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1982-07-30 第96回国会 衆議院 本会議 第30号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十七年七月三十日(金曜日)     —————————————  議事日程 第三十四号   昭和五十七年七月三十日     午後一時開議  第一 千九百八十年の国際ココア協定締結に     ついて承認を求めるの件(参議院送付)  第二 千九百八十一年九月二十五日に国際コー     ヒー理事会決議によつて承認された千九     百七十六年の国際コーヒー協定有効期     間の延長受諾について承認を求めるの     件(参議院送付)  第三 日本国政府スペイン政府との間の文化     協定締結について承認を求めるの件     (参議院送付)  第四 日本国政府バングラデシュ人民共和国     政府との間の文化協定締結について承     認を求めるの件(参議院送付)     ————————————— ○本日の会議に付した案件  議員請暇の件  検察官適格審査会委員及び同予備委員選挙  鉄道建設審議会委員選挙  災害弔慰金支給及び災害援護資金の貸付けに   関する法律の一部を改正する法律案(本院提   出、参議院回付)  日程第一 千九百八十年の国際ココア協定の締   結について承認を求めるの件(参議院送付)  日程第二 千九百八十一年九月二十五日に国際   コーヒー理事会決議によって承認された千九   百七十六年の国際コーヒー協定有効期間の   延長受諾について承認を求めるの件(参議   院送付)  日程第三 日本国政府スペイン政府との間の   文化協定締結について承認を求めるの件   (参議院送付)  日程第四 日本国政府バングラデシュ人民共   和国政府との間の文化協定締結について承   認を求めるの件(参議院送付)  松野国務大臣昭和五十七年七月豪雨災害につ   いての発言及び質疑     午後一時十三分開議
  2. 福田一

    議長福田一君) これより会議を開きます。      ————◇—————  議員請暇の件
  3. 福田一

    議長福田一君) 議員請暇の件につきお諮りいたします。  金子一平君、倉成正君及び佐藤信二君から、七月三十一日より八月八日まで九日間、江崎真澄君及び林義郎君から、七月三十一日より八月十日まで十一日間、右いずれも海外旅行のため、請暇申し出があります。これを許可するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 福田一

    議長福田一君) 御異議なしと認めます。よって、いずれも許可するに決しました。      ————◇—————  検察官適格審査会委員及び同予備委員選挙鉄道建設審議会委員選挙
  5. 福田一

  6. 小里貞利

    小里貞利君 検察官適格審査会委員及び同予備委員及び鉄道建設審議会委員選挙は、いずれもその手続を省略して、議長において指名されんことを望みます。
  7. 福田一

    議長福田一君) 小里貞利君の動議に御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  8. 福田一

    議長福田一君) 御異議なしと認めます。よって、動議のごとく決しました。  議長は、検察官適格審査会委員に       天野 光晴君    中村  茂君    及び 市川 雄一君 を指名いたします。  また、  熊川次男君を天野光晴君の予備委員に、  清水勇君を中村茂君の予備委員に、  草川昭三君を市川雄一君の予備委員に 指名いたします。  次に、鉄道建設審議会委員に       二階堂 進君    村山 喜一君    及び 市川 雄一君 を指名いたします。      ————◇—————
  9. 福田一

    議長福田一君) お諮りいたします。  参議院から、本院提出災害弔慰金支給及び災害援護資金の貸付けに関する法律の一部を改正する法律案が回付されました。この際、議事日程に追加して、右回付案議題とするに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  10. 福田一

    議長福田一君) 御異議なしと認めます。よって、日程は追加せられました。     —————————————  災害弔慰金支給及び災害援護資金の貸付けに関する法律の一部を改正する法律案(本院提出参議院回付
  11. 福田一

    議長福田一君) 災害弔慰金支給及び災害援護資金の貸付けに関する法律の一部を改正する法律案参議院回付案議題といたします。
  12. 福田一

    議長福田一君) 採決いたします。  本案の参議院修正に同意するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  13. 福田一

    議長福田一君) 御異議なしと認めます。よって、参議院修正に同意するに決しました。      ————◇—————  日程第一 千九百八十年の国際ココア協定締結について承認を求めるの件(参議院送付)  日程第二 千九百八十一年九月二十五日に国際コーヒー理事会決議によって承認された千九百七十六年の国際コーヒー協定有効期間延長受諾について承認を求めるの件(参議院送付)  日程第三 日本国政府スペイン政府との間の文化協定締結について承認を求めるの件(参議院送付)  日程第四 日本国政府バングラデシュ人民共和国政府との間の文化協定締結について承認を求めるの件(参議院送付
  14. 福田一

    議長福田一君) 日程第一、千九百八十年の国際ココア協定締結について承認を求めるの件、日程第二、千九百八十一年九月二十五日に国際コーヒー理事会決議によって承認された千九百七十六年の国際コーヒー協定有効期間延長受諾について承認を求めるの件、日程第三、日本国政府スペイン政府との間の文化協定締結について承認を求めるの件、日程第四、日本国政府バングラデシュ人民共和国政府との間の文化協定締結について承認を求めるの件、右四件を一括して議題といたします。  委員長報告を求めます。外務委員長中山正暉君。     〔中山正暉登壇
  15. 中山正暉

    中山正暉君 ただいま議題となりました四件につきまして、外務委員会における審査の経過並びに結果を御報告申し上げます。  まず、千九百八十年の国際ココア協定について申し上げます。  本協定は、千九百七十五年の国際ココア協定にかわるものとして、昭和五十五年十一月十九日にジュネーブで開催された国際連合ココア会議において採択されたものであります。  本協定は、生産国及び消費国双方長期的利益を損なうココア価格の過度の変動を防止し、加盟生産国ココアによる輸出収入の安定及び増加を図るとともに、生産者及び消費者双方にとって公平かつ妥当な価格による十分なココアの供給を確保することを目的とするものでありまして、国際ココア機関の組織及び運用緩衝在庫設置緩衝在庫の費用及び運用、一次産品のための共通基金との関係等について規定しております。  次に、千九百七十六年の国際コーヒー協定有効期間延長について申し上げます。  本件は、昭和五十六年九月二十五日ロンドンで開催された第三十六回国際コーヒー理事会決議によって承認されたものでありまして、現行の千九百七十六年の国際コーヒー協定が本年九月三十日に失効することになっておりますので、その有効期間昭和五十八年九月三十日まで一年間延長するものであります。  ただし、国際コーヒー理事会が、昭和五十八年十月一日以降に適用されることとなる現行協定修正または更新に関する加盟国提案について、昭和五十七年六月三十日までに決定を行うことを条件といたしております。  なお、この決定の期限につきましては、本年六月十四日から開催されました国際コーヒー理事会におきまして、六月三十日を先に延ばす旨の決議が行われております。  次に、文化協定について申し上げます。  スペインとの文化協定昭和五十七年三月五日マドリードにおいて署名され、バングラデシュとの文化協定昭和五十七年二月十日ダッカにおいて署名されたものであります。  両協定とも、両国間の学者交換等人的交流及び両国文化的諸団体の間の協力の奨励、相手国文化の理解の増進文化の面における種々の便宜の供与等これまでわが国が諸外国と締結してまいりました文化協定と同様の事項について規定しております。  以上四件は、いずれも参議院から送付されたものでありまして、七月二日櫻内外務大臣から提案理由の説明を聴取し、質疑を行いましたが、その詳細は会議録により御承知を願います。  かくて、七月九日採決を行いました結果、以上四件は、いずれも全会一致をもって承認すべきものと議決いたしました。  以上、御報告申し上げます。(拍手)     —————————————
  16. 福田一

    議長福田一君) 四件を一括して採決いたします。  四件は委員長報告のとおり承認するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  17. 福田一

    議長福田一君) 御異議なしと認めます。よって、四件とも委員長報告のとおり承認するに決しました。      ————◇—————  国務大臣発言昭和五十七年七月豪雨災害について)
  18. 福田一

    議長福田一君) 松野国務大臣から、昭和五十七年七月豪雨災害について発言を求められております。これを許します。国務大臣松野幸泰君。     〔国務大臣松野幸泰登壇
  19. 松野幸泰

    国務大臣松野幸泰君) 昭和五十七年七月豪雨による被害状況と今後の対策について御報告申し上げます。  本年の梅雨期は、平年に比べ、全国的に少雨傾向にありましたが、七月十一日から前線活動が活発となって、二十三日午後から、長崎地方中心とする九州北部で大雨となり、特に長崎市では記録的な集中豪雨となり、甚大な被害が発生しました。  七月二十九日十七時現在の被害状況は、死者三百二十二名、行方不明三十七名、負傷者三百五十三名、建物の全半壊千六百五十八棟、床上浸水二万五千五百二十棟などとなっています。  特に長崎市においては、五百ミリを超す豪雨により、各所でがけ崩れが発生し、多くの死者のほか、多数の行方不明者が出る痛ましい被害となりました。  被災された皆様方の御心痛を拝察し、心からお見舞い申し上げるとともに、亡くなられた方々の御冥福をお祈りする次第であります。  政府におきましては、この災害応急対策を強力に推進するため、七月二十四日に災害対策関係省庁連絡会議を開催するとともに、国土庁長官本部長国土政務次官を副本部長として、関係省庁の職員からなる昭和五十七年七月豪雨非常災害対策本部設置し、直ちに第一回の本部会議を開催し、緊急措置について協議、決定いたしました。  翌二十五日には、私は、政府調査団の団長として長崎市の被災地に赴き、被害の実情を調査するとともに、被災者救出救護等活動に御奮闘されている自衛隊、警察、消防などの関係者を激励してまいりました。  現地調査の結果を踏まえて、七月二十六日、第二回の本部会議を開催し、政府として講ずべき措置決定し、関係省庁において強力に推進することとしました。  その決定されました主な点は、  第一に、行方不明者捜索救出全力を挙げるとともに、避難されている方々救済、防疫、生活物資確保、電気、ガス、水道の早期復旧応急仮設住宅設置など市民生活の安定のため全力を挙げることであります。  第二に、幹線道路生活道路国鉄などの早期復旧を行い、交通確保を図ることであります。  第三に、被害を受けられました方々に対する税財政金融上の適切な措置を講ずることとし、特に中小企業関係被害が甚大であることにかんがみ、政府系中小金融機関による災害貸付制度発動したほか、激甚災害指定について検討することであります。  第四に、再度災害を防止するため、緊急砂防・急傾斜地崩壊対策事業推進及び激特事業を含む河川改修事業実施検討をすることであります。  現在、長崎バイパス国鉄長崎本線復旧などにより交通確保は進み、被災地においても復興に向けて努力がなされており、また、全国各地から救援物資申し出が相次いでいると聞いております。  しかしながら、依然、行方不明者も多くに上っております。政府としましても、行方不明者捜索全力を挙げるとともに、今後とも一層応急対策及び復旧事業の強力な推進を図ってまいることといたしておりますので、よろしく御協力、御配意をお願い申し上げる次第でございます。(拍手)      ————◇—————  国務大臣発言昭和五十七年七月豪雨災害について)に対する質疑
  20. 福田一

    議長福田一君) ただいまの発言に対して質疑の通告があります。順次これを許します。笹山登生君。     〔笹山登生登壇
  21. 笹山登生

    笹山登生君 私は、自由民主党を代表し、今回西日本各地を襲った集中豪雨による災害のための諸対策について質問するものであります。  まずもって、今回被災され、とうとい命を落とされました多くの方々の御冥福を祈り、いまだ行方のわからない方々の一日も早い発見を願うとともに、いち早く再建への歩みを始められました被災地住民方々の勇気と御努力に改めて敬意を表する次第であります。  一昨日から昨日にかけて、衆議院派遣災害対策調査団の一員として、いまだ救出活動の続く現地を見てまいりましたが、一言で言えば、被災現場の余りの壮絶さに言うべき言葉もなかったのであります。  被災現場に向かう調査団が目にしたのは、新たな犠牲者の葬列の連なりであり、現場近くのダムで、いまだ行方のわからぬわが夫、わが子の遺体の捜索の模様を座り込んだまま、うつろな目で見詰める御家族の後ろ姿でありました。まさに被災現場は、死の谷と化したかのごとく静まり返り、整然と作業を続ける救出隊員のあわただしくも無言の動きが、かえって今回の災害の深刻さをそのまま物語っているかのようでありました。  このような中で、災害発生以来、防衛庁、警察庁、消防庁を中心とする政府側のとられた緊急措置は、きわめて有効なものであり、その的確かつ迅速な行動は、被災住民とともに高く評価すべきものであると言えます。  しかし、当座の後片づけも終わりに近づくにつれ、被災地住民方々の心に忍び込んでいるのは、次なる生活の開始への不安であります。  すなわち、被災者方々の今後の生活再建を可能とするための救済措置をいかに早急に確立するのか、また、長期的には、この汚泥にまみれた先祖伝来土地を今後とも被災者方々が永住の地として選べるにふさわしくするための復旧対策をいかに行うか、また、防災を旨とした都市構造地域構造の変革をいかにするか、これが政治のなすべき大きな課題となりつつあると言えるでありましょう。  そこで、まず、国土庁長官に、今後の再建を図る上での大きな前提とする意味で、今回の災害激甚災害として指定するおつもりであるのか、また、農林水産大臣所管ではありますが、天災融資法発動及び自作農維持資金の活用についてどうお考えであるかということをまずもってお伺いするとともに、次に掲げる主な諸点について、総理並びに関係大臣の御所見をお伺いしたいと思うのであります。  まず第一は、被災に伴う中小企業対策確立であります。  今回、特に商店街においては、中元大売り出しを控え、持てるだけの在庫を抱え切った時点で、それらを一瞬のうちに水浸しにしてしまったことにより、その再建に非常な危惧を抱いているのが現状であります。  そこで、激甚災害指定前提に、政府系金融機関特別融資についての条件の大幅な緩和を図っていただくとともに、再建を可能とするあらゆる措置をとっていただくことを願うものであります。  第二は、今回の災害における犠牲者のうち、その過半の命を奪う原因となった山間地または傾斜地における土砂崩れがけ崩れに対する抜本的な対策であります。  今回の長崎市におけるがけ崩れ死亡者の数が、過去五年間の全国がけ崩れによる死亡者の数を上回ったことを見ても、今回の災害の大きさがわかるわけでありますが、この未曽有災害教訓に、この際、緊急傾斜地崩壊対策事業緊急治山事業林地崩壊防止事業等充実を願うものであります。  その意味で、全国的な規模での防災関連予算充実については、一層の御配慮を望むものであります。すなわち、治山治水緊急措置法の一部改正が行われ、また、治水五カ年計画治山五カ年計画についても閣議決定され、それぞれの総投資規模決定されているところでありますが、これらの計画完全実施を進めることが、すなわち災害を未然に防ぐ大きな役割りを果たすものと確信する次第であります。したがって、厳しい財政事情の中にあっても、来年度予算編成に当たっては、特にこれらについての御配慮を望むものであります。  第三は、今後とも被災地住民の方が永住し得る安全なる都市構造地域構造確立であります。  今回の豪雨では、ことに長崎市において、長崎の母なる川として市民から愛された中島川が大きくはんらんし、果ては三百五十余年の歴史を有する重要文化財眼鏡橋の流失も招来したのであります。長崎特有の勾配の大きい地形のもとで、一時間百ミリを超す雨が降ったという異常事態でのものであったことはともかくとし、この災害を機に、都市河川改修の緊急なる進捗をお願いするものであります。  同時に、今回の災害によって、ことに長崎市において目立ったのが、ビルの地下における動力施設等の損傷の著しかったことであります。特に、病院においては、検査機能が麻痺し、市民の生命を預かる医療機関として、まことに危うい状態も発生したという事実であります。このこと一つ取ってみても、都市機能が進化すれば、その後を追うように災害も多様化してくることの証左を見ることができるのであります。  その意味で、防災のための都市づくりを、その土地の風土なり地形に合わせ志向することが、いまこそ求められるべき課題となりつつあると思うのでありますが、建設大臣いかがお考えでしょうか。  ともあれ、われわれ政治家は、災害のあった都市構造を問題にすることはもちろんではありますが、にもかかわらずそこに住まざるを得ない住民の心情をまず酌むべきでありましょう。そして、今回の災害教訓にして、先祖伝来土地を離れることなく安全に住めるための諸方策を用意することが、この際、政治に最も求められているものであると考えるものであります。  以上、今回の災害に関連し、幾つかの点についての総理並びに関係大臣の御所見をお伺いしたいわけでございますが、総理は、海における水難の恐ろしさは身をもって御承知されていることと思うわけであります。しかし、至極安全で機能的な場であると思われる都市において、突如として水難に見舞われるということは、ある意味では、海上における事故よりも残酷な結果をもたらすものであります。  今回の災害が、たとえ九九%の特殊な気象条件によってもたらされたものであるにせよ、もしも一%といえども自然のじゅうりんを許す瑕疵があったとすれば、これは人災として、われわれ政治家は責めを負うべきものではないかと思うわけであります。  その意味で、今回の災害を契機に、一層の諸策の充実を図られんことを願いまして、私の質問を終わります。(拍手)     〔内閣総理大臣鈴木善幸登壇
  22. 鈴木善幸

    内閣総理大臣鈴木善幸君) 笹山議員お答えいたします。  まずもって、今回の長崎市を中心とする西日本一帯を襲った豪雨により犠牲となられた方々の御冥福をお祈りするとともに、その御遺族に対し、謹んで哀悼の意を表します。  また、今回の異常豪雨により被災された地方公共団体住民各位に対し、衷心よりお見舞いを申し上げます。  最初に、被災中小企業に対する現行融資条件緩和の点でございますが、昭和五十六年度に政府系中小企業金融機関災害貸付限度を引き上げたところでもあり、現行制度を最大限に活用してまいりたいと思います。  なお、激甚災害早期指定につきましては、その前提となる被害額調査を急ぎ、要件に適合する場合には、できるだけ速やかに指定を行うよう最善の努力を行う所存でございます。  次に、治山治水五カ年計画完全実施を進めることが必要であるとの御意見でありますが、申し上げるまでもなく、治山治水事業は、国土の保全と開発を図り、社会経済の進展に即応して国民生活の安全と向上に資する緊要な事業でありまして、このため、鋭意その事業推進を図ってきたところであります。  このたびの長崎県を初めとする各地災害の実態を見ますと、治山治水事業のなお一層の推進が必要であると考えます。このため、厳しい財政事情のもとではありますが、第六次治山治水事業五カ年計画推進について十分努力してまいりたいと考えます。  最後に、平穏な生活を突如として破壊する災害から住民を守る防災対策に取り組む姿勢についてお尋ねがありましたが、御承知のとおり、わが国は風水害、地震等自然災害に襲われやすい条件下にあり、過去幾たびとなくとうとい人命や財産を犠牲とする災害に見舞われ、その教訓をもとに災害を克服するため闘ってきたのであります。政府としても、国民生活安全確保は行政に課せられた基本的な使命であるという認識のもとに、引き続き災害対策推進してまいる決意でございます。  以上、お答えをいたしましたが、残余の問題につきましては、所管大臣から答弁をいたさせます。(拍手)     〔国務大臣松野幸泰登壇
  23. 松野幸泰

    国務大臣松野幸泰君) 激甚災害指定については、目下、関係省庁において鋭意被害状況の把握に努めているところであり、最終的な被害報告がまとまり次第、検討することとしておりますが、特に中小企業関係につきましては、被害が甚大でありますので、被害額が確定次第、指定手続を行うべく検討を進めております。  また、農作物等についても、現在調査中であり、その結果を待って、天災融資法発動検討することといたしております。(拍手)     〔国務大臣始関伊平登壇
  24. 始関伊平

    国務大臣始関伊平君) お答えを申し上げます。  第一問は、今回の集中豪雨災害における犠牲者のうち、過半数の原因となったのが山間地傾斜地におけるがけ崩れあるいは土砂崩れであるが、これに対する対策いかんというお尋ねと存じます。  この問題につきましては、今日までも、災害が発生した場合は、従来から緊急急傾斜地崩壊対策事業等によりまして対応してまいったのでありますが、今後ともさらにこれらの事業充実を図ってまいる所存であります。  それから第二点は、河川、特に都市河川整備の問題についてでございますが、この点につきましては、第六次治水事業五カ年計画におきましても、中小河川、特に都市河川を最も重要な事項といたしまして、着実な達成を図ることといたしております。都市中小河川整備の大幅な増進を図ってまいる考えであります。  お話しのとおり、治水事業の総投資規模は五年計画において決まっておるわけでございますが、その中で都市中小河川については特に力を入れてまいりたいということと、それからもう一つは、全体の枠は大体決まっておりますけれども、毎年毎年予算はその年度ごとに決まるわけでございますから、公共事業重要性、特に治水事業重要性にかんがみまして、予算の御支援のもとに、できる限り予算確保に努めてまいりたいということを申し上げて、お答えとしたいと思います。  なお、防災のための都市づくりという点について、御意見を添えてお尋ねでございました。  わが国都市の中には、お話しのように、木造家屋の密集、河川、街路、公園等都市施設整備水準不足等防災上問題のある地区が数多く存在しております。これらの地区防災性向上を図ることは、きわめて重要な都市政策上の課題であります。  これらに対処いたしますために、災害の危険を排除した土地利用の適正な規制誘導河川避難路避難地等都市施設計画的整備災害の危険の高い地区における市街地再開発事業推進等所管事業等を総合的に活用いたしまして、一層災害に強い都市づくりを積極的に進めてまいる所存であるということを申し上げて、お答えといたします。(拍手)     —————————————
  25. 福田一

    議長福田一君) 中村重光君。     〔中村重光登壇
  26. 中村重光

    中村重光君 日本社会党を代表いたしまして、長崎中心に大被害をもたらした集中豪雨災害に対する救済対策について、緊急質問をいたします。  まず、私は、被災されました長崎県を初めとする全国十二県の皆様にお見舞いを申し上げますとともに、亡くなられた方々の御冥福をお祈りし、御遺族、さらには負傷された方々と、その御家族に対しまして、心よりお見舞いを申し上げます。  さて、今回の集中豪雨災害は、二十九日現在判明をいたしているだけで、ただいま国土庁長官から御報告がございましたように、死者三百二十二人、行方不明者三十七人、負傷者三百五十三人という甚大な人的被害をもたらし、がけ崩れ、道路、橋梁の損害一万五千八百九十四カ所、河川決壊一万三千四百九十四カ所という莫大な損害をもたらしております。とりわけ長崎県は、一時間に百五十三ミリという観測史上第二位の集中豪雨に見舞われ、死者二百八十五名、行方不明者二十七名、負傷者二百八十七名という被害をもたらし、県推計千八百六十七億一千万円、商工関係被害だけでも九百五十億を超すという大被害を受け、被一災地では深刻な事態を迎えています。  私ども日本社会党は、直ちに対策本部を設置し、政府に対し調査団の派遣と緊急対応策を要求し、つぶさに現地状況を把握するとともに、街頭募金活動政府に対する救済対策の第二次申し入れなどをいたしましたが、被害状況は惨たんたるものがあります。政府は積極的な対策を緊急に講ずるよう強く要請するものであります。  ついては、具体的な対応策について逐次お尋ねをいたしますので、鈴木総理ほか関係大臣の明確な答弁を承りたいと思います。  まず、鈴木総理お尋ねをいたしますが、甚大な被害をもたらした長崎市の都市災害について、その原因についてどのような御認識をお持ちでしょうか。また、被災地ではいまだに電気もガスも水道も完全に回復せず、土ぼこりの中で行方不明者を捜し求め、なお学校の体育館の床で不安な毎日を過ごしている被害者について、総理はどのような心情でおられるのでしょうか。  次に、政府対策本部長である松野国土庁長官お尋ねをいたします。  第一に、政府長崎市を激甚災害法の対象に指定する方針と伺いましたが、いつ指定されるのか、明確にお答えいただきたい。また、長崎市だけでなく、周辺地域を初め甚大な被害を受けた熊本県等も速やかに指定すべきであります。さらに、河川激甚災害対策特別事業についても、浦上川、中島川だけではなく、八郎川等も採択すべきであると思いますが、大臣の確固たる方針を伺いたい。私は、激甚災害法の指定基準を緩和し、被災地に少しでも早く更生の希望を与えるため、被災地の要求に直ちにこたえるべきであると考えます。(拍手)  第二に、ただいま成立をいたしました災害障害見舞金制度創設を内容とする災害弔慰金法一部改正について、三点の要請をいたします。  まず、弔慰金、障害見舞金、貸付金をこの際政府は引き上げる努力を行うべきであります。  次に、今回創設される予定の障害見舞金については、ただいま採決によっても明らかではありますけれども、今次災害負傷者三百四十人の大部分が受けられるよう、要件を緩和すべきであると考えます。  第三に、この改正弔慰金を一刻も早く支給すべきであります。明確な御答弁をお願いをいたしたい。  さらに、家屋倒壊等の個人災害に対し、どのような救済措置を講じようとしているのか、お伺いをいたしたい。  今次災害に対する地方自治体の財政負担は莫大な額に上りますが、地方財政は、行財政改革によって逼迫した状況にあります。この際、復旧事業、民生安定対策に要した費用の全額を特別交付税によって補てんすべきであります。また、地方債の発行についても特別の配慮が必要だと考えますが、自治大臣の所見をお伺いをいたします。(拍手)  今回の災害で商工業は多大の損害を受けました。長崎市だけでも八百五十五億円、事業所二万二千四百六十一のうち六千五百事業所が被害を受けました。このままでは商工業は立ち直ることができません。  鈴木総理お尋ねをいたしますが、第一に、激甚災害指定を一日も早く行い、間接被害も金利三%の低利融資の対象とするとともに、融資限度額の引き上げ、低利融資期間の延長。  第二に、火災共済協同組合の行う風水害に関する組合共済事業の算定について、火災と同様の算定方式がとられるよう国が助成を行うこと。  第三に、高度化資金、設備近代化資金及び政府系金融機関の既往融資について償還猶予期間の延長を図ること。  第四に、復旧に当たり、商工関係の小規模事業費補助金、商店街防災施設の整備については、国が特別の助成を行うとともに、所得税、事業税等の減免を行うこと。  以上のような救済措置は最低必要であると考えますが、総理の御方針はいかがでありましょうか。具体的な救済策をお伺いをいたします。(拍手)  私がなぜこのように個人災害、商工業被害に対する救済を強調するかと申しますと、今回の災害は降雨量が多いこともありますが、行政の怠慢、手抜きが大被害を招いたという事実があるからであります。  第一には、災害時の行政対応、これに対する問題があります。警報と集中豪雨発生の時間がほぼ同時であるという事実であります。道路交通についても、建設省、県、市の間の調整に手間取り、緊急物資の輸送等に混乱を引き起こしました。  また、近年、地震対策の一環として東海各県の都市では民間業者との協定が結ばれておりますが、今回の場合、たとえば運輸、建設、ガス、医療、電気等の分野において、災害時の対応と協力についての協議、協定もなかったことは、混乱を深め、応急措置を遅延させた原因となっているのであります。国土庁長官は、政府の責任者として、日常どのような指導をされておられるのか、お答えを願いたい。  第二に、御承知のとおり長崎は、良港の例に漏れず、山と海に囲まれた坂の多い地形であります。先人の賢い生活の知恵は、山の緑を大切にし、傾斜地における住宅等の建造物の建設を抑えてまいりました。それが都市計画の怠慢と規制の甘さによって宅地の乱造成、乱開発が進み、昭和四十六年以後に建設された新市街地は、全市街地の六二%にも達し、これらはすべての山を崩し、木々を倒してつくられたものであります。山の木と土が持つ涵養機能の後退は、全市を災害に弱いものにしてまいりました。長崎には、急傾斜崩壊危険個所が五千五百カ所あるとされております。加えて、市内を流れる河川の改修が、二十五年前の諫早大水害の経験にもかかわらず、その整備基準も全国平均の一時間当たりの雨量五十ミリをわずかに上回るという低いものであり、その改修も中止されております。つまり、無計画な町づくりや、治水ダムの建設の放置と低い基準の都市河川の改修が、今回の大災害の最大の原因であります。長崎のような地形都市は、全国には数多いのであります。建設大臣並びに国土庁長官は、その責任をどのように感じ、今後どのような方針で臨まれるのか、お答えをいただきたい。  また、今回の災害において、特に川平町の治山ダムの一部倒壊も一つの原因となり、三十四人が亡くなられております。ダムの一部倒壊は、堤防のコンクリートの継ぎ目が密着せず、積み重ねたブロックが外れたような形となっており、地元住民は手抜き工事の疑惑と憤りを抱いているのであります。原因の究明のため、厳重な調査を要求し、総理の明確な御答弁をいただきたい。(拍手)  今回の大災害に対して、全国から長崎へ救援の手が差し伸べられております。いま緊急に必要なのは、個人災害救済、母子世帯、生活保護世帯への手厚い援助であります。政府は、予備費からどのくらい支出するのか明確にすべきであります。  総理、あなたは行政改革に政治生命をかけると言われますが、あなたの行革の本資を問われるこの災害への対応について、明確な方針を伺いたい。  以上の点をお尋ねをいたしまして、また強く要求をいたしまして、私の質問を終わります。(拍手)     〔内閣総理大臣鈴木善幸登壇
  27. 鈴木善幸

    内閣総理大臣鈴木善幸君) 中村議員にお答えいたします。  まず、このたびの豪雨災害により多くのとうとい人命が失われ、多数の人々が多大な被害を受けましたことは、まことに痛ましい限りでございます。  その原因については、短時間に記録的な豪雨に見舞われたことと、平地が少なく険しい山地の多い地形などの要因が重なり合って生じたものと考えます。  また御指摘のとおり被災者生活の安定は何よりの急務であり、関係者の懸命な努力によりまして、一時のかなりの数の停電も現在までに復旧し、断水家庭も大幅に減少するなど復旧作業はかなり進んでおります。今後引き続き完全復旧へ向けて努力するとともに、一日も早く被災者方々がもとの平和な生活を取り戻していただけるよう努めてまいりたいと存じます。  次に、商工業者に対する援助等につき具体的な御要請が幾つかございました。このうち、低利融資の対象拡大、火災共済協同組合に対する国の助成は困難ではありますが、低利融資限度の引き上げ及びその期間の延長の問題につきましては、貸付限度が昭和五十六年度に引き上げられたところであり、現行制度を最大限に活用してまいりたいと存じます。  また、高度化資金等の償還猶予、小規模事業指導費補助金等については、実情に応じ所要の措置を講ずることといたしております。  なお、商店街防災施設の整備につきましては、実情に応じ中小企業事業団の高度化融資を活用することとし、所得税、地方税につきましても、減免等所要の配慮を行うことといたしております。  次に、川平町の治山ダムについてお尋ねがございましたが、今回の災害により、長崎県が施行した治山ダムの放水路上部が一部損傷していることは事実であります。ただ、この原因は、今回の史上まれに見る集中豪雨に伴う土石流の衝撃によるものであり、ダム自体としての機能は十分に働いたと県から報告を受けております。  最後に、行革問題に触れつつ今次災害への対応策についてお尋ねがございましたが、国民生活の安定確保は行政に課せられた基本的な使命であるという認識のもとに、政府としてもかねてから災害対策推進してきたところでありまして、今次災害被災者救済及び復旧についても万全を期してまいる所存でございます。  また、所要の財源措置につきましても、調査結果を待って適切に対処いたしたいと存じます。  以上、お答えをいたしましたが、残余の問題につきましては、所管大臣から答弁をいたさせます。(拍手)     〔国務大臣松野幸泰登壇
  28. 松野幸泰

    国務大臣松野幸泰君) 激甚災害指定については、目下関係省庁において鋭意被害状況の把握に努めているところであり、最終的な被害報告がまとまり次第、検討することにしておりますが、特に中小企業関係につきましては、被害が甚大でありますので、被害額が確定次第、指定手続を行うべく検討を進めております。  激甚災害指定のためには、その前提として被害額の把握が必要であり、現在関係省庁調査を急いでいるところであります。激甚災害指定の要件に該当するものについては、所要の事務手続を早急に行うべく検討を進めております。激甚災害指定には、まず被害額の把握が先決であり、指定基準の緩和については目下考えておりません。  なお、中小企業関係につきましては、被害が甚大でありますので、被害額が確定次第、指定手続を行うべく検討を進めております。  衆議院災害対策特別委員長の御提案による災害障害見舞金制度の新設を内容とする災害弔慰金支給及び災害援護資金の貸付けに関する法律の一部を改正する法律案は、本日成立いたしました。この改正法律案は、本年七月十日以降に生じた災害から適用することとなっておりますので、速やかに所要の措置を講ずる所存であります。  なお、御提案の障害見舞金の要件緩和や弔慰金等の限度引き上げについては、今後の課題として慎重に検討してまいりたいと考えております。  県、市においては、災害対策基本法に基づく地域防災計画において、災害情報の収集、伝達、予警報の発令、救助、その他の災害応急対策等の計画を定めているが、今次豪雨のような異常の災害に対処するためには、なお一層の体制の強化が必要であり、今後とも指導に努めてまいりたいと考えております。(拍手)     〔国務大臣始関伊平登壇
  29. 始関伊平

    国務大臣始関伊平君) 私に対する質問は二点あったと存じます。  一つは、浦上川、中島川のみならず、八郎川についても、いわゆる河川激甚災害対策特別緊急事業として取り上げるべきだということでございますが、この激甚災害対策特別緊急事業につきましては、それぞれ採択の基準がございますので、調査をいたしまして、検討の結果、この基準に該当いたしますものをこの緊急事業として取り上げてまいりたい、かように存じております。  もう一つは、今回の大災害原因とその処理方針ないしは責任の問題についてでありますが、今回の災害は、未曽有豪雨とそれから急峻な地形、これは土石流を直ちに誘発することが多いわけでございます。さらにまた、山間地傾斜地で、がけ崩れの起こりやすい場所に多くの住宅が建設されておったということが最大の原因であると考えております。このうちで、元来危険な地域に市街地ができる、あるいは既成の市街地でも、そういう危険な場所にあるというものにつきましては、今後十分に注意いたしまして、急傾斜地崩壊防止法という法律に基づきまして、危険な地域を指定するという制度もございますし、また、建築基準法によりまして、ある地区には住宅の建築を禁止するという制度もございますので、これらの諸制度を十分に運用いたしまして、今後このような災害が重ねて起こることを防止してまいりたい、かように考えておる次第でございます。(拍手)     〔国務大臣世耕政隆君登壇
  30. 世耕政隆

    国務大臣(世耕政隆君) 今回の災害に対する地方自治体の莫大な財政負担に対してどういう対処をするか、こういう御質問でございました。  応急措置としまして、まず普通交付税の繰り上げ交付を行います。これは長崎県、熊本県を中心にしまして、大体百八十六億円を早急に交付すべく、ただいま手当て中でございます。  今後、被災団体が行うべき災害復旧事業、民生安定対策等に要する経費につきましては、実情を十分調査いたしまして、被害状況に応じて、それから財政状況を勘案しまして、地方債の配分あるいは特別交付税措置等を通じまして、適切に対処してまいりたいと存じます。(拍手)     —————————————
  31. 福田一

    議長福田一君) 鍛冶清君。     〔鍛冶清君登壇
  32. 鍛冶清

    ○鍛冶清君 私は、公明党・国民会議を代表いたしまして、ただいま議題となりました豪雨災害に関し、総理並びに関係各大臣に若干の質問を申し上げますので、誠意ある御答弁をお願いをいたします。  去る七月二十三日の夕刻から、長崎地方中心に、熊本、大分地域を襲いました集中豪雨は、昭和三十四年に発生いたしました伊勢湾台風以来の大きな被害をもたらしました。  一週間たちました今日ただいまでも、被災地の皆さん方は懸命の努力をなさっておられますが、いまだに遅々として復旧が進んでおりません。がけ崩れ、鉄砲水、家屋の倒壊や浸水、河川の決壊、道路や橋の損壊、電気、ガス、水道施設の損壊等々、想像を絶する被害が広がっています。  さらに胸が痛みますのは、この災害で亡くなられた方々行方不明の方々が合わせて三百名を超すという大惨事になっていることでございます。家族の方々被災地の皆さんのお心はいかばかりでございましょうか。この席をおかりいたしまして、お亡くなりになられました方々の御冥福と、一日も早く被災地の皆さんが力を合わせて復旧が終わり、力強い再出発をなさいますことを心よりお祈りをいたすものでございます。(拍手)  わが党も、少しでも早く被災された皆さんのお手伝いをしなければと、災害発生直後、直ちに党本部に九州地方集中豪雨対策本部を設置し、活動を開始いたしました。  また、この災害に対しまして、全国各地から続々と真心のこもった救援の手が差し伸べられてはいますものの、現地状況は非常に厳しく、復旧作業も困難をきわめており、本格的な台風シーズンを控えまして、さらに強力なそして早急な国の救援が待ち望まれています。  このたびの大災害は、集中豪雨がもたらした雨量は百五十三ミリという記録的なものとなり、これに満潮時が重なるといった悪条件が引き起こしたものではありましょうが、さらには、無秩序とも思われる都市化の進展が被害を加速したことも否めない事実でありましょう。  御承知のとおり、長崎市は平地がきわめて少ない坂の多い港町で、終戦当時は十四万人であった人口が、今日では四十五万人と急速にふくれ上がってきております。そのため、いろいろな対応がおくれ、無秩序な宅地造成が行われてきた事実は否めないと思います。その結果、必然的に出水によるがけ崩れ、鉄砲水などを誘発しやすい条件がつくられていたと言えましょう。これらの現状を踏まえながら、以下、数点にわたって質問をいたします。  まず、質問の第一点は、激甚災害特別措置法に基づく激甚災害指定についてであります。  大規模被災状況から見ましても、激甚災害指定されることは当然のこととは思いますが、現地の皆さんにとって最もいま必要なことは、これが速やかに適用され、実施されることであります。この点について、どのように対処しておられるのか、また、いつごろ指定でき得るのか、総理の決意のほどをお伺いをいたします。  第二点は、被災者に対する住宅、金融、税金の問題等、生活再建対策についてであります。  被災家屋の建て直し、修改築に対する住宅金融公庫の特別融資の早期実施を初め、被災した中小企業者の生活再建と経営の安定を図るための商工中金、中小企業金融公庫、国民金融公庫等の特別融資や既往の借入金に対する償還期限の延長、税金の減免措置被災農業者への救済措置など、被災者に対して総合的な生活再建対策を速やかに講ずる必要があると思いますが、総理のお考えを伺いたいと思います。  質問の第三点は、都市河川整備についてであります。  今回の水害では、長崎の市街地も、中島川、浦上川のはんらんで濁流にのまれてしまいましたが、この実情の上から、都市河川整備のあり方について多くの問題点が指摘されております。  建設省におきましては、昭和四十七年から、都市河川について、一時間の雨量五十ミリ程度に耐えることを基準に河川整備を進めているようであります。ところが、全国の市街地を流れる都市河川の総延長は約一万一千キロメートルに及んでおりますが、そのうち、この五十ミリの雨量に対してすら、これに耐えられるように整備できておるのは、わずかその三八%にしかすぎません。  この実情から見ても、防災の視点から、早急にこれら残り河川六二%の整備を進めなければならないことは申すまでもありませんが、さらにこの際、一時間雨量五十ミリ以上の雨が降り、しかも今回のような湿舌現象のもとで百ミリを超す集中豪雨各地で見受けられる現状を踏まえましたときに、現在の整備基準を根本的に見直すべきであると考えますが、建設大臣の御所見をお伺いいたしたいと思います。  質問の第四点は、宅地造成等のあり方についてであります。  現在、宅地造成や建築物の基準等については、都市計画法、建築基準法、宅地造成等規制法などによってチェックされることになっています。これらの関係法律が、防災、安全対策の面で相当の効果を発揮していることは十分承知いたしております。しかし、これらの個々の関係法律に沿って造成されました宅地や建築物も、当初は安全でありましたものが、年月がたつにつれて、周りの自然環境や物理的環境の変化によりまして、その安全性が損なわれてくるという現実がございます。  ことに人口急増の大都市周辺地域では、後背地の山林の伐採や水田の埋め立てなどで森林の水源涵養機能が著しく低下をいたしたり、遊水地としての機能が喪失してくるなどの現象が全国各地で目立ってきております。その結果、それらの地域は、集中豪雨等に対して大変脆弱な構造になってしまっていると言っても過言ではございません。  そこで、建設大臣にお伺いいたしますが、防災、安全対策という視点から、今後の宅地造成の進め方について再検討を行うべきときが来ている、こう思いますが、いかがでありましょうか。  質問の第五点は、国土利用計画や地域計画河川計画関係についてであります。  治水事業を実効あるものとするためには、河川の下流域の整備とともに、上流域の砂防ダムや洪水調整ダムの整備、森林資源の保護、無謀な宅地造成や乱開発の規制等を含め、防災の立場から国土利用計画や地域計画河川計画を一体的に推進する必要がありましょう。  本来、遊水地や河川敷による洪水調整機能は、特に中流、下流域では多大な効果を発揮するものでありますが、現実には都市化の進展の中で遊水地や河川敷が縮小されてきている傾向にあり、その機能が失われてきているのです。これは全く重大なことであります。  そこで、地域計画の一環といたしまして遊水地の確保を強力に進めるとともに、必要に応じて関係省庁間や省内の縦割り行政の壁を乗り越えて積極的な土地利用規制を行うべきと思いますが、建設大臣並びに国土庁長官のお考えをお伺いいたしたいと思います。  また、国土の六七%が山林であり、しかも国民の大半が住みやすい河川流域を中心生活を営んでいるため、実に全国民の五二%、資産について言いますと六八%が潜在的に洪水の危険にさらされている実情でございます。このことを考えますと、わが国では、国土保全という視点から実効ある治水事業を進めるためには、今後治山事業と不離一体的に推進することが不可欠であると思いますが、この総合的な調整について総理はどのように考え、どのように進めていこうとされるのか、所見をお伺いいたしたいと思います。  質問の第六点は、災害復旧事業についてであります。  行政改革を推進している今日、財政事情も大変厳しいことは重々承知してはいますが、都市河川等の災害復旧事業につきましては、将来再び同じような災害を繰り返させないようにするためにも、現地の実情に即応した改良復旧事業を促進すべきだと考えますが、建設大臣のお考えをお伺いいたしたい。  また、被害市町村に対しては、普通交付税の繰り上げ交付、特別交付税の増額など早急に財政援助措置を講ずべきであると考えますが、自治大臣にお答えをいただきたいと思います。  質問の第七点は、危険区域内の住居移転についてであります。  ことし五月、長崎県が策定いたしました水防計画によりますと、県下の土石流発生危険地区は四千四百三十八カ所にも及び、その対象家屋は十五万三千八百八十一戸にも上っているということであります。そのうち長崎市内だけとってみましても、危険地域は五百六十七カ所に及び、対象戸数は一万三百四十戸にも及んでおります。  このような危険地域から移転する場合、現在、防災のための集団移転促進事業特別措置法が適用され、助成が行われることになっていますが、適用要件が厳し過ぎるとの批判も出てきております。この中で、今回特に基準以下の少戸数の住宅の移転が数多く考えられる中で、基準緩和の要望が非常に強く出てきております。この実情から見まして、この際、少戸数であっても本法が適用されるような特例措置を講ずることが必要であると思いますが、この点についてのお答えをいただきたいと思います。  質問の第八点は、災害警報、避難体制と救援体制の整備についてであります。  今回のように梅雨期特有の局地的な集中豪雨を的確に予測することは、現在の技術水準ではきわめてむずかしいとも言われておりますが、今後のことを考えますと、河川整備等、ハードの面のみではなく、ソフトの面も大切になってくると思います。この観点から、当面の対応策として、地域住民に対する避難誘導や情報伝達システムを開発整備を行っていくことは急務でありましょう。  また、災害発生後の救援活動をスムーズに行うためには的確な誘導や情報伝達が大切であることは言うまでもありませんが、今回の貴重な体験の上から、交通規制についても考える必要があると思います。  これらの問題について今後どのように対処していかれるのか、お答えをいただきたいと思います。  以上、八項目にわたり質問を申し上げました。総理並びに関係各大臣の誠意ある御答弁をお願いいたします。  最後に、要望でございますが、長崎、熊本、大分の被災地の皆さんが立ち上がるためには、なお一層のきめ細かい身近な対策が必要であります。これは地方自治体が行うことになると思いますが、飲料水や都市ガスの問題、屎尿・ごみ処理の問題、防疫対策等々、数多くの問題が山積いたしております。  これらの対策を地方自治体がスムーズに行うことができるよう、国において、あらゆる面にわたって強力にバックアップしていただきたい、このことをお願いいたしまして、私の質問を終わらせていただきます。(拍手)     〔内閣総理大臣鈴木善幸登壇
  33. 鈴木善幸

    内閣総理大臣鈴木善幸君) 鍛冶議員にお答えいたします。  まず、激甚災害指定促進についてでありますが、その前提となる関係省庁被害額把握を急ぎ、要件に該当する場合、でき得る限り速やかに指定するよう最善の努力を払ってまいります。  次に、被災者生活再建のための援助措置につきましては、すでに政府災害対策本部において各般の対策決定し、関係省庁は鋭意その推進に努めておるところであります。すでに、災害復興住宅資金の貸し付け、中小企業に対する災害貸付制度などの発動や、国税通則法による期限の延長を図ることとしておりますが、引き続き被害状況を急ぎ調査し、適切な措置を講じてまいる所存であります。  最後に、治山治水事業の一体的整備など、国土利用計画のあり方についてお尋ねがありましたが、政府といたしましては、河川の安全管理についても十分な配慮をしつつ、国土利用計画推進に努めているところであります。今後とも、治山治水事業など、流域を総合的に整備するという観点に立って計画的な国土利用を図ってまいる所存でございます。  残余の問題につきましては、所管大臣より答弁をいたさせます。(拍手)     〔国務大臣松野幸泰登壇
  34. 松野幸泰

    国務大臣松野幸泰君) 被災中小企業者に対しましては、政府系中小三金融機関災害貸付制度及び中小企業体質強化資金助成制度を発動しております。  また、既往の借入金に対する償還期限の延長につきましては、個別に中小企業者の実態に応じ、適切な措置を講ずることとしております。被災された納税者等に対しましては、申請あるいは申告により、被害の程度に応じ、税の軽減、免除、期限の延長などの措置を講ずることとしております。  被災農業者の救済措置につきましては、被害状況の把握を急ぎ、その調査の結果を待って、天災融資法発動検討することとしております。なお、自作農維持資金の融資についても、被害の実情に即し、適切に対処することとしております。  国土利用計画や地域計画の策定に当たり、河川計画とも調整を行うなど、従前から防災保全についても十分配慮しているところであり、また、関係省庁においても、これらの計画に基づき、必要に応じ、開発行為等の規制措置を講じているところであります。国土庁としましては、関係省庁と連絡を密にし、さらに適切な土地利用が図られるよう努力してまいりたいと存じております。  防災集団移転促進事業は、被災現地における集落等の再建によっては、当該地域の住民の生命、財産の安全を期しがたい等の問題がある場合に、市町村においてある程度の規模の団地を新たに造成し、そこへ住民に集団的に移転していただこうとするものであります。このような措置から、移転先の団地の規模としては十戸以上という基準が設定されております。なお、移転戸数が十戸に満たない場合でも、建設省所管のがけ地近接危険住宅移転事業に沿うものは、その事業の適用を図り、危険な住宅の移転を進めております。今後とも、両制度を活用して、危険な住宅の移転を図ってまいりたいと考えております。  以上でございます。(拍手)     〔国務大臣始関伊平登壇
  35. 始関伊平

    国務大臣始関伊平君) 最初に、河川、特に都市河川についてのお尋ねでございますが、大体一時間の降雨量を五十ミリというふうに想定して都市河川の改修をするということは、実情に適しないのではないか、また、整備の済んでおらないものがまだ六〇%以上もある、これをどうするかという問題でございますが、一時間五十ミリと申しますのは、平均的な値を申しておるのでございまして、それぞれの河川の実情、実績に応じまして、八十ミリ、九十ミリというふうなことも考えておる。場合によりましては、四十ミリぐらいで押さえておるようなところもあるのでございまして、それぞれの河川の実情、実績に応じまして、これを勘案して改修計画を立てているのだということでお答えをいたしたいと思います。  それから、洪水の予報のシステム等でございますが、これは河川局におきましてもやっておるわけでございまして、それぞれの河川について洪水の予報、さらに水位の上昇の経過等を測定いたしまして、これを関係方面に通報をいたして、災害に対処しておるのでございますが、出水の早い都市河川については、今後ともより一層その開発整備を図ってまいりたい、そういうふうに考えておる次第でございます。  それからその次に、同じく河川関係でございますが、治水事業を実効あらしめるための施策についてお尋ねがございました。  治水事業は、国土の保全と開発を図り、もって国民生活の安全と向上に資する事業でございまして、長期的視野に立って計画的に推進を図る必要があると考えております。このために、国土の利用計画、それから地域計画等と整合をとり、事業推進を図っているところでございまして、先ほど御指摘のございましたように、砂防や洪水調整ダム、森林資源の保護、それから乱開発の防止等いろいろな点と調整をとり、整合をとってやってまいっておるのでございますが、今後ともこうした観点に立って治水事業推進を図ってまいる所存でございます。  それから、改良復旧をやったらどうかというお話もございましたが、今回の災害が激甚なものであったことにかんがみまして、再度災害を防止し、民生の安定を図るために、極力改良復旧によりまして対処したいと考えておるということをお答え申し上げます。  もう一つ、ちょっと違った問題といたしまして、宅地造成のあり方ですか、特に防災、安全対策の観点から宅地造成等を再検討すべきではないかという御意見でございました。  この問題につきましては、ただいままでの調査によりますと、宅地造成等規制法による宅地造成事業における規制の面については、それなりの効果を示していると思われるのでありますが、がけ崩れなどによる宅地災害が著しいという今回の実態を踏まえまして、さらに関連諸法令の総合的な、かつ的確な運用を図るとともに、災害状況の詳細な把握を待って、関係法令制度の見直し、強化の必要があるか否かについても十分研究してまいる所存でございます。  宅造法の全面的な見直しが必要であるのではないかとおっしゃいましたが、宅造法や建築基準法にそれぞれ適切な規定があるのでございますが、実際問題として、それが今日まで眠っておった、うまく利用されなかったというところに問題があるのではないかと思うのでございまして、その適切な、あるいは的確な運用についてこれから見直していきたい、地方自治体の皆さんにもお願いしたい、かように考えておる次第でございます。(拍手)     〔国務大臣世耕政隆君登壇
  36. 世耕政隆

    国務大臣(世耕政隆君) 被災市町村の莫大な損害に対する復旧財源措置をどうするかという御質問でございました。  まず、応急の措置としまして普通交付税の繰り上げ交付を行います。これは長崎県、熊本県を中心にしまして大体百八十六億円用意いたしまして、これを早急に交付するべくただいま手続を急いでおります。今後被災団体が行う復旧事業などに要する経費については、十分調査いたしまして、被害状況と財政状況を勘案しまして、地方債の配分または特別交付税措置等を通じまして適切に対処してまいりたいと存じます。  次に、避難誘導体制、情報伝達システム、この確立を急ぐ必要があるが、こういう御質問でございましたが、住民に対する災害時の情報の伝達、それから避難の措置、これが的確で速やかでなければならないことは当然のことでございまして、今回の教訓を生かしまして厳しく災害の危険性のある場所の見直しを行い、日ごろの防災訓練、特に避難訓練の徹底を期してまいりたいと思います。また、災害時に要する避難の勧告、それから指示につきましては、防災無線、サイレン、半鐘、広報車、職員の巡回等いろいろな手段を通じまして迅速な伝達が確保できるように指導しているところでございますが、今後ともなお状況に応じて的確な対処が行われるように一層の努力をいたしたいと存じます。  次に、災害発生後の救護活動を行うのに交通規制が欠かせないことでございますが、この問題については、大災害発生後におきまして交通の混乱を防止して、災害応急対策関係の車両の通行路を優先的に確保するために、道路の破損状況及び復旧状況を迅速に把握しながら、災害地域に通ずる道路につきまして、交通規制、迂回誘導、交通情報の収集、提供などによって、的確かつ広域的な交通管制を実施してまいりたいと存じます。(拍手)     —————————————
  37. 福田一

    議長福田一君) 小渕正義君。     〔小渕正義君登壇
  38. 小渕正義

    ○小渕正義君 私は、民社党・国民連合を代表して、七月二十三日長崎地方中心に襲った集中豪雨による災害に関して、総理並びに関係大臣に対して質問を行うものであります。  まず初めに、今回の集中豪雨によって亡くなられた方々の御冥福を祈るとともに、被災された方々に心よりお見舞いを申し上げるものであります。また、いまなお行方不明の方々の早期救出と、入院された負傷者の一日も早い回復を心からお祈りいたします。(拍手)     〔議長退席、副議長着席〕  民社党は、災害発生後、直ちに党内に豪雨非常災害対策本部設置し、翌二十五日調査団長崎に派遣いたしました。  静かな祈りと坂の長崎の町は、無残にも土砂と瓦れきの町と化し、根こそぎ流失した石橋群、陥没した道路等、災害の悲惨さを物語っておりました。  また、被害の範囲は、長崎県のみにとどまらず、九州、四国等十四県にも及んでおり、死者行方不明は三百人をはるかに超え、家屋の全壊、流失等は千六百戸という大災害となっています。  政府は、今次災害に対してどのような対策をとろうとされているのか、その施策についてお尋ねをいたします。  まず、激甚災害指定についてであります。  今回の集中豪雨被害災害対策基本法に言う「著しく激甚である災害」に当たることは、いまさらここで指摘する必要もないでありましょう。政府は速やかに今次災害激甚災害指定すべきだと考えますが、総理の御見解を承りたい。  また、国土庁長官は、すでに委員会の審議を通じて激甚災害指定を言明されたと承っています。にもかかわらず、いまだ指定がおくれているのは、指定までの事務処理に時間がかかるためとの話でありますが、これは事実かどうか。もしも事実だとするならば、これはきわめて重大な問題だと言わざるを得ないのであります。  被災地長崎のまず最初の要望は、激甚災害指定でありました。被災した自治体は、一刻も早く災害復旧全力を投入するのでありますが、当然財政的な制約がかかってきます。これに対し、国がいち早くバックアップの体制を整えることこそ、何物にもかえがたい励ましであり、自治体の大きな活力となるものであります。  にもかかわらず、一刻を争う災害処理に対し、国の事務手続に時間を要し、激甚災害指定がおくれるというこうした状態、こういう仕組みは、一体いかがなものでありましょうか。この点についての総理並びに国土庁長官の御見解をお聞きするものであります。  また、集中豪雨による土砂の堆積と道路の陥没により国、県、市町村道は寸断され、都市機能は麻痺し、生鮮食料品等は高騰し、住民生活に重大な影響を与えています。主要幹線道路復旧こそ緊急の課題でありますが、これらの対策と、国道三十四号線復旧までの長崎バイパスの無料化についてはどのようなお考えをお持ちなのか、お尋ねいたします。  また、これからは台風シーズンに入ります。二次災害防止のためにも、主要河川の改良、砂防対策、急傾斜地崩壊対策等を早急に行う必要があります。  また、これらの復旧に当たっては、単なる原形復旧ではなく、改良復旧を本旨として行わなければならないと思います。政府は、これら公共事業の早期重点配分を行うべきであると思うのでありますが、これを行う用意があるのかどうか。また、このためには予備費を取り崩す以外にないと思いますが、これだけでは改良復旧事業の遂行は不十分であります。五十七年の補正予算を組んで災害復旧関係公共事業の大幅な増加が必要でありますが、総理は、この点についてどのように対処されようとしているのか、明確なる御答弁をお願いするものであります。  今回の水害によって、中小企業者並びに農業従事者の方々は大きな痛手を受けています。特に長崎中心街である中小商工業者は、中元を控えての大量の仕入れ商品や、店舗施設は甚大な被害をこうむっており、その金額は約九百五十億円とも言われているのであります。このため、政府金融機関による特別融資、商品被害に対する救済措置を早急に実施すべきであります。また、被災農家に対して、天災融資法の適用による天災資金枠の配分並びに自作農維持資金の配分等についても特段の配慮を行うべきであると考えますが、この点について関係大臣の御答弁を承りたいと思います。  また、被災地の多くの家屋が流失、損壊し、これらの再建を急ぐべきであります。とりあえず、いまなお体育館等に避難している住民のための仮設住宅の建設について政府はどのように対応されようとしておるのか、お尋ねいたす次第であります。  また、今次災害被災者の大半は勤労者であり、そのほとんどが新築住宅のローンの返済中の方々であります。これらの被災者の家屋の建設、修築等に対し特別の措置を講ずる必要があるわけでありますが、建設大臣はどのような対策をお持ちなのか、お尋ねをいたします。  次に、文化財保存についてお尋ねいたします。  長崎には三百五十年前つくられた重要文化財である眼鏡橋がありますが、今回の中島川のはんらんによって、流失は免れたものの大きな損傷を受けています。また、国の文化財である石橋群がほとんど流失したのであります。これらの貴重な文化財は、歴史の遺産として末永く保存さるべきであると思いますが、政府はこれら石橋群の復元についてどのような所見をお持ちなのか、お尋ねいたします。  次に、今次災害は未曽有集中豪雨による天災であり、やむを得ないとも言われているのであります。しかしながら、適切な防災指導が行われておるならば、家屋の流失はやむを得ぬといたしましても、せめても、多くの人命だけは防ぎ得たのではないかという疑問なしとしないのでありますが、これらの防災指導のあり方について、政府は日常どのような対処をなされておるのか、その点に対する政府の御見解をお伺いいたします。  次に、被災地の防疫対策であります。  これから暑い夏を迎えて、小学校校庭にうずたかく積まれているごみや泥土は、その臭気とともに、伝染病発生の要素をはらんでいるのであります。また、被災地の中ではいまだに給水されない地域もありますが、これらの防疫体制について政府はどのような対策を進められるのか、お尋ねをいたします。  戦後四十年に至ろうとする今日まで、わが国は数々の水害を経験してきました。この間、防災対策に関して相当の成果を上げていることは今次災害の中でも実証されています。しかし、今回のような局地的な集中豪雨による土石流、河川のはんらんなどの災害への対策は、いまなお不十分であると言わざるを得ません。特に今回の長崎被災を例にとりましても、人口の都市集中による都市生活圏の増大、急傾斜地への家屋の密集、低平地への住宅地域の拡大など、都市水害の危険性は事前に十分に指摘され得たはずであります。  今後政府に課せられた大きな課題は、単なる治水工事の促進のみならず、国土開発都市開発を進める上で、災害対策の面からどのように進めるのか、突発災害に強い町づくりをいかに推進するかということが今後の大きな課題であると思いますが、今後の防災対策の基本姿勢について総理の所信をお伺いいたします。  日本の置かれた宿命として、強力な台風や梅雨前線による豪雨は毎年わが国を襲ってまいります。これらの災害に備え抵抗力をいかにつけるか、国土保全の抜本的対策確立が急務であることを強調するとともに、今次災害発生に伴い、いち早く救援活動に出動し、日夜懸命の努力を傾注されている陸上自衛隊を中心とする機動隊や、消防団の皆様方の御協力に心から敬意を表し、私の質問を終わります。(拍手)     〔内閣総理大臣鈴木善幸登壇
  39. 鈴木善幸

    内閣総理大臣鈴木善幸君) 小渕議員にお答えいたします。  まず、激甚災害早期指定をせよとの御要請でございますが、その前提となる関係省庁被害額把握を急ぎ、要件に該当する場合には、できる限り速やかに指定するよう最善の努力をしてまいります。  次に、災害関係公共事業の早期重点配分等についてでありますが、今回のような事態に対処するため、当初予算災害復旧事業費を計上しており、緊急に復旧を必要とする個所についての応急工事につきましては、その中から重点的に配分を行うことといたしておるところでございます。  なお、災害復旧のための補正予算の必要性につきましては、被害金額が判明した段階で総合的に判断してまいりたいと思います。  次に、被災中小商工業者に対する救済策についてでございますが、長崎県については七月二十四日、熊本、大分両県につきましては七月二十六日、それぞれ政府系中小企業金融機関災害貸付制度発動したところであります。今後も、被害実態の早期把握に努め、実態に応じて激甚災害指定も含めて的確な措置実施してまいる所存でございます。  最後に、天災融資法の適用と自作農に対する特別融資についてでありますが、このたびの豪雨による被災農家に対する経営資金対策につきましては、被害の実情に応じまして適切に対処してまいる所存でございます。  残余の問題につきましては、所管大臣から御答弁を申し上げます。(拍手)     〔国務大臣松野幸泰登壇
  40. 松野幸泰

    国務大臣松野幸泰君) 激甚災害指定のためには関係省庁における被害額把握が必要であり、これに相当の時間を要するのが実情でありますが、でき得る限り速やかな指定に一層努力をしてまいります。  今回の災害により住宅をなくされ、自力では住宅を確保することができない方々に対しましては、災害救助法による救助として、応急仮設住宅を可能な限り設置することとしております。  現在までのところ、被災地において伝染病の発生があったとの報告はありませんが、被災地におきましては、県の指示のもとに市町村が消毒の実施等総合的な防疫活動を進めておりまして、特に被害の大きい長崎県では、隣接県、福岡県、佐賀県の応援も得て防疫対策に万全を期しているところであります。(拍手)     〔国務大臣始関伊平登壇
  41. 始関伊平

    国務大臣始関伊平君) お答えをいたします。  一番最初の御質問は、主要幹線道路の早期復旧対策を図るとともに、長崎バイパスの無料化を図るべきではないかということでございますが、ただいま主要幹線道路等の早期復旧全力を挙げて努めております。有料バイパスはすでに二車線実用に供用されておるのでございますが、無料化は昨日決定をいたしまして、現地に通知をいたしました次第でございます。  それから、その次に公共事業の早期重点配分等の問題、なお補正予算を組むかどうかといったような問題でございますが、この点は、ただいま総理からお話がございました。ただ、建設省の立場といたしまして、公共事業の早期重点配分ということでございますが、これは現地の準備ができ次第、調査ができ設計ができるというような段階になりますれば、直ちにそれに必要な経費の配分、いわゆる早期重点配分をいたすつもりでございます。  それから、住宅の問題でございますが、住宅金融公庫等の金を借りまして住宅を建てました者が、その住宅が災害に遭ったという場合におきましては、状況のいかんによりまして返還の延期等の措置が講ぜられることになっております。  なおまた、もう一遍建てようという場合には、災害復興住宅資金貸付という制度がございまして、金利それから支払い期限の延長等におきまして一般の場合より有利な条件の貸付制度がございますので、それでやるようにということを住宅公団の方に通知をいたしておる次第でございます。  それから、災害時における防災体制でございますが、これは非常に大事である。建設省河川局等におきましても、みずから河川別の気象観測をいたしまして、また水位の水準ですね、水がどこまで上がったかということも自動的にこれを把握することができるようになりまして、災害の危険がどの程度迫っておるかということをそれぞれの必要な方面に連絡をいたしておるのでございます。  なおまた、建設省では、河川については水防訓練というものを場所によりましてはかなり大げさにやっておりますが、そういう防災訓練等を通じまして、国民一人一人の防災思想の高揚を図るように指導してまいっておるのでございます。  それから、都市開発を進めるに当たって防災上の問題を配慮することは大事だという御指摘につきましては、全く同感でございまして、要するに、市街地を新しくつくるというような場合には、災害の発生のおそれのある地域はこれを避けるということでございまして、そのためにいろいろな法律がございますが、これを適切に運用してまいりたい、かように存じます。  なおまた、都市開発に伴う宅地造成でございますが、これが防災配慮を要する地域につきましては、技術基準に合致した工事を義務づけるというようなことを行っておるのでございまして、いずれにいたしましても、適切な助言指導によりまして災害の防止に万全を期してまいりたい、かように考えておる次第でございます。  以上、お答え申し上げます。(拍手)     〔国務大臣小川平二君登壇
  42. 小川平二

    国務大臣(小川平二君) 七月二十三日の集中豪雨長崎市内の石橋群が被害を受けておりまするが、重要文化財の指定を受けております眼鏡橋につきましては、できるだけ早期に破損の状況調査いたしまして、補助事業によって復旧を図ってまいります。(拍手)     —————————————
  43. 岡田春夫

    ○副議長(岡田春夫君) 野間友一君。     〔野間友一君登壇
  44. 野間友一

    ○野間友一君 私は、日本共産党を代表して、死者行方不明者が三百五十名を超えるという甚大な被害を受けた集中豪雨災害について、総理並びに関係閣僚に質問をいたします。  質問に入る前に、犠牲となられた方々に対し衷心より哀悼の意を表するとともに、被災者の皆さんに心からお見舞いを申し上げるものであります。  わが党は、今回の災害を重視し、すでに二次にわたる現地調査団を派遣して、被災者の救援、復旧対策の支援などに当たってまいりました。  私自身も、本院から調査のため派遣され、この目で被害状況をつぶさに見てまいりました。これらを通じて、改めて政府防災対策の貧困さを痛感せざるを得なかったのであります。  一時間百五十三ミリというような記録的な集中豪雨原因とはいえ、このように被害を大きくした主要な原因の一つは、根本的な防災対策実施しないまま、危険な宅地造成、開発を許してきたことにあります。今回の集中豪雨による死者行方不明者のうち、がけ崩れによるものは百二十名、全体の三分の一以上を占めております。国土庁の調査によっても、近年、丘陵地等の傾斜地での住宅開発が進んでおり、山崩れ、がけ崩れによる災害の危険性はむしろ増大しているとしているのであります。  また、建設省も、がけ崩れの起きやすい危険個所は、急傾斜地だけでも全国で六万四千カ所にも上り、その周辺には実に百万戸の住宅があることを認めています。  中小河川の改修整備全国的に放置されており、時間雨量五十ミリに耐え得る中小河川は何と一八%にしかすぎません。  しかも、第二臨調の第一次答申を受けた政府は、今年度予算編成防災関係予算を百一億円、特に災害復旧予算を除きますと二百七億円も削減したことは総理承知しているはずであります。  このようにして防災行政の充実を怠り、災害に強い安全な国土づくりに逆行し、国土を荒廃させた歴代政府の姿勢こそ、大被害を招いた一つの要因であります。総理は、今回の災害政治責任をどのように感じておられるのか、明確な答弁を求めるものであります。災害の危険個所の総点検と公開、防災重視の予算編成の決意を表明すべきではありませんか。(拍手)  さらに、都市計画、宅地開発のあり方の抜本的な再検討並びに地形に合った勤労者の住宅確保対策を立てるべきであると思いますが、いかがでありましょうか。お答えを願います。  次に、被災者救済など緊急対策について質問をいたします。  その第一は、災害救助法の適用期間の延長と全面的な適用についてであります。災害発生後一週間がたちましたが、がけ崩れではいまなお二十一名の行方がわからず、懸命の捜索活動が行われております。そのほか、被災者に対する救助はこれからというところであります。とりわけ、全壊、流失世帯が三百十八戸もある長崎市では、被災者は、避難所にせよ、身寄りの家にせよ、限界に近い状態となっており、さらに、公営住宅への入居もすでに満員となったため、応急仮設住宅の建設が急務となっています。国が責任を持って土地のあっせんや十分な建設費を支給し、希望者全員を収容する手だてをとるように特に求めるものであります。  また、被害を受けた一般家庭からのごみなどが、いまなおうずたかく道路に積まれています。また、トイレは水浸しのままの家庭が多く、日常生活に大きな支障を来しております。早急に対策を講ずべきであります。  以上の点について厚生大臣の答弁を求めます。  二次災害の防止についてお尋ねをいたします。  この集中豪雨の後、山に亀裂が入ったり崩れかかっているところが続出し、わが党の調査でも長崎市北陽町の滑石団地など市内で五カ所もあり、その下に八百世帯の人が不安におびえながら生活をしております。これらについての緊急の予防対策並びに避難体制について万全の方策をとるべきでありますが、しかと御答弁を願います。  長崎市芒塚のように、大量の土石が流れ込み、町内全体が高さ三ないし四メートルの土石によって埋め尽くされ、個人の力ではとうていこれを除去することができず、多くの人々が途方に暮れております。この土石の除去は、国道や川の復旧と一体となって実施しなければ不可能であります。より幅広い救済について配慮すべきだと思いますが、建設大臣の答弁を願います。  次に、今後の災害復旧対策に関し、以下六点について、総理並びに関係大臣に質問をいたします。  第一に、寸断された国道三十四号線の早期復旧を図るとともに、その間、長崎市民の唯一の動脈路である長崎バイパスを一般車両も含め無料にすること。  第二に、罹災者公営住宅建設事業に係る激甚災害指定を早急に実施し、家を失った被災者を入居させること。  第三に、中小企業被害に係る激甚災害指定を早急に決定するとともに、激甚災害法を改正して、政府関係機関による特別融資の限度額を大幅に引き上げ、さらに償還期間の延長を図るべきであります。同時に、制度資金の返済については、支払い猶予措置実施すべきであります。  第四に、河川や道路など、公共土木施設及び農業用施設などに大きな被害を受けた市町村についても、激甚災害指定をすること。  第五に、はんらんなどにより大きな被害を引き起こした長崎県浦上川、中島川、八郎川の改修は、河川激甚災害対策特別緊急事業として早急に実施すること。  第六に、急傾斜地の崩壊による災害を再び起こさないため、緊急急傾斜地崩壊対策事業を早急に実施するとともに、予備費の使用も含めて、必要な予算確保することであります。  わが党調査団に対して、長崎市の幹部は、お金の心配をせずに対策に専念できるようにしてほしいということを切々と訴えておられました。国はあらゆる制度を駆使して被災地の自治体の要望にこたえるという立場に立って、これらに前向きの答弁を要求する次第であります。  最後に総理、最大の被災地長崎では、第二の原爆にやられたという声すら出ております。三十七年前に原爆で焼き尽くされた長崎市民は、今度は水攻めに遭いました。まさに戦争と災害の二重の苦しみを負わされているのであります。  レーガンの限定核戦争構想のもと、政府は五六中業で十六兆円もの大軍拡計画決定いたしました。これは防災対策を後景に押しやるものと言わざるを得ません。臨調の言う国民の安心と安全どころか、第二、第三の長崎水害は必至とさえ言わなければなりません。  わが党は、政府の大軍拡、防災無視に強く反対し、国民の生命、財産を守るため、今後とも全力を尽くすことを表明して、質問を終わります。(拍手)     〔内閣総理大臣鈴木善幸登壇
  45. 鈴木善幸

    内閣総理大臣鈴木善幸君) 野間議員にお答えをいたします。  最初に、今回の集中豪雨災害原因と責任をどう受けとめているかとのお尋ねがありましたが、このたびの災害がこのように大きな被害をもたらしたのは、短時間に記録的な豪雨に見舞われたことと、平地が少なく険しい山地の多い地形などの要因が重なり合って生じたものと思います。  なお、自然災害に対しましては、国、地方公共団体はもとより、地域住民においても、それぞれの責任において必要な措置をとることとなっておりますことは、御承知のとおりであります。  次に、乱開発に伴う災害防止対策について御意見がありましたが、急傾斜地の崩壊の危険個所については、昭和五十六年から再点検を始め、現在集計中であり、その結果は地域防災計画に組み入れることにしております。また、がけ地などにおける宅地開発につきましては、災害防止の観点から、宅地造成等規制法を初めとする各般の施策を講じておりますが、今回の災害の実態をよく調べてみて、これらの措置の適否について十分検討いたしたいと考えております。  次に、防災重視の予算を組めとの御意見がありましたが、昭和五十七年度の防災関係予算につきましては、財政再建という厳しい環境のもとで、内容的に充実したものとなるよう配慮し、効率的な執行を図ることといたしております。  なお、このたびの災害に係る復旧事業につきましても、災害査定の結果を待って適切に措置してまいりたいと考えております。  最後に、政府系中小企業金融機関災害貸付限度の引き上げの問題でありますが、同貸付限度は昭和五十六年度に引き上げられたところであり、現行制度を最大限に活用してまいりたいと考えております。  なお、既往貸付金の返済猶予につきましては、個別中小企業の実情に応じて実施するよう、各機関を指導いたしております。  以上、お答えいたしましたが、残余の点につきましては、所管大臣から御答弁をいたさせます。(拍手)     〔国務大臣森下元晴君登壇
  46. 森下元晴

    国務大臣(森下元晴君) お答え申し上げます。  今回のような大災害による被害に対しましては、まず衣食住、これは生存のための一番最要件でございますけれども、この問題にまず優先的に着手いたしまして、それから生活環境の整備の問題、医療、保健、衛生対策を早急に実施すること、このように思っております。  そこで、御質問に対しまして四点に分けてお答えをさしていただきます。  第一の災害救助法の適用期間及び対象の問題につきましては、災害救助法における救助は応急的に実施するものでございまして、適用期間、対象については一定の基準を設けて実施しているところでございますが、従来から、被害の程度によっては期間の延長を図る等の処置を講じ、救助の実施に万全を期してきたところでございます。今回の災害につきましても、その被害が大規模かつ深刻でありますので、被害の実情に即した救助がなされるよう十分配慮してまいりたい所存でございます。  第二点は、災害救助法による応急仮設住宅の建設費の補助単価についてでございますが、建設諸経費の上昇等を勘案いたしまして、毎年度その引き上げを図ってきているところでございます。また、従来から家族の多い世帯につきましては、その人員に応じた面積を設定する等、実情に応じた運用を図っているところでございますので、今次災害につきましても同様、十分配慮いたしたい、弾力的な運用をしたい、このように思っております。  なお、仮設住宅建設のための国有地の提供につきましては、今回の災害発生に伴い、公共団体から仮設住宅建設に必要な用地として国有地を使用したい旨の申し出がございましたならば、できる限り協力してまいりたいと考えております。  次に、長崎市内の屎尿くみ取りについて、近隣市町村の援助を拡大し、促進を図るべきでないかということでございますが、被災件数約六千戸を含む屎尿くみ取りの申込件数は一万一千五百戸に及んでおります。長崎市は、七月二十五日以降、近隣の地方公共団体等から収集車の応援を得まして、できる限り実施をしております。七月二十九日、きのうまで、申込件数の約三分の二を完了しております。その残りにつきましては、交通規制が実施されております東長崎地区中心となりますが、早急に解決すべく、できるだけ早くできるように全力を挙げたい、このように思っております。  なお、最後でございますけれども、個人住宅の堆積土砂を早く除去しろということでございまして、この問題につきましては、住居またはその周辺に土石が運ばれて日常生活に著しい障害を及ぼしている場合、みずからの努力ではとうてい土石を除去することができない世帯に対しましては、災害救助法の救助として土石の除去が実施されることになっております。本災害に対しましても、この救助の活用を図ることにより被災者救済を図ってまいりたいというふうに考えておりまして、これも全力を挙げたいと思っております。  以上でございます。(拍手)     〔国務大臣始関伊平登壇
  47. 始関伊平

    国務大臣始関伊平君) お答えをいたします。  質問が多岐にわたっておりますが、最初に、市街地の堆積土砂の問題でございます。  これは一定規模以上のものにつきまして市町村長がこれを排除する場合に、都市災害復旧事業の一環といたしまして、建設省が助成を行っているところでございます。今回の七月豪雨災害による堆積土砂の排除につきましても、各市町村において、公共施設の復旧とあわせて、一日も早く民生の安定を図るべく懸命の努力を続けているところでありまして、これに対して、国といたしましても積極的に援助してまいりたいと考えているところでございます。  それから、長崎バイパスについてのお尋ねでございますが、これはすでにお答え申し上げましたように、一般国道三十四号の開通までは無料化ということで昨日道路公団に通知をいたしまして、すでに実施されておるのでございます。一般国道三十四号の方は、自動車の通行が可能となりますまでに大体一月程度と考えておりますので、その間は長崎バイパスの方は無料で一般の供用に資する、かように考えておる次第でございます。(「一般車両を通すんだね」と呼ぶ者あり)一般車両もただで通す次第でございます。  それからその次に、中島川、浦上川などの河川の改修につきまして、これを河川激甚災害対策特別事業として採択せよというお話でございますが、これは実情を調査いたしまして、緊急対策事業に採択いたしますための採択の基準というものが決まっておりますので、検討をいたしてまいる所存でございます。  それから、急傾斜地の崩壊対策事業でございますが、これは総理からも御答弁ございましたが、ただいま全面的に調査をいたしております。調査の結果といたしまして、必要だと判断されます個所については、すべてこれを実施する、必要な経費につきましては、政府の部内で十分検討の上対処させていただきたい、かように存じております。  それから、罹災者の公営住宅でございますが、住宅に関する被災の詳細につきましては現在調査中でございますが、被災者用の住宅を確保いたしますために、地方公共団体から要請がございますれば、災害公営住宅の建設を検討してまいる、助成をいたしたい、かように考えております。  以上、お答えを申し上げました。(拍手)     〔国務大臣松野幸泰登壇
  48. 松野幸泰

    国務大臣松野幸泰君) すでに御質問の点につきましては、総理、厚生大臣、建設大臣からお答えになりましたように、私も災害本部長として相協力して、御期待に沿うように全力を尽くしてまいりますので、よろしくお願いをいたします。(拍手)     —————————————
  49. 岡田春夫

    ○副議長(岡田春夫君) 石原健太郎君。     〔石原健太郎君登壇
  50. 石原健太郎

    ○石原健太郎君 私は、新自由クラブ・民主連合を代表いたしまして、ただいま議題となりました松野国務大臣発言についての質疑を行います。  まず初めに、今回の豪雨により被災された方々に心からお見舞いを申し上げます。同時に、政府に対し、被害に遭われた方々に立ち直りのための温かい援護の手を差し伸べるとともに、復旧作業などに最大限の努力を払っていくよう強く要望するものであります。  今回の災害は、多いところでは一時間当たり百五十三ミリの降雨量という未曽有豪雨によって起こされ、不可抗力的な面もありましたが、もともとわが国は急峻な山地が七割以上を占め、洪水、がけ崩れなど、雨に弱い体質であることは御承知のとおりであります。したがって、そのような体質を克服し、少なくとも人命には被害が出ないようにすることが、国土づくりの大きな課題であると思います。豪雨災害を初め大地震や火災にも対応できる国土、住宅政策の充実が急がれなければなりません。  国土庁長官は、これらの点をどうお考えか、また、復旧事業の今後の方針についてどのように考えておられるのか、お伺いいたします。  また、本院より派遣されまして昨日視察しました熊本市郊外では、加勢川のはんらんにより、合計三千三百ヘクタールもの田が冠水し、うち三百四十ヘクタールは収穫皆無となったのであります。現地の方の説明によりますと、いまから約三百五十年前、加藤清正が築堤した当時、市街地の方の堤防は高くつくり、反対側は低くして、いざという際の遊水地にしていたとのことでありますが、一帯が水田になった今日も、いまだ堤防は昔のままに放置されているのであります。何回も襲う水害に苦しむ現地では、二十数年も前から河川の改修を強く再三要望していたにもかかわらず、一向手がつけられず今日に至り、また今回の災害になったということです。行政の怠慢ではないでしょうか。  再度のはんらんにより、山鹿市、三加和町等に甚大な被害を及ぼした菊池川についても同じことが言えるのでありますけれども、両河川についてはいかに対処されるのか、建設大臣にお尋ねいたします。  次に、わが国河川法による河川整備工事基準は、中小河川において一時間当たり五十ミリ、一日当たり百五十ミリの雨量を想定して整備されているようであります。今回洪水を起こした中島川、浦上川もこの基準によって整備されたものであります。私は、全国一律のこの基準は速やかに是正すべきと考えます。なぜなら、同じ河川であっても、川の長さ、傾斜、河口の幅、地質、流域の工場、人口などによってその特質が大きく違ってくるからであります。長崎のような傾斜が急で河口が狭く、潮の満ち干の影響を大きく受けるところの川と、そうでない地域の川と区別するのは当然と考えます。  また、長崎に似た地形特質を持った地域はほかにも多く見ることができます。神戸、横浜、佐世保、呉、横須賀などがそれであります。このような都市では、いつ何どき長崎豪雨災害が再発するかわからないのが実情です。いまの工事基準は早急に見直す必要があると考えますが、いかがでしょうか。  次に、土地、住宅関係の法制面についてでありますが、宅地造成等規制法の基準は、今回の災害を機に、甘いのではないかと各方面から指摘されております。擁壁や地盤整備等の公的基盤整備も一層充実すべきと考えます。また、急傾斜地における頂上付近を市街地にするような際には、災害危険地域を十分勘案した線引きをすべきであり、都市計画法の線引き基準の見直しが必要であると考えます。地方の都市でも、地価が高いため、外周部や丘陵地の宅地化が進み、最近の自然災害の三分の一は、こうした傾斜地での土砂崩れによって起こっております。  かつてインダス文明の栄華を誇ったモヘンジョ・ダロは、れんがづくりの大都市をつくり上げました。しかし、れんがを焼くために森林を伐採して、そのため洪水を防ぎ切れず、消滅したのは余りにも有名な話であります。山を削っての宅地造成も確かに必要ではありますが、それが極端になり、行き過ぎになっては、愚かな歴史を繰り返そうとする以外の何物でもありません。  一方、平たん地におきましては、減反政策ということで農家に米をつくらせない田が目につき、かといって、家を求める人が荒れた農地を宅地にしようとし、農家もまた、宅地として売却したくても現行の線引きのもとではそれができないという矛盾があります。そのため優良な宅地供給が遅々として進まないのが現実です。宅造法、都市計画法、線引きの基準等については、この際抜本的見直しが必要と考えますが、お考えをお聞かせください。  次に、今回の人的災害は自然斜面のがけ崩れによるものが多かったのでありますが、かつての四十二年七月の神戸豪雨災害教訓につくられました急傾斜地災害防止法によりますと、その適用基準は、傾斜度三十度以上であり、高さが五メートル以上のがけで、周辺五戸以上の家があるということになっておりますが、これでは今回のような豪雨には対応できません。しかも、全国に六万六千カ所あると言われるこのような急傾斜地のうち、いまだその一三%しか整備されていないのが実情です。この際、一層その整備を促進するとともに、不動産の値下がりを嫌って指定を受けない者に対しては、防災上の公共性を加味して何らかの措置ができるよう見直すべきと考えますが、御所見をお伺いいたします。  先回出されました防災白書では、都市の急激な拡大に伴い、地盤の弱い地域や浸水危険地域に住民が進出し、はなはだ危険な状態となっているとの指摘がなされております。人口の都市集中、排水路や下水路の整備により、流域に降った雨が大部分、短時間に河川に流れ込む実情を考えた場合、むしろ以前より危険は増大していると言っても過言ではありません。  このような状況を踏まえ、特に危険地域を中心に、洪水の際はもちろんですが、そのほかにも予想される災害に備え、警報システムの確立住民への情報伝達システムの確立を急がなければなりません。かつては、村ごとに、つじごとに半鐘が置かれ、一たん危急の場合には、半鐘を乱打して住民に急を告げました。文明の進んだ今日、この面で昔に劣るのは、これまた行政の怠慢ではなかったでしょうか。自治大臣のお考えをお聞かせください。  総理は、国土安全確保わが国の緊要な施策であるとし、防衛費を特別枠とし、その額の伸び率も絶対額も増大の一途をたどろうとしておりますが、総理、今回の豪雨災害は、死者三百二十二名、行方不明三十七名という、まれに見る大災害となりました。国土の安全保障上重大な事態であると言うほかありません。今回の豪雨災害国土の安全上どう受けとめておられるのか、また、復旧に対する決意のほどはいかがであるか、お伺いいたします。  最後に、今回の大災害教訓として、二度とこのようなことが起こらないよう、住宅、土地政策の一層の充実、法制度の見直し、避難体制の確立など強く要望いたし、私の質疑を終わります。(拍手)     〔内閣総理大臣鈴木善幸登壇
  51. 鈴木善幸

    内閣総理大臣鈴木善幸君) 石原議員にお答えを申し上げます。  今回の豪雨災害をどのように受けとめるか、また、復旧対策の決意はどうかとのお尋ねがございました。  このたびの豪雨により甚大なる被害が生じたことを考えるとき、このような自然の猛威から国民の生命、財産を保護するため、防災に関しましてなお一層の努力を傾注していかなければならないと考えております。政府といたしましては、被害者の救済復旧対策について万全を期してまいる所存でございます。  残余の問題につきましては、所管大臣から答弁をいたさせます。(拍手)     〔国務大臣松野幸泰登壇
  52. 松野幸泰

    国務大臣松野幸泰君) このたびの豪雨災害に対し、政府は非常災害対策本部を設け、各般にわたる講ずべき対策決定し、その推進を図っているところであります。捜査救出作業を精力的に実施することはもとより、市民生活に直結する都市機能早期復旧を図るとともに、被災者被災中小企業者の復興を助けるための金融措置等を講じ、被災者が一日も早く立ち直り得るよう応急対策を急いでおります。  さらに、急傾斜地崩壊防止事業激特事業を含めた河川の改修を検討するなど、将来を考え復旧事業の早期実施を図ることとしております。  現在までに応急対策はかなりの進捗を見ていますが、引き続き地元地方公共団体と密接に連携しつつ、被災した方々が元気を回復し、生活の安定を図ることができますよう、これらの対策に万全を期する所存でございます。(拍手)     〔国務大臣始関伊平登壇
  53. 始関伊平

    国務大臣始関伊平君) お答えをいたします。  最初に、人的被害を軽減するという見地から、宅地開発を規制せよという御意見だと承りました。これにつきましては、現在、宅地造成等規制法等によりまして、技術基準に合致した宅地造成工事の義務づけをいたしております。なおまた、危険区域というものをいわゆるがけ崩れ防止法で決定して、工事することができることになっております。さらに、建築基準法では、危険な区域においての住宅建設を禁止するという条項もございますが、こういったような危険区域における立地規制、つまり宅地開発の規制の法律によりまして、必要に応じまして、ただいまの御提案の趣旨のようにやってまいりたいと考えております。それからまた、危険個所からの住宅の移転という事業なども行っているところでございまして、さらに一層その的確な運用を図りまして、被害の防止、軽減に努める所存でございます。  その次に、急傾斜地崩壊対策でございますが、従来から、崩壊防止工事の推進と警戒避難体制の整備について鋭意努力をしてきたところでございますが、今後ともなお一層努力してまいる所存でございます。  危険個所につきましては、昭和五十六年度から全国的に見直しを実施いたしまして、いま集計中でございますが、見直しの結果、放置してはならぬ、何とかしなければいかぬという結論の出ました危険個所につきましては、全部これに対する保全工事を行う、かような方針でただいまおるわけでございます。  基準の見直しの問題もございますが、これは今後の調査結果を待って検討したいと考えております。  それから、第六次の治水事業五カ年計画の中でも、著しく整備の立ちおくれております中小河川、特に都市河川対策と、それから土砂害により多くの人命が失われている実態にかんがみての土砂害対策等に重点を置いて事業推進を図ることといたしておりますことは、前にも申したとおりでございます。  また、本計画におきましては、河川流域の開発災害及び事業の進捗状況等を総合的に考慮いたしまして、弾力的にこのいわゆる第六次治水事業五カ年計画実施を図ることといたしておるのでございまして、今後とも計画的に五カ年計画推進していくよう努めてまいる所存でございます。  その次に、中小河川でございますが、これはいろいろと御批判のようなものがございましたが、当面の目標といたしております時間雨量五十ミリと申しますのは、五年ないし十年に一回程度降る雨という意味でございまして、これを便宜上、全国の代表値としているものでございます。実際には、これと同程度の雨量と申しますか、それは個々の河川についてそれぞれ違うのでありまして、それぞれの河川に対応した雨量によって改修計画を立てているのでございます。ですから、一律に五十ミリということではなしに、あるところは八十ミリになり、あるところは四十ミリになるということでございます。  最後に、地方的な問題といたしまして、加勢川及び菊池川における今回の災害についての御要望でございましたが、この二つの河川のうち直轄区域に係る個所につきましては、緊急に復旧を要する菊池川の五カ所はすでに応急復旧工事を完了いたしました。その他の個所についても、早急に現地調査を行い、早期復旧に努めてまいる考えであります。  また、県の方の管理区域でございますが、県管理区域に係る個所については、現在、災害査定官を派遣して応急工事の指導に当たらせるとともに、被災状況調査中でございまして、この結果を待って災害査定を実施して、予算を配って事業実施させ、再度災害の防止に努めてまいりたいと考えておる次第でございます。  以上、お答え申し上げました。(拍手)     〔国務大臣世耕政隆君登壇
  54. 世耕政隆

    国務大臣(世耕政隆君) 災害時の避難情報の伝達システムの確立のことをおっしゃられましたのですが、気象庁の予報とか警報なんかの災害情報の伝達は、まず都道府県と市町村とを結ぶ、それから市町村と集落を結ぶ、そういった防災行政無線網の整備が最も効果的であると言われておりまして、その整備を現在促進しているところでございます。災害時における避難の勧告、指示は、この防災無線とあわせまして、サイレン、半鐘、広報車、職員の巡回など、あらゆる情報連絡手段を使いながら、迅速に、かつ的確に伝達を確保できるよう、今後一層の努力をいたしてまいる所存でございます。  次に、住民に対する避難訓練その他の問題を御指摘になりましたが、全くそのとおりでございまして、出水期における総合防災訓練につきましても、人命の保護を第一義としまして、特に災害危険区域の住民に対して、地域の実態に応じた避難訓練を積極的に実施するよう指導しておりますが、また一方では、防災に関する教育も非常に重要でございまして、防災知識の提供、民間防火防災組織あるいは婦人活動団体などを通じまして、防災知識の普及に努めているところでございます。今後とも、一層この面で充実するよう指導してまいりたいと存じております。(拍手
  55. 岡田春夫

    ○副議長(岡田春夫君) これにて質疑は終了いたしました。      ————◇—————
  56. 岡田春夫

    ○副議長(岡田春夫君) 本日は、これにて散会いたします。     午後三時四十三分散会      ————◇—————  出席国務大臣         内閣総理大臣  鈴木 善幸君         外務大臣臨時代         理         国 務 大 臣 宮澤 喜一君         文 部 大 臣 小川 平二君         厚 生 大 臣 森下 元晴君         建 設 大 臣 始関 伊平君         自 治 大 臣 世耕 政隆君         国 務 大 臣 松野 幸泰君      ————◇—————