○安藤
委員 その辺のところは、こっちがわからぬと思って適当におっしゃっておられるのではないかという気もするのです。
私が問題にしたいのは、現行法の第十三条の携帯義務、提示義務、これが簡単に、先ほどの久米川駅前の派出所の件でもそうですが、朝鮮人だなあるいは在日韓国人だなというふうに見たら、たちどころに職務
質問をやって、
登録証の提示を求めて云々というようなことにすぐ使われる。そして、少年を本署へパトカーで連れていったり、あるいは何ら犯罪の嫌疑がなく、大学の門が近くてそこへ帰ろうとしていることがわかっておるにもかかわらず
登録証の提示を求めるというようなことで、すぐ犯罪容疑者というふうに見て取り締まりの対象にされる、そのことを私は問題にしておるのですね。だから、その辺のところは慎重にやっていただかなければならぬと思うのです。
いまの小平警察署の件のほかにも、
大臣、よく聞いておってくださいよ、こういう実態なんですね。
これはこの前も話がありましたけれ
ども、女の
先生が教室で授業をやっておる真っ最中に入っていって、すぐ連れていく。それは普通の民家のところだったから、学校かどうかよくわからなかったというのですが、子供たちを前にしていろいろ教えているのですから、教室だということは一見して明らかだと思うのですね。それがすぐ警察へ連れていく、こういうようなことが行なわれるわけです。
それから、これは「
法律時報」の昭和五十年六月号ですからちょっと古いのですけれ
ども、こういう
事例もあるのですね。
五十年の四月十七日の件ですが、東京に住んでいる人が山陰線の鎌手駅の方へ旅行に行った。そこで、駅を出たところで突然四人の私服警官に取り囲まれて、派出所に同行を求められた。余り突然なことなのでびっくりして、どうしてなのかと理由を尋ねたら、一人の警官が、窃盗の嫌疑があったんだというふうに答えた。この人は全く身に覚えがなかったので、派出所に同行を求められたときに、任意のものか強制によるものかというふうに尋ねたところ、警官は任意だと。それならここで話をしようと言ったその途端に、二人の警官がこの人の両腕を強く握って、一人が背中から押して無理やり派出所に強制連行をした。
この人はその途中も強く抗議をしたのですが、派出所の中に連れ込むや、いきなり身体検査を始めた。そして、
外国人登録証を見せろと言った。この人は持っておったので、見せるから身体検査をやめろと言いながらズボンのポケットから
登録証を取り出そうとしたところ、警官らは、もう見せなくてもよい、
登録証不提示罪で逮捕すると、逮捕して手錠をかけてしまったのです。こういうふうに使われているのです。
しかも、この島根県警は数名の警官を東京に派遣をして、警視庁とともに四月二十二日に、何ら正当な理由がないにもかかわらず、この人の家人の留守中家宅捜索を行うということまでやっておるのですよ。これは窃盗とか何かということではなくて、この十三条の不提示罪ということで家宅捜索まで行われている。こういうとんでもないことが
現実に行われているわけですね。
これは切りがありませんから、そんなにたくさん挙げるつもりはありませんけれ
ども、もう
一つは、去年の夏、八月八日に富山県の富山市内で起こった件ですが、午後十一時ごろ、十五歳の三人の在日朝鮮人の少年、この人たちが夕涼みを兼ねて自動販売機へジュースを買いに行く途中に、富山北警察署の警官二人に職務
質問をされた、そして
登録証の提示を求められた。自動販売機へジュースを買いに行っただけですから、うちがすぐ近くであることはわかっておりますが、自宅が近いので連絡すればすぐ身元が確認できるはずだ、いまは持っておらぬけれ
どもというようなことを訴えたけれ
ども、警官は耳をかそうともせずに、三人を
外国人登録証の常時携帯義務違反を口実に、またこれも本署まですぐ連れていって、そしていろいろ取り調べをした。
こういうふうに、何やかんやとこの十三条を盾にとって被疑者扱いをするというようなことがずっと行われているのですね。だから、これはきのう尾崎参考人が、この
外国人登録法というのは治安立法的性格を持っているんだということを言いましたけれ
ども、やはりそういうふうに使われている、これが実態だというふうに思わざるを得ないのです。
いま私がここに挙げただけでも、すぐ簡単に逮捕する、家宅捜索までする、そして、うちがすぐ近くだからと言っても言うことを聞かないで本署へ連行していくとか、こういうようなことがしょっちゅう行われるのですが、この不携帯の問題については、法務省の方としては、こういった調子にこの十三条を
適用しろというふうに
考えておられるのですか。