○大内
委員 私の聞いております範囲で申し上げますと、たとえば陸上自衛隊は北海道の師団を強化する。たとえば、いまの師団は九千人でございますが、これを一万五千人にする、戦車、火砲、装甲車等をふやす、こういうものが基本になっていますね。それから、海の場合は、護衛艦約六十隻を達成する。このため、退役艦の補充も含めて十九隻の建造を要求する。そして、新艦船には対艦、対空のミサイルを搭載する。潜水艦は十六隻体制を完成する。P3Cは九飛行隊九十機体制を目指して、
予算化されている二十五機にさらに六十五機を新たに要求する。空は、迎撃戦闘機部隊十飛行隊のうち七飛行隊をF15部隊にする。このために新たにF15九十五機強を要求する。
予算化されている七十五機と合わせて百七十機強とする。Cm輸送機十五機、E2C二機追加、さらにはバッジXの完成等々が出されたというふうに、これは相当正確なものだと思うのです。そして、これを積算してみたら大体六兆円ですね。
これは
大蔵大臣、よく聞いておいてくださいよ。五カ年で一兆二千億です。正面装備費というのは大体二五%ですから、総額にいたしますと約二十兆円です。
GNPにいまの
実績で掛けてまいりますと、これだけで大体一・二%毎年平均になります。こんな計算はだれでもできますよ。これはもちろんSAM−X等は入っていないんです。正面装備費だけなんです。正面装備費が上がれば、それにつれて後方支援
関係費は比例して上がるのですよ。その他の機関の
関係費も上がってくるのです。
ここで私がちょっと試算してみますと、
昭和五十七
年度の
予算は二兆五千八百六十一億ですわね、御存じのように防衛費は。そして、これがいま五十七年の
GNP成長率は八・四%と計算していますね。去年は七%ですよ。八・四%で計算してみますと、来年二千四百二十五億円、つまり一〇・九%増という形で進みますと、六十年の段階で一%を切ってしまうんです。去年の七%の
実績で言えば、二千億円の追加で一%、三年後に切っちゃうんです。いまの正面装備費は一年間で一兆二千億です。
しかも、それは制服が自分勝手に頭の中で
考えて出してきた
数字じゃないですよ。「防衛計画大綱」を実践しようとするとそういう
数字だと出してきている。だから、私は、「防衛計画大綱」を実践するんですか、それとも一%をお守りになるんですか、その二者択一の問題が起こったときには一体どちらを優先してお
考えになるんですか。
総理は一%を切らないと言っているけれども、本当にそんなことができますか。できる相談じゃないですよ。
私は、きょうはSAM−Xの問題も触れたいと思いましたけれども、ちょっと時間がないのでこれは触れませんけれども、いまの
状態でバッジXを発注・注文するに当たって、見積書をいま防衛庁はとっていますよ。そこで、SAM−Xで
考えているのは六群です。六群で計算してみろと出しています。六群ということは、これは
数字を言うとちょっと秘密になってくるからあえて言わないが、数十発です。数十基なんです、ファイアユニット。これをもし最低の最低で見積もっても、このSAM−Xを調達するだけで一兆四千三百五十億から一兆五千億は軽くかかるのです。これは大変な
数字なんです。それにあなたは五億二千万円の
予算をつけた。しかも、これは内容的に相当問題があるのです。これは時間があったらいつかやりましょう。
私は、かつて短SAMの問題をやりました。あのときは私にいろいろな反論をされましたが、私の申し上げたことを実践しなければならないという事態に防衛庁自体が入ったことは、後のあのインプルーブを見てもおわかりのとおりです。しかもそのためには、アメリカの企業からその技術を買わなければならぬというような事態が起こっていることも、これは共同開発の問題なんです。それは言いませんけれども、そういう問題が往々にして来るのです。これは容易なことではない。
私は、
総理、一%を維持したいという
総理の決意というのは、政治姿勢として敬意を表するのですよ。しかし、もっと重要なことは、この国際
情勢の中にあって、
日本がどういう地位にあり、どういうことをしなければ
日本の自主的な立場からいってもまずいか。また、国際社会、なかんずく同盟諸国との
関係、特に西側の一員としてそれはやらなければならぬかという立場に立って、防衛力整備という問題は
考えるべきです。そして、もしそれが財政事情の中で、
GNPがだんだん落ち込んでくる、そして一%を超すというケースの方が蓋然性としては高いという
状況がどう見たって見越されるときに、そういう問題を素直に
政府が
国民に投げかけて
国民のコンセンサスを得るということが、私は政治だと思うのです。指導者の任務だと思うのです。いままで逃げ続けてきた。そして、一挙にいまそういう問題が押し寄せてきた。そういう問題について、いろいろいままでの枠にとらわれた議論だけをしようとする。だから私は、防衛費の中身を吟味しなければならぬと言っているのですよ。だから、効率的な問題にメスを入れよと言っているのです。
ですから、SAM−Xの問題についても私は問題提起をしているのです。だって、国防
会議なんか機能していますまい。国防
会議で
総理大臣が、
関係大臣が、
日本の装備、防衛力の整備についてどれだけの知識を持って判こを押していますか。サインをしていますか。何にもわからないで、めくらのサインをしているという
可能性が強い。まあ、そこまで言ったら失礼かもしらぬ。しかし、そういう
可能性がある。アメリカと
日本のその機構は全く違う。防衛庁が出した資料と防衛庁が出してきたこのデータ以上のものを持って、それを査定する力は国防
会議にはない。だから、いまの国防
会議は形だけのシビリアンコントロールだ。これから防衛費が本当にふえていかなければならぬという時代の中で、そういう問題をきちっと立て直さなければ、
国民は防衛費の突出、突出と非難するだけだ。
私は、そういう
意味で、一%論という問題についての
総理の答弁は、現段階で
総理の答弁として承っておきますが、そういう事態にはならない。だんだん、いまのままほうっておくと、一%を軽くオーバーしていく。そして、それがいけないのかいいのかという問題について、
政府ははっきりした決意を持って見解を出すべき段階に来ている、私はそういうことを申し上げておきたいと思うのです。特にこの五六中業をやろうとしたら、なかなか一%でおさまるものではありません。おさめると言うなら、どういう方法で防衛費に対して切り込んでいくのですか。
総理の決意を承りましょう。