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1982-02-26 第96回国会 衆議院 予算委員会第一分科会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    分科会昭和五十七年二月二十四日(水曜日) 委員会において、設置することに決した。 二月二十五日  本分科員委員長指名で、次のとおり選任さ  れた。       小渕 恵三君    大村 襄治君       栗原 祐幸君    近藤 元次君       藤尾 正行君    三原 朝雄君       稲葉 誠一君    大出  俊君       横路 孝弘君    大内 啓伍君 二月二十五日  小渕恵三君が委員長指名で、主査選任され  た。 ————————————————————— 昭和五十七年二月二十六日(金曜日)     午後五時開議  出席分科員    主査 小渕 恵三君       大村 襄治君    栗原 祐幸君       近藤 元次君    三原 朝雄君       伊藤  茂君    稲葉 誠一君       上原 康助君    土井たか子君       横路 孝弘君    大内 啓伍君       部谷 孝之君    兼務 瀬長亀次郎君 兼務 山原健二郎君    兼務 楢崎弥之助君  出席国務大臣         国 務 大 臣         (総理府総務長         官)      田邉 國男君         国 務 大 臣         (防衛庁長官) 伊藤宗一郎君  出席政府委員         内閣総理大臣官         房会計課長         兼内閣参事官  鴨澤 康夫君         警察庁長官官房         会計課長    森田 雄二君         北海道開発庁予         算課長     服藤  収君         防衛政務次官  堀之内久男君         防衛庁参事官  新井 弘一君         防衛庁参事官  石崎  昭君         防衛庁参事官  上野 隆史君         防衛庁参事官  冨田  泉君         防衛庁長官官房         長       夏目 晴雄君         防衛庁防衛局長 塩田  章君         防衛庁人事教育         局長      佐々 淳行君         防衛庁衛生局長 本田  正君         防衛庁経理局長 矢崎 新二君         防衛庁装備局長 和田  裕君         防衛施設庁長官 吉野  実君         防衛施設庁次長 多田 欣二君         防衛施設庁総務         部長      森山  武君         防衛施設庁施設         部長      伊藤 参午君         防衛施設庁労務         部長      木梨 一雄君         科学技術庁長官         官房会計課長  三井 嗣郎君         環境庁長官官房         会計課長    森   孝君         沖縄開発庁総務         局会計課長   宮島  茂君  分科員外出席者         人事院事務総局         管理局会計課長 藤野 典三君         公正取引委員会         事務局官房庶務         課長      地頭所五男君         防衛庁経理局会         計課長     源氏田重義君         防衛施設庁総務         部会計課長   平   晃君         外務省北米局安         全保障課長   加藤 良三君         大蔵省主計局主         計官      小川  是君         予算委員会調査         室長      三樹 秀夫君     ————————————— 分科員の異動 二月二十六日  辞任         補欠選任   大出  俊君     伊藤  茂君   大内 啓伍君     部谷 孝之君 同日  辞任         補欠選任   伊藤  茂君     上原 康助君   部谷 孝之君     和田 耕作君 同日  辞任         補欠選任   上原 康助君     土井たか子君   和田 耕作君     大内 啓伍君 同日  辞任         補欠選任   土井たか子君     大出  俊君 同日  第二分科員楢崎弥之助君、第四分科員山原健二  郎君及び第五分科員瀬長亀次郎君が本分科兼務  となった。     ————————————— 本日の会議に付した案件  昭和五十七年度一般会計予算  昭和五十七年度特別会計予算  昭和五十七年度政府関係機関予算  〔内閣及び総理府所管防衛庁)〕      ————◇—————
  2. 小渕恵三

    小渕主査 これより予算委員会第一分科会を開会いたします。  私が本分科会主査を務めることになりましたので、よろしく御協力のほどお願い申し上げます。  本分科会は、皇室費国会、裁判所、会計検査院、内閣総理府及び法務省並びに他の分科会所管以外の事項、なお、総理府につきましては経済企画庁及び国土庁を除く所管について審査を行うことになっております。  昭和五十七年度一般会計予算昭和五十七年度特別会計予算及び昭和五十七年度政府関係機関予算中、内閣総理府、ただし経済企画庁及び国土庁を除く所管について審査を進めます。  まず、政府から説明を求めます。田邊総理府総務長官
  3. 田邉國男

    田邉国務大臣 昭和五十七年度における内閣及び総理府所管歳出予算要求額について、その概要を御説明いたします。  内閣所管昭和五十七年度における歳出予算要求額は、百六億九千四百四十九万八千円でありまして、これを前年度歳出予算額百一億八千八百八十七万七千円に比較いたしますと、五億五百六十二万一千円の増額となっております。  次に、総理府所管昭和五十七年度における歳出予算要求額は、六兆九百九十三億四千五百八十万六千円でありまして、これを前年度歳出予算額五兆八千二百三億四百三十七万五千円に比較いたしますと、二千七百九十億四千百四十三万一千円の増額となっております。  このうち、経済企画庁及び国土庁に関する歳出予算要求額については、他の分科会において御審議を願っておりますので、それ以外の経費について、予定経費要求書の順に従って主なものを申し上げますと、総理本府に必要な経費一兆七千七百六十億九千四十一万六千円、警察庁に必要な経費一千五百七十九億二百七十二万六千円、行政管理庁に必要な経費二百十三億八千二百六十四万三千円、北海道開発庁に必要な経費七千百十四億八千四百二十五万五千円、防衛本庁に必要な経費二兆二千九百三十一億五千三百七万一千円、防衛施設庁に必要な経費二千九百二十八億五千十四万一千円、科学技術庁に必要な経費三千百九十二億四千九百八十六万一千円、環境庁に必要な経費四百六十一億一千九百八十一万九千円、沖縄開発庁に必要な経費二千百四十六億七千六百九十二万三千円等であります。  次に、これらの経費についてその概要を御説明いたします。  総理本府に必要な経費は、総理本一般行政及び恩給の支給等のための経費でありまして、前年度に比較して八百四億四千四百六万六千円の増額となっております。  警察庁に必要な経費は、警察庁、その附属機関及び地方機関経費並びに都道府県警察補助のための経費でありまして、前年度に比較して三十一億五千二百十万一千円の増額となっております。  行政管理庁に必要な経費は、行政管理庁一般行政及び国の行う統計調査事務に従事する地方公共団体職員の設置の委託等のための経費でありまして、前年度に比較して九億三千二百三十四万三千円の増額となっております。  北海道開発庁に必要な経費は、北海道における海岸漁港住宅、公園、下水道、農業基盤整備造林、林道、沿岸漁場整備等事業経費及び治水治山道路整備港湾整備空港整備事業に充てるための財源の各特別会計への繰入金等経費でありまして、前年度に比較して三十一億八千八百七十二万六千円の減額となっております。  防衛本庁に必要な経費は、陸上、海上航空自衛隊等の運営、武器車両及び航空機等の購入並びに艦船の建造等のための経費でありまして、前年度に比較して一千六百七十七億三千四十六万一千円の増額となっております。  防衛施設庁に必要な経費は、基地周辺整備事業提供施設整備補償経費基地従業員対策提供施設移設等のための経費でありまして、前年度に比較して百八十八億五千二百五十七万三千円の増額となっております。  科学技術庁に必要な経費は、科学技術振興調整費拡充強化並びに流動研究システムによる創造科学技術原子力開発利用宇宙開発海洋開発防災科学技術重要総合研究及び国際科学技術博覧会開催準備推進のほか、科学技術振興基盤強化等のための経費でありまして、前年度に比較して百五億三千五百十五万一千円の増額となっております。  環境庁に必要な経費は、環境保全企画調整推進公害健康被害補償大気汚染及び水質汚濁防止公害防止等調査研究推進並びに自然環境保全推進等のための経費でありまして、前年度に比較して一億五百九十三万五千円の増額となっております。  沖縄開発庁に必要な経費は、沖縄における教育振興保健衛生対策農業振興に要する経費並びに沖縄開発事業に要する海岸漁港住宅環境衛生施設都市計画土地改良造林等事業経費及び治水治山道路整備港湾整備空港整備事業に充てるための財源の各特別会計への繰入金等経費でありまして、前年度に比較して二十六億五千五百六十九万八千円の減額となっております。  また、以上のほかに、新規継続費として、防衛本庁において一千四百四十六億三千三百八十九万円、国庫債務負担行為として総理本府において二百二万六千円、警察庁において二億七千二百九万四千円、北海道開発庁において三百十七億六千三百万円、防衛本庁において九千六百十四億八千五百八十五万六千円、防衛施設庁において三百五十二億一千八百二十三万二千円、科学技術庁において一千二百七十六億三千百八十二万四千円、沖縄開発庁において九十七億八千九百八十六万六千円を計上いたしております。  以上をもって、昭和五十七年度内閣及び総理府所管歳出予算要求額概要説明を終わります。  よろしく御審議くださるようお願いをいたします。
  4. 小渕恵三

    小渕主査 これにて説明は終わりました。     —————————————
  5. 小渕恵三

    小渕主査 総理府所管中、防衛庁について審査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。伊藤茂君。
  6. 伊藤茂

    伊藤(茂)分科員 私は、去る昭和五十二年九月二十七日に横浜市緑区で起こりましたアメリカ軍ジェット機墜落事件関係をして御質問をしたいと思います。  四年半前にその事件が起こりまして、二人の子供がその日のうちに亡くなったわけでありますが、その子供お母さんも一月二十六日、不幸なことに亡くなりました。私は、お近くでありますからずっとおつき合いをしまして、和枝さん、林和枝さんと申しましょうか、戸籍は土志田和枝さんと申しましょうか、亡くなったときにすぐ駆けつけまして最後の顔とお会いをいたしましたが、大変きれいな死に顔でありました。私はその最後の顔を見ながら、何かあの世に行ってようやく地獄の苦しみから抜け出せたのかなというふうな気持ちがいたしました。二人のかわいい子供を失って、全身大やけどをして六十回も手術をして、しかも四年半必死に生きようと思いながら、ついに亡くなられたということであります。  大臣就任早々のことでありまして、いろいろと就任直後から手配などもしていただきました。お葬式には花輪までいただいたようでありますけれども、国会もあり、大臣はお見えになりませんでした。私は、最初に、大臣としてでも結構でありますし、また一人の人間政治家としてのこの問題についての気持ちを伺いたいと思います。  また、この問題に事件以降終始かかわってまいった大きな責任施設庁にあるわけであります。率直に伺いますが、和枝さんが亡くなる最後の瞬間までいろいろと御苦労があったことは、私もよくわかります。しかし、事柄自体がまことに不幸な、異常な事態でありまして、最後の瞬間まで、病院問題等はございましたが、対応は十分であったというふうに思っておられますか、最初にその気持ちを伺いたいと思います。
  7. 伊藤宗一郎

    伊藤国務大臣 先生お話しのとおり、まことに遺憾な、不幸な事態でございまして、和枝さんを初め二人の御子息のみたまに対しまして、二度とこういう事故は起こしてはならない、起こすべきではない、そういうためにわれわれとしても万全の施策を講じなければならぬということを肝に銘じております。  また、いまもお言葉がございましたけれども、このことにつきましては、先生から防衛庁なり防衛施設庁、また現地の防衛施設局に対しまして、大変お心のこもった適切な御指示をいただいてまいりましたことを、この機会防衛庁責任者として先生に厚く御礼を申し上げたいと思います。これからまだいろいろの問題が残っておりますので、今後とも、どうかひとつ変わらざる御協力なり御指示をわれわれに与えていただきますように、これまたこの機会お願いを申し上げたいと思うわけでございます。
  8. 吉野実

    吉野(実)政府委員 ああいう大変悲惨な事故がありまして、われわれの方といたしましても、最初のころはいろいろと戸惑ったわけでございますけれども、先生方のいろいろなアドバイスをちょうだいいたしまして、及ばずではございましたけれども、施設庁としてできるだけのことはやってきたというふうに思っております。しかしながら、先般和枝さんがお亡くなりになってしまった。私も、実はお子さんのお墓にも参りましたし、病院に本人の見舞いにも参りましたけれども、最後にああいうことでもってお亡くなりになってしまった。私の方といたしましては、お葬式のところでも申しましたように、非常に心苦しいといいますか、まことに残念に思っておるわけでございます。  大臣からもお話がありましたように、今後ともわれわれの方といたしましては、米軍の方ともいろいろ関係があります。米軍の方も訓練ということで、飛行機なりあるいは海上訓練等いろいろやっておりますので、われわれの方として、二度とこういうような事故が起こらないように、あのお葬式皆さんの前でお誓いをいたしました。そのために最善の努力をいたさなければならぬと考えておる次第でございます。
  9. 伊藤茂

    伊藤(茂)分科員 大変不幸なことになりました後、私も時間を見てはお位牌にお線香を上げに伺うわけでありますが、私は亡くなった和枝さんに、皆様の御答弁をいただいて、実は二つの御報告あるいは二つのことをささげたいという気持ちであります。  一つは、徹底的な原因の究明の問題であります。和枝さんがまだ病床に伏しておられる当時に、和枝さんのお父さんや御主人からお話を伺いますと、なぜ私はこうなったのでしょう、ジェット機が憎い、なぜこうなったのか、私はそれが知りたいということを、繰り返し言われていたそうであります。私も国政に携わる者の一人として、これは野党だから質問するとか政党の違いとかいう意味ではなくて、やはり主権を持つ一国の一人として、一人の人間として、あるいは一人の政治家として、こういうことはきちんと答えられるようにしなければならないというふうに思うわけであります。そういうことでいままで再三質問をしたり、あるいは質問主意書を提出いたしまして答弁書をいただいたりいたしてまいりました。  言うまでもありませんが、日米合同委員会事故調査委員会では、アメリカ中間レベルでの整備中に発生した事故であり、エンジン組み立てミスアフターバーナー組み立てミスの問題であったということになっております。それでは、その内容を、一体アメリカのどこで、どの工場で、だれが責任者で、どう処理されて、また再発防止——大臣は、こんなことは万々ないように努力をいたしますという気持ちを言われましたが、今後の措置をどうとられたのかということが明らかにされるべきではないだろうかと思います。いままで再三このこともお伺いいたしてまいりましたが、たとえばアメリカ側からその事故原因となったアフターバーナー組み立て年月日とか部隊とか場所について回答を得ているという回答書がございました。しかし、その内容については、現に捜査中の事項であるので差し控えたいということでございました。刑事事件捜査は終わったわけでありますし、ぜひその内容を明らかにしていただきたいというふうに思うわけであります。  私が何もこんなことを繰り返しやらなくとも、アメリカでこういう事故が起これば、徹底的に調査をしてアメリカ市民の前に明らかにする。これはあたりまえのことであります。日本でも、自衛隊であると民間であるとを問わず、そういう事故が国内で起きたら、徹底的に調査をして市民の前に明らかにして、そうならないように、皆さんに信頼してもらえるように、どうするのかを言われて当然でありましょう。なぜこうなるのか、私はわかりません。しかし、ここまで来たわけであります。私は、和枝さんのお墓の前にその内容を御報告できるようにしたいと思います。どうぞお答えください。
  10. 森山武

    森山政府委員 ただいまの御質問は、刑事事件に関して捜査をした警察関係への御質問かと思いますが、防衛施設庁といたしましては、事故分科委員会、すなわち五十三年の一月までの段階米側といろいろな調査をいたしましたその段階では、ただいま先生が御指摘のように、アメリカ本国における組み立て工場内でのアフターバーナー組み立てミスであるというふうなことがわかり、また、当時そういう組み立てミスをなくするよう組み立ての工具にも工夫をこらして、二度とそのような組み立てミスがないような対策は講じたということを米軍からも聞いております。  また、当時の事故原因につきましては、事故分科委員会としては異例のものといたしまして、技術担当専門委員を委嘱しまして実験までやってみた、その結果、いま言った組み立てミス原因となったエンジンの火災であるという結論を得たわけでございます。  なお、ちょっと先生にお断りしたいのでございますが、実は私、あの事故後、横浜防衛施設局長になりました。そのときに、林一久さん及び土志田さんから、事故原因についてどうも横浜施設局に聞いたけれども説明してくれないというふうなことで、五十三年になってからでございますが、私、事故分科委員会報告書を全部、図面も持っていきまして、事故分科委員会としてはここまでやったというふうなことで御説明申し上げたものでございます。
  11. 伊藤茂

    伊藤(茂)分科員 そんなことを言ったって和枝さんの気持ちがおさまるわけじゃないと私は思います。要するに、何遍も言ってきましたように、組み立て年月日部隊場所責任者などはアメリカ回答を得ているというわけですよ。なぜ国民の前にそれが言えないのですか。普通の捜査ではプライバシーの問題があるとか、政治家が何とかかんとかありますよ。それとは違うと私は思うのです。当然明らかにしなければならない。調査に当たったのは、アメリカ側と交渉して、われわれがさんざっぱらせっついてからやったのだからアメリカ側と交渉して回答を得る、それは外交ルート外務省でしょう、安保課長来ていると思いますが。それから事態捜査その他に責任を持ったのは警察庁でしょう。その内容を一体なぜ言えないのですか。ここで簡単に言ってください。
  12. 加藤良三

    加藤説明員 外務省といたしましても、本件事故重大性にかんがみ、米側協力を要するものについて、警察庁との連絡を密にしつつ、米側に対して、日本側捜査に十分協力するよう外交経路を通じて協力要請を行った経緯があること、先生指摘のとおりでございます。  ただ、米側回答は、これまた先生指摘のとおり、米本国におきますアフターバーナー組み立て年月日部隊名及びその場所について述べておるわけでございますが、中間地点云々の点も含めまして、本件はかかる日米間のやりとりというのはあったわけではございますけれども、捜査上の必要性に基づいて行われたものでございますので、そのような性格にかんがみ、公表は差し控えさせていただきたい、こういうようなことでございます。
  13. 伊藤茂

    伊藤(茂)分科員 こういう繰り返しが続いているのですよ。大臣、どう思われますか。これは見解の違いとか、与野党の違いとか、政党性という問題じゃないと思います。日本アメリカの属国じゃないはずなんだから。日本主権国であり、国民の代表であり、そしてこんな悲惨な事故が起きた。だから、アメリカにぎゅうぎゅう言って知り得るすべてのことを知って、国民の前に、こういうことだった、そしてこういうことがないように——私は、いま安保廃棄とかそんなことを言っているのじゃないですから、こういうことがないようにすべきだということを言うのが主権国家としての日本政府責任ではないだろうか。言えません、差し控えたい、私は全然理由がわかりません。主権国家でこれでいいと思いますか、大臣、いかがですか。
  14. 伊藤宗一郎

    伊藤国務大臣 いま政府委員から申し上げたのでありますけれども、従来のこともございまして申し上げられないということでございまして、私もそれを了承いたしますが、そういうこととは関係なく、先ほど私が申し上げましたとおり、林家のお三人のみたまのお気持ちを今後とも防衛庁あるいは防衛施設庁として十分体しながら、また、先生のこのことに関しての長い間の御心労なり御協力、御理解なども十分体しながら、二度と再びこういう事故が起きないように、起こさないように、万全の対策をとってまいりたい。ぜひそのことでこのことに関しては御理解を賜りたいと、心からお願いを申し上げる次第でございます。
  15. 伊藤茂

    伊藤(茂)分科員 一体この事件は何だったのだろうか。子供が二人死んだ。そのお母さんも亡くなった。多くの人の中に同情が広がっている。和枝さんが前に言われておりましたが、体が治っても、体に残った傷も心に残った傷も一生消えることはありませんということを、しみじみ言われておりました。そうしてあの世に行かれました。私は、短い時間ですから言いませんけれども、とにかくそれでは死んだ和枝さんの霊が浮かばれないだろうと思います。そういうふうな政府の態度をぜひ変えるように私は努力していきたいと思います。  もう一つ和枝さんのみたまの前に私がささげたいと思うのは、さっき大臣も言われましたが、再発防止という問題であります。再発防止のために総理も万全を尽くすと言われたそうであります。しかし、一番の防止飛行機を飛ばさなくすることでありましょう。ところが現実には、あの事件が起こった後、確かに飛行コースと高度の問題についての若干の改正が五十三年にあったということは聞いております。しかし、飛ぶ回数、それから現実状況は何にも変わっていないというのが実感でありまして、私もそのコースの下に住んでおりますから、ときどき夜中に音がすると時間を見ますけれども、深夜頭をかすめるように飛んでいくという状況がしばしばあるわけであります。そういう状態に対して一体どうなのか。またこんな事故が起こらないという保証は一つもない、危険は何も減っていないというのが率直な状況であります。  伺いますけれども、海上自衛隊飛行機、当然P3Cのこれからの増強の問題があります。いままでの飛行回数機数、そういう傾向が一体どうなっていくのか。それから、米軍の問題があります。何か米軍の方に頼まないとデータも出てこないというふうなことであるわけでありますが、昭和三十八年の厚木飛行場周辺航空機騒音軽減措置の協定なんかでは「統計資料提供」ということがあるわけです。こんなことはこれ以上に頻繁に要求してきちんとそろえて、そしてよりいい状態になるように努力をする。それから神奈川県を初めいま要求をいたしております。こんなものはとにかく夜の十時から朝の六時までではだめだから、夕方の六時から朝の八時までにしてもらいたいとか、土曜、日曜は云々とか出しておりますが、ここら辺をどう把握していますか。何かアメリカに聞かないとだめみたいなことをちょっと聞きましたが、コントロールタワーの方は海上自衛隊が管理しているはずですから、データをとってちゃんとやろうというのはできるはずです。再発防止に関連して、その辺の状況把握と対策がどうなっているのかをお伺いしたい。
  16. 石崎昭

    ○石崎政府委員 自衛隊が管制を担当しておりますので、そのデータを申し上げます。  昭和五十六年一年中の数字をここに持ってまいりましたが、管制の数は、これは管制区域に入ったものを全部一回と勘定しますので、全部離着陸というわけではございませんで、上空通過というようなものも一つの数字になるというふうに御理解願いたいのでありますが、去年一年中の自衛隊の管制回数二万一千百六十三回、米軍の管制回数二万五千六十九回、以上のような数字になっております。(伊藤(茂)分科員「傾向はどうですか」と呼ぶ)傾向は去年一年で見ますと、月別に見て余り大きな変動はありません。わりあい均等に飛んでおります。ただ、米軍の場合、月によって、たとえば去年の十月はかなり大きな数字になっておりますが、そういう特別の場合以外は大体均等に管制を受けているという状況でございます。
  17. 伊藤茂

    伊藤(茂)分科員 P3Cの厚木基地への今後の計画はどうなっておりますか。
  18. 塩田章

    ○塩田政府委員 P3Cは現在三機厚木に配置いたしておりますが、五十七年度取得予定の五機まで、合計八機までは厚木に配置するということで計画をしております。  御承知のように全体でP3C四十五機でございますが、その全体の計画はまだございません。五十七年度取得分まで計画がございます。
  19. 伊藤茂

    伊藤(茂)分科員 それでは、いずれにしてもふえることはあっても減ることはないというふうな感じなのですね。  それから、さっきも申し上げたのですが、三十八年の協定はあります。それから、五十三年七月の飛行コースの改定の問題があります。ところが、現実には三十八年の協定も守られていないケースが非常に多い。あなた方御承知でしょう。とにかく、ミッドウェーが来ると厚木に半分くらいやってくる。厚木を飛び立って三沢に訓練に行く。そして、晩飯食って夜の訓練までやってから、新潟を通って夜中に着陸をしにやってくる。夜ですから、音の感じも飛んでる高度の感じも、何か頭の上で飛んでいるのじゃないかというふうな感じです。私はしょっちゅうそれを体験しているというわけですね。ですから、アメリカへの要望、それから話をした協定はある。しかし、事実が変わっていない。厚木の周辺にいたしましても、たとえばタッチ・アンド・ゴーの回数とかエンジン調整の回数とか、しばしば言われているわけであります。私どもが大事なのは、文書があるかあるいはどういうお話を向こうにお願いしたかは別にして、事実が変わること、そういう事実を変えることについての確実な対策がとられなければならないということではないだろうか。いろいろな方法があると思います。時間がありませんから一々言いませんが、その辺をどういうふうに確実にやろうという気持ちがありますか、考えておりますか。
  20. 伊藤参午

    伊藤(参)政府委員 お答えいたします。  厚木海軍飛行場の騒音規制等につきましては、先生指摘のように三十八年合同委員会等でも合意を行っております。  いま三沢等への帰投の問題等から守られていないのではないかというお話がございましたが、私どもとしては、合同委員会合意というものを常に米軍に守らせるということを第一のたてまえといたしましてやっておりますし、絶えず申し入れ等も行っておりますので、米側としても、この合意というものを守るべく努力しているというふうにわれわれ考えております。
  21. 伊藤茂

    伊藤(茂)分科員 たとえば厚木の基地周辺で、神奈川県の方でも何台か器械を用意して、それで一定以上の騒音の場合の機数とか総延べ時間とかの記録をいたしております。地元の自治体でも非常に、お金のない中で二台つくったり三台つくったりして、何か住民の安全を守るための基礎データをきちっとしようという努力をしているわけであります。国の方はどうしますか。
  22. 伊藤参午

    伊藤(参)政府委員 私どもの方としましても、騒音測定ということに関しましては、地元の御要望のみならず、私どもの方の業務の必要性からも多大の関心を払っておりまして、厚木飛行場については常に定点二でもって定期観測等も行っておりますし、それから、他に飛行態様等が変わるような状況あるいは特異な状況があれば随時騒音測定をしたいと思っておりますし、現実にそういうことも実行しております。
  23. 伊藤茂

    伊藤(茂)分科員 短い時間なのでなかなか具体的に入れなくて残念でありますけれども、もう一つお伺いしたいのは補償の問題であります。  いままで、被害者全体のこともありますし、特に林さんのことに関係して言えば二人の子供さんが亡くなったことなどで、補償措置もとられてきたと伺っているわけでありますが、いままで二人の亡くなった子供の問題、また関係者、これらの方々に十分納得のいく補償がなされたというふうにお考えですか。また今後どうしますか。
  24. 森山武

    森山政府委員 林家で一番最初に解決いたしましたのは財産関係でございます。これは五十三年に円満に解決されてございます。それから、お二人の御子息に対する林家全員の慰謝料等につきましては、遺族補償、慰謝料につきましても、弁護士が中に入って国としてはできるだけのことはやった、また弁護士及び弁護士と林家の方々も皆さんお話し合いは願ったわけでございますが、そこで円満に解決されたと思っております。  なお、和枝さんの死亡に伴う遺族補償、慰謝料等につきましては今後の問題でございますが、納得のいくように円満にお話し合いしたいと思っております。
  25. 伊藤茂

    伊藤(茂)分科員 ちょっと聞いておきますが、できるだけのことはやったわけでありますが、できるだけとか、それからできるだけ十分にということは、どういう意味ですか。交通事故なんかの場合とは違うと思うのですが、ちょっと具体的に言ってください。どういう意味でできるだけということですか。
  26. 森山武

    森山政府委員 金額的なことを御説明できないで申しわけございませんが、たとえばお子様の場合ですと亡くなられたのが非常に幼いというふうなことで、通常の判決例とかそういうのは金額が非常に出にくうございます。そういう中で、私どもはいろいろな……(伊藤(茂)分科員「交通事故とかと性格が違うだろうという意味です」と呼ぶ)そういうことも考えた上で、交通事故等もですね、違うんだということを頭に置きながら、最大のことをやったということでございます。
  27. 伊藤茂

    伊藤(茂)分科員 分科会の冒頭で短い時間ですからやめたいと思いますが、私は一番残念なのは、伊藤大臣林和枝さんからも、一番苦労した実家のお父さんからも、この四年間ずっと聞かされ続けてきたんですよ、なぜ私はこうなったんでしょう、それが言えないというのは私は非常に残念ですね。それは単に、さっきも申し上げましたが、保守革新とか安保を認めるとか認めない側とかいうのと違った一つのレベルのものであろう。日本日本国民によって立つ主権国であり、そして、国民の前に可能な限りの真実を知らして国民の信頼の上に政治をやる、あたりまえのことであろうという気がするわけであります。その内容も、あなた方は報告内容を持っているのに、それすらも私どもへは報告できないということは、気持ちとしてもまことに残念でありまして、ぜひそういう態度なり何なりを、主権国家にふさわしいような政治を行い得られるようにお願いいたしまして、質問を終わります。
  28. 小渕恵三

    小渕主査 これにて伊藤茂君の質疑は終了いたしました。  次に、上原康助君。
  29. 上原康助

    上原分科員 予算委員会でいろいろすでに議論されているようですが、五六中業について、まず最初にお尋ねをしてみたいと思うのです。この作業状況はどうなっているか、まずお答えをいただきたいと思います。
  30. 塩田章

    ○塩田政府委員 五六中業につきましては、昨年四月の国防会議で了承されました方針に基づきまして、「防衛計画の大綱」に定める防衛力の水準を達成することを基本といたしまして、いま御審議いただいております昭和五十七年度予算を踏まえて作成作業を鋭意進めておる段階でございます。  防衛庁といたしましては、当初から約一年ぐらいのめどというふうなことでスタートいたしておりますが、引き続き作業を進めてまいりたい、いま鋭意作業中であります。
  31. 上原康助

    上原分科員 あなた、そんな抽象的な答弁ではだめですよ。防衛計画大綱の水準を達成することを目途としてというわけですが、そうすると五六中業は現在の防衛計画大綱を上回るものでないですね。
  32. 塩田章

    ○塩田政府委員 大綱の水準に達することを基本として作業をしております。
  33. 上原康助

    上原分科員 計画大綱は上限ですか。
  34. 塩田章

    ○塩田政府委員 五六中業といたしましては、「防衛計画の大綱」の水準に到達することをめどとして作業をするということでございます。
  35. 上原康助

    上原分科員 私が聞いているのは、防衛計画大綱は上限と見ていいですかと聞いている。
  36. 塩田章

    ○塩田政府委員 これはいろいろ見方があると思いますけれども、「防衛計画の大綱」の考え方自体は、平時におけるわが国のあるべき防衛力、私どもいわゆる基盤的防衛力と称しておりますが、この基盤的防衛力をあらわしたものというふうに理解しておりますが、これは、平時におきましていわば最低限の防衛力として整備すべきものであるというふうな考え方で大綱はできておる、その大綱の線に到達したいということでございます。
  37. 上原康助

    上原分科員 だんだん言い回しが変わってきていますね。当初、これができたころは上限だと言っておったが。  そこで、具体的な問題に入る前にもう一点確認をしておきたいのですが、防衛計画大綱を変える意思はないですね。それと、防衛費のGNP対比一%も変える意思はない、これはこれまで政府がしばしばお答えになった点なのですが、どうですか。これは長官から答えてください。
  38. 伊藤宗一郎

    伊藤国務大臣 いま政府委員から申し上げましたとおり、五六中業というのは、「防衛計画の大綱」に定める防衛力の水準を達成することを基本として、現在作業を進めておるわけでございます。  また、GNP一%に関する閣議決定が現に存在をしておるわけでございまして、われわれはこういう決定を念頭に置きながら大綱水準の達成を図る、そのためには効率的かつ節度ある整備ということに留意もしなければいかぬというような方針で、いま基盤的な防衛力をぜひ早期に達成するということを念頭に置きながら作業をしておるところでございます。
  39. 上原康助

    上原分科員 ますます歯切れの悪い答弁ですね。私の聞いているのは、大綱を変える意思はありませんね。防衛費は対GNP比一%ということも守りますねということですよ。それなのに、いろいろ枝葉をつけて答弁する必要はないのじゃないですか。どうですか、その辺。はっきりしてくださいよ。
  40. 伊藤宗一郎

    伊藤国務大臣 GNP一%に関する閣議決定を念頭に置きながらぎりぎりの努力を続け、そして、目標は大綱の水準をできるだけ早く達成したいということで、作業をしていることをぜひ御理解をいただきたいと思います。
  41. 上原康助

    上原分科員 そんなの御理解できますか。まあ続けましょう。  それで、防衛局長でもいいのですが、皆さん答弁を慎重というか注意深く聞いていると、一体防衛力整備の水準に達することを基本目標にというのは、防衛力整備の水準というのは大綱でしょう、これまでの政府の防衛政策というのは。だから、防衛力整備の水準に達することを基本目標にというのは、大綱の水準に達することでしょう。そのほかに防衛力整備の水準目標があるのですか。これもはっきりさせてください。
  42. 塩田章

    ○塩田政府委員 「防衛計画の大綱」の水準でございます。
  43. 上原康助

    上原分科員 そこで、長官のお答えを聞いていますと、五六中業は大綱の枠内におさまるか危ぶまれているからいまのような答弁だと思うのです。またこれまでしばしば報道されておりますように、もし報道されているような装備内容であるとすると、GNP一%以内では五六中業の達成はとてもじゃないがむずかしいと私たちは見ている。それは指摘してきたとおりなんですね。それは、目下防衛庁で検討中だというようなお答えだったのですが、これの素案はどこがつくったのですか。  その前に、これをお答えいただく前に、もう一つ確かめておきたいのです。よく中業だけが問題になるのですが、長官は「統合長期防衛見積もり」というのを御存じでしょうね。まずお答えください。
  44. 伊藤宗一郎

    伊藤国務大臣 就任後、事務当局から説明を受けております。
  45. 上原康助

    上原分科員 あなた、いま教えられて初めてわかったのじゃないの。何がシビリアンコントロールですか。これは一体どんな内容ですか、お答えください。
  46. 伊藤宗一郎

    伊藤国務大臣 こういう時点でまだ御説明できる段階ではございません。
  47. 上原康助

    上原分科員 これはいつつくられたのですか、長官。
  48. 塩田章

    ○塩田政府委員 統合長期見積もりは、御承知のように非常に長期のものを、統合幕僚会議において情勢見積もりを中心にしてつくるわけでございますが、現在のものは昨年に作成いたしました。
  49. 上原康助

    上原分科員 本当に昨年につくられたのですか。「統合長期防衛見積もり」ですよ。第一回目は五十三年度じゃないですか。昨年は五十三年ですか。長官もこのことを知らない。防衛局長もこれさえも答弁できない。シビリアンコントロールの問題は、F4問題だけじゃないけれども、内局はほとんど知っていないじゃないですか。しかも「防衛ハンドブック」に書かれている。これは防衛戦略をいろいろ分析した長期防衛見積もりでしょう。これがどうなっているのか、これはいま改定されようとしているのか、これも作業を進めているのか。  時間の都合もあるから、ついでに長官、「統合中期防衛見積もり」、「統中」というのはどういうものか、御説明してください。
  50. 塩田章

    ○塩田政府委員 まず統合長期でございますが、御指摘のように五十三年に最初のものはつくりました。三年ごとに作成をいたしております。  第二点の統合中期でございますが、いま申し上げました統合長期が十年間にわたります情勢見積もりを中心としたものでありますのに対しまして、統合中期はそれを受けまして、五年間を対象にいたしまして、それをいわば具体的なブレークダウンといいますか、装備の方向といったようなものも含めました計画として、やはり統合幕僚会議で作成をいたすものでございます。
  51. 上原康助

    上原分科員 そこで、統合中期防衛見積もりというのは、これも五十三年度に第一回目はつくってあるのですね、五十五年から五十九年度を対象に。これに基づいて中期業務見積もりはできているわけでしょう。この統合中期防衛見積もりはすでに改定されつつあるんじゃないですか。どうなっているのですか、現在。皆さん三年ごとにと言いますが、ではこれはどういう中身になっているのですか。
  52. 塩田章

    ○塩田政府委員 御指摘のように、統合中期を受けまして、いわゆる中期業務見積もりは各幕でつくられるわけでございます。そのために、先ほど来御質問のあった五六中業、いま各幕がつくっておりますが、その作業に入る前に、統幕で統合中期をつくっておく必要があるということで昨年に作成をいたしたわけでございまして、やはり御指摘のように、第一回は五十三年にできたものでございます。
  53. 上原康助

    上原分科員 その後どのような見直しがなされてきたのですか。
  54. 塩田章

    ○塩田政府委員 やはり中期業務見積もりと同じように、二年目以降の五年間を対象といたしまして、防衛力の計画的な整備、維持を図るため、大綱に示す防衛の態勢、各自衛隊の体制を基準として、現状の防衛力の不備点、改善点、そういったものに対する……。失礼しました、それは中期業務見積もりでございますが、それを行いますために統合中期見積もりを、やはり同じように二年目以降のおおむね五年間を対象といたしまして作成をいたしますものですが、国際情勢の変化の有無に特に留意しながら、国際情勢、国内情勢を掘り下げ、わが国に対する脅威の分析を行いまして、わが国の防衛構想、防衛の態勢、各自衛隊の体制、そういったものを検討いたしまして、各幕が中期業務見積もりをつくるのに資料とするように目的を持って作成されるものでございまして、これも五十三年につくりましたものを昨年に改定いたしたものでございます。
  55. 上原康助

    上原分科員 昨年に見直しをし、改定をしたわけですね。はっきりさせてください。
  56. 塩田章

    ○塩田政府委員 そうでございます。
  57. 上原康助

    上原分科員 あなた方の答弁を聞いていると、予算委員会は各駅停車だね。いまの答弁もおかしいんではないですか。これは防衛計画大綱と密接な関係があるんですね、中業とも。いまあなたは大事なことはおっしゃらないのだ。確かに「統中は、対象期間中の内外諸情勢、特に軍事情勢について分析検討を行うものである」とある。防衛庁長官、これは内容がどういうものかわかりますか。まずそれを答えてください。わかるのかわからぬのかでお答えください。
  58. 塩田章

    ○塩田政府委員 いまも申し上げましたように、昨年作成いたしまして、長官が御就任と同時に報告をいたしたわけでございますが、内容は、こういった統中にいたしましてもそれからいまの統長にいたしましても、情勢分析を主体にして、そして後の各幕の作業の参考にするというような内容でございまして、いま私が申し上げましたような趣旨の分析をしておる、こういう内容でございます。
  59. 上原康助

    上原分科員 それは、ごまかしては困りますよ。じゃその内容は、あれですか、統長も統中についても内容防衛庁長官にも明らかにされていないということですか。はっきりさせてください。
  60. 塩田章

    ○塩田政府委員 統中も統長もいずれも長官に御報告申し上げてあります。
  61. 上原康助

    上原分科員 だったら、長官が答弁できないのはおかしいじゃないですか。それでシビリアンコントロールと言えるんですか。全く制服の意思だけでこういうものが計画されているんじゃないですか。しかも「防衛庁長官は、これらを参考として、必要があると認める場合には、国防会議に対して「大綱」の見直し等を提案することとなる。その意味で統中は、「大綱」の見直し、ないし修正と深い関係があるといえる。」、これは「防衛ハンドブック」にさえ書いてある。だから、私がさっき冒頭にお尋ねしましたように、昨年すでにこの統中が見直しをされているということであるならば、防衛計画大綱はなし崩しにされているということが、それからでも明らかになるんじゃないですか。しかも防衛庁長官はそれを知ってない。それでシビリアンコントロールができるのですか、本当に。
  62. 塩田章

    ○塩田政府委員 統中の作成目的といたしまして、いま御指摘のような、情勢に重大な変化が生じた場合、新たな防衛力の体制に移行し得るための諸問題、特に統合運用の見地から、対象期間における防衛力の整備の基本構想と書いてございますが、昨年の見直しにおきまして、いま先生が御指摘のような「防衛計画の大綱」を見直すようなそういう作業はいたしておりません。
  63. 上原康助

    上原分科員 みんなそういうすりかえ論で防衛論議をやるから困る。これは長官、大事なことですよ。あなた、防衛庁長官になって男子の本懐なんて喜んでいる場合じゃないです。そういう重要なわが国の防衛戦略のかかわりの問題、重要な防衛構想を制服だけが独走してつくって報告して、それに基づいて中業ができてくる、ひとり歩きしている、そんなでたらめな防衛政策なんて一体ありますか。だから、この素案は、いまおっしゃったように陸海空の三自衛隊幕僚幹部がつくったわけでしょう。これこそまさに——制服がつくればそれはやはりいいのを欲しがりますよ。そのためにシビリアンコントロールというものがあるわけでしょう。まさに、こういう中期業務見積もりとか重要な防衛政策に対しては、制服じゃなくして皆さん方内局でつくって、そして制服と調整をするというように、順序が逆じゃないとだめなんだよ。これについてはどうお考えですか。
  64. 塩田章

    ○塩田政府委員 現在中期業務見積もりにつきましては、各幕でそれぞれ、幕の構想に基づきまして考え方を示しました内容を私どもの方に示してきております。それを、私どもは別に素案とは考えておるわけではございません、各幕の考え方をそこに示してあります。いまから私どもがそれに対しまして調整をいたしまして、今後の作成作業を進めていくということでございまして、私ども内局の関与、タッチといいますか、それは十分発揮いたし得る。また、いたしておるというふうに申し上げられると思います。
  65. 上原康助

    上原分科員 それは素案だとは見ていない、内局でこれからやっていくのだということですが、しかし、すでに大きく報道され、国民はそういうふうに思っておりますよ。  じゃ各幕がつくった素案の内容はどうなっていますか。主要な点、装備内容を明らかにしてください。
  66. 塩田章

    ○塩田政府委員 いま申し上げましたように素案でもございませんし、各幕と私どもがいまから調整をやるという段階でございますので、これをいまこの段階で、どういう内容であるということを御報告することは差し控えさせていただきたいと思います。
  67. 上原康助

    上原分科員 冗談じゃないですよ。そんな答弁で納得できますか、あなた。  では、五六中業は、防衛力整備計画の水準に達するためにどういう装備をやろうとしているのか。一般に、新聞にも明らかにされているものさえなぜ国会の場で言えないのですか。はっきりさせてくださいよ。主査、それでは答弁になりませんよ。こんな答弁では、分科会でなければ絶対納得できない。冗談じゃない。
  68. 伊藤宗一郎

    伊藤国務大臣 ただいま防衛局長が述べたとおりの方針でこれから作業を進めるわけでございまして、シビリアンコントロールは守られております。  また、先ほど来報道のお話が出ましたけれども、防衛庁で発表したというものではございません。
  69. 上原康助

    上原分科員 長官、そんなことで時間がたてばいいということではないですよ。  では、五六中業で何をやるのですか。
  70. 塩田章

    ○塩田政府委員 五六中業の作成の基本方針は、「防衛計画の大綱」の水準に到達することをめどとして現在作業を進めておるわけであります。
  71. 上原康助

    上原分科員 あなた、「防衛計画の大綱」には別表もちゃんとあるわけでしょう。なぜそれが説明できないの。これはしかし問題だね。  では、念を押しておきますが、この三自衛隊幕僚監部レベルで固まったと言われるものの内容は言えないわけですか。たとえばF15戦闘機五六中業期間に八十機購入する。P3C対潜哨戒機さらに五十機、潜水艦六隻、新バッジシステム、パトリオットミサイルの導入など、こういうものが計画されているわけでしょう。——されていないのですか。なぜそういうことに対して防衛庁はそんなに秘密主義をとるのか。これはことしの一月段階で各社とも報道しているではありませんか。「総額は十兆円台に 「F15」八十機「P3C」は五十機追加 「五六中業」制服組が素案」一社だけではない。全部出ている。「五六中業、十兆円超す」「P3C四十九機」というのもある。  こういうふうに国民にはどんどん見せびらかしておきながら、なぜ公式の国会の場で、防衛論争を本当に土台に乗せて——果たしてそれが必要最小限度の防衛力整備なのか。現在のように国の財政が非常に硬直した段階で、果たしてこれだけの高い品物を購入しなければいけないのか。みんな疑問を持っていますよ。それに対してまともに答えようとしないのは一体何ですか。しかも、統長も統中も、防衛庁長官は耳打ちされて、そんなものがあったかなという顔をしていらっしゃる。はっきりさせてください、いまのこと。ばかにするにもほどがある。
  72. 塩田章

    ○塩田政府委員 各幕で固まっているものとおっしゃいましたけれども、各幕では固まっていないのです。各幕から私どもの方に案を、考え方を示してまいりまして、それは事実でございますが、いまから私どもと各幕の間で調整をしながら作業を進めていくわけでございまして、先生おっしゃいますように、固まったものがある、それも公表したものがあるということですけれども、決してそういうものはまだないわけでございます。
  73. 上原康助

    上原分科員 あなた、そうは言ったって、みんなそういうふうに報道もされておって、出ているじゃありませんか。それもおかしいですよ。  では、これが国防会議でゴーサインが出たのはたしか去年の四月二十八日ですね。防白の中にもあるけれども、これにもありますが、およそ一カ年間で案をまとめて国防会議に諮るというのですが、大幅におくれている理由は何ですか。いつまでにまとめるのか。そしてどのくらいの予算がこれにかかるのか。あなた、いま素案はないと言ったが、私がさっき言ったが、F15八十機、P3C五十機、潜水艦六隻、新バッジシステム、パトリオットミサイルの導入、代替、新しくかえる、そういうものは一切五六中業ではやらないと、あなたはここで確約できますか、何もないと言うけれども。はっきりさせてください。これは長官から言ってくださいよ。わが国の防衛の指揮権は首相にあるにしても、実際のシビリアンコントロールをする張本人なんだよ、あなたは。私がいま簡単にお尋ねしたものに対してもてきぱきと答えないというのでは、一体、防衛庁長官勤まるのかい。冗談じゃない。だから制服はどんどん独走していって、勝手な構想をつくる、計画をつくっていく。それが軍事大国への道でなくて何なの、本当に。
  74. 塩田章

    ○塩田政府委員 昨年の四月二十八日に国防会議で決定をいただきまして、おおむね一年間をめどに作業をすると申してまいりまして、いま作業中でございます。特段におくれておるというふうには私ども思っておりませんが、鋭意作業を進めてまいりたいと考えております。  どのくらいの予算がかかるかということでございますが、先ほど来申し上げておりますように目下作業中でございますので、その予算の規模でありますとか、あるいはさらに、先生、潜水艦の数、飛行機の数おっしゃいましたが、いま検討中でございますので、そういった点も公表は差し控えさせていただきたい。いま作業段階の途中の報告は差し控えさせていただきたい。  それから制服が独走ではないかとおっしゃいますが、制服の独走でないためにも私たちがいま調整をやっているわけでございます。その点も御理解いただきたいと思います。
  75. 上原康助

    上原分科員 とても三十分ぐらいではこれはできませんが、あなた、考え方ぐらい明らかにしていいんじゃないですか、そんな逃げの答弁だけせぬで。  それじゃ最後に、五十七年度ベースで一体防衛費の内容がどうなっているかということです。  人件糧食費、正面装備、正面経費ですね、後方経費、どういう分布状況になっているの。——時間がないので私が言うから、当たっているかどうかだけ答えてください。人件糧食費が四六・六%です、多分。正面経費は一九・七%。後方経費が三三・七%。現在これだけいろいろ予算問題あるけれども、そういう面から見ても、正面装備費は一九・七%、あとは大方が物件費なんだ、八〇・三%が。そういう状況の中で、先ほど言ったような正面装備をやるとすると膨大な予算がかかるというのは、これは素人でもわかる。だから、私は冒頭に、計画大綱を変える意思はありませんね、GNPは守れますかと聞いている。この点確認できますね。防衛計画大綱を変えない、五六中業でも。防衛費の対GNP一%も変えない、これを長官答えてください。それと、私がいま示した数字が合っているかどうか。
  76. 矢崎新二

    ○矢崎政府委員 ただいま御指摘になりました人件糧食費、それから正面、後方の構成比、そのとおりでございます。
  77. 伊藤宗一郎

    伊藤国務大臣 いまのところ、防衛計画の大綱の見直しは考えておりません。  対GNPの問題は、先ほどもお答え申し上げましたとおり、現に存在しております閣議決定を念頭に置きながら、大綱の水準の達成が図られますようにぎりぎりの努力をしてまいりたいと考えております。
  78. 上原康助

    上原分科員 重ねてお尋ねしておきますが、もう時間だから終えますが、五六中業期間も防衛計画大綱は変えない、対GNP一%は守ると確約できますか、長官。
  79. 伊藤宗一郎

    伊藤国務大臣 ただいま申し上げたことを繰り返すわけでございますけれども、防衛計画の大綱の水準が一日も早く達成できますように作業を進めてまいりますということと、GNP一%の閣議決定を念頭に置きながら、その水準が達成できますようにぎりぎりの努力を続けてまいりたいということでございます。
  80. 上原康助

    上原分科員 時間ですから、終わります。
  81. 小渕恵三

    小渕主査 これにて上原君の質疑は終了いたしました。  次に、瀬長亀次郎君。     〔主査退席、近藤(元)主査代理着席〕
  82. 瀬長亀次郎

    ○瀬長分科員 最初に長官にお伺いいたしますが、先月の二十七日に、嘉手納基地の近くに読谷村というのがあるのですが、そこでいわゆる宙づり訓練というのをやっておりますが、御承知でしょうか。
  83. 伊藤宗一郎

    伊藤国務大臣 事務当局から報告を受けております。
  84. 瀬長亀次郎

    ○瀬長分科員 この宙づり訓練は基地外で行われておるのですが、現在の安保条約、地位協定から見てどうなんですか。
  85. 伊藤参午

    伊藤(参)政府委員 お答えします。  一月二十七日の午後、先生指摘のように嘉手納弾薬庫地区でヘリコプターの訓練をやっていたわけでございますが、その間、一部場外に出まして、読谷村あるいは嘉手納町の上空を飛行したという事実がございます。これにつきましては、提供していない一般民家の上空を飛んだということで、私どもとしては好ましいことではないと考えております。
  86. 瀬長亀次郎

    ○瀬長分科員 好ましくないだけであって、やったんだから仕方がないという見解ですか。
  87. 伊藤参午

    伊藤(参)政府委員 お答えします。  この件につきましては、直ちに私どもとしても合同委員会の場を通じまして、周辺住民に不安感も与えたということで、今後このような訓練は行わないようにという注意を喚起いたしましたし、米側としましてもそれを了解しまして、この種の航空機の運用ということについては、今後行わないように確約しております。
  88. 瀬長亀次郎

    ○瀬長分科員 この訓練はどういう訓練なんですか。
  89. 伊藤参午

    伊藤(参)政府委員 お答えします。  米軍訓練内容でございますから、私どもとして、その訓練の基準であるとか、あるいはいかなる訓練目的で行われたかということを把握しておりませんが、現象的に申し上げますれば、ヘリコプターに連結したロープに同時に多数といいますか、十名程度の兵員が昇降訓練を行っておりますので、ヘリコプターによる緊急救難活動といったようなときに、複数の人間を同時に救難するといったような訓練内容かと思っております。
  90. 瀬長亀次郎

    ○瀬長分科員 こういったような認識では、かかる訓練はやめさせるという姿勢は出てこないんですね。この訓練は、もうあなた方は御承知だと思うのですが、決して、在日米軍も知らなかった、現地米軍がやったんだというふうな簡単なものじゃないのですね。  これは八三年度米軍事情勢報告の中で、骨組みは、即戦即応態勢、次が特殊作戦部隊、次が戦域核戦力、この三つの項目に分かれた中で、特殊作戦部隊の項は「現在の特殊作戦部隊の戦力水準は、今日ならびに八〇年代の残る期間の要請からみれば、はなはだ低いものである。この危機的な不足を補うために、特殊作戦部隊の意識的な拡張が必要である。」こういったようなことが報告の中にもあるのですね。それで、この特殊作戦部隊のいまの読谷のあれは何か。都市ゲリラの訓練ですよ。これは私の想像ではないのですよ。  これはパシフィック・スターズ・アンド・ストライプス、この中でこう書かれているのですよ。これはMPを訓練するものです。   最近トリイ通信施設の憲兵隊は四人の隊員を嘉手納空軍基地へ緊急戦闘隊の特殊訓練学校へ派遣した。   このコースは、非常事態、例えば米軍施設へのテロリストの攻撃などに対しMPを訓練するものになっている。   ミカエル・メイソン軍曹と特殊四部(SPec・4) と書いてありますね。  アンジェロ・カーメロ、リッキー・ボウルス、そしてロナルド・フーバーは、四週間訓練計画に参加することを志願した。   クラスは土曜日も含め毎日朝五時三十分から兵器問題にはじまり、又ランニングもたっぷりやられた。   この訓練中、彼らは毎日平均して十二マイル走った。   このクラスは一日中続いて午後五時半から六時頃に終了した。   一ヶ月間にわたり四七以上もの異なる特殊作戦の授業を授けた。   この授業はゲリラ戦、ロープ技術、ヘリコプター・ラベリング これはヘリからの宙づりです。  (ヘリからの宙づり)のような訓練を含むものである。   授業のいくつかのものは特に危険なものであった。まずい時のまずい動きや、あるいはロープのゆるい結びなどは重傷や死亡を引き起こすことにもなり得た。   特別訓練で、彼らが最も満きつしたものは何だったかと聞かれて、 こう答えている。  四隊員とも全員ビル越え(クリアラング・ビルディング)とうペリング(宙づり)だと口をそろえた。 これが一番スリルがあったということ。  この訓練は、本当に計画された都市ゲリラの訓練なんです。この認識がないと、あなた方はこれはやめると言ったって、やめませんよ。これはもう計画的に、軍事報告に基づいて、現地で、嘉手納基地で特殊学校が設定された。これもちゃんと書いてある。これは原文なんですよ、沖縄の。そういった面で、いまお聞きになっておわかりだと思いますが、時間の関係がありますので、長官、このようなことがいま行われている、しかも、読谷村の村民の上空で、都市ゲリラ、そういったようなことで、まさに沖縄県民は、日本国民は都市ゲリラの対象にされている。この現実をつかんで、初めてアメリカにこんなのやめろということが言えるわけなんですよ。しかも基地外なんですよ。時間がないから、長官答えてください。
  91. 伊藤宗一郎

    伊藤国務大臣 先生指摘のとおり、このような訓練によりまして関係の住民に不安感を与えたことはまことに遺憾でございまして、防衛庁におきましても、直ちに在日米軍に対して注意を喚起したところでございますけれども、なお一層注意を喚起して善処してまいりたいと思います。
  92. 瀬長亀次郎

    ○瀬長分科員 長官、この問題は安保条約を認める、認めぬという問題じゃないのですよ。現実に、安保条約、地位協定に基づいて基地が置かれた、その基地をはみ出して、まさにアメリカの国防報告に記されておるような特殊訓練、この特殊訓練をする学校すらあの嘉手納基地に持っているのですよ。これは知りませんじゃ国防長官としては信頼を受けられるような長官とは言えない。私が一番いま気にしているのは、この基地からの恐怖なんですよ。これは怒りになってくる。県民が都市ゲリラ——以前のベトナム、あれはジャングルでゲリラ戦をやっていた。今度は都市だ。中東方面をねらって。そういったような訓練がまさにいま沖縄の基地でも一番重要と言われている嘉手納基地内で行われている。こういったような認識がなければ、長官、アメリカにもうこれ以上やらぬようにしろと言ってみたところで問題は解決しないのですね。何かありますか。
  93. 吉野実

    吉野(実)政府委員 米軍に対してわれわれの方としては基地を提供しております。それで、米軍訓練のしさいについてわれわれは承知する立場ではありませんが、本件訓練が基地の外で宙づりをやった、これは地位協定との関係も考えて好ましいことではない、そういうことではっきりと申し入れを行いまして、在沖縄の最高司令官が、もうこの訓練は申しわけなかったからやめるということをはっきり言っておりますから、ストップになったことは事実であります。
  94. 瀬長亀次郎

    ○瀬長分科員 これをいつやめると言っていたんですか。こういった訓練をやらないと。
  95. 伊藤参午

    伊藤(参)政府委員 この件につきまして米側が意思表示をしましたのは、今年の一月三十日に在沖米軍沖縄事務所長というところから沖縄県渉外部にございましたし、それから合同委員会の場におきましては、二月二日に私どもの方として自今このような訓練が基地を外れて民家等の上空で行われることがないようにという申し入れをいたしまして、そのときに今後基地外においてこのような訓練をすることはないというように米側から確約をとっております。
  96. 瀬長亀次郎

    ○瀬長分科員 いま言ったような沖縄県民が都市ゲリラに見立てられてスリルを満喫したといったようなことまで言うに至っては、これは大変なことですよ。宙づりになっておるのですね。長官、見たことありますか。ちょっと写真を見てください。これは、この訓練だけじゃなしに、ヘリコプターの操縦士の訓練でもあるんだな。もう大変な訓練なんです。したがって、これは絶対ないように重ねてアメリカに申し入れて、もう本当に二度と起こらないと——二度と起こらないとよう言いますが、ときどき起こすのですよ。二度も、三度も、四度も、五度も。  さて次はB52の問題です。B52はアメリカの核戦略爆撃機だということは長官御承知だと思います。ところで、このB52と共同訓練をやる。この共同訓練をやるということを去年生田目航空幕僚長ですか言いましたが、これはB52との共同訓練はやるのですか、やらないのですか。
  97. 石崎昭

    ○石崎政府委員 B52との訓練は、国会でも申し上げたとおり、やりたいと思っていま計画しているところでございます。
  98. 瀬長亀次郎

    ○瀬長分科員 B52がD型からG型にかわる、すなわち核ミサイル装備をするGにかわる場合でも、やるつもりなんですか。
  99. 石崎昭

    ○石崎政府委員 いま私どもがやりたいと思っているB52との訓練は、B52のどのタイプということは考えておりません。どういうタイプになるか、それはアメリカ側の都合で決まると思いますが、いずれにしてもB52とはやりたい、こういうことでございます。
  100. 瀬長亀次郎

    ○瀬長分科員 私が聞いておりますのは、これも「星条旗」の中に書いてありますが、この中でスタンレー・ペック第三航空司令官、これは少将なんですが、これとのインタビューを載せておりますが、この司令官は、アンダーソン基地にあるB52D型は、すでに米国防総省によってスクラップされ、巡航ミサイル搭載可能な新しい型に置きかえられることになっている、そして、われわれとしては恐らくD型をG型と取りかえることになろう、とはっきり言っていますね。G型というのは、あなた、いま言っているように、巡航ミサイル搭載可能なものなんです。これとやる場合に一体どうなるかという問題が一つ。  もう一つは、台風を名目にしてときどき嘉手納基地にアンダーソン基地からやってきます。しかもKC135給油機、これも伴って。もう実に危険きわまりないと思う。これはいわゆる非核三原則にも触れる。この場合、まず演習から、いま形はわからぬがB52とやると言いましたが、私の聞いておるのは、いま申し上げました巡航ミサイル搭載可能のG型、これとやるかどうか、やる場合、どういった共同訓練をやるか、これを答えてください。
  101. 石崎昭

    ○石崎政府委員 まず、どういった訓練をやるかという訓練内容から申し上げますと、いま私どもがB52とやろうと思っている目的は電子戦の訓練でございます。現代の空中の戦いで電子戦というのはきわめて重要な戦いになっておりまして、早い話が、迎え撃つために上がっていった戦闘機が、相手の飛行機から電子妨害の電波を出されまして、わが方のレーダーが真っ白になって全然見えなくなり、めくらになってしまった場合には、その飛行機は撃ち落とされてしまうということになるわけでございまして、したがって、わが国を防衛するため、また、国民から預かっている貴重な隊員と貴重な航空機を守るため、そういう電子戦に負けるということは絶対にあってはならぬと私どもは思っているわけでございます。そのためには電子戦に習熟しておく必要がある。そのためには、電子戦で優秀な能力を持った相手にいわば胸をかしてもらって、そういう訓練を数多く重ねておく必要がある。これがB52との訓練の目的でございます。したがって、いまやろうと思っております訓練は、B52の持っている優秀な電子妨害能力、いわゆるECMと呼ばれる能力でありますが、B52はこれが優秀でありますので、この能力をB52に発揮してもらって、胸をかりて、そういう電子妨害に耐えながら戦闘が続けられるような訓練をやりたい、これが目的でございます。したがって、B52の持っているいろいろな能力のうち、ECM能力というものに着目してやろうと思っているのが私どもの訓練の目的でございます。
  102. 瀬長亀次郎

    ○瀬長分科員 私の聞いておるのは、G型にかわるいわゆる巡航ミサイル、核搭載機、これにかわってもやるか、Gとやるかどうかという問題なんです。長官、どうですか。
  103. 伊藤宗一郎

    伊藤国務大臣 いま訓練内容については、政府委員から申し上げましたけれども、今回やろうとしております検討しておる訓練につきましては、非核三原則はわが国の確立された政策でございますので、この政策の範囲内で行いますことは当然でございます。
  104. 瀬長亀次郎

    ○瀬長分科員 この政策の範囲内だということになりますと、巡航ミサイル搭載機のG型とは共同訓練はやれないという結論になるのじゃないですか。どうなんですか。簡単にひとつ。
  105. 石崎昭

    ○石崎政府委員 先ほども申し上げましたとおり、B52の持っているいろいろな能力のうち、ECM能力をわれわれは利用して訓練をやりたい、こういうことでございます。
  106. 瀬長亀次郎

    ○瀬長分科員 それじゃ、いわゆる巡航ミサイル搭載機のB52G型とも共同訓練をやるというふうに長官は考えておられますか。一言、言ってください。
  107. 伊藤宗一郎

    伊藤国務大臣 先ほどもお答え申し上げましたとおり、非核三原則というわが国の政策の範囲内で行うということは重ねて申し上げておきたいと思います。
  108. 瀬長亀次郎

    ○瀬長分科員 どうも長官、言うのを繰り返しましたが、同じようなことなんでしょう。特に核問題がいま重要になっているでしょう。限定核戦争という問題など、核の問題はもう常識でしょう。戦略核、それはB52でしょう。それからいわゆるトライデント潜水艦それからICBM、これは戦略核でしょう。これを装備したのがやってくる場合に、一体どこでやるか、想像すると恐ろしくなるのです。  もう一つ、これをお聞きしましょう。沖縄にいままではD型がやってきた。台風だなんて言って、吹いているのか吹いていないのか、わけのわからぬようなときにもやってくる。この場合、G型が沖縄の嘉手納基地にやってきたとき、これはどうしますか、長官。
  109. 加藤良三

    加藤説明員 あらゆる核兵器のわが国領域内への持ち込みは事前協議の対象となるわけでございますから、私どもとしては非核三原則を踏まえて、この事前協議に対し核の持ち込みの場合はノーと言う、こういうことになります。
  110. 瀬長亀次郎

    ○瀬長分科員 最後に、長官からはっきり言ってもらいたいのは、巡航核ミサイル積載可能のG型が、アンダーソン基地はDをGにかえるとはっきり米軍が証言しているのだ。これがやってくるのですよ、Dとかわって。その場合にこれが日本の領土に来るのです。何日おるかわからぬ。五日おるか、三日おるか。この場合、当然アメリカとしては、この飛行機は核は積載しておりませんとかは言わぬはずだ。それは言いませんよ。アメリカはあるともないとも言わないのが国策だと言っておりますから。これは事前協議になる。事実上そういった場合に、G型が避難であれ何であれ来た場合には当然非核三原則に反する、これは長官おわかりだと思う。その場合にどういうふうに判定するのか。アメリカはG型ではあるが別に核は積載しておらぬとか、いるとかは言わぬでしょう。それは言いません。言わないのが国策だというんだから。どういう判定で、どういうふうな考え方に基づいて、G型になってもアンダーソン基地から嘉手納基地に寄港するということを拒否するのですか。どういう基準に基づいてやりますか。
  111. 加藤良三

    加藤説明員 B52のG型でありましょうと、他の型でございましょうと、核搭載の場合、その核のわが国領域内への持ち込みは事前協議の対象となるわけでございます。
  112. 瀬長亀次郎

    ○瀬長分科員 事前協議の対象には、それは当然ですよ。いままでやってきたD型、これは相手は台風で非常に困っているから人道上許さぬといかぬとかいって認めていた。ところが、今度の場合G型が来るのです。この場合にどうするかを私は聞いている。その場合、事前協議制があるからその範囲でやるというふうなことですが、もしこれがG型になって来た場合、次第次第に全日本アメリカの核持ち込みを許す突破口をいまG型でつくり上げようとしている、こういうふうに推測しても、これは私だけの推測じゃないと思うんですよ。事実上G型がやってきて二日でも三日でもやると核持ち込みになる。この点をはっきり長官の最後の御意見を私は承りたいと思いますが、いかがですか。
  113. 伊藤宗一郎

    伊藤国務大臣 先ほど来再三政府委員から申し上げておりますとおり、どんな形でありましょうと、核の持ち込みにつきましては事前協議の対象になりますので、協議がありましたときには拒否をいたすことでありますので、御理解を賜りたいと思います。
  114. 瀬長亀次郎

    ○瀬長分科員 共同訓練の場合といい、さらに嘉手納基地へのB52の発着といい、これは現時点の限定核戦争を想定する中で非常に重大だと私は思っているからこそこの質問をしたわけですが、私、重ねて申し上げますが、B52との共同訓練というのは一体どうなるだろうかという、普通の人じゃわからぬですよ。台風避難のために基地に来ますね。それでB52というのは戦略爆撃機ですから、あれと共同訓練をするのではなくて、実際は核戦略爆撃機B52の護衛の任務を帯びておるということを言って間違いじゃないんじゃないですか。B52はいつでもどこでも飛んで歩くものじゃないんでしょう。F15とかF4とか、ああいったものとは違うんですよ。これと一体どういう形でやるのですか。まさか台風で避難する場合には共同訓練はできぬでしょう。それで普通の場合にはあれは戦略爆撃機ですからね。そういった共同訓練をやるためにB52が日本の空域にやってくるのですか、どうなんですか。
  115. 石崎昭

    ○石崎政府委員 たびたび申し上げておりますとおり、B52との訓練の目的は、電子戦に習熟するということが目的であります。したがって、B52を護衛する訓練なんということは、われわれは毛頭考えておりません。電子戦の習熟ということに関して、B52が持っている能力をかりてやるんだということは先ほど申し上げたとおりでございますが、B52の持っているその他の能力、どういうものが積めるとか足が長いとか、そういったその他の能力については、今度やろうと思っております訓練は全然考慮に入れておりません。そういう問題については、外務省からも御説明がありましたとおり、非核三原則というわが国の政策にわれわれは厳格に従って訓練をやるつもりでありますし、その場合にどう対応するかということは最初からもう決まっておりますので、何遍も申し上げますとおり、きわめて目的は限られた訓練をやるのである、したがって護衛というようなことは一切ない、こういうことでございます。
  116. 瀬長亀次郎

    ○瀬長分科員 時間が来ましたのでやめますが、私がいま申し上げましたのは、まさに嘉手納基地、沖縄基地は、特に緊急展開部隊とも関連して、中東をねらってのアメリカの大きい核戦争の基地になって特殊訓練、しかも都市ゲリラ、さらにB52のG型、これがやってくる。これとまた共同訓練をやる。まさに危険な道をいま自民党政府は進みつつあるということを指摘し、こういったことがないように、中止するように求めて、私の質問を終わります。
  117. 近藤元次

    近藤(元)主査代理 これにて瀬長亀次郎君の質疑は終了いたしました。  次に、部谷孝之君。
  118. 部谷孝之

    部谷分科員 私は、米軍岩国基地の沖合い移設の問題につきまして、順次お尋ねをしてまいりたいと思います。  まず、米軍岩国基地の位置づけと役割りについてでありますが、実は昨年、岩国基地の位置づけにつきまして、同じ第一分科会質問を行いました。そのとき当時の大村長官の方から、わが国及び極東の平和と安全のために重要な役割りを担っており、基地の安定的な使用を図りたいという抽象的な御答弁があったわけでありますが、その後岩国基地には、御承知のように海兵航空団第一兵器部隊が存在することが判明をいたしまして、岩国市民はもちろん、山口県民はかつてない大きな衝撃を受けまして、核兵器の存在をめぐる新たな疑惑と不安が大きく広がったのであります。  次いでまた、去年の暮れごろから、いままでかつてなかったような特別訓練が実施されております。すなわち、昨年の十一月十七日から二十日まで、七十二時間の終日訓練を実施いたしました。目的や内容につきましては明らかにされておりませんが、ここ数年来、緊急事態発生以外に終日訓練をしたことはありません。地元は、日米間の申し合わせでは、原則といたしまして午後十時から午前七時までの飛行訓練を行わないというふうになっております。また、その一カ月後、十二月二十日から二十四時間業務体制に入ったのでありますが、これは二十二日まで三日間続きました。これはポーランド情勢の緊迫に伴いまして、同じ日に緊急出港いたしました米第七艦隊の空母ミッドウェー、これに連結したと見られておるわけであります。参考までに、この間、岩国基地の滑走路の南約一キロのところに騒音測定器が設置されておりますが、大体七十ホン以上が十一回、百ホン以上が四回というふうな記録が示されております。また、本年の二月七日から十日までの間に岩国基地を中心とするミッドウェー艦載機との合同訓練が行われました。  このように岩国基地における米軍の機能、活動というものは最近とみに活発化いたしておりますが、この際改めて岩国基地がわが国と極東の安全にとってどのような位置づけと役割りを分担しておるのか、防衛庁長官からまず具体的に御答弁をいただきたいと思います。
  119. 伊藤宗一郎

    伊藤国務大臣 先生の御質問の中にも若干触れられておりましたけれども、岩国基地には、海上自衛隊については周辺海域の防衛及び警備並びに航空救難等を任務とする第三一航空群及び対潜飛行艇PS1の運用に関する調査研究等を任務とする第五一航空隊岩国航空分遺隊が所在しております。また米軍につきましては、米第一海兵航空団麾下の航空機による戦闘攻撃及び偵察を任務とする第一二海兵航空群、第一五海兵航空群及びこれらの部隊整備、補給等に支援を行う第一七海兵航空団支援群等が所在をしております。岩国基地に所在をしております海上自衛隊部隊は、もとよりわが国の防衛に任ずるものでございます。また、米国の岩国駐留部隊はわが国の安全に寄与し、並びに極東における国際の平和と安全の維持に寄与するものでございます。したがって、わが国及び極東の平和と安全のために重要な役割りを担っているものと考えております。
  120. 部谷孝之

    部谷分科員 ただいまの御答弁は、去年の三月三日に同じことを大村長官が御答弁になっておるのでありまして、それから一年たちまして、いま私が申し上げますようにMWWU1の問題だとか、あるいはとみに夜間訓練といいますか、協定の時間外の発着訓練が行われ、さらにそのことはまたポーランドのそうした世界情勢等々、いろいろなそういうもの等のかかわりが十分想像される。そういうふうにここ半年ばかりの間、非常にそうした動きが激しくなってきておるわけでございまして、そういう中で、この岩国基地の位置づけ、あるいはそうした活動の範囲、そういうものはどういうふうになっておるのかということをお尋ねしたわけでございますが、どうですか、もう一度御答弁願えませんか。
  121. 新井弘一

    ○新井政府委員 ただいま防衛庁長官から具体的に御説明いたしましたように、岩国における米軍海兵隊でございますけれども、わが国の防衛及び極東における平和と安全に寄与している、そのように私どもも考えております。
  122. 部谷孝之

    部谷分科員 私の質問に答えていただきたいので、それでは私の質問に対する答弁になっていないのですよ。しかし、限られた時間ですから、次に進んでいきたいと思います。  第二番目は、岩国基地所属航空機の墜落事故についてであります。  御承知のように、岩国基地は、市のちょうど中央部に位置をいたしておりまして、市街化区域の面積の約二四%、四分の一を占めております。住宅密集地域あるいは石油コンビナート等化学工業地帯に隣接をいたしておりまして、また基地周辺においては、昭和二十三年以降現在までに五十三件に上る航空機の墜落、模擬爆弾の投下などの事故が発生をいたしております。住民の生命、財産に対する不安並びに航空機騒音による日常生活上の障害、こうした深刻な問題を生じております。特に昨年から岩国基地所属の航空機の墜落事故が連続的に発生をいたしまして、地域住民に大きな不安を抱かせております。  昨年の四月十四日には、岩国基地所属のA4Mスカイホークが遠く沖縄県の嘉手納基地の北東約二十四キロの海上で墜落をいたしております。また五十六年の九月九日に広島県の双三郡作木村というところの山の中で、これもA4Mのスカイホーク、これが墜落をいたして火災を起こしております。五十六年の十一月五日には山口県大島郡大島町の沖合い約一キロの海上で、これもA4Mのスカイホークが墜落をいたしております。ことしに入りまして五十七年二月四日、岩国基地南方約十キロの海上、これはA6のイントルーダー、これが墜落をいたしております。燃料タンクの落下したものは昨年の七月二日、これはファントムが、これも岩国基地沖合いで落下しておる。一年間とってみましても、こういうふうな四件の墜落、それから一件の落下事故、こういうものを次次とやっておるわけでありますが、こうした事故の発生原因につきまして、政府はどのように考えておられるのか、米軍に対して航空機の安全確保対策についてどのような対応をされたか、この点御答弁を願いたいと思います。
  123. 森山武

    森山政府委員 ただいま先生の御指摘のとおり、五十六年及び五十七年に入りまして、航空機の墜落事故が多発したと私どもも考えております。米軍には、常日ごろ機会あるごとに安全対策については申し入れておりますが、今回のように多発しますと、まさにいま御説明があったような重要な岩国基地の使用にも支障が生ずるということで、徹底した原因追及ということを私どもも申し入れてございます。  ただ、先生の御指摘になりました嘉手納飛行場沖の原因につきましては、エンジントラブルによるエンジン停止ということが発表されておりますが、あとの三件については米軍調査中でございまして、原因はまだわかっておりません。いずれにせよ、周辺住民の安全対策と同時に、基地の安定的使用のためにも、安全対策というものを徹底してやってほしいと申し入れておるところでございます。
  124. 部谷孝之

    部谷分科員 それで、米軍に対する安全確保対策についてどのような対応をされたか。外務大臣の方で何か申し入れをされたというふうに聞いておるんですが、外務省の方見えていますか。
  125. 加藤良三

    加藤説明員 外務省といたしましては、日ごろから安全管理、安全対策というものに対して米軍において最大限の配慮を払うよう、合同委員会の場でございますとか、あるいは通常の外交ルートを通じてでございますとか、折に触れて申し入れをいたしました。また、今後とも引き続き米軍に対して最大限の安全上の考慮を払うよう要請し続けてまいりたいと考えております。
  126. 部谷孝之

    部谷分科員 ことしの二月十二日にその事故がありました後で、県知事と岩国市長から外務大臣に対して要望書を出しておりますね。これを読んでみますと、貴職——外務大臣ですね、「貴職よりも日米合同委員会等において、安全飛行に対する乗員の教育、特に徹底した航空機整備点検など事故再発防止のための抜本的な航空機安全確保対策を講ずるよう厳重に申し入れ、かかることのないよう強く要請していただきますようお願いします。」こういう要望書が出してあるんですが、これに対する御回答はどうなんでしょうか。
  127. 加藤良三

    加藤説明員 御指摘の要望書等を含めまして、外務省といたしましては、安全保障条約それから地位協定、こういうものの円滑かつ安定的な運用を図っていくということのためには、関係地元の住民の要請、それから米軍側における駐留目的達成上の必要性との調整を図って、施設、区域の存在や米軍の活動に伴って住民の皆様の生活に及ぶ影響を最小限に食いとめることが非常に重要である、こういう認識を持っております。こういう認識に基づいて適切な処理を進めていくという姿勢をとっておるわけでございます。
  128. 部谷孝之

    部谷分科員 どうもきょうは私の質問に対する御答弁がいただけないのですが、時間が時間で結論に至らなければなりませんので、いまの問題についてはこの辺でやめます。  次は、岩国基地の運用の実態についてでありますが、岩国基地の離着陸コースの下には、近代的な化学工業地帯あるいは高い煙突等の障害物、こういうものがあります。航空機の墜落等の場合には大惨事になる危険性があるところから、航空機が離着陸する場合、これらの工場群上空の通過を避けるために、海上に向かって急激な旋回上昇を余儀なくされておりますが、そのために生ずる騒音はほかの基地では見られないほど大きいものがあります。さらに、この急激な旋回上昇は、パイロットに無理な飛行を強いることになりまして、このことがまた墜落事故の危険につながっておる、こういうふうに言われておるわけであります。また、これまでの航空機墜落事故は多くは基地周辺の海上において発生いたしておりますが、この海上は漁船の操業、船舶の航行、こういうものがきわめて頻繁な海域でありまして、陸上と同じような惨事を起こす危険性が高いわけであります。このような岩国基地の運用の現況及び墜落の危険性について長官はどのように考えておられるのか、御見解を伺いたいと思います。
  129. 伊藤参午

    伊藤(参)政府委員 お答えいたします。  岩国飛行場の周辺地域の状況につきまして、特に先生がいま御指摘になりました北側における工場群といったようなものが実在し、かなり高い煙突であるとかそういったものが存在することも事実でございます。これに対しまして、米軍航空機運用としまして、いま先生指摘のように、そういった工場上空等をなるべく避けた飛行運用をやっております。もちろん航空機の運用でございますから、決して危険な限度においてそういった運用を強いるということはやっていないと思いますので、現象的としましては、現在のところ、その運用で岩国飛行場の北へ向けての離陸といった運用が可能になっていると私ども理解しております。先生指摘の安全に対する不安であるとかあるいは運用に対する危険性というものは、米軍としても十分留意の上行っているものと承知しております。
  130. 部谷孝之

    部谷分科員 もう一度ここで繰り返すのもどうかと思いますけれども、最後の結論を申します前にいまのことをもう一度じっくりお話ししておきませんと、どうも十分御理解がいただけないような気がいたしますので、もう一度状況をひとつお話ししてみたいと思います。  あの地区は、御承知のように大体北風であります。したがって北へ向かって発進をいたします。発進した直下に帝人があります。その先に山陽国策パルプ、その先に三井石油化学と興亜石油、その間はいわゆるタンカーの停泊地、こういうふうになっておりますね。くるっと旋回して南へ参りますと、東洋紡、旭化成、こういうふうな工場群がずらっとあるわけです。そこで、いま申しましたようなそういう危険な地域であるから、なるべく早く右旋回をしようといたします。この一月十五日にアメリカのフロリダ航空の飛行機がワシントンで墜落をいたしました。あのときの原因も、発進する飛行機が民家を避けてポトマック川に沿って飛行するために早く旋回をする、そういうことをやっておることが非常に大きな原因であるということを指摘されておるわけでございまして、あのポトマックと同じような状態が毎日岩国では繰り返されておるわけでありますから、そういう認識をまずしっかりしていただかなければならない、このように思うわけでございます。  もう一つは、工場群の中には塩素ガスがあります。もしこの塩素ガスの構造物の上に何らかの落下物が起こりますと大変な惨禍であります。いま岩国は大体十一万人口がおりますけれども、いろいろな調査によりますと、その塩素ガスの構造物に落下物が起きたならば、大体七万人の市民が避難しなければならない、こういうふうな状態、まさに火薬庫の中に市民は住んでおるという状態にあることをひとつしっかりと認識していただかなければならない、このように思うわけでございます。  これもこの前申しましたが、私ごとで恐縮ですが、私は旭化成の工場の中に小さな工場を持っておる中小企業者の一人なのです。五十一年のときは、ちょうど私の会社の百メートル沖で落下いたしました。そのときは大変米軍のパイロットがベテランでありまして、工場群あるいはそれを突き抜けますと今度は市街地へ入るわけですが、それを阻止するためにみずからは生命を失いながら海中へ沈んでいった、こういう事件が実は五十一年にあったわけでございまして、もしそれがそのまま百メートル陸の方へ突っ込んでおれば、私は、うちの会社の従業員の合同葬儀委員長をやらなければならなかったかもしれないという、実は私にとっても大変切実な問題であります。しかも、それからちょうど五年たって、ことしの二月に、またその少し沖ですけれども墜落したということが繰り返されておりまして、皆さんのそうしたペーパーの上の観念でいろいろな御議論をいただくことは大変残念だ、私はこういうふうに言わなければならないと思います。  時間が大分切迫をしてまいりましたので、最後質問に移りたいと思いますが、去る一月の二十日、平河町の砂防会館におきまして、地元関係者約一千五百人が参集いたしまして岩国基地沖合移設促進大会が開催され、基地に起因する諸問題に悩み続けてきた地域住民の過去十数年にわたる切実な悲願といたしまして、次の三項目について関係方面に強く要請をいたしております。  その一つは、現在行われております経済的移設にかかわる調査、この結論が昭和五十七年度の早い時期に出されること。出していただきたい。第二番目に、昭和五十八年度予算の概算要求時に間に合うように政府の方針の決定をしていただきたいこと。さらにまた第三番目に、昭和五十八年度から事業の実施を前提とした本調査に着手していただきたいこと。こうした、大きく言って三つの要請がなされたわけであります。  われわれ民社党といたしましても、従前から岩国基地の沖合い移設につきましては、地域における諸問題の解決と国防上の見地から促進を図ってきたところであります。また、去る二月初めに、わが党の防衛問題対策特別委員会の中に岩国基地沖合移設に関する小委員会を設置いたしまして、今後この問題と取り組む、こういうことにいまなっておるわけでございます。  そこで、お尋ねの第一点は、昭和五十五年度から実施されております経済的移設に係る調査につきましては、昭和五十六年度でこれが終了いたしまして、この調査は、昭和四十八年度から連続的に進められた諸調査を総括いたしまして最終的な結論を出されるというふうに伺っております。あと一カ月で五十六年度も終了するわけでございますが、昭和五十六年度の調査内容について調査された内容と、現在恐らく最終の取りまとめに着手しておられると思いますが、その取りまとめはいつごろ完成し、発表されるか、これが第一点。  第二点は、この調査結果に基づきまして、岩国基地の沖合い移設に対して政府として今後いかに対処されるかの問題であります。岩国基地の沖合い移設は、過去十数年来の悲願といたしまして、地域住民はもとより、全県的な盛り上がりの中で超党派的に促進運動が進められてきたものでありまして、政府といたしましても、昭和四十八年以降、二億七千万の調査費を投入いたしまして諸調査が実施されております。わが国の国防上からもぜひとも実現しなければならないものだと考えております。また、地域住民の感情からいたしましても、もうすでに受忍の限度に来ておる。現在実施されております経済的移設に係る調査最後の、唯一の望みを託しておる現状でありまして、調査結果が単なる調査結果として放置されるようなことが万が一にもあるならば、政府として何らの対処措置が講じられなければ、これまで国防という見地から忍びがたきを忍んで協力してきた地域住民は、望みなしとして一転、基地撤去運動に転ずるという、そういうおそれさえ感ずるわけであります。そういう懸念さえあるわけであります。このような実情にかんがみまして、調査結果に基づいて、政府としての方針決定の時期及び昭和五十八年度から事業実施のための本調査、つまり環境アセス、地質調査等の調査に着手されるのかどうか、その点について明解に御答弁をいただきたいと思います。
  131. 吉野実

    吉野(実)政府委員 先生からるる御説明をいただきましたので、私の方から余り重複する必要はないと思うのですが、岩国の飛行場基地につきましては、もう長年にわたりまして沖合い移設の、物理的といいますか技術的なフィージビリティースタディーをやってまいりました。出てきたところが、どうも金がかかり過ぎて経済的ではない、そういうことで、今般は安全とそれから障害の緩和、そういうことを考えまして、しかも、なおかつ経済的にどういう案が考えられるかというので最終調査をしていることは、先生の御指摘のとおりであります。五十六年度の調査結果が出ますし、そのものずばりといいますか、概要については御説明できると思いますし、その調査結果に基づきまして、われわれの方といたしましては関係方面と篤と協議をいたしまして、何らかの結論を出さなければならないと思っております。時期は、当然のことですが、五十八年度の概算要求のところまでに、一応中期的なといいますか結論は出さざるを得ないだろう、こういうふうに思っております。絵がまだできておりませんので、五十八年云々とか概算要求をするかしないかということをいまここで直ちに申し上げられぬのは非常に残念ですけれども、われわれの方といたしましては、まじめに前を向いて対処をいたしたい、こういうふうに考えております。
  132. 部谷孝之

    部谷分科員 誠意をもって……。
  133. 吉野実

    吉野(実)政府委員 おっしゃるとおりであります。
  134. 部谷孝之

    部谷分科員 終わります。
  135. 近藤元次

    近藤(元)主査代理 これにて部谷孝之君の質疑は終了いたしました。  次に、山原健二郎君。
  136. 山原健二郎

    ○山原分科員 最初に、外務省の方にお伺いしますが、昨年十一月九日午後零時二十分から二十五分間にわたりまして、四国の足摺沖七十キロのところで、ワールド・アンバサダー、これは二十三万トンの大型タンカーでありますが、これが、船籍はリベリア船籍、そして川崎汽船の所属で、日本人の乗組員二十七名が乗っておりましたが、宇部から四日市に航行中、米海軍対潜哨戒機P3Cオライオン、これが飛来してまいりまして、二百メートルの超低空飛行で参りまして、最初は信号弾を二発というふうに言っておりましたが、だんだん情勢が変わりまして、十二発発煙筒を投下した、こういう事件が発生をしました。米軍は十二日間、この事実を沈黙をしておったわけでありますが、この件につきまして、当時私は北米局長に対して、直ちに調査をし、そしてその事態についての解決をせよということを申し入れをしたことがありますが、この問題は現在どうなっているのですか。決着がついたのでしょうか。決着がついたとするならば、いつ、どのような形で決着がついたのか、まず伺っておきます。
  137. 加藤良三

    加藤説明員 お答え申し上げます。  先生指摘の件につきましては、米側に累次照会をいたしまして、その結果、昨年十一月の二十日及び二十一日に回答が参りました。  その大要は、当該P3がカリフォルニア州のモフェット基地の飛行隊VP50に所属するものである、それからP3が三沢に一時滞在の後、インド洋に向け飛行したものである、訓練内容は、基礎的技術練度の維持のための定期的ルーチン訓練であった。なお、先生指摘のとおり、非爆発性の発煙筒を計十二個投下いたしました。一つを除いて、いずれもタンカーから一マイル以上離れた地点で投下されましたが、一つにつきましては、タンカーから約四百ヤードの地点に投下されたという事実がある、ちなみに、このタンカーの所在は全くの偶然的なものであった、そして乗組員も、右のいずれの発煙筒もタンカーに危険を及ぼさないという地点と認められた、その上で投下した、こういう回答をしてきたわけでございます。  これに対しまして私どもとしては、米側の通報が速やか、かつ正確になかなか行われなかった点について遺憾の意を表し、さらにこれがタンカー乗組員に非常に大きな不安を与えたということについても遺憾の意を表明し、さらにこの種事件再発防止を強く申し入れるという措置をとったわけでございます。  これに対して米側は、米側として乗組員の皆様に不安の意を与えたことについて遺憾の意を表しますとともに、再発防止に最大限努力するということを申したわけでございます。  さらに、昨年の十二月二十六日、淺尾北米局長より、在京米大使館のクラーク公使を招致いたしまして遺憾の意を表するとともに、重ねて再発防止ということについて万全の配慮方申し入れまして、米側もそれに沿って努力するということを約した、こういう経緯があるわけでございます。  以上の次第でございますので、私どもとしては、本件については一応決着がついたというふうに理解しております。
  138. 山原健二郎

    ○山原分科員 私は納得しません。巨大タンカーですね。二百メートルの超低空飛行で十二発の発煙筒を落とすということ自体が異常な事態です。決着がついた、遺憾の意をこちらとして表明をし、最大限の再発防止についての努力をするというのですけれども、実際なぜタンカーと知りながら発煙筒を十二発も投下したのかということをお聞きになったのか、あるいは、再発防止といいますけれども、それは中身は何なのか、北米局長アメリカ側に対して言いっ放しだということでは解決にならぬわけです。なぜそんなことを言うかといいますと、これは五十一年の三月にも、鉱石運搬船が米軍機によって模擬ロケット弾を撃ち込まれまして、これが命中しているのです。しかも、二十三万トンのタンカーといいますと、これは油をいっぱい積んでおりますから、甲板上には気化した危険なものがあるのです。だから、タンカーの乗組員というのは、靴を履きましても、金は打ってないのです。少しの火花でも出たら大爆発事故を起こすというので、火気厳禁ですね。マッチ一つ、たばこものめないような状態で航行している船に対して、巨大な船なんですね、十二発も発煙筒を落とす。一つは四百ヤードのところ。どうしてそんなことをしたのかということを、これは当然聞かなければならぬことだと思いますが、そういう点は一切明らかになっていません。そういうことは、単に遺憾の意を、向こうが表明したのか、こっちが表明したのかわかりませんけれども、同時に、再発防止については努力をするというだけでこんな問題が決着がつくのかどうか。私は、主権国家としてそういう点については明確にしなければならぬと思うのです。  ことにここは重要な漁場でありますから、漁民の皆さんは、あのときにもし爆発しておったならば、あの周辺の海は油で汚染されるばかりでなく、大惨事になっておったであろうということで、いまだにこの問題についての政府の決着の仕方について、決着したのかどうかも国民は知りませんよ。こういう態度について物すごい疑問を持っているのです。いま私が言いました、なぜこのタンカーをねらったのか、再発防止とは一体どういうことを具体的にやるのか、その点を明らかにしていただきたいのです。
  139. 加藤良三

    加藤説明員 お答え申し上げます。  私どもも米側に対し、先生が御指摘になられましたような点を照会したわけでございます。これに対して、若干先ほどの繰り返しになりますけれども、米側は、これはタンカーをねらったものではない、この訓練内容は基礎的な技術練度を維持するために定期的に行われるルーチンの訓練であった、そして、タンカーがたまたまその訓練実施中にその近傍にいたということは偶然の所産であって、それ以外の何物でもない、ただ、その十二発の発煙筒のうち一発は四百ヤードという非常に近いところに落ちた。これも米側によれば、タンカーの位置を確認した上、安全という判断のもとに投下したということでございますが、私どもといたしましては、それは乗組員の皆様なんかに大変な不安を与えるということでございますので、この点を強く強調してアメリカの再考を求め、このようなことが二度と繰り返されることのないよう強く要請した。米側は、わが方の言い分を入れまして、遺憾の意を表するとともに、再発防止ということについて最大限の努力を払う。すなわち、今後そのような不安を及ぼすような種類の訓練を行わないように最大限の努力をする、こういうことを言ったわけでございます。
  140. 山原健二郎

    ○山原分科員 これでは本当に主権国家らしい解決、決着ではありませんね。たまたまその船がおった。しかもそのP3Cは、三沢を出発してインド洋の方へ行くというその途中ですよ。そこで訓練をやっておった、と。それは後で質問しますけれども、そこにたまたまタンカーがおった、と。タンカーがおったら飛んでいけばいいじゃないですか。それを何でそこで二十五分間にわたって爆撃の訓練をやらなければならぬのですか。冗談じゃないですよ。そういうことについて本当にアメリカに対してこの不当性を難詰をして、どうしてそういうことをやるのだということをやっておかなかったならば、また問題が起こりかねないという問題です。時間の関係で次に進みますけれども、私は、これはここだけでは決着がつきませんから、さらに追及をしていきたいと思っております。  ところが、ここはリマ海域、すなわちいわゆる米軍の水上使用区域として設定されておるわけでございますけれども、沖縄を除きまして、現在日本の周辺の公海ですね、領海じゃなくて公海において三つのアメリカの演習使用区域というのがあるわけです。チャーリー、房総沖です。一つはフォックストロット、これは鹿児島沖です。そして足摺岬沖合いのリマ海域ですね。この問題について、私はちょうど十年前の昭和四十七年から特に外務大臣に対して質問をしてまいりました。内閣委員会におきまして東中議員、四十七年、四十八年、五十年とこの問題で政府の見解を尋ねてきたわけですが、それまでは、政府はリマやチャーリーにつきましては、日米安保条約第六条と地位協定によって米軍に使用区域として与えておるのだということでございましたけれども、それは矛盾がある。これは日本の領海でなく公海上ですから、日米安保条約あるいは地位協定の適用外の問題ですからおかしいじゃないかということで、政府の方も、確かにこれはおかしいということで告示を変えましたね。したがって、チャーリーやあるいはリマ、フォックストロットにつきましては、これは性格が変わっているのです。そして性格が変わりまして、これは大平さんが外務大臣をしておりますときに、「何としても漁業者の利益と航行の安全、訓練の実施というような点に最大限の調和点をどうしたら見出せるかというような点は、確かに御指摘のように大きな問題であろうと思いますので、検討させていただきたいと思います。」また次に、五十年のときの質問に対して宮澤外務大臣は、米側は満足な答えをしておりません、御趣旨ごもっともなことですから、この縮小について今後も努力をしたいと思っております、こう答えております。以来いままで七年が経過しておりますが、外務省はこの点についてアメリカ側に対してどういう交渉を行ってきたか、お答えいただきたい。
  141. 加藤良三

    加藤説明員 御指摘の点につきましては、御案内のとおり、一般国際法上、公海上において演習を行うことは、それが他国による公海の利用を著しく排除するような性質のものでない限りは違法なものとは言えないわけでございまして、そういうものとして容認されているわけでございます。公海の一定水域を海上演習場の一部に指定しておりますのは、わが国が、やはり安保条約の目的にかんがみてその水域における米軍の演習を容認するとともに、演習の行われる区域を確定することによって一般航行の安全を図っているという背景があるわけでございます。  海上演習場の問題につきましては、従来から私どもといたしましては、安保条約の目的遂行、漁民利益の保護の調和を図るということでとにかく努力をしておるわけでございまして、御指摘のリマ水域についても今後ともこの方向に沿って努力していきたいと考えておるわけでございます。
  142. 山原健二郎

    ○山原分科員 航行の安全と通過の安全ですね、そのために区域を公海上に設定をして三十年になります。ところが、いまも現実にワールド・アンバサダー号に対する訓練が行われましたのは、リマのすぐそばなんです。区域の外なんですよね。安全のために区域を設定して、そこで訓練をやるんだということで政府アメリカに対して許容しているのですが、実際に事故が起こっておるのは、五十一年のときの鉱石運搬船に対するロケット弾が撃ち込まれたのもリマの外です。今度のワールド・アンバサダー号に対する訓練もリマのすぐそばなんです。何のために区域をつくったかわけがわからない、こういうことなんですね。リマにおいてどんな演習が行われているか、この数字を米軍自衛隊に分けて、日数その他を簡単に説明していただきたい。
  143. 伊藤参午

    伊藤(参)政府委員 米軍関係について申し上げますと、御承知のように、リマ区域は、月曜日から金曜日までの午前六時から午後六時といったような時間帯は常時制限されております。常時制限されておりますために、制限時間内の射撃演習等についてその都度の通報というものはございませんので、私ども、使用回数等は把握しておりません。なお、土曜日につきましては、射撃演習が行われる場合には十五日前の通報が必要だという規定になっておりますが、昭和五十六年度においては、現在までに土曜日における演習通報が出されたことはございません。
  144. 山原健二郎

    ○山原分科員 私もここへ数字を持ってきておりますけれども、大体百日。この前の答弁によりますと、月十日ないし十一日と言っておりますから、百日を超しております。自衛隊訓練は、去年を調べてみますと、十一月が三回で八日間、十二月が二回で四日間、年間にいたしまして三十八回の九十三日間、これが自衛艦の射撃訓練です。航空機投下訓練が大体年間七十一日間、これが自衛隊の行っておる訓練ですね。そのほかに米軍があるのですが、いまお話しになったように、通報がないからわからぬ。どれだけ使用されておるかわかりません。ところが、常時制限というようなことはどこにもないのです。  リマ海域については、「演習が行なわれる期間中の演習が行なわれる時間(月曜日から金曜日(土曜日に演習が行なわれるときは土曜日)までの間の午前六時から午後六時までの間)中は、操業を禁止する。」「漁船が本区域に立ち入る場合は、すべて自らの危険負担においてこれをなすべきである。」こういうふうに出ておりまして、「演習が行なわれる期間」なんです。その間における月曜日から金曜日まではいかぬと、こうなっている。そうしますと、当然何日から何日まで演習を行うという通報がなければ、まさにこれはいわば常時占拠したかっこうになるわけですね。この規定から見ましても、これは米軍と関連をしての漁業補償の基礎になりますところの漁業制限法、「演習が行なわれる期間」でしょう、その点はどうですか。
  145. 伊藤参午

    伊藤(参)政府委員 先生がただいま御指摘になりましたのは、漁船の操業制限法に基づく告示についての御指摘だと思います。確かにリマ水域につきましては、「演習が行なわれる期間中の演習が行なわれる時間中は、操業を禁止する。」と書いてございます。その中に括弧書きで、特に「月曜日から金曜日(土曜日に演習が行なわれるときは土曜日)までの間の午前六時から午後六時までの間)」、すなわち、これがここで言う「演習が行なわれる期間」でございます。  ちなみに、「土曜日に演習が行なわれるときは、水路通報により通報される。」ということが付記してございますが、他の水域におきまして「演習が行なわれる期間中の演習が行なわれる時間」であって、特にいまリマ水域において記入されておりますような月曜日から金曜日までという規定がない場合には、演習が行われる期間については水路通報により通報するということになっておりますので、私どもとしましては、この告示でもって、月曜日から金曜日までの午前六時から午後六時までの間は「演習が行なわれる期間」として操業を禁止しているというように理解しております。
  146. 山原健二郎

    ○山原分科員 これは、二百海里時代を迎えまして、あそこは日本の経済権益の及ぶ区域ですね。しかも、日本が管轄権を持っているわけです。これは五十二年度からですね。私が質問しました最後が七年前の五十年で、その二年後に二百海里宣言を日本はいたしておりまして、ここはわが国の言うならば漁獲をする場合の管轄権を日本は持っているわけです。それを全く常時にわたって、年間ぶっ通しでやるなんということは、これはまさに管轄権の放棄であるということを私はこの際強く主張しておきたいのです。前に質問をしましたときには二百海里問題はまだ出ておりませんから、現在二百海里宣言をしたわが国にとっては、ここは経済水域です。それを全く、演習するのにも通告も何もない、年がら年じゅう勝手気ままにやれるなんというそんな主権の侵害がどこにあるかということを申し上げたいのです。  漁業補償について御連絡してありましたから、この二年間程度の漁業補償がどういう形で出ておるか、伺っておきます。
  147. 伊藤参午

    伊藤(参)政府委員 リマ水域における漁業補償の額でございますが、御承知のように補償金と見舞い金とございますが、それらを合しまして昭和五十四年度が二億四千百万円でございます。それから五十五年度が二億六千五百万円ということでございます。昭和五十六年度は現在あれでございますので……。
  148. 山原健二郎

    ○山原分科員 これはどういう形でどういうところへ——たとえばリマへ出漁する県はたしか六県ぐらいあるはずです。その間の漁業協同組合というのはずいぶんたくさんあるわけですから、それに対してどういう漁業補償がなされておるかということもお聞きしたいのですけれども、総額が二億五千万円程度ということはわかりましたが、この算定の基準は何に準拠しておるのでしょうか。     〔近藤(元)主査代理退席、主査着席〕
  149. 伊藤参午

    伊藤(参)政府委員 お答えいたします。  先ほど漁船の操業制限法について申し上げましたが、その漁船の操業制限法の中に補償につきましてございまして、損失補償につきましては「従来適法に漁業を営んでいた者が経営上こうむつた損失を補償する。」ということになっております。具体的には、それぞれの漁業を行っている方からの補償申請に基づきまして、私ども補償実態等を調べましてこの補償を行うようにしております。
  150. 山原健二郎

    ○山原分科員 実際にはこの算定基準はあるわけでございますが、いまのお話では、算定基準に基づいて算定されておるというよりも、申請に基づいてやるということですが、操業禁止期間があるわけですね。これは恐らく総理府の告示第九号によるものだと思いますが、米軍が演習を行っている期間ということなんですね。「演習の期間中の演習が行なわれる時間」、それによってこうむる損害に対する補償ということですから、ときには漁業の最盛期もあるでしょうし、あるいは閑漁期もあると思います。そういったものが計算をされて補償が出るというのが、補償実施規程に基づく正確なやり方だと思います。  それともう一つは、自衛隊が年間九十何日使用しておるということを私言いましたけれども、この自衛隊の使用に対する補償というのはどういう基準に基づいて行われているのでしょうか。
  151. 伊藤参午

    伊藤(参)政府委員 まず米軍の操業制限に基づく補償の対象となる期間でございますが、先ほどから先生指摘にもなりましたように、月曜日から金曜日まで一週間べたに使っておりますので、私どもはそういった操業制限の実態をとらえまして、そういった期間内において当然のように漁業の操業ができなくなっているという状況でもって、先ほど申し上げました通常失うべき経営上の損失に対して算定基準にしておるわけでございます。  それから、自衛隊の演習につきましての御指摘がございましたが、自衛隊の演習は御承知のように漁船等の状況等も見た上でやっておりますので、損失補償の対象ということには考えておりません。
  152. 山原健二郎

    ○山原分科員 もう一回伺いますけれども、リマというのはあの周辺漁民にとりましてはかつては最重要な漁場であるわけですが、防衛施設庁の考え方としては、常時禁止区域、ただ土曜日、これは航行通報がない場合ですね、ある場合には禁止されているというふうに書いてありますから、結局土曜日の一部と日曜日しかいけない。ほとんどもう完全にわが国がアメリカに対して公海上の占拠を許容しておるというふうに理解していいのでしょうか。なぜこの間、何月何日から何日まで演習をやりますという通報があって、演習をしない時期に操業できないのか。あなたのおっしゃることでございますと、あっさり言えば、もう日曜日以外は常時全部だめだということになるわけですが、そう理解してよろしいのでしょうか。
  153. 伊藤参午

    伊藤(参)政府委員 お答えします。  操業制限を行っている水域における操業制限の実態は、先生も御承知のようにいろいろございまして、リマ水域は、特に先生指摘のように月曜から金曜までほぼ日中の時間全部というような内容になっておりますが、私どもとしては、米軍訓練上の必要性という点から、そういった制限時間の必要性を考えております。反面、漁民の方方の操業に対する補償という面からは、やはりこういった期間というもののすべてが一応補償の対象になるということで、立ち入っていただかないかわりのものとしてやっておりますので、米軍の駐留目的と漁民の方々の生活の安定というものの調和ということを図って今後もやっていきたいと思っております。
  154. 山原健二郎

    ○山原分科員 きょうは外務大臣のおられる分科会に出ればよかったのですが、防衛庁長官に出ていただいて質問もしないで、大変恐縮でございます。  実際、米軍の演習の必要性といえども、公海上、しかもわが国の近傍における公海上を、チャーリーにしましても房総沖の重要なところです、リマにしても重要な漁場でありますが、それをほとんど半永久的に、しかも演習の通報もない。したがって、演習をやっていない、砲弾の音もしていないときでも、漁民がそこへ出漁しましたならば、たとえばマグロ、カツオを追ってあのリマの海域に入りまして何か損傷を受けた場合は、それはみずからの責任だというような、主権の売り渡しといいますか、これは余りにもひどい。しかも、二百海里問題が出ました五十二年からは、政府としても考え方を変えなければならぬのじゃないか。漁業管轄権あるいはそういう意味では主権が及ぶ二百海里問題、これは外国の二百海里宣言によってわが国の漁業はずいぶん制限を受けているのは御承知のとおりでございまして、昭和五十二年に二百海里宣言した以上は、いままでのリマやチャーリーに対する、公海における訓練水域というものに対しては、日本政府としての管轄権の中における考え方というのは変えなければならぬのではないかということが第一点です。  それから、これは防衛庁長官にお伺いしますが、少なくとも演習をやる場合には通報はすべきではないでしょうか。海の上に線が引かれておるわけではありませんから、漁民もその制限区域に入るときだってあるわけです。当然通報はして、この期間には演習をやるのだ、せめて最小限それくらいのことは要求していいのではないか、防衛庁長官にお伺いをしたいと思います。  同時に、それすらないということであれば、高知県の議会などはもう何遍もリマ撤去の決議を上げておるわけでございますが、一度撤去すべきだ。戦争が終わって三十数年になりますのに、あの当時の占領状況がいまだに続いておるということは不都合きわまることだと思うわけであります。前の大平外務大臣、宮澤外務大臣も、その点については検討すべきであるという答弁をしております。きょうは、大臣としては防衛庁長官しかおいでになりませんから、これは当然検討に値する問題だと私は思いますが、その点、お伺いをしておきたいと思います。
  155. 吉野実

    吉野(実)政府委員 いま施設庁部長から先生に対して御説明をいたしました告示の関係で、土曜日を除いて年がら年じゅう制限することになっておるというのも事実であります。しかし、先生のおっしゃった趣旨も私はわかります。政府としてどういう検討ができるか、考えてみたいと思います。
  156. 山原健二郎

    ○山原分科員 最初に申し上げましたように、リマのそばでこういう事件が何回か起こっておるわけでございまして、私も昨日関係の漁協の組合長に電話したのですが、これはどんなことがあっても、この際、あれだけ危険な事件が起こったわけですから、本当にあれが命中しておったら大変な大惨事になるということを考えると、政府も安全問題についてはもっと努力をしてもらいたい、安心して操業できるような状態をつくってもらいたいというのが切なる願いなのでございます。防衛庁長官としても、いま施設庁からお答えがありましたように、この問題についてはさらに米側との間にどういう手段があるかということについてぜひ検討をしていただきたいと思いますが、最後にお答えをいただきまして、私の質問を終わります。
  157. 伊藤宗一郎

    伊藤国務大臣 施設庁長官からお答えしたとおり、どういうことが可能なのか、検討させていただきたいと思います。
  158. 山原健二郎

    ○山原分科員 終わります。
  159. 小渕恵三

    小渕主査 これにて山原健二郎君の質疑は終了いたしました。  次に、楢崎弥之助君。
  160. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 昨年の十二月二十一日、アメリカのレーガン大統領によって署名されましたストラットン・グッディング・アメンドメント、この問題についてまずお伺いをいたします。  ここにその正式の内容があるわけですが、これは私が訳してみたわけですけれども、一応読んでみます。  「この法律によって充当された資金を使って、すべての米政府所有並に運営の軍需工場から、いかなる外国政府に対しても、技術資料を一括して移譲することはできない。また大口径砲を製造している米政府所有又は運営の軍需工場において一般的に製作又は開発されている防衛装備品を生産している外国政府はいかなる政府であれ、この資金を使って援助してはならない。」こういうことであると思いますが、間違いありませんか。
  161. 和田裕

    和田(裕)政府委員 ストラットン下院議員の修正動議は、おおむねそういう趣旨であるということでございます。
  162. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 ちょっとこれのわかりやすい説明をしていただきたいのですけれども、たとえば、これはライセンス生産だけが禁止されておるのか、完成品は禁輸対象ではないのか、その辺をはっきりしていただきたい。
  163. 和田裕

    和田(裕)政府委員 いまの修正動議、これは法律案になったわけでございますが、これの正確な意味は、全体はまだ調査中でございますが、とりあえず私どもに関係いたします点を申し上げますと、二百三ミリの自走りゆう弾砲に関係してまいります。その場合に、いまおっしゃいました後段の部分、すなわち大口径の砲部を製造しております一つアメリカ政府所有、管理の国防工場云々ということが関係してまいります。したがいまして、具体的に言いますと、ウォーターブリートというところにございます、アメリカの砲部をつくっております陸軍の工廠、この技術を外国に提供することはとめられるということになるかと思います。したがいまして、その部分につきましてはライセンス生産ができなくなる、こういうことでございます。
  164. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 あなたは昨年十二月、この技術交流について米側と事務レベルの折衝をされたのですが、その際に、こういう法案が出るという大体の説明があったかどうか、突如として出されたのかどうか、それをお伺いします。
  165. 和田裕

    和田(裕)政府委員 昨年第三回の装備技術定期協議がございましたときには、この法律案の動きについての御説明がございませんで、言わば突然出されたものというふうに承知しております。
  166. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 大体お聞きのとおり、日本側は当予算委員会でも、日米の武器輸出の交流とか、アメリカに対する武器輸出が金融政策の対象になるからまじめに論議しておるのに、アメリカ側はこんなことはお構いなく、さっさとこの種の修正法を何の相談もなしに決めてしまう。アメリカは勝手なことばかりこっちに言って、自分の方は勝手にそういうことをやるというのは私は承服できない、そのことをまず私ははっきりしておきたいのです。言葉は悪いけれども、全くなめられたような話ですよね。こっちはまじめにやっているのですよ、まだ統一見解は出てないけれども。  そこで、たとえばいま私もいろいろなことを聞いているのです。これがこの法律だけでとどまるのかどうか、これが今後いろいろな面で拡大されるのじゃなかろうか、そういうことも私は私なりに聞いておるのですが、これが拡大されるかどうかのいろいろな動きについて、防衛庁の方で把握されておる範囲で結構ですから、御報告をいただきたい。
  167. 和田裕

    和田(裕)政府委員 私どもかねてからアメリカ側の装備技術担当者と話します際に、アメリカ側が言いますのは、やはりアメリカでもこれだけ失業率が高くなる、八・九%と承知しておりますが、こういう状況下におきましては、労働組合それから下請企業等が外国に技術を出すなという非常に強い圧力をかけてくるので、アメリカ国防総省としてはそれを抑えるのに大変苦労しておるという話は、かねてから一般的な話としては受けておりました。今度の法律案は、御承知のとおりいわば議員立法で突然出されて通ってしまったということでございます。これからどういう影響があるかという点につきましては、私ども非常に大きな関心を持ってこれを見守っておるということでございまして、この関係のニュースにつきましては外務省お願いいたしまして、なるべく幅広く、かつ早目に取るようにお願いしておる、こういう状況でございます。  今後どのような影響を受けるかにつきましては、若干内部情報的なものでは聞いておりますが、国会という席で申し上げるのはいかがかと思いますが、私どもとしては、こういうことはほかのライセンス生産の品目に広がらないよう、今後とも外務省にもお願いし、努力していきたい、そういうふうに考えております。
  168. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 いまのお答えでございますと、これからこのライセンス生産禁止の余波がどのくらいになるか、まだわからないという状況ですね。  それで、私の調べた範囲では、たとえばこういうことも私は聞いておるのです。ライセンス生産をさせる場合には、普通は日本の企業がしておるのでしょう、三菱重工とか川崎とかがやっておるのでしょう、それをアメリカの方の企業がそのライセンス生産を行って、それで日本の企業はその下請になるなんというような話も私はちらちら聞いておるのですが、そういうふうな動きというのがあるのでしょうか。
  169. 和田裕

    和田(裕)政府委員 これまでのところ、ライセンス生産の交渉でアメリカがやってきましたものにつきましては、少なくともここ十数年というものにつきましては、日本の企業がいずれもライセンス生産のプライムである、主契約者であるということでやってきたわけでございます。  今後どういう動きがあるかということでございますが、細かい個々のアメリカ側との折衝の途中の経過を立ち入って申し上げるのはちょっと差し控えさせていただきたい、そういうふうに考える次第でございます。
  170. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 これもなかなかデリケートな御答弁でありまして、そういう動きが皆無ではないわけです。だから、私はこのことをきょうここで明確に懸念の意を表しておきたいと思うわけです。  そこで、十二月の五十七年度の予算編成の場合はこういう法律はなかったわけですから、その方針も含めてライセンス生産のつもりであったのでしょう。それで防衛庁の方の予算要求をなさったのだと思うのですが、すでに御案内のとおり、この二百三ミリ砲は五十六年度予算でも六門ライセンス生産するところで予算請求なさっていらっしゃるわけですね。したがって、今度のこの措置によりまして、五十六年度の二百三ミリ関係の予算は具体的に幾ら増減があるのか、そして五十七年度予算では幾ら増減になるのか。
  171. 和田裕

    和田(裕)政府委員 この二百三ミリにつきましては、先生おっしゃいましたとおり、基本的にはライセンス生産ということで予算を組んでおりますが、砲部につきましては、これは五十六年、五十七年ともFMSで購入するということで予算を立てさせていただいております。  具体的にどういうようなことになっているかというお尋ねでございますが、ライセンス生産の金額と、それからFMSで購入する金額ということでございますが、これはまだ完全に契約が締結されてないということ、それから片方を申し上げますと、差し引きますと結果におきまして他の方の数字が出るということで、今後の処理には差し支えますけれども、せっかくのお尋ねでございますので大まかに申し上げまして、砲部の予算というのは、全体約三億弱の予算のうちのおおむね一割前後、こういうことでございます。
  172. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 細かいことですが、私ども国民皆さんのお金を予算委員会でいろいろ論議をするわけですから、こういう不確定な部分が残っておるということは、予算審議の上で非常に問題があろうと思うのです。これはやはり衆議院の予算をやっておる間に、ある程度のもう少し細かい確定をされるだけの御努力をいただいて、御報告をいただかないと、私どもはそういう不確定な予算でそれはよろしかろうというようなことにはならぬと思います。それは要望しておきます。  それからなお、私が防衛庁の方にお伺いをしまして、米軍工廠が製造しておる武器及び保有する技術で現在取得中のもの及び五十七年度予算で取得が計上されておるもの、つまりこの法案に該当すると思われるものの資料の御提出をいただいた。  そうすると、まず二百三ミリ自走りゅう弾砲が一番にきております。その次がチャフロケットシステム、これは艦船のECMみたいなものでしょう。それから三番目に二十ミリガンの砲身及びフィーダー、こうなっておりますね。もちろんT2、F1にもバルカン砲は搭載されておるけれども、F15にもこれはつけられるわけですね。したがって、こういうものはまず影響は受けないのかどうか、二番目の質問がそれです。  三番目は、上記資料については現在確認できたもののみである、確認できないものがまだあるとすれば、五十七年度の予算はその点でもまだ不確定要素があるわけですね。  その辺、三点についてお答えをいただきたい。
  173. 和田裕

    和田(裕)政府委員 先ほどの御質問が、ライセンス生産と輸入が一体どういう割合になるかという御質問のようにとりましたので、私は一般的に、予算の個別の装備品の中身、申し上げておりませんけれどもあえて申し上げたわけでございますが、予算総額としてはきわめてはっきりしておりまして、五十七年度、いまお願いしておりますものは十三門でございまして、予算総額で言うと三十八億円ということでございます。その点につきましては先ほどの御説明でちょっとわかりにくかったかもしれませんけれども、そういうことでございます。  それから二十ミリガンのフィーダーとかチャフロケットでございますが、ちょっと先生の御質問をあるいはつかみかねたかと思いますが、今度のストラットンの修正法案によって禁止されましたものは、私どもが関係すると思っておりますのは、大口径砲の砲部を製造しております一つの米国政府所有管理の国防工場において、現に製造されておるあるいは開発されておる技術というふうに考えておりますので、こういった、いま先生のおっしゃいましたものについては関係ないんじゃないかというふうにいまのところ考えております。
  174. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 あなたはさっき、この解釈についてまだ外務省等も通じていろいろ調査をしてもらっていると言うのですから、いまのところは二百三ミリということだけがはっきりしているわけですね。それはわかりますよ。しかし、実はどの範囲に及ぶかはまだわからないのでしょう。さっきそういう御答弁であったと思うのですけれども。だから、今後取得予定のものでこれにひっかかるものが出てきやせぬか。現在おたくの資料によれば、いま言ったチャフロケットシステムとか二十ミリガンの砲身及びフィーダーとかは、いま調べただけで出てきておるけれども、それは現在確認できたものだけであって、まだあるかもしれないでしょうということなんですよ。
  175. 和田裕

    和田(裕)政府委員 先ほども申し上げましたように、先生の御質問は、最初はストラットン法案全体についての御質問でございましたので、それにつきましては、前段と後段を合わせた分につきましては、外務省につきましてお願いしているところがあるというようにいまおっしゃいましたが、同時に、私は、後段の部分、すなわち日本関係する部分につきましては二百三ミリに関係しているんだということで確定的に申し上げたわけでございまして、その点につきましては私どもはっきりしておるという認識でございます。
  176. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 だから二百三ミリ、後段の部分ははっきりしている、前段の部分についてはわからぬのでしょう。さっきはそういうことでしょう。だから、その前段の部分にひっかかるものが今後出てくるのか出てこないのか、それは調査中なんでしょう。
  177. 和田裕

    和田(裕)政府委員 私どもの知っているところでは、いまおっしゃいました二十ミリガンのフィーダーであるとかチャフロケットというものは、この法律によって左右されているものではないというふうに認識しております。
  178. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 それはわかりましたよ。だから、前段の分でひっかかるものがほかに出てくる可能性があるのじゃないですかということを私は聞いているわけです。全然ないと断言できますか。
  179. 和田裕

    和田(裕)政府委員 ストラットンの法律につきましては、大口径の砲部を製造している一つの米国政府所有管理の国防工場において、現に製造されているかまたは開発されているいかなる防衛品目も、これを当該政府が生産するのを援助するために使用してはならない、これが主要な部分でございますので、さっきから申し上げておりますように、二百三ミリだけはとりあえず影響される、いまは私の知っている限り二百三ミリが影響される、こういうことになるわけです。
  180. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 だから、いまはそうでしょうけれども、今後絶対起こり得ないと断言できますかということをさっきから聞いておるのです。
  181. 和田裕

    和田(裕)政府委員 将来また別の方が法律案を提出いたしましてそれが通ってしまう、そういういわば不幸な事態が全くないかと言われますと、それは確かにおっしゃるとおり全くないとは断言できないというふうに思います。
  182. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 そうでしょう。私、心配しているとおりなんですよ。だから、このストラットンの修正法でも、前段の部分についてはまだひっかかってくるものがある、そういう可能性が残されておるというふうに私は言っているわけです。そういう答弁のように承りましたから、先に進みたいと思います。  次に、去年五月、鈴木総理が訪米されて、日米共同声明を発表されたわけですが、その後のプレスクラブの記者会見で、シーレーンは日本のお庭みたいなものだから守るのは当然である、そういうことを言われたのが報道をされました。  そこで、まず、このシーレーンを守るというのはどういう意味なんでしょうね。私どもの常識から言えば、シーレーンのどの部分、全部なのか、それからいつの時点で守るのか、平和時からか、極東有事からか、あるいは日本有事の場合か。  次に、何から、どういうものからこのシーレーンを守るのですか。そして、一体何を守ろうというのですか。  そして、当方の守る方の守り方は、どのような装備兵器で守ろうというのか。どういう方法で守ろうというのか。  以上、一遍で言いましたけれども、そのくらいのことはおわかりでしょうから、御答弁をいただきたい。
  183. 塩田章

    ○塩田政府委員 まず、守るとはどういう意味かということでございますが、全部なのかとまずおっしゃいましたが、実態的なことを考えてみますと、わが国は、周辺数百海里の海域及び航路帯を設ける場合にあっては、約一千海里程度を目標にして守る、こういうことを申し上げているわけですが、いま申し上げたような区域につきましては、日本海上防衛力をもって日本海上交通の保護を図りたい、こういうことでございます。  ただ、全部というのは、しからば、そのいま申し上げたような区域は、一切合財をいつでもいかなる意味においても守っているのか、こういうことになりますと、実際のオペレーションでございますから、必要なときに必要な海上自衛隊部隊が動く、あるいは航空部隊が動いていって船舶を守る、こういうことになるのだろうと思います。したがいまして、全部かという意味が、いま申し上げました区域をのべつ完全に守っておる、パトロールでも何でもして完全に守っておるというような意味でおっしゃるとすれば、実際のオペレーションはそうは動かないだろうというふうに思います。  それから、いつの時点か、極東有事なのか日本有事なのか、これは私どもはまず日本の有事ということを考えております。  日本有事以外の、平時なのかということでございますが、平時におきましては八十二条の海警行動ということはあり得るだろうと思いますけれども、私どもが海上防衛力をもってシーレーンの護衛と言います場合には、通常日本有事の場合のことを考えて言っておるわけでございます。  それから、何から守るかということでございますが、通常言われておりますように、航空、水上、水中の脅威から日本海上交通を保護する。海上交通といいますか、具体的には日本の船舶だということになりますが、何をというのは日本の船舶を保護する、こういうことになります。  守り方はどうかということでございますが、海上自衛隊の持っておりますところの艦艇、航空機をもって守るといいますか、わが国の海上交通を保護する、こういうことになろうかと思います。
  184. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 現有勢力でそれだけできるのですか。
  185. 塩田章

    ○塩田政府委員 私ども常に、いま申し上げたような、総理の演説にもございましたような海域を、日本海上自衛力でもってみずから守れるようなものにしたいという整備目標として言っておるわけでございます。現在はそこに及んでおりません。具体的には、「防衛計画の大綱」に基づいていま整備をいたしております。  それができればしからばそれが守れるのか、こういうことになるわけでございますが、私どもは、現状に比較いたしまして、「防衛計画の大綱」の線の整備ができれば、わが国のいま申し上げました海上防衛力は格段に改善されるというふうに考えております。
  186. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 そうすると、具体的な五六中業が終えたら、いまおっしゃったようなことは、つまりあなたがおっしゃった意味のシーレーンの防衛はできると確信を持って言えるわけですか。それとも、完璧にはできないが、絶えず現有勢力の中で最大限の努力をすると言うのか。非常にあいまいですね、だろう、だろう、だろうが多くて。
  187. 塩田章

    ○塩田政府委員 こういう実際の作戦のときのことを考えてみました場合に、できるという場合に、要するに一隻もわが国の船が沈まないで、すべて完全に守れるというふうな意味でできるということでもしおっしゃっているとすれば、これは実際問題としてなかなかむずかしい、こういうことは言えると思います。
  188. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 国民は、あなた方が、総理が守るなどおっしゃったら、本当に守れると思いますよ。しかし、実際はいまの御答弁のとおりでしょう。まことにあいまいです。もともとシーレーンの防衛というのはむずかしいのですからね。だから、五六中業が達成されたらある程度のことはできるであろうぐらいのところだと私は思うのですが、その中身もあいまいだと思います。  では、次に進みます。去年の六月のハワイの事務レベル会議から、かれこれいろいろな要求アメリカから出ている。大体三つのプログラムに分けるとすれば、三海峡の封鎖、それからいまのシーレーンの防衛、そして日本周辺の防空。そのアメリカ側からの要求の優先順序は、三つにもし分けたときの優先順序は、あなた方はどのように受けとめておられますか。
  189. 塩田章

    ○塩田政府委員 最初の、ある程度守れるというのが実態ではないかというお言葉でございますが、先ほど申し上げましたような意味で御理解をいただきたいと思います。  それからハワイ会談で話があった、アメリカ側からの要求があったというので、三海峡封鎖問題、シーレーン問題、日本周辺という三つの項目についての優先順位ということでございますが、ハワイ会談で話がございましたのは、こういう……(楢崎分科員「ハワイ会談だけじゃなくて、ハワイ会談初めいろいろ折衝があって……」と呼ぶ)結局ハワイ会談でアメリカ側が言っておりますことが、その後のわれわれとの折衝で中止になっておりますけれども、しばしばお答えしておりますが、アメリカ側は基本的に、いわゆる即応性の向上、C3Iの向上、継戦能力、装備の近代化、こういう四つのことを言っておりまして、ハワイ会談あるいはその後の私たちとの行ったり来たりの交流の間で、具体的に三海峡がどうだとかシーレーンがどうだとかというふうな、そういう意味の話は別にございません。今回のアメリカの国防報告で初めてシーレーンの言葉が入っておりますけれども、私たちの折衝の中で、いまの先生の御指摘のような形で問題を提起されておるわけではございません。
  190. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 私が聞いておるところでは、全部一緒にできないから、その優先順序は、米側としては第一番が海峡封鎖、二番目がシーレーン、そして三番目が日本の周辺防空、そのように受けとめられるような状態である、アメリカははっきり言わないけれども、大体総合してみて、そういうふうに聞いておりますが、それは間違いですか。
  191. 塩田章

    ○塩田政府委員 私が承知する限りいま申し上げたようなことでございまして、先生のおっしゃっていることが間違いだとかというふうに言えるわけではございませんけれども、直接聞いているのは、いまのような順序でこうだというふうな話を聞いているわけではございません。
  192. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 次に、防衛大綱とおっしゃいますけれども、いまの防衛大綱は上限と考えておられますか、それとも下限と考えておられますか。現在日本がなし得るその努力として……。
  193. 塩田章

    ○塩田政府委員 大綱の考え方はいわゆる基盤的防衛力の整備という考え方でできておるわけでございますが、私どもは、これは、平時におきます最低限これだけは保持しておくべきものという意味で考えられておるというふうに理解しております。
  194. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 いや、私の言葉で答えてください。下限と考えておられるのか、それとも最低これだけは必要だという、上限というふうに考えられておるのか。
  195. 塩田章

    ○塩田政府委員 いまお答えいたしましたように、平時において最低これだけは……(楢崎分科員「つまり上限という意味でしょう、平時では」と呼ぶ)下限という、最低これだけは保持すべきものとして考えられておるということでございますから……。
  196. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 だから上限という意味でしょう。もうせいぜいここまでだ、平時においては。ここは大事なところなんですから。
  197. 塩田章

    ○塩田政府委員 平時においてはこれだけは持っておくべきであるということですから……。
  198. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 だから上限なんでしょう。
  199. 塩田章

    ○塩田政府委員 それから上にあるべきだということですから……。
  200. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 だから、そこがはっきりしないのですね。下限であれば、これからも平時においてもどんどんあれしていくわけでしょう。だから、これは平時における上限なのか下限なのかと聞いている。それははっきりしておるのでしょう。
  201. 塩田章

    ○塩田政府委員 現在、私どもが整備をしております整備目標としては、これは目標でございます。そういう意味では上限でございます。しかし、将来のエキスパンドということを考えた場合の基盤になる意味では最低、下限である、こういうことでございます。
  202. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 あと一問にします。——基盤ですからね、それはそのとおりです。しかし、いままでの論議の過程で、平時においてはこれは上限なんですね。  最後に、一問だけ聞いておきます。  せんだっての二月一日の石橋質問のときに、日本の民間の船舶が、極東有事のときに米軍から雇用されて、組織的、計画的な攻撃があったら七十六条が発動するというお答えでした。したがって、石橋氏は、それ見なさい、これで極東有事に巻き込まれるのだというようなやりとりがあったように私は聞いております。つまり、七十六条はわが国を守るという言葉は入っていないのですね。設置法なりあるいは自衛隊法のおおよその目的から、わが国を守るであろう、こういうことだと思うのですね。したがって、このわが国を守るためにという「わが国」の中に日本の船舶は入るのですか。つまり、日本の「領域」が侵されたときという安保条約の五条ですね、これと同じ意味なのか。それとも、七十六条の場合は領域だけじゃなしに、そういうものまで含まれるという御解釈なのか。「わが国」と言えば領土、領空、領海つまり領域になりますけれども、だから安保条約五条の「領域」ということと七十六条の「わが国」というのは同じ概念かどうか、それを聞いておきます。
  203. 塩田章

    ○塩田政府委員 安保条約の五条の方は「領域」ということでございますから、これはわりあいにはっきりしていると思うのですけれども、七十六条の方でわが国に対する武力攻撃があった場合あるいはおそれのある場合、こういうわが国に対する武力攻撃の判断は、たとえばいままさに問題になっている船舶につきましても、日本の船舶に対する攻撃が組織的、計画的な攻撃であるかどうかということによって判断される。しかも、よく言われておりますように、他に手段がないとかいろいろなことが当然慎重に判断されると思いますけれども、そういう判断を経た上で、わが国に対する武力攻撃であると判断されるかどうかということでございまして、これは領域に限りませんで、わが国の船舶に対する攻撃をそういうことで判断されることはあり得るだろうと思います。
  204. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 問題点は残しておきます。  これで終わります。
  205. 小渕恵三

    小渕主査 これにて楢崎弥之助君の質疑は終了いたしました。  次に、土井たか子君。
  206. 土井たか子

    ○土井分科員 ただいまの楢崎弥之助議員やわが党の横路孝弘議員のように専門的知識を持っておられる方と違いまして、防衛問題についてはずぶの素人の私が素人談義をただいまからさせていただきたいと思います。  まず、P3Cというのは何をするのですか。
  207. 塩田章

    ○塩田政府委員 俗に対潜哨戒機と言われておりますが、主たる任務は、潜水艦を捜索し、潜水艦を攻撃するということを主たる任務とする飛行機でございます。
  208. 土井たか子

    ○土井分科員 これはP2Jとどう違うのですか。
  209. 塩田章

    ○塩田政府委員 目的は同じ目的でつくられた対潜哨戒機でございますが、P3Cの方が新しい対潜哨戒機でございます。
  210. 土井たか子

    ○土井分科員 P2Jというのは現に何機ございます。
  211. 塩田章

    ○塩田政府委員 現在八十機でございます。
  212. 土井たか子

    ○土井分科員 このP2Jは、自分自身でいろいろ哨戒した結果、その探索した内容を分析するという能力を備えているのでありますか、いかがですか。
  213. 塩田章

    ○塩田政府委員 こういうお尋ねにつきましては、全くできないというふうには言えないわけですが、そこがP3Cと大変違いまして、能力的には大変劣るということでございます。
  214. 土井たか子

    ○土井分科員 全くできないわけではない、しかしP3Cの方ができる、単純に言うとこういうことらしいですね。  いま八十機の中でP2Jは現にどれだけ飛ばしているのですか、毎日飛ばしているのですか、どの範囲を飛ばしているのですか、どういうことになっているのですか。
  215. 塩田章

    ○塩田政府委員 お尋ねの意味は、訓練ばかりではなくて哨戒飛行といったようなことでのお尋ねじゃないかと思いますが、訓練は毎日やっておりますが、哨戒飛行といたしましては東シナ海、日本海、北海道周辺、そういったところを哨戒飛行をいたしております。
  216. 土井たか子

    ○土井分科員 そういったところとおっしゃらないで、具体的にまだあるのじゃないですか。東シナ海、日本海、北海道周辺、まだあるでしょう。
  217. 塩田章

    ○塩田政府委員 いわゆる哨戒飛行として定時的にやっておりますのはいま申し上げた地区でございまして、あとは別に何か特別な必要があって行う場合は別ですが、定時的にはいま申し上げた地区でございます。
  218. 土井たか子

    ○土井分科員 定期的以外に、それならば特別の理由があってオホーツクはやっていらっしゃるのか、定期的にオホーツクもその中に入っているけれども、いまわざと答弁の中でそれを落とされたのか、いずれでありますか。
  219. 塩田章

    ○塩田政府委員 オホーツク海は、私、先ほど北海道周辺と申し上げましたが、北海道周辺の中でやっておりまして……。
  220. 土井たか子

    ○土井分科員 大分局長の地図は違うようであります。  何機ぐらいが定期的に出ているのですか。
  221. 塩田章

    ○塩田政府委員 日本海は毎日一回出ております。それから、東シナ海と北海道周辺は二日に一回でございます。
  222. 土井たか子

    ○土井分科員 二日に一回とか毎日というのは、それは何回くらいということであって、何機出ているかということに対するお答えはいかがですか。
  223. 塩田章

    ○塩田政府委員 それぞれ一機でございます。
  224. 土井たか子

    ○土井分科員 これはまた、八十機も持っていてぼそぼそと一機ずつ飛んでいる。しかもそれは隔日に飛んでいるというかっこうらしいですね。先日私はある制服の人に尋ねてみますと、P2Jはぴかぴかだ、なぜかというと余り使ってないからだ、こういうお話なんであります。  そのことはさておきまして、先に進みたいと思うのですが、P3Cに対しては八十機体制というのが言われているのですが、配備はどういうふうに考えていらっしゃいますか。P2Jと同じ方向に配備するということを考えていらっしゃるのか、それとは全く別行動をいま配備計画の中で考えていらっしゃるのか、いかがですか。
  225. 塩田章

    ○塩田政府委員 P3Cが八十機体制ということではございませんで、固定翼大型対潜機が八十機体制ということでございまして、P3Cだけではなくて、P2Jとミックスした形で、全体八十機ということで考えておるわけです。
  226. 土井たか子

    ○土井分科員 現在のP2Jを、どんどん購入してきたP3Cに変えていくということなんでしょう。ただいまのP2Jの偵察行動と同じような、哨戒行動と同じような行動半径にP3Cは計画の上で置かれるのか、それとも全く別の新たな計画が考えられているのか、この点はいかがでございますか。
  227. 塩田章

    ○塩田政府委員 いまお尋ねのような将来の運航計画といったようなものは、まだいまの時点で、P3C三機ばかり入った段階でございまして、将来の計画として考えていきたいということでございまして、いまの時点で具体的にどこがどう変わるのか、変わらないのか、そういったところまでまだ申し上げられる段階にございません。
  228. 土井たか子

    ○土井分科員 もうすでに国防会議ではP3Cの四十五機について具体的に決定されているんでしょう。購入について四十五機というのが決定していることに対しての配備計画というのがなければおかしいですよ。配備して、したがってどういう行動半径で考えるかということも考えられていなければおかしい。何のためにこの四十五機というのは決定したのですか。いかがですか。
  229. 塩田章

    ○塩田政府委員 四十五機は確かにいま御決定いただいておりますが、P2Jのリタイアに応じましてP3Cが入ってくるわけでございまして、全体の八十機体制というのは変わらないわけでございまして、そういう意味では無計画ということではございませんで、いまP2Jの運航をやっております、それを逐次P3Cに肩がわりしていくということでございます。  ただ、それじゃ具体的にどこを逐次P3Cにしていくのか。その場合にどこがどう変わるのかということになりますと、いまの時点でまだそこまでの計画は持っていないということでございます。
  230. 土井たか子

    ○土井分科員 これは対潜哨戒機ですから潜水艦を哨戒しているということでありましょうが、アメリカの原子力潜水艦の音紋はわかっていますね。そういうものがわからないと意味がないと思うのですが、わかっていますよね。
  231. 塩田章

    ○塩田政府委員 どこの国の潜水艦の音紋がわかっているかあるいはわかっていないか、申し上げることは控えさせていただきます。
  232. 土井たか子

    ○土井分科員 これはおかしいじゃありませんか。それはわかっていないともうお話にならない。アメリカは同盟国ですよ。そうして、哨戒することについても、アメリカと共同して平時においてもいろいろと哨戒するというかっこうになっているのじゃないですか。アメリカの潜水艦の音紋は当然わかっていますよね。これは当然だと思います。これは常識論です。いかがですか。
  233. 塩田章

    ○塩田政府委員 日本が平時に先ほど言いましたような哨戒をやっておりますのは、日本の必要に応じて日本が考えてやっておることでございまして、別にアメリカと共同してやっているわけではございません。どういう音紋の交換があるとかないとか、それは先ほど申し上げましたようにお答えを控えさせていただきます。
  234. 土井たか子

    ○土井分科員 ソビエトの原子力潜水艦の音紋というのはわかっていますか、どうですか。
  235. 塩田章

    ○塩田政府委員 先ほどと同じく、それも控えさせていただきます。
  236. 土井たか子

    ○土井分科員 これも私、制服組に聞きました。日本周辺のはわかっていないと何の役にも立たぬ、こんなものは常識論だと。聞くだに愚問中の愚問でありますけれども、それについてわかってないという答えくらいばかにした答えもないのです。これくらい言えないで、P3C一機百十七億、国民の血税を流用する、それでもあたりまえだとお考えですか。これくらいのことを言ってあたりまえでしょうよ、いかがです。
  237. 塩田章

    ○塩田政府委員 先ほど申し上げましたように、わが国はわが国の必要によってわが国の判断によってやっております。それで、どこの国の音紋をわかっておるとかおらないとか、そういうことを申し上げるわけにはいかないということを申し上げております。
  238. 土井たか子

    ○土井分科員 そうすると、わが国がわが国独自でいろいろ情報収集してきてそれをファイルする、ところが、ファイルをしている中にない音が出てきたときにはどういうふうな作業をするのですか。これは全く別な質問ですから答えられると思うのですね。どういうふうになさいますか。
  239. 塩田章

    ○塩田政府委員 いまの御指摘のようなことが出ました場合には、音響支援隊というのが海上自衛隊にございまして、そういうところで分析検討する、こういうことになろうと思います。
  240. 土井たか子

    ○土井分科員 ただ、いままで日本が持っているファイルにない新たな音ですから、それは日本の独自の音響業務支援隊の業務ではなしおおせるはずはないということになるのですね。そういう場合にはどのような手順を踏んで、どのような作業をなさるのですか。
  241. 塩田章

    ○塩田政府委員 いままでの音紋にないものであるということを把握することがまず大事なことでございます。把握した後、それがいま申し上げました音響支援隊の業務によって解析できるかどうか、これはわかりません。解析できるように努力するということしか申し上げられません。
  242. 土井たか子

    ○土井分科員 解析に向かってアメリカに連絡をとって努力するんでしょう。これは楢崎弥之助議員の質問の中にも出てくる部分ではありますけれども、厚木の音響支援隊から横須賀の海上自衛隊司令部に専用回線で行って、それからさらに米海軍の司令部のオペレーションセンターに行って、それが日本にキックバックされてくる、ただそれが、アメリカから情報が入るかどうかはわからない、そういうことだろうと思いますが、これはそうですとかそうでないという簡単な答えで言ってください。どうですか。
  243. 塩田章

    ○塩田政府委員 音響支援隊は、いまの御指摘のような線で結んでおりませんので、そういう意味ではそうではございません。
  244. 土井たか子

    ○土井分科員 そうしたら、回線はこのとおりではないけれども、いずれにしろ問いただしをしなければならない作業はありますね。いかがですか。
  245. 塩田章

    ○塩田政府委員 日本の音響業務支援隊の能力で、解析の努力をするということだけ申し上げます。
  246. 土井たか子

    ○土井分科員 これは能力でできるようなら文句はないのです。アメリカの潜水艦の音紋がどういうものであるかは、初めにアメリカから聞かなければわからぬですよ。そうでしょう。そこから作業はA、B、Cが始まっているのじゃないですか。だから、そういうことからすれば、作業の中身は当然聞きただすという作業が主なるものであるというふうに理解しておいていいですね。いかがですか。
  247. 塩田章

    ○塩田政府委員 いまのようなアメリカから聞きただすというようなことも情報交換の一つでございまして、しばしば申し上げておりますように、私どもはそういった情報の交換をどういうものについてやっているとかやらないとか、そういうことを申し上げることは控えさせていただきたいと申し上げているわけです。
  248. 土井たか子

    ○土井分科員 いまの答弁でわかりましたよ。私はどんな音かというのを聞いているわけではないんで、どういうふうになさるかと言ったら、それは問いただすも情報交換という中に入っているのですね。そういうかっこうであるということだけはおっしゃっているわけですから、それはわかるわけです。  さて、平時のときに日本日本でやっていますね、アメリカアメリカでやっていますね。二重に情報収集をやっているというかっこうになっていますね。これはすでに答弁の中にも出ています。日本の場合、この情報収集については無原則に飛んでやっているのですか。やはりこれは計画的でなければ、二重ということの中身はむだになる、そう思われますが、いかがですか。
  249. 塩田章

    ○塩田政府委員 先ほど来申し上げておりますように、平時の場合ですが、日本日本の考え方で、日本の防衛上必要な情報収集ということで、先ほど申し上げたような区域を定期的に飛んでおります。そういう意味では決して無原則ではありません。私どものそういった考え方によってやっておるわけであります。
  250. 土井たか子

    ○土井分科員 アメリカも、これはアメリカアメリカでやっているわけでありますけれども、何らかの計画を持ってやっていると思われる。三沢にいるアメリカのP3Cは、日本側が計画をすることと連動して計画を立てる。お互いが、日本日本で、アメリカアメリカで平時のときは行動する、こういうかっこう。そうでしょう。いかがですか。
  251. 塩田章

    ○塩田政府委員 米軍の行動についてのお尋ねでございますが、私ども承知いたしておりません。
  252. 土井たか子

    ○土井分科員 日本有事の場合の情報収集というのは作戦上大変重要なことだと思われますが、それはそのとおりですね。これは言うまでもない話だと思いますが、いかがですか。
  253. 塩田章

    ○塩田政府委員 それはそのとおりであります。
  254. 土井たか子

    ○土井分科員 かつて昭和五十年の十二月十六日に、この対潜情報収集活動について、有事の際にだけこれは問題になるということが丸山政府委員からの答弁として出ているわけですが、平時においてもこういう情報収集活動というものはもうすでに具体的に展開しているということからすると、あの丸山答弁というのは間違いですね。
  255. 塩田章

    ○塩田政府委員 先ほども申し上げましたように、われわれは、平時であると有事であるとを問わず、どういう情報を収集し、その収集した情報をどういうふうに分析し、あるいはどの国とどういうふうな交換をしておるというようなことは、申し上げるべきでないというのが私たちの基本的な立場、スタンスでございまして、御指摘の五十年の丸山局長答弁も、私どもは基本的に食い違うものではないというふうに考えております。  ただ、そこで言っておりますのは、そういう基本的なスタンスはそのとおりですが、御質問が有事のときに、あの場合は潜水艦のピンポイントの情報、タクティカルな情報を交換するかというお尋ねであったわけですが、有事のときにはそういうことは必要になるでしょうということを答弁しておられるわけですが、基本的には、いま私が申し上げましたように、有事であろうと平時であろうと、どういう情報を収集し、どういう情報を交換するということは、私どもとしては申し上げられないというのが私どもの基本的な立場であります。
  256. 土井たか子

    ○土井分科員 それはそうじゃありませんよ。あのときの議事録をもう一度精査してください。これは平時においては問題にならない、有事において初めて問題になるという意味の答弁ですよ。したがいまして、先日来局長がここで答えられている、平時も有事もこれについてはやっているし、やるという御答弁とは矛盾するのです。よく精査してください。したがって、丸山答弁というのは間違いだというふうにお認めいただきたいと思います。これは単に一つの文言だけ言っているわけではない。前後左右を見ればそういうことになるのですよ。いかがですか。
  257. 塩田章

    ○塩田政府委員 丸山答弁といいますものはタクティカルなインテリジェンス、いわゆる戦術情報は有事のときには交換をする必要があるだろう、逆に言えば、平時においてはそういうものは日本の立場で言えば情報収集する必要はないだろうという意味のことを答弁しておるわけです。そういう意味でございます。だからといって、私たちが先ほど申し上げているように、平時であろうが有事であろうが、どういう情報を収集し、どういう情報なら交換するというふうなことは、私は申し上げるべきでないということが私たちの基本的立場ですということを申し上げているわけです。
  258. 土井たか子

    ○土井分科員 すりかえ答弁をやらないでください。どういう情報を交換するかしないかの問題じゃないのですよ。そういう作業をやるかやらないかという問題なんです。そういう行動をやるかやらないかという問題なんです。はっきりしてください。いかがです。
  259. 塩田章

    ○塩田政府委員 先ほどから平時における情報収集活動のことを申し上げましたが、一般論として言えますことは、私どもは有事のときでなければ必要でないような情報を平時にわざわざ収集するための活動はしておらないということは言えると思います。
  260. 土井たか子

    ○土井分科員 それでは、平時何をやっているのですか。いま毎日あるいは隔日飛行機を飛ばして何をやっているのですか。この行動は何なのです。いかがですか。
  261. 塩田章

    ○塩田政府委員 いま私が有事の場合必要であって平時の場合必要でないだろうと言ったのは、丸山答弁にありますように、具体的な潜水艦なんかここにおるという非常にタクティカルな情報、こういうようなものについては何も平時はとる必要がないだろうということを申し上げたわけですが、平時におきます収集活動は一般的な哨戒活動として行っているわけであります。
  262. 土井たか子

    ○土井分科員 それはそんなことじゃないでしょう。よく読んでください。「対潜哨戒機によりいろいろキャッチした情報、これは双方の情報交換、情勢分析というときに素材として使われる」というのが有事に限られるという意味ですよ。ですから、いまの局長答弁というのは、先日来ずっと繰り返し繰り返し述べられたのは、こういう活動も平時はやっていますということなんです。したがって、有事に限られるというこの丸山答弁というのはもはや違っていますね。これは素直に読んだらそうなるんだから。ねじ曲がった根性で読んだら知りませんよ。素直に読んだらそうなるんだから、素直に答えてくださいよ。いかがです。
  263. 塩田章

    ○塩田政府委員 私は、平時にそういったことをやっているとかやっておらないというお答えをしたつもりはありません。私は、終始、平時であろうが有事であろうが、どういう情報を集めて、どういう情報を交換するということは言えませんということを申し上げているだけでありまして、それはもうぜひ御理解をいただきたいと思います。
  264. 土井たか子

    ○土井分科員 内容について言っているわけじゃないの。さっきから情報交換をしているという御答弁です。どういうことをやっているかなんて私は一言半句聞いていないのですよ。局長、もう一度答弁してください。
  265. 塩田章

    ○塩田政府委員 先ほど来申し上げておるとおりでございまして、平時であれ有事であれ、どういう情報を収集し、そのうちのどういう情報を交換するということを申し上げることは控えさせていただきたいというのが、私の終始お答えしておるところでございます。
  266. 土井たか子

    ○土井分科員 そうすると、いま言われたことは、丸山さんの五十年の十二月十六日の答弁とはちょっと矛盾するんですよね。それは違っている。違っていると言わざるを得ないのです。  さて、極東有事と安保条約六条の「極東」、この極東は同じことですか、違うのですか。どうですか。
  267. 塩田章

    ○塩田政府委員 基本的には同じだと思いますけれども、この点は外務省でないと、私の方からお答えする立場にはないと思います。
  268. 土井たか子

    ○土井分科員 外務省でないとと言ったって、極東有事研究というのはどこでやっているのですか。そうしてしかも、第十八回日米協議委員会で決定してこれはやっていらっしゃるということでありますから、極東有事の極東というのをどういうふうに考えていらっしゃいます。
  269. 塩田章

    ○塩田政府委員 極東有事の研究は外務省が主体になってやっておられるわけでございますが、先ほど申し上げましたように、極東有事も同じ意味であるとは私ども思いますが、ただ、正式なお答えというのは外務省じゃないかということを申し上げただけでございます。
  270. 土井たか子

    ○土井分科員 同じ意味であると認識して防衛庁としては作業をやっていらっしゃる、そのように理解していいですね。これは大変なことですよ。  安保条約の六条に言う「極東」というのは、極東の周辺というものからの脅威というのが行われた場合、その周辺がどこまでであるかということは、これはどこであろうと、いずれにいたしましても、極東の平和及び安全に脅威であるという事態が生じましたところが極東の周辺という観念になる、これすなわち安保条約六条に言うところの「極東」だ、こうなっているのですよ。何とまたこれは大変ですね。その有事研究ですか。  そうしてさらに、もうすでに答弁の中では、平時であると有事であろうがと言われているその有事の中の極東有事のときに、安保条約第五条じゃないのですよ、極東有事のときに当然情報交換というのを日米間でやるというふうな答弁じゃないけれども、局長はそのことを肯定されているわけですね。そうなってくると、それ自身大変な問題だと思うのだけれども、一つお尋ねしたいのは、P2Jが哨戒をやっている区域の中に入っておりますオホーツク海、これをソビエト側からするとソビエトの内海化を考えていると言われています。お認めになりますね。
  271. 塩田章

    ○塩田政府委員 ソビエトがオホーツク海を内海化と考えておるかどうか、私は承知しておりません。
  272. 土井たか子

    ○土井分科員 ソビエト側はこのオホーツク海というのは重要な内海というふうに考えて、デルタ級の原潜をここに就航させているというふうなことが聞こえてくるわけであります。防衛庁としては、このオホーツク海に対してどういう認識を持っておられますか。
  273. 塩田章

    ○塩田政府委員 その前に、さっき私が平時であれ有事であれと言った場合の有事というのは、あくまでも日本の有事のことでございますから、その点はお断りしておきます。  それから、オホーツク海をどう認識しているかということでございますが、日本の北海道に隣接する海でございまして、公海でございます。
  274. 土井たか子

    ○土井分科員 防衛局長、あなた少しいまリズムが崩れてきたようです。  先日の二月の十日の日の答弁では、楢崎委員の質問に答えて「平時であると有事であるとを問わず、いろんな情報収集をやっておりますし、また収集した情報につきまして、いろんな国、たとえば日本の場合、安保体制の相手方であるアメリカとの間に情報交換をしておる」このことは認められておるんですね。そして、極東有事のときにも当然交換するでしょうねというふうに、それは、それに先立って共産党の不破議員が質問されたのに答えて、するかしないかは言えないというふうにその内容に対して、ただいまの御答弁なら否定すべきところを否定されてないんですよ。したがいまして、そういうことから言うと、楢崎委員が、極東有事の際にもやるのはやります、やるについてどういうことをやっているかということについては、内容は具体的なことは言えませんというふうな答弁なんじゃないかと言われたら、それはそうだという肯定の意思表示をされたんであります。  いま極東有事ではない、安保六条に言うところの有事ではないというふうに言われるのは、先日のこの御答弁からしたら違ってきているんじゃないですか。いかがです。くるくる変えないでくださいよ。
  275. 塩田章

    ○塩田政府委員 別に変わっておりませんで、先生の言われる極東有事というのは、私が先ほど来有事、平時を問わずと言っている場合の平時、日本にとっては平時でございますから、それはもうわれわれから言えば平時の場合です。そういう極東有事の、先生のおっしゃる極東有事を含めた平時の場合であれ日本の有事の場合であれ、どういう情報を収集しておるか云々と、こういうお答えをしたわけでございまして、少しも変わっておりません。
  276. 土井たか子

    ○土井分科員 三百代言のようなことを平然とした顔しておっしゃいますね。これは大変な心臓だと言わざるを得ないのですが……。  そうすると、楢崎委員に対しての当時の反応というのは、これは打ち消されますか。極東有事の際にも情報収集をする、しかし、内容は言えない、こういうことで情報収集に対してはこれを肯定された。そういう意思表示をされているんですよ。いまも首を振っておられますけれどもね。そうでしょう、当時。認められたわけでしょうが。首ばかり振らないで、意思表示を言葉でもっていましてください。どうです。
  277. 塩田章

    ○塩田政府委員 極東有事の場合も当然情報収集しているわけです。ですから、要するに言葉の問題ですけれども、私が平時であれ有事であれ、情報は収集いたします、こういう場合の平時というのは、日本にとって平時ですから、その日本にとって平時の中には六条で言うところの極東有事の事態は入っておるわけですね、入り得るわけですね。私は、要するに日本にとって平時であれ有事であれ、情報収集をし、そしてその分析をし、そして交換をする、それは内容は言えない、こういうことを申し上げておる。日本にとって有事の場合と平時の場合、その日本にとって平時の場合の方は、極東のいわゆる六条事態の場合はそれはあり得るわけですから、極東の六条事態の場合にも日本の平時の場合として、われわれは平時としての情報収集はしております。それはもう初めからそう言っておるわけです。
  278. 土井たか子

    ○土井分科員 これはまた異なことをお伺いしますね。安保条約第六条が発動されているとき日本は平時ですか。平時なんですか。これははっきりしてくださいよ。
  279. 塩田章

    ○塩田政府委員 そうなりますと、今度は有事とは何かということになるわけですが、私どもは、七十六条の自衛隊に対する防衛出動、規定がございますが、日本が攻撃された場合あるいはおそれがある場合、その事態以降を有事とわれわれは考えて言っております。  ですから、先ほど来申し上げておりますように、極東有事の場合はわれわれから見れば平時であって、それで七十六条の事態以降がわれわれの言う有事でありますから、そういうつもりで私は先ほど来申し上げております。
  280. 土井たか子

    ○土井分科員 これは非常に問題なんですけれども、時間ですというのがいま来ましたから、詰めていくことに対しては、これからというときにこれは詰めができません。非常に残念に思いますが、最後に一言だけ申し上げて、私は終わりにします。  先ほどのオホーツクの問題ですが、ソビエトはこれを内海化している。で、ここにデルタ級の原潜を配備している。持っているSLBMというのはアメリカをねらっている。そこに対して日本は哨戒活動をやる。アメリカと常時情報交換をする。平時であれ有事であれこれは行う。このことの持っている意味は一体どうか。アメリカから多額の、国民の税金を使ってP3Cを買ってきて、アメリカに情報交換するという、つまり情報提供する。アメリカのためにむしろ情報収集活動をやる。しかも、有事の際、平時の際を問わずこれを行うというふうなこと、これ自身が日本国民の血税を非常に使う、しかもその中身というのが、果たして本当に日本の防衛に資するところがどれほどあるかということを考えたときに、私は非常に疑問を感ずるわけであります。むしろ日本のためではなくて……(「しようがないんだよ」と呼ぶ者あり)横からも声がしておりますけれども、アメリカのために買わされ、使わされ、そしてさらに犠牲にされるというかっこうになっているんじゃないか、このことを最後に申し上げて、終わりにします。
  281. 小渕恵三

    小渕主査 これにて土井たか子君の質疑は終了いたしました。  以上をもちまして防衛庁についての質疑は終了いたしました。  次回は、明二十七日午前九時三十分から開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後八時五十七分散会