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武藤(山)
委員 所得税がいかに過酷な激増ぶりをしておるかということは、もう私が言わなくも、
新聞、テレビで
国民はよく
承知をしているところですね。あえてそういう中身について論じる必要はないのでありますが、可処分所得がこんなにも毎月減っておるという実態から見ると、これはもう速やかに減税しなければ、景気問題もそうでありますが、結局
財政再建というのは、サラリーマンがほとんどの部分を負担をし、犠牲になっている、こう言わざるを得ないのですね。だから、公平、公正あるいはバランス、そういう見地からも所得税減税は速やかにやらなければいけない。
可処分所得を見ても、五十六年一月から十月まで、一月が〇・八、二月はマイナス二・二、それから六月からずっとマイナスであります。マイナス二・八、マイナス〇・五、マイナス三・七。この勤労者の可処分所得がマイナスということは、結局税負担が、あるいは保険負担が重過ぎるのですよ。というのは、
政府の新経済社会七カ年計画の今度のフォローアップの分を見ても、
昭和六十
年度に公的負担は、対
国民所得の租税負担二六・五%程度で目標を定めているわけですね。これが
政府の
予算のすべての根本をなしている基礎なんですね。
この七カ年計画で見る負担というのは、税金は二六・五、それから社会保障負担が一一%を目指す、こういうことなんであります。ところが、もうすでに来年この二六、五になってしまうのですよ。租税負担が来年になってしまうのですよ、六十年よりも二年も先に。それでも税負担は軽いと言っているのですよ、大蔵
大臣と
総理大臣は。これはもう当然、この
政府の七カ年計画に合わせるという立場からいったって、減税しなければならないはずなんであります。減税の必要性を私がここで申し上げなくとも、もう
国民の大方の人は、四団体もこぞって、給与所得に対する減税は当然だと言っておるわけであります。
政府は、財源がない、財源がないと言うだけで、逃げているわけであります。財源はあるのであります。
政府がやろうとしないだけなんです、問題は。財源はあるのであります。その財源の問題を
総理、少しやってみたいと思うのであります。
租税特別措置を洗っても財源の余裕がないということを
総理大臣は答えている。
総理大臣は、租税特別措置の整理合理化では多くの財源は期待できない、二番目には、
行政改革もこれ以上やってももうないということ、各省庁の経費もこれ以上の削減は実際上困難である、衆議院の代表
質問に対してこう答えているのであります。そうすると、
総理は、もう租税特別措置でも財源はない、それから各省庁の経費の節約ももうこれ以上だめだ、こう言うのですよ。だから減税できない、こう逃げている。じゃ、
行政改革も経費削減ももう大体頂上なんですね、こう答えているのは。それとも省庁の経費を節約してまで減税には回せないという意味なのか。しかし、
新聞の答弁を全部拾ってみて、いま減税のところだけざっと見てみますと、そう答えているのであります。ですから、財源は新たに見つける以外にない、
総理の見解に仮に従うとしても。
われわれは、不公平税制を直せば財源はまだたくさんある。租税特別措置法というのは何のためにできた
法律ですか。これは、
昭和三十二年ですか、
日本の資本が弱いから、戦争後もっと資本装備を拡大しなければならぬから、「当分の間」こういう措置をとると書いてある。当分の間なんです。租税特別措置法の第一条に書いてある。当分の間がもう何年たちました。二十年以上過ぎたのです。だから、租税特別措置は全部一回やめていいのです、これは当分の間で来たのだから。全部一回やめただけでも大変な増収になります。
それから会社臨時特別税、これも取っていいですね。これはオイルショックのときに与野党一致でできた
法律でありますが、いまはやめております。これ、復活していいですね。これは五億円以上の所得のある法人、ここには法人税に対して一〇%の付加税ぐらい取っていいですね。そういう所得の大きいところに、この際少し負担をしてもらう必要がある。というのは、法人税と所得税の伸びを比較しても、所得税はどんどん負担がふえておりますが、法人税の方は逆にどんどん少なくなっているのであります。いま所得税と法人税の実額が三兆円の開きがあるのです。ですから、やはり法人税にもっとウエートを移してもいいはずでありますから、これからいただくということが
一つ考えられる。これだけでも、三千億円ぐらいは徴収できると思うのであります。
あるいはまた、退職給与引当金の積み増し停止問題も今回
政府案からは落ちてしまって、価格変動準備金だけをいじることになっていまして、退職給与引当金はそのままですね。これも六兆円もあるわけでありまして、われわれはそれを全部取り崩せというのじゃなくて、そのうち新たに積み増す分を否認をするということですから、そう過酷な
やり方ではないのであります。ですから、これでも三千億は出てまいりますね。
いまちなみに、五億円以上の利益の出た会社をちょっと計算をしてみましたら、五十四
年度べースで、国税庁の法人企業の実態から調べてみましても三千八百二十社あります。そうして、所得金額は十一兆四千百九十五億円、その実効税率を掛けて出して、大体三千億は間違いなく税収になる。われわれは、会社臨時特別税で所得税と法人税のアンバランスになったのをバランスをとることも
一つ必要である。そういうように工夫をすれば、不公平税制なりいまのでこぼこ、担税力のあるところから取らない大企業優遇、そういうようなものを少々手直しすれば、一兆円の減税財源はいとも容易に出すことができる。そういうことについて、
総理、野党が一致していろいろ要求をしていることはもう
新聞等で御案内のとおりであります。与野党が一致すればそういうことを検討して減税に踏み切る、こういう決意にはなりませんか。