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矢野委員 大蔵
大臣、余りしゃべらぬ方がいいと思うのですよ。本当に何だか問題発言ばかりありますよ、あなたの発言は。私もひとつ冷静に、あなたの発言は非常に問題だということで二、三点
指摘したいと思いますけれ
どもね。
要するにあなたの言いたいことは、月給のふえた実額以上に
税金を取ろうと言っているわけじゃない、何ぼか残るわけだから文句言うな、簡単に言えばそういうことだ。いや、そう聞こえますよ。月給のふえた分全部
税金で持っていくわけじゃないんだ、
税金は累進課税で少しふえた、いま三十万円ふえた人でも五万何ぼとおっしゃったですかね。それで残るんだから、不公平、不公平と言うなと言わんばかりのせりふですけれ
ども、それは詭弁というものですよ。やはりそれは、一様にどの職業の方も、物価が上がる、その物価の値上がりに対応して所得がふえているのですよ。その所得のふえ方に対して、どういう割合で
税金を取られているかということが問題なんですよ。そうでしょう。
たとえば、一人当たり平均の
税金の推移ということで、五十二年度と五十五年度とで比べてみましょうか。
給与所得者は五十二年は
税金が十一万七千円、五十五年は十七万四千円、五万七千円
税金がふえた。伸び率は四八・七%。営業の所得者の五十二年の
税金十二万五千円、五十五年は十五万四千円で増額は二万九千円。給与所得者は五万七千円
税金がふえた。営業所得者は二万九千円しかふえていない。農業
経営者は五十二年は五万六千円、五十五年は八万円、増額が二万四千円。この取られている
税金の増額分、ふえた分からいっても、給与所得者は五十二年より五万七千円、これは実額の面でも一番大きいのです。ふえたパーセンテージでいっても給与所得者は四八・七%、営業所得者は二三・二%というふうに違う。
ですから、給料がふえた、それを全部
税金に持っていくわけじゃないのだから文句言うなというような論理は余り通用しない、本当のことを言いまして。給料がふえたといったって、年々物価も上がっておる、実質所得というのはふえていない。いま私が申し上げたのは、給与所得者はほかの所得者に比べて不公平な扱いになっておる。所得
減税を見送られた結果、累進課税
制度というものが高い税率が適用されるから、いままで以上に高いパーセンテージで
税金を取られるという仕組みになっておる。それはしかし、あなたはその中から多少残るからいいじゃないかとおっしゃるかしらぬけれ
ども、ほかの所得者に比べてまず不公平と違いますかということ、これが第一点。
それから、何か実質収入の問題で、去年はえらい攻められたけれ
ども少しは楽になりましたみたいな気楽なことをおっしゃる。ちょうどこれから、そのことであなたにさんざん文句つけようと思っておったのですよ。
先ほどの第一点はいいですな。勤労、営業、農業、こういう所得者に対しての実額面とパーセンテージの面での不公平はどうしてくれるんだということ、これはあなたちゃんと答えてください。
もう
一つは、世帯というのは、分類しますと、
勤労者世帯、それから一般世帯とこう二つある。
勤労者世帯は全世帯の六六%、個人企業が大半を占める一般世帯、これは三四%、こうなっているわけですけれ
ども、
勤労者世帯の実収入は昨年の十月まで春闘の賃上げを下回っていますよ。実質で見ると、パーセントではマイナスとかあるいはちょっと伸びたぐらいの感じ、横ばい、マイナス、微増です。実質の可処分所得で申し上げると、四月、五月ぐらいはプラスだったけれ
ども、後ずっと今日に至るまで
勤労者世帯はマイナスですわ。個人企業が大半を占める一般世帯の消費支出、これは五十五年、一昨年の十一月以降五十六年の十月まで、つまり今日まで連続大幅のマイナスです。去年は攻撃されましたけれ
ども、大分うまくなりましたからやれやれですなんていう気楽なせりふは、これは問題発言です。そんな認識じゃ困る。
勤労者世帯は、実質可処分所得は、四月、五月は例外として、依然としてずっとマイナスが続いているのです。一般世帯も、消費支出は一昨年の十一月から連続の大幅マイナスなんです。どう思いますか。先ほどのと、私、二点申し上げておる。