発するホームを新たにつくりまして、そこで赤羽線の乗降をとり行うということに考えているわけであります。そういたしますと、現在ありますホームの二本、線数にして四線でありますが、それがもっぱら山手線の内回り、外回りに使われるということになるわけであります。  通勤線ができますと、どの程度混雑緩和に役立つかということでありますが、これは、これから運転系統その他輸送計画等を詰めていくわけであります。いずれにしましても、先ほど申し上げましたように、現在の東北線から約二キロ離れているということで、いま現在線に依存しておりますお客さんの相当部分がこちらに移る可能性があるわけでありまして、そういう意味では、確定的な数字はいまちょっと申し上げられませんけれども、相当の緩和ができると考えております。
  97. 長田武士

    長田分科員 通勤新線は池袋どまりになりますね。そして、その主たるお客さんはどうしても新宿や池袋で乗りかえが必要であります。そういう意味で、池袋の駅の状態を考えますと、一本ホームができても相当混雑が激しくなるだろう、そういうことを私は地元といたしまして強く感じております。そういう意味で、それを渋谷、新宿の方に延長したらどうかという地元の強い要望がありますが、この点はどうですか。
  98. 半谷哲夫

    ○半谷説明員 現在の山手線を眺めますと、特に朝のラッシュ時間帯でありますけれども、最も混雑率が高い区間が池袋から新宿区間だということでございます。したがいまして、これから赤羽線が延びまして、相当のお客さんを運んできて、池袋で全旅客が乗りかえ、乗降をするということになりますと、現在より明らかに混雑が激しくなるおそれがあるわけであります。したがいまして、かねて地元からも、山手貨物線が従来からございますので、それに接続すれば、新宿方あるいはさらに先にも行けるのではないかという強い御要望があるわけでございます。これは私どもとしても、いまの都市交通を解決する、現在の施設を有効に活用して役立たせるという面では非常に魅力のある一つの案でありますので、現在いろいろ検討しているところであります。  ただ、線路はあるわけでありますが、いままでは貨物線でありますから、旅客を乗降させるためのホームあるいは連絡設備といったものが一切ございませんので、そういった設備をつくるということがなかなか大変であります。そういう技術的な面も含めていま検討いたしている段階であります。
  99. 長田武士

    長田分科員 特に池袋以南につきましては、いま話がありましたとおり、山手線と並行して複線で貨物線が走っております。この山手貨物線で取り扱う貨物は、武蔵野線への振りかえによって利用度が比較的落ちておるのじゃないかという感じがいたしております。山手貨物線は現在どの程度利用されておるのか。また、将来の貨物輸送を考えますと、その役割りをどのように考えておられるのか。この二点、簡単にお聞かせいただきたいと思います。
  100. 橋元雅司

    ○橋元説明員 お答え申し上げます。  この武蔵野線でございますが、私どもいわゆる武蔵野東西線と申しておるのでございますが、新松戸と府中本町間が四十八年の四月に開業いたしたわけでございます。以後、武蔵野南線と申しておりますが、府中本町から新鶴見へ貨物の専用線が五十一年三月につながりまして、その後、五十三年十月と五十五年十月のダイヤ改正で、貨物列車の運行を山手線から武蔵野線に大幅に移したわけでございまます。かつて、武蔵野線の開通以前は、山手線に上下で二百二、三十本の貨物列車が運行されておったわけでございますが、現在ではその十分の一、おおむね二十五本前後という運行に相なっておるわけでございます。  そこで、山手線の貨物線の将来の位置づけという御質問でございましたが、先生御存じのように、山手線にはなお貨物の取扱駅が数駅残ってございます。南の方から申し上げますと、恵比寿、これはビールの専用線でございます。それから新宿、これは米や食料品の到着がございます。それから、これに付随しまして、飯田町に紙のセンターがございまして、実績を申し上げますと年間五十三万トンばかり、これは列車単位の紙の専用列車が到着するわけでございますが、飯田町がございます。それからさらに板橋、これは砂利、セメントの基地がございまして、年間三十九万トンばかり取り扱っておるわけでございまして、おおむねこの四駅に対する貨物輸送を行うという使命がございます。さらに田端操、あるいは隅田川からのコンテナのライナー列車の発着が一本づつあるというような状況でございます。しかし、先ほど申し上げましたように、下りが一日大体十三本、上りが十一本、合計二十五本程度でございますので、これは深夜、早朝の運転で十分事足りるということでございますので、私どもとしましては、今後の検討いかんでございますけれども、これを旅客輸送に兼活用することには妨げになっておらぬ、このように考えております。
  101. 長田武士

    長田分科員 この通勤新線の延長につきましては、ただいま申し上げましたとおり、山手貨物線を利用すれば、あとはホーム建設だけで済むわけであります。これから用地買収をしろとか、そんなことを言っているのじゃないのです、線路まで敷設をされているわけですから。そういう意味で、私は比較的実現しやすい問題だろうと考えております。この点について、将来国鉄は前向きに取り組むべきだと私は思いますが、大臣、どうですか。
  102. 小坂徳三郎

    ○小坂国務大臣 私も、山手線の貨物線の活用ということに大変興味を持っておりまして、また事務当局からもいろいろと話を聞いております。これは特に東京の通勤緩和、いろいろな面に非常に大きな効果があると期待をいたしておりまして、国鉄としても、なるべく積極的にこれを検討するように期待をいたしております。
  103. 長田武士

    長田分科員 高木総裁、いま国鉄赤字で大変ですけれども、このように乗客のサービス向上に努めるということも非常に大切だろうと私は思います。  山手線に乗りますと、非常に労力が消耗しまして、ボタンはとれちゃうわ、荷物はくしゃくしゃになっちゃうわ、こういうようなことで乗客も非常に被害をこうむっております。そういう意味で、貨物線も非常に低迷をしておりまして、現在十分の一になっておる。いまの御答弁では、深夜輸送で十分対応できるということになりますれば、乗客サービスのためにも、これは前向きにやるべきだと私は思いますが、どうでしょうか。
  104. 高木文雄

    高木説明員 赤羽と池袋、さらに池袋と新宿の間というのは、お示しのとおり非常に混雑をしておるところでございまして、都市交通に今後重点を置いて考えるべき私どもといたしましては、全国の中でもかなり優先順位の高いものとして考えていかなければならぬと思います。  ただ、全体として現在の経営との関連から申しますと、いまのスピードで建設を進めていくことについては、利子負担、経営負担が非常に大きくなっておりますので、全体としての投資規模について見直すべきではないかという御議論もあるわけでございますので、先ほど担当常務が御説明申し上げましたよう兵宮原と赤羽の間だけでも三千億という非常に大きなオーダーの投資でございますので、いまもうすでに始めておりますそういう線区についての投資をもう少し進めていきながら、また国鉄全体に対しての投資のあり方についての御批判をいただきながら、いまの問題を考えていかなければならぬと思っております。  要するに、投資全体をどこに重点化するかということ。もう一つは、そういう意味では大変優先順位が高いものだと思いますけれども、全体としての投資規模の問題もございますので、にわかに早い時期にそういう方針を決めるというのもちょっとつらいというのが現状でございます。
  105. 長田武士

    長田分科員 次に、池袋駅の改修工事についてお尋ねをいたします。  御存じのとおり、池袋駅は地下鉄が二本、私鉄が二本接続をしております。乗降客も一日四十六万人を数える都内でも有数なターミナルであります。しかし、駅の整備は他のターミナルに比べまして非常におくれておるのが現状であります。  特に、第一といたしましては、南口の改札口が狭く混雑が非常に悪化しておるのですね。第二には、北通路は一般客が通行できないために非常に不便を感じております。第三といたしましては、中央口改札と南口の改札を接続してほしいとの強い要望があります。現在進められておる工事でこのような点が十分取り入れられるのかどうか、この点どうでしょうか。簡単に答えてください。
  106. 半谷哲夫

    ○半谷説明員 池袋は東京付近のターミナル駅としては非常に乗降人員も多うございますし、また、国鉄だけじゃなくて地下鉄が入っておりますし、西武、東武が入ってきているということで、非常に便利に御利用いただいておりますけれども、数が非常にふえてまいりまして、戦後何回か改良工事を加えながら今日の状態に至っているわけでありますけれども、それでもいま御指摘のように、いろいろ現状では問題が出てきているわけでございます。  それで、先ほど申し上げましたように、赤羽線の増強、通勤新線の乗り入れということでホームを一本つくるという計画をいたしたわけでありますが、その際に、この線路の下につくられております三本の通路がありますけれども、この連絡通路、乗降通路と申しますか、これを改良しなければいかぬということで、このホームをつくるのにあわせまして設備の改良をしようということで、池袋駅改良という工事を起こしまして、昭和五十五年度からこの工事にかかったわけでございます。  その計画の内容を申し上げますと、まず一つは、御指摘のありました南口が非常に混雑しているという状況であります。これは線路の下、要するに土の中にこういった設備をつくっているわけでありますけれども、その時点その時点で必要な設備ということでやってまいりましたけれども、現在になりますと非常に狭隘になってきているので、まず南口の改良をやるということで、中央通路に面して現在乗降階段がついておりますけれども、それと南口との間の土を全部取りまして、この間を連絡いたしまして、階段位置もつけかえるということで一つ改良を行うということにいたしております。  それからもう一つは、北の通路でございます。これも現在は自由通路には使われない形になっております。両側にラッチがありまして、切符を持ったお客さんだけは地下通路が御利用いただけるという形でありますが、これを改良いたしまして、幅員を広げると同時に、国鉄の改札口を線路の真下に持ってまいりまして、北口通路も中央通路あるいは南側の通路と同じように切符を持たないお客さんでも自由にお通りいただけるようにという形に改良することにいたしております。  この二点が今回実施中の改良工事の主要な点と申し上げていいかと思いますが、これに伴いまして、あと中央通路に面しております部分の改良等を図っております。これをやることによりまして、赤羽線のホームも別途できますし、これが完成すれば国鉄部分の乗降、それから乗りかえのお客さんの流れというのは相当よくなるのではないかというふうに見ているわけでございます。
  107. 長田武士

    長田分科員 次に、地下鉄十二号線についてお尋ねをいたします。  将来一万二千戸の住宅が予定されております練馬区のグラントハイツ、すでに建設が始まっておるわけですが、このグラントハイツと都心を結ぶ地下鉄十二号線の早期着工は、地元住民それから関係団体が強く要望されておるわけであります。都営十二号線につきましては、四十九年に路線免許が出されておりますが、東京都が財政上の制約から建設に踏み切れず、着工が延期をされておるわけです。運輸省といたしましても、東京都がどのように取り組むか今日まで見てきたのじゃないかと私思うわけでありますが、東京都は五十七年度の予算には三千万円の調査費を計上いたしまして、この調査費は、従来の地下鉄よりも三割は安上がりとされておりますところのミニ地下鉄の建設のための風洞実験用であると聞いておるわけであります。こうした東京都の動きについて運輸省はどのように対応されるのか。時間がありませんから、簡単に答えてください。
  108. 杉浦喬也

    ○杉浦政府委員 ただいま先生のおっしゃるとおり、東京都は来年度、五十七年度予算に三千万円の調査費を計上いたしまして、調査をいたそうとしております。内容を聞きますと、ミニ地下鉄というものを前提としまして、トンネルの中で列車が進行する場合の風圧対策というものを中心とした技術的な研究であるというふうに聞いておるわけでございます。現在、地下鉄十二号線の建設計画の全面的な見直しを東京都が練りつつあるわけでございまして、運輸省といたしましては、東京都がそうした検討の結果、十二号線のあり方につきまして新しい方向を打ち出した段階におきまして十分に対応してまいりたい、こう考えております。
  109. 長田武士

    長田分科員 運輸省は東京都から出されておる地下鉄十二号線の工事施行認可申請につきましては、現在保留されているわけでありますが、グラントハイツの状況は、昭和六十年にはバス輸送は限界に来ると言われておるわけであります。  こうした事情から見ますと、少なくとも高松—練馬間の四・四キロにつきましては、早期着工がどうしても必要じゃないか。私は毎年、五年間分科会でこの問題を取り上げております。そこで、この区間におきまして申請を認める方向で検討したらどうかと思いますが、どうでしょう。
  110. 杉浦喬也

    ○杉浦政府委員 練馬−高松町間の工事施行認可申請は、すでに五十年の十二月と五十一年の六月に運輸省に提出されております。先ほど先生がおっしゃいましたように、東京都の財政事情その他の事情によりまして、これを実現することができないという状況でございますので、処分保留をしておるわけでございますが、ただいまおっしゃいましたように、都市交通の問題は非常に逼迫しております。何とか東京都がこの辺の対策を十分考えてくれることを期待をしておるところでございます。
  111. 長田武士

    長田分科員 このミ二地下鉄につきましては、財政上の制約が出てきておりますから、当然私は構想としては評価できるわけであります。これは東京都に限らず、地下鉄経営の悪化は全国的な現象であります。全国九企業体のうちの多くが赤字経営となっておるわけでありますが、いずれも建設費に膨大な金をかけていることにその原因があるようであります。一方、地下鉄建設に対する補助金は、国と地方自治体が折半で七〇%補助が原則となっておりますが、実質は六〇%にも満たない現状でございますし、しかも十年間の分割交付となっているために、ほとんどの企業体が起債に頼らざるを得ない。こういうことが現状でございまして、金利負担が非常に重くのしかかっております。こうしたネックが建設の促進に大きな制約になっているのじゃないかという感じを私は強く持つわけであります。  この地下鉄十二号線もまさに同じことが言えると私は思っております。そこで、地下鉄建設についての国庫補助については、道路建設並みにしてほしいという要望が強く出されておるのですけれども、私はこういう改革が必要じゃないかと思いますが、どうでしょう。
  112. 杉浦喬也

    ○杉浦政府委員 地下鉄の補助制度は、ただいま先生がおっしゃいましたとおりでございます。現在は、国と地方が半分ずつということで分担をしておるわけでございます。大都市交通というものは非常に重要な機能を果たすわけでございますが、一方では当該地域の発展あるいは当該地域住民の足を直接確保するという面もございますので、現行制度、国と地方の二分の一ずつの負担ということが妥当ではないかというふうに考えております。
  113. 長田武士

    長田分科員 最後に、地下鉄八号線についてお尋ねをいたします。  地下鉄八号線は池袋どまりとなっておるわけでありますが、現在、成増までの延長工事が進められております。これと同時に、西武八号線として向原より西武練馬への工事も進められておるわけでありますが、これらの線は、西武池袋線や東武東上線の通勤緩和のためにも早期開通が望まれておるわけであります。現在の状況を最後にお尋ねいたしまして、終わります。
  114. 杉浦喬也

    ○杉浦政府委員 八号線につきましては、工事中の区間のうち、池袋−成増間につきましては来年の六月、それから成増−和光間につきましては五十九年六月完成をめどに、現在鋭意工事中でございます。
  115. 長田武士

    長田分科員 終わります。
  116. 後藤田正晴

    ○後藤田主査 これにて長田武士君の質疑は終了いたしました。  次に、浦井洋君。
  117. 浦井洋

    浦井分科員 まず最初に、今回の羽田沖の日航事故についてお伺いしたいのです。  いま事故調査委員会がその原因を究明しておるわけなんですが、異例とも言える中間報告が行われた。そして、パイロットの操縦に原因があるのではないかというようなことが言われておるわけなんですが、いろいろ調べてみますと、五十二年九月にクアラルンプールで日航機が事故を起こした、その際の事故調査報告書の中に、これは英文なので少し英語がまじりますけれども、その中に、セーフティーリコメンデーション、勧告という項があって、それをちょっと読み上げてみますと、JAL、日航は、フライングパイロット、これは操縦士でありますが、フライングパイロットがカンパニーレギュレーションに背いて危険な違反をしようとしていると思われる場合、ノンフライングパイロットが、この場合は副操縦士でありますが、これにチャレンジするように、ノンフライングパイロットに対して適正なオーソリティーをインシュアすること、保証することということで、まさに今回の事故を予測したような勧告が出されておるわけです。それが五十二年で、今回その教訓が生かされておらないということが指摘できるわけであります。  その後、この事故を契機に日航の社内でつくられたCEM委員会、CEMというのは、クリティカル・イレブン・ミニッツ委員会、こうなんです。危険な十一分間。このレターの中で、他のクルーが何かおかしいと感じたときは、ちゅうちょせずキャプテンにアドバイスできるような雰囲気をつくっておくのもキャプテンのコックピットマネージメントとして大切なことであり、アドバイスに対してサンキューと言えるような気持ちを持つべきではないかということについては全員の賛同を得た、レターにはそう書いてあるわけです。  だから、大臣に総括的にお聞きしたいのですが、さっき読み上げましたように、クアラルンプールで勧告をされ、それから日航の社内のCEM委員会でもみずから認めておるこういう点が日航できちんと是正をされておったら、こういう事故は起こらなんだというふうに私は思うのですが、大臣はどうですか。
  118. 松井和治

    ○松井(和)政府委員 先生御指摘のように、クアラルンプールの事故の教訓を生かしまして、日本航空といたしましても、クルーが相互に注意をし合うという体制をつくり、おっしゃるように、副操縦士がもしも最終進入のときに自分がモニターしております高度その他の計器を見まして非常におかしいという場合には、直ちに機長に対してチャレンジするようにということが運用規程にも規定されておるところでございまして、同社のオペレーションマニュアルにもそのようなことが設けられております。  それがなぜ生かされないかというお尋ねでございますが、私ども、まだ事故調査委員会の調査が終了いたしておりません段階で推測で物を言うのは控えたいと思いますけれども、少なくとも事故調査委員会の中間報告にも、最終段階で副操縦士が、キャプテンやめてくださいということを言ったということがボイスレコーダーの記録に残っておるというところから見ましても、できる限りのチャレンジをしたということは証拠として残されているのではないか。ただ、残念ながら、その時点が非常に高度が低いところで異常な事態が発生したということから、言ってみれば、できるだけのチャレンジをしたけれども間に合わなかったという状況ではないかと、これは推測でございますのでそれ以上断言ははばかりますけれども、せっかくの規定が結果的には生かされなかったということは事実でございますけれども、それが全く行われていないというようなことではないというふうに私どもは考えております。
  119. 浦井洋

    浦井分科員 できるだけのチャレンジをしたという、これは副操縦士はそれでやったかもわからぬですけれども、全体としてやはり教訓が生かされておらないということだろうと思うのです。  だから、私が言いたいのは、いま非常に世論としては、事故の原因究明については、犯人捜し的なやり方ではなしに、今回の事故の背後にある要因を徹底的に明らかにすべしという声が強いわけなんですが、私がいろいろと日航の職員の皆さんに聞いたところでは、キャプテンというのはコックピットの中で孤立しておる。そして、他の職員にもあるいは会社にも物が言えない。一方、副操縦士、ノンフライングパイロットの場合には、今回のように身の危険を感じる直前にちょっと言うというようなことで、完全にキャプテンにチャレンジできないというような状況にやはりメスを入れぬといかぬのではないか、私はそう思うわけなんです。だから、数日前に、大臣も出席されたと思うのですが、交通安全特別委員会で各党の委員から、日航の機長全員管理職制度というものが事故の重大な要因につながっておるという指摘があったわけなんです。日航の社長はこれを認めなかったわけなんですけれども、認めなかっただけでなしに、この制度を今後ともとり続けるというふうに強弁をしておるようでありますけれども、こういう職員を分裂支配といいますか、そういうような労務管理はやめるということが大事なことなのではないか。そして、コックピットの中の雰囲気を大切にしていくということが大事だと私は思うわけなんです。  そこで、これは二点ほど大臣にぜひ答えていただきたいと思うのですが、各党の委員から社長は責任をとるべきだということで、社長本人はうんと言わなかったわけでありますが、やはり政府が出資しておる、その政府の担当大臣として、この社長に責任をとらせるという点で、適切な指導をすべきではないかというのが第一点。  それからもう一つは、運輸省は、事故が起こってからさらに日航の職員の管理を強化するように指導するというような態度をとり続けておるわけでありますけれども、管理を強化するというような方向でやればますますいまの雰囲気を助長するだけで、締めつけを強化するというかっこうになるわけで、下手をすると事故の拡大再生産につながりかねない。そういうことでありますから、やはりこの際、世論も言っておるように、日航の首脳陣を一新するとともに、そのことを通じて、職場の中で安全について自由に物が言えるというような雰囲気をつくり上げる方向で指導をするような、そういうやり方をすべきではないかと思うのですが、これはひとつ、この項はこれで終わりですから、大臣に答えてもらいたいと思います。
  120. 小坂徳三郎

    ○小坂国務大臣 日本航空の今度の事故はまことに残念なことでございまして、われわれとしましても、亡くなられた方々に対して深い弔意を表しておるわけでございます。また同時に、負傷された方々の一日も早い健康の回復をお祈りしておるわけでございます。  私は、一義的に現在の日航の首脳部に対して求めていることは、安全確保をぜひ的確に今後やれる方法を社内において十分に検討すること、さらに、その延長線でありますけれども、事故が再発しないような再発防止についてのきちんとした方法と社内の気持ちの引き締めが大事なことだ、三番目には、ただいま申し上げましたような犠牲になられた方や傷を負われた被害者の方々に対する補償に万全を期する、この三点をいま求めておるわけでございまして、それが着実に明確になされることを日航首脳部に対して期待しておるところでございます。  それからもう一つは、管理強化とおっしゃいましたけれども、われわれはパイロットその他乗務員の健康管理について、いかにしたらそれがさらに運輸省としても十分確保できるかという点について考えているところでございまして、健康管理を強化するということについてさらに手を打ってまいりたいと考えております。
  121. 浦井洋

    浦井分科員 時間がないので余り反論したくないのですが、安全確保、再発防止、遺族への補償、亡くなった方の補償を万全に、健康管理というような点は当然すべき最小限のことであって、やはりその根本、その背後にある労務管理政策を改めさせるような方向で、国が出資会社である日航に対して指導するということ、それで、それの担当大臣が小坂さんであるわけなんです。そこをきちんと自分の意見を持ってやってもらわなければいかぬということを強調しておきたいと思うのです。  そういうことで、今回、次の問題に進みたいのですけれども、私は神戸ですが、空港周辺の住民は非常に危険を感じておるわけですね。  空港というのは、騒音とか排気ガスあるいは振動とかいう公害だけでなしに、もう命も財産も失うというような危険にさらされておるということが、不幸なことでありますけれども確認をされた。だから、大阪空港、伊丹空港の周辺であの事故が起こっていたらどうなるのかということで、非常に不安がっておるわけであります。  そこでまず尋ねたいのですけれども、さっき言いました危険な十一分間、大阪空港の場合、飛行機は一体どの辺を飛んでおるのか、簡単にちょっと……。
  122. 長澤修

    ○長澤説明員 お答えいたします。  大阪空港に航空機が入りますときには、通常、大阪空港へ南の方から入ってまいりまして着陸をいたします。それから、出発をいたしますときには……
  123. 浦井洋

    浦井分科員 簡単に言ってください、着陸前それから離陸後、距離としてどの辺を飛んでいるのか。
  124. 長澤修

    ○長澤説明員 通常、いま先生の御指摘にございました十一分間でございますが、着陸の八分の最初の始まりのあたりは、大和高田市あたりからが到着の八分前の始まりでございます。それから出発の方式によりますと、飛行場の上空で旋回をする形でございますので、東の方へ出発する場合には豊中市あたりがちょうど三分ぐらいに当たるところでございます。南の方へ出ます場合には、武庫川の河口あたりがちょうど三分ぐらいのところでございます。
  125. 浦井洋

    浦井分科員 われわれ土地カンがあるので、いまはっきり言いますと、結局、着陸前は大体大阪市全体、それから大和高田から堺、こういう辺が入る。それから離陸後は豊中、吹田、摂津市、それから、西の方に行く飛行機といいますか、南行ずる場合は武庫川と言われたけれども、大体伊丹、尼崎というようなところが入るわけです。  そこで、DC10、これはドラム缶に直しますと燃料が四百四十五本だそうです。それからボーイング747が八百八十五本。非常に不幸なことでありますが、これが墜落するとどういう被害が考えられるのか、こんなことを予測したことありますか。
  126. 松井和治

    ○松井(和)政府委員 先生の仰せられます危険な十一分と申しますのは、確かに着陸前八分間と離陸後三分間に事故の確率が高いということから、パイロットが自戒の意味で使い始めた言葉と私ども了解しておりまして、何か危険危険ということを強く申しまして、その十一分間にどんどん飛行機が落ちるかのごとき印象を与えるのは好ましくないことだと思っております。  先生御指摘のように、万が一にもあってはならないことでございますけれども、万が一そういう事故が起こるということになりますと、大阪空港のような内陸空港の場合には、非常に大きな被害が及ぶということは容易に想定されるわけでございますが、具体的にどういう被害が生ずるかということを計算したことはございません。
  127. 浦井洋

    浦井分科員 要するに何も予測はしておらない、準備はしておらない。しかし、今回の事故でも明らかなように、この間ワシントン空港であって、さらに今度の日航の事故ですから、不幸なことではあるけれども、絶対に落ちないということは断定できないわけなんですよ。だから、そういう万々一の場合を考えてやはり対策は立てておくべきではないか。空港周辺の都市に対して救急とか消防、こういう体制を強化しておくべきだと思うのです。これは当然だと思うのです。  それで、運輸省は、大阪空港なんかの場合には周辺整備ということで力を入れておると言っておるわけなんですけれども、こういう救急とか消防で何か措置しておるわけですか。
  128. 松井和治

    ○松井(和)政府委員 先生御指摘のように、大阪空港の場合には、ほかの空港に比べても空港周辺に人家が多いわけでございまして、私ども、その安全ということもさることながら、騒音問題が全国一問題になっておる空港でございまして、空港の進入直下あるいは離陸経路の下に当たるようないわば騒音の激甚地区につきまして、できる限り移転補償を講じて外に立ち退いていただくというような措置を講じ、あるいは緩衝緑地を設ける、あるいは公園、レクリエーション施設を設ける等等の措置を講じて、これが結果的に騒音対策のほか、安全対策にもつながるというような効果をねらって進めておるところでございます。十分でないという御批判はあろうかと思いますけれども、さらに今後、鋭意進めてまいりたいと思っております。  また、周辺の市町村に対しましては、これは騒音対策ということにつながるわけでございますけれども、航空機の燃料譲与税というものがその周辺市町村には配られるという形になっておりまして、周辺市町村でも、そういう財源をもとにして騒音対策なりあるいは防災対策に力を入れていただく、こうお願いをしておるところでございます。
  129. 浦井洋

    浦井分科員 要するに、結果的にはそういう場合に備えるように措置しておる、きわめて意識的でないわけですね。自治体の方にお金渡しているから、自治体が勝手にせいということなんです。運輸省としてはきわめて無責任だと思う。  消防庁、来ておられますか。——消防庁、何かやっておられますか。
  130. 長谷川寿夫

    ○長谷川説明員 消防庁といたしましては、空港所在市町村の消防力の充実という観点から、いま先生御指摘のように、航空機災害という非常に特殊な対応を示しますので、そういう災害に対応できる特殊な消防化学車の配備につきまして助成措置を講じて、消防体制の充実を図ってきているところであります。(浦井分科員「数は」と呼ぶ)  数は、助成措置は五十四年に始めまして五十五年に二件、それから本年度は一件が予定されております。
  131. 浦井洋

    浦井分科員 要するに二台、一台でしょう。だから、消防庁はきわめて不十分だ。やはり国が責任を持って、こういう万々一の事故にも備えて国民の生命、財産を守るだけの対策を講じておかなければならぬ、こういうことを私、強調しておきたいのであります。  そこで、非常に不幸なことでありますが、墜落した場合、地上の第三者に対する補償というのは、これは現行の保険、損保制度で十分やれるわけですか。これは簡単に聞いておきたい。
  132. 松井和治

    ○松井(和)政府委員 各航空会社とも、地上の第三者に与える損害をてん補するための航空機賠償責任保険に加入しておりまして、これは航空機が地上の第三者に与えた損害と、それから乗客が機内で死亡されたような場合の損害、あるいは空港構内の事故等に関する損害をてん補するという制度でございます。
  133. 浦井洋

    浦井分科員 日航の場合、どれくらい掛けているわけですか。補償金額、どれくらいになるわけですか。
  134. 松井和治

    ○松井(和)政府委員 航空会社の保険金額の点につきましては、個別の会社ごとの金額を申し上げるのは控えさせていただきたいと思うのでございますが、日本の空を飛んでおります定期航空会社、三社ございます、これの平均で申しますと、一千億円をやや上回る程度でございます。
  135. 浦井洋

    浦井分科員 もう一つ、外国の航空機が日本で事故を起こした場合、その点、これも大丈夫なんですね。地上の第三者に対する損害補償というようなことはきちんとできるような、そういうしきたりになっているわけですね。
  136. 松井和治

    ○松井(和)政府委員 外国の航空会社の航空機が墜落いたしました場合、相手国の地上の第三者に与える損害をてん補する、その場合の責任限度額を定めたローマ条約という条約がございますが、実はこの条約は世界各国とも余り加盟しておりません。アメリカ、イギリス等の主要先進国も加盟しておりませんし、またわが国も加盟しておりません。この条約は、その条約に加盟しておる両締約国の間で発生した場合の、つまり、ある締約国の航空機が同じ締約国の相手の国内で事故を起こした場合にのみ適用されるということでございまして、しかもこれは非常に定められた条約の時期が古いために、責任限度額は九百万円と非常に小さいというようなことでございまして、今後、ローマ条約の責任限度額を改定するモントリオール議定書というものが作成されながら、まだ批准国が少ないわけでございますが、したがって発効していないわけでございますけれども、これが発効するとかなりの額になりますし、またわが国としても、その条約への加盟を検討する必要が出てくるのではないかというふうに考えております。
  137. 浦井洋

    浦井分科員 要するに、事前に万全の措置を講じておかなければならぬということで、私、強調しておきたいと思います。  そこで、時間がないからあれですが、その大阪空港の存廃問題であります。  これは大臣にお尋ねしたいのですが、去年の十一月に兵庫県から運輸省に五十九項目の質問を出して、ことしの一月に運輸省が回答をされておるのですが、特に関西新空港の航空需要予測について、予測の前提と予測方法、現空港が廃止される場合の需要予測、こういう質問を最初にしているわけなんです。簡単に、これに対して国はどう回答されたのか、ちょっと答えてください、エッセンスだけ。
  138. 松井和治

    ○松井(和)政府委員 私ども、現在の関西の新空港に関する地元協議を三府県に対して行っております。この場合、環境影響評価を考えます際には、新空港にとりまして環境影響がなるべくシビアな条件を想定して考えるべきである、影響評価を行うべきであるという考えから、伊丹が仮に存続されたという場合の方が、新空港は国際線の機材が多くなるということから、より大きな音を生ずるというような事態になりますので、伊丹を存続した場合のケースを考えまして環境影響評価をやっております、こういうことを兵庫県にお答えしております。したがって、これは存廃をそこで決めたということではなくて、あくまでも影響評価の前提としてそういう数値を使ったということを兵庫県にお断りしてございます。
  139. 浦井洋

    浦井分科員 ところが、地元では、これで国は現空港の存続を前提にしておるというような受けとめ方がずっと広がっておって、非常に大きな反響を巻き起こしておるわけなんです。  大臣も御承知のように、四十九年八月の航空審の答申の中には、「新しい空港は、大阪国際空港の廃止を前提として、同空港の機能を代わって受け持つ能力のあるものとしなければならないと認識した。」こういうことであって、これは、この答申を大臣も尊重されると思うのですが、この点についてどうですか、大臣
  140. 小坂徳三郎

    ○小坂国務大臣 伊丹空港の存廃問題につきましては、われわれは、まだ、存続するとも廃止するとも決めておらないのでありまして、問題は新国際空港が完成する時点までにわれわれとしては公害等調整委員会の調停の線で十分意見を調整して考えをまとめるという姿勢を崩しておりません。その点は大変誤解されている面もあるようでありますが、どうぞ御了承いただきます。
  141. 浦井洋

    浦井分科員 そこで、もう一つ確認しておきたいのですけれども、最近特に不景気なんで、それが引き金になっておると思うのですけれども、兵庫の政財界の一部から、新空港を神戸沖にという声が出ておるわけなんです。国、運輸省として、新空港の位置というのは、答申どおり泉州沖なのかどうかという点をちょっと確認しておきたいのです。
  142. 小坂徳三郎

    ○小坂国務大臣 神戸沖を含めて四地点、二年十カ月にわたって委員会で調べてもらって、その結論が泉州沖と決まったわけでありますから、政府といたしましては、泉州沖を中心に現在物を考えておるわけであります。
  143. 浦井洋

    浦井分科員 泉州沖を中心に考えるということですか。
  144. 小坂徳三郎

    ○小坂国務大臣 中心ということは、泉州沖を基本に置いて考えておると……
  145. 浦井洋

    浦井分科員 中心も基本もあんまり変わらぬと思うのですが、泉州沖だというふうには言われないわけですか。
  146. 小坂徳三郎

    ○小坂国務大臣 多少のずれやなんかあるかもしれないと思うから申し上げているのでありますが、泉州沖であります。
  147. 浦井洋

    浦井分科員 最後に、これは去年の十二月、大阪空港の最高裁の判決の後で、大臣はいろいろ原告団やら弁護団に答えられておるのですが、やはり夜間飛行の九時以後の禁止というのは私は絶対に守るべきだという立場でありますが、これは大臣、変わりないですね。
  148. 小坂徳三郎

    ○小坂国務大臣 私、あれだけの長い間の係争で、そして最高裁の判決の出た直後に原告の方々とお目にかかったのでありますが、やはり私は、九時以後に飛ばすということは何としてもやめさしたいということを申したことは事実でございますし、また、私もそういうことを申し上げることが、ささくれ立った住民感情その他から当然のことだと思っています。ただ、国際空港でありますので、五分や十分のおくれがあることもございますから、そういうときには全部、地元の方々や何かに十分連絡して、十分おくれて来るけれども着陸さしてやってくれというようなことは常時御連絡をしていくということで、原則としては九時以後は飛ばせないという方針を守っていきたいと思っています。
  149. 浦井洋

    浦井分科員 ちょっと大臣、五分や十分おくれることは地元の了解を得てやる、それがレギュラーになると困るのですよね、レギュラーになると。どうですか。
  150. 小坂徳三郎

    ○小坂国務大臣 私も飛行機のことは素人ですけれども、国際線に乗っておりますと、あちこちでおくれやいろいろなことがございますね。そういうことの最終の詰めが大阪空港で五分、十分、三十分というようなおくれということもあり得るのです。しかし、フライトの着陸の時間は、九時以降にはさせないということははっきり通告してあります。原則はそのとおりでございますから、ひとつ誤解のないようにしていただきたいと思います。
  151. 浦井洋

    浦井分科員 もちろん調停団との間で緊急やむを得ない場合は除く、こうなっておるわけです。いままではそういうケースはないわけですね。だから、九時以後はやはり禁止という線を守っていただきたいと思うのですよ。最高裁の判決でも、これは非常に冷酷なものでありますけれども、やはり大阪空港というのは欠陥空港で、これは認めておるわけなんです。夜間飛行の禁止は入り口でストップをかけたわけですけれども、最高裁の判決は夜間飛行を認めたわけではないわけなんですね。五年間、夜間飛行の禁止というのは住民関係者の中でも定着しておるわけなんです。そういう点では、変なかっこうで九時以後も飛ばすというような、ずるずるとなし崩し的にやるのでなしに、ぜひけじめをつけて、いままでどおりきちんと九時以後は飛ばせない、もちろん緊急の場合、これはいままでどおりやむを得ない場合は仕方がないですけれども、その点もう一遍最後に確認いたしておきたい。
  152. 松井和治

    ○松井(和)政府委員 先生緊急事態の例がないとおっしゃいましたけれども、実はわずかでございますけれども、午後十時以降七時までの、いわゆる本来ですと飛行機を飛ばさない時間帯に緊急に着陸したというケースも五十一年以降三回ございます。これは全くの緊急事態ですから時間とは関係がない。  それから、午後九時以降に現在はダイヤを設定しないようにしております。これは私ども訴訟団ともお約束をいたしました。将来どのような事態の変化があるかわからないから断言はできないけれども、将来必要が生じた場合には十分地元の方の意見を聞きましょう、そしてその意見を尊重しましょうというお約束をしております。したがって、当面九時以降にダイヤを設定する意思はございません。ただ、大臣が申しましたように、九時以前のダイヤであっても、国際線は特にそうでございますけれども、ダイヤのおくれがあるときにはこれは例外的に、いわば遅延便として十時までの間は処理させていただきたいというふうに考えております。
  153. 浦井洋

    浦井分科員 終わります。
  154. 後藤田正晴

    ○後藤田主査 これにて浦井君の質疑は終了いたしました。  次に、水田稔君。
  155. 水田稔

    水田分科員 昨年もお伺いしたことなのですが、昨年はまだ木見から以北のルートが決定していなかった段階でありまして、そのために駅の問題もルート決定が先決ということで延びておりたわけですが、昨年の十一月に木見以北のルートが鉄建審で決まりまして、これは従来から私何回も申し上げましたように、いま信号所になっておる新しい児島の駅というのは、地域開発との関連が深いわけでありますから、できるだけ早い時期の駅としての決定が望まれておるわけであります。  まず、児島の駅が手続上大体どの程度のところで決定できるのかということが一つ、それからもう一つは、これは正式にはどこでも決まっていないわけでありますが、地元で渡される資料には、従来から木見と上の町というのが、これは駅というのですか、停留所というのですか、正規の駅員のいる駅という意味ではなくて、宇野線に現在あるような停留所のようなものが予定されておると言われておるのですが、これはルートが決定してきたわけでありますから、この段階で児島の駅と同時に、この問題についても正式な決定をいただきたい。地元としては、地域との関連で言えば、鉄道が通過だけではなくて、やはり十分利用できる児島の駅、そして木見、上の町の停留所というものは非常に期待されておるわけでありますから、ぜひ実現してもらいたい。同時に、これがいつの時点で決まるのかということをまずお伺いしたい。
  156. 山根孟

    ○山根参考人 お答え申し上げます。  本四備讃線につきましては、昨年の十月、先生ただいまおっしゃいました茶屋町−木見間の追加の基本計画の御指示がございました。私どもそれまでの検討経過等も踏まえまして、これで本四備讃線が全体としての路線が決定をいたすことに相なりましたので、地域の開発の状況、駅勢人口、輸送車両の動向等々、駅間距離等を調査検討いたし、地元の要望等も考えあわせまして、児島の信号所を旅客駅に変更するという点、ただいまの木見及び上の町の駅の設置の問題、とれらを包含いたしました内容の工事実施計画書の変更協議を日本国有鉄道の方に提出申し上げている段階でございます。この協議が相調いました段階で、私どもといたしましては運輸大臣に認可申請手続をとるというぐあいに考えておるわけでございます。したがいまして、現在日本国有鉄道におきまして、いろいろ御検討をなすっている段階にあるというぐあいに承知をいたしております。
  157. 水田稔

    水田分科員 それでは計画の中に木見と上の町の駅ですか、これは入っているといういま御答弁がございましたが、そういうぐあいに理解してよろしいですか。
  158. 山根孟

    ○山根参考人 仰せのとおりでございます。
  159. 水田稔

    水田分科員 昨年のこの分科会でお伺いしたときに、ルートが決定するとその後計画を詰めて、申請して、手続上言えば大体一年以内に駅については決定できる、こう御答弁いただいたのですが、そうすると昨年の十月ですか、鉄建審の結論は。それで、十月なら十月とするならば、そのときの答弁から言えば、一年以内ということになれば、ことしの秋までにはこの駅の問題というのは国鉄との協議も終わり、運輸省へ申請して最終的な決定がされる、こういうぐあいに理解してよろしいか。
  160. 山根孟

    ○山根参考人 私どもといたしましては、昨年の十二月に実は日本国有鉄道の方に協議を申し上げておるわけでございますので、私どもとしてはできるだけ早く協議が終了いたしまして、運輸大臣に認可申請の手続がとれる段階に早く持ち込みたいというぐあいに実は考えているわけでございます。
  161. 水田稔

    水田分科員 いま私が申し上げましたように、この本四の連絡橋の工事を進めるに当たっては、この問題というのは、もうすでに鉄道の高架も一部は工事にかかっておるような状態ですから、その関連で言えば一日も早い決定が必要なのですが、公団から出たものに対する国鉄の検討というのは、大体いつぐらいに終わって公団から運輸省へ正式の申請ができるようになるのか、その点を伺いたいと思います。
  162. 半谷哲夫

    ○半谷説明員 ただいま工事実施計画の変更の協議、これはお話の出ております児島、上の町、木見の三駅を設けるという内容を含めたものであります。それと茶屋町まで接続するという工事実施計画の協議をいま私どもは受けている段階でございます。  この駅の設置につきましては、御協議を受けましてから、私どもの中で地域の開発状況とか駅勢人口とか輸送需要がどうなるか、あるいは駅間距離、その他いろいろな条件を調査いたしまして、この協議に対して御回答申し上げるべく検討中であります。ことしに入りましてから検討に入っておりますので、もうしばらくお時間をかしていただきたいと思っておりますが、なるべく早く返さなければいけないと考えております。
  163. 水田稔

    水田分科員 これはいまのところは大体六十二年度完成という目標ですが、そうなりますと検討してずるずる延びて、いろいろと、たとえば与野党で意見の反対するものでという問題ではないわけですから、公団としても国鉄としても早くやった方がいいだろうと思うのです。ですから、できるだけ早くというのじゃなくて、大体従来のこの程度の問題の検討の期間というのはあると思うのですね。ですから、大体この程度をめどに協議は進めたいというくらいのことはお答えいただきたいと思うのです。
  164. 半谷哲夫

    ○半谷説明員 従来の例で申し上げますと、二、三カ月で御返事申し上げたものもありますし、また、物によっては一年以上かかっているものもあるわけでございまして、この件につきましても、内容的にいままでの協議になかった駅をつくるということも含まれておりますので、現在検討しておるところでありまして、なるべく早く結論を出したいと思っておりますけれども、もうしばらくお時間をかしていただきたいということでございます。
  165. 水田稔

    水田分科員 たとえばとてつもない条件の変化があるという地域じゃないわけですね。ですから、現在あるところというのは、たとえば児島駅のところについてはすでに区画整理なりが進められておるわけですね。それはある程度駅の構想はどの程度のものというものがなければ本当はできぬわけですよ。それならば、まさに区画整理が進むまでに本当は決めてあげて、この程度の規模になりますよということを言ってあげなければならぬ。それは去年も申し上げたのですが、と写るならば、すでにルートが決まって正式にもう全部決まったわけですから、そうなるとむずかしい条件というのはそこにない。あるいは木見とか上の町というのはそれほど膨大な人口のところではないわけでありまして、ただ、利用という点ではその地域には非常に役に立つ場所なんですね。ですから、特異なむずかしい条件のないところを検討するわけですから、それほどとにかく時間がいつまでかかるかわからぬけれども待ってくれという問題じゃないと思うのですね。大体のめどをぜひこの機会に言っていただきたいと思うのです。
  166. 半谷哲夫

    ○半谷説明員 物理的な条件等につきましては、お話しのようにそれほどむずかしい条件はないと思いますが、実は私ども、これは基本的な問題にも多少触れるわけでありますけれども、こういった設備をつくって運営いたします場合の収支の問題というようなことも、私どもとしては検討を要すべき重要な項目の一つでございまして、そういうようなものも含めていま検討いたしております。それほど時間をかけるつもりはありませんけれども、いまの段階でいつと申し上げるまでに至ってないということでひとつ御了解をいただきたいと思います。
  167. 水田稔

    水田分科員 時間の関係でこれ以上申し上げませんが、収支の問題といってもこれは人を置いてというところじゃないはずです。上の町近辺は恐らく置かない状態の駅というものが当然考えられるわけですから、最初の投資だけなんですね。そのくらいの目安で済むわけでありますから、いわば国鉄で言えば一番簡単に検討できる、そういう日程でぜひ進めてもらいたいということだけ申し上げておきたいと思うのです。  もう一つ駅の問題で、これは倉敷の一番東になりますから東の玄関口になる茶屋町なんですが、いまの状況からいって当然駅をどっちかへ移さないと、あのままでは、いま単線ですから複線にしてというのはむずかしいと思うのですけれども、茶屋町についての検討はなされているのか。それは全くいまのままで、茶屋町が起点ですから、そこを改造してそのままやるというお考えなのか、伺いたい。
  168. 半谷哲夫

    ○半谷説明員 ただいま本四公団の方から御協議を受けております内容は、現在の茶屋町に本四架橋の線が乗り入れるという形でいただいているものであります。したがいまして、私どもとしてもそれに基づいて現在検討中でありますが、検討の過程で多少の変動は出てくるかと思いますが、駅を移転をするというような要因は特に出てこないのではないか。私どもの方から検討いたしましても、特に茶屋町を移転しなければいけないというような条件はまず出てこないのではないかなというふうに考えております。
  169. 水田稔

    水田分科員 いまのこと、公団の方に。私は昨年も申し上げたのですが、あの現地の状況を見れば、駅の位置を動かさないけれども、たとえばプラットホームを何百メートルかちょっと南へずらすことによって、いまの倉敷市の、これは幹線道路を入れなければなりませんけれども、そういう点から言えば東の玄関口になるということで、たとえば市の方で新しい計画、新しい駅舎の位置、それから新しい開発というのを持ってくれば、それは検討されるお考えが公団なり国鉄にありますか。
  170. 山根孟

    ○山根参考人 茶屋町駅及びその周辺について一体どういうぐあいに考えているかということにつきましては、私どもとしてはあの駅を中心にした地域を一体どういうぐあいに考えていくかということに関します基本になると考えますと、やはり都市計画をはっきり立てる必要があるのではないか、現在決定をされております都市計画の内容は、私ども本四備讃線が接続をするという観点から、必ずしも適切ではないのではないかという感じを持っておりますので、そういった観点から地元の方々の御要望等を踏まえつつ、新たな都市計画の変更と申しますか、について私どもとしても関係御当局の方にお願いをいたしておるという状況でございます。それに基づいて、当面、現在の私どもの接続をするということで御協議を申し上げ、それによって結論を出していただきたいというぐあいに考えておりますが、やはり都市計画決定等につきましては若干時間もかかることでございますので、その段階で必要があれば計画の変更をするということも必要ではないかというぐあいに考えております。
  171. 水田稔

    水田分科員 運輸省の方に、いまの駅の問題ですが、たとえば申請されたら純然たる手続でどの程度かかるものか伺いたいと思います。
  172. 杉浦喬也

    ○杉浦政府委員 問題の基本的な詰めが本四公団と国鉄との間で十分に詰められた結果、工事実施計画の変更の認可申請が出てくるものと思います。したがいまして、総合的な判断が主体だと思いますので、検討期間はどのくらいかというふうにはっきり申し上げられませんけれども、そんなに時間はかからないのではないかというふうに思います。
  173. 水田稔

    水田分科員 それじゃ別の問題で公団にお伺いしたいのですが、環境問題はまた改めて環境委員会でやりたいと思うのですが、調査の数字から言いますと、平均して〇・〇四とか〇・〇八とか稗田の十字路で出ている。そして三十五メーター、非常に高いところを通して、そこから拡散するというようなそういうことをやっておられるのですが、改めてやりたいと思うのですが、これは五十三年の十月に起工式をやる前日に、当時の副総裁が、私が間に入りまして地元の住民と、ルートの発表については地元の意見を十分聞いた上で発表する。残念ながらマスコミに先に抜かれたものですから、住民の意見を聞く前にばっと出てしまつた。その後いろいろ意見を聞いておるわけですが、若干のルートの変更はあったわけですが、あのときの約束から言えば、副総裁というのは代表権を持っておるわけですから、そういう約束をして、協議決定ではないけれども、少なくとも住民の十分な事前の理解を得た上で発表というのが逆になっておるわけですから、その後の意見を聞くというのは、副総裁の約束したことの、前の段階で聞くぐらいの気持ちでやらなければならぬと思うのですが、そういう意見を聞くのがどういう形で行われておるのか。  それから今度変更して発表した、一部トンネルでありますが、そのルートというのは、公団としてはそういう意見があれば若干でも検討するということなのか、もうこれはコンクリートされた最終決定なんだ、そういうお考えでおるのか、その二点を伺いたいと思うのです。
  174. 山根孟

    ○山根参考人 ただいま先生がおっしゃいましたのは、通称稗田ルートの区間、稗田地区に関連をいたしますルートの問題でございます。この稗田地区のルートにつきましては、環境アセスメントをいたしました。これは五十三年五月時点でありますが、環境保全を十分に考慮したルートを再検討するべきであるといったような御要望がございました。ただいま先生御指摘のような経緯もございまして、約三年間にわたりまして現地の自然条件、技術的な要因、環境条件等を総合的に調査検討した結果のルートが、ただいま発表いたしておりますルートでございます。すなわち路線選定に当たりましては、人家をできるだけ避けるために路線を山側に寄せますとともに、一部トンネル構造とし、さらに稗田の御前道地区の高架部分につきましては、先生御指摘のように地上約三十五メートルの高さといたしまして、かつ勾配をなるべく小さくいたしまして、水平に近い勾配にするといったような配慮を行っておるわけでございます。  現在、これらの路線計画上特に配慮いたしました事項につきまして、地元住民関係者の方々に説明をいたしておりまして、今後とも十分話し合いを行いまして、理解を得ました上で事業を進めていきたいというぐあいに考えておるわけでございます。  したがいまして、今回発表いたしましたルートは、いわばかねがね住民の方々の御主張している点も踏まえまして総合的に調査検討して、いわば決定して発表いたしたものでございます。したがいまして、このルートに沿いまして理解を得て十分話し合いをいたしまして、その上で事業を進めてまいりたいというぐあいに考えております。
  175. 水田稔

    水田分科員 私は、五十三年の十月十日に、二建で副総裁がサインをされるとき立ち合っておりますから、そのときの気持ちというのは今後の住民との話し合いの中でもぜひ生かしてやってほしい。いま言われることは流れとして伺っておきますけれども、やはり少なくともあのとき副総裁が公団を代表してサインをしたことは、住民に対する約束であります。公団としての約束ですから、それを守るという立場で今後の話もぜひ進めてもらいたい。時間の関係でこれだけ申し上げておきます。  それから環境問題については、たとえばこれは水島地域が一番不況で、石油化学などは操業率五〇%ぐらいのときなんですね。それで、これはたとえば春で見ますと、稗田の十字路では〇・〇八二とか〇・〇八九とか、日平均で〇・〇五七というのもあるわけですね。そういうことも踏まえて少し西へ寄せて高架にする、こういう拡散を考えたのだろうと思うのですね。しかし、これは数字を見ていただければわかるように、水島の工業地帯が大変低成長、いわゆる長期低迷の中でのものでありますから、そういう点ではもう少し慎重な考え方を持つべきではないかと思いますが、それは改めてやります。  同時に、たとえば柳田、菰池というのは、借金もし、金も少しためて、ようやく非常に静穏な、騒音の全くない山の中に、緑に囲まれたその地域住宅地ということで求めたわけですから、騒音などでも数値を守ればいいというものではなかなか納得できるものではない。中には業者がだましたというような、たとえばそこへルートが通るのがわかっておって、その前にそんなことを一切言わずに、非常にいいところですということで、これは大手の住宅会社ですが、売りつけておるわけですね。住民にとってみれば頭へ来るわけです。ですからそういう点では単に数値だけではなくて、そういう気持ちというものはぜひ十分聞いてもらいたいし、それから三十五メーターになりますと、いままではもっと東を通ると思ったのが、今度公団が変更したら自分のところの頭の上三十五メーターを通る。人間というのは単に数値の問題だけでなくて、生活環境というのは五感で判断しておるわけです。そういう中での気持ちというものは無視するわけにはまいりませんでしょうし、それから下津井の田之浦から櫃石へ橋がかかりますが、その田之浦側の、直下になるところは立ち退きをやっているわけですが、ちょっと離れたところは全く何もないということですから、そこらあたりが同じような感じを持っておるわけですね。公団に対してそういう希望も十分出していると思いますので、これは十分そういう住民の意向、心配していることにこたえられるようなそういう対応をぜひやってもらいたいと思うのですが、いかがでしょうか。
  176. 山根孟

    ○山根参考人 まず柳田、菰池地区の問題でございます。これはやはり環境基準を満足するような道路構造ということは考えるのでございますが、いま先生御指摘のような、地域の環境に調和をいたしました道路構造がとれないか、さらには修景、植栽、こういったことで対応していくことを考える必要があるのではないかというような気持ちを持っておるわけでございますが、これはやはり具体的な地元との設計協議の段階でいろいろ、一部話も承っております。そういう方向で対処してまいりたい。  もう一つ、お話の出ました高架部分でございます。これはやはり道路構造の面からまいりますと、高欄等もありますし、車線の外側に比較的路肩をとっておりますので、車から見える範囲というのは、直下の部分はもちろん死角になります。かなりそういう状況になるわけでございます。やはり構造、形式その他も考えつつ、また地域との調和と申しますか、そういった点についてできるだけの配慮をやってまいりたいというぐあいに考えておるわけでございます。
  177. 水田稔

    水田分科員 時間がありませんから、その点につきましては騒音の問題でも単に環境基準が守れたらいいという感覚でなくて、もともとそこへ行った人たちがわざわざ金をかけて、きわめて環境のいいところを選んで行ったということが気持ちの中にみんなあるわけですから、そういうことも十分踏まえた対応をしていただきたいということだけ申し上げておきます。  それから最後に、実はこれは大変な工事がこの地域でやられることについて、県などもそういう要望をいたしまして、それは海の上の橋なんというものはもうとてもじゃない、技術的に地場の中小零細が手が出せるものではありませんけれども、陸上の附帯工事などは、当然そういう官公需ですからできるだけ地場の企業にということは要望してまいりました。一部はそういうのもありますけれども、最末端の、たとえば児島というのは人口が八万ぐらいで、その中へ道路と鉄道の両方が入るわけですね。そこの零細な連中には全くお呼びがない。全然ないというのじゃないですが、中堅の幾つかはある程度受ける。よそから全部下請を連れてくるわけですね。これは、私どももあそこを走りまして、相当大型のダンプがどんどん走る、まさに治安の問題から、交通事故の問題から、そういうことをわれわれ心配しておる。しかし一面で言えば、そういう点では地場の企業に若干の仕事でも流れるのではないかと期待し、そのことを要望してきたわけでありますけれども、そのことが余り実現していないような気がいたしておりますので、ぜひその点は公団の本社の方から現地に対して、発注に対しては十分配慮するようにぜひやっていただきたいと思うのですが、いかがでしょうか。
  178. 山根孟

    ○山根参考人 本四公団といたしましては、これまでも建設工事の発注に際しましては、工事の難易度、規模、建設会社の施工能力といった点等々を勘案いたしまして、極力地元中小建設会社の受注機会が増加するように配慮してきておるところでございます。今後陸上部の仕事が進展をする時期でございますので、御趣旨に沿いまして、地元等の方々の活用を図るように考えてまいりたいというぐあいに思います。
  179. 水田稔

    水田分科員 終わります。
  180. 後藤田正晴

    ○後藤田主査 これにて水田君の質疑は終了いたしました。  午後一時より再開することとし、この際、休憩をいたします。     午後零時二分休憩      ————◇—————     午後一時開議
  181. 後藤田正晴

    ○後藤田主査 休憩前に引き続き会議を開きます。  運輸省所管について質疑を続行いたします。広瀬秀吉君。
  182. 広瀬秀吉

    広瀬分科員 国鉄財政が政治の舞台において、また国民の目から見ても、非常に重要な政治課題になっておるわけでありますが、その中心は何といいましても国鉄経営赤字の問題であろうと思うわけです。国鉄経営の現状について、予算の総括質問でわが党の山田耻目君が運輸大臣にも質問をいたしました。そのときにも、当面の赤字経営の問題に対応する問題点について、運輸大臣も、国鉄の特別な事情による退職金問題それと年金問題、これが当面非常に重要な問題点であるということを指摘されました。そのほかにもございましたけれども。  そういう事情を踏まえまして、きょうは国鉄財政と国鉄の公共企業体職員等共済組合法に関連をして国鉄共済法関係の問題について質問をしたいと思うわけであります。  大臣、この国鉄赤字の中でどの程度年金問題あるいはまた退職金問題等がウエートを占めておるのか、こういうことについての御認識をまず承っておきたいと思います。
  183. 小坂徳三郎

    ○小坂国務大臣 三〇%と承知をしております。
  184. 広瀬秀吉

    広瀬分科員 国鉄経営赤字の中で三〇%ぐらいはその面が占めておる、こういうことであります。  そこで、私もちょっと資料をとってみたのですが、五十五年度からさかのぼって十年間、共済組合法に基づく国庫負担分一五%、それから追加費用、これは予想せざる費用負担の要因、年金負担の要因というものが後から後から出てくる、追加されてくる、そういうものに対する費用の積み立てでありますが、そういうものもこれは国鉄経営の責任に本来属せざる事項である。そういうものをずっと調べてみますと、整理資源の問題も含めまして、本来これは国が負担すべきものである。十年間でも一兆二、三千億になるというような数字も出るわけでございます。これもさらにさかのぼって現状の価格に算定をすれば、いま大臣がおっしゃったようなところに、これは退職金の問題もございますけれども、年金の問題も相当なウエートを占めている、こういうことが言えるわけでございます。  国鉄の年金問題がなぜこのように赤字を出さざるを得ないような状況になったか、こういう点について、国鉄総裁はどのようにお考えでしょうか。
  185. 高木文雄

    高木説明員 まず一つは、やはり国鉄の年金システムというものが日本の国で一番先に始まったということでございます。大正初期の方からの年金分を処理をしているということで、厚生年金制度が日本で始まりましたのが昭和十七年でございますから、その意味から申しまして大変古くからの問題であり、したがってそういう意味で成熟が高まっておるということが一つでございます。  それから第二は、戦後大ぜいの引き揚げ者その他を国鉄ではお引き受けしたわけでございますが、それ以後一貫して定員を減らしてきておる。一番多いときに六十二万の職員がおりましたのが、だんだんと減らしてきて五十七年度予算では四十万を切ることになった。したがって、給付を受ける方の数が相対的に多くて、掛金を負担する方の現従業員の数が少ないということが第二の理由であろうかと思います。  それから第三は、これは何も私どもの年金だけではございませんが、近年、給与スライド、物価スライドということが年金システムの常識になってまいりましたので、それによって給付は、年金の場合には給与スライドという形で給付額がふえていっておりますが、これは本来のたてまえとしては、将来の所要額を見てそして掛金を計算すべきであったわけでございますけれども、その後の給付が給与スライドいたしますために掛金の掛け不足になっている、負担金も同様でございますけれども、そういう実態になっておるということによる点が大きい。  もう一つ国鉄特有の問題といたしましては、勤続年数が長いということでございまして、四十年、四十五年というような長い勤続年数の人もかなりおるということであり、かつ、同時にわが国の寿命が延びてまいりましたので、期間が延びてきたというようなことでございます。  いずれにいたしましても、三十一年でございましたか二年でございましたかに、国鉄の共済年金制度が発足いたしました当時には、ある程度は予測されたものでございますけれども、いろいろと予測されないものが出てきた。それが今日の共済会計の危機を招いたものであり、払わないわけにまいりませんので、いろいろな形でいま国鉄の方で負担をしている部分、異常部分が相当多い、ほかにもございますけれども、こうした事情によることではないかと思います。
  186. 広瀬秀吉

    広瀬分科員 いま総裁が説明されたような諸事情によって、国鉄の年金財政というものは国鉄財政悪化をバックグラウンドにしながら、これは大変な国鉄経営に対する圧迫要因にもなっているということだと思うわけでありますが、大体非常に成熟度が高い。しかもこの成熟度は、国鉄のいわゆる再建計画によって三十五万人体制、組合員の数がどんどん減る、それと反比例して年金受給者の数は急速に増加のピッチを上げていく、こういうことで鋏状差が非常に広がるということになっておりまして、もうすでに五十二年度で単年度収支では三百六十三億の赤字。掛金率、財源率等を上げまして、翌年は八十三億の黒字になった。しかし、少なくとも三年なり五年なり、本来ならば五年の収支計算の見直しなんですけれども、そういうようなことで掛金率も上げたり財源率を上げたわけですけれども、辛うじてその翌年だけ八十三億の黒字になって、五十四年にはまた八十六億の赤字が出る。五十五年度では百四十四億の赤字が出る、こういう状態になっておりますので、収支策定会議で千分の百七十七という飛び抜けた高い財源率を設定しておるわけであります。そういうことで、五十六年度は当年度の収支残八十六億が辛うじて出るという形になっておりますが、この負担ももう限界に近づいているのではないか、こういうようにすら思うわけであります。特に、同じ公共企業体、三公社あるわけでありますが、最も経営状態のいい、また職員構成等でも非常にノーマルな状態にある電電公社と比較をいたしてみますと、千分の五十四・五、パーセントにして五・四五%の差が財源率においてあるわけでありまして、非常に大きな差が出ている。同じ専売公社と比較いたしましても三・八五%の差が出ておるわけであります。国家公務員の九割近くをカバーしております連合会の関係と比較いたしましても五・四%の差が出ている、こういう状況になっておるわけであります。これを組合員の掛金率で比較いたしてみましても二%ないし三%ぐらいの差が出ている。しかも、長期給付のための掛金だけではなしに、組合員の諸君は、短期給付、いわゆる健康保険相当分の掛金が四・八%と、現状、五十七年度からは七・四%ですか、七・二八%ですか、そういうことになりまして、両方合算いたしますと一二・二%ですか、長期、短期でそのくらいの掛金率、そういう状態になる。これは、もうそろそろ負担の限度ではないか、こういうようにも見られます。他の共済組合とのそういう点での掛金率の差が非常にある。国鉄の場合はそういうところまでいっておるわけであります。  そういう点で、所管する大臣としては、現状の国民の生活水準なり、公務員あるいは公企体の給与なり、物価なり、そういうものを勘案しながら、掛金率について、どの辺のところまで耐えられると想定をされているのだろうかという点についてお伺いをしておきたいと思います。
  187. 永光洋一

    ○永光政府委員 いま先生がお話しになりましたように、国鉄の長期共済につきましての財源率と申しますか、掛金は非常に高うございまして、他の国家公務員共済あるいは電電等に比べて四割を超すような形になっております。  いま先生がおっしゃいますような、どの程度が限度なのか、もういっぱいではないかというような御質問なりお話はよくございます。これは、いま先生おっしゃいましたように、給与水準とか、あるいは全般的な消費の動向とかというような問題もあると思いますので、一概には申し上げにくいわけでございますが、よく言われますのはドイツの例でございまして、ドイツは財源率が一八五といったような数字が出ておりますが、これも全体のベースになりますと、俸給をどういうふうに見るかというようなこともございまして、はっきりしたことはなかなか申し上げにくいわけでございますが、現実には一七七という財源率はやはりかなり高額なものだと考えております。
  188. 広瀬秀吉

    広瀬分科員 これは、公務員関係あるいは民間企業の厚生年金あるいはその他の国民年金の掛金率、こういうものから比較いたしましても、もうまさに非常に突出した高負担であるということだけはだれも否定し得ないところであるわけであります。特に成熟度が七四、もう間もなく八〇になり、六十年で完全に収支のバランスは、これ以上掛金率、財源率をまた大幅に上げない限り、現行でももう大体限界だと思われるところまで来ている、それをさらに上げるというのはかなり困難がありますが、現状、最も高い千分の百七十七でいきましても、賃金支払い額がその収入をもうかなり上回って、財政的には完全にパンクせざるを得ないような状況はもう間近い。現状の線を引き延ばしていけば大体六十年でもう完全に破綻するであろう、そういう見方ができると思うのでありますが、その辺の見通しを、これは事務当局で結構ですから、示してみてください。
  189. 吉井浩

    ○吉井説明員 試算の置き方をどのような前提に置くかということでございますが、ただいま先生の御質問の線に沿いまして、もしも現在の財源率をそのままに踏襲する、また追加費用は実額発生ということで計算をしてまいりますと、六十年には成熟度が一一六になるということも反映をいたしまして、共済の収支といたしましては単年度約一千億の赤字を発生する、こういう計算になるわけでございます。また、仮にこれを掛金のアップ、財源率の調整ということでやるといたしますと、掛金が現在の約三倍程度にならざるを得ない、このような試算を一応いたしております。
  190. 広瀬秀吉

    広瀬分科員 そういうことでこの制度が成り立つかどうかということについて、運輸大臣は、責任大臣としてどのようにお考えでしょうか。
  191. 小坂徳三郎

    ○小坂国務大臣 国鉄の年金が現在のような情勢であるのは本当なんでありますから、このままでまいりますと、もはや単独でこの制度を維持していくことはほとんど不可能であろうとわれわれは思っておりまして、この対策は急がなければならぬと考えております。
  192. 広瀬秀吉

    広瀬分科員 六十年度で成熟度が一一六になる。もちろんこれは説明するまでもありませんが、現職の組合員が百人で年金受給者が百十六人である、端的に言えばそういうことを意味するわけでありますが、これがさらに五年後の六十五年には一二六までいきますということ、いまの国鉄の再建計画による要員計画などを勘案すれば、そうならざるを得ないという数字は出てくるわけです。これは大変な事態だと思うわけです。しかも、千分の百十六になった段階あたりでは、現行の三倍の掛金を掛けなければならぬということは、もう全く実現不可能のことである。これは日本の年金制度全体で最も成熟度の高い、出発の当初から非常に長い年月を経ているものであり、しかも成熟度がそういう状況になってくるということは、いまだかつて日本の年金制度の中で経験したことのない異常な事態にいま直面をしている、こういう事態を意味するわけです。これはもう単独ではとうていやっていけないということをいま運輸大臣も言われたわけでありますが、いまの財源率負担で、国が厚生年金には二〇%、法律によってちゃんと出しておりますし、また農林漁業団体職員共済組合では一八%、私学共済でも一八%と法律にちゃんと明文で書いておるわけでありますが、公共企業体の場合には国の負担分は一五%だということで出発しているわけです。そういう状況があるしいたしますから、少なくとも厚生年金並みぐらいに、国の負担を国鉄共済にも導入する。まあ国鉄の次には専売の成熟度がもう間もなく四割を超すだろう、こういうようなことになっている。電電公社は職員層が非常に若いということもございまして、新しい制度として出発した公共企業体であるだけに、これはまた二割程度にも達しないぐらいなんですけれども、そういうことでまず、そういう厚生年金なり私学共済あるいは農林漁業職員共済と同じように国の費用負担を引き上げていくということが、これを打開する一つの道として考えられる。あとは、もう組合員の負担をふやすということは方法としてはまず考えられない。とするならば、まず第一段階としてはそういう方法一つあるだろうと思うんです。そういう方向に向かって努力せられる余地は、大臣としてはいかがお考えでしょうか。
  193. 永光洋一

    ○永光政府委員 公社、特に国鉄の場合でございますが、先生御案内のように、従来国の特別会計でやっておりましたものを公共企業体として引き継ぎ、能率的な経営のもとで公共的使命を果たしておるということで、その職員に対しましても、やはり公経済の主体として国鉄がその部分を持っておりますし、持つべきではなかろうかと思いますので、その部分について上乗せかあるいはその部分について国が肩がわりをするということは一つのお考えとは思いますが、非常にむずかしい問題がありますし、三公社との兼ね合い等もございまして、やはりわれわれとしては公経済の主体としての国鉄の負担ということが適当ではないか、こういうふうに考えております。
  194. 広瀬秀吉

    広瀬分科員 ほかにも国鉄と同じように、公共企業体には現在公企体共済法の適用を受ける電電公社、専売公社があるわけでありますが、そういうところとの見合いの問題もあるというようなことで、国鉄にだけという点では、国の負担は一五%ということがもう当初から決まっておったわけなんだけれども、それを同じ公経済の主体なんだから、やがては大蔵省も——これはかつて大蔵委員会で私もずいぶんこの問題では論争をしたわけでありまするけれども、同じ公経済の主体であるという議論を展開をいたしまして、国鉄の財政が、私が論争したころからもう少し危ないぞという状況が出ていたものですから、私も心配をいたしまして、これはやはり国の負担というものをきちんと導入をしなければいけまいということを言ったのですが、公経済の主体であるから、これは目下のところ国鉄が持とうと国が持とうと同じことだ、いわゆるパンクするような状況になって、国鉄の独自の力では年金を支払えないような事態というようなときは、大蔵省がやはり国の財政当局として責任を持たざるを得ないというたてまえで進んでおることなんだから、という答弁をされておったわけなんですね。したがって、いまのままで大体そういうことであるとするならば、新しい国鉄財政全体の枠として考えるのかどうかは別として、やはりこの分を意識的に別扱いをして、これを一つの問題点として、その分に対して特例措置を講じて国の負担をきちんとしていく、先ほど申し上げたような年次別にいま一七七まで行きましたけれども、恐らくこれも来年か再来年にはもう完全にパンクするんだということはわかっているのですから、その段階では国がその足らず前は明確に負担をいたします、収支赤は大蔵省で負担をいたします、国が負担いたしますというようなことに持っていくつもりは、大臣としてはいかがでございますか。
  195. 小坂徳三郎

    ○小坂国務大臣 国鉄の年金問題はやはり共済年金制度全般との関連がいま御説明したとおりあると思うのであります。したがいまして、現在大蔵省で共済年金制度基本問題研究会というのをやっておりまして、伺うと大変精力的に会合を続けてもらっておるようでありますけれども、大体の結論がことしの前半には出せるだろうというような話も聞いております。私は、そういうような研究会の結論を得て、さらに国鉄国鉄としてのまた問題点を洗っていくという方向で解決への道を探ろうというふうに考えております。
  196. 広瀬秀吉

    広瀬分科員 大蔵省に国鉄問題だけ抜き出してということ、これもまたいろいろ他の制度との関連においてむずかしいだろうというお話でございます。そうだとすれば、もうまさに大臣が先ほどから一貫して答弁されているように、プールを大きくするといいますか、現状において、これは国鉄収支計画策定審議会でもそのように答申をしておりますし、また大蔵省の共済の基本問題研究会というようなところでも中間答申を出されて、そういう方向を打ち出されておるということでございまして、少なくとも同じ法律の適用下にある、公共企業体共済組合法の中での電電共済組合、専売共済組合、さらに国家公務員共済組合、そのほかこれは連合会も郵政も含めての話であるが、そういうところぐらいまではとりあえず制度を統合して当面の運用を図っていくというようなことでなければ、打開の方向はないだろう、私はこういうように思うのでございますが、その線でどのようなところにめどを置きながらそういう方向を進められるおつもりがあるか、そのことを大臣に最後にお答えをいただいて、時間が三十分というのは大変短いもので、もうこれ以上質問を続行するわけにいきませんけれども、そういう点でひとつ大臣の的確な御見解を聞かしていただいて、私の質問を終わりたいと思います。
  197. 小坂徳三郎

    ○小坂国務大臣 ただいま仰せられましたような国家公務員あるいはまたその他の公社、そうしたものとの連帯の中での国鉄の年金問題の解決という方途は、もちろん十分考慮されてしかるべき方向だと私は思っております。しかし、これをどのようにしてまとめていくかということについては、まだ具体的な問題点の煮詰めが進んでおらないのでありまして、いささか申し上げるのをはばかるのでありますけれども、この基本問題研究会においての詰めがまだ今日までのところ十分できておらないので、私どもといたしましては、希望は言えますけれども、確たる方針というものはいまちょっと申し上げかねるものですから、その点はひとつ御容赦願いたい。いずれにいたしましても、国鉄再建の最大の問題であることは間違いないという認識は持ち続けてまいるつもりでございます。
  198. 広瀬秀吉

    広瀬分科員 最後と言いましたけれども、三十秒くらい……。  臨調でも国鉄問題の柱としてこの問題を取り上げているということが、二月十八日の読売新聞のトップでこういう記事が出ておりますね。「国鉄年金を四共済と一本化」、まさに「国鉄再建のキメ手」とまで言っているわけです。この答申も恐らくこういう形で出る可能性もあると思うわけです。そういう問題も踏まえながら、所管大臣として精力的に、これが実現するような方向でひとつ御努力をいただきたい、こういうように要請をいたしまして、終わりたいと思います。
  199. 後藤田正晴

    ○後藤田主査 これにて広瀬君の質疑は終了いたしました。  次に、瀬長亀次郎君。
  200. 瀬長亀次郎

    ○瀬長分科員 私は、きょうは陸、海、空の国民の安全の問題、これはもちろん絶対守らなくちゃいかぬという観点を貫いておりますが、この観点から、きょうはいわゆる空の安全の問題について質問したいと思います。     〔主査退席、鴨田主査代理着席〕  まず最初に、具体的な話になりますが、ACMI、これは普通の国民にとってはなじみがたい言葉で、空中戦闘技量を評価する装置を鹿児島の永良部に近い硫黄鳥島、この硫黄鳥島は行政区は沖縄なんですが、奄美大島、永良部と三十マイルくらいしか離れていないんじゃないかと思いますが、ここを中心にして、いま申し上げましたACMIの装置をしようということで、去年からいろいろ問題になって、一番最初に新聞で取り上げたのは朝日新聞だと思いますが、それ以後沖縄の世論は非常に大きく高まって、これ以上アメリカによる空の占用使用を許してはならないという点は、ほとんどの県民、これは安保反対、賛成抜きであります。  そこで、最初にお伺いしたいのは、沖縄の空域をアメリカ駐留軍が占用使用しているのは大体何割ぐらいか。これはもちろん大臣でなくてもいいですから、政府委員の方で簡潔に、二〇%なら二〇%、三〇%なら三〇%というふうなパーセンテージでいいから、それを示してほしいと思います。
  201. 武田昭

    ○武田説明員 空域で米側が占用的に使用しているものについての面積的なパーセンテージという数字は、なかなかつかみがたい点があろうかと思いますが、現在、沖縄周辺で米軍の演習区域ということで使われております区域は十六カ所ございます。
  202. 瀬長亀次郎

    ○瀬長分科員 何%ぐらいになりますか、全空域の。
  203. 武田昭

    ○武田説明員 どの範囲の中でパーセンテージを押さえるかという点がちょっと問題になろうかと思いますが、航空路監視レーダーが八重岳にございまして、そのレーダー覆域内で計算をいたしますと、三〇ないし四〇%ぐらいが演習空域になっておろうかと思います。
  204. 瀬長亀次郎

    ○瀬長分科員 大体の統計で四〇%となっておるので、まず正確に近いんじゃないかと思います。  私がこれを真っ先に聞きましたのは、沖縄の空域はいまでも四〇%以上がアメリカ駐留軍によって占められている。これ以上空域をアメリカにやられると、いまでも沖縄の空のニアミスは全国平均の一・五倍であるということは、専門家の統計であらわれております。  もう一度お聞きしたいのは、あの硫黄鳥島は永良部の近くですからね、あれにACMIの装置が設置されると、その空域はどのくらいの広さか、これは運輸省ではわからないですか。
  205. 田中滋

    ○田中説明員 アメリカ側が昨年八月に設置を希望してきました米側計画案によりますと、東西約八十キロメートル、南北約六十キロメートル程度になろうかと承知しております。
  206. 瀬長亀次郎

    ○瀬長分科員 これは、平方マイルとかということで、大体幾らぐらいになるのですか。こう、何か不等辺の四角形みたいになっているんでしょう。その空域の全面積、これはちょっとわからないので、こっちが三十マイル、こっちが四十マイルごうごうということでは、その広さがわからぬわけですよ。幾らぐらいありますか。——それでは、お答えできなければ、この地図、これは正確なものです。ちょっと見てください。この地図に書かれた赤線が……。
  207. 田中滋

    ○田中説明員 米側の計画案によりますと、これは図示されているものでございまして、正確な面積の記入はございません。
  208. 瀬長亀次郎

    ○瀬長分科員 正確なものはないというのですか。
  209. 田中滋

    ○田中説明員 昨年八月の米側の計画案によりますと、正確な面積の記述はございません。
  210. 瀬長亀次郎

    ○瀬長分科員 運輸省にお聞きしますが、このいま政府委員が発表しました空域、これは国際路も国内路もあるのですけれども、毎日平均何機ぐらいここを通っているのですか。
  211. 松井和治

    ○松井(和)政府委員 先生御承知のように、沖永良部は航空路が集中をいたすところでございまして、沖永良部周辺を通過いたします航空機は一日平均約百四十機程度でございます。  ただいま御指摘のACMIの米側が希望しておる区域を何機通るかということは、これは航空機が飛ぶ経路がどの空域をとるか判定が非常にむずかしい面がございますけれども、おおむね沖永良部の西方海上がそれに相当するといたしまして、ただいま申し上げました百四十機の約三分の一程度、五十機弱程度が沖永良部の西方海上空域を通過しておる、こういうことでございます。
  212. 瀬長亀次郎

    ○瀬長分科員 この地図をちょっと確かめてください。これに間違いないかどうか。赤線、ここにブイが打ってある。——間違いありませんか、大体ここら辺……。
  213. 田中滋

    ○田中説明員 大体そういうことでございます。
  214. 瀬長亀次郎

    ○瀬長分科員 大体これに一致する……。余りはっきりしないようだが、大体こういうことだろうということですが、いま申し上げましたように、これは沖縄の空が四〇%も占用されているという問題で、特に広いところは——マイク・マイクとかインディア・インディアとか占領軍時代からいろいろ名前がついておって相当取られていて、その空域が取られると現在の民間航空——民間航空は、いま話がありましたように日本航空と全日空、これに少々香港行きのタイ航空で、この交差点みたいなところであるのですね。交差点というよりターミナルみたいなところ、ここを通らなければ行けないというふうなことで、これを取られた場合どうなるのか。  たとえば、これは全運輸労働組合の調査団が沖縄に行ったときに発表した問題でありますが、一つは、米軍管轄時代から、硫黄鳥島上空は管制上重要な空域で訓練空域を設定しなかった。最初の指摘です。二番目に、現在は米軍と民間のそれぞれの出発機と到着機が錯綜し、ニアミスなどの危険が多くなる。三番目が、民間機は高度制限や迂回飛行で燃料消費が増加し、航空運賃の高騰にも結びつく。四番目に、東側に迂回した場合、航行援助施設がなく安全上問題がある。五番目に、北風の場合は那覇空港の出発機は那覇市街地上空を飛行することになり、騒音公害に結びつく。最後に、現在の管制区域の四〇%以上が軍用空域で、ACMIが建設されると軍用空域が拡大され、軍用機とのニアミスなどの危険が増加する。この六点を指摘して、絶対反対の態度を表明したわけであります。  これと関連しまして、全運輸労働組合の沖縄支部の中村支部長はこう言っています。「復帰で空は帰ってきたがその中身はかえってこなかった。まだ”オキナワの空”である。雫石の教訓を生かして訓練空域と民間航空路を分離し、民間機の安全を確保すべきだ」。これはほとんどの国民の意思を代表しているのではないかと私は思いますが、この点、運輸省としてはどういう考えを持っているか、最後にお聞きしたいのです。  その前に、いまこの地図でごらんに入れたものの中に五カ所のブイ、直径十メートルぐらいの大きいブイが置かれる。そこで、ブイの周辺海域ですね、幾らぐらいの広さが禁漁区になるか、おわかりですか。
  215. 田中滋

    ○田中説明員 米側が提案してきております計画案によりますと、航空機の位置、姿勢等を把握するために必要な通信装置を搭載しました洋上ブイは五個設置したい、その各ブイの周辺のきわめて限られた水面のみを米軍は使用したい旨述べております。
  216. 瀬長亀次郎

    ○瀬長分科員 大きさも言いましたように相当大きいのですよ。そのブイの周辺大体何マイルぐらいあるいは何キロぐらいが禁漁区になるか、これわかりますか。
  217. 田中滋

    ○田中説明員 各ブイは海面上に漂うといいますか、設置されるわけでありまして、これをアンカーをもちまして海底に固定する必要がございます。したがいまして、その海上ブイの破損もしくはその海上に固定している場合のロープの切断等を防ぐために必要な、きわめて限られた範囲内の水域のみが米軍占用になるかというように理解しております。
  218. 瀬長亀次郎

    ○瀬長分科員 水産庁だれか来ておられますか。——いま海の問題を問題にしたのですが、私向こうへ行ってよう知っているのです。硫黄鳥島は、いま申し上げましたように鹿児島に近いでしょう。イカの名産地なんです。もしそういったような制限された——あれは空域や水域に関係しますから、水産庁としてこれに対し何か御意見ありますか。また、いま初めて聞くのですか。
  219. 鳥居秀一

    ○鳥居説明員 お答えいたします。  お話自体といたしましては、先ほど田中調整官からお話がございましたように、昨年の十一月ごろから伺っております。その問題につきまして、私の方としても検討はしておるわけでございますが、漁業実態といたしますと、いまございますのは主に小型のマグロのはえ縄漁業というのが大体中心でございます。それからもう一つは、その他の釣りの漁業というのが六、七月ごろございます。大体それが中心でございまして、本当の意味での主たる漁業というのは必ずしもないというのが実態だろうと思っております。
  220. 瀬長亀次郎

    ○瀬長分科員 このACMIの問題が起こったのは去年ですが、いつ水産庁は知ったのですか。
  221. 鳥居秀一

    ○鳥居説明員 私たちが連絡を受けましたのは去年の十一月でございます。
  222. 瀬長亀次郎

    ○瀬長分科員 これは専門家の話でもありますが、硫黄鳥島周辺の空域は雷雲発生の多い空域であり、回避のためのレーダー誘導、あるいはデビエーション等の要求が多い。特に夏季では日常茶飯事となっている現状であるわけだから、現在でもW一七九、W一七三米軍空域等がこのための障害となっているが、制限空域を航空路に近接して設置すると、ますます支障を来すおそれが十分ある。  これは相当権威ある人々の意見でございますが、こういった場合、特に私もう一つお伺いしたいのは、F15ならF15が二機対二機で戦闘技量をやる。あれ実弾を撃つわけにいかぬですから、そうすると戦争になるわけだから、空砲で撃つ。その場合、一機と一機がやりますね。その範囲、大体何マイルぐらい必要になってくるか。三十とか四十マイルというのがなければ、そういったような発進、始動それから戦闘行動ができないわけでしょう。そういった大体何マイルぐらい——私それを聞きますのは、どのぐらいの広い空域がなければいかないかという基準はそこからくるのですよ、戦闘技量ですからね。どうでしょう。
  223. 田中滋

    ○田中説明員 米側の提示してきました計画案によりますと、先ほどお答えしましたような範囲の、まあ不等辺四角形と申しますかという範囲の、一定の限られた空域を、ACMI、戦技訓練評価装置の空域として米側は占用したいという申し入れでございますが、その中のさらに一定の限られた円形の空域におきまして、文字どおり評価装置が正確に機能するという空域ができるかと承知しておりますが、一般的に申しまして、このACMIが正確に所期の目的どおり機能する空域の範囲は、このACMIそのものを構成しております各要素の性能、設置場所等に大きく依存しておりまして、理論的にはその空域そのものは一定の何マイルあるいは何十マイルというものではございませんで、これは言うならば弾力的といいますか、そのときの事情に応じて文字どおり決まっていくというように私どもは承知しております。
  224. 瀬長亀次郎

    ○瀬長分科員 いまのACMIの設置の問題は、普通の空域と違いまして、まさに陸から言えば交差点、ターミナル、そういったような、自動車の集まってそこを通らなくてはいけないといったようなところで、しかも戦闘訓練をやる、まさにこれは思うだけでもぞっとするのですよ。普通の空域、占用使用している空域とは違って、空中でもう四六時中戦闘訓練をやっておる。これはまさに空の安全を脅かすことはなはだしいと私思いますが、この際防衛施設庁はどう考えるかということは私は聞きません、これはアメリカの代弁をされたのでは困るので。  私、もちろん、最初から申し上げましたように、現在以上にアメリカの、日本空域を拡大して占用使用を許さないということが、空の主権を守り抜くという観点からも、さらに空の安全を確保する上からも、一番大事ではないか。  運輸大臣は、わかりやすく言えば空、陸、海、この行政の長であられるだけに、これはやはり国民の、これは決して沖縄の硫黄鳥島の上空だからあるいは鹿児島に近いからということではなくて、空の安全といえば、いまおっしゃったように、そこを通過する飛行機の数を見てもわかるように、さらに国際線、これは日本国民の問題だけではなくて、世界的にも大きい影響がある問題であるわけなんです。  したがいまして、この際、いま私は労働組合関係の調査団の団長、さらに沖縄運輸の支部長の話などもやりましたが、最後に、運輸大臣のこのACMI設置に対する姿勢といいますか考え方、これを述べてほしいと思います。
  225. 武田昭

    ○武田説明員 日本の空全体をながめますと、航空交通の流れのための航空路その他の空域もございますし、それから訓練等の運用目的に設定されている空域もあるわけでございますが、従来からそういった訓練空域等の設定に当たりましては、運輸省といたしましても、防衛庁その他関係機関と事前に十分な調整を図りまして、航空交通の円滑かつ安全な流れというものを確保していく、そういった面で遺漏のないような配慮をして今日まで対応してきておるところでございますが、今回アメリカ側から提案されておりますACMIにつきましても、ただいま申し上げましたような観点から、十分に慎重に検討を行いまして、今後対処していく所存でございます。
  226. 瀬長亀次郎

    ○瀬長分科員 大臣の、慎重に検討するということになると、オーケー言うかもしらぬでしょう。私の聞いているのは、運輸大臣として空の安全を守らぬといかぬでしょう。これ以上これを許すと、慎重審議もないですよ。もちろんそれは事務当局でそうかもしれないが、運輸大臣として、きっぱり、全空の安全の点からいっても、やはりこれは回答は拒否すべきだ、こう新聞にも書いてあるのですよ。一月二十八日、これは朝日ですか、「運輸省米軍に一応拒否回答」ごらんになったでしょう。私はそういった方針で貫いてもらいたいと思うのですが、時間が来ましたので、最後に大臣の所見を伺いたいと思います。
  227. 小坂徳三郎

    ○小坂国務大臣 いまお話がありましたACMT設定につきましても、実は、これがたまたま航空路の相当な要衝の点に当たっているという事実もあるので、こうしたことは非常にわれわれとして困るというので、防衛庁並びに外務省を通じて、この問題については、さらに先方の配慮、再考を促すということで、現在交渉を続けてもらっていると了解しております。
  228. 瀬長亀次郎

    ○瀬長分科員 私はぜひ大臣に国民の期待を担って行動してもらいたい。いま以上に空を占領軍に占有されると、空の安全が脅かされる。これが全国民の願いなんです。この願いにこたえることのできるような毅然たる姿勢をもって臨んでほしいということを最後に要望して、質問を終わります。
  229. 鴨田利太郎

    ○鴨田主査代理 これにて瀬長君の質疑は終了いたしました。  次に、渡辺貢君。
  230. 渡辺貢

    渡辺(貢)分科員 国鉄総裁にまずお尋ねしたいと思うのですけれども、この六月に東北新幹線の大宮暫定始発、引き続いて十一月には上越新幹線の大宮暫定始発というふうに、ある意味では、東北や上信越の方の待望されている新幹線の始発がいよいよ始まるわけでありますけれども、当面は大宮暫定始発ということであります。この暫定始発や今後の新幹線の問題を踏まえながら、大宮、浦和、与野、上尾、伊奈、四市一町で埼玉県における新幹線自治体とも言われるような中核都市構想などが検討されております。検討はされているわけでありますが、やはり前提になるのは、主としては埼玉の通過圏、大宮の始発でありますけれども、そういう点で環境の問題、騒音や振動の問題、国鉄では八十ホンをクリアするというふうなお話もありますけれども、名古屋における公害訴訟の問題などを踏まえて、こうした環境基準の問題。  それから二つ目は、試行中に何か車両に欠陥部分があったということで、暫定始発までに全面的に点検、改修をしなければならない、こういうようなことも報道されておりますけれども、まず、その二点について最初にお尋ねいたしたいと思います。
  231. 高木文雄

    高木説明員 東北新幹線、上越新幹線は予定より大分建設がおくれたわけでございます。ちょうどその間、名古屋におきます新幹線騒音振動訴訟というものがありまして、私どももいろいろ反省させられるところが多々ございました。  そこで、片っ方で建設がおくれましたことを一つの奇貨といたしまして、さきにできました栃木県の小山を中心とする部分を試験線として利用いたしまして、私どもの技術陣のできる限りの知恵を集めて、小山の試験線で主として騒音、振動問題を中心に研究をいたしました。その結果、新幹線から出てくる騒音、振動がどういう部分から出てくるかということが大分明らかになってまいりましたので、全線を通じまして、相当騒音、振動のための対策を建設の際に織り込んだつもりでございます。したがいまして、当面その目標である八十ホンという数値につきましては、全線を通じまして下回ると考えております。特に大宮から南の方につきましては、今後の問題でございますが、あそこの建設について御承認をいただく際に、埼玉県の知事から、この点を非常に厳格に条件としてお申し入れを受けておりますので、大宮以南の地区についての騒音、振動につきましても、いまこれから工事が盛んになるわけでございますけれども、十分その点を織り込んでまいりたいと思います。  それから、車両故障につきましては、総論的に申しますと、どうしても新しい車両——新しい車両という意味は、東海道新幹線と今度の東北・上越新幹線とは、外観は同じでございますけれども、内部のいわばからくりとしてはかなり違ったものになっておりますので、したがって、新しいタイプの車両でございますから、どうしても多少の試験操業期間中にトラブルが起こるのはやむを得ないといいますか、むしろそれを予測して試験運転をやっているわけでございます。ウイークポイントを発見して、それを修理いたして、大体本格開業には差し支えがないという見通しを得たところでございますが、この点、技術的なこともございますので、担当常務に答弁させます。
  232. 坪内亮嗣

    ○坪内説明員 ブレーキの関係で、昨年十一月二十五日でございますが、モーターがフラッシュオーバーをしたわけでございますが、これは数日間当時運転しないで、新しいレールでさびが非常に浮いておったという事情もございまして、ブレーキをかけましたときに、列車のスピードを検知する車軸が滑ったということであります。滑りましたものですから、自分のスピードが遅いということで、モーターのブレーキを一応開放いたしました。また再粘着といいますか、またモーターが正規に回転し出したものですから、また電気ブレーキが指令されました。たまたまブレーキ装置としては、そういった速度の低いところでブレーキがかかるように準備をしておったものですから、そのために大電流が流れまして、整流子面上で火花が出たというのが実態でございます。こういった例は東海道新幹線ではいままでございませんで、やはり新しいレールでしばらく運転しなかったということで、こういう現象が起こったということでございます。しかし、こういうことはもちろん当然想定していかなければいけませんので、これにつきまして、さらに粘着のいい滑走検知の仕組みをつくるということ、そして万が一そういった事態が起こりましても、モーターに過大な電流が流れないような仕組みに変更をいたしております。これは簡単な仕掛けの変更で済みますので、本年度じゅうに全車両終了する予定でございます。
  233. 渡辺貢

    渡辺(貢)分科員 いまお話がございましたけれども、当然車両の安全性の確保の問題が前提になると思うのですが、八十ホンはクリアできる。ただ、環境庁の基準などで見ますと、住宅街などを通過する際は、大体七十ホンという基準値が出されているのですね。これはある意味では、人間の生存上最低の基準値じゃないかと思うのです。特に県南部に入ると、まさに人口の稠密地帯でございます。八十ホンはクリアできるけれども、この基準値の七十ホンまでやはり下げてほしいというのが、一つは県南の住民の皆さんの要望でございましたし、そういう意味からも、当初要望として出ていたのは地下化という問題なんですが、この辺の七十ホンという目標についてはどんなふうにお考えか、簡単で結構です。
  234. 半谷哲夫

    ○半谷説明員 先ほど総裁答弁いたしました小山の試験線の成果を踏まえて、いま対策をしておるわけでございますが、小山の試験線で私どもがいわゆる音源対策、音の出る場所において音を防ぐ音源対策として私どもとして得たものは、八十ホンはほぼ達成できるというところまでは技術的な見通しをつけました。それから七十、七十五というレベルにつきましては、実は数字的には八十に比べましたら五ホンとか十ホンというわずかな数字でございますけれども、これは音の振動という騒音という面から見ますと、エネルギー的には相当の減を図らなければこのホンが下がらないわけでございます。そういう検討をいろいろしているわけでありますが、七十、七十五に達するには、もう少し技術的に検討する必要があるというふうな結果であります。したがいまして、私どもとしては、小山の試験線ですべて終わったと考身ておりませんで、今後も技術的な検討を続けていくつもりでありますけれども、世界の鉄道その他見ましても、やはり音源対策というものが今日ただいま実用できるものとしてはまだまだ残されている問題があるわけでございます。したがいまして、環境対策としては、環境基準にも示されて去りますような障害防止対策というようなものも場合によっては必要かと考えますけれども、大宮以南につきましては、線形上速度が二百キロという速度を大分抑えて走るという計画を立てておりますので、大宮以南につきましては、この環境基準の開業後三年ないし五年後に達成すべき目標とされております七十五ないし七十がほぼ達成できるのではないかという見通しであります。
  235. 渡辺貢

    渡辺(貢)分科員 ぜひそういう努力を引き続き進めていっていただきたいと思いますし、きょう、戸田で起工式があった。しかし、現実にはまだ住民の皆さんの全面的な合意をいただいていない。部分的にはいろいろペンディングになっている問題等もございますので、とりわけ県南の問題については、今後十分合意が得られるように御努力をいただきたいと思うのです。  そこで、新幹線が全面的に開通するということになると、東北だけでも三十本、上信越を含めると五十本近くになるわけです。こうなると、現在の通勤問題とあわせてそれがダブルしてくるわけで、東京への通勤にもかなり大きな影響があろうかと思うのですね。  最近、国鉄の首都圏本部で、そういう点も想定されて京浜東北線の増発の問題あるいは東北貨物線の高速通勤線というか、そういうものへの転用の問題。また、これは国鉄の中でも黒字、ドル箱であると言われておりますが、高崎線、東北中電、こういうものについてのいろいろ御検討があろうと思うのですね。埼玉から東京への国鉄を利用しての通勤者は大体五十万から六十万、もっと多いと言われておりますので、そういう総合的な通勤対策が求められていると思うのですが、この点について、そうした面からの首都圏の対策、ありましたらお伺いいたしたいと思います。
  236. 半谷哲夫

    ○半谷説明員 ただいま御指摘のように、東北線、高崎線の中電、東京から言いますと五十キロ圏あるいはそれ以上の地域から通勤、通学をなさるお客さんが非常にふえてきております。現在、東北も高崎も中電は十五両編成で、大宮から旅客線複線一本にしぼられますので、ラッシュ一時間それぞれ九本九本ということで、十八本が上野に入るというのが現状でございます。そのほかに、大宮折り返しの、大宮ドンの電車も一部入っておりますが、上野へ入るということになりますと、ただいまの輸送力がほぼ限界かと考えております。それから京浜東北線につきましても、御承知のように、これは大宮まで行って折り返しております。これも現在相当の輸送力を持ってやっておりますけれども、それほどすいたという状況じゃなくて、相当込んでいるわけであります。  それで、今後の対策としていろいろ問題があるわけでありますが、今回、大宮以南の東北新幹線をつくるに際しまして、これと併設いたしまして通勤用の複線の線路を現在大臣の御承認をいただきまして建設中であります。これはまさに都市交通、通勤、通学用のものでありまして、大宮以北ももちろん影響を受けるわけでありますが、主としてこの大宮以南の沿線地域、途中駅を十駅つくるという計画にいたしておりますから、これによってその地域の通勤、通学輸送というのは非常に便利になるし、また現在の京浜東北線なり中電なりからのお客さんの転移も考えられるということでありますから、それによって北向き、北方面の輸送力としては相当の強化ができると考えておるわけであります。  それから、貨物線の利用の問題でありますが、これにつきましては、部内的にもいままでにずいぶんいろいろ検討はいたしております。いたしておりますが、まだこの貨物線の利用のあり方につきまして、こうすると決めたものはないのでありますが、旅客用に利用するには、実はあのままでは使えない技術的な問題、相当の工事をしなければならないというような問題もあります。そういった面、それから今後の貨物輸送のあり方等も絡んでおります。そういうものを含めまして今後の対策を考えておるわけであります。  いずれにしましても、今回の対策として、通勤線を東北新幹線の建設に合わせてやっていくということが、首都圏全体を見ました場合に、この方面に対しては非常に強力な将来に向かっての対策が立てられていくということが言えるのではないかと思います。
  237. 渡辺貢

    渡辺(貢)分科員 通勤別線の問題でございますけれども、東北線中電を見ますと、昭和四十六年九本が現在も九本ですね。それから高崎線も最近やっと一本ふえたわけですけれども十本、それから京浜東北線の場合には十六本、これは変化ございません。特に最近の埼玉の傾向を見ると、大宮以北への人口の増加が顕著なわけです。通勤別線の場合には、県南中央部西地域を通りまして宮原ということになるのですが、この延長の問題なども含めて、今後ひとつ十分な御検討をいただきたい。  それから、あわせて川越線の電化の問題。これも長い懸案でございますし、それから当初貨物線を主にして発足した武蔵野線の場合も、昭和四十八年に比べると大変利用率が高くなってきている。一日の中で朝の通勤時間帯が大体三三%集中するということですね。これはほとんどふやされておりませんので、そういう意味での総合的な対策を要望しておきたいと思うのです。  それから、私も毎日京浜東北線を北浦和から利用しているわけなんですが、特に夏など冷房車でないと大変な苦しみですね。浦和の電車区でお話を聞いてみますと、夏のラッシュ時などは、乗客一人が消耗するエネルギーは五ワットというようなことで、五ワットの電球がつくくらいの消耗をする。私もたびたび要望しておりますけれども、冷房化は六〇%を超えていると思うのですが、この点について簡単で結構ですけれども、見通しなど対策をお答えいただきたいと思います。
  238. 橋元雅司

    ○橋元説明員 お話にございましたように、昨年の夏の冷房化率は京浜東北線で六六%でございます。京浜東北線につきましては、比較的新しい車両でもございますし、一部冷房のための改造等も進めまして、さらに一層冷房化率の向上に努めたいと考えておりまして、恐らく今年の夏には七〇%台に乗せられるのではないかと目下検討を進めておるところでございます。
  239. 渡辺貢

    渡辺(貢)分科員 あわせて、ラッシュ時など本当に超過密のダイヤなんですね。お話を聞いてみますと、始発の五時前後から終車の朝一時まで百数十本、二百本近いものが通る。最近ちょっとした事故が非常に多いのです。架線の故障だとかそれから信号機だとかあるいはレールだとか、そういう故障が非常に多い。一昨日も、ちょっと私来る途中でしたけれども、御徒町で架線の故障があった。ちょっとした故障が多いのですが、労働者の皆さんの大変な御努力によって、幸い大事故に至らないでほぼ未然に防いでいるというのが現状だと思うのです。  しかし、このまま放置しておきますと、重大な事故を誘引しかねないというふうに私も毎日乗りながら痛感をしているわけなんですが、たとえば京浜東北線、側線なども入れると八十数キロ、この中で線路保守、検査の作業に当たられていらっしゃる労働者の数は五、六十名というふうにも聞いております。そういう点で、こうした事故を未然に防いで保守、保安の体制を強化していく、これは大事だと思うのですね。それから駅なども、十二両編成でして、これは上下線がすれ違いますと駅も大変だと思うのです。浦和や蕨など一日の乗降客が十五万から二十万というふうに聞いておりますし、それに比べて駅員の皆さんの数は決して多くはない。民鉄に遜色がないくらいの数で、保守のために大変な努力をしていらっしゃるということを聞いているわけですが、大体一年間にそういう種類の架線だとか信号などの事故の数がどのぐらい現在起きて、それに対する対策等、簡単で結構ですけれども、お答えいただきたいと思います。
  240. 坪内亮嗣

    ○坪内説明員 私ども運転しております場合に、十分以上電車に影響したものにつきまして把握をいたしておりますが、京浜東北線、根岸線もございますけれども、通して五十五年度ですと約百七十件でございます。五十六年度、まだ年度途中でございますけれども、一月までで百五十九件という数字が出ております。  それで、これに対しまして私ども先生御指摘のように、京浜東北線の重大性も十分認識をしておるわけでありますが、設備もそれに伴いまして、線路でございますとか、架線でございますとか、電源でございますとか、そういったものも普通よりも強化をいたしております。それからまた、せんだって十二月六日に京浜東北線の蒲田までとそれから山手線につきましてATCに切りかえをいたしました。これによりまして、一段と運転保安のレベルがアップできたというふうに確信をいたしております。  ただ、申しわけございませんでしたけれども、切りかえが終わりまして一、二カ月、初期故障的なものがございまして、利用者の方に大変御迷惑をかけたのでございますが、それぞれ全部原因が判明しております。それに対しましてはすべて対策も処置済みでございますので、そのうちに落ちつくことを期待をいたしております。
  241. 渡辺貢

    渡辺(貢)分科員 そういう点で一層の努力を要望しておきたいと思います。  それから、保安対策の中でちょっと盲点になっているというふうに思われますのが高架下の問題ですね。一昨年の八月にも、十七日に武蔵野線の西浦和駅のちょっと先で大変大きな事故がございまして、約五万本の古タイヤが燃える。そして二週間近くにわたって武蔵野線がストップをする。周辺の環境の問題としても大変大きな社会不安を醸成したわけであります。それで当線の高架下の利用の問題でありますけれども、倉庫であるとかあるいは駐車場、自転車置き場。特に地方自治体などは、通勤者の増加に伴いまして、特に自転車の方が多いということで、国鉄からお借りをして、私も南浦和等でいろいろお話しをしたことがございますけれども、なるべくそういう地方自治体やあるいは地域住民人たちに活用していただき、同時に十分な保安の体制、ああいう古タイヤなどを置くような倉庫などを設置させないようにということが大事だと思うのです。  そこで、一つは、現在その高架下にあるお店や倉庫の数がどのくらいになっているか。これに対する保安というか事故の対策。それからもう一つは、武蔵野線東部開発株式会社というのがあるというふうに聞いているのですが、これは国鉄の天下りの方が主要な役員を占めているということで甘くなっては困ると思いますので、ここに委託をしていく場合に、国鉄としてきちっと十分な保安監督の責任を持っていただきたいというふうに思います。その二点、簡単にお答えいただきたいと思います。
  242. 半谷哲夫

    ○半谷説明員 いまお尋ねのありました武蔵野線高架下の戸数というお尋ねでございますが、ちょっと戸数は把握いたしておりませんが、面積的に申し上げますと、全体の面積が十七万二千平米という大変大きな数字でございます。それで関連して申し上げますと、自転車置き場というお話がございましたが、いまこの全体のうちで自転車置き場等にお貸ししているところが十三件、約一万平米でございます。  高架下の利用に当たりましては、私どもとしては、安全上の対策を十分配慮しながら、かつ有効に利用して関連事業収入を上げていくという方面でも一生懸命努力しているわけでありますが、その場合に、地元から駅の周辺等で自転車置き場あるいはその他都市側としての使用の御要望が出てくるケースが多うございまして、その場合には、いろいろ御協議申し上げまして御便宜をお図りするということをやっているわけでございます。  それから、いまの管理会社の問題でありますが、これは実は管理会社に委託するというのにはちょっと歴史がございまして、それまで国鉄が個個に直接貸しをしていたわけでありますが、御承知のように、長い間にいつか又貸し、又貸しとなりまして権利が発生し、また管理も十分にできないというような現象があちこちで見られまして、多くの御批判を得たところであります。それにかんがみまして、国鉄としては、直接手の回り切らない面、これを管理会社をつくりまして国鉄の意思を体して適正な管理をやる、また借りたたな子が権利をやみからやみに売るというようなことは一切できないような仕組みを考えるということで始めたものでありまして、一種の国鉄の業務を委託してやってもらっていると申し上げていい会社かと思います。そういう会社に管理を委託して一般にお貸しするという形をとっておりますが、火災対策につきましては高架下施設物設置基準というものを設けまして、構造だとか内装だとかあるいは消火栓とかスプリンクラーとか、そういったものの義務づけをいたしておりまして、これらについて常に職員が直接現場を見回るということもありますし、またこれを管理会社あるいは借りている人に遵守してもらうということを常に喚起しているわけであります。立入検査等もやっているという状況であります。
  243. 渡辺貢

    渡辺(貢)分科員 その管理会社が実際上ああいう倉庫という、そして古タイヤというような事態を起こしているわけですから、その点は十分今後監督を強めていただきたい。  最後に一言、総裁、ぜひ、新幹線時代ということだけではなくて、こういう首都圏の通勤対策、保安対策の措置を十分にとっていただきたいと思いますし、また国鉄は公営交通の根幹でもございます。東北・上越新幹線で三千億の赤字だと言われたり、新しい施策をするとすぐお金を借りてそれの利息負担で大変だ、それが労働者にしわ寄せをされるという結果を生み、安全対策が放置されている、そういうことではならないと思うので、運輸大臣として、特にこうした首都圏における交通問題、重要でもございますので、最後に一言御所見を承りたいと思います。
  244. 小坂徳三郎

    ○小坂国務大臣 首都圏における交通対策並びにその安全対策はきわめて重要であると思っておりまして、この点、運輸省鉄監局を通じまして国鉄当局に十分注意を喚起しておるところであります。
  245. 渡辺貢

    渡辺(貢)分科員 終わります。
  246. 鴨田利太郎

    ○鴨田主査代理 これにて渡辺君の質疑は終了いたしました。  次に、平林剛君。
  247. 平林剛

    平林分科員 きょうは、私は、東海道新幹線の新横浜と小田原の間に、仮称ですが、相模駅を建設しようという構想が話題になっておるのです。地元、これは特に厚木の市長さんですけれども、新聞談話で、国鉄総裁と話し合ったら実現可能という感触を得たから第三セクター方式によって新駅を建設する、その方向に正式に旗印を上げる、こういうようなお話で、いま厚木の市役所の中に専門の事務局を設けまして、早急に細部の詰めをしたいと大分張り切っているのです。  本日はこの問題につきまして、感触というようなことでなくて、国会における国鉄総裁答弁としてはっきりした考えをお聞きしよう、こういうわけで質問に立ったわけでございます。  新聞報道によりますと、「相模駅の場合、地元と国鉄が具体化へ向けて一歩突っ込んだ話し合いに入ろうとしているのは事実である。」こういうお話でございますから、私どもそう理解しておるのですけれども、この際、総裁のお答えをいただきたいと思います。
  248. 高木文雄

    高木説明員 ちょっとその前に申し上げておきたいのですけれども、東海道、山陽新幹線が開業いたしましてから間もなく二十年になるわけでございます。それで、東海道新幹線はたまたま万博というようなことがありまして、思ったよりも早く成績が上がった。その後それを岡山まで延長し、さらに博多まで延長するというようなことが、東海道新幹線にかかわる私どもの主要な仕事でございました。ところが、昭和五十一年から若干東海道新幹線のお客さんの数が減ってまいりました。それはどういう理由によるかといいますと、たとえば中央道の自動車道がどんどん整備されていくというようなこともありました。また、私どもの運賃改定スピードがやや早くて、航空機との差が小さくなったということもありまして、若干お客が減りました。いろいろ営業施策を講じまして、五十五年、五十六年は横ばいないし若干傾向が変わってまいりまして微増の状態でございます。それにいたしましても、この二十年近い間にかなり顕著に出てきましたのが、「ひかり」のお客さんがわりあいにふえて、「こだま」のお客さんがどうも減りぎみだという問題がありました。そこで、これをどうするかというのが東海道、山陽新幹線の営業に関する私どもの基本課題でございます。その中の一つとして、若干駅をふやして、そして御利用しやすくして乗っていただいたらどうかなというのが今後の営業施策の一つとして考えられるところでございます。  ところで、東海道、山陽新幹線につきましては、建設以来今日までの間に駅を増設したのはわずか一駅、三島駅だけでございました。あとは原則としてお断り申し上げてきたわけでございます。それに対して、駅をつくれという御要請は、いままで私どもが承知している範囲内では、博多までの間で十二駅ございます。それらのお申し出につきましては、率直に申しまして入り口でもうお断りといいますか、ちょっと聞く耳持たぬといいますか、それだと到達時分がおくれることもありましてお断りをしてきたわけでございますが、ごく最近に至りまして私どもの気持ちとして、いままでお断りしてきました、ややかたくなな姿勢を崩して、場合によっては御相談に乗ることあり得べしという程度に、多少姿勢を変えたつもりでございます。決してまだまだ根本的に姿勢を変えたわけではなくて、多少弾力的に扱うべしというふうに考え方を変えつつあるというところでございまして、新聞報道では、私が関係の地元の方に、かなり積極的な考え方を持っているような受け取られ方で報道されておりますが、実はそこまで積極的ではなくて、いままでは絶対だめと申し上げてきましたが、対処方によっては考えないでもないというぐらいの感じに変えたわけでございます。  地元の方はもう十何年来、何度も御要請にお見えになっておりましたから、いままでと大分様子が違うなということで、非常に印象的にお受け取りになったのだと思います。したがって、そういうふうに地元で言っていらっしゃるのも無理からぬこととは思いますが、基本的にそう変えたわけではなくて、ややひもを緩めたというか、そういう感じでいま私は対処いたしておるわけでございます。
  249. 平林剛

    平林分科員 仮称相模駅の問題については、もっと突っ込んだお話をきょうは聞かしてもらいたいと思っておりますが、いま前段で基本的な考えが示されましたので、そのことをまず最初にお尋ねしておきます。  私の調べでは、東海道新幹線、山陽新幹線を含めていま十二の駅と言われましたが、新たに新駅をつくってもらいたいという要望は静岡県の富士駅、掛川駅、愛知県の三河駅、滋賀県の栗東駅、岡山県の備前駅、広島県の尾道駅、東広島駅、山口県の厚狭駅、それから福岡県の筑豊駅など、主なもので十二駅だ。  この間、私の方の厚木、平塚の市長さんがあなたにお目にかかったときに、大体三河と掛川と栗東は有望なんで、そして相模駅は最も有望だというようなお話を聞いて帰ったように聞いておるのですけれども、それは本当でございますか。
  250. 高木文雄

    高木説明員 私は、必ずしも順位をつけて物を言っているわけではないわけでございまして、いままでお断りしていたわけでありますけれども、それぞれ事情をいろいろ調べて、また私どものダイヤの都合あるいは技術的な問題、線路のカーブなり勾配の関係といったようなものから、可能なところと無理なところとをだんだん仕分けていきたいと思っておりますけれども、その前提としては、お客様に御利用いただきたいと申しましても、いま新しく駅をつくると巨額なお金がかかりますので、地元にも相当程度駅の設置について御負担を願わなければならないわけでございまして、そういう地元の負担能力といったものも大いに関係するということでございます。  いまお示しの幾つかの駅について、どっちが先だとか後だとか、どっちが有望だとか、そういう優先度をつけた物の言い方はしていないつもりでございますけれども、相模駅の関係の方が見えれば、余り極端に冷たい言葉遣いもできませんから、あるいは何かえらい好意的なようにお受け取りになったかもわからぬということでございます。
  251. 平林剛

    平林分科員 高木さんは、新聞記者会見では、相模駅を新設するかどうかという点は、いまお話があったような問題点があるから、地元が駅舎建設費をどの程度負担するかがかぎだというふうに記者の質問に答えておるわけですね。地元では、総裁から示唆があったということで、第三セクター方式による新駅建設、こういうようなことで検討を始めておるのでありますけれども、どうも総裁が示唆を与えたように私は聞いています。  この場合、新駅建設の総工費は大体どのくらいかかるか。一説には百七、八十億円はかかるという見込みでございますが、第三セクター方式というのは一体どんな構想を持っておられて示唆をされたのか。念のために言いますと、地元では約百億円の資金の調達ができれば、国鉄とタイアップであとは新駅が建設できる、こんなふうに考えておるようなんでありますけれども、第三セクター方式というのはどんなことを描かれてあなたは地元に示唆をされたのでしょうか。
  252. 高木文雄

    高木説明員 私ども、いままで新しく線路を敷きます場合には、線路の用地はいわゆる買収をして駅舎をつくるわけでございますが、その周辺用地につきましては全く手当てをいたしません。私鉄と比べて国鉄は非常に商売がまずいじゃないかということをよく言われますときに、私鉄さんの場合には若干なりとも周辺用地の手当てを前もってしておかれて、そして当然のこととして値上がりがありますから、その値上がりによる利益というものが私鉄経営に還元をしてくるというかっこうになるわけでございますけれども、私どもは、駅をつくってその地域の開発にお役に立ちましても、その周辺の土地の価格の変動に伴うところのメリットというものは私どもとは無関係になってしまう。それではもうちょっと商売気を出してもいいのじゃないかと思うのですけれども国鉄が不動産屋をやるというのもまた大変問題が起こってまいります。  そこで、第三セクターということで地元の方にお話をいたしましたのは、そういう事情にありますから、開発利益をある程度うまく把握することによって駅設置に伴うところの経費を相当程度捻出し得るのではないか。これは地域によっても違いましょうし、その建設費が幾らかかるかによっても違いましょうけれども、ある程度はそれによってできるのであって、地元負担をお願いするとしても、市町村なりあるいは都道府県なりの一般の財源に全部頼らなくとも、一部は開発利益の還元ということもあり得るのではないかしら。そのための方式としては、駅周辺開発のための何か工夫をなさって、そういうことによってまるっぽ都道府県、市町村の一般財源負担ということでなしにという方法もあり得るのではございませんかと、いうふうに申し上げたわけでございまして、私も別に、具体的に相模駅について建設費が幾らかかり、それによって開発利益がどのぐらいあり、よってもってそろばんに乗るとか乗らぬとかいう計算は全くいたしてないわけでございますので、少し無責任発言かもわかりません。
  253. 平林剛

    平林分科員 第三セクターという例は、結局地域の開発とか都市づくりをする場合に、その主役として地方公共団体あるいは国、民間企業の共同出資で設立される事業体というふうに一般的に理解されておるのですが、いまのお話は全くそれとは別のようです。しかし、実際上の問題として、いま総裁も、少し無責任かなという御反省を漏らされましたけれども、私は、なかなかむずかしい第三セクター方式じゃないのか、こう思うのですよ。国鉄は一銭も出さぬのですか。
  254. 高木文雄

    高木説明員 実は最近の例では、横須賀線が別線になりますときに東戸塚という駅が新設をされました。東戸塚の駅の建設費は大部分を市でもって持っていただいたわけですが、しかし市は、それは実質的には関係の周辺地域土地所有者等の分担を求めて、そして還元したわけでございます。ただ、あの場合にも一〇〇%市側であったか国鉄が若干出しましたか、その辺はちょっといまはっきり覚えておりません。  それで、東海道新幹線に仮に駅をつくるとした場合に、たとえば三島の駅の場合でございますと、ちょうどその際に必要なもろもろの設備を国鉄もつくらせていただきましたので、そういう部分は完全国鉄負担、ステーションビルについては三島の公共団体なり静岡県の負担ということで処理がなされました。  一文も出さぬということかと言われれば、それほどかたくなでもございませんけれども、しかし、いまのところは財政的に余りにも苦しくなっているものですから、最初のネゴシエーションとしては、国鉄も相当出しますということをちょっと言うわけにもいかぬというくらいの感じでお受け取りいただきたいと存じます。
  255. 平林剛

    平林分科員 いま地元で予定地とされております平塚市の場所は、現在は市街化調整区域のような住宅密集地でないところでございます。そこで、たとえば今後の採算という問題があるのですけれども、駅ビルを仮につくったとしても、実際採算がとれるのかというようなこともございますから、三島の駅のような例はちょっと該当しない。  それからもう一つは、地方自治体は、元来、これはもしつくるとすれば国鉄の駅舎そのものですから、こういうものに対して出資をするということは禁止をされておりますことは御承知のとおりでございます。そうなるというと、地方財政再建促進特別措置法によって国鉄の駅そのものにお金を出すというようなことは、曲がりくねった考えをすれば話は別ですけれども、非常に困難である。国鉄から相当出資してもらうのでなければ、地元負担あるいはいまのセクター方式が成り立たぬということになるのですけれども、何かひらめきがあるのでしょうか。
  256. 高木文雄

    高木説明員 新駅を新幹線につくりましたのは、三島だけしか例がございません。しかし、在来線では、駅を新しくつくるということ、地元の御要請に基づき、かつ地元の全額負担を前提にしてつくることはございます。ただ、その場合には地方負担になりますので、それはいまお示しの地方の財政再建に関する法律によって、自治大臣の許可でしたか承認でしたか、なければだめだということになっております。  そこで、現実にどうなっているかといいますと、全国で何カ所か毎年駅をつくってくれという話があり、自分の方で持ってもいいよという前提でお話が進む中で、自治省の御承認があるものと御承認がないものに分かれます。御承認の基準は、駅をつくることがどれだけ地域にとってメリットがあるかということを計算されまして、具体的には固定資産税評価額がうんと変わるというようなこともありまして、そして何年かで回収できるというのであれば自治省が御承認になるということでございまして、いまの地方財政再建法との関連では、法律上はだめということではなくて、そういう手続をとればよろしいということになっておりますので、その点はそういうふうに御理解いただきたいと思います。  なお、いまの相模駅について、地元負担の可能性ありや否や、第三セクターでどの程度メリットがあって、どういうふうにしてそろばんがとれるかどうかということは、先ほど申しましたように、全然そろばんなしで返事をしたものですから、その点だけは、御疑念をお持ちになるのはごもっともでございまして、むしろよほど慎重に御検討いただくように、機会があれば地元の方にも申し上げたいと存じます。
  257. 平林剛

    平林分科員 これからわれわれも検討しなければならぬ細部があるのですけれども、私、専門家でありませんから、国鉄当局で、これは総裁でなくても結構ですが、仮に新幹線相模駅というのができ上がった場合に乗降客はどのくらいに見ているのか。  つまり、私がちょっと調べたのでは、小田原駅で一日当たりで一万一千九百四十三人、それから新横浜で一万三百四十一名ということでありますから、この中間に駅ができたといたしましても、これの乗客数を超えることはない、むしろそれよりはるかに小さい数字になるんじゃないのかと推定をしておるわけです。素人だからわかりませんよ。でも、地元のことをよく検討してみますと、東京へ出てくる場合は——東京へ出るばかりじゃない、大阪やあっちへ行く人もあるけれども、東京へ出る場合は、あそこには小田急電鉄という会社がありまして、そして伊勢原であれば新宿へ出るのはそんなに時間がかからないし、秦野でも時間はかからないし、厚木にもあるということで、これは料金の問題もありまして、なかなかお客さんも多いわけですよ。仮に料金の問題が解決しなければ、そんなに乗降客がふえはしないのではないかというのが素人考えでございますけれども、専門家から見た場合はどのくらいと御判断なさっていますか。
  258. 高木文雄

    高木説明員 私どもも、まだそこまでは十分検討いたしておりません。おっしゃるように、新横浜、小田原での乗降客が若干減ってそっちへ移るということが一つと、それから誘発的なお客さんということでありましょうから、いまの趨勢から言えばそう大きくはないと思います。ただ、最近新横浜の乗降客が、まだ「ひかり」がとまっておりますのが幾らもないのですけれども、大変ふえておりますし、間もなく新横浜駅に地下鉄が伸びてきますと、新横浜の乗降は相当ふえることが予想されます。また静岡でも、最近「ひかり」がとまるようになりましてから急にふえてきたというようなこともございまして、乗降客数の見通しを立てることは専門の人間の間でもかなりむずかしいわけでございますが、それらにつきましても、いろいろのお申し出というか御希望のあります十一駅全体につきまして、少しずつ検討いたした上で判断をしたいと思います。いずれにしても、余りにそろばんとかけ離れたものであればいけませんので、慎重に扱わなければならぬことは御指摘のとおりでございます。
  259. 平林剛

    平林分科員 いろいろまだ聞きたいことはありますけれども、私は、いま質疑応答を通じて感じておりますことは、国鉄の新幹線がいずれは東北、上越と開通するわけでございますね。それが開通されれば、仮に東北からの分あるいは上越の分がそのまま東海道、山陽線に直通される、連絡ができる、こんなような構想があって、たとえばその場合の新幹線の客車の操車場とか退避場とかいうようなものをどこかに設けなければならない。この場合には新横浜と小田原の中間あたりにつくっておけば、国鉄の運営には何か便利じゃろう、そういう発想もあるのじゃないかというふうに推測するわけです。  実はかつて、東海道線の二宮と大磯の間が距離があるというので、そこへ駅をつくるのだという運動が起こりまして、何年かたってみたら、駅ができなくて貨物駅ができてしまった。こういうふうで、地元もだまされたことがあるのですよ。  今度の場合もそれが中心で、そして第三セクターで金だけは民間で出してくれよというようなやり方を、国鉄はまさかおやりにならぬだろうと私は思いますが、何かそんなようなにおいも感じまして、そんなことのないように、もしおやりになっていただける場合にはひとつやってもらいたいし、もしそういうことが加わってくるというなら、国鉄は相当持ってもらわなければいけませんよということは、くぎを刺しておかなければいかぬと思っているのです。いかがでしょうか。
  260. 高木文雄

    高木説明員 かつては、新幹線のお客様が着実にふえておりました。そうすると、車両をふやさなければいかぬということを内々頭の中に置いていたことがあります。そういう時期には、どこかに車両の滞泊地が欲しいなということも考えたこともないではございません。ただ、先ほど申しましたように、ここ四、五年はお客が減っておりまして、車両数も一時期よりは少し減らしております。でございますから、いまおっしゃいましたようなことはちょっと時間的にずれがあるわけで、前は多少そんなようなことが頭の中のどこかにあったかもしれませんけれども、現在は、いま車両の滞泊地が不足して困っているという状態にはございませんので、現時点ではそういうことは考えておりません。
  261. 平林剛

    平林分科員 どうも時間が参りまして……。  運輸大臣、いまの質疑応答をお聞きになりまして、はなはだ平林も地元優先で物を考えておるなというふうに、心の中ではちょっと軽べつされておるかもしれませんけれども、最後にちょっと運輸大臣、大局的な問題として御質問しておきたいと思います。  それは、国鉄再建という問題は、御承知のようにいま第二臨調の検討が続けられまして、政府の財政再建という観点から国民的な課題になっておりますね。衆議院でも国鉄再建の基本方向が示されたり、国鉄でも国鉄再建の基本構想案が練られたり、五十四年には閣議了解で、「日本国有鉄道の再建の基本方針」に基づいていろいろな仕事が進められておることは私もよく承知しております。いま私は、国鉄経営の再建に触れようと思っているわけではございませんが、とにかく国鉄は、地方交通線の問題から地方バス、特定の退職手当あるいは特定の年金の処理、頭の痛いことばかりでございます。高木総裁陣頭に立ちまして経営努力を続け、国鉄関係の労働組合も非常に協力体制をとっておりまして、ここ数年来見ますと、かなり経営努力しているなというふうに私は承知しておりまして、その点は非常に評価しておるわけであります。私は、臨調の目とは違う目で国鉄経営を眺めています。しかし問題は、過去の債務が非常に多いものでありますから、そのための利払いで国鉄は相当の重荷を背負っておることも事実でございます。現状は、率直に言いまして、多々ますます弁ずでありますが、引き続き経営の努力をしていただきたいと私は思っております。  いまの新幹線の新駅の構想に結びつけて申し上げますと、こういうふうに十二の地域、小さいのを入れれば十八くらいの要望があって、入り口ではね返していると言っておりますけれども、今後時代の要請とともに、地域のいろいろな問題は熱を帯びてくる場合があるのですよ。私は、かつて鉄道建設審議会の会長代理を一時仰せつかったことがありまして、いまは大分地位が低下したけれども、これはなかなか権威があって、方々からあれが来ますと、それを何とかやろうということで動く、そして政治的な路線ができる。今度の新駅なんかも、神奈川県の相模駅はやってもらいたいですよ。だけれども、これがまた過熱していきますと、これをいろいろな運動に使う人が出てまいりまして、政治的に利用する者があらわれてくる。国鉄総裁もそんなのに乗っかって、やたらにリップサービスをしちゃったらこれまた大変なことになるということで、私はきょう利益誘導的な話をしましたけれども、反面、政治家としては、そういう自制をしなければならないと思っておるわけなのです。     〔鴨田主査代理退席、主査着席〕 こうしたことを考えまして、余り政治的に取り扱うことによって、国鉄経営がそれで足を引っ張られることのないように配慮することが必要でありまして、そういう方面の大臣のお考えを聞いておきたいと思うのでございますが、最後にそれを伺って私の質問を終わります。
  262. 小坂徳三郎

    ○小坂国務大臣 平林さんのただいまのお話はよく承っておりまして、また、特にこの政治路線というものが今日の国鉄赤字になかなか大きな役割りを果たしておるということも、多くのこれに関連した方々が現在考えていらっしゃるところではないか。やはりそういったいろいろな反省が起こっておることが一つの大きな支えでございますが、われわれといたしましても、そうした政治的ないろいろな環境や感覚で、この重要な公益事業たる国鉄の基盤を砕くようなことだけは少なくともやりたくないと考えておりますので、またお気づきの点がありましたら御忠告を賜りたいと思います。
  263. 平林剛

    平林分科員 どうもありがとうございました。
  264. 後藤田正晴

    ○後藤田主査 これにて平林君の質疑は終了いたしました。
  265. 後藤田正晴

    ○後藤田主査 次に、昭和五十七年度一般会計予算昭和五十七年度特別会計予算及び昭和五十七年度政府関係機関予算中、建設省所管について政府から説明を聴取いたします。始関建設大臣
  266. 始関伊平

    始関国務大臣 建設省関係昭和五十七年度予算について、その概要を御説明いたします。  建設省所管一般会計予算は、歳入二百二億四千八百余万円、歳出四兆六百三十三億余万円、国庫債務負担行為五千二百八十七億八千四百余万円でありますが、建設省に移しかえを予定されている総理府所管予算を合わせた建設省関係一般会計予算では、歳出四兆六千二百四十一億六千九百余万円、国庫債務負担行為五千六百五十七億一千六百余万円を予定いたしております。  次に、建設省所管の特別会計について、まず、道路整備特別会計では、歳入歳出とも二兆一千七百二十五億五百余万円、国庫債務負担行為二千八十七億二千五百万円、治水特別会計では、歳入歳出とも一兆一千百六十三億一千五百余万円、国庫債務負担行為二千三百十四億五千六百余万円、都市開発資金融通特別会計では、歳入歳出とも四百七十二億九千百余万円を予定いたしております。  また、大蔵省と共管の特定国有財産整備特別会計のうち、建設省所掌分については、歳出六十七億七千四百余万円、国庫債務負担行為二十九億三百余万円を予定いたしております。  建設省といたしましては、以上の予算によりまして、住宅宅地対策、都市対策、国土保全・水資源対策、道路整備等各般にわたる国土建設施策を推進してまいる所存であります。  なお、建設省関係予算の事業別の重点施策の概要につきましては、お手元に配付してあります昭和五十七年度建設省関係予算概要説明によりまして御承知を願いたいと存じます。  よろしく御審議のほどをお願いいたします。
  267. 後藤田正晴

    ○後藤田主査 以上をもちまして建設省所管についての説明は終わりました。     —————————————
  268. 後藤田正晴

    ○後藤田主査 これより質疑に入ります。質疑の申し出がありますので、順次これを許します。土井たか子君。
  269. 土井たか子

    ○土井分科員 私、実はきょうは、本題は大阪湾岸道路計画についてお尋ねを進めたいと思うのですが、それに入ります前に、建設大臣、最近大変御苦労なすっていらっしゃることに、建設業界の例の談合の問題が大変あるわけであります。あちらこちらから告発がございまして、それに追われて大変な御苦労が昨今おありになることだろうと思いますが、またしても、かねてよりうわさの静岡市の新庁舎建設をめぐりまして、やはりうわさの業者が落札をいたしました。しかもうわさの金額で落札をいたしました。かねてよりうわさがございましたために、市民の方も早くから注目をいたしておりまして、その成り行きがどうなるかということは注視をされていたのでございますが、これは申し上げるまでもなく、もう大臣御承知のとおりで、この静岡の建設業界は、昨年の九月に談合の疑いでもって公正取引委員会の摘発を受けております。そういう実情がございます。  そこで、市当局は十二月に、入札に不正があった場合契約を取り消すという承諾書を全指名業者に提出させて、事前警告をしたといういきさつもございます。にもかかわらず、今回こういうかっこうになるに及んで、場所に市民が押しかけてくるからというので、急遽市当局は入札の会場を市庁舎から消防本部に変えるというふうな急なあわてぶりを、この入札をめぐって発揮したという事実もございますし、また市長自身は、起債の関係から今年度中に発注しなければならない、このことにせかれて、とかくのうわさがあっても仕方がないんだからというふうな発言すらかいま聞こえてくるわけでありますが、大臣、こういう問題についてはどういうふうにお考えになりますか。大臣御自身の御所見をひとつ承って、どのようにするかという対策も、もうここまで来ればお考えになっているはずでございますから、それもあわせて、まずこのことについてお伺いをしてから私は本題に入ります。いかがでございますか。
  270. 始関伊平

    始関国務大臣 静岡県について、今度の一連の談合騒ぎの発端になった事件がありましたことはよく承知をいたしております。建設省といたしましては、建設業ないし建設業界に対する一般的な監督指導の立場にございますし、もう一つは、非常に大きな発注官庁でございますから、そういったような意味合いにおきましても、談合の問題には非常な関心を持っておるわけでございます。  すでに御承知のことでございますが、談合が行われるということは、やはり発注の形態あるいは入札の形態などと非常な関係がございますので、ただいま中央建設業審議会で鋭意調査を進めていただいておりまして、すでに、従前は大体十社程度を指名するということでございましたのですが、これを四月一日からは大体二十社にする、これは建設省関係でございますが、そういう通知を出しました。それからなおまた、これは審議会の答申を待つわけでございますが、入札の経過、結果ですね、一回、二回、三回とA社、B社、C社がどういう順序でやったかというようなことで、経過をガラス張りにいたしまして、談合が行われにくいといいますか、そういうことにしようということでいろいろ工夫しておるわけでございますが、発注官庁は方々にあるわけでございますから、それぞれの場所でそれぞれ工夫をしていただきまして、たとえば市町村なんかでは余り年間の発注件数が多くないから、いわゆる指名じゃなしに、一種の一般競争入札、ある程度の制限つきでございますが、そういったような方法を講じておるところもあるようでございます。また、はっきりと違法だということがわかれば、建設業法にも多少の処分の規定はございますが、それぞれの試用期間あるいは準試用期間があるわけでございますから、そういうものに目を光らしていただくというようなことで、非常に幅の広い問題でございますから、各方面の力を総合いたしましてこの問題に取り組んでいきたい。  いずれにいたしましても、私どもの方も、こういう程度の談合はよろしい、これ以上はいかぬというようなことは考えておりません。すべて談合というものは好ましくないものであるし、不当なものである、こういう観念、基本的な姿勢を持って今後指導に当たっていきたい、また監督、監査に努めていきたい、こんなふうに考えておる次第でございます。
  271. 土井たか子

    ○土井分科員 すべての談合は悪であるという前提でお考えになっていらっしゃる建設大臣に、それならばもう一問お伺いをしますが、現行法を適用してそれに対する取り締まりをどうするかという問題以前に、今回のケースは公取委がいま審理をしておるところなんですね。摘発を受けているのですから、少なくとも公取委の審決が出るまでは入札を延期するというのが常識じゃないか。これは法を適用していろいろ取り締まる以前の問題ですよ。適正に担当者がそれに対しての取り扱いをするということが、大臣のお言葉の中にはやはりまず第一の問題だということをおっしゃっていますけれども、この場合、市当局からすれば、いま申し上げたことが今回のケースでは必要最小限度の考えておかなければならない問題であったと私は思いますが、大臣とされてはどうお思いになりますか。これ、公取委の審決が出るまでは入札を延期するということぐらいはあたりまえじゃないか。いかがでございますか。
  272. 丸山良仁

    ○丸山政府委員 事務的な問題でございますから、私からお答えさせていただきます。  いまの問題は、公取が静岡県の調査をやりましたのは過去の問題でございまして、その結論が出るまですべての入札がストップしてしまうということになりますと、公共事業その他が全部動かなくなるわけでございますから、そういうことはやはりできがたいと思います。  今回の問題につきましては、静岡市当局におきまして適切な措置を講ぜられることと思いますけれども、これは建設省の所管の事業ではございませんから、市の適切な対処を期待するものでございます。
  273. 始関伊平

    始関国務大臣 入札の行われます前に、いま先生おっしゃいましたように、今度はだれが入札するんだということが世間に周知のような印象になっている、また、実際市がやってみた場合にそのとおりになるという例が非常に多い、こういったような場合にどう対処するかということでございますが、いま官房長も申しましたように、これはそれぞれ発注する官庁が自分で指名業者、指名の日時を決めてやるわけでございますから、その判断に基づきまして、いままでは一応入札をやってから、入札の効果をしばらく凍結するとかなんとかいうようなことでやっておったようでございますが、もう一歩進めまして、そういううわさがある場合にはどう対処するか、非常にむずかしいところでございますが、先生のおっしゃるような問題があるという意識は私ども十分持っておるところでございまして、今後中建審の方で検討してもらいまして、そういううわさがあればすぐにじゃしばらく延ばせということを、私どもの立場で指導するというのもちょっと大胆過ぎると申しますか、やはりよほど検討しなければいかぬと思いますけれども、まさに御指摘のような問題があるということは、土井先生おっしゃるとおりでございまして、十分に承知しております。
  274. 土井たか子

    ○土井分科員 これについてはなおきめ細かにやっていったら大変になりますので、本題の大阪湾岸道路計画について少しお話を聞かしていただきたいと思うのです。  すでに神戸市の垂水区から大阪市南港の埋立地を経て、泉佐野市に至る八十キロの湾岸道路計画のうちにございます、大阪市の港晴から神戸市の六甲アイランドまでの計画、延長二十キロ、これについての都市計画が決定をされておりますが、この都市計画決定というのはいつでございますか。
  275. 加瀬正蔵

    ○加瀬政府委員 五十五年の七月八日に都市計画決定をしております。
  276. 土井たか子

    ○土井分科員 建設省の方とされては、建設委員会で私がこれを質問をいたしました節、できる限り早く都市計画決定ができるように、いろいろな資料を整えてそういう措置を講じたいとおっしゃったのが五十三年三月一日でございました。その後六月になりまして、各自治体に、計画決定のための資料となるいろいろなデータを建設省の方から提示されていると思いますが、それに間違いございませんね。
  277. 加瀬正蔵

    ○加瀬政府委員 間違いございません。
  278. 土井たか子

    ○土井分科員 私、手元に持ってまいっておりますのがそれだと思いますが、「大阪湾岸道路の計画概要 昭和五十三年六月建設省近畿地方建設局」と書いてございます。この文書が各自治体の方の基礎資料の中に入って、一応計画決定を考える場合にデータとして使用された、このように私たちは認識しておりますが、これも間違いございませんね。
  279. 加瀬正蔵

    ○加瀬政府委員 ただいま先生お示しの資料は、計画の原案を示しておるということで間違いないと思います。
  280. 土井たか子

    ○土井分科員 それに先立って、一九七七年ですから五十二年だと思いますが、「大阪湾岸道路調査概要」というのが、これも自治体に出たり、私どもの手元にもいただくような機会がございまして、ただいまこれも持参しておりますが、これを見ますと、五十三年の六月に少なくとも「大阪湾岸道路の計画概要」というのを資料の一つとしてお出しになって、それから各自治体では都市計画を練っていくという作業が始まったのです。順序からいくとそのとおりですね。それに先立つ五十二年に出されている調査概要の方、地図を見ますと、都市計画決定が、五十三年六月に初めて資料を受け取って、それから作業に入ったはずの地域に、もうすでになされたがごとくこれは地図になっているのですよ。ちょっとごらんいただけませんか。委員長、ちょっとお許しいただいて大臣にもお見せしたいと思います。  これはちょっと紛らわしいですよ。ここの部分を見てください。ここは大阪湾岸道路でしょう。そして、この印は都市計画決定済み区間ですね。点線になっているのが未決定区間ですね。ここだけが未決定であって、ここからここまではもう計画がなされたがごとく見えはしませんか。矢印があるないの問題はありますけれども、この場合は、ここはまだ点線でなければならないはずですよ。建設省としては変なことをなすっていると思う。おかしいですよ。こういうことを平然となさるというのはいかがかと思いますよ。これは公式文書でしょう。談合問題を、先ほど大変な決意で建設大臣お臨みになるのですが、建設省自身が出される文書の中で、ちょっとこういう紛らわしいのを平然と出されるというのはいかがかと思いますが、いかがです。
  281. 渡辺修自

    渡辺(修)政府委員 先生お示しになりました図面は、計画区間というふうに明らかに明示をしてあるわけでございますが、ちょっとこの凡例との、表示が確かに非常に紛らわしいという点は、これは申しわけないと思いますが、計画区間でございまして、都市計画決定済み区間とははっきり、そういう意味では図面では分けて書いてあるわけでございます。
  282. 土井たか子

    ○土井分科員 それはどこに書いてありますか。これは二つしかないのですよ。凡例を見てください。凡例には、都市計画決定済み区間と未決定区間しかない。表示は、片一方の未決定の方は点線であって、片一方の方はもう点線を消して棒になる。それしかないですよ。
  283. 加瀬正蔵

    ○加瀬政府委員 先生お持ちの資料とこれは若干違うみたいなんです。  なお、その前にちょっとお答えいたしますが、実線で書いてございます部分は……
  284. 土井たか子

    ○土井分科員 これを見せましょう。ちゃんと書いてある。ほらほら……(「それは古いやつじゃないのか」と呼ぶ者あり)古くないですよ。全く同じです。
  285. 加瀬正蔵

    ○加瀬政府委員 実線は、この部分は都市計画決定してあるわけです。
  286. 土井たか子

    ○土井分科員 してあると言ったって、これをよくごらんなさい。これは線でしょうが。片一方は点でしょうが。ここの部分は、正確に言ったらここからここまでまだ点線でなければいけませんよ、この区間は。計画決定していないんだから。本当に困るね。
  287. 加瀬正蔵

    ○加瀬政府委員 ちょっといま手元の資料と違ったものですから大変失礼を申し上げましたが、どういう経過でその凡例のところに書いてございます表示がこちらと違ったのか、私つまびらかにしませんが、おっしゃるとおり、その凡例の書き方でございますれば点線であるべきものかと思います。
  288. 土井たか子

    ○土井分科員 だから、図としたらちょっとこれはおかしいですね。だから、おかしなものをすでに一九七七年、五十二年にもう出していらっしゃるかっこうになるのですが、つまり、都市計画決定がなされるのは決まり切っているという気持ちが、もうここであったんじゃなかろうかとすら私は思いたくなるような地図なんですよ。  それで、この都市計画をめぐって私素朴な幾つかの疑問点を持っているのですが、まず最初にお伺いしたいのは、これは五十三年三月一日の建設委員会でもお尋ねをしたのです。海岸に埋め立てをいたしまして、埋立地の上に橋脚をつくって湾岸道路を建設するという方式を基本には考えていらっしゃるらしいのですが、方式としては沈埋の方法をとるという場合もある、それからまた、埋立地が予定どおりにいかなくて計画変更された場合には、海中に橋脚を建てて、その上に道路を走らせなければならないという場合もあるというふうな御趣旨の答弁をいただいているのです。そうなってくると、必ずしもこれは埋立地の上ばかりじゃない。海上を走るという計画なんですが、海上についてまで自治体は都市計画を決めていくという権限を持ち合わせておりますか。いかがでございますか。
  289. 加瀬正蔵

    ○加瀬政府委員 都市計画法十一条一項の本文の規定で、「都市計画には、当該都市計画区域における次の各号に掲げる施設」、おっしゃる道路も入るわけですが、「施設で必要なものを定めるものとする。この場合において、特に必要があるときは、当該都市計画区域外においても、これらの施設を定めることができる。」ということが言われておりまして、海上部が都市計画区域の内か外かということにつきましては議論があるかと思いますが、一応私ども考え方としましては、かつて埋立地についての都市計画につきまして、これは行政実例でございますが、昭和三十二年の九月に、「都市計画法第二条の規定」、これは旧都市計画法ですが、「により決定された都市計画区域には、当該区域として表示された土地のほか、その地先の公有水面も当然包含されているものと解される。」こういう行政実例もございまして、海上でも都市計画決定できるという運用をしております。
  290. 土井たか子

    ○土井分科員 地先の海面といったら、どこまでですか。
  291. 加瀬正蔵

    ○加瀬政府委員 これも、わが国の法律の及ぶ範囲は可能かと思います。
  292. 土井たか子

    ○土井分科員 そうすると、広く領海、最近は専管水域にまで及ぶというふうに考えていいんですか。
  293. 加瀬正蔵

    ○加瀬政府委員 経済水域じゃなくて、せめて領海程度は及ぶのではないかというふうに考えております。
  294. 土井たか子

    ○土井分科員 大変異なことをきょうは御答弁で承っているのですが、これは何らかそういうことをおっしゃることの裏づけというのはあるのですか。根拠になるのは何ですか。何法によってそういうことをおっしゃっているのですか。
  295. 加瀬正蔵

    ○加瀬政府委員 行政区域云々の問題は、地方自治法の規定によって決まるものでございます。それから、そういう都市計画区域の外にまで及んでできるということにつきましては、これは都市計画法の定めるところによっております。
  296. 土井たか子

    ○土井分科員 いまおっしゃったのは旧法でしょう、都市計画法とおっしゃっているのは。これは、どう考えても私はようわからぬのですよ。海岸までの土地は、これは対象になるでしょう。海岸から今度は海に入っていったらどうなるか。海に対しては、たとえば具体名称を挙げますと、西宮市というわけにいきません。西宮市といったらその海岸までですよ。海に対してまで自治体の都市計画を決定するという権限があるのかということに対しては、私はどうもわからぬのです。もう一度はっきり、何法によってそればこのようになりますということを明確に答えておいてくださいませんか。
  297. 加瀬正蔵

    ○加瀬政府委員 都市計画法の十一条一項本文でございます。
  298. 土井たか子

    ○土井分科員 十一条一項本文はどう書いてあります。
  299. 加瀬正蔵

    ○加瀬政府委員 「必要があるときは、当該都市計画区域外においても、これらの施設を定めることができる。」これはちょっと言葉が足りなかったのですが、都市計画区域には地先も当然包含されるというような行政上の運用は、私どもはそういうふうにしておりますけれども、この行政区域の外であるか内であるかということについてはちょっと議論があるわけでございまして、それを仮に別にしましても、都市計画の区域の外にも都市計画施設、都市計画決定ができるという規定がございますので、可能であろうと思っております。
  300. 土井たか子

    ○土井分科員 それは大分苦しいですよ。これは詰めていったら、きょうは時間が足りないので十分に議論を展開することができませんから、いま基本的に考えていらっしゃることは承りましたから、順を追って、私は環境常任委員会の方で追ってその点は問題にします。  そして、私はもう一点あるのです。それはいただいた「大阪湾岸道路の計画概要」というのを見てまいりますと、「自然環境」というところに「動物」とあって「甲子園浜干潟の野鳥については類似環境の実態調査結果から橋梁や交通騒音が鳥類に及ぼす影響については特に問題ないと判断できる。」こう書いてあるのですね。  環境庁、御出席ですね。——この甲子園浜干潟については、第四次鳥獣保護事業計画として鳥獣保護区の特別保護地区に指定されていると思いますが、いかがでございますか。
  301. 山口昭

    ○山口説明員 されております。十二ヘクタールです。
  302. 土井たか子

    ○土井分科員 そうすると、この保護区を管理するのは環境庁でしょう。
  303. 山口昭

    ○山口説明員 さようでございます。
  304. 土井たか子

    ○土井分科員 さらに環境庁にお尋ねしますが、市川、加古川、淀川というのは保護区に指定されておりますか。
  305. 山口昭

    ○山口説明員 ちょっと資料を持っておりませんが、たしか国設にはなってないようでございます。
  306. 土井たか子

    ○土井分科員 ここにある建設省の資料を見ますと、類似環境として市川、加古川、淀川が挙げられているのです。そこで問題ないからここも問題ないという問題の書きようですよ。環境庁が管理して特別保護地区に指定されているのですから、この地区はほかの地区と違うのですね。そういうことからすると、この場所について、やはり建設するということが関係あるわけですから、管理権者は環境庁なんだから、建設省から環境庁に御連絡がございましたか、いかがです。環境庁としては御連絡をいろいろお聞きになりましたか。
  307. 森下忠幸

    ○森下説明員 都市計画決定の段階で御相談があったかということでございますと、この都市施設につきましての計画は知事がおつくりになるわけでございまして、これについては私どもに事務的に、法律的にも御紹介いただくということになっておらないわけでございます。したがって、承っておりませんです。
  308. 土井たか子

    ○土井分科員 そうしたら、これは何のために特別保護区に指定されているか意味がない。第一、建設省としたらこういう資料をお書きになるときに、はっきりここに認識されているのです、建設省自身が。「甲子園浜干潟は環境庁の第四次鳥獣保護事業計画の一環として鳥獣保護区、特別保護地区に設定されることが予定されている。」とちゃんと書いてあるのです。こういう認識がございますから、建設省としてはほかの地域と違うという認識をお持ちになっているはずなんであります。環境庁に対して法的に伝達をしなければならない義務があるかないかは別として、連絡するとか、これに対していろいろな報告をするとかいうふうなことがあってしかるべきだと思いますけれども、そういうことをなさいましたか、いかがですか。——環境庁の方はお受けになりましたか。環境庁に聞きましょう。
  309. 加瀬正蔵

    ○加瀬政府委員 環境庁からも御答弁がございましたように、法律的には意見を聞くようになっておらないわけでございますが、私どもとしては、県の内部でそういうことも含めまして十分の意見調整が図られるのが通常のスタイルだというふうに理解しております。
  310. 土井たか子

    ○土井分科員 できてないじゃないですか。それも、これをお書きになるときに、基本姿勢としては環境を阻害しない、自然環境を大事にするということを逐一述べていらっしゃるのです。それからしたら、この特別保護区の管理権者は環境庁なんだから、当然兵庫県の方から声がかかってしかるべきなのに、都市計画決定に至るまで何ら連絡がないとおっしゃっているのだから、そういうことからしたらいいかげんなものだということになりますよ。これは何のために特別保護区に設定されているのですか、意味がない。だから、兵庫県のアセスというのはそういうものなんです。一例を挙げればそうなんです。アセスが完了して、都市計画決定もされたから、これで十分だからゴーサインで予算をつけてあとは建設しかない、建設省、そういうふうにお考えにならないでくださいよ。逐一やはりこういう問題に対しては慎重に慎重を期していただかなければならない。  大臣、この問題について住民の方から提訴されているというのを御存じですか。
  311. 始関伊平

    始関国務大臣 私といたしましては承知しておりません。
  312. 加瀬正蔵

    ○加瀬政府委員 訴えが起きておりますことは承知しております。
  313. 土井たか子

    ○土井分科員 大事な問題は大臣の耳に入ってない。大臣、そういうふうにいろいろあるのですが、時間の関係で私は申しませんが、この湾岸道路計画については、地域でどういうアセスメントが行われ、環境保全に対する努力が行われてきているか、十分か不十分か、ひとつ大臣のお立場で吟味するということをやっていただきたい。これは非常に大事なことだと思います。よろしゅうございますね。
  314. 始関伊平

    始関国務大臣 都市計画は御承知のように都道府県の権限でございまして、これは総合官庁ですから、いろいろな点ではうまくいくはずだと思うのでございますけれども、いまいろいろ御指摘をいただきました、相変わらず鋭い御指摘をいただきまして、その点は十分承知いたしまして検討させていただいて善処してまいりたい、かように存じております。
  315. 土井たか子

    ○土井分科員 もう時間ですから、私はあとは一問だけを、全部はしょって言いますから、これに対するお答えをいただいて終わりたいと思います。  淡路島の大鳴門橋がいよいよ予定どおりにいきますと、五十九年度完成、六十年供用開始という予定になっております。そのとおりいくかどうかはちょっとわかりませんが、しかし予定はそのとおり。  そうすると、それに従って車の台数というものを考えた上で、淡路の縦貫道を一体どう考えるかという具体的計画というものがもうすでに立てられているはずなんです。われわれは三原インターまではわかっておりますが、建設省とされては、淡路の縦貫道に対して津名インターまでを考えていらっしゃるかどうか、つまりフェリーの、船の数をいまのままに置いておいていいという計画で縦貫道計画を考えていらっしゃるか、これは車の台数によって変わってくるわけですから、その辺、ひとつ計画を具体的にしていただきたいと思います。もう決められているはずですから。
  316. 渡辺修自

    渡辺(修)政府委員 大鳴門の関連につきましては、いま津名インター以南が事業計画区間になっております。津名から北は、明石の橋とあわせまして凍結中、こういうことでございます。したがいまして、津名から橋に至る間につきましては、この供用開始に合わせて供用開始をいたしたいということで努力をしておるわけでございますが、実は洲本インターから三原インターの間の用地買収状況は、まだ必ずしもよくございません。これは今後の努力にまつところが多い、こう考えているところでございます。  なお、橋ができた場合のフェリーのお尋ねがございました。大鳴門橋ができました後、どのくらい通るかということでございますが、いままで私どもが発表しておりますのが、一日当たり一万一千九百台、こういう数字を出しております。ところが、現在鳴門海峡を渡っておりますフェリー、あるいは四国から阪神に直接行っておりますフェリー、これらを足しましたものがまだその半分ぐらいでございます。したがいまして、大体倍ぐらいの交通量になるかということが予想されるわけでございますが、それをフェリーで運ぶといたしまして、どういう航路が適切であるのか、あるいは船の数をふやすべきなのかどうか、便数だけで対処できるのか、いろいろな問題がございます。特に私ども以外の海運行政にかかわることが非常に多いものでございますから、関係者といまいろいろ協力して検討中でございます。その辺は橋がかかったときに遺憾なきを期したいと思っております。
  317. 土井たか子

    ○土井分科員 終わりたいと思いますが、最後に、検討についてあらましいつごろまでに結論を出したいという目安でいらっしゃるかだけ承って終わりにいたします。
  318. 渡辺修自

    渡辺(修)政府委員 ただいま本四旅客船問題神戸・鳴門ルート連絡協議会というのをつくってやっておるわけでございますが、まだそういった基礎的なデータをいま突き合わせている段階でございますので、まだちょっといつまでにということが申し上げられませんけれども、橋の完成の方は大体予定が立っておりますので、もちろんそれに間に合わすようにいたしたいと思います。
  319. 土井たか子

    ○土井分科員 ありがとうございました。終わります。
  320. 後藤田正晴

    ○後藤田主査 これにて土井君の質疑は終了いたしました。  次に、金子満広君。
  321. 金子満広

    金子(満)分科員 私は都市型の水害防止の対策について、時間がありませんから早速伺いたいと思います。  特に東京都や関係自治体及びマスコミでも、昨年来非常に問題にしております東京の神田川の水害対策について伺いたいと思うのです。  水害対策というのは、川だけではなくて都市整備問題とも関連をさせて総合的に立てなければならない対策だというのは言うまでもないわけでありますが、都心部でこれだけ大きな災害が繰り返し繰り返し毎年やられるというのは余りいいことじゃないし、諸外国にもそんな例を見ないと思うのですね。御承知のように、神田川は、水源地は井の頭公園でありますけれども、杉並、中野、新宿、豊島、文京そして千代田、中央区と七つの区を渡り歩いて、これが大荒れに荒れるわけなんですね。そういう点で、しかもこれは一級河川に指定されているわけですが、昭和三十三年までは水害らしい水害はここはなかったわけですね。だんだん都市化が進むにつれて昭和三十九年、四十一年に水害があり、四十一年以後は毎年あるのです。特に下流の新宿、豊島、文京、千代田は雨が降りさえすればやられるという状況まで出てきておる。特にこれは上流における人口の増加、それから農地がどんどんなくなってくる、そういうこと、同時にまた道路の舗装が進んできますから、そういう中で短時間の雨でも一度に川の水があふれる、そして下流の方では降った雨をのみ込めなくなる、こういうような事態が出てきているわけですね。  そこで、昨年は七月二十二日と十月二十二日、両方とも二十二日ですが、大変な水害が起こったわけです。そのとき新宿区議会や文京の区議会が建設大臣及び都知事あてに地方自治法に基づいて意見書を出されていると思いますが、大臣承知していると思いますが、いかがですか。
  322. 始関伊平

    始関国務大臣 ただいま御指摘の文教区などの意見書は私も間違いなく拝見しております。
  323. 金子満広

    金子(満)分科員 ちょっと中心点を聞いていただきたいと思いますが、これは文京の区議会のものですが、   この地域の水害を解消するため、目下、神田川の改修工事、後楽ポンプ場の建設工事、一部下水幹線の建設工事等を進めていることは、よく承知しており、その努力は評価するものであります。しかし、建設計画にある五軒町幹線、水道一・二丁目の主要枝線、第二地蔵堀幹線、第二千川幹線、第二日山幹線等の雨・下水幹線は、未だ着工もされておらず、まだまだ大きな不安が残されております。   これらすべての治水計画を完成させるには、今後相当の日数を要するものと考えられますが、毎年襲ってくるこの種の水害から罹災者を一日も早く救うため、建設中の工事は工期を繰り上げ、早く完成させ、未着工の計画は、早期に着工されるよう最大の努力を払われるとともに、都市型浸水を解消するため関係諸河川の全流域にわたって保水機能を高め、遊水機能等を確保する抜本的対策の実施を強く要望するものであります。これが昨年の十一月に文京の区議会から東京都 知事それから建設大臣あてに出されておりますし、同じように十一月新宿の区議会からも建設大臣、東京都知事などに出されているわけです。  そこで、建設省に、担当官に伺いたいのですが、これがいまどのような現状にあるか、その点を端的に、結論だけで結構ですから、伺っておきたいと思います。
  324. 加瀬正蔵

    ○加瀬政府委員 意見書の順序に従いまして、先に下水道の方からお答え申し上げたいと思います。  神田川流域の浸水解消のために、東京都におきまして当地域の下水道事業として計画している工事のうち、この意見書にございます後楽ポンプ場につきましては昭和五十三年度に、それから五軒町幹線については五十五年度に、それから水道町の枝線につきましては五十六年度にすでに着手しているところでございます。  それから、第二地蔵堀幹線及び第二千川幹線については、五十七年度中に着手して、なるべく早く完成をさせたいというぐあいに考えております。  なお、第二日山幹線につきましては、現在調査検討中でございます。  こういったことでございまして、当該流域の浸水解消を早期に図るためにも、今後とも引き続き下水道整備が促進されるよう努力したいと存じております。
  325. 川本正知

    ○川本政府委員 意見書にございます神田川の改修工事についてお答え申し上げたいと思います。  神田川は、ほぼ全川にわたりまして、時間雨量が三十ミリという降雨に対しましてはまあ概成をしているということでございますが、現在下流部を高潮対策事業、中流部を中小河川改修事業、こういうことで、時間雨量五十ミリ対応というレベルアップをした目標で改修を進めておるところでございまして、五十三年の出水、水害を契機にいたしまして、高田馬場分水路のみ口の部分から豊橋の間をいわゆる激特事業に採択いたしまして、五十七年度まで、来年度までの五カ年に改修を完了させることとしております。  昭和五十六年度、今年から、都市河川緊急整備事業といたしまして、水道橋の分水路及びこれに至る河道の改修を鋭意実施しているところでございますが、このうち水道橋分水路の一部につきましては、今年の梅雨出水期までに完成させる予定でございまして、先生先ほどおっしゃいましたように、昨年は七月と十月と二度にわたりまして水害を生じております。そういったことでもございますし、神田川の出水対策につきましては、私どもといたしましても最重点として考えておるわけでございますが、今後とも努力をしてまいりたいと思っておるところでございます。
  326. 金子満広

    金子(満)分科員 その工期を繰り上げる、それから積極的に時間を短縮してやる、この点はお願いしたいわけですが、御承知のように、この四年間にこの地域と言えば、新宿、豊島は災害救助法が四回、文京は去年二回適用を受けておるわけですね。たとえば去年の七月二十二日の場合には約二時間で八十四ミリの雨。そういう中で、とにかく文京、新宿、豊島で床上が千六百七十五軒、床下が三千百七十九軒。商店街などは、米屋さんの米がみんな水浸しになる、スイカが八百屋さんからぼこぼこ浮いて流れていくんですね。そして今度は布団まで水浸しになるとか、野菜なんか本当に幾らでも流れるような状況になるわけですね。それからいろいろな自動販売機、モーターが下に入っていますね、あれはちょっと持つわけにはいかぬわけです。あれも全部水浸しになって自己負担になる。それからまた、衣料品店なんか商品にもならないし、使いものにならなくなるわけですね。救助法が適用されてももちろん補償してくれるわけじゃありませんし、それから地方自治体でも三万とか五万の見舞い金とかタオル一本では、これはどうしようもないわけですね。  きょうは新宿の区議会の神田川水害対策特別委員会の東喜久子委員長、それから文京区の神田川水害をなくす会の岡和夫会長も見えておりますが、ちょっとお許しを得て、これを大臣に見てもらいたいのですが、毎回水害にやられるものでいろいろな物を捨てる場所まで決まっているんですね。新しい畳が山のように積まれる、テレビから家財道具、布団から、捨てるところが決まっていて、これを運ぶのも大変だと思いますが、莫大な損害が毎年出るんですね。  この周辺は、一階は大体畳の部屋というのは普通の家はつくらないのです、必ず水が出るのですから。それから、たんすは底上げになっていますね。台をしないと上から出せないように、上を天井までつかえるほど上げなければならない。ですから、家屋の利用率は非常に低いんですね。  それから、この地域は、新宿も文京もそうですが、印刷、製本の地場産業の密集地帯であり、そして、横に土地は広がりませんから、結局地下を使うわけですね。地下の部屋は水浸しになる。そして印刷機械もだめになるし、製品、半製品がみんなやられてしまう、こういうような非常にひどい状況になっているんですね。  いま説明がありましたが、下流の対策、つまり下流の応急対策で、極端に言えばどんなに堤防を高くしても、上から来る水は流れますけれども、下にある水を吸い込まない、つまりそれが流入することを阻止してしまうわけですね。したがって、これは下水もすべてそうでありますけれども、総合的な治水計画を立てる以外にない。そういう点では政府は全国の十二河川を総合治水対策特定河川事業に指定をし、東京では新河岸川がこれに指定されているわけですね。  ところが、神田川というのは都市進展が激しくて調整池がないということで、結局は河川改修に重点が置かれる、こういう形で、先ほども説明があったわけですが、典型的な都市型水害といいますか、上流の水が一遍に短時間で流れてくる、しかも相当のスピードで来る。したがって浸水がじわじわいくのでなくて、あれよあれよという五分か十分の間が勝負だと言われるぐらい早く浸水してしまう。これが被害を非常に大きくしてきているわけですけれども、そういう中で、いまどうしても必要なことは、上流の方に一時的に水をためておく、つまり、保水機能、遊水機能をどうつくるかというのが火急の問題だと思うのです。一年おくれると一年また水害がひどくなるわけですね。そして、そういう点からいうと、上流で五分、十分、二十分の水をその時間ためておくことができるとすれば、下流の水位は上がらないわけですね。こういう点でぜひ努力をしてもらいたい。  具体的な問題をその点で申し上げたいのですが、これは建設月報の去年の七月号、建設省の広報室が出したものですけれども、当時の事務次官の粟屋さんが、非常にいいことを言っておられるわけです。ちょっとその部分を御紹介しますと、中小河川、特に都市河川について、「特に東京など大都市を例にとりましても周辺がどんどん開発されております。従来は、雨が降りましても田んぼや畑の保水遊水機能がありましたけれども、開発が進んでくるとそれが全部コンクリートで固められますと、降った水が一遍に流れ出してくるというようなことで、都市河川の洪水というものが、東京でもちょっとした雨でも氾濫するという状況でございますので、これに対してどう対応していくかという非常に大きな問題がございます。」そういう中で一つの例として、「東京に江戸川橋というところがございまして、神田川が流れておりますけれども、そこは道路の下に暗渠をつくりまして、そこに水を流して洪水の処置を図るということもやっておりますが、今後はまさに都市の改造と関連させながら、河川の整備を進めていかなくてはならないというようなことだろうと思っておるわけでございます。」全く適切だと私は思うのです。  そこで、具体的な問題ですが、一つは遊水地問題についてなんです。公共用地を遊水地にする、いざ大雨が降ったときにそこでたとえ何分、何十分でも水をためておくというようなことでやらなければならぬ。そのためには、たとえば公園とか学校の校庭とか都営の住宅とか、こういうところに遊水地をつくるという点がひとつ急がれなければならぬことだと思うのです。去年上流の善福寺の和田堀公園、二カ所に五千五百トンの水を一時遊水できるという施設をつくったわけですけれども、こういうことは大変有効なので、遊水地計画についてどのような促進案を持っているか、一言お聞かせ願いたいと思うのです。
  327. 川本正知

    ○川本政府委員 都市化の進展に伴いまして、従来ですと、河川は幅を拡大して河川改修を行って治水の安全度を高めるというのが一般的ではございましたけれども、市街地の家屋の密集部分につきましては、そういったことが実行困難な状況がだんだん多くなってきておりました。先生ただいま御指摘のような遊水地を確保できれば、こういったことによって流出抑制を行いまして、下流への水害の影響を極力少なくするといった手法は大変有効な手段であるというふうに考えております。全国的にも河川の整備状況がまだまだ低い状態でございますが、特にいま御指摘のような都市河川についての水害というのは頻発しているのが現状でございまして、極力河川の流域について保水機能あるいは遊水機能の確保といったことのために遊水地を、適当な場所さえあれば確保していきたいということで、河川改修事業の中でもそういうものもやっておりますし、また治水緑地事業とか、あるいは防災調節池事業とか、あるいは雨水貯留事業であるとか、あるいは多目的遊水地事業であるとか、いろいろな名前はついておりますが、それぞれがいまおっしゃったような流出抑制のための調節機能を持たせる遊水地の建設事業ということで、多様な手法で促進を図っているところでございまして、神田川につきましても、善福寺川の公園遊水地といったものを現在検討を進めておるところでございます。
  328. 金子満広

    金子(満)分科員 その遊水地問題で、これはマスコミでも大変問題になり、関係自治体でも非常に注目して努力しておるところなんですが、新宿と中野両区にまたがるところにオリエンタルの跡地があるわけですね。これは二万三千平米あるわけですが、これを公共用地として国または関係地方自治体が買い取るとか、そういう点で遊水機能を持たせる、このオリエンタルの跡地を中心にその周辺約六カ所を遊水地にする、西落合とか落合公園とか小公園がありますけれども、その六つをしますと、推定二十万トンは一時保つことができるのじゃないかということまで言われているわけで、この点については、文京区の当局は都知事の方に「オリエンタル写真工業株式会社敷地の取得要望について」というのをことしの一月十四日に出しているわけですね。また、私自身も地元の方方と、先般住宅都市整備公団を訪れましていろいろ御意見を伺ったわけですが、東京都や関係自治体がその気になって要請をしてくれば、公団としては受けて立つ用意はあります、こう言われたわけですね。それで、十七日に都知事に会いました。都知事の方も二、三回足を運んで公団側と話をしておるということで、ぜひ公共用地としてこれを確保して遊水機能を持たせるようにしたいと言っているわけですが、問題は次にあるわけです。このオリエンタル写真工業の土地を民間のマンション会社が買い取って、そこにマンションをつくるという計画で、これがいまぎくしゃくしているということだと思うのですね。  こういう点で、建設省側にもお願いしたいのは、これは新聞でも報道されているのですけれども、ぜひ都や関係地方自治体に協力していただいて、都市、市街地では初めてと言われるのだそうですが、都市河川治水緑地事業というのですか、この特別補助事業として建設省はやりたいという報道があるのですけれども、とにかくいずれにしても、これを公共用地として確保するという方向で努力をしてほしいと思いますが、その点についてどのようにお考えになっているか、お聞かせ願いたいと思います。
  329. 川本正知

    ○川本政府委員 ただいまお話しの、オリエンタル写真工業の跡地を公共用地として確保して、遊水地といたしまして神田川の治水に活用してほしいという地元の御要望、これは承知しておりますし、また、現に二月の下旬でございますけれども、新宿区の議長さんのお名前で建設大臣の方に要望をなされておりました。そういう点で、内容は大体聞いてはおるわけでございますが、現在、東京都が、先ほどお話しのような各関係者と協議を進めておるところでございまして、治水等の観点からの検討を進めておるというふうに聞いております。具体的提案があれば、その中で国として当然対応すべきだという点が出てまいるかと思いますが、そういったときは十分考えてまいりたい、そう思います。
  330. 金子満広

    金子(満)分科員 民間のマンション会社と地方公共団体ということの中には、結局は価格の問題があるわけですね。そうしますと、予算の問題ということであって、単純にはいかない面ももちろんあることは私どもも十分承知しておりますが、建設省としても、いまは削れ削れという最中に、ふやすんだ、上げるんだということは言いづらいかもしれないけれども、とにかく、必要なところにはやはり使っていくという点で、国がかんだ事業として、このオリエンタルの跡地を含めた遊水地の問題については、どのような方法かを講じて、ぜひ建設省としてやってほしい、こういう点はどうですか。
  331. 川本正知

    ○川本政府委員 東京都あるいは新宿区、中野区ですか、そういった関係機関がさらに検討を進められまして、いまのお話のようなことで具体的にこちらに御相談になるような時点になれば、いろいろと検討させていただきたいと思います。
  332. 金子満広

    金子(満)分科員 その点について、これは去年の十一月二十六日、参議院の建設委員会で私どもの党の上田耕一郎議員が質問をしている中で、こういうことを言っております。「総合治水対策を建設省としても進めている以上、こういう都の単独事業でやっているものに対して、これを国の補助事業として採択することをいまや検討すべき時期に来ていると思うんですが、その点を最後にお伺いしたいと思います。」政府委員の加瀬都市局長がそのとき答えているのは、関係のところだけ簡潔に申し上げますと、「今後、東京都の検討結果が出た上でこれに技術的な評価を加えまして補助採択につきまして検討していきたいというふうに考えております。」いまのお話と大体同じことになると思いますが、ぜひそれを促進をしていただきたいと思うのですね。  結局、さっきお話しになりましたように、水害をなくすのには堤防を高くするか川幅を広げるかどうちかしかないわけですけれども、川幅を広げることはもはやできない。それから高くしてもだめということになれば、結局、下水幹線の問題と上流の遊水機能、それから一時貯留というのですか、それから地下浸透、この点も考えていかなければならぬ。ほこりが出るからすぐ舗装だというのも、それは理屈にはなるのですけれどもね、やたらにそれをやってどんどんしてしまうと、今度は、吸い取り紙が吸い取れなくなるような状況で、全部ビニールを敷き詰めた上に一滴の雨もみんな流れ込んでしまうという状況が実際にはつくられる。したがって、建設省、これは国土庁にも関係することでありますし、地方自治体ももちろん関係をするわけですけれども、乱開発というか、先に工場をつくってしまうとか、そしてみんな固めておいてその上で道路をつくって舗装する、こういうやり方が都市の乱開発の中でやられてきて、そして、神田川もちろんそうですし、ほかの川もそうですが、どんどんセメントで埋め尽くした中に川がある。そして、いつも被害をこうむるのは同じ場所、同じ人である。ですから、最近は土地の評価額でも水害があるかないかまで検討されてくるでしょう。こういうようなおよそ想像もつかないようなことが都市の真ん中で起きている。こういう事態は一刻も早く解決しなければならない。  そういう点で、最後に、建設大臣、これは大変御苦労な問題でありますけれども、治水というのを狭い意味でなくて都市計画全体の中で位置づけてやっていかなければならぬと思うのですが、その点について最後に所見を伺って、質問を終わりたいと思うのです。
  333. 始関伊平

    始関国務大臣 都市河川のはんらんが非常にしばしば起こりまして、住民の皆さん、また地域の産業などに大きな被害を与えている場合が多いようでございますが、特に、ただいままで御審議をいただいております神田川の問題はこのティピカルなものだと思います。お説のように、この問題の対策は総合的に、単に河川の改修、川幅を広げるということだけではなしに、保水とか遊水機能の維持とか、また、土地利用に際しましても治水安全度を配慮した土地利用を図るというふうな、総合的な治水対策を推進する必要があるという点につきましては、私どもも同感でございます。  したがいまして、東京都の方でこの神田川流域対策についていろいろな方法を検討しておると聞いておるわけでございますが、先ほど来河川局長また都市局長がお答え申し上げておりますように、都とも協力いたしまして、総合治水の考え方に沿った対策を前向きに進めてまいるべきだ、かように考えております。
  334. 金子満広

    金子(満)分科員 終わります。
  335. 後藤田正晴

    ○後藤田主査 これにて金子満広君の質疑は終了いたしました。  次に、吉浦忠治君。
  336. 吉浦忠治

    吉浦分科員 私は、八〇年代は東京湾時代、こういうふうに言われておりまして、また、関係する都道府県の知事さんによる東京湾サミット等も開かれておるわけでありますが、この房総半島、袋小路と言われておる房総半島にだんだん日の目が当たってまいりまして、大変喜んでいるわけでございます。  そこで、私は、まず最初に、東関東自動車道の千葉県木更津線の昇格の問題について、お願いなりお尋ねをいたしたいと思うわけでございます。  五十七年、ことしの一月二十日に審議会決定を見まして、千葉木更津線の千葉市−木更津間の新設に関する整備計画についてという、いわゆる実施の段階にこぎつけていただいた点を、私は地元の一人として大変感謝をいたしているわけでございますし、また喜びを持って、これを促進していただきたい、こう思うわけでございます。  そこで、この国道十六号線、百二十七号線の、現在木更津市の長須賀というところがございますが、この混雑は大変なものでございまして、いつも道路情報による地名が挙がって、その混雑ぶりが報道されているわけでございます。  そこで、計画路線から整備路線に変われば、大体十年から十二年、長いところで十二年ぐらいで完成を見ている、こういうわけでございます。この混雑なりあるいはその地域の関発なり過密過疎の解消ということからいたしましても、首都圏の大きな役割りをこの房総半島が示すことは間違いないわけでございまして、ほかの地域と違って早期にこの着工なり完成を急いでいただきたいというのが、私の最初のお願いなりそのお考えを尋ねたい要旨でございます。この点についてどのようにお考えなのか、お答えをいただきたいと思います。
  337. 渡辺修自

    渡辺(修)政府委員 ただいま先生からお話のございましたように、去る一月二十日の国土開発幹線自動車道建設審議会におきまして、千葉市−木更津市間を整備計画に格上げをいたしたわけでございます。すでに私の名前で道路公団に対しまして調査をしてほしいという通知を出してございますけれども、ただいまお話しがありましたように、大体整備計画になりましてから従来は十年以上かかってやっとでき上がるというのが通例でございますけれども、御指摘のように、国道十六号それから木更津市内の混雑というのは私どもも十分承知しておりまして、この混雑緩和にもこの木更津線が役に立つわけでございますので、鋭意調査を促進をいたして、早期に工事に着手できるよう、道路公団の調査期間を極力短くするように指導してまいりたいと考えております。
  338. 吉浦忠治

    吉浦分科員 そうしますと、十年、十二年ということになれば、これから先その混雑が大変なものになることは間違いないわけでございまして、現在完成しておれば、これはすぐ解消になるわけでございますが、そういう点で、やはりこの地元の方々との協議が優先するだろうと思うわけでございます。比較的住宅の密集地なりあるいは団地なりというところを避けて通れば一番いいわけでございますけれども、いま一月に決まったばかりでございますから、そういう要望をするのはどうかとは思いますけれども、そういう困難な点を排除しつつ、当面、政府の方でお考えになっていらっしゃるルートというものがどういうところを通り、またどういうふうな環境のもとに処理していかれようとなさっておるか、おわかりでしたらお答えいただきたいと思います。
  339. 渡辺修自

    渡辺(修)政府委員 ただいま京葉四期が一般有料道路で延びておるわけでございますが、千葉茂原線で終点になっておりますけどども、あれからつながりまして、市原の平野部から山にかかりますところの山際を大体通っていくということでございまして、木更津につきましては、その外側を迂回をいたしまして木更津の南側に回り込んでいくというようなルートを考えておるわけでございますが、地域の状況等も刻々変わってまいりますので、その辺はこれから道路公団で十分対応していただこうというふうに思っております。もちろん、先生御指摘のように、こういった幹線道路をつくりますといろいろ環境の問題等もございますので、この辺は地域の方々と十分御相談しながら計画をまとめていきたいというふうに考えております。
  340. 吉浦忠治

    吉浦分科員 まだお考えの段階でございますから、いまのうちに要望しておかないと、でき上がってまた準備に入ると、なかなか役所というのは変更なさらないのが役所でございますから、この道路のいま点線を打ってある、お持ちだろうと思いますから、その点線で予定線がいまでき上がっておりますが、私は、その木更津の方の終点の地域に——後でこれからぜひお願いしたいと思っておるのは東京湾横断道路でございますが、この盤州の浜のところから東京湾横断道路の点線がいまこう打ってございます。この東関東自動車道の木更津線がずっと南に下ってきておりますが、この東京湾横断道路とそれから東京湾岸道路の延長と、この東関東自動車道の木更津線のいわゆる交通の体系を、できれば立体的な総合的な対策に取り入れていただきたい。そしてまた、最後に私お願いをいたしたいのは、上総新研究開発都市構想というものが地元千葉県にございまして、この道路との関連性も含めて、東関道の木更津線の終点、起点というものをひとつぜひ頭に入れて着工していただきたい、こう思うわけでございます。その点いかがでございますか。
  341. 渡辺修自

    渡辺(修)政府委員 先生のお話にございましたように、この木更津線につきましては、将来東京湾横断道路が盤州の浜に入ってまいるわけでございますが、もちろんこういったもの、あるいは現在やっております長浦−木更津バイパス、国道十六号のバイパスでございますが、こういったものと有機的な関連を持たしつつ、幹線ネットワークを形成していく必要があろうかと思います。その辺につきましては、今後十分検討いたしまして、いわゆる体系的な幹線道路網がこの地域についてどうあるべきかという点を勉強してまいりたいと考えております。
  342. 吉浦忠治

    吉浦分科員 いまお話の中に遜りました長浦—木更津のバイパスの問題でございますが、私、昨年この委員会で質問申し上げたときに、五十八年度までにはぜひ完成をしていただきたい、こう申し上げたところ、いやそれよりも早くというふうに局長答弁になりました、お忘れになっていないと思うわけでございますが。そうすると、それよりも早くということは、五十七年、来年度ということでございますが、その見通しでございます。現在の進捗状況と、それから、できればできたところで開通なりつなぎなりしていただいて、現在の既成道路につなげていただいて少しでも早く道路緩和状態を図っていただきたい、こう思うわけでございます。その木更津バイパスの点についてはどのような状態でございますか。
  343. 渡辺修自

    渡辺(修)政府委員 昨年もお答え申し上げたわけでございますが、長浦−木更津バイパスは、御承知のように袖ケ浦の福王台地区、それから木更津の清見台地区等の区画整理の区域の中をすでに供用開始をしてあるわけでございますが、全体がつながらないと意味がないわけでございます。引き続きいま鋭意促進をいたしておりまして、起点でございます袖ヶ浦町奈良輪から、久留里線の千葉寄りに市道の長須賀線というのがございます。ここまでの間の延長五・七キロにつきまして、まだ用地買収が若干残っておるわけでございます。したがいまして、その点地元の御協力をいただかなければいけませんけれども、御協力が得られるならば、五十七年度には起点から市道長須賀線までの間をとりあえず二車線で供用できるというふうな見込みになっております。それから、残ります区間が、用地がまだできておりませんのがあと一・九キロということになります。その一・九キロを過ぎますと、清見台の区画整理のところにつながるわけでございますが、ここは、永井作等はかなり昔から住居もありまして、用地買収が非常にむずかしいところでございまして、今後とも関係者の協力を得ながらこの用地買収を進めていきたいと考えております。
  344. 吉浦忠治

    吉浦分科員 五十八年以前にということをお忘れなく、ひとつ早期に普請をしていただきたいつよろしくお願いいたします。  続いて、東京湾横断道路についてお願いいたします。  これは、建設大臣が千葉の出身でございますから、この際に何でもお願いしようという意味では決してございませんけれども、あるところで先生が、大臣就任お祝いのときに、私でできることならばというふうなことをちゃんとおっしゃっておられますので、私でできる段階になっておりますものですから、ぜひこの東京湾横断道路に、政治生命とまでは申しませんけれども、かけていただいて、その実現方の促進を図っていただきたいと思いますので、よろしくお願いするわけでございます。  昭和四十一年度から東京湾岸道路の一環といたしまして調査を建設省の主導でもって進められていたわけでございます。昭和五十一年度から日本道路公団に引き継がれまして、経済調査、環境調査、船舶航行調査、地質調査及び設計調査等を実施しておられるわけでございます。この一つ一つについては、私毎年のようにこの問題を取り上げておりますので、細かい点は触れませんけれども、調査の主な経過についてまず御説明をいただきたいのです。  それは昨年から今年にかけてでございますけれども、特に地質調査を行われて、昨年でございますか、川崎の面のボーリング等は済んだが、木更津側の方はまだであったということでもございましたので、五十六年度並びに五十五年度等に実施されました木更津側のボーリング等の調査によってどういう結果が出たのか、あるいはボーリングを何基おやりになったのか、お答えを願いたいと思います。
  345. 渡辺修自

    渡辺(修)政府委員 昨年度、川崎側に続きまして木更津側につきましてもボーリング調査を実施をいたしております。沖合い約二キロぐらいのところを調べておるわけでございますが、その結果によりますと、木更津側は全般に浅うございまして、上の方に約二十メートルの砂層がある、それからその下に砂層と粘性土層が二十メートルから四十メートルにわたって互い違いに互層をなしておるわけでございます。川崎側のように悪い土質が少し深いところまであるのと比較いたしまして、土の強度も総体的に強く、比較的良好であるというふうに思われております。  ボーリングの基数につきましては、大変申しわけございませんが、いまちょっと資料を持っておりませんので、失礼させていただきます。
  346. 吉浦忠治

    吉浦分科員 私は、毎回のように安全性の問題でお尋ねをしてきましたけれども、やはり人災と言われるような大きな事故等も起こっておりますし、日航機の墜落等も東京湾でございますし、それが即東京湾横断道路には関係はないといたしましても、地震対策というものはもう常日ごろから十分な対策を打たなければならないと思うわけでございます。この東京湾横断道路建設の構想の中に地震対策というものがどのように配慮されて練られておられますか、その点をお尋ねをいたします。
  347. 渡辺修自

    渡辺(修)政府委員 先生の御指摘のとおりでございまして、特に川崎側については海底の地盤が非常に軟弱である上に水深が深いという点がございます。そういうところにつくるとすれば、世界に例がないというような構造物になるわけでございまして、つまり非常に深い基礎をつくらなければいかぬという問題がございます。したがいまして、もとより地震等に対する対策は十分検討しなければいけない、また東京湾地域は地震の危険性というものを相当考えておかなければいけない地域でございます。  そういった意味合いで、道路公団におきましては、技術調査の中でも耐震性の問題はきわめて大事な問題だというふうに考えておりまして、防災耐震の権威者からなる技術委員会をつくっておりまして、ボーリング等による資料等を利用いたしまして、精度の高い手法による耐震解析などをやっていただいておるわけでございます。現在までのところでは、十分いろいろ配慮しなければいけないという条件つきではございますが、そういった配慮をするならば、地震に対しても安全な構造物を設計することが一応可能であるというふうに思われてきております。
  348. 吉浦忠治

    吉浦分科員 調査費を私は一々取り上げる意思はございませんけれども大臣、最初からの調査費を累計いたしますと、七十億まではいきませんけれども、膨大な調査費がつけられてきたわけです。本年度も七千万の上乗せができる予定でございまして、まだこれから予算は決まるわけでございますけれども、決めていただきたいと思っておりますが、ゼロシーリングのときにこれだけ力を入れてくださっているということは、地元にとってはこれはもう着工が近いというふうに大変朗報として受け取っているわけでございます。したがいまして、これがいま話によると、東京湾横断道路ができなければ鉄道を敷設した方がいいではないかという案がどこからともなく出てきている状態でありまして、二十年間もこのまま、つくるぞ、つくるぞ、この次は絶対大丈夫だ、こう言い続けていると、何か昔の修身にありましたオオカミ少年みたいな話になって、何だいということになってしまったらえらいことになる。本当の夢になってしまう、夢のかけ橋ということで希望を持っている間はいいけれども。そういう点で、この促進かおくれれば、鉄道の方が早いじゃないか——どこから出てきたかわかりませんよ、そんなこと私せんさくをして言っているわけじゃないけれども、どうやら青函トンネルの方が終わったらあと行くところがないから、今度はこっちの方つくらした方が早いのじゃないかなということになると、そんなことは私のひとり言でございますが、そうなるとこれはえらいことになる。したがって、この東京湾横断道の促進ということで、私は時間があればいろいろ挙げたいわけでございますけれども、後で一、二はメリットについてお答えをいただきたいと思いますが、どのように大臣は決意を持っておられるか、その決意のほどを先にちょっとお聞きをいたしたい。
  349. 始関伊平

    始関国務大臣 御指摘のように、調査を始めましてから建設省でやっておりました時分、それから公団の方に移りましてから年限で言ってもう十五、六年かと思います。  それから、いまお話がございましたが、前年度、五十六年度は九億六千万、ゼロシーリングの中でございますが、五十七年度は十億三千万というように調査費を増額いたしたわけでございまして、これは建設省だけの案ではございませんで、大蔵省、関係機関がそろって政府の案として出たわけでございますから、ここに道路局長おられますが、非常な熱意を持ってこれを推進していただいておる。  今日までの地質調査、地震対策、いろいろな調査のことにつきましては、いま局長からお話し申し上げましたが、経済の効果の方としましては、ここにあなたの質疑事項に大変うまい文句が書いてある。新たな都市的空間の創設だ、こう書いてございますが、これは千葉県の南部の開発とかなんとかいうけちな問題ではございませんで、京浜地区から十分か十五分で往来ができるわけでございますから、時間、距離が非常に短くなる。いまいろいろなことを申す必要はないと思いますが、首都圏の中で千葉県の南部くらいまとまった広い今後の開発の可能な空間のあるというところは、東京、神奈川、千葉あるいは埼玉辺まで含めましても余りなかろうと思うのでございまして、日本全体の交通体系に寄与するところが大変大きいと思いますし、特にゆとりのある首都圏の開発という点から申し上げても、こんないい計画はない。私、千葉県の出身でございますが、そういう関係を別にいたしましても、これは全日本的なプロジェクトとして堂々と主張していいものだと思うのでございます。  御指摘の点は、全く同感でございまして、局長によく聞かぬとわかりませんが、地質調査等もまだ若干時間がかかるようでございますが、できれば早い機会にこれをやるということをはっきりと表示するような方法はないかということでいろいろ苦慮しておるわけでございまして、その点は吉浦委員と全く同じ立場にあるということを申し上げて、お答えといたします。
  350. 吉浦忠治

    吉浦分科員 そこで、大臣もう一点。  第九次道路整備五カ年計画が、第八次に続きまして、来年度でございますか、いよいよ決められるわけですが、この第八次の説明の中に、東京湾横断道路の「調査を進め事業化を図る。」こういうふうに書いておりますが、来年度作成される場合には、計画はただいまからその準備に入られると思うわけでございます。ここで大臣、「調査を進め事業化を図る。」を前進させて、その着工あるいは実施をするという閣議決定にぜひ持っていってもらいたい。先ほどの決意のほどをここへ結びつけてもらいたい。いかがでございますか。
  351. 始関伊平

    始関国務大臣 お答えを申し上げます。  非常に機微な問題でございますから、書いてまいりましたとおり読み上げます。  第九次道路整備五カ年計画につきましては、ただいまその策定のための準備を、道路局長のところが中心になりまして、各方面とも打ち合わせの上で鋭意進めているところでございますが、東京湾横断道につきましては、その役割りの重要性にかんがみ、計画の具体的推進に取り組んでまいりたいと存じております。お話の趣旨から申しますと、ちょっと抽象的な表現になっておりますが、こういうことできょうのところはご理解をいただきたい、かように存じております。
  352. 吉浦忠治

    吉浦分科員 大臣、そのことをきょうは私は主眼にして質問に立ったわけでございまして、その着工に前進できるようにぜひ閣議決定でがんばっていただきたい。再度お願いいたします。  時間もございませんので、続きまして千葉県の四百九号線、四百十号線の道路昇格についてお尋ねをいたしたいのですが、一般国道の路線を指定する政令の一部が昭和五十六年四月に行われておりまして、川崎から木更津市、茂原市等を経て成田市に至る道路、四百九号線が国道指定されたわけでございます。これが五十七年四月から実施されることになるわけでございますが、私ども全くこの法律を自分勝手な解釈をしている者ばかりを代表して言っているような言葉になりますけれども、川崎から木更津となると、東京湾横断道路しかないじゃないか、これが国道になるんじゃないか。こうなると、東京湾横断道路がすでに予定として国道に昇格になっているというふうに解釈できるわけでございます。海の上に国道という場合には、国道十六号線として富津から向こうへ走水の方にそのままありますから、それは意味はわかりますけれども、そういうとり方を現地の人は喜んでいたしておるわけです。  そこで、この四百九号線、四百十号線ともに国道昇格になりましたが、具体的な整備方針はどのように進められているのか、簡単で結構でございますが、お答え願いたい。
  353. 渡辺修自

    渡辺(修)政府委員 四百九号、四百十号の昇格でございますが、まず四百九号から申し上げますと、現在主要地方道といたしまして富里村、丸山町、それから君津市等におきまして事業が進められております。  四百十号につきましては、鴨川市、君津市といったところで事業が進められておりますので、五十七年度につきましては、要求の段階から主要地方道から国道としての要求をいたしまして、いま御提案申し上げております予算の中で国道としての個所づけをいたしておるわけでございます。千葉のいままでありました国道に比べまして、舗装率であるとか整備率にいたしましても、若干この昇格国道はまだ下回っております。これから国道としての風格にふさわしい道路にすべく、整備を促進をしてまいりたいというふうに考えております。
  354. 吉浦忠治

    吉浦分科員 これで最後にいたします。  千葉県に大変新しい着想を持った構想がいま着着と練られておるわけでございます。上総新研究開発都市構想というものでございます。私一つ一つを申し上げませんけれども、五十七年度にこの計画が実施の段階と想定をされておるわけでございます。予算化も成ろうとしておるわけでございます。小糸川と小櫃川を挟んだ自然の丘陵地をなるべく生かして、企業等の研究開発都市というものをくつろう。どちらかというと、東京湾横断道もおくれ、東関道の延長もおくれておりまして、湾岸道路の延長もこれまたおくれておりますものですから、この促進方を図りながら、それが目安がついたら——つかなければならないが、ついたところで、上総新研究開発都市構想というものの実現を図ろうと千葉県で考えておるようでございます。これは大変将来性のある、関東の中でも、どちらかと言えばこれから新しい土地をまだ比較的求めやすい地域でもありますし、企業等も喜んでここに目をつけてくださるものと私は確信をいたしておるわけでございます。国土庁として、こういう構想に対してどういう御見解をお持ちなのか、お聞かせを願いたい。
  355. 安達五郎

    ○安達説明員 先ほども先生のおっしゃいました上総の新研究学園都市構想につきまして、木更津地域に予定されておりますけれども、この木更津地域につきましては、昨年五月に首都圏整備計画というのを作成いたしておりますが、これは内閣総理大臣が定めております。この計画の中におきまして、いわゆる「広域多核都市複合体の一翼を担うべき」地域というふうに位置づけております。それからまた、木更津市を中心といたしまして、先ほど来出ております東京湾横断道路との関係におきまして、「総合的な開発整備構想のもとに研究、教育、レクリェーション等の都市機能の配置を検討する。」ということで、同整備計画では位置づけておるわけでございます。  この構想につきましては、現在、千葉県の方で具体化のための調査を進めておりますが、国土庁といたしましても、この結果を見た上で、県とも十分打ち合わせまして、内容それから今後の進め方について検討してまいりたい、こういうふうに思っております。
  356. 吉浦忠治

    吉浦分科員 どうもありがとうございました。
  357. 後藤田正晴

    ○後藤田主査 これにて吉浦君の質疑は終了いたしました。  次に、沢田広君。
  358. 沢田広

    沢田分科員 大臣大臣は千葉御出身であります。私は埼玉でありますが、同じような過密現象に悩んでいるところであります。これから質問する事項は、身をもって体験されている事項でもあろうと思いますので、一つずつお伺いをしていきます。  大臣は、下水道の分流方式というのを御存じですか。
  359. 加瀬正蔵

    ○加瀬政府委員 下水道は合流方式と分流方式とございまして、雨水、汚水を分けて排水するシステム、これを分流と言っております。
  360. 沢田広

    沢田分科員 大臣、そういうのが分流方式なんです。  そうすると、雨水はどこへ流れていくと思いますか。
  361. 加瀬正蔵

    ○加瀬政府委員 通常、河川に流れていくわけでございます。
  362. 沢田広

    沢田分科員 通常、河川と言いますが、河川法で定められている河川ばかりじゃなくて、いま言わんとしていることは、農業用排水路に流れていく可能性の方がきわめて強いというのが現状なんです。国の河川法で決められている基準というものは百分の一、せめて五十分の一の排水能力ですが、ほとんどの用排水路というのは、三分の一、五分の一程度であります。そこへ流れ込んでいくことは必然だと思うのですが、その点はいま当局が答えた答弁では一もしそういうことはしないというのならしないで、答弁は結構なんであります。そういうところへは流れさせませんと言うなら、それもそれで結構なんです。お世話にならなくてはならないんですと言うのなら、それも一つの結論なんです。いずれなんですか。  私の地元から言えば、自然に芝川だとか鴨川だとかに流れていくと思いますか。どうですか。
  363. 加瀬正蔵

    ○加瀬政府委員 通常、下水道の整備におきましては、排水管渠を河川に持っていくわけでございますが、地域の状況によりましては、やむを得ずたとえば農業用排水路に排除せざるを得ないという場合もございます。したがいまして、地域の実情によっては必ずしも河川ばかりではないということでございます。
  364. 沢田広

    沢田分科員 農業用排水路、河川、いずれも地形的に見ると、これは徳川時代以来のものですから、一番低いところに流れているのだということは承知しているのでしょうね、暗渠でない限りは大体そういう地形にあるんだと。その点はどう思われておりますか。
  365. 加瀬正蔵

    ○加瀬政府委員 水は低きに流れるわけでございまして、当然そのように理解しております。
  366. 沢田広

    沢田分科員 四十五年の都市計画法をつくり、市街化区域と調整区域を区分するときに、そういう用排水用水路の遊水地をある程度の、五十メートルかと何かを設定しなかった理由というのはどこにあるのですか。それはあなたの方の所管でないかあるかは別問題として、当然調整区域に設定する区分と市街化区域に設定する区分のときの一つ基準として、水路の両わきとかそういうものはある程度空閑地に置かなければいかぬ、そうしなければ将来困るということは気がついてなかったのですか。
  367. 加瀬正蔵

    ○加瀬政府委員 先生おっしゃいますのは、都市施設として下水道施設あるいは下水の排水路等のことをあらかじめ考慮すべきではなかったか、こういう御趣旨かと思いますが、その点はおっしゃるとおりでございますが、何分地域によりましては、都市化の進展がきわめて著しいところもございまして、そういう施設に必ずしも頼れず、やむを得ずほかの農業用施設等に依存せざるを得ないという場合もあるわけでございます。
  368. 沢田広

    沢田分科員 依存してはいけないと私は言っているのじゃない。そういうものにどうしても依存をするとすれば、どうしても水量を受ける。  東京湾中等水位、幾らだか御存じですか。
  369. 加瀬正蔵

    ○加瀬政府委員 ゼロではなかったかと思いますが。
  370. 沢田広

    沢田分科員 では、大体千葉県でも埼玉県でも、十六号線沿線は何メートルの高さだと思っていますか。
  371. 加瀬正蔵

    ○加瀬政府委員 十四、五メーターではなかったかと思います。
  372. 沢田広

    沢田分科員 それで、一万何千ミリ、大体一万四、五千ミリ。もっとありましょうが、大体一万四、五千ミリで、東京湾中等水位から見れば、これはゼロじゃないのだ、海抜じゃないのですから。あなたの言っているのは、海抜で片っ方は言っているのだ、十六号線の方は。それで幾らの勾配になると思います。
  373. 加瀬正蔵

    ○加瀬政府委員 きわめてゼロに近い勾配かと存じます。
  374. 沢田広

    沢田分科員 ゼロに近いから、水速は同じだということだ。いままでと同じ。ちっとも変わらない。そうすると、では水がふえたらどこに行きますか。行き場がないでしょう。水速はちっとも速まらない。拡幅する以外に水の容積をふやす道はないでしょう。なぜそれに考えつかないのですか、中学生くらいが気がつくことに。どうしてそれがいまになってこのような事態を起こすようになったのか。これはあなたの意見を聞いてもしようがないから、その次にいきます。そういうことになるということなんです。  そうすると、千葉県でも埼玉県でも、神奈川も全部同じなんです。関東平野というものは大体同じ条件。そこへ持ってきて今度は都市化をした。分流方式で一般の雨水は農業用排水路に入ってくる。その中には汚濁した水も入ってくる。しかし、分流方式の下水道がどの程度進んでいるかといったら、微々たるものだ。そうなると、家庭雑排水も入ってくる。それは法律上断れるのですよ。法律上はこれは土地改良区としては断ることは可能なんです。しかし断ったら、これは行政が進んでいかないでしょう。どうですか。あなた、どう思われますか。
  375. 加瀬正蔵

    ○加瀬政府委員 おっしゃるとおりだと思います。
  376. 沢田広

    沢田分科員 そうすると建設省なりは、土地改良区、これは農業の団体が管理しているものであるけれども、相当恩恵を受けているということになるわけですね。その点は認められますか。
  377. 加瀬正蔵

    ○加瀬政府委員 本来下水道の排水路を設けるべきところを農業用排水路を使わしていただければ、その分受益しているのは事実だと思います。
  378. 沢田広

    沢田分科員 それで、いま河川の方では、こういう農業用排水路をたとえば河川にする場合、やはり五十分の一、百分の一の確率を求めているのが現実ですが、それは妥当と思いますか。
  379. 川本正知

    ○川本政府委員 河川の治水計画といたしましては、いま先生おっしゃられましたように、確率をどのくらいにとるかというのは、その地域の重要度あるいは開発の進展度、そういったものを考えて対応しなければいけないと思っております。一般に五十分の一でやらなければいけない河川もございますし、また、あるいはそれより下でいいという河川もございますし、また直轄のような大河川でありますれば、百分の一とか二百分の一とか、大変大きい確率を対象にしているということでございます。
  380. 沢田広

    沢田分科員 一般的に言う農業用排水路を準用河川なりにする場合に、下でもいいという程度は、五分の一ですか、三分の一までですか、あるいは十分の一までですか。どの程度まで下げる用意がありますか。
  381. 川本正知

    ○川本政府委員 いまおっしゃいました農業排水路が、地域が相当都市化あるいは開発されて、農業のみのもっぱらの排水に供するというふうな本来の意味からだんだん外れまして、一般の自然排水といいますか、民家の排水まで含むようなことになってまいりますれば、いまおっしゃったような準用河川にするというふうなことも考えられるわけでございますが、これも、先ほど申し上げましたように、その準用河川の位置あるいは周囲の形状、流域の状況、そういったものを考えて対応を考えていかなければいかぬと考えております。
  382. 沢田広

    沢田分科員 いま埼玉県は、五十分の一の確率にしなければ河川に引き継がない、こういうことをぬかしていると言っては悪いけれども、ぬかしている。そんなことは、人家を移転させてできるはずがないでしょう。市町村にもやれと言っている。これは市町村にだって膨大な超過負担がかかってしまう。夢みたいなことを言っている。これは話にならない。そんなことで、市に移管したって荷厄介になってしまう。いま言ったように、川は上から下に流れるのですよ。被害を受ける市町村は土のうでも築いて守らなければならなくなってくる、上が拡張されたら、下は迷惑するのですから。だから、これは広域行政の一つなのですよ。市ばかりで管理することばできないということはおわかりになるでしょう。それはどうですか。
  383. 川本正知

    ○川本政府委員 ただいまの先生のお話の対象は農業排水路でございますから、土地改良区が管理なさっておるのだろうと思います。それを準用河川なり何なりになさいますれば、市の管理、あるいは河川法の河川にすれば、県の管理、あるいは大きな場合は直轄管理というようなことがございます。
  384. 沢田広

    沢田分科員 私が言っているのは、時間が短いからぽんぽんと機関銃みたいに言っているわけだけれども、五十分の一にしなければ——農業用排水路というのは、そんな確率はないのですよ。周りがたんぼであったのだし、遊水地がたくさんあったから、結果的にせいぜい三分の一の確率で、ポンプでも三分の一の稼働能力を持てばいい、こういうのが前提なのです、設備の基準が。三日湛水はよろしいというのが基準であったわけです。それがいま、床下浸水だ、床上になれば一時間だって許してくれないですからね。そうなると、施設全体が変わってくるのだから、それを五十分の一にしなければ河川に受け入れないなんということは暴言だと思いませんか。さっき言ったように、人家が隣りにずっとつながってしまっている。そういうところを五十分の一にするのには、二十メートルも広げなければできない。そんなことが市町村や土地改良区でできると思いますか。できるかできないか、あなたの見解だけ聞いておきたい。
  385. 川本正知

    ○川本政府委員 河川なり水路は、いまの場合は水路でございますが、先ほど来いろいろと申し上げておりますように、重要性というのはそれぞれの水路によって違うと思います。そういったことで、これから水害が周辺に及ぶようなことがないようにするためには、いまおっしゃったような確率も、場合によってはどうしても必要な場合もあるのじゃないかと思います。
  386. 沢田広

    沢田分科員 確率が必要なのはわかっているんだ。だれがやるかの問題なんだ。だれにやらせるかの問題なんだ。それを市町村にやらせるとか土地改良区にやらせるごとが正しいと思っているかどうかをあなたには聞いているんだ。確率が必要なのはわかっていますよ、そんなことは。だから、それはどこがやるのが至当なのかということを聞いている。
  387. 川本正知

    ○川本政府委員 法河川でございますれば、大体県がやることになりますし、準用河川の場合は市町村でございますし、専用排水路の場合ですと、その排水路の管理者になろうかと思います。
  388. 沢田広

    沢田分科員 この辺以上はなかなかあれだと思うから、次の問題にいきます。  建築基準法に十九条、二十条というのがあります。建設省の都市市街化区域で管理をしていく場合には、土地改良区なり農業委員会なりの了解を得てやっている。それが届出でよくなった。この問題は、この間一回やったので重複することは避けますが、結局、これは土盛りをしなければ水につかりますよということで、十九条に基づいて意見を出しても、それを建築主事が守らない。ちょっと説明すると、サラリーマンは土地の安いところへ買いに出るわけです。しかし、それは大体川のそばなんです。だから土地が安い。昔の人はそれを知っているからそこには住まない。ところが、新住民は安ければ食いつく。食いついて住むと水が出る。それでけしからぬという問題になる。それはいかぬから土盛りもしなさい、あるいはその指導をしなさいということで、十九条、二十条で意見をちゃんと出すわけだ、土地改良区なり農業委員会は。ところが片っ方は、道路より高くなってはいけないから土盛りはさせられないぐらいのことで、それをさせないできた。建設省としては、その建築主事の責任はどうなんです。
  389. 加瀬正蔵

    ○加瀬政府委員 住宅局長がきょう来ておりませんので、担当がおりませんので、どうも……。
  390. 沢田広

    沢田分科員 とにかく建設省にいる限り、十九条、二十条くらいのことは、あなた方もそれを商売でやっているのだから。われわれも全般を見ているのだよ。これは専門じゃないんだよ。あなた方は建設省の飯を幾らか食っているのだから、担当以外は答えられないようでは話にならない。とにかく一応進みましょう。そういうのがある。それを守らない。そのために今日いろいろな判決で負けてきている。寝屋川のはんらんによる大東水害もしかり、多摩川もしかり。すべての判決において負けてきている原因はそこにある。この間の判決では、床下は受忍限度だろうという判決もあったけれども、床上は受忍限度ではない、こういう判決が出ているわけです。  では、これからどういうふうに対応すると考えておられるのですか、これからの水害に対して。
  391. 川本正知

    ○川本政府委員 ただいま水害訴訟の話が出ました。水害訴訟は大変頻発しておりますけれども、私どもとしても、主張すべきものは主張してやっておりまして、加治川なんかの訴訟では私どもの主張も入れられておるケースもございまして、ただいま先生御指摘の水害訴訟はどこの県かちょっとわかりませんけれども、そういったことで、私ども、主張すべきものは主張して今後ともやっていきたい、そう思います。  また一方、治水施設の整備が確かにおくれておるから水害が起こるということにつきましては、私どもも、その治水施設の整備水準を向上させる。これは当然の務めでございますので、従来からも努力してきておるところでございますけれども、これからもやっていかなければいかぬと思っております。特に、来年度からは第六次の治水事業五カ年計画といったものも新しく設定しまして、それに基づいて計画的に促進していきたい、そう思っております。
  392. 沢田広

    沢田分科員 時間がなくなってきたから、次の問題に移りますが、具体的に、鴨川という川が埼玉県に彫ります。これはレクチャーで言っておきました。鴨川の修理は何年にかかって何年に終了するのですかつ百トンのポンプをつけるというのですが、何年にポンプがつけられるのですか。具体的に言ってください、見通しじゃなくて。
  393. 川本正知

    ○川本政府委員 鴨川の改修につきましては、中流部に荒川の合流点がございますけれども、それから三キロぐらいは地盤沈下の対策河川事業というものでやっておりまして、その上流は中小河川改修事業というもので四十四年度より河川改修を実施しております。  それから、いま先生から御指摘がありましたポシプの問題でございますが、鴨川のポンプ場、排水機場のことにつきましては、四十六年度に着手いたしまして、全体五十トンの排水計画のうち、現在の河道の疎通能力に見合う三十トンのポンプ施設を五十五年度に完成させております。残りのポンプ施設の増強につきましては、今後その河道の拡幅等の進捗を見ながら検討していかなければいかぬ、そう思っております。
  394. 沢田広

    沢田分科員 それは大久保のポンプ場で、大久保のポンプ場は三十トンまで一年一年十トンずつつくってきたことは知っているのですよ。だけれども、一番末流にできるポンプ場は百トン、これについてどうなのかということをいま聞いているわけです。それは検討するということでは——検討するというのは、十年だか二十年だか三十年だか五十年だかわからぬ。大体の目安をきちんと言ってください。
  395. 川本正知

    ○川本政府委員 いま先生のおっしゃいましたのが鴨川排水機場だろうと思います。その鴨川排水機場は、ただいま申し上げましたように全体計画五十トンで、現在三十トンは完成しており、残り二十トンを今後やりたい、そう思っておるわけでございますが、百トン計画というのは、長期構想としてはございますけれども、現在すぐに実施するということではございません。
  396. 沢田広

    沢田分科員 では、それはなきに等しい、こういうことですね、その百トンの方は。
  397. 川本正知

    ○川本政府委員 将来永久になしということではございませんで、必ずいっかはやりたい……
  398. 沢田広

    沢田分科員 いま、あなたが生きているうちはないということだ。  次に、農林省に来ていただいておりますが、いまのような問答の中から、農業用水路というものの形態が都市化によって大分侵されてはきた。しかし、もうここまで来て——あと行政管理庁も呼んでいるのですが、大臣、行政管理庁なんて素人が、こういうことをちょこちょこ言われたんじゃかなわないなという気もするので、順は不同になりますが、行政管理庁は、下水路化した都市部の農業排水路は市町村に維持管理を移せ、こういうことを県に指示する。資料をよこせと言ったら、よこさない、三月二日までは発表しない。しかし、新聞にはちゃんと出ているのです。まず第一にこんなばかな話はないでしょう。これは扱い方もまずい。  それから、さっき言った議論じゃないけれども、二十メートルも広げたりなんかするという仕事が簡単にできる条件じゃないでしょう。それを行政管理庁は、本当のど素人が思いつきみたいなことでやったんだとしか言いようがない。回答があるんなら言ってみてください。
  399. 塚原喜朗

    ○塚原説明員 申し上げます。  私どもの埼玉行政監察局に最近行政相談がございました。これは、農業用の排水路に生活用排水が放流されて、管理上非常に問題がある、何とかしていただけないかというような行政相談がございましたので、私どもの埼玉行政監察局が昭和五十六年十月から十一月にかけまして、県内の農業用排水路についての管理状況を調査いたしたわけでございます。  この概要では、いま先生がおっしゃいました水路の利用関係の調整の問題、それから水路の安全対策というような問題について埼玉県に対して通知をしたわけでございますが、いまのお話の内容は、埼玉県が従来からそういう指導をしておるところがございました。そういうものをせっかく指導をしておられるので、さらに促進を図っていただきたいという旨の通知をしたわけでございます。
  400. 沢田広

    沢田分科員 安全対策の問題は、時間があると根本的に、ここで三十分使うのですが、時間がありませんから、大体そういうことを県と相談するかどうか——これはあなたのところの熊谷も入っているんだよね。とにかく、そういうことをそれぞれの地区の関係者なりの意見も聞かないで——これは徳川時代の享保年間から連綿と続いているんだよ。それを、きのうやきょう来た連中がぽこっと見て——これは千葉県だってそのとおりです。そういう者がきのうやきょう見て、ちょっと相談があったから、こういうふうに思いつきで出されるなんてことは、それぞれの歴史というものを無視することになる。そんなことできるんなら、お手並み拝見、できるかできないか、あなた自身が出ていってやってみなさい。そんなできもしないことを、こういうふうな無責任なものを出してくるなんて、これは撤回しなさい。こんなもの、市町村だってどうにもならぬ。下流だってどうにもならぬ。そして、いま言ったように、五十分の一の確率にするようにするためには、市町村は何兆円という金をつぎ込まなければできやしない。そんなむちゃくちゃな話をぬけぬけとよく言えたもんだと思う。こんなもの撤回しなさい。これはやらなければ、とにかく建設大臣、これを県に異動させてやらしてみなさい。それでできるかできないか、自信を持って答えてください。
  401. 塚原喜朗

    ○塚原説明員 この報告書につきましては、私ども一月七日に受けて、私、現地へ直接参ったわけでもございませんので、いま直ちに先生にお答えできるかどうかということについてはちょっと自信がございませんが、十分検討いたしまして、後日先生に御説明に参りたいというふうに考えております。
  402. 沢田広

    沢田分科員 だから、こういうことを言うんならやってみなさいと私は言っているんだよ。やる自信があるんだったらやりなさいと言っているんだよ。やれますと言うのか、やれないと言うのか、どっちか返事しなさい。それだったら、建設大臣、埼玉県へ異動させてひとつやらしてみてくださいよ。それ、答えなさいよ。能書きだったらだれだってできるんだよ。
  403. 塚原喜朗

    ○塚原説明員 できるかできないかという先生のお話でございます。非常に重要な問題であるということは、本日ここへ参りまして、私、理解いたしました。これにつきまして、現地局とも十分相談の上、後日先生に御説明を申し上げたいと思っております。
  404. 沢田広

    沢田分科員 僕に説明してと言うけれども、原案を撤回しなければ話にならないんだよ。撤回した白紙の上に立って相談なら、幾らでも説明も受けるよ、どうしたらいいんだろうかという。こういう結論を出しておいて、相談とか説明というのはないんだよ。僕のところへ資料を出せと言ったら、これは新聞だけにしかない、資料をよこせない、三月二日でなければ発表しないと言うんだ。じゃ、一応三月二日の発表だけ取りやめることを約束しなさいよ。
  405. 塚原喜朗

    ○塚原説明員 先生に私どものだれが言ったんだかよくわかりませんが、三月二日の発表は取りやめることを約束いたします。
  406. 沢田広

    沢田分科員 じゃ、その発表を取りやめた後で具体的に相談をするということにしていきたいと思います。  それから農林省、いままでの経過を考えて——農林省もだらしがないからこういうことになったんだから——もし農業用排水路にそういうものが流れ込むのがだめならば、法律の中では、予定外排水は拒否することができる、しかも管理規則をつくって、それぞれ管理規則に基づいて管理することができる、ただしそれは知事の認可が必要である、こういうように法律上は制定されている。それをなぜもっと早く督励していこうとしなかったのか。今後もう流させないようにするんならひとつ通達を出して、農業用排水路は、分流方式を下水道はやっているけれども、そういう雨水はもう一切受け入れるなという指導をしますか、どうですか。
  407. 合馬敬

    ○合馬説明員 先生御指摘のように、土地改良区が管理いたします農業用排水路の、最近の都市化、混住化の影響等によります家庭雑排水の流入等については、非常に大きな問題になっておるわけでございます。  そもそも農業用排水路は、灌漑排水を目的といたしましてやっているわけでございますが、このような事態に対処するために、私どもとしては、たとえば農業用排水路に下水道等が接続をされるといった場合には、水路管理者であります土地改良区とその当事者との間に十分調整が図れるようにすべきものであると考えております。  しかしながら、不特定多数の宅地から不可避的に雨水とか雑排水の流入が見られる現象が非常に多いわけでございまして、これを直ちに差しとめるということになりますと、これはやはり重大な社会問題等を惹起するおそれもありまして、土地改良区は農業用排水路の管理主体として、市町村と十分協議しながら解決していく、そのための指導、助成というものも私ども十分に考えてまいりたいというように考えております。
  408. 沢田広

    沢田分科員 大臣、以上のように問題はきわめて多岐にわたり複雑である。下水道の方にも、下水道の分流方式に影響を及ぼす分野も大きい。それからそれによって、安全の問題はとうとう触れませんでしたけれども、とにかくいろいろ——分ぐらいで済ませますと、下にすき間があっても、これも負けている。乗り越えて落っこっても、これも判決で負けている。じゃどうしたらいいんだというのが現場の声ですよ。ガードレールといって乗り越えれば判決で負ける。それから下があいているから子供がはっていって落っこちると、これも判決で負ける。高くし過ぎたら高くしたで、管理ができなくなってしまう。じゃなければ、後楽園みたいに網をかぶせてしまうか何かしなければだめなんです。こういうようにむずかしいのです。だから、それを下水道の建設省も農林省もそれから行政監察官もよく勉強してもらって、それぞれの分に応じて、市町村も含めながら対応できるように大臣としては指導してほしい、これが結論です。  だから、余り無理をしないで、それぞれの歴史と伝統というものもあるのですから、それぞれその歴史と伝統を考えながらひとつ配慮をして処置していくという方針で進めていただきたい、こう思いますが、いかがでしょう。それで質問は終わります。
  409. 始関伊平

    始関国務大臣 ただいま沢田委員から、下水道と農業用排水路との関係、その他水の関係につきまして、大変重要な問題の御指摘がございました。重要でかつ困難な問題でございますが、御趣旨を体しまして、十分検討して善処いたしたい、かように存じております。
  410. 沢田広

    沢田分科員 終わります。
  411. 後藤田正晴

    ○後藤田主査 これにて沢田君の質疑は終了いたしました。  次に、斎藤実君。
  412. 斎藤実

    斎藤(実)分科員 まず、建設大臣に最初お尋ねをいたしたいと思うのです。  建設省が第四期住宅建設五カ年計画を五十六年度から発足させました。この計画では、年間平均で百五十四万戸の住宅建設を見込んでいるわけです。ところが昨年の十二月、住宅の着工戸数が九万四千五百戸と、きわめて少ないですね。六カ月連続、前年同月に比べてマイナスになっているのですね。計画より大分落ち込んでいる。初年度では、いまの落ち込んでおる計画から見まして、三月までに恐らく百十四万戸程度しか建設が見込まれないのではないかというふうに、私はこのデータから見て指摘せざるを得ないのです。     〔主査退席、鴨田主査代理着席〕  それで、住宅がふるわない、需要が伸びないという理由はいろいろあると私は思うのですね。最大の理由は、個人の可処分所得が伸びないということと、それから、土地住宅価格が上がって消費者にはなかなか手が届かない、したがって、住宅需要を今後拡大するためには、いままでとは違った新しい施策が必要だろうと私は思うのですね。  政府が五十七年度の五・二%実質経済成長の柱として掲げております百三十万戸の建設目標も、当然このままでは達成できない、こう私は思うのですね。住宅市場が不振のどん底にある今日、需要拡大の見通しと大臣のこの問題についての見解をまず最初にお伺いしたいと思います。
  413. 始関伊平

    始関国務大臣 住宅建設は、昭和五十一年、二年、三年、四年、第二次石油ショックの前は、年間百五十万戸ぐらいいっておったようでございます。ところが急に落ちまして、昨年度の百二十一万戸ですか、本年度はいま御指摘のように百十四へ五万戸ぐらいに落ちつくだろうというふうな感じを私ども持っております。  この住宅建設が、内需拡大による景気の浮揚、貿易摩擦に対処する、いろいろな意味合いをもちまして住宅施策として取り上げられておるわけでございますが、ただいま御指摘のように、宅地の価格と住宅の需要者と申しますか、それの持っております住宅取得能力とが大分離れておりますですね。潜在需要はあるに決まっておると思うのです。少し程度の高い住宅に住みたいという意味で、潜在需要はあると思っておるのでございます。  そこで、政府といたしましては、実は、昨年十二月中、予算の編成、財政投融資計画の決定、さらに住宅土地税制、こういう際に、私どもの感じとしてはかなり思い切った対策を組んだわけでございまして、まあまあいまの政府が行使し得る政策手段をことごとくと言っていいぐらいに動員したという感じを持っております。現にこれは、隣に住宅局長がおりますが、一月末に貸付限度額の引き上げ、そういうものだけは前倒しいたしまして、五十六年最後の住宅金融公庫の受け付けをいたしたのでございますが、それなんかかなり調子がいいようでございますけれども、すでに御承知のように、政府の政策手段、いま申しました金融、税制等でございますが、による住宅、つまり公的資金による金融のほかに、そうでない純然たる民間資金による住宅というものもあるわけでございまして、これにつきましては、大蔵省とも連絡をとりまして、銀行の住宅ローンも利子をなるべく下げさすとか資金量を確保さすとか、余りぐずぐずしておりましたら困りますから、てきぱき処理してもらうというふうなことを、大蔵大臣も了承しておりまして、いま銀行業界などの指導に努めておるところでございます。いま御指摘のようないろいろな心配はございますけれども、いまの場合、これは一建設省の場合ではございませんで、大きな意味を持った政策と思いますので、今後全力を尽くしてその推進に努めてまいりたい、また各方面の御協力をいただきたい、かように考えておる次第でございます。
  414. 斎藤実

    斎藤(実)分科員 実は、住宅都市整備公団の空き家住宅の件でございますが、これは昭和五十一年度にも会計検査院から指摘がされましたし、五十五年度決算報告でもこの空き家住宅について特記事項として指摘をされていますね。  そこで、五十年と五十五年の空き家の状況を対比をしてみますと、新築の空き家については一万四千五百二十三戸から六千八百二尺七千七百二十二戸減っている。それは結構なことだと思うのです。しかし、保守管理住宅ですね、建物ができない、下水道、排水溝、道路未完成のままで募集できないという、これは五十年では一万七千五百三十二尺それが一万八千四百四十四戸と、五年たって九百十二戸ふえている。建設費も九百二十一億円ふえている。それから長期空き家、再保守管理住宅など、合計三万四千八百四十九戸が空き家になっておるわけです。それでなおかつ、あいているものですからその保守管理、この費用も莫大なものなんですね。当然入ってくる家賃が入らない、この経費もまた莫大だ。それが全部金利がかさんでくるということで、これが家賃にはね返ってくる。こうして見ますと、これは国からも一千数百億補助金が出ておるわけです。せっかく長期の金を投入をして、しかも現在三万四千八百四十九戸が空き家だという。これは現在の住宅事情のことを考えた場合に、まずこの問題を抜本的に解決をしなければならぬだろうと思うのです。  そこで、空き家対策、これは具体的にどう処理され、解決されるのか、まず一つ伺いたいと思います。
  415. 豊蔵一

    ○豊蔵政府委員 ただいま先生から御指摘ありましたように、住宅都市整備公団におきまして未入居住宅あるいは保守管理住宅等が生しており、これがまだ十分に解決できておりませんことはまことに遺憾でございます。  私どもも、こういう点の早急な解決を図るべく、昨年の三月に建設省の中に公団住宅等事業促進対策委員会を設けまして、そしてこの七月に、具体的な対策といたしまして、たとえば関連公共施設の整備であるとか、あるいは家賃対策の実施あるいはまた小さな規模の住宅を大きくするとか、募集販売体制の強化といったような項目等につきまして取りまとめて、これを公団に指示をいたしたところでございます。公団におきましては、この指示に基づきまして個別の団地ごとに具体的な対策を検討いたしまして、逐次実施に移しております。五十八年度末までにはこれらの問題をおおむね解消するという方向で実施に移しているところでございます。
  416. 斎藤実

    斎藤(実)分科員 私は、一つの解決策として、この空き家公団住宅を地方公共団体の公営住宅に切りかえるという方法一つ方法ではないかと思うのです。公団の空き家住宅を地方自治体が公営住宅として使いたい、ところが建設をする場合には国から建設費に対して一種は二分の一、二種は三分の二というふうに補助金が出るわけですね。ところが、できたものに対して、それを買うという場合には補助金が出ない。これは何とかそういう道を開けないのかと思うのですが、いかがですか。
  417. 豊蔵一

    ○豊蔵政府委員 ただいまお話のありました、公営住宅として公団の空き家を買い取るということでございますが、公営住宅法第二条におきましては、地方公共団体が国の補助を受けて建設するものを公営住宅の要件といたしておりますものですから、現在の公営住宅法の解釈の上から、買い取ってこれを公営住宅にする、そしてまた国の補助を受けるということはむずかしいのではなかろうかと考えているところでございます。
  418. 斎藤実

    斎藤(実)分科員 私は、前建設大臣の斉藤大臣にもこの問題でいろいろお力添えをいただいたのですけれども、実際問題として地方自治体で欲しい。  たとえば、北海道札幌の周辺に広島町という町がありまして、北海道庁が開発して北広島団地というものをつくった。それで、日本住宅公団が分譲住宅を二百七十戸つくったのですね。ところが、募集したのですけれども入り手がない。五年間そのままに放置されている。その間、保守管理にえらい莫大な金がかかった。入り手がないわけだ。そこで思い余って、広島町としてもほっておけないし、教員住宅として購入をしたのですね。ところが譲渡条件は一般と同じだ。ですから一千七十九万六千円、そのうち百五十万円は頭金として九百二十九万六千円三十年償還、こういうことであと二百戸余っておるわけです。ところが、公団としてもこれは何とか売りたいけれども、買い手がない。役場としても、公営住宅をつくるのには金がかかるし、だから、いっそ、できているものだからこれはぜひひとつ買いたい。役場にこれを売ってくれ、そのかわり補助金を出してくれぬか——ただ投げておって、管理費と修繕費とがえらくかかっている。二百戸買えといったって、小さな町ですから、二十三億数千万円するわけですから、これは大変な負担になる。むしろ、そういう補助金を出せば空き家住宅も解消するし、それから町の公営住宅としての役目も果たせるということで、これは一広島町という町ですけれども、私は全国に相当あると思うのです。これはひとつ法改正してでも、そうすれば一挙両得になるわけですから、いかがですか。
  419. 豊蔵一

    ○豊蔵政府委員 ただいま先生御指摘がありましたように、広島町におきまして住宅公団が幾つかの住宅を建設しております。御指摘の北広島若葉町団地であったかと思いますが、その団地につきましては一二百七十戸建設いたしまして、教員住宅として町で七十戸お買い取りいただいた後、依然として二百戸が保守管理住宅となって残っているということは、私ども承知しております。  先ほど申しましたように、公団につきましては、未入居住宅とか保守管理住宅につきまして、これらの解決策を早急に具体の個別団地ごとに立てて実施をしていただくということで御検討をお願いしております。また、一面、昨年前建設大臣のもとに、先生から広島町のお話も承りました。しかしながら、先ほど申しましたようなことで、現段階では公営住宅法の解釈上無理であるというような面で、直ちに解決できないのが残念でございます。  そうは申しましても、実は私ども昭和五十五年度の概算要求等におきまして、再開発事業を推進してまいります場合に、この再開発によってできますビルの上の方に公営住宅を建設するといったようなプロジェクトも考えられたものですから、そういう段階で買い取り公営住宅という制度はできないだろうかということで検討し、概算要求に出したこともございますが、まだその段階では、たとえば合併事業として行う道もありましたし、必ずしも再開発事業ということだけで緊急性があるかどうかということで結論は得られませんで、そのままになっておったところでございます。  今後の課題といたしまして、各地域の公共団体のお考えにもよりますし、また、それぞれの地域住宅事情あるいは公営住宅の必要性といったようなものも総合的に考えながら、なお検討させていただきたいと思っておるところでございます。
  420. 斎藤実

    斎藤(実)分科員 いま局長からこの買い取り方式について、概算要求で公営住宅の供給制度の創設を盛り込んだというお話がありました。これは、建設省内部として必要だという判断に立っていると私は思うのですが、今後こういう形でこの買い取り方式について、建設省として積極的に大蔵省なりに要求していくお考えがあるのかどうか、伺いたいと思います。
  421. 豊蔵一

    ○豊蔵政府委員 先生から御提案がありました買い取り制度の問題につきましては、いま申しましたように、地域住宅事情に対応した的確な公営住宅の建設といいますか、供給の促進のための一助として、きわめて有力なお考え方であろうかと思います。私どもも、現行補助は無理でございますが、公営住宅のあり方あるいは公営住宅制度そのもの等につきましても、いろいろと検討すべき要素もあろうかと思っておりますので、そういう検討の中の一環として考えさせていただきたいと思っております。
  422. 斎藤実

    斎藤(実)分科員 先ほど、買い取り方式について公営住宅法の改正、これは建設省として検討されたろうと思うし、今後買い取る場合に補助金を国から出す、こういう考え方についてどう考えていらっしゃるのか、伺いたいと思います。
  423. 豊蔵一

    ○豊蔵政府委員 まだ完全な結論が出ておらないところでございますが、先ほど申しましたように、五十五年時点での発想は、たとえば再開発事業といったような点に着目をした考え方から出発したところがございまして、いま先生の御提案はもっと幅広く、公営住宅の供給という中で建設するのがいいのか、あるいはいまお話ありましたように、適当なもの、適当といいますか、公営住宅として適切であり、またそれが必要であるという場合におけるいろいろなケースがあろうかという御提案かと思います。私どもまだ完全に結論が得られておりませんが、公営住宅制度そのものの中でもいろいろな、やはり買い取りをするに当たっては、それのまたいろいろな条件ということも考えないといかぬ点もありましょうと思われますので、もう少し検討を続けさせていただきたいというように思います。
  424. 斎藤実

    斎藤(実)分科員 ぜひひとつ前向きに取り組んでいただきたいと思うのですね。  それから、行政管理庁から公団に対して機構運営に関する改革案が発表されました。ここでもやはり問題にしているのですね。既存の分譲賃貸住宅の空き家は、売れるものは売ってしまえ、相当こういう意見が出ているわけですね。建設省として、行管庁の改革案についてどういうお考えでありますか、伺いたいと思います。
  425. 豊蔵一

    ○豊蔵政府委員 行政管理庁の方での行政監察に基づくいろいろな勧告というのがいま検討されておるというふうには伺っておりますが、具体的にどのような勧告があるかということは、詳細はまだ承知しておりません。しかしながら、いずれにいたしましても、先ほど御指摘ありましたように、公団の未入居住宅とか、保守管理住宅とか、そういったようなものが相当数あるということは、これは公団の経営の体質を悪くするだけではなくて、やはり大事な国のお金をお預かりして仕事しておる立場から、やはりこれは早急に解決しなきゃいけない事柄だと思っております。  その中で、たとえば賃貸住宅として建設しましたものを分譲住宅に切りかえるとか、あるいはまた地域によっては分譲住宅であったものを賃貸に切りかえるということもありましょうし、また、従来の規格でつくりましたものはとかく規模が小さい、それが国民のニーズに合ってないというようなものもありますので、そういうものはたとえば二戸を二戸にして、大型化して供給するとか、また、実は二月一日からもすでに実施しておりますが、家賃の額をある一定期間引き下げて、その地域のニーズに合ったものにする等々考えておりますので、その具体的な実施の方向というものは、恐らく行政管理庁の方でもお考えになっておられることと一致した方向じゃないかということで、私どもできる限りの努力をいたしまして、公団にも指導してまいりたいと思っております。
  426. 斎藤実

    斎藤(実)分科員 実は、昭和五十五年度の空き家の管理経費、たとえば新築、保守管理、五十五年度の支払い額はどれくらいになっておるのか、それから新築空き家、当然そこから入る収入が空き家ですから入らない。だから、当然入るべき家賃が、収入が減っているわけですから、その金額と、それから金利はどれくらいになっているのか、この三点をひとつ。
  427. 救仁郷斉

    ○救仁郷参考人 保守管理住宅あるいは未入居住宅につきましては、ただいま建設省から御答弁申し上げましたように、私どもとして非常に重大な問題だというように認識しております。  先生のお尋ねでございます新築空き家、長期空き家、保守管理、再保守管理、いろいろございますが、それの五十五年度中の管理経費が十一億三千万円ということになっております。また第二番目の、新築空き家及び長期空き家の五十五年度の収入減、これが五十九億三千万というようになっております。三番目の、保守管理住宅及び保守管理住宅の完成後五十五年度末の金利の合計でございますが、これが百九十八億九千万ということになっております。  いずれにいたしましても、こういった事態は大変なことでございます。建設省の御指導を受けながら、五十八年度末までに解消するように、現在個別の団地につきまして実施いたしているところでございます。
  428. 斎藤実

    斎藤(実)分科員 いま公団から説明がありましたように、昭和五十五年度新築空き家、保守管理住宅、長期空き家、再保守管理住宅、これで建設費が四千二百二十八億かかっておるわけですな。しかも、いまの金利やその当然入るべき収入減、それから管理費二百六十九億、そうするとこれは四千五百億近い金になる。この金が寝ているわけですね。これがずっと何年間もいくとまた雪だるまになって、それがまた家賃にはね返るという、これはもう大変な問題だというふうに私は考えるわけでございまして、ぜひともひとつ、いま御答弁がありましたように、いまの空き家住宅の解決については、十分これは積極的に抜本的に処理をしていただきたいとお願いいたすわけでございますが、最後に建設大臣からひとつ御答弁いただきたい。
  429. 始関伊平

    始関国務大臣 住宅公団が非常に多くの空き家、末入居住宅保守管理住宅を抱えておりますことは非常な大きな問題でございまして、建設省も大変責任を感じておるわけでございますが、先ほど来局長並びに住宅公団の方から申し上げましたように、相当思い切った方法を講じまして、一両年中に空き家をなくするという方向に取り組んでおりますので、今後なお一層監督を強めまして、御期待にこたえるようにいたしたい、かように存じております。
  430. 斎藤実

    斎藤(実)分科員 以上で終わります。
  431. 鴨田利太郎

    ○鴨田主査代理 これにて斎藤君の質疑は終了いたしました。     —————————————
  432. 鴨田利太郎

    ○鴨田主査代理 次に、先刻行いました運輸省所管について質疑を続行いたします。中村茂君。
  433. 中村茂

    中村(茂)分科員 私は、列車のダイヤ改善について、二点お願いいたしたいと思います。特に地域の問題でありますけれども、その地域では非常に深刻な問題になっていますので、誠意をもって解決のために努力をしていただきたい、こういうふうに思います。  まず第一点目の問題は、信越線の軽井沢駅−小諸駅間の列車ダイヤ改善についてであります。  軽井沢−小諸間の駅を利用している通学者、特に高校生の数は、沿線の軽井沢高校、小諸商業高校、小諸高校の三校を中心にして約七百人以上の人がおります。それに近隣の高校を含めますと、約千人以上通学しております。そこで、授業やクラブ活動が終わって帰るわけでありますけれども、列車の時刻と帰る時刻がなかなか合いません。したがって、一時間、二時間、ときには三時間も待たなければならないというような状況が起きているわけであります。  軽井沢高校の例を見ますと、土曜日は十一時五十分に授業を終わりますけれども、三時まで列車がありません。同校の半数、約三百人以上の生徒が三時間も待たなければならない、こういう実情です。ですから、その三時間をどういうふうにするか、生徒は大変な苦痛を感じておりますし、また、生徒の指導に当たってもさまざまな問題が起きております。列車を待つ時間がありますから町をぶらつく、時間をつぶすために好ましからざるところに入ってたむろする。こういう状態が非行につながりまして、すでに数件の非行行為が起きている。  反面、この地域は山間僻地が非常に多いわけでありまして、自転車通学には限界がある。したがって、バイク通学を許可してもらいたい、こういう問題が起きているわけでありますけれども、これは文部省の指導等によって厳格に、最小限度に抑えていかなければいけない、こういう問題の板挟みが一つ起きております。学校ではできるだけ厳正に選定しているわけでありますけれども、そういう中で学校には無届けで、しかも無免許で学校へ来る。しかし、学校まで行くことができませんから、近くのところの家なり、または野原にほっておく。そして、そういう人がまた事故に関連して、相当数事故が起きている。こんな例もあるわけです。早く帰りたい、そういう女生徒が見知らぬ人の車に誘われて乗った。それが事故に通じた。父兄の方は大変その点を苦慮しているわけであります。  こういう状態でありますから、実はこれは昨年のちょうどいまごろから社会問題になりまして、各種団体、有識者、こういう人たちでこのダイヤを改善してもらおうというダイヤ改善を求める連絡会議というものがこの地域でできました。そういう皆さんの声に基づいて、私はやはり昨年の分科会で皆さんにお願いしたわけでありますけれども、そのときには、できるだけ善処いたしましょう、それから上越新幹線が開通する、高崎という問題があるので、その接点を含めて根本的には考えていきたい、こういう答弁がございました。一年たちましたけれども、まだほんの一部についても解決していないわけであります。  そこで、こういう時期でありますから、この問題が地元でも再燃してまいりまして、運動を大きく起こそう、こういう形になっているわけでありますけれども、一年間皆さん検討してきたわけでありますので、検討の結果を御答弁いただきたいと思います。
  434. 橋元雅司

    ○橋元説明員 この問題の解決に大変時間がかかっておりますことを、最初におわび申し上げたいと思います。  御要望の趣旨につきましては前国会でも御指摘いただいておりますし、かねてからの問題でございますので、私ども十二分に承知をいたしております。  御要望は四点あるわけでございますが、まず上りの列車につきまして、小諸着十八時五十二分、これは小諸どまりになっておるわけでございますが、これを軽井沢まで延長してもらいたい、こういう御要請でございます。それから下りにつきましては三点ございまして、小諸発十二時五十六分を軽井沢始発にしてもらいたい。それから小諸発十六時四十八分の列車を、これも軽井沢始発にしてもらいたい。それから軽井沢発十八時半ごろの列車を増発して、長野まで運行してもらいたい、こういう御要請でございます。  前回にもお答え申し上げたのでございますが、この信越線のいわば谷間に当たるような状態の区間でございますが、現在一日七往復私ども運転いたしておるわけでございまして、御利用の状況は三五%程度ということで、この数字で見る限りでは比較的御利用が少ないということになっております。しかし、先生御指摘のように、社会的にも、また教育上も放置いたしかねるということでございまして、私どもとしては、列車を増発する場合には、当然のことながらまず要員、車両が必要となるわけでございまして、その点いろいろ制約がございますけれども、できる限り御要望の趣旨に沿うべく検討を重ねてまいっておるわけでございます。残念ながら、上越の新幹線の開業が大分おくれてしまいまして、先生御承知のように、本年十一月に開業という予定が大体確定いたしておりますので、その際に信越線のダイヤ改正を行うわけでございますが、その節にはこれらの検討結果を踏まえまして、ぜひその改正の内容に、すべてが果たして可能かどうか、ちょっと申し上げかねるわけでございますが、できるだけこの四点の要望について、盛り込みたいということで勉強いたしております。この十一月のダイヤ改正の骨子の詳細につきましては、遅くとも五月の末ごろにはお示しできると存じますので、もうしばらく時間をかしていただければ、こう考えておるところでございます。  いずれにしましても、もう一年以上いろいろ勉強させていただいております。できるだけ御要望に沿うべく、いま最後の詰めをいたしておるところでございます。
  435. 中村茂

    中村(茂)分科員 せっかく努力をいただいているわけでありますが、非常に困っているという状態をもう少し、二、三点申し上げて、なお御理解を深めておいていただきたいというふうに思うわけですけれども、いま言われましたように、本当に谷間なんです。軽井沢までは高崎鉄道管理局管内、それから小諸の方から上ってきて軽井沢の手前までが長野鉄道管理局管内、そういう行政の面からいっても谷間です。それからダイヤを見れば、上りで来たのが小諸どまりというのが比較的多いわけですね。ですから、要求はそれを軽井沢まで延ばしてもらいたい。そういうダイヤを見ただけでも谷間になっている。特に普通の通学もそういう事情で困るわけですけれども、クラブ活動をしている人たちというのが非常に困るわけなんです。ですから、列車が不便なためにクラブ活動に入ってやりたいと思うけれどもなかなかできないという人が出てくる。クラブ活動に入って一時間半くらいやりますと、大体八時ごろの列車に乗らなければいけない、したがって帰宅するのは夜の九時ごろになってしまう。娘さんが女生徒なので、毎日駅まで出迎えに行っているという保護者などが出てきております。  ここに投書があるわけですけれども、こんな投書であります。軽井沢から通学している小諸高校の一年生の女学生ですけれども、「私は軽井沢から通学しているバスケットクラブの女生徒です。  先生の熱心なご指導もあって成績は向上していますが、帰りの小諸発の列車が六時二分の次は八時一八分までなく、困っています。夏など最低一時間半泣は練習したいのですが、そうすると八時の列車になって家へ帰ると九時を過ぎてしまいます。七時頃の列車をつくって下さい。」ですからその時間非常に困る、こういうわけです。  それともう一つは、御存じのようにこの地域は海抜七百から九百という非常に海抜の高い地域で、冬は厳寒の地域です。ところが学校では灯油の制限がありまして、授業後は余り長く灯油で暖房をとるというわけにはいきません。     〔鴨田主査代理退席、主査着席〕 午後三時を過ぎるともう教室は寒くなってしまう、ところが列車はそれに合うのがない、その寒いところで待っているということもなかなかできない、こういう特殊な事情もあってみんな悩んでいる、こういう事情でありますから、先ほどお話がありまして、私どもも長野鉄道管理局へ行っていろいろ事情を聞いたりして困難な事情もよくわかるわけでありますけれども、いままでの話の中で、非常に解決のために努力していただいているけれども国鉄の財政再建という板挟みの中でなかなかむずかしいというふうに言われているのが、先ほど申し上げました三点目、信越線下りの軽井沢発十八時三十分ごろの列車を増発し、長野駅までの運行をお願いしたい、これなんですね。ですから、本当にこの事情をよく理解していただいて、全面的な解決をしていただくよう一段と御努力をお願いいたしたい、こういうふうに思います。
  436. 橋元雅司

    ○橋元説明員 精いっぱい努力させていただきます。できるだけ前広に先生に御連絡申し上げたいと思っております。
  437. 中村茂

    中村(茂)分科員 もう一点、やはり関連した地域のことで非常に恐縮ですけれども、今度新しくお願いするのですが、これはやはり高校の通学、特にクラブ活動の小海線を含めての問題です。  御存じのように、いま問題になっております軽井沢から小諸、小諸から小海線が出ているわけです。この沿線に、いま申し上げました軽井沢と小諸の間に三校、それから小海線の間に二校、高校があるわけです。この五校で信越線を利用しているいわゆるクラブ活動の高校生、これが約五百名です。それから小海線を利用している高校生が六百名。ですから、約千百名の高校生が、信越線から小海線、ここのところでクラブ活動をしている生徒が通学している、こういう事情であります。  そこで、最近問題になってきているのは、やはり小海線についてもダイヤの改善をしていただきたい、こういうことで、具体的には小海線の上り、小諸発八時ごろの列車を増発して小海の駅まで運行してもらいたい。次は、小諸発十九時一分を小海駅まで延長して運行してもらいたい。それから下りは、小諸着十二時四十七分の列車を増結してもらいたい。これもふやすのです。次は、小淵沢発の六時四十分ごろの列車を増発して、小諸の駅まで運行するようにしてもらいたい。こういう新たなお願いですけれども、これもあわせて御検討をいただきたいと思います。
  438. 橋元雅司

    ○橋元説明員 ただいま初めてお伺いするわけでございますが、よく勉強させていただきます。
  439. 中村茂

    中村(茂)分科員 高木総裁にいままでもお願いしてきたのですけれども総裁は私の顔を見れば頭からSLの煙を出しているように見えると思うのですけれども、もう私の多年のお願いで、たびたびお願いしてきているのです。  というのは、いま申し上げました小海線、これは小諸から小淵沢まで行っている。御存じのように日本の列車の中で一番海抜が高いところを通っている。特にその沿線は非常に山水明媚、最近の若い人たちが夏になるとどんどん入ってくる。これは非常に東京から行きいいのです。東京から小諸まで行く、そしてSLに乗って小淵沢まで行く、そして中央線で新宿に帰ってくる。一日のハイキングコースとして非常にすばらしいコースなんですね。しかも、その間をSLに乗るわけですから、軽井沢なり小諸まで車で行ってというわけにいかない。東京を出て帰ってくるまで皆さんの列車を利用する。しかも、夏になりますと小諸と軽井沢というのは近いのです。ですから、きょう一日それに乗ってずっと小海線の高原を散策して、帰りにまた小諸に帰ってくるという一日のハイキングコースですばらしい。いままで定期的にやっているのは山口県だけだ。あと不定期的に、こういう行事があるからこのところというような話があれば、非常にむずかしいけれどもその話に乗ります、こういう話を聞いてきたわけです。特に私は、こういうみんながひとつ国鉄の列車、または国鉄の情勢になじみを持つ、そして国鉄のお客を多くしていく、再建に協力する、こういうことも、ただローカル線を減らすとか、また採算が合わないから料金を上げる、こういう悪循環ではなかなか根本的な解決はできない。したがって、国鉄に親しみを持つ、こういうものについては、そのときには少し金はかかるようですけれども、やはり金をかけてもそういう親しみを持たせるという意味からも、私はいま申し上げたような小海線、全国にもそういうところがあると思うのです。ですから、思い切ってSLなど通すようにして、国鉄との親しみというもののつながりもそういう中から求めていったらいかがだろう、こういうふうに思う。また、地域国鉄への親しみ、こういうものを求めながら、私の執念のようになって総裁にお願いしているわけですけれども、御見解を承りたいというふうに思います。
  440. 高木文雄

    高木説明員 ただいまもお触れになりましたように、一年のうち大体半分ぐらい、土曜、日曜日に走らせておりますのが山口線でございます。その後各地域において御熱心に自分の方で走らせろというお話がございましたが、なかなか採算的に合わないということもありまして、結局臨時で何カ所か動かしました。それは一カ所は横浜でございました。それからもう一カ所は北海道で、北海道の鉄道百年記念ということで、小樽−札幌間で約十日ほどいたしました。それから昨年は福井県の小浜線でやはり十日ほど運行いたしました。一番最近は昨年の十一月に大分県で、やはりこれも一週間か十日運行をいたしたわけでございます。  それぞれの運行につきまして、大変恐縮ではございますけれども、かかりました経費と収入の差額について関係の主催者団体に御援助をいただいたわけでございます。かなりの負担になったところもありますけれども、大変大ぜい乗られて、そして結果的には余り御迷惑をかけずに、一週間か十日の話でもございますし、やったというようなこともございます。そういう先例もございますので、やはり主催県あるいは主催の関係市町村あるいは観光事業団体といったようなところで御協議いただきまして、具体案を立てていただくと同時に、一面では御負担のこともある程度考えていただくということでやれないものかと思います。  私どもも一般論としては、小海線を通って信越線と中央線で一周してくるというのは非常におもしろい旅行企画になるのではないかと思います。ただ、ちょっと私いま正確に覚えておりませんが、たしかこの車両を回します転車台の設備が、小海線の両端のうちのどちらかでございましたか、まだ十分でなかったということもあり、給水給炭設備もたしか昔あったものを取り払ってしまったというようなこともありまして、ほかの場所と違ってなかなか私どもの方も実践的に取り上げにくいし、また地元にお話をするにもどうも相当の御負担になってしまいはしないかということもあって、小海線沿線の皆様からは大変御熱心なお申し出が今日までもあるのでございますけれども、それがむしろおくれて、他の地域の方で現実にそういうことが臨時的にもせよあったということは、やはりたしか設備的な問題としてコストがかかるということからきておったのではないかと思います。そうした問題、つまり設備がどうなっておるかということ、それから、それに伴って生じますところの、経費の処理といったような問題についての何らかの妙案が出てまいりますれば、基本的にできないとか反対とかいうことではございません。  ただ、実際運行できる蒸気機関車の数は三台か四台に減ってしまいましたので、そのかわりその三台か四台は余り設備費をかけなくてもいますぐ動けることになっております。前に実験的にいろいろやっていただいた場合にある程度修理をしましたので、あるいは現実に走れるのは三台ぐらいだったと思いますが、そっちの方の修理もある程度進んでおります。またどうか関係者からお申し出いただきまして具体的なことを検討していただいて、もし走ることができれば、われわれとしても大変楽しいといいますか、鉄道ファンにおこたえできるのではないかというふうに考えております。
  441. 中村茂

    中村(茂)分科員 最後に、お願いしました地域の問題ですけれども、通学という教育上の問題でもありますから、その点と、いまのSLについて、大臣も長野県と全然関係ないわけではありませんので、最後に大臣の御見解を承って終わりたいと思います。
  442. 小坂徳三郎

    ○小坂国務大臣 私も実は中村さんのお話で初めて実態を知ったようなわけでございますが、後の小海線の話は大変に興味のあることだと思うし、また国鉄総裁も大変な関心を持っておるようでございます。これの実現するような方向でさらに検討を進めてもらいたいというふうに思っております。
  443. 中村茂

    中村(茂)分科員 終わります。
  444. 後藤田正晴

    ○後藤田主査 これにて中村茂君の質疑は終了しました。  次に、竹内勝彦君。
  445. 竹内勝彦

    竹内(勝)分科員 京都市では都市交通問題の抜本的解決、こういうことから、かねてより要望のあった地下鉄が昨年の五月より運行をしております。そこで若干その問題に関して、今後の要望等も含めて質問をさせていただきますけれども、この地下鉄烏丸線、これに関する利用状況及び収支状況はどうなっておるか、最初に御説明いただきたいと思います。
  446. 杉浦喬也

    ○杉浦政府委員 御指摘の烏丸線につきましては、昨年の五月に北大路−京都間の開業を見たわけでございまして、現在のところ一日当たり輸送人員が十二万人余ということになっております。開業時に予測いたしました数字の約八割ぐらいでございまして、当時の予測よりも若干下回っておるというのが実情でございます。お客さんの態様は、定期旅客が三割、それから定期外旅客が残りの七割ということでございます。五十六年度の収支見通しは、開業間もないことでございますので、正確な収支見通しがなかなかできませんが、いま申し上げましたように開業時に試算した予測よりも若干下回った数字になっておるというのが実情でございます。
  447. 竹内勝彦

    竹内(勝)分科員 当初の計画と比較して一日十二万人、約八割程度、これは計画がどうだったのか、どうしてそれだけの差が出たのか。それに関するもので何かつかんでいますか。
  448. 杉浦喬也

    ○杉浦政府委員 その差についての分析は実はまだしておりませんが、もう少し様子を見ませんと、お客さんがどの程度定着するのかどうか、原因がよくわからないと思います。今後検討したいと思います。
  449. 竹内勝彦

    竹内(勝)分科員 では、今後検討するというのは、検討して、そしてその結果を何らかの形で発表しますか。
  450. 杉浦喬也

    ○杉浦政府委員 もしわかりましたら、わかり次第、先生のところにお話しに参りたいと思います。
  451. 竹内勝彦

    竹内(勝)分科員 収支状況をもうちょっと詳しく言ってください。最初どのように考えておったのか。そして、一やはり営業が成り立っていかないと、地方自治体におきましても非常にいろいろと苦労しておる現在の状況の中で、いつごろ黒字にする予定で、そして現在はどうなのか、どうやっていったならば営業自体がよくなっていくのか、そういった面での収支の状況をもう一度説明してください。
  452. 杉浦喬也

    ○杉浦政府委員 開業時の試算によりますと、単年度の黒字になるのは当初より十六年目というふうに予想をいたしております。これがいまの実情でございますが、もう少し様子を見ませんとはっきりした予想はできませんが、若干ずれ込むのではないかという予想をいたしているような次第でございます。
  453. 竹内勝彦

    竹内(勝)分科員 それではこの烏丸線の北大路—京都間、これをさらに延伸していくということで北大路−北山間の延伸計画はどうなっていますか。
  454. 杉浦喬也

    ○杉浦政府委員 北大路−北山間一・五キロ、それからもう一つ京都−竹田間三・六キロ、これが現在工事中の区間でございます。特に京都−竹田間につきましては、竹田に車庫を予定いたしておる関係上早期に工事に着手をする必要がございまして、京都市は京都駅以南の用地買収に現在最大限の努力を傾注しておるところでございまして、ことしに入りまして二月の半ばに地権者と用地買収に関する基本事項につきまして合意ができまして、近く測量ができるようになったというふうに聞いております。この京都−竹田間の工事のめどでございますが、昭和六十年度をめどといたしております。若干変動があるかとも思います。  それからもう一線の北大路−北山間につきましても一生懸命やっておるようでございますが、なかなか用地買収が難行しておる、あるいは京都市自身の財政事情というような問題がございましてまだ工事に着手するに至っていないという状況であります。
  455. 竹内勝彦

    竹内(勝)分科員 いま京都−竹田間の御説明をいた充きましたけれども、京都−竹田間の六十年度めどというのは六十年度に完成ですか、それとも工事に入っていくということですか、どちらですか。
  456. 杉浦喬也

    ○杉浦政府委員 工事ができ上がる時期が六十年度、こういうことでございます。
  457. 竹内勝彦

    竹内(勝)分科員 では、六十年度に走るということでいいのですか。
  458. 杉浦喬也

    ○杉浦政府委員 六十年度にでき上がりまして六十年度にスタートする、こういうことでございます。
  459. 竹内勝彦

    竹内(勝)分科員 北大路−北山間の大体の見通しはわかりませんか。
  460. 杉浦喬也

    ○杉浦政府委員 現在の予定といたしましては、さきの路線と同様に六十年度ということを目指しておりますけれども、いまの状況ではちょっとおくれるのではないかという感じでございます。
  461. 竹内勝彦

    竹内(勝)分科員 そうすると竹田そうして北山、こういうふうに長くなるわけですね。そうしますと、いまの収支状況はかなり厳しいような先ほどの御説明でございますけれども、利用者がもっとふえて、影響が出て、よい方向になっていくという見通しなのかどうなのか。ますます厳しくなるというようであってはまた問題でございますので、その点どう見ていますか。
  462. 杉浦喬也

    ○杉浦政府委員 先ほども申し上げましたようにまだ開業後間もない状況でございましてなかなかお客さんの定着度合いがわかりませんけれども、私ども免許をした時点におきます予想におきましては、将来十分採算に合う路線であるというふうに考えております。
  463. 竹内勝彦

    竹内(勝)分科員 さらに竹田から延びていく計画ですね。三栖まで延びるという計画があるやに伺っておりますが、その点、そして京阪との相互乗り入れという面も含めてどのような状況になっておるのか御説明ください。
  464. 杉浦喬也

    ○杉浦政府委員 昭和四十六年十二月に都市交通審議会第十三号答申におきまして鳥丸線のほかに東西線、これは六地蔵−長岡間約三十キロメートル、それから烏丸線の延長でございます竹田から三栖までの三十キロにつきましてこの答申が言及されております。京都市におきましては、将来の京都市のいわば鉄道網のあり方につきまして、市長が座長になりまして、学識経験者その他関係の市の部局長で構成されております総合交通行政推進委員会というのを昨年秋に発足させまして、将来整備すべき路線の検討を行っている模様でございます。京都市といたしましては、その検討結果を待って青写真をかいていきたい、そのように聞いておる次第でございます。
  465. 竹内勝彦

    竹内(勝)分科員 それでは烏丸線の延伸に関しては大体のことはわかりました。  次に、京都は御承知のとおり東西に非常に大きく進んでいって、そういったところへの移動が非常に多い状況でございます。そこで六地蔵から長岡までの仮称でございますけれども、東西線、こういう言い方でみんな考えておるようでございますけれども、今後の大きな構想があると思うのです。今後流動的ではあろうかと思いますけれども、まず考え方としては、烏丸線が北から南へ走っている、そして今度は東西に走らしていくという考え方の大きな構想がありますけれども、その辺の考え方、どの程度にまでなっておるのか、状況がわかりましたら御説明いただきたいと思います。
  466. 杉浦喬也

    ○杉浦政府委員 ただいまもちょっと申し上げましたように、現在南北で建設を進めておるものに対しまして、東西に横切るといいますか回っておる東西線につきまして、昭和四十六年の都市交通審議会の答申にこれがうたわれておるということでございまして、南北と東西の両方を絡み合わせて京都市の交通鉄道網をつくり上げる方がいいのだというのが答申の趣旨であろうかと思います。それを具体的にどのようにしたらいいかということの検討を先ほどの京都市の中にできました推進委員会で同時に検討をしているというふうに聞いております。
  467. 竹内勝彦

    竹内(勝)分科員 そこで地下鉄への補助制度の改善に関して若干お願いがございます。現行制度は補助基本額の七〇%、実質補助率でいきますと総建設費の五九・八五%、それを国と地方がそれぞれ二分の一、十年分割で、そういう補助方式でございますね。それを、京都市の要望としましても他の方面からの要望といたしましても、大変お金がかかるという面から総建設費を補助対象として、公共負担を総建設費の実質七〇%に引き上げてもらいたいという面と、この補助の公共負担割合は街路事業に準じて国が三分の二、地方公共団体三分の一とするようなそういう要望が出ておりますけれども、いかがでしょうか。
  468. 杉浦喬也

    ○杉浦政府委員 地下鉄の重要性にかんがみまして、またその工事費の莫大であるということにつきまして、いま先生御指摘のような要望が政府に出されておるということは十分承知しております。現在の補助制度は、昭和五十三年度に従来の六六%補助制度を七割補助に拡大をいたしたわけでございます。私どもの試算なり見通しによりますれば、この補助制度の適用によりまして効率的な経営を行うことになれば、これによって経営の安定が期せられると考えておる次第でございます。  それから国と地方の分担は現在折半、二分の一ずつでございますが、地下鉄は大都市機能の維持という点におきまして非常に重要な機能を持つわけでございますが、また一方その当該地域の発展あるいは住民の足の確保ということに端的に資するわけでございまして、やはり現在の制度の国と地方がそれぞれ半分ずつ持つというやり方が妥当ではないかと考える次第でございます。
  469. 竹内勝彦

    竹内(勝)分科員 時間の関係で次の問題に移ります。地下鉄の問題、結構でございます。  山陰線に関してお伺いいたしますが、この山陰線の複線、電化の工事が進められておりますけれども、着工状況及び見通しについて、また問題点はないか、そういった面で御説明ください。
  470. 半谷哲夫

    ○半谷説明員 山陰線の京都口と申しますか、京都から福知山までの電化工事とそれから京都−園部間の複線化の工事でございますが、これは昭和五十四年の八月に運輸大臣の御認可をいただきまして、その後この計画に基づきまして地元の協議に入ります。当初御承知のように保津峡という地域を現在山陰線が川筋を縫うように走っているわけでございますが、今回の計画ではこれを主としてトンネルで線形をよくして結ぶということで、嵯峨−馬堀間のルートが新しいルートにかわるという形の計画をしたわけでございます。  この実施に伴いまして地元といろいろな協議があったわけでございますが、当初この協議に地元からもいろいろ御要望等が出まして、その調整に時間がかかったわけでございますが、五十五年からこの工事にかかりまして、現在、この区間のトンネルを抜く工事が工期的に一番長くかかるということでありますので、精力的にそのトンネル工事に取りかかっているという状況であります。電化工事というのは、このトンネル工事も電化工事につながるものでありまして、現在のトンネル断面では電車を走らせるための架線を張るという断面の余裕がありませんので、この新しくなったルートで電化も一緒にやるというための工事になるわけでございます。  それで今後の問題でございますけれども、なおこの全体工事につきましては用地買収も伴いますし、いろいろ御協議を申し上げることもたくさんありまして、これからこの協議の進展、それからもう一つ、私どもとして非常に大事な問題でありかつ大変な問題でありますのは、工事資金が相当かかりますので、その予算を確保していくことが今後私どもにとっては大変重要な問題だと考えております。
  471. 竹内勝彦

    竹内(勝)分科員 山陰本線は京都府を縦貫する大動脈であります。大都市交通機能、都市近郊交通機能及び都市間交通機能を有したその複線、電化というのは府民の長年にわたる悲願でございます。そういう意味ではぜひひとつ計画どおり完成できるようお願いしたいわけでございますけれども、どうでしょう、一応五十七年度終わった時点で大体何%ぐらいまで、大まかなものでいいのですができ上がるのか、そして完成見通し、完成は大体いつごろになるのか、述べてください。
  472. 半谷哲夫

    ○半谷説明員 いままで進めておりますのは、地元の方々との工事実施に伴います協議と用地買収、特にこの保津峡の場所ではトンネル工事をやるにいたしましても工事用道路をまずつけないと工事にかかれないということもありまして、まず工事用道路を確保する、それからその整備をやるというようなことで進んできておりまして、いまお話のございますどのくらい進んでいるかというパーセンテージで申し上げるまでにちょっとまだ行っていない状況でございます。むしろこれから精力的に進めるという状況になるかと思います。  完成の見通しでございますが、これにつきましては六十二年度にこの京都−園部間の線増を完成する、また京都−福知山間の電化につきましては五十九年度に完成させるというのが大臣認可をいただきましたときの完成年度でございまして、私どもとしてはいまこれに向かいまして鋭意努力しているところでございます。ただ、先ほど申し上げましたように、今後の予算事情と申しますか、工事資金を確保していくことが今後の問題として残されていくということでございます。
  473. 竹内勝彦

    竹内(勝)分科員 いままでの状況で六十二年度、及び電化の方は五十九年度というものに何らかの支障があるということはございませんですね、それをちょっと確認しておきます。
  474. 半谷哲夫

    ○半谷説明員 ただいままでのところではいろいろありますけれども、それを乗り越えましてこの目標に向かって進んできているという状況であります。今後の問題につきましては先ほど申し上げたような状況でありまして、私どもとしては鋭意努力していくつもりであります。
  475. 竹内勝彦

    竹内(勝)分科員 それではもう一点、最後にお伺いします。  名神の高速バスに関して、去る一月の報道によりますと、名神高速バス三社が、京都−名古屋間で京都の南インターチェンジに入るバスが夕方の交通ラッシュを嫌って勝手に路線を変更した、したがって多くの乗客が待ちぼうけを食ったことがあるという報道がございましたが、その状況はどうなっておりますか、説明してください。
  476. 飯島篤

    ○飯島政府委員 国鉄バス、日本高速自動車、日本急行バス、三社が名神高速道路を利用して京都—名古屋間を現在一日二十四往復運行いたしております。そのうち二十一便が経路が京都駅から国道一号線を利用いたしまして京都南インター経由で名古屋に至るということになっておりますが、先生のいま御指摘のとおり、国道一号線が交通渋滞をしておる場合には、京都駅から北上いたしまして、五条通り経由京都インターに至る経路を運行していたという案件でございます。これについて事業計画の変更の認可ないしは何らの届け出もなかった。このために、行楽時期等道路混雑の著しい日の十七時台、一日六便ございますが、その一部につきまして各事業者が運行経路を変更し、この結果、いまお話がありましたように深草及び山科の二つのバス停に停車しないということになり、バス待ちの利用者に大変御不便をかけたという事案でございます。
  477. 竹内勝彦

    竹内(勝)分科員 こういうケースがほかにも、全国にこのような例がありましたか。
  478. 飯島篤

    ○飯島政府委員 本件以外に現在のところ報告を受けておらない状態でございます。
  479. 竹内勝彦

    竹内(勝)分科員 お客さんにしてみると、待っているバスがまるっきり来ないのですからね。渋滞でおくれるというのではなくて、ほかに行ってしまっている。これは大変なことです。したがって、これは京都行政監察局が調査した結果に基づいて指摘を受けておるわけですが、いかなる調査結果で、いかなる内容の指摘を受け、いかなる処置をしたか、それを全部答えてください。それで終わります。
  480. 飯島篤

    ○飯島政府委員 御指摘のとおり、一月二十六日近畿管区行政監察局から先ほど申し上げたような実態について指摘があり、運行の実態に合わせた事業計画の改善とか、利用者への周知の徹底について指摘を受けたところであります。私どもも非常に遺憾なことと存じております。  一月二十七日、大阪陸運局におきましては、関係者を呼びまして、直ちに改善方について指導をいたしておるところでございまして、すでにバス停における利用者に対する周知については措置をいたしたところでございます。また、利用者の利便を阻害することのないように配慮しながら、運行ダイヤ上も正式に十七時台の一部の便を京都インター経由の運行経路に変更すること、あるいは大阪発の特急は山科バス停で停車すること等を検討せしめておりまして、近く事業計画の変更認可申請が提出される見込みであります。  なお、現状を補足して申し上げますと、一月における経路変更した回数は六百五十一回のうち五十六回ございましたが、二月は二十五日までで五百二十五回のうち五回のみとなっております。
  481. 竹内勝彦

    竹内(勝)分科員 終わります。
  482. 後藤田正晴

    ○後藤田主査 これにて竹内君の質疑は終了いたしました。  次に、榊利夫君。
  483. 榊利夫

    ○榊分科員 まず、トラック輸送の問題に関しまして二、三お尋ねいたします。  高木さん、もうお帰りになりますか。
  484. 高木文雄

    高木説明員 お尋ねがあれば……。
  485. 榊利夫

    ○榊分科員 私その予定がなかったのですけれども、せっかくいらっしゃるので、半谷さんもいらっしゃるので、一言だけお伺いしておきます。  私どもは東京でございますが、高木さんもお住まいの品川の西大井駅でございますが、新聞によりますと、第三セクターでという話がいま持ち上がっているようでございますね。これについては、御存じのように地財法違反のいわゆる地裁での判決であるとか、あるいは自治省通達であるとか、いろいろな経過がございますけれども、一言だけお尋ねしておきたいのは、総裁としては、もうかる大都市圏の駅については新設を検討したい、あるいは検討する余地があるということを、おととしもおっしゃいましたし、去年の秋にも名古屋でおっしゃったように私記憶しているのでございますが、やはり第三セクターで地方自治体その他がかんでつくって、それを国鉄がもらう、請願駅と称して提供を受ける、こういう一種のもらい商法になっているわけでありますが、そうじゃなくて、少なくとももうかる駅については建設に責任を持つといいますか、責任の一翼を担う。これは赤字が明らかだったら別でございますけれども、大体大都市圏の場合には黒字になることが想定されるわけでございますし、そのあたりは積極的な対応が国民的にも望まれているのじゃないか、国鉄としてもそのあたり一つの転機に来ているのじゃないかと思うのでありますが、そのことについて一言だけお伺いしておきます。
  486. 高木文雄

    高木説明員 西大井の駅の問題に関連して、いままでよりは私どもの姿勢をやや弾力的なものにしてはどうかということを私自身申したことがございますのは、いま御指摘のとおりでございます。ところが、その後いろいろ検討してみますと、現在までのところ、最近に至りまして非常に多くの地域から駅をつくってほしいという御要請が出てきておりまして、それをずっと横並びに見てみますと、従来方式といいますかへいわゆる請願駅方式で地元で御負担願うという従来の考え方をとりましても、全国的に見ますとかなりの数のそういうお申し出がございまして、それを地元で持ってくださるといっても、やはりいろいろそれに関連してわれわれの負担も出てくることもございますので、いまの財政の状況からいうとなかなかそこまではとても手が出せないということで、私もいままでの考え方を変えた方がいいのじゃないかということを一時考えておったのでございますけれども、現状ではとても対応し切れないということがわかりまして、率直に言いますと、私の発言がやや軽率発言になってしまったわけなんですが、現在のところでは、むしろ従来方式はそのままにしておいて、ただ、地元に請願駅だからということでいろいろ御負担があるわけでございますから、いろいろもっともっと工夫をして、なるべく少ないお金で駅ができるようにというようなことでいまいろいろやっております。  西大井につきましては、品川区が非常に御熱心でございまして、その方面の堪能な方を職員としてよそから出向を求めて採用されていま取り組んでいらっしゃるそうでございまして、だんだん具体的な案になっていると聞いております。  なお、自治省との関係は、法律に定められた手続を経ずして財政支出をしたとかあるいはしょうとしているとかいうことからああいう問題が起こりましたが、その後、請願駅希望の各市町村では、正規の手続をとられて自治省とやっておられますので、ごく最近は、全国的に見ますと比較的スムーズに進行をいたしておるという状況でございます。  私の前の発言と、あるいは委員のお持ちになります御期待とでちょっとギャップが出てしまったわけでございますが、その後の経過はそうなっておりますので、御容赦いただきたいと思います。
  487. 榊利夫

    ○榊分科員 この問題だけにとれませんのであれですが、ひとつ訂正されない姿勢を一その方がいいのです。それは後退させるのじゃなくて、ひとつ前向きで……。西大井の場合は請願駅ではないわけで、もう新線同様の駅でございますし、その点はひとつ……。また別の機会に話させていただきますけれども国鉄の責任を担うという前向きの姿勢で取り組んでいただきたい、こう思います。お引きとめをいたしまして……。  それでは、本論でございますが、今日トラックによる貨物輸送が増大しております。そして、運輸従業員の労働条件の整備の立ちおくれ、あるいは運賃ダンピングの横行などもいろいろ指摘されているわけでございます。  そこで、具体的な質問でありますが、自動車行政として運賃ダンピングを強制するような荷主産業に対しては行政的な措置を講じるということも必要ではないかと思うのであります。また、とりわけ休憩施設の不足を解消していく。たとえば、現在トラックステーションというのは全国に四カ所しかないわけであります。そういう状況を至急改善するなど、この点では積極的な対応策を運輸省としてもとってもらいたい、こういう要望が強いわけでございますが、御所見をひとつお伺いします。
  488. 飯島篤

    ○飯島政府委員 運賃ダンピング等の輸送秩序の問題につきましては、確かに荷主の協力を得ないとなかなかうまくいかないという面がございます。一つは、零細中小企業の多いトラック事業者の体質の強化というものが第一かと思われます。そのためには、構造改善事業を鋭意推進しているところでございます。荷主との関係につきましては、荷主懇談会の場におきまして、私の方も入りまして、いろいろ要望、協力方をお願いもして、その確立に努めているところでございます。  それから、トラックステーションの建設状況でございますが、御指摘のとおり、過労運転防止の見地から、また、二七通達との関連から申しましても、守れる環境づくりという観点から、休憩所等の増設がぜひとも必要であるということでございました。現在稼働中のトラックステーションは四カ所で、福島、浜松、尾道、北九州でございます。昭和五十七年度までにさらに十二カ所、札幌、仙台、新潟、埼玉、東京、名古屋、金沢、滋賀、大阪、米子、四国、南九州について計画または検討を進めております。五十七年度までに百三十億円の運輸事業振興助成金からの予算を予定して、計十六カ所ということで進めておるところでございます。
  489. 榊利夫

    ○榊分科員 その休憩所については、積極的なこれからの対策の強化推進を、この機会にひとつ要望しておきたいと思います。  いま話に出ました二七通達でございますが、これは労働時間であるとか休憩時間などが定められているわけでありますが、実態を言いますと、中小の運送業者の場合は、通達の趣旨は当然なんだけれども、荷主から期限などを強制されると板挟みの状態になる、そういう声もあるわけであります。労働者の方としましては、荷主産業に対して二七通達の徹底を一層図ってもらいたいという声があるわけであります。実際、労働省としましてもそういう点を一層図っていただきた。  そこで、労働省にこの機会にお尋ねしたいのでありますが、二七通達の完全実施と運輸労働者の休憩施設、仮眠所などの整備、これは不可分の関係にあると思うのです。いま運輸省の方から積極的な対策をとっているんだという話がございましたけれども、この点、たとえば財投の労働安全衛生融資制度、こういったものを職場改善費用資金として休憩施設の整備に回すことなど考えられないかどうか、この点をお伺いいたします。
  490. 岡部晃三

    ○岡部説明員 二七通達施行に当たりまして、休息休憩施設の整備が重要であるということは御指摘のとおりと存じます。このために運輸省、建設省等々で設備の関係でいろいろ御尽力をいただいておるところでございまして、また、私どもも入りまして、五省庁の連絡協議会等も設けまして、一層またお願いをしておるというふうな状況でございます。ただお願いするだけじゃなくて、労働省自身の努力という観点から、来年度予算におきまして、労働安全衛生融資の中から、大した枠ではございませんが一部を割きまして、この二七通達実施のための休憩休息施設のために運用するということを現在計画中でございます。
  491. 榊利夫

    ○榊分科員 その点ではせっかく第一歩を踏み出されつつあるようでございますが、ひとつ強力に推進をお願いいたします。  建設省来ていらっしゃいますか。——建設省にお尋ねをいたします。  同じ文脈でありますが、東名だとか名神高速道路などの駐車場、トイレの施設を備えたパーキングエリア、それからさらに、給油所や食堂などを加えたサービスエリアの利用がこのところ大変増大をしております。ところが、実際問題として駐車マスが少ない。いつもいっぱいだ。施設を利用できないという状況もあるようでございます。また、トレーラー用の駐車マスの増設、それから駐車誘導員の配置、仮眠所の増設、こういった要望が強いのでありますが、建設省としてもひとつこれらの改善策について格段の努力を払ってもらいたい、こう思うのでありますが、今度五十七年度に駐車マスの増設計画がありますかどうか。あれば具体的に示しながら、この点御答弁をお願いいたします。
  492. 鈴木道雄

    ○鈴木説明員 高速自動車国道の休憩施設といたしましては、ただいま先生の御指摘のように、サービスエリアあるいはパーキングエリアに駐車マスを設けまして自動車の駐車の用に供しているわけでございますが、最近交通量の増大に伴いまして駐車場のスペースが非常に少ないということで、四十八年から積極的に駐車マスの拡大に努めているところでございます。  ただいままでに、当初に比べまして約四七%、四千台のマスを約六千台ぐらいの駐車マスに拡大したところでございまして、特にその中におきましては、重点的に大型車の駐車マスをふやすようにしております。その後五十六年には新しく用地を取得したりいたしまして、東京周辺の港北のパーキングエリア、あるいは名神高速の草津パーキングエリアにつきましては、本年度修理をいたしまして、新しくこの面につきまして、港北については六十八マス、草津につきましては百七十二の駐車マスが増設されるわけでございます。今後、東名の小笠パーキングエリアにつきましても新しく同じような増設を図りたいということで、五十六年度から五十七年度に引き続いて駐車マスの拡大に努めると同時に、多賀サービスエリアにつきまして新しくレストインの整備のための工事にかかりたい、かように考えております。  ただ、大都市周辺のそういった施設を新しく用地買収をしてやっていくとなりますと、環境問題とか用地の取得の問題がございますのでいろいろ困難なこともございますけれども、建設省といたしましても、積極的にそういった利用者の便宜を図るように努力してまいりたい、かように考えております。
  493. 榊利夫

    ○榊分科員 仮眠所はどうですか。この仮眠所につきましては、建設省はどうも後ろ向きだ、運輸省と比べてもどうも消極的だ、こういう声があるのですが、どうですか。
  494. 鈴木道雄

    ○鈴木説明員 仮眠所につきましては、ただいま足柄のレストインというのを東名の上り線につくっておりまして御利用いただいておるわけでございますが、名神という御要望もございまして、先ほど申し上げました多賀に考えております。実は本年度増設の工事にかかろうということで準備を進めたところ、そこが文化財問題が出まして若干着工がおくれておりますけれども、文化財にかからないように工夫をして、できれば五十七年度にできるだけ早く着工していきたい。そこには、今度下り線になりますが、レストインを考えていきたいという計画であります。
  495. 榊利夫

    ○榊分科員 この仮眠所というのは、安全運転という点から見ましても、本当にいつも元気いっぱいで運転してもらわなければ困ります。トラック輸送の今日の位置という点から見ましても、一つ二つではなくて、高速道路から始めて主要な道路には全国的に網をもって広がっていく、そういうことが望ましいと思いますし、もちろん財政その他問題がありますけれども、ぜひひとつ積極的な姿勢でこの問題に取り組んでいただきたいということを要望して、この質問を終わりたいと思います。  次に、やはり関連しておりますけれども首都高速道路公団、見えておられますか。——渋滞解消策でお尋ねしたいと思います。  首都高速道路に入って車の流れがいいとほっとする、こういう声が強いわけであります。と申しますのは、入り口に渋滞の標示がない、じゃ流れているなと思って入ってみると、中は相当の渋滞だ、あるいは工事中、こういう場合も少なくない。そういうところからほっとする、こういう声が出てくるわけであります。こうした状態をなくしていくためには、正確な情報を早くドライバーに伝えることが緊要だと思うのであります。その点で、電光式の可変情報板の未設置、不備、故障、こういった問題がございます。現在は、たとえば高速一号羽田線、それから高速二号目黒線といいますか、品川区の戸越、荏原から入ってくる、情報板が古い型のために工事中の標示が出ないものもあるというふうに聞いております。公団として電光式可変情報板についての改善、完備を早急に図っていただきたいと思うのでありますが、この点どうでございましょうか。
  496. 宇都宮寛

    ○字都宮参考人 東京地区におきまして、現在供用路線に設置しております電光式の可変情報板は百四十七カ所ございます。さらに十カ所ほど追加して設置してまいりたいというふうに考えております。これらにつきまして逐次整備を図ってまいりたいと思います。なおまた、可変情報板の中には旧式の情報板もございますので、そういったものも改善をしてまいりたいというふうに考えております。
  497. 榊利夫

    ○榊分科員 電光式の可変情報板が仮にありましても、交通情報が標示されるまでにちょっと時間がかかります。渋滞情報がドライバーに伝わらないで渋滞がひどくなる、こういうケースもあります。ラジオ交通情報も一定の時間を置いての放送なので、分、秒単位で道路条件は変わっていく、これに対応できない、こういう側面もあるわけであります。これらを改善する上で、たとえば、道路情報専門の放送所、放送局をつくってひっきりなしに情報を流す、こういうこともあっていいのではないかと思うのですが、どうでございましょうか。  それから、情報処理の速いコンピューターの導入、この方式三十秒でできると言われておりますけれども、これを全線に広げるということ、恐らく構想としてはあるのではないかと思うのですが、この二点、簡潔にお答えください。
  498. 宇都宮寛

    ○宇都宮参考人 まず前段の、渋滞状況を放送する専用放送局の導入についてでございますけれども、走行中の自動車に対しまして、カーラジオを利用いたしまして特定の渋滞区間等に関するきめの細かい交通情報を流すというシステムにつきましては、当公団のみならず、日本道路公団等で路側通信システムということで実験中であると聞いております。そういうふうなものを実用化段階にまで持っていくのはまだ先のことであろうと思いますけれども、そういったものにつきましても、当公団としても前向きに取り組んでまいりたいと思います。  それから、システムの問題でございますけれども先生御指摘のように、大部分の路線につきましては、昭和四十八年に導入いたしました旧式のシステムになっております。ただ、九号線とか湾岸線とか比較的新しい路線につきましては、昭和五十五年に新しいシステムを導入いたしまして、これは一分ないし一分半くらいのおくれで情報を流すわけでありまして、これについてはほとんど実態に合った情報が流されるわけであります。ただ、古いシスアムが実際の状態よりも七分ないし十二分程度の情報のおくれがございまして、これで利用者の皆様方に大変御不便をおかけしている場合があるわけでございます。これにつきましては、現在、この古いシステムの更新を含めまして、将来の首都高速道路の交通管制システムのあり方につきまして鋭意検討中でございまして、結論が得られれば、できるだけ早い時期にそういう新しいシステムの整備を図ってまいりたいと考えております。
  499. 榊利夫

    ○榊分科員 一言だけ。渋滞区域が交代するということがありますね。つまり、時間差がありまして、こっちでやっとなくなったと思ったらこっちで生まれる。こういう渋滞の時間差をなくしていくためには、数分後の予想が出ると非常に助かるわけでありますけれども、この点では何か計画がありますか。
  500. 宇都宮寛

    ○宇都宮参考人 先生のおっしゃる渋滞予測の手法につきましては、数年前から当公団を初めいろいろなところで研究をしておるわけでありますけれども、現在の段階では予測と実態との差異が大変大きくありまして、まだ実用化する段階に至っておりません。今後とも調査研究を積み重ねまして、予測精度の向上を図ってまいる、できるだけ早い時期に実用化できればしてまいりたいと考えております。
  501. 榊利夫

    ○榊分科員 それじゃ次に移ります。  余り時間がありませんが、離島の問題です。離島振興法がやがて期限切れになります。小笠原の特別措置法もそれから奄美群島のそれも期限切れになるわけであります。関係住民と自治体は期限延長を大変要望しておるわけでございますが、国土庁としてはその再延長に前向きの態度をとられるものだと思うのですが、どうでしょう。
  502. 児玉義幸

    ○児玉説明員 離島振興法は、昭和二十八年の七月に議員立法による十カ年の限時法として制定、公布されたものでございます。施行期間中における離島振興事業の実施状況にかんがみまして、昭和三十七年と四十七年にそれぞれ延長なされておりまして、現行法は昭和五十八年三月三十一日限りその効力を失うこととなっております。  国は従来から、離島の特殊事情を十分踏まえつつ、毎年度この法律に基づく関連施策を強力かつ計画的に推進をしてきておるわけでございますが、その結果、成果は着実に上がってきております。しかしながら、離島の現状を見てみますと、その自然的、地理的条件から来ます制約によりまして、いまなお本土との格差が根強く残っておる、その後進性は除去されるに至っておらないというのが実情でございます。また、関係市町村の財政力を見てみましても、全国平均の二分の一以下というような脆弱な状態でございまして、離島振興法に関係いたします施策を展開いたしますためには、何といたしましても引き続き特別の対策が必要であろう、こういうふうに考えておるわけでございます。  また、先生も御承知のように、これからの離島がわが国の領海あるいは経済水域、二百海里問題等に果たす役割りはきわめて大きいのでございます。昨年の夏開催されました国土審議会におかれましても、今後強力に関係施策を推進するようにという御決定をいただいておりますので、こういうような諸般の情勢を踏まえつつ、国土庁といたしましても前向きに対処していきたい、こういうふうに思っております。
  503. 榊利夫

    ○榊分科員 その離島の一つである小笠原ですが、東京都下でありますけれども一千キロから離れております。いま六日に一回の船便だけです。航空路の早期開設はいわば都民である村民の夢でもあるわけでありますが、小笠原振興計画では、空港整備についてその設置の可能性等の基本方向を検討する、こうなっておるわけであります。現在、この検討はどこまで来ているか、ぜひひとつ空港整備を前提とした振興計画にしてほしいと思うのですが、この点いかがでございましょうか、足便の問題。国土庁としてはこの問題考えておられませんか。
  504. 清野圭造

    ○清野説明員 小笠原の航空路の開設の問題につきましては、従来、四十四年から五十二年にかけまして調査が行われたわけでございますが、その際の調査の結果につきましては、さらに引き続き検討を要するという形で、結論ということまでには至っておりません。五十七年度におきまして小笠原振興事業の一環として、東京都に対する補助事業の中で自立経済調査というのがございますが、小笠原に関する全般的な振興に関する調査ですが、その中の一環として航空路の開設についての調査がございます。したがって、そういった調査の結果を踏まえながら今後検討してまいりたいと考えております。
  505. 榊利夫

    ○榊分科員 いろいろな可能性を追求してほしいと思うのです。素人考えでございますけれども、たとえば硫黄島の自衛隊基地を利用して——現在グアム、サイパン航路が東京から一週間に十三、四便あるわけでありますけれども、それが一週間に一、二回とまるとか二、三回とまるとか、硫黄島から父島までヘリを使うとか、そういう経過方式もあるでしょうし、八丈島から硫黄島まで航空便を新設して同じような方法をとるとか、あるいは父島の旧軍の飛行場、これは滑走路が短いのをちょっと拡張整備をして、航続距離の長い航空機を東京から飛ばすとか、八丈島から飛ばすとか、いろいろ可能性が考えられると思いますので、国土庁や運輸省としても、これらをきちんと位置づけて積極的な検討推進を図っていただきたいと思うのであります。どうでしょう。
  506. 清野圭造

    ○清野説明員 ただいま申し上げましたとおり、来年度それに関する調査の実施を予定しておりますので、そういった調査結果等も今後十分参酌しながら検討を進めたいと考えております。
  507. 榊利夫

    ○榊分科員 最後に、運輸大臣一つだけお尋ねいたします。  羽田空港を含めまして東京湾の埋立地の運輸交通路、これは御存じのように大変広大な産業生活圏になりつつあるわけでありますけれども、これについては国鉄京葉線の旅客化の問題、あるいはモノレールの延長問題、あるいは京浜急行の延長、あるいは東急田園都市線の延長等々いろいろなことが問題にされてきております。  この問題で、現在運輸省の構想は概略どういうものなのか。それから、運輸省として路線問題にはあくまでも利用者本位に公明正大に推進してもらいたい、これがみんなの声でございますが、その点についての大臣の所見を伺っておきたいと思います。
  508. 杉浦喬也

    ○杉浦政府委員 ただいま先生が御指摘のように、羽田空港沖合い展開計画に伴います鉄道、モノレール、いろいろな交通のアクセス手段として何が一番いいかという問題が現在持ち上がっております。現在は東京モノレールが空港の中に入っておりますが、この延伸を含めて二つ三つの案あるいは御要望が出ておるわけでございます。どういう路線がお客さんにとって一番便利か、あるいは採算性はどうかという点なども含めて全体的にいま検討を続けておるところでございます。もう少し検討をしてまいりたいと思っております。
  509. 小坂徳三郎

    ○小坂国務大臣 羽田空港の沖合い展開は待望すべきことなんでありますが、いま鉄監局長が申し上げましたように、そのアクセスについても、もちろんこれが非常に利便の多いものでなくてはならない、かつそのアクセスそのものが非常に効果的でなければならないということで、いろいろな案や御意見をいま承っているところでありますが、その中から特にフェアにこれを決定をしていくという方針で臨みたいと思います。
  510. 榊利夫

    ○榊分科員 終わります。
  511. 後藤田正晴

    ○後藤田主査 これにて榊君の質疑は終了いたしました。  次に、神田厚君。
  512. 神田厚

    神田分科員 最初に、日米航空交渉について運輸大臣にお尋ねをしたいと思います。  一昨年の一月から始まっております日米の航空交渉は、三月に予定されておりますサンフランシスコでの交渉においてやや結論に近い形で改定に向かって交渉すると考えておりますが、どういうふうな交渉の見通しでございましょうか。
  513. 松井和治

    ○松井(和)政府委員 ただいま先生御指摘のように、本年三月十日からサンフランシスコで日米の航空交渉が持たれることになりました。御指摘のように、正式には昨年の四月から交渉が再開されまして、正式交渉が四回、非公式の交渉が二回行われ、相互に理解を深め、双方の立場はかなり歩み寄るところは歩み寄るということになったわけでございますが、なおかつ双方の立場にはまだかなりの隔たりがございます。今度の三月の交渉においてどの程度の進みぐあいになるかは、相手のあることでもございますし、必ずしも見通しははっきりしておりませんけれども、ただいま申し上げましたように、昨年の正式交渉再開からももうすでに一年たつわけでございます。さらにその前を入れますと、かなり長期間の交渉でもございますので、私どももできるだけ早期の解決を図りたいという気持ちを持っております。また、米国側もできる限り歩み寄りをしてなるべく早くまとめたいという気持ちを持っているようでございます。したがって、今度の三月の交渉は、これまでの交渉に比べて一つの節目となる重要な交渉になるのではないかと考えております。
  514. 神田厚

    神田分科員 アメリカの方では、この航空改定交渉は経済摩擦の一環だというふうな形で見ておりまして、さらに通産大臣等が訪米した際に、そういうことが相手の政府の首脳から示唆されておるということですが、大臣としましては、その辺の認識はどういうふうにお持ちでございますか。
  515. 小坂徳三郎

    ○小坂国務大臣 この交渉に私も今回初めて接したわけでありますが、先方からもアメリカの運輸大臣と申しますか、あるいは前回の交渉の首席を務めた副長官が参りましたときに、またアメリカの大使などには、私はこの問題は貿易摩擦とは全く異質の切り離した問題、そういう形で処理されることが最も望ましいと思うという意見を申しまして、先方もそのとおりだというようなことで一月の交渉はなされたと思っております。その後、いろいろな形でアメリカ側は、いかにも通商摩擦の一環の解決のためにといわんばかりのことを言ったという報道がありますが、外務大臣もまた通産大臣も、そうしたことはなかったということを申しておりますし、私はそういう意味で、この三月からの交渉は、あるいは時期的にはそういう問題と相当絡み合う可能性はあるにいたしましても、われわれの基本方針としては、あくまで航空交渉そのものとして先方に申すべきことは十分申していきたい、そうした考え方を変えておるものではございません。
  516. 神田厚

    神田分科員 この交渉は、言ってみれば日本側が改善を要求しているというふうな内容でありますが、それに伴いまして、アメリカの方からは具体的に、たとえばユナイテッド航空の日本乗り入れを認めてほしいというようなこととか、あるいは運航便数や第三国間の輸送の規制の問題等日本側の主張に拮抗するような形で提案もなされているというふうに聞いておりますが、その辺のところはどういうふうになっておりますか。
  517. 松井和治

    ○松井(和)政府委員 御指摘のように、この交渉はたくさんの事項が含まれておりまして、日本側といたしましては、従来の乗り入れ地点ないし以遠権につきましての不平等の解消ということが一つの大きな眼目でございます。  その他、輸送力あるいは先生御指摘の第三国間輸送につきまして、現在アメリカ側がいわば一方的にかつ自由にその権利を行使して、本来の目的である日本−アメリカ間の輸送のほかに、日本から先の以遠権を行使して、日本−東南アジア、日本−韓国等の輸送を非常にたくさんやっておるというようなことについて、余りに第三国間輸送の権利の乱用ではないかということを日本側は主張しておるわけでございます。  これに対しましてアメリカ側は、以遠権、路線等につきましても、形の上では不平等があるのかもしれないけれども、実質日本企業とアメリカ企業の輸送実績を見ると、それほど差がないではないかというようなことを言いまして、実際にもうかっている度合いが同じだから不平等がないというような妙な理屈を言っております。  また、第三国間輸送については、当然の権利であって、それを制限するということは一切応じられないという立場をとっております。  また、そのほかに、アメリカ側としては、運賃なりチャーターなりの自由化を求めるというようなこととか、あるいは日本の空港の環境条件その他の関係から、たとえば大阪空港におけるような制約を課しておりますので、それがけしからぬというようなことも申しておりまして、立場の相違というものがかなり大きいわけでございますけれども、しかしながら、先ほども申しましたように、これまでの数回の話し合いによりまして、乗り入れ地点につきましてもある程度の歩み寄りが見られておりますし、また、たとえばチャーターの問題等につきましても、すでに大幅な歩み寄りが見られておるという点もございますので、三月の交渉でなおわれわれの従来からの立場を堅持しつつ、できるだけ相互に譲り合いの精神で何とか話をまとめる努力を続けたい、かように考えております。
  518. 神田厚

    神田分科員 それでは、これでこの項目は最後でありますが、運輸大臣としての一番関心事は、ユナイテッド航空の乗り入れを果たしてさせるのか。日本から言えば、対米譲歩というような形になるかもしれませんが、その辺のところはどういうふうにお考えになりますか。
  519. 小坂徳三郎

    ○小坂国務大臣 私は、今度の日米航空交渉はいろいろなテーマを一括して協議しておりまして、ユナイテッドエアの問題もその一つであると考えております。現実の問題として、わが国の飛行場の事情は、成田の状態をごらんになりましても、また大阪空港を見ましても、あるいは沖縄の那覇空港を見ましても、とてもスペースがないということ。そしてまた飛行条件が、たとえば着陸の時間等の制限が非常にあるということをよく先方には話してあるのであります。この問題の増便というような、新規加入というようなことは考えられるといたしましても、現状においては他の交渉項目と切り離して認めることはむずかしいということを先方に申しておるはずであります。私は直接には交渉に出ておりませんが、いまそのようなふうに聞いておったし、また私はそういうことをちゃんと先方にお伝えするのがいいことだろうと言っておるわけであります。
  520. 神田厚

    神田分科員 それでは次に、国鉄問題で総裁の方にお伺いいたしますが、総裁は過日総理にお会いになりまして、国鉄の現在抱えているいろんな問題について報告、説明をしたということでありますが、どういう問題についてどういうふうな御説明を申し上げたのでありましょうか。
  521. 高木文雄

    高木説明員 委員よく御存じのとおり、この一月以来職場規律の問題に関連していろいろなトラブルが報道されております。これらは私どもも前前から正さなければいけないと思っておったことなのでございますが、まことにわれわれの力及ばずしてそういうことがあったということをわれわれ自身が把握できなかったものもございますし、あるいはまたある程度私ども承知しており、この是正方につき努力中のものであったものもございます。そうしたことについて国会でも、特に予算委員会等でしばしば御指摘を受け御答弁申し上げておりますけれども、その辺の実情なりそこに至るバックグラウンドなり申し上げまして、ある意味ではおわびをいたしたわけでございます。  時期がこういう時期でございますから、当然将来の国鉄のあり方といったような問題についてもお尋ねがございましたが、国会の予算委員会の席でお答え申しておりますとおり、現段階におきましては、私どもとしては、先般法律をお認めいただき、そして政府で計画を御承認いただきました経営改善計画を着実かつ早期に実施することがまずなすべきことであって、いろいろ組織を直すとかなんとかいうことになりますと、いろいろとある意味でそのことのためにまた混乱が生ずることも考えられますので、この計画そのものへの取り組みを労使ともども言い出しまして、これを完遂するということがいま私どもの最大の役目ではないかと考えておりますので、そのようなことを御報告いたしてまいった次第でございます。
  522. 神田厚

    神田分科員 その中で、特に分割民営化論について総裁のお考えを述べたというふうに漏れ聞いておりますが、どういうことでございますか。
  523. 高木文雄

    高木説明員 私ども経営改善計画の中では、仕事の性質によって直営でやるよりは民間の会社にお願いをしてやった方がいい、別の形で、直轄で人を雇って仕事をするよりは、一種の請負形式で進めた方がより能率的だというフィールドがございますので、そうしたフィールドについては、われわれ自身も、機構的に分解してしまうということは考えないのですけれども、仕事仕事に応じてそれを請負形式に直していく、いわゆる外注化を図っていくということが必要だと考えているわけでございます。  それから、総理が御出身の関係もあって、非常に前々から取り組んでおられました三陸縦貫鉄道といったような方式、国鉄から一部切り離し、一部はAB線として鉄建公団が建設中のものを、国鉄が引き受けるのでなしに、府県、市町村を中心とした一種の第三セクターでこれを運営していこうという考え方は、線区によっては非常になじむものではないか。地方交通線と言われる線区の中で、余りにもお客さんが少ないところもありますけれども、ほどほどのところについてはそういう方法が望ましいのではないかと考えておるわけでございまして、現在そういう方向で進んでおりますのは、三陸縦貫鉄道と野岩線だけでございますけれども、そうした考え方も順次取り入れていただくことは結構なことではないかというふうに思っておりますので、そのことは分割民営論と、いささかこの物の見方は違いますけれども、基本的に違うわけではないのであって、全般の組織そのものをばさっと変えるというのは現実的でないが、そういう形で民営的手法を織り込んでいくということは大いにあってよろしいのではないかと考えておりますので、そのように申し上げておきました。
  524. 神田厚

    神田分科員 その際、共済年金関係についてもいろいろとお説を述べたというように聞いておりますが、どういうふうに……。
  525. 高木文雄

    高木説明員 これもまた経営改善計画におきまして、退職金の問題と年金の問題は何とか政府でお考えいただきたい、われわれがいかに努力しても、それを織り込んで、なおかつこの経営収支をとるということは不可能でございますということは、経営改善計画上明らかにいたしておるわけでございますが、そのことについてはぜひともお願いをいたしたい。これは必ずしも財政負担につながるとは限らないわけでございますし、行政上の措置によっても考えられるわけでございますので、ぜひお願いをいたしたいということは申し上げておいた次第でございます。
  526. 神田厚

    神田分科員 その際、もっと具体的に専売とかそういうものと一緒にこの年金をしてほしいというような形でお話を申し上げたのでしょうか。
  527. 高木文雄

    高木説明員 この問題につきましては、いまから三年ないし四年前から、このフィールドの権威の方に御参集いただきまして、私どもの中で研究してもらいました結果、いまお示しのように、最もわれわれの年金とよく似ている年金システムをとっているところの国家公務員なり他の公社なりと合体をするということが現実的であり、かつ、それ以外にないのではないかというお答えをいただいておりました。したがって、現在年金制度の主務官庁である大蔵省の中で御検討をいただいておるわけでございますが、私どもの考えとしては、その私の私的諮問機関でおまとめいただきましたいわゆる合併案というのがきわめて現実的なものではないかと考えておりますので、それを御報告いたした次第でございます。
  528. 神田厚

    神田分科員 それからやみ手当、やみ協定について、これを話した、内部監査報告をしたというふうに聞いておりますが、いま総裁がおっしゃいました経営改善の計画の実行のためには、いわゆるこのやみ手当ややみ協定と言われているものが存在してはなかなかこれは実効を上げることができないということは、多くの人が指摘をしているところでありますが、こういう問題についてどういうふうにしてこれを今後改善をしていくのか。  たとえば、きょうもまた新聞に大きく出ておりますけれども、自由民主党の調査会には、国鉄が問題職場の内部資料を提出をしたというふうなことも言われておりますし、一体どういう機構でどういう方法でこれの調査を行って、これの改善をしていくのか、この点はどういうふうにお考えですか。
  529. 高木文雄

    高木説明員 やはり長い間の伝統がありまして、その長い間の伝統がいろいろとよくない因襲みたいなものになっておるということがございます。それは何分現場の数が、かなり大きい範囲でとらえましても全国で五千カ所余りになっておりますし、それから職場の仕事の内容も運転の仕事とか保線の仕事とか架線の仕事とか、余りにも多種多様でございますので、それぞれの事情がある、また地域によって労使間の雰囲気に非常に差があるということでございますので、私どもはその実態をまず把握することが最初の仕事ではないか。本来ならば、管理局から報告があってしかるべきものだと私どもは思いますけれども、なかなか管理局も把握できないということであれば、本社から直接現場へ行っていろいろ調べるというような角度をとりながら現場把握をやることが必要ではないか。まず何よりも実態をつかむことができないというようなことが一番まずいことではないかというようなところから始めておるわけでございまして、先般来予算委員会でしばしば民社党の諸先生から御指摘をいただいております職場規律の実態を示す調査結果があるではないかということで御指摘を受けましたが、そういうものをまとめまして、一方においてそういうことがほかではないかどうかということの指針といたしておるわけでございます。
  530. 神田厚

    神田分科員 ですから、これはその内容がわからないということ自体がおかしいんですよね。それは管理機構がきちっとしていれば、そんなことはちゃんとわかるはずでありますから、そういうことでは、やはり本社の方で特別に一つの機構を設けて、それでいつまでにこういう問題職場についての現場把握をするのか、こういうことについてはちゃんと方法とその時期を明確にしてほしいと思います。
  531. 吉井浩

    ○吉井説明員 ただいま先生御指摘の、本社において現場の実態を把握すべし、こういうことで実は私ども昭和五十二年度以来、本社から職場監査、こういう手法を強化をいたしまして、それぞれの現場に、限られた人数でございますが、年々幾つかの局、さらにその中で最も問題を多く包蔵しておるというふうに私ども認めます現場に対して監査をいたしておるわけでございます。したがいまして、これまで様々御指摘ございましたこと、あるいは私ども御報告いたしましたことは、そういう過程で把握をしたということが多うございまして、それらのものについては局、現場一体となってこれが是正に努めるということをやってまいったわけであります。ただいま総裁申しましたように、これはその当該現場のみならず、やはりこれと同じようなことがほかのところにはないか、そしてまたそういうものはみずから点検して正すようにという指導をいたしてまいっておるわけであります。やはり現場におきましては、何分そういう実態をまだ公表することをはばかる、こういうふうな空気もございまして、私どもいままでやってまいりました職場監査の結果をさらに活用いたし、また現場に対して、このような事項についてはもう一度再点検をするようにということをつい最近も総裁名で現場に対して厳しく通達をいたしたような次第でございます。  そういうことで現場の実態を把握し、その原因の是正に努めたい、このように考えておるわけでございます。
  532. 神田厚

    神田分科員 時間がありませんから、今回はこれ以上あれしませんが、やはりその点のところが非常に問題が多いようであります。  次いで、臨調の関係の問題で、どうも臨調の方から、国鉄の方で資料提出に応じないというふうなことが報道されておりますし、近く公文書によってその資料提出を求めるというようなことであるというふうに言われておりますが、その間の経緯はどういうことになっておりますか。
  533. 高木文雄

    高木説明員 臨調にはいろいろ実情を御説明して、そして正確に実態を把握していただいて、それで御判断をいただきたいと考えております。  したがいまして、臨調からの資料提出の御要求に対しては、ほとんど全部の事柄についてお答えしているつもりなんでございますが、ただ二点だけ私どもがまだお答えしてない点がある、それが問題になっているわけでございます。  それは何かといいますと、経営改善計画というものが、まとめたものがございまして、これは政府で御承認いただいたものでございますが、経営改善計画は目標年度である昭和六十年度においてこういう形になりますということをお示ししておるわけでございますが、それは計画とは言えぬのではないか、そこへ持っていくとすれば、五十六年度はどうするんだ、五十七年度はどうやる、五十八年度はどうやるという年次別計画があるはずではないか、それを示さないのはけしからぬというか計画そのものがずざんであることを自白するものではないか、こう言われておるわけでございますが、これはなかなかむずかしいわけでございまして、たとえば運賃の改定にいたしましても、大体こういう方向でこれから進んでまいりますということは申しておりますが、何年度にはどういう改定ということは考えてない、なかなか決められませんし……。それから人員の減にしましても、何年度にはどのぐらい減らしていくということは決めておりまして、その計画の内容になっていますが、その何年度何人減らすについて、どういうフィールドで、たとえば保線なら保線でどうだとか、電気のフィールドでどうだとか、駅の業務はどうだとか、その駅の中の何駅ではどうだとかいうことはないのかということでございますが、何分毎年一万何千人という数の職員の配置数を減らしていく話でございますから、毎年毎年ことしはここを合理化していこう、これを直していこうというふうにやっておりますので、年次別のその内容が明らかにはなっておらないわけでございます。特に、この問題につきましては、一昨年当衆議院あるいは参議院において御議論いただきましたときに、各野党、与党から非常に強くそういう資料提出の御要求があったのでございますけれども、その辺の事情をよく御説明いたしまして、国会でもそのときにはそれを御提出しなかったという経緯もありました。そういうことで、なぜ出さないかと言われるよりは、なぜそういう資料を作成しがたいかということについて、実は臨調の委員の方々との間に大分論議を闘わしておるのでございますが、まだ意見が一致しないということで、私どももなお臨調の方々の御理解を得たいと思っております。  もう一点は、東北・上越新幹線の収支に関連しての問題でございました。この点も同じく国会での論議でもいろいろあったのでございますけれども、つい最近に一日何本走らせるかということを決めたばかりでございます。運賃は幾らにしますかということもつい最近決めたわけでございますので、そういうことが固まってこないと正確な数字が出ない。開業日もつい最近決まったような次第でございますから、資料を出さないわけでなくて、資料をつくることが非常にむずかしいんだということを御説明しているわけでございますが、それに対して何か私どもが逃げ回っているような御批判をいただいておりまして、はなはだ私ども説明不十分という点を慨嘆いたしておるわけでございます。
  534. 神田厚

    神田分科員 そういうことであれば、それがどうして出せないかという説明をきちんとする。しかも公文書で資料要求をされた、そういうことでは、私は総裁としても大変不本意だと思うのであります。ですから、臨調との話し合いの中で、臨調が出せという問題について出せないならば、その理由を明らかにし、あるいはそのことについて、少なくともいま一番の問題は国鉄の改革問題で、しかもそれだけ計画どおり補助金を出しても、また赤字たくさんどんどん出てしまうという体質を何とかしなければならないという問題なんですから、その改善計画とその附属資料を出すということは、国民から見れば出すのがあたりまえだとだれも常識的に考える。ですから、われわれはやはり臨調のそういう方針に沿って国鉄は最大限に協力をすべきだと考えております。運輸大臣はその点の指導はどういうふうになさいますか。
  535. 杉浦喬也

    ○杉浦政府委員 ただいま国鉄総裁が申し上げましたように、運輸省といたしましても、また国鉄といたしましても、臨調からの御要請の資料、これは、国鉄問題は非常に重大な問題でございますので、誠心誠意応対を申し上げているつもりでございます。ただ、ただいま総裁が申し上げましたような点につきまして、若干の意見が合わないという点がございますが、今後とも十分に臨調と打ち合わせをいたしまして、いろいろな形の姿が理解できるように努めたい、またこのように国鉄を指導してまいりたいと考えております。
  536. 神田厚

    神田分科員 ですから、大臣の方にひとつお願いしたいのですが、公文書で資料を要求されるというようなことは本来ぜひとも避けるべきだけれども、こんなふうな形で出されたときには、運輸大臣としてはどういうふうに指導されていますか。
  537. 小坂徳三郎

    ○小坂国務大臣 はっきり申し上げると、別に臨調から私のところに何も言ってきたことがないので、新聞にだけ出ているものですから、これは一体どういうことだろうかと思っておるのです。ですから、いま国鉄総裁も一生懸命御答弁していましたけれども、そんなに不満があるなら私のところへでも一言言ってくれればいいと思うのですけれども、何もないものですから、どういうことなんだろうか。隠し立てをするつもりは毛頭ないと言っておるのですし、私はそのとおりだと思いますし、また出せないという理由もおぼろげながら推測がつくわけです。しかし、私は臨調との間でいろいろ意思疎通が欠けるのは大変まずいと思いますので、実はああいう新聞記事が出たのは困ったことだと思っております。
  538. 神田厚

    神田分科員 最後に、ちょっと時間がなくなって、要望を申し上げておきたいのでありますが、地方交通線の問題で私ども真岡線というのを持っておるのですが、年々合理化が非常に厳しくなりまして、それが利用者の利便を非常に悪くしておるという状況の中で、沿線住民、沿線市町村は一生懸命になって予算をつけて何とか守ろうとしてやっておりますが、どうも廃線に追い込もうとするような形でどんどんと合理化が進められて、しかもダイヤも非常に不便になってきておる。私は何回もこの委員会で取り上げておるのですけれども、このダイヤの改正とそれから一両でもいいから数多く車を動かしてほしいというような大変な要望がございます。この問題は後日また後の機会でやりますけれども国鉄当局のそういうものに対する考え方についてお聞かせいただきたいと思います。
  539. 高木文雄

    高木説明員 全国の各地方線に関連いたしまして、国鉄が非常にいじわるをするといいますか、ダイヤのつくり方にしましてもその他にしましてもそういうことがある。それでお客がだんだん減ってしまった。そしたら今度はレールを外す。こういう論理の進め方はいかにもけしからぬという話は、実は真岡線以外にもたまっておるわけでございます。私どもとしましては、現場において地域の方々との対話がよほど不足しておるなという感じがしておるわけでございまして、そのようなこととお受け取りいただけるのは非常に残念でございますけれども、しかし一方において、やはりお客の少ないところに長い車両を走らすというのはまずいわけで、いまお示しのように、たとえば短い車両にするとかいろいろな工夫があろうかと思います。個別にはいろいろな問題がございますけれども、一般論としてはそういうふうに考えておるわけでございまして、どうか具体的問題についても、現場の事情あるいは利用者の方々の御意向といいますか、御意見といいますか、声を聞かしていただくということについてはぜひお願いして、私どもも勉強させていただきたいと思っております。
  540. 神田厚

    神田分科員 終わります。
  541. 後藤田正晴

    ○後藤田主査 これにて神田君の質疑は終了いたしました。  以上をもちまして、運輸省所管についての質疑は終了いたしました。  次回は、来る三月一日午前九時三十分より開会することとし、建設省所管について審査を行います。  本日は、これにて散会いたします。     午後七時三十八分散会